<第1の実施形態>
以下、遊技機の一種であるパチンコ遊技機(以下、「パチンコ機」という)の第1の実施形態を、図面に基づいて詳細に説明する。図1はパチンコ機10の正面図、図2及び図3はパチンコ機10の主要な構成を展開して示す斜視図である。なお、図2では便宜上パチンコ機10の遊技領域内の構成を省略している。
パチンコ機10は、当該パチンコ機10の外殻を形成する外枠11と、この外枠11に対して前方に回動可能に取り付けられた遊技機本体12とを有する。外枠11は木製の板材を四辺に連結し構成されるものであって矩形枠状をなしている。パチンコ機10は、外枠11を島設備に取り付け固定することにより、遊技ホールに設置される。
遊技機本体12は、図2及び図3に示すように、内枠13と、その内枠13の前方に配置される前扉枠14と、内枠13の後方に配置される裏パックユニット15とを備えている。遊技機本体12のうち内枠13が外枠11に対して回動可能に支持されている。詳細には、正面視で左側を回動基端側とし右側を回動先端側として内枠13が前方へ回動可能とされている。
内枠13には、図2に示すように、前扉枠14が回動可能に支持されており、正面視で左側を回動基端側とし右側を回動先端側として前方へ回動可能とされている。また、内枠13には、図3に示すように、裏パックユニット15が回動可能に支持されており、正面視で左側を回動基端側とし右側を回動先端側として後方へ回動可能とされている。
なお、遊技機本体12には、図3に示すように、その回動先端部に施錠装置16が設けられており、遊技機本体12を外枠11に対して開放不能に施錠状態とする機能を有しているとともに、前扉枠14を内枠13に対して開放不能に施錠状態とする機能を有している。これらの各施錠状態は、図1に示すように、パチンコ機10前面にて露出させて設けられたシリンダ錠17に対して解錠キーを用いて解錠操作を行うことにより、それぞれ解除される。
次に、遊技機本体12の前面側の構成について説明する。
内枠13は、図2に示すように、外形が外枠11とほぼ同一形状をなす樹脂ベース21を主体に構成されている。樹脂ベース21の中央部には略楕円形状の窓孔23が形成されている。樹脂ベース21には遊技盤24が着脱可能に取り付けられている。遊技盤24は合板よりなり、遊技盤24の前面に形成された遊技領域が樹脂ベース21の窓孔23を通じて内枠13の前面側に露出した状態となっている。
ここで、遊技盤24の構成を図4に基づいて説明する。図4は遊技盤24の正面図である。
遊技盤24には、ルータ加工が施されることによって前後方向に貫通する大小複数の開口部が形成されている。各開口部には一般入賞口31,可変入賞装置32,上作動口(第1始動入球部)33,下作動口(第2始動入球部)34,スルーゲート35、可変表示ユニット36、メイン表示部43及び役物用表示部44等がそれぞれ設けられている。
遊技領域の中央位置を含むようにして可変表示ユニット36が配置されており、さらに遊技領域の横方向の中央ライン上において可変表示ユニット36、上作動口33、下作動口34及び可変入賞装置32がこの順序で下方に向けて並ぶように配置されている。また、スルーゲート35は、可変表示ユニット36の左側に1個設けられているとともに、右側に1個設けられている。また、一般入賞口31は、上作動口33及び下作動口34の高さ位置において、これら上作動口33及び下作動口34の左方に2個設けられているとともに、右方に2個設けられている。
一般入賞口31、可変入賞装置32、上作動口33及び下作動口34への入球が発生すると、それが遊技盤24の背面側に配設された入賞検知センサにより検知され、その検知結果に基づいて所定数の賞球の払い出しが実行される。この場合、上作動口33への入球が発生した場合及び下作動口34への入球が発生した場合には3個の賞球の払い出しが実行され、一般入賞口31への入球が発生した場合には10個の賞球の払い出しが実行され、可変入賞装置32への入球が発生した場合には15個の賞球の払い出しが実行される。但し、これら賞球の個数は任意であり、例えば上作動口33に係る賞球個数よりも下作動口34に係る賞球個数が多いといったように、両作動口33,34の賞球個数が相違していてもよい。また、可変入賞装置32に係る賞球個数が他の賞球個数に比べて多い構成に限定されることはなく、例えば一般入賞口31に係る賞球個数よりも少ない構成としてもよく、一般入賞口31に係る賞球個数が最も多い構成としてもよい。
その他に、遊技盤24の最下部にはアウト口37が設けられており、各種入賞口等に入らなかった遊技球はアウト口37を通って遊技領域から排出される。また、遊技盤24には、遊技球の落下方向を適宜分散、調整等するために多数の釘38が植設されていると共に、風車等の各種部材(役物)が配設されている。
ここで、入球とは、所定の開口部を遊技球が通過することを意味し、開口部を通過した際にそのまま遊技領域から排出される態様だけでなく、開口部を通過した後に遊技領域を再度流下する態様も含まれる。但し、以下の説明では、アウト口37への遊技球の入球と明確に区別するために、一般入賞口31、可変入賞装置32、上作動口33、下作動口34又はスルーゲート35への遊技球の入球を、入賞とも表現する。
上作動口33及び下作動口34は、作動口装置としてユニット化されて遊技盤24に設置されている。上作動口33及び下作動口34は共に上向きに開放されている。また、上作動口33が上方となるようにして両作動口33,34は鉛直方向に並んでいる。下作動口34には、左右一対の可動片よりなるガイド片(サポート片)としての電動役物34aが設けられている。
電動役物34aは遊技盤24の背面側に搭載された図示しない電動役物駆動部に連結されており、電動役物駆動部により駆動されて閉鎖状態(非サポート状態又は非ガイド状態)及び開放状態(サポート状態又はガイド状態)のいずれかに配置される。電動役物34aの閉鎖状態では遊技球が下作動口34に入賞できず、電動役物34aが開放状態となることで下作動口34への入賞が可能となる。詳細には、電動役物34aが閉鎖状態である場合には電動役物34aの先端部と上作動口33を形成する壁部との距離が遊技球の直径よりも小さく、電動役物34aが開放状態である場合には、電動役物34aの先端部と上作動口33を形成する壁部との距離が遊技球の直径よりも大きくなっている。
なお、これに限定されず、下作動口34への遊技球の入賞が発生し易い状態と、入賞が可能であって上記入賞が発生し易い状態よりも入賞が発生しづらい状態とに、電動役物34aが切り換えられる構成としてもよい。また、電動役物34aを不具備とし、入賞が発生し易い状態と、それよりも入賞が発生しづらい状態との切換が、下作動口34自身の変位により行われる構成としてもよい。
可変入賞装置32は、通常は遊技球が入賞できない又は入賞が困難な閉状態になっており、大当たり当選といった開閉実行モード(特別遊技状態)への移行当選となった際に、遊技球が入賞しやすい所定の開放状態に切り換えられるようになっている。可変入賞装置32の開放態様として具体的には、所定時間(例えば30秒間)の経過又は所定個数(例えば10個)の入賞を1ラウンドとして、複数ラウンド(例えば15ラウンド)を上限として可変入賞装置32が繰り返し開放される。
メイン表示部43では、上作動口33又は下作動口34への入賞をトリガとして絵柄(特図)の変動表示が行われ、その変動表示の停止結果として、上作動口33又は下作動口34への入賞に基づいて行われた内部抽選の結果が表示によって明示される。つまり、本パチンコ機10では、上作動口33への入賞と下作動口34への入賞とが内部抽選において区別されておらず、上作動口33又は下作動口34への入賞に基づいて行われた内部抽選の結果が共通の表示領域であるメイン表示部43にて明示される。そして、上作動口33又は下作動口34への入賞に基づく内部抽選の結果が開閉実行モードへの移行に対応した当選結果であった場合には、メイン表示部43にて所定の停止結果が表示されて変動表示が停止された後に、開閉実行モードへ移行する。
なお、メイン表示部43は、複数のセグメント発光部が所定の態様で配列されてなるセグメント表示器により構成されているが、これに限定されることはなく、液晶表示装置、有機EL表示装置、CRT又はドットマトリックス表示器等その他のタイプの表示装置によって構成されていてもよい。また、メイン表示部43にて変動表示される絵柄としては、複数種の文字が変動表示される構成、複数種の記号が変動表示される構成、複数種のキャラクタが変動表示される構成又は複数種の色が切り換え表示される構成などが考えられる。
役物用表示部44では、スルーゲート35への入賞をトリガとして絵柄(普図)の変動表示が行われ、その変動表示の停止結果として、スルーゲート35への入賞に基づいて行われた内部抽選の結果が表示によって明示される。スルーゲート35への入賞に基づく内部抽選の結果が電役開放状態への移行に対応した当選結果であった場合には、役物用表示部44にて所定の停止結果が表示されて変動表示が停止された後に、電役開放状態へ移行する。電役開放状態では、下作動口34に設けられた電動役物34aが所定の態様で開放状態となる。
可変表示ユニット36には、絵柄の一種である図柄を変動表示(又は、可変表示若しくは切換表示)する図柄表示装置41が設けられているとともに、図柄表示装置41を囲むようにしてセンターフレーム42が配設されている。図柄表示装置41は、液晶ディスプレイを備えた液晶表示装置として構成されており、後述する表示制御装置により表示内容が制御される。なお、図柄表示装置41は、液晶表示装置であることに限定されることはなく、プラズマディスプレイ装置、有機EL表示装置又はCRTといった表示画面を有する他の表示装置であってもよく、ドットマトリクス表示器であってもよい。
図柄表示装置41では、上作動口33又は下作動口34への入賞に基づいて図柄の変動表示が開始される。すなわち、メイン表示部43において変動表示が行われる場合には、それに合わせて図柄表示装置41において変動表示が行われる。例えば上、中及び下に並べて図柄が表示され、これらの図柄が左右方向にスクロールされるようにして変動表示されるようになっている。そして、予め設定されている有効ライン上に所定の組み合わせの図柄が停止表示された場合には、開閉実行モードが発生することとなる。
なお、いずれかの作動口33,34への入賞に基づいて、メイン表示部43及び図柄表示装置41にて変動表示が開始され、所定の停止結果を表示し上記変動表示が停止されるまでが遊技回の1回に相当する。
センターフレーム42の前面側における左上部分には、メイン表示部43及び図柄表示装置41に対応した第1保留ランプ部45が設けられている。遊技球が上作動口33又は下作動口34に入賞した個数は最大4個まで保留され、第1保留ランプ部45の点灯によってその保留個数が表示されるようになっている。
センターフレーム42の右上部分には、役物用表示部44に対応した第2保留ランプ部46が設けられている。遊技球がスルーゲート35を通過した回数は最大4回まで保留され、第2保留ランプ部46の点灯によってその保留個数が表示されるようになっている。なお、各保留ランプ部45,46の機能が図柄表示装置41の一部の領域における表示により果たされる構成としてもよい。
遊技盤24には、内レール部48と外レール部49とが取り付けられており、これら内レール部48と外レール部49とにより誘導レールが構成され、遊技球発射機構51から発射された遊技球が遊技領域の上部に案内されるようになっている。なお、内レール部48及び外レール部49は遊技領域を区画する機能も有している。
遊技球発射機構51は、図2に示すように、樹脂ベース21における窓孔23の下方に取り付けられており、誘導レールに向けて延びる発射レール52と、後述する上皿61aに貯留されている遊技球を発射レール52上に供給する球送り装置53と、発射レール52上に供給された遊技球を誘導レールに向けて発射させる電動アクチュエータであるソレノイド54と、を備えている。前扉枠14に設けられた発射操作装置55が操作されることにより、球送り装置53が駆動制御されて1個の遊技球が発射レール52上の球待機位置に配置されるとともに、ソレノイド54が駆動制御されて、発射レール52上に配置された遊技球が発射される。
内枠13の前面側全体を覆うようにして前扉枠14が設けられている。前扉枠14には、図1に示すように、遊技領域のほぼ全域を前方から視認することができるようにした窓部56が形成されている。窓部56は、略楕円形状をなし、窓パネル57が嵌め込まれている。窓パネル57は、ガラスによって無色透明に形成されているが、これに限定されることはなく合成樹脂によって無色透明に形成されていてもよく、パチンコ機10前方から窓パネル57を通じて遊技領域を視認可能であれば有色透明に形成されていてもよい。
窓部56の周囲には、各種ランプ部等の発光手段が設けられている。各種ランプ部の一部として表示ランプ部58aが窓部56の上方に設けられている。また、表示ランプ部58aの左右両側であって前扉枠14の上側の隅角部分には左右一対のエラーランプ部58bが設けられている。また、エラーランプ部58bに隣接させて、遊技状態に応じた効果音などが出力される左右一対のスピーカ部59が設けられている。
前扉枠14における窓部56の下方には、手前側へ膨出した上側膨出部61と下側膨出部62とが上下に並設されている。上側膨出部61内側には上方に開口した上皿61aが設けられており、下側膨出部62内側には同じく上方に開口した下皿62aが設けられている。
上皿61aは、後述する払出装置77(図3参照)より払い出された遊技球を一旦貯留し、一列に整列させながら遊技球発射機構51側へ導くための機能を有する。この場合、前扉枠14には上皿61aの出口から連続し、内枠13の球送り装置53へと延びる図示しない発射誘導用通路が形成されているが、当該発射誘導用通路の出口部分には、図2に示すように、シャッタ63が設けられている。当該シャッタ63は、前扉枠14を閉鎖状態とした場合には内枠13に形成された図示しない押圧部により押圧されて開放位置に配置され、球送り装置53への遊技球の流入を可能とする。一方、前扉枠14を開放状態とした場合には、上記押圧部による押圧が解除されるため、シャッタ63が閉鎖位置に配置され、上皿61aからの遊技球の流出が阻止される。下皿62aは、上皿61a内にて余剰となった遊技球を貯留する機能を有する。
次に、遊技機本体12の背面側の構成について説明する。
図3に示すように、内枠13(具体的には、遊技盤24)の背面には、遊技の主たる制御を司る主制御装置71と、音声やランプ表示及び図示しない表示制御装置の制御を司る音声発光制御装置72と、が搭載されている。
なお、主制御装置71の基板ボックス71aには、その開放の痕跡を残すための痕跡手段が設けられている。詳細には、基板ボックス71aには、痕跡手段として、基板ボックス71aを構成する複数のケース体を分離不能に結合するとともに、その分離に際して所定部位の破壊を要する結合部(カシメ部)が設けられている。これにより、基板ボックス71aの不正な開放を抑制することができるとともに、仮に不正に開放された場合にはその痕跡が残るため、不正に開放されたことを容易に把握することができる。
なお、痕跡手段としては、上記構成に限られず、例えば引き剥がしに際して粘着層が接着対象に残ることで剥がされたことの痕跡を残す封印シールを、複数のケース体間の境界を跨ぐようにして貼り付ける構成としてもよく、基板ボックス71aを構成する複数のケース体間の境界に対して接着剤を塗布する構成としてもよい。
主制御装置71や音声発光制御装置72を含めて内枠13の背面側を覆うようにして裏パックユニット15が設置されている。裏パックユニット15は、図3に示すように、透明性を有する合成樹脂により形成された裏パック73を備えており、当該裏パック73に対して、払出機構部74及び制御装置集合ユニット75が取り付けられている。
払出機構部74は、遊技場の島設備から供給される遊技球が逐次補給されるタンク76と、当該タンク76に貯留された遊技球を払い出すための払出装置77と、を備えている。払出装置77より払い出された遊技球は、当該払出装置77の下流側に設けられた払出通路を通じて、上皿61a又は下皿62aに排出される。
制御装置集合ユニット75は、払出装置77を制御する機能を有する払出制御装置78と、各種制御装置等で要する所定の電力が生成されて出力されるとともに遊技者による発射操作装置55の操作に伴う遊技球の打ち出しの制御が行われる電源及び発射制御装置79と、を備えている。これら払出制御装置78と電源及び発射制御装置79とは、払出制御装置78がパチンコ機10後方となるように前後に重ねて配置されている。
制御装置集合ユニット75において電源及び発射制御装置79が搭載されることとなる搭載部75aには、排出通路盤75bが形成されている。遊技盤24の背面に設けられた集合板の回収通路にて回収された遊技球は、当該排出通路盤75bに導出されて、当該排出通路盤75bに導かれることで最終的に遊技ホールの球送り機構に排出される。
<パチンコ機10の電気的構成>
パチンコ機10の電気的構成について図5を用いて説明する。図5は、パチンコ機10の電気的構成を示すブロック図である。
主制御装置71は、遊技の主たる制御を司る主制御基板101を具備している。主制御基板101には、MPU102が搭載されている。MPU102には、ROM103及びRAM104が搭載されている。
ROM103は、NOR型又はNAND型のフラッシュメモリなどの記憶保持に外部からの電力供給が不要なメモリ、すなわち不揮発性メモリで構成されており、読み出し専用として用いられる。ROM103は、MPU102により実行される各種の制御プログラムや固定値データを記憶している。
RAM104は、SRAMやDRAMなどの記憶保持に外部からの電力供給が必要なメモリ、すなわち揮発性メモリで構成されており、読み出し及び書き込み双方に用いられる。RAM104は、読み書き共にランダムアクセスが可能に構成されている。RAM104の読み出し速度は、ROM103のそれよりも大きく設定されている。RAM104は、ROM103内に記憶されている制御プログラムの実行に際して各種のデータ等を一時的に記憶する。
MPU102には入出力ポート(図示略)が設けられており、入出力ポートを介して、MPU102と各種制御装置、各種センサ等とが接続されている。MPU102は、動作電力が供給されている状況において、各種センサの検知結果を把握し、その検知結果に基づき各種制御装置を制御する。
詳細には、MPU102は、一般入賞口31、可変入賞装置32、上作動口33、下作動口34及びスルーゲート35への入賞をそれぞれ検知する各種入賞検知センサ105a〜105dと電気的に接続されている。MPU102では、各種入賞検知センサ105a〜105dから信号を受信し、その受信結果に基づいて各入賞部への入賞判定(入球判定)を行う。この場合、一般入賞口31、可変入賞装置32、上作動口33又は下作動口34への入賞を特定した場合には、各入賞対象に対応した遊技球の払い出しが実行されるようにするための処理を実行する。また、上作動口33又は下作動口34への入賞を特定した場合には、各種カウンタの数値情報を取得して保留情報として記憶するとともに、保留情報が記憶されている場合には、可変入賞装置32が複数回に亘って開閉される開閉実行モードに移行させるか否かの当否判定(当否抽選)や当該開閉実行モード後の遊技状態を決定するための振分判定を行う。そして、それら当否判定や振分判定の結果に基づいて、遊技を進行させる。
MPU102には、可変入賞装置32を開閉動作させる可変入賞駆動部32aと、下作動口34の電動役物34aを開閉動作させる電動役物駆動部34bとが電気的に接続されている。また、MPU102には、メイン表示部43と、役物用表示部44とが電気的に接続されている。MPU102は各種駆動部32a,34bの駆動制御を実行するとともに各種表示部43,44の表示制御を実行する。
詳細には、開閉実行モードにおいては可変入賞装置32が開閉されるように、MPU102において可変入賞駆動部32aの駆動制御が実行される。また、電動役物34aの開放当選となった場合には、電動役物34aが開閉されるようにMPU102において電動役物駆動部34bの駆動制御が実行される。また、各遊技回に際しては、MPU102においてメイン表示部43の表示制御が実行される。また、電動役物34aを開放状態とするか否かの抽選結果を明示する場合に、MPU102において役物用表示部44の表示制御が実行される。
MPU102には、音声発光制御装置72及び払出制御装置78が接続されている。MPU102は、払出制御装置78に、入賞判定結果に基づいて賞球コマンドを出力する。詳細には、MPU102は、一般入賞口31、可変入賞装置32、上作動口33、下作動口34への入賞を検知する度に、払出制御装置78に、各入賞に対応した賞球コマンドを送信する。払出制御装置78は、揮発性メモリからなるRAM78aを備えており、賞球コマンドを受信した場合に、賞球コマンドにて設定された賞球個数をRAM78aの賞球個数カウンタに加算する。そして、賞球個数カウンタが「0」となるまで、払出装置77を駆動制御する。
MPU102は、音声発光制御装置72に、変動パターンコマンド、種別コマンド、変動終了コマンド、オープニングコマンド及びエンディングコマンドなどの各種コマンドを出力する。音声発光制御装置72は、上記各種コマンドを受信した場合に当該受信したコマンドに対応する処理を実行することにより、各種ランプ部45,46,58a,58b及びスピーカ部59を駆動制御するとともに、表示制御装置110にコマンドを送信する。表示制御装置110は、音声発光制御装置72から受信した各種コマンドを解析し又は受信した各種コマンドに基づき所定の演算処理を行って、図柄表示装置41における画像の表示を制御する。
電源及び発射制御装置79は、電力供給及び遊技球の発射制御を行うための電源及び発射制御基板121を備えている。電源及び発射制御基板121は基板ボックスに収容されている。電源及び発射制御基板121は、主制御基板101及び払出制御装置78に接続されているとともに、遊技場等における商用電源(外部電源)に接続されている。電源及び発射制御基板121は、商用電源から供給される外部電力に基づいてMPU102や各種制御装置に必要な動作電力を生成する。当該動作電力は、主制御基板101に設けられた電力伝送回路122を介して、主制御基板101のMPU102に伝送されるとともに、他の制御装置に伝送される。また、電源及び発射制御基板121は遊技球発射機構51の発射制御を担うものであり、遊技球発射機構51は所定の発射条件が整っている場合に駆動される。
電源及び発射制御装置79の詳細な構成について図5に加えて図6を用いて詳細に説明する。図6は電源及び発射制御基板121を模式的に示す斜視図である。なお、図6においては、電源及び発射制御基板121に搭載されている各種素子のうち一部のみを示し、他の素子及び配線パターンについては省略する。
電源及び発射制御基板121には、電力供給を行うための構成として、外部電力を各種制御装置にて用いられる電力に変換する電源モジュール131と、外部電力の供給が停止した場合(電断時)に各種制御装置に電力を供給するバックアップ電力としてのバックアップコンデンサ132とが搭載されている。
電源モジュール131は、図6に示すように、直方体形状のハウジング131aを備えており、そのハウジング131a内に交流電圧を所定の直流電圧に変換するためのコンバータ及び変圧器が収容されている。コンバータは商用電源に接続されており、外部電力として+24Vの交流電圧の供給を受けている。コンバータは、上記交流電圧に基づいて+12Vの直流電圧を生成する。そして、変圧器は上記+12Vの直流電圧を+5Vの直流電圧に変換する。これにより、+24Vの交流電圧から+12Vと+5Vの直流電圧を得ることができる。
また、電源モジュール131は、電源及び発射制御基板121に設けられたコネクタCN1と電気的に接続されており、コネクタCN1を介して上記直流電圧を外部に出力する。これにより、コネクタCN1を介して、直流電圧をMPU102に伝送することが可能となる。
ここで、電源モジュール131は、例えばパチンコ機10が設置される島設備において商用電源の電力供給が停止された場合(電断時)には、各種制御装置への電力供給を行うことができない。つまり、電源モジュール131は、商用電源の電力供給がある場合(電入時)には各種制御装置への電力供給を行うことができ、電断時には各種制御装置への電力供給を行うことができないものである。
バックアップコンデンサ132は、図6に示すように、比較的蓄積可能な電荷量が大きいブロック型の電解コンデンサであり、円柱状をなしている。詳細には、バックアップコンデンサ132は、電荷を蓄積する本体132aと、本体132aと電源及び発射制御基板121とを電気的に接続する2つの接続端子132bとを備えている。バックアップコンデンサ132(本体132a)は、接続端子132bを介して、電源及び発射制御基板121の盤面に対して直交する方向に起立して取り付けられている。なお、接続端子132bの一方はグランドに接続されている。
バックアップコンデンサ132は、電源モジュール131から所定の電圧が印加されるように構成されているとともに、コネクタCN1を介してMPU102に接続されている。バックアップコンデンサ132は、電源モジュール131から電力が供給されている場合には充電状態となる一方、電源モジュール131から電力が供給されていない場合には充電状態から放電状態となり、コネクタCN1を介してMPU102への電力供給を行う。
なお、バックアップコンデンサ132は、コネクタCN1寄りに配置されている。これにより、バックアップコンデンサ132とコネクタCN1とを接続する配線の距離を短くすることができる。よって、バックアップコンデンサ132の充放電に起因する電磁波ノイズの発生を低減することができるとともに、配線抵抗に起因する電力損失を低減することができる。
ここで、バックアップコンデンサ132として、蓄積可能な電荷量が大きいものを採用することにより、電断時におけるMPU102への電力供給可能時間を長くした。一方、一般にコンデンサは、蓄積可能な電荷量が大きくなるほど大型となる。このため、蓄積可能な電荷量が大きいバックアップコンデンサ132は、他の素子よりも大きい素子となっている。
特に、バックアップコンデンサ132は、その形状と電源及び発射制御基板121への取付態様の関係から、電源及び発射制御基板121の盤面に対して直交する方向に突出している。このため、バックアップコンデンサ132を斜め方向(盤面に対して直交する方向とは異なる方向)から見た場合には、バックアップコンデンサ132によって視認することができない死角が形成される。
さらに、バックアップコンデンサ132の本体132aは、接続端子132bを介して電源及び発射制御基板121に接続されている構成上、本体132aと電源及び発射制御基板121との間に所定の隙間が形成される。このため、バックアップコンデンサ132を、電源及び発射制御基板121の盤面に対して直交する方向から見た場合には、その隙間を視認することができず、死角となる。
以上のことから、バックアップコンデンサ132が設けられていることにより、視認しにくい死角が形成されることとなる。
仮に主制御基板101にバックアップコンデンサ132を搭載した場合、上記死角によって、MPU102への不正行為が発見しにくくなる。すなわち、上記死角内にMPU102が搭載されている場合には、MPU102が確認しづらくなり、MPU102への不正行為が見逃され易くなる。また、MPU102に不正信号を出力する不正基板を上記死角内に搭載する等といった、死角を利用してMPU102に対して目立ちにくい不正行為を行うことが可能となる。
特に、省スペース化や、バックアップコンデンサ132の充放電に伴う電磁波ノイズの抑制や、電力損失の低減を図るためには、コネクタCN1、MPU102及びバックアップコンデンサ132を近づけて配置させた方がよい。しかしながら、このようにした場合、バックアップコンデンサ132によって形成される死角にコネクタCN1及びMPU102が配置され易くなり、これらに対する不正行為が行われ易くなる。
これに対して、本パチンコ機10においては、バックアップコンデンサ132が電源及び発射制御基板121に搭載されているため、主制御基板101にてバックアップコンデンサ132に起因する死角が形成されない。これにより、主制御基板101の視認性を向上させることができ、不正行為を容易に発見することができるとともに、上記のような死角を利用した不正行為を抑制することができる。
電源及び発射制御基板121には、遊技球の発射制御を行うための構成として、発射制御モジュール133が設けられている。発射制御モジュール133は、電源モジュール131と接続されており、電源モジュール131から動作電力が供給される。発射制御モジュール133は、発信用コネクタCN11を介して遊技球発射機構51に接続されているとともに、受信用コネクタCN12を介して発射操作装置55に接続されている。発射制御モジュール133は、動作電力が供給されている状況において、発射操作装置55から入力される各種検知信号及び主制御装置71から出力される発射コマンドに基づいて遊技球発射機構51を制御するための信号を出力する。
なお、電源及び発射制御基板121には電源スイッチ134が設けられている。電源スイッチ134は、電源及び発射制御基板121を収容する基板ボックスから露出するように設けられており、外部から操作可能に形成されている。電源スイッチ134を操作することにより、パチンコ機10毎に電源のON/OFF(電入/電断)を行うことが可能となっている。詳細には、外部電力が供給されている状況にて電源スイッチ134をONとした場合に、電源モジュール131は動作電力を供給する状態となり、外部電力が供給されている状況にて電源スイッチ134をOFFとした場合に、電源モジュール131は動作電力の供給を停止する状態となる。
但し、遊技場においては、通常パチンコ機10の電源スイッチ134は常時ONに設定されており、複数のパチンコ機10が取り付けられている島設備への電力供給を制御するこれにより、上記複数のパチンコ機10における電源のON/OFFの一斉制御を行う。
なお、電源スイッチ134との関係において、電入状態とは、商用電源から外部電力が供給されており且つ電源スイッチ134がONである状態であり、電断状態とは、電源スイッチ134がONであり且つ商用電源から外部電力が供給されていない状態、又は商用電源からの外部電力の供給の有無に関わらず、電源スイッチ134がOFFである状態である。そして、電源モジュール131は、電入状態にて動作電力を供給する状態となり、電断状態にて動作電力の供給を停止するものである。
また、電源及び発射制御基板121には、RAM消去スイッチ135が設けられている。RAM消去スイッチ135は、電源及び発射制御基板121を収容する基板ボックスから突出しており、外部から押圧可能に構成されている。そして、当該RAM消去スイッチ135を押しながら電源を投入する(電断状態から電入状態とする)と、RAMデータが初期化されるようになっている。
なお、RAM消去スイッチ135については、電源及び発射制御基板121に設ける構成に限られず、例えば主制御基板101に設ける構成としてもよい。この場合、主制御基板101側にてRAM消去スイッチ135の操作状況を把握するための構成、具体的にはRAM消去スイッチ135の検知信号を伝送するためのものであって主制御基板101と電源及び発射制御基板121とを電気的に接続する配線等を省略することができるため、構成の簡素化を図ることができる。
<電源及び発射制御基板121からMPU102への電力供給にかかる構成について>
次に、電源及び発射制御基板121からMPU102への電力供給にかかる構成について図7を用いて説明する。図7は、電源及び発射制御基板121及び主制御基板101間における電力供給を行うための構成を示す回路図である。なお、図7において、電力供給を行うための構成以外のものについては、省略して示す。
図7に示すように、電源及び発射制御基板121と主制御基板101とを接続する伝送手段としてハーネスHが設けられている。ハーネスHが、電源及び発射制御基板121のコネクタCN1と、主制御基板101に設けられたコネクタCN2とに接続されることにより、電源及び発射制御基板121と主制御基板101とが電気的に接続され、電源モジュール131及びバックアップコンデンサ132によるMPU102への電力供給が可能となる。
なお、以降の説明において、電源及び発射制御基板121のコネクタCN1を電源側コネクタCN1と、主制御基板101のコネクタCN2を主側コネクタCN2という。
電源モジュール131及びMPU102間の電力供給について詳細には、電源及び発射制御基板121には、電源モジュール131(詳細には電源モジュール131の+5V出力端子)と電源側コネクタCN1とを接続する電源側第1バス141が設けられており、主制御基板101の電力伝送回路122には、MPU102と主側コネクタCN2とを接続する主側第1バス142が設けられている。さらに、ハーネスHは、電源側第1バス141と主側第1バス142とを接続する第1接続ライン143を備えている。
かかる構成によれば、ハーネスHが各コネクタCN1,CN2に接続されることにより、電源モジュール131→電源側第1バス141→第1接続ライン143→主側第1バス142→MPU102という電入時用の電力供給経路EL1が形成される。これにより、電源モジュール131からMPU102に向けて電力を供給することができる。
ここで、本パチンコ機10においては、ハーネスHが接続されることにより、電源モジュール131とバックアップコンデンサ132とを接続する充電経路EL2が形成されるとともに、バックアップコンデンサ132とMPU102とを接続する電断時用の電力供給経路EL3が形成されるように構成されている。
まず、充電経路EL2について説明すると、電源及び発射制御基板121には、バックアップコンデンサ132と電源側コネクタCN1とを接続する電源側第2バス144が設けられている。電力伝送回路122には、主側コネクタCN2に接続されるとともに、主側第1バス142の途中位置に接続される主側第2バス145が設けられている。さらに、ハーネスHは、電源側第2バス144と主側第2バス145とを接続する第2接続ライン146を備えている。
かかる構成によれば、ハーネスHが各コネクタCN1,CN2に接続されることにより、電源モジュール131→電源側第1バス141→第1接続ライン143→主側第1バス142の一部→主側第2バス145→第2接続ライン146→電源側第2バス144→バックアップコンデンサ132という充電経路EL2が形成される。これにより、電源モジュール131からバックアップコンデンサ132に電力供給を行うことが可能となる。
つまり、主側第1バス142の途中位置、詳細には主側第1バス142と主側第2バス145との接続点までは、充電経路EL2と電入時用の電力供給経路EL1とは共通しており、その途中位置から並列に、MPU102への経路(主側第1バス142の上記接続点以降の部分)と、充電用の経路(主側第2バス145→第2接続ライン146→電源側第2バス144)とが別途形成されている。これにより、各経路を別々に形成する構成と比較して、構成の簡素化を図ることができる。
なお、以降の説明において、主側第1バス142において主側コネクタCN2から主側第2バス145との接続点までの部分を上流側バス142aと言い、上記接続点からMPU102までを下流側バス142bと言う。
次に、電断時用の電力供給経路EL3について説明すると、バックアップコンデンサ132は、電源側第2バス144、第2接続ライン146、主側第2バス145及び下流側バス142bを介して、MPU102に接続されている。すなわち、バックアップコンデンサ132→電源側第2バス144→第2接続ライン146→主側第2バス145→下流側バス142b→MPU102の経路が電断時用の電力供給経路EL3となる。これにより、電源モジュール131からの電力供給が停止した場合には、バックアップコンデンサ132に蓄積された電荷に基づく電力が電断時用の電力供給経路EL3を介してMPU102に付与される。
ここで、第2接続ライン146を介した主側第2バス145からバックアップコンデンサ132までの経路は、電流の向きは異なるものの、電断時用の電力供給経路EL3と充電経路EL2とで共通している。なお、以降の説明において、充電経路EL2と電断時用の電力供給経路EL3とで共通している上記経路を共通経路EL4という。
バックアップコンデンサ132に蓄積された電荷に基づく電流が電源モジュール131に逆流することを抑制するために、上流側バス142aにはダイオード151が設けられている。ダイオード151は、電入時用の電力供給経路EL1の電流方向、具体的には電源モジュール131からMPU102への方向を順方向として設けられている。これにより、電源モジュール131側からの電力供給を阻害することなく、バックアップコンデンサ132の電荷に基づく電流の逆流を抑制することができる。
上記のように各種経路EL1〜EL3が形成されている構成においては、ハーネスHが接続され、バックアップコンデンサ132に電荷が蓄積されていない状況において、電断状態から電入状態に切り換えた場合には、充電経路EL2に大電流が流れて、ダイオード151が破損するおそれがある。
また、電断状態であってバックアップコンデンサ132に電荷が蓄積されている状況においてハーネスHを接続した場合には、バックアップコンデンサ132に蓄積されている電荷に基づく大電流が発生し、MPU102が誤動作したり破損したりするおそれがある。特に、バックアップコンデンサ132は、RAM104の各種遊技に関する状態を記憶保持する特性上、比較的大容量のものが用いられるため、残留電荷が残り易い。
これらに対して、本パチンコ機10によれば、共通経路EL4に制限抵抗152が設けられている。これにより、上記のような事象が発生した場合に発生する電流が制限され、瞬間的にダイオード151やMPU102といった電子機器の許容電流値を超える大電流が流れることが抑制されている。よって、ダイオード151やMPU102といった電子機器の破損を抑制することができる。
特に、共通経路EL4に制限抵抗152を設けたことにより、充電経路EL2及び電断時用の電力供給経路EL3それぞれに抵抗を設ける構成と比較して、抵抗を削減することができる分だけ構成の簡素化を図ることができる。
また、制限抵抗152の抵抗値は、上記のような事象が発生した場合に充電経路EL2又は電断時用の電力供給経路EL3に流れる電流が各電子機器(ダイオード151、MPU102)の許容電流値よりも小さくなる範囲内で小さくように設定されており、具体的には100Ωとなっている。これにより、上記各電子機器の破損を抑制しつつ、上記制限抵抗152による電力損失を抑制することができる。
また、例えば上流側バス142aにおけるダイオード151のカソード側にダイオード151を保護するための抵抗を設け、下流側バス142bにバックアップコンデンサ132による大電流を抑制する抵抗を設けると、これらの抵抗による電力損失が大きくなる。
これに対して、上記のように共通経路EL4に制限抵抗152を設けることにより、1の抵抗で上記各事象によって生じ得る大電流を抑制することができ、電力損失を低減させることができる。これにより、構成の簡素化とともに、電力損失の削減を図ることができる。
なお、電源モジュール131から+5Vが出力され、電源モジュール131とMPU102との間にダイオード151が設けられている構成においては、電入時用の電力供給経路EL1を介してMPU102に印加される電圧は、+5Vからダイオード151の電圧降下(例えば+0.7V)分を引いた+4.3Vとなる。
かかる構成において、MPU102は、上記印加電圧(+4.3V)よりも小さい+3.3V以上の電圧が印加されることにより、通常動作(電入時対応動作)するよう構成されている。これにより、電源モジュール131とMPU102との間に、電圧降下が生じる素子としてのダイオード151が設けられている構成においても、MPU102が正常に動作するようになっている。
この場合、充電時におけるバックアップコンデンサ132への印加電圧も+4.3Vとなる。当該印加電圧に対応させて、バックアップコンデンサ132は+4.3V以上の耐圧性能を有するもの(例えば+5V用)が用いられている。
なお、MPU102への印加電圧としては、これに限られず、例えば下限値である+3.3Vが印加されるように電源モジュール131からの出力電圧を調整してもよい。この場合、MPU102の動作に係る消費電力の低減を図ることができる。但し、MPU102の安定動作に着目すれば、MPU102が動作可能な下限電圧と、MPU102に実際に印加される電圧との間に、所定の余裕(+1V程度)を設けておく構成の方が好ましい。
また、当然のことながら、MPU102及びバックアップコンデンサ132への印加電圧の上限値は、MPU102及びバックアップコンデンサ132の動作を保証する電圧以下とする。
ここで、電入時用の電力供給経路EL1と電断時用の電力供給経路EL3とは、下流側バス142bにて共通している。このため、MPU102にて複数の端子を設ける必要がない分だけ、構成の簡素化を図ることできる。一方、MPU102にて、パチンコ機10が電入状態であるのか、電断状態であるのかを判断することができない。
これに対して、主制御基板101には、パチンコ機10の電力供給状況を特定するためのリセット回路153が設けられている。リセット回路153は、電入時用の電力供給経路EL1のみに用いられる上流側バス142aと接続されているとともに、MPU102に接続されている。
リセット回路153は、上流側バス142aの信号状態に応じて異なる信号形態となるリセット信号を、MPU102に向けて出力する。具体的には、リセット回路153は、上流側バス142aを流れる電流値(又は電圧値)が特定値、詳細にはMPU102の動作電力に対応する電流値(又は電圧値)よりも大きくなった場合(電入状態となった場合)に、リセット信号をHI信号からLOW信号に立ち下げる一方、上流側バス142aを流れる電流値が上記特定値よりも小さくなった場合(電断状態となった場合)に、リセット信号をLOW信号からHI信号に立ち上げる。
かかる構成によれば、リセット回路153から出力されるリセット信号を監視することにより、電入状態であるのか、電断状態であるのかを特定することができる。詳細には、リセット信号の立ち下がりを検知することにより、電断状態から電入状態に移行したことを特定することができる。そして、リセット信号の立ち上がりを検知することにより、電入状態から電断状態に移行したことを特定することができる。これにより、電入時用の電力供給経路EL1と、電断時用の電力供給経路EL3との一部共通化を図りつつ、MPU102にて電源供給状況を把握することができる。よって、MPU102は、電源投入に基づく処理(メイン処理)を実行するべきタイミングを把握することができるとともに、電断発生に基づく処理(停電時処理)を実行するべきタイミングを把握することができる。
また、上記のように電入時用の電力供給経路EL1の途中位置から並列に充電用の経路が設けられている構成においては、電入状態となった場合に、充電経路EL2を介してバックアップコンデンサ132への充電が行われるとともに、電入時用の電力供給経路EL1を介してMPU102に電力が供給される。このため、電源モジュール131から供給される電力は、バックアップコンデンサ132とMPU102とに分割される。
この場合、分割比率は、バックアップコンデンサ132に蓄積されている電荷量に依存し、バックアップコンデンサ132に蓄積されている電荷量が少ない状況では、MPU102に供給される電力は小さい。このため、バックアップコンデンサ132の充電の初期段階では、MPU102には十分な電力の供給が行われない。
これに対して、リセット回路153は、上流側バス142aを流れる電流が特定値となってから、予め定められた特定期間、詳細にはバックアップコンデンサ132の充電に要する期間が経過した場合に、リセット信号を立ち下げるように構成されている。これにより、MPU102に対して安定的な電力供給が行われるようになってから、リセット信号が立ち下がることとなるため、MPU102にて立ち上げ処理(メイン処理)を安定して実行することができる。
なお、安定した電力(電圧)供給を実現するべく、主側第1バス142の下流側バス142bに対して並列にバイパスコンデンサ154が設けられている。これにより、電入時及び電断時双方において、MPU102に供給される電力の安定化を図ることができる。
<電力供給の態様について>
次に、電力供給の態様について図8を用いて説明する。図8は、電力供給の態様を説明するためのタイムチャートである。図8において、(a)はハーネスHの着脱態様、(b)は電源モジュール131の状態、(c)は制限抵抗152を流れる電流変化、(d)はバックアップコンデンサ132の電荷量、(e)はMPU102に供給される電力変化、(f)はリセット信号を示す。なお、図面の関係上、図8(c)〜(e)の電流量(電荷量)は、実際の値とは若干異ならせて表示する。
まず、t1のタイミングにて、電断状態においてハーネスHを各コネクタCN1,CN2に接続し、島設備の電力供給を開始すること等によりパチンコ機10を電断状態から電入状態に切り換える。これにより、図8(b)に示すように、電源モジュール131から電力供給が開始される(ON状態)。この場合、充電経路EL2を介してバックアップコンデンサ132に電力が供給され、バックアップコンデンサ132の充電が開始される。
この場合、図8(c)に示すように、瞬間的に制限抵抗152を含む充電経路EL2に大電流が流れる。当該電流は、制限抵抗152により制限された電流であり、ダイオード151の許容値よりも小さい。このため、ダイオード151が壊れないようになっている。
すなわち、充電経路EL2の一部である共通経路EL4に制限抵抗152が設けられているため、バックアップコンデンサ132に電荷が蓄積されていない状態でパチンコ機10を電断状態から電入状態に切り換えた場合であっても、充電経路EL2が短絡することがない。このため、上記短絡に起因してダイオード151の許容値を超える大電流が発生しない。
なお、バックアップコンデンサ132の充電が行われている状態では、図8(f)に示すように、リセット信号はHI信号を維持している。
その後、バックアップコンデンサ132に蓄積される電荷量が多くなるに従って、充電経路EL2を流れる電流が小さくなり、MPU102に供給される電力が大きくなる。そして、t2のタイミングにて、バックアップコンデンサ132への充電がほぼ完了する(バックアップコンデンサ132に予め定められた閾値電荷量だけ電荷が蓄積される)と、充電経路EL2に電流は流れなくなる。この場合、電入時用の電力供給経路EL1を介してMPU102への安定的な電力供給が行われる。その後、t3のタイミングにてリセット信号が立ち下がる(図8(f)参照)。
その後、t4のタイミングにて島設備の電力供給が停止され、パチンコ機10が電入状態から電断状態となる。この場合、図8(b),(f)に示すように、電源モジュール131からの電力供給が停止し(OFF状態)、リセット信号が立ち上がる。そして、図8(c),(d)に示すように、バックアップコンデンサ132の放電が開始され、当該放電に基づく電力が電断時用の電力供給経路EL3を介してMPU102に供給される。これにより、図8(e)に示すように、電断状態にも関わらず、MPU102に電力が供給されることとなる。当該電力は、MPU102のRAM104に供給され、RAM104に一時記憶されている各種遊技情報が記憶保持される。
その後、t5のタイミングにて、主制御基板101や電源及び発射制御基板121の検査を行うためにハーネスHが一旦取り外される(図8(a)参照)。これにより、電断時用の電力供給経路EL3が寸断されるため、図8(e)に示すように、バックアップコンデンサ132からMPU102への電力供給が停止する。
また、ハーネスHが取り外された場合には、バックアップコンデンサ132は自然放電状態となる。自然放電状態は、図8(d)に示すように、MPU102に対して電力を供給している状態(t4のタイミング〜t5のタイミング間の状態)よりも、放電量(単位時間当たりに電荷が失われる量)が少ない状態である。
なお、ハーネスHを取り外した場合、MPU102への電力供給が停止するため、RAM104に記憶されている遊技に関する情報は保持されなくなる。
検査の終了後、図8(a)に示すように、t6のタイミングにて再度ハーネスHを接続する。この場合、バックアップコンデンサ132に残留電荷が存在しているため、図8(c)に示すように、当該残留電荷に基づく電流が流れる。
ここで、ハーネスHを接続する場合、ハーネスHの接続に伴う接触抵抗の変化や、主制御基板101や第2接続ライン146に残留していた電荷等の影響により、瞬間的に大電流が流れるおそれがある。
この点、共通経路EL4に制限抵抗152が設けられているため、各素子に残留電荷が残っている状態でハーネスHを接続することによって瞬間的に発生する電流が制限されている。これにより、残留電荷に起因するMPU102の誤動作や破損を回避することができる。
特に、主制御基板101に制限抵抗152が設けられているため、第2接続ライン146に残留した電荷に基づく電流が制限抵抗152により制限される。これにより、残留した電荷に基づく電流によるMPU102の誤動作等をより好適に抑制することができる。
<MPU102にて各種抽選を行うための電気的構成>
次に、MPU102にて各種抽選を行うための電気的な構成について、図9を用いて説明する。
MPU102は遊技に際し各種カウンタ情報を用いて、大当たり発生抽選、メイン表示部43の表示の設定、図柄表示装置41の図柄表示の設定、役物用表示部44の表示の設定などを行う。具体的には、図9に示すように、大当たり発生の抽選に使用する大当たり乱数カウンタC1と、大当たり種別を判定する際に使用する大当たり種別カウンタC2と、図柄表示装置41が外れ変動する際のリーチ発生抽選に使用するリーチ乱数カウンタC3と、大当たり乱数カウンタC1の初期値設定に使用する乱数初期値カウンタCINIと、メイン表示部43及び図柄表示装置41における表示継続時間を決定する変動種別カウンタCSと、を用いる。さらに、下作動口34の電動役物34aを電役開放状態とするか否かの抽選に使用する電役乱数カウンタC4を用いることとしている。なお、上記各カウンタC1〜C3,CINI,CS,C4は、RAM104の抽選カウンタ用バッファ104aに設けられている。
各カウンタC1〜C3,CINI,CS,C4は、その更新の都度前回値に1が加算され、最大値に達した後0に戻るループカウンタとなっている。各カウンタは短時間間隔で更新される。大当たり乱数カウンタC1、大当たり種別カウンタC2及びリーチ乱数カウンタC3に対応した情報は、上作動口33又は下作動口34への入賞が発生した場合に、取得情報記憶手段としての保留球格納エリア104bに格納される。
保留球格納エリア104bは、保留用エリアREと、実行エリアAEとを備えている。保留用エリアREは、第1保留エリアRE1、第2保留エリアRE2、第3保留エリアRE3及び第4保留エリアRE4を備えており、上作動口33又は下作動口34への入賞履歴に合わせて、抽選カウンタ用バッファ104aに格納されている大当たり乱数カウンタC1、大当たり種別カウンタC2及びリーチ乱数カウンタC3の各数値情報が保留情報として、いずれかの保留エリアRE1〜RE4に格納される。
この場合、第1保留エリアRE1〜第4保留エリアRE4には、上作動口33又は下作動口34への入賞が複数回連続して発生した場合に、第1保留エリアRE1→第2保留エリアRE2→第3保留エリアRE3→第4保留エリアRE4の順に各数値情報が時系列的に格納されていく。このように4つの保留エリアRE1〜RE4が設けられていることにより、上作動口33又は下作動口34への遊技球の入賞履歴が最大4個まで保留記憶されるようになっている。また、保留用エリアREは、保留数記憶エリアNAを備えており、保留数記憶エリアNAには上作動口33又は下作動口34への入賞履歴を保留記憶している数を特定するための情報が格納される。
なお、保留記憶可能な数は、4個に限定されることはなく任意であり、2個、3個又は5個以上といったように他の複数であってもよく、単数であってもよい。
実行エリアAEは、メイン表示部43の絵柄の変動表示を開始する際に、保留用エリアREの第1保留エリアRE1に格納された各値を移動させるためのエリアであり、1遊技回の開始に際しては実行エリアAEに記憶されている各種数値情報に基づいて、当否判定などが行われる。
上記各カウンタについて詳細に説明する。
大当たり乱数カウンタC1は、例えば0〜599の範囲内で順に1ずつ加算され、最大値に達した後0に戻る構成となっている。特に大当たり乱数カウンタC1が1周した場合、その時点の乱数初期値カウンタCINIの値が大当たり乱数カウンタC1の初期値として読み込まれる。なお、乱数初期値カウンタCINIは、大当たり乱数カウンタC1と同様のループカウンタである(値=0〜599)。大当たり乱数カウンタC1は定期的に更新され、遊技球が上作動口33又は下作動口34に入賞したタイミングで保留球格納エリア104bに格納される。
大当たり当選となる乱数の値は、ROM103における当否情報群記憶手段としての当否テーブル記憶エリア103aに当否テーブル(当否情報群)として記憶されている。当否テーブルとしては、低確率モード用の当否テーブル(低確率用当否情報群)と、高確率モード用の当否テーブル(高確率用当否情報群)とが設定されている。つまり、本パチンコ機10は、当否抽選手段における抽選モードとして、低確率モード(低確率状態)と高確率モード(高確率状態)とが設定されている。
上記抽選に際して低確率モード用の当否テーブルが参照されることとなる遊技状態下では、大当たり当選となる乱数の数は2個である。一方、上記抽選に際して高確率モード用の当否テーブルが参照されることとなる遊技状態下では、大当たり当選となる乱数の数は20個である。なお、低確率モードよりも高確率モードの方の当選確率が高くなるのであれば、上記当選となる乱数の数は任意である。
大当たり種別カウンタC2は、0〜29の範囲内で順に1ずつ加算され、最大値に達した後0に戻る構成となっている。大当たり種別カウンタC2は定期的に更新され、遊技球が上作動口33又は下作動口34に入賞したタイミングで保留球格納エリア104bに格納される。
本パチンコ機10では、複数の大当たり結果が設定されており、大当たり種別カウンタC2はこれら複数の大当たり結果のいずれかに振り分けるのに用いられる。
複数の大当たり結果は、(1)開閉実行モードにおける可変入賞装置32の開閉制御の態様、(2)開閉実行モード終了後の当否抽選手段における抽選モード、(3)開閉実行モード終了後の下作動口34の電動役物34aにおけるサポートモード、という3つの条件に差異を設けることにより、区別される。
開閉実行モードにおける可変入賞装置32の開閉制御の態様としては、開閉実行モードが開始されてから終了するまでの間における可変入賞装置32への入賞の発生頻度が、相対的に高低となるように高頻度入賞モードと低頻度入賞モードとが設定されている。具体的には、高頻度入賞モード及び低頻度入賞モードのいずれであっても、予め定められた回数のラウンド遊技を上限として実行される。
ここで、ラウンド遊技とは、予め定められた上限継続時間(上限継続期間)が経過すること、及び予め定められた上限個数の遊技球が可変入賞装置32に入賞することのいずれか一方の条件が満たされるまで継続する遊技のことである。また、大当たり結果が契機となった開閉実行モードにおけるラウンド遊技の回数は、その移行の契機となった大当たり結果の種類がいずれであっても固定ラウンド回数で同一となっている。具体的には、いずれの大当たり結果となった場合であっても、ラウンド遊技の上限回数は15ラウンド(15R)に設定されている。
また、本パチンコ機10では、可変入賞装置32の1回の開放態様が、可変入賞装置32が開放されてから閉鎖されるまでの開放継続時間(開放継続期間)を相違させて、複数種類設定されている。詳細には、開放継続時間が長時間である29secに設定された長時間態様(長期間態様)と、開放継続時間が上記長時間よりも短い短時間である0.06secに設定された短時間態様(短期間態様)と、が設定されている。
本パチンコ機10では、発射操作装置55が遊技者により操作されている状況では、0.6secに1個の遊技球が遊技領域に向けて発射されるように遊技球発射機構51が駆動制御される。また、ラウンド遊技は終了条件の上限個数が9個に設定されている。そうすると、上記開放態様のうち長時間態様では、遊技球の発射周期と1回のラウンド遊技との積よりも長い時間の開放継続時間が設定されていることとなる。一方、短時間態様では、遊技球の発射周期と1回のラウンド遊技との積よりも短い時間、より詳細には、遊技球の発射周期よりも短い時間の開放継続時間が設定されている。したがって、長時間態様で可変入賞装置32の1回の開放が行われた場合には、可変入賞装置32に対して、1回のラウンド遊技における上限個数分の入賞が発生することが期待される。一方、短時間態様で可変入賞装置32の1回の開放が行われた場合には、可変入賞装置32への入賞が発生しないこと又は入賞が発生するとしても1個程度となることが期待される。
高頻度入賞モードでは、各ラウンド遊技において長時間態様による可変入賞装置32の開放が1回行われる。一方、低頻度入賞モードでは、各ラウンド遊技において短時間態様による可変入賞装置32の開放が1回行われる。
なお、高頻度入賞モード及び低頻度入賞モードにおける可変入賞装置32の開閉回数、ラウンド遊技の回数、1回の開放に対する開放継続時間及び1回のラウンド遊技における上限個数は、高頻度入賞モードの方が低頻度入賞モードよりも、開閉実行モードが開始されてから終了するまでの間における可変入賞装置32への入賞の発生頻度が高くなるのであれば、上記の値に限定されることはなく任意である。
下作動口34の電動役物34aにおけるサポートモードとしては、遊技領域に対して同様の態様で遊技球の発射が継続されている状況で比較した場合に、下作動口34の電動役物34aが単位時間当たりに開放状態となる頻度が相対的に高低となるように、高頻度サポートモード(高頻度サポート状態又は高頻度ガイド状態)と低頻度サポートモード(低頻度サポート状態又は低頻度ガイド状態)とが設定されている。
具体的には、低頻度サポートモードと高頻度サポートモードとでは、電役乱数カウンタC4を用いた電動役物開放抽選における電役開放当選となる確率は同一(例えば、共に4/5)となっている。一方、高頻度サポートモードでは低頻度サポートモードよりも、電役開放当選となった際に電動役物34aが開放状態となる回数が多く設定されており、さらに1回の開放時間が長く設定されている。この場合、高頻度サポートモードにおいて電役開放当選となり電動役物34aの開放状態が複数回発生する場合において、1回の開放状態が終了してから次の開放状態が開始されるまでの閉鎖時間は、1回の開放時間よりも短く設定されている。さらにまた、高頻度サポートモードでは低頻度サポートモードよりも、1回の電動役物開放抽選が行われてから次の電動役物開放抽選が行われる上で最低限確保される確保時間として、短い時間が選択されるように設定されている。
上記のように高頻度サポートモードでは、低頻度サポートモードよりも下作動口34への入賞が発生する確率が高くなる。換言すれば、低頻度サポートモードでは、下作動口34よりも上作動口33への入賞が発生する確率が高くなるが、高頻度サポートモードでは、上作動口33よりも下作動口34への入賞が発生する確率が高くなる。そして、下作動口34への入賞が発生した場合には、所定個数の遊技球の払出が実行されるため、高頻度サポートモードでは、遊技者は持ち球をあまり減らさないようにしながら遊技を行うことができる。
なお、高頻度サポートモードを低頻度サポートモードよりも単位時間当たりに電役開放状態となる頻度を高くする上での構成は、上記のものに限定されることはなく、例えば電動役物開放抽選における電役開放当選となる確率を高くする構成としてもよい。また、1回の電動役物開放抽選が行われてから次の電動役物開放抽選が行われる上で確保される確保時間(例えば、スルーゲート35への入賞に基づき役物用表示部44にて実行される変動表示の時間)が複数種類用意されている構成においては、高頻度サポートモードでは低頻度サポートモードよりも、短い確保時間が選択され易い又は平均の確保時間が短くなるように設定されていてもよい。さらには、開放回数を多くする、開放時間を長くする、1回の電動役物開放抽選が行われてから次の電動役物開放抽選が行われる上で確保される確保時間を短くする(すなわち、役物用表示部44における1回の変動表示時間を短くする)、係る確保時間の平均時間を短くする及び当選確率を高くするのうち、いずれか1条件又は任意の組み合わせの条件を適用することで、低頻度サポートモードに対する高頻度サポートモードの有利性を高めてもよい。
大当たり種別カウンタC2に対する遊技結果の振分先は、ROM103における振分情報群記憶手段としての振分テーブル記憶エリア103bに振分テーブル(振分情報群)として記憶されている。そして、かかる振分先として、最有利大当たり結果(高確率対応特別遊技結果)と、高入賞低確大当たり結果(低確率対応特別遊技結果)と、低入賞低確大当たり結果(明示低確率対応遊技結果)と、低入賞高確大当たり結果(明示高確率対応遊技結果又は突然確変状態となる結果)と、が設定されている。
最有利大当たり結果は、開閉実行モードが高頻度入賞モードとなり、さらに開閉実行モードの終了後には、当否抽選モードが高確率モードとなるとともに、サポートモードが高頻度サポートモードとなる大当たり結果である。これら高確率モード及び高頻度サポートモードは、当否抽選における抽選結果が大当たり当選となり、それによる大当たり状態に移行するまで継続する。
高入賞低確大当たり結果は、開閉実行モードが高頻度入賞モードとなり、さらに開閉実行モードの終了後には、当否抽選モードが低確率モードとなるとともに、サポートモードが高頻度サポートモードとなる大当たり結果である。但し、この高頻度サポートモードは、移行後において遊技回数が第1終了基準回数(具体的には、100回)に達した場合に低頻度サポートモードに移行する。
低入賞低確大当たり結果は、開閉実行モードが低頻度入賞モードとなり、さらに開閉実行モードの終了後には、当否抽選モードが低確率モードとなるとともに、サポートモードが高頻度サポートモードとなる大当たり結果である。但し、この高頻度サポートモードは、移行後において遊技回数が第1終了基準回数とは異なる第2終了基準回数(具体的には、50回)に達した場合に低頻度サポートモードに移行する。
低入賞高確大当たり結果は、開閉実行モードが低頻度入賞モードとなり、さらに開閉実行モードの終了後には、当否抽選モードが高確率モードとなる大当たり結果である。高確率モードは、当否抽選における抽選結果が大当たり当選となり、それによる大当たり状態に移行するまで継続する。
なお、上記各遊技状態との関係で通常遊技状態とは、開閉実行モードではなく、さらに当否抽選モードが低確率モードであり、サポートモードが低頻度サポートモードである状態をいう。
振分テーブルでは、「0〜29」の大当たり種別カウンタC2の値のうち、「0〜9」が高入賞低確大当たり結果に対応しており、「10〜11」が低入賞低確大当たり結果に対応しており、「12〜14」が低入賞高確大当たり結果に対応しており、「15〜29」が最有利大当たり結果に対応している。
なお、高確大当たり結果の一種として、開閉実行モードが低頻度入賞モードとなり、さらに開閉実行モードの終了後には、当否抽選モードが高確率モードとなるとともに、サポートモードがそれまでのモードに維持されることとなる非明示の低入賞高確大当たり結果(非明示高確率対応遊技結果又は潜伏確変状態となる結果)が含まれていてもよい。この場合、大当たり結果のさらなる多様化が図られる。
さらにまた、当否抽選における外れ結果の一種として、低頻度入賞モードの開閉実行モードに移行するとともに、その終了後において当否抽選モード及びサポートモードの移行が発生しない特別外れ結果が含まれていてもよい。上記のような非明示の低入賞高確大当たり結果と特別外れ結果との両方が設定されている構成においては、開閉実行モードが低頻度入賞モードに移行すること、及びサポートモードがそれまでのモードに維持されることで共通している。一方、当否抽選モードの移行態様が異なっていることにより、例えば通常遊技状態において非明示の低入賞高確大当たり結果又は特別外れ結果の一方が発生した場合に、それが実際にいずれの結果に対応しているのかを遊技者に予測させることが可能となる。
MPU102は、振分テーブルを参照することにより、大当たり種別カウンタC2に対応した大当たり結果を特定し、その特定された大当たり結果に対応した大当たりフラグを、RAM104にセットする。これにより、大当たりフラグの有無を確認することにより、大当たりであるか否かを特定することができ、大当たりフラグがある場合にはその種別を確認することにより、大当たり結果の種別を特定することができる。
リーチ乱数カウンタC3は、例えば0〜238の範囲内で順に1ずつ加算され、最大値に達した後0に戻る構成となっている。リーチ乱数カウンタC3は定期的に更新され、遊技球が上作動口33又は下作動口34に入賞したタイミングで保留球格納エリア104bに格納される。
ここで、本パチンコ機10には、図柄表示装置41における表示演出の一種としてリーチ表示が設定されている。リーチ表示とは、図柄(絵柄)の変動表示(又は可変表示)を行うことが可能な図柄表示装置41を備え、可変入賞装置32の開閉実行モードが高頻度入賞モードとなる遊技回では変動表示後の停止表示結果が特別表示結果となる遊技機において、図柄表示装置41における図柄(絵柄)の変動表示(又は可変表示)が開始されてから停止表示結果が導出表示される前段階で、前記特別表示結果となり易い変動表示状態であると遊技者に思わせるための表示状態をいう。
リーチ表示には、図柄表示装置41の表示画面に表示される複数の図柄列のうち一部の図柄列について図柄を停止表示させることで、高頻度入賞モードの発生に対応した大当たり図柄の組み合わせが成立する可能性があるリーチ図柄の組み合わせを表示し、その状態で残りの図柄列において図柄の変動表示を行う表示状態が含まれる。また、上記のようにリーチ図柄の組み合わせを表示した状態で、残りの図柄列において図柄の変動表示を行うとともに、その背景画像において所定のキャラクタなどを動画として表示することによりリーチ演出を行うものや、リーチ図柄の組み合わせを縮小表示させる又は非表示とした上で、表示画面の略全体において所定のキャラクタなどを動画として表示することによりリーチ演出を行うものが含まれる。
リーチ表示は、高頻度入賞モードとなる開閉実行モードに移行する遊技回では、リーチ乱数カウンタC3の値に関係なく実行される。また、開閉実行モードに移行しない遊技回では、ROM103のリーチ用テーブル記憶エリア103cに記憶されたリーチ用テーブルを参照して、所定のタイミングで取得したリーチ乱数カウンタC3がリーチ表示の発生に対応している場合に実行される。
変動種別カウンタCSは、例えば0〜198の範囲内で順に1ずつ加算され、最大値に達した後0に戻る構成となっている。変動種別カウンタCSは、後述するメイン処理及びタイマ割込み処理のそれぞれにて更新され、メイン表示部43における絵柄の変動表示の開始時及び図柄表示装置41による図柄の変動開始時における変動パターンの決定に際して変動種別カウンタCSの値が取得される。
なお、変動パターンには、メイン表示部43における絵柄の変動表示時間(表示継続期間)と、図柄表示装置41における図柄の変動表示時間(表示継続期間)とが含まれる。すなわち、変動種別カウンタCSは、上記各変動表示時間を決定するのに用いられるカウンタであるとも言える。
電役乱数カウンタC4は、例えば、0〜250の範囲内で順に1ずつ加算され、最大値に達した後0に戻る構成となっている。電役乱数カウンタC4は定期的に更新され、スルーゲート35に遊技球が入賞したタイミングでRAM104に設けられた電役保留エリア104cに格納される。そして、所定のタイミングにおいて、その格納された電役乱数カウンタC4の値によって電動役物34aを開放状態に制御するか否かの抽選が行われる。
ここで、RAM104には、遊技情報格納エリア104dが設けられている。遊技情報格納エリア104dには、現状の遊技状態を特定するための情報、具体的には、開閉実行モードであるか否かを特定するための情報、当否抽選モードを特定するための情報、サポートモードを特定するための情報、大当たりフラグ、賞球コマンドに関する情報等が記憶されている。これにより、MPU102は、遊技情報格納エリア104dに格納されている情報に基づいて、現状の遊技状態を把握することができる。
<MPU102にて実行される各種処理について>
次に、MPU102にて遊技を進行させるために実行される各処理を説明する。かかるMPU102の処理としては大別して、電源投入に伴い起動されるメイン処理と、定期的に(本実施形態では4msec周期で)起動されるタイマ割込み処理とがある。
ここで、MPU102は、電断状態においてリセット回路153からのリセット信号を常時監視している。そして、MPU102は、リセット信号が立ち下がることに基づいて、電源投入がなされたと判断して、メイン処理を実行する。
<メイン処理>
先ず、図10のフローチャートを参照しながらメイン処理を説明する。
先ずステップS101では、電源投入ウェイト処理を実行する。当該電源投入ウェイト処理では、例えばメイン処理が起動されてから1secが経過するまで次の処理に進行することなく待機する。続くステップS102ではRAM104のアクセスを許可するとともに、ステップS103にてMPU102の内部機能レジスタの設定を行う。
その後、ステップS104では、電源及び発射制御基板121に設けられたRAM消去スイッチ135が手動操作されているか否かを判定し、続くステップS105では、RAM104の停電フラグ格納エリア104eに停電フラグがセットされているか否かを判定する。停電フラグは、MPU102が遊技に関する処理(タイマ割込み処理)を実行している状況にて停電が発生した場合にセットされるフラグである。
また、ステップS106ではチェックサムを算出するチェックサム算出処理を実行し、続くステップS107ではそのチェックサムが電源遮断時に保存したチェックサムと一致するか否か、すなわち記憶保持されたデータの有効性を判定する。
本パチンコ機10では、例えば遊技ホールの営業開始時など、電源投入時にRAMデータを初期化する場合にはRAM消去スイッチ135を押しながら電源が投入される。したがって、RAM消去スイッチ135が押されていれば、ステップS108の処理に移行する。また、電源遮断の発生情報が設定されていない場合や、チェックサムにより記憶保持されたデータの異常が確認された場合も同様にステップS108の処理に移行する。ステップS108では、RAM104の初期化として当該RAM104に記憶されている各種情報をクリアする。その後、ステップS109に進む。
一方、RAM消去スイッチ135が押されていない場合には、停電フラグがセットされていること、及びチェックサムが正常であることを条件に、ステップS108の処理を実行することなくステップS109に進む。ステップS109では、電源投入設定処理を実行する。電源投入設定処理では、停電フラグの初期化といったRAM104の所定のエリアを初期値に設定するとともに、現状の遊技状態を認識させるために現状の遊技状態に対応したコマンドを音声発光制御装置72に送信する。また、タイマ割込み処理の発生を許可するために割込み許可の設定を行う。
その後、ステップS110〜ステップS112の残余処理に進む。つまり、MPU102はタイマ割込み処理を定期的に実行する構成であるが、1のタイマ割込み処理と次のタイマ割込み処理との間に残余時間が生じることとなる。この残余時間は各タイマ割込み処理の処理完了時間に応じて変動することとなるが、かかる不規則な時間を利用してステップS110〜ステップS112の残余処理を繰り返し実行する。この点、ステップS110〜ステップS112の残余処理は、非定期的に実行される非定期処理であると言える。
残余処理では、先ずステップS110にて、タイマ割込み処理の発生を禁止するために割込み禁止の設定を行う。続くステップS111では、変動種別カウンタCS及び乱数初期値カウンタCINIの更新処理を実行する。これらの更新処理では、RAM104の対応するカウンタから現状の数値情報を読み出し、その読み出した数値情報を1加算する処理を実行した後に、読み出し元のカウンタに上書きする処理を実行する。この場合、カウンタ値が最大値に達した際それぞれ「0」にクリアする。その後、ステップS112にて、タイマ割込み処理の発生を禁止している状態から許可する状態へ切り換える割込み許可の設定を行う。ステップS112の処理を実行したら、ステップS110に戻り、ステップS110〜ステップS112の処理を繰り返す。
ここで、上記のように残余処理では、割込み禁止の処理及び割込み許可の処理に挟まれるようにして変動種別カウンタCS及び乱数初期値カウンタCINIの更新処理が設定されているのみであるため、タイマ割込み処理が開始されるタイミングは常にステップS110の直前となる。そうすると、タイマ割込み処理が終了した後は常にステップS110から開始すればよいこととなり、タイマ割込み処理後の戻りアドレスが一義的なものとなる。よって、タイマ割込み処理の開始に際して現状の戻りアドレスを記憶する必要はなく、タイマ割込み処理の開始に際しての処理負荷が軽減される。
また、MPU102において所定のデータの演算を行っている途中でタイマ割込み処理が発生することもないため、タイマ割込み処理の開始に際してMPU102のレジスタにその時点で格納されているデータのRAM104への退避処理を実行する必要がなく、同様にタイマ割込み処理の終了に際してMPU102のレジスタへのデータの復帰処理を実行する必要がない。よって、タイマ割込み処理の開始に際しての処理負荷が軽減されるとともに、タイマ割込み処理の終了に際しての処理負荷も軽減される。
また、乱数初期値カウンタCINIの更新途中や変動種別カウンタCSの更新途中でタイマ割込み処理が開始されることがないため、これらの更新途中であるにも関わらず、タイマ割込み処理にてこれらカウンタの数値情報が取得されたり、さらなる更新処理が実行されてしまうことを防止できる。
<タイマ割込み処理>
次に、図11のフローチャートを参照しながらタイマ割込み処理を説明する。
まず、ステップS201では、停電情報記憶処理を実行する。停電情報記憶処理では、リセット回路153から出力されているリセット信号を監視し、リセット信号の立ち上がりを特定した場合には停電時処理を実行する。
停電時処理について具体的に説明すると、まずRAM104の停電フラグ格納エリア104eに停電フラグをセットする。そして、その時点におけるRAM判定値を算出、保存する処理を実行し、その後RAM104へのアクセスを禁止する。そして、電源が完全に遮断するまで無限ループを継続する。
ここで、停電時処理において保存対象となるRAM104には、保留球格納エリア104b、電役保留エリア104c及び遊技情報格納エリア104dが含まれている。これにより、遊技が行われている期間中に停電が発生した場合であっても、停電復帰後には、停電前の遊技状態に復帰させることができ、遊技者に不測の不利益を与えることを回避することができる。
なお、リセット信号の立ち上がりを検知する具体的な構成としては、例えばタイマ割込み処理が行われる度に今回のリセット信号の状態を記憶しておき、前回のタイマ割込み処理におけるリセット信号の信号形態と今回のリセット信号の信号形態とを比較する。この場合、前回のリセット信号がLOW信号であり、今回のリセット信号がHI信号であることに基づいて、リセット信号の立ち上がりを特定する。
また、上記構成に限られず、例えばリセット信号の立ち上がりに同期して、RAM104の停電フラグ格納エリア104eに停電フラグをセットする専用の回路を別途設ける構成としてもよい。
続くステップS202では抽選用乱数更新処理を実行する。抽選用乱数更新処理では、大当たり乱数カウンタC1、大当たり種別カウンタC2、リーチ乱数カウンタC3及び電役乱数カウンタC4の更新を実行する。具体的には、大当たり乱数カウンタC1、大当たり種別カウンタC2、リーチ乱数カウンタC3及び電役乱数カウンタC4から現状の数値情報を順次読み出し、それら読み出した数値情報をそれぞれ1加算する処理を実行した後に、読み出し元のカウンタに上書きする処理を実行する。この場合、大当たり乱数カウンタC1以外の各種カウンタについては、カウンタ値が最大値に達した際に、それぞれ「0」にクリアする。大当たり乱数カウンタC1については、カウンタ値が最大値に達した際に、その時点における乱数初期値カウンタCINIのカウンタ値に設定する。
その後、ステップS203ではステップS111と同様に変動種別カウンタCS及び乱数初期値カウンタCINIの更新処理を実行する。
続くステップS204では、ポート出力処理を実行する。ポート出力処理では、前回のタイマ割込み処理において出力情報の設定が行われている場合に、その出力情報に対応した出力を各種駆動部32a,34bに行うための処理を実行する。例えば、可変入賞装置32を開放状態に切り換えるべき情報が設定されている場合には可変入賞駆動部32aへの駆動信号の出力を開始させ、閉鎖状態に切り換えるべき情報が設定されている場合には当該駆動信号の出力を停止させる。また、下作動口34の電動役物34aを開放状態に切り換えるべき情報が設定されている場合には電動役物駆動部34bへの駆動信号の出力を開始させ、閉鎖状態に切り換えるべき情報が設定されている場合には当該駆動信号の出力を停止させる。
続くステップS205では、読み込み処理を実行する。読み込み処理では、リセット信号及び入賞信号以外の信号の読み込みを実行し、その読み込んだ情報を今後の処理にて利用するために記憶する。
続くステップS206では、各入賞検知センサ105a〜105dから受信している信号を読み込むとともに、その読み込んだ情報に対応した処理を行うための入賞検知処理を実行する。詳細には、各入賞検知センサ105a〜105dの検知信号に基づいて、各入賞検知センサ105a〜105dに対応する各入賞口への入賞が発生したか否かを判定する。そして、入賞が発生したと特定した場合には、その入賞を特定するためのフラグをRAM104にセットする。
その後、ステップS207では、RAM104に設けられている所定のタイマカウンタの数値情報をまとめて更新するためのタイマ更新処理を実行する。
ステップS208では、遊技球の発射制御を実行する発射制御処理を実行する。詳細には、発射操作装置55が操作されているか否かを判定し、操作されていると判定した場合には、発射コマンドを電源及び発射制御装置79に出力する。電源及び発射制御装置79の発射制御モジュール133は、上記発射コマンドを受信した場合に、遊技球発射機構51を制御するための処理を実行する。
続くステップS209では、遊技回の実行制御及び開閉実行モードの実行制御を行うための特図特電制御処理を実行する。当該特図特電制御処理では、保留球格納エリア104bに記憶されている保留情報の数が上限数未満である状況で上作動口33又は下作動口34への入賞が発生した場合に、その時点における大当たり乱数カウンタC1、大当たり種別カウンタC2及びリーチ乱数カウンタC3の各数値情報を保留情報として、保留球格納エリア104bに時系列的に格納していく処理を実行する。
また、特図特電制御処理では、遊技回中及び開閉実行モード中ではなく且つ保留情報が記憶されていることを条件に、その保留情報が大当たり当選に対応しているか否かを判定する当否判定処理、及び大当たり当選に対応している場合にはその保留情報がいずれの大当たり結果に対応しているのかを判定する振分判定処理を実行する。
さらに、特図特電制御処理では、当否判定処理及び振分判定処理だけでなく、その保留情報が大当たり当選に対応していない場合には、その保留情報がリーチ発生に対応しているか否かを判定するリーチ判定処理を実行するとともに、その時点における変動種別カウンタCSの数値情報を利用して遊技回の継続時間を選択する継続時間の選択処理を実行する。
そして、それら各処理の結果に応じた継続時間の情報を含む変動パターンコマンドと、遊技結果の情報を含む種別コマンドとを、音声発光制御装置72に送信するとともに、メイン表示部43における絵柄の変動表示を開始させる。これにより、1遊技回が開始された状態となり、メイン表示部43及び図柄表示装置41にて遊技回用の演出が開始される。
なお、大当たり当選である場合、及び大当たり非当選であってリーチ判定処理の処理結果がリーチ発生に対応した結果である場合には、変動種別カウンタCSの数値情報を利用して、遊技回の継続時間としてリーチ表示の発生に対応した継続時間が決定されることにより、音声発光制御装置72側では変動パターンコマンドからリーチ表示の種類を特定することが可能となる。
また、特図特電制御処理では、1遊技回の実行中にはその遊技回の終了タイミングであるか否かを判定し、終了タイミングである場合には遊技結果に対応した表示を行った状態で、その遊技回を終了させる処理を実行する。この場合、遊技回を終了させるべきことを示す最終停止コマンドを音声発光制御装置72に送信する。
また、特図特電制御処理では、遊技回の結果が開閉実行モードへの移行に対応した結果である場合には、当該開閉実行モードを開始させるための処理を実行する。この開始に際しては、開閉実行モードが開始されることを示すオープニングコマンドを音声発光制御装置72に送信する。
また、特図特電制御処理では、各ラウンド遊技を開始させるための処理及び各ラウンド遊技を終了させるための処理を実行する。これら各処理に際して、ラウンド遊技が開始されることを示す開放コマンドを音声発光制御装置72に送信するとともに、ラウンド遊技が終了されることを示す閉鎖コマンドを音声発光制御装置72に送信する。
また、特図特電制御処理では、開閉実行モードを終了させる場合にそのことを示すエンディングコマンドを音声発光制御装置72に送信するとともに、開閉実行モード後の当否抽選モードやサポートモードを設定するための処理を実行する。
タイマ割込み処理においてステップS209の特図特電制御処理を実行した後は、ステップS210にて普図普電制御処理を実行する。普図普電制御処理では、スルーゲート35への入賞が発生している場合に電役乱数カウンタC4の数値情報を取得するための処理を実行するとともに、当該数値情報が記憶されている場合にその数値情報について開放判定を行い、さらにその開放判定を契機として普図用の演出を行うための処理を実行する。また、開放判定の結果に基づいて、下作動口34の電動役物34aを開閉させる処理を実行する。
続くステップS211では、直前のステップS209及びステップS210の処理結果に基づいて、メイン表示部43の表示内容を更新させるための出力情報の設定を行うとともに、役物用表示部44の表示内容を更新させるための出力情報の設定を行う。
続くステップS212では、遊技回及び開閉実行モードの両方が実行されていない状況において図柄表示装置41の表示内容を待機表示用のものとするためのデモ表示用処理を実行する。
ステップS213では、払出制御装置78から受信したコマンド及び信号の内容を確認し、その確認結果に対応した処理を行うための払出状態受信処理を実行する。続くステップS214では、賞球コマンドを出力対象として設定するための払出出力処理を実行する。
続くステップS215では、今回のタイマ割込み処理にて実行された各種処理の処理結果に応じた外部信号の出力の開始及び終了を制御するように外部情報設定処理を実行する。
ステップS216では、割込み終了宣言の設定を実行する。MPU102では、一度タイマ割込み処理が起動された場合、次のタイマ割込み処理が起動されるための条件の1つとして割込み終了宣言の設定を行うことが定められており、ステップS216では、次のタイマ割込み処理の実行を可能とするために割込み終了宣言の設定を行う。そして、ステップS217では、次のタイマ割込み処理の実行を可能とするために割込み許可の設定を行う。その後、本タイマ割込み処理を終了する。
以上詳述した本実施形態によれば以下の優れた効果を奏する。
電源及び発射制御基板121にバックアップコンデンサ132を搭載した。これにより、主制御基板101単独で、遊技に関する情報を保持することができない。よって、電断時に主制御基板101を取り外し、RAM104に記憶保持されている遊技に関する情報を書き換えて元に戻すといった、遊技に関する情報を改変する不正行為を抑制することができる。さらに、バックアップコンデンサ132によって生じる死角に起因してMPU102への不正行為の痕跡を見逃すことを回避することができるとともに、上記死角を利用したMPU102への不正行為を抑制することができる。
特に、主制御基板101においては、不正行為が行われているか否かの検査を容易に行うために、搭載面は1層構造が望ましい。一方、電源及び発射制御基板121においては、搭載面を多層構造にしてもよい。このため、仮にバックアップコンデンサ132を電源及び発射制御基板121に設けることにより他の素子を搭載することができなくなった場合には、搭載面を多層構造にすることで対応することができる。これにより、拡張性を確保しつつ、上記各不正行為を抑制することができる。
電源及び発射制御基板121にバックアップコンデンサ132が設けられている構成において、充電経路EL2と電断時用の電力供給経路EL3との共通の経路である共通経路EL4に制限抵抗152を設けた。これにより、電断状態から電入状態となることに基づき充電経路EL2にて発生する電流と、電断状態においてハーネスHを接続することによって電断時用の電力供給経路EL3にて発生するバックアップコンデンサ132の残留電荷に基づく電流と、を制限することができる。これにより、1の抵抗で上記2つの事象に基づく大電流の発生を回避することができ、構成の簡素化を図ることができる。
特に、制限抵抗152は、充電経路EL2に設けられており、電入時用の電力供給経路EL1には設けられていない。これにより、バックアップコンデンサ132への充電が完了した後は、制限抵抗152を介することなく電力をMPU102に供給することができる。これにより、制限抵抗152を電流が流れることによる電力損失を軽減することができる。
また、ハーネスHの第2接続ライン146には電荷が残留するため、電断時にハーネスHを接続した場合には、第2接続ライン146に残留している電荷に基づく電流がMPU102に向けて流れ、MPU102が誤動作したり、破壊したりする場合がある。これに対して、本実施形態によれば、制限抵抗152を、主制御基板101、詳細にはハーネスH(第2接続ライン146)とMPU102との間にある主側第2バス145に搭載した。これにより、ハーネスHを取り付けた場合に、第2接続ライン146に残留している電荷に基づく電流がMPU102に流れた場合であっても、当該電流は制限抵抗152により制限される。これにより、ハーネスHの取り付けに伴う大電流をより好適に抑制することができる。
さらに、ハーネスHを接続することにより充電経路EL2が形成される構成とした。換言すれば、ハーネスHを接続することなく、電源モジュール131によるバックアップコンデンサ132への充電が行われることを規制した。これにより、電入状態であってもハーネスHが接続されていない場合には、バックアップコンデンサ132に充電が行われない。よって、バックアップコンデンサ132への意図しない充電を回避することを通じて、感電や無駄な電力損失が発生することを避けることができる。
すなわち、仮にハーネスHが接続されていない状態で、バックアップコンデンサ132への充電可能とすると、ハーネスHを外した状態で検査を行っている状況において、誤って電源スイッチ134をOFFからONにした場合、バックアップコンデンサ132の充電が開始され、感電するおそれがある。さらに、上記充電に基づく電力は、MPU102に供給されることなく自然消費され易い。このため、無駄な電力損失が発生するとともに、バックアップコンデンサ132の寿命の低下が懸念される。
この点、上記構成によれば、ハーネスHの取り外しによって、バックアップコンデンサ132の充電を規制することができる。これにより、意図しない充電を回避することができ、上記のような不都合を回避することができる。
特に、電源及び発射制御基板121や主制御基板101の検査を行う場合には、ハーネスHは邪魔になり易いため、検査の前段階でハーネスHを取り外すのが一般的である。すなわち、ハーネスHの取り外しは、上記検査において必須な操作といえる。そして、検査を行う場合の必須な操作を、バックアップコンデンサ132の充電を規制するための構成とすることにより、上記意図しない充電の規制を、簡単且つ確実に行うことができる。
さらに、ハーネスHが接続されていない状態でバックアップコンデンサ132への充電が可能となっている場合、電源モジュール131から電力が供給されたまま検査を行うと、バックアップコンデンサ132は充電が完了した状態を維持する。そして、その状態(電入状態であってバックアップコンデンサ132の充電が完了している状態)でハーネスHを接続すると、接続に伴う瞬間的な大電流が、充電経路EL2に逃げることなく、MPU102に流れてしまう。このため、MPU102が誤動作したり破損したりする。
これに対して、ハーネスHの取り外しによりバックアップコンデンサ132の充電を規制することにより、バックアップコンデンサ132を放電状態(自然放電状態)としておくことができる。これにより、充電が完了している状態でのハーネスHの各基板101,121への接続を回避することができる。よって、電入状態でハーネスHを接続することに伴う電流をバックアップコンデンサ132側に逃がすことができ、上記不都合を回避することができる。
また、上流側バス142aにダイオード151を設けた。これにより、バックアップコンデンサ132に蓄積された電荷に基づく電流が逆流することを抑制することができる。
特に、主制御基板101にダイオード151を設けたことにより、バックアップコンデンサ132に蓄積された電荷が、第1接続ライン143を介して、電源及び発射制御基板121に移動することを規制することができる。これにより、第1接続ライン143を電荷が移動することに起因する電磁波ノイズの発生を抑制することができる。
ここで、一般的に、パチンコ機10の機種変更を行う場合、遊技盤24及び主制御基板101については交換する一方、電源及び発射制御基板121については交換することなく流用する。
かかる前提において、主制御基板101に制限抵抗152及びダイオード151を設けることにより、パチンコ機10の機種変更に好適に対応することができる。すなわち、機種変更に応じてMPU102や他の回路の設計変更を行うと、制限抵抗152やダイオード151の仕様(制限抵抗152にあっては抵抗値、ダイオード151にあっては耐圧、上限電流値)を変更する必要が生じる場合がある。この場合、主制御基板101に制限抵抗152及びダイオード151が設けられているため、機種変更を行う場合には制限抵抗152及びダイオード151の仕様変更を含めて主制御基板101の回路構成のみを変更すればよく、電源及び発射制御基板121の回路構成を変更する必要がない。このため、主制御基板101のみの交換により上記仕様の変更に対応することができ、パチンコ機10の機種変更を容易に行うことができる。
さらに、その主制御基板101を収容する基板ボックス71aを開放不能に構成した。これにより、制限抵抗152を、当該制限抵抗152の抵抗値よりも小さい抵抗に置き換えることにより、RAM104に対して規格外の電流を流し、RAM104に記憶保持されている遊技に関する情報を改変させようとする不正行為を抑制することができる。
<第2の実施形態>
本実施形態では、主制御基板101の構成及びMPU102への電源の供給に関する構成が上記第1の実施形態と異なっている。そこで、以下にその構成について詳細に説明する。なお、以下の説明では、上記第1の実施形態との相違点を中心に説明し、上記第1の実施形態と同一の構成については、上記第1の実施形態と同一の番号を利用するとともに、基本的にその説明を省略する。図12は、本実施形態における、電源及び発射制御基板121と主制御基板101とにおける電力供給を行うための構成を示す回路図である。
先ず、主制御基板101の構成について詳細に説明する。
主制御基板101に設けられたMPU102は、ROM103及びRAM104の他に、VCC端子(第1端子)、VBB端子(第2端子)及びリセット端子を備えている。
主制御基板101には、主側コネクタCN2における第1接続ライン143との接続点と、MPU102と、を接続する主側第1バス(一本のパターンのこともバスと示す)201が設けられており、主側第1バス201はMPU102におけるVCC端子に接続されている。VCC端子は、主側第1バス201、第1接続ライン143及び電源側第1バス141を介して電源モジュール131と電気的に接続されている。電源モジュール131にて生成された+5Vの電源はVCC端子に供給され、VCC端子に供給された電源に
よりMPU102が動作することで、上記第1の実施の形態にて説明した各種処理が実行される。また、VCC端子に供給された電源はRAM104に供給され、RAM104にて情報の記憶保持が行われる。
また、主制御基板101には、主側第1バス201における中途位置と、MPU102と、を接続する主側第2バス202が設けられており、主側第2バス202はMPU102におけるVBB端子に接続されている。VBB端子は、主側第2バス202、主側第1バス201の一部、第1接続ライン143及び電源側第1バス141を介して、電源モジュール131と電気的に接続されている。そして、電源モジュール131にて生成された+5Vの電源は、上記主側第1バス201と主側第2バス202との接続点にて分流しV
BB端子にも供給される。VBB端子に供給された電源はRAM104に供給され、RAM104にて情報の記憶保持が行われる。
すなわち、本実施形態では、ハーネスHが接続されることにより、電入時用の電力供給経路EL11として、電源モジュール131→電源側第1バス141→第1接続ライン143→主側第1バス201→VCC端子(MPU102)という第1電入経路EL11aが形成されるとともに、電源モジュール131→電源側第1バス141→第1接続ライン143→主側第1バス201の一部→主側第2バス202→VBB端子(MPU102)という第2電入経路EL11bが形成される。
主側第2バス202における主側第1バス201との接続点とVBB端子との中途位置には、主側第3バス203が接続されている。当該主側第3バス203のもう一方の端は、主側コネクタCN2における第2接続ライン146の接続点に接続されている。つまり、VBB端子は、主側第2バス202の一部、主側第3バス203、第2接続ライン146及び電源側第2バス144を介してバックアップコンデンサ132と電気的に接続されている。
したがって、ハーネスHが接続されることにより、電断時用の電力供給経路EL13として、バックアップコンデンサ132→電源側第2バス144→第2接続ライン146→主側第3バス203→主側第2バス202の一部→VBB端子(MPU102)という経路が形成されるとともに、バックアップコンデンサ132への充電経路EL12として、電源モジュール131→電源側第1バス141→第1接続ライン143→主側第1バス201の一部→主側第2バス202の一部→主側第3バス203→第2接続ライン146→電源側第2バス144→バックアップコンデンサ132という経路が形成される。そして、電断状態においては、バックアップコンデンサ132から放電された電源がVBB端子に供給されることでRAM104にて情報の記憶保持が行われる。
なお、以降の説明においては、主側第2バス202において、主側第1バス201との接続点から主側第3バス203との接続点までの部分を上流側バス202aともいい、主側第3バス203との接続点からVBB端子までの部分を下流側バス202bともいう。
本実施形態においても、バックアップコンデンサ132から電源モジュール131へ電流が逆流することを抑制するため、上流側バス202aにはダイオード151が設けられている。そして、第2接続ライン146を介した主側第3バス203からバックアップコンデンサ132までの経路が、電断時用の電力供給経路EL13と充電経路EL12とで共通しており、当該共通している経路である共通経路EL14に制限抵抗152が設けられている。これにより、本実施形態においても、バックアップコンデンサ132への充電、及びバックアップコンデンサ132に残留電荷が存在する状況においてハーネスHを接続した場合の大電流の発生を抑制することが可能となっている。
上記回路構成により、本実施形態では、電入状態において、バックアップコンデンサ132への充電が終了すると電源モジュール131からの電源がMPU102に対してVCC端子及びVBB端子を介して供給される一方で、電断状態においては、バックアップコンデンサ132からの電源がMPU102に対してVBB端子を介して供給される構成としている。そしてVBB端子に供給された電源は、MPU102におけるRAM104にのみ供給される。これにより、電断状態においてMPU102全体に電力を供給する構成と比較して、電力供給先がRAM104に限定されることから、RAM104において保存対象を記憶する期間を長期化できるとともに、電断時の電力供給源となるバックアップコンデンサ132の容量を削減することができる。
MPU102のリセット端子には、主制御基板101に設けられたリセット回路210が接続されている。リセット回路210は、電源モジュール131からMPU102に供給される電源を監視して、所定の電圧値(又は電流値)以上又は所定の電圧値(又は電流値)未満となった場合に異なる信号形態となるようにリセット信号をMPU102に送信する回路である。リセット回路210の上流側は、主側第1バス201に接続されている。より詳細には、リセット回路210の上流側は、主側第1バス201と主側第2バス202との接続点よりも電源モジュール131側に接続されている。そして、リセット回路210は、電源モジュール131からMPU102に供給される電源の電圧値が上記所定の電圧値として+4.5V以上となった場合にリセット信号をHIレベル信号からLOW
レベル信号に立ち下げることでMPU102に対してリセット信号を認識させる。また、上記所定の電圧値が+4.5V未満となった場合にリセット信号をLOWレベル信号から
HIレベル信号に立ち上げることでMPU102に対してリセット信号を認識させる。本実施形態におけるMPU102はリセット信号がLOWレベル信号で出力されている場合にのみ動作可能な構成としている。但し、リセット信号の出力態様(切替態様)はこれに限定されることはなく、HIレベル信号とLOWレベル信号との関係が逆であってもよく、この場合、MPU102はリセット信号がHIレベル信号で出力されている場合にのみ動作可能な構成となる。
さらに主制御基板101には、停電監視回路211が設けられている。停電監視回路211は、電源モジュール131からMPU102に供給される電源を監視して、所定の電圧値(又は電流値)未満となった場合に異なる信号形態となるように停電信号をMPU102に送信する回路である。停電監視回路211とMPU102とは、主制御基板101に設けられた記憶保持手段としての入力ポート212を介して接続されており、停電監視回路211の上流側は主側第1バス201に接続されている。より詳細には、停電監視回路211の上流側は、上記主側第1バス201とリセット回路210との接続点よりも電源モジュール131側における主側第1バス201に接続されている。停電監視回路211は、電源モジュール131からMPU102に供給される電源の電圧値が上記所定の電圧値として+4.7V未満となった場合に、電断状態として入力ポート212への停電信
号をLOWレベル信号からHIレベル信号に立ち上げる。したがって、MPU102は入力ポート212に入力される停電信号の出力態様を監視することで電断状態であるか否かを判断できるようになっている。但し、停電信号の出力態様(切替態様)はこれに限定されることはなく、HIレベル信号とLOWレベル信号との関係が逆であってもよい。また、主制御基板101が入力ポート212を有しておらず、MPU102の端子としてのポートに停電監視回路211が接続される構成としてもよい。
したがって、本実施形態では、電入時においては、電源モジュール131からの電圧値が+4.5V以上となった場合に、リセット回路210からのリセット信号がHIレベル
信号からLOWレベル信号に立ち下がることで、MPU102の立ち上げ処理としてのメイン処理(図10)が開始される。上記第1の実施形態と同様に、MPU102が通常動作を行うために必要な電圧の下限値は+3.3Vである。つまり、リセット回路210は、MPU102が動作可能な電圧値の下限値よりも+1.2V余裕を設けてMPU102
に動作を開始させる構成としている。これにより、MPU102は、各処理を安定的に実行することが可能となっている。
電断時においては、電源モジュール131からの電圧値が+4.7V未満となった場合
に、停電監視回路211からの停電信号がHIレベル信号に切り替わり、当該入力ポート212を監視することでMPU102は停電情報記憶処理を実行する。本実施形態における停電情報記憶処理(図11におけるステップS201)では、当該入力ポート212を確認することで電断状態であるか否かを判定する。入力ポート212への停電信号がHIレベル信号である場合、すなわち、電源及び発射制御基板121からの供給電力が+4.7V未満となり、電断状態である場合、停電時処理として、RAM104に停電フラグをセットするとともに、その時点におけるRAM判定値を算出、保存する処理を実行し、その後RAM104へのアクセスを禁止し無限ループを継続する。
そして、上記電圧値が+4.5V未満となると、リセット回路210からのリセット信
号がLOWレベル信号からHIレベル信号に立ち上がり、MPU102は動作を停止する。
ここで、電源及び発射制御基板121における商用電源から電源モジュール131への経路には、図示しないコンデンサが複数設けられており、電断状態となっても所定期間は+4.5V以上の電力が供給される。つまり、電源モジュール131からの電圧値が+4.7V未満となって停電監視回路211により停電信号が入力されてから、当該電圧値が+
4.5V未満となるまでには、所定期間として具体的には十数秒かかる構成としている。これにより、当該所定期間内にMPU102が停電時処理を実行することが可能となっている。
本実施形態におけるバイパスコンデンサ154は、主側第1バス201における主側第2バス202との接続点よりもMPU102側に並列に設けられている。但し、RAM104への電源供給におけるノイズを抑制するために主側第2バス202における下流側バス202bに並列に設けてもよく、主側第1バス201と下流側バス202bとの両方に設けてもよい。
以上詳述した本実施形態によれば、以下の優れた効果を奏する。
MPU102におけるRAM104への電力供給をVCC端子及びVBB端子を介して行う構成とし、電断時用の電力供給経路EL13はVBB端子へ接続する構成とした。また、VCC端子からはMPU102全体に電力供給がなされ、VBB端子からはRAM104へのみ電力供給がなされる構成としている。これにより、電断状態において、MPU102への供給電力をRAM104に限定することができ、バックアップコンデンサ132の放電による電力消費を低減することが可能となる。
<その他の実施形態>
なお、上述した各実施形態の記載内容に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の変形改良が可能である。例えば以下のように変更してもよい。ちなみに、以下の別形態の構成を、上記各実施形態の構成に対して、個別に適用してもよく、組み合わせて適用してもよい。
(1)上記各実施形態では、電源及び発射制御基板121及び主制御基板101間の電力供給について本発明を適用したが、これに限られず、例えば電源及び発射制御基板121及び払出制御装置78間の電力供給について本発明を適用してもよい。すなわち、電断状態となった場合にはバックアップコンデンサ132に蓄積された電荷を用いて、払い出すべき遊技球数に関する情報(賞球個数カウンタ)が記憶保持されているRAM78aに電力を供給する。これにより、電断時に上記情報が消去され、遊技者に不測の不利益を与えることを抑制することができる。
(2)また、例えば携帯電話等を用いて、所定の入力部に対して遊技者を特定する情報が入力された場合に、特定の演出が行われたこと等の所定の遊技結果(所定の演出結果)を順次記憶し、特定操作が行われた場合には上記所定の遊技結果に関する情報を取得することができるように、上記所定の遊技結果に対応する信号出力又は表示を行う構成においては、停電時に上記所定の遊技結果をバックアップする構成としてもよい。
なお、上記所定の遊技結果を記憶するものとして音声発光制御装置72を採用する構成においては、当該音声発光制御装置72をバックアップ対象に加えるとよい。
(3)上記各実施形態では、バックアップコンデンサ132は1つであったが、これに限られず、複数のコンデンサを組み合わせてもよい。この場合、各コンデンサを並列に接続する。また、主制御装置71や払出制御装置78等の複数の制御装置のバックアップを1のコンデンサで行う構成としてもよく、各制御装置71,78毎に、対応するバックアップコンデンサを別々に設ける構成としてもよい。
(4)上記各実施形態では、充放電手段としてバックアップコンデンサ132を用いたが、充放電を行うことができれば任意であり、例えばLiイオン電池等の各種電池を用いる構成としてもよい。
(5)上記各実施形態では、制限抵抗152は、発生する大電流が許容値よりも小さくなる範囲内で小さく設定されていたが、これに限られない。例えば、電入状態となった場合に、バックアップコンデンサ132に蓄積されている電荷量に関わらず、MPU102に対して動作電力が供給されるように、制限抵抗152の抵抗値を(高く)設定してもよい。これにより、MPU102においてメイン処理の実行タイミングを早くすることが可能となる。
但し、充電時及び放電時における電力損失の点に鑑みれば、制限抵抗152の抵抗値は小さく設定されているとよい。
(6)上記各実施形態では、上流側バス142a,202aにダイオード151を設けたが、これに限られず、ダイオード151を設けない構成としてもよい。この場合、電源モジュール131に逆流する電流を吸収する回路を別途設けるとよい。但し、構成の簡素化やコストの観点に着目すれば、ダイオード151を設ける構成の方が好ましい。
(7)上記各実施形態では、電入時用の電力供給経路EL1,EL11と、充電経路EL2,EL12とを一部共通化させたが、これに限られず、例えばそれぞれ独立して設ける構成としてもよい。具体的には、ハーネスHを介して電源モジュール131とMPU102とを接続する第1経路と、当該第1経路とは別に、ダイオード151及び制限抵抗152を介して電源モジュール131とバックアップコンデンサ132とを接続する第2経路と、を設ける。また、第2経路におけるダイオード151及び制限抵抗152間の途中位置とMPU102とを接続する第3経路を設け、第3経路にスイッチング素子を設ける。そして、電断状態となった場合、より具体的には第1経路を流れる電流値(又は電圧値)が予め定められた下限値よりも小さくなった場合に、当該スイッチング素子をONとするように構成する。この場合であっても、バックアップコンデンサ132への充電等に伴う大電流の発生を抑制することができる。なお、第2の実施形態に本構成を適用する場合には、上記第1経路の中途位置と第3経路の中途位置とを接続する第4経路を設け、第1経路はMPU102のVCC端子に接続し、第3経路はVBB端子に接続する。そして、電入状態において第1経路からVCC端子側へ電源を供給するとともに、第4経路を介して第3経路からVBB端子側へ電源を供給する構成とするとよい。
さらに、本構成によれば、第1の実施形態においては、電入時用の電力供給経路EL1が第1経路であり、電断時用の電力供給経路EL3が第3経路である。この場合、第2の実施形態のように2系統でMPU102への電力供給が行われる。このため、電力供給がなされる経路の相違に基づいて、MPU102にて電入状態か電断状態かを特定することができる。これにより、リセット回路153を設ける必要がないため、構成の簡素化を図ることができる。
なお、本構成において、第2経路にハーネスHが含まれていてもよいし、第3経路にハーネスHが含まれていてもよい。第2経路にハーネスHが含まれる場合、電源モジュール131の電力が一旦主制御基板101に伝送され、再度電源及び発射制御基板121に戻ることが可能となるように、2つの接続ラインを設ける。この場合、ダイオード151及び制限抵抗152は、電源及び発射制御基板121及び主制御基板101のどちらに搭載してもよい。
(8)上記各実施形態において、ダイオード151を、電源及び発射制御基板121、詳細には電源側第1バス141に設けてもよい。かかる構成によれば、主制御基板101にダイオード151が設けられていない分だけ、主制御基板101に搭載される素子を少なくすることができる。これにより、MPU102やリセット回路153への視認性の向上を図ることができ、これらへの不正行為を抑制することができる。
(9)上記各実施形態において、制限抵抗152を、電源及び発射制御基板121、詳細には電源側第2バス144に設けてもよい。これにより、主制御基板101の視認性の更なる向上を図ることができる。但し、第2接続ライン146に残留している電荷に基づく電流を抑制する観点に着目すれば、主制御基板101に制限抵抗152を設ける構成のほうが好ましい。
(10)電力供給を行うための構成の第1の変形例について、図13及び図14を用いて説明する。図13は、第1の変形例を上記第1の実施形態に適用した場合の電力供給を行うための構成を示す回路図であり、図14は、第1の変形例を上記第2の実施形態に適用した場合の電力供給を行うための構成を示す回路図である。
第1の実施形態に適用すると、図13に示すように、電源及び発射制御基板121において、電源モジュール131と電源側コネクタCN1とを接続する電源側第1バス301には、ダイオード151が設けられている。そして、その電源側第1バス301におけるダイオード151の下流側の所定部分に、制限抵抗152及びバックアップコンデンサ132からなる直列接続体が接続されている。当該直列接続体の一端、詳細にはバックアップコンデンサ132の一端は接地されている。この場合、ハーネスHを介することなく充電経路EL22が形成されている。
また、主制御基板101には、主側コネクタCN2とMPU102とを接続する主側第1バス302が形成されている。そして、ハーネスHは、上記電源側第1バス301と主側第1バス302とを接続する第1接続ライン303を備えている。
かかる構成によれば、制限抵抗152とバックアップコンデンサ132との直列接続体を設けることにより、バックアップコンデンサ132への充電、及びバックアップコンデンサ132に残留電荷が存在する状況においてハーネスHを接続した場合の大電流の発生を抑制することができる。
また、充電経路EL22がハーネスHを介していない分だけ、充電経路EL22を短くすることができる。これにより、配線抵抗やコネクタの接触抵抗による電力損失を軽減することができるとともに、充電速度の向上を図ることを通じて、MPU102の立ち上がりに要する期間の短縮化を図ることができる。
なお、上記構成においては、電源側第1バス301の一部、第1接続ライン303及び主側第1バス302が電断時用の電力供給経路EL23を構成する。
また、電源モジュール131とリセット回路153とを接続する経路として、電源及び発射制御基板121には電源側第2バス304が設けられており、主制御基板101には主側第2バス305が設けられている。そして、ハーネスHは、これらを接続する第2接続ライン306を備えている。これにより、リセット回路153は、電入状態か電断状態かを把握することが可能となっている。
但し、本変形例においては、主制御基板101に制限抵抗152が設けられていないため、第2接続ライン306に残留した電荷に基づく電流によるMPU102の誤動作等を抑制することができない。
本変形例を、上記第2の実施形態に適用すると、電力供給を行うための構成は以下の通りとなる。
図14に示すように、電源及び発射制御基板121側においては上記第1の実施形態に適用した場合と同様に、電源モジュール131と接続された電源側第1バス301にダイオード151が設けられ、その下流側の所定部分に制限抵抗152及びバックアップコンデンサ132からなる直列接続体が接続されている。そして、当該直列接続体の一端は接地されている。したがって、上記第1の実施形態に適用した場合と同様に、ハーネスHを介することなく充電経路EL22が形成される。
主制御基板101側においては、MPU102のVCC端子には主側第1バス201が接続されているのに対して、MPU102のVBB端子には上記主側第1バス302が接続されている。主側第1バス201は、主側コネクタCN2において上記第2接続ライン306に接続される。第2接続ライン306は、電源側コネクタCN1において上記電源側第2バス304と接続される。
すなわち、ハーネスHを各コネクタCN1,CN2に接続することにより、電入時用の電力供給経路EL31として、電源モジュール131→電源側第2バス304→第2接続ライン306→主側第1バス201→VCC端子(MPU102)という第1電入経路EL31aと、電源モジュール131→電源側第1バス301→第1接続ライン303→主側第1バス302→VBB端子(MPU102)という第2電入経路EL31bと、が形成される。つまり本変形例における電入時用の電力供給経路EL31は、電源モジュール131からの経路の途中で分流せずに電源モジュール131からMPU102へ異なる経路として形成される。
そして、電断時用の電力供給経路EL23は、バックアップコンデンサ132→制限抵抗152→電源側第1バス301の一部→第1接続ライン303→主側第1バス302→VBB端子(MPU102)から形成される。
第2の実施形態と同様に、リセット回路210及び停電監視回路211は主側第1バス201に接続されている。リセット回路210の下流側はMPU102のリセット端子に接続され、停電監視回路211の下流側は入力ポート212を介してMPU102に接続されている。また、バイパスコンデンサ154は主側第1バス201の所定位置に設けられている。
(11)電力供給を行うための構成の第2の変形例について、図15及び図16を用いて説明する。図15は、第2の変形例を上記第1の実施形態に適用した場合の電力供給を行うための構成を示す回路図であり、図16は、第2の変形例を上記第2の実施形態に適用した場合の電力供給を行うための構成を示す回路図である。
第1の実施形態に適用すると、図15に示すように、上流側バス142aにおけるダイオード151よりもMPU102側に制限抵抗152が設けられている。主側第2バス145には、充電方向を順方向とする第1ダイオード411が設けられている。そして、制限抵抗152及び第1ダイオード411からなる直列接続体に対して並列に第2ダイオード412が設けられている。第2ダイオード412は、放電方向を順方向にして設けられている。
かかる構成によれば、バックアップコンデンサ132への充電は、ダイオード151、制限抵抗152及び第1ダイオード411を介して行われる。一方、バックアップコンデンサ132の放電電流は、第2ダイオード412及び制限抵抗152を介してMPU102に伝送される。これにより、制限抵抗152の兼用を図ることができる。
また、本変形例によれば、電入時用の電力供給経路EL1に制限抵抗152が設けられているため、電入状態(電源モジュール131から電力が供給されている状態)であって且つバックアップコンデンサ132の充電が完了している状況において、ハーネスHを接続した場合等に発生し得る瞬間的な大電流に起因するMPU102の誤動作等を抑制することができる。
本変形例を、上記第2の実施形態に適用すると、電力供給を行うための構成は以下の通りとなる。
上記第1の実施形態に適用した場合と同様に、図16に示すように、制限抵抗152は、上流側バス202aにおけるダイオード151よりもMPU102側に設けられている。第1ダイオード411は、主側第3バス203に充電方向を順方向として設けられている。第2ダイオード412は、制限抵抗152及び第1ダイオード411からなる直列接続体に対して並列となるように放電方向を順方向にして設けられている。
かかる構成によっても、電入状態(電源モジュール131から電力が供給されている状態)であって且つバックアップコンデンサ132の充電が完了している状況において、ハーネスHを接続した場合等に発生し得る瞬間的な大電流がMPU102のRAM104へ流れ込むことを抑制することが可能となる。
(12)上記第2の実施形態において、VCC端子を介してMPU102全体に電力が供給されるとともに、VBB端子を介してMPU102におけるRAM104に電力が供給される構成としたが、VCC端子を介する電力供給はRAM104へ供給されない構成としてもよい。この場合であっても、電入状態においては、VCC端子及びVBB端子を介して電源モジュール131から電力が供給されることからMPU102全体に電力が供給され、MPU102は動作可能である。また電断状態においては、バックアップコンデンサ132からVBB端子を介してRAM104に電源が供給されるため、RAM104に記憶情報を保持することが可能である。
(13)上記第2の実施形態において、停電監視回路211は少なくとも電断状態を特定可能であって当該特定したことをMPU102が認識することが可能であればよく、例えば、MPU102(入力ポート212)との接続点との反対側の接続点は、主側第1バス201、第1接続ライン143及び電源側第1バス141におけるいずれの箇所に接続されていてもよく、電源モジュール131に対して別途設けられた経路に接続されていてもよい。
また、停電監視回路211を、電源モジュール131が変換する前の+24Vの交流電圧ラインに対して接続してもよく、変換後の+12Vの直流電圧ラインに対して接続してもよく、コンバータを+24Vの交流電圧を+24Vの直流電圧に変換可能な構成としたうえで当該+24Vの直流電圧ラインに対して接続する構成としてもよい。さらに、停電監視回路211を電源及び発射制御基板121側に設けてもよい。これらの場合、停電監視回路211は、接続されたラインにおける電圧値(又は電流値)が、少なくともMPU102が動作不可となるよりも大きい電圧値(又は電流値)である所定の電圧値(又は電流値)に降下したことを特定し、MPU102(入力ポート212)に対する停電信号をHIレベル信号に立ち上げる構成とするとよい。そして、当該停電信号の立ち上げに基づいてMPU102が停電時処理を実行できる十分な期間(電圧値又は電流値の降下期間)を経てから、リセット回路210がリセット信号をHIレベル信号に立ち上げる構成とするとよい。なお、MPU102へのノイズの影響を低減するという観点からすると、停電監視回路211が交流電圧を監視する構成とする場合には、停電監視回路211を電源及び発射制御基板121側に設けるとよい。
さらに、停電監視回路211をMPU102と入力ポート212を介して接続する構成としたが、MPU102に対して直接接続する構成としてもよい。この場合、停電信号がHIレベル信号に立ち上げられたことに基づいて他の処理を実行中であっても即座に停電時処理を実行させるべく、MPU102にNMI端子(ノンマスカブル割込端子)を設け、当該NMI端子に対して接続する構成とするとよい。但し、停電時処理における記憶容量の削減という観点からすると、入力ポート212を介して接続する構成とすることが望ましい。
(14)上記第2の実施形態では、リセット回路210及び停電監視回路211を主側第1バス201と主側第2バス202との接続点よりも電源モジュール131側に接続したが、主側第1バス201と主側第2バス202との接続点よりもMPU102側に接続してもよい。
(15)上記第2の実施形態では、電断時において、リセット回路210はMPU102へ印加される電圧値が+4.5V未満となった場合にリセット信号を立ち上げ、停電監
視回路211は+4.5V未満となる前のタイミングである電圧値である+4.7V未満となった場合に停電信号を立ち上げる構成としたが、これらの各信号を出力(切り替え)する契機となる電圧値は上記のものに限定されない。具体的には、これらの各信号を出力(切り替え)する電圧値は、いずれも、電入状態においてMPU102に印加されている電圧値(+5.0V)未満であってMPU102が動作可能な電圧値(+3.3V)よりも大きい所定値であればよく、リセット回路210がリセット信号を立ち上げる電圧値と、停電監視回路211が停電信号を立ち上げる電圧値との組み合わせにより、少なくともMPU102が電断状態を特定してから停電時処理を実行するまでの期間が確保されていればよい。また、これらの電圧値の組み合わせにより、MPU102が電断状態を特定してから停電時処理を実行するまでの期間が確保されるのであれば、電源モジュール131側の図示しないコンデンサによって電断時における供給電力が所定期間維持される構成としなくてもよい。
また、リセット回路210に、MPU102が電断状態を特定してから停電時処理を実行するまでの期間よりも長い所定期間を計測可能なクロック回路を設け、リセット回路210が所定電圧値未満となったことを特定してから所定期間の経過後にリセット信号を立ち上げる構成としてもよい。この場合、停電監視回路211が監視する電圧値とリセット回路210が監視する電圧値とを同じ電圧値とすることも可能であり、停電監視回路211が監視する電圧値をリセット回路210が監視する電圧値よりも小さい電圧値とすることも可能である。
(16)上記第2の実施形態において、リセット回路210はMPU102のリセット端子に接続される構成としたが、停電監視回路211と同様に入力ポート212を介して接続される構成としてもよく、入力ポート212とは別の入力ポートを介して接続される構成としてもよい。
(17)上記各実施形態では、MPU102にROM103及びRAM104が1チップ化されている構成としたが、これに限られず、それぞれが個別にチップ化された構成としてもよい。この場合、主制御基板101の電力を供給する各経路142,145,201,202,203において、CPUに電力を供給し、CPUがRAM104に対して電力を供給する構成としてもよいし、CPU及びRAM104双方に個別に電力供給を行う構成としてもよい。
(18)上記各実施形態では、電断時において、RAM104の各情報を記憶保持する構成としたが、保留情報、現状の遊技状態を特定する情報といった一部の情報を記憶保持し、その他の情報を記憶保持しない構成としてもよい。この場合、RAM104に、電断時用の記憶領域を設け、停電時処理において、電断時用の記憶領域に上記一部の情報を記憶させ、バックアップコンデンサ132からの電力を、上記電断時用の記憶領域に供給する構成とする。これにより、電断状態において記憶保持する対象情報を削減することを通じて、電力損失の削減を図ることができ、バックアップコンデンサ132が記憶保持可能な期間を長くすることができる。この場合、メイン処理においては、上記電断時用の記憶領域に記憶されている情報に基づいて復帰処理を実行する。
(19)上各記実施形態では、電源及び発射制御基板121に電源側コネクタCN1を設け、主制御基板101に主側コネクタCN2を設け、これら各コネクタCN1,CN2に対して着脱可能に取り付けられるハーネスHを設ける構成としたが、これに限られず、各基板101,121のうち一方の基板にのみコネクタを設けることにより、ハーネスHを着脱可能にする一方、他方の基板においては半田付け等によりハーネスHを固定する構成としてもよい。要は、各基板101,121のうち少なくとも一方において、ハーネスHが着脱可能に構成されていればよい。
また、各基板101,121に配線を半田付け等で固定することで両者を接続する構成としてもよい。この場合、検査を行う場合には上記配線を切断したり、半田付けを破壊して配線を取り除いたりする。そして、検査が終了した場合には、切断した配線を再接続したり、新たな配線を各基板101,121に半田付けしたりする。但し、検査の容易性に着目すれば、着脱可能なハーネスHを設ける構成の方がよい。
(20)上記各実施形態では、電源及び発射制御基板121には、電力を供給するものとして電源モジュール131及びバックアップコンデンサ132が搭載されているとともに、遊技球の発射制御を行う発射制御モジュール133が搭載されていたが、これに限られず、電源モジュール131及びバックアップコンデンサ132が搭載された基板と、発射制御モジュール133が搭載された基板とを、別々に設ける構成としてもよい。但し、構成の簡素化に着目すれば、1の基板に両者を搭載する構成の方が好ましい。
(21)上記各実施形態とは異なる他のタイプのパチンコ機等、例えば特別装置の特定領域に遊技球が入ると電動役物が所定回数開放するパチンコ機や、特別装置の特定領域に遊技球が入ると権利が発生して大当たりとなるパチンコ機、他の役物を備えたパチンコ機、アレンジボール機、雀球等の遊技機にも、本発明を適用できる。
また、弾球式でない遊技機、例えば、複数種の図柄が周方向に付された複数のリールを備え、メダルの投入及びスタートレバーの操作によりリールの回転を開始し、ストップスイッチが操作されることによりリールの回転を停止し、表示部から視認できる有効ライン上に特定図柄又は特定図柄の組み合わせが成立していた場合にはメダルの払い出し等といった特典を遊技者に付与するスロットマシンにも本発明を適用できる。この場合、払い出すべきメダル数に関する情報が記憶される構成においては、その情報をバックアップの対象としてもよい。
また、予め定められた契機、例えばスタートレバーの操作に基づいて、特定図柄又は特定図柄の組み合わせを停止表示させるか否かの抽選を行い、当該抽選に当選した場合にのみ、上記特定図柄又は特定図柄の組み合わせを停止表示させることが可能となる構成としてもよい。かかる構成においては、上記抽選の結果を特定するための情報をバックアップの対象としてもよい。
また、遊技者にとって有利な有利状態として、遊技者に払い出されるメダル数が多いレギュラーボーナスやビックボーナスが設定されている構成においては、上記各ボーナス中であることを特定するための情報をバックアップの対象としてもよい。
さらに、ボーナスゲームとして、次回以降の所定ゲーム(例えば30ゲーム)にわたってリプレイ確率がアップするリプレイタイムゲーム(以下RTゲームという)を新たに設けてもよい。この場合、RTゲームであることをMPU102にて特定するための情報をバックアップの対象としてもよい。
また、外枠に開閉可能に支持された遊技機本体に貯留部及び取込装置を備え、貯留部に貯留されている所定数の遊技球が取込装置により取り込まれた後にスタートレバーが操作されることによりリールの回転を開始する、パチンコ機とスロットマシンとが融合された遊技機にも、本発明を適用できる。
<上記各実施形態から抽出される発明群について>
以下、上述した各実施形態から抽出される発明群の特徴について、必要に応じて効果等を示しつつ説明する。なお以下においては、理解の容易のため、上記各実施形態において対応する構成を括弧書き等で適宜示すが、この括弧書き等で示した具体的構成に限定されるものではない。
<特徴A群>
特徴A1.遊技に関する情報を用いて所定の制御を行うものであって、自身に電力が供給されている間はその情報を記憶保持する制御手段(MPU102)が搭載された第1基板(主制御基板101)と、
前記制御手段に電力を供給可能な供給状態と、前記制御手段に電力を供給できない電断状態とに切換可能な電源手段(電源モジュール131)が搭載された第2基板(電源及び発射制御基板121)と、
前記第1基板及び前記第2基板間の電力の伝送に用いられるものであって、前記各基板のうち少なくとも一方に対して着脱可能な伝送手段(ハーネスH)と、
を備えた遊技機において、
前記第2基板には、電力が供給された場合に電荷を蓄積する充電状態となる一方、電力が供給されていない場合には電荷を放出する放電状態となる充放電手段(バックアップコンデンサ132)が搭載されており、
電力を伝送するための経路として、
前記充放電手段及び前記電源手段を電気的に接続する第1経路(充電経路EL2,EL12)と、
前記伝送手段が取り付けられることにより形成される経路であって、前記充放電手段及び前記制御手段を電気的に接続する第2経路(電断時用の電力供給経路EL3,EL13)と、
を備え、
前記充放電手段は、
前記電源手段が前記供給状態である場合に前記第1経路を介して前記電源手段から電力が供給されることにより前記充電状態となる一方、
前記電源手段が前記電断状態である場合には前記放電状態となることにより、前記第2経路を介して前記制御手段に電力を供給するものであり、
前記第1経路及び前記第2経路の少なくとも一部が共通経路として構成されており、
前記共通経路に前記各経路を流れる電流を制限する制限抵抗が設けられていることを特徴とする遊技機。
特徴A1によれば、第1経路及び第2経路が形成されている状況において、電源手段が供給状態となると、第1経路を介して充放電手段に電力が供給され、充放電手段は電荷を蓄積する充電状態となる。一方、電源手段が電断状態となると、電源手段からの電力供給が停止し、充放電手段は電荷を放出する放電状態となる。これにより、第2経路を介して制御手段に電力が供給される。よって、遊技に関する情報は、電断状態においても記憶保持される。
ここで、充放電手段を第1基板に設けると、第1基板単独で制御手段への電力供給が可能となる。このため、制御手段に記憶保持されている遊技に関する情報を書き換えるといった不正行為が行われ易い。
また、充放電手段は、電荷を蓄積するという特性上、大型なものとなり易い。このため、充放電手段を、不正行為の対象となり易い制御手段が搭載されている第1基板に設けると、充放電手段が邪魔となって不正行為の痕跡を見逃してしまう不都合が生じ得る。かといって、第1基板の搭載領域の関係上、制御手段を見易くするべく、充放電手段を制御手段から離間させて配置しようとすることは困難である。
これに対して、本特徴によれば、充放電手段が、電源手段が搭載されている第2基板に設けられているため、上記不都合を回避しつつ、充放電手段による電力供給を実現することができる。
かかる構成において、仮に伝送手段が取り付けられており且つ充放電手段に電荷が蓄積されていない状況において、電源手段が供給状態となった場合、第1経路を、充放電手段の充電に係る電流(突入電流)が流れる。また、電源手段が電断状態であって充放電手段に電荷が蓄積されている状態において伝送手段を取り付けた場合、充放電手段に蓄積されている電荷に起因する電流が第1経路及び第2経路双方に流れる。
これに対して、本特徴によれば、共通経路に制限抵抗が設けられているため、上記のような各事象に基づく各電流は制限抵抗により制限される。これにより、上記のような各事象が発生した場合に各経路にて瞬間的に大電流が流れ、電源手段又は制御手段が誤動作したり破損したりすることを抑制することができる。
特に、制限抵抗は、各経路の共通経路に設けられているため、各経路それぞれに抵抗を設ける構成と比較して、抵抗を削減することができる。これにより、比較的簡素な構成で上記効果を奏することができる。
特徴A2.前記制限抵抗と直列に接続され、前記電源手段から前記充放電手段への方向を順方向とするダイオードを備え、
前記ダイオードは、前記第1経路における前記共通経路よりも前記電源手段側の所定経路(第1の実施形態では上流側バス142a又は電源側第1バス141、第2の実施形態では主側第1バス201における主側第2バス202との接続点よりも上流側、上流側バス202a、又は電源側第1バス141)に設けられていることを特徴とする特徴A1に記載の遊技機。
特徴A2によれば、ダイオードによって、充放電手段に蓄積された電荷による電流が電源手段に流れることを抑制することができる。この場合、ダイオードは第1経路における共通経路よりも電源手段側の所定経路に設けられているため、充放電手段の放電による制御手段への電力供給を阻害しない。
かかる構成において、仮に伝送手段が取り付けられており且つ充放電手段に電荷が蓄積されていない状況において、電源手段が供給状態となった場合、瞬間的に大電流(突入電流)が流れ、ダイオードが破損するおそれがある。この場合、上記大電流を許容するダイオードを設ける構成も考えられるが、そのようなダイオードは通常のものと比較して非常に高価であるため、大幅なコストアップが懸念される。
これに対して、特徴A1の構成を採用することにより、第1経路を流れる突入電流を、制限抵抗に対応した電流に制限することができるため、上記のような高価なダイオードを用いることなく、突入電流によるダイオードの破損を抑制することができる。
特徴A3.前記所定経路の少なくとも一部は、前記第1基板に形成されており、
前記ダイオードは、前記所定経路における前記第1基板に形成された部分(第1の実施形態では上流側バス142a、第2の実施形態では主側第1バス201における主側第2バス202との接続点よりも上流側、又は上流側バス202a)に設けられていることを特徴とする特徴A2に記載の遊技機。
仮にダイオードが第2基板に設けられている場合、充放電手段に蓄積された電荷の一部が、伝送手段を介して第2基板まで移動する場合がある。この場合、伝送手段から上記電荷の移動に基づくノイズが発生し、他の電子機器に悪影響を及ぼすおそれがある。
これに対して、本特徴によれば、所定経路における第1基板に形成された部分にダイオードが設けられているため、上記伝送手段を介した電荷の移動を規制することができ、上記ノイズの発生を抑制することができる。これにより、電断状態となった場合における電子機器の誤動作を抑制することができる。
特徴A4.前記所定経路の少なくとも一部は、前記第2基板に形成されており、
前記ダイオードは、前記所定経路における前記2基板に形成された部分(電源側第1バス141)に設けられていることを特徴とする特徴A2に記載の遊技機。
特徴A4によれば、ダイオードを所定経路における第2基板に形成された部分に設けることにより、第1基板に搭載される部品点数を削減することができる。これにより、第1基板の制御手段の視認性をより向上させることができるため、制御手段に対する不正行為が行われた場合に、その痕跡を見つけ易くなる。よって、制御手段への不正行為を好適に抑制することができる。
特徴A5.前記共通経路の少なくとも一部は、前記第1基板に形成されており、
前記制限抵抗は、前記共通経路における前記第1基板に形成された部分(第1の実施形態では主側第2バス145、第2の実施形態では主側第3バス203)に設けられていることを特徴とする特徴A1乃至A4のいずれか1に記載の遊技機。
特徴A5によれば、第1基板に制限抵抗が設けられているため、伝送手段に残留している電荷に基づく電流は、制限抵抗により制限される。これにより、伝送手段の取り付けに伴う大電流をより好適に抑制することができる。
特徴A6.前記第1基板を収容する基板ボックスと、
前記基板ボックスを開放させた場合にその痕跡が残るようにするための痕跡手段と、
を備えていることを特徴とする特徴A5に記載の遊技機。
特徴A6によれば、制限抵抗が基板ボックス内に収容されており、当該基板ボックスは開放された場合にその痕跡が残るようになっている。これにより、制限抵抗を別の抵抗に置き換えて制御手段に意図的に大電流を流して、制御手段の誤動作を誘発させる等といった不正行為を抑制することができる。
特徴A7.前記共通経路の少なくとも一部は、前記第2基板に形成されており、
前記制限抵抗は、前記共通経路における前記第2基板に形成された部分(電源側第1バス301)に設けられていることを特徴とする特徴A1乃至A4のいずれか1に記載の遊技機。
特徴A7によれば、制限抵抗を第2基板に設けることにより、第1基板に搭載される部品点数を削減することができる。これにより、第1基板の制御手段の視認性をより向上させることができるため、制御手段に対する不正行為が行われた場合に、その痕跡を見つけ易くなる。よって、制御手段への不正行為を好適に抑制することができる。
特徴A8.前記第1経路は、前記伝送手段が取り付けられることにより形成されるものであることを特徴とする特徴A1乃至A7のいずれか1に記載の遊技機。
特徴A8によれば、伝送手段が取り付けられることにより、電源手段による充放電手段への電力供給が可能となる。これにより、伝送手段が取り付けられていない状態での充放電手段への充電を回避することができる。よって、伝送手段が取り付けられていない状況において電源手段の誤動作等によって意図しない充放電手段への充電が行われることを回避することを通じて、伝送手段を取り外して検査を行う際に感電しないようにすることができるとともに、電力損失の削減を図ることができる。さらに、電源手段が供給状態であり、且つ充放電手段の充電が完了している状況にて伝送手段を取り付けた場合に瞬間的に発生し得る大電流が、充放電手段に吸収されることなく、制御手段に流れ、制御手段が誤動作又は破損する事態を回避することができる。
特徴A9.前記第2経路は、一端が前記第1経路の途中位置に接続され、他端が前記制御手段に接続された個別経路(下流側バス142b,202b)を備えていることを特徴とする特徴A1乃至A8のいずれか1に記載の遊技機。
特徴A9によれば、電源手段からの電力は、第1経路の一部及び個別経路を介して制御手段に供給されるとともに、上記第1経路を介して充放電手段に供給される。これにより、第1経路及び第2経路と、電源手段が供給状態である場合における電力供給経路とを一部共通化することができる。
特徴A10.前記制御手段は、
少なくとも遊技に関する情報を用いて所定の制御を行う制御部(MPU102)へ電気的に接続される第1端子(VCC端子)と、
自身に電力が供給されている間はその情報を記憶保持する記憶保持部(RAM104)へ電気的に接続される第2端子(VBB端子)と、
を備え、
前記第2経路は、当該第2端子に接続されるものであることを特徴とする特徴A1乃至A9のいずれか1に記載の遊技機。
特徴A10によれば、電断状態となった場合には制御手段における記憶保持部に対して電力を供給することで、遊技に関する情報を記憶保持できる。したがって、電断状態となった場合に制御手段全体へ電力を供給する構成と比較して、充放電手段における単位時間当たりの放出電力を低減することができる。
なお、特徴A10の具体的な構成としては以下の構成である。
「前記電源手段と前記制御手段における前記第1端子とを電気的に接続する第3経路(第1電入経路EL11a)を備え、
当該第3経路は、前記第2経路と共有する伝送部分を含まないように設けられている」構成。
特徴A11.前記第1基板には、前記電源手段が前記供給状態か前記電断状態かを把握するための把握手段(リセット回路153,210)が設けられており、
前記制御手段は、前記把握手段により前記電源手段が前記電断状態から前記供給状態に移行したことが把握された場合に、予め定められた立ち上げ処理(メイン処理)を実行するものであることを特徴とする特徴A9又は特徴A10に記載の遊技機。
供給状態における制御手段への電力供給経路と、電断状態における制御手段への電力供給経路とを一部共通化した場合、制御手段は、電力供給経路に基づいて電源手段が供給状態か電断状態かを特定することができず、立ち上げ処理をどのタイミングで実行すればよいか分からなくなる。
これに対して、本特徴によれば、把握手段を別途設け、その把握手段の把握結果に基づいて立ち上げ処理を実行する構成とした。これにより、供給状態と電断状態とで電力供給経路を一部共通化したことにより生じた上記不都合を回避することができる。
特徴A12.前記制御手段は、前記把握手段により前記電源手段が前記電断状態から前記供給状態に移行したことが把握されたタイミングから、予め定められた特定期間が経過してから前記立ち上げ処理を実行することを特徴とする特徴A11に記載の遊技機。
特徴A12の構成を採用した場合、伝送手段が取り付けられている状況において電源手段が供給状態となると、充放電手段の充電が行われるとともに、制御手段に電力が供給される。充放電手段の充電中は、制御手段への電力供給は不安定となり易い。
この点、本特徴によれば、充放電手段への充電に起因して制御手段への電力供給が不安定となっている期間中の立ち上げ処理の実行を回避することができ、安定した立ち上げ処理を実現することができる。
なお、「特定期間」としては、例えば「前記充放電手段の充電に要する期間よりも長い期間」が考えられる。
特徴A13.前記電源手段が前記供給状態となった場合に、前記充放電手段における電荷の蓄積状況に関わらず、前記制御手段に対して当該制御手段が動作可能となる電力が供給されるように、前記制限抵抗の抵抗値が設定されていることを特徴とする特徴A9乃至A12のいずれか1に記載の遊技機。
特徴A13によれば、充放電手段における電荷の蓄積状況に関わらず、電源手段を供給状態とすることにより、制御手段を動作させることが可能となる。これにより、制御手段の動作開始を、迅速且つ安定して行うことが可能となる。
特徴A14.遊技に関する情報を用いて所定の制御を行うものであって、自身に電力が供給されている間はその情報を記憶保持する制御手段(MPU102)が搭載された第1基板(主制御基板101)と、
前記制御手段に電力を供給可能な供給状態と、前記制御手段に電力を供給できない電断状態とに切換可能な電源手段(電源モジュール131)が搭載された第2基板(電源及び発射制御基板121)と、
前記第1基板及び前記第2基板間の電力の伝送に用いられる伝送手段(ハーネスH)と、
を備えた遊技機において、
前記第2基板には、電力が供給された場合に電荷を蓄積する充電状態となる一方、電力が供給されていない場合には電荷を放出する放電状態となる充放電手段(バックアップコンデンサ132)が搭載されており、
電力を伝送するための経路として、
前記充放電手段及び前記電源手段を電気的に接続する第1経路(充電経路EL2,EL12)と、
前記伝送手段を介して、前記充放電手段及び前記制御手段を電気的に接続する第2経路(電断時用の電力供給経路EL3,EL13)と、
を備え、
前記充放電手段は、
前記電源手段が前記供給状態である場合に前記第1経路を介して前記電源手段から電力が供給されることにより前記充電状態となる一方、
前記電源手段が前記電断状態である場合には前記放電状態となることにより、前記第2経路を介して前記制御手段に電力を供給するものであり、
前記第1経路及び前記第2経路の少なくとも一部が共通経路として構成されており、
前記共通経路に前記各経路を流れる電流を制限する制限抵抗が設けられていることを特徴とする遊技機。
特徴A14によれば、電源手段が供給状態となると、第1経路を介して充放電手段に電力が供給され、充放電手段は電荷を蓄積する充電状態となる。一方、電源手段が電断状態となると、電源手段からの電力供給が停止し、充放電手段は電荷を放出する放電状態となる。これにより、第2経路を介して制御手段に電力が供給される。よって、遊技に関する情報は、電断状態においても記憶保持される。
ここで、充放電手段を第1基板に設けると、第1基板単独で制御手段への電力供給が可能となる。このため、制御手段に記憶保持されている遊技に関する情報を書き換えるといった不正行為が行われ易い。
また、充放電手段は、電荷を蓄積するという特性上、大型なものとなり易い。このため、充放電手段を、不正行為の対象となり易い制御手段が搭載されている第1基板に設けると、充放電手段が邪魔となって不正行為の痕跡を見逃してしまう不都合が生じ得る。かといって、第1基板の搭載領域の関係上、制御手段を見易くするべく、充放電手段を制御手段から離間させて配置しようとすることは困難である。
これに対して、本特徴によれば、充放電手段が、電源手段が搭載されている第2基板に設けられているため、上記不都合を回避しつつ、充放電手段による電力供給を実現することができる。
かかる構成において、仮に充放電手段に電荷が蓄積されていない状況において、電源手段が供給状態となった場合、第1経路を、充放電手段の充電に係る電流(突入電流)が流れる。また、電源手段が電断状態であって充放電手段に電荷が蓄積されている状態において、伝送手段を設けた場合、充放電手段に蓄積されている電荷に起因する電流が第1経路及び第2経路双方に流れる。
これに対して、本特徴によれば、共通経路に制限抵抗が設けられているため、上記のような各事象に基づく各電流は制限抵抗により制限される。これにより、上記のような各事象が発生した場合に各経路にて瞬間的に大電流が流れ、電源手段又は制御手段が誤動作したり破損したりすることを抑制することができる。
特に、制限抵抗は、各経路の共通経路に設けられているため、各経路それぞれに抵抗を設ける構成と比較して、抵抗を削減することができる。これにより、比較的簡素な構成で上記効果を奏することができる。
なお、本特徴に対して特徴A2〜A13の構成を適用してもよい。この場合、必要に応じて、伝送手段を着脱可能に構成するとよい。
<特徴B群>
特徴B1.遊技に関する情報を用いて所定の制御を行うものであって、自身に電力が供給されている間はその情報を記憶保持する制御手段(MPU102)が搭載された第1基板(主制御基板101)と、
前記制御手段に電力を供給可能な供給状態と、前記制御手段に電力を供給できない電断状態とに切換可能な電源手段(電源モジュール131)が搭載された第2基板(電源及び発射制御基板121)と、
前記第1基板及び前記第2基板間の電力の伝送に用いられるものであって、前記各基板のうち少なくとも一方に対して着脱可能な伝送手段(ハーネスH)と、
を備えた遊技機において、
前記第2基板には、電力が供給された場合に電荷を蓄積する充電状態となる一方、電力が供給されていない場合には電荷を放出する放電状態となる充放電手段(バックアップコンデンサ132)が搭載されており、
前記伝送手段が取り付けられることにより、前記電源手段又は前記充放電手段による前記制御手段への電力供給が可能となり、
前記伝送手段を取り付けることなく、前記電源手段による前記充放電手段への電力供給が行われることが規制されていることを特徴とする遊技機。
特徴B1によれば、電源手段が電断状態である場合には充放電手段が放電することによって、制御手段に電力供給を行うことができる。
ここで、充放電手段を第1基板に設けると、第1基板単独で制御手段への電力供給が可能となる。このため、制御手段に記憶保持されている遊技に関する情報を書き換えるといった不正行為が行われ易い。
また、充放電手段は、電荷を蓄積するという特性上、大型なものとなり易い。このため、充放電手段を、不正行為の対象となり易い制御手段が搭載されている第1基板に設けると、充放電手段が邪魔となって不正行為の痕跡を見逃してしまう不都合が生じ得る。かといって、第1基板の搭載領域の関係上、制御手段を見易くするべく、充放電手段を制御手段から離間させて配置しようとすることは困難である。
これに対して、本特徴によれば、充放電手段が、電源手段が搭載されている第2基板に設けられているため、上記不都合を回避しつつ、充放電手段による電力供給を実現することができる。
かかる構成において、伝送手段が取り付けられることなく、電源手段による充放電手段への電力供給を行うことが規制されている。これにより、伝送手段が取り付けられていない状態での充放電手段への充電を回避することができる。よって、伝送手段を取り外した状況において電源手段の誤動作等によって意図しない充放電手段への充電が行われることを回避することを通じて、伝送手段を取り外して検査を行う際に感電しないようにすることができるとともに、電力損失の削減を図ることができる。さらに、電源手段が供給状態であり、且つ充放電手段の充電が完了している状況にて伝送手段を取り付けた場合に瞬間的に発生し得る大電流が、充放電手段に吸収されることなく、制御手段に流れ、制御手段が誤動作又は破損する事態を回避することができる。
特徴B2.前記伝送手段は、第1伝送部(第1接続ライン143)と、当該第1伝送部とは別系統の第2伝送部(第2接続ライン146)と、を備え、
前記各基板間において電力を伝送するための経路として、
前記第1伝送部を介して前記電源手段及び前記制御手段を電気的に接続する電入対応経路(電入時用の電力供給経路EL1,EL11)と、
前記第2伝送部を介して前記電入対応経路における前記第1基板に形成された所定部分及び前記充放電手段を電気的に接続することにより、前記充放電手段及び前記制御手段を電気的に接続する電断対応経路(電断時用の電力供給経路EL3,EL13)と、
を備え、
前記電入対応経路における前記第1基板に形成された所定部分及び前記充放電手段を電気的に接続することにより、前記第1伝送部、前記第1基板及び前記第2伝送部を経由する前記充放電手段の充電経路が形成されることを特徴とする特徴B1に記載の遊技機。
特徴B2によれば、電源手段が供給状態である場合には、電入対応経路を介して、電源手段の電力が制御手段に供給される。一方、電源手段が電断状態である場合には、電断対応経路を介して、充放電手段の電力が制御手段に供給される。
また、電入対応経路における第1基板に形成された所定部分と、充放電手段とを電気的に接続することによって電断対応経路が形成されているため、電源手段が供給状態である場合における電力供給経路(電入対応経路)と、電源手段が電断状態である場合における電力供給経路(電断対応経路)とが一部共通している。これにより、構成の簡素化を図ることができる。
そして、上記のように接続することにより、第1伝送部、第1基板及び第2伝送部を介して電源手段と充放電手段とが電気的に接続され、伝送手段を介した充電経路が形成される。これにより、供給状態における制御手段への電力供給経路、電断状態における制御手段への電力供給経路、及び充電経路という各経路の一部共通化を図ることができる。よって、特徴B1の構成を、簡素な構成で実現することができる。
特徴B3.前記第1基板には、前記電源手段が前記供給状態か前記電断状態かを把握するための把握手段(リセット回路153,210)が設けられており、
前記制御手段は、前記把握手段により前記電源手段が前記電断状態から前記供給状態に移行したことが把握された場合に、予め定められた立ち上げ処理(メイン処理)を実行するものであることを特徴とする特徴B2に記載の遊技機。
供給状態における制御手段への電力供給経路と、電断状態における制御手段への電力供給経路とを一部共通化した場合、制御手段は、電力供給経路に基づいて電源手段が供給状態か電断状態かを特定することができず、立ち上げ処理をどのタイミングで実行すればよいか分からなくなる。
これに対して、本特徴によれば、把握手段を別途設け、その把握手段の把握結果に基づいて立ち上げ処理を実行する構成とした。これにより、供給状態と電断状態とで電力供給経路を一部共通化したことにより生じた上記不都合を回避することができる。
特徴B4.前記制御手段は、前記把握手段により前記電源手段が前記電断状態から前記供給状態に移行したことが把握されたタイミングから、予め定められた特定期間が経過してから前記立ち上げ処理を実行することを特徴とする特徴B3に記載の遊技機。
特徴B2の構成を採用した場合、伝送手段が取り付けられている状況において電源手段が供給状態となると、充放電手段の充電が行われるとともに、電入対応経路を介して制御手段に電力が供給される。充放電手段の充電中は、制御手段への電力供給は不安定となり易い。
この点、本特徴によれば、充放電手段への充電に起因して制御手段への電力供給が不安定となっている期間中の立ち上げ処理の実行を回避することができ、安定した立ち上げ処理を実現することができる。
なお、「特定期間」としては、例えば「前記充放電手段の充電に要する期間よりも長い期間」が考えられる。
特徴B5.前記充電経路と前記電断対応経路との共通経路に前記各経路を流れる電流を制限する制限抵抗が設けられていることを特徴とする特徴B2乃至B4のいずれか1に記載の遊技機。
伝送手段が取り付けられており、且つ充放電手段に電荷が蓄積されていない状況において電源手段が供給状態となった場合、充放電手段の充電に係る電流(突入電流)が充電経路を流れる。また、電源手段が電断状態であって充放電手段に電荷が蓄積されている状態において伝送手段を取り付けた場合、充放電手段に蓄積されている電荷に基づく電流が電断対応経路に流れる。これらの事象に基づく電流は、当該事象が発生した場合に瞬間的に大きくなり易い。このため、上記瞬間的な大電流に基づき、制御手段や電源手段が誤動作したり破損したりすることが懸念される。
この点、本特徴によれば、共通経路に制限抵抗が設けられているため、上記のような各事象に基づく各電流は制限抵抗により制限される。これにより、上記のような各事象が発生した場合に各経路にて瞬間的に大電流が流れ、電源手段及び制御手段が誤動作したり破損したりすることを抑制することができる。
特に、制限抵抗は、各経路の共通経路に設けられているため、各経路それぞれに抵抗を設ける構成と比較して、抵抗を削減することができる。これにより、比較的簡素な構成で上記効果を奏することができる。
なお、特徴B5の構成に対して、特徴A群の各構成を適用してもよい。
特徴B6.遊技に関する情報を用いて所定の制御を行うものであって、自身に電力が供給されている間はその情報を記憶保持する制御手段(MPU102)が搭載された第1基板(主制御基板101)と、
前記制御手段に電力を供給可能な供給状態と、前記制御手段に電力を供給できない電断状態とに切換可能な電源手段(電源モジュール131)が搭載された第2基板(電源及び発射制御基板121)と、
前記第1基板及び前記第2基板間の電力の伝送に用いられる伝送手段(ハーネスH)と、
を備えた遊技機において、
前記第2基板には、電力が供給された場合に電荷を蓄積する充電状態となる一方、電力が供給されていない場合には電荷を放出する放電状態となる充放電手段(バックアップコンデンサ132)が搭載されており、
前記電源手段又は前記充放電手段による前記制御手段への電力供給は、前記伝送手段を介して行われるものであり、
前記伝送手段を介することなく、前記電源手段による前記充放電手段への電力供給が行われないように構成されていることを特徴とする遊技機。
特徴B6によれば、電源手段が電断状態である場合には充放電手段が放電することによって、制御手段に電力供給を行うことができる。
ここで、充放電手段を第1基板に設けると、第1基板単独で制御手段への電力供給が可能となる。このため、制御手段に記憶保持されている遊技に関する情報を書き換えるといった不正行為が行われ易い。
また、充放電手段は、電荷を蓄積するという特性上、大型なものとなり易い。このため、充放電手段を、不正行為の対象となり易い制御手段が搭載されている第1基板に設けると、充放電手段が邪魔となって不正行為の痕跡を見逃してしまう不都合が生じ得る。かといって、第1基板の搭載領域の関係上、制御手段を見易くするべく、充放電手段を制御手段から離間させて配置しようとすることは困難である。
これに対して、本特徴によれば、充放電手段が、電源手段が搭載されている第2基板に設けられているため、上記不都合を回避しつつ、充放電手段による電力供給を実現することができる。
かかる構成において、伝送手段を介することなく、電源手段による充放電手段への電力供給が行われないように構成されているため、伝送手段が破壊された状態での充放電手段への充電を回避することができる。よって、伝送手段が破壊されている状況において電源手段の誤動作等によって意図しない充放電手段への充電が行われることを回避することを通じて、伝送手段を破壊して検査を行う際に感電しないようにすることができるとともに、電力損失の削減を図ることができる。さらに、電源手段が供給状態であり、且つ充放電手段の充電が完了している状況にて伝送手段を設ける場合に瞬間的に発生し得る大電流が、充放電手段に吸収されることなく、制御手段に流れ、制御手段が誤動作又は破損する事態を回避することができる。
なお、本特徴に特徴B2〜B5の構成を適用してもよい。この場合、必要に応じて、伝送手段を着脱可能に構成するとよい。