しかしながら、既設枠を取り外してリフォーム枠に取り替えるには、壁や床を破壊する必要があり、時間や費用がかかっていた。そこで、既設枠を残したまま、既設枠の上から迅速に安定性よく取り付け可能なリフォーム枠を備える建具が求められていた。
本発明は、上記事情を鑑みたものであり、既設枠の上から迅速に安定性よく取り付け可能なリフォーム枠を備える建具を提供することを目的とする。
本発明のうち請求項1の発明は、見込方向一方側にアングル部を有する既設枠の内周側に取り付けるリフォーム枠と、スペーサと、カバー材を備え、リフォーム枠は、中空部と、中空部の見込方向一方側に位置するアングル部を有していて、中空部の外周面が平面状であり、カバー材は、見込面部と、見込面部の見込方向一方側端から外周側に延びる壁部を有しており、リフォーム枠の中空部の外周面と既設枠の内周面の間にスペーサを挟んで、リフォーム枠を既設枠に固定してあり、カバー材の見込面部をリフォーム枠のアングル部と既設枠のアングル部で挟んであり、壁部が長さ調整自在であることを特徴とする。
本発明のうち請求項2の発明は、既設枠の内周側に取り付けるリフォーム枠と、スペーサを備え、リフォーム枠は、外周側に、外周面が平面状な目板を取り付けてあり、リフォーム枠の目板と既設枠の内周面の間にスペーサを挟んで、リフォーム枠を既設枠に固定してあることを特徴とする。
本発明のうち請求項3の発明は、カバー材を備え、リフォーム枠は、見込方向一方側にアングル部を有する既設枠の内周側に取り付けるものであって、目板取付部の見込方向一方側に位置するアングル部を有しており、カバー材は、見込面部と、見込面部の見込方向一方側端から外周側に延びる壁部を有しており、カバー材の見込面部をリフォーム枠のアングル部と既設枠のアングル部で挟んであり、壁部が長さ調整自在であることを特徴とする。
本発明のうち請求項4の発明は、見込方向一方側にアングル部を有する既設枠の内周側に取り付けるリフォーム枠と、スペーサと、カバー材を備え、リフォーム枠は、外周側に位置する平面部と、平面部の見込方向一方側に位置するアングル部を有しており、カバー材は、見込面部と、見込面部の見込方向一方側端から外周側に延びる壁部を有しており、リフォーム枠の平面部と既設枠の内周面の間にスペーサを挟んで、リフォーム枠を既設枠に固定してあり、カバー材の見込面部をリフォーム枠のアングル部と既設枠のアングル部で挟んであり、壁部が長さ調整自在であることを特徴とする。
なお、各請求項の発明において、建具のリフォーム枠には、下枠、上枠及び縦枠があるが、そのうちの少なくとも一つの枠が、各請求項の構成を有しているものであればよい。
本発明のうち請求項1の発明によれば、リフォームに際して既設枠を取り外す必要がないので、施工性がよく、工期を短縮でき、費用も抑えられる。そして、リフォーム枠の中空部の外周面が平面状なので、既設枠との間に挟んだスペーサに対して広い面積で当接し、安定性よく取り付けられる。また、既設枠のレールを切除してリフォーム枠を取り付ける場合と、レールを切除せずにその高さ分のスペーサを挟んでリフォーム枠を取り付ける場合とで、リフォーム枠の取付高さが異なるが、カバー材の壁部が長さ調整自在なので、何れの場合にも対応できる。さらに、リフォーム枠が中空部を有する一体形状となっているので、特に施工性がよい。
本発明のうち請求項2の発明によれば、リフォームに際して既設枠を取り外す必要がないので、施工性がよく、工期を短縮でき、費用も抑えられる。そして、リフォーム枠の目板の外周面が平面状なので、既設枠との間に挟んだスペーサに対して広い面積で当接し、安定性よく取り付けられる。さらに、目板を適宜用意することで、種々の枠をリフォーム枠として用いることができる。
本発明のうち請求項3の発明によれば、既設枠のレールを切除してリフォーム枠を取り付ける場合と、レールを切除せずにその高さ分のスペーサを挟んでリフォーム枠を取り付ける場合とで、リフォーム枠の取付高さが異なるが、カバー材の壁部が長さ調整自在なので、何れの場合にも対応できる。
本発明のうち請求項4の発明によれば、リフォームに際して既設枠を取り外す必要がないので、施工性がよく、工期を短縮でき、費用も抑えられる。そして、リフォーム枠の平面部が、既設枠との間に挟んだスペーサに対して広い面積で当接し、安定性よく取り付けられる。また、既設枠のレールを切除してリフォーム枠を取り付ける場合と、レールを切除せずにその高さ分のスペーサを挟んでリフォーム枠を取り付ける場合とで、リフォーム枠の取付高さが異なるが、カバー材の壁部が長さ調整自在なので、何れの場合にも対応できる。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。この建具は様々な場所に設置可能なものであるが、ここでは浴室と脱衣室を仕切る浴室戸のリフォームに用いる場合を示す。なお、以下においては脱衣室側が見込方向一方側に相当する。図4〜図6に示すように、この建具の第一実施形態は、リフォーム枠としての下枠1、上枠2及び左右の縦枠3と、戸体7を備える。戸体7は、二枚折戸であって、浴室側に引手71を設けてあり、浴室側に折り畳まれて開閉するものであって、下枠1と、上枠2と、左右の縦枠3を四周枠組みして形成した枠体に納めてある。そして、これらの下枠1、上枠2及び縦枠3は、それぞれ既設枠(既設下枠101、既設上枠102及び既設縦枠103)の内周側に取り付けてあり、以下、それぞれについて詳述する。
まず、下枠1部分について説明する。図1に示すように、下枠1を取り付ける既設下枠101は、水平面からなる既設下枠本体部111と、既設下枠本体部111の脱衣室側端に形成したアングル部112と、既設下枠本体部111の外周側に形成した脚部113と、既設下枠本体部111の浴室側端に形成した浴室側壁面部114を有する。アングル部112は、既設下枠本体部111の脱衣室側端から上側に向けて延びる垂直部112aと、垂直部112aの上端から脱衣室側に向けて延びる水平部112bからなる。また、脚部113は、既設下枠本体部111の浴室側部と脱衣室側部に、離隔して二本形成してある。さらに、浴室側壁面部114は、既設下枠本体部111の浴室側端から下側に向けて延びている。そして、既設下枠101の脚部113を、躯体Sの見込面に当接させ、浴室側壁面部114を躯体Sの見付面に当接させてあり、さらにアングル部112の水平部112bを、躯体Sの見込面よりも一段高く形成した脱衣室の床面Fに当接させてある。なお、既設下枠本体部111の上面には、リフォーム前の戸体が摺動するレールが形成されていたが、リフォームに際してレールを切除してある。
そして、このような既設下枠101の内周側に、新たに下枠1を取り付ける。下枠1は、中空部11aを有する下枠本体部11と、下枠本体部11(中空部11a)の脱衣室側端に形成したアングル部12と、下枠本体部11(中空部11a)の浴室側端に形成した浴室側壁面部14を有する。下枠本体部11(中空部11a)は、下面(外周面)が平面状になっており、上面(内周面)には、戸体7を摺動させるためのレール15を形成してある。また、アングル部12は、下枠本体部11の脱衣室側端から上側に向けて延びる垂直部12aと、垂直部12aの上端から脱衣室側に向けて延びる水平部12bからなり、水平部12bは下枠本体部11よりも上側に位置する。垂直部12aの上端の浴室側面には、タイト材ホルダを形成してあり、タイト材16を取り付けてあって、戸体7を閉じた際に、戸体7の脱衣室側面がタイト材16に当接する。さらに、浴室側壁面部14は、下枠本体部11の浴室側端から下側に向けて延びており、その脱衣室側面には、複数の断面V字形の溝部14aを上下方向にわたって等間隔に形成してあり、折り取って長さ調整自在となっている。そして、下枠1の下枠本体部11の下面(外周面)と、既設下枠101の既設下枠本体部111の上面(内周面)の間に、平板状のスペーサ4を挟んで、下枠1を既設下枠101の内周側に設置してある。このように下枠1を設置すると、下枠1のアングル部12の水平部12bが、既設下枠101のアングル部112の水平部112bの上側に位置し、下枠1の浴室側壁面部14が、既設下枠101の既設下枠本体部111及び浴室側壁面部114の浴室側に位置する。ここで、浴室側壁面部14が躯体Sなどと干渉する場合には、折り取って長さ調整すればよい。さらに、この建具は、脱衣室側に設けるカバー材5を有する。カバー材5は、水平向きの見込面部51と、見込面部51の脱衣室側端から下側に向けて延びる壁部52を有している。壁部52の浴室側面には、複数の突出片53を上下にわたって等間隔に形成してあり、各突出片53の直下の部位を肉薄に形成してあって、壁部52が折り取って長さ調整自在となっている。また、見込面部51の下面には、複数の断面V字形の溝部54を見込方向にわたって等間隔に形成してあり、見込面部51も折り取って長さ調整自在となっている。このように形成したカバー材5の見込面部51を、ブロック状のカバー材用スペーサ55とともに、下枠1のアングル部12の水平部12bと既設下枠101のアングル部112の水平部112bの間に挟んである。そして、壁部52は、脱衣室の床面Fに干渉しないように、折り取って長さ調整してある。また、見込面部51についても、下枠1のアングル部12の水平部12b及び既設下枠101のアングル部112の水平部112bの長さに合わせて、長さ調整できる。そして、下枠1のアングル部12の水平部12bにネジ孔を形成してあってネジを挿入してあり、ネジは、カバー材5の見込面部51、カバー材用スペーサ55、既設下枠101のアングル部112の水平部112b及び脱衣室の床面Fを貫通して、躯体Sに螺合しており、下枠1を既設下枠101に固定してある。なお、下枠1の浴室側壁面部14と躯体Sの間の隙間、下枠1のアングル部12の水平部12bとカバー材5の見込面部51の間の隙間及びカバー材5の壁部52と脱衣室の床面Fの間の隙間は、何れもシール材により埋めてある。
次に、上枠2部分について説明する。図2に示すように、上枠2を取り付ける既設上枠102は、水平面からなる既設上枠本体部121と、既設上枠本体部121の脱衣室側端に形成した見付面部122と、既設上枠本体部121の外周側に形成した脚部123と、既設上枠本体部121の浴室側端に形成した浴室側壁面部124を有する。見付面部122は、既設上枠本体部121の脱衣室側端から下側に向けて延びている。また、脚部123は、既設上枠本体部121の浴室側部と脱衣室側部に、離隔して二本形成してある。さらに、浴室側壁面部124は、既設上枠本体部121の浴室側端から上側に向けて延びている。そして、既設上枠102の脚部123を、躯体Sの見込面に当接させ、浴室側壁面部124を躯体Sの見付面に当接させてあり、さらに見付面部122を、躯体Sの見込面に設けた額縁Cの見付面に当接させてある。なお、既設上枠本体部121の下面には、リフォーム前の戸体が摺動するレールが形成されていたが、リフォームに際してレールを切除してある。
そして、このような既設上枠102の内周側に、新たに上枠2を取り付ける。上枠2は、水平面からなる上枠本体部21と、上枠本体部21の脱衣室側端に形成した見付面部22と、上枠本体部21の外周側に形成した平面部23と、上枠本体部21の浴室側端に形成した浴室側壁面部24を有する。上枠本体部21は、下面(内周面)に戸体7を摺動させるためのレール25を形成してある。また、見付面部22は、上枠本体部21の脱衣室側端から下側に向けて延びており、その下端の浴室側面には、タイト材ホルダを形成してあり、タイト材26を取り付けてあって、戸体7を閉じた際に、戸体7の脱衣室側面がタイト材26に当接する。さらに、平面部23は、水平方向を向いた面であって、上枠本体部21の浴室側部と脱衣室側部に、離隔して二つ形成してある。また、浴室側壁面部24は、上枠本体部21の浴室側端から上側に向けて延びており、その脱衣室側面には、複数の断面V字形の溝部24aを上下方向にわたって等間隔に形成してあり、折り取って長さ調整自在となっている。そして、上枠2の上枠本体部21の外周側の平面部23と、既設上枠102の既設上枠本体部121の下面(内周面)の間に、平板状の二枚のスペーサ4を挟んで、上枠2を既設上枠102の内周側に設置してある。このように上枠2を設置すると、上枠2の見付面部22が、既設上枠102の見付面部122の浴室側に位置し、上枠2の浴室側壁面部24が、既設上枠102の既設上枠本体部121及び浴室側壁面部124の浴室側に位置する。ここで、浴室側壁面部24が躯体Sなどと干渉する場合には、折り取って長さ調整すればよい。そして、上枠2の上枠本体部21にネジ孔を形成してあってネジを挿入してあり、ネジは、スペーサ4、既設上枠102の既設上枠本体部121を貫通して、躯体Sに螺合しており、上枠2を既設上枠102に固定してある。なお、上枠2の浴室側壁面部24と躯体Sの間の隙間及び上枠2の見付面部22と既設上枠102の見付面部122の間の隙間は、何れもシール材により埋めてある。
最後に、縦枠3部分について説明する。左右の縦枠3部分は対称な構造であり、ここでは左側の縦枠3に基づき説明する。図3に示すように、縦枠3を取り付ける既設縦枠103は、見込面からなる既設縦枠本体部131と、既設縦枠本体部131の脱衣室側端に形成した見付面部132と、既設縦枠本体部131の外周側に形成した脚部133と、既設縦枠本体部131の浴室側端に形成した浴室側壁面部134を有する。見付面部132は、既設縦枠本体部131の脱衣室側端から内周側に向けて延びている。また、脚部133は、既設縦枠本体部131の浴室側部と脱衣室側部に、離隔して二本形成してある。さらに、浴室側壁面部134は、既設縦枠本体部131の浴室側端から外周側に向けて延びている。そして、既設縦枠103の脚部133を、躯体Sの見込面に当接させ、浴室側壁面部134を躯体Sの見付面に当接させてあり、さらに見付面部132を、躯体Sの見込面に設けた額縁Cの見付面に当接させてある。なお、既設縦枠本体部131の内周面には、リフォーム前の戸体が当接するタイト材を取り付けるタイト材ホルダが形成されていたが、リフォームに際してタイト材ホルダを切除してある。
そして、このような既設縦枠103の内周側に、新たに縦枠3を取り付ける。縦枠3は、見込面からなる縦枠本体部31と、縦枠本体部31の脱衣室側端に形成した見付面部32と、縦枠本体部31の外周側に形成した平面部33と、縦枠本体部31の浴室側端に形成した浴室側壁面部34を有する。縦枠本体部31は、内周面にタイト材ホルダを形成してあり、タイト材38を取り付けてあって、戸体7を閉じた際に、戸体7の戸先部又は戸尻部がタイト材38に当接する。また、見付面部32は、縦枠本体部31の脱衣室側端から内周側に向けて延びており、その内周側端の浴室側面にも、タイト材ホルダを形成してあり、タイト材36を取り付けてあって、戸体7を閉じた際に、戸体7の脱衣室側面がタイト材36に当接する。さらに、平面部33は、見込方向を向いた面であって、縦枠本体部31の浴室側部と脱衣室側部に、離隔して二つ形成してある。また、浴室側壁面部34は、縦枠本体部31の浴室側端から外周側に向けて延びており、その脱衣室側面には、複数の断面V字形の溝部34aを内外周方向にわたって等間隔に形成してあり、折り取って長さ調整自在となっている。そして、縦枠3の縦枠本体部31の外周側の平面部33と、既設縦枠103の既設縦枠本体部131の内周面の間に、平板状のスペーサ4を挟んで、縦枠3を既設縦枠103の内周側に設置してある。このように縦枠3を設置すると、縦枠3の見付面部32が、既設縦枠103の見付面部132の浴室側に位置し、縦枠3の浴室側壁面部34が、既設縦枠103の既設縦枠本体部131及び浴室側壁面部134の浴室側に位置する。ここで、浴室側壁面部34が躯体Sなどと干渉する場合には、折り取って長さ調整すればよい。そして、縦枠3の縦枠本体部31にネジ孔を形成してあってネジを挿入してあり、ネジは、スペーサ4、既設縦枠103の既設縦枠本体部131を貫通して、躯体Sに螺合しており、縦枠3を既設縦枠103に固定してある。なお、縦枠3の浴室側壁面部34と躯体Sの間の隙間及び縦枠3の見付面部32と既設縦枠103の見付面部132の間の隙間は、何れもシール材により埋めてある。
このように構成した本発明の建具の第一実施形態によれば、リフォームに際して既設枠(既設下枠101、既設上枠102及び既設縦枠103)を取り外す必要がないので、施工性がよく、工期を短縮でき、費用も抑えられる。たとえば、一般的な浴室戸のリフォームであれば、一日の工期で取り替えが完了する。そして、下枠1の下枠本体部11の中空部11aの外周面が平面状であり、上枠2や縦枠3は外周側に平面部23,33を有するので、既設枠との間に挟んだスペーサ4に対して広い面積で当接し、安定性よく取り付けられる。また、下枠1は中空部11aを有する一体形状となっており、上枠2及び縦枠3も平面部23,33を有する一体形状となっているので、特に施工性がよい。さらに、下枠1は、下枠本体部11よりも上側に位置するアングル部12の水平部12bを既設下枠101にネジ止めしてあるので、ネジ孔から水が浸入しにくい。
そして、上記の例では、既設下枠101及び既設上枠102のレール並びに既設縦枠103のタイト材ホルダを切除して下枠1、上枠2及び縦枠3を取り付けたが、これらを切除することなく下枠1、上枠2及び縦枠3を取り付けることもできる。図7に示すのは、下枠1部分であり、既設下枠101の既設下枠本体部111の上面のレール115を残してある。この場合、レール115の浴室側と脱衣室側に、レール115の高さよりも高いスペーサ4を配置し、このスペーサ4の上面に下枠1の下枠本体部11の外周面を当接させて、下枠1を既設下枠101の内周側に取り付けてある。そしてこの場合、レールを切除した場合と比べて下枠1の取付高さが高くなるので、その分だけカバー材用スペーサ55も高さの高いものを用いている。また、カバー材5の壁部52についても、より高さが必要なので、レールを切除した場合と比べて、折り取る部分を短くしてある。このように、既設下枠101のレール115を切除して下枠1を取り付ける場合と、レール115を切除せずにその高さ分のスペーサ4を挟んで下枠1を取り付ける場合とで、下枠1の取付高さが異なるが、カバー材5の壁部52が折り取って長さ調整自在なので、何れの場合にも対応できる。また、図8に示すのは、上枠2部分であり、下枠1部分と同様に、既設上枠102の既設上枠本体部121の下面のレール125を残してある。この場合も、レール125の浴室側と脱衣室側に、レール125の高さよりも高いスペーサ4を配置し、このスペーサ4の下面に上枠2の上枠本体部21の外周側の平面部23を当接させて、上枠2を既設上枠102の内周側に取り付けてある。さらに、縦枠3についても同様に、既設縦枠本体部131に残したタイト材ホルダの浴室側と脱衣室側に、タイト材ホルダの高さよりも高いスペーサ4を配置することで、タイト材ホルダを残したまま縦枠3を取り付けられる。
次に、図9〜図11に基づき、第二実施形態について説明する。第二実施形態も、下枠1、上枠2及び縦枠3を、第一実施形態の場合と同様の既設枠(既設下枠101、既設上枠102及び既設縦枠103)の内周側に取り付けるものである。図9に示すように、第二実施形態の下枠1は、水平面からなる下枠本体部11と、下枠本体部11の脱衣室側端と浴室側端の外周側に形成した目板受部17と、両目板受部17の間(下枠本体部11の見込方向中間部)に形成した補強部18を有する。脱衣室側端の目板受部17は、下枠本体部11から下側(外周側)に延び先端が浴室側に屈曲した形状であり、浴室側の目板受部17は、下枠本体部11から下側(外周側)に延び先端が脱衣室側に屈曲した形状である。また、補強部18は、下枠本体部11から下側(外周側)に延びており、目板受部17と略同じ高さである。その他、下枠本体部11の脱衣室側端に形成したアングル部12、下枠本体部11の浴室側端に形成した浴室側壁面部14及び下枠本体部11の上面に形成したレール15については、第一実施形態と同じである。ただし、浴室側壁面部14は、浴室側の目板受部17の下端部からさらに延長して設けてあるが、ここではすべて折り取ってある。このように形成した下枠1は、既設下枠101と略同一の断面形状である。そして、下枠本体部11の下面側(外周側)に、目板6を取り付けてある。目板6は、略平板状で特に外周面が平面状であり、内周面の脱衣室側と浴室側に、それぞれ下枠1の目板受部17に対応する爪部61を形成してある。また、脱衣室側端には、上側に向けて延びる立上部62を形成してあり、さらに立上部62の上端に、カバー材5を一体に形成してある。すなわち、立上部62の上端から脱衣室側に向けて水平向きに延びる見込面部51と、見込面部51の脱衣室側端から下側に向けて延びる壁部52を有している。第一実施形態のカバー材と同様に、壁部52の浴室側面には、複数の突出片53を上下にわたって等間隔に形成してあり、各突出片53の直下の部位を肉薄に形成してあって、壁部52が折り取って長さ調整自在となっている。このように形成した目板6(及びカバー材5)の爪部61を下枠1の目板受部17に係合させて、目板6を下枠1の外周側に取り付け、さらに目板6の下面(外周面)と、既設下枠101の既設下枠本体部111の上面(内周面)に間に、平板状のスペーサ4を挟んで、下枠1を既設下枠101の内周側に設置してある。このように下枠1を設置すると、下枠1の補強部18の下端が、目板6の上面に当接する。また、目板6と一体に形成したカバー材5の見込面部51が、下枠1のアングル部12の水平部12bの下面に当接し、カバー材5の見込面部51と既設下枠101のアングル部112の水平部112bの間には、カバー材用スペーサ55を挟んである。さらに、カバー材5の壁部52は、脱衣室の床面Fに干渉しないように、折り取って長さ調整してある。そして、第一実施形態と同様に、下枠1のアングル部12の水平部12bを既設下枠101及び躯体Sにネジ止めしてある。
また、図10に示すように、第二実施形態の上枠2は、水平面からなる上枠本体部21と、上枠本体部21の脱衣室側端と浴室側端の外周側に形成した目板受部27と、両目板受部27の間(上枠本体部21の見込方向中間部)に形成した補強部28を有する。脱衣室側端の目板受部27は、上枠本体部21から上側(外周側)に延び先端が浴室側に屈曲した形状であり、浴室側の目板受部27は、上枠本体部21から上側(外周側)に延び先端が脱衣室側に屈曲した形状である。また、補強部28は、上枠本体部21から上側(外周側)に延びており、目板受部27と略同じ高さである。その他、上枠本体部21の脱衣室側端に形成した見付面部22、上枠本体部21の浴室側端に形成した浴室側壁面部24及び上枠本体部21の下面に形成したレール25については、第一実施形態と同じである。ただし、浴室側壁面部24は、浴室側の目板受部27の上端部からさらに延長して設けてあるが、ここではすべて折り取ってある。このように形成した上枠2は、既設上枠102と略同一の断面形状である。そして、上枠本体部21の上面側(外周側)に、目板6を取り付けてある。目板6は、略平板状で特に外周面が平面状であり、内周面の脱衣室側と浴室側に、それぞれ上枠2の目板受部27に対応する爪部61を形成してあり、さらに両爪部61の間に、上枠2の補強部28に対応する係止片63を形成してある。このように形成した目板6の爪部61を上枠2の目板受部27に係合させて、目板6を上枠2の外周側に取り付け、さらに目板6の上面(外周面)と、既設上枠102の既設上枠本体部121の下面(内周面)に間に、平板状のスペーサ4を挟んで、上枠2を既設上枠102の内周側に設置してある。このように上枠2を設置すると、上枠2の補強部28の上端が、目板6の下面に当接し、目板6の係止片63に係止する。そして、第一実施形態と同様に、上枠2の上枠本体部21を既設上枠102及び躯体Sにネジ止めしてある。
さらに、図11に示すように、第三実施形態の縦枠3は、見込面からなる縦枠本体部31と、縦枠本体部31の脱衣室側端と浴室側端の外周側に形成した目板受部37を有する。脱衣室側端の目板受部37は、縦枠本体部31から外周側に延び先端が浴室側に屈曲した形状であり、浴室側の目板受部37は、縦枠本体部31から外周側に延び先端が脱衣室側に屈曲した形状である。その他、縦枠本体部31の脱衣室側端に形成した見付面部32及び縦枠本体部31の浴室側端に形成した浴室側壁面部34並びに縦枠本体部31の内周面に形成したタイト材ホルダ及びタイト材38については、第一実施形態と同じである。ただし、浴室側壁面部34は、浴室側の目板受部37の外周側端部からさらに延長して設けてあるが、ここではすべて折り取ってある。このように形成した縦枠3は、既設縦枠103と略同一の断面形状である。そして、縦枠本体部31の外周側に、目板6を取り付けてある。目板6は、略平板状で特に外周面が平面状であり、内周面の脱衣室側と浴室側に、それぞれ縦枠3の目板受部37に対応する爪部61を形成してあり、さらに両爪部61の間(目板6の見込方向中間部)に、内周側に延びる補強部64を形成してある。このように形成した目板6の爪部61を縦枠3の目板受部37に係合させて、目板6を縦枠3の外周側に取り付け、さらに目板6の外周面と、既設縦枠103の既設縦枠本体部131の内周面に間に、平板状のスペーサ4を挟んで、縦枠3を既設縦枠103の内周側に設置してある。このように縦枠3を設置すると、目板6の補強部64の内周側端が、縦枠3の縦枠本体部31の外周面に当接する。そして、第一実施形態と同様に、縦枠3の縦枠本体部31を既設縦枠103及び躯体Sにネジ止めしてある。
このように構成した本発明の建具の第二実施形態によれば、リフォームに際して既設枠を取り外す必要がないので、施工性がよく、工期を短縮でき、費用も抑えられる。そして、下枠1、上枠2及び縦枠3の目板6の外周面が平面状なので、既設枠との間に挟んだスペーサ4に対して広い面積で当接し、安定性よく取り付けられる。また、下枠1は、下枠本体部11よりも上側に位置するアングル部12の水平部12bを既設下枠101にネジ止めしてあるので、ネジ孔から水が浸入しにくい。さらに、この第二実施形態において、下枠1、上枠2及び縦枠3が、それぞれ既設下枠101、既設上枠102及び既設縦枠103と略同一の断面形状であるように、下枠1、上枠2及び縦枠3の形状に対応して、外周側に平面状部分が形成されるような目板6を適宜用意することで、既設枠と同一又は略同一の断面形状の枠をリフォーム枠として用いることができるので、新たに金型を製造する必要がなく、費用を抑えられる。また、下枠1に設けた補強部18が戸体7の荷重を受けており、下枠1のたわみが抑えられるので、戸体7がスムーズに動作する。さらに、上枠2や、縦枠3に取り付けた目板6にもそれぞれ補強部28,64を設けてあるので、戸体7の動作に伴う上枠2や縦枠3のたわみも抑えられる。
そして、第二実施形態においても、第一実施形態と同様に、既設下枠101のレールを切除することなく、下枠1を取り付けることができる(上枠2及び縦枠3についても第一実施形態と同じである)。この際、既設下枠101のレール115を切除して下枠1を取り付ける場合と、レール115を切除せずにその高さ分のスペーサ4を挟んで下枠1を取り付ける場合とで、下枠1の取付高さが異なるが、カバー材5の壁部52が折り取って長さ調整自在なので、何れの場合にも対応できる。
次に、図12に基づき、第三実施形態について説明する。第三実施形態も、下枠1、上枠2及び縦枠3を、第一実施形態の場合と同様の既設枠(既設下枠101、既設上枠102及び既設縦枠103)の内周側に取り付けるものである。そして、第三実施形態の上枠2及び縦枠3は、第一実施形態のものと同じであり、下枠1の、下枠本体部11の形状のみが異なる。第三実施形態の下枠1は、水平面からなる下枠本体部11と、下枠本体部11の外周側に形成した平面部13を有しており、平面部13は、水平方向を向いた面であって、下枠本体部11の浴室側部と脱衣室側部に、離隔して二つ形成してある。その他、下枠本体部11の脱衣室側端に形成したアングル部12、下枠本体部11の浴室側端に形成した浴室側壁面部14及び下枠本体部11の上面に形成したレール15については、第一実施形態と同じである。そして、下枠1の下枠本体部11の外周側の平面部13と、既設下枠101の既設下枠本体部111の上面(内周面)に間に、平板状のスペーサ4を挟んで、下枠1を既設下枠101の内周側に設置してある。さらに、カバー材5も第一実施形態と同じものであり、カバー材5の見込面部51を、下枠1のアングル部12の水平部12bと既設下枠101のアングル部112の水平部112bの間に挟んである。そして、第一実施形態と同様に、下枠1のアングル部12の水平部12bを既設下枠101及び躯体Sにネジ止めしてある。
このように構成した本発明の建具の第三実施形態によれば、リフォームに際して既設枠を取り外す必要がないので、施工性がよく、工期を短縮でき、費用も抑えられる。そして、下枠1、上枠2及び縦枠3が外周側に平面部13,23,33を有するので、既設枠との間に挟んだスペーサ4に対して広い面積で当接し、安定性よく取り付けられる。また、下枠1、上枠2及び縦枠3は平面部13,23,33を有する一体形状となっているので、特に施工性がよい。さらに、下枠1は、下枠本体部11よりも上側に位置するアングル部12の水平部12bを既設下枠101にネジ止めしてあるので、ネジ孔から水が浸入しにくい。
そして、第三実施形態においても、第一実施形態と同様に、既設下枠101のレールを切除することなく、下枠1を取り付けることができる(上枠2及び縦枠3についても第一実施形態と同じである)。すなわち、図13に示すように、既設下枠101の既設下枠本体部111の上面のレール115を残し、レール115の浴室側と脱衣室側に、レール115の高さよりも高いスペーサ4を配置し、このスペーサ4の上面に下枠1の下枠本体部11の外周側の平面部13を当接させて、下枠1を既設下枠101の内周側に取り付けてある。そして、下枠1の取付高さに応じて、カバー材5の壁部52を折り取って長さ調整してある。このように、第三実施形態においても、既設下枠101のレール115を切除して下枠1を取り付ける場合と、レール115を切除せずにその高さ分のスペーサ4を挟んで下枠1を取り付ける場合とで、下枠1の取付高さが異なるが、カバー材5の壁部52が折り取って長さ調整自在なので、何れの場合にも対応できる。
本発明は、上記の実施形態に限定されない。たとえば、アングル部やカバー材を下枠部分以外の箇所に有するものであってもよい。また、カバー材の壁部は、垂直方向(見付方向)に対して傾斜しているものや、曲線状のものであってもよい。さらに、第二実施形態の下枠部分のように、目板とカバー材を有する場合においては、目板とカバー材が一体であっても別体であってもよい。また、リフォーム枠と目板の間に補強部を設ける場合、補強部はリフォーム枠と目板のどちら側に設けてあってもよい。