JP2016160465A - 希土類元素の回収方法 - Google Patents

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Abstract

【解決課題】浸出液の僅かなpH調整を行なうことにより、従来法のような大幅なpH調整をすることがなく、費用や手間を削減しながらも、収率よくボーキサイト残渣中の希土類元素を回収することができる希土類元素の回収方法を提供する。
【解決手段】バイヤー工程で副生する原料ボーキサイト残渣に浸出処理液を接触させ、希土類元素を含む浸出液を回収する浸出工程と、前記浸出液にリン酸エステル系抽出剤を含む抽出処理液を接触させ、希土類元素を含む抽出液を回収する抽出工程と、前記抽出液に逆抽出処理液を接触させ、希土類元素を回収する逆抽出工程とを有し、前記浸出工程では酸性の浸出処理液を用いてpH0.5以上1.2以下の浸出液を回収し、また、前記抽出工程では前記浸出液のpHを1.0以上1.7以下に調整した後に抽出処理液と接触させることを特徴とする希土類元素の回収方法である。
【選択図】なし

Description

この発明は、ボーキサイトからアルミナを製造するバイヤー工程で副生する固体残渣(以下、「ボーキサイト残渣」という。Fe23が主成分である場合は赤色であって一般に「赤泥」と称される。)を原料とし、有用なSc、Y、及びランタノイド等の希土類元素を回収するための方法であり、特に、ボーキサイト残渣から希土類元素を浸出させ、得られた浸出液から希土類元素を効率的に回収するための方法に関する。
希土類元素は、高強度Al合金、蛍光体、磁性体、光学ガラス、及び触媒等の用途に広汎に利用されており、特に、永久磁石の材料としての利用が急速に拡大しつつある。
アルミニウムの鉱石資源であるボーキサイト中にも希土類元素が含まれており、このボーキサイトから希土類元素を溶出させ、分離して回収することが知られており、また、ボーキサイトからバイヤー法で酸化アルミニウムを製造する際のバイヤー工程で副生するボーキサイト残渣を原料とし、亜硫酸を用いてこのボーキサイト残渣から希土類元素を浸出させ、得られた浸出液から希土類元素を分離して回収することも知られている(特許文献1)。
しかしながら、ボーキサイト残渣から希土類元素を回収する上記の特許文献1について検討してみると、ボーキサイト残渣から浸出処理液中に希土類元素を浸出させて浸出液を得る浸出工程において、2〜3回の浸出操作が必要であるとされ、これに伴って必要とされる浸出処理液の使用量が増加するほか、固液分離操作の回数も増加し、ボーキサイト残渣から希土類元素を回収する際のコストが高いという問題があった。
そこで、本発明者らは、先にこの特許文献1の問題を解決するための方法として、ボーキサイト残渣から希土類元素を回収するに際し、比表面積35m2/g以上のボーキサイト残渣を用い、また、浸出処理液として硫酸、塩酸、硝酸、及び亜硫酸から選ばれた1種又は2種以上の鉱酸の水溶液を用い、固液比2〜30及びpH0.5〜2.2のスラリーを調製し、室温〜160℃の温度条件で希土類元素の浸出処理を行い、次いで、浸出処理後のスラリーを固液分離して得られた浸出液から希土類元素を分離回収することを特徴とする希土類元素の回収方法を提案した(特許文献2)。
また、本発明者らは、ボーキサイト残渣等からNd−Fe−B系等の永久磁石の材料として特に利用価値の高いNd及びDyを効率的に浸出させて回収する方法として、浸出工程において、110℃及び2時間の乾燥条件で乾燥して得られた固体成分(S)中にCaをCaOとして4〜15質量%の割合で含むと共にTiをTiO2として2〜13質量%の割合で含むボーキサイト残渣を原料として用い、また、浸出処理液としてpH0〜2.7の塩酸及び/又は硝酸の酸水溶液を用い、更に、温度160〜300℃及び圧力0.65〜10MPaの加熱加圧条件下で希土類元素をCaと共に浸出させることを特徴とする希土類元素の回収方法を提案した(特許文献3)。
ところで、ボーキサイト残渣は、通常、Fe及びAlを特に多く含んでおり、これらのFe分及びAl分については、ボーキサイト残渣を鉱酸の水溶液等を用いて浸出処理した後においても、その浸出液中に不純物として浸出される。これら浸出液中のFe分やAl分などの不純物については、その後の浸出液からの溶媒抽出法による希土類元素(粗回収物)の回収工程において、有機相と水相との間などに乳濁物若しくは懸濁物(以下、「乳濁」という場合がある。)の相(以下、これを「第三相」という場合がある。)を形成することが分かっている。この第三相が発生した場合には、濾過等の方法により除去することができるものの、一部の希土類元素がこれに取り込まれることがあり、それにより希土類元素の回収率が下がることが懸念されていた。また、実際の操業のように浸出液が多量の場合には、第三相を分離する処理自体にコストや手間が掛かるといった問題も懸念されていた。
そのため、上記特許文献2及び3による希土類元素の回収方法においては、前記の第三相の発生を防止する目的から、予め、pH調整剤を用いて浸出液のpHを2.5〜3.5に調整し、Fe分やAl分等を析出させて析出物として除去してから、そのままか、またはpH1.2〜2.5に再調整した後に、溶媒抽出法による処理を行っていた。しかしながら、通常、得られた浸出液のpHは1.2以下であり、これをpH2.5〜3.5に調整するためには、極めて多量のpH調整剤が必要となりコストアップの要因となる。例えば、実際の操業レベルを想定した計算では、先ず、浸出液をpH1.0からpH3.0まで上昇させるには、浸出工程で原料スラリーをpH1.0までにする酸量の1/3と等量のアルカリを使用し、次いで、pH3.0からpH1.75とするにはさらに前記アルカリ量の半分の量の酸を使う。ここで、酸とアルカリが同じ価格として、固液比(L/S)を6とすると、濃硫酸費用換算で約25kg/m3を使用し、濃硫酸コストを仮に10円/kgとすると250円/m3の薬剤費となり、結果、薬剤費は1.5倍のコストアップとなる。更には、微細な析出物を濾過する固液分離工程も別途必要となり、更にコストがかかる。
したがって、従来のようなpH調製方法を用いると多大な費用や手間が掛かる。更に、本発明者らの検証によれば、前記のpH調整により析出される析出物中には、浸出液中に浸出された全希土類元素量のうちの約10%もの希土類元素が混入してしまうことが分かっており、尚且つこの混入した希土類元素は第三相を発生させる原因物質を含むので、当該希土類元素を回収するには別途浸出工程を作らなければならず、極めてコストがかかるものの、もし、回収しなければ希土類元素の回収率が顕著に低下してしまうことも問題であった。
一方で、浸出液中に含まれるFe分やAl分などの不純物のうち、特に、Al分は浸出液中に浸出される希土類元素の合計量のそれよりも顕著に多いが、このAl分は、リン酸エステル系抽出剤を用いた溶媒抽出法(抽出工程)では、軽希土類元素と同じような挙動をとることが分かっていることから、前述のpH調整等のようにAl分を希土類元素と分離できるような方法がないと、浸出液からの溶媒抽出法による希土類元素(粗回収物)の回収工程(抽出工程、逆抽出工程等)において、Al分を取り除く事は極めて難しくなるといった問題もあった。そのため、前述のpH調整などを行なわなくても、Al分を含まない希土類元素の回収方法が望まれていた。
更に、浸出液中に浸出される不純物については、その他にもFe、Ti、Th、Zr及びUなどの溶媒抽出性の高い金属不純物や、溶媒抽出性の低いCa、Mn、Si、Naなどの金属不純物や、その他有機物なども含まれている。ここで、溶媒抽出性の高い金属不純物については、逆抽出特性が悪いためその後の逆抽出工程においてある程度は逆抽出可能であるものの、連続的な処理を行っている場合には、その一部が逆抽剤中に逆抽出されずに残存し、溶媒抽出工程で使用された抽出剤(リン酸エステル系抽出剤などを含む抽出処理液)中に徐々に蓄積され、そして、その蓄積限界濃度を超えると、抽出処理液における希土類元素の抽出効率が阻害される問題が確認された。一方で、前記溶媒抽出特性の低い金属不純物については、溶媒抽出法(抽出工程)では抽出され難いため、特に問題は生じないものの、浸出工程で硫酸を用いた場合には、硫酸中での石膏の析出が見られ、また、当該金属不純物が高濃度であると、これと希土類元素とが共沈し、希土類元素の回収ロスを生じる問題が確認された。また、従来のような浸出液のpHを3程度にする大幅なpH調整を行なわないと、浸出液からの溶媒抽出法による希土類元素(粗回収物)の回収工程等において第三相が生成され、また、浸出液中に浸出されるフミン質の有機不純物についてはセトラー中にスカムを発生させて工程に障害を発生させると共に、これに希土類元素が取り込まれることも確認され、これらの析出物、第三相及びスカム等に起因して、希土類元素の回収率が低下するといった問題も確認された。
アメリカ合衆国特許第5,030,424号公報 WO2013/145455号公報 WO2013/085052号公報
そこで、本発明者らは、上記の問題を解決するために鋭意検討を進めたところ、意外なことには、溶媒抽出法による希土類元素の回収処理を行う前には、これに供する浸出液のpHを従来のpH調整よりも低く所定の範囲とすることにより、従来の方法のようにpHを大きく調整して析出された析出物を予め除去するなどの処理を行う必要なく、これによりpH調整に掛かるコストと手間とを大幅に削減しながらも、浸出液中に多量に浸出され尚且つ軽希土類元素との分離が難しいとされていたAl分の抽出率を低く抑えつつ、目的物である希土類元素を効率よく回収することができることを見出した。また、Al分の処理に限らず、浸出液中の酸化還元電位を調整して比較的多量に浸出される不純物であるFe分の抽出率を抑制したり、或いは、希土類元素の回収工程に先駆けて、所定の前処理を行なってTiなどの溶媒抽出性の高い金属や有機物などの不純物を予め分離して除去することにより、特に連続的な処理を行っている場合において、抽出工程の抽出効率を阻害することなく、効率よく希土類元素を回収することができることを見出し、本発明を完成した。
従って、本発明の目的は、従来の方法のような大幅なpH調整を行なう必要なく、そのような従来のpH調整に係る費用や手間を大幅に削減しながらも、浸出液中に浸出される不純物の分離を容易にして、原料ボーキサイト残渣から効率よく希土類元素を回収することができる希土類元素の回収方法を提供することにある。
すなわち、本発明は、バイヤー工程で副生するボーキサイト残渣を原料とし、前記ボーキサイト残渣に浸出処理液を接触させ、希土類元素を含む浸出液を回収する浸出工程と、前記浸出液にリン酸エステル系抽出剤を含む抽出処理液を接触させ、希土類元素を含む抽出液を回収する抽出工程と、前記抽出液に逆抽出処理液を接触させ、希土類元素を回収する逆抽出工程とを有するボーキサイト残渣からの希土類元素の回収方法であり、
前記浸出工程では酸性の浸出処理液を用いてpH0.5以上1.2以下の浸出液を回収し、また、前記抽出工程では前記浸出液のpHを1.0以上1.7以下に調整した後に抽出処理液と接触させることを特徴とする希土類元素の回収方法である。
本発明の希土類元素の回収方法においては、前記浸出工程と前記抽出工程との間には、前記浸出工程で回収された浸出液に0.01〜0.1mol/Lの濃度でリン酸エステル系抽出剤又はホスホン酸エステル系抽出剤を含む前処理液を接触させた後、ろ過処理を行い、希土類元素を含む前処理済浸出液を回収する前処理工程を有することが好ましい。
また、本発明の希土類元素の回収方法においては、前記抽出工程では、浸出液又は前処理済浸出液の酸化還元電位が300mV以下の条件下で、浸出液に抽出処理液を接触させることが好ましい。
また、本発明の希土類元素の回収方法においては、前記抽出工程における抽出処理液は、リン酸エステル系抽出剤の濃度が0.2〜1.5mol/Lであることが好ましい。
また、本発明の希土類元素の回収方法においては、前記逆抽出工程では、抽出液と逆抽出処理液とを接触させて分散し、抽出液相と逆抽出処理液相とを有する海島構造の相分離構造を形成すると共に、この逆抽出処理液相をその平均液滴径が0.2〜1.0mmとなるように分散させて、希土類元素を回収することが好ましい。
また、本発明の希土類元素の回収方法においては、前記逆抽出処理液が、40〜60質量%の硫酸水溶液であり、当該硫酸水溶液と前記抽出液とを接触させる体積比が、抽出液:硫酸水溶液=5:1〜10:1であることが好ましい。
また、本発明の希土類元素の回収方法においては、前記逆抽出処理液が、4N〜8Nの塩酸水溶液であり、当該塩酸水溶液と前記抽出液とを接触させる体積比が、抽出液:塩酸水溶液=5:1〜10:1であることが好ましい。
更に、本発明の希土類元素の回収方法においては、前記逆抽出工程において使用済みの抽出液に対して、酸水溶液を逆抽出剤として逆抽出を行い、蓄積したAl分を低減させて、再生抽出処理液として再利用をすることが好ましい。
本発明の希土類元素の回収方法によれば、浸出液の僅かなpH調整を行なうことにより、従来法のような大幅なpH調整をすることがなく、費用や手間を削減しながらも、浸出液中に浸出される不純物の分離を容易にして、効率よくボーキサイト残渣中の希土類元素を回収することができ、ボーキサイト残渣中の資源を有効に活用することができる。本発明は、特に、連続的な処理により溶媒抽出法を用いて希土類元素を回収する希土類元素の回収方法において、その意義が大きい。
図1は、本発明の逆抽出工程において、抽出液と逆抽出処理液とを接触させて攪拌した際に発生した複合粒子を説明するための説明図である。
以下に、本発明を実施するための形態を具体的に説明する。
本発明方法において、「希土類元素」という用語は、原子番号21のSc、原子番号39のY、及び原子番号57〜71のLa〜Lu(以下、「ランタノイド」という)を総称するものとして用いられるが、本発明の方法により原子番号89〜103のAc〜Lrが浸出され、分離されて回収されることを否定するものではない。なお、本願発明において、「軽希土類元素」とは、La、Ce、Pr、Nd、Smを指し、「中希土類元素」とは、Eu、Gd、Tbを指し、「重希土類元素」とは、Dy、Ho、Y、Er、Tm、Yb、Luを指すものとする。
先ず、本発明で使用する原料ボーキサイト残渣については、特に制限されるものではないが、その比表面積が35m/g以上のものを使用することが好ましい。このような比表面積のボーキサイト残渣には、希土類元素が比較的高濃度で濃縮されやすいためであり、希土類元素を効率よく浸出させることができるからである。このような高比表面積のボーキサイト残渣は、公知の通り、例えば、比表面積26m2/g以上のボーキサイトを原料とし、処理温度160℃以下の条件で行ったバイヤー工程から得られたボーキサイト残渣や、或いは、比表面積26m2/g以上のボーキサイトを原料とし、処理温度230℃未満の条件で行ったバイヤー工程から得られ、かつ、CaO含有量が4質量%未満のボーキサイト残渣を、更に分画処理して得ることができる。また、比較的高比表面積の微細粒子と比較的低比表面積の粗大粒子とが混在して比表面積が35m2/g未満であるボーキサイト残渣から、分画処理により選択的に微細粒子を主とする比表面積35m2/g以上の高比表面積画分の原料ボーキサイト残渣を得るための方法としては、例えば篩目38〜400μm、好ましくは篩目38〜300μmの大きさの篩を利用して分級する方法を例示することができる。この篩目38〜400μmの篩を用いた分画処理は、湿式であっても、また、乾式であってもよい。
また、本発明において、原料ボーキサイト残渣中の希土類元素の含有量については、特に制限はないが、浸出処理での浸出効率の観点から、好ましくは110℃及び2時間の乾燥条件で乾燥して得られた固体成分中に、合計で1500ppm以上の希土類元素が含有されていることが好ましい。希土類元素の合計含有量が1500ppm未満であると、絶対量が少ないことに起因して採算性が低下する場合があるからである。
本発明においては、原料ボーキサイト残渣に酸性の浸出処理液を接触させてスラリーを調製し、浸出処理を行って希土類元素を含む浸出液を回収する(浸出工程)。この浸出工程で使用する浸出処理液は、酸性の溶液であれば限定されないが、硫酸、塩酸及び硝酸などの鉱酸を単独で、又は2種以上を混合したものを好適に使用することができる。この浸出工程において回収される浸出液のpHは0.5〜1.2、好ましくは0.9〜1.1とすることがよい。浸出液のpHが1.2より高くなると、希土類元素の浸出率が低下し、反対に、浸出液のpHが0.5未満であると、酸の使用量が著しく増加すると共にScを除く希土類元素の浸出率が低下し、かつ、Al、Fe、Ti等の不純物元素の浸出率が高くなって不純物を取り除くコストが増加する。このスラリー調製については、原料ボーキサイト残渣に水を添加し、混合して所定濃度のスラリー状態としてから、スラリーと鉱酸等とを分散させながら同時に一定な比で反応槽に添加し、撹拌混合しつつ所定の時間経過し反応させたスラリーのpHを測定してそのpHを目標とする値と比較し、スラリーと鉱酸の比率を調整して所定のpH値になるようにするか、或いは、原料ボーキサイト残渣に所定の量の水を加えてスラリーを作成し、所定の量の鉱酸等を少量ずつ添加し、混合してから水を添加・混合してもよいが、好ましくは、計量した原料ボーキサイト残渣に所定の量の水を加えてスラリーとし、スラリーの固液比を測定して、スラリー流量に比例した所定濃度の鉱酸流量を反応槽に同時添加して撹拌混合し、所定時間経過後のスラリーのpHを測定して、鉱酸の流量比を調整して所定のpHのスラリーとする事によって調製されたスラリーの固液比(L/S)及びpH値を容易に所望の値に調整することができる。
また、調製されたスラリーの固体成分(S)と液体成分(L)との固液比(L/S)は、2以上30以下、好ましくは4以上10以下であるのがよい。このスラリーの固液比(L/S)が2より低いとスラリーの粘性が上昇し、後の固液分離処理での取扱いが困難になり、その結果として浸出液の回収率が低下することになり、反対に、スラリーの固液比(L/S)を30より高くしても希土類元素の浸出率が飽和して向上しないだけでなく、使用する水量が増加して浸出液の液量が増加し、浸出処理後に浸出液を得る固液分離やこの浸出液から希土類元素を回収する分離回収の際に使用する装置が大型化し、また、装置の大型化や使用する薬剤、更には廃棄物処理のためにコスト高になるというデメリットが生じる。
浸出処理の際の処理温度は、室温(20℃)以上160℃以下、好ましくは25℃以上105℃以下の範囲である。希土類元素の浸出率は、処理温度が高くなるにつれて高くなる傾向にあるが、不純物のAl、Feの浸出率も上昇するため、エネルギーコストや回収される希土類元素の種類や浸出率等のバランスを考慮して選択し、決定されるのがよい。
また、浸出処理における前述の温度での保持時間は1秒以上、180時間以下とする。好ましくは、Scの浸出に対しては30分以上180時間以下、ランタノイドの浸出に対しては1秒以上7分以下である。浸出処理中、スラリーを攪拌するとバラツキの少ない浸出率が得られて好ましい。保持時間が1秒未満になると浸出率のバラツキが大きくなるという問題が生じる。また、ランタノイドの浸出に際しては、1秒以上7分以下の保持の直後に、スラリー量と等量以上であって50℃以下の温度の水で希釈し、冷却することも好適である。このようにすることにより、前記浸出温度での浸出処理の保持時間を容易に制御することができる。あるいは、1秒以上7分以下の保持時間でランタノイドを浸出させてランタノイドを回収した後に、改めて30分以上180時間以下の保持時間でScを浸出させるようにし、Scとランタノイドの両者を効率的に浸出させ、回収することができる。
浸出処理後のスラリーは、直接、或いは先述のようにpHを0.5〜1.2に調整した後、濾過、遠心分離、沈降分離、デカンテーション等の手段で固液分離され、希土類元素を含む浸出液が回収される。この固液分離により生じた固体残渣については、好ましくは洗浄水を用いて洗浄し、固体残渣に付着した浸出液を洗浄し、水中に移行させて回収し、先に固液分離して得られた浸出液と併せて次の希土類元素を分離回収するための浸出液とすることもできる。この固体残渣の洗浄に用いる洗浄水の使用量は、少なすぎると固体残渣に付着した浸出液を十分に回収することができず、反対に、多すぎると次の希土類元素の分離回収処理の際に負荷が大きくなるので、固体残渣(S)と洗浄水(L)の固液比(L/S)で通常2〜30の範囲であるのがよい。
上記の固液分離処理(浸出工程)で得られた浸出液は、後述のようにpHを1.0〜1.7に調整した後、次にSc、Y及びランタノイドである希土類元素を分離して回収するための希土類元素の分離回収に移送される。この浸出液からの希土類元素の分離回収は、公知の方法を用いることができ、例えば、水酸化物析出法、蓚酸塩析出法、炭酸塩法、溶媒抽出法、イオン交換樹脂法等が挙げられるが、本発明においては工程上の問題が少なく、且つ連続に処理ができて低コストである等の理由から、溶媒抽出法を使用する。溶媒抽出法以外の方法を積極的に用いない理由としては、1)蓚酸塩析出法では浸出液中に多量に浸出されるAlが希土類元素よりも先に蓚酸と反応するので蓚酸の使用量が莫大となり、また、2)炭酸塩法では、Al及びFeの除去が不十分となりやすく、更に、3)水酸化物析出法では、使用するアルカリの量が莫大となり、更にまた、4)イオン交換樹脂法では、イオン交換樹脂の目詰まりが起きやすい等の問題があるからである。具体的には、浸出工程において回収された希土類元素を含有する浸出液、又は、当該浸出液に対して後述する前処理を施した前処理済みの浸出液(以下、これを「前処理済浸出液」という。)に、リン酸エステル系抽出剤を含む抽出処理液を接触させて、抽出処理液中に希土類元素(粗回収物)を抽出した抽出液を回収する(抽出工程)。具体的には、浸出液又は前処理済浸出液と抽出処理液とを、撹拌羽根のついたミキサーなどを用いて攪拌して混合し、それにより希土類元素を抽出処理液に抽出する。
本発明において、前記抽出工程で抽出処理液と接触させる浸出液又は前処理済浸出液のpHは、1.0以上1.7以下とすることが必要であり、好ましくは1.2以上1.6以下であることがよい。浸出液又は前処理済浸出液のpHが1.7を超えると、Alが抽出処理液中に抽出される速度が顕著に向上してしまい、結果として、抽出工程で回収される抽出液にAl分が多量に含まれることとなり、前述の通り、その後の精製を行なう工程の負担が増加、または、精製後の製品(希土類元素)中への不純物の増加の問題が起こる。なお、希土類元素の抽出処理液に対する抽出速度については、浸出液又は前処理済浸出液のpH1.7前後では大きく変化することはない。一方で、浸出液又は前処理済浸出液のpHが1.0未満である場合には、特に、軽希土類元素及び中希土類元素の抽出率それ自体が低下するため、軽希土類元素及び中希土類元素の回収率が低下してしまう。このように浸出液又は前処理済浸出液のpHを調整するためには、公知の方法を用いることができ、アルカリや酸を含むpH調整剤を使用することができる。pH調整剤として、バイヤー工程で副生するボーキサイト残渣を使用することも可能であり、アルカリや酸などの薬品の使用量を節約することができ、尚且つ、pH調整剤として追加したボーキサイト残渣に含まれる希土類元素が浸出液に浸出されるので、希土類元素の効率的な回収をすることができる。
ここで、前記抽出処理液に含まれるリン酸エステル系抽出剤としては、リン酸水素ビス(2-エチルヘキシル)(D2EHPA)、リン酸トリブチル(TBP)などが挙げられるが、このうち、pHが低い浸出液からの希土類元素の抽出及び逆抽出能力において希土類元素とアルミニウムを分離する能力に優れている理由から、D2EHPAを使用することが好ましい。抽出処理液中における前記リン酸エステル系抽出剤の濃度については、0.2〜1.5mol/Lが好ましく、より好ましくは、Al分の抽出率を抑えつつ、軽希土類元素の抽出率を比較的高くできるとの理由から、0.8〜1.2mol/Lである。当該濃度の調整方法としては、前記リン酸エステル系抽出剤を、無極性の有機溶媒で希釈して使用することができる。無極性の有機溶媒としては、ヘキサン、デカン、ドデカン及びテトラデカンから選択される1種又は2種以上の脂肪族炭化水素、ベンゼン、トルエン及びキシレンから選択される1種又は2種以上の芳香族炭化水素、オクタノール及びデカノールから選択される1種又は2種のアルコール、並びにケロシンに代表される石油分留物を挙げることができ、必要に応じてこれらの有機溶媒を混合して使用することも可能である。また、溶媒抽出法による抽出を2段階以上に亘って実施することも可能であり、2段階以上とすることにより、粗回収物としての希土類元素を、各々の希土類元素への分離も可能となるため好ましい。
前記抽出工程において浸出液又は前処理済浸出液と抽出処理液との接触時間については、5分以下とすることが好ましく、より好ましくは3分以下である。接触時間が5分よりも長くなると、抽出処理液に抽出されるAl量が多くなり、前述のように、その後の精製を行なう工程の負担が増加、または、精製後の製品(希土類元素)中への不純物の増加となることが問題となる。また、その後の工程におけるAlの分離処理に費用や手間が掛かり、コスト的に不利になるためである。なお、浸出液又は前処理済浸出液と抽出処理液とを接触させる液比については、浸出液又は前処理済浸出液:抽出処理液=1:1〜10:1が好ましく、好ましくは、3:1〜10:1であることがよい。
また、前記抽出工程においては、抽出処理液と接触させる浸出液又は前処理済浸出液の酸化還元電位(銀/塩化銀電極電位基準)が300mV以下であることが好ましく、100mV以下であることがより好ましい。前記の酸化還元電位が300mV以下である場合には、pHが1.0〜1.7の浸出液又は前処理済浸出液については、これらに含まれるほとんどのFeイオンを、その後の抽出工程において抽出処理液に抽出されやすい3価(Fe3+)の状態から、抽出されにくい2価(Fe2+)の状態にすることができるので、結果として、抽出液に抽出され、逆抽出できない不純物として抽出液に蓄積されるFeを減少させることができる。それにより、抽出工程で回収された抽出液中に蓄積されるFeやTi等の不純物を、アルカリで逆抽出して、抽出処理液として再生させる頻度を大幅に減少することができる点で好ましい。浸出液又は前処理済浸出液の酸化還元電位を調整する方法としては、電解還元処理又は還元剤の添加による方法を挙げることができる。電解還元処理として具体的には、金属イオンの溶出がないアノードを用い、且つ水素過電圧の大きなカソードを用いて、カソードの面積をアノードに比べて大きくし、かつ、カソード電極を揺動あるいは回転させて、浸出液とカソードとの接触機会を増加させ、カソードの限界電流密度を大きくして、限界電流密度の5倍以下程度になるよう電極面積を設計した電解槽を用い直流で行なう。限界電流密度はFe3+濃度によって大きく変化するので電解槽を複数設け最適設計すると効果が大きい。また、還元剤としては、チオ硫酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、金属亜鉛、金属鉄などが挙げられる。いずれも、浸出液又は前処理済浸出液の酸化還元電位を測定した上で、適宜条件や添加量などを調整して行うことがよい。還元処理した後は浸出液又は前処理済浸出液を空気にさらす機会を減少させて空気酸化による影響を少なくすることが好ましい。このような浸出液又は前処理済浸出液の酸化還元電位は、抽出工程に供される直前に上述の範囲であればよい。すなわち、浸出工程と抽出工程との間に他の処理を含んでいる場合であっても、抽出処理液と接触させる直前に上記の範囲を満たすように適宜調整を行えばよい。
また、本発明においては、浸出工程により回収された浸出液から希土類元素を分離回収する抽出工程に先駆けて、回収された浸出液を前処理して、予め不純物を除去するなどを行なうことが好ましいが(前処理工程)、特に、浸出液にリン酸エステル系抽出剤又はホスホン酸エステル系抽出剤を含む前処理液を接触させることにより、浸出液に含まれるScやTiなど抽出工程での逆抽出性の低い金属や、放射性物質であるTh、Uや、ボーキサイト由来の有機物などの不純物を予め前処理液に抽出して除去する前処理を行なうことが好ましい。このような前処理を行なうことにより、浸出液中に含有される前記不純物の濃度を低減させることができ、結果的にそれ以降の工程において希土類元素の分離回収を効率化できる。前処理液に含まれるリン酸エステル系抽出剤については、D2EHPA、TBPなどが挙げられ、また、ホスホン酸エステル系抽出剤としては、2−エチルヘキシルホスホン酸モノ−2−エチルヘキシルエステル(PC88A)を使用することが好ましい。また、前処理液中のリン酸エステル系抽出剤又はホスホン酸エステル系抽出剤の濃度については、Ti、Th、UおよびScを抽出し、Yおよびランタノイドを抽出しない特性とする点から、好ましくは0.01〜0.1mol/L、より好ましくは0.02〜0.08mol/Lとすることが好ましい。この前処理液の濃度の調整には、前述の通りの無極性の有機溶媒を用いた方法などが挙げられる。なお、浸出液と前処理液とを接触させる液比については、5:1〜1:1が好ましく、より好ましくは2:1〜3:1である。さらに、抽出剤の濃度と液比を掛け合わせた抽出剤濃度は、0.02〜0.03mol/L(浸出液比)が好ましい。また、接触時間については、2〜10分であることが好ましい。この際、Scについては、この前処理を行なうことにより前処理液中に抽出されるが、pH7.5以上のアルカリ水溶液を用いて前処理液を逆抽出処理することにより、前処理液からScを固体水酸化物として回収することができる。逆抽出処理液としては、6N-HCl、1mol/L-Na2CO3、6〜12N-NaOHが用いられるが、好ましいのは、10〜12N−NaOHである。前記10〜12N−NaOHは逆抽出回数が多くなっても前処理液の能力が変化しないからである。さらに、逆抽出処理済みの前処理液は、所定量の酸又はアルカリを使って浸出液のpHの制御を行うことができる。なお、前処理工程の抽出攪拌液、または、セトラーで分離後の浸出液を濾過することによって抽出工程では第三相の発生が防止される。
そして、本発明においては、抽出工程で回収された抽出液から希土類元素を回収するために、抽出液に逆抽出処理液を接触させて逆抽出処理を行うことにより、希土類元素の回収を行なう(逆抽出工程)。逆抽出処理液としては、塩酸又は硫酸の使用が好ましい。希土類元素を全て逆抽出によって回収するためには、4N〜8Nの塩酸水溶液又は40〜60質量%の硫酸水溶液を利用することが好ましい。当該逆抽出工程に先立って、0.2Nの塩酸水溶液を用いてCa分を逆抽出することも可能である。Ca分を逆抽出することによって逆抽出工程での配管の詰まり等の石膏の析出に伴う不具合を除く事ができる。
逆抽出処理液として4N〜8Nの塩酸水溶液を使用する場合、抽出液と接触させる体積比(連続的な処理の場合には、単位時間当たりの流量比)を、抽出液:塩酸水溶液=5:1〜10:1とすることが好ましい。抽出液と塩酸水溶液との体積比(単位時間当たりの流量比)を前記の範囲として接触させることにより、接触の機会を少なくすることなく逆抽出液の濃度を高めることができるので好ましい。また、接触時間は、5分間以下とすることが好ましく、1〜3分間とすることがより好ましい。短い逆抽出時間によってAlの逆抽出量を少なくすることが可能で、かつ、1分以上であれば希土類元素の逆抽出率は十分となり、これによりAlと希土類元素との分離比を高くすることができる。このような塩酸水溶液を用いて逆抽出処理を行うことにより、塩酸水溶液として希土類元素を回収すると共に液比を高くすることによって高度の濃縮をして、その後の精製工程の直接の原料液とすることができるので好ましい。
他方、逆抽出処理液として濃度40〜60質量%の硫酸水溶液を用いる場合、抽出液と接触させる体積比(連続的な処理の場合には、単位時間当たりの流量比)を、抽出液:硫酸水溶液=5:1〜10:1とすることが好ましい。抽出液と硫酸水溶液との体積比を前記の範囲として接触させることにより、良好な抽出液と硫酸液との接触が可能であり、これにより得られる希土類元素と硫酸との複塩(以下、これを「希土類元素硫酸複塩」或いは「固体硫酸塩」と呼ぶ。)の硫酸への溶解量を少なくすることができるので好ましい。硫酸濃度が低くなると複塩の溶解度が高くなると共に逆抽出性が低下するため液比を下げなくてはならず、装置が大型となってコストが高くなる。硫酸濃度が高くなると比重と粘性が大きくなって、取り扱いが困難となる。逆抽出処理によれば、抽出液の希土類元素は、飽和濃度となった硫酸と接触することにより希土類元素硫酸複塩として析出されるので、これにより沈降分離で固体として希土類元素を回収することができるので好ましい。また、逆抽出時間は、5分間以下とすることが好ましく、0.5〜3分間とすることがより好ましい。短い逆抽時間によってAlの逆抽量を少なくすることが可能で、かつ、0.5分以上であれば希土類元素の逆抽出率は十分となりAlと希土類元素との分離比を高くすることができるためである。
なお、前記抽出処理を行って希土類元素を回収した後のAlを多く含む抽出液(有機相)については、40〜60質量%の硫酸水溶液や4〜8N塩酸水溶液等の酸を逆抽出剤として、これと50分間以上接触させる逆抽出処理を行うことにより、当該有機相中に抽出されたAlを硫酸アルミニウム又は塩化アルミニウムとして分離・除去することができる。このAl分を分離・除去した有機相については、再生抽出処理液として再利用することができる。
本発明において、前記逆抽出工程では、希土類元素を含んだ抽出液(有機相)と逆抽出処理液(水相)とを接触させて分散し、抽出液相(有機相)と逆抽出処理液相(水相)とを有する海島構造の相分離構造を形成すると共に、この形成される略球状の逆抽出処理液相(液滴)の平均直径(平均液滴径)を0.2〜1.0mm、好ましくは0.2〜0.8mmとなるように分散させることが好ましい。このように、抽出液と逆抽出処理液とを接触させた液中で逆抽出処理液相が微小な液滴径となるまで強攪拌することにより、抽出液と逆抽出処理液とを効率よく接触させることが可能となり、結果として希土類元素を効率よく逆抽出処理液相に回収することができる。前記液滴径の測定は、公知の方法を用いることができるが、例えば、カメラでストロボを使用し撮影する等により静止画像を得た上で、それに基づいて計測することができる。
本発明において、前記逆抽出工程において希土類元素を含んだ抽出液と逆抽出処理液とを接触させて分散させる場合には、例えば、回転式の撹拌羽根などの強制攪拌機を用いて強制的に攪拌させることにより、中心部から空気を導入させ、攪拌羽根の剪断力により液中に気泡を発生させることが好ましいが、その他、撹拌羽根の下部に空気等のガスを導入し、気泡の発生をより顕著にすることも好ましい。このように液中に気泡を発生させることにより、気泡による剪断力が液に加わると共に、上昇流を生む気泡と比重が大きく下降流を生む逆抽出処理液相(液滴)との流れが、逆抽出処理液相の攪拌・分散を効率よくすることが可能となると考えられる。撹拌による逆抽出効率を高める上で、液中に発生させる気泡の平均直径が0.2〜0.6mmとなるように攪拌条件を適宜設定することがよいが、例えば、回転式の攪拌羽根の周速が75〜400m/minとなるように制御する方法が挙げられる。
さらに、抽出液と逆抽出処理液とを接触・分散して形成される逆抽出処理液相について、本発明者らが詳細に観察したところ、前述のような方法により液を攪拌して気泡を発生させると、逆抽出処理液相が気泡の表面に付着して一体となって1つの粒子(以下、これを「複合粒子」と呼ぶ。)を形成する現象も確認された(図1)。すなわち、この場合、逆抽出処理液相が形成する液滴は、より詳細には、気泡と逆抽出処理液相の液滴とが一体となった複合粒子であることが確認された。本願発明者らの推測によれば、逆抽出処理液相が気泡の表面に付着することにより、より比重が大きい逆抽出処理液相が抽出液相の比重と近くなって、これにより気泡(すなわち、逆抽出処理液相が付着した複合粒子)の分散を良好にできると考えられる。このように逆抽出処理液相が気泡の表面に付着して複合粒子を形成する現象が起こるように攪拌条件を適宜設定することが特に好ましいが、この際の複合粒子の平均直径については、0.2〜0.6mmであることが好ましい。
そして、前述のような方法を用いて逆抽出処理を行うことにより、抽出液から希土類元素を高い逆抽出率にて回収することが可能となり、特に、軽希土類元素については、100%に近い逆抽出率で回収することも可能となるため、好ましい。
そして、前記逆抽出工程により回収したY及びランタノイドである希土類元素の粗回収物からの各元素への精製分離は、公知の溶媒抽出法による向流多段溶媒抽出法によることが好適である。
以下に、ボーキサイト残渣を原料とする本発明の希土類元素の回収方法を、実施例及び比較例に基づいて、具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例及び比較例に限定されるものではない。
[実施例1]
〔原料ボーキサイト残渣の調製〕
ボーキサイトを、ボールミルを用いて粉砕したのち、処理温度135℃及びCaOの添加量3.0%の条件でバイヤー工程を実施し、このバイヤー工程からボーキサイト残渣を回収した。回収されたボーキサイト残渣の比表面積は51.5m/gであった。比表面積の測定は、直読式比表面積装置〔商品名:MONOSORB;Quantachrome Instruments(FL,USA)製〕を用いて行った。また、得られたボーキサイト残渣に含まれる希土類元素の含有量(ppm)を誘導結合プラズマ発光分光分析法(ICP−AES)により測定したところ、合計で3000ppmであった。
[浸出工程]
次いで、前記のボーキサイト残渣100質量部に対して、水を500質量部加えてスラリーとし、100メッシュの振動式湿式フィルターで濾過して、濃度190g/L、固液比(L/S)5.26の浸出処理用のスラリーとした。次いで、この浸出処理用のスラリーと6N−硫酸水溶液とを、常圧、温度25℃の条件の下、攪拌羽根を備えた第1反応槽の上部から液滴となるように流量を制御して添加し、それらを撹拌しながら浸出反応を行った。30分の滞留後、反応槽下部からスラリーを取り出し、これを撹拌羽根を備えた第2反応槽に送出し、撹拌した。また、第2反応槽に備えられたpH測定装置によりスラリーのpHを随時測定しながら、pHが1.0になるように浸出処理用のスラリーと6N−硫酸水溶液との流量比を制御した。30分の滞留後、第2反応槽下部からスラリーを取り出し、撹拌羽根を備えた第3反応槽に送出した。前記第2反応槽と同じ操作を、この第3反応槽及び次の第4反応槽でも行なった。そして、第4反応槽の下部から取り出された浸出処理が終了したスラリーを100メッシュの振動式湿式フィルターで濾過し、得られたボーキサイト残渣スラリーを原料のボーキサイト残渣の重量換算14%と共に撹拌羽根を備えたpH制御反応槽に送出した、30分の滞留後、下部から取り出されたスラリーを濾過準備槽に送り、フィルタープレス濾過機を用いて固液分離して、浸出液を93%回収した。回収された浸出液は、浸出液貯槽に貯留し、pHを測定したところ、1.4であった。また、回収された浸出液について、ICP−AESにより、希土類元素及び不純物(Al、Si、Fe、Ca、Mn、Ti及びTh)の含有量(ppm)を測定し、ボーキサイト残渣からの浸出率を求めた。結果を表1に示す。
[前処理工程]
次いで、浸出液の前処理を行なった。すなわち、得られた浸出液を、前処理を行なうミキサーに移送し、次いで、PC88A〔大八化学工業(株)製〕を0.02mol/L含むケロシンを前処理液として用いて、浸出液と前処理液とを液比1:1で接触させ、ミキサーで5分間攪拌した。その後、この浸出液と前処理液との混合液を1μmのフィルターを通過させた後、これをセトラーに移送して15分間静置し、有機相と水相とに分離させた。このうち水相については、前処理済浸出液として、その後の抽出工程に移送した。なお、有機相上部にはスカムが発生したので、発生したスカムをフィルターで濾過処理し、これを前処理逆抽出槽に移送した。その後、12Nの苛性ソーダを逆抽出処理液として前記濾過処理後の有機相に添加し、苛性ソーダと有機相とを液比1:10で5分間接触させて攪拌後、15分間静置し、当該前処理工程における逆抽出後の有機相と水相(苛性ソーダ)とに分離させた。水相(苛性ソーダ)はバグフィルターで濾過した。バグフィルターには赤褐色の泥が集積したが、この泥を誘導結合プラズマ発光分光分析(ICP-OES)および誘導結合プラズマ質量分析(ICP-MS)により分析したところ、Sc、Ti成分と少量のZr、Th、U、Al及びFeが検出された。Sc、Tiの浸出液からの抽出率はそれぞれ100%であった。当該前処理工程における前記逆抽出後の有機相については、その状態で、あるいは6N-硫酸水溶液と混合した後、前処理液として再利用した。
[抽出工程]
次いで、前記の前処理工程で回収された前処理済浸出液のpHを測定した上で、pHを1.2に調整した。pH調整後の前処理済浸出液を抽出槽に移送し、D2EHPA〔大八化学工業(株)製〕を0.8mol/L含んだケロシンを抽出処理液として用いてこれを抽出槽中に添加して、前処理済浸出液と抽出処理液とを液比3:1で接触させて3分間攪拌し、その後、15分間静置し、有機相と水相とに分離させた。このうち有機相については、希土類元素を抽出した抽出液として回収し、その後の逆抽出工程を行なう逆抽出槽へ移送した。なお、抽出処理後の水相については、石灰で中和処理してポンドに廃棄処理した。
抽出液に回収された希土類元素の量及び不純物の量をICP-OESにより測定し、前処理済浸出液からの抽出率を求めた。結果を表2に示す。
[逆抽出工程]
上記抽出工程で回収された抽出液からの希土類元素の回収方法は、以下の通りに行なった。すなわち、抽出工程から逆抽出槽に移送された抽出液に対して、逆抽出処理液として50%硫酸水溶液を用いて、抽出液と逆抽出処理液とを液比10:1として接触させ、回転式撹拌羽根のミキサー槽を用いて滞留時間3分で攪拌した。この際、撹拌羽根の心棒に穴を開けて空気を攪拌羽根の中心から液中に導入して気泡を発生させ、槽内を均一に回るようにし、尚且つ撹拌羽根の回転速度を2000rpmに調整して、攪拌羽根の周速度が350m/minとなるようにした。液中の気泡の平均直径を求めたところ0.3mmであった。この際の気泡については、図1に示したように、硫酸よりなる逆抽出処理液相の液滴が発生した気泡の表面に付着し、複合粒子を形成していた(図1)。なお、複合粒子の平均直径については、槽の上部からストロボを照射し、のぞき窓からカメラで撮影して得られた静止画像に基づいて測定した。
その後、抽出液と逆抽出処理液との混合液をセトリング槽に移送し、20分間静置して有機相と水相とに分離させた。このうち水相を回収し、これをフィルター槽に移送し、当該水相中に析出した析出物を分離し、ICP-OESにより測定したところ、この析出物は、約50質量%が希土類元素の固体硫酸塩であり、その他約50質量%の硫酸カルシウムが含まれていた。抽出液からの希土類元素及び不純物金属の回収率を逆抽出率として求めた。その結果を表3に示すが、希土類元素の逆抽出率は、ほぼ100%であった。
析出物を分離した後の水相は、逆抽出処理液として再利用するために、貯槽に移送した。なお、上記逆抽出処理後の有機相については、洗浄槽に移送される。洗浄槽では、当該有機相と50%硫酸水溶液(逆抽出剤)とを液比10:1で合計120分間ミキシングし、その後、15分間静置して有機相(洗浄後有機相)と水相(洗浄後水相)とに分離する。このうち、Al分などが除去された洗浄後有機相を、再度、抽出処理液(再生抽出処理液)として使用するために分離した。
[実施例2〜5、比較例1〜3]
実施例1と同様の方法において、浸出工程及び前処理工程を経て回収された前処理済浸出液のpHを0.9〜2.0の範囲で変更し、それ以外は実施例1と同一の手順で希土類元素の回収を行なった。抽出工程における前処理済浸出液からの希土類元素及び不純物の抽出率を測定し、その結果を表2に示す。
[比較例4]
実施例1の方法のうち、浸出工程で得られた浸出液のpHを一旦3.0とし、これにより析出した析出物を除去してから、pHを1.5に調整し、その後、前処理工程を行なうことなく、それ以外は実施例1と同じように抽出工程・逆抽出工程を経て、希土類元素を回収した。抽出工程における希土類元素及び不純物の抽出率を測定し、その結果を表2に示す。
この表2に示された実施例1〜5及び比較例1〜3の抽出率の結果によれば、浸出液のpHが1.7を超えると、Alの抽出率が急激に上昇することが分かる。また、特に浸出液のpHが1.2〜1.7では、Alの抽出率を抑えつつ、尚且つLaなどの軽希土類元素の抽出率をより高くできることが分かる。一方で、浸出液のpHが1.0未満では、Alの抽出率は低いものの、軽希土類元素及び中希土類元素の抽出率が低く、このうち軽希土類元素の抽出率が顕著に低くなることが分かり、他方、従来のように浸出液のpHを一旦3.0とした場合には、その後の浸出液のpHを1.5としても、当該pH調整に起因した希土類元素の抽出率の低下が確認された。
[実施例6〜8]
[電解還元による浸出液の酸化還元電位の調整]
実施例1と同様の方法において、前処理済浸出液のpHを1.3としたものと、それを更に電解還元装置(自社製)を用いて酸化還元電位が+300mV以下(Ag/AgCl電極基準)となるように還元したものを準備し、それらの酸化還元電位の実測値を白金電極とHS-205C(塩化銀電極)(東亜DKK社製)を用いてデジタル電圧計で測定した。それ以外は実施例1と同一の手順で希土類元素の回収を行なった(実施例6、実施例7)。抽出工程における前処理済浸出液からの希土類元素及び不純物の抽出率を測定し、結果を表4に示す。
[還元剤添加による浸出液の酸化還元電位の調整]
実施例1と同様の方法において、前記前処理済浸出液のpHを1.3としたものに、還元剤として金属鉄(スチールウール)を添加して、酸化還元電位が+300mV以下(Ag/AgCl電極基準)となるように還元した。還元処理後の酸化還元電位の実測値は前記と同様の方法で測定した(実施例8)。それ以外は実施例1と同一の手順で希土類元素の回収を行なった。抽出工程における前処理済浸出液からの希土類元素及び不純物の抽出率を測定し、結果をそれぞれ表4に示す。
この表4の結果によれば、浸出液の酸化還元電位が0−250mVである実施例7〜8は、酸化還元電位の調整を行なわない実施例6と比較して、Feの抽出率が顕著に低くできることがわかる。
[実施例9〜11]
実施例1における抽出工程において、前処理済浸出液のpHを1.3とし、また、その前処理済浸出液を空気でバブリングして酸化還元電位を470mVとし、更に、抽出工程の条件を表5のように変更して、それ以外は実施例1と同一の手順で希土類元素の回収を行なった。抽出工程における前処理済浸出液からの希土類元素及び不純物の抽出率を測定し、その結果を表5に示す。抽出処理液の濃度条件を変えつつ、液比及び段数を調整することにより、Alの抽出率を制御しながらも、希土類元素を効率よく抽出することができることが分かる。
[実施例12、13]
実施例1における逆抽出工程において、前処理済浸出液のpHを1.5とし、また、抽出工程(1回目:0.3mol/L、2回目:1.2mol/L)及び逆抽出工程の条件を以下の表6の通りとした。逆抽出処理液としては6N−塩酸水溶液を使用した。それ以外は、実施例1と同様の方法により、水相(塩酸水溶液)を回収し、希土類元素を回収した。その結果を表6に示すが、逆抽出特性がよい塩酸水溶液を用いて、抽出処理液の濃度を軽中希土元素と重希土元素とに分けて用いることにより、良好な抽出率と逆抽出率を得ることが可能で抽出工程及び逆抽出工程の両方において希土類元素を25〜100倍に濃縮しながらも、Al分は濃縮されることなく、塩酸水溶液として希土類元素を回収することができる。
1…複合粒子、2…気泡部分、3…逆抽出処理液相

Claims (8)

  1. バイヤー工程で副生するボーキサイト残渣を原料とし、前記ボーキサイト残渣に浸出処理液を接触させ、希土類元素を含む浸出液を回収する浸出工程と、前記浸出液にリン酸エステル系抽出剤を含む抽出処理液を接触させ、希土類元素を含む抽出液を回収する抽出工程と、前記抽出液に逆抽出処理液を接触させ、希土類元素を回収する逆抽出工程とを有するボーキサイト残渣からの希土類元素の回収方法であり、
    前記浸出工程では酸性の浸出処理液を用いてpH0.5以上1.2以下の浸出液を回収し、また、前記抽出工程では前記浸出液のpHを1.0以上1.7以下に調整した後に抽出処理液と接触させることを特徴とする希土類元素の回収方法。
  2. 前記浸出工程と前記抽出工程との間には、前記浸出工程で回収された浸出液に0.01〜0.1mol/Lの濃度でリン酸エステル系抽出剤又はホスホン酸エステル系抽出剤を含む前処理液を接触させた後、ろ過処理を行い、希土類元素を含む前処理済浸出液を回収する前処理工程を有することを特徴とする請求項1に記載の希土類元素の回収方法。
  3. 前記抽出工程では、浸出液又は前処理済浸出液の酸化還元電位が300mV以下の条件下で、浸出液に抽出処理液を接触させることを特徴とする請求項1又は2に記載の希土類元素の回収方法。
  4. 前記抽出工程における抽出処理液は、リン酸エステル系抽出剤の濃度が0.2〜1.5mol/Lであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の希土類元素の回収方法。
  5. 前記逆抽出工程では、抽出液と逆抽出処理液とを接触させて分散し、抽出液相と逆抽出処理液相とを有する海島構造の相分離構造を形成すると共に、この逆抽出処理液相をその平均液滴径が0.2〜1.0mmとなるように分散させて、希土類元素を回収することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の希土類元素の回収方法。
  6. 前記逆抽出処理液が、40〜60質量%の硫酸水溶液であり、当該硫酸水溶液と前記抽出液とを接触させる体積比が、抽出液:硫酸水溶液=5:1〜10:1であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の希土類元素の回収方法。
  7. 前記逆抽出処理液が、4N〜8Nの塩酸水溶液であり、当該塩酸水溶液と前記抽出液とを接触させる体積比が、抽出液:塩酸水溶液=5:1〜10:1であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の希土類元素の回収方法。
  8. 前記逆抽出工程において使用済みの抽出液に対して、酸水溶液を逆抽出剤として逆抽出を行い、蓄積したAl分を低減させて、再生抽出処理液として再利用をすることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の希土類元素の回収方法。
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