JP2016164371A - エンジン制御システム - Google Patents

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【課題】燃料の消費を抑えつつ、触媒の温度を効率的に上昇させる。【解決手段】排気ガスを浄化するための触媒15を有するディーゼルエンジン10のエンジン制御システム20であって、排気ガスの温度を取得する排気温度取得部23と、触媒15の温度を取得する触媒温度取得部24と、ディーゼルエンジン10の回転数を制御する制御部21と、を備え、制御部21は、排気ガスの温度が触媒15の温度よりも高い場合に、ディーゼルエンジン10のアイドル回転数を上昇させる。【選択図】図1

Description

本発明は、排気ガスを浄化するための触媒を有するディーゼルエンジンのエンジン制御システムに関する。
ディーゼルエンジンには、通常、排気ガスを浄化するための触媒が設けられる。このような触媒は、一定の温度以上にならないと浄化機能を発揮しないため、ディーゼルエンジンの始動時に、触媒の温度を上昇させるための暖機運転が行われることがある。例えば特許文献1には、ディーゼルエンジンの始動直後に通常の運転時よりエネルギーの高い排気ガスを触媒に流し、続いて、通常の運転時より温度の高い排気ガスを触媒に流すことで、触媒を迅速に活性化するとともに、触媒の活性状態を維持する技術が開示されている。
特開2004−245133号公報
ここで、排気ガスの温度が触媒の温度よりも高い場合には、排気ガスによって触媒を昇温させることができるが、逆の場合には、排気ガスによって触媒の温度を上昇させることができない。しかしながら、特許文献1では、暖機運転時に排気ガスのエネルギーや温度を、通常の運転時に比べて高くしているというだけであり、排気ガスの温度と触媒の温度との大小関係を監視することについては特に言及されていない。したがって、特許文献1の技術によれば、排気ガスの温度と触媒の温度との大小関係によっては、無駄に燃料を消費するだけで、効率的に触媒の温度を高くすることができないおそれがあった。
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、排気ガスを浄化するための触媒を有するディーゼルエンジンのエンジン制御システムにおいて、燃料の消費を抑えつつ、触媒の温度を効率的に上昇させることを目的とする。
本発明は、排気ガスを浄化するための触媒を有するディーゼルエンジンのエンジン制御システムであって、前記排気ガスの温度を取得する排気温度取得部と、前記触媒の温度を取得する触媒温度取得部と、前記ディーゼルエンジンの回転数を制御する制御部と、を備え、前記制御部は、前記排気ガスの温度が前記触媒の温度よりも高い場合に、前記ディーゼルエンジンのアイドル回転数を上昇させることを特徴とする。
本発明によれば、排気ガスの温度が触媒の温度よりも高い場合、つまり、排気ガスによって確実に触媒の温度を上昇させることができる場合に、ディーゼルエンジンのアイドル回転数を上昇させるように制御が行われる。このように、排気ガスによって触媒を昇温させることができる状態のときに、アイドル回転数を上昇させて排気ガスの温度をさらに高めることにより、触媒を早く昇温させることができる。したがって、本発明によれば、燃料の消費を抑えつつ、触媒の温度を効率的に上昇させることが可能となる。
本実施形態にかかるエンジン制御システムの一例を示す模式図である。 暖機運転制御の流れを示すフローチャートである。 暖機運転制御によるアイドル回転数の推移の一例を示すグラフである。 アジャスト量および徐変係数を決定するためのマップの一例である。
(エンジン制御システムの概略構成)
以下、図面を参照しつつ、本発明にかかるエンジン制御システムの実施形態について説明する。図1は、本実施形態にかかるエンジン制御システムの一例を示す模式図である。制御対象となるディーゼルエンジン10は、燃焼室11に空気を供給する吸気管12、燃焼室11に燃料を噴射する燃料噴射装置13、燃焼室11から排気ガスを排出する排気管14、排気ガスを浄化するため、排気管14に配置された触媒15等を有して構成される。
ディーゼルエンジン10を制御するエンジン制御システム20は、制御部21、記憶部22、排気ガスの温度(以下、「排気温度」という)を検出する排気温度検出部23、触媒15の温度(以下、「触媒温度」という)を検出する触媒温度検出部24、ディーゼルエンジン10の冷却水の温度(以下、「冷却水温度」という)を検出する冷却水温度検出部25、ディーゼルエンジン10の回転数(以下、「エンジン回転数」という)を検出する回転数検出部26等を有して構成される。なお、排気温度検出部23は、排気ガスの流れ方向において、触媒15よりも上流側に設けられているものとする。
制御部21には、排気温度検出部23から出力された排気温度、触媒温度検出部24から出力された触媒温度、冷却水温度検出部25から出力された冷却水温度、および回転数検出部26から出力されたエンジン回転数が、それぞれ入力される。記憶部22には、後述する暖機運転制御に関する制御プログラムや、暖機運転制御に用いられる各種パラメータ等が記憶されている。
制御部21は、各検出部23〜26による検出値や記憶部22に格納されている各種パラメータ等を用いて、ディーゼルエンジン10のアイドル回転数を制御する暖機運転制御を実行する。なお、制御部21による暖機運転制御は、ディーゼルエンジン10の始動直後(車両走行前)だけではなく、車両走行開始後であっても、触媒15が十分に活性していない場合には、車両停止時に適宜実行され得る。
(暖機運転制御)
図2は、暖機運転制御の流れを示すフローチャートであり、図3は、暖機運転制御によるアイドル回転数の推移の一例を示すグラフである。制御部21は、まず、排気温度検出部23で検出された排気温度が、触媒温度検出部24で検出された触媒温度よりも高いか否かを判断する(ステップS101)。その結果、排気温度のほうが高い場合には、アイドル回転数を現在のアイドル回転数よりも上昇させるべく、次式(1)により目標アイドル回転数を演算する(ステップS102)。
目標アイドル回転数=現在のアイドル回転数+(アジャスト量×徐変係数)…(1)
ここで、「アジャスト量」とは、現在のアイドル回転数に対してどれだけアイドル回転数を上昇あるいは減少させるかという増減量に相当するものである。記憶部22には、アジャスト量を決定するためのマップ(図4のa図参照)が格納されている。アジャスト量は、排気温度検出部23で検出された排気温度(または触媒温度検出部24で検出された触媒温度)と、冷却水温度検出部25によって検出された冷却水温度とに基づいて決定される。例えば、排気温度(または触媒温度)が低く、冷却水温度が低い場合には、できるだけ迅速にアイドル回転数を上昇させるべく、アジャスト量は比較的大きな値に設定されている。一方、排気温度(または触媒温度)が高く、冷却水温度が高い場合には、迅速にアイドル回転数を上昇させる必要性は低いので、アジャスト量は比較的小さな値に設定されている。
また、式(1)における「徐変係数」とは、上記アジャスト量だけアイドル回転数を増減させる際に、1回のルーティンでどれだけアイドル回転数を増減させるかに関するパラメータである。記憶部22には、徐変係数を決定するためのマップ(図4のb図参照)が格納されている。徐変係数は、回転数検出部26で検出されたエンジン回転数と、冷却水温度検出部25によって検出された冷却水温度とに基づいて決定される。徐変係数は、基本的に0以上1未満の数値であり、徐変係数が小さいほど1回のルーティンにおけるアイドル回転数の増減量は小さくなり、徐変係数が大きいほど1回のルーティンにおけるアイドル回転数の増減量は大きくなる。例えば、アジャスト量が500rpmで、徐変係数が0.1の場合には、50rpmが1回のルーティンでのアイドル回転数の増減量となる。
ここで、一般的に、エンジン回転数には、ディーゼルエンジン10を共振させるおそれのある共振域が存在する。エンジン回転数が共振域内の値であると、ディーゼルエンジン10の振動が大きくなり、乗員に違和感や不快感を感じさせる要因となる。よって、エンジン回転数を上昇または減少させる際、共振域においてはエンジン回転数の増減量を大きくし、できるだけ素早く共振域を脱することが好ましい。そこで、本実施形態では、エンジン回転数が共振域にあるときの徐変係数を、比較的大きな値としている。
次に、ステップS102で求めた目標アイドル回転数が、最大アイドル回転数よりも大きいか否かを判断する(ステップS103)。この最大アイドル回転数とは、暖機運転時におけるアイドル回転数の上限値であり、ディーゼルエンジン10の信頼性や乗員の乗り心地等を勘案して、予め設定されている。目標アイドル回転数が最大アイドル回転数よりも大きい場合には、最大アイドル回転数が目標アイドル回転数として設定される(ステップS104)。一方、目標アイドル回転数が最大アイドル回転数以下の場合には、目標アイドル回転数はステップS102で求めた値に維持される(ステップS105)。
目標アイドル回転数が決まると、制御部21は、エンジン回転数を目標アイドル回転数とするべく、ISC制御(アイドル回転数制御)を実行する(ステップS106)。ISC制御とは、燃料噴射装置13からの燃料噴射量を制御することによって、エンジン回転数を制御する制御方法である。
このように、排気温度が触媒温度よりも高い場合、ステップS102〜S106が実行される結果、図3に示すように、アイドル回転数は徐々に上昇する。なお、前述のように、アイドル回転数が共振域の場合の徐変係数を大きくすることにより、1回のルーティンでの上昇量が大きくなり、共振域を素早く脱することができる。このため、ディーゼルエンジン10の振動の影響を最小限にし、乗員の乗り心地を向上させることができる。
ディーゼルエンジン10の始動直後は、一般的に、筒内温度がまず最初に上昇するため、ステップS101の判断は「YES」となり、アイドル回転数は上昇することになる。しかしながら、ある程度、触媒温度が高くなってくると、触媒が活性化することで触媒自身が発熱するようになり、そのうちに排気温度よりも触媒温度のほうが高くなる。そうなると、排気ガスによって触媒の温度を上昇させることはできず、アイドル回転数を上昇させることは燃料の無駄となるおそれがある。
そこで、排気温度が触媒温度以下となった場合、すなわちステップS101にて「NO」の判断がなされた場合は、アイドル回転数を現在のアイドル回転数よりも減少させるべく、次式(2)により目標アイドル回転数を演算する(ステップS107)。なお、本実施形態では、式(2)におけるアジャスト量および徐変係数は、式(1)におけるアジャスト量および徐変係数と同じであり、ともに図4のマップから求められるものとする。
目標アイドル回転数=現在のアイドル回転数−(アジャスト量×徐変係数)…(2)
次に、ステップS107で求めた目標アイドル回転数が、最小アイドル回転数よりも小さいか否かを判断する(ステップS108)。この最小アイドル回転数とは、暖機運転時におけるアイドル回転数の下限値であり、耐エンスト性等を勘案して、予め設定されている。目標アイドル回転数が最小アイドル回転数よりも小さい場合には、最小アイドル回転数が目標アイドル回転数として設定される(ステップS109)。一方、目標アイドル回転数が最小アイドル回転数以上の場合には、目標アイドル回転数はステップS107で求めた値に維持される(ステップS110)。
目標アイドル回転数が決まると、制御部21は、エンジン回転数を目標アイドル回転数とするべく、ISC制御を実行する(ステップS106)。
このように、排気温度が触媒温度以下の場合、ステップS107〜S110、S106が実行される結果、図3に示すように、アイドル回転数は徐々に減少する。なお、アイドル回転数の上昇時と同様に、アイドル回転数の減少時においても、アイドル回転数が共振域の場合の徐変係数を大きくすることにより、1回のルーティンでの減少量が大きくなり、共振域を素早く脱することができる。このため、ディーゼルエンジン10の振動の影響を最小限にし、乗員の乗り心地を向上させることができる。
なお、一旦、触媒温度が排気温度より高くなったとしても、例えば触媒15が劣化している場合等は、触媒温度が低くなり、再び排気温度が触媒温度よりも高くなる可能性がある。この場合には、制御部21が、再びステップS101で「YES」と判断し、ステップS102〜S106を実行することで、触媒温度を効率的に上昇させることができる。
(効果)
以上のように、本実施形態によれば、制御部21は、排気温度が触媒温度よりも高い場合に、ディーゼルエンジン10のアイドル回転数を上昇させるように構成されている。このように、排気ガスによって触媒15を昇温させることができる状態のときに、アイドル回転数を上昇させて排気ガスの温度をさらに高めることにより、触媒15を早く昇温させることができる。したがって、燃料の消費を抑えつつ、触媒15の温度を効率的に上昇させることが可能となる。
また、排気温度が触媒温度以下の場合には、排気ガスによって触媒15を昇温させることはできず、アイドル回転数を上昇させても、燃料の無駄となってしまうおそれが高い。そこで、本実施形態では、制御部21は、排気温度が触媒温度以下の場合に、ディーゼルエンジン10のアイドル回転数を減少させるように構成されている。したがって、燃費をさらに向上させることができる。
また、本実施形態では、制御部21は、排気温度(または触媒温度)と冷却水温度とに基づいて、アイドル回転数の増減量(アジャスト量)を決定している。このため、排気温度(または触媒温度)や冷却水温度に応じて、アイドル回転数のきめ細やかな制御が可能となる。例えば、排気温度(または触媒温度)や冷却水温度が低く、アイドル回転数の迅速な上昇が望まれるといった場合には、増減量を大きくすることができる。また、排気温度(または触媒温度)や冷却水温度が高く、アイドル回転数を上昇させる必要性が低い場合には、増減量を小さくすることができる。
さらに、本実施形態では、制御部21は、エンジン回転数と冷却水温度とに基づいて徐変係数を決定し、増減量(アジャスト量)に徐変係数を乗じた値を、現在のアイドル回転数に加算または減算することで目標アイドル回転数を演算している。このように、徐変係数を導入することで、アイドル回転数の急激な変化を避け、徐々に変化させることができるので、乗員に違和感や不快感を与えてしまうことを回避できる。特に、上述のように、アイドル回転数が共振域にある場合の徐変係数を大きくすることで、ディーゼルエンジン10の振動の影響を抑えることができるので、乗員の乗り心地を向上させることができる。
また、本実施形態では、制御部21は、目標アイドル回転数が所定の最大アイドル回転数よりも高い場合に、目標アイドル回転数を最大アイドル回転数に設定する。このため、アイドル回転数が最大アイドル回転数を超えてしまうことを回避でき、ディーゼルエンジン10の信頼性を確保し、乗員の乗り心地等を向上させることができる。
また、本実施形態では、制御部21は、目標アイドル回転数が所定の最小アイドル回転数よりも低い場合に、目標アイドル回転数を最小アイドル回転数に設定する。このため、アイドル回転数が最小アイドル回転数よりも低くなることを回避でき、ディーゼルエンジン10の耐エンスト性等を向上させることができる。
[他の実施形態]
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて上記実施形態の要素を適宜組み合わせまたは種々の変更を加えることが可能である。
例えば、上記実施形態では、排気温度、触媒温度、冷却水温度およびエンジン回転数として、それぞれ各検出部23〜26による検出値を用いるものとした。しかしながら、これらの物理量は、必ずしも実際の検出値である必要はなく、所定の条件から推定した推定値であってもよい。例えば、排気温度は、外気温、吸気量、燃料噴射量および排気系の熱容量等から推定することが可能である。
また、上記実施形態では、アジャスト量や徐変量をマップ形式で用意するものとしたが、アジャスト量や徐変量を求めるための数式を用意してもよい。
また、上記実施形態では、アイドル回転数の上昇時および減少時において、同じマップによりアジャスト量や徐変量を求めるものとしたが、アイドル回転数の上昇時と減少時とで、別々のマップを用意するものとしてもよい。
また、図4にアジャスト量および徐変量の一般的な大小関係の傾向を示したが、アジャスト量および徐変量は、図4に示したもの以外の大小関係の傾向を有していてもよい。
10:ディーゼルエンジン
15:触媒
20:エンジン制御システム
21:制御部
23:排気温度検出部(排気温度取得部)
24:触媒温度検出部(触媒温度取得部)
25:冷却水温度検出部(冷却水温度取得部)
26:回転数検出部(回転数取得部)

Claims (7)

  1. 排気ガスを浄化するための触媒を有するディーゼルエンジンのエンジン制御システムであって、
    前記排気ガスの温度を取得する排気温度取得部と、
    前記触媒の温度を取得する触媒温度取得部と、
    前記ディーゼルエンジンの回転数を制御する制御部と、
    を備え、
    前記制御部は、前記排気ガスの温度が前記触媒の温度よりも高い場合に、前記ディーゼルエンジンのアイドル回転数を上昇させることを特徴とするエンジン制御システム。
  2. 前記制御部は、前記排気ガスの温度が前記触媒の温度以下の場合に、前記アイドル回転数を減少させる請求項1に記載のエンジン制御システム。
  3. 前記ディーゼルエンジンの冷却水の温度を取得する冷却水温度取得部をさらに備え、
    前記制御部は、前記排気ガスの温度および前記触媒の温度の少なくともいずれか一方と、前記冷却水の温度とに基づいて、前記アイドル回転数の増減量を決定する請求項1または2に記載のエンジン制御システム。
  4. 前記ディーゼルエンジンの回転数を取得する回転数取得部をさらに備え、
    前記制御部は、前記回転数と前記冷却水の温度とに基づいて徐変係数を決定し、前記増減量に前記徐変係数を乗じた値を、現在の前記アイドル回転数に加算または減算することで目標アイドル回転数を演算する請求項3に記載のエンジン制御システム。
  5. 前記制御部は、前記目標アイドル回転数が所定の最大アイドル回転数よりも高い場合に、前記目標アイドル回転数を前記最大アイドル回転数に設定する請求項4に記載のエンジン制御システム。
  6. 前記制御部は、前記目標アイドル回転数が所定の最小アイドル回転数よりも低い場合に、前記目標アイドル回転数を前記最小アイドル回転数に設定する請求項4または5に記載のエンジン制御システム。
  7. 前記制御部は、前記アイドル回転数が前記ディーゼルエンジンを共振させる共振域にあるときの前記徐変係数を、共振域にないときに比べ大きな値に設定する請求項4ないし6のいずれか1項に記載のエンジン制御システム。
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