以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。なお、各図において、同一または相当する部分には同一符号を付してその説明を簡略化ないし省略する。
実施の形態1.
図1は、この発明の実施の形態における内燃機関及びその周辺機器の構成について説明するための模式図である。図1に示すシステムは内燃機関2を有している。内燃機関2の燃焼室には、吸気通路4及び排気通路6が接続している。吸気通路4と燃焼室との接続部には、吸気通路4を開閉する吸気弁(図示せず)が設置されている。排気通路6と燃焼室との接続部には、排気通路6を開閉する排気弁(図示せず)が設置されている。吸気弁又は排気弁には、それぞれの位相や作用角等の開弁特性を変更することができる可変動弁機構8が取り付けられている。
吸気通路4には、電子スロットル弁10と圧力センサ12が取り付けられている。圧力センサ12は、吸気通路4内の圧力に応じた出力を発する。吸気通路4の内燃機関2との連通部付近には、インジェクタ14が設置されている。
インジェクタ14には、燃料供給路20を介して燃料タンク22が接続している。燃料供給路20には、燃料中のアルコール濃度に応じた出力を発する濃度センサ24と、ポンプ26とが設置されている。燃料タンク22内の燃料は、ポンプ26によって所定の流量でインジェクタ14に供給される。インジェクタ14は、制御信号を受けて所定のタイミングで所定量の燃料を吸気通路4内に噴射する。
燃料タンク22には、通路28を介してキャニスタ30が接続している。キャニスタ30内には吸着剤としての活性炭が設置され、これにより燃料タンク22で蒸発した燃料を吸着することができる。通路28には、通路28を開閉する電磁弁32が取り付けられている。
キャニスタ30には、外部通路34とパージ通路36(蒸発燃料通路)とが接続している。外部通路34は、外部から外気を導入するための通路である。パージ通路36は、吸気通路4とキャニスタ30とを接続する通路である。パージ通路36のキャニスタ30との接続側とは反対側の端部は、吸気通路4の電子スロットル弁10よりも内燃機関2に近い位置に接続している。パージ通路36には、パージ通路36を開閉する電磁弁38が取り付けられている。
一方、排気通路6には、触媒42が設置されている。触媒42は、内燃機関2から排出される排気ガスを浄化する機能を有している。排気通路6の触媒42より上流側には、排気ガスの空燃比に応じた出力を発する空燃比センサ44が取り付けられている。
このシステムは、制御装置50を有している。制御装置50は、例えば、圧力センサ12、濃度センサ24、空燃比センサ44に接続され、これらのセンサの出力を受けて圧力、濃度や排気空燃比等システムの運転状態に関する情報を検出する。また制御装置50は、可変動弁機構8、電子スロットル弁10、インジェクタ14、ポンプ26、電磁弁32、38等と電気的に接続され、これらの機器に制御信号を発することで、その動作を制御することができる。
ところで、触媒42は、通常、排気ガスが通過することにより、排気ガスの熱によって活性化される。このためアイドル運転時のように排気温度が比較的低温となる状態が長く続くと、触媒42が活性温度より低い失活状態となることがある。特に、アルコール燃料を用いる場合、その排気温度は低温となりやすく、高濃度アルコール燃料では、排気温度がガソリン燃料の場合に比べて50〜100℃程度低くなる場合もある。
以下式(1)にガソリン燃料の燃焼、式(2)にエタノール燃料の燃焼を示す。式(1)、(2)から、アルコール燃料の場合、排気ガス中の水分が多いことがわかる。即ち、アルコール燃料の場合、水分が多いため熱容量が大きくなることに起因して、排気温度が低くなる。
C7H13.3 + 10.33(O2 + 3.79N2) → 7CO2 + 6.66H2O + 39.1N2 + 4.91MJ ・・・・(1)
3.44C2H5OH + 10.33(O2 + 3.79N2) → 6.88CO2 + 10.32H2O + 39.1N2 + 4.24MJ ・・・・(2)
そこで、実施の形態のシステムにおいては、触媒42の失活を防止するため、アイドル運転が一定期間以上長く続いた場合に、キャニスタ30を強制的にパージ処理する制御(以下「強制パージ制御」)を実行する。
具体的に、キャニスタ30のパージ処理は、電磁弁32を閉鎖し、電磁弁38を開放することで実行される。電磁弁32が閉鎖することで通路28が閉鎖され、燃料タンク22からキャニスタ30への蒸発燃料の流入が停止する。一方、電磁弁38が開放されることで、パージ通路36が開放される。パージ通路36が開放されると、吸気通路4の吸気負圧により、外部通路34からキャニスタ30内に外気が流入し、外気とキャニスタ30内に吸着していた燃料を含むパージガスが、吸気通路4内に導かれる。吸気通路4内に導かれたパージガスは、内燃機関2に供給され燃焼に用いられる。
ここで、キャニスタ30内に吸着されているのは、燃料タンク22から蒸発した燃料である。従って、キャニスタ30内に吸着された燃料成分は、蒸発しやすいガソリン中の低沸点成分が多い軽質燃料となっている。このため、吸着燃料が内燃機関2での燃焼に用いられた場合、その燃焼による水の生成量が抑制されるため、排気温度を上昇させることができる。従って、この燃焼後の排気ガスが触媒42内に導入されることで、触媒42の昇温を図ることができる。
なお、実施の形態1においては強制パージ制御を実行するか否かの判断を、アイドル運転の積算時間であるアイドル積算時間Tidleと触媒42の推定温度Tcatに基づいて行なう。具体的には、その時間範囲であればアイドル運転を継続しても触媒42の失活が起きない(あるいは許容範囲内の頻度でしか起こさない)と推定される範囲の最大限界値を予め実験等により求め、これを判定の基準値「基準アイドル時間Tref」(基準時間)として制御装置50に記憶しておく。アイドル積算時間Tidleがこの基準アイドル時間Trefより長くなった場合に強制パージ制御の実行が許容される。ただし、実施の形態1では、アイドル積算時間Tidleに応じて、触媒42の推定温度Tcatを算出し、この推定温度Tcatが、触媒活性温度の最低値付近の温度である基準温度よりも低いと判断された場合に、強制パージ制御を行なう。
図2は、この発明の実施の形態1において制御装置が実行する制御のルーチンである。図2のルーチンは、強制パージ制御の実行要求を示すパージ実行フラグを算出するためのルーチンであり、内燃機関2の運転中、一定期間ごとに繰り返し実行されるルーチンである。
図2のルーチンにおいては、まず、アイドル判定フラグ=ONとなっているか否かが判別される(S12)。アイドル判定フラグは、内燃機関2のアイドル運転中ONとされるフラグである。
ステップS12において、アイドル判定フラグ=ONの成立が認められた場合、次に、アイドル運転状態となってからの積算時間であるアイドル積算時間Tidleが算出される(S14)。次に、アイドル積算時間Tidleが基準アイドル時間Trefより長いか否かが判別される(S16)。上記のように基準アイドル時間Trefは、制御装置50に記憶された判断の基準値である。ステップS16において、アイドル積算時間Tidle>基準アイドル時間Trefの成立が認められない場合、一旦、今回の処理が終了する。
一方、ステップS16において、アイドル積算時間Tidle>基準アイドル時間Trefの成立が認められると、次に、触媒42の推定床温Tcatが算出される(S18)。触媒42は、アイドル積算時間Tidle等に応じて求められる。次に、算出された推定床温Tcatが、基準温度より低いか否かが判別される(S20)。ここで、推定床温Tcat<基準温度の成立が認められない場合、一旦今回の処理が終了する。
一方、ステップS20において、推定床温Tcat<基準温度の成立が認められた場合、パージ実行フラグがONとされる(S22)。即ち、アイドル積算時間Tidleが基準アイドル時間Trefより長くなり、触媒42の推定床温Tcatが基準温度より低いことが検出されると、アイドル運転の継続時間が長くなり、触媒失活の抑制のためのパージ処理が必要であると判断されるため、強制パージ制御の実行要求を示すパージ実行フラグがONとされる。その後、今回の処理は終了する。
なお、ステップS12において、アイドル判別フラグ=ONの成立が認められない場合、パージ実行フラグがOFFとされる(S24)。その後、アイドル積算時間Tidle=0とされる(S26)。これによりアイドル運転の継続時間のカウンタであるアイドル積算時間Tidleは初期化される。その後、今回の処理は終了する。
図3は、この発明の実施の形態1において、制御装置が実行する制御のルーチンについて説明するためのフローチャートである。図3に示すルーチンは、一定期間ごとに繰り返し実行されるルーチンである。
図3に示すルーチンでは、まず、パージ実行フラグ=ONの成立が認められるか否かが判別される(S102)。パージ実行フラグは、図2のルーチンにおいて算出され、強制パージ制御の実行が必要と判断された場合にONとされるフラグである。
ステップS102において、パージ実行フラグ=ONの成立が認められた場合、次に、パージ処理中フラグ=ONの成立が認められるか否かが判別される(S104)。パージ処理中フラグは、強制パージ制御実行中にONとされるフラグであり、初期値においてOFFとされ、後述のステップS108の処理によりONとされる。
ステップS104において、パージ処理中フラグ=ONの成立が認められない場合、キャニスタ30のパージ処理が開始される(S106)。ここでは、制御信号により電磁弁32が閉鎖され、電磁弁38が開放される。これによりキャニスタ30と吸気通路4とがパージ通路36によって連通した状態となり、吸気負圧によりキャニスタ30に流入した外気と吸着燃料とを含むパージガスが吸気通路4に導入される。その後、パージ処理中フラグ=ONとされる(S108)。
次に、パージ処理中制御ルーチンが実行される(S110)。パージ処理中制御ルーチンは、キャニスタ30のパージ処理中に併行して実行される内燃機関2の制御ルーチンである。パージ処理中制御ルーチンの具体的な処理については、後述する。
ステップS104において、パージ処理中フラグ=ONの成立が認められた後、あるいはステップS110において、パージ処理中制御ルーチンが実行された後、パージ積算時間ΣTが算出される(S112)。パージ積算時間ΣTは、強制パージ制御を実行してからの積算時間であり、制御装置50の有するカウンタによりカウントされ、検出される。
次に、パージ積算時間ΣTが、基準パージ時間より長いか否かが判別される(S114)。ここで基準パージ時間は、触媒42に失活が回避できる程度に十分にパージガスが供給されたか否かの判断の基準となる値であり、予め制御装置50に記憶されている。ステップS114において、パージ積算時間ΣT>基準パージ時間の成立が認められない場合には、今回の処理は一旦終了する。
一方、ステップS114において、パージ積算時間ΣT>基準パージ時間の成立が認められると、次に、パージ実行フラグ=OFFとされ(S116)、パージ処理中フラグ=OFF(S118)とされる。その後、キャニスタ30のパージ処理が終了とされる(S120)。ここでは、制御装置50からの制御信号により、電磁弁32が開放され、電磁弁38が閉じられる。その後、今回の処理が終了する。
なお、ステップS102において、パージ実行フラグ=ONの成立が認められない場合には、ステップS122において、パージ積算時間ΣT=0とされて初期化された後、パージ処理中フラグ=OFFとされ(S118)、キャニスタパージが終了とされ(S120)、今回の処理は終了する。
図4は、図3のルーチンにおいて実行されるパージ処理中制御ルーチンについて説明するための図である。上述したように、このパージ処理中制御ルーチンは、キャニスタ30のパージ処理中に併行して実行される内燃機関2の制御ルーチンである。
図4のルーチンにおいては、まず、推定パージ量が算出される(S202)。推定パージ量は、前回の強制パージ制御から今回の強制パージ制御までの内燃機関2の運転積算時間等に基づき制御装置50により算出される。
次に、点火時期遅角量が算出される(S204)。点火時期遅角量は、予め制御装置50に記憶された演算式に基づいて演算される。ここで、点火時期遅角量について説明する。図5は、この発明の実施の形態1における点火時期遅角量と発生トルクとの関係を説明するための図である。図5において横軸は点火時期、縦軸はトルクを表している。また図4において、破線(a)は通常燃料の場合を示し、実線(b)は、軽質燃料の場合を示している。
図5に示されるように、軽質燃料は燃焼速度が早く安定しているため、発生する最大トルクに対する点火時期MBTは、通常燃料の場合のMBTに比べて遅角側となる。また、軽質燃料場合、燃料効率が高いため最大トルクも大きくなっている。従って、軽質燃料を用いた場合に通常燃料と同じ要求トルクを発生させるためには、点火時期MBTが遅角側となる分に加え、燃焼効率向上によるトルク増大分を相殺する分、点火時期を遅角側に補正する。上述したようにキャニスタ30に吸着された燃料は燃料中の低沸点成分である。従って、強制パージ制御において内燃機関2に供給されるパージガス中の燃料は、軽質燃料と同様に考えられる。
図6は、この実施の形態におけるパージ量と点火時期遅角量との関係について説明するための図である。図6において、横軸はパージ量を、縦軸は点火時期遅角量を表している。強制パージ制御中に供給される軽質燃料の量は、パージ量増加に伴い増加する。従って、実施の形態1のシステムにおいては、図6に示されるように、強制パージ制御中の点火時期遅角量が、パージ量が増加するに従って増大するように設定される。制御装置50は、図6に示すようなパージ量と点火時期遅角量との関係を予め演算式又はマップとして記憶している。ステップS204の処理では、この制御装置50が記憶する演算式又はマップにより、推定パージ量に応じた点火時期遅角量が算出される。
再び、図4のルーチンに戻り、次に、点火時期が設定される(S206)。点火時期は、通常の処理により算出される点火時期を、ステップS204において求められた点火時期遅角量、及び後述するステップS212の処理により求められる点火時期遅角補正量に応じて遅角させることにより算出される。
次に、回転変動率Δneが取得される(S208)。回転変動率Δneは、機関回転数の変動率であり、内燃機関2のクランク軸近傍に設置された回転数センサの出力に応じて制御装置50において回転数が検出され、検出された回転数に基づいて、回転変動率Δneが算出される。
次に、回転変動率Δneが基準変動率より大きいか否かが判別される(S210)。回転変動率Δne>基準変動率の成立が認められない場合には、点火時期遅角量が演算される(S212)。
その後、パージ処理中フラグ=OFFであるか否かが判別される(ステップS214)。パージ処理中フラグ=OFFの成立が認められない場合には、再びステップS208に戻り、回転変動率Δneが取得された後、ステップS210において回転変動率Δne>基準変動率の成否が判別される。
ステップS210において、回転変動率Δne>基準変動率の成立が認められた場合、あるいは、ステップS214において、パージ処理中フラグ=OFFの成立が認められた場合、今回の処理は終了する。
以上説明したように、この実施の形態1では、アイドル運転が一定期間より長く継続された場合に、キャニスタ30の強制パージ制御が実行される。これによりアイドル運転中にも触媒42の温度を高くすることができ、アイドル運転状態における触媒42の失活を抑えることができる。
なお、実施の形態1では、触媒推定床温を算出してこれに応じて、強制パージ制御を実行するか否かの判別を行なう場合について説明した。しかし、この発明はこれに限るものではなく、例えば、触媒42に触媒床温を検出するセンサを設置して、これに基づき触媒床温を検出するものであってもよい。また、触媒推定床温が基準温度より低い否かの判別を行なわず、アイドル運転が基準アイドル時間より長くなったことが認められた時点で、直ぐにパージ実行フラグをONするものであってもよい。
また、実施の形態1では、パージ量に応じて点火時期を遅角する場合について説明した。しかし、この発明はこれに限るものではなく、例えば、点火時期を補正する処理を有しないものであっても良い。
なお、図2のステップS16が実行されることで、この発明の「アイドル運転時間判別手段」が実現し、図3のステップS106が実行されることで「パージ制御手段」が実現する。
実施の形態2.
実施の形態2のシステムは、図1のシステムと同様の構成を有している。実施の形態2のシステムは、強制パージ制御を行なうかの判断の基準となる基準アイドル時間Trefを変数とし、基準アイドル時間Trefを触媒42の劣化状態に応じて定める点を除き、実施の形態1のシステムと同様の制御を行なうものである。
実施の形態2のシステムでは、触媒42の劣化状態の判断指標として、触媒42が最大限吸蔵し得る酸素量である最大酸素吸蔵量Cmaxを用いる。最大酸素吸蔵量Cmaxは触媒42の劣化に応じて次第に減少するため、触媒42の劣化状態を判断する判断指標として用いることができる。なお、最大酸素吸蔵量Cmaxの算出方法は既に知られたものであり、ここでは詳細な算出方法の説明は省略する。
図7は、実施の形態2における最大酸素吸蔵量Cmaxとアイドル積算時間判定の基準となる基準アイドル時間Trefとの関係を説明するための図である。図7において、横軸は最大酸素吸蔵量Cmaxを表し、縦軸は基準アイドル時間Trefを表している。触媒42は、その劣化が小さい場合には、活性状態を長く保つことが可能であり、劣化が進むにつれて、失活しやすい状態となる。従って、劣化が進行するほど強制パージ制御の実行頻度を高くし、触媒失活を抑制する必要がある。
このため実施の形態2のシステムでは、図7に示されるように、最大酸素吸蔵量Cmaxが大きいほど(即ち、劣化が少ない程)、基準アイドル時間Trefも大きな値となり、最大酸素吸蔵状態Cmaxが小さくなるにつれて(即ち、劣化が進むにつれて)、基準アイドル時間Trefも小さな値となるように設定される。
実施の形態2のシステムにおいて、制御装置50は、図7に示すような関係に従って、最大酸素吸蔵量Cmaxに応じた基準アイドル時間Trefをマップ又は演算式として記憶している。実際の制御においては、最大酸素吸蔵量Cmaxがまず求められ、これに応じてマップ等により基準アイドル時間Trefが演算される。その後、演算された基準アイドル時間Trefが、図2のルーチンのステップS16において、パージ実行フラグをONとするか否かの判定の基準値として用いられる。その他の処理は、図2〜4に示すルーチンに従って同様に実行される。これにより、触媒42の劣化状態に応じて、強制パージ制御の実施間隔を設定することができる。
以上説明したように、実施の形態2においては、触媒42の劣化状態に応じて、強制パージ制御の実行頻度を変更することができる。従って、触媒失活抑制のために過剰に強制パージ制御が実行されることを回避することができ、より適切なタイミングで強制パージ制御を実行することができる。従って、燃費の改善、ドラバビリティの向上を図ることができる。
なお、実施の形態2においては、触媒42の劣化状態を判断する指標として、最大酸素吸蔵量Cmaxを用いる場合について説明した。しかし、この発明はこれに限るものではなく、触媒劣化状態を検出又は予測できるものであれば、他の指標を用いるものであっても良い。
実施の形態3.
実施の形態3のシステムは、図1のシステムと同様の構成を有している。このシステムは、強制パージ制御実行時に、吸気弁の作用角を制御する点を除き、実施の形態1のシステムと同様の制御を行なう。
内燃機関2のアイドル運転のような軽負荷領域において、強制パージ制御を実行していない場合には、吸気弁の作用角を小さく設定する制御が実行される。これにより、吸気負圧が小さくなり、ポンプ損失の低減が図られ、燃費向上が図られる。
しかしながら、強制パージ制御の時には、吸気負圧によってキャニスタ30から吸気通路4に蒸発燃料を含むパージガスを導入させる。従って、吸気負圧が小さいと、十分にパージ量を確保することができない場合がある。そこで、実施の形態3のシステムでは、強制パージ制御を実行する場合には、吸気弁の作用角を通常のアイドル運転時の場合よりも大きく設定することで吸気負圧を確保する制御を行なう。これにより、触媒42の失活抑制のための強制パージ制御を効率良く実行することができる。
図8は、この発明の実施の形態3において制御装置が実行する制御のルーチンである。図8のルーチンは、図4のパージ処理中制御ルーチンに替えて、強制パージ制御実行中に実行される内燃機関2の制御のルーチンである。図8のルーチンは、図4のルーチンのステップS202の前に、ステップS302〜S308の処理を有する点を除いて、図4のルーチンと同じものである。
具体的に、図8のルーチンでは、まず、吸気弁作用角が検出される(S302)。次に、吸気負圧が取得される(S304)。吸気負圧は、吸気通路4に設置された圧力センサ12の出力に応じて制御装置50において検出される。
次に、検出された吸気負圧が基準負圧より小さいか否かが判別される(S308)。基準負圧は、その範囲であれば強制パージ制御におけるパージ量を確保できる範囲の最大値(即ち、その範囲内で負圧が最も弱くなる場合の圧力値)であり、判別の基準値として予め制御装置50に記憶されている。
ステップS308において、吸気負圧>基準負圧の成立が認められた場合(即ち、吸気通路4の吸気負圧が基準負圧よりも弱い場合)には、吸気負圧を確保するべく、吸気弁の作用角を大作用角側に変更する(S310)。ここで作用角の変更は、制御装置50からの制御信号により可変動弁機構8が稼動することで実行される。
ステップS308において、吸気負圧>基準負圧の成立が認められなかった場合(即ち、吸気負圧が基準負圧よりも強い場合)、又はステップS310において吸気弁の作用角が大作用角側に変更された後、図4のルーチンと同様に、ステップS202〜S214の処理が実行される。
以上説明したように、実施の形態3によれば、強制パージ制御において吸気負圧が不足すると判断される場合に、吸気弁の作用角を大きくすることができる。これにより吸気負圧が不足していると予想される場合にも吸気負圧を十分に確保することができ、より効率的に強制パージを実行することができる。
なお、図8のルーチンにおいて、ステップS308の処理が実行されることにより、この発明の「吸気弁制御手段」が実現する。
実施の形態4.
実施の形態4のシステムは、図1のシステムと同様の構成を有している。実施の形態4のシステムは、強制パージ制御の実行中に内燃機関2に高負荷要求が出された場合、即ち、走行が開始した場合や、ニュートラルレンジからドライブレンジに変化した際の処理が異なる点を除き、実施の形態1のシステムと同様の制御を行なう。
強制パージ制御中に、高負荷要求が出された際、即時に強制パージ制御を中止すると、パージガスの急激な減少によりリーン失火が発生する場合がある。従って、高負荷要求により強制パージ制御を終了する場合、以下の処理を行なう。
(1)負荷増加によって吸気負圧がパージ終了基準負圧以下になった後、強制パージを終了する。
(2)強制パージ終了から、排気空燃比を空燃比センサ44によって取得し、排気空燃比が所定の基準空燃比以上のリーンとなった場合に、燃料噴射量を増加してリーン失火を防止する。
図9は、この発明の実施の形態4において制御装置が実行する制御のルーチンである。図9のルーチンは、図3のルーチンに替えて一定期間ごとに繰り返し実行されるルーチンであり、ステップS102とS104との間の、ステップS402とそれに続くステップS404〜S420の処理を有する点を除き、図3のルーチンと同じものである。
図9のルーチンでは、ステップS102において、パージ実行フラグ=ONの成立が認められると、次に、要求負荷が基準負荷より大きいか否かが判別される(S402)。要求負荷>基準負荷の成立が認められない場合には、図3同様のステップS104以降の処理に続く。
一方、ステップS402において、要求負荷>基準負荷の成立が認められると、次に、吸気負圧Pboostが取得される(S404)。吸気負圧は、圧力センサ12の出力に応じて取得される。次に、排気空燃比AEEが取得される(S406)。排気空燃比は、排気通路6に設置された空燃比センサ44の出力に応じて取得される。
次に、吸気負圧Pboostが終了基準負圧よりも小さいか否かが判別される(S408)。吸気負圧Pboost<終了基準負圧の成立が認められない場合、即ち、吸気負圧がパージ終了基準負圧より強いことが認められない場合、吸気弁の作用角が大きく設定され(S410)、今回の処理は一旦終了する。
一方、ステップS408において吸気負圧Pboost<終了基準負圧の成立が認められると、排気空燃比AEEが基準空燃比より大きいか否かが判別される(S412)。ここで、排気空燃比AEE>基準空燃比の成立が認められる場合、排気空燃比がリーン失火を起こし易い程にリーンであると判別される。
従って、ステップS412において排気空燃比AEE>基準空燃比の成立が認められた場合、燃料噴射量が増量される(S414)。ここでの増量分は、予め制御装置50に記憶されている。その後、今回の処理は一旦終了する。
一方、ステップS412において排気空燃比AEE>基準空燃比の成立が認められると、その後、パージ処理中フラグがOFFとされ(S416)る。次に、キャニスタパージが終了される(S420)。ここでは、上述のように電磁弁32が開放され、電磁弁38が閉弁される。その後、今回の処理が終了する。
以上説明したように、この実施の形態4によれば、強制パージ制御中に高負荷要求が出され強制パージを終了する際、リーン失火の発生を抑制することができる。
なお、図9のルーチンにおいて、ステップS404の処理が実行されることにより、この発明の「圧力検出手段」が実現し、ステップS408の処理が実行されることにより、「負圧判別手段」が実現する。
実施の形態5.
実施の形態5のシステムは、図1と同様の構成を有している。実施の形態5のシステムでは、キャニスタ30へのパージ量が少なくなると予測される場合に、キャニスタ30の強制パージの実行を禁止する制御を行なう点を除き、実施の形態1のシステムと同様の制御を行なう。
強制パージ制御において、キャニスタ30へのパージ量が少ない場合、リーン失火が発生する場合がある。このため、キャニスタ30の吸着量を推定し、吸着量が少なく、リーン失火を起こす可能性があると考えられる場合に、強制パージ制御を禁止する処理を行なう。
より具体的には、強制パージ制御においてリーン失火を起こさない(あるいは、許容できる範囲内で起こす)と考えられる範囲を、実験等により予め求める。この範囲の最低値を、強制パージを禁止するか否かの基準となる基準パージ量として設定し用いる。実際の制御においては、制御装置50に基準パージ量として予め記憶しておき、推定吸着量が基準パージ量を下回った場合に、強制パージ制御を禁止する処理を行なう。
図10は、この発明の実施の形態5において制御装置が実行する制御のルーチンについて説明するためのフローチャートである。図10に示すルーチンは、図3のルーチンに替えて実行されるルーチンである。図10のルーチンは、ステップS104の処理とS106の処理との間に、S502及びS504の処理を有する点においてのみ、図3のルーチンと異なるものである。
図10のルーチンにおいて、S104においてパージ処理中フラグ=ONの成立が認められない場合、パージ実行フラグ=ONであるが、パージ処理がまだ開始されていない状態であると判断される。この場合、次に、キャニスタ30の推定吸着量Qcaniが取得される(S502)。
次に、推定吸着量Qcaniが、基準パージ量より大きいか否かが判別される(S504)。基準パージ量は予め制御装置50に記憶されている。ステップS504において、推定吸着量Qcani>基準パージ量の成立が認められない場合には、キャニスタパージは開始されず、このまま今回の処理を終了する。
一方、ステップS504において、推定吸着量Qcani>基準パージ量の成立が認められると、図3のルーチン同様に、キャニスタパージが開始され、続くステップS108〜S120の処理が行なわれる。
以上説明したように、実施の形態5によれば、キャニスタ30のパージ量が少ない場合に、強制パージ制御が禁止される。これにより、強制パージにおけるリーン失火を防止することができ、ドライバビリティの向上を図ることができる。
実施の形態6.
実施の形態6のシステムは、図1のシステムと同様の構成を有する。但し、図6のシステムは、内燃機関2が例えばFFV(Flexible Fuel Vehicle)に搭載されて用いられ、広範囲に渡る濃度のアルコールを燃料の使用を前提とする。
FFVにおいては、燃料のアルコールが高濃度である場合、排気温度が特に低くなる。そのため、触媒42の温度は高温になり難く、ガソリン燃料の場合に比較して触媒42は失活しやすい状態となる。従って、高濃度アルコールの場合に強制パージ制御の実行頻度を高める。
ここで、上述したように、キャニスタ30への燃料吸着は、燃料成分のうち、主として低沸点成分で構成される。このため燃焼による水の排出量が抑えられるため、排気温度が昇温しやすい。従って、アルコール濃度が高い場合には、強制パージ制御を頻繁に実施することで、高濃度アルコール燃料を用いる場合にも触媒42の失活を効率的に防止することができる。
具体的な制御においては、燃料が高濃度アルコールである場合、強制パージ制御を実行するか否かの判断の基準となる基準アイドル時間Tref_alcが短くなるように設定する。基準アイドル時間Tref_alcは、その範囲であれば、アイドル運転を継続しても触媒42が失活しない範囲の最長の時間であり、アルコール濃度に応じた値として予め実験等により求められ、制御装置50にマップ等として記憶しておく。
図11は、この発明の実施の形態6において制御装置が実行する制御のルーチンについて説明するためのフローチャートである。図11に示すルーチンは、図2のルーチンに替えて、強制パージ実行フラグの算出の際に実行されるルーチンである。図11のルーチンは、図2のS12とS14との間のステップS602〜S604及び、ステップS18の後のステップS606の処理を有する点においてのみ、図2のルーチンと異なるものである。
図11に示すルーチンでは、ステップS12においてアイドル判定フラグ=ONであることが認められると、次に、燃料のアルコール濃度が検出される(S602)。アルコール濃度は、通路に設置された濃度センサ24の出力に応じて検出される。
次に、基準アイドル時間Tref_alcが算出される(S604)。基準アイドル時間Tref_alcは、アルコール濃度に応じて、制御装置50に記憶されたマップ等に従って演算される。
その後のステップS16におけるアイドル運転の継続時間の判別では、算出された基準アイドル時間Tref_alcが用いられる。即ち、ステップS16においては、アイドル積算時間Tidle>基準アイドル時間Tref_alcの成立が認められるか否かが判別される。
ステップS16においてアイドル積算時間Tidle>基準アイドル時間Tref_alcの成立が認められると、図2のルーチン同様に触媒42の推定床温の取得される(S18)。その後、実施の形態6では、算出された推定床温度が補正される(S606)。ここでは、触媒42の推定床温はアルコール濃度によって変化し、アルコール濃度が高くなる程、推定床温は低くなるよう補正される。なお、触媒推定温度とアルコール濃度との関係は予め実験等に応じてマップとして定められ制御装置50に記憶されている。ここでは、このマップに従って、補正値が求められて、触媒推定温度が補正される。
次に、補正後の推定床温<基準温度の成否が判別され(S20)、この成立が認められない場合には、今回の処理はそのまま終了する。一方、補正推定床温<基準温度の成立が認められると、次に、強制パージ実行フラグ=ONとされ(S22)、その後、今回の処理が終了する。
以上説明したように、実施の形態6においては、燃料のアルコール濃度に応じて強制パージの実行を判断する基準となる基準アイドル時間Tref_alcを設定する。これにより、アルコール濃度が高く、触媒42が失活を起こし易いような場合には、基準アイドル時間Tref_alcを小さくすることで、強制パージ制御の実行頻度を多くすることができる。従って、アルコール濃度が高く触媒42が低温となりやすい場合にも、触媒42の失活をより確実に防止することができる。
また、実施の形態6では、推定床温をアルコール濃度に応じて補正することができる。従って、より正確に触媒温度を推定して必要な場合に強制パージを実行することができる。
なお、実施の形態6では、アイドル積算時間の判別と推定床温の判別とを共に行ない、アイドル積算時間が基準アイドル時間より長く、かつ、推定床温が基準温度より高くなった場合に強制パージ実行フラグをONとする場合について説明した。しかし、この発明においてはこれに限るものではなく、アイドル積算時間の判別及び推定床温の判別のいずれか一方のみを行ない、いずれかを満たした場合に、パージ実行フラグをONとするものであってもよい。
なお、図11のルーチンにおいて、ステップS602が実行されることにより、この発明の「アルコール濃度検出手段」が実現し、ステップS604が実行されることにより「基準時間設定手段」が実現する。
実施の形態7.
実施の形態7のシステムは、実施の形態1のシステムと同様の構成を有している。ただし、実施の形態7においても、高濃度アルコール燃料を使用できることを前提としている。高濃度アルコール燃料を用いる場合、ガソリンと比較して、遅角の限界やリーン限界が向上する。これは、燃料の蒸留特性がほぼ一定であり、ガソリンのように高沸点成分が含まれていないことに起因する。
そこで、この実施の形態7のシステムにおいて、強制パージ実行中は、アルコール燃料の濃度に応じて点火時期を遅角すると共に、目標空燃比をリーン側に遅角する。これにより触媒42に投入されるエネルギーが増加し、強制パージ時間を短縮することができる。
図12は、実施の形態7におけるアルコール濃度と点火時期遅角量又は目標空燃比(A/F)との関係を説明するための図である。図12に示されるように、実施の形態7においては、アルコール濃度が高くなる程、点火時期遅角量を大きくし、目標空燃比をリーン側に設定するようにする。このシステムにおいて、制御装置50は、アルコール濃度をパラメータとする点火時期遅角量、目標A/Fを予め関数やマップとして記憶している。これにより、アルコール濃度に応じた値が設定される。
図13は、この発明の実施の形態7のシステムにおいて制御装置が実行する制御のルーチンについて説明するためのフローチャートである。図13に示すルーチンは、強制パージの際に、図4に替えて実行されるルーチンである。図13のルーチンは、図4のステップS204とS206との間に、ステップS702〜S704の処理を有する点を除き、図4のルーチンと同じものである。
具体的に、図13のルーチンでは、S204において推定パージ量に応じた点火時期遅角量が算出された後、燃料のアルコール濃度が検出される(S702)。次に、アルコール濃度に応じた点火時期遅角補正量が算出される(S704)。ここで、点火時期遅角補正量は、アルコール濃度に応じて制御装置50が記憶する関数又はマップに従って演算される。次に、目標空燃比補正量が算出される(S706)。ここでは、アルコール濃度に応じて、制御装置50が記憶する関数等に従って演算される。その後は、図4のステップS206〜S214の処理が同様実行される。
以上説明したように、この実施の形態においては、アルコール濃度に応じて、強制パージ中の点火時期遅角量、目標空燃比が設置される。これにより、アルコール濃度に応じて強制パージ時間を短縮することができ、回転数変動防止や、燃費改善を図ることができる。
実施の形態8.
実施の形態8におけるシステムは図1と同様の構成を有している。実施の形態8のシステムは、実施の形態1〜7に説明する強制パージ制御を行なうと共に、以下のように通常パージにおける制御を行なう。
上述したように、燃料として高濃度アルコールを用いる場合、その排気温度は低いものとなる。従って、触媒温度を高めるための強制パージ制御においては、キャニスタ30からの吸着燃料への依存度が高くなる。即ち、強制パージ制御において、キャニスタ30からのパージ量がある程度確保されることが望まれる。そこで、実施の形態8においては、アルコール濃度に応じて、通常運転時のキャニスタ30のパージ量を制限し、強制パージの際に必要な吸着量を確保できるようにする。これによりアルコール濃度が高い場合であっても、強制パージによる触媒活性化促進を図ることができる。
図14は、この発明の実施の形態8において制御装置が実行する制御のルーチンを説明するためのフローチャートである。図14のルーチンは、図2のルーチンに替えて一定期間ごとに繰り返し実行されるルーチンである。図14のルーチンは、ステップS802〜S812の処理を有する点を除き、図2のルーチンと同じものである。
ステップS802〜S812の処理は、ステップS12において、アイドル判定フラグ=ONが成立しないことが認められた場合、即ち、アイドル運転状態でないと認められた場合に行なわれる処理である。具体的に、図14のルーチンにおいて、アイドル判定フラグ=ONの成立が認められず、強制パージフラグ=OFF、アイドル積算時間Tidle=0とされた後(S12、S24、S26)、まず、燃料のアルコール濃度が取得される(S802)。アルコール濃度は通路に設置された濃度センサ24の出力に応じて検出される。
次に、検出されたアルコール濃度が基準濃度以上であるか否かが判別される(S804)。ここで、基準濃度は、制御装置50に判断の基準値として記憶された値であり、通常運転中に、強制パージにおける吸着燃料量を確保する必要があるアルコール濃度範囲の最低値である。ステップS804において、アルコール濃度>基準濃度の成立が認められない場合には、通常パージ中にキャニスタ30の吸着量を確保する必要はないと判断され、通常パージが許可される状態とされ(S906)、今回の処理が終了する。
一方、ステップS804において、アルコール濃度>基準濃度の成立が認められると、次に、キャニスタ30の推定吸着量Qcaniが推定される(S808)。次に、推定吸着量Qcaniが、基準吸着量より小さいか否かが判別される(S810)。基準吸着量は、強制パージ制御が実行された場合にパージ量が不足すると予測される範囲の吸着量の最大値である。基準吸着量は、強制パージ制御のための吸着量確保のため、通常パージの禁止が必要か否かを判別するための判定値であり、制御装置50に予め記憶されている。
ステップS810において、推定吸着量Qcani<基準吸着量の成立が認められない場合、通常パージが許可される状態とされて(S806)、今回の処理が終了する。一方、ステップS810において、推定吸着量Qcani<基準吸着量の成立が認められると、次に、通常パージが禁止される状態とする処理がなされ(S812)、今回の処理が終了する。
以上説明したように、この実施の形態によれば、アルコール濃度の燃料が高く、強制パージにおける触媒の活性化において、キャニスタ30の吸着燃料への依存度が高くなる場合に、通常パージを制限して、強制パージ用の吸着燃料を確保することができる。
なお、図14のルーチンにおいて、ステップS802が実行されることにより、この発明の「アルコール濃度検出手段」が実現し、ステップS804が実行されることにより「濃度判別手段」が実現し、ステップS808が実行されることにより「吸着量検出手段」が実現し、ステップS810が実行されることにより「吸着量判別手段」が実現し、ステップS812が実行されることにより「パージ処理禁止手段」が実現する。
実施の形態9.
実施の形態9のシステムは、図1のシステムと同様の構成を有している。実施の形態9のシステムにおいては、燃料のアルコール濃度が100%に近い濃度である場合の処理を行なう。
燃料のアルコール濃度が100%に近く、ガソリン成分が少ない場合、キャニスタ30に吸着する燃料量はごく僅かなものとなる。このため、強制パージを実行すると、燃料が供給されず、あるいは供給されても極僅かであるため、リーン失火が発生する場合がある。そこで、燃料濃度が例えば95%以上の高濃度であると判別された場合、強制パージの実行を禁止する。これにより、強制パージによるリーン失火を防止することができる。
図15は、この発明の実施の形態9において制御装置が実行する制御のルーチンについて説明するためのフローチャートである。図15のルーチンは、図2のルーチンに替えて一定期間ごとに繰り返し実行されるルーチンである。図15のルーチンは、ステップS12の前に、ステップS902、S904の処理を有する点を除いて、図2のルーチンと同じものである。
図15のルーチンにおいては、まず、燃料のアルコール濃度が検出される(S902)。アルコール濃度は、燃料供給路20に設けられた濃度センサ24の出力に応じて制御装置50により検出される。次に、検出されたアルコール濃度が基準高濃度より小さいか否かが判別される(S904)。ステップS904においてアルコール濃度<基準高濃度の成立が認められた場合、図2と同様に、ステップS12〜S26の処理が進められる。
一方、ステップS904においてアルコール濃度<基準高濃度の成立が認められない場合、ステップS24に進み、強制パージ実行フラグ=OFFとされる。これにより、アルコール濃度が基準高濃度より高い場合に、強制パージが実行されないようにすることができる。
なお、以上の実施の形態において各要素の個数、数量、量、範囲等の数に言及した場合、特に明示した場合や原理的に明らかにその数に特定される場合を除いて、その言及した数に限定されるものではない。また、実施の形態において説明する構造や、方法におけるステップ等は、特に明示した場合や明らかに原理的にそれに特定される場合を除いて、この発明に必ずしも必須のものではない。