JP2016160384A - インクセット及びインクジェット記録方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 クリアインクと、顔料インクとを併用する場合に、写像性に優れているとともに、干渉ムラが抑制された画像を記録することが可能なインクセットを提供すること。
【解決手段】 色材を含有しない第1インク及び色材を含有する第2インクの組み合わせを有する水性のインクセットである。第1インクは、水溶性樹脂及び樹脂粒子を含有する。第2インクは、色材として顔料の粒子表面に樹脂が結合している自己分散顔料を含有する。そして、第2インク中の樹脂の酸価B(mgKOH/g)が、第1インク中の水溶性樹脂の酸価A(mgKOH/g)に対する比率B/Aで、0.75倍以上1.75倍以下である。
【選択図】 図1
【解決手段】 色材を含有しない第1インク及び色材を含有する第2インクの組み合わせを有する水性のインクセットである。第1インクは、水溶性樹脂及び樹脂粒子を含有する。第2インクは、色材として顔料の粒子表面に樹脂が結合している自己分散顔料を含有する。そして、第2インク中の樹脂の酸価B(mgKOH/g)が、第1インク中の水溶性樹脂の酸価A(mgKOH/g)に対する比率B/Aで、0.75倍以上1.75倍以下である。
【選択図】 図1
Description
本発明は、インクセット、及びそれを用いたインクジェット記録方法に関する。
近年、インクジェット記録方法により、銀塩写真やオフセット印刷で実現されているような高精細で高発色性の画像を記録することが可能となっている。インクジェット記録方法に用いるインクとして、耐ガス性や耐光性などの堅牢性が向上した画像を記録すべく、顔料を色材として含有するインク(顔料インク)が広く使用されるようになっている。しかし、顔料インクを用いて光沢紙に記録した画像は、顔料が粒子であることに起因して、光沢性が低いという課題がある。
上記の課題を解決すべく、色材を含有しないインク(いわゆるクリアインク)と、顔料インクとを併用することで、記録される画像の光沢性を高める試みがなされている。例えば、顔料インクで記録した画像の光沢性を向上するために、水溶性樹脂を含有するクリアインクを含むインクセットが提案されている(特許文献1)。また、顔料インクの付着量に応じて、樹脂粒子を含有するクリアインクの付与量を調製することにより、画像の光沢性のムラの低減を図る提案がある(特許文献2)。さらに、画像の光沢性及び写像性を向上するために、クリアインク及び顔料インクに架橋性樹脂粒子を含有させるインクセットに関する提案がある(特許文献3)。
本発明者らは、前述した従来のクリアインクと、顔料インクを用いて記録した画像に関して検討した。その結果、画像の光沢性や光沢ムラについて改善効果が認められたものの、画像の写像性は改善の余地があることがわかった。ここで、「写像性」は、画像表面に映った像の鮮明さや明瞭さの指標となる、光沢のある画像に対して一般的に用いられる特性の一つであり、ヘイズ値により定量的に評価される。
さらに、上記の検討のなかで、従来のインクセットを用いた場合に共通に生ずる新たな課題を発見した。具体的には、画像を構成する顔料層上にクリアインクを付与すると、画像の一部でブロンズ現象とは異なる反射光の色付きや、光沢感が変化して「ムラ」が生ずるといった課題を見出した。この「ムラ」は、画像を構成する「顔料層」の表面と、この「顔料層」の上に、クリアインク中の樹脂によって形成される「樹脂層」の表面で光が反射してそれぞれ反射光が生じ、これらの反射光が「干渉現象」を引き起こすことに起因する。以下、上記の「干渉現象」により発生するムラを「干渉ムラ」と言う。
従来のクリアインクを用いることで発生する「干渉ムラ」の課題は、特許文献1〜3においては認識されていなかった。すなわち、上記の「干渉ムラ」は、従来考慮されていなかった新しい課題である。そして、特許文献1〜3で提案されたインクセットを用いた場合には、干渉ムラ抑制の効果は得られなかった。
したがって、本発明の目的は、クリアインクと、顔料インクとを併用する場合に、写像性に優れているとともに、干渉ムラが抑制された画像を記録することが可能なインクセットを提供することにある。また、本発明の別の目的は、前記インクセットを用いたインクジェット記録方法を提供することにある。
上記の目的は、以下の本発明によって達成される。すなわち、本発明にかかるインクセットは、色材を含有しない第1インク及び色材を含有する第2インクの組み合わせを有する水性のインクセットであって、前記第1インクが、水溶性樹脂及び樹脂粒子を含有し、前記第2インクが、色材を含有し、前記色材が、顔料の粒子表面に樹脂が結合している自己分散顔料であり、前記第2インク中の前記樹脂の酸価B(mgKOH/g)が、前記第1インク中の前記水溶性樹脂の酸価A(mgKOH/g)に対する比率B/Aで、0.75倍以上1.75倍以下であることを特徴とする。
本発明によれば、クリアインクと、顔料インクとを併用する場合に、写像性に優れているとともに、干渉ムラが抑制された画像を記録することが可能なインクセットを提供することができる。また、本発明によれば、このインクセットを用いたインクジェット記録方法を提供することができる。
以下に、好ましい実施の形態を挙げて、さらに本発明を詳細に説明する。また、水性のインクのことを、単に「インク」と記載することがある。本発明における各種の物性値は、特に断りのない限り25℃における値である。
写像性に優れる画像を記録するには、クリアインク中の樹脂を顔料層の表面に残存させると同時に、クリアインクで形成される樹脂層の表面が高い平滑性を示すことが必要である。しかし、この思想に基づき設計された従来のクリアインクを用いた場合には、画像の写像性を高めることはできても、前述した「干渉ムラ」が顕著に引き起こされることがわかった。
従来のクリアインクを用いて記録した画像の表面を観察したところ、クリアインクのドットの重なりが多い箇所と少ない箇所の間で干渉ムラが発生していることがわかった。また、画像の断面を観察したところ、顔料インクで形成された「顔料層」の上に、クリアインク中の樹脂により「樹脂層」が形成されており、顔料層と樹脂層が明確に分かれた層構成となっていることがわかった。
ここで、本発明者らは「干渉ムラ」が生ずる原因について検討した。図1は、干渉現象を説明する模式図である。図1に示すように、顔料層60及びこの顔料層60上に形成された樹脂層70を有する画像が記録された記録媒体50に光(入射光100)が入射した場合を想定する。画像の写像性が高いと、画像の最表面(樹脂層70の表面)において一部の入射光100が反射され、反射光1が生ずる。一方、顔料層60と樹脂層70の間に明確な界面が形成されていると、樹脂層70を透過した入射光100はこの界面でも反射され、反射光2が生ずる。その結果、反射光1と反射光2が薄膜干渉を起こし、ブロンズ現象とは異なった反射光の色付きが起こる。この干渉光の色味は樹脂層の厚みdに依存するため、クリアインクのドットの重なりが多い箇所と少ない箇所の間でドット厚みが変化すると干渉光の色味が変わることになり、「干渉ムラ」として認識されると考えられる。
本発明者らは、反射光1及び反射光2の少なくともいずれかの発生を抑制すれば干渉ムラの発生を抑制できると考え、さらなる検討を行った。しかし、樹脂層70表面の平滑性を落として反射光1の発生を抑制すると、干渉ムラの発生は抑制されるが、画像の写像性が低下することがわかった。一方、本発明者らは、顔料層60と樹脂層70の界面の形成を抑制する、すなわち界面を曖昧にすることができれば、反射光2の発生を抑制することができると考えた。そこで、クリアインクに水溶性樹脂を添加し、顔料層60上にクリアインクが付与された際に、クリアインク中の水溶性樹脂の一部を顔料層60の内部に浸透させることができれば、顔料層60と樹脂層70の界面が曖昧になると予測した。しかし、この方法では干渉ムラの発生が僅かに抑制されるに留まることがわかった。さらに、クリアインク中の水溶性樹脂が顔料層60に浸透したことにより、顔料層60上に残存する樹脂量が減少してしまい、写像性が低下する結果となった。
そこで、写像性を向上するための樹脂Aと、顔料層と樹脂層の界面を曖昧にするための樹脂Bの2種類の樹脂をクリアインクに含有させることを検討した。その結果、樹脂として樹脂粒子を用いるとともに、樹脂Bとして水溶性樹脂を用いることで、写像性を向上するとともに顔料層と樹脂層の界面を曖昧にできることがわかった。水溶性樹脂は顔料層へ浸透しやすく、樹脂粒子は顔料層上に残存しやすいために上記の結果が得られたと考えられる。しかし、干渉ムラの発生を十分に抑制することはできなかった。
水溶性樹脂及び樹脂粒子を含有するクリアインクを用いて記録した画像を観察したところ、水溶性樹脂が顔料層の内部に浸透しきれず、水溶性樹脂の一部が顔料層と樹脂層の明確な界面を形成していることがわかった。本発明者らは、クリアインク中の水溶性樹脂が顔料層へと浸透しにくい理由を以下のように推測している。顔料層を形成する顔料粒子の表面は疎水性が高く、表面エネルギーが低い状態となっている。樹脂分散剤によって顔料の粒子表面を被覆している場合であっても、親水基で覆われていない粒子表面もあるため、部分的に疎水性が高い表面状態になっていると考えられる。顔料層中ではこの疎水性の高い顔料粒子の表面が散在しているため、顔料層へ濡れようとするクリアインクの浸透が阻害される。これに加えて、顔料に吸着していない樹脂分散剤が多く存在すると、顔料層において目止めのような作用を生じ、やはり、クリアインクの浸透が阻害される。その結果、顔料層に付与されたクリアインクは顔料層上に停滞することになる。同時にクリアインクの乾燥が進行するため、水溶性樹脂は顔料層の内部に浸透する前に顔料層上で固化してしまうと考えられる。
本発明者らは、クリアインク中の水溶性樹脂を顔料層にいかにして浸透させるかという観点から、顔料インク中の顔料の分散方式に着目して検討を進めた。その結果、顔料の粒子表面に樹脂を結合させた形態の自己分散顔料を用い、顔料に結合している樹脂とクリアインク中の水溶性樹脂との酸価を特定の関係を満たすようにすればよいことを見出した。顔料層中に顔料に吸着していない樹脂分散剤が存在しなくなり、また、クリアインク中の水溶性樹脂と顔料に結合している樹脂との親和性が高いことによって、クリアインク中の水溶性樹脂が顔料層に浸透しやすくなるため、干渉ムラが抑制されると考えられる。また、上記の構成とすることによって、写像性がさらに高まることもわかった。これは、顔料層の濡れ性が高まったために、顔料層上でクリアインクが濡れ広がりやすくなって、ドットの厚みを低減できたからと考えられる。
<インクセット>
本発明のインクセットは、色材を含有しない第1インク(クリアインク)及び色材を含有する第2インク(顔料インク)の組み合わせを有する水性のインクセットである。第1インクは、水溶性樹脂及び樹脂粒子を含有する。また、第2インクは、顔料の粒子表面に樹脂が結合している自己分散顔料を含有する。さらに、第2インク中の顔料の粒子表面に結合している樹脂の酸価B(mgKOH/g)が、第1インク中の水溶性樹脂の酸価A(mgKOH/g)に対する比率B/Aで、0.75倍以上1.75倍以下であることを要する。第1インク及び第2インクは、互いに接触した際に反応や増粘するものである必要はない。すなわち、各インクには、反応剤や増粘剤を含有させる必要はない。以下、本発明のインクセットを構成するインクに含まれる成分やインクの物性などについて詳細に説明する。
本発明のインクセットは、色材を含有しない第1インク(クリアインク)及び色材を含有する第2インク(顔料インク)の組み合わせを有する水性のインクセットである。第1インクは、水溶性樹脂及び樹脂粒子を含有する。また、第2インクは、顔料の粒子表面に樹脂が結合している自己分散顔料を含有する。さらに、第2インク中の顔料の粒子表面に結合している樹脂の酸価B(mgKOH/g)が、第1インク中の水溶性樹脂の酸価A(mgKOH/g)に対する比率B/Aで、0.75倍以上1.75倍以下であることを要する。第1インク及び第2インクは、互いに接触した際に反応や増粘するものである必要はない。すなわち、各インクには、反応剤や増粘剤を含有させる必要はない。以下、本発明のインクセットを構成するインクに含まれる成分やインクの物性などについて詳細に説明する。
(水溶性樹脂)
本発明のインクセットを構成する第1インクは、水溶性樹脂を含有する。第1インク中の水溶性樹脂の含有量(質量%)は、第1インク全質量を基準として、0.5質量%以上4.0質量%以下であることが好ましい。
本発明のインクセットを構成する第1インクは、水溶性樹脂を含有する。第1インク中の水溶性樹脂の含有量(質量%)は、第1インク全質量を基準として、0.5質量%以上4.0質量%以下であることが好ましい。
水溶性樹脂としては、アクリル樹脂、ポリオレフィン系樹脂、及びポリウレタン系樹脂などを挙げることができる。なかでも、水溶性樹脂としてはアクリル樹脂が好ましい。以下の記載における「(メタ)アクリル」とは、「アクリル」及び「メタクリル」を意味する。アクリル樹脂としては、(メタ)アクリル酸に由来するユニットや、アクリルエステルに由来するユニットなどのアクリル成分を少なくとも有するものであればよい。より具体的には、親水性ユニット及び疎水性ユニットを構成ユニットとして有する樹脂であることが好ましい。
親水性ユニットは、例えば、親水性基を有するモノマーを重合することで形成することができる。親水性基を有するモノマーの具体例としては、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸などのカルボキシ基を有するモノマー;スチレンスルホン酸などのスルホン酸基を有するモノマー;(メタ)アクリル酸−2−ホスホン酸エチルなどのホスホン酸基を有するモノマー;これらの酸性モノマーの無水物や塩などのアニオン性モノマー;(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシプロピルなどのヒドロキシ基を有するモノマーを挙げることができる。アニオン性モノマーの塩を構成するカチオンとしては、リチウム、ナトリウム、カリウム、アンモニウム、有機アンモニウムなどのイオンを挙げることができる。
疎水性ユニットは、例えば、疎水性基を有するモノマーを重合することで形成することができる。疎水性基を有するモノマーの具体例としては、スチレン、α−メチルスチレン、ベンジル(メタ)アクリレートなどの芳香環を有するモノマー;エチル(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート、(イソ)プロピル(メタ)アクリレート、(n−、iso−、t−)ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレートなどの脂肪族基を有するモノマーなどを挙げることができる。
水溶性樹脂の重量平均分子量は、1,000以上30,000以下であることが好ましく、3,000以上15,000以下であることがさらに好ましい。水溶性樹脂の重量平均分子量は、JISハンドブック化学分析 K0124に準拠し、ゲルパーミエーションクロマトグラフ法(GPC法)により測定することができる。
水溶性樹脂の酸価は、100mgKOH/g以上300mgKOH/g以下であることが好ましい。なかでも、100mgKOH/g以上250mgKOH/g以下であることがより好ましい。酸価が100mgKOH/g未満であると、写像性と干渉ムラの抑制の程度がやや低下する場合がある。一方、酸価が250mgKOH/g超であると、干渉ムラの抑制の程度がやや低下する場合がある。水溶性樹脂の酸価は、電位差滴定により求めることができる。
樹脂が水溶性であるか否かについては、以下に示す方法にしたがって判断することができる。まず、酸価相当の水酸化カリウムにより中和された樹脂を含む液体(樹脂固形分:10質量%)を用意する。次いで、用意した液体を純水で10倍(体積基準)に希釈して試料溶液を調製する。そして、試料溶液中の粒子の粒径を測定した場合に、粒径を有する粒子が測定されない場合に、その樹脂は水溶性であると判断することができる。この際の測定条件は、例えば、以下のようにすることができる。
[測定条件]
SetZero:30秒
測定回数:3回
測定時間:180秒
粒度分布測定装置としては、動的光散乱式の粒度分析計(例えば、商品名「UPA−EX150」、日機装製)などを使用することができる。勿論、使用する粒度分布測定装置や測定条件などは上記に限られるものではない。
SetZero:30秒
測定回数:3回
測定時間:180秒
粒度分布測定装置としては、動的光散乱式の粒度分析計(例えば、商品名「UPA−EX150」、日機装製)などを使用することができる。勿論、使用する粒度分布測定装置や測定条件などは上記に限られるものではない。
本発明のインクセットを構成する第2インクにも水溶性樹脂を含有させてもよい。この場合、第2インクに含有させる水溶性樹脂としては、その酸価が、第1インク中の水溶性樹脂の酸価に対する比率で、0.75倍以上1.75倍以下であるものが好ましい。このようにすることで、顔料の粒子表面に結合している樹脂と同様に、第1インクの水溶性樹脂との親和性が高まるため、干渉ムラを抑制する効果をより高めることができる。さらに、第2インクに水溶性樹脂を含有させる場合には、第1インク中の水溶性樹脂と同一水溶性樹脂を用いることが好ましい。第1インク中の水溶性樹脂と同一の水溶性樹脂を第2インクに含有させることで、干渉ムラの抑制効果をより高めることができる。これは、顔料層中に同一の水溶性樹脂を予め存在させておくことで、第1インク中の水溶性樹脂が顔料層により馴染みやすくなり、顔料層と樹脂層の界面が曖昧になりやすいためである。第2インク中の水溶性樹脂の含有量(質量%)は、第2インク全質量を基準として、0.5質量%以上4.0質量%以下であることが好ましい。
(樹脂粒子)
本発明のインクセットを構成する第1インクは、樹脂粒子を含有する。第1インク中の樹脂粒子の含有量(質量%)は、第1インク全質量を基準として、0.2質量%以上5.0質量%以下であることが好ましい。
本発明のインクセットを構成する第1インクは、樹脂粒子を含有する。第1インク中の樹脂粒子の含有量(質量%)は、第1インク全質量を基準として、0.2質量%以上5.0質量%以下であることが好ましい。
樹脂粒子としては、例えば、アクリル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリウレタン系樹脂などで構成される樹脂粒子を挙げることができる。なかでも、アクリル系樹脂で構成される樹脂粒子を含有させることが好ましい。アクリル系樹脂は、(メタ)アクリル酸に由来するユニットや、アクリルエステルに由来するユニットなどのアクリル成分を少なくとも有するものであればよい。より具体的には、親水性ユニット及び疎水性ユニットを構成ユニットとして有する樹脂であることが好ましい。
樹脂粒子を構成する親水性ユニット及び疎水性ユニットとしては、水溶性樹脂の構成ユニットとして先に挙げたものと同様のものから選択することができる。
本発明においては、コアシェル構造を有する樹脂粒子を用いることが好ましい。コアシェル構造を有する樹脂粒子を用いることで、写像性により優れた画像を記録することができる。コアシェル構造を有する樹脂粒子は、コア部分とシェル部分の機能が明確に分離されている。疎水性基を有するモノマーに由来するユニットで構成されたコア部と、酸性モノマーに由来するユニットを含むシェル部とを有する樹脂粒子は、単層構造を有する樹脂粒子と比較して、酸価が同じであっても、インクの吐出安定性をより高めることができる。また、疎水性基を有するモノマーに由来するユニットが導入されたコア部を有する樹脂粒子は、顔料層上により多く残存することができる。このため、写像性をより向上させることができる。
樹脂粒子の体積平均粒子径は、50nm以上120nm以下であることが好ましい。体積平均粒子径が50nm未満の樹脂粒子は記録媒体上に残りにくいため、写像性がやや低下する場合がある。一方、樹脂粒子の体積平均粒子径が120nm超であると、写像性がやや低下する場合がある。
本発明における「体積平均粒子径」は、体積基準の累積50%粒径(D50)を意味し、以下に示すような条件にしたがって測定することができる。まず、樹脂粒子を純水で50倍(体積基準)に希釈した測定試料を用意する。そして、粒度分布測定装置を使用し、以下に示す測定条件にしたがって測定試料中の樹脂粒子の体積平均粒子径を測定する。
[測定条件]
SetZero:30秒
測定回数:3回
測定時間:180秒
屈折率:1.5
粒度分布測定装置としては、動的光散乱式の粒度分析計(例えば、商品名「UPA−EX150」、日機装製)などを使用することができる。勿論、使用する粒度分布測定装置や測定条件などは上記に限られるものではない。
SetZero:30秒
測定回数:3回
測定時間:180秒
屈折率:1.5
粒度分布測定装置としては、動的光散乱式の粒度分析計(例えば、商品名「UPA−EX150」、日機装製)などを使用することができる。勿論、使用する粒度分布測定装置や測定条件などは上記に限られるものではない。
第1インク中の樹脂粒子の体積平均粒子径D1(nm)は、第2インク中の色材の体積平均粒子径D2(nm)に対する比率で、0.60倍以上1.20倍以下であることが好ましい。この範囲内とすることで、顔料層上に樹脂粒子を適切な状態で存在させることができる。前記比率が0.60倍未満であると、色材に対して樹脂粒子が小さすぎるため、顔料層中の空隙に樹脂粒子の一部が入りこみやすくなって、顔料層上に存在する樹脂粒子が少なくなり、写像性がやや低下する場合がある。一方、前記比率が1.20倍超であると、形成される顔料層の凹凸のスケールに対して樹脂粒子が大きすぎるため、凹凸を適切に埋めることが難しくなり、写像性がやや低下する場合がある。
(色材)
本発明のインクセットを構成する第2インクは、色材として、顔料の粒子表面に樹脂が結合している自己分散顔料を含有する。顔料の種類としては、当該技術分野で公知のカーボンブラックなどの無機顔料、有機顔料を挙げることができる。顔料の粒子表面に樹脂を結合させる方法については、例えば、特表2003−519709号公報などに開示がある。第2インク中の色材の含有量(質量%)は、第2インク全質量を基準として、0.1質量%以上10.0質量%以下であることが好ましく、0.2質量%以上5.0質量%以下であることがさらに好ましい。
本発明のインクセットを構成する第2インクは、色材として、顔料の粒子表面に樹脂が結合している自己分散顔料を含有する。顔料の種類としては、当該技術分野で公知のカーボンブラックなどの無機顔料、有機顔料を挙げることができる。顔料の粒子表面に樹脂を結合させる方法については、例えば、特表2003−519709号公報などに開示がある。第2インク中の色材の含有量(質量%)は、第2インク全質量を基準として、0.1質量%以上10.0質量%以下であることが好ましく、0.2質量%以上5.0質量%以下であることがさらに好ましい。
顔料の粒子表面に結合させる樹脂としては、アクリル系樹脂が好ましい。なお、顔料の粒子表面と樹脂とは、直接結合していてもよいし、他の原子団を介して結合していてもよいが、本発明においては「他の原子団」が存在する場合を含めて、「顔料の粒子表面に樹脂が結合している」と表記する。
アクリル系樹脂は、(メタ)アクリル酸に由来するユニットや、アクリルエステルに由来するユニットなどのアクリル成分を少なくとも有するものであればよい。より具体的には、親水性ユニット及び疎水性ユニットを構成ユニットとして有する樹脂であることが好ましい。アクリル系樹脂を構成する親水性ユニット及び疎水性ユニットとしては、水溶性樹脂の構成ユニットとして先に挙げたものと同様のものから選択することができる。
他の原子団(−R−)としては、例えば、炭素原子数1乃至12の直鎖状又は分岐状のアルキレン基、フェニレン基やナフチレン基などのアリーレン基、アミド基、スルホン酸基、イミノ基、アミノ基、カルボニル基、エステル基、エーテル基などを挙げることができる。また、これらの基を組み合わせた基であってもよい。さらには、他の原子団が、アルキレン基及びアリーレン基の少なくとも一方と、水素結合性を有する基(アミド基、スルホン酸基、イミノ基、アミノ基、カルボニル基、エステル基、エーテル基)とを含むことが好ましい。特に、他の原子団が、−C6H4−(CH2)n−NH−の構造(nは1乃至12)を含むことが好ましい。
第2インク中の顔料の粒子表面に結合している樹脂の酸価B(mgKOH/g)は、第1インク中の水溶性樹脂の酸価A(mgKOH/g)に対する比率B/Aで0.75倍以上1.75倍以下であることを要する。各樹脂の酸価を近い範囲とすることで、互い樹脂の親和性が高くなるため、顔料層への第1インク中の水溶性樹脂の浸透が促進され、写像性を損なうことなく干渉ムラを抑制することができる。すなわち、酸価の関係を上記のようにすれば、各樹脂の構成ユニットなどの樹脂の特性に関わらずに、本発明の効果を得ることができる。前記比率が0.75倍未満であると、各樹脂の親和性が低いために、クリアインク中の水溶性樹脂が顔料層に浸透せず、干渉ムラを抑制できない。一方、前記比率が1.75倍超であると、顔料層において目止めのような作用が生じ、クリアインク中の水溶性樹脂が顔料層に浸透せず、干渉ムラを抑制できない。
顔料の粒子表面に結合させる樹脂の酸価は100mgKOH/g以上500mgKOH/g以下であることが好ましい。顔料の粒子表面に結合させる樹脂の重量平均分子量は、1,000以上20,000以下であることが好ましく、3,000以上20,000以下であることがさらに好ましい。自己分散顔料の粒子表面に結合している樹脂が、顔料に対する質量比率で、0.25倍以上0.75倍以下であることが好ましい。前記質量比率が0.25倍未満であると、発色性がやや低下する場合がある。一方、前記質量比率が0.75倍超であると、干渉ムラの抑制の程度がやや低下する場合がある。
(水性媒体)
本発明のインクセットを構成する各インクは、水及び水溶性有機溶剤の混合溶媒である水性媒体を含有する水性インクである。水は、脱イオン水(イオン交換水)を用いることが好ましい。インク中の水の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、50.0質量%以上95.0質量%以下であることが好ましく、70.0質量%以上90.0質量%以下であることがさらに好ましい。
本発明のインクセットを構成する各インクは、水及び水溶性有機溶剤の混合溶媒である水性媒体を含有する水性インクである。水は、脱イオン水(イオン交換水)を用いることが好ましい。インク中の水の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、50.0質量%以上95.0質量%以下であることが好ましく、70.0質量%以上90.0質量%以下であることがさらに好ましい。
(その他の添加剤)
本発明のインクセットを構成する各インクは、上記した成分以外にも必要に応じて、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタンなどの多価アルコール類や、尿素やその誘導体などの、常温で固体の水溶性有機化合物を含有してもよい。さらに、本発明のインクセットを構成する各インクは、必要に応じて、界面活性剤、pH調整剤、防錆剤、防腐剤、防黴剤、酸化防止剤、還元防止剤、蒸発促進剤、キレート化剤、及びその他の水溶性樹脂など、種々の添加剤を含有してもよい。
本発明のインクセットを構成する各インクは、上記した成分以外にも必要に応じて、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタンなどの多価アルコール類や、尿素やその誘導体などの、常温で固体の水溶性有機化合物を含有してもよい。さらに、本発明のインクセットを構成する各インクは、必要に応じて、界面活性剤、pH調整剤、防錆剤、防腐剤、防黴剤、酸化防止剤、還元防止剤、蒸発促進剤、キレート化剤、及びその他の水溶性樹脂など、種々の添加剤を含有してもよい。
(インクの物性)
第1インクの寿命時間50ミリ秒における動的表面張力は、30mN/m以上35mN/m以下であり、かつ、静的表面張力は25mN/m以上30以下mN/mであることが好ましい。これにより、さらに高いレベルの効果を得ることができる。前述の通り、干渉ムラの抑制効果を高めるには、顔料層に対する第1インクの浸透性を高めることが重要である。
第1インクの寿命時間50ミリ秒における動的表面張力は、30mN/m以上35mN/m以下であり、かつ、静的表面張力は25mN/m以上30以下mN/mであることが好ましい。これにより、さらに高いレベルの効果を得ることができる。前述の通り、干渉ムラの抑制効果を高めるには、顔料層に対する第1インクの浸透性を高めることが重要である。
先ず、第1インクの寿命時間50ミリ秒における動的表面張力を35mN/m以下とすることで、顔料層への第1インクの濡れ性が向上し、第1インクの浸透性を高めることができるとともに、ドットの厚みを低減することができる。第1インクの寿命時間50ミリ秒における動的表面張力が35mN/m超であると、写像性及び干渉ムラの抑制の程度がやや低下する場合がある。また、第1インクの寿命時間50ミリ秒における動的表面張力が30mN/m未満であると、インクの浸透性が過度に高まるため、写像性、発色性、及び干渉ムラの抑制の程度がやや低下する場合がある。
さらに、第1インクの静的表面張力を25mN/m以上とすることで、顔料層への第1インクの浸透が特に効果的に促進される。これは、顔料層の毛管力(顔料層が第1インクを吸収する力)と、動的表面張力を適切に設定することにより達成される顔料層上での第1インクの濡れ性のバランスが良くなるためである。第1インクの静的表面張力が25mN/m未満であると、写像性及び干渉ムラの抑制の程度がやや低下する場合がある。また、第1インクの静的表面張力が30mN/m超であると、インクの浸透が過度に生じにくくなるため、写像性及び干渉ムラの抑制の程度がやや低下する場合がある。
第2インクの寿命時間50ミリ秒における動的表面張力は、30mN/m以上40mN/m以下であることが好ましい。第2インクの静的表面張力は、25mN/m以上40mN/m以下であることが好ましい。
本発明でインクの特性を規定するのに利用する動的表面張力とは、最大泡圧法により求められるものである。最大泡圧法とは、測定対象の液体中に浸したプローブ(細管)の先端に発生させた気泡を放出するために必要な最大圧力を測定して、この最大圧力から液体の表面張力を求める方法であり、プローブの先端に連続的に気泡を発生させながら最大圧力を測定する。この際、プローブの先端に新たな気泡の表面が発生した時点から、最大泡圧(気泡の曲率半径とプローブ先端部分の半径が等しくなる時点)に達するまでの時間を、寿命時間と呼ぶ。また、本発明でインクの特性を規定するのに利用する静的表面張力とは、プレート法により求められるものである。動的表面張力や静的表面張力は、例えば、水溶性有機溶剤や界面活性剤の種類及び使用量により調整することができる。
<インクジェット記録方法>
本発明のインクジェット記録方法は、上記で説明した本発明のインクセットに含まれる各インクをインクジェット方式の記録ヘッドから吐出して記録媒体に画像を記録する方法である。インクを吐出する方式としては、インクに力学的エネルギーを付与する方式や、インクに熱エネルギーを付与する方式が挙げられる。本発明のインクジェット記録方法は、第2インクで記録された画像の上に第1インクを付与する工程を有することが好ましい。また、本発明においては、インクに熱エネルギーを付与してインクを吐出する方式を採用することが特に好ましい。本発明のインクセットに含まれる各インクを用いること以外、インクジェット記録方法の工程は公知のものとすればよい。
本発明のインクジェット記録方法は、上記で説明した本発明のインクセットに含まれる各インクをインクジェット方式の記録ヘッドから吐出して記録媒体に画像を記録する方法である。インクを吐出する方式としては、インクに力学的エネルギーを付与する方式や、インクに熱エネルギーを付与する方式が挙げられる。本発明のインクジェット記録方法は、第2インクで記録された画像の上に第1インクを付与する工程を有することが好ましい。また、本発明においては、インクに熱エネルギーを付与してインクを吐出する方式を採用することが特に好ましい。本発明のインクセットに含まれる各インクを用いること以外、インクジェット記録方法の工程は公知のものとすればよい。
図2は、本発明のインクジェット記録方法に用いられるインクジェット記録装置の一例を模式的に示す図であり、(a)はインクジェット記録装置の主要部の斜視図、(b)はヘッドカートリッジの斜視図である。インクジェット記録装置には、記録媒体32を搬送する搬送手段(不図示)、及びキャリッジシャフト34が設けられている。キャリッジシャフト34にはヘッドカートリッジ36が搭載可能となっている。ヘッドカートリッジ36は記録ヘッド38及び40を具備しており、インクカートリッジ42がセットされるように構成されている。ヘッドカートリッジ36がキャリッジシャフト34に沿って主走査方向に搬送される間に、記録ヘッド38及び40から記録媒体32に向かってインク(不図示)が吐出される。そして、記録媒体32が搬送手段(不図示)により副走査方向に搬送されることによって、記録媒体32に画像が記録される。
本発明のインクセットを用いて記録する対象の記録媒体としては、どのようなものを用いてもよいが、普通紙や、コート層を有する記録媒体(光沢紙やアート紙)などの、浸透性を有する紙を用いることが好ましい。特に、インク中の顔料粒子の少なくとも一部を記録媒体の表面やその近傍に存在させることができる、コート層を有する記録媒体を用いることが好ましい。このような記録媒体は、画像を記録した記録物の使用目的などに応じて選択することができる。例えば、写真画質の光沢感を有する画像を得るのに適している光沢紙や、絵画、写真、及びグラフィック画像などを好みに合わせて表現するために、基材の風合い(画用紙調、キャンバス地調、和紙調など)を生かしたアート紙などが挙げられる。なかでも、コート層の表面が光沢性を持つ、いわゆる光沢紙を用いることが特に好ましい。
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は、その要旨を超えない限り、下記の実施例によって何ら限定されるものではない。なお、成分量に関して「部」及び「%」と記載しているものは特に断らない限り質量基準である。
<体積平均粒子径の測定条件>
樹脂粒子及び色材の体積平均粒子径は、固形分の含有量が0.4%になるように純水で希釈した水分散液を測定用試料とし、粒度分布測定装置を使用して以下に示す測定条件にしたがって測定した。なお、粒度分布測定装置としては、商品名「UPA−EX150」(日機装製)を使用した。
樹脂粒子及び色材の体積平均粒子径は、固形分の含有量が0.4%になるように純水で希釈した水分散液を測定用試料とし、粒度分布測定装置を使用して以下に示す測定条件にしたがって測定した。なお、粒度分布測定装置としては、商品名「UPA−EX150」(日機装製)を使用した。
[測定条件]
SetZero:30秒
測定回数:3回
測定時間:180秒
屈折率:1.5。
SetZero:30秒
測定回数:3回
測定時間:180秒
屈折率:1.5。
<水溶性樹脂の合成>
撹拌機、還流冷却装置、及び窒素ガス導入管を備えた四つ口フラスコにエチレングリコールモノブチルエーテル100.0部を入れて窒素ガスを導入し、撹拌下で110℃に昇温させた。表1に示すモノマーの混合物と、t−ブチルパーオキサイド(重合開始剤)1.3部のエチレングリコールモノブチルエーテル溶液を3時間かけて滴下した。2時間エージングした後、エチレングリコールモノブチルエーテルを減圧下で除去して固形の樹脂を得た。得られた樹脂を、その酸価と当量の水酸化カリウム及び適量のイオン交換水を加えて80℃で中和溶解させた。これにより、樹脂(固形分)の含有量が10.0%である各水溶性樹脂の水溶液を得た。各水溶性樹脂の重量平均分子量及び酸価を表1に示す。表1のモノマーの略記号は、St:スチレン、BzMA:ベンジルメタクリレート、MMA:メチルメタクリレート、AA:アクリル酸、MAA:メタクリル酸、を示す。
撹拌機、還流冷却装置、及び窒素ガス導入管を備えた四つ口フラスコにエチレングリコールモノブチルエーテル100.0部を入れて窒素ガスを導入し、撹拌下で110℃に昇温させた。表1に示すモノマーの混合物と、t−ブチルパーオキサイド(重合開始剤)1.3部のエチレングリコールモノブチルエーテル溶液を3時間かけて滴下した。2時間エージングした後、エチレングリコールモノブチルエーテルを減圧下で除去して固形の樹脂を得た。得られた樹脂を、その酸価と当量の水酸化カリウム及び適量のイオン交換水を加えて80℃で中和溶解させた。これにより、樹脂(固形分)の含有量が10.0%である各水溶性樹脂の水溶液を得た。各水溶性樹脂の重量平均分子量及び酸価を表1に示す。表1のモノマーの略記号は、St:スチレン、BzMA:ベンジルメタクリレート、MMA:メチルメタクリレート、AA:アクリル酸、MAA:メタクリル酸、を示す。
<樹脂粒子の調製>
撹拌機、還流冷却装置、及び窒素ガス導入管を備えた四つ口フラスコにエチレングリコールモノブチルエーテル100.0部を入れて窒素ガスを導入し、撹拌下で110℃に昇温させた。2−エチルヘキシルアクリレート38.0部、メチルメタクリレート34.0部、及びアクリル酸28.0部の混合物と、t−ブチルパーオキサイド(重合開始剤)1.3部のエチレングリコールモノブチルエーテル溶液を3時間かけて滴下した。2時間エージングした後、減圧下でエチレングリコールモノブチルエーテルを除去して固形の樹脂(シェルポリマー)を得た。得られたシェルポリマーに酸価と当量の水酸化カリウム及び適量のイオン交換水を加え、80℃で中和溶解して、固形分(シェルポリマー)の含有量が30.0%であるシェルポリマーの水溶液を得た。シェルポリマーの酸価は216mgKOH/g、重量平均分子量は15,000であった。
撹拌機、還流冷却装置、及び窒素ガス導入管を備えた四つ口フラスコにエチレングリコールモノブチルエーテル100.0部を入れて窒素ガスを導入し、撹拌下で110℃に昇温させた。2−エチルヘキシルアクリレート38.0部、メチルメタクリレート34.0部、及びアクリル酸28.0部の混合物と、t−ブチルパーオキサイド(重合開始剤)1.3部のエチレングリコールモノブチルエーテル溶液を3時間かけて滴下した。2時間エージングした後、減圧下でエチレングリコールモノブチルエーテルを除去して固形の樹脂(シェルポリマー)を得た。得られたシェルポリマーに酸価と当量の水酸化カリウム及び適量のイオン交換水を加え、80℃で中和溶解して、固形分(シェルポリマー)の含有量が30.0%であるシェルポリマーの水溶液を得た。シェルポリマーの酸価は216mgKOH/g、重量平均分子量は15,000であった。
撹拌機、還流冷却装置、及び窒素ガス導入管を備えた四つ口フラスコに表2に示す量のシェルポリマーの水溶液を入れて窒素ガスを導入し、撹拌下で80℃まで昇温させた。表2に示す量のスチレンとメチルメタクリレートの4:1(質量比)の混合物及び水を添加した後、過硫酸カリウム(重合開始剤)1.0部を水16.7部に溶解した液体を3時間かけて滴下した。2時間エージングした後、適量のイオン交換水を添加して固形分を調整した。これにより、樹脂(固形分)の含有量が10.0%である、コアシェル構造を有する樹脂粒子を含む水分散液を得た。得られた各水分散液中の樹脂粒子の体積平均粒子径を表2に示す。
<顔料分散液の調製>
(顔料分散液1)
比表面積が220m2/gで、DBP吸油量が112mL/100gのカーボンブラック(顔料)500g、アミノフェニル−2−サルフェートエチル−スルホン(APSES)45g、蒸留水900gを反応器に仕込んだ。そして、温度55℃、回転数300rpmで20分間撹拌した。この混合物に、25%の亜硝酸ナトリウム水溶液40gを15分間かけて添加し、さらに蒸留水50gを加えた。そして、60℃で2時間反応させた。反応物を蒸留水で希釈しながら取り出し、固形分の含有量が15.0%となるように調整した。この後、遠心分離により不純物を除去し、分散液Aを得た。この分散液A中には、APSESが結合した顔料が含まれていた。
(顔料分散液1)
比表面積が220m2/gで、DBP吸油量が112mL/100gのカーボンブラック(顔料)500g、アミノフェニル−2−サルフェートエチル−スルホン(APSES)45g、蒸留水900gを反応器に仕込んだ。そして、温度55℃、回転数300rpmで20分間撹拌した。この混合物に、25%の亜硝酸ナトリウム水溶液40gを15分間かけて添加し、さらに蒸留水50gを加えた。そして、60℃で2時間反応させた。反応物を蒸留水で希釈しながら取り出し、固形分の含有量が15.0%となるように調整した。この後、遠心分離により不純物を除去し、分散液Aを得た。この分散液A中には、APSESが結合した顔料が含まれていた。
次いで、この分散液A中の顔料に結合した基のモル数を求めるために、以下の操作を行った。ナトリウムイオン電極(1512A−10C;堀場製作所製)を用いて、分散液中のナトリウムイオン濃度を測定し、顔料の固形分あたりのモル数に換算した。次いで、室温で、ペンタエチレンヘキサミン(PEHA)溶液に、固形分の含有量が15.0%である分散液Aを強力に撹拌しながら1時間かけて滴下した。このときのPEHA溶液中のPEHA濃度は、上記で測定したナトリウムイオンのモル数の2〜3倍量とし、溶液量は分散液Aと同量とした。この混合物を48時間撹拌した後、不純物を除去し、分散液Bを得た。この分散液B中には、粒子表面にAPSESを介してPEHAが結合した顔料が含まれ、固形分の含有量が10.0%であった。
水溶性樹脂(スチレン−アクリル酸共重合体、重量平均分子量15,000、酸価160mgKOH/g)を溶解させた水溶液に、上記で得られた固形分の含有量が10.0%である分散液Bの500gを撹拌しながら滴下した。この際に用いた前記水溶液は、上記スチレン−アクリル酸共重合体190gに1,800gの蒸留水を加え、樹脂を中和するのに必要な水酸化ナトリウムを加え、撹拌により溶解させて調製したものである。そして、上記の混合物をパイレックス(登録商標)蒸発皿に移し、温度150℃で15時間加熱し、液体成分を蒸発させ、その後乾燥物を室温に冷却した。次いで、水酸化ナトリウムでpHを9.0に調整した蒸留水中に、この乾燥物を添加し、分散機を用いて分散させた。さらに撹拌下で1.0mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液を添加して、液体のpHを10〜11に調整した。この後、脱塩を行い、不純物と粗大粒子を除去し、顔料分散液1を得た。顔料分散液1の特性を表3に示す。
(顔料分散液2〜4)
顔料種を表3に示すもの(シアン顔料、マゼンタ顔料、イエロー顔料)に変更した以外は顔料分散液1と同様にして顔料分散液2〜4を調製した。顔料分散液2〜4の特性を表3に示す。
顔料種を表3に示すもの(シアン顔料、マゼンタ顔料、イエロー顔料)に変更した以外は顔料分散液1と同様にして顔料分散液2〜4を調製した。顔料分散液2〜4の特性を表3に示す。
(顔料分散液5〜8)
水溶性樹脂の表3に示すように変更した以外は顔料分散液1と同様にして顔料分散液5〜8を調製した。顔料分散液5〜8の特性を表3に示す。
水溶性樹脂の表3に示すように変更した以外は顔料分散液1と同様にして顔料分散液5〜8を調製した。顔料分散液5〜8の特性を表3に示す。
(顔料分散液9〜12)
水溶性樹脂の水溶液の使用量、及び蒸発皿を利用した処理における時間を変更した以外は顔料分散液1と同様にして顔料分散液9〜12を調製した。顔料分散液9〜12の特性を表3に示す。
水溶性樹脂の水溶液の使用量、及び蒸発皿を利用した処理における時間を変更した以外は顔料分散液1と同様にして顔料分散液9〜12を調製した。顔料分散液9〜12の特性を表3に示す。
(顔料分散液13)
カーボンブラック15.0部、樹脂分散剤の水溶液15.0部、及びイオン交換水70.0部を混合し、バッチ式縦型サンドミルを用いて3時間分散した。カーボンブラックとしては、比表面積が220m2/gで、DBP吸油量が112mL/100gのものを用いた。また、樹脂分散剤の水溶液としては、重量平均分子量8,000、酸価210mgKOH/gのスチレン−アクリル酸共重合体を、酸価の0.95当量となる水酸化ナトリウムで中和した樹脂(固形分)の含有量が20.0%の水溶液を用いた。その後、遠心分離処理によって粗大粒子を除去した。さらに、ポアサイズ3.0μmのセルロースアセテートフィルター(アドバンテック製)にて加圧ろ過し、適量のイオン交換水を加えて、顔料の含有量が10.0%、樹脂(固形分)の含有量が5.0%の顔料分散液13を調製した。顔料分散液13中の顔料の体積平均粒径は90nmであった。
カーボンブラック15.0部、樹脂分散剤の水溶液15.0部、及びイオン交換水70.0部を混合し、バッチ式縦型サンドミルを用いて3時間分散した。カーボンブラックとしては、比表面積が220m2/gで、DBP吸油量が112mL/100gのものを用いた。また、樹脂分散剤の水溶液としては、重量平均分子量8,000、酸価210mgKOH/gのスチレン−アクリル酸共重合体を、酸価の0.95当量となる水酸化ナトリウムで中和した樹脂(固形分)の含有量が20.0%の水溶液を用いた。その後、遠心分離処理によって粗大粒子を除去した。さらに、ポアサイズ3.0μmのセルロースアセテートフィルター(アドバンテック製)にて加圧ろ過し、適量のイオン交換水を加えて、顔料の含有量が10.0%、樹脂(固形分)の含有量が5.0%の顔料分散液13を調製した。顔料分散液13中の顔料の体積平均粒径は90nmであった。
<第1インクの調製>
(インクI−1〜I−19)
表4及び5の上段に示す各成分(単位:%)を混合し、十分撹拌した後、ポアサイズが0.8μmであるセルロースアセテートフィルター(アドバンテック製)にて加圧ろ過を行い、各インクを調製した。表4及び5の下段にはインクの特性を示した。寿命時間50ミリ秒における動的表面張力(表4及び5には「動的表面張力」と表記)は、最大泡圧法を利用する動的表面張力計(商品名「Bubble Pressure Tensiometer BP2」;KRUSS製)を用いて測定を行った。また、静的表面張力は、白金プレート法を利用する自動表面張力計(商品名「CBVP−Z型」;協和界面科学製)を用いて測定を行った。
(インクI−1〜I−19)
表4及び5の上段に示す各成分(単位:%)を混合し、十分撹拌した後、ポアサイズが0.8μmであるセルロースアセテートフィルター(アドバンテック製)にて加圧ろ過を行い、各インクを調製した。表4及び5の下段にはインクの特性を示した。寿命時間50ミリ秒における動的表面張力(表4及び5には「動的表面張力」と表記)は、最大泡圧法を利用する動的表面張力計(商品名「Bubble Pressure Tensiometer BP2」;KRUSS製)を用いて測定を行った。また、静的表面張力は、白金プレート法を利用する自動表面張力計(商品名「CBVP−Z型」;協和界面科学製)を用いて測定を行った。
表4及び5中の「アセチレノールE100」及び「BYK348」の詳細を以下に示す。
・アセチレノールE100:界面活性剤(アセチレングリコールのエチレンオキサイド付加物、川研ファインケミカル製)
・BYK348:界面活性剤(ポリエーテル変性シロキサン化合物、ビックケミー製)
・アセチレノールE100:界面活性剤(アセチレングリコールのエチレンオキサイド付加物、川研ファインケミカル製)
・BYK348:界面活性剤(ポリエーテル変性シロキサン化合物、ビックケミー製)
(インクI−20)
特許文献1の実施例1の記載に準じて「無色インクI」を調製し、インクI−20とした。このインクは樹脂粒子を含有しない。
特許文献1の実施例1の記載に準じて「無色インクI」を調製し、インクI−20とした。このインクは樹脂粒子を含有しない。
(インクI−21)
特許文献2の実施例2の記載に準じて「クリアインク組成物」を調製し、インクI−21とした。このインクは水溶性樹脂を含有しない。
特許文献2の実施例2の記載に準じて「クリアインク組成物」を調製し、インクI−21とした。このインクは水溶性樹脂を含有しない。
(インクI−22)
特許文献3の調製例1の記載に準じて「クリアインク」を調製し、インクI−22とした。このインクは水溶性樹脂を含有しない。
特許文献3の調製例1の記載に準じて「クリアインク」を調製し、インクI−22とした。このインクは水溶性樹脂を含有しない。
<第2インクの調製>
(インクII−1〜II−13)
表6及び7に示す各成分(単位:%)を混合し、十分撹拌した後、ポアサイズが0.8μmであるセルロースアセテートフィルター(アドバンテック製)にて加圧ろ過を行い、各インクを調製した。表6及び7中の「アセチレノールE100」は、界面活性剤(アセチレングリコールのエチレンオキサイド付加物、川研ファインケミカル製)である。
(インクII−1〜II−13)
表6及び7に示す各成分(単位:%)を混合し、十分撹拌した後、ポアサイズが0.8μmであるセルロースアセテートフィルター(アドバンテック製)にて加圧ろ過を行い、各インクを調製した。表6及び7中の「アセチレノールE100」は、界面活性剤(アセチレングリコールのエチレンオキサイド付加物、川研ファインケミカル製)である。
(インクII−14)
特許文献1の実施例1の記載に準じて「顔料インクI」を調製し、インクII−14とした。このインク5の色材は顔料の粒子表面に樹脂が結合している自己分散顔料ではない。
特許文献1の実施例1の記載に準じて「顔料インクI」を調製し、インクII−14とした。このインク5の色材は顔料の粒子表面に樹脂が結合している自己分散顔料ではない。
(インクII−15)
特許文献2の実施例2の記載に準じて「シアンインク組成物」を調製し、インクII−15とした。このインクの色材は顔料の粒子表面に樹脂が結合している自己分散顔料ではない。
特許文献2の実施例2の記載に準じて「シアンインク組成物」を調製し、インクII−15とした。このインクの色材は顔料の粒子表面に樹脂が結合している自己分散顔料ではない。
(インクII−16)
特許文献3の調製例4の記載に準じて「シアン顔料含有架橋ポリマー粒子を含むインク」を調製し、インクII−16とした。このインクの色材は顔料の粒子表面に樹脂が結合している自己分散顔料ではない。
特許文献3の調製例4の記載に準じて「シアン顔料含有架橋ポリマー粒子を含むインク」を調製し、インクII−16とした。このインクの色材は顔料の粒子表面に樹脂が結合している自己分散顔料ではない。
<評価>
表9に示す各インクを組み合わせてインクセットとし、以下に示す評価を行った。各インクを充填したインクカートリッジを、熱エネルギーによりインクを吐出する記録ヘッドを搭載したインクジェット記録装置(商品名「PIXUS Pro 9500」、キヤノン製)にセットした。第1インクはマットブラックインクのポジション、第2インクはシアンインクのポジションにそれぞれセットした。そして、第2インクの記録デューティを10〜100%の間で10%刻みとした10種の2次色のベタ画像のうえに、第1のインクの記録デューティを20%となるように重ねて画像を記録した。記録媒体としては、商品名「キヤノン写真用紙・光沢 [ゴールド]」(キヤノン製)を用いた。なお、実施例27は、第1インクの上に第2インクを付与する条件で画像を記録した。本実施例においては、解像度が600dpi×600dpiで、1/600インチ×1/600インチの単位領域に3.5ngのインクを8滴付与して記録したベタ画像を「記録デューティが100%である」と定義する。本発明においては、下記の各項目の評価基準で「A」及び「B」を許容できるレベル、「C」を許容できないレベルとした。
表9に示す各インクを組み合わせてインクセットとし、以下に示す評価を行った。各インクを充填したインクカートリッジを、熱エネルギーによりインクを吐出する記録ヘッドを搭載したインクジェット記録装置(商品名「PIXUS Pro 9500」、キヤノン製)にセットした。第1インクはマットブラックインクのポジション、第2インクはシアンインクのポジションにそれぞれセットした。そして、第2インクの記録デューティを10〜100%の間で10%刻みとした10種の2次色のベタ画像のうえに、第1のインクの記録デューティを20%となるように重ねて画像を記録した。記録媒体としては、商品名「キヤノン写真用紙・光沢 [ゴールド]」(キヤノン製)を用いた。なお、実施例27は、第1インクの上に第2インクを付与する条件で画像を記録した。本実施例においては、解像度が600dpi×600dpiで、1/600インチ×1/600インチの単位領域に3.5ngのインクを8滴付与して記録したベタ画像を「記録デューティが100%である」と定義する。本発明においては、下記の各項目の評価基準で「A」及び「B」を許容できるレベル、「C」を許容できないレベルとした。
(写像性)
得られた10種のベタ画像について、光沢度計(商品名「マイクロヘイズメーター」、BYKガートナー製)によりヘイズ値を測定し、平均を求め、以下に示す評価基準にしたがって画像の写像性を評価した。
A:ヘイズ値の平均が15未満であった。
B:ヘイズ値の平均が15以上20未満であった。
C:ヘイズ値の平均が20以上であった。
得られた10種のベタ画像について、光沢度計(商品名「マイクロヘイズメーター」、BYKガートナー製)によりヘイズ値を測定し、平均を求め、以下に示す評価基準にしたがって画像の写像性を評価した。
A:ヘイズ値の平均が15未満であった。
B:ヘイズ値の平均が15以上20未満であった。
C:ヘイズ値の平均が20以上であった。
(干渉ムラ)
得られた10種のベタ画像を目視で確認し、以下に示す評価基準にしたがって画像の干渉ムラを評価した。
A:干渉現象による筋状のムラが生じていなかった。
B:干渉現象による筋状のムラがわずかに生じていた。
C:干渉現象による筋状のムラが顕著に生じていた。
得られた10種のベタ画像を目視で確認し、以下に示す評価基準にしたがって画像の干渉ムラを評価した。
A:干渉現象による筋状のムラが生じていなかった。
B:干渉現象による筋状のムラがわずかに生じていた。
C:干渉現象による筋状のムラが顕著に生じていた。
(発色性)
得られた10種のベタ画像のうち、記録デューティが100%であるベタ画像について、分光光度計(商品名「スペクトロリノ」、グレタグマクベス製)により光学濃度を測定し、表8に示す評価基準にしたがって画像の発色性を評価した。
得られた10種のベタ画像のうち、記録デューティが100%であるベタ画像について、分光光度計(商品名「スペクトロリノ」、グレタグマクベス製)により光学濃度を測定し、表8に示す評価基準にしたがって画像の発色性を評価した。
Claims (6)
- 色材を含有しない第1インク及び色材を含有する第2インクの組み合わせを有する水性のインクセットであって、
前記第1インクが、水溶性樹脂及び樹脂粒子を含有し、
前記第2インクが、色材を含有し、前記色材が、顔料の粒子表面に樹脂が結合している自己分散顔料であり、
前記第2インク中の前記樹脂の酸価B(mgKOH/g)が、前記第1インク中の前記水溶性樹脂の酸価A(mgKOH/g)に対する比率B/Aで、0.75倍以上1.75倍以下であることを特徴とするインクセット。 - 前記自己分散顔料の前記樹脂が、前記顔料に対する質量比率で、0.25倍以上0.75倍以下である請求項1に記載のインクセット。
- 前記第1インク中の前記水溶性樹脂の酸価が100mgKOH/g以上250mgKOH/g以下である請求項1又は2に記載のインクセット。
- 前記第1インク中の前記樹脂粒子の体積平均粒子径D1(nm)が、前記第2インク中の前記色材の体積平均粒子径D2(nm)に対する比率で、0.60倍以上1.20倍以下である請求項1乃至3のいずれか1項に記載のインクセット。
- 前記第1インクの寿命時間50ミリ秒における動的表面張力が、30mN/m以上35mN/m以下であり、かつ、静的表面張力が25mN/m以上30以下mN/mである請求項1乃至4のいずれか1項に記載のインクセット。
- インクをインクジェット方式の記録ヘッドから吐出して記録媒体に画像を記録するインクジェット記録方法であって、
前記インクが、請求項1乃至5のいずれか1項に記載のインクセットを構成する各インクであることを特徴とするインクジェット記録方法。
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