JP2019022950A - インクジェット記録方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】ブリーディング及び白もやが抑制された画像、及び光学濃度が高く、耐擦過性に優れた黒色画像を記録可能なインクジェット記録方法を提供する。
【解決手段】インクセットを用いて記録媒体に画像を記録するインクジェット記録方法である。インクセットが、ブラックインク及びカラーインクで構成され、第1ブラックインクの動的表面張力γ50Bk1、第2ブラックインクの動的表面張力γ10Bk2、及びカラーインクの動的表面張力γ10Colが、下記式(1)乃至(4)を満たし、第2ブラックインクの吐出量VBk2が、下記式(5)を満たす。
45mN/m≦γ50Bk1 ・・・(1)
γ10Bk2≦40mN/m ・・・(2)
γ10Col≦40mN/m ・・・(3)
−3mN/m≦γ10Bk2−γ10Col≦3mN/m ・・・(4)
1ng≦VBk2≦3ng ・・・(5)
【選択図】なし
【解決手段】インクセットを用いて記録媒体に画像を記録するインクジェット記録方法である。インクセットが、ブラックインク及びカラーインクで構成され、第1ブラックインクの動的表面張力γ50Bk1、第2ブラックインクの動的表面張力γ10Bk2、及びカラーインクの動的表面張力γ10Colが、下記式(1)乃至(4)を満たし、第2ブラックインクの吐出量VBk2が、下記式(5)を満たす。
45mN/m≦γ50Bk1 ・・・(1)
γ10Bk2≦40mN/m ・・・(2)
γ10Col≦40mN/m ・・・(3)
−3mN/m≦γ10Bk2−γ10Col≦3mN/m ・・・(4)
1ng≦VBk2≦3ng ・・・(5)
【選択図】なし
Description
本発明は、インクジェット記録方法に関する。
インクジェット記録方法によれば、様々な記録媒体に画像を記録することができる。そして、より良好な画像を記録すべく、記録媒体に応じた種々の記録方法が提案されている。また、近年、記録される画像の堅牢性を高めるために、顔料を色材として含有するインクを用いたインクジェット記録方法が提案されている。
また、画像をより高速に記録することが要求されている。このような記録方法の場合、色相の異なるインクが隣接する領域に一度に付与されることがある。色相の異なるインクが隣接する領域に一度に付与されると、インクの浸透又は乾燥により顔料が記録媒体に固定される状態(定着状態)に移行する前に、色相の異なるインクどうしが接触する現象が生じやすくなる。この現象がより顕著に生ずると、色相の異なるインクどうしが記録媒体で混ざり合ってしまい、本来意図した箇所とは異なる箇所に顔料が固定されてしまう、いわゆる「ブリーディング現象」が生じやすく、画像の品位が低下するといった課題が生じていた。
このような課題を解決すべく、種々の技術がこれまでに提案されている。例えば、記録媒体への浸透を速め、ブリーディングを抑制させたインクジェット用のインクが提案されている(特許文献1)。また、記録媒体に付着させたインク滴を乾燥及び定着させる機構を有するインクジェット記録装置が提案されている(特許文献2)。さらに、金属配位化合物を含有する液体組成物と、インクとを組み合わせた、ブリーディングを抑制しうるインクセットが提案されている(特許文献3)。
また、記録媒体への浸透性及び記録濃度が所定の関係に制御された複数の染料インクを用いる、ブリーディングを抑制しうるインクジェット記録方法が提案されている(特許文献4)。さらに、ブラックインクとカラーインクの境界部に、カラーインクと同等の表面張力の第2ブラックインクを付与して画像を記録する方法が提案されている(特許文献5)。また、ポリオキシエチレンアルキルエーテルを含有し、動的表面張力が所定の範囲に制御された、画像濃度が高く、定着性の向上した水性インクが提案されている(特許文献6)。
しかし、特許文献1で提案されたインクは、インク中の色材も記録媒体に多く浸透してしまうため、画像の光学濃度が低下するという課題が新たに発生する。また、特許文献2で提案された記録装置は、大型であるとともに構成が複雑であり、さらには消費電力がアップするといった課題を有するものであった。
特許文献3で提案されたインクセットを用いれば、光学濃度の低下を抑制することができる。しかし、記録媒体以外の箇所で液体組成物とインクが意図せず接触及び混合することで、予定外の箇所でインクが固着しやすくなる。このため、インクの固着を抑制する新たな対策を講ずる必要があった。また、特許文献4で提案された記録方法では、染料を色材として含有するインクを用いるが、顔料を含有するインクを用いた場合にブリーディングが抑制されるか否かについては何ら検討されておらず、不明である。さらに、特許文献6においても、ブリーディングが抑制されるか否かについては言及されていない。
特許文献5で提案された記録方法によれば、ブリーディングを抑制しながら画像の光学濃度を高めることができる。しかし、本発明者らが検討した結果、記録媒体の種類によっては第1ブラックインクと第2ブラックインクが隣接して付与された箇所で画像の均一性が低下することが判明した。具体的には、第2ブラックインクを付与した領域のごく近傍の第1ブラックインクを付与した箇所においてブラック濃度がわずかに低下し、文字の縁がわずかにモヤ状に白っぽくなること(以下、「白もや」とも記す)が確認された。
したがって、本発明の目的は、ブリーディング及び白もやが抑制された画像、並びに光学濃度が高く、耐擦過性に優れた黒色画像を記録可能なインクジェット記録方法を提供することにある。
すなわち、本発明によれば、複数の水性インクで構成されるインクセットを用い、記録媒体に画像を記録するインクジェット記録方法であって、前記インクセットが、第1ブラックインク及び第2ブラックインクを含むブラックインク、並びにカラーインクで構成され、前記第1ブラックインクの50m秒における動的表面張力γ50Bk1、前記第2ブラックインクの10m秒における動的表面張力γ10Bk2、及び前記カラーインクの10m秒における動的表面張力γ10Colが、下記式(1)乃至(4)を満たし、前記第1ブラックインクは、顔料及び前記顔料を分散させる樹脂分散剤を含有し、前記ブラックインクの付与箇所のうち、前記カラーインクの付与箇所との境界領域には前記第2ブラックインクを付与し、前記第2ブラックインクの吐出量VBk2が、下記式(5)を満たすことを特徴とするインクジェット記録方法が提供される。
45mN/m≦γ50Bk1 ・・・(1)
γ10Bk2≦40mN/m ・・・(2)
γ10Col≦40mN/m ・・・(3)
−3mN/m≦γ10Bk2−γ10Col≦3mN/m ・・・(4)
1ng≦VBk2≦3ng ・・・(5)
45mN/m≦γ50Bk1 ・・・(1)
γ10Bk2≦40mN/m ・・・(2)
γ10Col≦40mN/m ・・・(3)
−3mN/m≦γ10Bk2−γ10Col≦3mN/m ・・・(4)
1ng≦VBk2≦3ng ・・・(5)
本発明によれば、ブリーディング及び白もやが抑制された画像、並びに光学濃度が高く、耐擦過性に優れた黒色画像を記録可能なインクジェット記録方法を提供することができる。
<インクジェット記録方法>
以下に、好ましい実施の形態を挙げて、さらに本発明を詳細に説明する。なお、本発明においては、化合物が塩である場合は、インク中では塩はイオンに解離して存在しているが、便宜上、「塩を含有する」と表現する。また、インクジェット用の水性インクのことを、単に「インク」と記載することがある。また、物性値は、特に断りのない限り、常温(25℃)における値とする。
以下に、好ましい実施の形態を挙げて、さらに本発明を詳細に説明する。なお、本発明においては、化合物が塩である場合は、インク中では塩はイオンに解離して存在しているが、便宜上、「塩を含有する」と表現する。また、インクジェット用の水性インクのことを、単に「インク」と記載することがある。また、物性値は、特に断りのない限り、常温(25℃)における値とする。
本発明において、動的表面張力の測定に採用している最大泡圧法とは、測定する液体中に浸したプローブ(細管)の先端部分から押し出された気泡を放出されるのに必要な最大圧力を測定して、表面張力を求める方法である。また、寿命時間とは、最大泡圧法測定においてプローブの先端部分から気泡が形成される際の、気泡が離れた後に新しい表面が形成されてから最大泡圧時(気泡の曲率半径とプローブ先端部分の半径が等しくなったとき)までの時間を意味する。測定温度は25℃である。
本発明者らは、顔料を色材として含有する水性インクを用いて、特許文献4で提案された記録方法について検討した。具体的には、浸透性の高いブラックインク、浸透性の低いブラックインク、及び浸透性の高いイエローインクを用意した。インクの浸透性は、界面活性剤の含有量を変えることで調整した。界面活性剤としては、アセチレングリコールのエチレンオキサイド付加物(商品名「アセチレノールE100」、川研ファインケミカル製)を用いた。浸透性の高いブラックインク及びイエローインク中の界面活性剤の含有量は0.5質量%とし、浸透性の低いブラックインク中の界面活性剤の含有量は0.3質量%とした。
そして、特許文献4で提案された記録方法によって画像を記録したところ、ブリーディングが顕著に発生することがわかった。さらに検討したところ、明度が低いほど浸透性が高いインクを含むインクセットを使用し、明度が低いインクから順に記録媒体に付与する場合においてのみ、ブリーディングが抑制されることがわかった。特許文献4で提案された記録方法では染料を含有するインクを用いるのに対し、本発明者らが行った検討では顔料を含有するインクを用いたために、このような現象が生じたと推測される。特許文献4においては、普通紙を構成するセルロース繊維との親和力を示す指標として、染料のRf値に着目している。Rf値が高い染料はセルロース繊維との親和力が低いため、記録媒体に広がりやすい。そして、Rf値が近い染料の組み合わせでブリーディングが発生しやすく、明度が低いインクほどRf値が低い染料を用いればブリーディングが抑制されるとしている。
色材として顔料を用いた水性インクを用意する場合、顔料を分散させるための分散剤として水溶性樹脂を用いた、いわゆる樹脂分散顔料や、顔料の粒子表面にイオン性基を含む官能基を結合させた、いわゆる自己分散顔料が一般的に用いられている。このような顔料はRf値が近似しているため、ブリーディングが発生しやすくなったと考えられる。インク中の顔料は水に溶解しておらず、樹脂分散顔料や自己分散顔料がセルロース繊維と相互作用する。すなわち、顔料の分子の相違に基づく相互作用の違いが生じにくく、Rf値が近似すると推測される。そうであるならば、特許文献4で提案された記録方法を、色材として顔料を含有する水性インクに適用することは困難であると言える。
また、明度が低いほど浸透性が高いインクを含むインクセットを使用し、明度が低いインクから順に記録媒体に付与することで、ブリーディングが抑制されることがわかった。しかし、記録ヘッドが走査して画像を記録するシリアル方式のインクジェット記録方法の場合、記録ヘッドの往方向と復方向でインクの付与順序が逆となるため、記録方法としては大きな制約となる。
次に、本発明者らは、顔料を色材として含有する水性インクで画像を記録する場合に、ブリーディングを抑制する方法について検討した。その結果、記録媒体に付与された異なるインク同士が接触してから、記録媒体への浸透が完了するまでの時間単位の表面張力に着目してインクを調製する必要性があることを見出した。より具体的には、10m秒における動的表面張力が40mN/m以下であり、かつ、動的表面張力の差が、いずれの組み合わせでも3mN/m以内である複数のインクを用いる必要があることを見出した。
記録媒体に付与後のインクの挙動を高速度カメラで観察すると、高速記録の代表例である、一度の走査で画像を記録する、いわゆる1パス記録の場合、記録媒体に付与された直後に異なるインク同士が接触することがわかる。また、記録媒体へのインクの浸透が完了するまでの時間は、インクや普通紙の種類により相違するが、約10m秒から50m秒程度かかることがわかった。異なるインク同士のブリーディングは、記録媒体への浸透が完了する前の混合によって生じ、浸透後の混合については無視することができる。すなわち、ブリーディングを抑制するには、インク同士が接触してから記録媒体への浸透が完了するまでの時間における、インク同士の混ざり合いを抑制すればよいことになる。
種々のインクを組み合わせて検討したところ、インク同士が接触してから記録媒体への浸透が完了するまでの時間におけるインク同士の混ざり合いを抑制するには、「張力」と「拡散」の二つの現象を考慮する必要性があることが判明した。通常、さらに溶媒相間の相溶性を考慮する必要があるが、水性インクでは水が主要な溶媒であるため、相溶性は必然的に高くなる。つまり、溶媒を変えて相溶性を低くすることによりインク間の混ざり合いを抑制することはできない。
2種のインクの液滴同士が接触するように記録媒体に付与されると、インクの組み合わせによっては、一方のインクが他方のインクに瞬時に引き込まれる。詳細に検討したところ、極短い時間における動的表面張力の差が大きい場合に、このような「引き込み」が生ずることがわかった。液滴同士が接触した時点において表面張力に差があると、表面張力が高いほうのインクの張力(表面張力が低い方のインクを引き込む力)が強い。上記の「引き込み」を抑制するには、インク同士の表面張力の差を極力小さくする必要がある。記録媒体に付与されたインクにより新たな表面が形成されるのとほぼ同時にインク同士が接触するため、極短時間における動的表面張力を考慮する必要がある。
また、異なるインク同士では用いる顔料の種類が異なるため、拡散そのものを抑制することは実質的に不可能である。また、張力による「引き込み」と比較すると、拡散によるインク同士の混ざり合いは緩やかである。そこで、本発明者らは、拡散を抑制するのではなく、拡散によって混ざり合う時間を極力短くすることで、インク同士の混ざり合いを抑制することができると考えた。すなわち、記録媒体への浸透を極力速めることについて検討した。
インクの種類と浸透速度との関係を高速度カメラで観察して検討した結果、極短時間における動的表面張力と浸透速度とが関係性を有することが判明した。極短時間における動的表面張力を低下させると浸透が速くなり、あるところで飽和する。具体的には、10m秒における動的表面張力が40mN/mを超えるインクの場合、動的表面張力が高いほど浸透が遅くなること、及び記録媒体に付与されてから浸透が完了するまで、約10m秒から50m秒程度かかることがわかった。一方、10m秒における動的表面張力が40mN/m以下のインクの場合、浸透速度は概ね一定となること、及び記録媒体に付与されてから浸透が完了するまで、概ね10m秒かかることがわかった。
このような傾向は、一般的なインクジェット記録方法におけるインク液滴の付与量の範囲内(1ngから100ng)では、大きな差異もなく認められた。また、普通紙の種類について種々確認したが、普通紙の種類の違いによる大きな差異は認められなかった。記録媒体に付与されたインクが記録媒体に浸透するまでの間には、以下のような過程を経ると考えられる。まず、記録媒体の表面に対してインクの濡れが生じた後、毛管力により記録媒体中に浸透し、浸透が完了する。記録媒体の表面にインクを濡らすには、記録媒体の表面エネルギーに応じてインクの表面張力を低く設定する必要がある。普通紙は、通常、水の浸透やインクのにじみを抑制すべく、サイズ剤が使用されることなどによって疎水性にコントロールされている。このため、普通紙の表面エネルギーは概ね近似しており、そのような表面エネルギーの材料に短時間で濡れを発生させるのに必要な条件が、10m秒における動的表面張力を40mN/m以下とすることであると考えられる。また、インクの濡れが発生する時間と比較して、毛管力による記録媒体中への浸透は十分に速いと考えられる。このため、インクの付与量は浸透完了までに要する時間に大きな影響を与えないと推測される。
次いで、本発明者らは、10m秒における動的表面張力が40mN/m以下のインクを用いて張力を抑制する条件について検討した。記録媒体に付与されたインク液滴によって新たな表面が形成され、寿命時間が0となった直後にインク同士が接触するため、極短時間における動的表面張力を考慮する必要があると推測した。しかし、簡便な手法である最大泡圧法を利用し、寿命時間10m秒における動的表面張力によって張力を抑制する条件を特定できることがわかった。具体的には、10m秒における動的表面張力の差が3mN/m以内である複数のインクを用いることが必要であることが判明した。記録媒体に付与されたインクの浸透が完了するには、概ね10m秒必要である。この10m秒の間の表面張力の変化をインク同士で揃えることで、張力を有効に抑制することができる。
前述の通り、明度が低いほど浸透性が高いインクを含むインクセットを使用し、明度の低いインクから順に記録媒体に付与することで、ブリーディングが抑制されることがわかった。但し、このような現象は、浸透性が高く明度が低いインクを記録媒体に先に付与することで、明度が低いインクが記録媒体に濡れる時間を稼いでいるに過ぎない。例えば、付与間隔を徐々に短くし、先に付与された明度の低いインクが記録媒体の表面に濡れる前に、明度の高いインクが付与される場合を想定すると、ブリーディングが発生しやすくなることが予想される。すなわち、明度の低いインクの浸透性の方が高いため、明度の低いインクの表面張力の方が低く、明度の低いインクが明度の高いインクに引き込まれることになる。実際に、インクの付与間隔を短くした場合(例えば、8m秒から2m秒に短くした場合)、ブリーディングが発生しやすくなることが確認された。
以上述べてきた内容をまとめると以下のようになる。ブリーディングを抑制するには、10m秒における動的表面張力に着目してインクを調製することが必要である。具体的には、10m秒における動的表面張力が40mN/m以下であり、付与されるインク同士の動的表面張力の差が3mN/m以下となるように制御したインクを用いて画像を記録すればよい。このようなインクで記録した画像には、インクの付与間隔や付与順序に起因するブリーディングへの影響は認められなかった。これは、インク同士の動的表面張力の差が小さくなるように制御していることからも理解される。
次に、光学濃度が向上した黒色の画像を記録する方法について検討した。まず、特許文献6の記載を参考にして、顔料を含有するインクの動的表面張力と、黒色画像の光学濃度との関係について検討した。その結果、以下のことが判明した。50m秒における動的表面張力が高いインクを用いた場合ほど、黒色画像の光学濃度が向上した。前述の通り、10m秒における動的表面張力が40mN/mを超えるインクは、記録媒体に付与されてから浸透が完了するまでにかかる時間が長くなる。これは、記録媒体の表面に対するインクの濡れが発生するまでの時間が長くなるためと考えられる。ここで、50m秒における動的表面張力を45mN/m以上にすると、10m秒における動的表面張力も45mN/m以上となる。すなわち、50m秒における動的表面張力を45mN/m以上にすると、インクが記録媒体の表面上に留まる時間が長くなる。そして、インクが記録媒体の表面上に留まっている間に、水分蒸発によるインクの粘度上昇や、色材の会合及び凝集などのインクの状態変化が生じ、記録媒体の表面に色材を効果的に存在させることができ、黒色画像の光学濃度が高まると考えられる。
次いで、本発明者らは、2種のブラックインク(Bkインク)、シアンインク(Cインク)、マゼンタインク(Mインク)、及びイエローインク(Yインク)を用意した。2種のBkインクとしては、50m秒における動的表面張力(γ50Bk1)が45mN/m以上の第1ブラックインク(Bk1インク)と、10m秒における動的表面張力(γ10Bk2)が40mN/m以下の第2ブラックインク(Bk2インク)を用意した。また、Cインク、Mインク、及びYインクの10m秒における動的表面張力(γ10Col)を40mN/m以下とした。さらに、Bk2インク、Cインク、Mインク、及びYインクのγ10の差(γ10Bk2−γ10Col)は、いずれの組み合わせにおいても3mN/m以内とした。そして、Bk1インクは、顔料及び顔料を分散させる樹脂分散剤を含有する。すなわち、Bk1インクは樹脂分散顔料を含有する。これら5種のインクを用いてフルカラー画像を記録する方法について検討した。
Bk1インクのみを用いると、光学濃度が高い黒色画像を記録することができた。また、Bk2インク、Cインク、Mインク、及びYインクを用いてフルカラー画像を記録すると、どの色間においてもブリーディングの程度は軽微であったが、黒色画像の光学濃度は低下した。次に、5種のインクのすべてを用いてフルカラー画像を記録した。具体的には、まず、フルカラー画像に対応するBkインク、Cインク、Mインク、及びYインクの付与箇所をそれぞれ決定した。次いで、Bkインクの付与箇所のうち、カラーインクの付与箇所との境界領域にはBk2インクを付与し、それ以外の領域にはBk1インクを付与して画像を記録した。そして、カラーインクの付与箇所には、Cインク、Mインク、及びYインクをそれぞれ付与して画像を記録した。その結果、Bk1インク及びBk2インクが隣接して付与されて記録された画像の均一性が低下することが判明した。具体的には、Bk2インクを付与した箇所の近傍に付与したBk1インクで記録した画像が、モヤ状に白っぽくなること(白もや)が確認された。
Bk1インク及びBk2インクの色相はいずれも黒色であるため、ブリーディングは視認されず、これらのインクを隣接して付与した場合であっても互いの干渉は視認できないと推測していた。しかし、動的表面張力の値が顕著に相違するBk1インクとBk2インクを隣接して付与すると、記録される画像の均一性が低下して白もやが発生するといった新たな課題が生ずることが判明した。
動的表面張力が大きく異なるBk1インクとBk2インクが隣接して付与されると、Bk2インクがBk1インクへと引き込まれる。但し、同色のインクであるため、インクの引き込み(移動)を視認することはできない。Bk1インクのγ50Bk1は45mN/m以上であるため、普通紙の表面に対して濡れが発生するまでに時間がかかるのに対し、Bk2インクのγ10Bk2は40mN/m以下であるため、記録媒体の表面に対する濡れは短時間で発生する。したがって、Bk1インクの浸透が開始する前に、Bk2インクの浸透が開始することになる。
Bk2インクの浸透が開始する段階では、Bk1インクとBk2インクは既に接触している。このため、Bk2インクの浸透が開始すると、Bk2インクの近傍に存在するBk1インクが引っ張られ、Bk2インクの付与箇所に浸透する。その結果、Bk2インクの付与箇所の近傍に付与されたBk1インクの量が少なくなるとともに、記録媒体の表面やその近傍に定着する色材が少なくなってしまい、モヤ状に白っぽくなった画像が記録されることになる。また、Bk1インクには、自己分散顔料よりも一般的に定着性が劣る樹脂分散顔料が含まれている。すなわち、樹脂分散顔料は、自己分散顔料に比べて、記録媒体に付与されてから定着して動かなくなるまでの時間が長い。このため、Bk2インクによってBk1インクがより長時間引き込まれるため、白もやの発生が促進されたと推測される。
本発明者らは、記録媒体に付与されたBk2インクから液体成分を迅速に除去することができれば、Bk1インクの引き込みを抑制でき、白もやの発生を抑制できるのではないかと推測した。かかる推測の下、Bk2インクの吐出量VBk2を極めて少なくすること、具体的には、Bk2インクの吐出量VBk2を3ng以下にすることで、白もやを大幅に抑制できることを見出した。一方、Bk2インクの吐出量VBk2を1ng未満にすると、白く抜けたような状態の白もやが観察されることも判明した。Bk2インクの吐出量VBk2が少なすぎたために、インクによる記録媒体の隠ぺい率が低下したものと考えられる。以上の検討の結果、Bk2インクの吐出量VBk2を1ng以上3ng以下とすることで、白もやを有効に抑制できることを見出した。
特許文献5では、Bk2インクの単位面積当たりの付与量を、Bk1インクの単位面積あたりの付与量よりも少なくすることが開示されている。しかし、特許文献5では、ブラックとカラーの間で生ずるブリーディングについてのみ評価しており、Bk1インクとBk2インクの境界部で生ずる白もやについては検討されていない。本発明者らは、Bk1インクとBk2インクの境界部に着目してさらに検討した。その結果、単位面積あたりのインク付与量ではなく、Bk2インクの吐出量VBk2が白もやの抑制に有効な因子であること、及びBk2インクの吐出量VBk2を1ng以上3ng以下とすることを見出した。
以上述べてきた内容をまとめると、複数の水性インクで構成されるインクセットを用い、記録媒体に画像を記録する本発明のインクジェット記録方法は以下のようになる。まず、本発明のインクジェット記録方法で用いるインクセットは、Bk1インク及びBk2インクを含むBkインク、並びにカラーインクで構成されている。Bk1インクの50m秒における動的表面張力γ50Bk1、Bk2インクの10m秒における動的表面張力γ10Bk2、及びカラーインクの10m秒における動的表面張力γ10Colは、下記式(1)乃至(4)を満たす。Bk1インクは、顔料及び顔料を分散させる樹脂分散剤を含有する。Bkインクの付与箇所のうち、カラーインクの付与箇所との境界領域にはBk2インクを付与する。そして、Bk2インクの吐出量VBk2は、下記式(5)を満たす。
45mN/m≦γ50Bk1 ・・・(1)
γ10Bk2≦40mN/m ・・・(2)
γ10Col≦40mN/m ・・・(3)
−3mN/m≦γ10Bk2−γ10Col≦3mN/m ・・・(4)
1ng≦VBk2≦3ng ・・・(5)
45mN/m≦γ50Bk1 ・・・(1)
γ10Bk2≦40mN/m ・・・(2)
γ10Col≦40mN/m ・・・(3)
−3mN/m≦γ10Bk2−γ10Col≦3mN/m ・・・(4)
1ng≦VBk2≦3ng ・・・(5)
Bk1インクの吐出量VBk1は、下記式(6)を満たすことが好ましい。Bk1インクの吐出量VBk1を8ng以上とすることで、記録される黒色画像の光学濃度をより高めることができる。
8ng≦VBk1 ・・・(6)
8ng≦VBk1 ・・・(6)
白もやを抑制するには、Bk2インクの吐出量VBk2を適切な範囲に設定することが重要であり、Bk2インクの単位面積当たりの付与量を、Bk1インクの単位面積当たりの付与量よりも少なくすることは必須ではない。例えば、単位面積当たりのインクの付与量を、Bk1インクとBk2インクで等量にしてもよい。Bk2インクの単位面積当たりの付与量を、Bk1の単位面積当たりの付与量よりもより少なくすると、黒文字の縁部の光学濃度が黒文字の内部の光学濃度よりも低くなるため、黒文字の縁部がぼやけることがある。これに対し、単位面積当たりのインクの付与量を、Bk1インクとBk2インクと等量にすれば、縁部がはっきりとした鮮明な黒文字を記録することができる。
Bk1インクの単位面積当たりの色材付与量VlBk1と、Bk2インクの単位面積当たりの色材付与量VlBk2は、下記式(8)を満たすことが好ましい。例えば、カラーバックにBkインクで黒文字を記録する場合、カラーインクの付与箇所との境界領域にはBk2インクを付与する。この場合に、Bk2インクの単位面積当たりの色材付与量VlBk2を、Bk1インクの単位面積当たりの色材付与量VlBk1以上とすることで、黒文字の縁部の色材量が、黒文字の内部の色材量よりも多くなる。このため、輪郭がさらにはっきりとした黒文字を記録することができる。
VlBk1≦VlBk2 ・・・(8)
VlBk1≦VlBk2 ・・・(8)
Bk2インクを付与する境界領域の幅を広くするほど、ブリーディングを抑制することができる。但し、境界領域の幅を広くしすぎると、ブリーディングは抑制される一方、Bk1インクを付与して記録した黒色画像と、Bk2インクを付与した境界領域との光学濃度差が視認されやすくなり、画像の均一性が低下する。種々のフルカラー画像を記録して検討した結果、境界領域の幅を40μm以上130μm以下とすると、ブリーディングを効果的に抑制できるとともに、黒色画像の光学濃度差が目立たなくなり、画像の均一性が向上することがわかった。
黒色画像をカラー画像と隣接させることなく記録する場合には、Bk1インクのみで黒色画像を記録してもよく、Bk1インクとBk2インクを併用して黒色画像を記録してもよい。Bk1インクとBk2インクを併用して黒画像を記録する場合は、Bk1インクで記録する黒色画像の縁部をBk2インクで記録することが好ましい。さらに、Bk2インクの単位面積当たりの色材付与量VlBk2を、Bk1インクの単位面積当たりの色材付与量VlBk1よりも多くすることが好ましい。このように記録することで、黒色画像の縁部の光学濃度を高めることができ、縁部のはっきりとした、より鮮明度の高い黒色画像を記録することができる。
<水性インク>
本発明のインクジェット記録方法では、複数の水性インクで構成されるインクセットを用いて画像を記録する。以下、本発明のインクジェット記録方法で用いるインクセットを構成する水性インクに含有させる成分や、水性インクの物性などについて詳細に説明する。
本発明のインクジェット記録方法では、複数の水性インクで構成されるインクセットを用いて画像を記録する。以下、本発明のインクジェット記録方法で用いるインクセットを構成する水性インクに含有させる成分や、水性インクの物性などについて詳細に説明する。
(色材)
インクは、染料や顔料などの色材を含有する。Bk1インクは、顔料を色材として含有する。耐水性の観点から、いずれのインクも顔料を色材として含有することが好ましい。Cインク、Mインク、及びYインクには、それぞれ、フタロシアニン顔料、キナクドリン顔料、及びアゾ顔料などの有機顔料を用いることができる。Cインクに用いる有機顔料としては、C.I.ピグメントブルー15を挙げることができる。Mインクに用いる有機顔料としては、C.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメントバイオレット19、キナクリドン顔料の固溶体などを挙げることができる。Yインクに用いる有機顔料としては、C.I.ピグメントイエロー74、C.I.ピグメントイエロー128、C.I.ピグメントイエロー155などを挙げることができる。
インクは、染料や顔料などの色材を含有する。Bk1インクは、顔料を色材として含有する。耐水性の観点から、いずれのインクも顔料を色材として含有することが好ましい。Cインク、Mインク、及びYインクには、それぞれ、フタロシアニン顔料、キナクドリン顔料、及びアゾ顔料などの有機顔料を用いることができる。Cインクに用いる有機顔料としては、C.I.ピグメントブルー15を挙げることができる。Mインクに用いる有機顔料としては、C.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメントバイオレット19、キナクリドン顔料の固溶体などを挙げることができる。Yインクに用いる有機顔料としては、C.I.ピグメントイエロー74、C.I.ピグメントイエロー128、C.I.ピグメントイエロー155などを挙げることができる。
Bk1インク及びBk2インクは、いずれもカーボンブラックを含有することが好まし。Bk1インクは、顔料及び顔料を分散させる樹脂分散剤を含有する。すなわち、Bk1インクは樹脂分散顔料を含有する。樹脂分散顔料を含有するBk1インクを用いることで、記録される画像の耐擦過性を向上させることができる。Bk2インクは、顔料の粒子表面に親水性基が導入された自己分散顔料を含有することが好ましい。自己分散顔料を含有するBk2インクを用いることで、記録媒体に付与後の顔料の凝集性をより高めることができる。本発明者らは、Bk2インクの吐出量VBk2を1ng以上3ng以下とすることで、白もやが大幅に抑制されることを見出した。Bk2インクの吐出量を制御することで白もやが抑制されるのは、記録媒体に付与後のBk2インクから液体成分が速やかに除去され、隣接して付与されるBk1インクの引き込みが抑制されるためと考えられる。自己分散顔料を含有するBk2インクを用いることで、記録媒体に付与されたBk2インク中の顔料の凝集及び定着をより速めることができ、白もやをさらに抑制することができる。
自己分散顔料は、顔料の粒子表面にアニオン性基を含む官能基が結合したものである。具体的には、顔料の粒子表面に直接又は他の原子団(−R−)を介してアニオン性基が結合したものを挙げることができる。このような自己分散顔料を用いることで、顔料をインク中に分散させるための分散剤の添加が不要となる、又は分散剤の添加量を少量とすることができる。
アニオン性基は、インク中で一部が解離した状態であってもよく、全てが解離した状態であってもよい。アニオン性基としては、カルボン酸基、ホスホン酸基を挙げることができる。アニオン性基のカウンターイオンとしては、水素原子、アルカリ金属、アンモニウム、又は有機アンモニウムなどのカチオンを挙げることができる。また、アニオン性基は、顔料の粒子表面に他の原子団(−R−)を介して結合していてもよい。他の原子団(−R−)としては、アルキレン基、アリーレン基、アミド基、スルホニル基、イミノ基、カルボニル基、エステル基、エーテル基、これらの基を組み合わせた基などを挙げることができる。
樹脂分散顔料は、樹脂分散剤によって顔料が分散されたものである。樹脂分散剤としては、親水性ユニット及び疎水性ユニットを構成ユニットとして有するアクリル樹脂、好適には水溶性のアクリル樹脂を用いることが好ましい。本発明における「水溶性の樹脂」とは、酸価と当量のアルカリで中和し、動的光散乱法により測定した場合に、粒子径を測定し得る粒子を形成しない樹脂であることを意味する。以下、アクリル樹脂を構成する各ユニットについて説明する。本発明における「(メタ)アクリル」とは、アクリル、メタクリルを意味する。
親水性ユニットは、酸基やヒドロキシ基などの親水性基を有する単量体を重合することで形成される。親水性基を有する単量体としては、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸などのカルボン酸基を有する酸性単量体;(メタ)アクリル酸−2−ホスホン酸エチルなどのホスホン酸基を有する酸性単量体;これらの酸性単量体の無水物や塩などのアニオン性単量体;(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸−3−ヒドロキシプロピルなどのヒドロキシ基を有する単量体;メトキシ(モノ、ジ、トリ、ポリ)エチレングリコール(メタ)アクリレートなどのエチレンオキサイド基を有する単量体などを挙げることができる。アニオン性単量体の塩を構成するカチオンとしては、リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン、アンモニウムイオン、有機アンモニウムイオンなどを挙げることができる。
疎水性ユニットは、酸基やヒドロキシ基などの親水性基を有しない、疎水性の単量体を重合することで形成される。疎水性の単量体としては、スチレン、α−メチルスチレン、ベンジル(メタ)アクリレートなどの芳香環を有する単量体;エチル(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート、(イソ)プロピル(メタ)アクリレート、(n−、iso−、t−)ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレートなどの脂肪族基を有する単量体などを挙げることができる。
インク中の色材の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、それぞれ1.00質量%以上10.00質量%以下であることが好ましい。なかでも、それぞれ3.00質量%以上であることが、画像の光学濃度をより高めることができるために好ましい。また、Bk1インク中の色材の含有量CBk1と、Bk2インク中の色材の含有量CBk2は、下記式(7)を満たすことが好ましい。色材の含有量が多い方のインクが、記録媒体に付与された後、液体成分をより速やかに除去することができる。このため、Bk1インクと同等又はBk1インクよりも多く色材を含有するBk2インクを用いることで、白もやをさらに抑制することができる。
CBk1≦CBk2 ・・・(7)
CBk1≦CBk2 ・・・(7)
(水性媒体)
インクには、水及び水溶性有機溶剤の混合溶媒である水性媒体を含有させることができる。水としては、脱イオン水やイオン交換水を用いることが好ましい。インクは、水性媒体として少なくとも水を含有する水性インクである。インク中の水の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、40.00質量%以上95.00質量%以下であることが好ましい。水溶性有機溶剤としては、アルコール類、グリコール類、グリコールエーテル類、含窒素化合物類などのインクジェット用のインクに使用可能なものをいずれも用いることができ、1種又は2種以上を含有させることができる。水溶性有機溶剤は、25℃における蒸気圧が水よりも低いものが好ましい。インク中の水溶性有機溶剤の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、3.00質量%以上50.00質量%以下であることが好ましく、15.00質量%以上30.00質量%以下であることがさらに好ましい。
インクには、水及び水溶性有機溶剤の混合溶媒である水性媒体を含有させることができる。水としては、脱イオン水やイオン交換水を用いることが好ましい。インクは、水性媒体として少なくとも水を含有する水性インクである。インク中の水の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、40.00質量%以上95.00質量%以下であることが好ましい。水溶性有機溶剤としては、アルコール類、グリコール類、グリコールエーテル類、含窒素化合物類などのインクジェット用のインクに使用可能なものをいずれも用いることができ、1種又は2種以上を含有させることができる。水溶性有機溶剤は、25℃における蒸気圧が水よりも低いものが好ましい。インク中の水溶性有機溶剤の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、3.00質量%以上50.00質量%以下であることが好ましく、15.00質量%以上30.00質量%以下であることがさらに好ましい。
(その他の成分)
インクには、上記成分以外にも必要に応じて、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパンや、尿素、エチレン尿素などの含窒素化合物などの常温で固体の有機化合物を含有させてもよい。上記の成分の他に、さらに必要に応じて、樹脂、pH調整剤、消泡剤、防錆剤、防腐剤、防カビ剤、酸化防止剤、還元防止剤、蒸発促進剤などの種々の添加剤をインクに含有させてもよい。
インクには、上記成分以外にも必要に応じて、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパンや、尿素、エチレン尿素などの含窒素化合物などの常温で固体の有機化合物を含有させてもよい。上記の成分の他に、さらに必要に応じて、樹脂、pH調整剤、消泡剤、防錆剤、防腐剤、防カビ剤、酸化防止剤、還元防止剤、蒸発促進剤などの種々の添加剤をインクに含有させてもよい。
インクには界面活性剤を含有させることができる。界面活性剤の種類としては、公知のアニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、及びカチオン性界面活性剤などを挙げることができる。なかでも、ノニオン性界面活性剤を好適に用いることができる。
(インクの物性)
最大泡圧法により25℃の条件下で測定される、寿命時間10m秒における動的表面張力(γ10)、又は寿命時間50m秒における動的表面張力(γ50)が所定の値に調整されたインクを用いる。インクの動的表面張力は、例えば、界面活性剤や水溶性有機溶剤の種類及び含有量を適宜調整することによって調整することができる。第1ブラックインクの寿命時間50m秒における動的表面張力は、45mN/m以上であり、60mN/m以下であることが好ましく、45mN/m以上55mN/m以下であることがさらに好ましい。また、第2ブラック、シアン、マゼンタ、及びイエローの各インクの寿命時間10m秒における動的表面張力は、40mN/m以下であり、30mN/m以上であることが好ましい。また、第1ブラックインクの寿命時間10m秒における動的表面張力は、45mN/m以上であることが好ましく、65mN/m以下であることが好ましい。
最大泡圧法により25℃の条件下で測定される、寿命時間10m秒における動的表面張力(γ10)、又は寿命時間50m秒における動的表面張力(γ50)が所定の値に調整されたインクを用いる。インクの動的表面張力は、例えば、界面活性剤や水溶性有機溶剤の種類及び含有量を適宜調整することによって調整することができる。第1ブラックインクの寿命時間50m秒における動的表面張力は、45mN/m以上であり、60mN/m以下であることが好ましく、45mN/m以上55mN/m以下であることがさらに好ましい。また、第2ブラック、シアン、マゼンタ、及びイエローの各インクの寿命時間10m秒における動的表面張力は、40mN/m以下であり、30mN/m以上であることが好ましい。また、第1ブラックインクの寿命時間10m秒における動的表面張力は、45mN/m以上であることが好ましく、65mN/m以下であることが好ましい。
<インクカートリッジ>
インクカートリッジは、インクと、このインクを収容するインク収容部とを備える。そして、このインク収容部に収容されているインクが、上記で説明したインクである。図1は、インクカートリッジの一実施形態を模式的に示す断面図である。図1に示すように、インクカートリッジの底面には、記録ヘッドにインクを供給するためのインク供給口12が設けられている。インクカートリッジの内部はインクを収容するためのインク収容部となっている。インク収容部は、インク収容室14と、吸収体収容室16とで構成されており、これらは連通口18を介して連通している。また、吸収体収容室16はインク供給口12に連通している。インク収容室14には液体のインク20が収容されており、吸収体収容室16には、インクを含浸状態で保持する吸収体22及び24が収容されている。インク収容部は、液体のインクを収容するインク収容室を持たず、収容されるインク全量を吸収体により保持する形態であってもよい。また、インク収容部は、吸収体を持たず、インクの全量を液体の状態で収容する形態であってもよい。さらには、インク収容部と記録ヘッドとを有するように構成された形態のインクカートリッジとしてもよい。
インクカートリッジは、インクと、このインクを収容するインク収容部とを備える。そして、このインク収容部に収容されているインクが、上記で説明したインクである。図1は、インクカートリッジの一実施形態を模式的に示す断面図である。図1に示すように、インクカートリッジの底面には、記録ヘッドにインクを供給するためのインク供給口12が設けられている。インクカートリッジの内部はインクを収容するためのインク収容部となっている。インク収容部は、インク収容室14と、吸収体収容室16とで構成されており、これらは連通口18を介して連通している。また、吸収体収容室16はインク供給口12に連通している。インク収容室14には液体のインク20が収容されており、吸収体収容室16には、インクを含浸状態で保持する吸収体22及び24が収容されている。インク収容部は、液体のインクを収容するインク収容室を持たず、収容されるインク全量を吸収体により保持する形態であってもよい。また、インク収容部は、吸収体を持たず、インクの全量を液体の状態で収容する形態であってもよい。さらには、インク収容部と記録ヘッドとを有するように構成された形態のインクカートリッジとしてもよい。
<インクジェット記録装置>
本発明のインクジェット記録方法では、例えば、インクセットを構成する、上記で説明した複数のインクをインクジェット方式の記録ヘッドから吐出して記録媒体に画像を記録する。インクを吐出する方式としては、インクに力学的エネルギーを付与する方式や、インクに熱エネルギーを付与する方式が挙げられる。本発明においては、インクに熱エネルギーを付与してインクを吐出する方式を採用することが特に好ましい。上記で説明した複数のインクを用いること、及びこれらのインクを所定の領域に付与して画像を記録すること以外、インクジェット記録方法の工程は公知のものとすればよい。
本発明のインクジェット記録方法では、例えば、インクセットを構成する、上記で説明した複数のインクをインクジェット方式の記録ヘッドから吐出して記録媒体に画像を記録する。インクを吐出する方式としては、インクに力学的エネルギーを付与する方式や、インクに熱エネルギーを付与する方式が挙げられる。本発明においては、インクに熱エネルギーを付与してインクを吐出する方式を採用することが特に好ましい。上記で説明した複数のインクを用いること、及びこれらのインクを所定の領域に付与して画像を記録すること以外、インクジェット記録方法の工程は公知のものとすればよい。
図2は、本発明のインクジェット記録方法に用いられるインクジェット記録装置の一例を模式的に示す図であり、(a)はインクジェット記録装置の主要部の斜視図、(b)はヘッドカートリッジの斜視図である。インクジェット記録装置には、記録媒体32を搬送する搬送手段(不図示)、及びキャリッジシャフト34が設けられている。キャリッジシャフト34にはヘッドカートリッジ36が搭載可能となっている。ヘッドカートリッジ36は記録ヘッド38及び40を具備しており、インクカートリッジ42がセットされるように構成されている。ヘッドカートリッジ36がキャリッジシャフト34に沿って主走査方向に搬送される間に、記録ヘッド38及び40から記録媒体32に向かってインク(不図示)が吐出される。そして、記録媒体32が搬送手段(不図示)により副走査方向に搬送されることによって、記録媒体32に画像が記録される。
本発明のインクジェット記録方法により画像を記録する対象とする記録媒体としては、どのようなものを用いてもよい。なかでも、普通紙や、コート層を有する記録媒体(光沢紙やアート紙)などの、浸透性を有する紙を用いることが好ましい。
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は、その要旨を超えない限り、下記の実施例によって何ら限定されるものではない。なお、成分量に関して「部」及び「%」と記載しているものは特に断らない限り質量基準である。
<樹脂の合成>
スチレン60.0部、アクリル酸ブチル24.6部、及びアクリル酸15.4部を常法にしたがって共重合し、水溶性の樹脂1を合成した。水酸化カリウム水溶液を添加して樹脂中の酸性基を中和率が100%となるように中和した後、イオン交換水をさらに添加して、樹脂(固形分)の含有量が20.0%である樹脂1の水溶液を得た。樹脂1の水溶液に塩酸を添加して析出させた析出物を40℃で一晩真空乾燥して樹脂1を得た。得られた樹脂1をテトラヒドロフランに溶解させて調製した溶液を測定用試料とし、電位差自動滴定装置(商品名「AT−510」、京都電子工業製)を使用して樹脂1の酸価を測定した。滴定液としては、水酸化カリウムメタノール滴定液を用いた。また、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により、得られた樹脂1のポリスチレン換算の重量平均分子量を測定した。得られた樹脂1の酸価は120mgKOH/g、重量平均分子量は10,000であった。
スチレン60.0部、アクリル酸ブチル24.6部、及びアクリル酸15.4部を常法にしたがって共重合し、水溶性の樹脂1を合成した。水酸化カリウム水溶液を添加して樹脂中の酸性基を中和率が100%となるように中和した後、イオン交換水をさらに添加して、樹脂(固形分)の含有量が20.0%である樹脂1の水溶液を得た。樹脂1の水溶液に塩酸を添加して析出させた析出物を40℃で一晩真空乾燥して樹脂1を得た。得られた樹脂1をテトラヒドロフランに溶解させて調製した溶液を測定用試料とし、電位差自動滴定装置(商品名「AT−510」、京都電子工業製)を使用して樹脂1の酸価を測定した。滴定液としては、水酸化カリウムメタノール滴定液を用いた。また、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により、得られた樹脂1のポリスチレン換算の重量平均分子量を測定した。得られた樹脂1の酸価は120mgKOH/g、重量平均分子量は10,000であった。
<顔料分散液の調製>
(顔料分散液1)
樹脂1の水溶液30.0部、カーボンブラック20.0部、及びイオン交換水50.0部を混合し、バッチ式縦型サンドミルを用いて10時間分散させて分散液を得た。得られた分散液を遠心分離して粗大粒子を除去した後、ポアサイズ3.0μmのミクロフィルター(富士フイルム製)にて加圧ろ過した。適量の水を加え、顔料(カーボンブラック)の含有量が10.0%、樹脂1(樹脂分散剤)の含有量が6.0%である顔料分散液1を調製した。
(顔料分散液1)
樹脂1の水溶液30.0部、カーボンブラック20.0部、及びイオン交換水50.0部を混合し、バッチ式縦型サンドミルを用いて10時間分散させて分散液を得た。得られた分散液を遠心分離して粗大粒子を除去した後、ポアサイズ3.0μmのミクロフィルター(富士フイルム製)にて加圧ろ過した。適量の水を加え、顔料(カーボンブラック)の含有量が10.0%、樹脂1(樹脂分散剤)の含有量が6.0%である顔料分散液1を調製した。
(顔料分散液2)
顔料(カーボンブラック)20.0g、4−アミノフタル酸10mmol、及び純水200mLを、シルヴァーソン混合機を用使用して、室温、6,000rpmの条件で30分混合して混合物を得た。得られた混合物に、少量の水に溶解させた亜硝酸カリウム(4−アミノフタル酸と等モル)をゆっくり添加し、混合した。この混合によって混合物の温度は60℃に達し、この状態で1時間反応させた。その後、水酸化カリウム水溶液を添加して混合物のpHを10に調整した。30分後、純水20mLを加え、スペクトラムメンブランを用いてダイアフィルトレーションし、自己分散顔料を調製した。調製した自己分散顔料に水を加え、顔料の含有量が10.0%である顔料分散液2を調製した。
顔料(カーボンブラック)20.0g、4−アミノフタル酸10mmol、及び純水200mLを、シルヴァーソン混合機を用使用して、室温、6,000rpmの条件で30分混合して混合物を得た。得られた混合物に、少量の水に溶解させた亜硝酸カリウム(4−アミノフタル酸と等モル)をゆっくり添加し、混合した。この混合によって混合物の温度は60℃に達し、この状態で1時間反応させた。その後、水酸化カリウム水溶液を添加して混合物のpHを10に調整した。30分後、純水20mLを加え、スペクトラムメンブランを用いてダイアフィルトレーションし、自己分散顔料を調製した。調製した自己分散顔料に水を加え、顔料の含有量が10.0%である顔料分散液2を調製した。
(顔料分散液3)
カーボンブラックに代えてC.I.ピグメントブルー15:3を用いたこと以外は、前述の顔料分散液2と同様の手順で、顔料の含有量が10.0%である顔料分散液3を調製した。
カーボンブラックに代えてC.I.ピグメントブルー15:3を用いたこと以外は、前述の顔料分散液2と同様の手順で、顔料の含有量が10.0%である顔料分散液3を調製した。
(顔料分散液4)
カーボンブラックに代えてC.I.ピグメントレッド122を用いたこと、及び4−アミノフタル酸の量を15mmolとしたこと以外は、前述の顔料分散液2と同様の手順で、顔料の含有量が10.0%である顔料分散液4を調製した。
カーボンブラックに代えてC.I.ピグメントレッド122を用いたこと、及び4−アミノフタル酸の量を15mmolとしたこと以外は、前述の顔料分散液2と同様の手順で、顔料の含有量が10.0%である顔料分散液4を調製した。
(顔料分散液5)
カーボンブラックに代えてC.I.ピグメントイエロー74を用いたこと、及び4−アミノフタル酸の量を30mmolとしたこと以外は、前述の顔料分散液2と同様の手順で、顔料の含有量が10.0%である顔料分散液5を調製した。
カーボンブラックに代えてC.I.ピグメントイエロー74を用いたこと、及び4−アミノフタル酸の量を30mmolとしたこと以外は、前述の顔料分散液2と同様の手順で、顔料の含有量が10.0%である顔料分散液5を調製した。
<インクの調製>
表1〜5の上段に示す各成分(単位:%)を混合し、十分に撹拌した後、ポアサイズ3.0μmのミクロフィルター(富士フイルム製)にて加圧ろ過を行い、各インクを調製した。表1〜5中、「アセチレノールE100」は、川研ファインケミカル製の界面活性剤の商品名である。動的表面張力計(商品名「BUBBLE PRESSURE TENSIOMETER BP−2」、KRUSS製)を使用し、25℃の条件下、調製したインクの動的表面張力γ10及びγ50を最大泡圧法により測定した。結果を表1〜5の下段に示す。また、表1及び2の下段には、インク中の色材の含有量も示した。
表1〜5の上段に示す各成分(単位:%)を混合し、十分に撹拌した後、ポアサイズ3.0μmのミクロフィルター(富士フイルム製)にて加圧ろ過を行い、各インクを調製した。表1〜5中、「アセチレノールE100」は、川研ファインケミカル製の界面活性剤の商品名である。動的表面張力計(商品名「BUBBLE PRESSURE TENSIOMETER BP−2」、KRUSS製)を使用し、25℃の条件下、調製したインクの動的表面張力γ10及びγ50を最大泡圧法により測定した。結果を表1〜5の下段に示す。また、表1及び2の下段には、インク中の色材の含有量も示した。
<評価>
熱エネルギーの作用により液体を吐出させる記録ヘッドを搭載したインクジェット記録装置(商品名「PIXUS Pro9500」(キヤノン製)を改造したもの)を使用して画像を記録した。調製した各インクをインクカートリッジにそれぞれ充填した。そして、第1ブラック(Bk1)インクをイエローのポジションにセットし、第2ブラック(Bk2)インクをマゼンタ及びマットブラックのポジションにセットした。さらに、シアン(C)インクをシアンのポジション、マゼンタ(M)インクをレッドのポジション、イエロー(Y)インクをグリーンのポジションにそれぞれセットした。本実施例においては、1/1200インチ×1/1200インチを「1ピクセル」と定義し、1ピクセルの単位領域に4.5ng±10%付与する条件で記録したベタ画像を「記録デューティ100%」と定義する。
熱エネルギーの作用により液体を吐出させる記録ヘッドを搭載したインクジェット記録装置(商品名「PIXUS Pro9500」(キヤノン製)を改造したもの)を使用して画像を記録した。調製した各インクをインクカートリッジにそれぞれ充填した。そして、第1ブラック(Bk1)インクをイエローのポジションにセットし、第2ブラック(Bk2)インクをマゼンタ及びマットブラックのポジションにセットした。さらに、シアン(C)インクをシアンのポジション、マゼンタ(M)インクをレッドのポジション、イエロー(Y)インクをグリーンのポジションにそれぞれセットした。本実施例においては、1/1200インチ×1/1200インチを「1ピクセル」と定義し、1ピクセルの単位領域に4.5ng±10%付与する条件で記録したベタ画像を「記録デューティ100%」と定義する。
以下、便宜的に、Bk1インクに対応する吐出口列をBk1列とする。また、Bk2インクに対応する吐出口列のうち、マゼンタのポジションに対応する吐出口列をBk2−1列とし、マットブラックに対応する吐出口列をBk2−2列とする。さらに、Cインクに対応する吐出口列をC列とし、Mインクに対応する吐出口列をM列とし、Yインクに対応する吐出口列をY列とする。各吐出口列の解像度はいずれも600dpiである。Bk2インクについては、Bk2−1列及びBk2−2列を半吐出口分ずらして配置することで、合計の解像度が1200dpiとなるようにした。また、各吐出口列から吐出されるインクの吐出量(V)及びインク付与量は、表6に示す値となるように適宜調整した。
記録ヘッドの吐出口の配置幅分の画像を、(i)記録ヘッドのホームポジションから開始する1回の走査、又は(ii)記録ヘッドのホームポジションの逆側から開始する1回の走査で記録する、1パス双方向記録により記録した。元のフルカラー画像から、シアン、マゼンタ、イエロー、及びブラックの各インクの付与箇所をピクセルごとに決定する。その後、ピクセルごとに、シアン、マゼンタ、及びイエローのいずれかのインクを付与する/付与しない、の2値情報の画像を記録し、その画像の境界を任意の幅で拡張させた画像を記録した。次に、拡張させた画像から、シアン、マゼンタ、及びイエローの各インクの付与箇所を統合した画像を差し引いた画像を記録し、記録した画像と、ブラックインクの付与箇所の重なり合った部分を抽出した。そして、シアン、マゼンタ、及びイエローの各インクの付与箇所と、ブラックインクの付与箇所との境界領域を決定した。境界領域の幅は80μmとした。拡張させる幅は、設定する境界領域の幅に相当する。
表6に示す吐出条件及び表7に示す評価条件にしたがって画像を記録し、以下に示す各項目について評価した。本実施例においては、以下に示す各項目の評価基準において、「A」及び「B」を好ましいレベルとし、「C」を許容できないレベルとした。結果を表7に示す。
(黒色画像の光学濃度)
商品名「PB PAPER」(キヤノン製)、商品名「Canon Extra」(キヤノン製)、及び商品名「BUSINESS MULTIPURPOSE 4200 PAPER」(ゼロックス製)の3種の記録媒体(普通紙)を用意した。用意した記録媒体に、1インチ×1インチのブラックのベタ画像(記録デューティ100%)を1パスでそれぞれ記録した。1日後、分光光度計(商品名「Spectrolino」、Gretag Macbeth製)を使用し、光源:D50、視野:2°の条件で記録したベタ画像の光学濃度を測定した。3種の記録媒体に記録したベタ画像の光学濃度の平均値及び最低値より、以下に示す評価基準にしたがって黒色画像の光学濃度を評価した。
A:平均値が1.3以上、かつ、最低値が1.2以上であった。
B:平均値が1.3以上、かつ、最低値が1.1以上1.2未満であった。
C:平均値が1.3未満であった。
商品名「PB PAPER」(キヤノン製)、商品名「Canon Extra」(キヤノン製)、及び商品名「BUSINESS MULTIPURPOSE 4200 PAPER」(ゼロックス製)の3種の記録媒体(普通紙)を用意した。用意した記録媒体に、1インチ×1インチのブラックのベタ画像(記録デューティ100%)を1パスでそれぞれ記録した。1日後、分光光度計(商品名「Spectrolino」、Gretag Macbeth製)を使用し、光源:D50、視野:2°の条件で記録したベタ画像の光学濃度を測定した。3種の記録媒体に記録したベタ画像の光学濃度の平均値及び最低値より、以下に示す評価基準にしたがって黒色画像の光学濃度を評価した。
A:平均値が1.3以上、かつ、最低値が1.2以上であった。
B:平均値が1.3以上、かつ、最低値が1.1以上1.2未満であった。
C:平均値が1.3未満であった。
(耐ブリーディング性)
商品名「PB PAPER」(キヤノン製)、商品名「Canon Extra」(キヤノン製)、及び商品名「BUSINESS MULTIPURPOSE 4200 PAPER」(ゼロックス製)の3種の記録媒体(普通紙)を用意した。用意した記録媒体に、シアン、マゼンタ、イエロー、及びブラックの背景部分(記録デューティ100%)と、6ポイントのシアン、マゼンタ、イエロー、及びブラックのゴシック文字(記録デューティ100%)を1パスでそれぞれ記録した。なお、背景部分と文字が同色となる組み合わせについては省略した。記録した画像を1日後に観察し、以下に示す評価基準にしたがって耐ブリーディング性を評価した。
A:3種の記録媒体のいずれにおいても、文字ににじみがなかった。
B:1種のみの記録媒体において、文字ににじみがあった。
C:2種以上の記録媒体において、文字ににじみがあった。
商品名「PB PAPER」(キヤノン製)、商品名「Canon Extra」(キヤノン製)、及び商品名「BUSINESS MULTIPURPOSE 4200 PAPER」(ゼロックス製)の3種の記録媒体(普通紙)を用意した。用意した記録媒体に、シアン、マゼンタ、イエロー、及びブラックの背景部分(記録デューティ100%)と、6ポイントのシアン、マゼンタ、イエロー、及びブラックのゴシック文字(記録デューティ100%)を1パスでそれぞれ記録した。なお、背景部分と文字が同色となる組み合わせについては省略した。記録した画像を1日後に観察し、以下に示す評価基準にしたがって耐ブリーディング性を評価した。
A:3種の記録媒体のいずれにおいても、文字ににじみがなかった。
B:1種のみの記録媒体において、文字ににじみがあった。
C:2種以上の記録媒体において、文字ににじみがあった。
(白もやの抑制)
以下に示す4種の記録媒体(普通紙)を用意した。
・商品名「PB PAPER」(キヤノン製)
・商品名「Canon Extra」(キヤノン製)
・商品名「Canon RECYCLED CLASSIC」(キヤノン製)
・商品名「BUSINESS MULTIPURPOSE 4200 PAPER」(ゼロックス製)
以下に示す4種の記録媒体(普通紙)を用意した。
・商品名「PB PAPER」(キヤノン製)
・商品名「Canon Extra」(キヤノン製)
・商品名「Canon RECYCLED CLASSIC」(キヤノン製)
・商品名「BUSINESS MULTIPURPOSE 4200 PAPER」(ゼロックス製)
用意した記録媒体に、背景部分が、シアン、マゼンタ、及びイエローに対して、12ポイントのブラックゴシック文字(黒文字)をそれぞれ1パスで記録した。記録した黒文字を1日後に観察し、以下に示す評価基準にしたがって黒文字のカラーに隣接した領域の均一性(白もやの抑制)を評価した。
A:4種の記録媒体のいずれにおいても、文字領域内の光学濃度は均一であった。
B:1種のみの記録媒体において、文字領域内に光学濃度がわずかに低い箇所があった。
C:2種以上の記録媒体において、文字領域内に光学濃度が低い箇所があった。
A:4種の記録媒体のいずれにおいても、文字領域内の光学濃度は均一であった。
B:1種のみの記録媒体において、文字領域内に光学濃度がわずかに低い箇所があった。
C:2種以上の記録媒体において、文字領域内に光学濃度が低い箇所があった。
(耐擦過性)
商品名「PB PAPER」(キヤノン製)、商品名「Canon Extra」(キヤノン製)、及び商品名「BUSINESS MULTIPURPOSE 4200 PAPER」(ゼロックス製)の3種の記録媒体(普通紙)を用意した。用意した記録媒体に、1インチ×1インチのブラックのベタ画像を1パスで記録した。2秒後、ベタ画像を手で擦り、画像の乱れの状態を目視で確認し、以下に示す評価基準にしたがって耐擦過性を評価した。
A:3種の記録媒体のいずれにおいても、画像は乱れていなかった。
C:1種又は2種の記録媒体において、画像が乱れていた。
商品名「PB PAPER」(キヤノン製)、商品名「Canon Extra」(キヤノン製)、及び商品名「BUSINESS MULTIPURPOSE 4200 PAPER」(ゼロックス製)の3種の記録媒体(普通紙)を用意した。用意した記録媒体に、1インチ×1インチのブラックのベタ画像を1パスで記録した。2秒後、ベタ画像を手で擦り、画像の乱れの状態を目視で確認し、以下に示す評価基準にしたがって耐擦過性を評価した。
A:3種の記録媒体のいずれにおいても、画像は乱れていなかった。
C:1種又は2種の記録媒体において、画像が乱れていた。
(黒文字の縁)
商品名「PB PAPER」(キヤノン製)、商品名「Canon Extra」(キヤノン製)、及び商品名「BUSINESS MULTIPURPOSE 4200 PAPER」(ゼロックス製)の3種の記録媒体(普通紙)を用意した。用意した記録媒体に、背景部分が、シアン、マゼンタ、及びイエローに対して、12ポイントのブラックゴシック文字(黒文字)をそれぞれ1パスで記録した。記録した黒文字を1日後に観察し、以下に示す評価基準にしたがって黒文字の縁の鮮明性について確認した。
A:3種の記録媒体において、黒文字の縁がはっきりと鮮明である。
B:1種の記録媒体において、黒文字の縁がわずかにぼやけている。
C:1種以上の記録媒体において、黒文字の縁がぼやけている。
商品名「PB PAPER」(キヤノン製)、商品名「Canon Extra」(キヤノン製)、及び商品名「BUSINESS MULTIPURPOSE 4200 PAPER」(ゼロックス製)の3種の記録媒体(普通紙)を用意した。用意した記録媒体に、背景部分が、シアン、マゼンタ、及びイエローに対して、12ポイントのブラックゴシック文字(黒文字)をそれぞれ1パスで記録した。記録した黒文字を1日後に観察し、以下に示す評価基準にしたがって黒文字の縁の鮮明性について確認した。
A:3種の記録媒体において、黒文字の縁がはっきりと鮮明である。
B:1種の記録媒体において、黒文字の縁がわずかにぼやけている。
C:1種以上の記録媒体において、黒文字の縁がぼやけている。
Claims (4)
- 複数の水性インクで構成されるインクセットを用い、記録媒体に画像を記録するインクジェット記録方法であって、
前記インクセットが、第1ブラックインク及び第2ブラックインクを含むブラックインク、並びにカラーインクで構成され、
前記第1ブラックインクの50m秒における動的表面張力γ50Bk1、前記第2ブラックインクの10m秒における動的表面張力γ10Bk2、及び前記カラーインクの10m秒における動的表面張力γ10Colが、下記式(1)乃至(4)を満たし、
前記第1ブラックインクは、顔料及び前記顔料を分散させる樹脂分散剤を含有し、
前記ブラックインクの付与箇所のうち、前記カラーインクの付与箇所との境界領域には前記第2ブラックインクを付与し、
前記第2ブラックインクの吐出量VBk2が、下記式(5)を満たすことを特徴とするインクジェット記録方法。
45mN/m≦γ50Bk1 ・・・(1)
γ10Bk2≦40mN/m ・・・(2)
γ10Col≦40mN/m ・・・(3)
−3mN/m≦γ10Bk2−γ10Col≦3mN/m ・・・(4)
1ng≦VBk2≦3ng ・・・(5) - 前記第1ブラックインクの吐出量VBk1が、下記式(6)を満たす請求項1に記載のインクジェット記録方法。
8ng≦VBk1 ・・・(6) - 前記第1ブラックインク中の色材の含有量CBk1と、前記第2ブラックインク中の色材の含有量CBk2が、下記式(7)を満たす請求項1又は2に記載のインクジェット記録方法。
CBk1≦CBk2 ・・・(7) - 前記第1ブラックインクの単位面積当たりの色材付与量VlBk1と、前記第2ブラックインクの単位面積当たりの色材付与量VlBk2が、下記式(8)を満たす請求項1乃至3のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
VlBk1≦VlBk2 ・・・(8)
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2017142508A JP2019022950A (ja) | 2017-07-24 | 2017-07-24 | インクジェット記録方法 |
Applications Claiming Priority (1)
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Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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JP2019022950A true JP2019022950A (ja) | 2019-02-14 |
Family
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Family Applications (1)
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JP2017142508A Pending JP2019022950A (ja) | 2017-07-24 | 2017-07-24 | インクジェット記録方法 |
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Country | Link |
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JP (1) | JP2019022950A (ja) |
-
2017
- 2017-07-24 JP JP2017142508A patent/JP2019022950A/ja active Pending
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