JP2016158692A - 骨補填剤、その製造方法及びその使用方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】骨補填剤用溶液131と骨補填剤用粉末121が混合されてなるペースト状の骨補填剤であり、骨補填剤用溶液131が3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(GPTMS)水溶液31であり、骨補填剤用粉末121がハイドロキシアパタイトコラーゲン(HAp/Col)線維からなる粉末21であり、GPTMS水溶液31のGPTMS濃度が50%以下であり、骨補填剤用粉末量/骨補填剤用溶液量が0.333(g/mL)以上1.5(g/mL)以下である骨補填剤11を用いることにより、前記課題を解決できる。
【選択図】図1
Description
骨欠損部の大きさに合わせて形成したこれらの部材を骨欠損部に挿入するために、身体表面に大きな切部を形成する必要があり、身体に大きな負担となっていた。
小さな切部から導入し、骨欠損部まで伸ばした内視鏡の先から骨欠損部に骨補填ペーストを注入して、骨欠損部を隙間なく埋めてから、固めることにより、骨欠損部を補填する。
また、粉末形成部分を除けば、有機無機配向複合材料の製造方法(特許文献2)、生体材料用複合体およびその製造方法(特許文献3)、有機無機複合生体材料およびその製造方法(特許文献4)、複合生体材料の生分解性制御)、自己組織化したアパタイト/コラーゲン複合体を含むアパタイト/コラーゲン架橋多孔体及びその製造方法(特許文献5)、リン酸カルシウム含有複合多孔体及びその製造方法(特許文献6)、アパタイト/コラーゲン複合体線維を含む多孔体の製造方法(特許文献7)にHAp/Col関連の内容が記載されている。
本発明は、以下の構成を有する。
(5) HAp/Col線維からなる粉末中のコラーゲンが未架橋であることを特徴とする(3)又は(4)に記載の骨補填材の製造方法。
まず、本発明の実施形態である骨補填剤の一例について説明する。
図1は、本発明の実施形態である骨補填剤の一例を示す図であって、概略図(a)と、拡大図(b)である。
図1に示すように、本発明の実施形態である骨補填剤11は、容器12内で、骨補填剤用溶液131と骨補填剤用粉末121が混合されてなるペースト状の骨補填剤である。
骨補填剤用粉末量/骨補填剤用溶液量が0.5(g/mL)以上0.625(g/mL)以下であることが好ましい。これにより、充填後固化後の最終生成物の形状安定性をより高めることができる。
次に、本発明の実施形態である骨補填剤の製造方法の一例について説明する。
本発明の骨補填剤の製造方法は、HAp/Col線維を作製する工程S1と、HAp/Col線維からなる粉末を作製する工程S2と、GPTMS水溶液を調製する工程S3と、ペースト状の骨補填剤を製造する工程S4と、を有する。
特許文献1に記載の方法にしたがい、HApとColが配向したHAp/Col線維を作製する。
前記HAp/Col線維を一軸加圧(脱水)、凍結乾燥して、HAp/Col線維からなる緻密体を作製する。
次に、これを粉砕して、HAp/Col線維からなる粉末を作製する。
この段階で、分級することが好ましい。これにより、大きさの均一性を高めることができ、充填後固化後の最終生成物の形状安定性を高めることができる。
粒径212μm以下に粉砕することが好ましい。これにより、分散性を高めることができ、充填後固化後の最終生成物の形状安定性を高めることができる。
GPTMS濃度が50%以下のGPTMS水溶液を調製する。
図2は、ペースト状の骨補填剤を製造する工程S4の一例を示す工程図である。
骨補填剤用粉末量/骨補填剤用溶液量が0.333(g/mL)以上1.5(g/mL)以下で、容器12内で、HAp/Col線維からなる粉末21をGPTMS水溶液31に混合して、ペースト状の骨補填剤11を製造する。
骨補填剤用粉末量/骨補填剤用溶液量が0.5(g/mL)以上0.625(g/mL)以下であることがより好ましい。これにより、充填後固化後の最終生成物の形状安定性を高めることができる。
次に、本発明の実施形態である骨補填剤の使用方法の一例について説明する。
先に記載の骨補填剤の製造方法を用いて、ペースト状の骨補填剤を製造後、前記ペースト状の骨補填剤を、ペースト状の状態で骨欠損部に充填し、充填後固化して前記骨欠損部を補填する。
ペースト状の骨補填剤を製造後、短時間で、骨欠損部に充填することを要する。固化を始めると、充填不可となるためである。
次に、切部から骨欠損部まで内視鏡を挿入する。
次に、骨補填剤を使用する直前、粉末を溶液に分散し、攪拌してペーストとする。
次に、内視鏡などを通じて、ペーストを骨欠損部へ注入する。骨欠損部に充填されたペーストは短時間で固化する。これにより、骨欠損部を補填できる。
図3に示すように、充填固化後の骨補填部材111は、骨補填剤用粉末121がシロキサン・ネットワークス(Siloxane networks)132で連結されてなる骨補填部材ペースト状の骨補填剤である。
骨補填剤用粉末121は、ハイドロキシアパタイトコラーゲン(HAp/Col)線維からなる粉末である。コラーゲン(Col)23の3本鎖の間隙にハイドロキシアパタイト(HAp)22が保持されてなる。
シロキサン・ネットワークス(Siloxane networks)132は、GPTMS32が加水分解でラジカル反応され、架橋されて、形成される。安定なネットワーク構造を形成することにより、充填後固化後の最終生成物の形状安定性を高めることができる。
(HAp/Col線維分級粉末の作製)
まず、特許文献1に記載の方法に従い、HAp/Colを合成した。
次に、コラーゲンの変性が起こらないように留意しながら、HAp/Col線維からなる緻密体を粉砕して、HAp/Col線維からなる粉末を作製した。
次に、得られたHAp/Col線維からなる粉末を分級して、100μm以下のHAp/Col線維分級粉末(試験例F−1)と、100−212μmのHAp/Col線維分級粉末(試験例F−5)を作製した。
次に、HAp/Col線維分級粉末(試験例F−1、試験例F−5)それぞれに対し、20mM塩化カルシウム水溶液に浸漬して、Ca吸着処理を施して、Ca吸着HAp/Col線維分級粉末(試験例F−2、試験例F−6)を作製した。
次に、HAp/Col線維分級粉末(試験例F−1、試験例F−5)それぞれに対し、加熱して、コラーゲンの熱脱水架橋を施して、HAp/熱脱水架橋Col線維分級粉末(試験例F−3、試験例F−7)を作製した。
次に、HAp/熱脱水架橋Col線維分級粉末(試験例F−3、試験例F−7)それぞれに対し、20mM塩化カルシウム水溶液に浸漬して、Ca吸着処理を施して、Ca吸着HAp/熱脱水架橋Col線維分級粉末(試験例F−4、試験例F−8)を作製した。
以上により、HAp/Col粉末試料(試験例F−1〜F−8)を作製した。
まず、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(GPTMS)を用意した。
これをGPTMS:H2O=100:0(体積比)の原液溶液とした。
つぎに、所定量の水と混合して、GPTMS:H2O=50:50、40:60、25:75、10:90、1:99、0.1:99.9(体積比)の水溶液とした。
GPTMSと水の混合後直後、粉末と混合した原液又は水溶液を、「加水分解なし」の原液又は水溶液と呼称する。
一方、GPTMSと水の混合後、1時間、攪拌してから、粉末と混合した原液又は水溶液を、「加水分解あり」の原液又は水溶液と呼称する。
次に、HAp/Col粉末試料(試験例F−1〜F−8)をそれぞれ所定量秤量して、所定量のGPTMS又はその水溶液に分散し、混錬して、骨補填ペースト(試験例Y−1〜Y−45)を製造した。
GPTMS量(L)は1〜1000mLとした。
HAp/Col粉末試料の粉末量(P)は0.0005〜125gとした。
粉液比P/L=0.2〜2(g/mL)とした。
次に、JIS T0330−4:2012の規格に従い、崩壊性試験を行った。
図4〜6は、崩壊性試験の一例を示す工程図である。
HAp/Col粉末試料(試験例F−1〜F−8)を原液又は水溶液に分散した時点から、混錬を開始し、3分後、図4に示すように、骨補填ペースト(試験例Y−1〜Y−45)を、内径4.8mmのシリンジに、長さ16.5mm、体積約0.3cm3にして充填した。シリンジは、先端部分を切り落とし、円筒状にしたものを用いた。
次に、トレイ内に生理食塩水(PBS)を50cm3静かに加えた。
72時間後、トレイを取り出した。
ステンレス金網上に残った残留物と、ステンレス金網の網目から落下した崩壊片を水洗・乾燥してから、それぞれ質量を測定した。
全部崩壊した場合は崩壊率100%となる。非崩壊の場合は、崩壊率0%となる。なお、押し出しの時点で形状を保つことができなかったものや、インジェクション自体ができなかったものについては、崩壊率を算出できなかった。
実験条件及び結果を表1にまとめた。
追加の試験として、骨補填ペースト(試験例Y−1、Y−2、Y−19、Y−20)を用いて、18G(外径1.2mm、内径0.94mm)の注射針通過試験も行った。18Gの注射針をシリンジに取り付けた状態で、注射針の先からシリンジ内に入れた骨補填ペーストを押し出した。すべての骨補填ペースト(試験例Y−1、Y−2、Y−19、Y−20)を押し出し可能であった。
(1) 加水分解あり、GPTMS濃度が1%以上50%以下、P/Lが0.333以上1.5以下の場合、インジェクト可能であり、崩壊率が低く、形状安定性がある。P/L比が0.50から0.65の範囲が良好な操作性を示した。
(2) 加水分解なし、GPTMS濃度が1%以上25%以下、P/Lが0.333以上1.25以下の場合、インジェクト可能であり、崩壊率が低く、形状安定性がある。25%以下のGPTMS水溶液を用いることが好ましく、1%のGPTMS水溶液を用いた場合、さらに崩壊し難く、より好ましい。
(3) コラーゲン熱脱水架橋処理を行った場合は、崩壊率が高く、形状安定性が低い。
(4) GPTMS濃度が100%とした場合は、崩壊率が高く、形状安定性が低い。
(5) P/Lが1.75以上2以下の場合、崩壊率が高く、形状安定性が低い。
(6) P/Lが0.2の場合、崩壊率が高く、形状安定性が低い。
(7) GPTMS濃度が50%で、加水分解なしの場合は、崩壊率が高く、形状安定性が低い。
(8) P/Lが0.71以上1.5以下、加水分解なし、GPTMS濃度が1%以外の場合、崩壊率が高く、形状安定性が低い。
(9) P/Lが0.333、加水分解なし、GPTMS濃度が1%以外の場合、崩壊率が高く、形状安定性が低い。
コラーゲン熱脱水架橋処理を行った場合はすべて、崩壊率が高く、形状安定性が低かった。これは、コラーゲンの架橋によりGPTMS中のエポキシ基とコラーゲンのアミノ基との結合が形成されなくなったためだと考えられる。これにより、コラーゲンの熱脱水架橋は行わないことが好ましい。
in vitro試験でCa吸着処理を行った方が初期の細胞適合性が高いと思われるため、Ca吸着処理の影響を検討したが、Ca吸着処理の有無は崩壊率に影響しなかった。
Ca吸着処理は行っても行わなくても良いことが分かった。
GPTMS水溶液の加水分解を行わない場合、限られた条件(P/L比が0.5付近であるかGPTMS濃度が1vol%)でしか非崩壊を示さなかった。一方、加水分解を行った場合は加水分解していないペーストと比較して良好な操作性、非崩壊性を示す条件の範囲が広かった。
例えば、試験例Y−23と、試験例Y−5は、GPTMS濃度が50%、P/Lが0.625という条件で共通し、加水分解ありか、なしかという点で相違し、加水分解ありの試験例Y−23の崩壊率が低く、加水分解なしの試験例Y−5の崩壊率が高いという結果が得られた。これにより、加水分解ありが好ましく、GPTMSと水を混ぜ、GPTMS中のメトキシ基の加水分解を進行させたGPTMS水溶液を用いることが好ましい。少なくとも、GPTMS水溶液調製後1時間待つことで十分に加水分解を進行させた方が良い。GPTMS水溶液を調製後、1時間撹拌しGPTMS中のメトキシ基の加水分解を進行させることがより好ましい。この加水分解処理をすることにより、P/L比の範囲が0.33から1.50で非崩壊性ペーストの作製が可能であった。
HAp/Col粉末の粒径は100μm以下と100μm超212μm以下との間で、混練時は粒径が小さい100μm以下の方が上手く練和できたが、崩壊率に関しては有意な差は見られなかった。少なくとも212μm以下の粒子を用いれば、使用時は、ペースト状で骨欠損部に容易に導入可能であり、固化させた場合には、崩壊率が低く、形状安定性が高い部材を形成できた。
GPTMS濃度が100%の場合はすべて、崩壊率が高く、形状安定性が低かった。
GPTMS濃度が50%の場合、加水分解ありの試験例Y−23の崩壊率が低く、加水分解なしの試験例Y−5の崩壊率が高いという結果が得られた。
GPTMS濃度が1%以上25%以下の場合、P/L比が0.5以上0.625以下の範囲にあれば、加水分解の有り無しに関わらず、崩壊率が低く、形状安定性が高い部材を形成できた。
GPTMS濃度が1%と濃度が薄い場合、GPTMSに対して水が豊富に存在するため、加水分解が早く進行したと考えられる。
P/L比が1.75以上2以下と高い場合は、インジェクションできなかった。
P/L比が0.2と低い場合は、粘性が低く、流動性が高く、押し出し時点で形状を保つことができなかった。
P/L比が0.5以上0.625以下の範囲で、GPTMS濃度が1%以上25%以下の場合は、加水分解の有り無しに関わらず、崩壊率が低く、形状安定性が高い部材を形成できた。P/L比が0.5以上0.625以下の範囲、GPTMS濃度が1%以上25%以下はペーストの調製に適したP/L比であることが示唆された。
P/L比が0.5以上0.625以下の範囲で、GPTMS濃度が40%又は50%の場合は、加水分解の有り無しで崩壊率が異なった。加水分解のありの場合は、崩壊率が低く、形状安定性が高い部材を形成できたが、加水分解なしの場合は、崩壊率が高く、形状安定性が低かった。
P/L比が0.333で、GPTMS濃度が25%の場合は、加水分解の有り無しで崩壊率が異なった。加水分解のありの場合は、崩壊率が低く、形状安定性が高い部材を形成できたが、加水分解なしの場合は、崩壊率が高く、形状安定性が低かった。
P/L比が0.333で、GPTMS濃度が1%の場合は、加水分解の有り無しに関わらず、崩壊率が低く、形状安定性が高い部材を形成できた。
Claims (7)
- 骨補填剤用溶液と骨補填剤用粉末が混合されてなるペースト状の骨補填剤であり、
前記骨補填剤用溶液が3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(GPTMS)水溶液であり、
前記骨補填剤用粉末がハイドロキシアパタイトコラーゲン(HAp/Col)線維粉末であり、
前記GPTMS水溶液のGPTMS濃度が50%以下であり、
骨補填剤用粉末量/骨補填剤用溶液量が0.333(g/mL)以上1.5(g/mL)以下であることを特徴とする骨補填剤。 - 前記GPTMS水溶液のGPTMS濃度が40%以下であり、
骨補填剤用粉末量/骨補填剤用溶液量が0.5(g/mL)以上0.625(g/mL)以下であることを特徴とする請求項1に記載の骨補填剤。 - HAp/Col線維を一軸加圧(脱水)、凍結乾燥して、HAp/Col線維からなる緻密体を作製する工程と、
前記HAp/Col線維からなる緻密体を粉砕して、HAp/Col線維からなる粉末を作製する工程と、
GPTMS濃度が50%以下のGPTMS水溶液を調製する工程と、
骨補填剤用粉末量/骨補填剤用溶液量が0.333(g/mL)以上1.5(g/mL)以下でHAp/Col線維からなる粉末をGPTMS水溶液に混合して、ペースト状の骨補填剤を製造する工程と、を有することを特徴とする骨補填剤の製造方法。 - HAp/Col線維からなる粉末を作製する工程で、粒径212μm以下に粉砕することを特徴とする請求項3に記載の骨補填剤の製造方法。
- HAp/Col線維からなる粉末中のコラーゲンが未架橋であることを特徴とする請求項3又は4に記載の骨補填材の製造方法。
- GPTMS水溶液を調製する工程後、GPTMSを水に分散後1時間以上撹拌(以下、加水分解処理という。)する工程を有することを特徴とする請求項3〜5のいずれか1項に記載の骨補填剤の製造方法。
- 請求項3〜6のいずれか1項に記載の骨補填剤の製造方法を用いて製造したペースト状の骨補填剤を、ペースト状の状態で骨欠損部に充填し、充填後固化して前記骨欠損部を補填することを特徴とする骨補填剤の使用方法。
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