JP2016162700A - 燃料電池用アノードおよび燃料電池単セル - Google Patents

燃料電池用アノードおよび燃料電池単セル Download PDF

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Abstract

【課題】燃料ガスが酸化剤ガス側へクロスリークし難い燃料電池用アノード、また、これを用いた燃料電池単セルを提供する。
【解決手段】燃料電池用アノード10は、支持体を兼ねるアノード1と固体電解質層2とカソード3とを有しており、アノード1の外周部がフレーム4によって支持される平板形の燃料電池単セル5に用いられる。燃料電池用アノード10は、アノード本体部11と、アノード本体部11の外周に形成された緻密化部12とを有している。緻密化部12は、アノード本体部11に比べ緻密に形成されている。
【選択図】図1

Description

本発明は、燃料電池用アノードおよび燃料電池単セルに関する。
従来、アノードと固体電解質層とカソードとを有しており、アノードを支持体とする平板形の燃料電池単セルが知られている。なお、本願に先行する特許文献1には、多孔性の基体管の外周面部分にガス透過性の低い緻密層が設けられており、この緻密層上にインタコネクタが設けられている円筒型の燃料電池単セルが開示されている。
特開平10−79259号公報
上述したアノード支持型の平板形の燃料電池単セルは、以下の点で改良の余地がある。すなわち、上記燃料電池単セルは、スタック化される際に、金属フレーム等のフレームによりアノードの外周部が支持される場合がある。この場合に、アノードの外周部とフレームとの間に形成される隙間は、アノードに供給される燃料ガスがカソード側へすり抜けないように、通常、ガラスシール等のシール部材により封止される。
しかしながら、アノードは、電極として機能するために多孔質である。さらに、アノード支持型の燃料電池単セルでは、アノードが支持体を兼ねるため、固体電解質層やカソード等に比べてアノードの厚みが十分に厚い。そのため、上記シール部材によるシール状態が悪いと、アノードの外周部において、孔部を通じて燃料ガスが酸化剤ガス側へクロスリークしやすいという問題がある。燃料ガスが酸化剤ガス側へクロスリークすると、燃料電池単セルにおける燃料利用率が低下し、信頼性も低下する。
本発明は、上記背景に鑑みてなされたものであり、燃料ガスが酸化剤ガス側へクロスリークし難い燃料電池用アノード、また、これを用いた燃料電池単セルを提供しようとするものである。
本発明の一態様は、支持体を兼ねるアノードと固体電解質層とカソードとを有しており、上記アノードの外周部がフレームによって支持される平板形の燃料電池単セルに用いられる燃料電池用アノードであって、
アノード本体部と、アノード本体部の外周に形成された緻密化部とを有しており、
該緻密化部は、上記アノード本体部に比べ緻密に形成されていることを特徴とする燃料電池用アノードにある。
本発明の他の態様は、支持体を兼ねるアノードと固体電解質層とカソードとを有しており、上記アノードの外周部がフレームによって支持される平板形の燃料電池単セルであって、
上記アノードとして、上記燃料電池用アノードが用いられていることを特徴とする燃料電池単セルにある。
上記燃料電池用アノードは、アノード本体部と、アノード本体部の外周に形成された緻密化部とを有している。そして、緻密化部は、アノード本体部に比べ緻密に形成されている。そのため、上記燃料電池用アノードに供給された燃料ガスは、ガス拡散抵抗の小さいアノード本体部内を優先的に流れ、ガス拡散抵抗の大きな緻密化部には流れ込み難い。それ故、上記燃料電池用アノードは、アノードの外周部におけるシール状態が悪い場合でも、燃料ガスが酸化剤ガス側へクロスリークし難い。
上記燃料電池単セルは、支持体を兼ねるアノードに、上記燃料電池用アノードが用いられている。そのため、上記燃料電池単セルは、アノードの外周部におけるシール状態が悪い場合でも、燃料ガスが酸化剤ガス側へクロスリークし難いため、燃料利用率、信頼性を向上させることができる。
実施例1の燃料電池用アノードおよび燃料電池単セルを模式的に示した断面図である。 実施例1の燃料電池用アノードを第1の面側から見た図である。 図2におけるIII−III断面図である。 図2におけるIV−IV断面図である。 実施例1の燃料電池用アノードの製造方法の一部を模式的に示した説明図である。 実施例2の燃料電池用アノードおよび燃料電池単セルを模式的に示した断面図である。
上記燃料電池用アノードは、電解質として固体電解質を利用する固体電解質型の燃料電池単セルにおけるアノードに適用される。固体電解質層を構成する固体電解質には、酸素イオン導電性を示す固体酸化物セラミックス等を用いることができる。なお、固体電解質として固体酸化物セラミックスを用いる燃料電池は、固体酸化物形燃料電池(SOFC)と称される。
上記燃料電池単セルは、アノードの外周部がフレームによって支持される。上記燃料電池単セルは、具体的には、アノードの外周部において、アノードの第2の面にてフレームにより支持される構成とすることができる。上記第2の面は、アノードにおける固体電解質層側の面を第1の面としたとき、当該第1の面の反対側にある面のことである。なお、上記燃料電池単セルにおいて、アノードの外周部とフレームとの間に形成された隙間は、ガラスシール等のシール部材によりシールされることができる。
上記燃料電池用アノードは、具体的には、例えば、所定の厚みを有する四角形状等の形状を有することができる。上記燃料電池用アノードにおいて、アノード本体部は、単層から構成されていてもよいし、複数層から構成されていてもよい。アノード本体部が複数層から構成される場合、アノード本体部は、具体的には、例えば、固体電解質層側に配置される活性層と、活性層における固体電解質層側と反対側に配置される拡散層とを備える構成等とすることができる。なお、活性層は、主に、アノード側における電気化学的反応を高めるための層である。また、拡散層は、供給される燃料ガスを拡散させることが可能な層である。拡散層は、1層または2層以上から構成することができる。
上記燃料電池用アノードにおいて、緻密化部は、アノード本体部の外周に連続して存在していてもよいし、アノード本体部の外周に不連続で存在していてもよい。好ましくは、前者であるとよい。燃料ガスが酸化剤ガス側へクロスリークするのを抑制しやすくなるためである。
上記燃料電池用アノードにおいて、アノード本体部は、具体的には、多孔質に形成されている。そして、緻密化部は、アノード本体部に比べ緻密に形成されている。なお、緻密化部がアノード本体部に比べ緻密であることは、走査型電子顕微鏡を用いた断面観察によって把握される。上記観察によって、緻密化部の気孔量がアノード本体部の気孔量よりも少ないことが明確に把握できる場合は、これをもって緻密化部がアノード本体部に比べ緻密であるといえる。上記にて判断がつかない場合、緻密化部がアノード本体部に比べ緻密であることは、緻密化部とアノード本体部とについて水銀圧入法による水銀の浸入量を測定することによって把握される。上記測定によって、緻密化部の水銀の浸入量がアノード本体部の水銀の浸入量よりも少ない場合は、これをもって緻密化部がアノード本体部に比べ緻密であるといえる。
上記燃料電池用アノードにおいて、アノード本体部の気孔率は、具体的には、支持体としての強度確保、ガス拡散性の向上等の観点から、20〜70%の範囲内とすることができる。アノード本体部の気孔率は、ガス拡散性の向上等の観点から、好ましくは25%以上、より好ましくは30%以上、さらに好ましくは35%以上とすることができる。アノード本体部の気孔率は、支持体としての強度確保等の観点から、好ましくは65%以下、より好ましくは60%以下、さらに好ましくは55%以下とすることができる。
アノード本体部が活性層と拡散層とを有する場合、活性層の気孔率は、具体的には、反応性の向上、ガス拡散性の向上等の観点から、5〜50%の範囲内とすることができる。活性層の気孔率は、ガス拡散性の向上等の観点から、好ましくは10%以上、より好ましくは15%以上、さらに好ましくは20%以上とすることができる。活性層の気孔率は、反応性の向上等の観点から、好ましくは45%以下、より好ましくは40%以下、さらに好ましくは30%以下とすることができる。また、拡散層の気孔率は、具体的には、支持体としての強度確保、ガス拡散性の向上等の観点から、30〜70%の範囲内とすることができる。拡散層の気孔率は、ガス拡散性の向上等の観点から、好ましくは40%以上、より好ましくは45%以上、さらに好ましくは50%以上とすることができる。拡散層の気孔率は、支持体としての強度確保等の観点から、好ましくは65%以下、より好ましくは60%以下、さらに好ましくは55%以下とすることができる。
緻密化部の気孔率は、具体的には、緻密化部の製造性、燃料ガスの不透過性を向上させる等の観点から、5〜30%の範囲内とすることができる。緻密化部の気孔率は、緻密化部の製造性等の観点から、好ましくは7%以上、より好ましくは10%以上、さらに好ましくは12%以上とすることができる。緻密化部の気孔率は、燃料ガスの不透過性を向上させる等の観点から、好ましくは25%以下、より好ましくは20%以下、さらに好ましくは15%以下とすることができる。
なお、上記燃料電池用アノードでは、緻密化部の気孔率<アノード本体部の気孔率、緻密化部の気孔率<活性層の気孔率<拡散層の気孔率の関係を満たすように気孔率を選択することができる。上記気孔率は、アルキメデス法にて見かけ密度と嵩密度とを算出し、{1−(嵩密度/見かけ密度)}×100にて算出した数値のことである。
上記燃料電池用アノードにおいて、緻密化部は、具体的には、例えば、固体電解質層側の第1の面側から第1の面と反対側の第2の面側にかけて、その領域が漸次大きくなるように形成されることができる。また、緻密化部は、具体的には、例えば、上記第1の面側から上記第2の面側にかけて、その領域が一定となるように形成されることもできる。前者の場合は、後者の場合に比べ、緻密化部の存在によって第1の面側の有効な反応点を失い難い。したがって、前者の場合には、有効な反応点を維持しつつ、燃料ガスが酸化剤ガス側へクロスリークし難くなる。
上記燃料電池用アノードにおいて、緻密化部は、具体的には、固体電解質層側の第1の面側から第1の面と反対側の第2の面側にかけて、アノード端面から離れるように傾斜する傾斜面部を有している構成とすることができる。
電池反応によってアノード側で生成した水に起因する水蒸気は、第2の面側に排出することが求められる。アノード内に滞留した水蒸気は、燃料ガスのガス拡散を妨げる。また、アノード内に滞留した水蒸気は、アノード材料と反応してアノードの微構造を変化させることがある。上記構成によれば、アノード内の水蒸気は、アノード外周部周辺では、傾斜面部に沿って第2の面側に流れやすい。そのため、この場合には、フレームによって水蒸気の排出が阻害され難くなり、水蒸気の排出が円滑に行われるようになる。
この際、傾斜面部と第2の面との間の傾斜角は、30°以上90°未満の範囲内とすることができる。なお、上記傾斜角は、より具体的には、傾斜面部が第2の面と交わる部位よりも外側に位置する第2の面部分と、傾斜面部とのなす角θをいう。
この場合には、上述した傾斜面部を有することによる作用効果を得やすくなる。また、緻密化部の形成性にも優れる。上記傾斜角は、クロスリークが抑制されやすくなる等の観点から、好ましくは35°以上、より好ましくは40°以上とすることができる。また、上記傾斜角は、第1の面側における反応点がより多く確保されやすくなる等の観点から、好ましくは80°以下、より好ましくは70°以下、さらに好ましくは60°以下、さらにより好ましくは50°以下とすることができる。
上記燃料電池用アノードにおいて、緻密化部は、具体的には、例えば、傾斜面部と第2の面とアノード端面とによって囲まれる領域より構成することができる。また、他にも、緻密化部は、具体的には、例えば、傾斜面部と第2の面と第1の面とアノード端面とによって囲まれる領域より構成することもできる。
これらのうち、好ましくは前者の構成であるとよい。この場合には、燃料ガスが酸化剤ガス側へクロスリークし難い燃料電池用アノードを得やすくなる。この際、傾斜面部における第1の面側の第1端縁は、より具体的には、第1の面とアノード端面とが交わる部分に接続されているとよい。この場合には、緻密化部の存在によって第1の面側の有効な反応点をより一層失い難くなる。
上記燃料電池用アノードにおいて、緻密化部は、具体的には、アノード端面から内部に向かって5mmまでの領域のいずれかに存在している構成とすることができる。
この場合には、燃料ガスが酸化剤ガス側へクロスリークし難い燃料電池用アノードを得やすくなる。緻密化部は、好ましくは、アノード端面から内部に向かって3mmまでの領域、より好ましくは、アノード端面から内部に向かって2mmまでの領域、さらに好ましくは、アノード端面から内部に向かって1mmまでの領域のいずれかに存在している構成とすることができる。
上記燃料電池用アノードにおいて、アノード本体部は、アノード材料より多孔質に形成されており、緻密化部は、アノード材料より多孔質に形成された多孔質部と、アノード材料と同質のアノード材料より形成されており、多孔質部の孔部内を満たす充填部とを有する構成とすることができる。
この場合には、アノード本体部に比べ緻密な緻密化部を比較的簡単に形成することができるので、緻密化部の形成性に優れた燃料電池アノードが得られる。また、充填部の材質が、アノード本体部、多孔質部を形成するアノード材料と同質のアノード材料であるため、アノード本体部および多孔質部と充填部との熱膨張差を小さくしやすい。そのため、この場合には、熱膨張差に起因する気孔が形成され難く、緻密化部における燃料ガスの不透過性を確保しやすくなる。
アノード本体部、多孔質部を形成するアノード材料と、充填部を形成するアノード材料とが同質であるとは、アノード本体部、多孔質部を形成するアノード材料と、充填部を形成するアノード材料とが同一である場合のみならず、上記作用効果が得られることにより、アノード本体部、多孔質部を形成するアノード材料と、充填部を形成するアノード材料と間の熱膨張差がほとんどないと評価できる場合も含まれる。より具体的には、例えば、後述するように、アノード本体部、多孔質部を形成するアノード材料が、触媒と固体電解質との混合物より構成される場合において、触媒と固体電解質との質量比が異なるアノード材料は、上記「同質」の範囲に含まれる。上記の場合において、触媒が金属であるアノード材料と、触媒がその金属の酸化物であるアノード材料とは、互いに「同質」である。上記の場合において、固体電解質の基本骨格が同じであるアノード材料同士は、互いに「同質」である。なお、例えば、Y、Sc等の固溶種が異なるZrO等からなる固体電解質同士は、基本骨格が同じ固体電解質であるとされる。また例えば、Y、Sc等の固溶種が同じであって、固溶量が異なるZrO等からなる固体電解質同士は、基本骨格が同じ固体電解質であるとされる。上記の場合において、触媒と固体電解質との混合物中に金属、金属酸化物等の添加物を含むアノード材料と添加物を含まないアノード材料とは、互いに「同質」である。上記の場合において、触媒と固体電解質との混合物中に互いに異なる添加物を含むアノード材料同士は、互いに「同質」である。これらに対し、上記の場合において、触媒単体、固体電解質単体、触媒と添加物とからなる混合物、固体電解質と添加物とからなる混合物は、上記「同質」の範囲に含まれない。
上記燃料電池用アノードにおいて、アノード本体部、多孔質部および充填部は、いずれもNiまたはNiOを含有しており、充填部のNiまたはNiO含有量は、アノード本体部および多孔質部のNiまたはNiO含有量よりも少ない構成とすることができる。
Ni、NiOは、燃料ガスに好適に用いられる水素との親和性が充分に大きく、他の金属に比べて安価であるので、アノード触媒として適当である。しかし、Ni成分は、酸化、還元雰囲気における体積変化が大きい。そのため、燃料電池用アノードがNi成分を含有する場合であっても、上記構成を採用することにより、酸化、還元雰囲気における充填部の体積変化が抑制され、緻密化部の構造安定性を向上させることができる。それ故、この場合には、反応活性が高く、燃料ガスが酸化剤ガス側へクロスリークし難い燃料電池用アノードを得やすくなる。
上記燃料電池用アノードにおいて、アノード本体部、多孔質部を構成するアノード材料、充填部を構成するアノード材料としては、具体的には、触媒と固体電解質との混合物を好適に用いることができる。この場合には、反応点の比較的少ない第2の面側における電池反応を抑制しやすく、第1の面側にて電池反応を生じさせやすい。なお、上記混合物は、金属や、金属酸化物等の金属化合物などの添加物を1種または2種以上含むことができる。
触媒としては、具体的には、例えば、Ni、NiO等を例示することができる。なお、NiOは、発電時の還元雰囲気でNiとなる。固体電解質としては、具体的には、例えば、Y、Sc、および、Yb等のランタノイド系酸化物から選択される1種または2種以上の酸化物が固溶されたZrO等の酸化ジルコニウム系酸化物;ランタンガレート系酸化物;CeO、CeOにGd、Sm、Y、La、Nd、Yb、Ca、Dr、および、Hoから選択される1種または2種以上の元素等がドープされたセリア系固溶体等の酸化セリウム系酸化物などを例示することができる。
添加物としては、具体的には、例えば、Mo、Mo化合物(MoO等のMo酸化物)、Co、Co化合物(CoO等のCo酸化物)、Zn、Zn化合物(ZnO等のZn酸化物)、Ag、Ag化合物(AgO等のAg酸化物)、Mn、Mn化合物(MnO、MnO等のMn酸化物)、Cu、Cu化合物(CuO、CuO等のCu酸化物)などを例示することができる。これらは1種または2種以上併用することができる。なお、上記混合物がこれらの添加物を含む場合には、燃料ガス中に含まれうる硫黄化合物によるNi、NiO等の触媒の被毒が抑制される。そのため、触媒の失活を抑制しやすい燃料電池用アノードが得られる。
アノード本体部、多孔質部を形成するアノード材料に好適に用いられる上記混合物は、より具体的には、触媒と固体電解質とを、例えば、質量比で、30/70〜70/30、好ましくは35/65〜65/35、好ましくは40/60〜60/40の範囲内で含有することができる。一方、充填部を形成するアノード材料に好適に用いられる上記混合物は、より具体的には、触媒と固体電解質とを、例えば、質量比で、好ましくは20/80〜80/20、好ましくは35/65〜65/35の範囲内で含有することができる。なお、充填部を形成するアノード材料は、アノード本体部、多孔質部を形成するアノード材料よりもNi、NiO等の触媒の量が少なくされているとよい。この場合には、触媒の体積収縮に起因して緻密化部に気孔が形成されるのを極力抑制しやすくなり、緻密化部の緻密安定性を向上させやすくなる。
上記燃料電池用アノードの厚みは、ガス拡散性の向上、支持体としての強度確保、電気抵抗の低減等の観点から、例えば、好ましくは、100〜800μm、より好ましくは、200〜700μmとすることができる。
アノード本体部が活性層と拡散層とを有する場合、活性層の厚みは、反応持続性、取り扱い性、加工性等の観点から、好ましくは10μm以上、より好ましくは15μm以上とすることができる。活性層の厚みは、電極反応抵抗の低減等の観点から、好ましくは25μm以下、より好ましくは20μm以下とすることができる。また、拡散層の厚みは、支持体としての強度確保等の観点から、好ましくは100μm以上、より好ましくは200μm以上、より好ましくは300μm以上とすることができる。拡散層の厚みは、ガス拡散性の向上等の観点から、好ましくは800μm以下、より好ましくは700μm以下とすることができる。
上記燃料電池用アノードは、例えば、以下の第1工程〜第3工程を経ることにより比較的簡易に製造することができる。但し、上記燃料電池用アノードの製造方法は、これに限定されない。
第1工程では、アノード材料より多孔質に形成されたアノード基板が準備される。なお、アノード基板は、単層から構成されていてもよいし、拡散層、活性層がこの順に積層されて構成されていてもよい。他にも、アノード基板は、基板片面に固体電解質層が積層されていてもよいし、基板片面に固体電解質層、中間層がこの順に積層されていてもよい。
第2工程では、アノード基板の外周部分における孔部内に、未焼成のアノードスラリーが含浸され、緻密化部前駆体が形成される。なお、未焼成のアノードスラリーは、焼成されることによって、上記アノード材料と同質のアノード材料になる。上記アノードスラリーの含浸には、ディッピング法等を好適に用いることができる。なお、ディッピング法を用いる場合、例えば、アノードスラリーの入った容器のスラリー面に、スラリー面の法線とアノード基板における固体電解質層側の面とのなす角が(90°−上記傾斜角θ)となるように傾斜させた状態で、アノード基板の外周部分をディッピングすることにより、傾斜角θを有する緻密化部を形成可能な緻密化部前駆体を形成することができる。また、余剰のアノードスラリーは、エアブロー等によって除去することができる。なお、上記ディッピング法等によるアノードスラリーの含浸は、所定の気孔率となるように繰り返し実施することができる。
第3工程では、緻密化部前駆体が形成されたアノード基板が焼成される。焼成温度は、具体的には、例えば、1300〜1450℃程度とすることができる。これにより、アノード材料より多孔質に形成された多孔質部と、アノード材料と同質のアノード材料より形成されており、多孔質部の孔部内を満たす充填部とを有する緻密化部が形成される。なお、アノード基板における緻密化部以外の部分は、アノード材料より多孔質に形成されたアノード本体部とされる。
上記燃料電池単セルは、具体的には、固体電解質層と、固体電解質層の第1の面側に設けられた上記燃料電池用アノードと、固体電解質層における第1の面の反対側にある第2の面側に設けられたカソードとを有する構成とすることができる。また、上記燃料電池単セルは、固体電解質層とカソードとの間に設けられた中間層を有することもできる。なお、中間層は、主に、カソードを構成する材料と固体電解質層を構成する材料との反応を防止するための層である。カソードおよび中間層は、1層または2層以上から構成することができる。
上記燃料電池単セルにおいて、各部位を構成する材料としては、具体的には、以下のものを例示することができる。
固体電解質層材料としては、例えば、イットリア安定化ジルコニア(YSZ)、スカンジア安定化ジルコニア(ScSZ)等の酸化ジルコニウム系酸化物;ランタンガレート系酸化物;CeO、CeOにGd、Sm、Y、La、Nd、Yb、Ca、Dr、および、Hoから選択される1種または2種以上の元素等がドープされたセリア系固溶体等の酸化セリウム系酸化物などを例示することができる。固体電解質層材料としては、強度、熱的安定性に優れる等の観点から、酸化ジルコニウム系酸化物を好適に用いることができる。酸化ジルコニウム系酸化物のうち、イオン伝導度、機械的安定性、他の材料との両立、空気雰囲気から燃料ガス雰囲気まで化学的に安定である等の観点から、イットリア安定化ジルコニアが好適である。固体電解質層の厚みは、オーミック抵抗の低減などの観点から、好ましくは3〜20μm、より好ましくは3〜10μmとすることができる。
カソード材料としては、例えば、ランタン−マンガン系酸化物、ランタン−コバルト系酸化物、ランタン−鉄系酸化物等の導電性を有するペロブスカイト型酸化物、ペロブスカイト型酸化物と、上記酸化ジルコニウム系酸化物、上記酸化セリウム系酸化物等の固体電解質との混合物などを例示することができる。上記ペロブスカイト型酸化物としては、具体的には、例えば、La1−xSrCo1−yFe系酸化物(x=0.4、y=0.8等)、La1−xSrCoO系酸化物(x=0.4等)、La1−xSrFeO系酸化物(x=0.4等)、La1−xSrMnO系酸化物(x=0.4等)、Sm1−xSrSrCoO系酸化物(x=0.5等)などを例示することができる。これらは、1種または2種以上併用することができる。カソードの厚みは、ガス拡散性、電極反応抵抗、集電性などの観点から、好ましくは20〜100μm、より好ましくは30〜60μmとすることができる。
中間層材料としては、上記酸化セリウム系酸化物などを例示することができる。中間層の厚みは、オーミック抵抗の低減、カソードからの元素拡散防止などの観点から、好ましくは1〜10μm、より好ましくは1〜5μmとすることができる。
なお、上述した各構成は、上述した各作用効果等を得るなどのために必要に応じて任意に組み合わせることができる。
以下、実施例の燃料電池用アノードおよび燃料電池単セルについて、図面を用いて説明する。なお、同一部材については同一の符号を用いて説明する。
(実施例1)
実施例1の燃料電池用アノードおよび燃料電池単セルについて、図1〜図5を用いて説明する。図1〜図4に示すように、本例の燃料電池用アノード10は、支持体を兼ねるアノード1と、固体電解質層2と、カソード3とを有しており、アノード1の外周部がフレーム4によって支持される平板形の燃料電池単セル5に用いられる。燃料電池用アノード10は、アノード本体部11と、アノード本体部11の外周に形成された緻密化部12とを有している。緻密化部12は、アノード本体部11に比べ緻密に形成されている。以下、これを詳説する。
本例では、燃料電池単セル5は、アノード1の外周部において、アノード1の第2の面102にてフレーム4により支持される。フレーム4は、具体的には、ステンレス鋼等の金属材料より形成されており、燃料電池単セル5におけるアノード1の外形よりも小さく形成された開口部40を有している。燃料電池単セルは、開口部40の外周縁部に、アノード1の第2の面102が当接するように配置される。なお、アノード1の外周部とフレーム4との間に形成された隙間60は、ガラスシール等のシール部材6によりシールされている。シール部材6は、具体的には、アノード端面103とフレーム4との間に形成された隙間60に配置されている。また、アノード1に供給される燃料ガスFは、水素や水蒸気、炭化水素等であり、カソード3に供給される酸化剤ガスOは、空気である。
本例において、燃料電池用アノード10は、所定の厚みを有する四角形状に形成されている。アノード本体部11は、固体電解質層2側に配置される活性層111と、活性層111における固体電解質層2側と反対側に配置される拡散層112とを備えている。
緻密化部12は、アノード本体部11の外周を取り囲むように連続して存在している。つまり、本例では、緻密化部12は、燃料電池用アノード10における4辺の外周部に形成されている。なお、活性層111、拡散層112および緻密化部12は、緻密化部12の気孔率<活性層111の気孔率<拡散層112の気孔率の関係を満たしている。
本例において、緻密化部12は、燃料電池用アノード10における固体電解質層2側の第1の面101側から第1の面101と反対側の第2の面102側にかけて、その領域が漸次大きくなるように形成されている。緻密化部12は、第1の面101側から第2の面102側にかけて、アノード端面103から離れるように傾斜する傾斜面部121を有している。緻密化部12は、傾斜面部121と第2の面102とアノード端面103とによって囲まれる領域より構成されている。なお、傾斜面部121と第2の面102との間の傾斜角θは、30°以上90未満の範囲内とされている。緻密化部12は、アノード端面103から内部に向かって5mmまでの領域内のいずれかに存在している。
本例において、アノード本体部11は、アノード材料より多孔質に形成されている。また、緻密化部12は、アノード材料より多孔質に形成された多孔質部(不図示)と、アノード材料と同質のアノード材料より形成されており、多孔質部の孔部内を満たす充填部(不図示)とを有している。
本例において、アノード本体部11における活性層111は、触媒と固体電解質との混合物からなる活性層材料より多孔質に形成されている。アノード本体部11における拡散層112は、触媒と固体電解質との混合物からなる拡散層材料より多孔質に形成されている。緻密化部12における多孔質部は、活性層材料と拡散層材料とから多孔質に形成されている。具体的には、緻密化部12における多孔質部は、活性層111、拡散層112が延長されて形成されている。緻密化部12における充填部は、触媒と固体電解質との混合物からなる充填部材料より形成されている。触媒は、いずれも、NiまたはNiOである。固体電解質は、いずれも、酸化ジルコニウム系酸化物である、8mol%のYを含むイットリア安定化ジルコニア(以下、8YSZ)である。拡散層材料は、ガス拡散性を向上させるため、その固体電解質の粒子径が、活性層材料に用いられる固体電解質の粒子径よりも大きい。活性層材料における触媒と固体電解質との質量比は、65/35である。拡散層材料における触媒と固体電解質との質量比は、65/35である。充填部材料は、孔部への充填性を向上させるため、その固体電解質の粒子径が、拡散層材料に用いられる固体電解質の粒子径と同じ又はそれよりも小さいものが好適に用いられる。充填部材料における触媒と固体電解質との質量比は、40/60である。
このように、本例では、アノード本体部11、多孔質部および充填部は、いずれもNiまたはNiOを含有している。また、充填部におけるNiまたはNiO含有量は、アノード本体部11および多孔質部におけるNiまたはNiO含有量よりも少ない。
本例において、活性層111の厚みは、20μm、拡散層112の厚みは、400μmである。
本例において、燃料電池用アノード10は、次のようにして製造される。図5に示されるように、拡散層112、活性層111がこの順に積層されたアノード基板10Aを準備する。次いで、アノード基板10Aの外周部分における孔部内に、充填部形成用スラリーSを含浸させる。充填部形成用スラリーSの含浸は、充填部形成用スラリーSの入った容器Iのスラリー面SFに、スラリー面SFの法線Nとアノード基板10Aにおける固体電解質層2側の面101Aとのなす角が(90°−傾斜角θ)となるように傾斜させた状態で、アノード基板10Aの外周部分をディッピングすることにより行われる。これにより、アノード基板10Aの外周部分に、傾斜角θを有する緻密化部12を形成可能な緻密化部前駆体120が形成される。次いで、このアノード基板10Aを1350℃で焼成する。これにより、緻密化部前駆体120から緻密化部12が形成されるとともに、緻密化部12以外の部分はアノード本体部11となり、本例の燃料電池用アノード10が得られる。
本例の燃料電池単セル5は、具体的には、固体電解質層2と、固体電解質層2の第1の面側に設けられた燃料電池用アノード10と、固体電解質層2における第1の面の反対側にある第2の面側に設けられたカソード3とを有している。燃料電池用アノード10は、固体電解質層2の第1の面に接合されている。カソード3は、固体電解質層2の第2の面に接合されている。
本例において、固体電解質層2は、8YSZからなり、その厚みは10μmである。また、カソード3は、具体的には、ペロブスカイト型酸化物と固体電解質との混合物より層状に形成されている。ペロブスカイト型酸化物は、具体的には、La1−xSrCo1−y(x=0.4、y=0.8、以下、LSCF)であり、固体電解質は、酸化セリウム系酸化物である10GDCである。カソードの厚みは50μmである。
次に、本例の燃料電池用アノードおよび燃料電池単セルの作用効果について説明する。
本例の燃料電池用アノード10は、アノード本体部11と、アノード本体部11の外周に形成された緻密化部12とを有している。そして、緻密化部12は、アノード本体部11に比べ緻密に形成されている。そのため、本例の燃料電池用アノード10に供給された燃料ガスFは、ガス拡散抵抗の小さいアノード本体部11内を優先的に流れ、ガス拡散抵抗の大きな緻密化部12には流れ込み難い。それ故、本例の燃料電池用アノード10は、アノードの外周部におけるシール状態が悪い場合でも、燃料ガスFが酸化剤ガスO側へクロスリークし難い。
また、本例の燃料電池用アノード10は、緻密化部12が、第1の面101側から第2の面102側にかけて、その領域が漸次大きくなるように形成されている。そのため、本例の燃料電池用アノード10は、緻密化部12の存在によって第1の面101側の有効な反応点を失い難い。それ故、本例の燃料電池用アノード10は、有効な反応点を維持しつつ、燃料ガスFが酸化剤ガスO側へクロスリークし難い。
また、本例の燃料電池用アノード10は、緻密化部12が、第1の面101側から第2の面102側にかけて、アノード端面103から離れるように傾斜する傾斜面部121を有している。電池反応によってアノード側で生成した水に起因する水蒸気は、アノード外周部周辺では、傾斜面部121に沿って第2の面102側に流れやすい。そのため、本例の燃料電池用アノード10は、フレーム4によって水蒸気の排出が阻害され難くなり、水蒸気の排出が円滑に行われるようになる。
本例の燃料電池単セル5は、支持体を兼ねるアノード1に、本例の燃料電池用アノード10が用いられている。そのため、本例の燃料電池単セル5は、アノードの外周部におけるシール状態が悪い場合でも、燃料ガスFが酸化剤ガスO側へクロスリークし難いため、燃料利用率、信頼性を向上させることができる。
(実施例2)
実施例2の燃料電池用アノードおよび燃料電池単セルについて、図6を用いて説明する。本例の燃料電池用アノード10は、緻密化部12が、第1の面101側から第2の面102側にかけて、その領域が一定となるように形成されている点で、実施例1の燃料電池用アノード10と相違している。つまり、緻密化部12は、第1の面101と、第2の面102と、アノード端面103と、アノード端面103と対向する垂直面122とによって囲まれる領域より構成されている。その他の構成は、実施例1の燃料電池用アノード10と同様である。また、本例の燃料電池単セル5は、本例の燃料電池用アノード10が用いられている点で、実施例1の燃料電池単セル5と相違している。その他の構成は、実施例1の燃料電池単セル5と同様である。
本例の燃料電池用アノード10および燃料電池単セル5についても、緻密化部12が傾斜構造を有することによる作用効果を除いて、実施例1の燃料電池用アノード10および燃料電池単セル5と同様の作用効果を奏することができる。また、緻密層形成時に、傾斜角を設ける必要がないため、比較的簡単に製造しやすい等の利点がある。
<実験例>
以下、実験例を用いてより具体的に説明する。
(材料準備)
NiO粉末(平均粒子径:1.0μm)と、8YSZ粉末(平均粒子径:0.5μm)と、カーボン(造孔剤)と、ポリビニルブチラール(有機材料)と、酢酸イソアミルおよび1−ブタノール(混合溶媒)とをボールミルにて混合することにより拡散層形成用スラリーを調製した。NiO粉末と8YSZ粉末の質量比は、65:35である。上記拡散層形成用スラリーを、ドクターブレード法を用いて、プラスチック基材上に層状に塗工し、乾燥させることにより、拡散層形成用シートを準備した。なお、上記平均粒子径は、レーザー回折・散乱法により測定した体積基準の累積度数分布が50%を示すときの粒子径(直径)d50である(以下、同様)。
NiO粉末(平均粒子径:1.0μm)と、8YSZ粉末(平均粒子径:0.2μm)と、カーボン(造孔剤)と、ポリビニルブチラール(有機材料)と、酢酸イソアミルおよび1−ブタノール(混合溶媒)とをボールミルにて混合することにより活性層形成用スラリーを調製した。NiO粉末と8YSZ粉末の質量比は、65:35である。上記活性層形成用スラリーを、ドクターブレード法を用いて、プラスチック基材上に層状に塗工し、乾燥させることにより、活性層形成用シートを準備した。なお、上記拡散層形成用シートにおけるカーボン量は、上記活性層形成用シートにおけるカーボン量と比較して多量とされている。
8YSZ粉末(平均粒子径:0.5μm)と、ポリビニルブチラール(有機材料)と、酢酸イソアミルおよび1−ブタノール(混合溶媒)とをボールミルにて混合することにより固体電解質層形成用スラリーを調製した。この固体電解質層形成用スラリーを、ドクターブレード法を用いて、プラスチック基材上に層状に塗工し、乾燥させることにより、固体電解質層形成用シートを準備した。
10GDC粉末(平均粒子径:0.3μm)と、ポリビニルブチラール(有機材料)と、酢酸イソアミル、2−ブタノールおよびエタノール(混合溶媒)とをボールミルにて混合することにより中間層形成用スラリーを調製した。この中間層形成用スラリーを、ドクターブレード法を用いて、プラスチック基材上に層状に塗工し、乾燥させることにより、中間層形成用シートを準備した。
LSCF(La0.6Sr0.4Co0.2Fe0.8)粉末(平均粒子径:0.6μm)と、10GDC粉末(平均粒子径:0.3μm)と、エチルセルロース(有機材料)と、テルピネオール(溶媒)とをボールミルにて混合することにより、カソード形成用ペーストを準備した。なお、LSCF粉末と10GDC粉末の質量比は、90:10である。
(燃料電池用アノードおよび燃料電池単セルの作製)
拡散層形成用シート、活性層形成用シート、固体電解質層形成用シート、および、中間層形成用シートをこの順に積層し、圧着して積層体を得た。なお、圧着には、CIP成形法を用いた。CIP成形条件は、温度80℃、加圧力50MPa、加圧時間10分という条件とした。また、上記圧着後、積層体を脱脂した。
次いで、上記積層体を1350℃で2時間焼成した。これにより、拡散層(400μm)、活性層(20μm)がこの順に積層されたアノード基板と、アノード基板における活性層側の基板面に、さらに、固体電解質層、中間層がこの順に積層された第1焼成体を得た。なお、本例では、アノード基板と固体電解質層と中間層とを同時焼成により一度に形成したが、アノード基板、固体電解質層、中間層は、順次焼成を繰り返すことにより別々に形成することもできる。
次いで、上記第1焼成体におけるアノード基板の外周部分における孔部内に、拡散層形成用スラリーを含浸させた。なお、本例では、充填部形成用スラリーとして拡散層形成用スラリーを用いている。より具体的には、拡散層形成用スラリーの入った容器のスラリー面に、スラリー面の法線とアノード基板における第1の面とのなす角が45°となるように傾斜させた状態で、アノード基板の外周部分をディッピングした。なお、アノード基板における拡散層は、スラリー側に配置されている。また、上記ディッピングは、アノード基板の4辺全てに対して実施した。また、上記ディッピングは、スラリー中に浸漬されているアノード端面から第2の面方向に、第2の面が1mm浸漬するように実施した。また、上記ディッピング後、アノード基板の外周部分の表面に付着した余剰のスラリーをエアブローによって除去した。上記により、45°の傾斜角を有する緻密化部を形成可能な緻密化部前駆体を形成した。
次いで、上記含浸が実施された第1焼成体を1350℃で2時間焼成した。これにより、燃料電池用アノード、固体電解質層、および、中間層をこの順に有する第2焼成体を得た。なお、第2焼成体における燃料電池用アノードの縦断面をSEMにて観察した結果、上記スリラーを含浸させた部分の気孔量が、上記スリラーを含浸させていない部分の気孔量よりも少ないことが確認された。これにより、上記燃料電池用アノードは、アノード本体部と、アノード本体部に比べ緻密に形成された緻密化部とを有していることが確認された。
引き続き、上記第2焼結体における中間層の表面に、カソード形成用ペーストをスクリーン印刷法により塗布し、950℃で2時間焼成(焼付)することによって層状のカソード(厚み50μm)を形成した。なお、カソード形成用材料は、中間層の外縁まで印刷しておらず、カソード層の外形は、固体電解質層の外形よりも小さく形成されている。これにより、図1に示されるように、燃料電池用アノード(拡散層、活性層)、固体電解質層、中間層、および、カソードがこの順に積層されており、燃料電池用アノードを支持体とする燃料電池単セルを得た。次いで、この燃料電池単セルを、ガラスシールを用いて、燃料電池用アノードの外周部がステンレス製のフレームによって支持されるように固定した。
以上、本発明の実施例について詳細に説明したが、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨を損なわない範囲内で種々の変更が可能である。
1 アノード
2 固体電解質層
3 カソード
4 フレーム
5 燃料電池単セル
10 燃料電池用アノード
11 アノード本体部
12 緻密化部

Claims (9)

  1. 支持体を兼ねるアノード(1)と固体電解質層(2)とカソード(3)とを有しており、上記アノード(1)の外周部がフレーム(4)によって支持される平板形の燃料電池単セル(5)に用いられる燃料電池用アノード(10)であって、
    アノード本体部(11)と、アノード本体部(11)の外周に形成された緻密化部(12)とを有しており、
    該緻密化部(12)は、上記アノード本体部(11)に比べ緻密に形成されていることを特徴とする燃料電池用アノード(10)。
  2. 上記緻密化部(12)は、上記固体電解質層(2)側の第1の面(101)側から該第1の面(101)と反対側の第2の面側(102)にかけて、その領域が漸次大きくなるように形成されていることを特徴とする請求項1に記載の燃料電池用アノード(10)。
  3. 上記緻密化部(12)は、上記固体電解質層(2)側の第1の面(101)側から該第1の面(101)と反対側の第2の面(102)側にかけて、アノード端面(103)から離れるように傾斜する傾斜面部(121)を有していることを特徴とする請求項1または2に記載の燃料電池用アノード(10)。
  4. 上記傾斜面部(121)と上記第2の面(102)との間の傾斜角(θ)は、30°以上90°未満の範囲内にあることを特徴とする請求項3に記載の燃料電池用アノード(10)。
  5. 上記緻密化部(12)は、上記傾斜面部(121)と上記第2の面(102)と上記アノード端面(103)とによって囲まれる領域より構成されていることを特徴とする請求項3または4に記載の燃料電池用アノード(10)。
  6. 上記緻密化部(12)は、アノード端面(103)から内部に向かって5mmまでの領域内のいずれかに存在していることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の燃料電池用アノード(10)。
  7. 上記アノード本体部(11)は、アノード材料より多孔質に形成されており、
    上記緻密化部(12)は、上記アノード材料より多孔質に形成された多孔質部と、上記アノード材料と同質のアノード材料より形成されており、上記多孔質部の孔部内を満たす充填部とを有することを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の燃料電池用アノード(10)。
  8. 上記アノード本体部(11)、上記多孔質部および上記充填部は、いずれもNiまたはNiOを含有しており、上記充填部のNiまたはNiO含有量は、上記アノード本体部(11)および上記多孔質部のNiまたはNiO含有量よりも少ないことを特徴とする請求項7に記載の燃料電池用アノード(10)。
  9. 支持体を兼ねるアノード(1)と固体電解質層(2)とカソード(3)とを有しており、上記アノード(1)の外周部がフレーム(4)によって支持される平板形の燃料電池単セル(5)であって、
    上記アノード(1)として、請求項1〜8のいずれか1項に記載の上記燃料電池用アノード(10)が用いられていることを特徴とする燃料電池単セル(5)。
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