JP2016156169A - 接合方法 - Google Patents
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Abstract
Description
ところが、既設地下構造物の周囲の地盤を凍結させると、地盤の凍結膨張によって、既設構造物に悪影響が及ぶ恐れがある。特に粘性土の場合は凍結による膨張が大きい。
また、大深度において凍結工法を採用する場合には、地上部からのボーリングは困難である。
このとき、第一地下構造物の外面と地盤との隙間(余掘り部分)に凍結開始温度が0℃程度の裏込め材を注入しておけば、第二地下構造物を第一地下構造物に接合する際に、袋体内の圧力を低減させることにより凍結膨張の膨張圧を吸収することができ、裏込め材を融解させることで泥状化するのでトンネル掘進機の第一地下構造物に対する負担を軽減させることができる。この場合の裏込め材は、通常セメント主体のスラリーに代替し、ベントナイト主体のスラリーとすれば、凍結・融解によりベントナイト内部の骨格構造が崩壊し泥状化するので、この効果を得られる。
第一の実施形態では、先行トンネル1(第一地下構造物)に、後行トンネル2(第二地下構造物を接続する接合方法について説明する(図1(a)および(b)参照)。
本実施形態の接合方法は、先行トンネル構築工程と、後行トンネル構築工程と、凍結工程と、接合工程とを備えている。
図1(a)および(b)に示すように、後行トンネル2は先行トンネル1の側面に接続する。
また、本実施形態では、後行トンネル2の断面(外径)が、先行トンネル1の断面(外径よりも小さい場合について説明するが、後行トンネル2の断面形状は、先行トンネル1の断面形状以下の大きさであれば限定されない。
さらに、本実施形態では先行トンネル1のトンネル軸と後行トンネル2のトンネル軸とが斜めに交差する場合について説明するが、先行トンネル1のトンネル軸と後行トンネル2のトンネル軸は直角に交わっていてもよい。
先行トンネル1は、トンネル掘削機M1により地盤を掘削するとともに、トンネル掘削機M1内の後部で複数のセグメント12,12,…をリング状に組み立ててセグメントリング11を形成するとともに、後方のセグメントリング11に連結することにより形成する。本実施形態では、先行トンネル1を断面円形に形成するが、先行トンネル1の断面形状は、例えば矩形でもよく、限定されない。
本実施形態では、裏込め材41として、凍結・融解によりベントナイト内部の骨格構造が崩壊し泥状化するベントナイト主体のスラリーを採用するが、裏込め材41は、凍結開始温度が0℃程度のものであれば限定されない。
袋体13内への流動体の注入は、袋付きセグメント12aに形成された注入孔14および排出孔15を利用して行う。
流動体は、凍結開始温度が0℃未満の材料を使用するものとする。本実施形態では、流動体として、ケイ酸ナトリウム、水およびグリセリンを主剤としたA液と、ベントナイト、セメント、水およびグリセリンを主剤としたB液との混合体を使用する。かかる流動体は、目標凝固点が−10〜−5℃で、かつ、高粘性で、なおかつ、1カ月〜半年程度で固化する塑性流動体である。なお、流動体に使用可能な材料は限定されるものではなく、例えば、フライアッシュ、スラグ、ケイ酸ソーダの混合物質を使用してもよい。
後行トンネル2は、トンネル掘削機M2により地盤を掘削するとともに、トンネル掘削機M2の後部で複数のセグメント22,22,…をリング状に組み立ててセグメントリング21を形成するとともに、後方のセグメントリング21に連結することにより形成する。本実施形態では、後行トンネル2を断面円形に形成するが、後行トンネル2の断面形状は、例えば矩形でもよく、限定されない。
本実施形態では、後行トンネル2を構築するためのトンネル掘進機M2から、接続部3の周囲を囲うように複数の凍結管5,5,…を配設し、この凍結管5,5,…に冷却剤を循環させることにより、接合部3周辺の地盤を凍結させる。袋体13内には、流動体を循環させる。すなわち、注入口14から袋体13内部に流動体を注入するとともに排出口15から袋体13の内部の流動体を排出する。また、周辺地盤の凍結膨張に応じて流動体の注入量、排出量を調整することで、袋体13内の流動体の圧力を低減させる。こうすることで、接合部3周囲の地盤の凍結を融解させることなく、凍結膨張を吸収し、先行トンネル1への負担を軽減する。なお、袋体13内に滞留する流動体の温度が凝固温度を下回らないように流動体の循環速度を調整する。
接合工程では、トンネル掘削機M2の内部を解体し、接合部3(先行トンネル1)に向けて掘進して、凍結により止水された先行トンネル1の側面を貫通させる。このとき、接合部3の周囲の地盤は、凍結により自立している。
そのため、大深度における地中構造物同士の接合であっても、比較的簡易かつ安価に凍結工法を利用した接合方法を採用することができる。
第二の実施形態では、連続地中壁7により形成された立坑6(第一地下構造物)に、トンネル8(第二地下構造物)を接続する接合方法について説明する(図4(a)および(b)参照)。
本実施形態の接合方法は、立坑構築工程と、後行トンネル構築工程と、凍結工程と、接合工程とを備えている。
図4(a)および(b)に示すように、トンネル8は立坑6の側面に接続する。
立坑構築工程は、地盤に溝(凹部)61を形成する作業と(図5(a))、溝61内に鉄筋籠71を挿入する作業と(図5(b))、溝61内にコンクリートを打設して地中連続壁7を形成する作業とを備えている。なお、本実施形態では、壁式連続地中壁を形成する場合について説明するが、地中連続壁の形成方法は限定されるものではなく、例えば柱列式地中連続壁を採用してもよい。
本実施形態の掘削機62は、図6(a)に示すように、上部に拡幅用回転式掘削手段63を有しており、接合部3の位置に対応して溝61に拡幅部(緩衝空間)64を形成することができる。
ここで、袋体72の詳細は、第一の実施形態で示した袋体13と同様なため、詳細な説明は省略する。また、地中連続壁7に鉄筋籠を配筋しない場合には、芯材等に袋体72を固定して溝(孔)内に挿入すればよい。
なお、柱列式地中連続壁により立坑を形成する場合には、地上からボーリングにより形成した掘削孔を利用して拡幅部に裏込め材を充填するのが望ましい。裏込め材を構成する材料は限定されるものではないが、凍結・融解によりベントナイト内部の骨格構造が崩壊し泥状化するベントナイト主体のスラリーとして、セメント・ベントナイトスラリーとケイ酸水溶液を混ぜることにより得られたものを使用すればよい。
ここで、流動体の詳細は、第一の実施形態で示した内容と同様なため、詳細な説明は省略する。
なお、本実施形態では、立坑構築工程後にトンネル構築工程を実施する場合について説明するが、立坑構築工程とトンネル構築工程との施工順序は限定されるものではなく、例えば、立坑構築工程とトンネル構築工程とを同時に実施してもよい。
本実施形態では、トンネル8を構築するためのトンネル掘進機M2から、接続部3の周囲を囲うように複数の凍結管5,5,…を配設し、この凍結管5,5,…に冷却剤を循環させることにより、接合部3周辺の地盤を凍結させる。このとき、袋体72の内部では、周辺地盤の凍結膨張に応じて流動体の圧力を低減させる。こうすることで、接合部3周囲の地盤の凍結を融解させることなく、袋体72が凍結膨張を吸収し、地中連続壁7への負担を軽減する。
なお、連続地中壁7が柱列式地中連続壁の場合等では、地上からボーリングにより形成した掘削孔を利用して拡幅部に充填された裏込め材が、凍結開始が0℃程度で、凍結・融解作用にて粘性低下をおこすため、流動体によって冷却された裏込め材が低粘性化し圧力伝播を鋭敏化することで、凍結膨張をより均一に拡散できる。
接合工程では、トンネル掘削機M2の内部を解体し、接合部3(立坑6)に向けて掘進させて、地中連続壁7を貫通させる。このとき、接合部3の周囲の地盤は、凍結により自立している。
立坑6とトンネル8との接続が完了したら、接合部3周囲の地盤を解凍する。本実施形態では、自然解凍により解凍するが、必要に応じて強制解凍を行ってもよい。
接合部3の周囲は凍結により自立しているため、施工時に立坑6への湧水等が抑制され、安全性および施工性に優れている。
例えば、第一地下構造物は、第二地下構造物の接続に先だって構築された構造物であれば、前記各実施形態で示したもの(トンネルまたは立坑)限定されるものではない。例えば、人孔やその他の地下構造物であってもよい。
13 袋体
2 後行トンネル(第二地下構造物)
3 接合部
4 緩衝空間
41 裏込め材
5 凍結管
6 立坑(第一地下構造物)
61 溝
7 地中連続壁
71 鉄筋籠
72 袋体
8 トンネル(第二地下構造物)
Claims (5)
- 第一地下構造物にトンネルからなる第二地下構造物を接続する接合方法であって、
前記第一地下構造物と前記第二地下構造物との接合部周辺の地盤を凍結させる凍結工程を備えており、
前記第一地下構造物の外側に袋体を設け、
前記袋体の内部に凍結開始温度が0℃未満の流動体を循環させながら前記凍結工程を行うことを特徴とする、接合方法。 - 前記第一地下構造物がシールドトンネルであり、
前記第一地下構造物を構築するトンネル構築工程において、前記接合部の位置に袋付きセグメントを配置することを特徴とする、請求項1に記載の接合方法。 - 前記トンネル構築工程において、前記第一地下構造物の外面と地盤との隙間に凍結開始温度が0℃程度の裏込め材を注入することを特徴とする、請求項2に記載の接合方法。
- 前記第一地下構造物が地中連続壁により形成された立坑であり、
前記地中連続壁を構築する立坑構築工程では、地盤に形成された凹部に、前記接合部の位置に前記袋体が取り付けられた鉄筋籠または芯材を挿入することを特徴とする、請求項1に記載の接合方法。 - 前記凍結工程では、前記第二地下構造物を構築するためのトンネル掘進機から前記接続部の周囲を囲うように複数の凍結管を配設し、前記凍結管に冷却剤を循環させることを特徴とする、請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の接合方法。
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