JP2016158613A - 無添加焼き込み用フラワーペースト、その製造方法、及びこれを用いたパン及び菓子 - Google Patents

無添加焼き込み用フラワーペースト、その製造方法、及びこれを用いたパン及び菓子 Download PDF

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Abstract

【課題】食品衛生上の添加物である加工澱粉、増粘剤、保存料、日持ち向上剤、及びpH調整剤を使用せずとも、老化し難く、耐離水性、保型性、及び耐熱性が良好で、また甘すぎず滑らかな食感と良好な充填適性を有し、更に衛生的で日持ちに優れた大量生産可能な焼き込み用フラワーペースト提供する。【解決手段】フラワーペースト全体中、(A)ワキシーコーンスターチ、タピオカ澱粉、うるち米澱粉及びさつまいも澱粉からなる群より選ばれる少なくとも一種と、(B)もち粉澱粉とを合計で1.0〜4.5質量%含み、且つ(A)と(B)の配合比(A)/(B)が質量比で20/80〜70/30であり、寒天0.05〜0.5質量%、油脂15〜30質量%、水分35〜50質量%、糖類19〜34質量%(乾燥質量)を含有し、加工澱粉、増粘剤、保存料、日持ち向上剤及びpH調整剤の内、指定添加物又は既存添加物に該当するものを含まない焼き込み用フラワーペースト。【選択図】なし

Description

本発明は、製菓・製パン分野で用いられる焼き込み用フラワーペースト及びその製造方法、及び当該フラワーペーストを用いたパン及び菓子に関する。
従来リテールベーカリーや洋菓子店ではフラワーペーストに分類されるカスタードクリームを小麦粉、牛乳、及び卵を原料として、食品添加物を使用しないで作製していた。斯かるカスタードクリームは滑らかな食感を有するが、数日間経つと澱粉の老化が進み、離水が起こって衛生状態が悪くなったり、食感が悪くなったりして日持ちが悪いといった問題があった。また、パンや菓子にフィリングやトッピングして焼成すると型崩れしてパン等から流れ出たり、大量生産ができないという問題があった。そこで、老化抑制のために加工澱粉、食感改良のために増粘剤、衛生状態の悪化抑制のために保存料や多量の糖類等を使用したフラワーペーストが工業的に製造されるようになった。
例えば特許文献1には経時安定性や貯蔵安定性に優れたフラワーペーストとして、ペースト状食品中に、加工澱粉を含むワキシーコーンやタピオカ由来の澱粉と、米由来の澱粉などの小粒子澱粉を特定の質量割合で混合した混合物を特定量含有するペースト状食品が提案されている。また、特許文献2には、澱粉使用量を低減しつつ保型性や滑らかさを有するフィリング材として、馬鈴薯由来でDE2〜5のデキストリン及び寒天(ゲル化剤)を併用したフィリング材が開示されている。
特開2008−228661号公報 特開2010−148462号公報
しかしながら、近年の健康志向によってフラワーペーストでも加工澱粉、増粘剤、保存料、日持ち向上剤等の食品添加物を極力添加しないようになってきている。このことに鑑みると、加工澱粉を使用する上記ペースト状食品は市場のニーズに応答するものとは言い難い。また、澱粉のみで保型性を確保する場合にはフラワーペーストの耐熱性が劣る傾向にあることを本発明者は見出しており(後述する比較例7、19ご参照)、斯かるフラワーペーストは、パンや菓子のように焼成する用途には適用し難いものである。また、フィリング材の耐熱性を確保する観点からは澱粉使用量の低減には限界があり、さらに澱粉使用量の低減は滑らかさや耐離水性を悪化させる傾向がある(後述する比較例8ご参照)。
本発明は上記の様な事情に着目してなされたものであって、その目的は、食品衛生法上の添加物である加工澱粉、増粘剤、保存料、日持ち向上剤、及びpH調整剤を使用せずとも、老化しにくく、耐離水性、保型性、及び耐熱性が良好で、また甘すぎず滑らかな食感と良好な充填適性を有し、さらに衛生的で日持ちに優れた大量生産可能な焼き込み用フラワーペーストを提供することにある。
上記目的を達成し得た本発明の焼き込み用フラワーペーストとは、フラワーペースト全体中、(A)ワキシーコーンスターチ、タピオカ澱粉、うるち米澱粉及びさつまいも澱粉からなる群より選ばれる少なくとも一種と、(B)もち粉澱粉とを合計で1.0〜4.5質量%含み、且つ(A)と(B)の配合比(A)/(B)が質量比で20/80〜70/30であり、寒天0.05〜0.5質量%、油脂15〜30質量%、水分35〜50質量%、糖類19〜34質量%(乾燥質量)を含有し、加工澱粉、増粘剤、保存料、日持ち向上剤及びpH調整剤の内、指定添加物又は既存添加物に該当するものを含まない点に要旨を有するものである。
本発明においてはゲル強度が30〜90g/cmである寒天を用いるのが好ましい。
本発明には上記焼き込み用フラワーペーストの製造方法も含まれる。すなわち本発明の製造方法とは、加工澱粉、増粘剤、保存料、日持ち向上剤及びpH調整剤の内、指定添加物および既存添加物に該当するものを含まないフラワーペーストの製造方法であって、フラワーペースト全体中、(A)ワキシーコーンスターチ、タピオカ澱粉、うるち米澱粉及びさつまいも澱粉からなる群より選ばれる少なくとも一種と、(B)もち粉澱粉とを質量比(A)/(B)が20/80〜70/30、且つその合計量が1.0〜4.5質量%となるよう水に溶解し、さらに寒天0.05〜0.5質量%、糖類19〜34質量%(乾燥質量)を水に溶解して加熱して調製した水相に、油脂15〜30質量%を含む油相部を混合して混合物を得る工程と、該混合物を乳化処理及び加熱処理する工程とを含むところに特徴を有する。
また上記焼き込み用フラワーペーストを用いてなるパン及び菓子は本発明の推奨される実施態様である。
本発明によれば、加工澱粉、増粘剤、保存料、日持ち向上剤、pH調整剤の内、指定添加物および既存添加物に該当するものを使用せずとも、老化しにくく、耐離水性、保型性及び耐熱性が良好で、加えて甘すぎないで滑らかな食感と良好な充填適性を有し、さらに衛生的な日持ちに優れた大量生産可能な焼き込み用フラワーペーストを提供することができる。
以下、本発明につき詳細に説明する。
本発明のフラワーペーストとは、パン又は菓子にフィリング又はトッピングして、焼成してから食用に供されるものであり、ワキシーコーンスターチ、タピオカ澱粉、うるち米澱粉及びさつまいも澱粉からなる群より選ばれる少なくとも一種、もち粉澱粉、寒天、油脂、水分及び糖類を特定量含有し、且つ食品衛生上の添加物である加工澱粉、増粘剤、保存料、日持ち向上剤及びpH調整剤の内、指定添加物および既存添加物に該当するものを含まないことを特徴とする。
本発明で用いる澱粉とは、指定添加物および既存添加物に該当しない澱粉(後述する)のことであり、例えばワキシーコーンスターチ、タピオカ澱粉、うるち米澱粉、さつまいも澱粉(以上を澱粉(A)と称する場合がある)、もち米澱粉(澱粉(B)と称する場合がある)、およびこれらに酸処理や漂白処理、湿熱加熱処理といった物理的又はアミラーゼ等により酵素的に処理を加えた物などが挙げられる。なかでも湿熱加熱処理をした澱粉は、耐熱性が優れているのでより好ましい。
本発明における澱粉(A)と澱粉(B)の合計含有量はフラワーペースト全体中1.0〜4.5質量%である。澱粉(A)と澱粉(B)の合計含有量は1.5〜4.5質量%であるのが好ましく、2.0〜4.0質量%がより好ましく、2.5〜3.5質量%であるのがさらに好ましい。澱粉の含有量を上記範囲とすることで、老化し難く、耐離水性に優れたフラワーペーストとすることができ、また澱粉の含有量が1.0質量%より少ないとフラワーペーストの保型性と耐熱性が低下する場合があり、4.5質量%より多いと口溶けが悪化する場合がある。
本発明では、上記澱粉の内、(A)ワキシーコーンスターチ、タピオカ澱粉、うるち米澱粉及びさつまいも澱粉からなる群より選ばれる少なくとも1種と、(B)もち粉澱粉とを混合比(A)/(B)が20/80〜70/30(質量比)となる範囲で用いる。混合比(A)/(B)は20/80〜40/60であるのが好ましく、30/70〜40/60がより好ましい。混合比(A)/(B)を上記範囲とすることで、食感が滑らかで保型性に優れたフラワーペーストとすることができる。混合比(A)/(B)が20/80より小さいと食感の滑らかさが低下する場合があり、70/30より大きいと保型性が低下する場合がある。ワキシーコーンスターチ、タピオカ澱粉、うるち米澱粉及びさつまいも澱粉からなる澱粉(A)群の中では、入手しやすさやコストから、ワキシーコーンスターチが好ましい。
上記例示の澱粉以外にも、本発明の効果を損なわない範囲で、例えばコーンスターチ、馬鈴薯澱粉、小麦澱粉など、およびそれらの酸処理や漂白処理、湿熱加熱処理といった物理的又はアミラーゼ等により酵素的に処理を加えた物などを用いることができる。これらの澱粉の含有量はフラワーペースト中1質量%未満とするのが好ましい。なお、これらの澱粉は、上記澱粉(A)にも、澱粉(B)にも含めず、また、上述の澱粉の含有量にも含めない。例えば小麦澱粉を用いる場合、フラワーペーストに含まれる小麦由来の澱粉量が上記範囲内となるように小麦粉を使用すればよい。
本発明で使用する寒天とはテングサ(天草)、オゴノリなどの紅藻類の粘液質を凍結、乾燥したものである。本発明で使用可能な寒天の原料は特に限定されず、1種の原料を使用しても、また2種以上の原料を組み合わせて使用してもよい。前記寒天の含有量はフラワーペースト全体中0.05〜0.5質量%である。寒天の含有量はフラワーペースト全体中0.08〜0.3質量%であるのが好ましく、0.1〜0.25質量%であるのがより好ましい。寒天の含有量が0.05質量%より少ないと、フラワーペーストの耐熱性が低下する場合があり、0.5質量%より多いと滑らかさが低下する場合がある。なお寒天には、粉末寒天、フレーク寒天、固形寒天、角寒天、糸寒天等の形態があるが、本発明ではいずれの形態の寒天を使用してもよい。
前記寒天としてはゲル強度が30〜90g/cmであるものを用いるのが好ましく、35〜85g/cmがより好ましく、40〜80g/cmが更に好ましい。寒天のゲル強度が30g/cmより小さいとフラワーペーストの保型性と耐熱性が低下する場合があり、90g/cmより大きいと滑らかさが低下したり、口溶けが悪化したりする場合がある。上記ゲル強度は、JIS K8263-1994の規定に準拠して測定した値である。
本発明のフラワーペーストに使用できる油脂としては特に限定はなく、食用油脂であればいずれも使用できる。具体的には、菜種油、コーン油、オリーブ油、パーム油、ひまわり油、サフラワー油、大豆油、カノーラ油等の植物油、並びに牛脂、ラード、魚油、乳脂等の動物油、これらを水素添加した硬化油、エステル交換したウムエス油、分別精製した分別油等の各種加工油脂が挙げられ、これらの油脂からなる群より選ばれる少なくとも1種を用いることができる。前記油脂の含有量はフラワーペースト全体中15〜30質量%である。油脂の含有量はフラワーペースト全体中18〜27質量%であるのが好ましく、20〜25質量%がより好ましい。油脂の含有量が15質量%より少ないと糖類の濃度を一定に調整するために糖類の使用量が多くなり、フラワーペーストをパン等と一緒に食した際に甘くなりすぎたり、滑らかさが劣ったりする場合があり、30質量%より多いとフラワーペースト製造時に油脂分離が発生したり、口溶けが悪化する場合がある。
なおフラワーペースト中の油脂量は仕込み量を元に算出してもよく、またJIS K0102の規定に従って測定することもできる。より詳細には、ヘキサン等の溶媒を用いてフラワーペーストに含まれる油脂を溶解、抽出した後、液相部を加熱(約80℃)してヘキサンを揮発させたときに残留する成分の量を油脂量とする。但し、フラワーペーストが後述するその他の原料を含む場合、JIS K0102の規定により求められる油脂量にはその他の成分に由来する油溶性成分が含まれることがある。
本発明のフラワーペーストは、フラワーペースト全体中35〜50質量%の水分を含む。ここで水分とは、フラワーペーストに水として添加されるもののみならず、後述する糖類やその他の原料に付随して本発明のフラワーペーストに添加される水分も含む。本発明のフラワーペーストに含まれる水分の含有量は40〜50質量%であるのが好ましく、45〜50質量%がより好ましい。水分の含有量が35質量%より少ないとフラワーペーストの口溶けが悪化する場合があり、50質量%より多いと衛生的な日持ちが悪化したり、フラワーペーストの粘度が低下して保型性や作業性に劣ったりする場合がある。フラワーペースト中の水分量は仕込み量を元に算出してもよく、また食品衛生検査指針に記載される常圧乾燥法により測定してもよい。
前記糖類としては、単糖類、二糖類、多糖類、糖アルコールなどに該当するブドウ糖、果糖、ショ糖、麦芽糖、オリゴ糖やそれらの還元糖などを使用することができる。前記糖類の含有量は、フラワーペースト全体中19〜34質量%(乾燥重量。以下同様)である。糖類の含有量はフラワーペースト全体中20〜30質量%であるのが好ましく、20〜25質量%であるのがより好ましい。糖類の含有量が19質量%より少ないと衛生的な日持ちが悪化する場合があり、34質量%より多いとパン等と一緒に食した際に甘すぎる場合がある。ここで「乾燥重量」とは、上記糖類に通常含まれる水分を除いた質量を意味する。また、乾燥重量は糖類の製造メーカーの公称値や、仕込み量を元に算出してもよい。
本発明のフラワーペーストに使用できるその他の原料としては、卵黄、卵白などの液状品や粉末品、加糖品、さらにはそれらを酵素処理などの加工処理したものなどが挙げられる。また、牛乳、クリーム、生クリーム、バター、加糖練乳、無糖練乳、脱脂濃縮乳、全粉乳、脱脂粉乳、バターミルクパウダー、ホエーたんぱく質濃縮物(WPC)、チーズなどの乳製品、さらにはそれらに酵素処理などの加工処理したもの、その他にも、乳清ミネラル、ココアパウダー、カカオマス、チョコレート、バニラビーンズ、緑茶加工品、紅茶加工品、コーヒーエキス、栗加工品、さつま芋加工品、大豆加工品、レモンなどのフルーツ果汁、フルーツ加工品、はちみつ、乳酸菌スターター、食塩、洋酒なども使用できる。
本発明のフラワーペーストは、加工澱粉、増粘剤、保存料、日持ち向上剤及びpH調整剤の内、指定添加物および既存添加物に該当するものを含まない。本発明によれば、これらの食品衛生法上の添加物を含まなくても、老化し難く、保型性、及び耐熱性を有し、また口溶けや滑らかさと言った食感に優れ、且つ衛生的で日持ちに優れたフラワーペーストを提供できる。ここで指定添加物および既存添加物とは、食品衛生法第4条2項で定義された食品添加物に該当するものであり、より詳細には本発明における「指定添加物」とは食品衛生法施行規則第12条に基づく規則別表第1(平成26年11月17日改正)に収載された物質であり、「既存添加物」とは既存添加物名簿収載品目リスト(公益財団法人 日本食品化学研究振興財団、最終改正 平成26年1月30日)に収載された物質をいう。
前記加工澱粉としては、アセチル化アジピン酸架橋デンプン、アセチル化酸化デンプン、アセチル化リン酸架橋デンプン、オクテニルコハク酸デンプンナトリウム、酢酸デンプン、酸化デンプン、ヒドロキシプロピル化リン酸架橋デンプン、ヒドロキシプロピルデンプン、リン酸モノエステル化リン酸架橋デンプン、リン酸化デンプン、及びリン酸架橋デンプンなどが例示できる。
前記増粘剤としては、スクシノグリカン、アマシードガム、アラビノガラクタン、アルギン酸、ウェランガム、エレミ樹脂、ガティガム、カードラン、カシアガム、カラギナン、カラヤガム、カロブビーンガム、キサンタンガム、キチン、キトサン、グァーガム、グァーガム酵素分解物、グルコサミン、サイリウムシードガム、サバクヨモギシードガム、ジェランガム、タマリンドシードガム、タラガム、トラガントガム、トロロアオイ、納豆菌ガム、ファーセレラン、フクロノリ抽出物、プルラン、ペクチン、マクロホモプシスガム、モモ樹脂、ラムザンガム、レバン、エステルガム、アラビアガム、酵母細胞壁、デキストラン、及び微小繊維状セルロースなどが例示できる。
前記保存料としては、カワラヨモギ抽出物、しらこたん白抽出物、ツヤプリシン(抽出物)、ペクチン分解物、ε-ポリリシン、亜硫酸ナトリウム、安息香酸ナトリウム、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、デヒドロ酢酸ナトリウム、パラオキシ安息香酸ブチル、及びプロピオン酸などが例示できる。
前記日持ち向上剤としては、グリシン、グリセリン脂肪酸エステル(中鎖脂肪酸に限る)、酢酸ナトリウム、チアミンラウリル硫酸塩、カンゾウ油性抽出物、キトサン、モウソウチク抽出物、リゾチーム、及びローズマリー抽出物などが例示できる。
前記pH調整剤としては、クエン酸、グルコン酸、コハク酸、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、二酸化炭素、及び乳酸などが例示できる。
本発明のフラワーペーストは老化しにくく、耐離水性、保型性及び耐熱性が良好で、また甘すぎず滑らかな食感と良好な充填適性を有し、さらに衛生的な日持ちに優れており、焼き込み用として好適に用い得る。従って、本発明のフラワーペーストは、菓子及びパンのトッピングやフィリングとしてそのまま使用してもよいが、焼き込み用として、トッピングやフィリングしたパンや菓子を焼成することで本発明の効果をより享受することができる。
本発明のフラワーペーストの製造方法について、以下に例示する。
まず、澱粉(澱粉(A)及び(B))、寒天、糖類その他水溶性の原料を水に均一に分散、溶解し、加熱して水相部を調製する。加熱温度は特に限定されず、上記原料が溶解する温度であればよい。別途油脂を加熱して融解し、ここにその他の油溶性原料を添加して溶解し、油相部を調製する。なお、油脂が液体の場合はそのまま使用してもよい。水相部を攪拌しながら、調製した油相部を添加し、十分に攪拌して原料混合物とし、これを予備乳化する。ついで、予備乳化した原料混合物を、常法によりホモジナイザー等で均質化処理し、加熱冷却装置等を用いて一般的な条件で加熱処理(殺菌)した後、冷却すれば、本発明のフラワーペーストが得られる。
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はもとより下記実施例によって制限を受けるものではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも勿論可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。なお、実施例において「部」や「%」は質量基準である。
<物性評価方法>
(耐離水性)
実施例及び比較例で得られたフラワーペースト1000gをピローフィルムに充填し、5℃の冷蔵庫で30日間保存した後、フラワーペーストからドリップした糖液をティッシュ等で吸い取り、吸い取れた糖液の質量X(g)を測定し、離水率(%)=X/1000×100を算出し、以下の基準で耐離水性を評価した。離水率が小さいほど、フラワーペーストが老化し難いものであることを示す。
5点:離水がない(離水率=0.5質量%未満)。
4点:殆ど離水がない(離水率=0.5質量%以上1.1質量%未満)。
3点:やや離水があるが、商品性は問題ない(離水率=1.1質量%以上1.5質量%未満)。
2点:離水があり、商品性に問題がある(離水率=1.5質量%以上1.9質量%未満)。
1点:非常に離水があり、商品性に欠ける(離水率=1.9質量%以上)。
(保型性)
実施例及び比較例で得られたフラワーペーストを15℃に温調し、それをアルミ製缶(直径5cm×高さ2cm)に充填した後に、20℃で3時間温調した。FUDOHレオメーター(株式会社レオテック製)を用いて、プランジャー:粘性用・球状径15mm、試料台速度:30cm/min、ストローク:50mmの条件で試料台を上昇させ、プランジャーが感知する最大応力(g重)をR値とし、保型性の評価値とした。この値が大きいほど、保型性が良好であることを示す。上記で測定したR値を基に、焼成前の保型性を以下のように評価した。
5点:極めて保型性があり、全くダレない(R値=42g重以上)。
4点:非常に保型性があり、ダレない(R値=35g重以上42g重未満)。
3点:保型性があり、殆どダレない(R値=28g重以上35g重未満)。
2点:若干保型性が劣り、ややダレが生じる(R値=21g重以上28g重未満)。
1点:保型性がなく、ダレが生じる(R値=21g重未満)。
(耐熱性)
実施例及び比較例で得られたフラワーペースト約10gをろ紙(東洋濾紙株式会社製「定性濾紙No.2、φ90mm」)上に約7cmの棒状になるように取り出し、上方向から見た加熱処理前の面積(A)をデジタルカメラで撮影し、その画像を解析処理ソフト「ImageJ」(フリーソフトウェア、作者:Wayne Rasband)を用いて測定した。その後、前記フラワーペーストを、ろ紙ごと、底面が10cm角で、高さが2cmの上面が解放された紙製の箱に入れ、箱の上面及び側面をアルミ箔で覆い、190℃のオーブンで10分間加熱し、前記と同様に上方向から見た加熱処理後の面積(B)を測定し、膨張率(倍)=B/Aを算出し、以下の基準で耐熱性を評価した。
5点:極めて高い耐熱性がある(膨張率=1.2未満)
4点:耐熱性がある(膨張率=1.2以上1.35未満)
3点:耐熱性があるが、ややダレる(膨張率=1.35以上1.5未満)
2点:耐熱性がやや劣る(膨張率=1.5以上1.65未満)
1点:耐熱性が劣る(膨張率=1.65以上)
<官能評価方法(甘さ、滑らかさ、口溶け)>
実施例及び比較例で得られたフラワーペーストの官能評価は、熟練した10名のパネラーにより、以下の基準により実施し、それらの平均点を評価値とした。
(甘さ)
5点:適度な甘さであり、極めて良好である。
4点:僅かに甘味が強いが、良好である。
3点:やや甘味が強いが、良好である。
2点:非常に甘味が強く、悪い。
1点:極めて甘味が強く、悪い。
(滑らかさ)
5点:ざらつきがなく、極めて滑らかさが良好である。
4点:ざらつきがなく、非常に滑らかさが良好である。
3点:ざらつきが殆どなく、滑らかさが良好である。
2点:若干ざらつきが感じられ、滑らかさにやや欠ける。
1点:ざらつきが感じられ、滑らかさに欠ける。
(口溶け)
5点:口に入れた途端に崩れ、極めて口溶けが良好である。
4点:口に入れた途端に崩れ、非常に口溶けが良好である。
3点:口に入れると崩れ、口溶けが良好である。
2点:口に入れても崩れにくく、やや口溶けが悪い。
1点:口に入れても崩れにくく口溶けが悪い。
<充填適性評価>
実施例及び比較例で得られたフラワーペーストを絞り袋に入れて絞り出した直後の保型性について評価した。
5点:絞り出した後も十分な保型性がある。
4点:絞り出した後に、僅かに軟化が観られるが十分な保型性がある。
3点:絞り出した後に、やや軟化が観られるが保型性がある。
2点:絞り出した後に、やや保型性に劣り充填しにくい。
1点:絞り出した後に、保型性が無く充填できない。
<フラワーペーストをフィリングして焼成したパンの官能評価方法>
実施例及び比較例で得られたパンを、熟練した10名のパネラーに食してもらって、以下の基準により評価してもらい、それらの平均点を評価値とした。
(フラワーペーストの甘さ)
5点:パンにマッチしており、適度な甘さで、極めて良好である。
4点:パンにマッチしているが、僅かに甘味が強いが、良好である。
3点:パンにマッチしているが、やや甘味が強いが、良好である。
2点:パンにマッチしておらず、非常に甘味が強く、悪い。
1点:パンにマッチしておらず、極めて甘味が強く、悪い。
(フラワーペーストの滑らかさ)
5点:パンにマッチしており、ざらつきがなく、極めて滑らかさが良好である。
4点:パンにマッチしており、ざらつきがなく、非常に滑らかさが良好である。
3点:パンにマッチしており、ざらつきが殆どなく、滑らかさが良好である。
2点:パンの食感に比べ、若干ざらつきが感じられ、滑らかさがやや悪い。
1点:パンの食感に比べ、ざらつきが感じられ、滑らかさに欠ける。
(フラワーペーストの口溶け)
5点:パンにマッチしており、口に入れた途端に崩れ、極めて口溶けが良好である。
4点:パンにマッチしており、口に入れた途端に崩れ、非常に口溶けが良好である。
3点:パンにマッチしており、口に入れると崩れ、口溶けが良好である。
2点:パンの食感に比べ、口に入れても崩れにくく、やや口溶けが悪い。
1点:パンの食感に比べ、口に入れても崩れにくく、口溶けが悪い。
<フラワーペーストをフィリングして焼成したパンの物性評価方法>
(フラワーペーストの耐熱性)
実施例及び比較例で得られたフラワーペーストをフィリングして焼成したパンを、室温で30分間冷却した。その後、パンからのフラワーペーストの流れ出し有無や、パンを裁断した後のパン断面のフラワーペーストの状態を目視で観察し、以下の基準で評価した。
5点:パンから流れ出ることが全くなく、極めて高い耐熱性がある。
4点:パンから流れ出ることが全くなく、耐熱性がある。
3点:パンから流れ出ることはないが、耐熱性がやや劣りダレる。
2点:パンから流れ出てしまい、耐熱性が劣る。
1点:パンから流れ出てしまい、明らかに耐熱性が劣る。
(衛生的な日持ち)
実施例及び比較例で得られたフラワーペーストをフィリングして焼成したパンを室温まで冷却した後、個包装し、30℃で保存を開始した。その後、保存日数を1日(24時間)、2日(48時間)、4日(96時間)、5日(120時間)の各日数保存した後、パン生地とフィリングしたフラワーペースト合わせて10g採取し、90gの生理食塩水に混合した。混合液1gを標準寒天培地20gに混釈し、37℃で2日間(48時間)培養してコロニー数をカウントし、その数を10倍して、以下の基準で衛生的な日持ちを評価した。
5点:製造後5日目までコロニー数は10個/g未満であった。
4点:製造後5日目でコロニー数は10個/g以上であった。
3点:製造後4日目でコロニー数は10個/g以上であった。
2点:製造後2日目でコロニー数は10個/g以上であった。
1点:製造後1日目でコロニー数は10個/g以上であった。
(実施例1)フラワーペーストの作製
表1に示す配合に従い、フラワーペーストを以下の方法にて作製した。まず、水相部の原料(澱粉、寒天、乳主原、卵、糖類、及び水)が均一になるよう攪拌、及び混合しながら混合物を50℃まで昇温し、ここに60℃に温調した菜種油を添加し、充分に攪拌して原料混合物を予備乳化した。その後、ホモゲナイザー(株式会社イズミフードマシナリ製)を用い5MPaの圧力で原料混合物を乳化した。得られた乳化液をコンサーム掻き取り式熱交換機(アルファラバル社製)で加熱温度:110℃、加熱時間:2分間の条件で殺菌した後、60℃まで冷却し、ピロー袋に充填した。その後、5℃の冷水にて室温以下に冷却しフラワーペーストを得た。
(実施例2,3、比較例1,2)フラワーペーストの作製
表1に示す配合に従い、ワキシーコーンスターチともち粉澱粉の配合量比を変えた以外は、実施例1と同様にしてフラワーペーストを作製した。
Figure 2016158613
表1から明らかなように、ワキシーコーンスターチともち粉澱粉の混合比A/B(質量比)が33/67である実施例1や20/80である実施例2では、耐離水性、保型性、耐熱性及び充填適性が極めて良好であり、甘さ、滑らかさ及び口溶けも良好であった。また、ワキシーコーンスターチともち粉澱粉の混合比A/Bが70/30である実施例3のフラワーペーストも、耐離水性が極めて良好であり、保型性、耐熱性、甘さ、滑らかさ、口溶け及び充填適性も良好であった。一方ワキシーコーンスターチともち粉澱粉の混合比A/Bが10/90である比較例1では、食感の滑らかさが悪く、口溶けが劣り、またA/Bが80/20である比較例2では、保型性や充填適性が悪く、フラワーペーストとして問題のあるものであった。
(実施例4)フラワーペーストの作製
表2に示す配合に従い、ワキシーコーンスターチをタピオカ澱粉に変えた以外は、実施例1と同様にしてフラワーペーストを作製した。
(実施例5)フラワーペーストの作製
表2に示す配合に従い、ワキシーコーンスターチをうるち米澱粉に変えた以外は、実施例1と同様にしてフラワーペーストを作製した。
(実施例6)フラワーペーストの作製
表2に示す配合に従い、ワキシーコーンスターチをさつまいも澱粉に変えた以外は、実施例1と同様にしてフラワーペーストを作製した。
(実施例7,8、比較例3,4)フラワーペーストの作製
表2に示す配合に従い、ワキシーコーンスターチともち粉澱粉の量を変えた以外は、実施例1と同様にしてフラワーペーストを作製した。
Figure 2016158613
表2から明らかなように、澱粉(A)としてワキシーコーンスターチに変えてタピオカ澱粉(実施例4)、うるち米澱粉(実施例5)又はさつまいも澱粉(実施例6)を用いても、耐離水性、保型性、耐熱性及び充填適性は極めて良好であり、滑らかさ、甘さ及び口溶けも良好であった。
また、ワキシーコーンスターチともち粉澱粉の合計量が1.1質量%である実施例7では、耐離水性が極めて良好であり、保型性、耐熱性、甘さ、滑らかさ、口溶け及び充填適性も良好であった。また、澱粉(A)、(B)の含有量を4.5質量%とした実施例8では、耐離水性、保型性、耐熱性及び充填適性は極めて良好であり、甘さ、滑らかさ及び口溶けも良好であった。一方、澱粉(A)、(B)の合計量を0.6質量%とした比較例3では充填適性が極めて悪く、保型性及び耐熱性も悪く、澱粉(A)、(B)の合計量を5.0質量%とした比較例4では、口溶けが劣り、フラワーペーストとして問題のあるものであった。
(実施例9及び10、比較例5及び6)フラワーペーストの作製
表3に示す配合に従い、寒天の量を変えたこと以外は、実施例1と同様にしてフラワーペーストを作製した。
(比較例7)フラワーペーストの作製
表3に示す配合に従い、液体成分である牛乳、卵黄、及び水飴を混合し、ここに固形成分として上白糖、澱粉、及びグリシンを加えてさらに混合しながら混合液を60℃まで加温した。ついで、得られた混合液をTKホモミキサー(特殊機械製、以下同様)にて5000rpmで5分間撹拌混合して均質化した。均質化した混合液を沸騰浴中で10分間加熱した後、60℃まで撹拌しながら冷却しフラワーペースト(カスタードクリーム)を作製した。
(比較例8)
表3に示す配合に従い、水、水飴、卵黄、及び菜種油を混合、撹拌しながら、ここに砂糖、脱脂粉乳、WPC、乾燥卵白、デキストリン、脱アシル型ジェランガム、及び寒天を加えて溶解した。混合液を50℃まで昇温させた後、TKホモミキサーにて8000rpmで5分間撹拌し、均質化したのち、90℃10分間加熱撹拌し、香料を添加した。次いで水で全量が100%となるように調整し、容器に充填後、冷却することによりフラワーペースト(フィリング材)を作製した。
Figure 2016158613
表3から明らかなように、寒天の量を0.05質量%とした実施例9では、耐離水性が極めて良好であり、保型性、耐熱性、甘さ、滑らかさ、口溶け及び充填適性も良好で、寒天の量を0.5質量%とした実施例10では、保型性、耐熱性及び充填適性が極めて良好であり、耐離水性、甘さ、滑らかさ及び口溶けも良好であった。一方、寒天の量を0.01質量%とした比較例5では耐熱性が悪く、寒天の量を1.0質量%とした比較例6では、滑らかさが悪く、口溶けが劣り、フラワーペーストとして問題のあるものであった。
また、加工澱粉は含むものの、澱粉A(ワキシーコーン)、油脂、及び寒天を使用しなかった比較例7のフラワーペーストは耐熱性が悪く、また澱粉(A)、(B)を使用しなかった比較例8のフラワーペーストは、耐離水性、耐熱性及び滑らかさが悪く、フラワーペーストとして問題のあるものであった。
(実施例11及び12、比較例9及び10)フラワーペーストの作製
表4に示す配合に従い、油脂の量を変え、澱粉、糖類及び水の添加量で全体量を調整した以外は実施例1と同様にしてフラワーペーストを作製した。
Figure 2016158613
表4から明らかなように、油脂の量を15質量%とした実施例11では、耐離水性、耐熱性及び充填適性が極めて良好で、また保型性、甘さ、滑らかさ及び口溶けも良好であった。また、油脂の量を30質量%とした実施例12でも、耐離水性、保型性、耐熱性及び充填適性が極めて良好で、甘さ、滑らかさ及び口溶けが良好であった。一方、油脂の量を10質量%では(比較例9)、滑らかさが悪く、フラワーペーストとして問題のあるものとなることが分かる。また、油脂の量35質量%の場合には(比較例10)油分離を起こしてフラワーペーストを作製できなかった。
(実施例12,13、比較例11,12)フラワーペーストの作製
表5に示す配合に従い、油脂の量を変え、澱粉、糖類及び水の添加量で全体量を調整した以外は実施例1と同様にしてフラワーペーストを作製した。
Figure 2016158613
表5から明らかなように、糖類の量を19質量%とした実施例12では、耐離水性、保型性、耐熱性及び充填適性が極めて良好で、甘さ、滑らかさ及び口溶けが良好であった。また、糖類の量が32質量%である実施例13でも、耐離水性、耐熱性及び充填適性が極めて良好で、保型性、甘さ、滑らかさ及び口溶けが良好であった。これに対して、糖類の量が18質量%である比較例11は、耐離水性、保型性、耐熱性及び充填適性が極めて良好で、甘さ、滑らかさ及び口溶けが良好であったが、後述の通り衛生的な日持ちに劣るものであった(表11、比較例22参照)。一方、糖類の量を35質量%とした比較例12では、甘すぎ、また口溶けも劣り、フラワーペーストとして問題のあるものであった。
(実施例14〜16、比較例13,14)パンの作製
表6の配合に従って、ミキサーボールにショートニング以外の全材料を入れ、低速2分間、中高速3分間ミキシングした。ここにショートニングを加えさらに低速2分間、中高速5分間ミキシングし、生地捏ね上げ温度は26℃とした。フロアタイムを28℃で60分間取った後、生地を分割し、ベンチタイムを20分間取った。生地100質量部に対し、実施例1〜3及び比較例1及び2で得たフラワーペースト67質量部を包餡機で包餡し、38℃のホイロに50分間入れた後、200℃のオーブンで10分間焼成してパンを得た。表7に各種評価結果を示す。
Figure 2016158613
Figure 2016158613
表7から明らかなように、実施例14及び15のパンで使用したフラワーペーストは焼成後も耐熱性に極めて優れ、衛生的な日持ちも全く問題なく、甘さ、滑らかさ及び口溶けも良好であった。また、実施例16のパンに使用したフラワーペーストは、衛生的な日持ちに全く問題がなく、また耐熱性、甘さ、滑らかさ及び口溶けも良好であった。これに対して、焼成前から滑らかさ、口溶けに劣るフラワーペーストを使用した比較例13のパンは、口溶け及び滑らかさが悪く、耐熱性に劣るフラワーペースト(比較例2)を使用した比較例14では焼成後の耐熱性もやはり悪く、フラワーペーストをフィリングしたパンとしては問題のあるものであった。
(実施例17〜21、比較例15,16)パンの作製
表8の配合に従って、フラワーペーストを実施例4〜8、比較例3及び4で得られたものに変えた以外は、実施例14と同様にしてパンを得た。
Figure 2016158613
表8から明らかなように、実施例17〜19のパンは焼成後も耐熱性に極めて優れ、衛生的な日持ちも全く問題なく、甘さ、滑らかさ及び口溶けも良好であった。この結果より、ワキシーコーンスターチ以外の澱粉(A)を使用しても、焼成後に良好な特性を維持できるフラワーペーストが得られることが分かる。また、澱粉(A)の量を0.35質量%(フラワーペースト100質量%中)にまで低減した場合であっても、焼成後に、良好な耐熱性、甘さ、滑らかさ及び口溶けを維持し、また衛生的な日持ちにも問題のないフラワーペーストが得られることが分かる(実施例20)。また、澱粉(A)の量が1.5質量%であるフラワーペーストを使用した実施例21のパンも、焼成前と同程度の耐熱性、甘さ、滑らかさ及び口溶けを有しており、また、衛生的な日持ちも全く問題のないものであった。これに対して比較例15で使用したフラワーペースト(比較例3)は充填適性が極めて悪いものであったため、パンを作製することができなかった。比較例16のパンは口溶けに劣るフラワーペースト(比較例4)を使用した例であるが、焼成後の口溶けがさらに劣化しており、フラワーペーストをフィリングしたパンとしては問題のあるものであった。
(実施例22,23、比較例17〜20)パンの作製
表9の配合に従って、フラワーペーストを実施例9及び10、比較例5〜8で得られたものに変えた以外は、実施例14と同様にしてパンを得た。
Figure 2016158613
表9から明らかなように、実施例22のパンは衛生的な日持ちに全く問題がなく、耐熱性、甘さ、滑らかさ及び口溶けも良好であった。また実施例23のパンに使用したフラワーペーストは焼成後も耐熱性に極めて優れ、衛生的な日持ちに全く問題がなく、甘さ、滑らかさ及び口溶けも良好であった。一方、比較例17のパンに使用したフラワーペースト(比較例5)は元々耐熱性に劣るものであったところ、焼成後の耐熱性も劣るものであった。比較例18では口溶け、滑らかさに劣るフラワーペースト(比較例6)を使用した例であるが、焼成後の口溶け、滑らかさがさらに劣っていた。比較例19は耐熱性に劣るフラワーペースト(比較例7)を使用した例であるが、焼成後の耐熱性が悪く、またフラワーペーストに含まれる糖類が少なく、水分量が多かったため衛生的な日持ちも悪かった。比較例20のパンに使用したフラワーペーストは耐熱性と滑らかさが悪かった。したがって、比較例17〜20で作製したパンはフラワーペーストをフィリングしたパンとしては問題のあるものであった。
(実施例24,25、比較例21)パンの作製
表10の配合に従って、フラワーペーストを実施例11及び12、比較例9で得られたものに変えた以外は、実施例14と同様にしてパンを得た。
Figure 2016158613
表10から明らかなように、実施例24及び25のパンは、耐熱性に極めて優れ、衛生的な日持ちも全く問題なく、甘さ、滑らかさ及び口溶けも良好であった。一方、比較例21のパンは油脂量の少ないフラワーペースト(比較例9)を使用した例であるが、焼成後も滑らかさに劣り、フラワーペーストをフィリングしたパンとしては問題のあるものであった。
(実施例25及び26、比較例22及び23)パンの作製
表11の配合に従って、フラワーペーストを実施例12及び13、比較例11及び12で得られたものに変えた以外は、実施例14と同様にしてパンを得た。
Figure 2016158613
表11から明らかなように、実施例25及び26のパンは、耐熱性に極めて優れ、衛生的な日持ちも全く問題なく、甘さ、滑らかさ及び口溶けが良好であった。一方、比較例22のパンはフラワーペーストに含まれる糖類の量が少なかったため衛生的な日持ちが悪く、比較例23のパンは甘みが強すぎて口溶けにも劣り、フラワーペーストをフィリングしたパンとしては問題のあるものであった。

Claims (4)

  1. 焼き込み用フラワーペーストであって、
    フラワーペースト全体中、(A)ワキシーコーンスターチ、タピオカ澱粉、うるち米澱粉及びさつまいも澱粉からなる群より選ばれる少なくとも一種と、(B)もち粉澱粉とを合計で1.0〜4.5質量%含み、且つ(A)と(B)の配合比(A)/(B)が質量比で20/80〜70/30であり、
    寒天0.05〜0.5質量%、油脂15〜30質量%、水分35〜50質量%、糖類19〜34質量%(乾燥質量)を含有し、
    加工澱粉、増粘剤、保存料、日持ち向上剤及びpH調整剤の内、指定添加物又は既存添加物に該当するものを含まないことを特徴とする焼き込み用フラワーペースト。
  2. 寒天のゲル強度が30〜90g/cmである請求項1記載の焼き込み用フラワーペースト。
  3. 加工澱粉、増粘剤、保存料、日持ち向上剤及びpH調整剤の内、指定添加物および既存添加物に該当するものを含まないフラワーペーストの製造方法であって、
    フラワーペースト全体中、(A)ワキシーコーンスターチ、タピオカ澱粉、うるち米澱粉及びさつまいも澱粉からなる群より選ばれる少なくとも一種と、(B)もち粉澱粉とを質量比(A)/(B)が20/80〜70/30、且つその合計量が1.0〜4.5質量%となるよう水に溶解し、さらに寒天0.05〜0.5質量%、糖類19〜34質量%(乾燥質量)を水に溶解して加熱して調製した水相に、油脂15〜30質量%を含む油相部を混合して混合物を得る工程と、該混合物を乳化処理及び加熱処理する工程とを含むことを特徴とする焼き込み用フラワーペーストの製造方法。
  4. 請求項1又は2に記載の焼き込み用フラワーペーストを用いてなるパン及び菓子。
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