JP2016155312A - 液体吐出装置、および、液体吐出装置の制御方法 - Google Patents

液体吐出装置、および、液体吐出装置の制御方法 Download PDF

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Abstract

【課題】液体流路における気泡をより効率よく排出することが可能な液体吐出装置、および、液体吐出装置の制御方法を提供する。
【解決手段】サブタンク21と記録ヘッド10との間の接続流路25に設けられた三方弁27からインク流路内に当該インク流路を閉塞し得る大きさの気泡Bを導入し、吸引ポンプ19またはアクチュエーター37を作動させて、インク流路内に導入された気泡Bを当該インク流路において記録ヘッド10のノズル38に向けて移動させてノズル38から排出させるクリーニング処理を行う。
【選択図】図2

Description

本発明は、インクジェット式記録ヘッドなどの液体吐出ヘッド、および、液体吐出装置に関するものであり、特に、液体を吐出する液体吐出ヘッドを備えた液体吐出装置、および、液体吐出装置の制御方法に関する。
液体吐出装置は液体吐出ヘッドを備え、この吐出ヘッドから各種の液体を吐出する装置である。この液体吐出装置としては、例えば、インクジェット式プリンターやインクジェット式プロッター等の画像記録装置があるが、最近ではごく少量の液体を所定位置に正確に着弾させることができるという特長を生かして各種の製造装置にも応用されている。例えば、液晶ディスプレイ等のカラーフィルターを製造するディスプレイ製造装置,有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイやFED(面発光ディスプレイ)等の電極を形成する電極形成装置,バイオチップ(生物化学素子)を製造するチップ製造装置に応用されている。そして、画像記録装置用の記録ヘッドでは液状のインクを吐出し、ディスプレイ製造装置用の色材吐出ヘッドではR(Red)・G(Green)・B(Blue)の各色材の溶液を吐出する。また、電極形成装置用の電極材吐出ヘッドでは液状の電極材料を吐出し、チップ製造装置用の生体有機物吐出ヘッドでは生体有機物の溶液を吐出する。
上記液体吐出ヘッドには種々の形式があるが、広く普及している所謂オン・デマンド方式のものは、上記の液体を貯留した液体供給源(例えば、液体カートリッジ)から液体の供給を受けてヘッド内部の流路に導入し、圧電素子や発熱素子等のアクチュエーターを駆動することで、ヘッド内部の流路の液体をノズルから吐出させる構成を採用している。このような液体吐出ヘッドを備える液体吐出装置においては、上記の液体供給源から液体吐出ヘッドに至るまでのインク供給経路および液体吐出ヘッド内部の流路を含む液体流路を有している。このような液体流路は全て液体で満たされていることが理想であるが、液体供給源との接続部分等から気泡が混入することがある。このため、この種の液体吐出ヘッドを備える液体吐出装置では、液体流路に混入した気泡を排出するクリーニング処理が行われている(例えば、特許文献1参照)。このクリーニング処理では、通常の液体の吐出時よりも速い流速で液体の流れを生じさせることで、液体と共に気泡を排出させていた。
特開2002−337365号公報
しかしながら、従来のクリーニング処理では、例えば管状の流路の内壁側と中心側とで流速に差が生じる。具体的には、流路の内壁に近い部分(境界層)では液体の粘性が影響して流速が中心側の流速よりも遅くなる。これにより、上記クリーニング処理あるいは液体を捨て撃ちする所謂フラッシング処理では、流路の内壁に近い部分に微小な気泡が残りやすいという問題があった。このため、微小な気泡を排出させるためには、その分多くの液体を消費してしまうことになる。また、このような微小な気泡を放置しておくと、他の気泡と合体する等して成長し、流路を塞ぐ等により液体を吐出することができなくなる等の不具合を生じさせるおそれがある。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、液体流路における気泡をより効率よく排出することが可能な液体吐出装置、および、液体吐出装置の制御方法を提供することである。
〔手段1〕
本発明は、上記目的を達成するために提案されたものであり、液体を吐出するノズルを有する液体吐出ヘッドと、
前記ノズルから吐出される液体が流れる液体流路を塞ぎ得る量の気泡を導入する気泡導入機構と、
前記液体流路内において前記気泡導入機構により導入された気泡を排出口に向けて移動させて当該排出口から排出させる気泡移動機構と、
を備えることを特徴とする。
手段1の構成によれば、液体流路に当該液体流路を閉塞し得る大きさの気泡を導入し、導入された気泡を液体流路において排出口に向けて移動させて当該排出口から排出させることで、従来のクリーニング処理では除去することが難しかった液体流路の内壁近傍の気泡を、気泡導入機構により導入した気泡と共に排出口から排出することが可能となる。これにより、クリーニング処理における液体の消費量を低減することができる。また、液体流路内に残った気泡による吐出不良等の不具合を抑制することができる。
〔手段2〕
また、上記手段1の構成において、前記液体流路は、前記液体吐出ヘッド側への液体の供給を調整する供給調整機構もしくは液体を濾過するフィルターを備え、
前記気泡導入機構は、前記液体流路の一部であって前記供給調整機構もしくは前記フィルターと液体吐出ヘッドとの間を連通する管状流路に配置された構成を採用することが望ましい。
手段2の構成によれば、液体吐出ヘッドと管状流路との接続部分では、流路への接着剤のはみだし等により特に気泡が滞留しやすいため、これよりも上流側であって気泡が通過しにくい供給調整機構もしくはフィルターよりも下流側の管状流路に気泡導入機構を配置することで、このような気泡をより確実に排出することができる。
〔手段3〕
また、上記手段1または手段2の構成において、前記液体吐出ヘッドは、液体流路の液体に圧力変動を生じさせるアクチュエーターを有し、このアクチュエーターを前記気泡移動機構として駆動させることで、前記気泡を前記液体流路内において移動させて前記排出口から排出させる構成を採用することが望ましい。
手段3の構成によれば、アクチュエーターを気泡移動機構として利用できるので、気泡移動機構を別途設ける必要が無く簡便である。
〔手段4〕
また、上記手段1から手段3の何れか一の構成において、前記排出口は、前記ノズルである構成を採用することが望ましい。
〔手段5〕
また、本発明は、液体吐出ヘッドがノズルから吐出する液体が流れる液体流路を備えた液体吐出装置の制御方法であって、
前記液体流路に、当該液体流路を塞ぎ得る量の気泡を導入する工程と、
導入された気泡を前記液体流路において排出口に向けて移動させる工程と、
前記排出口から前記気泡を排出する工程と、
を含むことを特徴とする。
プリンターの構成を説明する斜視図である。 インクカートリッジからサブタンクを通って記録ヘッドに至るまでの構成について説明する模式図である。 プリンターの電気的な構成を説明するブロック図である。 微小気泡を除去する過程を示す模式図である。 クリーニング処理の流れを説明するフローチャートである。
以下、本発明を実施するための形態を、添付図面を参照して説明する。なお、以下に述べる実施の形態では、本発明の好適な具体例として種々の限定がされているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの態様に限られるものではない。また、以下においては、本発明の液体吐出装置として、液体吐出ヘッドの一種であるインクジェット式記録ヘッド(記録ヘッド10)を搭載したインクジェット式プリンター(プリンター1)を例に挙げて説明する。
図1はインクジェット式記録装置(以下、プリンターという)の構成を示す平面図である。本実施形態におけるプリンター1は、記録用紙等の表面に対して液体状のインク(本発明の液体に相当)を吐出して画像やテキスト等の記録を行う装置である。このプリンター1は、フレーム2と、このフレーム2内に配設されたプラテン3とを備えており、紙送りモーターの駆動により回転する紙送りローラー(何れも図示せず)によってプラテン3上に記録用紙が搬送されるようになっている。また、フレーム2内には、プラテン3と平行にガイドロッド4が架設されており、このガイドロッド4には、液体吐出ヘッドの一種である記録ヘッド10を収容したキャリッジ5が摺動可能に支持されている。このキャリッジ5は、パルスモーター6の駆動によって回転する駆動プーリー7と、この駆動プーリー7とはフレーム2における反対側に設けられた遊転プーリー8との間に架設されたタイミングベルト9に接続されている。そして、キャリッジ5は、後述するキャリッジ移動機構47によりガイドロッド4に沿って紙送り方向と直交する主走査方向に往復移動するように構成されている。
フレーム2の一側には、インクカートリッジ13(液体供給源の一種)を着脱可能に搭載するカートリッジホルダー14が設けられている。インクカートリッジ13は、エアチューブ15を介してエアポンプ16と接続されており、このエアポンプ16からの空気が各インクカートリッジ13内に供給される。そして、この加圧空気によってインクカートリッジ13内に配設されたインクパックが加圧されることにより、インクパック内のインクがインク供給チューブ17を通じて記録ヘッド10側に供給(圧送)されるように構成されている。また、プリンター1本体側と記録ヘッド10側との間には、プリンター1本体側の制御部(図示せず)から記録ヘッド10側に駆動信号等を伝送するFFC(フレキシブルフラットケーブル)18が配線されている。
記録ヘッド10の移動範囲における一側(カートリッジホルダー14側)に設けられたホームポジションには、記録ヘッド10のノズル面を封止するキャップ12を有するキャッピング機構11が配設されている。キャップ12は、エラストマー等の弾性を有する材料により、上面が開口したトレイ状の部材である(図2参照)。そして、キャッピング機構11は、ホームポジションで待機状態にある記録ヘッド10のノズル面をキャップ12により封止してノズル38からインクの溶媒が蒸発することを抑制する。また、キャッピング機構11は、図2に示すように、記録ヘッド10のノズル面を封止した状態で封止空部内を吸引ポンプ19によって負圧化し、インクカートリッジ13からサブタンク21を通って記録ヘッド10のノズル38に至るまでの一連のインク流路(本発明における液体流路に相当)内のインクや気泡を記録ヘッド10のノズル38(本発明における排出口に相当)から強制的に吸引して排出するクリーニング処理を行うことができる。
図2は、インクカートリッジ13からサブタンク21を通って記録ヘッド10に至るまでの構成について説明する模式図である。本実施形態におけるプリンター1においては、インクカートリッジ13からインク供給チューブ17を通じて送られてきたインクは、まず、サブタンク21の内部のタンク流路21′に流入する。サブタンク21に流入したインクは、フィルター22によって濾過された後、供給調整弁23により開閉される流入口24から感圧室30に導入される。感圧室30内のインクは、接続流路25(本発明における管状流路に相当)を通じて記録ヘッド10のヘッド流路26内に供給される。接続流路25の途中には、三方弁27(本発明における気泡導入機構に相当)が設けられており、後述するプリンターコントローラー40のCPU43の制御により記録ヘッド10のヘッド流路26に対しサブタンク21側または大気開放側に接続が切り替えられるように構成されている。
本実施形態におけるサブタンク21は、例えば合成樹脂等から作製されたタンク本体29内に、フィルター22および供給調整弁23(本発明における供給調整機構に相当)を有している。フィルター22は、インクカートリッジ13側からのインクを濾過する部材であり、例えば、金属をメッシュ状に細かく編み込んで形成されている。供給調整弁23は、フィルター22と感圧室30との間に配置されており、異径コイルバネから成る付勢部材31によって閉弁位置側へ付勢されている。供給調整弁23は、閉弁状態では感圧室30に通じる流入口24を塞ぎ、開弁状態では流入口24を開放する。この開弁状態ではフィルター22を通過したインクが流入口24を通じて感圧室30に流入する。感圧室30は、タンク本体29の一方の側面(図2における右側の側面)に開口した空部であり、接続流路25と連通している。タンク本体29の一方の側面には、感圧室30の内圧が低くなるに連れて感圧室30の内側に弾性変形する可撓性のフィルム33が感圧室30の開口を封止する状態で貼着されている。フィルム33は、例えば、可撓性を有する薄手の樹脂製のフィルムから成る。また、このフィルム33の内側(感圧室側)には、一端部(図中、上側の端部)を軸として回動可能な作動片34が設けられている。この作動片34は、フィルム33の変位に伴って回動する。
サブタンク21においては、供給調整弁23が閉弁状態となってフィルター22側から感圧室30側へのインクの流入が遮断されると、感圧室30の内圧が記録ヘッド10によるインクの消費に伴って次第に低下する。この感圧室30の内圧の低下に伴ってフィルム33が感圧室30の内側へ弾性変形し、作動片34を供給調整弁23側へ押圧する。これにより、作動片34は、フィルム33が弾性変形する際の押圧力を受けて、閉弁位置にある供給調整弁23を押圧し、付勢部材31の弾性力に抗しながら供給調整弁23を開弁する。これにより、インクカートリッジ13から導入されてフィルター22を通過したインクが流入口24を通じて感圧室30に流れ込む。そして、感圧室30に流れ込んだインクは接続流路25を通じて記録ヘッド10側に供給される。
記録ヘッド10は、ヘッド本体36の内部に、ヘッド流路26と、このヘッド流路26の内のインクに圧力変動を生じさせるアクチュエーター37を備えている。また、ヘッド本体36の底面(プラテン3と対向する面)には、ヘッド流路26と連通するノズル38が開設されている。アクチュエーター37は、例えば、圧電素子から構成されている。この圧電素子は、金属製の下電極と、例えばチタン酸ジルコン酸鉛等からなる圧電体と、金属からなる上電極とを順次積層することで形成された所謂撓み振動型の圧電素子である。この記録ヘッド10は、プリンター1のプリンターコントローラー側からFFC18を通じてアクチュエーター37に駆動信号が選択的に印加されると、駆動信号の電位変化に応じて変形し、この変形によってヘッド流路26内のインクに圧力変動を生じさせることができ、このインクの圧力変動を利用してノズル38からインクを吐出させる。
図3は、プリンター1の電気的な構成を説明するブロック図である。本実施形態におけるプリンター1は、プリンターコントローラー40とプリントエンジン41とを備えている。本実施形態におけるプリンターコントローラー40は、外部インターフェース(I/F)42と、CPU43と、メモリー44と、駆動信号発生回路45と、を有する。外部インターフェース42は、外部機器との間で印刷データや印刷命令等の送受信を行う。CPU43は、プリンター全体の制御を行うための演算処理装置である。メモリー44は、CPU43のプログラムや各種制御に用いられるデータを記憶する素子であり、ROM、RAM、NVRAM(不揮発性記憶素子)を含む。CPU43は、メモリー44に記憶されているプログラムに従って、各ユニットを制御する。駆動信号発生回路45は、記録ヘッド10のアクチュエーター37を駆動する駆動信号を発生する。
プリントエンジン41は、紙送り機構46、キャリッジ移動機構47、リニアエンコーダー48、キャッピング機構11、三方弁27、および記録ヘッド10等を備えている。プリンター1は、紙送り機構46によって記録用紙等の記録媒体をプラテン3上に順次搬送すると共に、記録媒体に対して記録ヘッド10を記録媒体の幅方向(主走査方向)にキャリッジ移動機構47により相対移動させながら当該記録ヘッド10のノズル38からインクを吐出させて、記録媒体上に当該インクを着弾させることにより画像等を記録する。リニアエンコーダー48は、キャリッジ5に搭載された記録ヘッド10の走査位置に応じたエンコーダーパルスを、主走査方向における位置情報としてプリンターコントローラー40に出力する。プリンターコントローラー40のCPU43は、リニアエンコーダー48側から受信したエンコーダーパルスに基づいて記録ヘッド10の走査位置(現在位置)を把握することができる。
次に、上記プリンター1において、インク流路における微小な気泡を除去するクリーニング処理について説明する。
図4は、インク流路における微小気泡を除去する過程を示す模式図、図5は、クリーニング処理の流れを説明するフローチャートである。クリーニング処理を実行するタイミングとしては、一定の期間ごと、あるいはユーザーにより指示されたタイミング等、その他の任意のタイミングを採用することができる。このクリーニング処理では、まず、キャリッジ5がホームポジションに位置付けられて、キャッピング機構11によって記録ヘッド10のノズル面(底面)がキャッピングされる(ステップS1)。続いて、三方弁27がサブタンク21側から大気開放側に切り替えられる(ステップS2)。これにより、接続流路25は、大気開放路28を通じて大気開放される。この状態で、アクチュエーター37が駆動されてノズル38からヘッド流路26内のインクがキャッピング機構11のキャップ12内に吐出されることで、インク流路内が負圧化される。これにより、接続流路25には、ヘッド流路26を塞ぎ得る量の気泡Bが大気開放路28を通じて導入される(ステップS3)。ここで、ノズル38から吐出させるインクの総量を制御することで、接続流路25に導入する気泡Bの大きさを調整することができる。なお、ヘッド流路26を塞ぎ得る量の気泡Bは、インク中において流路の内壁等の構造物に触れていない状態(球形の状態)における最大の断面積が、ヘッド流路26の断面積(液体の流下方向に交差する方向の断面積)よりも大きくなる量を意味する。少なくとも、後述するように気泡Bがヘッド流路26内を移動する際に当該ヘッド流路26を閉塞し得る量であればよい。
気泡Bが大気開放路28を通じて導入されたならば、続いて、三方弁27が大気開放側からサブタンク21側に切り替えられる(ステップS4)。これにより、以降においてヘッド流路26内(インク流路内)が負圧化された場合には、接続流路25には気泡(空気)は流入せず、サブタンク21側からインクが流入する。次に、この状態で、キャッピング機構11の吸引ポンプ19が作動されてキャップ12の内部空間が負圧化される(ステップS5)。これにより、ノズル38からインクがキャップ12内に排出されると共に、インク流路には記録ヘッド10のノズル38に向かうインクの流れが生じる。これにより、接続流路25に導入された気泡Bは、インク流路内をノズル38に向けて移動する。ここで、図4(a)に示すように、通常のインクの流れのみで行われる従来のクリーニング処理では除去されなかった微小な気泡bがヘッド流路26の内壁の近傍に滞っていたとしても、図4(b)に示すように、ヘッド流路26を閉塞し得る量の気泡Bは、これらの微小な気泡bを取り込みつつ若しくは押し出しつつ、ノズル38に向けて移動する。そして、ノズル38に到達した気泡Bは、排出口としてのノズル38からキャップ12内に排出される(ステップS6)。キャップ12に排出された廃インク等は、排液チューブ20を通じて図示しない廃インクタンクに排出される。
このように、本発明に係るプリンター1では、インク流路内に当該インク流路を閉塞し得る大きさの気泡Bを導入し、導入された気泡Bをインク流路においてノズル38に向けて移動させてノズルから排出させるクリーニング処理を行うことで、従来のクリーニング処理では除去することが難しかった流路内壁近傍の微小気泡bを気泡Bと共に排出することが可能となる。特に、管状の流路の内壁付近に滞留する気泡を効率的に除去することができる。これにより、クリーニング処理におけるインクの消費量を低減することができる。また、インク流路内に残った気泡b同士が合体する等にして成長した場合の吐出不良等の不具合を未然に抑制することができる。
また、本実施形態においては、記録ヘッド10と接続流路25との接続部分では、流路側への接着剤のはみだし等により特に気泡bが滞留しやすいため、これよりも上流側であって気泡が通過しにくいフィルター22や供給調整弁23を有するサブタンク21よりも下流側の接続流路25に三方弁27を配置することで、この位置から気泡Bを導入して気泡bをより確実に排出することができる。
ところで、本発明は、上記した実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲の記載に基づいて種々の変形が可能である。
例えば、上記実施形態では、キャッピング機構11のキャップ12で記録ヘッド10のノズル面を封止した状態で吸引ポンプ19を作動させることで、気泡Bをヘッド流路26内で移動させる構成を例示したが、これには限られない。例えば、アクチュエーター37を作動させることで(すなわち、所謂フラッシング処理を行うことで)、気泡Bをヘッド流路26内で移動させる構成を採用することもできる。アクチュエーター37を気泡移動機構として利用できるので、気泡移動機構を別途設ける必要が無く簡便である。また、複数のノズル38および各ノズル38に対応するアクチュエーター37が設けられた構成では、これらのアクチュエーター37を選択的に駆動させることにより、気泡Bを狙った位置に誘導することが可能である。すなわち、微小な気泡bを除去したい位置にあるアクチュエーター37を優先的に駆動させることにより、この位置まで気泡Bを誘導させることができる。これにより、流路に滞留する気泡をより確実に排出することができる。
また、ノズル38からヘッド流路26内に気泡Bを導入し、大気開放路28の開放口を排出口としてこの排出口側に向けて気泡Bを移動させ、排出口から排出させる構成を採用することもできる。
さらに、上記実施形態では、排出口(ノズル38)側を負圧化することで、気泡を排出口に向けて移動させる構成を例示したが、これには限られず、気泡の導入側からインク流路内を加圧することで気泡を排出口に向けて移動させる構成を採用することもできる。但し、流路内壁に近い位置にある気泡をより確実に排出する観点から、排出口(ノズル38)側を負圧化することで、気泡を排出口に向けて移動させる構成を採用することが望ましい。インク流路内を負圧化することで、インク流路内で気泡が膨張し、この膨張した気泡により流路内壁に近い位置にある気泡を取り込み若しくは押し出しやすくなるからである。
さらに、上記では、本発明におけるアクチュエーター37として、所謂撓み振動型の圧電素子を例示したが、これには限られず、静電気力によって圧力室の一部を変位させる所謂静電方式のアクチュエーターや、加熱により液体内に生じる気泡により圧力室内に圧力変動を生じさせる発熱素子等の他のアクチュエーターを採用する構成においても本発明を適用することが可能である。
そして、以上では、液体吐出装置として、液体吐出ヘッドの一種である記録ヘッド10を備えるプリンターを例に挙げて説明したが、本発明は、液体吐出ヘッドが吐出する液体が流れる液体流路インク流路を備えた他の液体吐出装置にも適用することができる。例えば、液晶ディスプレイ等のカラーフィルターの製造に用いられる色材吐出ヘッド、有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイ、FED(面発光ディスプレイ)等の電極形成に用いられる電極材吐出ヘッド、バイオチップ(生物化学素子)の製造に用いられる生体有機物吐出ヘッド等を備えた液体吐出装置にも本発明を適用することができる。
1…プリンター,10…記録ヘッド,11…キャッピング機構,12…キャップ,13…インクカートリッジ,17…インク供給チューブ,19…吸引ポンプ,21…サブタンク,22…フィルター,23…供給調整弁,25…接続流路,26…ヘッド流路,27…三方弁,28…大気開放弁,37…アクチュエーター,38…ノズル

Claims (5)

  1. 液体を吐出するノズルを有する液体吐出ヘッドと、
    前記ノズルから吐出される液体が流れる液体流路を塞ぎ得る量の気泡を導入する気泡導入機構と、
    前記液体流路内において前記気泡導入機構により導入された気泡を排出口に向けて移動させて当該排出口から排出させる気泡移動機構と、
    を備えることを特徴とする液体吐出装置。
  2. 前記液体流路は、前記液体吐出ヘッド側への液体の供給を調整する供給調整機構もしくは液体を濾過するフィルターを備え、
    前記気泡導入機構は、前記液体流路の一部であって前記供給調整機構もしくは前記フィルターと液体吐出ヘッドとの間を連通する管状流路に配置されたことを特徴とする請求項1に記載の液体吐出装置。
  3. 前記液体吐出ヘッドは、液体流路の液体に圧力変動を生じさせるアクチュエーターを有し、このアクチュエーターを前記気泡移動機構として駆動させることで、前記気泡を前記液体流路内において移動させて前記排出口から排出させることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の液体吐出装置。
  4. 前記排出口は、前記ノズルであることを特徴とする請求項1から請求項3の何れか一項に記載の液体吐出装置。
  5. 液体吐出ヘッドがノズルから吐出する液体が流れる液体流路を備えた液体吐出装置の制御方法であって、
    前記液体流路に、当該液体流路を塞ぎ得る量の気泡を導入する工程と、
    導入された気泡を前記液体流路において排出口に向けて移動させる工程と、
    前記排出口から前記気泡を排出する工程と、
    を含むことを特徴とする液体吐出装置の制御方法。
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