JP7481508B2 - 有機原料液の脱水方法 - Google Patents

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Description

本発明は、有機原料液の脱水方法に関する。詳しくは、正浸透法により、有機溶媒、少量の水、及び、溶質を含む原料液から水を脱水する方法に関する。
種々の化学プロセスにおいて、有機液中に含まれる水を除く脱水工程が存在する。例えば、水の存在下では所望の反応が進行しない禁水反応と呼ばれる化学反応の前に原料液から脱水する場合、溶質を再結晶して所望の形状、大きさ又は純度の結晶を得るために有機溶液中の水分量を調整する場合、平衡反応中に副生する水を反応系外に除き、目的生成物の収率を向上させる場合等がある。
一般的な脱水方法として、水と共沸混合物を作る有機溶媒を原料液に添加し、原料液を加熱することで、水と添加した有機溶媒とを除去する共沸蒸発法、及び、水を選択的に吸着する乾燥剤を原料液に添加する方法が知られている。
しかし、共沸蒸発法では、加熱によって原料液中の成分の品質が変化する等の問題がある。乾燥剤を原料液に添加する方法では、原料液中の溶質も吸着されること、及び、添加した乾燥剤を次工程の前に原料液から除去する手間が生じることが懸念される。また、脱水工程のスケールを大きくした場合に、脱水の再現性を得るのが難しい等の問題もある。
そこで、他の有用な脱水方法として、浸透圧の違いを利用して原料液中の溶媒を分離する正浸透(FO:Forward Osmosis)法が知られている。正浸透法は、原料液と、原料液よりも浸透圧の高い誘導液とを、正浸透(FO)膜を介して接触させ、原料液から誘導液へと溶媒を移動させることにより、原料液を濃縮する方法である。溶媒が水の場合には、正浸透法を用いて水溶液を脱水及び濃縮できる。正浸透法は、加熱及び加圧を必要としない。したがって、正浸透法は、溶質の分解又は変質を防ぐことができ、溶質の品質を保持したまま溶液を処理することができると期待される。
例えば特許文献1には、正浸透法によりアルコール水溶液を脱水する方法が記載されている。また、特許文献2には、ポリケトンを膜素材として使用した正浸透膜を使用し、有機化合物を含む溶液を処理するシステム、及び、このシステムを用いて含水物から水を除去する方法が記載されている。
国際公開第2010/080208号 国際公開第2016/024573号
しかしながら、特許文献1及び特許文献2に記載される技術では、有機溶液中に少量含まれる水を除去することは実現できていない。本発明の一態様は、上記事情に鑑み、少量の水を含む有機溶液である原料液に含まれる溶質を分解又は変質させることなく、当該原料液を脱水する方法を提供する。
すなわち、本発明を実施する形態の一例は以下に示すとおりである。
[1] 第一の有機溶媒、水及び第一の溶質を含む原料液から脱水をするための方法であって、
前記原料液と、第二の有機溶媒を含む誘導有機液とを、正浸透膜を介して接触させ、水分率が1質量%未満に脱水された脱水原料液を得る脱水工程を含み、
ここで前記脱水工程における前記原料液の当初の水分率は、1質量%以上30質量%未満であり、前記誘導有機液の当初の水分率は、前記原料液の当初の水分率よりも小さい、方法。
[2] 前記正浸透膜が、分離活性層と微細孔性支持膜とで構成される複合膜であり、
前記誘導有機液と前記分離活性層との溶解度パラメータの差ΔHSPが、ΔHSP<16(MPa)0.5であり、かつ
前記誘導有機液の飽和含水量が0.5質量%以上である、
上記態様1に記載の方法。
[3] 前記誘導有機液の溶解度パラメータが、13(MPa)0.5≦δd≦20(MPa)0.5、2(MPa)0.5≦δp≦18(MPa)0.5、2(MPa)0.5≦δH≦28(MPa)0.5である、
上記態様1又は2に記載の方法。
[4] 前記誘導有機液が、第二の溶質及び/又は乾燥剤をさらに含む、
上記態様1~3のいずれかに記載の方法。
[5] 前記脱水工程が、前記原料液を循環させる原料液系、及び、前記誘導有機液を循環させる誘導液系を備える脱水装置において実行され、
前記原料液系及び前記誘導液系は、前記第一の有機溶媒及び前記第二の有機溶媒の気化による系外への移動を抑制するように構成される、
上記態様1~4のいずれかに記載の方法。
[6] 前記第二の有機溶媒は、テトラヒドロフラン、2-メチルテトラヒドロフラン、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、トルエン、シクロペンチルメチルエーテル、t-ブチルメチルエーテル、アセトニトリル、ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドン、ヘキサフルオロイソプロピルアルコール、酢酸、アセトン、アニソール、ベンゼン、クロロベンゼン、四塩化炭素、クロロホルム、クメン、シクロヘキサン、1,2―ジクロロエタン、1,2-ジクロロエテン、ジクロロメタン、1,2-ジメトキシエタン、N,N-ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、1,4-ジオキサン、エチルエーテル、ギ酸エチル、ホルムアミド、ギ酸、ヘプタン、ヘキサン、メチルブチルケトン、メチルシクロヘキサン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ペンタン、ニトロメタン、ピリジン、スルホラン、テトラリン、1,1,1-トリクロロエタン、1,1,2-トリクロロエテン、及びキシレンからなる群から選択される少なくとも1種である、
上記態様1~5のいずれかに記載の方法。
[7] 前記脱水工程において、前記第一の有機溶媒を含み、かつ、水分率が0.5質量%以下の有機液が、脱水及び濃縮によって減容した前記原料液に補充される、
上記態様1~6のいずれかに記載の方法。
[8] 前記脱水原料液中の第一の溶質が、無水条件下において前記第一の溶質と他の試薬との化学反応を行う禁水反応に供される、
上記態様1~7のいずれかに記載の方法。
[9] 前記方法が、前記第一の溶質を晶析によって精製する晶析工程をさらに含む、
上記態様1~8のいずれかに記載の方法。
[10] 前記方法が、前記脱水工程の前に、前記第一の溶質を含む液から有機層を抽出する分液工程をさらに含み、
前記有機層を前記原料液として用いる、
上記態様1~9のいずれかに記載の方法。
[11] 前記方法が、再生工程をさらに含み、
前記再生工程は、前記原料液から前記誘導有機液へ移動した水を前記誘導有機液から除去する工程である、
上記態様1~10のいずれかに記載の方法。
[12] 前記再生工程において、乾燥剤又は脱水試薬が、前記誘導有機液中に添加される、
上記態様11に記載の方法。
[13] 前記再生工程において、前記誘導有機液は、共沸蒸留又は膜処理によって脱水される、
上記態様11又は12に記載の方法。
[14] 前記方法が、前記脱水工程の前に粗脱水工程をさらに含み、
前記粗脱水工程は、粗原料液と、第三の溶質を含む誘導水溶液とを、正浸透膜を介して接触させて、水分率が1質量%以上30質量%未満に脱水された原料液を得る工程である、
上記態様1~13のいずれかに記載の方法。
[15] 前記粗脱水工程が、前記粗原料液を循環させる原料液系、及び、前記誘導水溶液を循環させる誘導液系を備える脱水装置において実行され、
前記原料液系は、前記第一の有機溶媒の気化による系外への移動を抑制するように構成される、
上記態様14に記載の方法。
[16] 前記粗脱水工程において、前記第一の有機溶媒を含み、かつ、水分率が0.5質量%以下の有機液が、脱水及び濃縮によって減容した前記粗原料液に補充される、
上記態様14又は15に記載の方法。
[17] 前記方法が、医薬の製造において用いられる、上記態様1~16のいずれかに記載の方法。
本発明の一態様に係る方法によれば、少量の水及び溶質を含む有機溶液である原料液を、溶質を分解又は変質させることなく、非加熱条件下で脱水することが可能になる。本発明の一態様に係る方法は、例えば、医薬の製造において溶質を含む有機溶液を脱水するために、好適に適用可能である。
本発明に係る方法に用いられる脱水装置の一例を示す概念図である。 本発明に係る方法に用いられる正浸透膜モジュールの一例を示す断面図である。 本発明に係る方法の第一の実施形態を表すフローチャートである。 本発明に係る方法の第二の実施形態を表すフローチャートである。 正浸透膜モジュールを作製するための装置の一例を示す概略図である。
以下、本発明を実施するための例示の形態(以下、本実施形態ともいう。)を、非限定的な例である図面を用いて詳細に説明する。以下の実施形態中で示した各種特徴事項は、互いに組み合わせ可能である。
≪有機原料液の脱水方法の概要≫
図1は、脱水装置の一例を示す概念図であり、図2は、正浸透膜モジュールの一例を示す断面図であり、図3及び4は、本実施形態の方法の手順を説明するためのフローチャートである。図1~4を参照し、本実施形態の方法は、第一の有機溶媒、水及び第一の溶質を含む原料液4から脱水をするための方法である。本実施形態の方法は、原料液4と、第二の有機溶媒を含む誘導有機液5とを、正浸透膜23を介して接触させ、水分率が1質量%未満に脱水された脱水原料液を得る脱水工程S103を含むことを特徴とする。原料液4は、例えば、脱水工程S103の前に実行される分液工程S101において、第一の溶質を含む液から抽出された有機層であってよい。
本実施形態の方法は、原料液4から誘導有機液5へ移動した水を誘導有機液5から除去する工程である、再生工程S104をさらに含んでもよい。再生工程S104において水が除去された誘導有機液5は、脱水工程S103において再利用され、原料液4の脱水に用いられる。
脱水工程S103は、無水条件下において第一の溶質と他の試薬との化学反応を行う禁水反応工程S106の前に実行されてもよい。また、本実施形態の方法は、前記第一の溶質を晶析によって精製する晶析工程S105をさらに含んでもよい。晶析工程S105は、脱水工程S103の前に実行されてもよく、脱水工程S103の後に禁水反応工程S106の代わりに実行されてもよい。また脱水工程S103は、平衡反応の反応液に対して実行されてもよい。平衡反応はバッチ式(回分方式)であっても、フロー式(連続方式)であってもよい。
本実施形態の方法は、脱水工程S103の前に粗脱水工程S102をさらに含んでもよい。具体的には、粗脱水工程S102は、粗原料液と、第三の溶質を含む誘導水溶液とを、正浸透膜23を介して接触させて、水分率が1質量%以上30質量%未満に脱水された、本実施形態の原料液4を得る工程である。粗原料液は、例えば、粗脱水工程S102の前に実行される分液工程S101において抽出された有機層である。
≪脱水装置1の構成≫
図1~4を参照し、脱水工程S103を実行する脱水装置1の構成の一例を説明する。脱水装置1は、正浸透膜モジュール20を介して接触する、原料液系12及び誘導液系13によって構成される。以下、各構成要素について説明する。
<正浸透膜モジュール20>
図1及び2を参照し、正浸透膜モジュール20は、筒状のハウジング30に複数の中空糸状の正浸透膜23から成る中空糸膜束を充填し、該中空糸膜束の両端を接着剤固定部24,25でハウジング30に固定した構造を有する。ハウジング30は、その側面にシェル側導管21,22を備え、両端にヘッダー26,27を備える。ここで接着剤固定部24,25は、それぞれ、中空糸の中空部を閉塞しないように固化されている。
ヘッダー26,27は、それぞれ、中空糸状の正浸透膜23の内側である中空部に連通し且つ正浸透膜23の外側には連通しない、コア側導管28,29を有する。コア側導管28,29により、正浸透膜23の内側に液を導入すること、及び、導入した液を正浸透膜23の内側から取り出すことができる。シェル側導管21,22は、それぞれ、正浸透膜23の外側に連通し、正浸透膜23の内側には連通していない。シェル側導管21,22により、正浸透膜23の外側に液を導入すること、及び、導入した液を正浸透膜23の外側から取り出すことができる。
<原料液系12>
図1に示すように、原料液系12は、原料液タンク2、原料液送液配管6,7、及び、原料液送液ポンプ8を備える。原料液タンク2には、原料液4が充填され、原料液4は、原料液系12内で循環している。具体的には、原料液4は、原料液送液ポンプ8により原料液送液配管6を通り、コア側導管28から正浸透膜モジュール20に入る。そして、原料液4は、正浸透膜23の内側を通過した後コア側導管29から排出され、原料液送液配管7を通って原料液タンク2に戻る。
<誘導液系13>
誘導液系13は、誘導液タンク3、誘導液送液配管9,10、及び、誘導液送液ポンプ11を備える。誘導液タンク3には、誘導有機液5が充填され、誘導有機液5は、誘導液系13内で循環している。具体的には、誘導有機液5は、誘導液送液ポンプ11により誘導液送液配管9を通り、シェル側導管21から正浸透膜モジュール20に入る。そして、誘導有機液5は、正浸透膜23の外側を通過した後シェル側導管22から排出され、誘導液送液配管10を通って誘導液タンク3に戻る。
ここで原料液4と誘導有機液5とは、中空糸状の正浸透膜23の壁を介して接するが、両者が直接混じり合うことはない。そして、原料液4と誘導有機液5とが正浸透膜23の壁を介して接したときに、原料液4中の水が正浸透膜23を通って誘導有機液5に移動して、原料液4が脱水される。正浸透膜モジュール20における原料液4及び誘導有機液5の流動方向は、正浸透膜23の壁を介して同じ向きである並流であってもよく、正浸透膜23の壁を介して反対の向きである向流であってもよい。
原料液系12及び誘導液系13は、第一及び第二の有機溶媒の気化による系外への移動を抑制するように構成されることが好ましい。具体的には、原料液系12及び誘導液系13の各構成要素、好ましくは原料液タンク2及び誘導液タンク3から気体が外へ漏れないように構成される。例えば、原料液タンク2及び誘導液タンク3を蓋つきのタンクにする、気化した有機溶媒を凝縮してタンクに戻すためのコンデンサを設置する等の方法でよい。なお、原料液系12及び誘導液系13には、それぞれの内圧を調整できるよう、安全弁及び/又は背圧弁が組み込まれてもよい。第一及び第二の有機溶媒の揮発を防ぐことで、原料液4及び誘導有機液5の水分率上昇を防ぐことができ、効率的に脱水を行うことができる。
<正浸透膜23>
正浸透膜23としては、水を通過させる半透膜の性質を有する膜を制限なく使用可能である。正浸透膜23は、高い膜強度を確保する観点から、支持層(支持膜)上に分離活性層を有する複合型の膜であることが好ましい。支持膜は、平膜であっても中空糸膜であってもよい。支持膜が平膜である場合、支持膜の片面又は両面に分離活性層を有してよい。支持膜が中空糸膜である場合、中空糸膜の外表面若しくは内表面、又はこれらの双方の面上に分離活性層を有してよい。
正浸透膜23は、前述したようにモジュール化することが便利である。正浸透膜モジュール20は、正浸透膜が平膜である場合には、例えば、プリーツ型モジュール、スパイラル型モジュール等であることができ、正浸透膜が中空糸膜である場合には、例えば、該中空糸膜の束を円筒内に充填した中空糸膜モジュール等であることができる。ここで正浸透膜モジュール20は、中空糸膜である正浸透膜23の束を円筒内に充填したモジュールであることが好ましい。
支持膜は、微細孔性中空糸支持膜であることが好ましい。微細孔性中空糸支持膜は、その内表面に、孔径が好ましくは0.001μm以上2μm以下、より好ましくは0.001μm以上0.2μm以下の微細孔を有する。微細孔性中空糸支持膜の素材としては、限外ろ過膜、精密ろ過膜等に用いられる素材を活用してもよい。中空糸支持膜の素材は、具体的には例えば、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリフッ化ビニリデン、ポリアクリロニトリル、ポリエチレン、ポリプロピレン、セルロース系高分子、ポリベンゾイミダゾール、ポリケトン、ポリアミド、ポリイミド、ポリエーテルエーテルケトン、及び、これらの架橋体等が挙げられ、これらから選ばれる少なくとも1種を含み、及び/又はこれらから選ばれる1種が主成分(すなわち含有率が最も多い成分)であることが好ましい。中空糸支持膜の素材は、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリケトン、ポリアミド、ポリイミド、及び、これらの架橋体から選ばれる少なくとも1種を含み、及び/又はこれらから選ばれる1種が主成分であることがより好ましく、さらに好ましくは、ポリケトンである。
分離活性層としては、例えば、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリフッ化ビニリデン、ポリアクリロニトリル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリイミド、酢酸セルロース等から選ばれる少なくとも1種のポリマーを含み、及び/又はこれらから選ばれる1種が主成分である薄膜層が好適に用いられる。これらのポリマーは、架橋されていてもよいし、架橋されていなくてもよい。分離活性層が架橋ポリマーの場合、架橋の程度は任意であってよい。原料液4の脱水効率、支持層上への形成の容易性等を考慮すると、分離活性層は、好ましくはポリアミドの層であり、非架橋ポリアミド及び架橋ポリアミドから選択される1種以上を用いてよい。分離活性層を構成するポリアミドは、例えば、多官能性芳香族酸ハライドと多官能性芳香族アミンとの界面重合により形成されることができる。
多官能性芳香族酸ハライドとは、一分子中に2個以上の酸ハライド基を有する芳香族酸ハライド化合物である。具体的には、例えば、トリメシン酸ハライド、トリメリット酸ハライド、フタル酸ハライド、イソフタル酸ハライド、テレフタル酸ハライド、ピロメリット酸ハライド、ベンゾフェノンテトラカルボン酸ハライド、ビフェニルジカルボン酸ハライド、ナフタレンジカルボン酸ハライド、ピリジンジカルボン酸ハライド、ベンゼンジスルホン酸ハライド等を挙げることができ、これらのうちの1種、又は2種以上の混合物を用いることができる。本発明においては、特にトリメシン酸クロリド単独、又はトリメシン酸クロリドとイソフタル酸クロリドとの混合物、又はトリメシン酸クロリドとテレフタル酸クロリドとの混合物が好ましく用いられる。
多官能性芳香族アミンとは、一分子中に2個以上のアミノ基を有する芳香族アミノ化合物である。具体的には、例えば、m-フェニレンジアミン、p-フェニレンジアミン、3,3’-ジアミノジフェニルメタン、4,4’-ジアミノジフェニルアミン、4,4’-ジアミノジフェニルエーテル、3,4’-ジアミノジフェニルエーテル、3,3’-ジアミノジフェニルアミン、3,5-ジアミノ安息香酸、4,4’-ジアミノジフェニルスルホン、3,3’-ジアミノジフェニルスルホン、3,4’-ジアミノジフェニルスルホン、1,3,5,-トリアミノベンゼン、1,5-ジアミノナフタレン等を挙げることができ、これらのうちの1種、又は2種以上の混合物を用いることができる。本実施形態においては、特に、m-フェニレンジアミン及びp-フェニレンジアミンから選ばれる1種以上が好適に用いられる。
<原料液4>
原料液4は、第一の有機溶媒、水及び第一の溶質を含む有機溶液である。ここで脱水工程S103における原料液4の当初の水分率は、1質量%以上30質量%未満であり、好ましくは、1質量%以上20質量%未満であり、より好ましくは、1質量%以上15質量%未満である。ここで「当初の水分率」とは、原料液4を原料液タンク2内に準備する時点、又は、誘導有機液5を誘導液タンク3内に準備する時点における、原料液4又は誘導有機液5の水分率のことを指し、以下において同様である。水分率の測定方法は後述する。
第一の有機溶媒は、エーテル(例えば環状エーテル)、エステル、炭化水素、含窒素化合物、含硫黄化合物、ハロゲン化合物、ケトン等であってよく、具体的には、テトラヒドロフラン、2-メチルテトラヒドロフラン、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、トルエン、シクロペンチルメチルエーテル、t-ブチルメチルエーテル、アセトニトリル、ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドン、ヘキサフルオロイソプロピルアルコール、酢酸、アセトン、アニソール、ベンゼン、クロロベンゼン、四塩化炭素、クロロホルム、クメン、シクロヘキサン、1,2―ジクロロエタン、1,2-ジクロロエテン、ジクロロメタン、1,2-ジメトキシエタン、N,N-ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、1,4-ジオキサン、エチルエーテル、ギ酸エチル、ホルムアミド、ギ酸、ヘプタン、ヘキサン、メチルブチルケトン、メチルシクロヘキサン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ペンタン、ニトロメタン、ピリジン、スルホラン、テトラリン、1,1,1-トリクロロエタン、1,1,2-トリクロロエテン、キシレンからなる群から選択される少なくとも1種である。第一の有機溶媒は、好ましくは、テトラヒドロフラン、2-メチルテトラヒドロフラン、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、トルエン、シクロペンチルメチルエーテル、及びt-ブチルメチルエーテルからなる群から選択される少なくとも1種であり、より好ましくは、テトラヒドロフラン、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、トルエン、及びt-ブチルメチルエーテルからなる群から選択される少なくとも1種であり、さらに好ましくは、テトラヒドロフラン、酢酸エチル、及び酢酸イソプロピルからなる群から選択される少なくとも1種である。
第一の溶質は、正浸透膜23を通過しない物質であればよく、特定の種類に限定されない。本実施形態の方法は、一態様において医薬の製造において用いられる。第一の溶質は、例えば、医薬産業等に用いられる原料(例えば、フェニルアラニン等のアミノ酸、ショ糖等の糖類、キニーネ等の天然から単離されるアルカロイド等の天然物、ビルディングブロックと呼ばれる化合物等)、中間化合物(例えば、オクタアセチルショ糖等の原料から化学合成又は修飾される化合物等)、又は最終化合物(例えば、原薬)(例えば、低分子医薬品、ペプチド又は核酸等の中分子医薬品、タンパク質等の高分子医薬品、ワクチン、抗生物質等)である。溶質は、固体であっても液体であってもよく、複数の物質の混合物であってもよい。なお、第一の有機溶媒と第一の溶質は、異なる物質となるように選択される。
第一の溶質の分子量は、第一の溶質が正浸透膜23を透過するのを防ぎ、かつ、第一の溶質が正浸透膜23に付着するのを防ぐ観点から、好ましくは、100以上30000以下、より好ましくは、150以上10000以下、さらに好ましくは、200以上1000以下である。なお上記分子量とは、有価物が重合体である場合には、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーで測定したポリエチレンオキシド換算での数平均分子量であり、重合体でない場合には原子量に基づく値を指す。溶質の濃度は、特定の値に限定されず、第一の有機溶媒に可溶な範囲で適宜選択されてよい。具体的には、例えば、原料液4の総質量に対して0.1質量%以上60質量%以下、好ましくは、1質量%以上50質量%以下、さらに好ましくは、5質量%以上40質量%以下であってよい。第一の溶質の濃度を所定以上とすることで、脱水装置1内で一度に処理可能な溶質の量を増やし、処理の効率を高めることができ、濃度を所定以下とすることで、第一の溶質を析出させることなく原料液4を脱水装置1内で循環することができる。
<誘導有機液5>
誘導有機液5は、第二の有機溶媒を含む。ここで第二の有機溶媒は、正浸透膜23を透過しない有機液である。誘導有機液5が水溶液ではなく、正浸透膜23を透過しない第二の有機溶媒を含む有機液であることで、誘導有機液5から原料液4への水の拡散を防ぐことができ、少量の水を含む原料液4の脱水を効果的に行うことができる。
誘導有機液5と、正浸透膜23の分離活性層との溶解度パラメータの差ΔHSPは、ΔHSP<16(MPa)0.5であることが好ましい。誘導有機液と分離活性層とが、この条件を満たすとき、分離活性層が適度に膨潤し、水の透過経路が増加することで、好適に脱水することができると考えられる。ΔHSPは、より好ましくは、15(MPa)0.5以下、又は14(MPa)0.5以下、又は13(MPa)0.5以下である。ΔHSPは小さいことが好ましいが、誘導有機液と分離活性層との組合せを選択する際の便宜の観点から、一態様において、5(MPa)0.5以上、又は6(MPa)0.5以上、又は7(MPa)0.5以上であってよい。
本開示の溶解度パラメータは、Hansen溶解度パラメータ(HSP)である。HSPの分散項δd、極性項δp、及び水素結合項δHに基づき、2物質間の溶解度パラメータ差ΔHSPは以下の式で計算できる。
分離活性層のHSP値について、分離活性層を構成するポリマーの化学構造を以下に示す手順でモノマーに変換し、モノマーのHSPを市販のソフトウェアWinmostar9.4.11のアドオンであるHansen SP & QSPRモデルを使用して計算し、この値を分離活性層のHSPとみなすことができる。例えば、ポリマーが直鎖構造であり、分岐鎖を有しない非架橋ポリマーの場合には、ポリマーの繰り返し単位を取り出し、繰り返し単位同士の結合部分をメチル基に置き換えた上で、モノマーのHSPを算出する。一方、ポリマーが分岐鎖を有する架橋ポリマーの場合には、繰り返し単位を取り出し、ポリマー末端以外で架橋せずに未反応のまま残る可能性があった官能基をすべて水素基に置き換えて直鎖構造のポリマー及び繰り返し単位に変換した後、変換後の繰り返し単位同士の結合部分をメチル基に置き換えた上で、モノマーのHSPを算出する。具体的な手順については後述する。
誘導有機液のHSP値について、誘導有機液に含まれるn種の液体成分(成分1,2,…n)の各々のHSP及び誘導有機液中の体積分率から、誘導有機液全体のHSP値を決定することができる。具体的には、以下の式のとおりに計算する。誘導有機液に含まれる固体成分については、HSP値の計算においては考慮しない。
(式中、
V1,V2,…Vnは、成分1,2,…nの各々の体積分率であり、
δd1,δd2,…δdnは、成分1,2,…nの各々のHSPの分散項であり、
δp1,δp2,…δpnは、成分1,2,…nの各々のHSPの極性項であり、
δH1,δH2,…δHnは、成分1,2,…nの各々のHSPの水素結合項である。)
誘導有機液の各液体成分のHSP値は、市販のソフトウェアWinmostar9.4.11ののアドオンであるHansen SP & QSPRモデルを使用して計算することができる。
分離活性層の溶解度パラメータ(HSP)値は、好ましくは、15(MPa)0.5以上、又は16(MPa)0.5以上、又は17(MPa)0.5以上であり、好ましくは、40(MPa)0.5以下、又は39(MPa)0.5以下、又は38(MPa)0.5以下である。
誘導有機液の溶解度パラメータ(HSP)値は、好ましくは、13(MPa)0.5以上、又は14(MPa)0.5以上、又は15(MPa)0.5以上であり、好ましくは、39(MPa)0.5以下、又は38(MPa)0.5以下、又は37(MPa)0.5以下である。
分離活性層の溶解度パラメータにおいては、δdが、好ましくは、15(MPa)0.5以上、又は16(MPa)0.5以上、又は17(MPa)0.5以上、好ましくは、26(MPa)0.5以下、又は25(MPa)0.5以下、又は24(MPa)0.5以下であり、δpが、好ましくは、2(MPa)0.5以上、又は3(MPa)0.5以上、又は4(MPa)0.5以上、好ましくは、26(MPa)0.5以下、又は25(MPa)0.5以下、又は24(MPa)0.5以下であり、δHが、好ましくは、1(MPa)0.5以上、又は2(MPa)0.5以上、又は3(MPa)0.5以上、好ましくは、20(MPa)0.5以下、又は19(MPa)0.5以下、又は18(MPa)0.5以下である。
誘導有機液の溶解度パラメータにおいては、δdが、好ましくは、13(MPa)0.5以上、又は14(MPa)0.5以上、又は15(MPa)0.5以上、好ましくは、20(MPa)0.5以下、又は19(MPa)0.5以下、又は18(MPa)0.5以下であり、δpが、好ましくは、2(MPa)0.5以上、又は3(MPa)0.5以上、又は4(MPa)0.5以上、好ましくは、18(MPa)0.5以下、又は17(MPa)0.5以下、又は16(MPa)0.5以下であり、δHが、好ましくは、2(MPa)0.5以上、又は3(MPa)0.5以上、又は4(MPa)0.5以上、好ましくは、28(MPa)0.5以下、又は27(MPa)0.5以下、又は26(MPa)0.5以下である。
誘導有機液は、飽和含水量が、好ましくは、0.5質量%以上、又は1.0質量%以上、又は2.0質量%以上である。誘導有機液がこの条件を満たすことで、好適に原料液から誘導有機液へ水が移動することができると考えられる。飽和含水量は、好適には100%(すなわち水と任意に混和)であるが、脱水効率の観点から、例えば、99質量%以下、又は98質量%以下、又は97質量%以下であってもよい。
誘導有機液の飽和含水量は、以下の手順で求めることができる。水と誘導有機液とを重量換算にして同量ずつ分液漏斗を使用して混合する。水層、有機層の2層に分かれなかった場合、その誘導有機液は水と任意の割合で混和すると考える。2層に分離した場合、その後分液し、得られた有機層の水分率を飽和含水量とみなす。水分率の測定方法は後述する。
誘導有機液の飽和含水量が未知で、誘導有機液に水と任意に混和する溶媒が含まれる場合、誘導有機液に水を少しずつ加えていき、2相になる直前までに加えた水分量(g)と誘導有機液の使用量(g)から、以下の計算式で求められる水分率を飽和含水量とする。
脱水効率は、原料液(FS)水分率及び原料液(FS)量に基づき、以下の式に基づいて算出できる。なお下記のt分は総運転時間の8分の1から4分の1程度を選択すると良い。運転初期の脱水効率から、運転終了後の脱水の程度を推測することができる。
例えば運転中に第一の溶質及び/又は第二の溶質が析出した場合、脱水効率は以下のように修正して考える。溶質の析出を確認した段階で運転を止め、原料液の総重量(A)を測定する。その後、上澄み液の水分率を測定する。この水分率をt分後の原料液(FS)水分率とする。また析出した溶質を濾別し、析出した重量(B)を測定する。(A)-(B)の重量をt分後の原料液(FS)量とする。
第二の有機溶媒は、エーテル(例えば環状エーテル)、エステル、炭化水素、含窒素化合物、含硫黄化合物、ハロゲン化合物、ケトン、アルコール類等であってよく、具体的には、テトラヒドロフラン、2-メチルテトラヒドロフラン、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、トルエン、シクロペンチルメチルエーテル、t-ブチルメチルエーテル、アセトニトリル、ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドン、ヘキサフルオロイソプロピルアルコール、酢酸、アセトン、アニソール、ベンゼン、クロロベンゼン、四塩化炭素、クロロホルム、クメン、シクロヘキサン、1,2―ジクロロエタン、1,2-ジクロロエテン、ジクロロメタン、1,2-ジメトキシエタン、N,N-ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、1,4-ジオキサン、エチルエーテル、ギ酸エチル、ホルムアミド、ギ酸、ヘプタン、ヘキサン、メチルブチルケトン、メチルシクロヘキサン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ペンタン、ニトロメタン、ピリジン、スルホラン、テトラリン、1,1,1-トリクロロエタン、1,1,2-トリクロロエテン、キシレン、メタノール、エタノール、及びイソプロピルアルコールからなる群から選択される少なくとも1種である。第二の有機溶媒は、好ましくは、テトラヒドロフラン、2-メチルテトラヒドロフラン、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、トルエン、シクロペンチルメチルエーテル、及びt-ブチルメチルエーテルからなる群から選択される少なくとも1種であり、より好ましくは、テトラヒドロフラン、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、トルエン、及びt-ブチルメチルエーテルからなる群から選択される少なくとも1種であり、さらに好ましくは、テトラヒドロフラン、酢酸エチル、及び酢酸イソプロピルからなる群から選択される少なくとも1種である。
第一の有機溶媒と第二の有機溶媒とは、互いに同種でも異種でもよい。
脱水工程S103における誘導有機液5の当初の水分率は、原料液4の当初の水分率よりも小さい。ここで、誘導有機液5の当初の水分率は、誘導有機液5が第二の溶質及び/又は乾燥剤を含む場合には、これらが添加された状態で測定される。なお、乾燥剤を含む誘導有機液5においては、乾燥剤以外の部分(具体的には上澄み部分)をサンプリングして水分率を測定する。但し、誘導有機液5が第二の溶質として脱水試薬を含む場合には、脱水試薬添加前の状態、すなわち誘導有機液の構成成分のうち脱水試薬を欠く液(一態様において第二の有機溶媒)の水分率を誘導有機液5の水分率とみなす。正浸透膜は水を透過する半透膜であるため、水分子の多い原料液4側から水分子の少ない誘導有機液5側へ、拡散現象によって水が移動することが考えられる。これにより、有機溶液である原料液4中に少量含まれる水を除くことができる。脱水工程S103における誘導有機液5の当初の水分率(質量%)と、原料液4の当初の水分率(質量%)との差は、一態様において、0.5質量%以上、又は0.7質量%以上、又は1質量%以上であってよく、一態様において、20質量%以下、又は15質量%以下、又は10質量%以下であってよい。
誘導有機液5は、第二の溶質及び/又は乾燥剤をさらに含んでも良い。第二の溶質は、第二の有機溶媒に溶解し、又は、第二の有機溶媒と完全に混じり合い、かつ、正浸透膜を透過しない物質である。第二の溶質は、誘導有機液5中での濃度において、その少なくとも一部が、第二の有機溶媒に溶解又はこれと完全に混じり合っていればよい。一方、乾燥剤は、溶液中の水を物理吸着することにより、水を除去するもの、又は、水を結晶水として取り込み、水を除去するものである。乾燥剤は、誘導有機液5に可溶な物質及び不溶な物質であってよい。乾燥剤は、一態様において、第二の有機溶媒を含む20℃の誘導有機液5中で固体状態を保っている物質であり、より典型的には第二の有機溶媒に溶解しない物質である。乾燥剤により、原料液4から正浸透膜23を透過してきた水を誘導有機液5から除去することができ、原料液4をより効率よく脱水することができる。
第二の溶質は、具体的には例えば:2-プロパノール、2-ブタノール、2-メチル-2-プロパノール等の、炭素数3の分岐を有するモノアルコール及び炭素数4以上のモノアルコール;トルエン等の非極性溶媒;ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等の重合体;オルトエステル、ナトリウム、水素化カルシウム、五酸化二リン等の脱水試薬;パラトルエンスルホン酸、パラトルエンスルホン酸ピリジニウム等の有機酸;等から選ばれる1種又は複数種である。ここで脱水試薬とは、溶液中の水と化学反応することにより、水を除去するものであり、脱水時に化学反応を伴わない前述の乾燥剤とは区別される。オルトエステルは、例えば、オルトギ酸トリメチル、オルトギ酸トリエチル等であってよい。なお、第二の有機溶媒と第二の溶質は、異なる物質となるように選択される。
第二の溶質は、好ましくは:オルトギ酸トリメチル、オルトギ酸トリエチル等のオルトエステル系脱水試薬;並びに、トルエン、パラトルエンスルホン酸、パラトルエンスルホン酸ピリジニウム等の、トルエン構造を有する化合物;から選ばれる1種又は複数種であり、より好ましくは、オルトギ酸トリメチル、オルトギ酸トリエチル、パラトルエンスルホン酸、及びパラトルエンスルホン酸ピリジニウムから選ばれる1種又は複数種であり、さらに好ましくは、オルトギ酸トリエチル及びパラトルエンスルホン酸であり、又は、パラトルエンスルホン酸ピリジニウムである。誘導有機液5が第二の溶質を含むことにより、誘導有機液5の浸透圧をより大きくし、原料液4の脱水効果を高めることができると考えられる。トルエン構造等の疎水性構造を有する化合物は、当該疎水性構造の寄与により、誘導有機液5の浸透圧を高める効果が良好であり得る。
誘導有機液5に含まれる第二の溶質の濃度は、一態様において、0.01質量%以上、又は0.1質量%以上、又は1質量%以上であってよく、一態様において、60質量%以下、又は50質量%以下、又は40質量%以下、又は30質量%以下、又は20質量%以下、又は10質量%以下であってよい。誘導有機液5に含まれる、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等の重合体の濃度は、誘導有機液5の総質量に対して、好ましくは0.1質量%以上60質量%以下であり、より好ましくは0.5質量%以上50質量%以下である。重合体の濃度を所定以上とすることで、誘導有機液5の浸透圧をより高めることができ、濃度を所定以下とすることで、誘導有機液5を脱水装置1内で循環させるために適切な粘度とすることができる。誘導有機液5に含まれるオルトエステル系脱水試薬の濃度は、誘導有機液5の総質量に対して、好ましくは、1質量%以上60質量%以下であり、より好ましくは、5質量%以上40質量%以下である。オルトエステル系脱水試薬の濃度を所定以上とすることで、原料液4から誘導有機液5に移動した水を良好に除去することができ、濃度を所定以下とすることで、脱水試薬の反応熱による正浸透膜23の劣化を防ぐことができる。誘導有機液5に含まれる有機酸の量は、触媒量であってよく、好ましくは、誘導有機液5の総質量に対して0.01質量%以上10質量%以下であり、より好ましくは、0.1質量%以上5質量%以下である。
乾燥剤としては、例えば、シリカゲル、モレキュラーシーブ等の多孔質材料、硫酸ナトリウム、硫酸マグネシウム等の水和物形成性化合物等、一般的に有機溶媒の脱水に使用されるものが挙げられる。乾燥剤は、好ましくは、モレキュラーシーブ及び硫酸マグネシウムからなる群から選択される1種以上であり、より好ましくは、モレキュラーシーブである。誘導有機液5に含まれる乾燥剤の量は、誘導有機液5の総質量に対して、好ましくは、1質量%以上60質量%以下であり、より好ましくは、5質量%以上50質量%以下である。乾燥剤の量を所定以上とすることで、原料液4から誘導有機液5に移動した水を良好に除去することができ、量を所定以下とすることで、誘導液タンク3の内部での圧力損失を小さくすることができる。
≪第一の実施形態に係る方法≫
図3を参照し、第一の実施形態に係る方法について説明する。この方法は、例えば医薬の製造において、水分を含んだ有機層を分液によって抽出し、所望の水分量に脱水した後に晶析又は禁水反応を行う、という手順を想定したものである。
図3中の分液工程S101では、ある化学反応の生成物である第一の溶質を含む有機溶液を分液操作によって抽出する。分液操作によって抽出された有機溶液は、水を含有しているため、粗脱水工程S102及び脱水工程S103において脱水される。有機溶液の水分率が1質量%以上30質量%未満、好ましくは1質量%以上20質量%未満、より好ましくは1質量%以上15質量%未満である場合、粗脱水工程S102を省略して脱水工程S103を実行してよい。
図3中の粗脱水工程S102では、分液工程S101において抽出された有機溶液である粗原料液と、第三の溶質を含む誘導水溶液とを、正浸透膜23を介して接触させて、水分率が1質量%以上30質量%未満に脱水された原料液4を得る。有機溶媒と比較して気化しづらく、簡便に扱うことができる水系の誘導水溶液を用いてある程度まで脱水することで、脱水工程S103の時間を短縮することができる。
ここで第三の溶質は、例えば、ハロゲン化物、硝酸塩、硫酸塩、酢酸塩、尿素、アルコール、グリコール、重合体、及び糖からなる群から選択される1種以上であってよい。具体的には例えば、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化マグネシウム、塩化アンモニウム、硝酸カリウム、硝酸アンモニウム、硫酸ナトリウム、硫酸マグネシウム、硫酸アンモニウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、メタノール、エタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、及びポリプロピレングリコールからなる群から選択される1種以上であってよい。
粗脱水工程S102は、粗原料液を循環させる原料液系12、及び、誘導水溶液を循環させる誘導液系13を備える脱水装置1において実行される。ここで好ましくは、原料液系12は、第一の有機溶媒の気化による系外への移動を抑制するように構成される。第一の有機溶媒の揮発を防ぐことで、原料液4の水分率上昇を防ぐことができる。
好ましくは、粗脱水工程S102において、第一の有機溶媒を含み、かつ、水分率が0.5質量%以下の有機液が、脱水及び濃縮によって減容した粗原料液に補充される。減容した原料液4に有機液を補充することで、さらに原料液4の水分率を小さくすることができる。上記有機液の水分率は、0.4質量%以下、又は0.3質量%以下であってよく、有機液の入手容易性の観点から0.001質量%以上、又は0.01質量%以上、又は0.1質量%以上であってもよい。
図3中の脱水工程S103では、まず、粗脱水工程S102で粗脱水された有機溶液である原料液4、及び、第二の有機溶媒を含み、原料液4よりも小さい水分率を有する誘導有機液5を準備する。そして、原料液4と誘導有機液5とを、正浸透膜23を介して接触させ、水分率が1質量%未満に脱水された脱水原料液を得る。本実施形態の脱水方法は、分液によって抽出した有機溶液を共沸によって濃縮する従前の脱水方法と比較して、脱水に要する時間を短縮することができ、加熱による第一の溶質の分解又は変質を防ぐことができる。脱水原料液の水分率は、好ましくは、0.95質量%以下、又は0.9質量%以下、又は0.85質量%以下、又は0.8質量%以下、又は0.75質量%以下、又は0.7質量%以下である。脱水原料液の水分率は低い方が好ましいが、プロセス効率の観点から、一態様において、0.01質量%以上、又は0.05質量%以上、又は0.1質量%以上、又は0.2質量%以上、又は0.3質量%以上、又は0.4質量%以上であってよい。
脱水工程S103は、原料液4を循環させる原料液系12、及び、誘導有機液5を循環させる誘導液系13を備える脱水装置1において実行される。ここで好ましくは、原料液系12及び誘導液系13は、第一及び第二の有機溶媒の気化による系外への移動を抑制するように構成される。これにより、第一及び第二の有機溶媒の揮発を防ぎ、原料液4及び誘導有機液5の水分率上昇を防ぐことができる。
好ましくは、脱水工程S103において、第一の有機溶媒を含み、かつ、水分率が0.5質量%以下の有機液が、脱水及び濃縮によって減容した原料液4に補充される。減容した原料液4に有機液を補充することで、さらに原料液4の水分率を小さくすることができる。上記有機液の水分率は、0.4質量%以下、又は0.3質量%以下であってよく、有機液の入手容易性の観点から0.001質量%以上、又は0.01質量%以上、又は0.1質量%以上であってもよい。
図3中の再生工程S104では、脱水工程S103で再度使用可能な誘導有機液5を得るために、原料液4から誘導有機液5へ移動した水が、誘導有機液5から除去される。再生工程S104の後、再生工程S104で処理された誘導有機液5を用い、再度脱水工程S103を実行してもよい。これにより、原料液4よりも誘導有機液5の浸透圧が高い状態を維持しながら脱水を行うことができ、脱水原料液の最終的な水分率をより小さくすることができる。
再生工程S104において、誘導有機液5は、共沸蒸留又は膜処理によって脱水されることが好ましい。ここで共沸蒸留は、減圧蒸留等であってよい。ここで膜処理とは、水を選択的に浸透させる浸透気化膜を用い、誘導有機液5から水を蒸発させて除く方法等であってよい。より好ましくは、再生工程S104において、乾燥剤又は脱水試薬が、誘導有機液5中に添加される。乾燥剤及び脱水試薬は、前述の物質が好適に用いられる。
次に、晶析工程S105又は禁水反応工程S106が実行される。図3中の晶析工程S105では、脱水工程S103で得られた脱水原料液から、第一の溶質を結晶化によって分離し、精製する。結晶化は、本技術分野の当業者にとって一般的に用いられる方法で行われてよい。好ましくは、加温又は圧力操作による第一の溶質の変質を防ぐため、脱水原料液を冷却させる方法、又は第一の溶質が難溶である溶媒を脱水原料液に添加する方法が用いられる。
図3中の禁水反応工程S106では、脱水工程S103で得られた脱水原料液に他の試薬を添加して、無水条件下で化学反応を進行させる。禁水反応工程S106における化学反応は、水の存在下では所望の反応の進行が阻害される禁水反応である。ここで他の試薬とは、例えば、グリニャール試薬、ブチルリチウム等の有機金属試薬であってよい。
≪第二の実施形態に係る方法≫
図4を参照し、第二の実施形態に係る方法として、医薬の製造において、水溶液から溶質を晶析後、得られる湿結晶を有機溶媒に溶解させ、脱水した後に禁水反応を行う手順を想定した方法について説明する。
図4中の晶析工程S105では、ある化学反応の生成物である第一の溶質を含む水溶液から、水を含む第一の溶質である湿結晶を分離する。得られた湿結晶を第一の有機溶媒に溶解させ、粗脱水工程S102及び脱水工程S103において脱水させる粗原料液及び原料液4を得る。なお粗脱水工程S102は省略してもよい。本実施形態の脱水方法は、湿結晶を減圧下において加熱し、乾燥させる従前の脱水方法と比較して、脱水に要する時間を短縮することができ、加熱による第一の溶質の分解又は変質を防ぐことができる。
図4中の粗脱水工程S102、脱水工程S103、再生工程S104及び禁水反応工程S106は、第一の実施形態と同様であってよく、したがって説明を繰り返さない。
以下、実施例に基づいて本発明を具体的に説明するが、本発明は実施例によって限定されるものではない。
≪実験方法≫
(正浸透膜モジュールの作製)
エチレンと一酸化炭素とが完全交互共重合した極限粘度2.2dL/gのポリケトンを、ポリマー濃度が15質量%となるように65質量%レゾルシン水溶液に添加し、80℃において2時間攪拌溶解し、脱泡を行って、均一透明な紡糸原液を得た。二重紡口を装備した湿式中空糸紡糸機に上記の紡糸原液を充填し、二重紡口の内側から25質量%のメタノール水溶液を、外側から上記の紡糸原液を、それぞれ、40質量%メタノール水溶液を満たした凝固槽中に押し出して、相分離により中空糸膜を形成した。
得られた中空糸膜を、長さ70cmに切断して束ね、水洗した。水洗後の中空糸膜束を、アセトンで溶媒置換し、さらにヘキサンで溶媒置換した後、50℃において乾燥を行った。このようにして得られたポリケトン中空糸膜の外径は0.8mm、内径は0.5mm、空隙率は78%であり、膜壁の最大孔径は130nmであった。上記ポリケトン中空糸膜80本から成る中空糸膜束を、2cm径、10cm長の円筒状のモジュールハウジング(筒状ケース)内に収納し、中空糸膜束の両端部を接着剤で固定することにより、ポリケトン中空糸支持膜モジュールを作製した。
得られたポリケトン中空糸支持膜モジュールを用い、各中空糸膜の内側表面上において、下記のとおりに界面重合を実施した。1L容器に、m-フェニレンジアミン20.216g及びラウリル硫酸ナトリウム1.52gを入れ、さらに純水991gを加えて溶解させ、界面重合に用いる第1溶液を調製した。別の1L容器に、トリメシン酸クロリド0.6gを入れ、n-ヘキサン300gを加えて溶解させ、界面重合に用いる第2溶液を調製した。
界面重合による分離活性層の形成方法について図5を参照して説明する。図5に示す装置において、中空糸支持膜の内側(コア側)に第1溶液を充填させた中空糸支持膜モジュール41には、コア側の入り口に第2溶液貯蔵タンク44からの第2溶液送液配管45が繋ぎ込まれ、途中に第2溶液を圧送する第2溶液送液ポンプ46が繋がれている。コア側の出口には第2溶液排液タンク47からの第2溶液排液配管48が繋ぎ込まれ、該タンクからは中空糸支持膜モジュール41の中空糸内側の圧力を制御するコア側圧力調整装置42が繋ぎ込まれている。中空糸支持膜モジュール41のシェル側の下部導管にはエンドキャップ49がはめ込まれ、上部導管にはシェル圧を制御するシェル側圧力調整装置43が繋ぎ込まれている。中空糸支持膜モジュール41のコア側(中空糸の内側)に第1溶液を充填し、5分静置した後に液を抜いて、中空糸の内側が第1溶液で濡れた状態で、図5に示す装置に装着した。コア側圧力調整装置42によりコア側圧力を常圧に設定し、シェル側圧力調整装置43によりシェル側圧力を、絶対圧として10kPaの減圧に設定した(コア側圧力>シェル側圧力)。この状態で2分間静置した後、この圧力を維持したまま、第2溶液送液ポンプ46により第2溶液をコア側に40cc/分の流量で3分送液し、界面重合を行った。重合温度は25℃とした。
次いで、中空糸支持膜モジュールを装置から外して、50℃に設定した恒温槽内に5分静置させ、n-ヘキサンを気化させて除去した。さらに、シェル側及びコア側の双方を純水によって洗浄することにより、正浸透膜モジュールを作製した。
(HSPの算出)
分離活性層のHSPは、以下のようにモデル化して計算した。一般的に、この方法で界面重合して得られる分離活性層の繰り返し単位は、下記式(1):
(式中、x及びyはそれぞれ独立に1以上の整数である。)
で表される。
上記式(1)で表されるように、分離活性層は、トリメシン酸クロライド由来部分のうち、一部が架橋しており且つ一部が架橋されていない(すなわち加水分解されている)構造を有する。
上記ポリマー構造において、まず、ポリマー末端以外で架橋せずに未反応のまま残る可能性があった官能基(すなわち加水分解されうる構造部分、すなわち加水分解されている構造部分及び繰り返し単位において分岐鎖を形成している構造部分)をすべて水素基に置換する。これにより、下記式(2):
で表される構造が得られる。次いで、上記ポリマー構造において、繰り返し単位の化学結合に関わる部分をメチル基に置換する。これにより、下記式(3):
で表されるモノマー構造が得られる。
上記のモデル化によって得たモノマー構造のHSPを、市販のソフトウェアWinmostar9.4.11のアドオンであるHansen SP & QSPRモデルを使用して計算したところ、δd=20.5(MPa)0.5、δp=11.47(MPa)0.5、δH=7.22(MPa)0.5であり、HSPは、24.58(MPa)0.5であった。
また、誘導有機液の第二の有機溶媒のHSPも、上記と同様、市販のソフトウェアWinmostar9.4.11のアドオンであるHansen SP & QSPRモデルを使用して計算した。
結果を表1に纏める。
(水分率の測定)
1mLのシリンジで原料液、粗原料液、又は誘導有機液約0.5mLを取り、カールフィッシャー水分測定装置(形式CA-200、(株)三菱化学アナリテック製)に約0.1mL注入し、水分率を測定した。なお、誘導有機液中に乾燥剤としてモレキュラーシーブを含む実施例4及び実施例6では、上澄みの誘導有機液のみをサンプリングした。
第二の溶質が脱水試薬である実施例1~実施例3では、カールフィッシャー反応と脱水反応が競合してしまうため、脱水試薬が添加される前の第二の有機溶媒の水分率を誘導有機液の水分率とみなした。実施例1~実施例3における「水分率は0.01質量%未満」という記載は、脱水試薬を含まない第二の有機溶媒の水分率が0.01質量%であり、その後脱水試薬の添加によってさらに水分率が低下したと推測されることを意味する。
(脱水効率)
脱水効率は、原料液(FS)水分率及び原料液(FS)量に基づき、以下の式に基づいて求めた。なおtは30(分)とした。
脱水効率(%)の値を、以下の基準で評価した。
A:40%以上
B:30%以上40%未満
C:30%未満
≪実施例1≫
本実施例は、図1に示した脱水装置を用いて、室温(23℃)にて行った。原料液としては、第一の溶質であるオクタアセチルショ糖10質量%を含有する酢酸イソプロピル溶液を200mL使用した。原料液の当初の水分率は、2.0質量%であった。誘導有機液としては、第二の溶質であるオルトギ酸トリエチル10質量%及びパラトルエンスルホン酸ピリジニウム(PPTS)触媒量を含有する、酢酸イソプロピル溶液を400mL使用した。誘導有機液の当初の水分率は、0.01質量%未満であった。有機溶媒が気化によってタンク外へ移動しないように、原料液タンク及び誘導液タンクに蓋をした。原料液を流速40mL/分で、誘導有機液を340mL/分でそれぞれ循環させ、正浸透膜を介して接触させた。脱水装置を4時間稼働させた後、回収した脱水原料液の水分率は0.6質量%であった。
≪実施例2≫
原料液としては、第一の溶質であるオクタアセチルショ糖10質量%を含有する酢酸エチル溶液を200mL使用した。原料液の当初の水分率は、3.0質量%であった。誘導有機液としては、第二の溶質であるオルトギ酸トリエチル10質量%及びパラトルエンスルホン酸触媒量を含有する、酢酸エチル溶液を400mL使用した。誘導有機液の当初の水分率は、0.01質量%未満であった。有機溶媒が気化によってタンク外へ移動しないように、原料液タンク及び誘導液タンクに蓋をした。実施例1と同様の条件で脱水装置を稼働させた後、回収した脱水原料液の水分率は0.7質量%であった。
≪実施例3≫
原料液としては、第一の溶質であるキニーネ10質量%を含有するテトラヒドロフラン(THF)溶液を200mL使用した。原料液の当初の水分率は、9.0質量%であった。誘導溶液としては、第二の溶質であるオルトギ酸トリエチル10質量%及びパラトルエンスルホン酸ピリジニウム(PPTS)触媒量を含有するテトラヒドロフラン溶液を400mL使用した。誘導有機液の当初の水分率は、0.01質量%未満であった。有機溶媒が気化によってタンク外へ移動しないように、原料液タンク及び誘導液タンクに蓋をした。実施例1と同様の条件で脱水装置を稼働させた後、回収した脱水原料液の水分率は0.8質量%であった。
≪実施例4≫
原料液としては、第一の溶質であるとしてキニーネ10質量%を含有するテトラヒドロフラン溶液を200mL使用した。原料液の当初の水分率は、9.0質量%であった。誘導溶液としては、第二の溶質であるトルエン10質量%、及び、乾燥剤であるモレキュラーシーブ約100gを含有するテトラヒドロフラン溶液を400mL使用した。誘導有機液の当初の水分率は、0.01質量%であった。有機溶媒が気化によってタンク外へ移動しないように、原料液タンク及び誘導液タンクに蓋をした。実施例1と同様の条件で脱水装置を稼働させた後、回収した脱水原料液の水分率は0.9質量%であった。
≪実施例5≫
原料液としては、第一の溶質であるキニーネ10質量%を含有するテトラヒドロフラン溶液を200mL使用した。原料液の当初の水分率は、3.0質量%であった。誘導有機液としては、第二の有機溶媒であるテトラヒドロフランを2000mL使用した。誘導有機液の当初の水分率は、0.1質量%であった。有機溶媒が気化によってタンク外へ移動しないように、原料液タンク及び誘導液タンクに蓋をした。実施例1と同様の条件で脱水装置を7時間稼働させた後、回収した脱水原料液の水分率は0.9質量%であった。
≪実施例6≫
原料液としては、第一の溶質であるオクタアセチルショ糖10質量%を含有する酢酸イソプロピル溶液を200mL使用した。原料液の当初の水分率は、2.0質量%であった。誘導有機液としては、乾燥剤であるモレキュラーシーブ約100gを含有する酢酸イソプロピルを600mL使用した。誘導有機液の当初の水分率は、0.01質量%であった。本実施例では、原料液タンク及び誘導液タンクに蓋をしない状態で、脱水操作を行った。実施例1と同様の条件で脱水装置を5時間稼働させた後、回収した脱水原料液の水分率は0.8質量%であった。
≪比較例1≫
比較例1は、誘導液として有機液ではなく水溶液を使用した。原料液としては、第一の溶質であるキニーネ10質量%を含有するテトラヒドロフラン溶液を200mL使用した。原料液の当初の水分率は、9.0質量%であった。誘導液としては、第二の溶質である塩化マグネシウム20質量%を含有する水溶液を400mL使用した。溶媒が気化によってタンク外へ移動しないように、原料液タンク及び誘導液タンクに蓋をした。実施例1と同様の条件で脱水装置を1.5時間稼働させた後、回収した脱水原料液の水分率を測定した所、7.2質量%であった。原料液の水分率は低下したものの、1質量%未満にはできなかった。
≪比較例2≫
比較例2は、比較例1と同様に、誘導液として水溶液を使用した。原料液としては、第一の溶質であるキニーネ10質量%を含有するテトラヒドロフラン溶液を200mL使用した。原料液の当初の水分率は、1.3質量%であった。誘導液としては、第二の溶質である塩化マグネシウム20質量%を含有する水溶液を400mL使用した。溶媒が気化によってタンク外へ移動しないように、原料液タンク及び誘導液タンクに蓋をした。実施例1と同様の条件で脱水装置を1.5時間稼働させた後、回収した脱水原料液の水分率を測定した所、4.8質量%であった。原料液の水分率が上昇するという結果となり、原料液の脱水はできなかった。
≪比較例3≫
比較例3は、比較例1と同様に、誘導液として水溶液を使用した。原料液としては、第一の溶質であるオクタアセチルショ糖10質量%を含有する酢酸エチル溶液を200mL使用した。原料液の当初の水分率は、2.1質量%であった。誘導液としては、第二の溶質である塩化マグネシウム20質量%を含有する水溶液を400mL使用した。溶媒が気化によってタンク外へ移動しないように、原料液タンク及び誘導液タンクに蓋をした。実施例1と同様の条件で脱水装置を1.5時間稼働させた後、回収した脱水原料液の水分率を測定した所、2.4質量%であった。原料液の水分率が上昇するという結果となり、原料液の脱水はできなかった。
≪比較例4≫
比較例4では、比較例1と同様に、誘導液として水溶液を使用した。また、第一の有機溶媒には、正浸透膜を透過するメタノールを選択した。原料液としては、第一の溶質であるオクタアセチルショ糖1質量%を含有するメタノール溶液を1000mL使用した。原料液の当初の水分率は、10.2質量%であった。誘導液としては、第二の溶質である塩化マグネシウム10質量%を含有する水溶液を1600mL使用した。溶媒が気化によってタンク外へ移動しないように、原料液タンク及び誘導液タンクに蓋をした。実施例1と同様の条件で脱水装置を7時間稼働させた後、回収した脱水原料液の水分率を測定した所、38.5質量%であった。原料液の水分率が上昇するという結果となり、原料液の脱水はできなかった。
≪比較例5≫
比較例5では、第一の有機溶媒及び第二の有機溶媒に、正浸透膜を透過するメタノールを選択した。原料液としては、第一の溶質であるオクタアセチルショ糖1質量%を含有するメタノール溶液を900mL使用した。原料液の当初の水分率は、9.4質量%であった。誘導有機液としては、第二の溶質である塩化マグネシウム10質量%を含有するメタノール溶液を1400mL使用した。誘導有機液の当初の水分率は、0.13質量%であった。有機溶媒が気化によってタンク外へ移動しないように、原料液タンク及び誘導液タンクに蓋をした。実施例1と同様の条件で脱水装置を3.5時間稼働させた後、回収した脱水原料液の水分率を測定した所、3.0質量%であった。原料液の水分率は低下したものの、1質量%未満にはできなかった。
≪比較例6≫
比較例6は、原料液より誘導有機液の方が、当初の水分率が高い条件で実験した。原料液としては、第一の溶質であるオクタアセチルショ糖5質量%を含有するt-ブチルメチルエーテル溶液を200mL使用した。原料液の当初の水分率は、1.3質量%であった。誘導液としては、第二の溶質であるトルエン10質量%を含有する酢酸イソプロピル溶液を600mL使用した。誘導有機液の当初の水分率は、1.5質量%であった。有機溶媒が気化によってタンク外へ移動しないように、原料液タンク及び誘導液タンクに蓋をした。実施例1と同様の条件で脱水装置を1時間稼働させた後、回収した脱水原料液の水分率を測定した所、1.4質量%であった。原料液の水分率が上昇するという結果となり、原料液の脱水はできなかった。
≪実施例7≫
原料液としては、第一の溶質であるオクタアセチルショ糖0.1質量%を含有するテトラヒドロフラン溶液を200g使用した。原料液の当初の水分率は、1.1質量%であった。誘導有機液としては、テトラヒドロフランを400g使用した。誘導有機液の当初の水分率は、0.01質量%であった。有機溶媒が気化によってタンク外へ移動しないように、原料液タンク及び誘導液タンクに蓋をした。実施例1と同様の条件で脱水装置を2時間稼働させた後、回収した脱水原料液の水分率は0.4質量%であった。また、0分後及び30分後に測定した原料液の水分率及び重量から求めた脱水効率は、33%(評価B)であった。
≪実施例8≫
原料液としては、第一の溶質であるオクタアセチルショ糖0.1質量%を含有するテトラヒドロフラン溶液を200g使用した。原料液の当初の水分率は、1.1質量%であった。誘導有機液としては、酢酸エチルを400g使用した。誘導有機液の当初の水分率は、0.01質量%であった。有機溶媒が気化によってタンク外へ移動しないように、原料液タンク及び誘導液タンクに蓋をした。実施例1と同様の条件で脱水装置を2時間稼働させた後、回収した脱水原料液の水分率は0.4質量%であった。また、0分後及び30分後に測定した原料液の水分率、重量から、脱水効率は42%(評価A)であった。
≪実施例9≫
原料液としては、第一の溶質であるオクタアセチルショ糖0.1質量%を含有するテトラヒドロフラン溶液を200g使用した。原料液の当初の水分率は、1.1質量%であった。誘導有機液としては、メタノールを400g使用した。誘導有機液の当初の水分率は、0.01質量%であった。有機溶媒が気化によってタンク外へ移動しないように、原料液タンク及び誘導液タンクに蓋をした。実施例1と同様の条件で脱水装置を2時間稼働させた後、回収した脱水原料液の水分率は0.5質量%であった。また、0分後及び30分後に測定した原料液の水分率、重量から、脱水効率は23%(評価C)であった。
≪実施例10≫
原料液としては、第一の溶質であるオクタアセチルショ糖0.1質量%を含有するテトラヒドロフラン溶液を200g使用した。原料液の当初の水分率は、1.1質量%であった。誘導有機液としては、テトラヒドロフランとシクロヘキサンを体積比で1:3に混ぜた溶液を400g使用した。誘導有機液の当初の水分率は、0.01質量%であった。有機溶媒が気化によってタンク外へ移動しないように、原料液タンク及び誘導液タンクに蓋をした。実施例1と同様の条件で脱水装置を2時間稼働させた後、回収した脱水原料液の水分率は0.9質量%であった。また、0分後及び30分後に測定した原料液の水分率、重量から、脱水効率は27%(評価C)であった。
≪実施例11≫
原料液としては、第一の溶質であるオクタアセチルショ糖0.1質量%を含有するテトラヒドロフラン溶液を200g使用した。原料液の当初の水分率は、1.1質量%であった。誘導溶液としては、テトラヒドロフランとシクロヘキサンを体積比で1:1に混ぜた溶液を400g使用した。誘導有機液の当初の水分率は、0.01質量%であった。有機溶媒が気化によってタンク外へ移動しないように、原料液タンク及び誘導液タンクに蓋をした。実施例1と同様の条件で脱水装置を2時間稼働させた後、回収した脱水原料液の水分率は0.8質量%であった。また、0分後及び30分後に測定した原料液の水分率、重量から、脱水効率は39%(評価B)であった。
≪実施例12≫
原料液としては、第一の溶質であるオクタアセチルショ糖0.1質量%を含有するテトラヒドロフラン溶液を200g使用した。原料液の当初の水分率は、1.1質量%であった。誘導溶液としては、テトラヒドロフランとN-メチルピロリドンを体積比で1:1に混ぜた溶液を400g使用した。誘導有機液の当初の水分率は、0.01質量%であった。有機溶媒が気化によってタンク外へ移動しないように、原料液タンク及び誘導液タンクに蓋をした。実施例1と同様の条件で脱水装置を2時間稼働させた後、回収した脱水原料液の水分率は0.4質量%であった。また、0分後及び30分後に測定した原料液の水分率、重量から、脱水効率は32%(評価B)であった。
≪実施例13≫
原料液としては、第一の溶質であるオクタアセチルショ糖0.1質量%を含有するテトラヒドロフラン溶液を200g使用した。原料液の当初の水分率は、1.1質量%であった。誘導溶液としては、テトラヒドロフランとジクロロメタンを体積比で1:1に混ぜた溶液を400g使用した。誘導有機液の当初の水分率は、0.01質量%であった。有機溶媒が気化によってタンク外へ移動しないように、原料液タンク及び誘導液タンクに蓋をした。実施例1と同様の条件で脱水装置を2時間稼働させた後、回収した脱水原料液の水分率は0.5質量%であった。また、0分後及び30分後に測定した原料液の水分率、重量から、脱水効率は41%(評価A)であった。
≪実施例14≫
原料液としては、第一の溶質であるオクタアセチルショ糖0.1質量%を含有するテトラヒドロフラン溶液を200g使用した。原料液の当初の水分率は、1.1質量%であった。誘導溶液としては、テトラヒドロフランとジクロロメタンを体積比で1:3に混ぜた溶液を400g使用した。誘導有機液の当初の水分率は、0.01質量%であった。有機溶媒が気化によってタンク外へ移動しないように、原料液タンク及び誘導液タンクに蓋をした。実施例1と同様の条件で脱水装置を2時間稼働させた後、回収した脱水原料液の水分率は0.8質量%であった。また、0分後及び30分後に測定した原料液の水分率、重量から、脱水効率は38%(評価B)であった。
≪実施例15≫
原料液としては、第一の溶質であるオクタアセチルショ糖0.1質量%を含有するテトラヒドロフラン溶液を200g使用した。原料液の当初の水分率は、1.1質量%であった。誘導溶液としては、テトラヒドロフランとジクロロメタンを体積比で1:9に混ぜた溶液を400g使用した。誘導有機液の当初の水分率は、0.01質量%であった。有機溶媒が気化によってタンク外へ移動しないように、原料液タンク及び誘導液タンクに蓋をした。実施例1と同様の条件で脱水装置を2時間稼働させた後、回収した脱水原料液の水分率は0.9質量%であった。また、0分後及び30分後に測定した原料液の水分率、重量から、脱水効率は37%(評価B)であった。
以上の実施例及び比較例の結果を、表2及び3に示した。
1 脱水装置
2 原料液タンク
3 誘導液タンク
4 原料液
5 誘導有機液
6、7 原料液送液配管
8 原料液送液ポンプ
9、10 誘導液送液配管
11 誘導液送液ポンプ
12 原料液系
13 誘導液系
20 正浸透膜モジュール
21、22 シェル側導管
23 正浸透膜
24、25 接着剤固定部
26、27 ヘッダー
28、29 コア側導管
30 ハウジング
41 中空糸支持膜モジュール
42 コア側圧力調整装置
43 シェル側圧力調整装置
44 第2溶液貯蔵タンク
45 第2溶液送液配管
46 第2溶液送液ポンプ
47 第2溶液排液タンク
48 第2溶液排液配管
49 エンドキャップ
S101 分液工程
S102 粗脱水工程
S103 脱水工程
S104 再生工程
S105 晶析工程
S106 禁水反応工程

Claims (16)

  1. 第一の有機溶媒、水及び第一の溶質を含む原料液から脱水をするための方法であって、
    前記原料液と、第二の有機溶媒を含む誘導有機液とを、正浸透膜を介して接触させ、水分率が1質量%未満に脱水された脱水原料液を得る脱水工程を含み、
    ここで前記脱水工程における前記原料液の当初の水分率は、1質量%以上30質量%未満であり、前記誘導有機液の当初の水分率は、前記原料液の当初の水分率よりも小さく、
    前記正浸透膜が、分離活性層と微細孔性支持膜とで構成される複合膜であり、
    前記誘導有機液と前記分離活性層との溶解度パラメータの差ΔHSPが、ΔHSP<16(MPa) 0.5 であり、かつ
    前記誘導有機液の飽和含水量が0.5質量%以上である、方法。
  2. 前記誘導有機液の溶解度パラメータが、13(MPa)0.5≦δd≦20(MPa)0.5、2(MPa)0.5≦δp≦18(MPa)0.5、2(MPa)0.5≦δH≦28(MPa)0.5である、
    請求項に記載の方法。
  3. 前記誘導有機液が、第二の溶質及び/又は乾燥剤をさらに含む、
    請求項1又は2に記載の方法。
  4. 前記脱水工程が、前記原料液を循環させる原料液系、及び、前記誘導有機液を循環させる誘導液系を備える脱水装置において実行され、
    前記原料液系及び前記誘導液系は、前記第一の有機溶媒及び前記第二の有機溶媒の気化による系外への移動を抑制するように構成される、
    請求項1~のいずれか一項に記載の方法。
  5. 前記第二の有機溶媒は、テトラヒドロフラン、2-メチルテトラヒドロフラン、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、トルエン、シクロペンチルメチルエーテル、t-ブチルメチルエーテル、アセトニトリル、ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドン、ヘキサフルオロイソプロピルアルコール、酢酸、アセトン、アニソール、ベンゼン、クロロベンゼン、四塩化炭素、クロロホルム、クメン、シクロヘキサン、1,2―ジクロロエタン、1,2-ジクロロエテン、ジクロロメタン、1,2-ジメトキシエタン、N,N-ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、1,4-ジオキサン、エチルエーテル、ギ酸エチル、ホルムアミド、ギ酸、ヘプタン、ヘキサン、メチルブチルケトン、メチルシクロヘキサン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ペンタン、ニトロメタン、ピリジン、スルホラン、テトラリン、1,1,1-トリクロロエタン、1,1,2-トリクロロエテン、及びキシレンからなる群から選択される少なくとも1種である、
    請求項1~のいずれか一項に記載の方法。
  6. 前記脱水工程において、前記第一の有機溶媒を含み、かつ、水分率が0.5質量%以下の有機液が、脱水及び濃縮によって減容した前記原料液に補充される、
    請求項1~のいずれか一項に記載の方法。
  7. 前記脱水原料液中の第一の溶質が、無水条件下において前記第一の溶質と他の試薬との化学反応を行う禁水反応に供される、
    請求項1~のいずれか一項に記載の方法。
  8. 前記方法が、前記第一の溶質を晶析によって精製する晶析工程をさらに含む、
    請求項1~のいずれか一項に記載の方法。
  9. 前記方法が、前記脱水工程の前に、前記第一の溶質を含む液から有機層を抽出する分液工程をさらに含み、
    前記有機層を前記原料液として用いる、
    請求項1~のいずれか一項に記載の方法。
  10. 前記方法が、再生工程をさらに含み、
    前記再生工程は、前記原料液から前記誘導有機液へ移動した水を前記誘導有機液から除去する工程である、
    請求項1~のいずれか一項に記載の方法。
  11. 前記再生工程において、乾燥剤又は脱水試薬が、前記誘導有機液中に添加される、
    請求項10に記載の方法。
  12. 前記再生工程において、前記誘導有機液は、共沸蒸留又は膜処理によって脱水される、
    請求項10又は11に記載の方法。
  13. 前記方法が、前記脱水工程の前に粗脱水工程をさらに含み、
    前記粗脱水工程は、粗原料液と、第三の溶質を含む誘導水溶液とを、正浸透膜を介して接触させて、水分率が1質量%以上30質量%未満に脱水された原料液を得る工程である、
    請求項1~12のいずれか一項に記載の方法。
  14. 前記粗脱水工程が、前記粗原料液を循環させる原料液系、及び、前記誘導水溶液を循環させる誘導液系を備える脱水装置において実行され、
    前記原料液系は、前記第一の有機溶媒の気化による系外への移動を抑制するように構成される、
    請求項13に記載の方法。
  15. 前記粗脱水工程において、前記第一の有機溶媒を含み、かつ、水分率が0.5質量%以下の有機液が、脱水及び濃縮によって減容した前記粗原料液に補充される、
    請求項13又は14に記載の方法。
  16. 前記方法が、医薬の製造において用いられる、請求項1~15のいずれか一項に記載の方法。
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