JP2016161808A - 焦点深度拡張結像光学系および焦点深度拡張素子および撮像装置 - Google Patents
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Abstract
Description
例えば、特許文献1に記載されたように「撮像対象の像を結像する機能を持つ結像光学系に光変調板を付加して被写界深度拡張光学系とし、画像センサにより撮像された画像をデジタル処理して焦点深度の深い画像を復元」する(特許文献1)。
上記光変調板のように結像光学系の焦点深度を拡張する光学素子を、この明細書においては「焦点深度拡張素子」、焦点深度拡張素子を付加された結像光学系を「焦点深度拡張結像光学系」とそれぞれ称する。
0<|t|<0.4
において、|dZ/dt|の最大値が0.4以上で、
0.4≦|t|<0.8
の範囲の1か所以上において、
dZ/dt=0
となる。
図1は、「撮像装置」の実施の1形態を説明図的に示している。
図1に実施の形態を示す撮像装置は、焦点深度拡張結像光学系202と、焦点深度拡張結像光学系により撮像対象201の像を結像される撮像素子205と、該撮像素子により撮像された像に対し画像処理を行う画像処理部206とを有する。
焦点深度拡張結像光学系202は、以下において「撮像レンズユニット202」とも称する。また「撮像対象201」は、以下において「被写体201」とも言う。
説明中の実施形態において、被写体201は、例えば「バーコードや2次元コード、あるいは文字列など」であり、これらのコードや文字が撮像装置により読み取られる。
撮像レンズユニット202は、複数枚のレンズを有し、開口絞り204の近傍に「焦点深度拡張素子」としての位相板203が挿入されている。
撮像レンズユニット202により、上記「焦点深度を拡張させるための収差」が乗った状態で被写体201の像が撮像素子205の受光面上に結像する。
位相板203は、撮像レンズユニット202から取り外すことができ、位相板203を取り外した光学系が「結像光学系」である。
即ち、焦点深度拡張素子である位相板203は「結像光学系に対して着脱可能」で、位相板203を付加された結像光学系が「焦点深度拡張結像光学系202」である。
位相板203を付加されていない「結像光学系」は、それ自体でも結像機能を持つ。以下、結像光学系を「レンズユニット」とも言う。
このとき「焦点深度を拡張させるための収差」は発生しておらず、レンズユニットの焦点深度は拡張されていない。
撮像素子205としては、CCD(Charge Coupled Device)センサ、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)センサなどの「一般的な固体撮像素子」を使用できる。
撮像素子205からは「画像データ」が出力され、出力された画像データは画像処理部206に入力する。
画像処理部206は「位相板203により拡散されたPSF(Point spread function)を復元する処理」を行う。
画像処理は、画像処理部206にコンピュータやCPUを用いる場合は「ソフトウエア処理」であり、FPGAを用いる場合は「ハードウエア処理」である。
焦点深度拡張素子である位相板203は、結像光学系であるレンズユニットに付加された状態において「レンズユニットの光軸の回りに回転対称な非球面形状」を有する。
この非球面形状は「そのサグ量:Zが、レンズユニットの光軸から離れるに従い、少なくとも「負・正・負、もしくは、正・負・正」のように変化する。
このとき「t=r/RG」を「正規化座標」と呼ぶ。
rの変域が「−RG≦r≦RG」であるから、tの変域は「−1≦t≦+1」であり、絶対値を用いれば「0≦|t|≦1」である。|t|を「正規化半径」と呼ぶ。
0<|t|<0.4
において、|dZ/dt|の最大値が0.4以上で、
0.4≦|t|<0.8
の範囲の「1か所以上」において、
dZ/dt=0
となる。
この発明の焦点深度拡張結像光学系では、回転対称な非球面形状をもつ焦点深度拡張素子の周辺付近と中央付近での「サグ量の形状」が上記の如き条件を満たすことにより、焦点深度を大きくでき、復元画像の解像度を高精度に保つことができる。
なお、焦点深度を「より深く」し、復元画像の解像度を「より高精度」に保つうえで、
上記非球面形状は、さらに以下の条件を満足することが好ましい。
即ち、正規化半径:|t|の範囲:
0.4≦|t|<0.8
において、dZ/dtの最小値が−0.1以下で、最大値が+1.0以上である。
即ち「0.4≦|t|<0.8」の範囲内では、サグの変化率(傾き量)が、大きいことが好ましい。
「実施例」
以下、焦点深度拡張光学系の具体的な実施例を2例挙げる。
以下に挙げる2例の実施例は、焦点深度拡張素子である位相板203を付加されていない状態の「結像光学系(レンズユニット)」は同一であり、付加された位相板203のみが異なる。
図1に示す焦点深度拡張結像光学系(撮像レンズユニット)202の光学構成を図2に示す。
図の左方が「物体側(被写体側)」、右方が「像側」であり、符号SImは撮像素子205の受光面を示している。
撮像レンズユニットは、図2に示す如く、物体側から像側へ向かって、第1レンズ群G1ないし第4レンズ群G4を配し、第2レンズ群G2と第3レンズ群G3との間に、位相板203と開口絞り204を配した構成である。
第2レンズ群G2は「負の屈折力」を持つ。
第3レンズ群G3は、物体側に凹面を向けた「凹平レンズL4」と像側に凸面を向けた「平凸レンズL5」とを貼り合わせた接合レンズで「負の屈折力」を持つ。
第4レンズ群G4は「1枚の両凸レンズL6」で構成されている。
即ち、この撮像レンズユニットは、物体側から正・負・負・正の屈折力配置を持つ6枚レンズ構成である。この撮像レンズユニットから位相板203を取り除いたものが「結像光学系(レンズユニット)」であり、上述の如く、実施例1、2に共通の構成である。
このレンズユニットの具体的なデータを表1に示す。
面番号:S6は開口絞り204の面である。
「実施例1」
実施例1における位相板の非球面形状のデータを「非球面係数」として表3に示す。
実施例2における位相板の非球面形状のデータを「非球面係数」として表4に示す。
実施例1、2におおいて、焦点深度拡張素子である位相板の非球面では「近軸曲率半径が∞(曲率:c=0)」となっているが、近軸曲率:c>0でもよい。この場合には、近軸曲率半径:Rを持つ球面と非球面との差(Rフィッティングした後のサグ量)がサグ量:Zとなることは言うまでもない。
さらに正規化半径:|t|の範囲:0.4≦|t|<0.8において、dZ/dtの最小値は−0.1以下、最大値は1.0以上である(図5)。
図6〜図9は、中心像高:0mm(F1)と周辺像高:6mm(F2T、F2R)を例としてプロットしている。「F2T」はタンジェンシアル方向、「F2R」はラジアル方向である。
復元処理を行う際には復元前の光学性能が0.1以上あることが好ましい。
即ち「ナイキスト周波数で周波数を正規化」したとき、正規化周波数:0.6でMTF:0.4未満、正規化周波数:0.4でMTF:0.5未満、正規化周波数:0.2でMTF:0.8未満であるような「MUカーブ特性」をもつことが好ましい。
実施例1と実施例2の撮像レンズユニットを用いる場合の「ナイキスト周波数」は、それぞれ「60lp/mm」と「135lp/mm」であり、上記の「MUカーブ特性」を満たしている。
この発明における「サグ量:Zに対する条件」を満たし、端部のサグ量の変化を大きくすることで「上記光学性能を達成できる焦点深度拡張素子」の設計が容易に可能となる。
画像処理は「一般的な画像処理である逆フィルタ処理やウィーナフィルタ処理」を用いることが可能であるが、説明中の実施の形態では「ウィーナフィルタ」を使用する。
式(B)において、各記号の意味は以下の通りである。
R(u,v): 画像処理フィルタ
H(u,v): 光学系のOTF
S(u,v)2: 被写体のパワースペクトル
W(u,v)2: 画像センサ固有のノイズのパワースペクトル 。
従って、焦点深度拡張結像光学系を用いる撮像装置は「深い焦点深度」を持ち、撮像対象の位置のずれに起因する「復元画像の劣化」が小さく、撮像対象の物体距離変動に対する許容度が大きい。
焦点深度拡張素子120は、中心部に非球面領域120Aを有し、この非球面領域120Aは、上に説明した条件を満足する形状を有している。非球面領域120Aの外側の領域120Bは「遮光性」とされている。
結像光学系の焦点深度を拡張する焦点深度拡張素子を有する焦点深度拡張結像光学系であって、結像光学系に付加された焦点深度拡張素子203は、前記結像光学系の光軸の回りに回転対称な非球面形状を有し、該非球面形状は、そのサグ量:Zが、光軸から離れるに従い、少なくとも、負・正・負、もしくは正・負・正のように変化し、
前記非球面の半径を正規化した正規化半径:|t|の範囲:
0<|t|<0.4
において、|dZ/dt|の最大値が0.4以上で、
0.4≦|t|<0.8
の範囲の1か所以上において、
dZ/dt=0
となる焦点深度拡張結像光学系(実施例1、2)。
[1]記載の焦点深度拡張結像光学系であって、非球面形状が、正規化半径:|t|の範囲:0.4≦|t|<0.8
において、dZ/dtの最小値が−0.1以下、最大値が1.0以上である焦点深度拡張結像光学系(実施例1、2)。
[1]または[2]記載の焦点深度拡張結像光学系であって、焦点深度拡張素子203が、結像光学系の開口絞り204の近傍に付加された焦点深度拡張結像光学系(実施例1,2)。
[1]〜[3]の何れか1に記載の焦点深度拡張結像光学系であって、焦点深度拡張素子120は、非球面領域120Aの外側が遮光性とされ、焦点深度拡張素子が開口絞りを兼ねる焦点深度拡張結像光学系。
[1]〜[4]の何れか1に記載の焦点深度拡張結像光学系であって、焦点深度拡張素子203が結像光学系に対して着脱可能であり、結像光学系が単独で、もしくは焦点深度拡張素子203を装着されて焦点深度拡張結像光学系として使用可能である焦点深度拡張結像光学系。
結像光学系に付加されて焦点深度を拡張する焦点深度拡張素子であって、結像光学系に付加される焦点深度拡張素子は、前記結像光学系の光軸の回りに回転対称な非球面形状を有し、該非球面形状は、そのサグ量:Zが、光軸から離れるに従い、少なくとも、負・正・負、もしくは正・負・正のように変化し、前記非球面の半径を正規化した正規化半径:|t|の範囲:0<|t|<0.4において、|dZ/dt|の最大値が0.4以上で、0.4≦|t|<0.8の範囲の1か所以上において、dZ/dt=0となる焦点深度拡張素子(実施例1、2)。
[7]記載の焦点深度拡張素子であって、非球面形状が、正規化半径:|t|の範囲:
0.4≦|t|<0.8において、dZ/dtの最小値が−0.1以下、最大値が1.0以上である焦点深度拡張素子(実施例1,2)。
[7]または[8]記載の焦点深度拡張素子であって、非球面領域120Aの外側が遮光性とされ、付加される結像光学系における開口絞りを兼ねる焦点深度拡張素子。
焦点深度拡張結像光学系202と、該焦点深度拡張結像光学系により撮像対象201の像を結像される撮像素子205と、該撮像素子により撮像された像に対し画像処理を行う画像処理部206とを有する撮像装置であって、焦点深度拡張結像光学系202として、[1]〜[5]の何れか1に記載の焦点深度拡張結像光学系を有する撮像装置。
例えば、上に説明した実施の形態では、焦点深度拡張素子を結像光学系に対して着脱可能としたが、結像光学系に付加した状態で結像光学系と一体化されて焦点深度拡張結像光学系を構成する様にしてもよい。
即ち、既存の公知の結像光学系に対しても、この発明の焦点深度拡張素子の非球面形状を、上に述べた条件を満足させつつ設計できる。
そして、このように設計された非球面形状をもつ焦点深度拡張素子は、焦点深度を拡張しつつ、「復元処理を行った復元画像の解像度」を高く保つ機能を実現できる。
202 焦点深度拡張結像光学系
203 焦点深度拡張素子
204 開口絞り
205 撮像素子
206 画像処理部
SIm 撮像素子の受光面
120 焦点深度拡張素子
120A 非球面領域
120B 遮光性の領域
Claims (9)
- 結像光学系の焦点深度を拡張する焦点深度拡張素子を有する焦点深度拡張結像光学系であって、
結像光学系に付加された焦点深度拡張素子は、前記結像光学系の光軸の回りに回転対称な非球面形状を有し、
該非球面形状は、そのサグ量:Zが、光軸から離れるに従い、少なくとも、負・正・負、もしくは正・負・正のように変化し、
前記非球面の半径を正規化した正規化半径:|t|の範囲:
0<|t|<0.4
において、|dZ/dt|の最大値が0.4以上で、
0.4≦|t|<0.8
の範囲の1か所以上において、
dZ/dt=0
となる焦点深度拡張結像光学系。 - 請求項1記載の焦点深度拡張結像光学系であって、
非球面形状が、正規化半径:|t|の範囲:
0.4≦|t|<0.8
において、dZ/dtの最小値が−0.1以下、最大値が1.0以上である焦点深度拡張結像光学系。 - 請求項1または2記載の焦点深度拡張結像光学系であって、
焦点深度拡張素子が、結像光学系の開口絞りの近傍に付加された焦点深度拡張結像光学系。 - 請求項1〜3の何れか1項に記載の焦点深度拡張結像光学系であって、
焦点深度拡張素子は、非球面領域の外側が遮光性とされ、焦点深度拡張素子が開口絞りを兼ねる焦点深度拡張結像光学系。 - 請求項1〜4の何れか1項に記載の焦点深度拡張結像光学系であって、
焦点深度拡張素子が、結像光学系に対して着脱可能であり、
結像光学系が単独で、もしくは焦点深度拡張素子を装着されて焦点深度拡張結像光学系として使用可能である焦点深度拡張結像光学系。 - 結像光学系に付加されて焦点深度を拡張する焦点深度拡張素子であって、
結像光学系に付加される焦点深度拡張素子は、前記結像光学系の光軸の回りに回転対称な非球面形状を有し、
該非球面形状は、そのサグ量:Zが、光軸から離れるに従い、少なくとも、負・正・負、もしくは正・負・正のように変化し、
前記非球面の半径を正規化した正規化半径:|t|の範囲:
0<|t|<0.4
において、|dZ/dt|の最大値が0.4以上で、
0.4≦|t|<0.8
の範囲の1か所以上において、
dZ/dt=0
となる焦点深度拡張素子。 - 請求項6記載の焦点深度拡張素子であって、
非球面形状が、正規化半径:|t|の範囲:
0.4≦|t|<0.8
において、dZ/dtの最小値が−0.1以下、最大値が1.0以上である焦点深度拡張素子。 - 請求項6または7記載の焦点深度拡張素子であって、
非球面領域の外側が遮光性とされ、付加される結像光学系における開口絞りを兼ねる焦点深度拡張素子。 - 焦点深度拡張結像光学系と、該焦点深度拡張結像光学系により撮像対象の像を結像される撮像素子と、該撮像素子により撮像された像に対し画像処理を行う画像処理部とを有する撮像装置であって、
焦点深度拡張結像光学系として、請求項1〜5の何れか1項に記載の焦点深度拡張結像光学系を有する撮像装置。
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