JP2016164209A - 放熱部材、およびそれを備えた放熱装置 - Google Patents

放熱部材、およびそれを備えた放熱装置 Download PDF

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匠 野村
悠嗣 小嶌
Yuji Kojima
悠嗣 小嶌
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Abstract

【課題】シリコーン系ポッティング材と接した状態でも、シリコーンオイルのポッティング材への移行を防ぐことができる、優れた放熱特性を有する放熱部材を提供する。
【解決手段】放熱部材は、フッ素樹脂、および熱伝導性フィラーを含む多孔質母材と、多孔質母材の孔内に含まれるシリコーンオイルとを含む。また、シリコーンオイルは、分子量が2×104以上である高分子量成分を97質量%以上含む。
【選択図】なし

Description

本発明は、放熱部材に関し、特にシリコーン系ポッティング材と併用での使用に好適な放熱部材に関する。本発明はまた、当該放熱部材を備えた放熱装置に関する。
近年、環境対応の観点からハイブリッド自動車や電気自動車の開発が進んでいる。このような車両の駆動系には、モータが用いられており、当該モータの高出力化が求められている。モータの高出力化のためには、出力向上に伴う発熱量増加に対応するための冷却性能の向上が課題となる。
モータの冷却性能向上の手段として、例えば、特許文献1には、フッ素樹脂、および熱伝導性フィラーを含む多孔質母材にオイルを含浸させた放熱部材が提案されている。特に絶縁性が重視される用途では、上記の含浸オイルとして、シリコーンオイルを用いることが最適である。
特開2012−211301号公報
しかしながら、特許文献1に記載の放熱部材は、シリコーン系ポッティング材と接する状態で使用すると、含浸剤であるシリコーンオイルの低分子量成分がポッティング材に移行してしまうといった課題を有していた。シリコーンオイルがポッティング材に移行すると、放熱部材に空隙が発生して熱抵抗が増加し、その結果放熱特性が低下する不具合が生じる。
そこで本発明は、シリコーン系ポッティング材と接する状態で使用した場合でも、シリコーンオイルのポッティング材への移行を防ぐことができる、優れた放熱特性を有する放熱部材を提供することを目的とする。
本発明の放熱部材は、
フッ素樹脂、および熱伝導性フィラーを含む多孔質母材と、
前記多孔質母材の孔内に含まれるシリコーンオイルと
を含む放熱部材であって、
前記シリコーンオイルは、分子量が2×104以上である高分子量成分を97質量%以上含む。
本発明は、
熱を発生する発熱体と、
前記発熱体から発生した熱を放熱する冷却部材と、
前記発熱体と前記冷却部材との間に配置された、上記本発明の放熱部材と、
少なくとも前記放熱部材を覆い、かつ前記放熱部材、前記発熱体、および前記冷却部材を外部環境から保護する保護樹脂と
を備え、
前記放熱部材と前記保護樹脂との間に、前記放熱部材から染み出た前記シリコーンオイルが介在している放熱装置をさらに提供する。
本発明によれば、シリコーン系ポッティング材と接する状態で使用した場合でも、シリコーンオイルのポッティング材への移行を防ぐことができる、優れた放熱特性を有する放熱部材を提供することができる。さらに、本発明によれば、発熱体から発生した熱を効率良く放熱できる、優れた冷却性能を有する放熱装置も提供することができる。
真空高圧含浸装置を用いた含浸操作を説明するための概略断面図である。 本発明の一実施形態に係る放熱装置の概略断面図である。
以下、本発明の実施形態について説明する。なお、以下の記載は本発明を限定するものではない。
本実施形態の放熱部材は、フッ素樹脂、および熱伝導性フィラーを含む多孔質母材と、当該多孔質母材の孔内に含まれるシリコーンオイルとを含む。さらに前記シリコーンオイルは、分子量が2×104以上である高分子量成分を97質量%以上含む。
本実施形態の放熱部材は、フッ素樹脂を含む多孔質母材の孔内にシリコーンオイルを含むことにより、高い放熱特性および絶縁特性が付与されている。
フッ素樹脂は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)を含む。フッ素樹脂がPTFEを含むことにより、熱伝導性フィラーを高い含有率で含む多孔質母材を作製することが容易となる。フッ素樹脂は、本発明の効果を阻害しない範囲で、PTFE以外のフッ素樹脂を含んでいてもよい。PTFE以外のフッ素樹脂としては、溶融性フッ素樹脂が挙げられる。フッ素樹脂が、溶融性フッ素樹脂を含む場合には、熱伝導性フィラーを高い含有率で含む多孔質母材を作製することがより容易となり、例えば、フッ素樹脂および熱伝導性フィラーを含む材料をシート化するのが容易となる。当該溶融性フッ素樹脂としては、ペルフルオロアルコキシフッ素樹脂(PFA)、および四フッ化エチレン−六フッ化プロピレン共重合体(FEP)からなる群より選ばれる少なくとも1種を用いることが好ましい。なお、PFAおよびFEPには融点が異なる様々な製品が存在するが、多孔質母材への加工方法およびその加工条件に応じて適宜選択すればよい。
フッ素樹脂に占める溶融性フッ素樹脂の割合に関し、下限については、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上であり、上限については、好ましくは70質量%以下、より好ましくは50質量%以下、さらに好ましくは30質量%以下である。
本実施形態の放熱部材では、熱伝導性フィラーによって高い放熱特性が付与される。ここで、熱伝導性フィラーとは、熱伝導率が1W/mK以上、好ましくは100W/mK以上のフィラーのことをいう。熱伝導性フィラーは、放熱部材の用途に合わせてその種類を適宜選択すればよい。例えば、放熱部材に高い絶縁性を付与したい場合には、体積抵抗率が1014Ω・cm以上の絶縁性フィラーを用いればよく、好適には、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、アルミナ、窒化珪素、および酸化マグネシウムからなる群より選ばれる少なくとも1種の絶縁性フィラーが用いられる。ハイブリッド車用モータ、発電機内などにおいては高電圧であり大きな過渡電流が発生するような部位があり、絶縁性フィラーを用いて高い絶縁性が付与された放熱部材は、このような部位での使用に有利である。
熱伝導性フィラーの形状は、特に限定されず、球状および非球状のフィラーを用いることができ、圧延によって面内方向に整列させることによって熱伝導異方性を付与することができることから、平板状および鱗片状が好ましい。また、同様の理由から、熱伝導性フィラー自体が熱伝導異方性を有している方が好ましい。また、厚み方向の放熱特性を向上させる場合には、各社から販売されている凝集形状の熱伝導性フィラーを用いてもよい。
熱伝導性フィラーは、脱落することなくフッ素樹脂マトリックスに担持され、かつ、得られる放熱部材に十分な放熱特性を付与することができればよいため、その粒径は特には限定されないが、例えば粒径0.2〜500μmのものが好ましく、0.2〜50μmのものがより好ましい。ただし、熱伝導性フィラーは、放熱部材の放熱特性を向上させるためには、粒径が大きい方が好ましい。これは、熱伝導性フィラーの含有量が同じであっても、粒径が大きい方が界面の数が少なくなり、熱伝導率を高くできるためである。なお、ここでの粒径とは、レーザ回折・散乱式粒子径・粒度分布測定装置(例、日機装株式会社製「マイクロトラック」)によって測定される値のことである。
熱伝導性フィラーの含有量は、多孔質母材の全質量に対し、50〜95質量%の範囲にあることが好ましく、70〜90質量%の範囲にあることがより好ましく、80〜90質量%の範囲にあることがさらに好ましい。フッ素樹脂の含有率は、多孔質母材の全質量に対し、5〜50質量%の範囲にあることが好ましく、10〜30質量%の範囲にあることがより好ましく、10〜20質量%の範囲にあることがさらに好ましい。
多孔質母材は、フッ素樹脂、および熱伝導性フィラー以外の成分を含んでいてもよい。このような成分としては、フッ素樹脂以外の樹脂などが挙げられ、当該樹脂としては、例えば、一般的に用いられている、熱可塑性樹脂および熱硬化性樹脂を用いることができる。当該成分の含有量は、多孔質母材の全質量に対し、10質量%以下であることが好ましい。
本実施形態に用いられる母材では、フッ素樹脂マトリックス内に熱伝導性フィラーが分散しており、この母材は、多孔質構造を有する。母材の有する多孔質構造については特に制限はない。多孔質構造は、例えば、後述のように、フッ素樹脂、熱伝導性フィラーおよび揮発性材料(成形助剤)を含む成形体を作製し、揮発性材料を除去することによって得ることができる。
本実施形態の放熱部材は、シリコーンオイルが多孔質母材の孔内に入り込んでいる。多孔質母材の孔内の空気がシリコーンオイルにより置換されることにより、多孔質母材単体よりも高い放熱特性および絶縁特性が得られる。
シリコーンオイルは、空気よりも熱伝導率が高いものである限り特に制限なく用いることができるが、分子量が2×104以上である高分子量成分を97質量%以上含むことが必要である。シリコーンオイルが、分子量が2×104以上である高分子量成分からなるものであってもよい。
シリコーンオイルを含む放熱部材が、シリコーン系ポッティング材と接すると、シリコーンオイルの低分子量成分がポッティング材に移行する場合がある。本実施形態の放熱部材では、シリコーンオイルに含まれる分子量が2×104以上である高分子量成分が97質量%以上であることにより、シリコーンオイルのポッティング材への移行を防ぐことができ、その結果、放熱部材における空隙の発生が抑制される。これにより、本実施形態の放熱部材では、空隙の発生による熱抵抗の増加が抑制されて、優れた放熱特性の実現が可能となる。また、放熱部材に空隙が発生した場合、当該空隙での部分放電が発生することによって、絶縁性が低下する。本実施形態の放熱部材では、上記のように空隙の発生が抑制されるので、空隙に起因する絶縁性の低下も抑制できる。
シリコーンオイルは、分子量が2×104以上である高分子量成分を97質量%以上含んでいれば、特に限定されない。例えば、市販のシリコーンオイルを公知の分離手法で処理することによって得られた、上記の条件を満たすシリコーンオイルを使用してもよい。公知の分離手法としては特に、蒸留法を利用することで、容易かつ経済的に上記の条件を満たすシリコーンオイルを調製することができる。シリコーンオイルが、上記の条件を満たしていることで、シリコーンオイルのポッティング材への移行を防ぐことができる。
シリコーンオイルは、放熱部材の全質量に対し、1質量%以上含まれることが好ましく、より好ましくは1〜80質量%、さらに好ましくは5〜80質量%含まれる。
本実施形態の放熱部材の形状には特に制限はないが、ハンドリング性の高さから、シート状であることが好ましい。このとき、本発明の放熱部材の厚みは、例えば、0.05mm〜3mmの範囲であり、好ましくは、0.1mm〜1mmの範囲である。
本実施形態の放熱部材の製造方法は、公知のものを利用できるが、例えばPTFEを含むフッ素樹脂、熱伝導性フィラー、および成形助剤を含む複数のシート状成形体を重ね合わせて圧延して圧延積層シートを得る工程(1)、得られる圧延積層シートから成形助剤を除去して多孔質母材を得る工程(2)、および得られる多孔質母材にシリコーンオイルを含浸させる工程(3)を含む方法によって好適に製造される。
工程(1)で用いられるPTFEを含むフッ素樹脂、熱伝導性フィラー、および成形助剤を含む複数のシート状成形体は、PTFEを含むフッ素樹脂、熱伝導性フィラー、および成形助剤を混合して、ペースト状の混合物をまず作製し、これをシート状に成形することによって得ることができる。
PTFEを含むフッ素樹脂、熱伝導性フィラー、および成形助剤の混合は、PTFEの繊維化を極力抑制する条件で行うことが望ましい。具体的には、PTFEにせん断を加えないように混合装置の回転数を小さくし、混合時間を短くして、混錬せずに混合することが望ましい。材料を混合する段階でPTFEに繊維化がおこると、圧延する際に、既に形成したPTFEの繊維が切断されてPTFEの網目構造が破壊されてしまう可能性があり、シート形状を保つことが困難になる場合がある。
成形助剤には、例えばドデカンやデカンなどの飽和炭化水素を使用できる。成形助剤は、混合物の全質量に対して20〜55質量%となるように添加すればよい。
これらの混合物を、押出成形、ロール成形等により成形することにより、シート状成形体を得ることができる。シート状成形体の厚みは、例えば0.5〜5mmである。このようなシート状成形体を複数枚準備する。
続いて、これら複数のシート状成形体を重ね合わせ(積層し)、圧延して圧延積層シートを得る。用いるシート状成形体の枚数は、2枚以上であれば特に限定はなく、多孔質母材となる最終的な圧延積層シートを構成するシート状成形体の層の数を考慮して適宜決定すればよく、例えば、2〜10枚程度とする。このように当該製造方法は、積層体の圧延を含むが、この積層および圧延によって、シート強度を向上させるとともに、熱伝導性フィラーをフッ素樹脂マトリックスへ強固に固定することができ、熱伝導性フィラーの配合率が高く、かつ可撓性のあるシートを作製することができる。
当該製造方法においては、当該工程(1)の後に、シート状成形体の圧延積層シートを複数重ね合わせて圧延する、または、シート状成形体の少なくとも1枚の圧延積層シートとフッ素樹脂、熱伝導性フィラーおよび成形助剤を含む少なくとも1枚のシート状成形体を重ね合わせて圧延する工程(1’)をさらに行うことが好ましい。この工程は、繰り返し行うことが好ましい。圧延初期(含まれるシート状成形体の層数が少ない段階)は、シートの強度が低く高倍率の圧延に耐えることが困難であるが、積層および圧延を繰り返すにしたがって圧延倍率は上がり、シート強度がより高くなり、また、熱伝導性フィラーがフッ素樹脂マトリックスへより強固に固定される。高い強度を実現するために、シート状成形体およびシート状成形体の圧延積層シートは、2枚ずつ圧延することが望ましい。
工程(1)および工程(1’)の実施形態の例を以下に説明する。まず、複数(例えば2〜10枚)のシート状成形体を準備する。次に、この複数のシート状成形体を積層し、この積層体を圧延して圧延積層シート(第1の圧延積層シート)を得る(工程(1))。このようにして得られる第1の圧延積層シートをさらに複数(例えば2〜10枚)準備して積層し、この積層体を圧延して、圧延積層シート(第2の圧延積層シート)を得る(工程(1’))。このようにして得られる第2の圧延積層シートをさらに複数(例えば2〜10枚)準備して積層し、この積層体を圧延して、圧延積層シート(第3の圧延積層シート)を得る(工程(1’)の繰り返し)。さらに、複数の第3の圧延積層シートを準備し、同様に積層および圧延を行い、目的とする多孔質母材となる圧延積層シートが含むシート状成形体の構成層数になるまで、工程(1’)を繰り返す。この実施態様では、シート状成形体の積層数が同じである圧延積層シート同士(第1の圧延積層シート同士、第2の圧延積層シート同士など)を重ね合わせて圧延している。別の実施態様では、工程(1’)で、シート状成形体の積層数が互いに異なる圧延積層シート同士を重ね合わせて圧延する。さらに別の実施態様では、工程(1’)で、圧延積層シートにシート状成形体を重ね合わせて圧延する。
工程(1’)を行う際には、圧延方向を変更することが好ましい。このとき、工程(1)の圧延方向と、工程(1’)の圧延方向が直交していることが好ましい。さらに、工程(1’)を繰り返す際にも、圧延方向を変更(特に90°変更)することが好ましい。このように方向を変えながら圧延することによって、PTFEのネットワークが縦横に伸び、シート強度のさらなる向上および熱伝導性フィラーのフッ素樹脂マトリックスへのより強固な固定が可能となる。
多孔質母材となる最終的な圧延積層シートの構成層数を、当該圧延積層シートに含まれるシート状成形体の層数で表すとき、構成層数は、例えば2〜5000層とすることができる。シート強度を向上させるためには、構成層数は200層以上が好ましい。一方、薄膜化(例えば1mm以下のシートとする)のためには、構成層数は1500層以下が好ましい。なお、構成層数を多くするほど、得られるシートの強度は高くなるが、界面剥離の可能性も高くなる。
以上のようにして、最終的に厚みが好ましくは0.05mm〜3mm程度の圧延積層シートを得る。
工程(2)は、使用する成形助剤に応じ、公知方法に従って実施することができる。例えば、圧延して得られるシートを加熱して、成形助剤を乾燥除去すればよい。これによって、多孔質母材が得られる。
工程(3)は、例えば、多孔質母材をシリコーンオイル中に浸漬することによって行うことができる。工程(3)は、多孔質母材にシリコーンオイルを短時間で高い含浸率で含浸させることが容易であることから、多孔質母材の孔内の空気を除去した後、多孔質母材をシリコーンオイル中に浸漬し、シリコーンオイルを加圧することによって行うことが好ましい。このような操作は、真空高圧含浸装置を用いて行うことができる。
真空高圧含浸装置を用いて含浸を行う場合の一例を図1に示す。真空高圧含浸装置1は、耐圧チャンバー2、試料カゴ4、容器6、および昇降ユニット7を有している(図1(a))。まず、試料カゴ4に多孔質母材3、および容器6にシリコーンオイル5を入れ、真空高圧含浸装置1を減圧する。減圧することによって、耐圧チャンバー2内の空気が除去され、多孔質母材3の孔内の空気が除去される。続いて、昇降ユニット7を降下させることにより、試料カゴ4を容器6内に投入し、多孔質母材3をシリコーンオイル5中に浸漬する(図1(b))。浸漬後、真空高圧含浸装置1に圧縮空気を送り込み、耐圧チャンバー2内を加圧する。これによりシリコーンオイルが加圧されて、シリコーンオイル5の多孔質母材3への含浸が促進される。その後、昇降ユニット7を上昇させ、試料カゴ4から、シリコーンオイル5が含浸した多孔質母材3を取り出す。
工程(2)と工程(3)の間に、多孔質母材を加圧成形する工程(4)をさらに実施してもよい。工程(2)を実施した後の多孔質母材の気孔率は、通常、50〜80%程度であるが、工程(4)を実施することにより、多孔質母材の気孔率が40%以下にまで下がり、また、熱伝導性フィラー同士がより密に存在するようになり、放熱部材の熱抵抗をさらに小さくすることができる。
加圧成形は、例えば、温度320〜400℃、圧力0.05〜50MPaで1〜15分間、プレスすることにより行うことができる。
以上のようにして、本実施形態の放熱部材を得ることができるが、本実施形態の放熱部材の製造方法は上記に限られるものではない。
本実施形態の放熱部材は、優れた放熱特性を有する。例えば、25cm2・K/W以下の熱抵抗値を達成することができ、熱伝導性フィラーの種類および含有量を調節することによって、5cm2・K/W以下の熱抵抗値を達成することも可能である。
なお、本実施形態の放熱部材は、シリコーンオイルを含んでいるため、その保管時および流通時においては、酸素バリアフィルムによりパック包装されている形態とすることが好ましい。酸素バリアフィルムとしては、公知のものを用いることができ、放熱部材に含まれるシリコーンオイルに対する耐性を有するものを適宜選択すればよい。
本実施形態の放熱部材は、熱を発生する発熱体と、発熱体から発生した熱を放熱する冷却部材と、これらを外部環境から保護する保護樹脂と、を適宜組み合わせることで、放熱装置を構成することができる。
本実施形態の放熱装置の一例を図2に示す。本実施形態の放熱装置100は、発熱体110と、冷却部材120と、発熱体110と冷却部材120との間に配置された本実施形態の放熱部材130と、放熱部材130の少なくとも一部を覆う保護樹脂140とを備える。本実施形態の放熱装置100においては、放熱部材130と保護樹脂140との間に、放熱部材130から染み出た前記シリコーンオイル(図示せず)が介在している。
本実施形態の放熱装置100において、発熱体110は、例えば図2に示すように、発熱素子111がダイボンド材112を介してヒートシンク113に搭載され、固定された構成を有することができる。ここで、発熱素子111としては、例えばIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)などのパワー素子が用いられる。ダイボンド材112としては、例えばはんだやAgペーストなどが用いられる。また、ヒートシンク113は、例えばCuやFeなどの放熱性に優れた金属により形成されている。発熱体110は、図2に示すように、ヒートシンク113の1つの面(発熱素子111が搭載されている面と反対側の面)を露出させつつ、モールド樹脂150によって封止されていてもよい。モールド樹脂150としては、例えばエポキシ樹脂などが用いられる。
本実施形態の放熱装置100において、冷却部材120としては、例えばアルミニウムが用いられる。
本実施形態の放熱装置100において、保護樹脂140は、放熱部材130の少なくとも一部を覆うように設けられていれば、特に限定されない。例えば図2に示すように、保護樹脂140が、発熱体110、モールド樹脂150および冷却部材120と接していない放熱部材130の端面のみを覆うように設けられていてもよい。また、保護樹脂140は、放熱部材130、発熱体110および冷却部材120を外部環境から保護するように設けられていてもよい。
保護樹脂140には公知のものが使用できるが、耐熱性の観点からシリコーン系ポッティング材であることが好ましい。
本実施形態の放熱装置100には、保護樹脂140と放熱部材130との間に放熱部材130から染み出たシリコーンオイルが介在しているが、保護樹脂140としてシリコーン系ポッティング材を使用した場合でも、放熱部材130に含まれているシリコーンオイルのポッティング材への移行を防ぐことができる。これにより、放熱部材130に空隙が発生しにくいので、放熱部材130の優れた放熱特性が長期にわたって維持し得る。
(実施例1)
窒化ホウ素粉末(水島合金鉄株式会社製、品番「HP−40」)と、PTFE粉末(ダイキン工業社製、品番「F104U」)と、PFA粉末(三井・デュポンフロロケミカル株式会社製、品番「MP−10」)とを、質量比80:10:10の割合で混合した。この混合物100質量部に対してデカン60質量部をさらに加えて混練することによって、ペースト状の混合物を得た。材料の混合には、V型ミキサーを用い、回転数10rpm、温度約25℃の条件で1分間混合を行った。
このようにして得られたペースト状の混合物を圧延ロールで圧延することによって、厚みが3mmのシート状成形体を2枚形成した。次に、2枚の当該シート状成形体を重ねて圧延することによって、積層数が2である第1の積層シートを形成した。次に、第1の積層シートを切断して2つに分け、それらを重ね合わせて圧延することによって、積層数が4である第2の積層シートを形成した。これらの切断、重ね合わせ、および圧延という一連の工程を、圧延方向を90°変更しながら5回繰り返した。その積層シートを複数回圧延することによって、厚みが約0.5mmの圧延積層シートとした。
次に、得られた圧延積層シートを150℃で20分間加熱して、成形助剤を除去し、シート状多孔質母材を得た。
真空高圧含浸装置(ミカドテクノス株式会社製)の容器内にシリコーンオイルを加え、試料カゴに50mm角のシート状多孔質母材をセットした。真空高圧装置内を約0.0073MPaまで減圧し5分間保持した後、シート状多孔質母材をシリコーンオイルに浸漬した。真空高圧装置内に圧縮空気を送り込み、2.9MPaまで加圧し、5分間保持することによって、シリコーンオイルをシート状多孔質母材に含浸させ放熱部材を得た。
シリコーンオイルには、信越シリコーン社製シリコーンオイル(品番「KF-96H-1万cs」)を蒸留することで得られる、分子量が2×104以上である高分子量成分を97質量%含むシリコーンオイルを使用した。
放熱部材の特性を評価するために、得られた放熱部材の上に、シリコーン系ポッティング材(信越シリコーン社製、品番「KE−1842」)を5mm厚さにコーティングした状態で、175℃、10時間保持してポッティング材の硬化を行った。
(比較例1)
信越シリコーン社製シリコーンオイル(品番「KF-96-100cs」)を蒸留せず、分子量が2×104以上である高分子量成分を12質量%含むものをシリコーンオイルとして使用した以外は実施例1と同様の操作を行い、比較例1の評価用放熱部材を得た。
(熱抵抗)
硬化したポッティング材を剥離・除去し、熱抵抗を特開2012-211301と同様の方法により測定した。その際、放熱部材への加圧圧力は125kPaとした。
(絶縁破壊電圧:B.D.V)
硬化したポッティング材を剥離・除去し、JIS K 6245に準拠して求めた。
Figure 2016164209
以上の結果より、本発明の放熱部材は、シリコーン系ポッティング材と接する状態で使用した場合でも、優れた放熱特性および絶縁特性を有することが分かる。
本発明の放熱部材は、従来の放熱部材と同様の用途に使用でき、特にシリコーン系ポッティング材と併用される用途に好適である。
1 真空高圧含浸装置
2 耐圧チャンバー
3 多孔質母材
4 試料カゴ
5 シリコーンオイル
6 容器
7 昇降ユニット
100 放熱装置
110 発熱体
111 発熱素子
112 ダイボンド材
113 ヒートシンク
120 冷却部材
130 放熱部材
140 保護樹脂
150 モールド樹脂

Claims (5)

  1. フッ素樹脂、および熱伝導性フィラーを含む多孔質母材と、
    前記多孔質母材の孔内に含まれるシリコーンオイルと
    を含む放熱部材であって、
    前記シリコーンオイルは、分子量が2×104以上である高分子量成分を97質量%以上含む放熱部材。
  2. 前記フッ素樹脂が、ポリテトラフルオロエチレンを含む、請求項1に記載の放熱部材。
  3. 前記熱伝導性フィラーが、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、アルミナ、窒化珪素、および酸化マグネシウムからなる群より選ばれる少なくとも1種の絶縁性フィラーである、請求項1または2に記載の放熱部材。
  4. 熱を発生する発熱体と、
    前記発熱体から発生した熱を放熱する冷却部材と、
    前記発熱体と前記冷却部材との間に配置された、請求項1〜3のいずれか1項に記載の放熱部材と、
    前記放熱部材の少なくとも一部を覆う保護樹脂と
    を備え、
    前記放熱部材と前記保護樹脂との間に、前記放熱部材から染み出た前記シリコーンオイルが介在している放熱装置。
  5. 前記保護樹脂が、シリコーン系ポッティング材である、請求項4に記載の放熱装置。
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