JP2016157772A - 電子デバイスの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】シリコン単結晶基板等の結晶性基板に形成されるアライメントマークを用いて、容易に相対位置の確認を行うことができる電子デバイスの製造方法を提供する。【解決手段】シリコン単結晶基板29′の第1の面に形成された第1のアライメントマーク41と、第1の面とは異なる第2の面に形成された第2のアライメントマーク43と、を重ねあわせて、当該第1のアライメントマーク41と第2のアライメントマーク43との位置ずれを確認する工程を含む記録ヘッド3の製造方法であって、シリコン単結晶基板29′の第1の面にアモルファス層40を製膜する成膜工程と、アモルファス層40をエッチングすることにより、当該アモルファス層40に第1のアライメントマーク41を形成するエッチング工程と、を含むこと。【選択図】図4
Description
本発明は、基板上に圧電素子等の素子や配線が積層された電子デバイスの製造方法に関するものである。
電子デバイスは、例えば、電圧の印加により変形する圧電素子等の駆動素子を備えたデバイスであり、各種の装置やセンサー等に応用されている。例えば、液体噴射装置では、電子デバイスを利用した液体噴射ヘッドから各種の液体を噴射している。この液体噴射装置としては、例えば、インクジェット式プリンターやインクジェット式プロッター等の画像記録装置があるが、最近ではごく少量の液体を所定位置に正確に着弾させることができるという特長を生かして各種の製造装置にも応用されている。例えば、液晶ディスプレイ等のカラーフィルターを製造するディスプレイ製造装置,有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイやFED(面発光ディスプレイ)等の電極を形成する電極形成装置,バイオチップ(生物化学素子)を製造するチップ製造装置に応用されている。そして、画像記録装置用の記録ヘッドでは液状のインクを噴射し、ディスプレイ製造装置用の色材噴射ヘッドではR(Red)・G(Green)・B(Blue)の各色材の溶液を噴射する。また、電極形成装置用の電極材噴射ヘッドでは液状の電極材料を噴射し、チップ製造装置用の生体有機物噴射ヘッドでは生体有機物の溶液を噴射する。
上記の液体噴射ヘッドに使用される電子デバイスは、ノズルに連通する圧力室が形成された圧力室形成基板、圧力室に圧力変動を生じさせる圧電素子、及び、圧力室に液体を供給する連通口が形成された連通基板等が積層されている。これらの基板等は、アライメントマークにより相対位置が確認されて積層されている。例えば、圧力室形成基板側に設けられたアライメントマークと、連通基板側に設けられたアライメントマークとがカメラ等により撮影されて、これらの相対位置が確認される。また、圧力室形成基板の一方面側に振動板を介して積層される圧電素子等と、当該圧力室形成基板に形成される圧力室等との相対位置もアライメントマークにより、これらの相対位置が確認される。このようなアライメントマークは、連通基板や圧力室形成基板等となる基板自体をウェットエッチングすることにより作成される(例えば、特許文献1)。
ところで、圧力室形成基板や連通基板等は、製造上の理由から表面の結晶面方位が(110)面であるシリコン単結晶基板が用いられる。このようなシリコン単結晶基板にアライメントマークに対応したレジストパターンを形成した後、KOHを成分とする溶液等を用いてウェットエッチングしてアライメントマークを形成すると、結晶面或いはシリコンの結晶性に起因する面が形成される。このため、アライメントマークは、例えば、基板の表面から見て4辺が結晶面からなる平行四辺形状に形成される。すなわち、アライメントマークは、隣り合う辺同士が直角に交わらない形状となる。このようなアライメントマークを重ね合わせてそのずれ量を求める場合、直交座標に沿って距離を測定するため、この測定結果からずれ量を求める計算が必要になっていた。
具体的には、図5(a)に示すように、一方の面に形成された平行四辺形状の第1のアライメントマーク91と、他方の面に第1のアライメントマーク91よりも大きく且つ第1のアライメントマーク91と相似形に形成された第2のアライメントマーク92と、を重ねる場合、両アライメントマークの中心位置が重なるところが基準位置となる。例えば、図5(b)に示すように、第1のアライメントマーク91が直交座標におけるx方向(図5(b)における左右方向)に平行にずれた場合、x方向に対して交わる方向に延びる第1のアライメントマーク91の辺と、これに対応する第2のアライメントマーク92の辺との間隔D2を測定し、基準位置であった場合の両辺の間隔D1との差を求めることで、x方向のずれ量を求めることができる。ところが、図5(c)に示すように、第1のアライメントマーク91が直交座標におけるx方向(図5(c)における左右方向)及び直交座標におけるy方向(図5(c)における上下方向)にずれた場合、x方向に対して交わる方向に延びる第1のアライメントマーク91の辺と、これに対応する第2のアライメントマーク92の辺との間隔D3を測定し、基準位置であった場合の間隔D1との差を求めたとしても、x方向のずれ量を求めることができない。この場合、y方向のずれ量と上記した間隔D3とから三角関数を用いて、y方向にずれていなかった場合の第1のアライメントマーク91の辺と、これに対応する第2のアライメントマーク92の辺との間隔D3′を計算し、当該間隔D3′から基準位置であった場合の両辺の間隔D1との差を求めることで、x方向のずれ量を導くことができる。このように、アライメントマークが平行四辺形状等であった場合、アライメントマーク同士のずれ量を求める計算が必要になり、アライメントマークを用いた相対位置の確認が煩雑になっていた。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、シリコン単結晶基板等の結晶性基板に形成されるアライメントマークを用いて、容易に相対位置の確認を行うことができる電子デバイスの製造方法を提供することにある。
本発明の電子デバイスの製造方法は、上記目的を達成するために提案されたものであり、結晶性基板の第1の面に形成された第1のアライメントマークと、第1の面とは異なる第2の面に形成された第2のアライメントマークと、を重ねあわせて、当該第1のアライメントマークと第2のアライメントマークとの位置ずれを確認する工程を含む電子デバイスの製造方法であって、
前記結晶性基板の前記第1の面にアモルファス層を製膜する成膜工程と、
前記アモルファス層をエッチングすることにより、当該アモルファス層に第1のアライメントマークを形成するエッチング工程と、を含むことを特徴とする。
なお、第2の面には、第1の面が形成された結晶性基板と同一の基板に設けられる場合のほか、当該結晶性基板とは異なる基板に設けられる場合も含まれる。
前記結晶性基板の前記第1の面にアモルファス層を製膜する成膜工程と、
前記アモルファス層をエッチングすることにより、当該アモルファス層に第1のアライメントマークを形成するエッチング工程と、を含むことを特徴とする。
なお、第2の面には、第1の面が形成された結晶性基板と同一の基板に設けられる場合のほか、当該結晶性基板とは異なる基板に設けられる場合も含まれる。
この方法によれば、第1のアライメントマークの形状を任意に設定できるため、第1のアライメントマークと第2のアライメントマークとの位置ずれを容易に確認できるようになる。
また、上記方法において、前記エッチングは、等方性エッチングであることが望ましい。
この方法によれば、ウェットエッチングによりエッチングの時間を短縮することができる。これにより、電子デバイスの製造時間を短縮することができる。
さらに、上記方法において、前記エッチングは、異方性エッチングであることが望ましい。
この方法によれば、ドライエッチングにより第1のアライメントマークの加工精度を向上させることができる。これにより、第1のアライメントマークと第2のアライメントマークとの位置ずれをより正確に確認できるようになる。
また、上記各方法において、前記第1のアライメントマーク及び前記第2のアライメントマークは、正方形状又は長方形状に形成されたことが望ましい。
この方法によれば、第1のアライメントマークと第2のアライメントマークとの位置ずれが確認し易くなる。
以下、本発明を実施するための形態を、添付図面を参照して説明する。なお、以下に述べる実施の形態では、本発明の好適な具体例として種々の限定がされているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの態様に限られるものではない。また、以下においては、本発明に係る電子デバイスとして、液体噴射装置の一種であるインクジェット式プリンター(以下、プリンター)に搭載される液体噴射ヘッドの一種であるインクジェット式記録ヘッド(以下、記録ヘッド)を例に挙げて説明する。
プリンター1の構成について、図1を参照して説明する。プリンター1は、記録紙等の記録媒体2(着弾対象の一種)の表面に対してインク(液体の一種)を噴射して画像等の記録を行う装置である。このプリンター1は、記録ヘッド3、この記録ヘッド3が取り付けられるキャリッジ4、キャリッジ4を主走査方向に移動させるキャリッジ移動機構5、記録媒体2を副走査方向に移送する搬送機構6等を備えている。ここで、上記のインクは、液体供給源としてのインクカートリッジ7に貯留されている。このインクカートリッジ7は、記録ヘッド3に対して着脱可能に装着される。なお、インクカートリッジがプリンターの本体側に配置され、当該インクカートリッジからインク供給チューブを通じて記録ヘッドに供給される構成を採用することもできる。
上記のキャリッジ移動機構5はタイミングベルト8を備えている。そして、このタイミングベルト8はDCモーター等のパルスモーター9により駆動される。したがってパルスモーター9が作動すると、キャリッジ4は、プリンター1に架設されたガイドロッド10に案内されて、主走査方向(記録媒体2の幅方向)に往復移動する。キャリッジ4の主走査方向の位置は、位置情報検出手段の一種であるリニアエンコーダー(図示せず)によって検出される。リニアエンコーダーは、その検出信号、即ち、エンコーダーパルス(位置情報の一種)をプリンター1の制御部に送信する。
また、キャリッジ4の移動範囲内における記録領域よりも外側の端部領域には、キャリッジ4の走査の基点となるホームポジションが設定されている。このホームポジションには、端部側から順に、記録ヘッド3のノズル面(ノズルプレート21)に形成されたノズル22を封止するキャップ11、及び、ノズル面を払拭するためのワイピングユニット12が配置されている。
次に記録ヘッド3について説明する。図2は、記録ヘッド3の構成を説明する断面図である。本実施形態における記録ヘッド3は、図2に示すように、アクチュエーターユニット14および流路ユニット15が積層された状態でヘッドケース16に取り付けられている。なお、便宜上、各部材の積層方向を上下方向として説明する。
ヘッドケース16は、合成樹脂製の箱体状部材であり、その内部には各圧力室30にインクを供給するリザーバー18が形成されている。このリザーバー18は、複数並設された圧力室30に共通なインクが貯留される空間であり、ノズル列方向に沿って形成されている。なお、ヘッドケース16の上方には、インクカートリッジ7側からのインクをリザーバー18に導入するインク導入路(図示せず)が形成されている。また、ヘッドケース16の下面側には、当該下面からヘッドケース16の高さ方向の途中まで直方体状に窪んだ収容空間17が形成されている。後述する流路ユニット15がヘッドケース16の下面に位置決めされた状態で接合されると、連通基板24上に積層されたアクチュエーターユニット14(圧力室形成基板29、封止板33等)が収容空間17内に収容されるように構成されている。
ヘッドケース16の下面に接合される流路ユニット15は、連通基板24、ノズルプレート21およびコンプライアンスシート28を有している。連通基板24は、シリコン製の板材であり、本実施形態では、表面(上面および下面)の結晶面方位を(110)面としたシリコン単結晶基板から作製されている。この連通基板24には、図2に示すように、リザーバー18と連通し、各圧力室30に共通なインクが貯留される共通液室25と、この共通液室25を介してリザーバー18からのインクを各圧力室30に個別に供給する個別連通路26とが、エッチングにより形成されている。また、連通基板24の各ノズル22に対応する位置には、連通基板24の板厚方向を貫通したノズル連通路27が形成されている。このノズル連通路27によって、圧力室30とノズル22とが連通する。本実施形態では、個別連通路26が圧力室30の長手方向における一側の端部と連通し、ノズル連通路27が圧力室30の長手方向における他側の端部と連通する。
ノズルプレート21は、連通基板24の下面(圧力室形成基板29とは反対側の面)に接合されたシリコン製の基板(例えば、シリコン単結晶基板)である。本実施形態のノズルプレート21は、連通基板24におけるコンプライアンスシート28(共通液室25)から外れた領域に接合されている。このノズルプレート21には、複数のノズル22が直線状(列状)に開設されている。この列設された複数のノズル22(ノズル列)は、一端側のノズル22から他端側のノズル22までドット形成密度に対応したピッチ(例えば600dpi)で、主走査方向に直交する副走査方向に沿って等間隔に設けられている。
コンプライアンスシート28は、連通基板24のノズルプレート21が接合された領域から外れた領域であって、共通液室25に対応する領域に、当該共通液室25となる空間の下面側の開口を塞ぐ状態で接合されている。このコンプライアンスシート28は、可撓性を有する可撓膜28aと、この可撓膜28aが上面に固定される硬質な固定板28bと、からなる。固定板28bの共通液室25に対応する位置には、可撓膜28aの可撓変形が阻害されないように開口が設けられている。これにより、共通液室25の下面側は、可撓膜28aのみによって区画されたコンプライアンス部となる。このコンプライアンス部によって、リザーバー18および共通液室25内のインクに発生する圧力変化を吸収することができる。
アクチュエーターユニット14は、図2に示すように、圧力室形成基板29、振動板31、圧電素子32および封止板33が積層されてユニット化されている。なお、アクチュエーターユニット14は、収容空間17内に収容可能なように、収容空間17よりも小さく形成されている。
圧力室形成基板29は、シリコン製の硬質な板材であり、本実施形態では、表面(上面および下面)の結晶面方位を(110)面としたシリコン単結晶基板から作製されている。この圧力室形成基板29には、エッチングにより一部が板厚方向に完全に除去されて、圧力室30となるべき空間が形成されている。この空間、すなわち圧力室30は、各ノズル22に対応して複数並設されている。各圧力室30は、ノズル列方向に直交する方向に長尺な空部であり、長手方向の一側の端部に個別連通路26が連通し、他側の端部にノズル連通路27が連通している。
振動板31は、弾性を有する薄膜状の部材であり、圧力室形成基板29の上面(連通基板24側とは反対側の面)に積層されている。この振動板31によって、圧力室30となるべき空間の上部開口が封止されている。換言すると、振動板31によって、圧力室30が区画されている。この振動板31における圧力室30(詳しくは、圧力室30の上部開口)に対応する部分は、圧電素子32の撓み変形に伴ってノズル22から遠ざかる方向あるいは近接する方向に変位する変位部として機能する。すなわち、振動板31における圧力室30の上部開口に対応する領域が、撓み変形が許容される駆動領域となる。一方、振動板31における圧力室30の上部開口から外れた領域が、撓み変形が阻害される非駆動領域となる。なお、振動板31は、例えば、圧力室形成基板29の上面に形成された二酸化シリコン(SiO2)からなる弾性膜と、この弾性膜上に形成された酸化ジルコニウム(ZrO2)からなる絶縁体膜と、から成る。
本実施形態の圧電素子32は、所謂撓みモードの圧電素子であり、振動板31上の各圧力室30に対応する領域にそれぞれ積層されている。例えば、圧電素子32は、下電極層(個別電極)、圧電体層および上電極層(共通電極)が順次積層されてなる。このように構成された圧電素子32は、下電極層および上電極層に駆動信号(駆動電圧)が供給されると、ノズル22から遠ざかる方向あるいは近接する方向に撓み変形する。また、圧電素子32の長手方向における両側には、当該圧電素子32に駆動信号供給する配線(図示せず)が形成されている。各配線には、それぞれ対応するバンプ電極34(後述)が接合されている。
封止板33は、平板状に形成されたシリコン製の板材である。本実施形態では、表面(上面および下面)の結晶面方位を(110)面としたシリコン単結晶基板から作製されている。また、本実施形態の封止板33は、各圧電素子32を個々に駆動するための駆動回路33a(ドライバー回路)を備えている。この駆動回路33aは、例えば、封止板33となるシリコン単結晶基板(シリコンウェハ)の表面に、半導体プロセス(即ち、成膜工程、フォトリソグラフィー工程及びエッチング工程など)を用いて作成される。
そして、振動板31及び圧電素子32が積層された圧力室形成基板29と封止板33とは、バンプ電極34を介在させた状態で、接着剤35により接合されている。具体的には、図2に示すように、圧電素子32を挟んで圧力室30の長手方向の両側にバンプ電極34及び接着剤35が配置されている。これらのバンプ電極34及び接着剤35により振動板31と封止板33との間隔が保持されている。なお、この間隔は、圧電素子32の歪み変形を阻害しない程度に設定され、例えば、約5μm〜約25μmに設定されている。
このように形成された記録ヘッド3は、インクカートリッジ7からのインクをインク導入路、リザーバー18、共通液室25および個別連通路26を介して圧力室30に導入する。この状態で、駆動回路33aからの駆動信号を、バンプ電極34を介して圧電素子32に供給することで、圧電素子32を駆動させて圧力室30に圧力変動を生じさせる。この圧力変動を利用することで、記録ヘッド3はノズル連通路27を介してノズル22からインク滴を噴射する。
次に、上記した記録ヘッド3の製造方法、特に記録ヘッド3を構成する基板内に形成されたパターン同士のアライメント方法について説明する。図3はアライメントマーク41、43の構成を説明する平面図であり、図4はアライメントマーク41、43の構成を説明する断面図である。以下では、圧力室形成基板29の一方面側(振動板31側)に形成されたパターン(例えば、圧電素子32等)と、他方面側(連通基板33側)に形成されたパターン(例えば、圧力室30)との相対位置を確認するアライメントマーク41、43に注目して説明する。
まず、圧力室形成基板29となる、表面及び裏面の結晶面方位が(110)面からなるシリコン単結晶基板29′の一方面(本発明における第1の面)側に、半導体プロセスを用いて振動板31及び圧電素子32等を形成する。次に、成膜工程において、同面側に第1のアモルファス層40を製膜する。この第1のアモルファス層40としては、例えば二酸化シリコン(SiO2)からなるアモルファス層が用いられる。この状態で、第1のアモルファス層40上にレジストを塗布し、露光マスクを介して露光および現像することで、第1のアライメントマーク41に対応するレジストパターン等を形成する。そして、エッチング工程において、第1のアモルファス層40をエッチングすることにより、図4に示すように、当該第1のアモルファス層40に圧電素子32の基準となるパターンとの相対位置が確認された第1のアライメントマーク41を形成する。なお、レジストは、エッチング終了後に除去される。本実施形態では、図3に示すように、第1のアモルファス層40を正方形状に除去したパターンを第1のアライメントマーク41として用いている。また、第1のアライメントマークは、シリコン単結晶基板の圧力室形成基板が形成された領域から外れた領域に形成しても良いし、圧力室形成基板が形成された領域であって、記録ヘッドの製造及びその機能に影響を及ぼさない領域に形成しても良い。さらに、振動板自体を第1のアモルファス層とし、当該振動板に第1のアライメントマークを設けることもできる。
次に、成膜工程において、シリコン単結晶基板29′の他方面(本発明における第2の面)側に、第2のアモルファス層42を製膜する。この第2のアモルファス層42としては、第1のアモルファス層40と同様に、例えば二酸化シリコン(SiO2)からなるアモルファス層が用いられる。この状態で、第2のアモルファス層42上にレジストを塗布し、露光マスクを介して露光および現像することで、第2のアライメントマーク43及び圧力室30に対応するレジストパターンを形成する。そして、エッチング工程において、第2のアモルファス層42をエッチングすることにより、図4に示すように、当該第2のアモルファス層42に第2のアライメントマーク43を形成する。また、レジストパターンを残したまま、シリコン単結晶基板29′をエッチングすることにより、圧力室30を形成する。そして、エッチング終了後にレジストを除去する。本実施形態では、図3に示すように、第2のアモルファス層42を第1のアライメントマーク41よりも大きく且つ第1のアライメントマーク41と相似形、すなわち正方形状に除去したパターンを第2のアライメントマーク43として用いている。また、第1のアライメントマーク41の中心と第2のアライメントマーク43の中心とが重なる位置が基準位置となるように設定している。
このように、圧力室形成基板29となるシリコン単結晶基板29′の一方面側に第1のアライメントマーク41が形成され、他方面側に第2のアライメントマーク43が形成されたならば、両アライメントマーク41、43の相対位置(すなわち、重なり度合い)を確認する。例えば、赤外線等を用いてシリコン単結晶基板29′を透過させ、その透過光をカメラで撮影することで、第1のアライメントマーク41と第2のアライメントマーク43との重なり度合いを確認する。或いは、両面顕微鏡等を用いて、シリコン単結晶基板29′を両面側から撮影し、画像処理にて第1のアライメントマーク41と第2のアライメントマーク43とを重ねあわせて、その重なり度合いを確認する。ここで、第1のアライメントマーク41と第2のアライメントマーク43とは、それぞれ正方形状に形成されているため、直交座標系におけるx方向及びy方向に沿って対応する辺の距離をそれぞれ測定するだけで、第1のアライメントマーク41と第2のアライメントマーク43との相対的なずれ量を求めることができる。そして、第1のアライメントマーク41と第2のアライメントマーク43との相対的なずれ量を測定したならば、そのずれ量に応じて、露光条件等を補正する。
このように、圧力室形成基板29の両面側にパターンが形成されたならば、封止板33となるシリコン単結晶基板を接合し、その後、切断して個片化する。そして、連通基板24、ノズルプレート21等を積層して記録ヘッド3を作製する。
このように、シリコン単結晶基板29′にアモルファス層(第1のアモルファス層40及び第2のアモルファス層42)を積層し、当該アモルファス層40、42にアライメントマーク(第1のアライメントマーク41及び第2のアライメントマーク43)をエッチングにより形成したので、シリコン単結晶基板29′の結晶面方位によらずアライメントマーク41、43の形状を任意に設定できる。これにより、第1のアライメントマーク41と第2のアライメントマーク43との位置ずれ量の確認が容易になる。また、第1のアライメントマーク41及び第2のアライメントマーク43は、正方形状に形成されたので、第1のアライメントマーク41と第2のアライメントマーク43との位置ずれがより確認し易くなる。なお、第1のアライメントマーク及び第2のアライメントマークは、長方形状に形成されてもよい。その他、正方形及び長方形を組み合わせた形状や十字形状等、任意の形状に設定できる。要するに、直交する線分を含む形状であればどのようなものであってもよい。また、第1のアライメントマークと第2のアライメントマークとは、相似形に形成されなくても良い。第1のアライメントマークと第2のアライメントマークとが、それぞれ別の形状に形成されてもよい。
なお、上記のエッチング工程において、第1のアモルファス層40のエッチング又は第2のアモルファス層42のエッチングは、等方性エッチングであっても良いし、異方性エッチングであっても良い。等方性エッチングの場合は、比較的エッチング速度の速いウェットエッチングが用いられるため、エッチングの時間を短縮することができる。これにより、記録ヘッド3の製造時間を短縮することができる。なお、二酸化シリコン(SiO2)からなるアモルファス層のウェットエッチングに用いられるエッチング溶液としては、フッ化水素(HF)を含む水溶液等が好適である。一方、異方性エッチングの場合は、比較的加工精度の高いドライエッチングが用いられるため、第1のアライメントマーク又は第2のアライメントマークをより正確に形成することができる。これにより、第1のアライメントマークと第2のアライメントマークとの位置ずれをより正確に確認できるようになる。なお、二酸化シリコン(SiO2)からなるアモルファス層のドライエッチングに用いられるエッチングガスとしては、フッ素系ガス(CHF3,C2F6)等が好適である。
ところで、上記した実施形態では、圧力室形成基板29の表裏に形成されたアライメントマーク41、43について説明したが、これには限られない。例えば、その他の基板の表裏にアライメントマークを形成する場合にも、本発明を適用できる。また、積層される基板間の位置ずれを確認するために、一方の基板の一の面(本発明における第1の面に相当)に製膜された第1のアモルファス層に第1のアライメントマークを形成し、他方の基板の一の面(本発明における第2の面に相当)に製膜された第2のアモルファス層に第2のアライメントマークを形成しても良い。具体的には、連通基板側に第1のアライメントマークを形成すると共に、圧力室形成基板側に第2のアライメントマークを形成し、これらの基板を重ねあわせる際に両アライメントマークを用いて両基板の相対位置を確認する。或いは、圧力室形成基板側に第1のアライメントマークを形成すると共に、封止板側に第2のアライメントマークを形成し、これらの基板を重ねあわせる際に両アライメントマークを用いて両基板の相対位置を確認する。その他、2枚の基板を接合する際において、両基板の相対位置を確認するために、本発明のアライメント方法を用いることができる。これにより、接合される2枚の基板の相対位置を、容易に確認できるようになる。
また、上記した実施形態では、表面の結晶面方位を(110)面としたシリコン単結晶基板29′を例に挙げたが、これには限られない。表面がその他の結晶面方位からなるシリコン単結晶基板や、他の材料からなる結晶性基板にアライメントマークを設ける場合にも本発明を利用できる。さらに、アモルファス層40、42として、二酸化シリコン(SiO2)からなるアモルファス層が用いられたが、その他のシリコン酸化膜やシリコン窒化膜等からなるアモルファス層を用いることができる。
そして、以上では、電子デバイスとして、インクジェットプリンターに搭載されるインクジェット式記録ヘッドを例示したが、インク以外の液体を噴射する液体噴射ヘッドにも適用することができる。例えば、液晶ディスプレイ等のカラーフィルターの製造に用いられる色材噴射ヘッド、有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイ、FED(面発光ディスプレイ)等の電極形成に用いられる電極材噴射ヘッド、バイオチップ(生物化学素子)の製造に用いられる生体有機物噴射ヘッド等にも本発明を適用することができる。また、液体噴射ヘッドには限られず、例えば、各種センサー等に使用される電子デバイス等にも適用することができる。
1…プリンター,3…記録ヘッド,14…電子デバイス,15…流路ユニット,16…ヘッドケース,17…収容空間,18…リザーバー,21…ノズルプレート,22…ノズル,24…連通基板,25…共通液室,26…個別連通路,28…コンプライアンスシート,29…圧力室形成基板,30…圧力室,31…振動板,32…圧電素子,33…封止板,34…バンプ電極,35…接着剤,40…第1のアモルファス層,41…第1のアライメントマーク,42…第2のアモルファス層,43…第2のアライメントマーク
Claims (4)
- 結晶性基板の第1の面に形成された第1のアライメントマークと、第1の面とは異なる第2の面に形成された第2のアライメントマークと、を重ねあわせて、当該第1のアライメントマークと第2のアライメントマークとの位置ずれを確認する工程を含む電子デバイスの製造方法であって、
前記結晶性基板の前記第1の面にアモルファス層を製膜する成膜工程と、
前記アモルファス層をエッチングすることにより、当該アモルファス層に第1のアライメントマークを形成するエッチング工程と、を含むことを特徴とする電子デバイスの製造方法。 - 前記エッチングは、等方性エッチングであることを特徴とする請求項1に記載の電子デバイスの製造方法。
- 前記エッチングは、異方性エッチングであることを特徴とする請求項1に記載の電子デバイスの製造方法。
- 前記第1のアライメントマーク及び前記第2のアライメントマークは、正方形状又は長方形状に形成されたことを特徴とする請求項1から請求項3の何れか一項に記載の電子デバイスの製造方法。
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