JP2016155078A - 正浸透処理システム - Google Patents
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Abstract
Description
正浸透処理によって、希薄溶液を濃縮したり、あるいは濃厚溶液を希釈したりすることができる。また、希薄溶液から濃厚溶液へ流体が浸透する際の正浸透圧エネルギーによって、発電機を駆動させることもできる。
正浸透処理は、半透膜を用いて溶質よりも水を優先的に透過させる点で、逆浸透処理と共通する。しかし、正浸透処理は、浸透圧差を利用して水を希薄溶液側から濃厚溶液側に透過させており、この点で、浸透圧差に対抗して濃厚溶液側を加圧することにより、水を濃厚溶液側から希薄溶液側に透過させる逆浸透処理とは異なる。そのため、逆浸透処理で用いる半透膜をそのまま正浸透処理に適用しても、必ずしも正浸透処理に適したものとはならない。
これに対して、特許文献4には、無機材料であるゼオライトを含有する耐久性に優れる正浸透膜を用いる正浸透膜流動システムが提案されている。
しかしながら、半透膜の透水量は極めて低く、耐久性と透水性能を両立できていない為、正浸透膜流動システムとしては実用性に課題がある。
[1]
半透膜ユニットと、
前記半透膜ユニットを介して互いに仕切られた第1の領域および第2の領域と、
前記第1の領域に低浸透圧溶液を供給する低浸透圧溶液供給部と、
前記第2の領域に高浸透圧溶液を供給する高浸透圧溶液供給部と、を備え、
前記低浸透圧溶液が供給された前記第1の領域から、前記高浸透圧溶液が供給された前記第2の領域へと、前記前記半透膜ユニットを介して流体移動を生じさせる正浸透処理システムであって、
前記半透膜ユニットが、ポリケトン多孔膜支持層と、該ポリケトン多孔膜支持層上に配された半透膜スキン層とから成る複合半透膜を含むことを特徴とする正浸透処理システム。
[2]
前記ポリケトン多孔膜支持層が中空糸形状又は平板形状である、[1]に記載の正浸透処理システム。
[3]
前記半透膜スキン層が、酢酸セルロース、ポリアミド、ポリビニルアルコール/ポリピペラジンアミド、スルホン化ポリエーテルスルホン、ポリピペラジンアミド、ポリイミドのいずれかから成る、[1]又は[2]に記載の正浸透処理システム。
[4]
前記低浸透圧溶液または前記高浸透圧溶液の少なくとも一方に有機性化合物を含む、[1]〜[3]のいずれかに記載の正浸透処理システム。
[5]
ポリケトン多孔膜支持層と、該ポリケトン多孔膜支持層上に配された半透膜スキン層とから成る複合半透膜を含むことを特徴とする、半透膜ユニット。
[6]
[1]〜[4]のいずれかに記載の正浸透処理システムを用いて、前記低浸透圧溶液から前記高浸透圧溶液に水を通過させた後、該高浸透圧溶液から水を回収することを特徴とする、造水方法。
[7]
[1]〜[4]のいずれかに記載の正浸透処理システムを用いて、含水物から水を除去することを特徴とする、含水物の濃縮方法。
[8]
[1]〜[4]のいずれかに記載の正浸透処理システムを用いて、前記低浸透圧溶液から前記高浸透圧溶液へ透過する水で、該高浸透圧溶液を希釈することを特徴とする、希釈方法。
[9]
[1]〜[4]のいずれかに記載の正浸透処理システムを用いて、前記高浸透圧溶液に流れる流量を増加させ、増加した流量で水流発電機を駆動させて発電することを特徴とする、発電方法。
図1は、本発明の正浸透処理システムの一構成例を模式的に示す図である。
この正浸透処理システムは、半透膜ユニットと、半透膜ユニットを介して互いに仕切られた第1の領域A1および第2の領域A2と、第1の領域A1に低浸透圧溶液を供給する低浸透圧溶液供給部と、第2の領域A2に高浸透圧溶液を供給する高浸透圧溶液供給部と、を備える。
本発明の正浸透処理システムは、正浸透現象を利用したものである。すなわち、この正浸透処理システムでは、半透膜ユニットの一方の面側(第1の領域A1)に低浸透圧溶液を配し、他方の面側(第2の領域A2)に、低浸透圧溶液より浸透圧の高い高浸透圧溶液を供給する。すると、低浸透圧溶液側から高浸透圧溶液側へ流体移動が生じることで、高浸透圧溶液側の流量を増加させる。
図1に示されるように、中空糸膜モジュール1は、両端に開口を有する複数本の中空糸膜(半透膜ユニット)5aからなる中空糸膜束5と、中空糸膜束5を収容する筒状ケース2と、中空糸膜束5の両端部を筒状ケース2に接着固定する接着固定層6,7と、を備えている。接着固定層6,7により、中空糸膜5aの開口が露出する領域と、中空糸膜5aを挟んで前記領域に連通する外の領域とが区画される。ここでは、中空糸膜束5の両端部側を第1の領域A1とし、中空糸膜5aの外側を第2の領域A2とした場合を例に挙げて説明するが、第1の領域A1と第2の領域A2とが逆であっても構わない。
筒状ケース2の両端部には、配管が接続されるヘッダ部8,9が配されている。ヘッダ部8,9には、流体の出入り口となるコア側導管10,11がそれぞれ設けられている。
また、筒状ケース2内に収容された中空糸膜束5の両端部には、複数本の中空糸膜5aの密度分布の偏りを低減するために、偏り規制部材(図示略)が配置されていてもよい。
図2に示されるように、正浸透処理システム100は、例えば、正浸透処理用途であり、中空糸膜モジュール1において、シェル側導管4から中空糸膜5aの外側である第2の領域A2に高浸透圧溶液を供給し、ヘッダ部8から中空糸膜束5の両端部側である第1の領域A1に低浸透圧溶液を供給する。
また、正浸透処理システム100は、中空糸膜モジュール1のコア側導管10に接続されて、低浸透圧供給部111から低浸透圧溶液を供給する供給配管103と、コア側導管11に接続されて低浸透圧溶液を送り出す循環配管104とを備えている。循環配管104は、低浸透圧供給部111に接続されている。さらに、供給配管103や循環配管104の途中には、圧力計や各種弁など(図示せず)が配設されていてもよい。
ヘッダ部8側の第1の領域A1に供給された低浸透圧溶液は、中空糸膜5aの内側を流れるが、このとき、低浸透圧溶液の溶媒(例えば水)の一部は、中空糸膜5a(半透膜)を通過して、中空糸膜5aの外側である第2の領域A2に移動する。この第2の領域A2に移動した溶媒により、例えば、第2の領域A2を流れる高浸透圧溶液は希釈される。ヘッダ部9側に移動した低浸透圧溶液は、中空糸膜5aの端部の開口からヘッダ部9内の第1の領域A1に抜け、コア側導管11を通じて循環配管104に排出される。希釈された高浸透圧溶液はシェル側導管3を通じて第2の領域A2から排出される。
なお、ここでは正浸透処理システム100を用いて高浸透圧溶液を希釈する場合について説明したが、これに限定されず、他の正浸透処理を行うこともできる。
また、上述した説明では、中空糸膜モジュール1において、中空糸膜束5の両端部側を第1の領域A1(低浸透圧側)とし、中空糸膜5aの外側を第2の領域A2(高浸透圧側)とした場合を例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されず、中空糸膜束5の両端部側を第2の領域A2(高浸透圧側)とし、中空糸膜5aの外側を第1の領域A1(低浸透圧側)としてもよい。
半透膜において、ポリケトン多孔膜を支持層とし、この表裏面あるいは内外面どちらかの一方の面に半透膜スキン層を積層することにより、支持層の内部分極が効果的に低減され、透水量を高めることができ、かつ有機性化合物に対する耐久性が高く、正浸透処理システムとして高い透水量を維持できる。
−R−C(=O)− ・・・(1)
[式中、Rは、置換基を有してもよい炭素数2〜20の炭化水素基を表し、置換基としては、水素、ハロゲン、水酸基、エーテル基、1級アミノ基、2級アミノ基、3級アミノ基、4級アンモニウム基、スルホン酸基、スルホン酸エステル基、カルボン酸基、カルボン酸エステル基、リン酸基、リン酸エステル基、チオール基、スルフィド基、アルコキシシリル基、およびシラノール基よりなる群から選ばれる1つ以上の官能基を含む。]
上記式(1)において、ポリケトンの繰り返し単位(すなわちケトン繰り返し単位)は1種類のみから構成されていてもよく、2種類以上の組み合わせであってもよい。
上記式(1)の炭化水素基Rの炭素数は2〜8がより好ましく、2〜3がさらに好ましく、2が最も好ましい。特に、ポリケトンを構成する繰り返し単位は、下記式(2)で表される1−オキソトリメチレン繰り返し単位を多く含むことが好ましい。
−CH2−CH2−C(=O)− ・・・(2)
空隙率(%)=(1−G/ρ/V)×100 ・・・(3)
[式中、Gはポリケトン支持層の質量(g)であり、ρはポリケトン支持層を構成する全ての樹脂の質量平均密度(g/cm3)であり、Vはポリケトン支持層の体積(cm3)である。]
質量平均密度=(ρA・GA+ρB・GB+ρp・Gp)/(GA+GB+Gp) ・・・(4)
ポリケトン支持層の形状は、平板状(平膜状)や中空糸状など任意の形状のものを用いることが出来る。これらポリケトン支持層は公知の方法により製造することができる。例えば、ポリケトンをハロゲン化金属塩(例えば、ハロゲン化亜鉛塩やハロゲン化アルカリ金属塩)を含有する溶液に溶解してポリケトンドープを調製し、このドープをフィルムダイや二重管オリフィス(図3参照)を通して凝固浴中に吐出して、平板状や中空糸状に成形する。さらに洗浄および乾燥することにより、ポリケトン多孔膜が得られる。この場合、例えば、ドープ中のポリマー濃度や凝固浴の温度を調整することで、ポリケトン多孔膜の空隙率や孔径を変えることができる。また、ポリケトンを良溶媒(例えば、レソルシノール、ヘキサフルオロイソプロパノール、m−クレゾール、o−クロルフェノール等)に溶解させる。そして、得られた溶液を基板上にキャストして非溶媒(例えば、メタノール、イソプロパノール、アセトン、水等)中に浸漬し、さらに洗浄および乾燥することにより、ポリケトン多孔膜を得ることもできる。この場合、例えば、ポリケトンと良溶媒との混合比率や非溶媒の種類を調整することで、ポリケトン多孔膜の空隙率や孔径を変えることができる。なお、ポリケトンは、例えば、パラジウムやニッケルを触媒として用いて一酸化炭素とオレフィンを重合させることにより得ることができる。ポリケトン支持層の製造は、例えば、特開2002−348401号公報や特開平2−4431号公報に記載されている方法を参考にすることができる。
この場合、ポリアミドスキン層は、ポリアミンとポリカルボン酸誘導体とを重合することにより得ることができる。このとき、ポリアミンがポリケトンのカルボニル基と反応することにより、ポリアミドスキン層をポリケトン支持層に結合させることができる。例えば、ポリアミドスキン層を界面重合法により形成する場合は、ポリアミドスキン層をポリケトン支持層に結合させることができ、それによりポリアミドスキン層を強固にポリケトン支持層上に形成することができる。つまり、界面重合によりポリアミドスキン層をポリケトン支持層に結合することができる。
スキン層の厚さは特に限定されないが、通常0.05μm〜2μm程度であり、好ましくは0.05μm〜1μmである。スキン層の厚みは、断面をSEMで観察することにより測定することができる。
低浸透圧溶液に有機性化合物が含まれる場合、有機性化合物には、例えば、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノールなどの低級アルコール類や炭素数6以上の高級アルコール類、エチレングリコール、プロピレングリコールなどのグリコール類、ペンタン、ヘキサン、デカン、ウンデカン、シクロオクタンなどの炭化水素、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素、鉱物油、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ジメチルアセトアミド、ピリジンなどの産業用や試験研究用に使用される一般的な有機性溶剤などが挙げられる。
支持層を構成するポリケトンは、前記の有機性化合物のような様々な有機性化合物に対して安定であるため、例えば排水処理や濃縮、脱水を行う際に本発明の正浸透処理システムを用いることで、長時間安定した運転が可能となる。
特に、重合体を含む溶液のような高粘度溶液が用いられる場合、空隙率が高く、かつ屈曲率が低く、支持層の緻密層が薄いポリケトン多孔膜を支持層として用いることで、内部分極を効果的に抑えることが出来、透水量を高くすることが出来る。
特に、重合体を含む溶液のような高粘度溶液が用いられる場合、空隙率が高く、かつ屈曲率が低く、支持層の緻密層が薄いポリケトン多孔膜を支持層として用いることで、内部分極を効果的に抑えることが出来、透水量を高くすることが出来る。
図4は、平板状の半透膜ユニットを用いた、本発明の正浸透処理システムの一構成例を模式的に示す図である。
この正浸透処理システムは、直方体形状のケース内に収容された平板状の半透膜121を含む半透膜ユニット120と、半透膜121を介して互いに仕切られた第1の領域A1および第2の領域A2と、第1の領域A1に低浸透圧溶液を供給する低浸透圧溶液供給部110と、第2の領域A2に高浸透圧溶液を供給する高浸透圧溶液供給部111と、を備える。
正浸透処理システムは、高浸透圧供給部110から高浸透圧溶液を供給する供給配管101と、循環液を送り出す循環配管102とを備えている。また、正浸透処理システムは、低浸透圧供給部111から低浸透圧溶液を供給する供給配管103と、低浸透圧溶液を送り出す循環配管104とを備えている。さらに、供給配管101,103や循環配管102,104の途中には、圧力計や各種弁など(図示せず)が配設されていてもよい。
半透膜ユニットには、より具体的には特開2014−23985号公報のようなスパイラル型モジュールなどが挙げられる。
本発明の造水方法は、上述したような本発明の正浸透処理システムを膜分離手段として用いるものである。
本発明の造水方法においては、正浸透膜ユニット(半透膜ユニット)を用い、分離活性層である半透膜スキン層側に低浸透圧溶液を接触させ、その反対側に高浸透圧溶液を接触させる、または、半透膜スキン層側に高浸透圧溶液を接触させ、その反対側に低浸透圧溶液を接触させる。そして、低浸透圧溶液から高浸透圧溶液へ正浸透膜ユニットを介して水を浸透させ、その後に高浸透圧溶液から水を回収することにより造水する。
低浸透圧溶液には無機性溶質が含まれていてもよい。
低浸透圧溶液および高浸透圧溶液は、本発明の正浸透処理システムで処理される前に、ろ過などの公知技術による前処理を行うことにより、微粒子などの異物を除去してもよい。
造水を行う際の温度は特に限定されない。
本発明の含水物の濃縮方法は、本発明の正浸透処理システムを用いるものである。
本発明の含水物の濃縮方法においては、正浸透膜ユニット(半透膜ユニット)を用い、半透膜スキン層側に低浸透圧溶液を接触させ、その反対側に高浸透圧溶液を接触させる、または、半透膜スキン層側に高浸透圧溶液を接触させ、その反対側に低浸透圧溶液を接触させる。そして、含水物から浸透圧の高浸透圧溶液へ膜を介して水を浸透させることにより、含水物の濃縮や脱水を行う。
例えば、有機性化合物が含まれる溶液を濃縮または脱水する場合、有機性化合物としては、例えば、酢酸、アクリル酸、プロピオン酸、蟻酸、乳酸、シュウ酸、酒石酸、安息香酸などのカルボン酸類や、スルホン酸、スルフィン酸、ハビツル酸、尿酸、フェノール、エノール、ジケトン型化合物、チオフェノール、イミド、オキシム、芳香族スルフォンアミド、第1級および第2級ニトロ化合物などの有機酸類、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノールなどの低級アルコール類や炭素数6以上の高級アルコール類、エチレングリコール、プロピレングリコールなどのグリコール類、ペンタン、ヘキサン、デカン、ウンデカン、シクロオクタンなどの炭化水素、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素、鉱物油、アセトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類、アセトアルデヒドなどのアルデヒド類、ジオキサン、テトラヒドロフラン等のエーテル類、ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン等のアミドやピリジンなどの窒素を含む有機化合物、酢酸エステル、アクリル酸エステル等のエステル類、その他、ジメチルスルホキシドなどの産業用や試験研究用に使用される一般的な有機性溶剤、糖類、肥料、酵素が挙げられる。
また、本発明の正浸透膜(複合体)は、耐酸性を有するため、水と酢酸など有機酸の混合物からの有機酸の濃縮、エステル化反応促進のための系中の水の除去などにも有効に利用できる。
一方、無機性化合物が含まれる溶液を濃縮または脱水する場合、無機性化合物としては、例えば、金属粒子や金属イオン、硫酸イオン、硝酸イオンなどのアニオンなどが挙げられる。
本発明の希釈方法は、本発明の正浸透処理システムを用いるものである。
本発明の希釈方法においては、正浸透膜ユニット(半透膜ユニット)を用い、分離活性層である半透膜スキン層側に低浸透圧溶液を接触させ、その反対側に高浸透圧溶液を接触させる、または、半透膜スキン層側に高浸透圧溶液を接触させ、その反対側に低浸透圧溶液を接触させる。そして、低浸透圧溶液から高浸透圧溶液へ正浸透膜を介して水を浸透させることにより高浸透圧溶液を希釈する。希釈される対象物としては、特に限定されないが、例えば肥料や冷媒などが挙げられる。
低浸透圧溶液および高浸透圧溶液は、本発明の正浸透処理システムで処理される前に、ろ過などの公知技術による前処理を行うことで、微粒子などの異物を除去しても良い。
希釈を行う際の温度は特に限定されない。
本発明の発電方法は、本発明の正浸透処理システムを用いるものである。
本発明の発電方法においては、正浸透膜ユニット(半透膜ユニット)を用い、分離活性層である半透膜スキン層側に低浸透圧溶液を接触させ、その反対側に高浸透圧溶液を接触させる、または、半透膜スキン層側に高浸透圧溶液を接触させ、その反対側に低浸透圧溶液を接触させる。そして、低浸透圧溶液から高浸透圧溶液へ正浸透膜を介して水を浸透させることにより、高浸透圧溶液に流れる流量を増加させ、増加した流量で水流発電機を駆動させて発電を行う。
以下の実施例において用いられる各測定値の測定方法は次の通りである。
PMI社のパームポロメーター(型式:CFP−1200AEX)を用い、浸液にPMI社製のガルウィック(表面張力=15.6dynes/cm)を用い、JIS K3832(バブルポイント法)に準拠して測定した。
ポリアミドスキン層が積層されたポリケトン中空糸膜を凍結および割断して、中空糸断面サンプルを作製した。これを、走査型電子顕微鏡(日立製作所製、形式S−4800)を使用し、加速電圧1.0kV、WD5mm基準±0.7mm、およびエミッション電流設定10±1μAの条件で観察した。その写真からポリケトン中空糸膜の膜部とポリアミドスキン層の平均厚みの測定を行った。
各実施例および比較例で得られた複合中空糸膜モジュールのコア側導管(図1の10および11)に、試験液A(純水30L)、試験液B(純水28.5Lとトルエン1.73L、重量比95:5)または試験液C(純水29.85Lとアセトン0.19L、重量比99.5:0.5)のいずれか1つを入れた50Lのタンクを配管で繋ぎ、ポンプで純水を循環させた。タンクには電導度計が装備されており、純水への塩の移動が測定できる。一方、シェル側導管(図1の3および4)には、濃度3.5質量%の食塩水20Lを入れた50Lのタンクを配管で繋ぎ、ポンプで食塩水を循環させた。コア側とシェル側のタンクは、それぞれ天秤の上に設置され、水の移動が測定できる。コア側の流量を2.2L/分、シェル側の流量を8.8L/分として同時に運転し、塩の移動量および水の移動量を、それぞれ測定した。この水の移動量から透水量を、塩の移動量から塩の逆拡散を、それぞれ算出した。
各実施例および比較例で得られた複合中空糸膜モジュールのコア側導管(図1の10および11)に、純水30Lを入れた50Lのタンクを配管で繋ぎ、ポンプで純水を循環させた。一方、シェル側導管(図1の3および4)には、濃度15質量%のポリエチレングリコール200(東京化成工業株式会社製)水溶液20Lを入れた50Lのタンクを配管で繋ぎ、ポンプで水溶液を循環させた。コア側とシェル側のタンクは、それぞれ天秤の上に設置され、水の移動が測定できる。コア側の流量を2.2L/分、シェル側の流量を8.8L/分として同時に運転し、水の移動量を測定した。この水の移動量から透水量を算出した。
さらに、ポリエチレングリコールの漏れについて、10回試験後のコア側(純水)の液10mlをガラス板上に取り出し、100℃で20分加熱して水分を除去した後に、残った物質を赤外分光光度計(日本分光株式会社製、形式FT/IR−6200)を使用しポリエチレングリコールの有無を評価した。
エチレンと一酸化炭素とが完全交互共重合した、極限粘度2.2dl/gのポリケトンを、ポリマー濃度15重量%で65重量%レゾルシン水溶液に添加し、80℃で2時間撹拌溶解し、脱泡を行うことで均一透明なドープを得た。
図3に示した二重管オリフィス14の紡口(外外径D1:0.6mm、外内径D2:0.33mm、内外径D3:0.22mm)を用いて、この50℃のドープ(ドープ粘度:100poise)を、外側の輪状オリフィス12から、同時に、25重量%のメタノール水溶液を、内側の円状オリフィス13から、40重量%のメタノール水溶液の凝固浴に吐出した。これを引き上げて、水洗しながら巻き取った。得られた中空糸膜を長さ70cmに切断して束にした。さらに水洗した後、アセトンで溶媒置換し、さらにヘキサンで溶媒置換した後、50℃で乾燥を行った。このようにして得られたポリケトン中空糸膜の空隙率は78%であり、最大孔径は130nmであった。
上記ポリケトン中空糸膜1,500本を、5cm径、50cm長の円筒状プラスチックハウジング(筒状ケース)に充填し、両端部を接着剤で固定することにより図1に示した構造を有する、ポリケトン中空糸膜モジュールを作製した。
さらに、測定後の正浸透中空糸モジュールを用いて、同じ測定を9回(合計10回)行った。10回目の透水量は18.5kg/(m2×hr)であり、塩の逆拡散は1.2g/(m2×hr)であった。このモジュールを分解して測定した、ポリケトン中空糸膜の直径は1080μmであり、その膜部の厚みは150μmであった。また、ポリアミドスキン層の厚みは0.8μmであった。
このモジュールを分解して測定したポリケトン中空糸膜の直径は1080μmであり、その膜部の厚みは150μmであった。また、ポリアミドスキン層の厚みは0.8μmであった。肉眼観察では、特に支持層の様子に変化は見られなかった。
実施例1と同じ方法で作製したポリケトン正浸透中空糸膜モジュールを使用し、試験液B(純水28.5Lとトルエン1.73L、重量比95:5)を用いて透水量を測定した。その結果、透水量は16.0kg/(m2×hr)であり、塩の逆拡散は1.2g/(m2×hr)であった。実施例1と同様に繰り返し測定を行った後の、10回目の透水量は16.0kg/(m2×hr)であり、塩の逆拡散は1.2g/(m2×hr)であった。トルエンのような有機性化合物が含まれる場合でも、支持層の耐久性があるために、繰り返し使用しても性能が下がることはなかった。
このモジュールを分解して測定した、ポリケトン中空糸膜の直径は1080μmであり、その膜部の厚みは150μmであった。また、ポリアミドスキン層の厚みは0.8μmであった。
実施例1と同じ方法で作製したポリケトン正浸透中空糸膜モジュールを使用し、試験液C(純水29.85Lとアセトン0.19L、重量比99.5:0.5)を用いて透水量を測定したところ、透水量は15.4kg/(m2×hr)であり、塩の逆拡散は1.2g/(m2×hr)であった。実施例1と同様に繰り返し測定を行った後の、10回目の透水量は15.4kg/(m2×hr)であり、塩の逆拡散は1.2g/(m2×hr)であった。アセトンのような有機性化合物が含まれる場合でも、支持層の耐久性があるために、繰り返し使用しても性能が下がることはなかった。
このモジュールを分解して測定した、ポリケトン中空糸膜の直径は1080μmであり、その膜部の厚みは150μmであった。また、ポリアミドスキン層の厚みは0.8μmであった。
ポリエーテルスルホン(BASF社製、商品名Ultrason)を、ポリマー濃度20重量%でN−メチル−2−ピロリドンに添加し、80℃で2時間撹拌溶解し、脱泡を行うことで均一透明なドープを得た。
この50℃のドープ(ドープ粘度:60poise)を、二重管オリフィス14(図3参照)を用いて、外側の輪状オリフィス12から、同時に、水を内側の円状オリフィス13から、水凝固浴に吐出した。これを引き上げて、水洗しながら巻き取った。得られた中空糸膜を長さ70cmに切断して束にし、さらに水洗した後、乾燥を行った。このようにして得られたポリエーテルスルホン中空糸膜の空隙率は69%であり、最大孔径は80nmであった。
上記ポリエーテルスルホン中空糸膜を用いて、実施例1と同様にモジュールを作製した。次いで実施例1と同様の界面重合を行うことにより、ポリエーテルスルホン中空糸膜の内表面にポリアミドスキン層が積層された、正浸透中空糸膜モジュールを作製した。
このモジュールを分解して測定した、ポリエーテルスルホン中空糸膜の直径は1000μmであり、その膜部の厚みは230μmであった。また、ポリアミドスキン層の厚みは0.8μmであった。
比較例1と同じ方法で作製したポリエーテルスルホン正浸透中空糸膜モジュールを使用し、試験液B(純水28.5Lとトルエン1.73L、重量比95:5)を用いて透水量を測定したところ、透水量は7.2kg/(m2×hr)であり、塩の逆拡散は30.0g/(m2×hr)であった。さらに、測定後の正浸透中空糸モジュールを用いて、同じ測定を9回(合計10回)行った。10回目の透水量は9.0kg/(m2×hr)であり、塩の逆拡散は35.8g/(m2×hr)であった。
トルエンによりポリエーテルスルホン支持層が劣化し、長時間使用すると性能が下がる傾向にあった。
このモジュールを分解して測定した、ポリエーテルスルホン中空糸膜の直径は1000μmであり、その膜部の厚みは230μmであった。また、ポリアミドスキン層の厚みは0.8μmであった。肉眼で断面を観察したところ、膨潤している様子であった。
比較例1と同じ方法で作製したポリエーテルスルホン正浸透中空糸膜モジュールを使用し、試験液C(純水29.85Lとアセトン0.19L、重量比99.5:0.5)を用いて透水量を測定したところ、透水量は7.0kg/(m2×hr)であり、塩の逆拡散は35.0g/(m2×hr)であった。さらに、測定後の正浸透中空糸モジュールを用いて、同じ測定を9回(合計10回)行った。10回目の透水量は10.0kg/(m2×hr)であり、塩の逆拡散は40.2g/(m2×hr)であった。アセトンによりポリエーテルスルホン支持層が劣化し、長時間使用すると性能が下がる傾向にあった。
このモジュールを分解して測定した、ポリエーテルスルホン中空糸膜の直径は1000μmであり、その膜部の厚みは230μmであった。また、ポリアミドスキン層の厚みは0.8μmであった。肉眼で断面を観察したところ、膨潤している様子であった。
以上の結果を表1にまとめて示す。
実施例1と同じ方法で作製したポリケトン正浸透中空糸膜モジュールを使用し、低浸透圧溶液として水、高浸透圧溶液としてポリエチレングリコール200水溶液を用いた場合の透水量は、5.6kg/(m2×hr)であった。
さらに、測定後の正浸透中空糸モジュールを用いて、同じ測定を9回(合計10回)行った。10回目の透水量は5.6kg/(m2×hr)であった。10回試験後のコア側(純水)の液からは、ポリエチレングリコールは検出されなかった。
エチレングリコールのような有機性化合物が含まれる場合でも、支持層の耐久性があるために、繰り返し使用しても性能が下がることはなかった。
このモジュールを分解して測定したポリケトン中空糸膜の直径は1080μmであり、その膜部の厚みは150μmであった。また、ポリアミドスキン層の厚みは0.8μmであった。肉眼観察では、特に支持層の様子に変化は見られなかった。
比較例1と同じ方法で作製したポリエーテルスルホン正浸透中空糸膜モジュールを使用し、実施例4と同様に透水量の測定を行った。
この正浸透中空糸モジュールの透水量は2.2kg/(m2×hr)であった。実施例1と同様に繰り返し測定を行った後の、10回目の透水量は4.0kg/(m2×hr)であった。10回試験後のコア側(純水)の液からは、ポリエチレングリコールが検出された。
ポリエチレングリコールによりポリエーテルスルホン支持層が劣化し、長時間使用すると性能が下がる傾向にあった。
このモジュールを分解して測定したポリエーテルスルホン中空糸膜の直径は1000μmであり、その膜部の厚みは230μmであった。また、ポリアミドスキン層の厚みは0.8μmであった。肉眼で断面を観察したところ、膨潤している様子であった。
以上の結果を表2にまとめて示す。
例えば上述した実施の形態では、ポリケトン多孔膜支持層が中空糸形状である場合を例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、膜状(板状)など、他の形状である場合にも本発明は適用可能である。
2 :筒状ケース
3 :シェル側導管
4 :シェル側導管
5 :中空糸膜束
5a :中空糸膜
6 :接着固定層
7 :接着固定層
8 :ヘッダ部
9 :ヘッダ部
10 :コア側導管
11 :コア側導管
12 :輪状オリフィス
13 :円状オリフィス
14 :二重管オリフィス
100 :正浸透処理システム
101 :供給配管
102 :循環配管
103 :供給配管
104 :循環配管
110 :高浸透圧供給部
111 :低浸透圧供給部
A1 :第1の領域
A2 :第2の領域
Claims (9)
- 半透膜ユニットと、
前記半透膜ユニットを介して互いに仕切られた第1の領域および第2の領域と、
前記第1の領域に低浸透圧溶液を供給する低浸透圧溶液供給部と、
前記第2の領域に高浸透圧溶液を供給する高浸透圧溶液供給部と、を備え、
前記低浸透圧溶液が供給された前記第1の領域から、前記高浸透圧溶液が供給された前記第2の領域へと、前記半透膜ユニットを介して流体移動を生じさせる正浸透処理システムであって、
前記半透膜ユニットが、ポリケトン多孔膜支持層と、該ポリケトン多孔膜支持層上に配された半透膜スキン層とから成る複合半透膜を含むことを特徴とする正浸透処理システム。 - 前記ポリケトン多孔膜支持層が中空糸形状又は平板形状である、請求項1に記載の正浸透処理システム。
- 前記半透膜スキン層が、酢酸セルロース、ポリアミド、ポリビニルアルコール/ポリピペラジンアミド、スルホン化ポリエーテルスルホン、ポリピペラジンアミド、ポリイミドのいずれかから成る、請求項1又は2に記載の正浸透処理システム。
- 前記低浸透圧溶液または前記高浸透圧溶液の少なくとも一方に有機性化合物を含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載の正浸透処理システム。
- ポリケトン多孔膜支持層と、該ポリケトン多孔膜支持層上に配された半透膜スキン層とから成る複合半透膜を含むことを特徴とする、半透膜ユニット。
- 請求項1〜4のいずれか1項に記載の正浸透処理システムを用いて、前記低浸透圧溶液から前記高浸透圧溶液に水を通過させた後、該高浸透圧溶液から水を回収することを特徴とする、造水方法。
- 請求項1〜4のいずれか1項に記載の正浸透処理システムを用いて、含水物から水を除去することを特徴とする、含水物の濃縮方法。
- 請求項1〜4のいずれか1項に記載の正浸透処理システムを用いて、前記低浸透圧溶液から前記高浸透圧溶液へ透過する水で、該高浸透圧溶液を希釈することを特徴とする、希釈方法。
- 請求項1〜4のいずれか1項に記載の正浸透処理システムを用いて、前記高浸透圧溶液に流れる流量を増加させ、増加した流量で水流発電機を駆動させて発電することを特徴とする、発電方法。
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