JP2016155146A - 鋳造用鋳型の製造方法 - Google Patents

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靖彦 水流
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泰治 鳥越
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Masahito Shida
雅人 志田
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Abstract

【課題】高温強度が向上した鋳型の製造方法を提供する【解決手段】鋳造用ろう型21にバインダー63を含むスラリーを塗布して、前記スラリーの表面にスタッコ材として非酸化物系セラミック材61を付着させて成形体を得る成形体形成工程と、前記成形体を酸素含有雰囲気下において熱処理して鋳型1を得る熱処理工程とを行う。前記熱処理工程において、前記非酸化物系セラミック材61が表面に液相を生成して、前記バインダー63との密着層51を形成する温度まで加熱する。【選択図】図2

Description

本発明は、鋳造用鋳型の製造方法に関するものである。
鋳物を製造する精密鋳造法として、ロストワックス法(インベストメントモールド法)が知られている。ロストワックス法では、まず、バインダーとして例えば非晶質シリカの微粒子が分散したゾルに、耐火物の粒子であるフラワーを添加して、均一に混合したスラリーを作成する。次に、このスラリーをろう型に付着させて、スラリーの上に粗粒の耐火物粉であるスタッコ材を付着させて乾燥する。この操作を10回程度繰り返すことで、シリカ及びフラワーからなる層とスタッコ材からなる層とが複数積層されて、所定の厚みの被覆層が形成された成型体が作製される。さらに、この成型体からろう型を構成するワックスを融解・除去して、焼成することにより鋳型を製造する。
特許文献1では、ロストワックス法において、スタッコ材として熱伝導率が高い炭化珪素を用いて成形体を作成して、ワックスを溶解して排出させた後に、1000℃で熱処理して鋳型を得る技術が開示されている。
国際公開番号WO2014/057914号公報
特許文献に1に開示された技術は、熱伝導率が高いスタッコ材を用いることにより、鋳型の熱伝導率を高めて、鋳物の歩留まりの向上を計るものである。しかしながら、よりいっそう生産性を向上させることのできる鋳型が求められていた。
生産性の向上は、鋳型を薄肉化することで、凝固時の温度勾配を増加させて、金属の冷却速度を速めることによっても行うことができる。これにより、冷却時間を短縮して、鋳物の生産性を向上させることが可能となる。このように、冷却速度を速める観点からは鋳型の薄肉化が有効となるが、単に鋳型の厚みを薄くするだけでは鋳込み時に鋳型が割れてしまうことがあるため、薄肉化のためには鋳型の高温強度が必要となる。
従来のロストワックス法においては、焼成することによってバインダーである非晶質シリカが結晶質になり、例えば10μm程度の粒径のフラワーや、例えば100〜200μm程度の粒径のスタッコ材を結合させている。しかし、スタッコ材は、周囲の粒子と比べて粒径が大きいために、バインダーだけではスタッコ材を十分に結合することができなかった。このため、鋳型の強度が不足しており、薄肉化が困難であった。
鋳型の強度、中でも鋳込む際の高温時の強度を向上させることができれば、鋳型を薄肉化して冷却速度を速め、生産性を向上させることが可能となる。したがって、高温強度を向上させることのできる鋳型及び製造方法が求められている。
本発明は上記のような課題に鑑みなされたもので、本発明の目的の一つは、高温強度が向上した鋳型の製造方法を提供することである。なお、この目的に限らず、後述する発明を実施するための形態に示す各構成により導かれる作用効果であって、従来の技術によっては得られない作用効果を奏することも本発明の他の目的として位置づけることができる。
(1)上記の目的を達成するために、本発明の鋳型の製造方法は、鋳造用ろう型にバインダーを含むスラリーを塗布して、前記スラリーの表面にスタッコ材として非酸化物系セラミック材を付着させて成形体を得る成形体形成工程と、前記成形体を酸素含有雰囲気下において熱処理して鋳型を得る熱処理工程とを有し、前記熱処理工程において、前記非酸化物系セラミック材が表面に液相を生成して、前記バインダーとの密着層を形成する温度まで加熱することを特徴としている。
(2)このとき、前記非酸化物系セラミック材が炭化物粒子であることが好ましい。
(3)さらに、前記炭化物粒子がSiCであり、前記熱処理工程おける加熱する温度が、1100以上1500℃以下であることが好ましい。
本発明の鋳型の製造方法によれば、熱処理により非酸化物系セラミック材が表面に液相を生成して周辺粒子と密着した密着層を形成することで、鋳型の高温強度を向上させることができる。
本実施形態に係る成形体の構成を説明するための模式図である。 本実施形態に係る鋳型の構成を説明するための模式図である。 本実施形態に係る鋳型の製造方法の一例を示すフローチャートである。
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。
なお、以下に示す実施形態はあくまでも例示に過ぎず、以下の実施形態で明示しない種々の変形や技術の適用を排除する意図はない。以下の実施形態の各構成は、それらの趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができるとともに、必要に応じて取捨選択することができ、あるいは適宜組み合わせることが可能である。
[1.鋳型及び成形体の構成]
まず、鋳型1及び成形体11の構成について、図1,図2を用いて説明する。
図1は、本実施形態に係る成形体11の構成を説明するための模式図である。図2は、本実施形態に係る鋳型1の構成を説明するために、一部の構成を拡大して示す模式図である。なお、図2では、バインダー63の存在する範囲(領域)に点を描いて示している。
図2を参照して鋳型1について概略を説明する。鋳型1は、鋳物の製造に用いる精密鋳造用鋳型である。鋳型1は、バインダー63と、フラワー62と、スタッコ材としての非酸化物系セラミック材61とから構成される。また、鋳型1は、バインダー63及びフラワー62を含む層と、非酸化物系セラミック材61の層とが複数積層されてなるものである。鋳型1を構成する材料である、バインダー63、フラワー62、及び非酸化物系セラミック材61をあわせて、鋳型材料と称する。なお、鋳型1は、少なくともバインダー63と非酸化物系セラミック材61とを含んで構成されるものであればよく、必ずしもフラワー62を含んでいなくともよい。
図1を参照して成型体11について概略を説明する。成形体11は、鋳型1の製造過程において形成される、鋳造用ろう型21と鋳型材料とからなる構造体である。なお、鋳造用ろう型21を、単に「ろう型21」と称する。ろう型21は、ワックスが、目的とする鋳物の形状に合わせた形状に形成されてなる。
図1に示すように、成形体11は、ろう型21の周囲に、スラリー層31a,31b…31nと、スタッコ材としての非酸化物系セラミック材61からなるスタッコ層32a,32b…32nとをそれぞれ設けた被覆層42a,42b…42nが形成されてなる。スラリー層31a,31b…31nは、バインダー63及びフラワー62を含む層である。なお、図1では、スタッコ層32a,32b…32nについて、非酸化物系セラミック材61が一層に配置された状態を模式的に示しているが、非酸化物系セラミック材61が二層以上に積層されてスタッコ層32a,32b…32nを形成していてもよい。
なお、本実施形態では、被覆層を、ろう型21の表面に形成された第一層目の第一被覆層42aから、第n層目の第n被覆層42nまでの複数の層を形成する場合について説明するが、被覆層は一層であっても良い。
また、これら第一被覆層42aから第n被覆層42nまでのそれぞれの層を特に区別しない場合には、単に「被覆層42」として同じ符号を付して説明する。同様に、第一被覆層42aから第n被覆層42nまでのそれぞれの層に形成されるスラリー層及びスタッコ層についても、特に区別しない場合には、単に「スラリー層31」、「スタッコ層32」として同じ符号を付して説明する。
<バインダー>
バインダー63は、無機酸化物粒子からなる非晶質の無機バインダーである。バインダー63は、特に制限されず、ロストワックス法による鋳型の製造に用いられる公知のバインダーを適宜用いることができる。バインダー63としての無機酸化物粒子は、例えば、シリカ、アルミナ、ジルコニア等を用いることができる。
バインダー63の粒径は、特に制限されないが、通常、1nm以上200nm以下、
好ましくは、2nm以上100nm以下、より好ましくは5nm以上50nm以下である。
バインダー63を、水、水溶液またはアルコールからなる溶媒にコロイド状に分散させることで、バインダー63が分散したゾルが得られる。
<フラワー>
フラワー62は、鋳物1の強度を高める耐火物粒子である。フラワー62は、特に制限されず、ロストワックス法による鋳型の製造に用いられる公知のフラワーを適宜用いることができる。フラワー62としての耐火物粒子は、例えば、シリカ、アルミナ、ジルコン等を用いることができる。
フラワー62の粒径は、特に制限されないが、通常、1μm以上、80μm以下、
好ましくは、3μm以上、50μm以下、より好ましくは5μm以上、30μm以下である。
<スラリー>
スラリーは、コロイド状のバインダー63が分散したゾルに、フラワー62を加えて均一に混合することにより得られる。スラリーには、さらに、濡れ性改善剤、消泡剤、及び乾燥割れ防止剤を添加してもよい。また、スラリーには、バインダー63を分散させるための分散剤を含有させてもよい。なお、上述の通り、鋳型1は必ずしもフラワー62を含んでいなくともよいことから、スラリーも、少なくともバインダー63を含んでいれよく、必ずしもフラワー62を含んでいなくともよい。
<非酸化物系セラミック材>
非酸化物系セラミック材61は、スタッコ材として使用される耐火性の粗粒の粒子である。非酸化物系セラミック材61としては、熱処理により酸化して液相を形成する、炭化物の粒子または窒化物の粒子を用いることができる。炭化物としては、例えば、炭化珪素(SiC)、炭化チタン(TiC)が挙げられる。窒化物としては、窒化珪素(Si34)、窒化チタン(TiN)が挙げられる。非酸化物系セラミック材61は、1種を単独で用いてもよく、または2種以上を組み合わせて用いてもよい。
非酸化物系セラミック材61の粒径は、通常、10μm以上、1mm以下、好ましくは、50μm以上、500μm以下、より好ましくは100μm以上、200μm以下である。非酸化物系セラミック材61の粒径が上記範囲の下限以上となることで、付着させた場合に形成される一層分のスタッコ層32の厚さを十分に確保することができ、また鋳型1の乾燥を早めて、製造工程を短縮することができる。また、非酸化物系セラミック材61の粒径が上記範囲の上限以下となることで、過度の粗大化を防ぎ、周辺粒子との結合により鋳型1の強度を保つことができる。
<成形体>
図1に示すように、ろう型21の周囲に、バインダー63及びフラワー62を含むスラリーを塗布することで、スラリー層31が形成される。さらに、スラリー層31の表面に、非酸化物系セラミック材61を付着させることで、スタッコ層32が形成される。
ろう型21の外表面には、スラリー層31aが形成される。スラリー層31aの表面には、スタッコ層32aが形成される。このように、ろう型21の外表面に設けられたスラリー層31aとスタッコ層32aとをあわせて第一被覆層42aという。
スタッコ層32aの外表面には、さらにスラリー層31bが形成される。また、スラリー層31bの外表面には、スタッコ層32bが形成される。このように、第一被覆層42aの外表面に設けられたスラリー層31bとスタッコ層32bとをあわせて第二被覆層42bという。
以降、同様にして、ろう型21から外側に向けて順にn層目までの第n被覆層42nが形成される。これにより、n層の被覆層42からなる、複層被覆層41が形成される。このように、成形体11は、ろう型21と、ろう型21の周囲を囲む鋳型材料からなる複層被覆層41とにより形成された、乾燥鋳型である。
なお、例えば、スタッコ層32aの表面にスラリーが塗布されてスラリー層31bが形成される場合、スタッコ層32aの非酸化物系セラミック材61の隙間を通じてスラリー層31bのスラリーがスラリー層31aの表面にまで含浸する。このため、スラリー層31bの形成により、非酸化物系セラミック材61は、バインダー63及びフラワー62が周囲に存在する状態となっている。
<鋳型>
成形体11は、後述する熱処理工程を経ることで、ろう型21が除去されて複数被覆層41が残る。さらに、複数被覆層41において、図2に示すように、非酸化物系セラミック材61の表面が液相を経て、バインダー63及びフラワー62と結合して密着層51を形成することで、鋳型1が得られる。密着層51では、非酸化物系セラミック材61が、周辺の非酸化物系セラミック材61との間で液相焼結して結合する。またこのとき、バインダー63が焼結して、バインダー63の間で結合が生じるとともに、フラワー62及び非酸化物系セラミック材61とも結合する。
[2.鋳造用鋳型の製造方法]
次に、成形体11及び鋳型1の製造方法について、図3を用いて説明する。図3は、本実施形態に係る鋳型1の製造方法を示すフローチャートである。
鋳型1は、ろう型21の周囲に複層被覆層41を形成して成形体11を得る成型体形成工程と、成形体11を加熱してろう型21を除去する脱ろう工程と、ろう型21が除去された成形体11にさらに熱処理を行う熱処理工程によって製造される。
<成型体形成工程>
鋳型1の製造は、まず、ろう型21に上述したスラリーを塗布するディッピングを行う(ステップS1)。スラリーの塗布方法は特に限定されないが、例えば、スラリーが貯留された貯留部にろう型21を浸漬させた後、引き上げて余分なスラリーを落下させることにより行う。
次に、スラリーが塗布されたろう型21の表面に、スタッコ材としての非酸化物系セラミック材61を付着させるスタッコイングを行う(ステップS2)。非酸化物系セラミック材61の付着方法は特に限定されないが、例えば、非酸化物系セラミック材61をスラリーが塗布されたろう型21に振り掛けることにより行う。
さらに、スラリーが塗布されて非酸化物系セラミック材61が付着したろう型21を乾燥する(ステップS3)。乾燥方法は特に限定されないが、例えば、自然乾燥や機械乾燥により行う。これにより、ろう型21の外側に、スラリー層31aとスタッコ層32aとが形成されて、スラリー層31aとスタッコ層32aとからなる第一被覆層42aが形成される。
被覆層42をn回積層したか否かを判定し、n回積層していなければ再度ステップS1〜S3を行う。すなわち、上述の第一被覆層42aの形成工程(ステップS1〜S3)と同様の操作をn回繰り返す(ステップS4)。これにより、第一被覆層42aの外側に順次、第n被覆層42まで形成されて、複数被覆層41が形成されることで、成形体11が得られる。
被膜層42の形成を繰り返す回数は、鋳物1の所望の厚みによるため特に制限されないが、通常5回以上、15回以下である。上記範囲の下限以上の回数を行うことで、得られる鋳型1に厚みを持たせて強度を増すことができるために好ましい。また、上記範囲の上限以下の回数に制限することで、鋳型1の厚みが過度に厚くなり過ぎず、鋳物の冷却を速やかに行うことができるために好ましい。
<脱ろう工程>
成形体11に対して、後述する熱処理の温度範囲を下回る温度であって、ろう型21を構成するワックスが融解する温度以上で加熱する、脱ろう処理を行う(ステップS5)。脱ろう処理の方法は特に限定されないが、例えば、オートクレーブを用いて、150℃程度の温度で加熱することにより行う。これにより、成形体11から、ろう型21を構成するワックスが融解することによって、ろう型21が除去されて、複数被覆層41が残る。
<熱処理工程>
ろう型21が除去されることで残された複数被覆層41に対して熱処理を行う(ステップS6)。熱処理は、非酸化物系セラミック材61が酸化を受けて表面に液相を生成して、バインダー63及びフラワー62との密着層51を形成する温度まで加熱することにより行う。さらに、密着層51が十分な厚さに成長するよう、密着層51を形成する温度で所定の時間の熱処理を継続することが好ましい。熱処理は、例えば、焼成炉を用いることにより行うことができる。
熱処理により、複数被覆層41が焼成されて、非晶質のバインダー63が、結晶質(クリストバライト)になり、フラワー62及び非酸化物系セラミック材61と結合する。さらに、非酸化物系セラミック材61の表面が酸化されて酸化物を生じ、この酸化物が液相を生成して、バインダー63及びフラワー62との密着層51を形成する。このようにして、熱処理によって、成形体11から鋳型1が得られる。
熱処理工程において、成形体11を熱処理する雰囲気は、酸素含有雰囲気である。雰囲気中の酸素含有率は、非酸化物系セラミック材61の表面を酸化することができればよく、特に限定されない。このため、例えば、一般の大気雰囲気で行うことができる。
熱処理工程において、成形体11を加熱する温度の下限は、通常1100℃以上であり、好ましくは1200℃以上であり、より好ましくは1400℃以上である。上記の温度範囲の下限以上で熱処理を行うことにより、非酸化物系セラミック材61の表面を酸化するとともに、密着層51を形成することができる。また、成形体11を熱処理する温度の上限は、通常1600℃以下、好ましくは1500℃以下である。上記の温度範囲の上限以下で熱処理を行うことにより、焼結が進みすぎて成形体11が収縮して、鋳型1の形状が変化することを防ぐことができる。
上記の温度条件における成形体11の熱処理時間は、成形体11の形状、大きさ、厚み、焼結の程度に依存するため特に限定されない。熱処理時間は、少なくとも、非酸化物系セラミック材61の表面に液相を生成して密着層51を形成する程度に行えばよく、上記の熱処理の温度範囲となるように保持する時間を、例えば、1時間以上、10時間以下とすればよい。
[3.作用及び効果]
本実施形態に係る鋳型1の製造方法は、上述のように構成されるため、以下のような作用及び効果を得ることができる。
図1に示すように、本実施形態に係る製造方法によれば、ろう型21にバインダー63及びフラワー62を含むスラリーを塗布することで、スラリー層31が形成される。スタッコ材として非酸化物系セラミック材61を付着させることでスタッコ層32が形成される。このようにして、成形体11には、バインダー63、フラワー62、及び非酸化物系セラミック材61からなる被膜層41が形成される。さらに、成形体11を酸素含有雰囲気下において熱処理することにより、非酸化物系セラミック材61の表面が熱処理時に酸化されるが、酸化物となる際に溶融するため、非酸化物系セラミック材61の表面に液相を生成する。このため、図2に示すように、鋳型1では、非酸化物系セラミック材61の表面が液相を経て焼結することで、周辺粒子と密着した密着層51を形成する。このとき、密着層51では、非酸化物系セラミック材61が、周辺に存在するバインダー63及びフラワー62と密着して結合している。また、密着層51では、非酸化物系セラミック材61が、周辺の非酸化物系セラミック材61との間で液相焼結して結合している。
このようにして、本実施形態に係る製造方法によれば、密着層51の形成によって、従来の製造方法では達成できなかった、粗粒のスタッコ材と、フラワー62やバインダー63との密着性を向上させることができる。したがって、本実施形態に係る製造方法により得られる鋳型1の高温強度を向上させることができることから、薄肉化が可能となる。よって、鋳型1の薄肉化により凝固時の冷却速度を速めて、生産性を高めることができる。
また、非酸化物系セラミック材61が炭化物粒子であることにより、炭化物粒子が熱処理により酸化を受けて酸化物となり、液相の生成と密着層51の形成とが生じることで、鋳型1の高温強度を向上させることができる。
またさらに、非酸化物系セラミック材61がSiCであり、1100℃以上1500℃以下で熱処理することにより、表面が酸化されてSiO2となり、液相の生成と密着層51の形成とが生じることで、鋳型1の高温強度を向上させることができる。
[4.その他]
上述の実施形態では、成形体11を得た後に、脱ろう工程を経て、所定の温度範囲の熱処理を行う場合について説明した。熱処理工程の前に、成形体11の焼成を行う、焼成工程を行ってもよい。また、熱処理工程の前に、熱処理の温度範囲を下回る温度で成形体11に熱処理(か焼)を施す、か焼工程を行ってもよい。か焼工程により鋳型材料の熱分解が生じて、成形体11から脱水や脱炭酸を起こすことで、続く熱処理工程において成形体11に収縮が生じることを防ぐことができる。
焼成工程またはか焼工程を行う場合、焼成工程またはか焼工程の後に成形体11の温度が室温程度まで下がるまで放置してから熱処理を行ってもよい。または、焼成工程もしくはか焼工程の後に成形体11をそのまま昇温して、熱処理工程を行ってもよい。
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、本発明は、その要旨を超えない限り、これらの実施例に限定されるものではない。
<実施例1>
〔スラリーの作成〕
バインダーとして平均粒径30nmのシリカ微粒子を水に懸濁して、シリカゾルを作成した。このシリカゾルに、フラワーとして平均粒径10μmのアルミナ粒子、濡れ性改善剤、消泡剤、乾燥割れ防止剤を加えて、混合してスラリーを作成した。混合は、撹拌機を用いて行った。このスラリーでは、シリカ微粒子を7重量%、アルミナ粒子を78重量%、水を15重量%となるようにして混合している。
〔成形体の作成〕
ろう型として、幅30mm、厚さ5mm、長さ200mmのワックス基材を使用した。このワックス基材を上記のスラリーに浸漬して、引き上げて余分なスラリーを落下させることでワックス基材表面にスラリーを塗布した。濡れているスラリーに、非酸化物系セラミック材として、100〜200μmの炭化珪素粒子を付着させた。炭化珪素粒子を付着させたワックス基材を乾燥することにより、第1被覆層を形成した。
上記の第1被覆層の形成と同等の操作を10回繰り返すことで、10層からなる複数被覆層が形成された成形体を得た。
〔熱処理〕
上記の成形体を、1100℃で、5時間、熱処理して、実施例1の鋳型の試験片を製造した。実施例1の鋳型の試験片を以下に示す条件で密着層の観察を行い、厚さを測定した。また、実施例1の鋳型の試験片を以下に示す条件で高温強度試験を行い、強度の評価を行った。結果を表1に示す。
〔密着層厚さの確認〕
製造された鋳型の試験片の断面を、電子顕微鏡(日本電子社製「JSM−5610」)で撮影して、非酸化物系セラミック材61周辺の観察を行った。電子顕微鏡写真から密着層の形成を確認するとともに、密着層が形成されている場合には厚さを測定した。
〔高温強度の評価〕
製造された鋳型の試験片を、1500℃における3点曲げ強度(スパン100mm)を測定した。なお、鋳込み時には温度が1500℃に達することから、ここで行う高温強度の評価は、鋳込み時の鋳型の強度の指標となるものである。
測定結果から、以下の基準で評価を行った。
高温強度が7Mpa以上 ◎(高温強度が優れる)
高温強度が4.5Mpa以上、7Mpa未満 ○(高温強度が良い)
高温強度が4.5Mpa以下 ×(高温強度が悪い)
<実施例2>
熱処理の温度を1200℃にすること以外は、実施例1と同様にして、実施例2の鋳型の試験片を作成し、実施例1と同様にして評価を行った。結果を表1に示す。
<実施例3>
熱処理の温度を1300℃にすること以外は、実施例1と同様にして、実施例3の鋳型の試験片を作成し、実施例1と同様にして評価を行った。結果を表1に示す。
<実施例4>
熱処理の温度を1400℃にすること以外は、実施例1と同様にして、実施例4の鋳型の試験片を作成し、実施例1と同様にして評価を行った。結果を表1に示す。
<実施例5>
熱処理の温度を1500℃にすること以外は、実施例1と同様にして、実施例5の鋳型の試験片を作成し、実施例1と同様にして評価を行った。結果を表1に示す。
<参考例1>
熱処理の温度を900℃にすること以外は、実施例1と同様にして、参考例1の鋳型の試験片を作成し、実施例1と同様にして評価を行った。結果を表1に示す。
<参考例2>
熱処理の温度を1000℃にすること以外は、実施例1と同様にして、参考例2の鋳型の試験片を作成し、実施例1と同様にして評価を行った。結果を表1に示す。
<比較例1>
炭化珪素粒子に替えて、100〜200μmのアルミナ粒子を用いて、熱処理の温度を900℃にすること以外は、実施例1と同様にして、比較例1の鋳型の試験片を作成した。実施例1と同様にして評価を行った。結果を表1に示す。
<比較例2>
熱処理の温度を1500℃にすること以外は、比較例1と同様にして、比較例2の鋳型の試験片を作成し、実施例1と同様にして評価を行った。結果を表1に示す。
Figure 2016155146
表1から明らかなように、スタッコ材として炭化珪素粒子を用いて、1100℃以上の温度で熱処理を行った実施例1〜5では、密着層51の形成が確認された。これに対して、熱処理の温度が900℃、1000℃の参考例1,2では、密着層51の形成が確認されなかった。一方、スタッコ材としてアルミナ粒子を用いた比較例1,2では、熱処理の温度に関わらず、密着層51の形成が確認されなかった。さらに、実施例1〜5の高温強度は、参考例1,2及び比較例1,2の高温強度を上回っていた。
この結果から、スタッコ材として非酸化物系セラミック材61を用いるとともに、熱処理工程において、非酸化物系セラミック材61が密着層51を形成する温度まで加熱した実施例1〜5では、密着層51の形成により鋳型1の高温強度が向上したことがわかる。また、熱処理温度が、密着層51を形成する温度から増加するにつれて密着層51が成長して厚さが増し、中でも密着層51の厚さが1〜8μmとなる1200℃以上の実施例2〜5では、より高温強度が増したことが分かる。
1 鋳型
11 成形体
21 ろう型
31 スラリー層
32 スタッコ層
42 被覆層
41 複数被覆層
51 密着層
61 非酸化物系セラミック材(スタッコ材)
62 フラワー
63 バインダー

Claims (3)

  1. 鋳造用ろう型にバインダーを含むスラリーを塗布して、前記スラリーの表面にスタッコ材として非酸化物系セラミック材を付着させて成形体を得る成形体形成工程と、
    前記成形体を酸素含有雰囲気下において熱処理して鋳型を得る熱処理工程とを有し、
    前記熱処理工程において、前記非酸化物系セラミック材が表面に液相を生成して、前記バインダーとの密着層を形成する温度まで加熱する
    ことを特徴とする鋳型の製造方法。
  2. 前記非酸化物系セラミック材が炭化物粒子である
    ことを特徴とする請求項1に記載の鋳型の製造方法。
  3. 前記炭化物粒子がSiCであり
    前記熱処理工程における加熱する温度が、1100℃以上1500℃以下である
    ことを特徴とする請求項2に記載の鋳型の製造方法。
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