JP2016160188A - 抗生物活性化合物含有粒子、その製造方法および粒剤 - Google Patents

抗生物活性化合物含有粒子、その製造方法および粒剤 Download PDF

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Junji Oshima
純治 大島
弘嗣 浅野
Hiroshi Asano
弘嗣 浅野
井上 英明
Hideaki Inoue
英明 井上
智子 星野
Tomoko Hoshino
智子 星野
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Abstract

【課題】環境への負担を軽減できながら、担体に対する優れた付着性を有する抗生物活性化合物含有粒子を提供すること。
【解決手段】抗生物活性化合物含有粒子1は、抗生物活性化合物を重合性ビニルモノマー中に分散して、油相成分を調製する工程、油相成分を水分散する工程、および、重合体を生成する工程を備える製造方法により得られる。抗生物活性化合物は、δp,compoundおよびδh,compoundの二乗平均平方根値が11.00[(J/cm1/2]以上16.00[(J/cm1/2]以下である。重合体は以下の(1)〜(3)のいずれかを満足する。(1)Tgが0℃以下である。(2)Tgが0℃を超過し40℃以下であり、かつ、δp,polymerおよびδh,polymerの二乗平均平方根が8.50[(J/cm1/2]以上である。(3)Tgが40℃を超過し65℃以下であり、かつ、上記二乗平均平方根が9.50[(J/cm1/2]以上である。
【選択図】図1

Description

本発明は、抗生物活性化合物含有粒子、その製造方法および粒剤、詳しくは、抗生物活性化合物含有粒子の製造方法、それにより得られる抗生物活性化合物含有粒子、および、その抗生物活性化合物含有粒子を含有する粒剤に関する。
従来、殺虫剤、防虫剤、防蟻剤、殺菌剤、防腐剤、除草剤、防藻剤、忌避剤などの抗生物活性化合物をマイクロカプセル化した粒子が知られている。
例えば、クロチアニジン、分散媒およびポリイソシアネート成分を含むスラリーを水分散させ、その後、ポリアミンを配合して界面重合することにより、ネオニコチノイド系化合物をマイクロカプセル化したシロアリ防除剤が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
特許文献1では、分散媒として、有機溶媒が使用されている。
特開2000−247821号公報
しかし、特許文献1のシロアリ防除剤は、その製造途中で、有機溶媒を使用している。そのため、特許文献1のシロアリ防除剤は、環境への負担が高いという不具合がある。
一方、粒子を粒状の担体に担持(付着)させて、粒剤として製剤化する場合があり、その場合には、粒子の担体に対する良好な付着性を確保する必要がある。
本発明の目的は、環境への負担を軽減できながら、担体に対する優れた付着性を有する抗生物活性化合物含有粒子、その製造方法および粒剤を提供することにある。
上記目的を達成するために、本発明は、
[1]
溶剤の不存在下において、疎水性の重合性ビニルモノマーに対して実質的に不溶性、かつ、疎水性の抗生物活性化合物を、前記重合性ビニルモノマー中に分散することにより、疎水性スラリーを含有する油相成分を調製する油相成分調製工程、前記油相成分を水分散して水分散液を調製する水分散工程、および、前記重合性ビニルモノマーを懸濁重合して、重合体を生成する重合工程を備える製造方法により得られ、前記抗生物活性化合物は、Hansenで定義され、van Krevelen and Hoftyzer法で算出される溶解度パラメータδの双極子間力項δp,compound、および、前記溶解度パラメータδの水素結合力項δh,compoundの二乗平均平方根値[(δp,compound+(δh,compound1/2が、11.00[(J/cm1/2]以上、16.00[(J/cm1/2]以下であり、前記重合体は、以下の(1)〜(3)のいずれかを満足することを特徴とする、抗生物活性化合物含有粒子、
(1)ガラス転移温度Tgが、0℃以下である。
(2)ガラス転移温度Tgが、0℃を超過し、40℃以下であり、かつ、前記溶解度パラメータδの双極子間力項δp,polymer、および、前記溶解度パラメータδの水素結合力項δh,polymerの二乗平均平方根[(δp,polymer+(δh,polymer1/2が、8.50[(J/cm1/2]以上である。
(3)ガラス転移温度Tgが、40℃を超過し、65℃以下であり、かつ、前記二乗平均平方根([(δp,polymer+(δh,polymer1/2)が9.50[(J/cm1/2]以上である。
[2]
溶剤の不存在下において、疎水性の重合性ビニルモノマーに対して実質的に不溶性、かつ、疎水性の抗生物活性化合物を、前記重合性ビニルモノマー中に分散することにより、疎水性スラリーを含有する油相成分を調製する油相成分調製工程、前記油相成分を水分散して水分散液を調製する水分散工程、および、前記重合性ビニルモノマーを懸濁重合して、重合体を生成する重合工程を備える製造方法により得られ、前記抗生物活性化合物は、クロチアニジン、および、イミダクロプリドからなる群から選択される少なくとも1つを含有し、前記重合性ビニルモノマーは、ガラス転移温度Tgが−5℃以下の単独重合体を生成する(メタ)アクリレートと、ジ(メタ)アクリレートとを含有することを特徴とする、抗生物活性化合物含有粒子、
[3]
前記抗生物活性化合物が、クロチアニジンであることを特徴とする、上記[1]または[2]に記載の抗生物活性化合物含有粒子。
[4]
溶剤の不存在下において、疎水性の重合性ビニルモノマーに対して実質的に不溶性、かつ、疎水性の抗生物活性化合物を、前記重合性ビニルモノマー中に分散することにより、疎水性スラリーを含有する油相成分を調製する油相成分調製工程、前記油相成分を水分散して水分散液を調製する水分散工程、および、前記重合性ビニルモノマーを懸濁重合して、重合体を生成する重合工程を備え、前記抗生物活性化合物は、Hansenで定義され、van Krevelen and Hoftyzer法で算出される溶解度パラメータδの双極子間力項δp,compound、および、前記溶解度パラメータδの水素結合力項δh,compoundの二乗平均平方根値[(δp,compound+(δh,compound1/2が、11.00[(J/cm1/2]以上、16.00[(J/cm1/2]以下であり、前記重合体は、以下の(1)〜(3)のいずれかを満足することを特徴とする、抗生物活性化合物含有粒子の製造方法、
(1)ガラス転移温度Tgが、0℃以下である。
(2)ガラス転移温度Tgが、0℃を超過し、40℃以下であり、かつ、前記溶解度パラメータδの双極子間力項δp,polymer、および、前記溶解度パラメータδの水素結合力項δh,polymerの二乗平均平方根[(δp,polymer+(δh,polymer1/2が、8.50[(J/cm1/2]以上である。
(3)ガラス転移温度Tgが、40℃を超過し、65℃以下であり、かつ、前記二乗平均平方根([(δp,polymer+(δh,polymer1/2)が9.50[(J/cm1/2]以上である。
[5]
溶剤の不存在下において、疎水性の重合性ビニルモノマーに対して実質的に不溶性、かつ、疎水性の抗生物活性化合物を、前記重合性ビニルモノマー中に分散することにより、疎水性スラリーを含有する油相成分を調製する油相成分調製工程、前記油相成分を水分散して水分散液を調製する水分散工程、および、前記重合性ビニルモノマーを懸濁重合して、重合体を生成する重合工程を備え、前記抗生物活性化合物は、クロチアニジン、および、イミダクロプリドからなる群から選択される少なくとも1つを含有し、前記重合性ビニルモノマーは、ガラス転移温度Tgが−5℃以下の単独重合体を生成する(メタ)アクリレートと、ジ(メタ)アクリレートとを含有することを特徴とする、抗生物活性化合物含有粒子の製造方法、
[6]
前記抗生物活性化合物が、クロチアニジンであることを特徴とする、上記[4]または[5]に記載の抗生物活性化合物含有粒子の製造方法。
[7]
粒状の担体と、前記担体に担持された上記[1]〜[3]のいずれか一項に記載の抗生物活性化合物含有粒子とを含むことを特徴とする、粒剤
である。
本発明の抗生物活性化合物含有粒子は、環境への負担を軽減できながら、担体に対する付着性に優れる。
本発明の粒剤では、環境への負担を軽減できながら、抗生物活性化合物含有粒子の担体に対する付着性に優れる。
図1は、本発明の抗生物活性化合物含有粒子の第1実施形態(マトリクスの表面全部が露出する態様)の概略断面図を示す。 図2は、本発明の抗生物活性化合物含有粒子の第2実施形態(マトリクスおよびドメインの両方が露出する態様)の概略断面図を示す。
本発明の抗生物活性化合物含有粒子の製造方法は、溶剤の不存在下において、疎水性の重合性ビニルモノマーに対して実質的に不溶性、かつ、疎水性の抗生物活性化合物を、重合性ビニルモノマー中に分散することにより、疎水性スラリーを含む油相成分を調製する油相成分調製工程、油相成分を水分散して水分散液を調製する水分散工程、および、重合性ビニルモノマーを懸濁重合して、重合体を生成する重合工程を備える。
以下、上記した各工程で用いられる原料について説明する。
1. 抗生物活性化合物
抗生物活性化合物は、例えば、殺虫(殺蟻を含む)、防虫(防蟻を含む)、殺菌、抗菌、防腐、除草、防藻、防かびなどの抗生物活性を有する、殺虫剤(殺蟻剤を含む)、防虫剤(防蟻剤を含む)、殺菌剤、抗菌剤、防腐剤、除草剤、防藻剤、防かび剤、誘引剤、忌避剤および殺鼠剤などから選択される。
具体的には、抗生物活性化合物は、Hansenで定義され、van Krevelen and Hoftyzer法で算出される溶解度パラメータδの双極子間力項δp,compound、および、上記した溶解度パラメータδの水素結合力項δh,compoundの二乗平均平方根値[(δp,compound+(δh,compound1/2が、11.00[(J/cm1/2]以上、16.00[(J/cm1/2]以下である。
抗生物活性化合物における上記した二乗平均平方根値が上記した下限に満たなければ、油相中で分散安定化するのに適当な分散剤を市場で入手するのが困難である。抗生物活性化合物における上記した二乗平均平方根値が上記した上限を超えれば、重合性ビニルモノマーが水相に漏出しやすく安定的に重合することができない。
抗生物活性化合物における二乗平均平方根値は、好ましくは、12.00[(J/cm1/2]以上、より好ましくは、15.00[(J/cm1/2]以上であり、また、好ましくは、15.75[(J/cm1/2]以下である。
抗生物活性化合物における二乗平均平方根値が上記した上限以下であれば、および/または、上記した下限以上であれば、油相に抗生物活性剤を分散安定化でき、かつ、重合性ビニルモノマーを安定的に重合することができる。
Hansenで定義され、van Krevelen and Hoftyzer法で算出される溶解度パラメータδの双極子間力項δp,compoundおよび水素結合力項δh,compoundと、それらの算出方法とは、例えば、特開2011−79816号公報などに詳述されている。また、後述する重合体の溶解度パラメータδについても、上記と同一の方法により定義および算出される。
そのような抗生物活性化合物としては、例えば、クロチアニジン(化学名:(E)−1−(2−クロロチアゾール−5−イルメチル)−3−メチル−2−ニトログアニジン)、イミダクロプリド(化学名:1−(6−クロロ−3−ピリジルメチル)−N−ニトロイミダゾリジン−2−イリデンアミン)などの殺虫剤が挙げられる。これらは、単独使用または併用することができる。
抗生物活性化合物として、好ましくは、クロチアニジン、イミダクロプリドが挙げられ、より好ましくは、哺乳動物に対する安全性の観点から、クロチアニジンが挙げられる。
表1にクロチアニジンおよびイミダクロプリドの溶解度パラメータδ(δp,compound、δh,compoundおよび[(δp,compound+(δh,compound1/2)を記載する。
Figure 2016160188
抗生物活性化合物は、実質的に疎水性であって、具体的には、例えば、水に対する室温(20〜30℃、より具体的には、25℃)における溶解度が極めて小さく、具体的には、室温における溶解度が、例えば、8質量部/水100容量部(80g/L)以下、好ましくは、5質量部/水100容量部(50g/L)以下、さらに好ましくは、3質量部/水100容量部(30g/L)以下である。
また、抗生物活性化合物は、重合性ビニルモノマーに対して実質的に不溶性であって、具体的には、例えば、重合性ビニルモノマーに対する室温(20〜30℃、より具体的には、25℃)における溶解度が極めて小さく、具体的には、室温の溶解度が、例えば、1質量部/(使用する)重合性ビニルモノマー(混合物)100容量部(10g/L)以下、好ましくは、0.5質量部/(使用する)重合性ビニルモノマー(混合物)100容量部(5g/L)以下である。
また、抗生物活性化合物の融点は、例えば、80℃以上、好ましくは、100℃以上、より好ましくは、130℃以上、さらに好ましくは、150℃以上、とりわけ好ましくは、160℃以上であり、また、例えば、300℃以下である。
2. 重合性ビニルモノマー
重合性ビニルモノマーは、重合性炭素−炭素二重結合を少なくとも1つ分子内に有するモノマーである。
重合性ビニルモノマーは、例えば、(メタ)アクリレート、芳香族ビニルモノマー、ビニルエステル系モノマー、マレイン酸エステル系モノマー、ハロゲン化ビニル、ハロゲン化ビニリデン、窒素含有ビニルモノマーおよび架橋性モノマー(具体的には、ジ(メタ)アクリレートなど)などから選択される。
重合性ビニルモノマーは、1種類の単独使用または2種類以上を併用することができる。好ましくは、2種類以上併用される。
そして、重合性ビニルモノマーは、重合性ビニルモノマーから生成された重合体が、以下の(1)〜(3)のいずれかを満足する。
(1)ガラス転移温度Tgが、0℃以下である。
(2)ガラス転移温度Tgが、0℃を超過し、40℃以下であり、かつ、溶解度パラメータδの双極子間力項δp,polymer、および、溶解度パラメータδの水素結合力項δh,polymerの二乗平均平方根[(δp,polymer+(δh,polymer1/2が、8.50[(J/cm1/2]以上である
(3)ガラス転移温度Tgが、40℃を超過し、65℃以下であり、かつ、二乗平均平方根([(δp,polymer+(δh,polymer1/2)が9.50[(J/cm1/2]以上である。
上記(1)〜(3)のいずれも満足しない場合には、抗生物活性化合物含有粒子の担体に対する付着性が低下する。
なお、上記したガラス転移温度Tgの詳細については、後で詳述される。
また、(1)の場合において、重合体の溶解度パラメータδの双極子間力項δp,polymer、および、溶解度パラメータδの水素結合力項δh,polymerの二乗平均平方根[(δp,polymer+(δh,polymer1/2が、好ましくは、8.50[(J/cm1/2]以上、より好ましくは、9.50[(J/cm1/2]以上である。二乗平均平方根[(δp,polymer+(δh,polymer1/2が上記した下限以上であれば、抗生物活性化合物の溶解度パラメータδの二乗平均平方根二乗平均平方根値[(δp,compound+(δh,compound1/2に近接させ、または、同一にすることができ、抗生物活性化合物含有粒子の担体に対する付着性を向上させることができる。
(2)の場合において、重合体の溶解度パラメータδの双極子間力項δp,polymer、および、溶解度パラメータδの水素結合力項δh,polymerの二乗平均平方根[(δp,polymer+(δh,polymer1/2が、好ましくは、9.50[(J/cm1/2]以上、より好ましくは、10.50[(J/cm1/2]以上である。二乗平均平方根[(δp,polymer+(δh,polymer1/2が上記した下限以上であれば、抗生物活性化合物の溶解度パラメータδの二乗平均平方根二乗平均平方根値[(δp,compound+(δh,compound1/2に近接させ、または、同一にすることができ、抗生物活性化合物含有粒子の担体に対する付着性を向上させることができる。
(3)の場合において、重合体の溶解度パラメータδの双極子間力項δp,polymer、および、溶解度パラメータδの水素結合力項δh,polymerの二乗平均平方根[(δp,polymer+(δh,polymer1/2が、好ましくは、10.50[(J/cm1/2]以上、より好ましくは、11.50[(J/cm1/2]以上である。二乗平均平方根[(δp,polymer+(δh,polymer1/2が上記した下限以上であれば、抗生物活性化合物の溶解度パラメータδの二乗平均平方根二乗平均平方根値[(δp,compound+(δh,compound1/2に近接させ、または、同一にすることができ、抗生物活性化合物含有粒子の担体に対する付着性を向上させることができる。
2−1. ガラス転移温度Tg(重合性ビニルモノマーから生成した重合体のガラス転移温度Tg)
2−1−1. 2種類以上の重合性ビニルモノマーの併用
重合性ビニルモノマーは、好ましくは、上記したように、2種類以上が併用される。2種類以上の重合性ビニルモノマーから生成した共重合体のガラス転移温度Tgは、2種類以上の重合性ビニルモノマーのそれぞれから生成した単独重合体のガラス転移温度TgをFoxの式に当てはめて、算出される。
具体的には、重合性ビニルモノマーが、重合性ビニルモノマー1および重合性ビニルモノマー2の2種類である場合には、それらから生成される共重合体のガラス転移温度Tgcopolymerは、下記数式(1)で示されるFoxの式に当てはめて、算出される。
:数式(1)
1/Tgcopolymer=α/Tg+α/Tg (1)
α:重合性ビニルモノマー1の質量分率
Tg:重合性ビニルモノマー1のみから生成される単独重合体のガラス転移温度
α:重合性ビニルモノマー2の質量分率
Tg:重合性ビニルモノマー2のみから生成される単独重合体のガラス転移温度
なお、2種類以上の重合性ビニルモノマーのそれぞれから生成した単独重合体のガラス転移温度Tgは、文献(具体的には、Polymer handbook. 3rd edition、メーカーのホームページなど)に記載された値が採用される。
具体的には、(メタ)アクリレートから生成されたポリ(メタ)アクリレートのガラス転移温度Tgは、文献に記載された値が採用される。参考として、ポリ(メタ)アクリレートのガラス転移温度Tgを表2に記載する。
Figure 2016160188
他方、ジ(メタ)アクリレートから生成されたポリ[ジ(メタ)アクリレート]のガラス転移温Tgは、ポリ(メタ)アクリレートのガラス転移温度Tgがそのまま適用される。
すなわち、ジ(メタ)アクリレートは、下記化学式(1)で示され、
:化学式(1)
Figure 2016160188
(式中、Rは、水素原子またはメチル基を示す。)
重合体は、ジ(メタ)アクリレートにおいて両端に位置する重合性炭素−炭素二重結合の全てが重合し、下記化学式(2)で示されるポリ[ジ(メタ)アクリレート]と仮定でき、
:化学式(2)
Figure 2016160188
(式中、Rは、水素原子またはメチル基を示す。)
ポリ[ジ(メタ)アクリレート]は、ジ(メタ)アクリレートユニットの中央部に位置するアルキレン基(−C2n−)の半分部分と、それに連結される1つの(メタ)アクリロイル基とを有するモノ(メタ)アクリレートの単独重合体(下記化学式(3)で示されるポリ(メタ)アクリレート)と推定できる。
:化学式(3)
Figure 2016160188
そのため、ポリ[ジ(メタ)アクリレート]のガラス転移温度Tgとして、ポリ(メタ)アクリレートのガラス転移温度Tgがそのまま適用できる。
より具体的には、重合性ビニルモノマーが、下記化学式(4)で示されるエチレングリコールジメタクリレート(EGDMA)である場合には、
:化学式(4)
Figure 2016160188
重合体は、EGDMAにおいて両端に位置する重合性炭素−炭素二重結合の全てが重合し、下記化学式(5)で示されるポリ[EGDMA]と仮定でき、
:化学式(5)
Figure 2016160188
ポリ[EGDMA]は、EDGMAユニットの中央部に位置するエチレン基(−C−)の半分部分であるメチレン基(−CH−)と、それに連結される1つのメタクリロイル基(CH=C(CH)COO−)とを有するメチルメタクリレート(MMA)の単独重合体(下記化学式(6)で示されるポリメチルメタクリレート(PMMA))と推定できる。
:化学式(6)
Figure 2016160188
そのため、ポリ[EGDMA]のガラス転移温度Tgとして、PMMAのガラス転移温度をそのまま適用できる。
1種類のジ(メタ)アクリレートから生成されたポリ[ジ(メタ)アクリレート]のガラス転移温度Tgを上記した表2に記載する。
2−2. 重合性ビニルモノマーの具体例
そのような重合性ビニルモノマーとして、好ましくは、(メタ)アクリレート、ジ(メタ)アクリレートが挙げられる。これらは、単独使用または2種以上併用することができる。好ましくは、2種以上併用される。
重合性ビニルモノマーとして、好ましくは、(メタ)アクリレートとジ(メタ)アクリレートとが併用され、より好ましくは、重合性ビニルモノマーは、(メタ)アクリレートとジ(メタ)アクリレートとのみを含有する。つまり、好ましくは、重合性ビニルモノマーは、(メタ)アクリレートと、ジ(メタ)アクリレートとのみからなる。
2−2−1. (メタ)アクリレート
(メタ)アクリレートは、重合体を、抗生物活性化合物含有粒子におけるマトリクスとして作用させるためのモノマーであり、また、重合体の主鎖を形成するモノマーであり、さらに、重合体を軟質にするためのモノマーである。
(メタ)アクリレートは、メタクリレートおよび/またはアクリレートを含む。
メタクリレートは、メタクリロイル基(CH=C(CH)−COO−)を分子内に1つ含むモノメタクリレートであって、後述するジメタクリレート(メタクリロイル基を分子内に2つ含むメタクリレート)ではない。メタアクリレートとしては、例えば、n−ヘキシルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、n−ヘプチルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、n−オクチルメタクリレート、n−ノニルメタクリレート、iso−ノニルメタクリレート、n−デシルメタクリレート、n−ウンデシルメタクリレート、n−ドデシルメタクリレート(ラウリルメタクリレート)、n−テトラデシルメタクリレート、n−ヘキサデシルメタクリレート、n−オクタデシルメタクリレート(ステアリルメタクリレート)、イコシルメタクリレート、トリアコンチルメタクリレートなどの、メタクリル酸とエステルを形成するアルキル部分の炭素数が、例えば、6以上、30以下のメタクリル酸アルキルエステルが挙げられる。アルキル部分は、直鎖状、分岐状および環状のいずれであってもよい。メタクリレートにおけるアルキル部分の炭素数は、好ましくは、8以上、より好ましくは、10以上であり、また、好ましくは、20以下、より好ましくは、16以下である。アルキル部分の炭素数が、上記した下限以上であれば、および/または、上記した上限以下であれば、重合体のガラス転移温度Tgを所望の値に設定することができる。
アクリレートは、アクリロイル基(CH=CH−COO−)を分子内に1つ含むモノアクリレートであって、後述するジアクリレート(アクリロイル基を分子内に2つ含むアクリレート)ではない。アクリレートとしては、例えば、エチルアクリレート、n−プロピルアクリレート、iso−プロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、iso−ブチルアクリレート、tert−ブチルアクリレート、n−ペンチルアクリレート、n−ヘキシルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、n−ヘプチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、n−オクチルアクリレート、n−ノニルアクリレート、iso−ノニルアクリレート、n−デシルアクリレートなどの、アクリル酸とエステルを形成するアルキル部分の炭素数が、例えば、2以上、10以下のアクリレート(アクリル酸アルキルエステル)が挙げられる。アルキル部分は、直鎖状、分岐状および環状のいずれであってもよい。アクリレートにおけるアルキル部分の炭素数は、好ましくは、8以下である。アルキル部分の炭素数が、上記した下限以上であれば、および/または、上記した上限以下であれば、重合体のガラス転移温度Tgを所望の値に設定することができる。
また、(メタ)アクリレートは、例えば、ガラス転移温度Tgが−5℃以下の単独重合体を生成する。
(メタ)アクリレートの単独重合体、つまり、ポリ(メタ)アクリレートのガラス転移温度Tgが−5℃以下であれば、重合性ビニルモノマーから生成される重合体を軟質にすることができ、そのため、抗生物活性化合物含有粒子の担体に対する付着性を良好にすることができる。
ポリ(メタ)アクリレート(単独重合体)のガラス転移温度Tgは、好ましくは、−10℃以下、より好ましくは、−20℃以下、さらに好ましくは、−30℃以下、とりわけ好ましくは、−50℃以下、最も好ましくは、−60℃以下であり、また、例えば、−90℃以上である。ポリ(メタ)アクリレートのガラス転移温度Tgが上記した上限以下であれば、重合性ビニルモノマーから生成される重合体を確実に軟質にすることができ、そのため、抗生物活性化合物含有粒子の担体に対する付着性をより一層良好にすることができる。一方、ポリ(メタ)アクリレートのガラス転移温度Tgが上記した下限以上であれば、抗生物活性化合物含有粒子の良好な保形性を確保することができる。
(メタ)アクリレートとして、好ましくは、2−エチルヘキシルメタクリレート、n−ドデシルメタクリレートなどのメタアクリレートが挙げられ、より好ましくは、n−ドデシルメタクリレートが挙げられる。また、(メタ)アクリレートとして、好ましくは、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレートなどのアクリレートが挙げられる。
(メタ)アクリレートは、単独使用または併用することができ、好ましくは、単独使用する。
(メタ)アクリレートの、重合性ビニルモノマーにおける含有割合は、重合体が上記した(1)〜(3)のいずれかの物性を満足するように適宜選択され、具体的には、例えば、5質量%以上、好ましくは、10質量%以上であり、また、例えば、95質量%以下、好ましくは、90質量%以下である。
(メタ)アクリレートの含有割合が上記した下限以上であれば、重合体のガラス転移温度Tgを十分に低下させることができる。一方、(メタ)アクリレートの含有割合が上記した上限以下であれば、抗生物活性化合物含有粒子の良好な保形性を確保することができる。
2−2−2. ジ(メタ)アクリレート
ジ(メタ)アクリレートは、ジメタクリレートおよび/またはジアクリレートを含んでおり、分子内に(メタ)アクリロイル基を2つ含有する架橋性モノマーである。また、ジ(メタ)アクリレートは、抗生物活性化合物含有粒子が常温において互いに合一して流動するコールドフローを防止または抑制して、抗生物活性化合物含有粒子の保形性を確保する架橋性モノマーでもある。ジ(メタ)アクリレートは、具体的には、下記化学式(7)で示される。
:化学式(7)
Figure 2016160188
(式中、Rは、水素原子またはメチル基を示す。nは、2以上、30以下の整数である。)
nは、好ましくは、16以下の偶数である。
ジ(メタ)アクリレートとしては、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレートなどのモノまたはポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、例えば、1,3−プロパンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,5−ペンタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレートなどのアルカンジオールジ(メタ)アクリレートが挙げられる。
ジ(メタ)アクリレートとして、好ましくは、モノまたはポリエチレングリコールジメタクリレート、アルカンジオールジアクリレートが挙げられる。また、ジ(メタ)アクリレートとしては、好ましくは、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレートが挙げられる。
ジ(メタ)アクリレートとしては、より好ましくは、エチレングリコールジメタクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレートが挙げられる。
ジ(メタ)アクリレートは、単独使用または併用することができ、好ましくは、単独使用する。
ジ(メタ)アクリレートの、重合性ビニルモノマーにおける含有割合は、重合体が上記した(1)〜(3)のいずれかの物性を満足するように適宜選択され、具体的には、例えば、5質量%以上、好ましくは、10質量%以上であり、また、例えば、95質量%以下、好ましくは、90質量%以下である。
ジ(メタ)アクリレートの含有割合が上記した上限以下であれば、重合体のガラス転移温度Tgを十分に低下させることができる。一方、ジ(メタ)アクリレートの含有割合が上記した下限以上であれば、抗生物活性化合物含有粒子のコールドフローを防止して、抗生物活性化合物含有粒子の良好な保形性を確保することができる。
また、重合性ビニルモノマーは、例えば、実質的に疎水性であって、具体的には、例えば、水に対する室温における溶解度が極めて小さく、より具体的には、室温における溶解度が、例えば、10質量部/水100容量部(100g/L)以下、好ましくは、8質量部/水100容量部(80g/L)以下である。なお、重合性ビニルモノマーは、異なる2種類以上が併用される場合には、重合性ビニルモノマー全体(つまり、異なる2種類以上の重合性ビニルモノマーの混合物)として実質的に疎水性である。
3. 抗生物活性化合物含有粒子の製造方法
次に、抗生物活性化合物含有粒子の製造方法における各工程について順次説明する。
3−1. 油相成分調製工程
油相成分調製工程では、溶剤の不存在下において、疎水性の重合性ビニルモノマーに対して実質的に不溶性、かつ、疎水性の抗生物活性化合物を、重合性ビニルモノマー中に分散することにより、疎水性スラリーを含む油相成分を調製する。
具体的には、上記した重合性ビニルモノマーおよび抗生物活性化合物を配合し、溶剤(ヘキサン、トルエン、酢酸エチルなどの疎水性の有機溶剤)を配合することなく、攪拌する。これにより、疎水性スラリーを調製する。疎水性スラリーは、油相成分に含まれる。
重合性ビニルモノマーの中に抗生物活性化合物を分散するには、例えば、ペイントシェーカー、ホモディスパー(高速分散機)、ビーズミル(バッチ式ビーズミルを含む)、ボールミル、ロッドミルなどの分散機が用いられる。分散機は、単独使用または併用することができる。分散機として、好ましくは、広い粘度領域で使用可能で、大規模工業生産にも使用できるという観点から、バッチ式ビーズミルが用いられる。
上記した分散によって、抗生物活性化合物は、湿式粉砕される。
なお、重合性ビニルモノマーの全部を抗生物活性化合物に配合することができ、あるいは、重合性ビニルモノマーを抗生物活性化合物に分割して配合することもできる。重合性ビニルモノマーを分割して配合する場合には、まず、重合性ビニルモノマーの一部を抗生物活性化合物と配合して、それらを分散して疎水性スラリーを調製し、その後、重合性ビニルモノマーの残部を疎水性スラリーに配合する。
これによって、疎水性スラリーを含む油相成分を調製する。
抗生物活性化合物の重合性ビニルモノマーに対する配合割合は、質量割合(つまり、抗生物活性化合物の質量部/重合性ビニルモノマーの質量部)で、例えば、1/99以上、好ましくは、10/90以上、より好ましくは、15/85以上であり、また、例えば、90/10以下、好ましくは、75/25以下、より好ましくは、70/30以下、さらに好ましくは、65/35以下、とりわけ好ましくは、60/40以下である。
また、抗生物活性化合物の配合割合は、重合性ビニルモノマー100質量部に対して、例えば、1質量部以上、好ましくは、10質量部以上、より好ましくは、20質量部以上であり、また、例えば、900質量部以下、好ましくは、300質量部以下、より好ましくは、200質量部以下、さらに好ましくは、150質量部以下である。
抗生物活性化合物の油相成分における含有割合は、例えば、1質量%以上、好ましくは、10質量%以上であり、また、例えば、90質量%以下、好ましくは、80質量%以下、より好ましくは、70質量%以下、より好ましくは、60質量%以下である。
また、上記した分散において、必要により、分散剤(第1の分散剤)を配合することもできる。分散剤としては、両親媒性高分子型分散剤、ノニオン系界面活性剤(第1の界面活性剤)などが挙げられる。
両親媒性高分子型分散剤としては、例えば、EFKA4008、EFKA4009(以上チバ・スペシャリティズ製ウレタン系高分子分散剤)、DISPERBYK−2164、DISPERBYK−164(以上ビック・ケミー社製顔料分散用官能基変性共重合体)、NUOSPERSE2008、NUOSPERSE FA−196、NUOSPERSE657(以上エレメンティス社製)、フローレンD−90、ポリフローKL−100、ポリフローKL−700(以上共栄社化学社製)、ホモゲノールL−95(花王社製)などのノニオン系両親媒性高分子型分散剤が挙げられる。また、両親媒性高分子型分散剤としては、例えば、フローレンG−900(共栄社化学社製カルボキシル基変性高分子)、ディスパロンDA−234、ディスパロンDA−325、ディスパロンDA−375、ディスパロンDA−550、ディスパロンAQ−330(以上楠本化成社製ポリエーテルリン酸エステル塩)などのアニオン系両親媒性高分子型分散剤が挙げられる。さらに、両親媒性高分子型分散剤としては、例えば、ノプコスパース092(サンノプコ社製)などのカチオン系両親媒性高分子型分散剤が挙げられる。
ノニオン系界面活性剤としては、例えば、アモーゲンCBH(アルキルベタイン)、アモーゲンSH(アルキルアミドベタイン)、ノイゲン100E(ポリオキシエチレンオレイルエーテル)、ノイゲンEA73(ポリオキシエチレンドデシルフェニルエーテル)、ノイゲンES99(モノオレイン酸ポリエチレングリコール)、ダイヤノールCME(ヤシ油脂肪酸モノエタノールアミド)、ダイヤノール300(ヤシ油脂肪酸モノエタノールジアミド)、ソルゲン30(セスキオレイン酸ソルビタン)、ソルゲン40(モノオレイン酸ソルビタン)、ソルゲン50(モノステアリン酸ソルビタン)、エパン420(ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール)、エパン720(ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール)(以上花王社製)などが挙げられる。
分散剤として、好ましくは、両親媒性高分子型分散剤が挙げられ、より好ましくは、ノニオン系両親媒性高分子型分散剤、アニオン系両親媒性高分子型分散剤が挙げられ、さらに好ましくは、ノニオン系両親媒性高分子型分散剤が挙げられ、とりわけ好ましくは、顔料分散用官能基変性共重合体分散剤、ウレタン系高分子分散剤が挙げられる。
分散剤の配合割合は、抗生物活性化合物に対して、例えば、0.1質量%以上、好ましくは、1質量%以上であり、また、例えば、40質量%以下、好ましくは、20質量%以下である。
油相成分における抗生物活性化合物の平均粒子径は、例えば、5μm以下、好ましくは、2.5μm以下であり、また、例えば、0.05μm以上、好ましくは、0.1μm以上である。
この方法では、例えば、疎水性スラリーの調製とともに、あるいは、疎水性スラリーの調製後に、重合開始剤を配合する。好ましくは、疎水性スラリーの調製後に、重合開始剤を、調製した疎水性スラリーに配合する。その場合に、重合性ビニルモノマーを抗生物活性化合物に対して分割して配合することができ、具体的には、重合性ビニルモノマーの一部を抗生物活性化合物に配合して疎水性スラリーを調製し、次いで、重合性ビニルモノマーの残部に重合開始剤を溶解させ、これを、調製した疎水性スラリーに配合する。これによって、重合開始剤および疎水性スラリーを含有する油相成分を調製する。
重合開始剤は、懸濁重合で通常用いられるラジカル重合開始剤が挙げられ、具体的には、油溶性重合開始剤などが挙げられる。
油溶性重合開始剤としては、例えば、ジラウロイルパーオキシド、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ヘキシルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ベンゾイルパーオキシドなどの油溶性有機過酸化物、例えば、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)などの油溶性アゾ化合物などが挙げられる。好ましくは、ジラウロイルパーオキシド、t−ヘキシルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、2,2’−アゾビスイソブチロニトリルが挙げられる。
重合開始剤は、単独使用または2種類以上併用することができる。
重合開始剤の配合割合は、重合性ビニルモノマー100質量部に対して、例えば、0.01質量部以上、好ましくは、0.1質量部以上、より好ましくは、0.5質量部以上であり、例えば、5質量部以下、好ましくは、3質量部以下、より好ましくは、1.0質量部以下である。重合開始剤の配合割合が上記した上限を超える場合には、重合体の分子量が過度に低下する場合があり、上記した下限に満たない場合には、転化率が十分に向上せず、未反応の重合性ビニルモノマーが数%以上残存する場合がある。
3−2. 水分散工程
次いで、上記した油相成分を水分散(懸濁)させる。
すなわち、油相成分および水を配合し、均一に攪拌することにより、油相成分を水分散(懸濁)させる。これにより、油相成分の水分散(懸濁)液を得る。
水分散の条件は、特に制限されず、例えば、常温で実施してもよく、あるいは、加熱して実施することもできる。
油相成分の水分散では、好ましくは、分散剤(第2の分散剤)、界面活性剤(第2の界面活性剤)を配合する。
分散剤(第2の分散剤)としては、例えば、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルピロリドン、ゼラチン、アラビアゴム、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カチオン化澱粉、ポリアクリル酸およびそのナトリウム塩、スチレンマレイン酸コポリマーおよびそのナトリウム塩などの水溶性ポリマー、例えば、第三燐酸カルシウム、コロイダルシリカ、モンモリナイト、炭酸マグネシウム、水酸化アルミニウム、亜鉛華などの無機系分散剤などが挙げられる。
分散剤のうち、好ましくは、ポリビニールアルコール(PVA)、第三燐酸カルシウムが挙げられる。さらに好ましくは、ポリビニールアルコール(PVA)が挙げられる。
分散剤の配合割合は、油相成分100質量部に対して、例えば、0.01質量部以上、好ましくは、0.1質量部以上、より好ましくは、1質量部以上であり、また、例えば、10質量部以下、好ましくは、5質量部以下である。
界面活性剤(第2の界面活性剤)は、ラジカル重合中の抗生物活性化合物含有粒子の凝集を有効に防止するために、好ましくは、上記した分散剤(第2の分散剤)と併用され、例えば、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ジ−2−エチルヘキシルスルホコハク酸ナトリウム、ドデシルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム、ノニルジフェニルエーテルスルホン酸ナトリウム、芳香族スルホン酸とホルムアルデヒドとの縮合物の塩などのアニオン系界面活性剤、例えば、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンモノステアレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレート、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックコポリマーなどのノニオン系界面活性剤などが挙げられる。好ましくは、ノニオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、より好ましくは、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックコポリマー、芳香族スルホン酸とホルムアルデヒドとの縮合物の塩が挙げられる。
ホルムアルデヒドとの縮合物を形成する芳香族スルホン酸としては、例えば、ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸、クメンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸などが挙げられる。好ましくは、α−ナフタレンスルホン酸、β−ナフタレンスルホン酸などのナフタレンスルホン酸が挙げられる。
塩を形成するためのカチオンとしては、例えば、1価のカチオンが挙げられる。1価のカチオンとしては、ナトリウムカチオン、カリウムカチオンなどのアルカリ金属カチオン、例えば、アンモニウムカチオンなどが挙げられる。好ましくは、アルカリ金属カチオンが挙げられる。
芳香族スルホン酸とホルムアルデヒドとの縮合物の塩としては、具体的には、ナフタレンスルホン酸とホルムアルデヒドとの縮合物の塩(ナフタレンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物ナトリウム塩)が挙げられる。
界面活性剤の配合割合は、油相成分100質量部に対して、例えば、0.0001質量部以上、好ましくは、0.001質量部以上であり、また、例えば、1.0質量部以下、好ましくは、0.1質量部以下である。
これら分散剤、または、分散剤および界面活性剤は、例えば、油相成分を水に配合前または配合後のいずれにおいても、配合することができ、好ましくは、油相成分を配合する前の水に配合する。これにより、分散剤の水溶液、または、分散剤および界面活性剤の水溶液を調製する。
上記した油相成分の水分散(懸濁)では、例えば、ホモミキサー(ホモミクサー)、超音波ホモジナイザー、加圧式ホモジナイザー、マイルダー、多孔膜圧入分散機などの分散機が用いられ、好ましくは、ホモミキサーが用いられる。
水分散の条件は、適宜設定され、ホモミクサーを用いる場合には、その回転数を、例えば、100rpm以上、好ましくは、1000rpm以上であり、また、例えば、10000rpm以下、例えば、8000rpm以下に設定する。
これによって、油相成分が水相に分散された水分散液を調製する。
また、水分散液に分散剤(第2の分散剤)、または、分散剤および界面活性剤が配合されている場合には、分散剤、または、分散剤および界面活性剤によって、水分散液中の油相成分の液滴がより安定化される。
水(または水溶液)の配合割合は、油相成分100質量部に対して、例えば、50質量部以上、好ましくは、100質量部以上、より好ましくは、150質量部以上であり、また、例えば、1900質量部以下、好ましくは、900質量部以下、より好ましくは、400質量部以下となるように、調整される。
3−3. 重合工程
重合工程では、重合性ビニルモノマーを懸濁重合して、重合体を生成する。重合性ビニルモノマーを懸濁重合するには、水分散液を所定温度に昇温する。懸濁重合では、水分散液の水分散状態が維持されるように、水分散液を攪拌しながら、重合性ビニルモノマーが反応(具体的には、ラジカル重合)して、重合性ビニルモノマーの重合体が生成される。懸濁重合は、重合体となる重合性ビニルモノマーがすべて水分散粒子(疎水性液相)のみにあることから、インサイチュ(in−situ)重合である。
具体的には、懸濁重合は、水分散液を攪拌しながら加熱することにより、重合性ビニルモノマーがそのまま、水分散粒子中で重合を開始し、重合体を生成する。
攪拌は、例えば、攪拌羽根を有する攪拌器によって実施する。
水分散液を、その温度が、例えば、40℃以上、好ましくは、50℃以上、より好ましくは、60℃以上、また、例えば、100℃以下、好ましくは、90℃以下、より好ましくは、80℃以下となるように、加熱する。
そして、抗生物活性化合物が重合体と非相溶である状態で懸濁重合が進行する。
加熱時間は、例えば、2時間以上、好ましくは、3時間以上であり、また、例えば、12時間以下、好ましくは、8時間以下である。さらに、所定温度に加熱後、その温度を所定時間維持し、その後、加熱および温度維持を繰り返すことにより、段階的に加熱することもできる。
懸濁重合において、抗生物活性化合物は、重合性ビニルモノマーに対して実質的に不溶性であり、抗生物活性化合物は、重合開始から重合終了後まで、重合性ビニルモノマーおよび/または重合体に対して、非相溶状態を維持している。
その後、重合後の水分散液を、例えば、放冷などによって冷却し、100メッシュ(目開き144μm))の濾布などで濾過することにより、抗生物活性化合物含有粒子の水分散液(懸濁液)を得る。
冷却温度は、例えば、室温(20〜30℃、より具体的には、25℃)である。
得られた抗生物活性化合物含有粒子における抗生物活性化合物の濃度は、例えば、1質量%以上、好ましくは、5質量%以上、より好ましくは、10質量%以上であり、また、例えば、50質量%以下、好ましくは、40質量%以下、より好ましくは、35質量%以下である。
また、懸濁液における抗生物活性化合物含有粒子の含有割合は、油相成分およびそれが分散される水(または水溶液)の配合量によって決定されており、具体的には、例えば、10質量%以上、好ましくは、20質量%以上であり、また、例えば、50質量%以下、好ましくは、40質量%以下である。
抗生物活性化合物含有粒子の平均粒子径は、例えば、1μm以上、好ましくは、2μm以上であり、また、例えば、20mm以下、好ましくは、10mm以下である。なお、平均粒子径は、メジアン径として算出される。
なお、上記の製造方法によって得られた懸濁液に、必要により、その他の分散剤、増粘剤、凍結防止剤、防腐剤、微生物増殖抑制剤、比重調節剤などの公知の添加剤を適宜配合することもできる。
4. 抗生物活性化合物含有粒子の構造
抗生物活性化合物含有粒子は、図1または図2に示す構造を有する。次に、図1および図2に示す抗生物活性化合物含有粒子を、本発明の抗生物活性化合物含有粒子の第1実施形態および第2実施形態として、順に説明する。
4−1. 第1実施形態
図1に示すように、第1実施形態の抗生物活性化合物含有粒子1は、例えば、球状粒子として形成されている。抗生物活性化合物含有粒子1は、マトリクス2と、マトリクス2中に分散するドメイン3とから形成される2相構造を有する。マトリクス2は、重合性ビニルモノマーから生成される重合体からなる。ドメイン3は、上記した抗生物活性化合物からなる。
具体的には、抗生物活性化合物含有粒子1では、マトリクス2が媒体あるいは連続相を形成しており、複数のドメイン3が孤立状に分散するマルチドメイン構造あるいは海島構造(または多核構造)が形成されている。また、この抗生物活性化合物含有粒子1では、マトリクス2およびドメイン3は、互いに非相溶であって、互いに分離する相分離構造を形成する。
マトリクス2は、抗生物活性化合物含有粒子1において、ドメイン3以外の領域にあり、ドメイン3を取り除いた形状に形成されている。また、マトリクス2の表面の全部は、外部に露出している。
複数のドメイン3は、マトリクス2中において、分散相を形成する。複数のドメイン3の全部は、マトリクス2に被覆されている。ドメイン3の形状は、特に限定されず、例えば、不定形状、球状、塊状、板状など、適宜の形状に形成されている。ドメイン3の最大長さの平均値は、例えば、0.05μm以上、好ましくは、0.1μm以上であり、また、例えば、20μm以下、好ましくは、10μm以下である。
第1実施形態の抗生物活性化合物含有粒子1を製造するには、重合体の上記した溶解度パラメータδの二乗平均平方根[(δp,polymer+(δh,polymer1/2が、例えば、10.00[(J/cm1/2]以上になるように、重合性ビニルモノマーを選択する。
4−2. 第2実施形態
第2実施形態において、第1実施形態と同様の構成については、その説明を省略する。
第2実施形態の抗生物活性化合物含有粒子1では、図2に示すように、ドメイン3が、マトリクス2の内部から外方に突出する突出物4を含む。突出物4は、マトリクス2の表面から露出している。これによって、抗生物活性化合物含有粒子1の表面では、マトリクス2およびドメイン3の両方が露出している。突出物4は、抗生物活性化合物含有粒子1の耐ブロッキング性を高める働きをする。突出物4の、マトリクス2の全表面に対する露出率(つまり、ドメイン3の露出率)は、抗生物活性化合物含有粒子1の全表面に対して、例えば、0.1%以上、好ましくは、1%以上であり、また、例えば、50%以下、好ましくは、30%以下である。マトリクス2の露出率は、抗生物活性化合物含有粒子1の全表面から突出物4の露出率を差し引いた割合である。
なお、この抗生物活性化合物含有粒子1の表面には、ドメイン3の一部がマトリクス2から脱離(脱落)することにより、穴6が形成されている。穴6は、ドメイン3を構成する抗生物活性化合物の形状に対応するように、形成されている。
そして、第2実施形態の抗生物活性化合物含有粒子1を製造するには、重合体の上記した溶解度パラメータδの二乗平均平方根[(δp,polymer+(δh,polymer1/2が、例えば、9.50[(J/cm1/2]以下になるように、重合性ビニルモノマーを選択する。
5. 抗生物活性化合物含有粒子の製剤化(粒剤の調製)
抗生物活性化合物含有粒子を含有する懸濁液を、例えば、粒状の担体に配合して混合し、その後、それらを乾燥させる(粒剤化工程)。これによって、懸濁液を、担体と、それに担持される抗生物活性化合物含有粒子とを含む粒剤に製剤化する。つまり、粒剤の製造方法は、油相成分調製工程、水分散工程および重合工程に加え、粒剤化工程をさらに備える。
担体としては、例えば、軽石、ベントナイト、クレー、カオリン、タルク、酸性白土、ゼオライト、バーミキュライト、パーライト、炭酸カルシウム、珪砂などが挙げられる。担体として、好ましくは、軽石が挙げられる。担体は、市販品を用いることができ、具体的には、カガライトシリーズ(天然軽石の細粒、カガライト工業社製)などが用いられる。担体の平均粒子径は、例えば、100μm以上、好ましくは、300μm以上であり、また、例えば、5.00mm以下、好ましくは、2.00mm以下である。
粒剤化工程において、抗生物活性化合物含有粒子の懸濁液の配合割合は、得られる粒剤(担体および抗生物活性化合物含有粒子)における抗生物活性化合物の濃度が、例えば、0.01質量%以上、好ましくは、0.05質量%以上、例えば、2質量%以下、好ましくは、1質量%以下となるように、調整される。具体的には、抗生物活性化合物含有粒子の懸濁液(水を含む)の配合割合は、担体100質量部に対して、例えば、0.01質量部以上、好ましくは、0.05質量部以上、より好ましくは、0.1質量部以上、さらに好ましくは、0.2質量部以上であり、例えば、10質量部以下、好ましくは、5質量部以下である。
このような粒剤は、各種の工業製品に適用することができ、例えば、シロアリ防除用土壌処理剤などに、適用することができる。なお、これらの工業製品に対する、抗生物活性化合物の含有割合は、例えば、10mg/kg〜100g/kg(工業製品質量)である。
以下の記載において用いられる配合割合(含有割合)、物性値、パラメータなどの具体的数値は、上記の「発明を実施するための形態」において記載されている、それらに対応する配合割合(含有割合)、物性値、パラメータなど該当記載の上限値(「以下」、「未満」として定義されている数値)または下限値(「以上」、「超過」として定義されている数値)に代替することができる。
まず、各実施例および各参考例で用いる略号の詳細を次に記載する。
クロチアニジン:(E)−1−(2−クロロチアゾール−5−イルメチル)−3−メチル−2−ニトログアニジン、融点177℃、水への溶解度:0.33g/L、溶解度パラメータδの双極子間力項δp,compound:11.85[(J/cm1/2]、溶解度パラメータδの水素結合力項δh,compound:9.98[(J/cm1/2]、二乗平均平方根値[(δp,compound+(δh,compound1/2:15.49、住友化学社製
BA:n−ブチルアクリレート、水への溶解度:2.0g/L、溶解度パラメータδの双極子間力項δp,monomer unit:4.26[(J/cm1/2]、溶解度パラメータδの水素結合力項δh,monomer unit:7.81[(J/cm1/2]、和光一級試薬、和光純薬工業社製
EA:エチルアクリレート、水への溶解度:15g/L、溶解度パラメータδの双極子間力項δp,monomer unit:5.93[(J/cm1/2]、溶解度パラメータδの水素結合力項δh,monomer unit:9.20[(J/cm1/2]、和光特級試薬、和光純薬工業社製
2−EHA:2−エチルヘキシルアクリレート、水への溶解度:0.01mg/L、溶解度パラメータδの双極子間力項δp,monomer unit:3.80[(J/cm1/2]、溶解度パラメータδの水素結合力項δh,monomer unit:3.20[(J/cm1/2]、和光一級試薬、和光純薬工業社製
2−EHMA:2−エチルヘキシルメタクリレート、水への溶解度:不溶、溶解度パラメータδの双極子間力項δp,monomer unit:4.50[(J/cm1/2]、溶解度パラメータδの水素結合力項δh,monomer unit:5.10[(J/cm1/2]、和光一級試薬、和光純薬工業社製
LMA:ラウリルメタクリレート、水への溶解度:不溶、溶解度パラメータδの双極子間力項δp,monomer unit:3.40[(J/cm1/2]、溶解度パラメータδの水素結合力項δh,monomer unit:4.40[(J/cm1/2]、和光一級試薬、和光純薬工業社製
i−BMA:iso−ブチルメタクリレート、水への溶解度:0.5g/L、溶解度パラメータδの双極子間力項δp,monomer unit:3.75[(J/cm1/2]、溶解度パラメータδの水素結合力項δh,monomer unit:7.32[(J/cm1/2]、日本触媒社製
LA:ラウリルアクリレート、水への溶解度:不溶、溶解度パラメータδの双極子間力項δp,monomer unit:3.60[(J/cm1/2]、溶解度パラメータδの水素結合力項δh,monomer unit:4.60[(J/cm1/2]、和光一級試薬、和光純薬工業社製
EGDMA:エチレングリコールジメタクリレート、商品名「ライトエステルEG」、水への溶解度:0.58g/L、溶解度パラメータδの双極子間力項δp,monomer unit:5.37[(J/cm1/2]、溶解度パラメータδの水素結合力項δh,monomer unit:10.42[(J/cm1/2]、共栄社化学社製
BGA:1,4−ブタンジオールジアクリレート、水への溶解度:16.3g/L、溶解度パラメータδの双極子間力項δp,monomer unit:8.00[(J/cm1/2]、溶解度パラメータδの水素結合力項δh,monomer unit:8.10[(J/cm1/2]、和光純薬工業社製
パーロイルL:商品名、ジラウロイルパーオキシド、日油社製
DISPERBYK−164:商品名、顔料分散用官能基変性共重合体(3級アミン含有ポリエステル変性ポリウレタン系重合体、分子量10000〜50000)の酢酸ブチル溶液、固形分濃度60%、ビッグケミー社製
プロノン208:商品名、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックコポリマー、日油社製
PVA−217:商品名「クラレポバール217」、部分鹸化ポリビニルアルコール、クラレ社製
デモールNL:商品名、β−ナフタレンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物ナトリウム塩の41%水溶液、花王社製
各調製例で用いた抗生物活性化合物(クロチアニジン)の溶解度パラメータδの双極子間力項δp,compoundおよび水素結合力項δh,compoundと、それらの二乗平均平方根[(δp,compound+(δh,compound1/2を上記した表1に記載する。また、各実施例および各参考例で用いた重合性ビニルモノマーのモノマー単位としての溶解度パラメータδの双極子間力項δp,monomer unitおよび水素結合力項δh,monomer unitを上記した表1に記載する。
(疎水性スラリーの調製)
調製例1(クロチアニジンスラリー(スラリーA)の調製)
EGDMA180gと、DISPERBYK−164 20gと、クロチアニジン100gとを、ガラス瓶中に投入し、さらにジルコニアビーズ径1.0mmをガラス瓶の1/3容量投入し、ペイントコンディショナー(ペイントシェーカー、商品名「THECLASSIC型式1400」、RedDevil社製)で2時間湿式粉砕して、クロチアニジン33.3%含有スラリー(疎水性スラリー、以下、「スラリーA」という。)を得た。
スラリーAにおけるクロチアニジンの平均粒子径は、濃厚系粒径アナライザーFPAR−1000(大塚電子社製)で測定した。その結果を表3に記載する。
調製例2(クロチアニジンスラリー(スラリーBおよびC)の調製)
配合処方を表3に記載の処方に変更した以外は、調製例1と同様に処理して、クロチアニジンスラリー(疎水性スラリー、以下、「スラリーB」および「スラリーC」という。)をそれぞれ得た。
スラリーBおよびスラリーCのそれぞれにおけるクロチアニジンの平均粒子径を、表3に記載する。
Figure 2016160188
実施例1
200mLのビーカー(1)に、調製例1で調製したスラリーA 50g、BA20g、EGDMA30g、および、パーロイルL 0.5gを仕込み、室温で攪拌することにより、BA、EGDMAおよびパーロイルLをスラリーAに含有させた。
これによって、BA、EGDMA、パーロイルLおよびスラリーAを含有する油相成分を調製した。
別途、500mLのビーカー(2)に、イオン交換水258.26g、PVA−217の10%水溶液40g、プロノン208の1%水溶液1gおよびデモールNL 0.24gを仕込み、室温で攪拌することにより、均一な水溶液を得た。
次いで、500mLのビーカー(2)に、油相成分を加え、T.K.ホモミクサーMARK2.5型(プライミクス社製)により回転数5000rpmで5分間攪拌することにより、油相成分を分散させて、懸濁液(水分散液)を調製した。
その後、懸濁液(水分散液)を、攪拌器、還流冷却器、温度計および窒素導入管を装備した500mL4頚コルベンに移し、窒素気流下、攪拌しながら昇温して、懸濁重合を実施した。
懸濁重合は、55℃到達時点を重合開始とし、その後、70±1℃で3時間、80±1℃で3時間、連続して実施した。
その後、反応後の懸濁液を30℃以下に冷却することにより、クロチアニジンを含有するメジアン径7.8μmの抗生物活性化合物含有粒子の懸濁液(懸濁剤)を得た。
なお、抗生物活性化合物含有粒子のメジアン径は、レーザー回析散乱式粒子径分布測定装置LA−920(堀場製作所社製)により測定した。メジアン径の測定は、以下の実施例および参考例についても同様である。
実施例2〜11および参考例1、2
配合処方を表4の記載に従って変更した以外は、実施例1と同様に処理して、クロチアニジンを含有する抗生物活性化合物含有粒子の懸濁液(懸濁剤)を得た。懸濁液における抗生物活性化合物含有粒子の平均粒子径を表4に示す。
各実施例および各参考例の重合性ビニルモノマーのモノマー単位としての溶解度パラメータδの二乗平均平方根[(δp,compound+(δh,compound1/2を、表4に記載する。
Figure 2016160188
(抗生物活性化合物含有粒子を含有する粒剤の調製)
カガライトK−2号(カガライト工業社製、軽石の細粒、粒子径425〜1400μm)100gに対して、各実施例および各参考例の懸濁剤を14gを加えて、それらを混合し、24時間以上室温にて乾燥した。これにより、軽石と、軽石に担持された(付着された)抗生物活性化合物含有粒子とを含む粒剤を調製した。
(評価)
1.脱着率の測定(付着性の評価)
粒剤を60メッシュの篩(目開き250μm)で、5分間、篩い、篩通過分を秤量し、抗生物活性化合物含有粒子の脱着率を、以下の基準に基づいて、評価した。その結果を表4に記載する。
基準
○:脱着率が5.0質量%未満
△:脱着率が5.0質量%以上、10.0質量%未満
×:脱着率が10.0質量%以上
なお、脱着率は、篩通過分質量の、仕込みの抗生物活性化合物含有粒子質量(仕込みの懸濁剤の固形分質量)に対する百分率(すなわち、篩通過分質量/仕込みの抗生物活性化合物含有粒子質量(仕込みの懸濁剤の固形分質量)×100)であって、脱着率が低ければ、抗生物活性化合物含有粒子の軽石への付着性(担持性、あるいは、添着性)が良好であることを意味する。
また、表5において、各実施例および各参考例を、重合体の溶解度パラメータδの二乗平均平方根[(δp,polymer+(δh,polymer1/2と、重合体のガラス転移温度Tgとによって、分類するとともに、併せて、付着性の評価を転記する。
Figure 2016160188
1 抗生物活性化合物含有粒子
抗生物活性化合物含有粒子は、例えば、担体に担持させて、粒剤として使用される。

Claims (7)

  1. 溶剤の不存在下において、疎水性の重合性ビニルモノマーに対して実質的に不溶性、かつ、疎水性の抗生物活性化合物を、前記重合性ビニルモノマー中に分散することにより、疎水性スラリーを含有する油相成分を調製する油相成分調製工程、
    前記油相成分を水分散して水分散液を調製する水分散工程、および、
    前記重合性ビニルモノマーを懸濁重合して、重合体を生成する重合工程
    を備える製造方法により得られ、
    前記抗生物活性化合物は、Hansenで定義され、van Krevelen and Hoftyzer法で算出される溶解度パラメータδの双極子間力項δp,compound、および、前記溶解度パラメータδの水素結合力項δh,compoundの二乗平均平方根値[(δp,compound+(δh,compound1/2が、11.00[(J/cm1/2]以上、16.00[(J/cm1/2]以下であり、
    前記重合体は、以下の(1)〜(3)のいずれかを満足することを特徴とする、抗生物活性化合物含有粒子。
    (1)ガラス転移温度Tgが、0℃以下である。
    (2)ガラス転移温度Tgが、0℃を超過し、40℃以下であり、かつ、前記溶解度パラメータδの双極子間力項δp,polymer、および、前記溶解度パラメータδの水素結合力項δh,polymerの二乗平均平方根[(δp,polymer+(δh,polymer1/2が、8.50[(J/cm1/2]以上である。
    (3)ガラス転移温度Tgが、40℃を超過し、65℃以下であり、かつ、前記二乗平均平方根([(δp,polymer+(δh,polymer1/2)が9.50[(J/cm1/2]以上である。
  2. 溶剤の不存在下において、疎水性の重合性ビニルモノマーに対して実質的に不溶性、かつ、疎水性の抗生物活性化合物を、前記重合性ビニルモノマー中に分散することにより、疎水性スラリーを含有する油相成分を調製する油相成分調製工程、
    前記油相成分を水分散して水分散液を調製する水分散工程、および、
    前記重合性ビニルモノマーを懸濁重合して、重合体を生成する重合工程
    を備える製造方法により得られ、
    前記抗生物活性化合物は、クロチアニジン、および、イミダクロプリドからなる群から選択される少なくとも1つを含有し、
    前記重合性ビニルモノマーは、
    ガラス転移温度Tgが−5℃以下の単独重合体を生成する(メタ)アクリレートと、
    ジ(メタ)アクリレートとを含有することを特徴とする、抗生物活性化合物含有粒子。
  3. 前記抗生物活性化合物が、クロチアニジンであることを特徴とする、請求項1または2に記載の抗生物活性化合物含有粒子。
  4. 溶剤の不存在下において、疎水性の重合性ビニルモノマーに対して実質的に不溶性、かつ、疎水性の抗生物活性化合物を、前記重合性ビニルモノマー中に分散することにより、疎水性スラリーを含有する油相成分を調製する油相成分調製工程、
    前記油相成分を水分散して水分散液を調製する水分散工程、および、
    前記重合性ビニルモノマーを懸濁重合して、重合体を生成する重合工程
    を備え、
    前記抗生物活性化合物は、Hansenで定義され、van Krevelen and Hoftyzer法で算出される溶解度パラメータδの双極子間力項δp,compound、および、前記溶解度パラメータδの水素結合力項δh,compoundの二乗平均平方根値[(δp,compound+(δh,compound1/2が、11.00[(J/cm1/2]以上、16.00[(J/cm1/2]以下であり、
    前記重合体は、以下の(1)〜(3)のいずれかを満足することを特徴とする、抗生物活性化合物含有粒子の製造方法。
    (1)ガラス転移温度Tgが、0℃以下である。
    (2)ガラス転移温度Tgが、0℃を超過し、40℃以下であり、かつ、前記溶解度パラメータδの双極子間力項δp,polymer、および、前記溶解度パラメータδの水素結合力項δh,polymerの二乗平均平方根[(δp,polymer+(δh,polymer1/2が、8.50[(J/cm1/2]以上である。
    (3)ガラス転移温度Tgが、40℃を超過し、65℃以下であり、かつ、前記二乗平均平方根([(δp,polymer+(δh,polymer1/2)が9.50[(J/cm1/2]以上である。
  5. 溶剤の不存在下において、疎水性の重合性ビニルモノマーに対して実質的に不溶性、かつ、疎水性の抗生物活性化合物を、前記重合性ビニルモノマー中に分散することにより、疎水性スラリーを含有する油相成分を調製する油相成分調製工程、
    前記油相成分を水分散して水分散液を調製する水分散工程、および、
    前記重合性ビニルモノマーを懸濁重合して、重合体を生成する重合工程
    を備え、
    前記抗生物活性化合物は、クロチアニジン、および、イミダクロプリドからなる群から選択される少なくとも1つを含有し、
    前記重合性ビニルモノマーは、
    ガラス転移温度Tgが−5℃以下の単独重合体を生成する(メタ)アクリレートと、
    ジ(メタ)アクリレートとを含有することを特徴とする、抗生物活性化合物含有粒子の製造方法。
  6. 前記抗生物活性化合物が、クロチアニジンであることを特徴とする、請求項4または5に記載の抗生物活性化合物含有粒子の製造方法。
  7. 粒状の担体と、
    前記担体に担持された請求項1〜3のいずれか一項に記載の抗生物活性化合物含有粒子と
    を含むことを特徴とする、粒剤。
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