JP2016161543A - 凝集状態判別方法、および凝集状態判別装置 - Google Patents

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【課題】フロックの凝集状態を最適な範囲に保つために必要な凝集剤の投入量を容易に、かつ正確に得ることを可能にする凝集状態判別方法および凝集状態判別装置を提供する。【解決手段】試料水に含まれる懸濁物の凝集状態を判別する凝集状態判別方法であって、試料水に含まれる特定有機物の蛍光強度を分析する蛍光強度分析工程と、試料水の濁度を測定する濁度測定工程と、前記蛍光強度分析工程で得られた前記特定有機物の蛍光強度値、および前記濁度測定工程で得られた前記試料水の濁度値に基づいて、前記試料水の凝集状態を判別する判別工程と、を有する。【選択図】図1

Description

本発明の実施形態は、凝集良否判別方法および凝集良否判別装置に関する。
従来、河川水、下水、工業排水などの被処理水(原水)の処理方法として、凝集剤を用いて原水中に含まれる懸濁物をフロック(凝集物)とし、これを沈澱池で沈澱させて除去し、濾過処理水を得る方法が知られている。
こうしたフロックは、例えばサイズが大きくなり過ぎると、濾過池を構成する濾過砂の目詰まりを起こしやすくなり、フロックの凝集状態を適切に管理する必要がある。フロック凝集状態は、原水に対する凝集剤の注入量によって変化する。しかし、フロックの凝集状態が良好となる凝集剤の注入量は、原水の水質の変動に伴って変化する。このため、原水の水質の変動に対応させて、凝集状態が良好となるように、凝集剤の注入量を適切に制御する方法が検討されている。
凝集状態が良好となるように、原水への凝集剤の注入量を制御するには、フロックあるいは水質(急速混和地の混和水や沈澱池の沈澱処理水など)によって凝集状態を評価し、この強化結果に基づいて、凝集剤の最適な注入量を算出する必要がある。従来、こうしたフロックの凝集状態を評価する際には、流動電流値やフロックの表面電位の平均値などに基づいて行っていた。
特許第3522650号公報 特開2013−198865号公報 特許第5131005号公報
しかしながら、流動電流値は、原水の水質によって最適値が大きく異なるため、フロックの凝集状態を評価する手法としては、適用可能範囲が限定的であるという課題があった。一方、フロックの表面電位の平均値は、凝集状態が良好であるか否かの判断が困難であった。このため、流動電流値やフロックの表面電位の平均値に基づいて、原水への凝集剤の注入量を制御しても、フロックの凝集状態を最適な範囲に保つことは困難であった。
本発明が解決しようとする課題は、フロックの凝集状態を最適な範囲に保つために必要な凝集剤の投入量を容易に、かつ正確に得ることを可能にする凝集状態判別方法、および凝集状態判別装置を提供することである。
実施形態の凝集状態判別方法は、試料水に含まれる懸濁物の凝集状態を判別する凝集状態判別方法であって、試料水に含まれる特定有機物の蛍光強度を分析する蛍光強度分析工程と、試料水の濁度を測定する濁度測定工程と、前記蛍光強度分析工程で得られた前記特定有機物の蛍光強度値、および前記濁度測定工程で得られた前記試料水の濁度値に基づいて、前記試料水の凝集状態を判別する判別工程と、を有する。
実施形態の凝集状態判別装置は、試料水に含まれる懸濁物の凝集状態を判別する凝集状態判別装置であって、試料水に含まれる特定有機物の蛍光強度を分析する蛍光強度分析手段と、試料水の濁度を測定する濁度測定手段と、前記蛍光強度分析手段で得られた前記特定有機物の蛍光強度値、および前記濁度測定手段で得られた前記特定有機物の濁度値に基づいて、前記試料水の凝集状態を算出する算出手段と、を有する。
一実施形態の凝集状態判別装置を備えた水処理設備を示す概略構成図。 トリプトファンの蛍光強度、STRと、凝集剤の注入率との関係を示すグラフ。
本発明者は、フロックの凝集状態の判別にあたって、以下の知見を得た。即ち、フロック形成時の凝集剤の注入量に過不足がある場合、フロック形成後の水に、溶存有機物と凝集剤の主成分、例えばアルミニウムとが反応して生成する錯体が残留し、濾過の際に濾過池の濾過層(例えば砂層など)を閉塞させる。こうした濾過層の閉塞は、洗浄頻度を増加させ、かつ運転コストの増加をもたらす。有機物が上澄みに残留するということは、凝集剤の過剰注入の場合はフロックが脆くなっていること、また、凝集剤の注入不足の場合は凝集剤が充分にフロックに取り込まれていないことが要因である。
よって、残留する有機物濃度は、凝集剤の注入量の不適正による凝集不良の指標であると考えられる。よって、凝集後の水中に含まれる特定の溶存有機物(以下、特定有機物と称する場合がある)の濃度を測定することによって、濾過池における濾過層の目詰まりを最小化でき、運転コストを低減できる。
濾過池における濾過特性を表す濾過性指標として、STR(Suction time ratio)がある。こうしたSTRは、フロック形成後の上澄み液を一定量採取して、一定圧で吸引濾過を行い、この吸引濾過に要する時間(濾過時間)を計測する。そして、純水を用いて同一条件で濾過時間を計測し、上澄み液の濾過時間を純水の濾過時間で除算した値である。こうしたSTRが上昇すると、濾過層の目詰まりが進行しているものと判断できる。
本発明者は、フロック形成後の上澄み液に含まれる特定有機物、例えばトリプトファン(2−アミノ−3−(インドリル)プロピオン酸)に特有の波長における蛍光強度およびSTRを測定すると、これら双方とも凝集剤の注入率に対して下方に突出する双曲線を描く相関関係となることを見出した。STRが最も低くなる凝集剤の注入率付近で、トリプトファンの蛍光強度が減少する場合があることが確認された。
これにより、沈澱池の沈澱処理水のトリプトファン濃度と、濾過性には相関があるという知見が得られている。こうした知見に基づいて、フロック形成後の上澄み液に残存するに含まれる特定有機物、例えばトリプトファンの濃度を測定することで、濾過性の観点から凝集剤の最適な注入率を予測可能とするに至った。
以下、こうした知見に基づいて構成された凝集状態判別方法、および凝集状態判別装置の一実施形態について説明する。
図1は、一実施形態の凝集状態判別装置を備えた水処理設備を示す概略構成図である。
水処理設備1は、例えば浄水場に設置され、着水井11と、急速混和池12、フロック形成池13、沈澱池14、濾過池15、および凝集状態判別装置20を備えている。
着水井11は、水処理設備1によって処理する被処理水(原水)を貯留するものである。着水井11は、例えば配管によって急速混和池12に接続されている。着水井11と急速混和池10とを接続する配管には、配管内を通過して急速混和池12に供給される原水の流量を測定する流量計31や、着水井11の被処理水の水質を計測する被処理水水質計測装置28が設置されている。
急速混和池12は、着水井11から供給された被処理水と、後述する凝集状態判別装置20を構成する凝集剤投入手段25によって注入された凝集剤と、後述する凝集状態判別装置20を構成するpH調整剤注入装置26により注入されたpH調整剤とを混合するための水槽である。この急速混和池20では、被処理水に含まれる懸濁物質を凝集剤によって凝集させ、微細なフロックを生成させる。急速混和池12には、モータにより駆動される撹拌機33aが形成されている。攪拌機33aは、例えばフラッシュミキサを用いることができる。
フロック形成池13は、急速混和池12から供給された混和水に含まれる微細なフロックのサイズを成長させる。本実施形態では、フロック形成池13は、例えば3つの撹拌池13a,13b,13cを有している。フロック形成池13には、急速混和池12で生成された混和水が撹拌池13aに供給され、順次、撹拌池13b、撹拌池13cへと流下されていく構成となっている。
フロック形成池13には、モータにより駆動される撹拌機33b,33c,33dがそれぞれ形成されている。撹拌機33b,33c,33dは、撹拌速度が上流側から下流側に向かって、即ち撹拌池13a,13b,13cの順に段階的に小さくなるように設定されている。また、撹拌機33bの撹拌速度は、急速混和池12の撹拌機33aよりも小さくなるように設定されている。これら撹拌機33b,33c,33dは、例えば、フロキュレータを用いることができる。
沈澱池14は、フロック形成池13の下流に設けられ、フロック形成池13で成長したフロックを沈澱分離するためのものである。沈澱池14内では所定時間以上、例えば3時間程度、フロック混和水を滞留させる。これによってフロック混和水中のフロックが沈降し、沈澱池14の下部に沈澱する。沈澱池14で沈澱したフロックは、汚泥として沈澱池14の底部から排出されて処理される。そして沈澱池14内でフロック混和水中のフロックを沈降分離した後に得られる上澄み水は、濾過池15に送られる。
濾過池15は、沈澱池14の下流に設けられている。濾過池15には、沈澱池14において所定時間以上滞留させて得られた上澄み水が供給される。濾過池15は、例えば、砂濾過装置である。濾過池15に供給された上澄み水は、濾過池15に形成された濾過層である砂層を通過することにより、沈澱池14で沈澱除去されなかった微小なフロックが除去され、濾過処理水として排水される。
濾過池15から排出された濾過処理水は、例えば浄水池に送られて塩素による殺菌等が行われ、浄水池から排水される。なお、濾過処理水には、オゾン処理や生物活性炭処理を施してもよい。また、沈澱処理水を濾過池15に通過させる前に、沈澱処理水に対して予めオゾン処理や生物活性炭処理を施しておくこともできる。
凝集状態判別装置20は、試料水採取装置21、蛍光強度分析手段22、濁度測定手段23、算出手段24、凝集剤投入手段25、pH調整剤注入装置26、およびパラメータ調整装置27を備えている。試料水採取装置21は、例えば、沈澱池14における沈澱処理水、急速混和池12における急速混和水、フロック形成池13におけるフロック混和水のうち、少なくとも1つを試料水として採取する。こうした試料水採取装置21は、沈澱池14、急速混和池12、フロック形成池13にそれぞれ延びる採水ノズルや給液ポンプなどから構成されている。
なお、本実施形態において、試料水とは、沈澱池14における沈澱処理水、急速混和池12における急速混和水、フロック形成池13におけるフロック混和水のうちのいずれかであり、被処理水とは、着水井11に流入する、水処理設備1によって処理される原水である。
蛍光強度分析手段22は、試料水採取装置21によって採取された試料水に含まれる特定有機物の蛍光強度を分析する。蛍光強度分析手段22としては、例えば、励起光光源および蛍光光度計を用いることができる。蛍光強度分析手段22では、励起光光源より試料水に向けて励起光を照射し、試料水に含まれるフロックから発する蛍光の強度や波長を蛍光光度計で測定する。蛍光強度分析に用いる励起光としては、例えば、波長が200nm〜300nm程度の波長範囲の光を好ましく用いることができる。
濁度測定手段23は、例えば沈澱池15から採取された上澄み液の濁度を測定する。濁度測定手段23としては、例えば、表面散乱型濁度計、透過散乱型濁度計、レーザー散乱型濁度計などを用いることができる。
算出手段24は、蛍光強度分析手段22で得られた特定有機物の蛍光強度の測定値、および濁度測定手段23で得られた沈澱池15の上澄み液の濁度値が入力される。そして、これら特定有機物の蛍光強度の測定値と上澄み液の濁度値に基づいて、試料水のフロックの凝集状態を算出する。
凝集剤投入手段25は、算出手段24で算出されたフロックの凝集状態に基づいて、凝集剤の投入量を調節しつつ急速混和池12に凝集剤を投入する。フロック形成に用いる凝集剤としては、アルミニウム系無機凝集剤、鉄系無機凝集剤、高分子凝集剤のうち、少なくとも1つを含むことが好ましい。
アルミニウム系無機凝集剤としては、例えば、塩化アルミニウム、硫酸アルミニウム、ポリ塩化アルミニウムなどが挙げられる。また、鉄系無機凝集剤としては、塩化鉄、硫酸鉄などが挙げられる。これら無機凝集剤は、凝集対象の微細な浮遊物やコロイド粒子と、プラスイオン、マイナスイオンの結合作用でフロックを形成する。多くの場合、粒子はマイナスに帯電している。後述する有機系凝集剤と比較すると、フロックのサイズが小さめで壊れやすく、沈降速度が遅い。
高分子凝集剤としては、天然高分子系と合成高分子系がある。高分子凝集剤は、少量の添加で著しく凝集する。イオン性によって、カチオン(プラスイオン)、アニオン(マイナスイオン)、ノニオン(中性)がある。無機凝集剤と比較するとフロックが大きく、沈降速度が速い。
pH調整剤注入装置26は、所定の種類および注入量で急速混和池12に連続して供給する。pH調整剤としては、原水のpHに応じて、硫酸、塩酸などの酸性のもの、または水酸化ナトリウムなどのアルカリ性のものが用いられる。pH調整剤として、水酸化ナトリウムなどのアルカリ性のものを注入する場合、原水のアルカリ度が15〜25度、好ましくは20度程度となるように、pH調整剤の注入量を制御することが好ましい。pH調整剤は急速混和池12に設置されたpH計によって測定され、パラメータ調整装置27に入力され、pH調整剤注入装置26を制御する。
パラメータ調整装置27は、算出手段24により凝集剤の投入量の過不足等によるフロックの凝集状態の良否を評価した結果に基づいて、フロックの凝集状態が良好になるように凝集操作条件を調整するためのものである。パラメータ調整装置27は、算出手段24から試験水の凝集剤の注入率の過不足を示す信号に基づいて、凝集剤投入手段25から投入される凝集剤の投入量を制御するものである。
パラメータ調整装置27により、凝集剤投入手段25から投入される凝集剤の注入量を制御する機能、被処理水の流量を制御する機能、pH調整剤注入装置26からpH調整剤を注入する量を制御する機能、および撹拌機33a,33b,33c,33dの撹拌強度を調整する機能は、例えば、コンピュータの中央演算装置に備えられた機能によって実現される。
なお、凝集状態判別装置20は、更に被処理水水質計測装置28を備えていることも好ましい。被処理水水質計測装置28は、着水井11に流入する被処理水の水質を測定する。そして、こうした被処理水の水質および事前に蓄積されたデータベースに基づいて、算出手段24に対して、特定有機物の蛍光強度の目標値が入力される。
以上の構成の水処理設備を用いた凝集状態判別方法の一実施形態を説明する。
浄水場など水処理設備1の被処理水の懸濁物質や溶存有機物は、通常、マイナスの電荷を帯びている。被処理水に凝集剤を注入すると、被処理水中の懸濁物質や溶存有機物が凝集してフロックを形成する。この時、プラスの電荷を持つ凝集剤の添加によって、懸濁物質や溶存有機物のマイナスの電荷が打ち消されることで、表面電荷が0mVに近付くため懸濁物質や溶存有機物同士の反発が弱まってフロックの形成が進む。
凝集剤の主成分である鉄やアルミニウムは水中で水和物となり、水和物同士が脱水重合し、最終的には固形状のポリ水酸化アルミニウムやポリ水酸化鉄になる。実際には、その中間生成物であるアルミニウムポリマーや鉄ポリマーが安定であり、存在率が高い。アルミニウムポリマーや鉄ポリマーはゲル状であり、このポリマーはプラスに帯電しており、荷電中和の作用があるとともに、架橋作用も有するので、荷電中和した粒子同士を付着させて粗大化させる効果を持つ。
凝集剤の注入量が不足の場合、懸濁物質や溶存有機物の有するマイナスの電荷が十分に打ち消されず、懸濁物質の溶存有機物は表面電荷がマイナスの値を持ったままとなり、フロックの形成が十分に進まなくなる。その結果、濁質粒子や溶存有機物は、沈降せずに、沈澱処理水に残存する。特定有機物を含むタンパク質とポリマーとの化合物は、濾過池15の濾過層の目詰まりの要因になる。
一方、凝集剤が過剰注入の場合、プラスに帯電した鉄ポリマーやアルミニウムポリマーが濁質粒子や溶存有機物に付着して荷電中和した後、これらポリマーが架橋作用により粒子同士を凝集させる。この反応が進んでいくと、ポリマーが多量に含まれたフロックとなり、もろいフロックとなる。また、アルミニウムがポリ水酸化アルミニウムの形態となり集塊化が進んだ場合も、ポリ水酸化アルミニウム量が多いほど、フロックは脆くなる。よって、撹拌によりフロックは破砕されやすくなり、一部が破片として液相側に分散することになる。この破片の大きさは個々に違いがあるが、微細な破片は上澄みに残存し、濾過池15の濾過層の目詰まり要因になる。
上澄み液に含まれる溶存有機物の代表物のうち、特定有機物、例えば励起・蛍光波長が明確に分かっているトリプトファンの蛍光強度を測定すると、図2に示すように、凝集剤の注入率に対して下に向かって突出する双曲線が得られる。また、蛍光強度が最も低くなる注入率において、濾過性を表すSTRの値も最も低くなることが確認された。
なお、特定有機物は、トリプトファン以外にも、フミン酸、フルボ酸、藻類の葉緑体に存在する光合成色素なども挙げられる。これら特定有機物の蛍光強度も、凝集剤の注入率に対して下に向かって突出する双曲線が得られる。本実施形態では、特定有機物としてトリプトファンを用いた例を示す。
本実施形態の凝集状態判別方法では、まず、試料水採取装置21によって、例えば、沈澱池14における沈澱処理水、急速混和池12における急速混和水、フロック形成池13におけるフロック混和水のうち、少なくとも1つを試料水として採取する。
次に、採取した試料水を未濾過のまま蛍光強度分析手段22を構成する蛍光光度計によって特定波長(例えば、励起波長230nm/蛍光波長340nm)の蛍光強度を測定することにより沈澱処理水、急速混和水、フロック混和水に含まれるトリプトファン濃度を測定する(蛍光強度分析工程)。
一方、沈澱池15から上澄み液を採取し、この上澄み液の濁度を濁度測定手段23を構成する濁度計によって測定する(濁度測定工程)。
そして、蛍光強度分析工程で得られた蛍光強度値、および濁度測定工程で得られた特定有機物を含む上澄み液のの濁度値が算出手段24に入力される。算出手段24は、特定有機物の蛍光強度の測定値と上澄み液の濁度値に基づいて、試料水のフロックの凝集状態を算出する(判別工程)。なお、この判別にあたっては、トリプトファンなど特定有機物の蛍光強度の分析結果および上澄み液の濁度だけでなく、フロックの表面電位など、他の指標を併用してもよい。
凝集状態の良否の判別には、被処理水に含まれるトリプトファンの濃度ごとに、凝集剤の注入率をパラメータにしたときの沈澱処理水、急速混和水、フロック混和水のトリプトファン濃度およびSTRのデータを予めに蓄積しておき、目標値を設定できるようにしておく。こうした蓄積データによって、被処理水の各種水質項目に基いて沈澱処理水、急速混和水、フロック混和水のトリプトファン濃度の目標値を設定できる(STRが最も低くなる場合)。
トリプトファンの蛍光強度値と、その目標値とを比較することで、測定値が高いときには、凝集剤の注入率が不足しているために、溶存有機物の凝集が十分に進んでおらず、トリプトファンが残存してしまっていると予見できる。また、凝集剤の注入量が過剰のためにフロックが破砕しやすくなり、トリプトファンが含まれる微細なフロックが残存しているという可能性を予測できる。
そして、こうした蛍光強度値に、沈澱処理水の上澄み液の濁度と併用することで、凝集剤の過不足を判断する。
即ち、判別工程においては、蛍光強度が規定値を超え、かつ濁度値が規定値よりも低い場合は凝集剤の投入量が過剰であると判断する。一方、蛍光強度が規定値を超え、かつ濁度値が規定値よりも高い場合は凝集剤の投入量が不足であると判断する。
更に具体的には、濁度測定手段23によって計測される沈澱処理水の上澄み液の濁度が1度以上、かつトリプトファンの蛍光強度が目標値以上である場合には、凝集剤の注入量が不足していると判断する。一方、沈澱処理水の上澄み液の濁度が1度以下、かつトリプトファンの蛍光強度が目標値以上である場合には、凝集剤の注入量が過剰になっていると判断する。
判別工程によって得られたフロックの凝集状態を示す情報は、パラメータ調整装置27に入力される。本実施形態では、判別工程において試料水に含まれる凝集剤の注入率が不足していると判定された場合、または試料水に含まれる凝集剤の注入率が過剰であると判定された場合に、パラメータ調整装置27に、凝集剤の注入率が不足している信号または凝集剤の注入率が過剰である信号を入力する。
そして、パラメータ調整装置27は、凝集剤投入手段25を操作して、凝集剤の注入率が不足している場合には、凝集剤の注入量を増加させる。また、凝集剤の注入率が過剰な場合には、凝集剤の注入量を低減させる。
以上の工程によれば、沈澱処理水の上澄み液の濁度と、沈澱処理水、急速混和水、フロック混和水のうちのいずれかのトリプトファン濃度とを測定することで、フロックの凝集状態を正確に検出して、凝集剤の投入量を容易に管理することができる。
なお、この実施形態では、凝集剤の投入は凝集剤投入手段25によって自動的に行っているが、例えば、判別工程によって得られたフロックの凝集状態をモニタなどに表示して、作業者が手作業で凝集剤の投入量を調節して投入する構成であってもよい。
また、蛍光強度分析手段22による分析は、天気などによる被処理水の水質の変動に応じて適宜行ってもよいし、所定時間毎に行ってもよい。所定時間毎に行なう場合、例えば、10分〜20分毎に行うことが好ましい。
なお、蛍光強度分析手段22による測定対象は、急速混和池12の混和水や、フロック形成池13のフロック混和水を分級処理した水にすれば、沈澱処理水を用いて制御する場合と比較して、被処理水の水質が変動してからフロックの凝集操作条件が変更されるまでの時間を短縮でき、タイムリーに凝集剤の投入量を制御できる。
さらに、水処理設備を模擬した小型のジャーテスターに被処理水を導入し、このジャーテスターで得られた上澄み水を試料水として用いることもできる。こうしたジャーテスターを用いれば、フロックの凝集状態の情報をより迅速に得ることができる。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
1…水処理設備、11…着水井、12…急速混和池、13…フロック形成池、14…沈澱池、15…濾過池、20…凝集状態判別装置、21…試料水採取装置、22…蛍光強度分析手段、23…濁度測定手段、24…算出手段、25…凝集剤投入手段、26…pH調整剤注入装置、27…パラメータ調整装置。

Claims (11)

  1. 試料水に含まれる懸濁物の凝集状態を判別する凝集状態判別方法であって、
    試料水に含まれる特定有機物の蛍光強度を分析する蛍光強度分析工程と、
    試料水の濁度を測定する濁度測定工程と、
    前記蛍光強度分析工程で得られた前記特定有機物の蛍光強度値、および前記濁度測定工程で得られた前記試料水の濁度値に基づいて、前記試料水の凝集状態を判別する判別工程と、
    を有する凝集状態判別方法。
  2. 前記特定有機物は、トリプトファンである請求項1に記載の凝集状態判別方法。
  3. 前記判別工程で得られた判別結果に基づいて、前記試料水に投入する凝集剤の投入量が定められ、定められた量の前記凝集剤を前記試料水に投入する凝集剤投入工程を更に有する請求項1または2記載の凝集状態判別方法。
  4. 前記判別工程において、前記蛍光強度が規定値を超える場合、前記懸濁物の凝集状態が不良であると判断する請求項1ないし3いずれか一項記載の凝集状態判別方法。
  5. 前記判別工程において、前記蛍光強度が規定値を超え、かつ前記濁度値が規定値よりも低い場合は凝集剤の投入量が過剰であると判断し、前記蛍光強度が規定値を超え、かつ前記濁度値が規定値よりも高い場合は凝集剤の投入量が不足であると判断する請求項4記載の凝集状態判別方法。
  6. 前記試料水は、沈澱池における沈澱処理水、急速混和池における急速混和水、フロック形成池におけるフロック混和水のうちのいずれかであることを特徴とする請求項1ないし5いずれか一項記載の凝集状態判別方法。
  7. 前記フロック混和水は、前記試料水の採水後に一定時間静置させ、一定粒径以上のフロックを沈澱させるか、または、フィルター濾過によって一定粒径以上のフロックを分離させた後の水であることを特徴とする請求項6記載の凝集状態判別方法。
  8. 凝集剤はアルミニウム系無機凝集剤、鉄系無機凝集剤、高分子凝集剤のうち、少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項1ないし7いずれか一項記載の凝集状態判別方法。
  9. 試料水に含まれる懸濁物の凝集状態を判別する凝集状態判別装置であって、
    試料水に含まれる特定有機物の蛍光強度を分析する蛍光強度分析手段と、試料水の濁度を測定する濁度測定手段と、前記蛍光強度分析手段で得られた前記特定有機物の蛍光強度値、および前記濁度測定手段で得られた前記試料水の濁度値に基づいて、前記試料水の凝集状態を算出する算出手段と、を有する凝集状態判別装置。
  10. 前記特定有機物は、トリプトファンである請求項9に記載の凝集状態判別装置。
  11. 前記判別手段で得られた判別結果に基づいて、前記試料水に投入する凝集剤の投入量を定め、定められた量の前記凝集剤を前記試料水に投入する凝集剤投入手段を更に有する請求項9または10記載の凝集状態判別装置。
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