JP2016155719A - 多孔質石膏硬化体の製造方法及び水質浄化材 - Google Patents

多孔質石膏硬化体の製造方法及び水質浄化材 Download PDF

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日六士 中尾
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寿夫 小泉
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Abstract

【課題】低密度でかつ高表面積を有し、しかも開気孔で多孔構造が構成された多孔質石膏硬化体を簡便かつ安価に製造することを可能とする方法を提供すること。
【解決手段】石膏、水溶性物質及び水を少なくとも用いて多孔質石膏硬化体を製造する方法であって、該製造方法は、石膏、水溶性物質及び水を含むスラリーを作製するスラリー作製工程と、該スラリーから成型物を得る成型工程と、水で洗浄する洗浄工程とを少なくとも含む多孔質石膏硬化体の製造方法。
【選択図】図1

Description

本発明は、多孔質石膏硬化体の製造方法及び水質浄化材に関する。
建築材料(いわゆる石膏ボード)や水質浄化材等の用途への適用を期待して、従来から石膏硬化体の多孔構造化や低密度化の検討がなされている。例えば、特許文献1には、微小繊維状セルロースやベントナイト等の分散剤を用いて低密度の石膏硬化体を製造する方法が開示され、特許文献2には、炭酸水素ナトリウムを発泡剤として用いて石膏多孔質構造体を製造する方法が開示されている。特許文献3には、軽量石膏ボード製造のために、アニオン界面活性剤にアルコールの酸化エチレン付加体を配合して得られる起泡剤を含む水に石膏を加えて泡立てる方法が開示されている。
特開2012−116147号公報 特開2013−189347号公報 特開平7−291761号公報
だが、従来の技術で製造した低密度石膏硬化体や多孔構造体は後述する閉気孔で多孔構造が構成されているため、水質浄化材用途としては不適であった。また、製造コストの増加も懸念される。例えば、特許文献1〜2によると、分散剤や発泡剤といった材料を石膏に配合する必要があるため、製造コストが高くなる傾向がある。特許文献3の有機系起泡剤についても同様にコスト面で課題がある他、起泡するための操作を必要とするため、作業面でも課題がある。したがって、これらの課題を解決するための技術が求められていた。
本発明は、上記現状に鑑み、低密度でかつ高表面積を有し、しかも開気孔で多孔構造が構成された多孔質石膏硬化体を簡便かつ安価に製造することを可能とする方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、石膏硬化体の多孔構造化及び低密度化について種々検討するうち、石膏、水溶性物質及び水を含むスラリーを作製し、これを成型した後、水で洗浄する工程を行うことにより、低密度でかつ高表面積を有する多孔質石膏硬化体を極めて簡便かつ安価に製造することができることを見いだし、また、得られる多孔質石膏硬化体は、開気孔で多孔構造が構成されたものであることも見いだし、本発明を完成するに至った。
ここで、特許文献2のように発泡剤を用いて石膏多孔質構造体を製造する場合、石膏中に気泡が包含されて固化した閉気孔(物体内部で独立している気孔)が生じ、この閉気孔で多孔構造が構成されていると考えられる。これに対し、本発明の製造方法では、水での洗浄工程を行うことで水溶性物質が溶出し、これにより多孔構造が形成されるため、開気孔(外部に接続している気孔)で多孔構造が構成されている。それゆえ、本発明の製造方法で得られる多孔質石膏硬化体は、極めて低密度でありながら高表面積を確保できるため、例えば、排水中の特定元素の吸着材や回収材等としてより有利に働くものと考えられる。
すなわち本発明は、石膏、水溶性物質及び水を少なくとも用いて多孔質石膏硬化体を製造する方法であって、
該製造方法は、
石膏、水溶性物質及び水を含むスラリーを作製するスラリー作製工程と、
該スラリーから成型物を得る成型工程と、
水で洗浄する洗浄工程と
を少なくとも含む多孔質石膏硬化体の製造方法である。
上記水溶性物質は、非発泡性の無機物であることが好ましく、中でも、金属塩であることがより好ましい。このような水溶性物質は入手が容易で、一般的に有機物より安価であるため、より簡便かつ安価に、開気孔で多孔構造が構成されている多孔質石膏硬化体を製造することができるうえ、得られる多孔質石膏硬化体が、より一層低密度でかつ高表面積を有するものとなる。
上記水溶性物質は、塩化ナトリウム及び塩化カリウムからなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。これにより、より一層簡便にかつ安価に、低密度でかつ高表面積を有する、開気孔で多孔構造が構成されている多孔質石膏硬化体を製造することが可能になる。
上記スラリーは、上記スラリー作製時の温度における飽和溶解度以上の量の上記水溶性物質を含むことが好ましい。これにより、より一層低密度でかつ高表面積を有する、開気孔で多孔構造が構成されている多孔質石膏硬化体を簡便に得ることができる。
上記スラリーは、石膏100重量部に対し、水を40〜2000重量部含むことが好ましい。これにより、より一層低密度でかつ高表面積を有する、開気孔で多孔構造が構成されている多孔質石膏硬化体を簡便に得ることができる。
上記多孔質石膏硬化体は、開気孔率が50%以上であることが好ましい。このような多孔質石膏硬化体は、例えば後述する各種用途により一層有用なものとなる。
本発明はまた、上記製造方法により得られる多孔質石膏硬化体を用いてなる水質浄化材でもある。このような水質浄化材は、種々の元素(例えば、P、Pb、As等)の吸着性能・担持性能に極めて優れるため、排水や汚水、河川等の水の浄化処理に有用である。
本発明の多孔質石膏硬化体の製造方法により、低密度でかつ高表面積を有し、しかも開気孔で多孔構造が構成されている多孔質石膏硬化体を極めて簡便かつ安価に製造することができる。それゆえ、本発明の製造方法により得られる多孔質石膏硬化体は、建築材料や水質浄化材等の各種用途に有用なものである。特に、低密度でかつ高表面積を有するという特性に由来して種々の元素(例えば、P、Pb、As等)の吸着性能・担持性能に優れるため、吸着材や回収材等として、水質浄化材用途に極めて有用なものである。
図1は、実施例1〜4及び比較例1で得た石膏硬化体をそれぞれ円柱状(約1g、直径約1.5cm)とし、正面上斜め方向から撮影した写真である。 図2は、実施例1〜4及び比較例1で得た石膏硬化体をそれぞれ円柱状(約1g、直径約1.5cm)とし、正面方向から撮影した写真(正面写真)である。 図3は、実施例1〜4及び比較例1で得た石膏硬化体をそれぞれ円柱状(約1g、直径約1.5cm)とし、上方向から撮影した写真(平面写真)である。
以下、本発明の一例について具体的に説明するが、本発明は以下の記載のみに限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲において適宜変更して適用することができる。
本発明の多孔質石膏硬化体の製造方法は、(1)石膏、水溶性物質及び水を含むスラリーを作製するスラリー作製工程と、(2)該スラリーから成型物を得る成型工程と、(3)水で洗浄する洗浄工程と、を含むが、必要に応じて1又は2以上のその他の工程を含んでもよい。その他の工程は特に限定されない。
(1)スラリー作製工程
まずスラリー作製工程について説明する。
スラリー作製工程は、石膏、水溶性物質及び水を含むスラリー(懸濁液とも称す)を作製する工程である。作製方法は特に限定されず、各原料が均一に混合された状態になるように、撹拌することが好ましい。また、スラリー作製時の温度は特に限定されないが、例えば、作業面からは、5〜35℃でスラリーの作製を行うことが好ましい。
上記スラリーは、石膏、水溶性物質及び水を含むが、本発明の効果を損なわない範囲でその他の成分を含んでもよい。
なお、各含有成分は、それぞれ1種又は2種以上を使用することができる。
上記石膏としては特に限定されないが、半水石膏(CaSO・1/2HO)を少なくとも含むものが好ましい。半水石膏は、水と反応し水和固化して二水石膏(CaSO・2HO)となるものである。また、半水石膏を主成分とし、無水石膏(CaSO)や、各種の無機物(例えば、炭酸カルシウム、酸化亜鉛、水酸化チタン等の金属化合物)を含むものであってもよい。中でも、無機物を更に含む(又は担持する)ことにより、リンの吸着性能の向上や、硫化物や放射性物質等の石膏だけでは吸着できない物質を効率よく吸着させることが出来ると期待される。特に半水石膏と炭酸カルシウムとを含む石膏を用いた場合、得られる多孔質石膏硬化体は、リン等の特定元素の吸着材や回収材等として極めて有用なものとなる。
上記無機物を石膏に含有又は担持させる方法は特に限定されず、スラリー作製工程で無機物を配合してもよいし、多孔質石膏硬化体を作成した後、この硬化体を、無機物を含むスラリーや水溶液に含浸させてもよい。
上記水溶性物質は、水溶性の物質である。水溶性であるとは、温度25℃において、水100gに対して1g以上溶解する性質を意味し、好ましくはこの溶解量が10g以上、より好ましくは20g以上である。
上記水溶性物質としては、非発泡性の無機物が好ましい。非発泡性であるとは、水溶性物質そのものから、あるいは加熱や中和等の反応により分解することで二酸化炭素等の気体(ガス)が発生しないことを意味する。非発泡性の無機物を用いることで、得られる多孔質石膏硬化体が、より高い開気孔率を有するものとなる。中でも、金属塩であることが好ましい。このような水溶性物質は入手が容易で、高価な起泡剤や発泡剤も不要であるため、より簡便かつ安価に多孔質石膏硬化体を製造することができるうえ、得られる多孔質石膏硬化体が、より一層高い開気孔率を有するものとなる。
上記金属塩としては、例えば、KOH、NaOH、Ba(OH)、LiOH等の水酸化物;ZnCl、AlCl、CaCl、SrCl、FeCl、FeCl、CuCl、BaCl、MgCl、MnCl、MnCl、MnCl、NaCl、KCl等の塩化物;ZnSO、Al(SO、KSO、Zr(SO、CuSO、NaSO、MgSO、MnSO等の硫酸塩;Zn(NO、Al(NO、KNO、Ca(NO、Sr(NO、Cu(NO、NaNO、Ba(NO、Mg(NO、Mn(NO等の硝酸塩;Zn(C、KC、Ca(C、Sr(C、NaCHCO、Ba(C、Mg(C等の酢酸塩;等が挙げられる。これらの中でも、多孔構造化がより容易になる観点から、塩化物が好ましい。
上記水溶性物質として特に好ましくは、塩化ナトリウム(NaCl)及び塩化カリウム(KCl)からなる群より選択される少なくとも1種である。このような水溶性物質を用いることで、より簡便かつ安価に多孔質石膏硬化体を製造することができるうえ、得られる多孔質石膏硬化体が、より一層低密度でかつ高表面積を有するものとなる。
上記水溶性物質の大きさ(メジアン粒径)は特に限定されないが、この大きさは、得られる多孔質石膏硬化体中の開気孔径に影響し得るため、所望の開気孔径となるように水溶性物質の大きさ(メジアン粒径)を選択することが好適である。例えば、水質浄化材用途により好適な多孔質石膏硬化体は、開気孔径(メジアン値)が0.01〜2mmであることが好ましいが、このような開気孔径を有する多孔質石膏硬化体を得るには、水溶性物質のメジアン粒径が0.01〜2mmであることが好ましい。水溶性物質のメジアン粒径としてより好ましくは、0.1〜1mmである。
本明細書中、水溶性物質のメジアン粒径は、JIS Z8815(1994年)〔ふるい分け試験方法通則〕にある乾式ふるい分け試験に従って求めることができる。多孔質石膏硬化体の開気孔径(メジアン値)は、実体顕微鏡カメラによる直上からの撮像と画像処理を行って測定することができる。
上記スラリーにおいて、水溶性物質の含有量は、スラリー作製時の温度における飽和溶解度以上の量であることが好ましい。これにより、より一層多孔化かつ低密度化された多孔質石膏硬化体を簡便に得ることができる。より好ましくは、スラリー作製時の温度における飽和溶解度の1.5倍以上の量であり、更に好ましくは当該飽和溶解度の2倍以上の量である。また、水溶性物質の含有量の上限は特に限定されないが、例えば、後の洗浄工程をより容易に行う観点からは、スラリー作製時の温度における飽和溶解度の10倍以下の量とすることが好ましい。いうまでも無いが上記飽和溶解度は、スラリーに含まれる水に対する、スラリー作製時の温度での水溶性物質の飽和溶解度のことである。
なお、具体的にいうと、例えば、水溶性物質として塩化ナトリウム(水への溶解度:35.9g/100g(25℃))を使用し、スラリー作製時の温度が25℃である場合の「スラリー作製時の温度における飽和溶解度以上の量」とは、水100重量部に対して35.9重量部以上であることを意味する。
また上記スラリーにおいて、水の含有量は、石膏100重量部に対して40〜2000重量部とすることが好ましい。これにより、より一層多孔化かつ低密度化された多孔質石膏硬化体を簡便に得ることができる。より好ましくは50〜1000重量部、更に好ましくは60〜500重量部である。また、成型工程における成型方法に応じてスラリーの粘度を調整してもよい。
上記その他の成分としては特に限定されず、例えば、リンターパルプ、針葉樹パルプ、広葉樹パルプ等のパルプ繊維;パフタード(アミノ酸のホルマリン縮合物、味の素社製)のような界面活性剤等の分散助剤;有機質繊維(アクリル繊維、ビニロン繊維等);無機質繊維(岩綿、ガラス繊維、カーボン繊維等);酵素(タンパク分解酵素、脂肪分解酵素、澱粉分解酵素、繊維質分解酵素等);澱粉(コーンスターチ、馬鈴薯澱粉、コムギ澱粉、コメ澱粉、タピオカ澱粉、サゴ澱粉、化工澱粉等);PVA(ポリビニルアルコール)、メチルセルロース等の結合剤;パーライト、シラスバルーン、バーミキュライト、ガラスバルーン等の無機軽量骨材;着色剤;クエン酸ナトリウム、クエン酸、ゼラチン、ニカワ等の凝結遅延剤;硬化促進剤;再焼成抑制剤;接着剤;均展剤;非均展剤;増粘剤;殺菌剤;殺カビ剤;ペーハー調整剤;着色剤;補強材;難燃剤;撥水剤;及びこれらの混合物;等が挙げられる。
その他の成分の含有量は特に限定されないが、例えば、スラリー100重量部中、10重量部以下とすることが好ましい。
(2)成型工程
成型工程(成形工程とも称す)は、スラリー作製工程で得たスラリーを成型することで成形物を得る工程である。成型の方法や条件等は特に限定されず、スラリーを型に流し込む方法や、粘性のスラリーをベルトコンベアーに1層又は2層以上に塗布する方法、あるいは造粒する方法等が挙げられるが、水和反応が充分に進行してスラリーが硬化するように適宜設定すればよい。例えば、スラリーを型に流し込んだ後、10〜100℃で0.5〜50時間静置することが好ましい。
また成型時の温度(硬化温度とも称す)は、得られる多孔質石膏硬化体中の開気孔径(メジアン値)に影響し得るため、所望の開気孔径となるように硬化温度を設定することが好適である。例えば、水質浄化材用途により好適な多孔質石膏硬化体は、開気孔径(メジアン値)が0.01〜2mmであることが好ましいが、このような開気孔径を有する多孔質石膏硬化体を得るには、硬化温度を10〜100℃とすることが好ましい。硬化温度としてより好ましくは、20〜80℃である。
本発明では、成型工程を行った後、乾燥工程を行うことが好適である。乾燥の方法や条件等は特に限定されず、石膏硬化体の重量がその乾燥条件で変化しなくなるまで(すなわち恒量になるまで)行うことが好ましい。また、原料の混合比率の異なる場合でも充分に乾燥されるように乾燥条件を設定することも好適である。例えば、30〜80℃の乾燥器にて0.5〜50時間乾燥させることが好ましい。
(3)洗浄工程
洗浄工程は、成型工程により得られた成型物(成型工程後に、更に乾燥工程や他の工程を経て得られたものも含む)を、水で洗浄する工程である。水で洗浄することで、成型工程や乾燥工程で析出した水溶性物質が溶出し、これにより多孔構造が形成される。洗浄する水に制限は無く、純水、イオン交換水、蒸留水、水道水のいずれでもよいし、水に溶解あるいは混和する有機溶媒を含んでいてもよい。
上記洗浄工程における洗浄方法は特に限定されず、水溶性物質が充分に取り除かれるように行うことが好ましい。例えば、成形物重量に対して5〜10000倍の水に0.5〜50時間浸すことにより行うことができる。このとき、水を撹拌することで洗浄の効率が向上する。また、水溶性物質をより除去するため、このような洗浄工程を繰り返し行ってもよい。
本発明では、洗浄工程を行った後、必要に応じて更に脱水及び/又は乾燥工程を行うことが好適である。脱水、乾燥の方法や条件等は特に限定されず、フィルター、遠心、デカンテーション等による脱水や、蒸気、電機、ガス、赤外線等による加熱、真空減圧等による乾燥方法が挙げられるが、得られた多孔質石膏硬化体の重量が変化しなくなるまで行うことが好ましい。
本発明の製造方法により得られる多孔質石膏硬化体は、低密度で、かつ充分に多孔化されたものであり、高表面積を有する。それゆえ、建築材料や水質浄化材等の各種用途に有用なものである。特に、吸着性能・担持性能に優れるため、種々の元素(例えば、P、Pb、As等)の吸着材や回収材等として、土壌、水質、汚泥の浄化材用途に極めて有用なものである。このように本発明の製造方法により得られる多孔質石膏硬化体、それを含む吸着材、回収材及び水質浄化材もまた、本発明の好適な形態の1つである。
ここで、排水や汚水、河川等の水には、リン(P)の他、鉛(Pb)やヒ素(As)等の重金属が含まれることがあるため、浄化処理を必要としているが、本発明の多孔質石膏硬化体は、これらの元素を吸着し回収する性能に優れる点で水質浄化材として特に有用である。また、本発明の多孔質石膏硬化体はリン(P)の吸着・回収性能に優れる点で、より高度な水の浄化処理を実現することもできる。この点について、本発明の多孔質石膏硬化体の表面には、排水等の水中のリン(P)がリン酸カルシウムとして沈着する。リン酸カルシウムは細菌の吸着性能を有するため、近年、排水・汚水の浄化手段として下水処理場、し尿処理場、浄化槽他で広く利用されている活性汚泥中の好気性微生物群を、多孔質石膏硬化体表面に固定化することができ、したがって、本発明の多孔質石膏硬化体を用いれば、より高度な水の浄化処理を行うことが可能になる。すなわち本発明の製造方法により得られる多孔質石膏硬化体を用いてなる水質浄化材は、排水や汚水、河川等の水の浄化処理に有用であるが、このような水質浄化材もまた、本発明の1つである。
上記建築材料としては、例えば、床、壁、天井、屋根、柱、梁、石材や廻り縁、巾木等の化粧役物等が挙げられる。
上記多孔質石膏硬化体は、開気孔率が50%以上であることが好ましい。すなわち本発明の製造方法により、このような空隙率の大きな多孔質石膏硬化体を好適に得ることができる。開気孔率は、より好ましくは55%以上、更に好ましくは60%以上である。
本明細書中、気孔率とは、真の固体部分と、その隙間(すなわち気孔)との容積の比をいうが、気孔には、外部に接続している開気孔と、物体内部に独立している閉気孔とがある。開気孔率(%)とは、JIS R1634(1998年)に規定されているとおり、試料の外形容積を1とした場合にこの中に占める開気孔部分の容積の百分比を意味し、下記式1により算出することができる。本明細書では、JIS R1634(1998年)に準拠して測定される値を「開気孔率(%)」と称す。
本発明を詳細に説明するために以下に実施例を挙げるが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
実施例1
(1)スラリー作製工程
石膏に半水石膏を準備した。原料として半水石膏、水及び塩化ナトリウムを秤量し、容器中に混入した。次いで、上記原料が均一になるように、25℃で2分間攪拌し、懸濁液(スラリー)を作製した。混合比率は、半水石膏、水、塩化ナトリウムの重量比が(半水石膏:水:塩化ナトリウム=1.00:0.64:0.36)となるようにした。
(2)成型工程
次いで、得られた懸濁液を円筒型の型に流し込み、25℃で5時間静置して、懸濁液を硬化させた。
(3)乾燥工程
成型工程により得られた成型体を型枠から取り出し、60℃の乾燥器に入れて24時間乾燥させ、石膏硬化体を作製した。
(4)洗浄工程
次いで、得られた石膏硬化体を600ミリリットルの水に浸し、水を100rpmで12時間撹拌し、成型工程及び乾燥工程で析出した塩化ナトリウムの固形分を溶出させた。なお、容器について、1リットルビーカーを使用し、塩化ナトリウムの固形分を充分に取り除くため、上記洗浄工程を3回繰り返した。次いで、得られた石膏硬化体を60℃の乾燥器に入れて24時間乾燥させることで、多孔構造を有する石膏硬化体(多孔質石膏硬化体)を得た。
実施例2〜6
スラリー作製工程中の塩化ナトリウムの割合が異なる懸濁液を準備して使用したほかは、実施例1と同様にして多孔質石膏硬化体を各々作製した。懸濁液中の半水石膏と水と塩化ナトリウムの割合は表1に示した。
比較例1
スラリー作製工程において、塩化ナトリウムを使用しないで懸濁液を準備して使用したほかは、実施例1と同様にして石膏硬化体を作製した。懸濁液中の半水石膏と水の割合は表1に示した。
各実施例及び比較例で得た石膏硬化体のそれぞれについて、JIS R1634(1998年)に準拠して開気孔率(%)を求めた。結果を表1に示す。
また、実施例1〜4及び比較例1で得た石膏硬化体をすべて同じ重量(約1g)及び直径(約1.5cm)の円柱状になるように切り取り、正面上斜め方向、正面方向及び上方向から撮影した写真を図1〜3に示す。
実施例及び比較例より、以下のことを確認した。
実施例1〜6で得た多孔質石膏硬化体と比較例1で得た石膏硬化体とは、原料に水溶性物質(塩化ナトリウム)を使用したか否かの点でのみ相違する。
この相違の下、図1〜3において両者を対比すると、実施例1〜4で得た多孔質石膏硬化体は、比較例1で得た石膏硬化体に比較して、穴(孔)の数が明らかに多い(特に図3参照)。また、図1〜3で示す各石膏硬化体は全て同じ重量及び直径であるにも関わらず、実施例1〜4で得た多孔質石膏硬化体の方が、明らかに高さ(長さ)が大きいことが分かる(特に図2参照)。更に、表1より、実施例1〜4で得た多孔質石膏硬化体は、比較例1で得た石膏硬化体に比較して、開気孔率が著しく大きいことが分かる。実施例5、6で得た多孔質石膏硬化体についても同様に多孔構造化が顕著であることが読み取れる(表1参照)。これらの点から、実施例1〜6で得た多孔質石膏硬化体は、比較例1で得た石膏硬化体に比較して、多孔構造化が顕著であることが確認された。
したがって、本発明の製造方法によって、低密度でかつ高表面積を有する多孔質石膏硬化体を簡便かつ安価に製造することができることが確認された。
なお、多孔質石膏硬化体の多孔構造は、水溶性物質(実施例では塩化ナトリウムを使用)の溶出により形成するため、全て開気孔から構成されていると考えられる。
ここで、上述した実施例では、水溶性物質として塩化ナトリウムを使用した例のみを開示している。だが、塩化ナトリウムのみに限らず、水溶性の物質を用いる限り、成型後の水での洗浄工程によって水溶性物質が溶出して多孔構造化するという機構は同様である。少なくとも、水溶性物質として非発泡性の無機物(特に好ましくは金属塩)を用いれば、本発明の有利な効果を発現することは確実であるといえる。

Claims (8)

  1. 石膏、水溶性物質及び水を少なくとも用いて多孔質石膏硬化体を製造する方法であって、
    該製造方法は、
    石膏、水溶性物質及び水を含むスラリーを作製するスラリー作製工程と、
    該スラリーから成型物を得る成型工程と、
    水で洗浄する洗浄工程と
    を少なくとも含むことを特徴とする多孔質石膏硬化体の製造方法。
  2. 前記水溶性物質は、非発泡性の無機物であることを特徴とする請求項1に記載の多孔質石膏硬化体の製造方法。
  3. 前記水溶性物質は、金属塩であることを特徴とする請求項2に記載の多孔質石膏硬化体の製造方法。
  4. 前記水溶性物質は、塩化ナトリウム及び塩化カリウムからなる群より選択される少なくとも1種であることを特徴とする請求項3に記載の多孔質石膏硬化体の製造方法。
  5. 前記スラリーは、前記スラリー作製時の温度における飽和溶解度以上の量の前記水溶性物質を含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の多孔質石膏硬化体の製造方法。
  6. 前記スラリーは、石膏100重量部に対し、水を40〜2000重量部含むことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の多孔質石膏硬化体の製造方法。
  7. 前記多孔質石膏硬化体は、開気孔率が50%以上であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の多孔質石膏硬化体の製造方法。
  8. 請求項1〜7のいずれかに記載の製造方法により得られる多孔質石膏硬化体を用いてなることを特徴とする水質浄化材。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN114043611A (zh) * 2021-10-29 2022-02-15 四川吉浦森建材有限公司 一种防潮石膏制品养护方法及使用该方法的石膏制品
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