1.遊技機の構造
本発明の実施形態であるパチンコ遊技機PY1について、図面に基づいて説明する。なお、以下の説明においてパチンコ遊技機PY1の各部の左右方向は、そのパチンコ遊技機PY1に対面する遊技者にとっての左右方向に一致させて説明する。また、パチンコ遊技機PY1の各部の前方向をパチンコ遊技機PY1に対面する遊技者に近づく方向とし、パチンコ遊技機PY1の各部の後方向をパチンコ遊技機PY1に対面する遊技者から離れる方向として説明する。
図1に示すように、実施形態のパチンコ遊技機PY1は、遊技機枠2を備えている。遊技機枠2は、図2に示すように、パチンコ遊技機PY1の外郭を構成するものであり、外枠22と内枠21と前扉23(前枠)とを備えている。外枠22は、パチンコ遊技機PY1の外郭部を形成する縦長方形状の枠体である。内枠21は、外枠22の内側に配置されていて、後述の遊技盤1を取付ける縦長方形状の枠体である。前扉23は、外枠22及び内枠21の前面側に配置されていて、遊技盤1を保護する縦長方形状のものである。前扉23は、遊技者に正対する部分であり、種々の飾り付けがなされている。
遊技機枠2は、左端側にヒンジ部24を備えて構成されている。このヒンジ部24により、前扉23は、外枠22及び内枠21に対してそれぞれ回動自在になっていて、内枠21は、外枠22及び前扉23に対してそれぞれ回動自在になっている。前扉23の中央には開口部23aが形成されていて、遊技者が後述の遊技領域6を視認できるように透明の透明板23tが開口部23aに取付けられている。透明板23tは、本形態ではガラス板であるが、透明な合成樹脂板であってもよい。すなわち、透明板23tは、前方から遊技領域6を視認可能なものであればよい。
なお遊技機枠2において、外枠22を「基枠部」に相当するものと見れば、内枠21及び前扉23が「前枠部」に相当するものと見ることができる。また遊技機枠2において、外枠22及び内枠21を「基枠部」に相当するものと見れば、前扉23が「前枠部」に相当するものと見ることができる。
図1〜図3に示すように、前扉23には、回転角度に応じた発射強度で遊技球を発射させるためのハンドル72k(遊技球打込手段)、遊技球を貯留する打球供給皿(上皿)34、及び打球供給皿34に収容しきれない遊技球を貯留する余剰球受皿(下皿)35が設けられている。また前扉23には、遊技の進行に伴って実行される演出時などに遊技者が操作し得る演出ボタン(入力部)40k及びセレクトボタン42kが設けられている。なおセレクトボタン(十字キー)42kは、上方向ボタンと下方向ボタンと左方向ボタンと右方向ボタンとによって構成されている。また前扉23には、装飾用の枠ランプ212及び音を出力するスピーカ(図1において不図示)が設けられている。
遊技機枠2には、図4に示す遊技盤1が取付けられている。図4に示すように、遊技盤1には、ハンドル72kの操作により発射された遊技球が流下する遊技領域6が、レール部材62で囲まれて形成されている。また遊技盤1には、装飾用の盤ランプ54が多数設けられている。また遊技領域6には、遊技球を誘導する複数の遊技くぎが突設されている。なお遊技盤1は、前側に配されている板状部材と、後側に配されている裏ユニット(後述する各種制御基板、画像表示装置50、ハーネス等を取付けるユニット)とが一体化されたものである。
また遊技領域6の中央付近には、液晶表示装置である画像表示装置50(演出表示手段,画像表示手段)が設けられている。なお画像表示装置は、有機EL表示装置などの他の画像表示装置であってもよい。画像表示装置50の表示画面50a(表示部)には、後述の第1特別図柄および第2特別図柄の可変表示に同期した演出図柄EZ(装飾図柄)の可変表示を行う演出図柄表示領域がある。演出図柄EZを表示する演出を演出図柄変動演出という。演出図柄変動演出を「装飾図柄変動演出」や単に「変動演出」と称することもある。演出図柄表示領域は、例えば「左」「中」「右」の3つの演出図柄表示領域からなる。左演出図柄表示領域には左演出図柄EZ1が表示され、中演出図柄表示領域には中演出図柄EZ2が表示され、右演出図柄表示領域には右演出図柄EZ3が表示される。
演出図柄EZはそれぞれ、例えば「1」〜「9」までの数字をあらわした複数の図柄からなる。画像表示装置50は、左演出図柄EZ1、中演出図柄EZ2、右演出図柄EZ3の組み合わせによって、後述の第1特図表示器81aおよび第2特図表示器81bにて表示される第1特別図柄および第2特別図柄の可変表示の結果(つまりは大当たり抽選の結果)を、わかりやすく表示する。
例えば大当たりに当選した場合には「777」などのゾロ目で演出図柄EZを停止表示する。また、はずれであった場合には「637」などのバラケ目で演出図柄EZを停止表示する。これにより、遊技者による遊技の進行状況の把握が容易となる。つまり遊技者は、一般的には大当たり抽選の結果を第1特図表示器81aや第2特図表示器81bにより把握するのではなく、画像表示装置50にて把握する。なお、演出図柄表示領域の位置は固定的でなくてもよい。また、演出図柄EZの変動表示の態様としては、例えば上下方向にスクロールする態様がある。
画像表示装置50は、上記のような演出図柄EZを用いた演出図柄変動演出のほか、大当たり遊技に並行して行われる大当たり演出や、客待ち用のデモ演出(客待ち演出)などを表示画面50aに表示する。なお演出図柄変動演出では、数字等の演出図柄EZのほか、背景画像やキャラクタ画像などの演出図柄EZ以外の演出画像も表示される。
また画像表示装置50の表示画面50aには、後述の第1特図保留や第2特図保留の記憶数に応じて保留アイコンHA(演出保留画像)を表示する保留アイコン表示領域がある。保留アイコンHAの表示により、後述の第1特図保留表示器83aにて表示される第1特図保留の記憶数や、後述の第2特図保留表示器83bにて表示される第2特図保留の記憶数を、遊技者にわかりやすく示すことができる。
遊技領域6の中央付近であって画像表示装置50の前方には、センター枠61(内側壁部)が配されている。センター枠61の下部には、上面を転動する遊技球を、後述の第1始動口11へと誘導可能なステージ61sが形成されている。またセンター枠61の左部には、入口から遊技球を流入させ、出口からステージ61sへ遊技球を流出させるワープ61wが設けられている。またセンター枠61の上部には、上下動可能な盤可動体55kが設けられている。盤可動体55kは、表示画面50aの上方の原点位置から表示画面50aの中央と前後方向に重なる演出位置に移動可能なものである。
遊技領域6における画像表示装置50の下方には、遊技球の入球し易さが常に変わらない第1始動口11(入球口)を備える第1始動入賞装置11Dが設けられている。第1始動口11を、第1入球口や、固定入球口、第1始動入賞口、第1始動領域ともいう。また第1始動入賞装置11Dを、第1入球手段や、固定入球手段、第1始動入賞装置ともいう。第1始動口11への遊技球の入賞は、第1特別図柄の抽選(大当たり抽選、すなわち大当たり乱数等の取得と判定)の契機となっている。
また遊技領域6における第1始動口11の下方には、第2始動口12(入球口)を備える普通可変入賞装置(普通電動役物いわゆる電チュー)12Dが設けられている。第2始動口12を、第2入球口や、可変入球口、第2始動入賞口、第2始動領域ともいう。電チュー12Dを、第2入球手段や、可変入球手段、第2始動入賞装置ともいう。第2始動口12への遊技球の入賞は、第2特別図柄の抽選(大当たり抽選)の契機となっている。
電チュー12Dは、開状態と閉状態とをとる電チュー開閉部材12k(入球口開閉部材)を備え、電チュー開閉部材12kの作動によって第2始動口12を開閉するものである。電チュー開閉部材12kは、後述の電チューソレノイド12sにより駆動される。電チュー開閉部材12kが開状態にあるときには、第2始動口12への遊技球の入球が可能となり、閉状態にあるときには、第2始動口12への遊技球の入球が不可能となる。つまり、第2始動口12は、遊技球の入球し易さが変化可能な始動口である。なお、電チューは、電チュー開閉部材が開状態にあるときの方が閉状態にあるときよりも第2始動口への入球を容易にするものであれば、閉状態にあるときに第2始動口への入球を不可能とするものでなくてもよい。
また、遊技領域6における第1始動口11の右方には、大入賞口14を備えた大入賞装置(特別電動役物)14Dが設けられている。大入賞口14を、特別入賞口(特別入賞部)ともいう。また大入賞装置14Dを、アタッカー(AT)や、特別入賞手段、特別可変入賞装置ともいう。大入賞装置14Dは、開状態(第1状態)と閉状態(第2状態)とをとるAT開閉部材14k(特別入賞口開閉部材)を備え、AT開閉部材14kの作動により大入賞口14を開閉するものである。AT開閉部材14kは、後述のATソレノイド14sにより駆動される。大入賞口14は、AT開閉部材14kが開状態であるときだけ遊技球が入球可能となる。
また、センター枠61の右方には、遊技球が通過可能なゲート13が設けられている。ゲート13を、通過口や通過領域ともいう。ゲート13への遊技球の通過は、電チュー12Dを開放するか否かを決める普通図柄抽選(すなわち普通図柄乱数(当たり乱数)の取得と判定)の実行契機となっている。さらに遊技領域6の下部には、複数の一般入賞口10が設けられている。また遊技領域6の最下部には、遊技領域6へ打ち込まれたもののいずれの入賞口にも入賞しなかった遊技球を遊技領域6外へ排出するアウト口19が設けられている。
このように各種の入賞口等が配されている遊技領域6には、左右方向の中央より左側の左遊技領域6L(第1遊技領域)と、右側の右遊技領域6R(第2遊技領域)とがある。左遊技領域6Lを遊技球が流下するように遊技球を発射する打方を、左打ちという。一方、右遊技領域6Rを遊技球が流下するように遊技球を発射する打方を、右打ちという。本形態のパチンコ遊技機PY1では、左打ちにて遊技したときに遊技球が流下する流路を、第1流路R1といい、右打ちにて遊技したときに遊技球が流下する流路を、第2流路R2という。
第1流路R1上には、第1始動口11と、一般入賞口10、電チュー12Dと、アウト口19とが設けられている。遊技者は第1流路R1を流下するように遊技球を打ち込むことで、第1始動口11や一般入賞口10への入賞を狙うことができる。なお、第1流路R1上にゲートは配されていないため、左打ちをしている場合に電チュー12Dが開放されることはない。
一方、第2流路R2上には、ゲート13と、一般入賞口10と、大入賞装置14Dと、電チュー12Dと、アウト口19とが設けられている。遊技者は第2流路R2を流下するように遊技球を打ち込むことで、ゲート13への通過や、一般入賞口10、第2始動口12、及び大入賞口14への入賞を狙うことができる。
また図4に示すように、遊技盤1の右下部には表示器類8が配置されている。表示器類8には、図5に示すように、第1特別図柄を可変表示する第1特図表示器81a、第2特別図柄を可変表示する第2特図表示器81b、及び、普通図柄(普図)を可変表示する普図表示器82が含まれている。第1特別図柄を、第1特図又は特図1ともいい、第2特別図柄を第2特図又は特図2ともいう。また、普通図柄を普図ともいう。
また表示器類8には、第1特図表示器81aの作動保留(第1特図保留)の記憶数を表示する第1特図保留表示器83a、第2特図表示器81bの作動保留(第2特図保留)の記憶数を表示する第2特図保留表示器83b、および普図表示器82の作動保留(普図保留)の記憶数を表示する普図保留表示器84が含まれている。
第1特別図柄の可変表示は、第1始動口11への遊技球の入賞を契機として行われる。第2特別図柄の可変表示は、第2始動口12への遊技球の入賞を契機として行われる。なお以下の説明では、第1特別図柄および第2特別図柄を総称して特別図柄(特図)ということがある。また、第1特図表示器81aおよび第2特図表示器81bを総称して特図表示器81ということがある。また、第1特図保留表示器83aおよび第2特図保留表示器83bを総称して特図保留表示器83ということがある。また第1特図保留および第2特図保留を総称して特図保留ということがある。
特図表示器81では、特別図柄(識別図柄)を可変表示(変動表示)したあと停止表示することにより、第1始動口11又は第2始動口12への入賞に基づく抽選(特別図柄抽選、大当たり抽選)の結果を報知する。停止表示される特別図柄(停止図柄、可変表示の表示結果として導出表示される特別図柄)は、特別図柄抽選によって複数種類の特別図柄の中から選択された一つの特別図柄である。停止図柄が予め定めた特定特別図柄(特定の停止態様の特別図柄すなわち大当たり図柄)である場合には、停止表示された特定特別図柄の種類(つまり当選した大当たりの種類)に応じた開放パターンにて大入賞口14を開放させる大当たり遊技(特別遊技の一例)が行われる。なお、特別遊技における大入賞口の開放パターンについては後述する。
具体的には特図表示器81は、例えば横並びに配された8個のLED(Light Emitting Diode)から構成されており、その点灯態様によって大当たり抽選の結果に応じた特別図柄を表示するものである。例えば大当たり(後述の複数種類の大当たりのうちの一つ)に当選した場合には、「○○●●○○●●」(○:点灯、●:消灯)というように左から1,2,5,6番目にあるLEDが点灯した大当たり図柄を表示する。また、ハズレである場合には、「●●●●●●●○」というように一番右にあるLEDのみが点灯したハズレ図柄を表示する。ハズレ図柄として全てのLEDを消灯させる態様を採用してもよい。なおハズレ図柄は、特定特別図柄ではない。また、特別図柄が停止表示される前には所定の変動時間にわたって特別図柄の変動表示がなされるが、その変動表示の態様は、例えば左から右へ光が繰り返し流れるように各LEDが点灯するという態様である。なお変動表示の態様は、各LEDが停止表示(特定の態様での点灯表示)されていなければ、全LEDが一斉に点滅するなどなんでもよい。
本パチンコ遊技機PY1では、第1始動口11または第2始動口12への遊技球の入賞(入球)があると、その入賞に対して取得した大当たり乱数等の各種乱数の値(数値情報、判定用情報)は、後述の特図保留記憶部105に一旦記憶される。詳細には、第1始動口11への入賞であれば第1特図保留として、後述の第1特図保留記憶部105aに記憶され、第2始動口12への入賞であれば第2特図保留として、後述の第2特図保留記憶部105bに記憶される。各々の特図保留記憶部105に記憶可能な特図保留の数には上限があり、本形態における上限値はそれぞれ「4」となっている。
特図保留記憶部105に記憶された特図保留は、その特図保留に基づく特別図柄の可変表示が可能となったときに消化される。特図保留の消化とは、その特図保留に対応する大当たり乱数等を判定して、その判定結果を示すための特別図柄の可変表示を実行することをいう。従って本パチンコ遊技機PY1では、第1始動口11または第2始動口12への遊技球の入賞に基づく特別図柄の可変表示がその入賞後にすぐに行えない場合、すなわち特別図柄の可変表示の実行中や特別遊技の実行中に入賞があった場合であっても、所定数を上限として、その入賞に対する大当たり抽選の権利を留保することができるようになっている。
そしてこのような特図保留の数は、特図保留表示器83に表示される。具体的には特図保留表示器83はそれぞれ、例えば4個のLEDで構成されており、特図保留の数だけLEDを点灯させることにより特図保留の数を表示する。
普通図柄の可変表示は、ゲート13への遊技球の通過を契機として行われる。普図表示器82では、普通図柄を可変表示(変動表示)したあと停止表示することにより、ゲート13への遊技球の通過に基づく普通図柄抽選の結果を報知する。停止表示される普通図柄(普図停止図柄、可変表示の表示結果として導出表示される普通図柄)は、普通図柄抽選によって複数種類の普通図柄の中から選択された一つの普通図柄である。停止表示された普通図柄が予め定めた特定普通図柄(所定の停止態様の普通図柄すなわち普通当たり図柄)である場合には、現在の遊技状態に応じた開放パターンにて第2始動口12を開放させる補助遊技が行われる。なお、第2始動口12の開放パターンについては後述する。
具体的には普図表示器82は、例えば2個のLEDから構成されており(図5参照)、その点灯態様によって普通図柄抽選の結果に応じた普通図柄を表示するものである。例えば抽選結果が当たりである場合には、「○○」(○:点灯、●:消灯)というように両LEDが点灯した普通当たり図柄を表示する。また抽選結果がハズレである場合には、「●○」というように右のLEDのみが点灯した普通ハズレ図柄を表示する。普通ハズレ図柄として全てのLEDを消灯させる態様を採用してもよい。なお普通ハズレ図柄は、特定普通図柄ではない。普通図柄が停止表示される前には所定の変動時間にわたって普通図柄の変動表示がなされるが、その変動表示の態様は、例えば両LEDが交互に点灯するという態様である。なお変動表示の態様は、各LEDが停止表示(特定の態様での点灯表示)されていなければ、全LEDが一斉に点滅するなどなんでもよい。
本パチンコ遊技機PY1では、ゲート13への遊技球の通過があると、その通過に対して取得した普通図柄乱数(当たり乱数)の値は、後述の普図保留記憶部106に普図保留として一旦記憶される。普図保留記憶部106に記憶可能な普図保留の数には上限があり、本形態における上限値は「4」となっている。
普図保留記憶部106に記憶された普図保留は、その普図保留に基づく普通図柄の可変表示が可能となったときに消化される。普図保留の消化とは、その普図保留に対応する普通図柄乱数(当たり乱数)を判定して、その判定結果を示すための普通図柄の可変表示を実行することをいう。従って本パチンコ遊技機PY1では、ゲート13への遊技球の通過に基づく普通図柄の可変表示がその通過後にすぐに行えない場合、すなわち普通図柄の可変表示の実行中や補助遊技の実行中に入賞があった場合であっても、所定数を上限として、その通過に対する普通図柄抽選の権利を留保することができるようになっている。
そしてこのような普図保留の数は、普図保留表示器84に表示される。具体的には普図保留表示器84は、例えば4個のLEDで構成されており、普図保留の数だけLEDを点灯させることにより普図保留の数を表示する。
2.遊技機の電気的構成
次に図6及び図7に基づいて、本パチンコ遊技機PY1における電気的な構成を説明する。図6及び図7に示すように、パチンコ遊技機PY1は、大当たり抽選や遊技状態の移行などの遊技利益に関する制御を行う遊技制御基板100(遊技制御部、主制御基板)、遊技の進行に伴って実行する演出に関する制御を行う演出制御基板120(演出制御部、サブ制御基板)、遊技球の払い出しに関する制御を行う払出制御基板170等を備えている。なお、遊技制御基板100は、払出制御基板170とともにメイン制御部を構成し、演出制御基板120は、後述する画像制御基板140及びサブドライブ基板162とともにサブ制御部を構成する。
なお、サブ制御部は、少なくとも演出制御基板120を備え、演出手段(画像表示装置50やスピーカ620、盤ランプ54、盤可動体55k、枠ランプ212等)を用いた遊技演出を制御可能であればよい。
またパチンコ遊技機PY1は、電源ユニット190を備えている。電源ユニット190(電力供給部)は、パチンコ遊技機PY1の外部からAC24Vの電源を入力して、AC24Vの電源に基づいてパチンコ遊技機PY1の動作に必要な各種電圧(DC5V,DC12V,DC18V,DC24V,DC37V)の電力(電源)を生成するものである。なおDC5Vの電力は主に、各種の集積回路(IC)の電源として用いられる。またDC12Vの電力は主に、各種のセンサやソレノイドの電源として用いられる。またDC18Vの電力は主に、各種のLEDの電源として用いられる。またDC24Vの電力とDC37Vの電力は主に、演出用のモータ(駆動手段)の電源として用いられる。
電源ユニット190(電源投入手段、メイン電力部)は、生成した電力を、先ず払出制御基板170に供給する。そして生成した電力を、払出制御基板170を介して遊技制御基板100と演出制御基板120に供給する。更に生成した電力を、払出制御基板170と遊技制御基板100と演出制御基板120を介してその他の機器に対して供給するようになっている。なお本形態では、電源ユニット190に、バックアップ電源回路が設けられていない。この点については後に詳述する。
また電源ユニット190には、電源スイッチ195(電力切替部)が接続されている。電源スイッチ195は、外部から供給されるAC24Vの電源に基づいて電力を供給可能な投入状態(ON状態)、又は電力を供給不能な遮断状態(OFF状態)に切替可能なものである。つまり、電源スイッチ195は、ON操作又はOFF操作により、電源の投入又は電源の遮断を切替えるものであり、電源スイッチ195がON操作されると投入状態になり、電源スイッチ195がOFF操作されると遮断状態になる。なお、電源スイッチ195がON状態である場合、パチンコ遊技機PY1は電源投入状態であり、電源スイッチ195がOFF状態である場合、パチンコ遊技機PY1は電源遮断状態である。
また電源ユニット190には、押下操作可能なRAMクリアスイッチ191(RAMクリア操作手段)が設けられている。RAMクリアスイッチ191は、後述する遊技制御用マイコン101の遊技用RAM(Random Access Memory)104に記憶されている遊技に係る情報(例えば高確率状態などの遊技状態の情報、特図保留や大当たりの当否判定の結果などの情報)を消去するためのものである。図8に示すように、RAMクリアスイッチ191は、本パチンコ遊技機PY1の裏側に配置された電源ユニット190上(詳しくは、パチンコ遊技機PY1を裏側から見た場合に電源ユニット190における電源スイッチ195の右方)に設けられている。そのため、遊技機枠2を開放可能な遊技場の従業員等でなければ、RAMクリアスイッチ191を操作することはできない。即ち、RAMクリアスイッチ191は、実質的に遊技者による操作が不可能な操作手段といえる。なお、RAMクリアスイッチ191は、タクトスイッチであり、RAMクリアスイッチ191が押下操作されると、RAMクリアスイッチ191がONであることを示す検出信号が遊技制御用マイコン101に入力される。RAMクリアスイッチ191が押されている状態をRAMクリアスイッチ191のON状態といい、RAMクリアスイッチ191が押されていない状態をRAMクリアスイッチ191のOFF状態という。本形態では、RAMクリアスイッチ191が電源ユニット190上に設けられているが、RAMクリアスイッチ191の配置箇所は適宜変更可能であり、例えば遊技制御基板100上や専用の基板上に設けられていても良い。
図6に示すように、遊技制御基板100には、プログラムに従ってパチンコ遊技機PY1の遊技の進行を制御する遊技制御用ワンチップマイコン(以下「遊技制御用マイコン」)101が実装されている。遊技制御用マイコン101(主制御手段、遊技制御手段)には、遊技の進行を制御するためのプログラム等を記憶した遊技用ROM(Read Only Memory)103、ワークメモリとして使用される遊技用RAM104、遊技用ROM103に記憶されたプログラムを実行する遊技用CPU(Central Processing Unit)102、データや信号の入出力を行うための遊技用I/O(Input/Output)ポート部118が含まれている。遊技用RAM104(記憶手段)には、上述した特図保留記憶部105(第1特図保留記憶部105aおよび第2特図保留記憶部105b)と普図保留記憶部106の他、後述する設定値情報記憶部107とベース情報記憶部108とが設けられている。また遊技制御基板100には、図8に示すように、7セグ表示器300と設定キーシリンダ180とが設けられている。7セグ表示器300と設定キーシリンダ180については後に詳述する。
遊技制御基板100には、図6に示すように、中継基板110を介して各種センサやソレノイドが接続されている。そのため、遊技制御基板100には各センサから信号が入力され、各ソレノイドには遊技制御基板100から信号が出力される。具体的にはセンサ類としては、第1始動口センサ11a、第2始動口センサ12a、ゲートセンサ13a、大入賞口センサ14a、一般入賞口センサ10a、および排出口センサ18aが接続されている。
第1始動口センサ11aは、第1始動口11内に設けられて第1始動口11に入賞した遊技球を検出するものである。第2始動口センサ12aは、第2始動口12内に設けられて第2始動口12に入賞した遊技球を検出するものである。ゲートセンサ13aは、ゲート13内に設けられてゲート13を通過した遊技球を検出するものである。大入賞口センサ14aは、大入賞口14内に設けられて大入賞口14に入賞した遊技球を検出するものである。一般入賞口センサ10aは、一般入賞口10内に設けられて一般入賞口10に入賞した遊技球を検出するものである。
排出口センサ18aは、パチンコ遊技機PY1外へ遊技球を排出する排出口(図示省略)内に設けられて、排出口を通過した遊技球を検出するものである。排出口は、内枠21の下端部に設けられていて、遊技領域6に打ち込まれた遊技球は、第1始動口11、第2始動口12、大入賞口14、一般入賞口10、アウト口19の何れかに入球した後、最終的に排出口を通過するようになっている。従って、排出口を通過した遊技球を排出口センサ18aで検出することにより、遊技領域6に打ち込まれた全ての遊技球を検出することが可能である。なお、遊技領域6に打ち込まれた全ての遊技球の数を、総発射球数と呼ぶことができる。また総発射球数は、パチンコ遊技機PY1外に排出される全ての遊技球の数と同じであるため、排出球数、総排出球数、アウト球数と呼ぶこともできる。
またソレノイド類としては、電チューソレノイド12s、およびATソレノイド14sが接続されている。電チューソレノイド12sは、電チュー12Dの電チュー開閉部材12kを駆動するものである。ATソレノイド14sは、大入賞装置14DのAT開閉部材14kを駆動するものである。
さらに遊技制御基板100には、特図表示器81(第1特図表示器81aおよび第2特図表示器81b)、普図表示器82、特図保留表示器83(第1特図保留表示器83aおよび第2特図保留表示器83b)、および普図保留表示器84が接続されている。すなわち、これらの表示器類8の表示制御は、遊技制御用マイコン101によりなされる。
また遊技制御基板100は、払出制御基板170に各種コマンドや信号を送信するとともに、払い出し監視のために払出制御基板170から信号を受信する。払出制御基板170には、カードユニットCU(パチンコ遊技機PY1に隣接して設置され、挿入されているプリペイドカード等の情報に基づいて球貸しを可能にするもの)、および賞球払出装置73が接続されているとともに、発射制御回路175を介して発射装置72が接続されている。発射装置72には、ハンドル72k(図1参照)が含まれる。
払出制御基板170(第1制御基板)は、プログラムに従って遊技球の払い出しに係る制御処理を実行可能な払出制御用ワンチップマイコン(以下「払出制御用マイコン」)171を実装している。払出制御用マイコン171(払出制御手段)には、払い出しを制御するためのプログラムを記憶した払出用ROM173、ワークメモリとして使用される払出用RAM174、払出用ROM173に記憶されたプログラムを実行する払出用CPU172、データや信号の入出力を行うための払出用I/Oポート部(入出力回路)178が含まれている。なお、払出用ROM173は外付けであっても良い。
払出制御基板170は、遊技制御用マイコン101からの信号や、パチンコ遊技機PY1に接続されたカードユニットCUからの信号に基づいて、賞球払出装置73の賞球モータ73mを駆動して賞球の払い出しを行ったり、貸球の払い出しを行ったりする。例えば、遊技球が第1始動口11に入球(入賞)すると、第1始動口センサ11aによる検出信号が遊技制御用マイコン101に入力される。これにより、遊技制御用マイコン101は、遊技球が第1始動口11に入球したことを示す賞球信号を払出制御基板170に出力する。この場合、賞球信号を受信した払出制御用マイコン171は、払出用ROM173に記憶されている賞球数情報に基づいて、発射制御回路175を介して発射ソレノイド72sを駆動して、第1始動口11への入球に基づく賞球(例えば3個)の払い出しを行う。このとき、払い出される遊技球は、その計数のため賞球センサ73aにより検知されて、賞球センサ73aによる検知信号が払出制御基板170に出力される。ここで本形態では、払出制御基板170にバックアップ電源回路179が設けられている。この点については、後に詳述する。
なお遊技者による発射装置72のハンドル72k(図1参照)の操作があった場合には、タッチスイッチ72aがハンドル72kへの接触を検知し、発射ボリューム72bがハンドル72kの回転量を検知する。そして、発射ボリューム72bの検知信号の大きさに応じた強さで遊技球が発射されるよう発射ソレノイド72sが駆動されることとなる。本パチンコ遊技機PY1においては、0.6秒程度で一発の遊技球が発射されるようになっている。
また遊技制御基板100は、演出制御基板120に対し各種コマンドを送信する。遊技制御基板100と演出制御基板120との接続は、遊技制御基板100から演出制御基板120への信号の送信のみが可能な単方向通信接続となっている。すなわち、遊技制御基板100と演出制御基板120との間には、通信方向規制手段としての図示しない単方向性回路(例えばダイオードを用いた回路)が介在している。
図7に示すように、演出制御基板120には、プログラムに従ってパチンコ遊技機PY1の演出を制御する演出制御用ワンチップマイコン(以下「演出制御用マイコン」)121が実装されている。演出制御用マイコン121には、遊技の進行に伴って演出を制御するためのプログラム等を記憶した演出用ROM123、ワークメモリとして使用される演出用RAM124、演出用ROM123に記憶されたプログラムを実行する演出用CPU122、データや信号の入出力を行うための演出用I/Oポート部138が含まれている。演出用RAM124には、後述する設定値フラグ125が設けられている。なお、演出用ROM123は外付けであってもよい。上述したように、演出制御基板120は、払出制御基板170を介して電源ユニット190から電力(例えばDC5Vの電力)が供給されるようになっている。
また図7に示すように、演出制御基板120には、画像制御基板140が接続されていると共に、サブドライブ基板162(サブドライブ回路)が接続されている。演出制御基板120の演出制御用マイコン121(演出制御手段)は、遊技制御基板100から受信したコマンドに基づいて、画像制御基板140の画像用CPU141に画像表示装置50の表示制御を行わせる。なお演出制御用マイコン121は、画像制御基板140の画像用入力回路147を介して制御信号を送信する。そして画像用CPU141は、画像制御基板140の画像用出力回路148を介して画像表示装置50に制御信号を送信する。
画像制御基板140の画像用RAM143は、画像データを展開するためのメモリである。画像制御基板140の画像用ROM142には、画像表示装置50に表示される静止画データや動画データ、具体的にはキャラクタ、アイテム、図形、文字、数字および記号等(装飾図柄を含む)や背景画像等の画像データが格納されている。画像制御基板140の画像用CPU141は、演出制御用マイコン121からの指令に基づいて画像用ROM142から画像データを読み出す。そして、読み出した画像データに基づいて表示制御を実行する。
画像制御基板140には、スピーカ620(音出力手段)が接続されている。演出制御用マイコン121は、遊技制御基板100から受信したコマンドに基づいて、画像制御基板140の音声用CPU149を介してスピーカ620から音声、楽曲、効果音等を出力する。なお音声用CPU149は、画像用CPU141からの指令に基づいて、音声制御回路150を介してスピーカ620の音声制御を行う。スピーカ620から出力する音声等の音響データは、演出制御基板120の演出用ROM123に格納されている。但し、音響データを画像制御基板140の画像用ROM142に格納しても良い。
なお画像制御基板140にスピーカ620の音声制御を行わせたが、画像制御基板140とは別に音声制御基板を設けて、この音声制御基板にスピーカ620の音声制御を行わせても良い。この場合、音声制御基板は演出制御基板120に接続されていても良いし、画像制御基板140を介して演出制御基板120に接続されていても良い。また音声制御基板にCPUを実装してもよく、その場合、そのCPUに音声制御を実行させてもよい。さらにこの場合、音声制御基板にROMを実装してもよく、そのROMに音響データを格納してもよい。
また図7に示すように、演出制御用マイコン121は、遊技制御基板100から受信したコマンドに基づいて、サブドライブ基板162を介して、枠ランプ212や盤ランプ54等のランプの点灯制御を行う。詳細には演出制御用マイコン121は、各ランプの発光態様を決める発光パターンデータ(点灯/消灯や発光色等を決めるデータ、ランプデータともいう)を作成し、発光パターンデータに従って各ランプの発光を制御する。なお、発光パターンデータの作成には演出制御基板120の演出用ROM123に格納されているデータを用いる。
さらに演出制御用マイコン121は、遊技制御基板100から受信したコマンドに基づいて、サブドライブ基板162を介して、盤可動体55kの駆動制御を行う。詳細には演出制御用マイコン121は、盤可動体55kの動作態様を決める動作パターンデータ(駆動データともいう)を作成し、動作パターンデータに従って、盤可動体55kを駆動させるためのモータの駆動制御を行う。動作パターンデータの作成には演出制御基板120の演出用ROM123に格納されているデータを用いる。
なお、サブドライブ基板162にCPUを実装してもよく、その場合、そのCPUにランプの点灯制御や、盤可動体55kの駆動制御を行わせてもよい。さらにこの場合、サブドライブ基板162にROMを実装してもよく、そのROMに発光パターンや動作パターンに関するデータを格納してもよい。
また演出制御基板120には、入力部検知センサ(演出ボタン検知センサ)40aおよびセレクトボタン検知センサ42aが接続されている。入力部検知センサ40aは、入力部40k(図1参照)が押下操作されたことを検出するものである。入力部40kが押下操作されると入力部検知センサ40aから演出制御基板120に対して検知信号が出力される。セレクトボタン検知センサ42aは、セレクトボタン42k(図1参照)が押下操作されたことを検知するものである。セレクトボタン42kが押下操作されるとセレクトボタン検知センサ42aから演出制御基板120に対して検知信号が出力される。
また演出制御基板120には、遊技制御基板100と異なり、バックアップ電源回路126が組み込まれている。バックアップ電源回路126は、図示しないコンデンサを備えていて、演出制御用マイコン121は、通常電源が供給されない電断時に、バックアップ電源回路126(コンデンサ)からDC5Vの電力(バックアップ電源)が供給されることで、作動できるようになっている。
なお図6及び図7は、あくまで本パチンコ遊技機PY1における電気的な構成を説明するための機能ブロック図であり、図6及び図7に示す基板だけが設けられているわけではない。遊技制御基板100を除いて、図6及び図7に示す何れか複数の基板を1つの基板として構成しても良く、図6及び図7に示す1つの基板を複数の基板として構成しても良い。
3.電源ユニット
次に図8及び図9に基づいて、本形態における電源ユニット190について説明する。図8には、本形態の電源ユニット190が示されていて、図9には、比較例の電源基板190Xが示されている。以下では、電源ユニット190と電源基板190Xとを比較して説明する。
電源基板190Xは、パチンコ遊技機において電力供給部として一般的に用いられているものである。電力供給部として電源基板190Xを用いる場合、電源基板190Xは、試験対象基板になる。そのため電源基板190Xには、表面実装部品を実装することが認められず、リード線が付いたリード部品(Dip部品)を実装しなければならないという事情がある。またほとんどの電源基板190Xにはバックアップ電源回路が設けられていて、このバックアップ電源回路により、電断時に遊技制御用マイコン101及び払出制御用マイコン171にバックアップ電源を供給できるようになっている。しかしながら、パチンコ遊技機特有のバックアップ電源回路を備える電源基板190Xは、特注品になってしまう。以上のことから、電源基板190Xでは、リード部品を表面実装部品に替えることができず、且つバックアップ電源回路を備えることで、特注品として比較的大きな構成にならざるを得ないという問題点があった。
そこで本形態では、電源基板190Xに替えて、電源ユニット190を用いるようにしている。電源ユニット190は、モジュール化されたものであり、汎用品である。よって、電力供給部として電源ユニット190を用いる場合、電源ユニット190は、試験対象基板にならない。そのため電源ユニット190には、リード部品だけでなく、表面実装部品を実装することが可能である。その結果、従来のリード部品を表面実装部品に替えることで、電源ユニット190を小さく(コンパクトに)構成することが可能である。また電源ユニット190は、汎用品である以上、パチンコ遊技機特有のバックアップ電源回路を備えていない。これにより、電源ユニット190を、更に小さく構成することが可能である。
こうして、図8に示す電源ユニット190と、図9に示す電源基板190Xとの比較から分かるように、電源ユニット190であれば、電源基板190Xよりも小さく構成することが可能である。なお電源基板190Xの場合、近年では入手困難になってきているリード部品を実装しなければならないところ、電源ユニット190であれば、入手困難なリード部品を実装しなくて済むというメリットもある。
次に、電源ユニット190の配置について説明する。図8に示すように、電源ユニット190は、内枠21の後方の下側に配置されている。電源ユニット190よりも後方には、払出制御基板170が配置されていて、電源ユニット190と払出制御基板170とは、少なくとも一部が前後方向に重なっている。電源ユニット190と払出制御基板170とは、遊技盤1の後方に設けられている透明の外側カバー25よりも、外側に配置されている。よって、払出制御基板170は、遊技盤1ではなく、遊技機枠2(内枠21)に設けられている「枠側基板」ということができる。なお払出制御基板170は、払出制御用マイコン171の視認性を妨げない払出制御基板ケース170Aに収容されている。
一方、遊技制御基板100や、上述した演出制御基板120、サブドライブ基板162、画像制御基板140は、遊技盤1の外側カバー25の内部に配置されている。そのため、遊技制御基板100、演出制御基板120、サブドライブ基板162、画像制御基板140は、遊技機枠2ではなく、遊技盤1に設けられている「盤側基板」ということができる。なお遊技制御基板(主制御基板)100は、遊技制御用マイコン101の視認性を妨げない遊技制御基板ケース(主基板ケース)100Aに収容されている。遊技制御基板100と遊技制御基板ケース100Aとは、遊技制御基板ユニット(主制御基板ユニット)100Bを構成している。遊技制御基板ユニット100Bについては後述する。
こうして、電源ユニット190と払出制御基板170は、遊技盤1よりも外側で、内枠21の後方の下側にて近い距離に配置されている。特に、払出制御基板170は、電源ユニット190に対して一部が前後方向に重なるように配置されているため、配線の接続がし易い位置関係にある。そのため、電源ユニット190と払出制御基板170は、後述するハーネスHN3(図12参照)で接続されている。これにより、電源ユニット190で生成されたDC5Vの電力は、電源ユニット190から先ず払出制御基板170に供給される。
ここで電源ユニット190は、図8に示すように、払出制御基板170の直ぐ前方に配置されていて、ほとんどが露出されないようになっている。即ち、パチンコ遊技機PY1を裏側から見たときに、電源ユニット190は払出制御基板170よりも奥に(前方に)隠れて配置されていて、ほとんど視認することができない。従って、電源ユニット190にとっては、直ぐ後方に配置されている払出制御基板170を除き、その他の制御基板とは配線の接続がし難くなっている。
よって本形態では、電源ユニット190と遊技制御基板100とをハーネスで直接接続しないで、払出制御基板170と遊技制御基板100とを、後述するハーネスHN4(図12参照)で接続している。これにより、電源ユニット190で生成されたDC5Vの電力は、電源ユニット190から払出制御基板170に供給された後、払出制御基板170から遊技制御基板100に供給される。こうして、配線の取り回しを簡易にしつつ、遊技制御基板100にDC5Vの電力を供給することが可能である。
要するに従来では、電源ユニット190(電源基板190X)で生成されたDC5Vの電力を、払出制御基板170に向かう方と、遊技制御基板100に向かう方とに分岐させる方法が一般的である。しかしながらこの方法では、図8に示すように、電源ユニット190が払出制御基板170よりも前方にて隠れるように配置されている場合に、電源ユニット190と遊技制御基板100との接続がし難い。そこで本形態では、配線の取り回しを簡易にするために、盤側基板である遊技制御基板100を、枠側基板である払出制御基板170を介して、電源ユニット190に接続している。これにより、電源ユニット190で生成されたDC5Vの電力は、一旦払出制御基板170を介してから、遊技制御基板100に供給されることになり、新しい電力の供給関係が構築されている。
ここで電源ユニット190を小さく構成できる場合のメリットについて説明する。図8に示すように、電源ユニット190は、内枠21の後方の下側に配置されている。そして図8に示す電源ユニット190であれば、コンパクト化によって、図9に示す電源基板190Xよりも上下方向の長さを短くすることができる。これにより、上下方向の長さが短い電源ユニット190を、パチンコ遊技機PY1の裏側の下側に配置することができる。
ところで、電源ユニット190の前方は、前扉23の下側部分である。前扉23の下側部分は、打球供給皿34(上皿)、下皿35、入力部40k(演出ボタン)、セレクトボタン42k等を備える操作機構部210(図1参照)になっている。よって、上述したように、上下方向の長さが短い電源ユニット190を、パチンコ遊技機PY1の裏側の下側に配置すると、操作機構部210の上下方向の長さを短くして、操作機構部210の上端位置を低くすることができる。これにより、遊技盤1(図4参照)を下側に拡大して、遊技領域6の下端位置を低くすることが可能である。その結果、遊技領域6の拡大により、遊技興趣を向上させることができるというメリットがある。
4.電源ユニットと払出制御基板と遊技制御基板との間の電気回路
次に、本形態の電源ユニット190と払出制御基板170と遊技制御基板100との間の電気回路DK1(図12参照)について説明する。但し本形態の電気回路DK1を説明する前に、比較例の電源ユニット190と払出制御基板170と遊技制御基板100との間の電気回路DKXについて、図10に基づいて説明する。
図10に示すように、比較例では、電源ユニット190と払出制御基板170とが、ハーネスHN1で接続されている。ハーネスHN1の一端部にあるコネクタCN1は、電源ユニット190に接続され、ハーネスHN1の他端部にあるコネクタCN2は、払出制御基板170に接続されている。ハーネスHN1には、電源ユニット190からのDC5V(特定電圧)の電力(以下「通常電源(メイン電力、電源)」とも呼ぶ)を供給するための配線h1と、グランド線となる配線h2とが設けられている。なおハーネスHN1には、配線h1及び配線h2以外に、例えば電源ユニット190からのDC12Vの電力を供給するための配線等が設けられているが、それらの説明については省略する。
払出制御基板170において、コネクタCN2と分岐部分j1との間に電力ラインa1(特定電力ライン)がある。電力ラインa1は、コネクタCN2を介して、ハーネスHN1の配線h1に接続されている。また払出制御基板170において、グランドGに接続されている電力ラインa2がある。電力ラインa2は、コネクタCN2を介して、ハーネスHN1の配線h2に接続されている。
電力ラインa1のうちコネクタCN2側に、フィルタ(ノイズ除去手段)NF1が接続されている。フィルタNF1は、2つのコイル(インダクタ)と1つのコンデンサとから構成されていて、所謂3素子型のローパスフィルタである。フィルタNF1において、2つのコイルは電力ラインa1に対して直列的に接続されている。また1つのコイルは、電力ラインa1に対して並列的に接続されている。つまりコンデンサの一方側は電力ラインa1に接続され、コンデンサの他方側はグランドGに接続されている。このフィルタNF1は、電力ラインa1にて供給されるDC5Vの電力から高周波ノイズを除去するものである。
また電力ラインa1のうちフィルタNF1よりも分岐部分j1側には、コンデンサCA1が並列的に接続されている。このコンデンサCA1は、静電容量が比較的大きい(例えば静電容量が470μFである)電解コンデンサである。なお電解コンデンサは、電解液によって酸化した金属を陽極とし、金属の表面に形成された被膜を誘電体とし、電解液を陰極としたコンデンサである。このコンデンサCA1は、通常電源における電流の変動(負荷)が大きくなったときにDC5Vの電圧がドロップしないようにするものである。
また電力ラインa1のうちコンデンサCA1よりも分岐部分j1側には、コンデンサCA2が並列的に接続されている。このコンデンサCA2は、コンデンサCA1よりも静電容量が小さい(例えば静電容量が0.1μFである)セラミックコンデンサである。なおセラミックコンデンサは、セラミック(金属酸化物焼結体)を誘電体としたコンデンサである。このコンデンサCA2は、電力ラインa1にて通常電源から高周波ノイズを除去するものである。
分岐部分j1から払出制御用マイコン171に向かう電力ラインc1(第1分岐電力ライン)があり、電力ラインc1は、払出制御用マイコン171のVc端子に接続されている。これにより通常電源(電源ユニット190からのDC5Vの電力)は、配線h1と電力ラインa1と電力ラインc1とを介して、払出制御用マイコン171のVc端子に供給される。その結果、払出制御用マイコン171は、通常時、通常電源に基づいて作動することが可能である。
払出制御基板170と遊技制御基板100とは、ハーネスHN2で接続されている。ハーネスHN2の一端部にあるコネクタCN3は、払出制御基板170に接続され、ハーネスHN2の他端部にあるコネクタCN4は、遊技制御基板100に接続されている。ハーネスHN2には、通常電源を供給するための配線h3と、後述するバックアップ電源を供給するための配線h4とが設けられている。なおハーネスHN2には、配線h3及び配線h4以外に、例えば電源ユニット190からのDC12Vの電力を供給するための配線等が設けられているが、それらの説明については省略する。
払出制御基板170には、分岐部分j1からハーネスHN2の配線h3に向かう電力ラインb1があり、電力ラインb1のうち分岐部分j1側に抵抗T1が直列的に接続されている。抵抗T1は、分岐部分j1から抵抗T1へ向かう電流を抑えるものである。また電力ラインb1のうち抵抗T1よりもコネクタCN3側には、ダイオードDO1が接続されている。ダイオードDO1は、当該ダイオードDO1からコネクタCN3側へ向かう電流の流れを許容する一方、当該ダイオードDO1から分岐部分j1側へ向かう電流の流れを規制するものである。このダイオードDO1により、後述するコンデンサCA3(電気2重層コンデンサ)で蓄えられた電荷が、ダイオードDO1から分岐部分j1へ向かうのを防ぐことが可能である。
また電力ラインb1のうちダイオードDO1よりもコネクタCN3側には、コンデンサCA3が並列的に接続されている。コンデンサCA3は、定格電圧が5.5Vであり、コンデンサCA1,CA2よりも静電容量が非常に大きい(例えば静電容量が0.33Fである)電気2重層コンデンサである。なお電気2重層コンデンサは、活性炭と電解液の界面に発生する電気2重層を動作原理とするコンデンサである。このコンデンサCA3は、電断時に電源ユニット190から通常電源が払出制御基板170のVc端子に供給されなくなると、蓄えている電荷を放出する。これにより、後述する払出制御用マイコン171のVb端子、及び後述する遊技制御用マイコン101のVb端子にDC5Vの電力(以下「バックアップ電源(サブ電力)」ともいう)を供給することが可能である。
また電力ラインb1のうちコンデンサCA3よりもコネクタCN3側には、コンデンサCA4が並列的に接続されている。このコンデンサCA4は、上述したコンデンサCA2と同様のセラミックコンデンサである。このコンデンサCA4により、電力ラインb1にて供給されるバックアップ電源から高周波ノイズを除去することが可能である。
また電力ラインb1のうちコンデンサCA4よりもコネクタCN3側には、分岐部分j2がある。そして、分岐部分j2から払出制御用マイコン171に向かう電力ラインb2があり、電力ラインb2は、払出制御用マイコン171のVb端子に接続されている。これにより、電断時にコンデンサCA3が蓄えている電荷を放出することで、バックアップ電源が、電力ラインb1と電力ラインb2とを介して、払出制御用マイコン171のVb端子に供給される。その結果、払出制御用マイコン171は、電断時であっても、バックアップ電源に基づいて作動することが可能である。つまり、払出用RAM174に記憶されている払い出しに係る情報が、消去されるのを防ぐことが可能である。
また電力ラインb1は、コネクタCN3を介して配線h3に接続されている。配線h3は、コネクタCN4を介して遊技制御基板100の電力ラインd1に接続されている。電力ラインd1は、遊技制御用マイコン101のVb端子に接続されている。これにより、電断時にコンデンサCA3が蓄えている電荷を放出することで、バックアップ電源が、電力ラインb1と配線h3と電力ラインd1とを介して、遊技制御用マイコン101のVb端子に供給される。その結果、遊技制御用マイコン101は、電断時であっても、バックアップ電源に基づいて作動することが可能である。つまり、遊技用RAM104に記憶されている遊技に係る情報が、消去されるのを防ぐことが可能である。なお電力ラインb1と配線h3と電力ラインd1とが、「第2分岐電力ライン」に相当する。
また払出制御基板170には、分岐部分j1から延びる電力ラインc2があり、電力ラインc2は、コネクタCN3を介して配線h4に接続されている。配線h4は、コネクタCN4を介して遊技制御基板100の電力ラインd2に接続されている。電力ラインd2は、遊技制御用マイコン101のVc端子に接続されている。これにより、電源ユニット190からDC5Vの電力は、配線h1と電力ラインa1と電力ラインc2と配線h4と電力ラインd2とを介して、遊技制御用マイコン101のVc端子に供給される。その結果、遊技制御用マイコン101は、通常時、通常電源(電源ユニット190からのDC5Vの電力)に基づいて作動することが可能である。
以上、比較例の電気回路DKXによれば、図10に示すように、払出制御基板170において、分岐部分j1から延びる電力ラインc1により、通常電源を払出制御用マイコン171に供給することが可能である。また分岐部分j1から延びる電力ラインb1により、通常電源をコンデンサCA3に供給して、コンデンサCA3に電荷を貯めておくことが可能である。そして電断時には、分岐部分j1から延びる電力ラインb1と電力ラインb2とにより、バックアップ電源を払出制御用マイコン171に供給することが可能である。こうして、電力ラインc1と、電力ラインb1及び電力ラインb2との分岐を利用することで、シンプルな回路構成で、払出制御用マイコン171に通常電源とバックアップ電源とを供給することが可能である。
また比較例の電気回路DKXによれば、電断時に、払出制御基板170に設けられているコンデンサCA3は、バックアップ電源を、電力ラインb1と電力ラインb2とを介して払出制御用マイコン171に供給可能であると共に、電力ラインb1と配線h3と電力ラインd1とを介して遊技制御基板100の遊技制御用マイコン101に供給可能である。即ち、電源基板にバックアップ電源供給手段としてのコンデンサを設けなくても、バックアップ電源を払出制御用マイコン171及び遊技制御用マイコン101に供給することができる。従って、電源基板190X(図9参照)に替えて電源ユニット190(図8参照)を用いることができて、新しいバックアップ電源の供給関係を構築することが可能である。
ところで、比較例の電気回路DKXでは、以下の問題点がある。先ず、払出制御基板170を含めて各種制御基板(電子回路基板)においては、製作工程でインサーキット検査が行われるようになっている。インサーキット検査は、基板に電子部品が実装された状態で、インサーキットテスタを用いて、個々の電子部品に信号を送信し、部品点数(抵抗の値、キャパシタの値、インダクタンスの値)に間違いがないか、半田付けのオープンやショートがないか、リードの浮きがないか、ICの動作不良がないかを検査するものである。インサーキット検査は、基板にCPUやワンチップマイコンが取り外された状態で行われる。インサーキット検査が終了すると、基板にCPUやワンチップマイコンを実装して、ファンクションテストが行われるようになっている。なおファンクションテストは、実際に制御基板を動作させて、電子回路基板全体として出力が仕様を満たすか否かを検査するものである。
ここで、図11に示すように、比較例のインサーキット検査時には、払出制御基板170にインサーキットテスタINCが接続されて、インサーキットテスタINCから電力が、電力ラインa1と電力ラインb1とを介して、コンデンサCA3に供給される。これにより、コンデンサCA3は電荷を蓄えることになる。しかしながら一旦、コンデンサCA3に蓄えられた電荷はすぐには放出されない。そのため、インサーキット検査が終了した後、払出制御用マイコン171を払出制御基板170に実装すると、コンデンサCA3に残った電荷が払出制御用マイコン171に作用し得る。その結果、払出制御用マイコン171に動作不良が生じるおそれがある。
以上要するに、払出制御基板170にバックアップ電源供給手段としてのコンデンサCA3を搭載した結果、インサーキット検査で残った電荷により、払出制御用マイコン171に不具合が生じるおそれがあった。特にコンデンサCA3は、大きな電荷を蓄えることができる反面、電荷を放出するのに比較的長い時間がかかる電気2重層コンデンサである。よって、コンデンサCA3に電荷が残り易くなり、上述したように払出制御用マイコン171に動作不良が生じるおそれがあった。
そこで本形態の電源ユニット190と払出制御基板170と遊技制御基板100との間の電気回路DK1は、図12に示すように構成されている。なお図12に示す本形態の電気回路DK1において、図10に示す比較例の電気回路DKXの構成と共通する部分については、説明を適宜省略する。
図12に示すように、本形態では、電源ユニット190と払出制御基板170とが、ハーネスHN3で接続されている。ハーネスHN3の一端部にあるコネクタCN5は、電源ユニット190に接続され、ハーネスHN3の他端部にあるコネクタCN6は、払出制御基板170に接続されている。ハーネスHN3には、電源ユニット190からDC5Vの電力(通常電源)を供給するための配線H1と、通常電源と異なるDC5Vの電力を供給するための配線H2と、グランド線となる配線H3とが設けられている。
払出制御基板170において、電力ラインA1と電力ラインA2とが並列的に設けられている。電力ラインA1は、コネクタCN6を介して、ハーネスHN3の配線H1に接続されている。これにより、電力ラインA1には、通常電源が配線H1を介して供給される。電力ラインA2は、コネクタCN6を介して、ハーネスHN3の配線H2に接続されている。これにより、電力ラインA2には、通常電源と異なるDC5Vの電力が配線H2を介して供給される。また払出制御基板170において、グランドGに接続されている電力ラインA3がある。電力ラインA3は、コネクタCN6を介して、ハーネスHN3の配線H3に接続されている。
電力ラインA1のうちコネクタCN6側に、比較例で説明したフィルタNF1(図10参照)と同様のフィルタNF1が接続されている。このフィルタNF1により、電力ラインA1にて供給される通常電源から高周波ノイズを除去することが可能である。また電力ラインA1のうちフィルタNF1よりもコネクタCN7側には、比較例で説明したコンデンサCA1(図10参照)と同様のコンデンサCA1が並列的に接続されている。このコンデンサCA1により、通常電源における電流の変動(負荷)が大きくなったときにDC5Vの電圧がドロップするのを防ぐことが可能である。また電力ラインA1のうちコンデンサCA1よりもコネクタCN7側には、比較例で説明したコンデンサCA2(図10参照)と同様のコンデンサCA2が並列的に接続されている。このコンデンサCA2により、電力ラインA1にて供給される通常電源から高周波ノイズを除去することが可能である。
また電力ラインA1には、分岐部分J1から払出制御用マイコン171に向かう電力ラインC1があり、電力ラインC1は、払出制御用マイコン171のVc端子に接続されている。これにより通常電源は、配線H1と電力ラインA1と電力ラインC1とを介して、払出制御用マイコン171のVc端子に供給される。その結果、払出制御用マイコン171は、通常電源に基づいて作動することが可能である。なお電力ラインA1と電力ラインC1とが、「第1特定電力ライン」に相当する。
払出制御基板170と遊技制御基板100とは、ハーネスHN4で接続されている。ハーネスHN4の一端部にあるコネクタCN7は、払出制御基板170に接続され、ハーネスHN4の他端部にあるコネクタCN8は、遊技制御基板100に接続されている。ハーネスHN4には、通常電源を供給するための配線H4と、バックアップ電源を供給するための配線H5とが設けられている。
電力ラインA1は、コネクタCN7を介して配線H4に接続されている。配線H4は、コネクタCN8を介して遊技制御基板100の電力ラインD1に接続されている。電力ラインD1は、遊技制御用マイコン101のVc端子に接続されている。これにより通常電源は、配線H1と電力ラインA1と配線H4と電力ラインD1とを介して、遊技制御用マイコン101のVc端子に供給される。その結果、遊技制御用マイコン101は、通常電源に基づいて作動することが可能である。
電力ラインA2のうちコネクタCN6側には、フィルタNF2が接続されている。フィルタNF2は、上述したフィルタNF1と同様のものである。このフィルタNF2により、電源ユニット190から供給されるDC5Vの電力(以下「充電用電力」ともいう)から高周波ノイズを除去することが可能である。なお充電用電力は、通常電源と同じDC5Vの電力であるが、あくまでコンデンサCA3に電荷を蓄えるための電力である。また電力ラインA2のうちフィルタNF2よりもコネクタCN7側には、比較例で説明した抵抗T1(図10参照)と同様の抵抗T1が直列的に接続されている。この抵抗T1により、電力ラインA2で供給される充電用電力の電流を抑えることが可能である。また電力ラインA2のうち抵抗T1よりもコネクタCN7側には、比較例で説明したダイオードDO1(図10参照)と同様のダイオードDO1が接続されている。このダイオードDO1により、コンデンサCA3(電気2重層コンデンサ)で蓄えられた電荷が、ダイオードDO1からコネクタCN6側へ向かうのを防ぐことが可能である。
また電力ラインA2のうちダイオードDO1よりもコネクタCN7側には、比較例で説明したコンデンサCA3(図10参照)と同様のコンデンサCA3(電気2重層コンデンサ、サブ電力部)が並列的に接続されている。これにより電断時に、コンデンサCA3が蓄えている電荷を放出することで、バックアップ電源を供給することが可能である。また電力ラインA2のうちコンデンサCA3よりもコネクタCN6側には、比較例で説明したコンデンサCA4(図10参照)と同様のコンデンサCA4が並列的に接続されている。このコンデンサCA4により、電力ラインA2にて供給されるバックアップ電源から高周波ノイズを除去することが可能である。
また電力ラインA2のうちコンデンサCA4よりもコネクタCN7側には、分岐部分J2がある。この分岐部分J2から払出制御用マイコン171に向かう電力ラインB1と、コネクタCN7に向かう電力ラインB2とがある。電力ラインB1は、払出制御用マイコン171のVb端子に接続されている。これにより電断時に、コンデンサCA3からのバックアップ電源を、電力ラインA2と電力ラインB1とを介して、払出制御用マイコン171のVb端子に供給することが可能である。なお電力ラインA2と電力ラインB1とが、「第2特定電力ライン」に相当する。
また電力ラインB2は、コネクタCN7を介して配線H5に接続されている。配線H5は、コネクタCN8を介して遊技制御基板100の電力ラインD2に接続されている。電力ラインD2は、遊技制御用マイコン101のVb端子に接続されている。これにより電断時に、コンデンサCA3からのバックアップ電源を、電力ラインA2と電力ラインB2と配線H5と電力ラインD2とを介して、遊技制御用マイコン101のVb端子に供給することが可能である。なお、コンデンサCA3とダイオードDO1と電力ラインA2と電力ラインB1と電力ラインB2とを含む部分が、本形態の「バックアップ電源回路179(図6参照)」に相当する。
以上、本形態の電気回路DK1によれば、図12に示すように、払出制御基板170において、電力ラインA1及び電力ラインC1(第1特定電力ライン)と、電力ラインA2及び電力ラインB1(第2特定電力ライン)とが、分離した状態で払出制御用マイコン171に向かってそれぞれ延びている。そのため、電力ラインA1により、通常電源を払出制御用マイコン171に供給することが可能である。また電力ラインA2により、充電用電力をコンデンサCA3に供給して、コンデンサCA3に電荷を貯めておくことが可能である。そして電断時には、電力ラインA2と電力ラインB1とにより、バックアップ電源を払出制御用マイコン171に供給することが可能である。
ここで本形態のインサーキット検査時においては、図13に示すように、払出制御基板170から払出制御用マイコン171が取り外された状態で、払出制御基板170にインサーキットテスタINCが接続される。このときインサーキットテスタINCは、電力ラインA1には電力を供給するものの、電力ラインA2及び電力ラインB1には電力を供給しないように制御する。これにより、コンデンサCA3に電荷を蓄えることなく、インサーキット検査を行うことが可能である。そのため、インサーキット検査が終了した後に、払出制御用マイコン171を払出制御基板170に実装しても、コンデンサCA3に残った電荷が払出制御用マイコン171に作用するという事態を防ぐことが可能である。その結果、払出制御用マイコン171に動作不良が生じる事態を回避することが可能である。なお本形態のその他の作用効果は、上述した比較例の作用効果と同様であるため、その説明を省略する。
5.大当たり等の説明
本形態のパチンコ遊技機PY1では、大当たり抽選(特別図柄抽選)の結果として、「大当たり」と「はずれ」がある。「大当たり」のときには、特図表示器81に「大当たり図柄」が停止表示される。「はずれ」のときには、特図表示器81に「ハズレ図柄」が停止表示される。大当たりに当選すると、停止表示された特別図柄の種類(大当たりの種類)に応じた開放パターンにて、大入賞口14を開放させる「大当たり遊技」が実行される。大当たり遊技を特別遊技ともいう。
大当たり遊技は、本形態では、複数回のラウンド遊技(単位遊技)と、初回のラウンド遊技が開始される前のオープニング(OPとも表記する)と、最終回のラウンド遊技が終了した後のエンディング(EDとも表記する)とを含んでいる。各ラウンド遊技は、OPの終了又は前のラウンド遊技の終了によって開始し、次のラウンド遊技の開始又はEDの開始によって終了する。ラウンド遊技間の大入賞口の閉鎖の時間(インターバル時間)は、その閉鎖前の開放のラウンド遊技に含まれる。
大当たりには複数の種別がある。大当たりの種別は図14に示す通りである。図14に示すように、本形態では大きく分けて2つの種別がある。確変大当たりと通常大当たりである。確変大当たりは、大当たり遊技後の遊技状態を後述する高確率状態に制御する大当たりである。通常大当たりは、大当たり遊技後の遊技状態を後述する通常確率状態(低確率状態)に制御する大当たりである。
より具体的には、特図1の抽選(第1特別図柄の抽選)にて当選可能な確変大当たり及び通常大当たりは、1Rから8Rまでは大入賞口14を1R当たり最大29.5秒(所定期間)にわたって開放し、9Rから16Rまでは大入賞口14を1R当たり最大0.1秒(所定期間)にわたって開放する大当たりである。つまり、これらの大当たりの総ラウンド数は16Rであるものの、実質的なラウンド数は8Rである。実質的なラウンド数とは、1ラウンド当たりの入賞上限個数(本形態では8個)まで遊技球が入賞可能なラウンド数のことである。これらの大当たりでは9Rから16Rまでは、大入賞口14の開放時間が極めて短く、賞球の見込めないラウンドとなっている。なお、特図1の抽選によって「確変大当たり」に当選した場合には、第1特図表示器81aに「特図1_確変図柄」が停止表示され、「通常大当たり」に当選した場合には、第1特図表示器81aに「特図1_通常図柄」が停止表示される。
また、特図2の抽選(第2特別図柄の抽選)にて当選可能な確変大当たり及び通常大当たりは、1Rから16Rまで大入賞口14を1R当たり最大29.5秒(所定期間)にわたって開放する大当たりである。つまり、これらの大当たりは実質的なラウンド数も16Rである。特図2の抽選によって「確変大当たり」に当選した場合には、第2特図表示器81bに「特図2_確変図柄」が停止表示され、「通常大当たり」に当選した場合には、第2特図表示器81bに「特図2_通常図柄」が停止表示される。
いずれの大当たりに当選した場合であっても、大当たり遊技後には後述する電サポ制御状態(高ベース状態)に制御される。電サポ制御状態は、高確率状態に伴って制御される場合には次回の大当たり当選まで継続する。一方、通常確率状態(低確率状態)に伴って制御される場合には、電サポ回数(時短回数)が100回に設定される。電サポ回数とは、電サポ制御状態における特別図柄の変動表示の上限実行回数のことである。
なお図14に示すように、特図1の抽選および特図2の抽選における大当たりの振分率は、共に確変大当たりが65%、通常大当たりが35%となっている。但し、特図1の抽選に基づいて大当たりに当選した場合には実質的なラウンド数が8ラウンドの大当たり遊技が実行される一方、特図2の抽選に基づいて大当たりに当選した場合には実質的なラウンド数が16ラウンドの大当たり遊技が実行される点で、特図1の抽選よりも特図2の抽選の方が、遊技者にとって有利となるように設定されている。
ここで本パチンコ遊技機PY1では、大当たりか否かの抽選は「大当たり乱数」に基づいて行われ、当選した大当たりの種別の抽選は「当たり種別乱数」に基づいて行われる。図15(A)に示すように、大当たり乱数は0〜65535までの範囲で値をとる。当たり種別乱数は、0〜99までの範囲で値をとる。なお、第1始動口11又は第2始動口12への入賞に基づいて取得される乱数には、大当たり乱数および当たり種別乱数の他に、「リーチ乱数」および「変動パターン乱数」がある。
リーチ乱数は、大当たり判定の結果がはずれである場合に、その結果を示す演出図柄変動演出においてリーチを発生させるか否かを決める乱数である。リーチとは、複数の演出図柄EZのうち変動表示されている演出図柄EZが残り一つとなっている状態であって、変動表示されている演出図柄EZがどの図柄で停止表示されるか次第で大当たり当選を示す演出図柄EZの組み合わせとなる状態(例えば「7↓7」の状態)のことである。なお、リーチ状態において停止表示されている演出図柄EZは、表示画面50a内で多少揺れているように表示されていたり、拡大と縮小を繰り返すように表示されていたりしてもよい。このリーチ乱数は、0〜255までの範囲で値をとる。
また、変動パターン乱数は、変動時間を含む変動パターンを決めるための乱数である。変動パターン乱数は、0〜99までの範囲で値をとる。また、ゲート13への通過に基づいて取得される乱数には、図15(B)に示す普通図柄乱数(当たり乱数)がある。普通図柄乱数は、電チュー12Dを開放させる補助遊技を行うか否かの抽選(普通図柄抽選)のための乱数である。普通図柄乱数は、0〜65535までの範囲で値をとる。
ここで本形態のパチンコ遊技機PY1では、大当たり判定テーブルを用いて、大当たりである否か(大当たり遊技を実行するか否か)を決定し得る。大当たり判定テーブルは、図16(A)から図16(F)に示すように、設定値の各々に対応して設けられている。本形態では、設定値として「1」、「2」、「3」、「4」、「5」、又は「6」の6種類が設けられている。
設定値は、大当たり判定処理で大当たりと判定される確率(「大当たり判定確率」や「大当たり当選確率」と適宜呼ぶ)を定めるパラメータである。設定値は、後述するように、遊技場の従業員等によって設定される。図16(A)〜図16(F)に示すように、各々の設定値に対応する大当たり判定テーブルのそれぞれには、通常確率状態で用いられる大当たり判定テーブルと、高確率状態で用いられる大当たり判定テーブルとがある。なお設定値の種類、及び大当たり判定テーブルの種類は、6種類に限られるものではなく、適宜変更可能である。
図16(A)〜図16(F)に示すように、各々の設定値に対応する大当たり判定テーブルのそれぞれには、大当たり又はハズレと判定される大当たり乱数値が振り分けられている。本パチンコ遊技機PY1は、設定値に対応した大当たり判定テーブルを用いて、大当たり又はハズレの何れかであるかを判定する。なお本形態では、小当たりに当選することがないように設定されているが、小当たりに当選することがあるように設定しても良い。また大当たりと判定される確率や、大当たりと判定される大当たり乱数値の振り分け方は、図16(A)〜図16(F)に限られるものではなく、適宜変更可能である。
なお、設定値が「1」である設定を「設定1」と言い、設定値が「2」である設定を「設定2」と言い、設定値が「3」である設定を「設定3」と言い、設定値が「4」である設定を「設定4」と言い、設定値が「5」である設定を「設定5」と言い、設定値が「6」である設定を「設定6」とも言う。
6.遊技状態の説明
次に、本形態のパチンコ遊技機PY1の遊技状態に関して説明する。パチンコ遊技機PY1の特図表示器81および普図表示器82には、それぞれ、確率変動機能と変動時間短縮機能がある。特図表示器81の確率変動機能が作動している状態を「高確率状態」といい、作動していない状態を「通常確率状態(非高確率状態)」という。高確率状態では、大当たり確率が通常確率状態よりも高くなっている。
本形態では図16(A)〜図16(F)に示すように、各々の設定値において、高確率状態で用いられる大当たり判定テーブルの方が、通常確率状態で用いられる大当たり判定テーブルよりも、大当たりと判定され易いように設定されている。更に、通常確率状態又は高確率状態の遊技状態において、同一の遊技状態であれば、設定値が高く設定されるほど、大当たりと判定され易いように設定されている。
また、特図表示器81の変動時間短縮機能が作動している状態を「時短状態」といい、作動していない状態を「非時短状態」という。時短状態では、特別図柄の変動時間(変動表示開始時から表示結果の導出表示時までの時間)が、非時短状態よりも短くなっている。すなわち、変動時間の短い変動パターンが選択されることが非時短状態よりも多くなるように定められた変動パターンテーブルを用いて、変動パターンの判定を行う(図18参照)。つまり、特図表示器81の変動時間短縮機能が作動すると、作動していないときに比して、特別図柄の可変表示の変動時間として短い変動時間が選択されやすくなる。その結果、時短状態では、特図保留の消化のペースが速くなり、始動口への有効な入賞(特図保留として記憶され得る入賞)が発生しやすくなる。そのため、スムーズな遊技の進行のもとで大当たりを狙うことができる。
特図表示器81の確率変動機能と変動時間短縮機能とは同時に作動することもあるし、片方のみが作動することもある。そして、普図表示器82の確率変動機能および変動時間短縮機能は、特図表示器81の変動時間短縮機能に同期して作動するようになっている。すなわち、普図表示器82の確率変動機能および変動時間短縮機能は、時短状態において作動し、非時短状態において作動しない。よって、時短状態では、普通図柄抽選における当選確率が非時短状態よりも高くなっている。すなわち、当たりと判定される普通図柄乱数(当たり乱数)の値が非時短状態で用いる普通図柄当たり判定テーブルよりも多い普通図柄当たり判定テーブルを用いて、当たり判定(普通図柄の判定)を行う(図17(B)参照)。つまり、普図表示器82の確率変動機能が作動すると、作動していないときに比して、普図表示器82による普通図柄の可変表示の表示結果が、普通当たり図柄となる確率が高くなる。
また時短状態では、普通図柄の変動時間が非時短状態よりも短くなっている。本形態では、普通図柄の変動時間は非時短状態では7秒であるが、時短状態では1秒である(図17(C)参照)。さらに時短状態では、補助遊技における電チュー12Dの開放時間が、非時短状態よりも長くなっている(図19参照)。すなわち、電チュー12Dの開放時間延長機能が作動している。加えて時短状態では、補助遊技における電チュー12Dの開放回数が非時短状態よりも多くなっている(図19参照)。すなわち、電チュー12Dの開放回数増加機能が作動している。
普図表示器82の確率変動機能と変動時間短縮機能、および電チュー12Dの開放時間延長機能と開放回数増加機能が作動している状況下では、これらの機能が作動していない場合に比して、電チュー12Dが頻繁に開放され、第2始動口12へ遊技球が頻繁に入賞することとなる。その結果、発射球数に対する賞球数の割合であるベースが高くなる。従って、これらの機能が作動している状態を「高ベース状態」といい、作動していない状態を「低ベース状態」という。高ベース状態では、手持ちの遊技球を大きく減らすことなく大当たりを狙うことができる。なお、高ベース状態とは、いわゆる電サポ制御(電チュー12Dにより第2始動口12への入賞をサポートする制御)が実行されている状態である。よって、高ベース状態を電サポ制御状態や入球容易状態ともいう。これに対して、低ベース状態を非電サポ制御状態や非入球容易状態ともいう。
高ベース状態は、上記の全ての機能が作動するものでなくてもよい。すなわち、普図表示器82の確率変動機能、普図表示器82の変動時間短縮機能、電チュー12Dの開放時間延長機能、および電チュー12Dの開放回数増加機能のうち一つ以上の機能の作動によって、その機能が作動していないときよりも電チュー12Dが開放され易くなっていればよい。また、高ベース状態は、時短状態に付随せずに独立して制御されるようにしてもよい。
本形態のパチンコ遊技機PY1では、確変大当たりへの当選による大当たり遊技後の遊技状態は、高確率状態かつ時短状態かつ高ベース状態である。この遊技状態を特に、「高確高ベース状態」という。高確高ベース状態は、所定回数(本形態では10000回)の特別図柄の可変表示が実行されるか、又は、大当たりに当選してその大当たり遊技が実行されることにより終了する。つまり本形態では、高確高ベース状態は実質的に次回の大当たり当選まで継続する。なお、高確高ベース状態の終了条件を、大当たりに当選してその大当たり遊技が実行されることだけとしてもよい。
また、通常大当たりへの当選による大当たり遊技後の遊技状態は、通常確率状態(非高確率状態すなわち低確率の状態)かつ時短状態かつ高ベース状態である。この遊技状態を特に、「低確高ベース状態」という。低確高ベース状態は、所定回数(本形態では100回)の特別図柄の可変表示が実行されるか、又は、大当たりに当選してその大当たり遊技が実行されることにより終了する。
なお、パチンコ遊技機PY1を初めて遊技する場合において電源投入後の遊技状態は、通常確率状態かつ非時短状態かつ低ベース状態である。この遊技状態を特に、「低確低ベース状態」という。低確低ベース状態を「通常遊技状態」と称することとする。また、特別遊技(大当たり遊技)の実行中の状態を「特別遊技状態(大当たり遊技状態)」と称することとする。さらに、高確率状態および高ベース状態のうち少なくとも一方の状態に制御されている状態を、「特典遊技状態」と称することとする。
高確高ベース状態や低確高ベース状態といった高ベース状態では、右打ちにより右遊技領域6R(図4参照)へ遊技球を進入させた方が有利に遊技を進行できる。電サポ制御により低ベース状態と比べて電チュー12Dが開放されやすくなっており、第1始動口11への入賞よりも第2始動口12への入賞の方が容易となっているからである。そのため、普通図柄抽選の契機となるゲート13へ遊技球を通過させつつ、第2始動口12へ遊技球を入賞させるべく右打ちを行う。これにより左打ちをするよりも、多数の始動入賞(始動口への入賞)を得ることができる。なお本パチンコ遊技機PY1では、大当たり遊技中も右打ちにて遊技を行う。
これに対して、低ベース状態では、左打ちにより左遊技領域6L(図4参照)へ遊技球を進入させた方が有利に遊技を進行できる。電サポ制御が実行されていないため、高ベース状態と比べて電チュー12Dが開放されにくくなっており、第2始動口12への入賞よりも第1始動口11への入賞の方が容易となっているからである。そのため、第1始動口11へ遊技球を入賞させるべく左打ちを行う。これにより右打ちするよりも、多数の始動入賞を得ることができる。
7.遊技制御基板ユニット並びに設定値の変更方法及び確定方法
続いて、遊技制御基板ユニット100B、設定の変更方法、設定の確定方法について、順に説明する。まず、遊技制御基板ユニット100Bについて説明する。図20(A)は、遊技制御基板ユニット100Bの斜視図であり、図20(B)は、遊技制御基板ユニット100Bの正面図であり、図21は、遊技制御基板ユニット100Bの分解斜視図である。上述したように、遊技制御基板ユニット100Bは、遊技制御基板100と遊技制御基板ケース100Aとを備えている。
遊技制御基板ケース100Aは、図21に示すように、遊技制御基板100の部品実装面(後面)側を覆う蓋ケース410と、遊技制御基板100の半田面(前面)側を覆う底ケース420と、を備えている。遊技制御基板100は、蓋ケース410にねじ止めされ、蓋ケース410は、底ケース420に対して組み付けられる。こうして、遊技制御基板100は、遊技制御基板ケース100Aの内部に収容される(図20(A)参照)。なお、遊技制御基板ケース100Aは、遊技制御基板100を収容した後、左側部および右側部をかしめピン430,430により開封不能に封止される(図20(B)参照)。
遊技制御基板100の左右方向中央かつ上下方向中央には、遊技制御用マイコン101がICソケットを介して実装されている。また、遊技制御基板100の左右方向中央かつ上下方向下部(遊技制御用マイコン101の下方)には、7セグ表示器300が実装されている。遊技制御基板ケース100Aは、無色透明の合成樹脂(例えばポリカーボネート)で構成されている。よって、遊技制御基板ケース100Aの外部から遊技制御用マイコン101や7セグ表示器300等の実装部品を視認することが可能である。
また、遊技制御基板100の左下部(パチンコ遊技機PY1を後方から見た場合の右下部)には、設定キーシリンダ180が実装されている。図21に示すように、設定キーシリンダ180の実装位置は、遊技制御基板100の周縁から所定距離を空けた位置である。具体的には、設定キーシリンダ180は、遊技制御基板100の下縁100aおよび左縁100bからそれぞれ2cm程度ずつ離して実装されている。このように、設定キーシリンダ180と遊技制御基板100の周縁との間に間隙を設けている(設定キーシリンダ180を遊技制御基板100の周縁部以外の領域に実装している)のは、必要に応じてコネクタ部品を実装できるようにするためである。すなわち、このようにコネクタ部品を実装可能なスペースを遊技制御基板100に残しておけば、本形態のパチンコ遊技機PY1とは別の種類の遊技機(異なる機種)を将来的に製造する場合に、遊技制御基板100の配線パターンを大きく変更することなく、遊技制御基板にコネクタ部品を容易に追加することが可能となる。すなわち、異なる機種間での遊技制御基板の配線パターン(コネクタ部品以外の配線パターン)の共通化を図ることが可能となる。
設定キーシリンダ180は、専用の設定キー184(図20(A)参照)を用いてON状態とOFF状態とを切り替えることが可能なスイッチ部品である。図21に示すように、設定キーシリンダ180は、固定部182(外側シリンダ、外筒部)の内側に回動可能に設けられた回動部183(内側シリンダ、内筒部)を備えている。回動部183には、設定キー184を挿入するための鍵穴185が設けられている。
設定キーシリンダ180の鍵穴185に設定キー184を挿入し、設定キー184(回動部183)をOFF位置(待機位置や初期位置とも言う、図29に実線で示す位置)から、ON位置(回転位置や移動位置とも言う、図29に二点鎖線で示す位置)に回転させることにより、設定キーシリンダ180内のスイッチング回路(後述する設定キーシリンダスイッチ180a、図27参照)のON/OFFを切り替えることができる。なお、設定キーシリンダスイッチ180aがOFFである状態を設定キーシリンダ180のOFF状態といい、設定キーシリンダスイッチ180aがONである状態を設定キーシリンダ180のON状態という。また、設定キー184(回動部183)のON位置は、OFF位置から90度回転させた位置である。また、設定キー184(回動部183)がON位置(回転位置)にあることを「設定キーシリンダ180が回転位置にある」とも言い、設定キー184(回動部183)がOFF位置(待機位置)にあることを「設定キーシリンダ180が待機位置にある」とも言うこととする。
図21に示すように、設定キーシリンダ180は、鍵穴185が設けられている鍵穴面186を有するキー挿入側部187と、遊技制御基板100に接続されるリード部199(図22参照)を有する基板接続側部188とを備えている。キー挿入側部187は、設定キーシリンダ180における蓋ケース410側の部分であり、図21において略円柱形状に見えている部分である。また、基板接続側部188は、設定キーシリンダ180における遊技制御基板100側の部分であり、図21において略四角柱形状に見えている部分である。つまり、キー挿入側部187は、設定キーシリンダ180を軸方向で2つの部分に分けた場合の後方側であり、基板接続側部188は、設定キーシリンダ180を軸方向で2つの部分に分けた場合の前方側である。
ここで設定キーシリンダ180の構成についてより詳細に説明する。図22(A)は、図20(B)のA−A線断面図であり、図22(B)は、図20(B)のB−B線断面図である。図22(A)(B)に示すように、設定キーシリンダ180は、シリンダ部197(固定部182および回動部183を含む部分)の外側に、金属製の固定部材198が嵌められたものである。シリンダ部197には、軸方向(前後方向)における途中の箇所(略中央)に、鍵穴面186の直径よりも太いフランジ部197a(言い換えれば、シリンダ部197の軸方向に直行する面の面積が鍵穴面186よりも大きいフランジ部197a、「特定部」に相当)が設けられている。固定部材198には、略円形の開口が設けられており(図21参照)、その開口には、シリンダ部197の鍵穴面186側が挿通されている。また、固定部材198はフランジ部197aに掛止されている。そして、固定部材198に形成された接続片198aおよび接続ピン198bが、遊技制御基板100に半田付けされているとともに、シリンダ部197から延びるリード部199が遊技制御基板100に半田付けされている。このようにして、設定キーシリンダ180は、遊技制御基板100に取り付けられている。なお、上述したキー挿入側部187は、設定キーシリンダ180における固定部材198よりも後方の部分(蓋ケース410側の部分)であり(図21参照)、基板接続側部188は、設定キーシリンダ180におけるキー挿入側部187以外の部分である。
次に、設定キーシリンダ180と遊技制御基板ケース100Aとの関係について説明する。図21に示すように、遊技制御基板ケース100Aの蓋ケース410には、設定キーシリンダ180の鍵穴面186を外部に露出させるための開口部411が設けられている。この開口部411は、後方から見た場合、円形状の鍵穴面186よりも僅かに大径の円形状である(図20(B)参照)。遊技制御基板ケース100Aが遊技制御基板100を収容している状態では、設定キーシリンダ180の鍵穴面186と、蓋ケース410の後面410aとは、略面一となっている(図22(A)(B)参照)。なお、設定キーシリンダ180のキー挿入側部187と、蓋ケース410の開口部411との間隙L1は、1mm弱程度である。
また、図21及び図22(A)(B)に示すように、蓋ケース410の内面410b(図22参照)側であって開口部411の周縁からは、前方(底ケース420の方)に向かって延びる周壁部413が設けられている。周壁部413は、開口部411の上方を囲う上壁部413aと、開口部411の下方を囲う下壁部413bと、開口部411の左方を囲う左壁部413cと、開口部411の右方を囲う右壁部413dとからなる矩形状の周壁である。周壁部413の前後方向の長さ寸法L2(図22(A)参照)は8mm程度であり、周壁部413の厚みL3(図22(A)参照)は2mm程度である。遊技制御基板ケース100Aが遊技制御基板100を収容している状態では、周壁部413は、設定キーシリンダ180の基板接続側部188の上下左右を、設定キーシリンダ180におけるフランジ部197a程度まで囲う(図22(A)参照)。なお、周壁部413と基板接続側部188との間隙L4は、1mm弱程度である。また、周壁部413と遊技制御基板100の部品実装面との間隙L5は、5mm程度である。
このように本形態では、遊技制御基板ケース100Aに、設定キーシリンダ180の形状に合わせてその周囲を囲う周壁部413が設けられている。そのため、設定キーシリンダ180が自重などの外力によってずれたりするのを抑制することが可能である。その結果、設定キーシリンダ180の接続を良好に保つことが可能である。なお、設定キーシリンダ180の自重によるずれの防止だけを考慮するのであれば、周壁部413のうち下壁部413bだけを設けてもよい。
また本形態では、設定キーシリンダ180の鍵穴面186と蓋ケース410の後面410aとが略同一平面にある(図22参照)。つまり、鍵穴面186は、遊技制御基板ケース100Aの後面410aに対して突出したり、引っ込んだりしているわけではない(図20(A)参照)。よって、設定キーシリンダ180が遊技制御基板ケース100Aから突出しているものに比べて、遊技制御基板ケース100Aの後方のスペースを確保できるとともに、設定キーシリンダ180の破損を防ぐことが可能である。また、遊技制御基板ケース100Aに対して引っ込んでいるものに比べて、設定キーシリンダ180と開口部411との隙間をほぼ無くすことが可能であるため(開口部411が設定キーシリンダ180によって塞がれているため)、開口部411から遊技制御基板ケース100Aの中に異物が侵入しないようにすることが可能である。その結果、設定キーシリンダ180に対する不正や、遊技制御基板100に不具合が生じるのを防ぐことが可能である。
特に本形態では、遊技制御基板100の開口部411が設定キーシリンダ180によって塞がれているとともに、遊技制御基板100に設けられた周壁部413が設定キーシリンダ180の基板接続側部188の周囲をほぼ隙間なく囲っている(図20(A)および図22(A)(B)参照)。そのため、開口部411から異物(例えば針金やピアノ線等)を侵入させて遊技制御用マイコン101等にアクセスする等の不正行為を行うことが一層困難になっている。また、設定キーシリンダ180が周壁部413に囲われているため、仮に異物(例えば針金やピアノ線等)が開口部411以外の箇所から遊技制御基板ケース100Aの内部に侵入させられた場合であっても、設定キーシリンダ180への接触を抑制することが可能となっている。また、不正な磁気の影響によって、後述する設定キーシリンダスイッチ180aの状態が切替えられる事態を生じ難くすることが可能となっている。
ところで図23に示すように、遊技制御基板ケース100Aには、種々のシールが貼付されている。本形態において遊技制御基板ケース100Aに貼付されているシールは、機種名シール510、外部端子情報シール520、基板管理シール530、封印シール540の4つである。これらの各シールはいずれも、パチンコ遊技機PY1に関する情報を示す機種情報シールである。
機種名シール510は、パチンコ遊技機PY1の機種名およびメーカー名等が記載された機種情報シールである。
また、外部端子情報シール520は、パチンコ遊技機PY1の外部端子に関する説明が記載された機種情報シールである。なお、パチンコ遊技機PY1の外部端子(不図示)とは、パチンコ遊技機PY1からホールコンピュータ等の外部機器に情報を出力するための端子である。外部端子には、複数の種類がある。具体的には例えば、パチンコ遊技機PY1が払い出した賞球数の情報を示す賞球信号、遊技機枠2が開放されていることを示す枠開放信号、特図1や特図2が停止表示されたことを示す図柄確定信号、大当たり遊技中であることを示す大当たり信号1、大当たり遊技中又は時短状態中であることを示す大当たり信号2、などがある。各外部端子のコネクタ部分は、互いに異なる色で色付けされている。この色と信号との対応関係が外部端子情報シール520には記載されている。
基板管理シール530は、遊技制御基板100(遊技制御基板ユニット100B)の管理番号が記載されているとともに、検査等のために遊技制御基板ケース100Aを開封した場合(かしめピン430,430を外して遊技制御基板ケース100Aの封印を解除した場合)の開封者および開封年月日の記入欄が設けられた機種情報シールである。
封印シール540は、遊技制御基板ケース100Aを開封してはいけない旨を示す「開封禁止」の文字が記載された機種情報シールである。封印シール540は、蓋ケース410を底ケース420に対して係止させた状態で(つまり遊技制御基板ケース100Aを閉めた状態で)、蓋ケース410および底ケース420の両方に跨って貼付されている。従って、遊技制御基板ケース100Aを開放させた場合には、封印シール540が破断される。よって、封印シール540を見れば、遊技制御基板ケース100Aの開封の有無がわかるようになっている。言い換えれば、封印シール540は、遊技制御基板ケース100Aの開封の有無をわかり易く示す機種情報シールである。なお、封印シール540以外の機種情報シール(機種名シール510、外部端子情報シール520、基板管理シール530)は、図23に示すように蓋ケース410の後面410aに貼付されており、底ケース420に跨って貼付されてはいない。なお、封印シールは、アンテナ付きICチップを備え、ICチップに記憶されたID情報を専用のリーダーで読み取り可能なものであってもよい。
また、各機種情報シール(機種名シール510、外部端子情報シール520、基板管理シール530、封印シール540)に記載される情報は、各機種情報シールの機能を損なわない範囲で適宜増減可能である。例えば、機種名シール510に、定格電圧や定格電力等の情報が記載されていてもよい。また、機種情報シールとして、機種名シール510、外部端子情報シール520、基板管理シール530、封印シール540の全てを備えていなくてもよい。なお本形態における機種名シール510、外部端子情報シール520、及び、基板管理シール530は、無色透明のベース部に各種の機種情報や記入欄が白色等の所定の色で印刷されたものである。よって本形態では、シール越しに遊技制御基板ケース100Aの内部をある程度視認することが可能となっている。
ここで、図23に示すように、機種名シール510および外部端子情報シール520は、遊技制御基板ケース100Aの左部(遊技制御基板ケース100Aにおける後面410aを正面として見た場合の右部)に貼付されている。一方、基板管理シール530および封印シール540は、遊技制御基板ケース100Aの右部(遊技制御基板ケース100Aにおける後面410aを正面として見た場合の左部)に貼付されている。より詳細には、機種名シール510は、蓋ケース410の後面410aの左下部(遊技制御基板ケース100Aにおける後面410aを正面として見た場合の右下部)であって、設定キーシリンダ180を露出させる開口部411の右方(遊技制御基板ケース100Aにおける後面410aを正面として見た場合の左方)に貼付されている。また、外部端子情報シール520は、蓋ケース410の後面410aの左上部(遊技制御基板ケース100Aにおける後面410aを正面として見た場合の右上部)であって、機種名シール510および開口部411の上方に貼付されている。また、基板管理シール530は、蓋ケース410の後面410aの右上部(遊技制御基板ケース100Aにおける後面410aを正面として見た場合の左上部)に貼付されている。また、封印シール540は、蓋ケース410の後面410aの右下部(遊技制御基板ケース100Aにおける後面410aを正面として見た場合の左下部)であって基板管理シール530の下方に貼付されている。
このように本形態では、機種名シール510および外部端子情報シール520が蓋ケース410における左側の領域(遊技制御基板ケース100Aにおける後面410aを正面として見た場合の右側の領域、第1シール貼付領域415)に貼付され、基板管理シール530および封印シール540が蓋ケース410における右側の領域(遊技制御基板ケース100Aにおける後面410aを正面として見た場合の左側の領域、第2シール貼付領域416)に貼付されている。そして、蓋ケース410における第1シール貼付領域415と第2シール貼付領域416との間は、何れの機種情報シールも貼付されていない非貼付領域417となっている。この非貼付領域417は、遊技制御基板ケース100Aに実装されている遊技制御用マイコン101および7セグ表示器300に対応した位置にある。言い換えれば、遊技制御用マイコン101および7セグ表示器300は、遊技制御基板100において、非貼付領域417から視認可能な位置に実装されている。よって、遊技制御用マイコン101および7セグ表示器300は、各種の機種情報シールに視認性を害されることなく、非貼付領域417からクリアに視認されるようになっている。このように本形態では、非貼付領域417は、遊技制御用マイコン101と7セグ表示器300とを共に視認可能とする「窓部」として機能する。以下では、非貼付領域417を、共通窓部417とも称する。
ここで、遊技制御用マイコン101の表面には、遊技制御用マイコン101の型式(チップ名)や製造番号(つまり遊技制御用マイコン101を特定可能な情報)、これらの情報等がコード化された二次元コードが印刷されている。また、遊技制御用マイコン101の表面には、パチンコ遊技機PY1の機種名やメーカー名、これらの情報等がコード化された二次元コードが印刷されたマイコン用機種情報シール550が貼付されている。共通窓部417からは、これらの遊技制御用マイコン101の表面に示された各種の情報を、目視あるいはコードリーダーを使って読み取ることが可能となっている。
また、共通窓部417からは、遊技制御用マイコン101だけでなく、7セグ表示器300も視認することが可能となっている。後述するように、7セグ表示器300には設定値やベースが表示されることがある。よって本形態では、この共通窓部417から設定値やベースをはっきりと視認することが可能となっている。なお、遊技制御基板ケース100Aにおける後面410aに正対して見た場合、7セグ表示器300と設定キーシリンダ180との間には、少なくとも機種名シール510分の距離が空いている。このため、設定キーシリンダ180を右手で操作した場合に、設定キーシリンダ180を操作した手(あるいは腕)で7セグ表示器300が隠れ難くなっており、7セグ表示器300の表示内容が視認し難くなる事態が発生し難くなっている。また本形態では、設定キーシリンダ180は、第1シール貼付領域415、第2シール貼付領域416、共通窓部417からなる情報表示領域418の外側(詳細には遊技制御基板ケース100Aにおける後面410aに正対して見た場合、情報表示領域418の右方)に配置されている。従って、設定キーシリンダ180を右手で操作した場合に、設定キーシリンダ180を操作した手(あるいは腕)で情報表示領域418が隠れ難く、情報表示領域418の視認性(すなわち、遊技制御用マイコン101、7セグ表示器300、機種名シール510、外部端子情報シール520、基板管理シール530、及び、封印シール540の視認性)が良好なものとなっている。
次に、7セグ表示器300(表示手段)について説明する。7セグ表示器300の表示制御は、遊技制御用マイコン101によって実行される。なお7セグ表示器300が、例えば演出制御基板120上ではなく、遊技制御基板100上に設けられているのは、以下の理由に基づく。即ち、遊技制御基板100(遊技制御用マイコン101)は、適正動作を確かめる試験の検査対象になっているところ、その遊技制御基板100によって設定値の表示が制御されれば、設定値の表示の信頼性が担保できるからである。
図24に示すように、7セグ表示器300は、所謂4連7セグ(7セグメント表示器)であり、合計で32個の点灯(発光)する部分(セグメント)を備えている。具体的に、7セグ表示器300は、左から右に向かって順番に、第1表示領域310と第2表示領域320と第3表示領域330と第4表示領域340とを備えている。そして4つの表示領域310、320、330、340は、それぞれ「0」〜「9」までの数字、文字、記号等を表すことができるように、8個の点灯部分(LED素子、セグメント)LB1〜LB8、LB9〜LB16、LB17〜LB24、LB25〜LB32を有している。なお4連7セグは市場に多く流通している流通品であるため、4連7セグ(7セグ表示器300)を用いることで、表示手段を安価に構成することが可能である。
本形態では、「1」〜「6」までの何れかの設定値は、7セグ表示器300の第4表示領域340で表示される。また設定値が表示されるときには、第4表示領域340の点灯部分LB25〜LB32が、設定値の数字を表すように点灯態様(発光し続ける発光態様)で発光する。なお第4表示領域340で設定値が表示されているときには、第1表示領域310と第2表示領域320と第3表示領域330には何も表示されない。
次に、設定値の変更方法について説明する。設定値を変更するためには、設定変更モードに移行させる必要がある。設定変更モードへの移行は、電源投入時のみ行うことが可能である。ここでは、設定変更モードに移行させるための操作だけでなく、パチンコ遊技機PY1の電源投入時に行うことが可能な種々の操作についてまとめて説明する。図25に示すように、パチンコ遊技機PY1の電源投入時に行うことが可能な操作には、設定変更モード移行操作、設定確認操作、RAMクリア操作、通常の電源投入操作の4つの種類がある。
設定変更モード移行操作(設定変更可能化操作)は、設定値の変更が可能な設定変更モードに移行させるための操作である。具体的には、設定キーシリンダ180(設定キースイッチ)及びRAMクリアスイッチ191を共にON状態にしつつ、電源スイッチ195をON状態にする(電源スイッチ195をON操作する)という操作である。この操作により、パチンコ遊技機PY1に電力が供給される(パチンコ遊技機PY1が電源投入状態になる)とともに、電源投入後のモードが設定変更モードになる。設定変更モードにおける設定の変更操作や確定操作については後述する。設定の確定操作により設定変更モードは終了する。これにより、遊技可能な遊技モード(非設定変更モードの1つ)となる。
設定確認操作は、設定確認モード(非設定変更モードの1つ)に移行させるための操作である。設定確認モードとは、設定値の変更はできないが、設定値が7セグ表示器300に表示されることで設定値を確認することができるモードである。設定確認操作は、具体的には、設定キーシリンダ180をON状態にしつつ、電源スイッチ195をON状態にする(電源スイッチ195をON操作する)という操作である。設定確認操作では、RAMクリアスイッチ191はOFF状態のままにする。このような設定確認操作により、パチンコ遊技機PY1に電力が供給されるとともに、電源投入後のモードが設定確認モードになる。設定確認モードは、設定値が7セグ表示器300に表示されてから一定時間(例えば3秒)が経過すると終了する。設定確認モードの終了後、遊技可能な遊技モードとなる。なお、設定確認モードは、設定キーシリンダ180がOFF状態になる(設定キーがOFF位置に回転操作される)ことにより終了する構成としてもよい。
RAMクリア操作は、RAMクリアモード(非設定変更モードの1つ)に移行させるための操作である。RAMクリアモードとは、遊技制御用マイコン101に設けられた遊技用RAM104の所定の記憶領域等を初期化する「RAMクリア」がなされるモードである。RAMクリアがなされると、これまでの遊技内容がクリアされる。なお、RAMクリアがされても、遊技用RAM104に記憶されている設定値の情報は、消去されず保持される。また、RAMクリアモードに移行しても、設定値の変更は可能とはならず、7セグ表示器300に設定値が表示されることもない。RAMクリア操作は、具体的には、RAMクリアスイッチ191をON状態にしつつ、電源スイッチ195をON状態にする(電源スイッチ195をON操作する)という操作である。RAMクリア操作では、設定キーシリンダ180はOFF状態のままにする。このようなRAMクリア操作により、パチンコ遊技機PY1に電力が供給されるとともに、RAMクリアがなされる。なお、RAMクリアモードは、RAMクリアに関する所定の処理が実行されることにより自動的に終了する。RAMクリアモードが終了すると、遊技可能な遊技モードとなる。なお本形態では、設定変更モードを終了させた場合にもRAMクリアがなされる。しかしながら、このように設定の変更を伴わずにRAMクリアだけを行わせる操作を設けておくことで、設定変更の作業量よりも少ない作業量でRAMクリアだけを行わせることが可能となっている。
通常の電源投入操作は、設定変更モードへの移行、設定確認モードへの移行、及び、RAMクリアを伴わずに、パチンコ遊技機PY1に電源を投入するための操作である。通常の電源投入操作は、具体的には、設定キーシリンダ180及びRAMクリアスイッチ191を共にOFF状態のままとし、電源スイッチ195をON状態にする(電源スイッチ195をON操作する)という操作である。この操作により、パチンコ遊技機PY1に電力が供給され、遊技可能な遊技モードとなる。
なお、上述した4つの操作(設定変更モード移行操作、設定確認操作、RAMクリア操作、通常の電源投入操作)は、一般的に遊技場の従業員が行うものであって、パチンコ遊技機PY1の裏側(図8参照)を視認できない遊技者には行うことが不可能なものである。
本形態では上述したように、設定値を変更するためには、3つの条件を満たして(所定の移行条件の成立に基づいて)、設定変更モードに移行する必要がある。具体的には、設定キー184を用いて設定キーシリンダ180を待機位置(OFF状態)から90度回転した回転位置(ON状態)にしておき、且つRAMクリアスイッチ191を押下操作した状態(ON状態)で、電源スイッチ195をOFF操作(OFF状態)からON操作(ON状態)に切替える。このような3つの条件を設けたのは、以下の理由に基づく。
先ず、電源投入時であることを条件としたのは、遊技場の従業員が電源投入するときにだけ設定変更モードに移行できるようにするためである。つまり、遊技者等が特別図柄の変動表示中や大当たり遊技の実行中に設定変更モードに移行できてしまい、遊技中に設定値が変更されるような事態を防ぐためである。次に、RAMクリアスイッチ191の押下操作を条件としたのは、設定値が変更されたにも拘わらず、電源が投入される前の遊技に係る情報に基づいて遊技が開始されるのを防ぐためである。つまり電源投入時にRAMクリアスイッチ191が押下操作されれば、後述するように遊技用RAM104に記憶されている遊技に係る情報は必ず消去(RAMクリア)されることになる。そのため、例えば電源が遮断される前の設定値では残っている特図保留が大当たりと判定されるが、電源投入後に変更された設定値では残っている特図保留がハズレと判定されるような遊技の不整合が生じる事態を防ぐことが可能である。最後に、設定キーシリンダ180が回転位置であることを条件としたのは、設定値の変更を行う遊技場の従業員の意思を確かめるためである。つまり、設定変更モードはあくまで設定値の変更が可能な特殊なモードであって、無作為又は簡易に設定変更モードに移行できるのを防ぐためである。
次に、設定値を変更する場合に7セグ表示器300での表示態様と、演出手段(画像表示装置50、スピーカ620、枠ランプ212及び盤ランプ54)での演出態様について説明する。
図26(A)に示すように、設定変更モード移行操作を行って、設定変更モードに移行すると、図26(B)に示すように、7セグ表示器300の第4表示領域340には、電源投入される前に設定されていた設定値(例えば「1」)が表示されるようになっている。つまり、前回の遊技中に設定されていた設定値の情報は、遮断状態になっても消去されない。そのため、電源投入時に設定変更モード移行操作を行うと、記憶されている設定値の情報(以下「設定値情報」と呼ぶ)に基づいて、前回の遊技中に設定されていた設定値が7セグ表示器300に表示される。その結果、電源投入時に、現時点での設定値(以前に決定された設定値)を先ず確認することが可能である。
また設定変更モードに移行すると、図26(B)に示すように、画像表示装置50の表示画面50aには、「設定変更中」の文字を示す設定変更中画像SH(モード示唆画像)が表示される。設定変更中画像SHは、設定値が変更可能であることを示唆するものである。この設定変更中画像SHの表示の開始により、設定値の変更を行う遊技場の従業員(以下「設定変更者」と呼ぶ)に、設定変更モードに正しく移行できたことを把握させることが可能である。また設定変更中画像SHは、設定変更モードが終了するまで表示画面50aに表示され続ける。そのため設定変更者は、設定変更中画像SHの表示期間によって、設定変更モードの開始から終了までの期間を明確に把握することが可能である。
また設定変更モードに移行すると、図26(B)に示すように、スピーカ620から、「設定変更可能です」という音声(モード示唆音)が出力される。この「設定変更可能です」という音声は、設定値が変更可能であることを示唆するものである。「設定変更可能です」という音声の開始により、設定変更者に設定変更モードに正しく移行できたことを聴覚的に把握させることが可能である。また「設定変更可能です」という音声は、設定値を変更したタイミングを除き、設定変更モードが終了するまで繰り返し出力される。そのため設定変更者は、「設定変更可能です」という音声を聞き続ける限り、設定変更モードの開始から終了までの期間を明確に把握することが可能である。
また設定変更モードに移行すると、図26(B)に示すように、枠ランプ212及び盤ランプ54が、特別な第1発光態様で発光する。この特別な第1発光態様での発光は、設定値が変更可能であることを示唆するものである。第1発光態様での発光の開始により、設定変更者に設定変更モードに正しく移行できたことを把握させることが可能である。また枠ランプ212及び盤ランプ54での第1発光態様の発光は、設定値を変更したタイミングを除き、設定変更モードが終了するまで継続する。そのため設定変更者は、第1発光態様の発光を見続ける限り、設定変更モードの開始から終了までの期間を明確に把握することが可能である。
こうして本形態では、設定変更モードであるときに、設定変更中画像SHの表示がなされるだけでなく、「設定変更可能です」という音声の出力と、特別な第1発光態様での発光もなされる。その結果、設定変更者は、視覚と聴覚の両方で設定値が変更可能である状況を確実に把握することが可能である。そして本形態の設定変更モードは上述したように3つの条件を満たす必要があって煩雑な操作であるところ、設定変更者は、設定変更中画像SHの表示、「設定変更可能です」という音声、特別な第1発光態様での発光というモード示唆が開始されるか否かによって、設定変更モード移行操作を正しく実行できたか否かを判断することが可能である。
ここで本形態では、設定変更モードにおいて、RAMクリアスイッチ191を押下操作すると、設定値を変更できるようになっている。具体的には、RAMクリアスイッチ191を押下操作する度に、「1」⇒「2」⇒「3」⇒「4」⇒「5」⇒「6」の順番に、設定値を1つずつ上昇させることが可能である。そして設定値が「6」であるときに、RAMクリアスイッチ191を押下操作すると、設定値が「1」に戻るようになっている。よって、RAMクリアスイッチ191を押下操作する度に、設定値が1つずつ切替わることで、設定値の切替方法をできるだけ簡易にしている。
そして、設定値の切替えを行うための操作手段として、既存のRAMクリアスイッチ191を用いていて、専用の操作手段を新たに設けたわけではない。従来では、RAMクリアスイッチ191は、電源投入時に遊技用RAM104及び払出用RAM174に記憶されている情報を消去するためだけに用いられていて、電源投入時以外には用いられないものであった。よって本形態のように、RAMクリアスイッチ191によって、設定値の切替えを行うための操作手段と、遊技用RAM104等の記憶情報を消去するための操作手段とを兼用することで、部品点数の削減を図ることが可能である。
但し、設定変更モードに設定されているときに、RAMクリアスイッチ191を押下操作しても、その押下操作したタイミングで遊技用RAM104に記憶されている遊技に係る情報や、払出用RAM174に記憶されている払出しに係る情報が消去されるわけではない。これは、仮にRAMクリアスイッチ191が押下操作される度に、遊技制御用マイコン101や払出制御用マイコン171が、記憶されている情報を消去することになると、制御処理が煩雑になるためである。こうして、設定変更モードに設定されている間、遊技用RAM104及び払出用RAM174に記憶されている情報が消去されることはなくて、遊技制御用マイコン101及び払出制御用マイコン171の制御処理が煩雑になるのを防いでいる。
図26(B)に示すように、設定変更モードに移行したときに例えば7セグ表示器300に設定値「1」が表示された後、RAMクリアスイッチ191を押下操作すると、図26(C)に示すように、7セグ表示器300の第4表示領域340には、設定値「2」が表示される。つまり設定値「1」の表示から、設定値「2」の表示に切替わる。これにより設定変更者は、設定値が「2」に切替わったことを把握することが可能である。
また図26(C)に示すように、画像表示装置50の表示画面50aには、設定変更中画像SHの上から重ねて、上向きの矢印を示す設定値変更画像YG(変更示唆画像)が表示される。この設定値変更画像YGの表示により、設定変更者に設定値が変更(上昇)したことを把握させることが可能である。なお設定値変更画像YGは、RAMクリアスイッチ191を押下操作してから数秒間だけ表示された後に非表示になり、表示画面50aには再び設定変更中画像SHだけが表示されることになる。
また図26(C)に示すように、スピーカ620から、「設定値が変更されました」という音声が出力される。この「設定値が変更されました」という音声により、設定変更者に設定値が変更したことを把握させることが可能である。なお「設定値が変更されました」という音声は、1回だけ出力されて、その後には上述したように「設定変更可能です」という音声が繰り返し出力されることになる。
また図26(C)に示すように、枠ランプ212及び盤ランプ54は、特別な第2発光態様で発光する。この第2発光態様での発光により、設定変更者に設定値が変更したことを把握させることが可能である。なお第2発光態様での発光は、RAMクリアスイッチ191を押下操作してから数秒間だけ実行されて、その後には上述したように第1発光態様での発光に戻ることになる。
続いて、図26(C)に示すように7セグ表示器300に設定値「2」が表示された状態で、RAMクリアスイッチ191を押下操作すると、図22(D)に示すように、7セグ表示器300の第4表示領域340には、設定値「3」が表示される。つまり設定値「2」の表示から、設定値「3」の表示に切替わる。これにより設定変更者は、設定値が「3」に切替わったことを把握することが可能である。
また図26(D)に示すように、画像表示装置50の表示画面50aには設定値変更画像YGが表示され、スピーカ620から「設定値が変更されました」という音声が出力され、枠ランプ212及び盤ランプ54が特別な第2発光態様で発光する。これらにより、設定変更者に再び設定値が変更したことを把握させることが可能である。
ところで、設定変更者は基本的にパチンコ遊技機PY1の裏側(図8参照)に向かい合っていて、RAMクリアスイッチ191を押下操作するとき、7セグ表示器300を見ている。そのため、設定変更者にとっては、表示画面50aでの設定値変更画像YGの表示と、枠ランプ212及び盤ランプ54での特別な第2発光態様での発光を把握し難い。よって、設定値変更画像YGの表示と、特別な第2発光態様での発光は、主に本パチンコ遊技機PY1の周囲にいる遊技場の従業員に向けて、設定値が変更されたことを示唆(報知)する意味になる。このようにして、周囲の遊技場の従業員が、設定値の変更を把握できることで、不正に設定値が変更されていないことを把握することが可能である。
特に、RAMクリアスイッチ191が押下操作されたときに、図26(C)(D)に示すように、表示画面50aでは設定変更中画像SHの表示(モード示唆)よりも、設定値変更画像YGの表示(変更示唆)が優先して実行される。またスピーカ620では「設定変更可能です」という音声の出力(モード示唆)よりも、「設定値が変更されました」という音声の出力(変更示唆)が優先して実行される。また枠ランプ212及び盤ランプ54では特別な第1発光態様での発光(モード示唆)よりも、特別な第2発光態様での発光(変更示唆)が優先して実行される。こうして、設定値が変更可能な状況の示唆よりも、設定値が変更されたことの示唆を優先的に示すことで、万一不正に設定値が変更された場合に、周囲の遊技場の従業員が不正行為に一層気付き易くすることが可能である。
そして、図26(C)(D)に示すように、設定値変更画像YGは、変更する設定値自体を示すものではなく、単に設定値が変更されたことだけを示す画像である。また「設定値が変更されました」という音声も、変更する設定値自体を示すものではなく、単に設定値が変更されたことだけを示す音声である。こうして、設定変更モードであるときに、主に設定変更者だけが見る7セグ表示器300を除き、画像表示装置50、スピーカ620といった演出手段で設定値が示されることはない。従って、周囲の遊技場の従業員には、設定値が変更可能である状況や設定値が変更されたことを把握できても、設定値の値自体を把握することはできない。よって、万一遊技者等の部外者が、設定変更モードにおいて表示画面50aを見たり、スピーカ620からの音声を聞いても、設定値が把握されてしまうのを防ぐことが可能である。
次に、設定値の確定方法について説明する。設定値を確定するためには、設定変更モードにおいて、設定キー184を用いて設定キーシリンダ180の回動部183を回転位置(ON位置)から待機位置(OFF位置)の方へ回転させる必要がある。これにより、設定変更モードが終了して、設定変更モードにおいて最後に表示されていた設定値が確定されることになる。なお設定キー184(回動部183)を回転位置から待機位置の方へ回転させる操作を、「設定確定操作」と適宜呼ぶことにする。
設定確定操作が行われると、図26(F)に示すように、画像表示装置50の表示画面50aには、「設定値を確定しました」の文字を示す設定値確定画像SKが表示される。この設定値確定画像SKの表示により、設定値が確定したことを設定変更者又は周囲の遊技場の従業員に把握させることが可能である。なお設定値確定画像SKは、設定確定操作が行われてからごく僅かの時間だけ表示された後、非表示になる。
また設定確定操作が行われると、図26(F)に示すように、スピーカ620から、「設定値を確定しました」という音声が出力される。この「設定値を確定しました」という音声により、設定変更者又は周囲の遊技場の従業員に設定値が確定したことを把握させることが可能である。なお「設定値を確定しました」という音声は、設定確定操作されたタイミングで1回だけ出力される。
また設定確定操作が行われると、図26(F)に示すように、枠ランプ212及び盤ランプ54が、特別な第3発光態様で発光する。この第3発光態様での発光により、設定変更者又は周囲の遊技場の従業員に設定値が確定したことを把握させることが可能である。なお第3発光態様での発光は、設定確定操作が行われてからごく僅かの時間だけ実行された後、終了する。
ここで本形態では、設定確定操作を行って設定変更モードが終了すると、7セグ表示器300にて点灯態様(変更可能態様)で表示されていた設定値(例えば図26(D)に示す「3」)が見えなくなる。つまり、設定値が非表示(非表示態様)になる。そして7セグ表示器300では替わりに、後述する初期表示(図26(F)参照)が実行される。こうして設定変更者には、点灯態様で表示されていた設定値が非表示態様になることで、設定値の確定を把握させることが可能である。更に、設定値が確定された後に設定値が表示されないことで、確定された設定値を周囲に気付かれ難くすることが可能である。
こうして設定値が確定されると、図26(F)に示すように、7セグ表示器300での初期表示として、第1表示領域310から第4表示領域340までの全ての点灯部分LB1〜LB32(図24参照)が点灯する。こうして全ての点灯部分LB1〜LB32が点灯することで、設定確定操作を行った設定変更者に対して、初期表示の実行を分かり易く示すことが可能である。
7セグ表示器300での初期表示の意味は、以下の通りである。7セグ表示器300は、上述したように設定値を表示する他、後述するようにベースも表示するようになっている。しかしながら、7セグ表示器300で表示される設定値又はベースは、その7セグ表示器300が正常に機能していることを前提とするものであって、7セグ表示器300自体に故障や不具合、或いは不正な改造が施されている可能性が完全にないわけではない。
そこで本形態では、設定変更モードが終了すると、自動的に7セグ表示器300で初期表示が実行される。これにより、設定変更者は、7セグ表示器300が正常に機能していることを把握することが可能である。つまり、設定変更モードで表示されていた設定値は正しい値であったことを確認することが可能である。更に、初期表示の後に表示されるベースも正しく表示されるだろうと認識することが可能である。なお電源投入時に設定変更モードに移行しない場合には、電源投入後すぐに7セグ表示器300にて初期表示が実行されることになる。
ところで本形態では、設定確定操作によって、設定キー184(回動部183)が待機位置まで回転操作される前に、設定変更モードが終了するように構成されている。具体的には、設定キー184が回転位置から待機位置の方へ移動し始めた瞬間に、設定変更モードが終了して、設定値が確定するようになっている。そこで以下では、設定キーシリンダ180の内部に設けられている設定キーシリンダスイッチ180aの構成と、遊技制御用マイコン101の周りの電気回路の構成を説明しつつ、設定値の確定タイミングについて詳細に説明する。
図27に示すように、遊技制御用マイコン101には入力端子P14(図28(A)(B)(C)参照)が設けられている。入力端子P14は、信号ラインE1から、「H」レベル(上限閾値電圧よりも高い電圧)又は「L」レベル(下限閾値電圧よりも低い電圧)の何れかのスイッチ信号を入力するようになっている。なお遊技制御用マイコン101は、信号ラインE1から「H」レベルのスイッチ信号(第1信号)を入力すれば、設定キーシリンダスイッチ180aがONであると判断し、信号ラインE1から「L」レベルのスイッチ信号(第2信号)を入力すれば、設定キーシリンダスイッチ180aがOFFであると判断する。
信号ラインE1は、設定キーシリンダスイッチ180aの端子s1に接続されている。信号ラインE1のうち分岐部分Q1からグランドGに向かって延びるグランドラインE4が設けられている。グランドラインE4には、抵抗T2が直列的に接続されていて、抵抗T2によって信号ラインE1からグランドラインE4の方へ電流を流れ難くしている。このようにして、入力端子P14から延びる信号ラインE1を、設定キーシリンダスイッチ180aに接続しつつ、設定キーシリンダスイッチ180aと入力端子P14との間にある分岐部分Q1にてグランドラインE4を接続している。そして、抵抗T2をプルダウン抵抗にしている。よって、信号ラインE1では、設定キーシリンダスイッチ180aを介してDC5Vの電力が供給されない限り、スイッチ信号のレベルが「L」レベルになるようにしている。
設定キーシリンダスイッチ180aには、端子s2が設けられている。端子s2には電力ラインE2が接続されていて、電力ラインE2にはDC5Vの電力が供給されている。なお図27において、符号Vcは、DC5Vの電力が供給されていることを意味している。電力ラインE2には、抵抗T3が直列的に接続されている。また設定キーシリンダスイッチ180aには、端子s3が設けられている。端子s3には、グランドGに向かって延びるグランドラインE3が接続されている。
ここで設定キーシリンダスイッチ180aには、切替片s4が設けられている。切替片s4の一端部は、端子s1に接続されている。一方、切替片s4の他端部は、設定変更者が設定キー184を回転操作することによって、端子s2又は端子s3に接触可能になっている。こうして、設定キー184が待機位置にあるときには、切替片s4は端子s3に接触していて(図27の実線参照)、設定キー184が回転位置にあるときには、切替片s4は端子s2に接触している(図28(A)参照)。
次に、設定値の確定タイミングを図28(A)(B)(C)に基づいて説明する。図28(A)は、設定キー184(回動部183)が回転位置にあるときの設定キーシリンダスイッチ180aの状態を示す図である。このときには、端子s1と端子s2とが導通状態になっていて、電力ラインE2に供給されているDC5Vの電力が、設定キーシリンダスイッチ180aを介して、信号ラインE1に供給される。これにより、信号ラインE1から遊技制御用マイコン101の入力端子P14に、「H」レベルのスイッチ信号が入力される。こうして、遊技制御用マイコン101の入力端子P14に「H」レベルのスイッチ信号が入力されている間は、設定変更モードになる。
そして、設定変更者が、設定確定操作によって、設定キーシリンダ180を回転位置から待機位置の方へ回転させる。図28(B)は、設定キー184が回転位置から回転し始めた瞬間の設定キーシリンダスイッチ180aの状態を示す図である。図28(B)に示すように、切替片s4が端子s2から離れると、端子s1と端子s2とが非導通状態になる。そのため、電力ラインE2に供給されているDC5Vの電力が、設定キーシリンダスイッチ180aを介して、信号ラインE1に供給されなくなる。このとき、入力端子P14に接続されている信号ラインE1は、分岐部分Q1にてグランドラインE4に接続されているため、スイッチ信号は「H」レベルから「L」レベルに切替わる。つまり、遊技制御用マイコン101の入力端子P14に、「L」レベルのスイッチ信号が入力される。その結果、設定変更モードが終了して、設定値が確定されることになる。
なお図28(C)は、設定キー184(回動部183)が待機位置にあるときの設定キーシリンダスイッチ180aの状態を示す図である。設定変更者が、設定確定操作によって、設定キーシリンダ180を待機位置まで完全に回転させると、切替片s4が端子s3に接触する。このときには上記と同様、電力ラインE2に供給されているDC5Vの電力が、設定キーシリンダスイッチ180aを介して、信号ラインE1に供給されないため、スイッチ信号は「L」レベルのままである。
以上の説明から分かるように、設定値の確定タイミングは、図28(B)に示すタイミングであり、設定キー184が回転位置から回転し始めた途端に、設定変更モードが終了する。そのため設定変更者は、設定確定操作を開始するとすぐに、設定変更モードで7セグ表示器300に表示されていた設定値(例えば図26(D)に示す設定値「3」)を非表示にすることが可能である(図26(F)参照)。言い換えると、設定キー184が待機位置へ回転し終える前に、7セグ表示器300で設定値を見えないようにすることが可能である。こうして、7セグ表示器300で表示されていた設定値をできるだけ早く非表示にすることで、確定された設定値が周囲に把握されてしまう危険性をできるだけ少なくすることが可能である。
また遊技場の開店前に忙しい遊技場の従業員(設定変更者)が設定確定操作を行ったときに、不注意又は不慣れな操作で設定キー184(回動部183)を正しく待機位置まで回転させないおそれがある。しかしながら、仮にこのような事態が生じても、遊技制御用マイコン101に入力されるスイッチ信号は「H」レベルから「L」レベルに切替わるため(図28(A)(B)参照)、設定値を確定して非表示にすることが可能である。よって、設定変更者による不注意又は不慣れな操作であっても、設定変更モードを終了させることが可能であると共に、7セグ表示器300で設定値が表示され続ける事態を防ぐことが可能である。更に、設定変更モードが終了するタイミングが早いことに伴って、設定変更中画像SHの表示、「設定変更可能です」という音声の出力、特別な第1発光態様での発光というモード示唆が終了するタイミングも早いことになる。よって、不注意又は不慣れな操作で設定キーシリンダ180を正しく待機位置まで回転させない事態が生じても、設定値が変更可能である状況が示唆され続けるのを防ぐことが可能である。
その一方で、電源投入時に設定変更モードに移行するためには、設定キー184(回動部183)を待機位置(図28(C)参照)から回転位置(図28(A))までしっかりと回転操作しなければならない。つまり、設定変更者の不慣れな操作や振動等によって、設定キー184が待機位置から中途半端に回転操作された場合、スイッチ信号が「L」レベルから「H」レベルに切替わらないため(図28(B)参照)、設定変更モードに移行することができない。こうして、設定変更者が設定キー184を回転位置まで確実に回転操作したときにだけ、設定値の変更ができるようにして、意図せずに設定変更モードに移行するのをできるだけ防ぐことが可能である。
ところで、図29に示すように、設定キーシリンダ180は、7セグ表示器300よりも左方に配置されている。言い換えると、パチンコ遊技機PY1の裏側で、設定変更者から見た場合には、設定キーシリンダ180が7セグ表示器300よりも右方に配置されている。また、電源スイッチ195及びRAMクリアスイッチ191は、7セグ表示器300および設定キーシリンダ180よりも下方であって、7セグ表示器300よりも設定キーシリンダ180に近い位置(設定変更者から見て設定キーシリンダ180よりも右方)に配置されている。また、電源スイッチ195及びRAMクリアスイッチ191は、左右方向に沿って並設されている。
設定(設定値)を変更しようとする場合、設定変更者は、まず、内枠21を開いて内枠21の裏側を触ることが可能な状態とし、外側カバー25に開閉可能に設けられている開閉カバー25aを開く。これにより、外側カバー25の内側に配された遊技制御基板100に実装されている設定キーシリンダ180に設定キー184を挿入可能な状態となる。
ここで、ほとんどの設定変更者は、利き手である右手で設定キー184を操作しようとする。このとき仮に、設定変更者から見て(すなわち設定キーシリンダ180に正対する者から見て)、設定キーシリンダ180が7セグ表示器300よりも左方にあると、設定変更者の右手(あるいは右腕)が7セグ表示器300に被ってしまい、7セグ表示器300の表示内容(設定値)が見え難くなってしまう可能性がある。
そこで本形態では、設定変更者から見た場合に設定キーシリンダ180を7セグ表示器300よりも右方に配置している。これにより、設定変更者の右手(あるいは右腕)が7セグ表示器300に被らないようにしている。その結果、7セグ表示器300に表示される設定値が見え難くなるのを防ぐことが可能となっている。なおこのような位置関係は、特に設定確定操作の際に、確定直前の設定値(非表示になる直前の設定値)が見えなくて、何の設定値が確定されたのかが分からなくなる事態を防ぐことに効果的である。
また本形態では、設定値の切替操作に用いられるRAMクリアスイッチ191が、7セグ表示器300及び設定キーシリンダ180よりも下方であって、且つ、設定キーシリンダ180よりも設定変更者から見て右方に配置されている。よって、設定変更者が利き手である右手で設定値の切替操作を行う場合に、設定変更者の右手(あるいは右腕)が7セグ表示器300に被らない。よって、設定値の切替操作の際の7セグ表示器300の視認性を良好なものとすることが可能となっている。また、RAMクリアスイッチ191は、7セグ表示器300よりも設定キーシリンダ180に近い位置にあるため、設定変更者が設定キーシリンダ180を操作した利き手(右手)を使って、少ない動作でRAMクリアスイッチ191を操作することが可能となっている。
また本形態では、設定変更モード移行操作に用いられる電源スイッチ195も、RAMクリアスイッチ191と同様、7セグ表示器300よりも設定キーシリンダ180に近い位置に設けられている。よって、設定変更者が設定キーシリンダ180を操作した利き手(右手)を使って、少ない動作で電源スイッチ195およびRAMクリアスイッチ191を操作することが可能となっている。特に、電源スイッチ195とRAMクリアスイッチ191は僅かな間隔で並設されているため、設定変更者は、片方の手だけで電源スイッチ195とRAMクリアスイッチ191の両方を同時に操作し易くなっている。なお、設定変更モード移行操作の際にも、設定変更者の右手(あるいは右腕)は7セグ表示器300に被らない。よって、設定変更モードへ移行させる際の7セグ表示器300の視認性も良好なものとすることが可能となっている。
なお、上記のような効果を期待しない場合は、RAMクリアスイッチ191を、7セグ表示器300の下方であって、設定キーシリンダ180よりも7セグ表示器300に近い位置(例えば、パチンコ遊技機PY1の裏側における左右方向中央よりも左側の位置(あるいは少なくとも設定キーシリンダ180よりも左側の位置))に設けてもよい。このような構成とすれば、設定変更者は、右手で設定キー184を持ったまま(すなわち設定キー184の操作のスタンバイをしたまま)、RAMクリアスイッチ191を左手で操作することが可能であり、このような操作状況においても、右手(あるいは右腕)および左手(あるいは左腕)が共に7セグ表示器300に被ることがないため、設定変更の作業性および7セグ表示器300の視認性を良好なものとすることが可能である。
続いて、図27に戻って、LEDドライバ350について説明する。LEDドライバ350は、7セグ表示器300の内部に一体的に組み込まれているものであり、遊技制御基板100上に実装されているわけではない。こうして、LEDドライバ350を組み込んだ汎用品の7セグ表示器300を用いることで、遊技制御基板100上にLEDドライバを実装するためのスペースが不要になる。その結果、遊技制御基板100に対する設計変更の負担を小さくしつつ、7セグ表示器300の表示制御を行うことが可能である。
図27に示すように、遊技制御用マイコン101には、シリアルデータ送信端子TX3が設けられている。またLEDドライバ350には、シリアルデータ受信端子RXDが設けられている。シリアルデータ送信端子TX3とシリアルデータ受信端子RXDとは、シリアルデータラインE5で接続されている。よって、遊技制御用マイコン101は、シリアルデータラインE5を介してシリアルデータを送信することで、LEDドライバ350の駆動を制御することが可能である。その結果、7セグ表示器300にて設定値の表示制御、初期表示、及び後述するベースの表示制御を行うことが可能である。このようにして、シリアル通信で表示制御を行うことにより、パラレル通信で表示制御を行う場合に比べて、遊技制御基板100上の配線を簡素化することが可能である。その結果、遊技制御基板100に対する設計変更の負担を一層小さくすることが可能である。
なお図27に示すように、シリアルデータラインE5には、ダンピング抵抗T4が直列的に接続されている。このダンピング抵抗T4により、シリアルデータラインE5でのノイズを減衰させることが可能である。またLEDドライバ350には、RST端子が設けられている。RST端子には、リセット信号ラインE6が接続されている。リセット信号ラインE6は、電源ユニット190から払出制御基板170を介してリセット信号が送信されるラインであり、このリセット信号ラインE6には、コンデンサCA5が並列的に接続されている。このコンデンサCA5により、静電気等の影響でリセット信号が「H」レベルであるにも拘わらず、「L」レベルにドロップするような事態を防ぐことが可能である。
次に、パチンコ遊技機PY1に、設定値を示す情報(設定値情報)が記憶されていない場合について説明する。設定値情報は、設定変更モードで設定値が選択(変更)される度に、遊技用RAM104の設定値情報記憶部107(設定値情報記憶手段、図6参照)に記憶されるものである。但し、パチンコ遊技機PY1が生産工場から出荷(工場出荷)される際には、設定値情報記憶部107には、設定値情報が記憶されていない。つまり設定値が何も設定されていない状態になっている。なお本形態では図6に示すように、設定値情報記憶部107は、遊技用RAM104の中に設けられている記憶領域(記憶手段)になっているが、遊技用RAM104とは別に設けられている記憶手段であっても良い。
本パチンコ遊技機PY1では、設定値が何も設定されていない状態で電源投入を行った場合に、エラーモードに移行し得るようにしている。なお設定値が何も設定されていない状態でも、設定変更モード移行操作を行えば、エラーモードではなく、設定変更モードに移行する。エラーモードは、パチンコ遊技機PY1にて遊技に係る制御が実行不可能なモードであり、電源スイッチ195をOFF操作して電源を遮断しない限り、解除されることはない。
エラーモードであるときには、図30(A)に示すように、7セグ表示器300の第4表示領域340にて、点灯部分LB25、LB28、LB29、LB30、LB31(図24参照)が、「E」の文字を表すようにエラー点灯態様で発光する。この発光により、遊技場の従業員等には、エラーモードに移行していること、即ち設定値が設定されていないことを把握させることが可能である。このエラー点灯態様での発光(エラー示唆)は、電源の遮断によってエラーモードが解除されるまで続くようになっている。
またエラーモードであるときには、図30(B)に示すように、表示画面50aに、「設定値が設定されていません 設定変更モード移行操作を行って下さい」の文字を示す操作示唆画像SEが表示される。この操作示唆画像SEの表示(エラー報知)により、遊技場の従業員等には、設定値を設定しなければならない状況を把握させることが可能である。なお操作示唆画像SEの表示は、電源の遮断によってエラーモードが解除されるまで続くようになっている。
またエラーモードであるときには、図30(B)に示すように、スピーカ620から、特殊なエラー音が出力される。またこのときには、図30(B)に示すように、枠ランプ212及び盤ランプ54が、特殊なエラー発光態様で発光する。これらエラー音の出力(エラー報知)と、エラー発光態様での発光(エラー報知)により、遊技場の従業員等には、エラーモードに移行していることを把握させることが可能である。なおエラー音の出力及びエラー発光態様での発光は、電源の遮断によってエラーモードが解除されるまで続くようになっている。
ここで本形態では、遊技用RAM104の設定値情報記憶部107に記憶されている設定値情報は、電源投入時にRAMクリアスイッチ191が押下操作されても、消去されない。従って、工場出荷後に設定変更モード移行操作を行って、設定値情報記憶部107に設定値情報を一旦記憶させれば、その後に設定値情報記憶部107に設定値情報が記憶されていないという事態は生じない。よってこの場合には、次回以降の電源投入時でエラーモードに移行することはない。要するに、エラーモードに移行するのは、一度も設定値が設定されていない状態で、電源投入時に設定変更モード移行操作を行わなかった場合である。このようにして、単にRAMクリアスイッチ191が押下操作された場合や、電源が投入されていない場合(遮断状態)でも、設定値情報を消去しないことで、不必要にエラーモードに移行するのを防ぐことが可能である。なお設定値情報記憶部107は、比較的多くの(頻繁な)アクセスにも対応できるように揮発性の記憶手段(DRAM)で構成されているが、例えば不揮発性の記憶手段(EEPROM等)で構成されていても良い。
8.ベースの表示
次に、図31及び図32に基づいて、ベースの表示について説明する。本形態では、7セグ表示器300にてベースを表示可能である。ベースは、遊技者が発射した遊技球の数である発射球数(総発射球数)に対して遊技者が獲得した賞球数(総賞球数)の割合のことである。7セグ表示器300にて、ベースを確認することで、本パチンコ遊技機PY1に不正な改造が施されていたり、故障や不具合が生じていることを把握することが可能である。
なお本形態で説明するベースとは、あくまで通常遊技状態でのベースを意味していて、大当たり遊技状態でのベース、高確率状態且つ時短状態でのベース、通常確率状態且つ時短状態でのベース、電源投入時から現時点までのベースを意味するものではない。つまり、本形態において以下で説明するベースとは、通常遊技状態において遊技者が発射した遊技球の数である発射球数(総発射球数)に対して、通常遊技状態において遊技者が獲得した賞球数(総賞球数)の割合のことである。従って、以下で説明する総発射球数又は賞球数は、あくまで通常遊技状態での総賞球数又は賞球数を意味するものとする。
本形態では、ベースは、総発射球数が60000発に達する度に、新たに演算されるようになっている。そして、60000発に達する度に演算されたベースの情報(ベース情報)は、遊技用RAM104のベース情報記憶部108(図6参照)に順次記憶されていく。但し、現在演算中のベース(以下「現在ベース」と呼ぶ)の情報と、現在ベースの演算を開始する前で総発射球数が60000発に達したときに演算されたベース(以下「1回前ベース」と呼ぶ)の情報と、1回前ベースの前に総発射球数が60000発に達したときに演算されたベース(以下「2回前ベース」と呼ぶ)の情報と、2回前ベースの前に総発射球数が60000発に達したときに演算されたベース(以下「3回前ベース」と呼ぶ)の情報までが、ベース情報記憶部108に記憶される。こうして7セグ表示器300では、ベース情報記憶部108に記憶されている現在ベースの情報と、1回前ベースの情報と、2回前ベースの情報と、3回前ベースの情報とに基づいて、現在ベースと、1回前ベースと、2回前ベースと、3回前ベースとが表示され得る。
ベースの表示の開始は、設定変更モードに移行したか否か、即ち設定変更モード移行操作を行ったか否かでタイミングが異なる。設定変更モード移行操作を行った場合には、上述したように電源投入後に設定変更モードに移行する。この場合、設定変更モードが終了して7セグ表示器300で初期表示が実行された後に、ベースの表示が開始される。一方、設定変更モード移行操作を行わずに電源投入した場合には、電源投入後すぐに7セグ表示器300で初期表示が実行された後に、ベースの表示が開始される。なお何れの場合であっても、7セグ表示器300で初期表示を経て、ベースの表示が開始される点は変わらない。
図31(A)に示すように、7セグ表示器300で初期表示が開始されると、その初期表示は予め定められた特定時間(本形態では4.8秒)だけ実行される。その後、初期表示の終了に伴って、図31(B)に示すように、現在ベースの表示が開始される。ここで現在ベースが表示される場合には、現在ベース(例えば「36」)は7セグ表示器300の第3表示領域330と第4表示領域340とで2桁で表示(%表示)される。そして、第1表示領域310と第2表示領域320では、「bL.」を示すように点灯部分LB1〜LB16が点灯態様(発光し続ける態様)で発光する。即ち、「bL.」の点灯態様の発光を見れば、現在ベースが表示されていることを意味している。
図31(B)に示す現在ベースの表示は、予め定められた特定時間(本形態では4.8秒)だけ実行される。その後、現在ベースの表示の終了時に、ベース情報記憶部108に1回前ベースの情報が記憶されていれば、図31(C)に示すように、1回前ベースの表示が開始される。ここで1回前ベースが表示される場合には、1回前ベース(例えば「37」)は7セグ表示器300の第3表示領域330と第4表示領域340とで2桁で表示される。そして、第1表示領域310と第2表示領域320では、「b1.」を示すように点灯部分LB1〜LB16が点灯態様で発光する。即ち、「b1.」の点灯態様の発光を見れば、1回前ベースが表示されていることを意味している。
図31(C)に示す1回前ベースの表示は、予め定められた特定時間(本形態では4.8秒)だけ実行される。その後、1回前ベースの表示の終了時に、ベース情報記憶部108に2回前ベースの情報が記憶されていれば、図31(D)に示すように、2回前ベースの表示が開始される。ここで2回前ベースが表示される場合には、2回前ベース(例えば「35」)は7セグ表示器300の第3表示領域330と第4表示領域340とで2桁で表示される。そして、第1表示領域310と第2表示領域320では、「b2.」を示すように点灯部分LB1〜LB16が点灯態様で発光する。即ち、「b2.」の点灯態様の発光を見れば、2回前ベースが表示されていることを意味している。
図31(D)に示す2回前ベースの表示は、予め定められた特定時間(本形態では4.8秒)だけ実行される。その後、2回前ベースの表示の終了に伴って、ベース情報記憶部108に3回前ベースの情報が記憶されていれば、図31(E)に示すように、3回前ベースの表示が開始される。ここで3回前ベースが表示される場合には、3回前ベース(例えば「38」)は7セグ表示器300の第3表示領域330と第4表示領域340とで2桁で表示される。そして、第1表示領域310と第2表示領域320では、「b3.」を示すように点灯部分LB1〜LB16が点灯態様で発光する。即ち、「b3.」の点灯態様の発光を見れば、3回前ベースが表示されていることを意味している。
図31(D)に示す3回前ベースの表示は、予め定められた特定時間(本形態では4.8秒)だけ実行される。その後、3回前ベースの表示の終了に伴って、再び、図31(B)に示すように、現在ベースの表示が開始される。以後、予め定められた特定時間毎に、図31(B)に示す現在ベース表示と、図31(C)に示す1回前ベースの表示と、図31(D)に示す2回前ベースの表示と、図31(E)に示す3回前ベースの表示とが繰り返し実行される。なお現在ベースと1回前ベースと2回前ベースと3回前ベースとは、1%を基準の単位として表示されているが、例えば5%を基準の単位として表示しても良く、適宜変更可能である。
ところで、図31(C)ではベース情報記憶部108に1回前ベースの情報が記憶されている場合に、1回前ベースが表示される場合を示した。これに対して、ベース情報記憶部108に1回前ベースの情報が記憶されていない場合には、図32(C)に示す表示が実行される。即ち、図32(C)に示すように、7セグ表示器300の第3表示領域330と第4表示領域340では、「−−」を示すように点灯部分LB23、LB31(図24参照)が点灯態様で発光する。そして、第1表示領域310と第2表示領域320では、「b1.」を示すように点灯部分LB1〜LB16が点滅態様(発光と消灯を繰り返す態様)で発光する。こうして、「b1.」の点滅態様の発光と「−−」の表示により、1回前ベースが未だ表示不能であることを示している。
以下同様に、ベース情報記憶部108に2回前ベースの情報が記憶されていない場合には、図32(D)に示すように、7セグ表示器300の第3表示領域330と第4表示領域340では、「−−」を示すように点灯部分LB23、LB31が点灯態様で発光する。そして、第1表示領域310と第2表示領域320では、「b2.」を示すように点灯部分LB1〜LB16が点滅態様で発光する。こうして、「b2.」の点滅態様の発光と「−−」の表示により、2回前ベースが未だ表示不能であることを示している。
またベース情報記憶部108に3回前ベースの情報が記憶されていない場合には、図32(E)に示すように、7セグ表示器300の第3表示領域330と第4表示領域340では、「−−」を示すように点灯部分LB23、LB31が点灯態様で発光する。そして、第1表示領域310と第2表示領域320では、「b3.」を示すように点灯部分LB1〜LB16が点滅態様で発光する。こうして、「b3.」の点滅態様の発光と「−−」の表示により、3回前ベースが未だ表示不能であることを示している。なおベース情報記憶部108は、比較的多くの(頻繁な)アクセスにも対応できるように揮発性の記憶手段(DRAM)で構成されているが、例えば不揮発性の記憶手段(EEPROM等)で構成されていても良い。
9.電源投入後の推移
次に、本パチンコ遊技機PY1における電源投入後の推移を、各種操作に分けて説明する。なお電源投入時には、電源スイッチ195をOFF操作(OFF状態)からON操作(ON状態)に切替えることになる。電源投入後、以下に示す5つの場合に分かれる。
先ず第1の場合として、設定変更モード移行操作を行う場合がある。この場合、電源投入するとすぐに、上述したように設定変更モードに移行する。設定変更モードに移行すると、設定キー184を回転位置から待機位置の方へ回転させない限り、設定変更モードは終了しない。設定変更モードが終了すると、上述したように、7セグ表示器300で初期表示が実行されて、その後にベースの表示がなされる(図31参照)。
本形態では、設定変更モード移行操作の中に、電源投入時にRAMクリアスイッチ191を押下操作することが含まれている。しかしながら、上述したように設定変更モードに設定されているときには、遊技用RAM104に記憶されている遊技に係る情報は消去されることはない。そこで本形態では、設定変更モードが終了すると、遊技に係る処理(図43に示すステップS101からステップS106までの遊技制御処理)が実行される前に自動的に遊技に係る情報を消去するようにしている。これにより、設定変更モードで設定値が変更されたにも拘わらず、電源投入前に記憶された遊技に係る情報が残っている状態で遊技が再開されるのを防ぐことが可能である。また設定変更モードが終了すると、RAMクリアスイッチ191を再度押下操作することなく、遊技に係る情報が消去されるため、設定変更者には操作の重複を強いることなく遊技に係る情報を消去させることが可能である。
但し、設定変更モードが終了した後に、遊技に係る情報が消去される場合、設定値情報記憶部107に記憶されている設定値情報は消去されない。仮に、遊技に係る情報が消去されることに伴って、設定値情報まで消去されることになると、設定変更モードで決定した設定値が無意味になってしまうからである。こうして、設定値情報を消去しないことで、次回の電源投入時にも、設定値情報が記憶されたままになる。その結果、遊技場の従業員にとっては、前回と同じ設定値で良い場合に設定値を再度設定する必要がなくなり、操作負担の増加を回避することが可能である。
以上により、設定変更モードが終了すると、遊技制御用マイコン101は、遊技に係る情報を消去する。その後、後述するメイン側タイマ割り込み処理(S005、図43参照)により、遊技に係る処理(ステップS101からステップS106までの遊技制御処理)を実行すると共に、7セグ表示器300での初期表示とベース表示に係る処理(ステップS108のベース表示処理)を実行する。
次に第2の場合として、設定値情報が記憶されていない状態で、電源投入時に設定変更モード移行操作を行わない場合がある。この場合、電源投入するとすぐに、上述したようにエラーモードに移行する。エラーモードであるときには、図30(A)に示すように、7セグ表示器300が「E」の文字を表すようにエラー点灯態様で発光する。これにより、7セグ表示器300で設定値ではなく「E」の文字を見た遊技場の従業員に、設定値が未だ設定されたことがないことを把握させることが可能である。またエラーモードであるときには、図30(B)に示すように、スピーカ620から特殊なエラー音が出力され、枠ランプ212及び盤ランプ54が特殊なエラー発光態様で発光する。これにより、パチンコ遊技機PY1の裏側にて(図8参照)7セグ表示器300で「E」の文字を示す場合よりも、エラーモードへの移行をより分かり易く示すことが可能である。その結果、電源スイッチ195をON操作した人や周囲の遊技場の従業員に、本パチンコ遊技機PY1が遊技を実行できない状況であることを認識させ易くすることが可能である。エラーモードに移行した場合には、電源を遮断するまで当該エラーモードを解除することができない。よって次回の電源投入時に、設定変更モードに移行して、設定値を設定する(設定値情報を記憶する)必要がある。
続いて第3の場合として、設定値情報が記憶されている状態で、電源投入時にRAMクリアスイッチ191を押下操作している場合がある。但し、第3の場合は、電源スイッチ195をOFF操作からON操作に切替えるときに、設定キーシリンダ180を移動位置まで回転操作していない場合である。この場合には、電源投入するとすぐに、設定変更モードに移行せずに、遊技用RAM104に記憶されている遊技に係る情報が消去される。但しこのときにも、設定値情報記憶部107に記憶されている設定値情報は消去されない。仮に設定値情報が消去されることになると、次回の電源投入時にエラーモードに移行しないように設定変更モード移行操作を行う必要があって、操作の煩雑化を招くからである。こうして、遊技に係る情報が消去された後、遊技制御用マイコン101は、後述するメイン側タイマ割り込み処理(S005、図43参照)により、遊技に係る処理(ステップS101からステップS106までの遊技制御処理)を実行すると共に、7セグ表示器300での初期表示とベース表示に係る処理(ステップS108のベース表示処理)を実行する。
続いて第4の場合として、設定値情報が記憶されている状態で、電源投入時に設定キー184を回転位置まで回転操作している場合がある。但し、第4の場合は、電源スイッチ195をOFF操作からON操作に切替えるときにRAMクリアスイッチ191を押下操作していない場合である。この場合には、電源投入するとすぐに、設定変更モードに移行せずに、設定値確認モードに移行する。設定値確認モードは、設定変更モードとは異なり設定値を選択することはできないものの、記憶されている設定値情報に基づく設定値を確認するモードである。例えば設定値が「1」であることを示す設定値情報が記憶されている場合に設定値確認モードに移行すると、7セグ表示器300の第4表示領域340が「1」を示すように発光する。この設定値確認モードは、7セグ表示器300で設定値の表示を開始してから一定時間(例えば3秒)経過すると終了するようになっている。こうして遊技場の従業員は、電源投入時に遊技に係る情報を消去(ラムクリア)することなく、単に何れの設定値であるかを確認したいだけの場合には、設定値確認モードに移行することで、現時点での設定値を確認することが可能である。
設定値確認モードへの移行は、例えば以下の場合が考えられる。遊技者による遊技中に、画像表示装置50の不具合や、可動部材(盤可動体55k、遊技機枠2に設けられている枠可動体、AT開閉部材14k、電チュー開閉部材12k等)の不具合が生じる場合がある。この場合、遊技場の従業員は、上記した不具合を解消するために、電源スイッチ195をOFF操作した後にON操作して電源を再投入することがある。このとき、遊技を中断しているため、遊技に係る情報を消去しないように、電源投入時にRAMクリアスイッチ191を押下操作しない。但し遊技場の従業員は、設定されている設定値を確認したい場合があり得る。そこでこのような場合には、電源投入時に設定キー184を回転位置にしておくことで、設定値確認モードに移行することができて、7セグ表示器300で設定値を確認することが可能である。なおこのときには、あくまで7セグ表示器300だけに設定値が示されて、画像表示装置50、スピーカ620といった演出手段で設定値が示唆されることはない。これは遊技者に設定値が把握されるのを防ぐためである。なお画像表示装置50、スピーカ620といった演出手段で設定値確認モードに設定されていることを示唆する演出が実行されるようにしても良い。
設定値確認モードが終了すると、遊技制御用マイコン101は、基本的には遊技に係る情報をクリアしないで、後述するメイン側タイマ割り込み処理(S005、図43参照)により、遊技に係る処理(ステップS101からステップS106までの遊技制御処理)を実行すると共に、7セグ表示器300での初期表示とベース表示に係る処理(ステップS108のベース表示処理)を実行する。但し、遊技に係る処理を実行する前に、遊技用RAM104のチェックサムと電断時に格納(記憶)しておいた遊技用RAM104のチェックサムとが一致しないと判断した場合には、例外的に遊技用RAM104の記憶内容が異常であることとして、遊技に係る情報はクリアされる。
最後に第5の場合として、設定値情報が記憶されている状態で、単に電源スイッチ195をOFF操作からON操作に切替えただけの場合がある。即ち、第5の場合は、電源投入時に設定キー184を回転位置まで回転操作しておらず、且つRAMクリアスイッチ191を押下操作していない場合である。この場合には、電源投入後に設定変更モード又は設定値確認モードに移行することがない。そのため、電源投入するとすぐに、遊技制御用マイコン101は、基本的には遊技に係る情報をクリアしないで、遊技に係る処理を実行すると共に、7セグ表示器300での初期表示とベース表示に係る処理を実行する。但し、遊技に係る処理を実行する前に、遊技用RAM104のチェックサムと電断時に格納しておいた遊技用RAM104のチェックサムとが一致しないと判断した場合には、例外的に遊技に係る情報はクリアされる。
10.図柄設定示唆演出及び高設定示唆演出
本形態では、上述したように設定変更モードに設定されているときには、周囲に設定値が把握されてしまう可能性をできるだけ減らすべく、画像表示装置50の表示画面50aに設定値を示唆する画像が表示されることはない。しかしながら仮に、設定変更モードが終了した後であっても、画像表示装置50の表示画面50aで設定値を示唆する画像が全く表示されることがないと、遊技中の遊技者に対して設定値を推測させる興趣性を提供させることができなくなる。そこで本形態では、設定変更モードが終了した後には、画像表示装置50の表示画面50aにて図柄設定示唆演出又は高設定示唆演出を実行することがあって、遊技者に興趣性を提供することが可能である。
先ず、図柄設定示唆演出について説明する。図柄設定示唆演出は、演出図柄EZがハズレ態様で停止表示される際に、左演出図柄EZ1又は中演出図柄EZ2或いは右演出図柄EZ3の何れかによって、設定されている設定値を示唆する演出である。なお左演出図柄EZ1とは、表示画面50aの左側にある左演出図柄表示領域に停止表示される演出図柄EZという意味である。また中演出図柄EZ2とは、表示画面50aの中央にある中演出図柄表示領域に停止表示される演出図柄EZという意味である。また右演出図柄EZ3とは、表示画面50aの右側にある右演出図柄表示領域に停止表示される演出図柄EZという意味である。
図33に示すように、演出図柄EZは、数字を示す部分(数字部分)とキャラクタを示す部分とが組み合わされた表示態様になっていて、9種類の演出図柄EZがある。以下では、数字部分が「1」である演出図柄EZを第1演出図柄EZaと呼び、数字部分が「2」である演出図柄EZを第2演出図柄EZbと呼び、数字部分が「3」である演出図柄EZを第3演出図柄EZcと呼び、数字部分が「4」である演出図柄EZを第4演出図柄EZdと呼び、数字部分が「5」である演出図柄EZを第5演出図柄EZeと呼び、数字部分が「6」である演出図柄EZを第6演出図柄EZfと呼び、数字部分が「7」である演出図柄EZを第7演出図柄EZgと呼び、数字部分が「8」である演出図柄EZを第8演出図柄EZhと呼び、数字部分が「9」である演出図柄EZを第9演出図柄EZiと呼ぶことにする。
図柄設定示唆演出は、大当たりの判定がハズレである場合に実行されるものである。この場合、図34(A)〜(F)に示すハズレ演出図柄抽選テーブルを用いて、停止表示される3つの演出図柄EZ(左演出図柄EZ1、中演出図柄EZ2、右演出図柄EZ3)のうちの1つの演出図柄EZが決定される。図34(A)〜(F)に示すハズレ演出図柄抽選テーブルは、設定値に応じてそれぞれ設けられている。そのため、図34(A)〜(F)に示すハズレ演出図柄抽選テーブルのうち、現時点で設定されている設定値に対応したテーブルが用いられる。図34(A)〜(F)に示すように、第1演出図柄EZaから第9演出図柄EZiのうち、設定値に対応する演出図柄EZがその他の演出図柄EZに比べて抽選される割合(振分率)が高くなるように、各種ハズレ演出図柄抽選テーブルが設定されている。なお各種ハズレ演出図柄抽選テーブルで決定された演出図柄EZは、左演出図柄EZ1又は中演出図柄EZ2或いは右演出図柄EZ3の何れになるかは、抽選によって決定される。ハズレ演出図柄抽選テーブルで決定された演出図柄EZ以外の残り2つの演出図柄EZは、変動パターンに基づいて図示しない演出図柄抽選テーブルを用いて抽選によって決定される。
以上により例えば、設定値が「6」に設定されている場合に、演出図柄EZがハズレ停止態様で停止表示される際には、左演出図柄EZ1又は中演出図柄EZ2或いは右演出図柄EZ3の何れかが第6演出図柄EZfになっている頻度が高くなる。つまり、図35(A)に示すように変動演出が開始された後に、図35(B)に示すように左演出図柄EZ1、中演出図柄EZ2、右演出図柄EZ3が停止表示された際に、それら3つの演出図柄EZ1,EZ2,EZ3のうちの何れかが第6演出図柄EZfで停止表示され易くなる。その結果、遊技者には第6演出図柄EZfの停止表示を比較的多く把握させることになり、設定値が「6」であることを推測させることが可能である。言いえれば、遊技者にはハズレであってもどの演出図柄EZの停止表示の頻度が高いのかを注目させることが可能であり、斬新な遊技興趣を提供することが可能である。
次に、高設定示唆演出について説明する。高設定示唆演出は、SPリーチハズレで演出図柄EZが停止表示されたときに、設定値が「4」又は「5」或いは「6」という高設定であることを示唆する演出である。この高設定示唆演出は、設定値が「4」又は「5」或いは「6」に設定されている場合にだけ実行されることがあって、設定値が「1」又は「2」或いは「3」に設定されている場合には実行されないものである。従って遊技者は、高設定示唆演出の実行を把握した段階で、設定値が「4」又は「5」或いは「6」であることを把握することが可能である。
ここで本形態の高設定示唆演出は、SPリーチハズレであるという条件と、電源投入からの発射球数が10000発、20000発、30000発、40000発、50000発、600000発といった10000発の倍数に到達している条件とが満たされた場合に、実行される。SPリーチハズレであるという条件が設けられているのは、SPリーチハズレで大きく落胆している遊技者に高設定示唆演出の実行によって、遊技意欲を維持させるためである。また発射球数が10000発の倍数に到達している条件が設けられているのは、高設定示唆演出をごく稀に実行され得る特典にするためである。
具体的に、高設定示唆演出は、図36に示すように実行される。即ち、リーチになった後に、図36(A)に示すようにSPリーチとしてバトル演出が実行される。図36(A)では、バトル演出として、主人公キャラとライバルキャラとが野球で戦うことを示すバトル画像BTが表示画面50aに表示される。その後、図36(A)に示すようにSPリーチハズレとしてバトル敗北演出が実行される。図36(B)では、バトル敗北演出として、主人公キャラが敵キャラに敗北したことを示すバトル敗北画像BHが表示画面50aに表示される。続いて、図36(C)に示すように演出図柄EZ(左演出図柄EZ1、中演出図柄EZ2、右演出図柄EZ3)がハズレ態様(例えば「191」)で停止表示される。こうして遊技者に、SPリーチハズレを把握させた状態で、図36(D)に示すように、高設定示唆演出が実行される。具体的に図36(D)では、高設定示唆演出として、不死鳥が飛んで現れることを示す不死鳥画像FT(示唆演出画像)が表示画面50aに表示される。これにより、不死鳥画像FTを見た遊技者には、設定値が「4」又は「5」或いは「6」であることを把握させて、SPリーチハズレの失望感を忘れさせると共に、高設定による大きな高揚感を与えることが可能である。
11.遊技制御基板に対する不正対策
次に、遊技制御用マイコン101の動作を説明する前に、遊技制御基板100に対する不正対策について説明する。不正行為者によって、正規な遊技制御基板100から不正な遊技制御基板にすり替えられて、不正な遊技制御基板が遊技盤1に取付けられることが想定され得る。このような場合、単に正規の遊技用ROM103(図6参照)に替えて、不正な集積回路(不正な遊技用ROMなど)が実装されているだけの不正な遊技制御基板では、例えば正規の遊技用CPU102によるサムチェックの処理(図41のステップS062の処理)により、正規の遊技制御基板100である(正規の遊技用ROM103である)か否かを判別することは技術的に可能である。
しかしながら、不正な遊技制御基板の中でも、不正な集積回路(不正な遊技用ROM)も備えつつ、正規の遊技用CPU102(特定の電子デバイス)及び正規の遊技用ROM103(図6参照)も備えているもの(以下「不正遊技制御基板」と呼ぶ)が考えられる。この場合、サムチェックの処理のように不正行為を判別するための処理においては、正規の遊技用CPU102が正規の遊技用ROM103に基づいて作動する。そして、不正行為の実行タイミングにおいては、正規の遊技用ROM103に基づく正規の遊技用CPU102の作動から、不正な集積回路(不正な遊技用ROM)を作動させるという巧妙な不正行為が実行されるおそれがある。そうなると、サムチェックの処理のように不正行為を判別するための処理が実質的に機能していないことになるため、上記した巧妙な不正行為に気付くことができないという問題点がある。
そこで本形態では、上記した問題点に対して以下のように対処している。上記した巧妙な不正行為では、不正な集積回路を作動させる直前に、正規の遊技用ROM103に基づく正規の遊技用CPU102の作動を停止させることが想定される。即ち、正規の遊技用CPU102に対する通常電源(メイン電力)の供給を一時的に遮断して、正規の遊技用ROM103が作動しないようにしてから、不正な集積回路(不正な遊技用ROM)を作動させる。そして、不正行為を終えた後では、正規の遊技用CPU102に新たに通常電源を供給(再投入)して、正規の遊技用ROM103に基づく正規の遊技用CPU102の作動を再び開始させると考えられる。
ここで上記した巧妙な不正行為が行われる場合、正規の遊技用ROM103が一時的に作動しないように、正規の遊技用CPU102に対する通常電源を遮断した後、通常電源の再投入が必ず実行されることになる。これに対して、演出制御基板120(演出制御用マイコン121)に対しては、通常電源の遮断及び通常電源の再投入は実行されない。即ち、演出制御基板120には通常電源が供給され続けていることになる。従って、遊技用CPU102に対して通常電源が遮断された回数(以下「メイン遮断回数」と呼ぶ)と、演出制御基板120(演出用CPU122)に対して通常電源が遮断された回数(以下「サブ遮断回数」と呼ぶ)とが異なると共に、遊技用CPU102に対して通常電源が投入された回数(以下「メイン投入回数」と呼ぶ)と、演出制御基板120に対して通常電源が投入された回数(以下「サブ投入回数」と呼ぶ)とが異なることになる。つまり、正常の遊技制御基板100では、メイン遮断回数とサブ遮断回数とが一致すると共に、メイン投入回数とサブ投入回数とが一致するところ、不正遊技制御基板では、メイン遮断回数がサブ遮断回数よりも多くなると共に、メイン投入回数がサブ投入回数よりも多くなる。
そこで本形態では、メイン遮断回数をカウントするメイン遮断回数カウンタ(第1遮断カウント手段)が遊技用RAM104に設けられていると共に、メイン投入回数をカウントするメイン投入回数カウンタ(第1投入カウント手段)が遊技用RAM104に設けられている。またサブ遮断回数をカウントするサブ遮断回数カウンタ(第2遮断カウント手段)が演出用RAM124に設けられていると共に、サブ投入回数をカウントするサブ投入回数カウンタ(第2投入カウント手段)が演出用RAM124に設けられている。そして、遊技制御用マイコン101は、メイン遮断回数カウンタによって把握するメイン遮断回数の情報と、メイン投入回数カウンタによって把握するメイン投入回数の情報とを電源情報コマンドに含めて、この電源情報コマンドを演出制御基板120に送信する。
こうして、演出制御基板120の演出制御用マイコン121は、受信した電源情報コマンドに基づいて、メイン遮断回数とメイン投入回数とを把握することができる。また、サブ遮断回数カウンタに基づいてサブ遮断回数を把握することができると共に、サブ投入回数カウンタに基づいてサブ投入回数を把握することができる。よって、演出制御用マイコン121は、メイン遮断回数とサブ遮断回数とを比較すると共に、メイン投入回数とサブ投入回数とを比較することで、不正遊技制御基板であるか否かを判断することが可能である。本形態の電源情報コマンドは、メイン投入回数の情報を含んでいるため「投入情報」に相当すると共に、メイン遮断回数の情報も含んでいるため「遮断情報」にも相当する。
なお、上記した巧妙な不正行為が行われる場合、正規の遊技用CPU102に対する通常電源が遮断された後、遊技用CPU102には、バックアップ電源回路179(詳細にはコンデンサCA3(図12参照)からバックアップ電源(サブ電源)が供給される。従って、遊技用CPU102は、通常電源が供給されていなくても、バックアップ電源に基づいて、メイン遮断回数カウンタによりメイン遮断回数をカウントできると共に、メイン投入回数カウンタによりメイン投入回数をカウントすることができる。
ここで本形態では、遊技制御用マイコン101は、特別図柄の変動表示が開始される度に、メイン遮断回数の情報とメイン遮断回数の情報とを含む電源情報コマンドを演出制御基板120に送信するようになっている。こうして遊技中に頻繁に電源情報コマンドが演出制御基板120に送信されるため、演出制御用マイコン121は、メイン遮断回数とサブ遮断回数との比較、及びメイン投入回数とサブ投入回数との比較を遊技中に絶えず実行することが可能である。その結果、不正遊技制御基板へのすり替えによる不正行為にすぐに気づくことが可能である。
但し本形態では、演出制御用マイコン121は、メイン遮断回数とサブ遮断回数との差が「3」回以上であり、且つ、メイン投入回数とサブ投入回数との差が「3」回以上であるという条件の成立により、異常であると判断するようになっている。即ち、メイン遮断回数とサブ遮断回数との差が「1」回ある、又は、メイン投入回数とサブ投入回数との差が「1」回あるという条件の成立では、異常であると判断しないようにしている。これは、以下の理由に基づく。
即ち、電源ユニット190による動作不良がある場合や、電源ユニット190の初期不良がある場合等に、遊技制御基板100又は演出制御基板120の何れか一方にのみ通常電源が供給される場合があり得る。この場合に、仮にメイン遮断回数とサブ遮断回数との差が「1」回ある、又は、メイン投入回数とサブ投入回数との差が「1」回あるという条件の成立により、異常と判断してしまうと、不正遊技制御基板へのすり替えが行われていないにも拘わらず、異常と判断することになる。従って、誤った異常の判断を防ぐために、メイン遮断回数とサブ遮断回数との差が複数回以上であり、且つ、メイン投入回数とサブ投入回数との差が複数回以上であるという条件の成立により、異常であると判断するようになっている。そして、メイン遮断回数とサブ遮断回数との差、及びメイン投入回数とサブ投入回数との差の両方によって、異常であるか否かを判断するため、誤った異常の判断をより確実に防ぐことが可能である。
そして本形態では、演出制御用マイコン121が、異常であると判断すると、異常であることを示す不正報知演出を実行するようになっている。不正報知演出では、遊技中の遊技者や周囲の遊技者、遊技場の従業員等に対して、不正遊技制御基板へのすり替えが行われていることを報知する演出が実行される。具体的には、図49に示すように、画像表示装置50の表示画面50aに赤色の背景画像RHが表示されると共に、「遊技制御基板エラー」の文字を示す文字画像ERが表示される。更に、盤ランプ54及び枠ランプ212が、異常であることを示す特別の発光態様で発光すると共に、スピーカ620から「ブー」というブザー音が出力される。こうして不正報知演出が実行されることで、周囲の遊技者、遊技場の従業員等に対して、できるだけ早期に不正遊技制御基板へのすり替えに気付かせることが可能である。
12.遊技制御用マイコンの動作
次に、図37〜図48に基づいて、遊技制御用マイコン101の動作について説明する。
[主制御メイン処理]遊技制御基板100に備えられた遊技制御用マイコン101は、電源投入時に、遊技用ROM103から図37に示す主制御メイン処理のプログラムを読み出して実行する。なお、遊技制御用マイコン101の動作説明にて登場するカウンタ、タイマ、フラグ、ステータス、バッファ等は、遊技用RAM104に設けられている。カウンタの初期値は「0」であり、フラグの初期値は「0」つまり「OFF」であり、ステータスの初期値は「1」である
図37に示すように、主制御メイン処理では、まず後述する電源投入時処理(S001)を行う。電源投入時処理(S001)に次いで、割り込みを禁止し(S002)、普通図柄・特別図柄主要乱数更新処理を実行する(S003)。この普通図柄・特別図柄主要乱数更新処理(S003)では、図15に示した種々の乱数カウンタ値を1加算して更新する。各乱数カウンタ値は上限値に至ると「0」に戻って再び加算される。なお各乱数カウンタの初期値は「0」以外の値であってもよく、ランダムに変更されるものであってもよい。また各乱数は、カウンタIC等からなる公知の乱数生成回路を利用して生成される所謂ハードウェア乱数であってもよい。
普通図柄・特別図柄主要乱数更新処理(S003)が終了すると、割り込みを許可する(S004)。割り込み許可中は、メイン側タイマ割り込み処理(S005)の実行が可能となる。メイン側タイマ割り込み処理(S005)は、例えば4msec周期で遊技用CPU102に繰り返し入力される割り込みパルスに基づいて実行される。すなわち、例えば4msec周期で実行される。そして、メイン側タイマ割り込み処理(S005)が終了してから、次にメイン側タイマ割り込み処理(S005)が開始されるまでの間に、普通図柄・特別図柄主要乱数更新処理(S003)による各種カウンタ値の更新処理が繰り返し実行される。なお、割り込み禁止状態のときに遊技用CPU102に割り込みパルスが入力された場合は、メイン側タイマ割り込み処理(S005)はすぐには開始されず、割り込み許可(S004)がされてから開始される。
[電源投入時処理]図38に示すように、電源投入時処理(S001)では、遊技制御用マイコン101はまず、遊技用RAM104へのアクセスの許可設定を行う(S009)。これにより、遊技用RAM104に対する情報の書き込みや読み出しが可能になる。次に、演出制御基板120に対して、遊技用RAM104の設定値情報記憶部107に記憶されている設定値の情報(設定値情報)を通知するための設定値指定コマンドを送信する(S010)。これにより、電源投入時に演出制御基板120が設定値指定コマンドを受信することにより、演出制御用マイコン121は、前回の遊技で設定されていた設定値を把握することが可能である。但し、ステップS010の処理において、設定値情報記憶部107に設定値情報が未だ記憶されていなければ、遊技制御用マイコン101は設定値指定コマンドを送信しないことになる。
続いて、RAMクリアスイッチ191がON(ON状態)であり(押下操作されていて)、且つ設定キーシリンダスイッチ180aがON(ON状態)であるか否かを判定する(S011)。即ち、設定変更モード移行操作が実行されているか否かを判定する。設定変更モード移行操作が実行されていれば(S011でYES)、後述する設定変更モード処理(S012)を経て、ステップS013に進む。
一方、ステップS011で設定変更モード移行操作が実行されていないと判定すれば(S011でNO)、続いて、設定値情報記憶部107に設定値情報が記憶されているか否かを判定する(S016)。設定値情報が記憶されていなければ(S016でNO)、未だ一度も設定値が設定されていないことになり、後述するエラーモード処理(S021)に進む。これに対して、設定値情報が記憶されていれば(S016でYES)、次に、RAMクリアスイッチ191がONであるか否かを判定する(S017)。要するにステップS017の処理は、設定変更モードには移行しないものの、RAMクリアスイッチ191を押下操作した状況か否かを判定する処理である。RAMクリアスイッチ191がONであれば(S017でYES)、ステップS013に進む。
これに対して、RAMクリアスイッチ191がONでなければ(S017でNO)、続いて、設定キーシリンダスイッチ180aがONであるか否かを判定する(S018)。要するにステップS018の処理は、設定変更モードに移行しないものの、設定キーシリンダ180が回転位置になっている状況か否かを判定する処理である。設定キーシリンダスイッチ180aがONであれば(S018でYES)、後述する設定値確認モード処理を実行して(S019)、ステップS020に進む。一方、設定キーシリンダスイッチ180aがONでなければ(S018でNO)、電源投入時に、RAMクリアスイッチ191を押下操作しておらず、且つ設定キーシリンダ180を回転位置にしていないことになる。この場合には、ステップS019の設定確認モード処理を実行することなく、ステップS020に進む。ステップS020に進むと、後述する電断復旧時処理を実行して、ステップS022に進む。
ステップS013では、遊技用RAM104に記憶されている情報をクリアする(S013)。但しこのときには、設定値情報記憶部107に記憶されている設定値情報と、ベース情報記憶部108に記憶されているベースに係わる情報(総発射球数の情報、総賞球数の情報、1回前ベースの情報、2回前ベースの情報、3回前ベースの情報)についてはクリアしない。
こうして、電源投入時にRAMクリアスイッチ191の押下操作があっても、設定値情報がクリアされないことで、電断前に設定されていた設定値で遊技を再開することが可能である。つまり、電源投入の度に設定変更モードに移行して設定値を設定しなくても、遊技を行うことが可能である。また、電源投入時にRAMクリアスイッチ191の押下操作があっても、ベースに係わる情報がクリアされないことで、7セグ表示器300にて電断前と同じ現在ベース、1回前ベース、2回前ベース、3回前ベースを表示することが可能である。
また本形態では、ステップS013の処理において、遊技制御用マイコン101は、メイン遮断回数カウンタの値、及びメイン投入回数カウンタの値をクリアしないようになっている。そして、遊技用RAM104に設けられているメイン遮断回数カウンタ及びメイン投入回数カウンタは、遊技制御用マイコン101に対して通常電源が供給されない状況であっても、バックアップ電源が供給されることにより、それぞれ記憶している値を保持できるようになっている。
なお設定変更モード移行操作を行う場合には、ステップS011でYESと判定されて、ステップS012に進むことになる。この場合、ステップS012の設定変更モード処理を終えない限り、ステップS013において遊技用RAM104に記憶されている遊技に係る情報がクリアされない。要するに、設定変更モード移行操作を行う場合には、設定変更モードが終了した後に、遊技用RAM104に記憶されている遊技に係る情報をクリアすることができる。これに対して、電源投入時に設定キーシリンダ180が回転位置になっていないものの、RAMクリアスイッチ191を押下操作している場合には、ステップS017でYESと判定されて、ステップS013に進むことになる。この場合には、電源投入後すぐに遊技用RAM104に記憶されている遊技に係る情報をクリアすることができる。
ステップS013の後、遊技制御用マイコン101は、遊技用RAM104の作業領域の初期設定を行う(S014)。この初期設定の処理では、遊技用ROM103から読み出された初期設定情報が遊技用RAM104の作業領域にセットされる。続いて、演出制御基板120に対して、遊技用RAM104の記憶内容のクリアを通知するためのRAMクリア通知コマンドを送信して(S015)、ステップS022に進む。
ステップS022では、遊技制御用マイコン101は、メイン投入回数カウンタの値を「1」だけ増加する。こうして、正常な電源の投入として、電源ユニット190から遊技制御基板100(遊技制御用マイコン101)に通常電源が投入される度に、メイン投入回数カウンタの値が「1」ずつ増加することになる。そして、不正遊技制御基板である場合に、上記した巧妙な不正行為により、遊技用CPU102に対する通常電源が遮断された後に、通常電源の投入が行われても、メイン投入回数カウンタの値が増加していくことになる。
ステップS022の後、ステップS023では、その他の電源投入時処理として、例えば遊技用CPU102の設定、SIO、PIO、CTC(割り込み時間の管理のための回路)の設定等を行って、本処理を終える。
[設定変更モード処理]図39に示すように、設定変更モード処理(S012)では、遊技制御用マイコン101はまず、演出制御基板120に対して、設定変更モードへの移行を通知するための設定モード移行コマンドを送信する(S030)。そして、設定値情報記憶部107に設定値情報が記憶されているかを判定する(S031)。設定値情報が記憶されていれば(S031でYES)、電断前に設定値が設定されているため、設定値情報に基づいて設定値を7セグ表示器300に表示する(S032)(図26(B)参照)。具体的に、遊技制御用マイコン101は、シリアルデータ送信端子TX3(図27参照)から設定値を表示するためのシリアルデータをLEDドライバ350に送信する。こうして設定変更者は、設定変更モード移行操作を行った直後に、電断前に設定されていた設定値を7セグ表示器300にて把握することが可能である。
ステップS033では、RAMクリアスイッチ191がONであるか否かを判定する。つまり、設定変更モードでRAMクリアスイッチ191が押下操作された状況か否かを判定する。ONであれば(S033でYES)、設定値を1つ繰り上げるために、新しい設定値情報を設定値情報記憶部107に記憶する(S034)。なお設定値が「6」であるとき、RAMクリアスイッチ191が押下操作された場合には、設定値が「1」であることを示す設定値情報が記憶されることになる。続いて、新しい設定値情報に基づいて、設定値を7セグ表示器300に表示する(S035)(図26(C)(D)参照)。これにより設定変更者には、設定値が繰り上がったことを把握させることが可能である。
続いて、遊技制御用マイコン101は、演出制御基板120に対して、設定値が変更されたことを通知するための設定値変更コマンドを送信すると共に(S036)、1つ繰り上がった設定値の情報(設定値情報)を通知するための設定値指定コマンドを送信して(S037)、ステップS038に進む。ステップS038では、設定キーシリンダスイッチ180aがOFFであるか否かを判定する。即ち、設定確定操作が行われたか否かを判定する。OFFでなければ(S038でNO)、未だ設定変更モードを終了させるタイミングでないため、ステップS033に戻る。一方、OFFであれば(S038でYES)、演出制御基板120に対して、確定された設定値の情報(設定値情報)を通知するための設定値指定コマンド(確定設定情報)を送信する(S039)。そして、演出制御基板120に対して、設定変更モードの終了を通知するための設定モード終了コマンドを送信する(S040)。更に、7セグ表示器300で表示していた設定値を非表示態様にして(S041)、上述したステップS013(図38参照)に進む。こうして、設定キーシリンダスイッチ180aがOFFになるとすぐに、7セグ表示器300では設定値が見えなくなって、周囲に確定した設定値を把握させ難くすることが可能である。ステップS013以降の処理は、上述しているため、説明を省略する。
[設定値確認モード処理]図40に示すように、設定値確認モード処理(S019)では、遊技制御用マイコン101はまず、設定値情報に基づいて設定値を7セグ表示器300に表示する(S050)。続いて、7セグ表示器300で設定値の表示を開始してから一定時間(例えば3秒)が経過したか否かを判定する。経過していなければ(S051でNO)、ステップS051の処理を繰り返すことになり、7セグ表示器300での設定値の表示が継続する。一方、経過していれば(S051でYES)、7セグ表示器300にて表示していた設定値を非表示態様にして(S052)、後述するステップS020(図38の電断復旧時処理参照)に進む。以上、設定値確認モード処理(S019)では、上述した設定変更モード処理(S012)と異なり、設定値の変更を行うことはなくて、単に現時点での設定値を7セグ表示器300で表示するだけである。
[電断時復旧時処理]図41に示すように、電断復旧時処理(S020)では、遊技制御用マイコン101はまず、電源断フラグがONであるか否かを判定する(S060)。電源断フラグは、電断の発生を示すフラグであり、後述する電源断監視処理(図47参照)でONにされるフラグである。電源断フラグがONでなければ(S060でNO)、正常に電源が遮断されていない可能性があるため、ステップS065に進む。
一方、電源断フラグがONであれば(S060でYES)、遊技用RAM104のチェックサムを算出して(S061)、これを電断時に格納(記憶)しておいた遊技用RAM104のチェックサム(図47のステップS161参照)と一致するか否かを判定する(S062)。これらチェックサムの値が一致しなければ(S062でNO)、遊技用RAM104の記憶内容が異常であると判断し、ステップS065に進む。これに対して、チェックサムの値が一致すれば(S062でYES)、遊技用RAM104の記憶内容が正常であると判断し、ステップS063に進む。
ステップS063では、復電時における遊技用RAM104の作業領域の設定管理を行う。この設定処理では、遊技用ROM103から復電時情報を読み出し、この復電時情報を遊技用RAM104の作業領域にセットする。その後、遊技制御用マイコン101は、電源断フラグをOFFして(S064)、上述したステップS022(図38参照)に進む。ステップS022以降の処理は、上述しているため、説明を省略する。
一方、ステップS065では、遊技用RAM104に記憶されている情報をクリアする。このときには、設定値情報記憶部107に記憶されている設定値情報と、ベース情報記憶部108に記憶されているベースに係わる情報(総発射球数の情報、総賞球数の情報、1回前ベースの情報、2回前ベースの情報、3回前ベースの情報)についてはクリアしない。但し、ステップS065に進む場合は、正常に電源が遮断されていない可能性がある場合や、チェックサムの値が一致せずに遊技用RAM104の記憶内容が異常である可能性がある場合である。よって、ステップS065の処理の替わりに、設定値情報及びベースに係わる情報もクリアするようにしても良い。そしてこの場合には、設定値情報をクリアした後に、初期値の設定値として例えば「1」を示す設定値情報を設定値情報記憶部107に新たに記憶するようにしても良い。なおステップS065の処理において、遊技用RAM104にセットされている電源断フラグがONであれば、電源断フラグはOFFにされる。
また本形態では、ステップS065の処理において、遊技制御用マイコン101は、メイン遮断回数カウンタの値、及びメイン投入回数カウンタの値をクリアしないようになっている。そして、遊技用RAM104に設けられているメイン遮断回数カウンタ及びメイン投入回数カウンタは、遊技制御用マイコン101に対して通常電源が供給されない状況であっても、バックアップ電源が供給されることにより、それぞれ記憶している値を保持できるようになっている。
ステップS065の後、遊技用RAM104の作業領域の初期設定を行う(S066)。この初期設定の処理では、遊技用ROM103から読み出された初期設定情報が遊技用RAM104の作業領域にセットされる。続いて遊技制御用マイコン101は、演出制御基板120に対して、遊技用RAM104の記憶内容のクリアを通知するためのRAMクリア通知コマンドを送信して(S067)、上述したステップS022(図38参照)に進む。
[エラーモード処理]図42に示すように、エラーモード処理(S021)では、遊技制御用マイコン101はまず、7セグ表示器300の第4表示領域340にて「E」(図30(A)参照)の文字を示すためのエラー表示処理を実行する(S080)。具体的に、遊技制御用マイコン101は、シリアルデータ送信端子TX3(図27参照)から「E」の文字を示すためのシリアルデータをLEDドライバ350に送信する。これにより、7セグ表示器300の第4表示領域340では、「E」の文字を表すようにエラー点灯態様で発光する。こうして遊技場の従業員等には、7セグ表示器300で「E」の文字を見せることで、エラーモードへの移行を把握させることが可能である。
続いて、遊技制御用マイコン101は、演出制御基板120に対して、エラーモードへの移行を通知するためのエラーコマンドを送信する(S081)。その後は、電源投入時処理(S001、図37参照)に戻ることなく、ループ処理を行う。こうして、エラーモードに移行した場合には、電源を遮断するまでエラーモードが継続する。よって、次回の電源投入時に設定変更モードに移行して、設定値を設定しなければ、遊技を開始することができないようになっている。
[メイン側タイマ割り込み処理]遊技制御用マイコン101は、図43に示すメイン側タイマ割り込み処理(S005)を例えば4msecといった短時間毎に繰り返す。なおメイン側タイマ割り込み処理(S005)が、遊技の結果に影響を及ぼす制御処理に相当し、遊技用CPU102によって実行されることになる。まず、遊技制御用マイコン101は、大当たり抽選に用いる大当たり乱数、大当たりの種別を決めるための当たり種別乱数、演出図柄変動演出においてリーチ状態とするか否か決めるためのリーチ乱数、変動パターンを決めるための変動パターン乱数、普通図柄抽選に用いる普通図柄乱数(当たり乱数)等を更新する乱数更新処理を行う(S101)。なお各乱数の少なくとも一部は、カウンタIC等からなる公知の乱数生成回路を利用して生成される所謂ハードウェア乱数であってもよい。全ての乱数をハードウェア乱数とする場合、ソフトウェアによる乱数の更新処理は必要ない。また乱数発生回路は、遊技制御用マイコン101に内蔵されていてもよい。
次に、遊技制御用マイコン101は、入力処理を行う(S102)。入力処理(S102)では、主にパチンコ遊技機PY1に取り付けられている各種センサ(第1始動口センサ11a,第2始動口センサ12a、ゲートセンサ13a、大入賞口センサ14a、一般入賞口センサ10a、排出口センサ18a(図6参照))が検知した検出信号を読み込み、入賞口の種類に応じた賞球を払い出すための賞球コマンドを遊技用RAM104の出力バッファにセットする。なおセットされた賞球コマンドは、払出制御基板170に送信される。
続いて、遊技制御用マイコン101は、始動口センサ検出処理(S103)、特別動作処理(S104)、および普通動作処理(S105)を実行する。始動口センサ検出処理(S103)では、第1始動口センサ11a又は第2始動口センサ12aによる入賞検知があれば、入賞検知のあった始動口に対応する保留記憶が4個未満であることを条件に大当たり乱数等の乱数(大当たり乱数、当たり種別乱数、リーチ乱数、及び変動パターン乱数(図15(A)参照))を取得する。また、ゲートセンサ13aによる通過検知があれば、普図保留が4個未満であることを条件に普通図柄乱数(図15(B)参照)を取得する。
特別動作処理(S104)では、始動口センサ検出処理(S103)にて取得した大当たり乱数等の乱数を、設定値情報が示す設定値に基づく大当たり判定テーブル(図16(A)〜(F)参照)、当たり種別判定テーブル(図14参照)、リーチ判定テーブル(図17(A)参照)、特図変動パターン判定テーブル(図18参照)を用いて判定する。そして、大当たり抽選の結果を示すための特別図柄の表示(変動表示と停止表示)を行う。この特別図柄の変動表示を開始する際には、特別図柄の変動表示の変動パターンの情報を含む変動開始コマンドを遊技用RAM104の出力バッファにセットする。また特別図柄の停止表示を開始する際には、変動停止コマンドを遊技用RAM104の出力バッファにセットする。大当たり乱数の判定の結果、大当たりに当選していた場合には、大当たりの種別に応じた所定の開放パターン(開放時間や開放回数、図14参照)に従って大入賞口14を開放させる大当たり遊技(特別遊技)を行う。この大当たり遊技の実行において、オープニングを開始する際には、当選した大当たり図柄の種別の情報を含むオープニングコマンドを遊技用RAM104の出力バッファにセットする。またラウンド遊技を開始する際には、ラウンド指定コマンドを遊技用RAM104の出力バッファにセットする。またエンディングを開始する際には、エンディングコマンドを遊技用RAM104の出力バッファにセットする。また特別動作処理(S104)において、遊技状態が変更した場合等に、遊技状態の情報を含む遊技状態指定コマンドを遊技用RAM104の出力バッファにセットする。また特別動作処理(S104)において、大当たり乱数等の乱数の記憶がない場合には、演出制御用マイコン121に客待ち演出を実行させるための客待ち待機コマンドをセットする。
普通動作処理(S105)では、始動口センサ検出処理(S103)にて取得した普通図柄乱数、普通図柄当たり判定テーブル(図17(B)参照)を用いて判定すると共に、普通図柄変動パターン選択テーブル(図17(C)参照)を用いて遊技状態に応じた普通図柄の変動時間を選択する。そして、普図抽選の判定結果を報知するための普通図柄の表示(変動表示と停止表示)を行う。普通図柄乱数の判定の結果、普通当たり図柄に当選していた場合には、遊技状態に応じた所定の開放パターン(開放時間や開放回数、図19参照)に従って電チュー12Dを開放させる補助遊技を行う。
次に、遊技制御用マイコン101は、上述の各処理においてセットしたコマンド等を演出制御基板120等に出力する出力処理を行う(S106)。そして、後述するベース演算処理(S107)、ベース表示処理(S108)、電源断監視処理(S109)、電源情報コマンド処理(S110)を実行して、本処理を終える。
[ベース演算処理]図44に示すように、ベース演算処理(S107)では、遊技制御用マイコン101はまず、発射球数カウント処理を実行する(S110)。発射球数カウント処理(S110)では、排出口センサ18aからの検出信号に基づいて、遊技用RAM104に設けられている発射球数カウンタの値を増加させる。但し本形態では、通常遊技状態でのベースを演算するため、通常遊技状態である場合に限り発射球数カウンタの値を増加させる。次に、発射球数が10000発の倍数であるか否か、即ち発射球数カウンタの値が10000、20000、30000、40000、50000、60000といった10000の倍数であるか否かを判定する(S111)。10000発の倍数でなければ(S111でNO)、ステップS113に進む。一方、10000発の倍数であれば(S111でYES)、演出制御用マイコン121に発射球数が10000発の倍数になったことを通知するための設定示唆条件成立コマンドを遊技用RAM104にセットする(S112)。
続いて、ステップS113では、総賞球数カウント処理を実行する。総賞球数カウント処理(S113)では、第1始動口センサ11a、第2始動口センサ12a、大入賞口センサ14a、一般入賞口センサ10aからの検出信号に基づいて、遊技用RAM104に設けられている総賞球数カウンタの値を、賞球数に応じた値だけ増加させる。但し本形態では、通常遊技状態でのベースを演算するため、通常遊技状態である場合に限り総賞球数カウンタの値を、賞球数に応じた値だけ増加させる。本形態では、第1始動口11への入賞に対する賞球数は「3」であり、第2始動口12への入賞に対する賞球数は「1」であり、大入賞口への入賞に対する「10」であり、一般入賞口10への入賞に対する賞球数は「5」であるが、これらの賞球数は適宜変更可能である。
続いて、現在ベース演算処理を実行する(S114)。現在ベース演算処理(S114)では、総賞球数カウンタの値を発射球数カウンタの値で除算して100倍することで、現在ベース(%)を演算する。そして演算した現在ベースの情報(現在ベース情報)をベース情報記憶部108に記憶する。
ステップS114の後、発射球数が60000発に到達したか否か、即ち発射球数カウンタの値が60000以上であるか否かを判定する(S115)。60000発に到達していなければ(S115でNO)、本処理を終える。一方、60000発に到達していれば(S115でYES)、ベース情報記憶部108に記憶されているベース情報をシフトして記憶する(S116)。
具体的には、3回目前ベースの情報(3回前ベース情報)の記憶があれば、その3回目前ベース情報をクリアする。また2回前ベースの情報(2回前ベース情報)の記憶があれば、その2回前ベース情報を3回前ベース情報として記憶する。また1回前ベースの情報(1回前ベース情報)の記憶があれば、その1回前ベース情報を2回前ベース情報として記憶する。また現在ベースの情報(現在ベース情報)は、1回前ベース情報として記憶する。
ステップS116の後、発射球数カウンタの値をクリアすると共に(S117)、総賞球数カウンタの値をクリアして(S118)、本処理を終える。こうして、発射球数が60000発に達する度に、発射球数及び総賞球数がリセットされて、現在ベースの演算がなされることになる。
[ベース表示処理]図45に示すように、ベース表示処理(S108)では、遊技制御用マイコン101はまず、初期表示終了フラグがONであるか否かを判定する(S120)。初期表示フラグは、7セグ表示器300での初期表示が終了したことを示すフラグである。初期表示終了フラグがONでなければ(S120でNO)、7セグ表示器300で初期表示を実行するための初期表示処理を実行する(S121)。具体的に、遊技制御用マイコン101は、シリアルデータ送信端子TX3(図27参照)から、7セグ表示器300の全ての点灯部分LB1〜LB32を点灯させるためのシリアルデータをLEDドライバ350に送信する。こうして図26(F)に示すように、7セグ表示器300で初期表示が実行されることで、7セグ表示器300自体に故障や不具合、或いは不正な改造が施されていないことを確認することが可能である。
続いて、7セグ表示器300で初期表示の開始をしてから特定時間(本形態では4.8秒)が経過したか否かを判定する(S122)。経過してなければ(S122でNO)、未だ7セグ表示器300での初期表示を継続させるため、本処理を終える。一方、経過していれば(S122でYES)、7セグ表示器300での初期表示を終了させるタイミングであり、現在ベース表示フラグをONにする(S123)。現在ベース表示フラグは、7セグ表示器300で現在ベースを表示することを示すフラグである。ステップS123の後、初期表示終了フラグをONにして(S124)、本処理を終える。
ステップS120で、初期表示フラグがONである場合には(S120でYES)、ステップS125に進み、現在ベース表示フラグがONであるか否かを判定する(S125)。現在ベース表示フラグがONであれば(S125でYES)、7セグ表示器300で現在ベースを表示するための現在ベース表示処理を実行する(S126)。具体的に、遊技制御用マイコン101は、シリアルデータ送信端子TX3(図27参照)から、第1表示領域310及び第2表示領域320で点灯態様での「bL.」を表示し、第3表示領域330及び第4表示領域340で現在ベースを表示するためのシリアルデータをLEDドライバ350に送信する。こうして図31(B)に示すように、7セグ表示器300で現在ベースを把握することができて、パチンコ遊技機PY1に故障や不具合、或いは不正な改造が施されているか否かを確認することが可能である。
続いて、7セグ表示器300で現在ベースの表示を開始してから特定時間(本形態では4.8秒)が経過したか否かを判定する(S127)。経過してなければ(S127でNO)、未だ7セグ表示器300での現在ベースの表示を継続させるため、本処理を終える。一方、経過していれば(S127でYES)、7セグ表示器300での現在ベースの表示を終了させるタイミングであり、1回前ベース表示フラグをONにする(S128)。1回前ベース表示フラグは、1回前ベースの表示タイミングになっていることを示すフラグである。ステップS128の後、現在ベース表示フラグをOFFにして(S129)、本処理を終える。
ステップS125で、現在ベース表示フラグがONでない場合には(S125でNO)、図46に示すステップS130に進み、1回前ベース表示フラグがONであるか否かを判定する。1回前ベース表示フラグがONであれば(S130でYES)、続いて、ベース情報記憶部108に1回前ベース情報の記憶があるか否かを判定する(S131)。記憶があれば(S131でYES)、7セグ表示器300で1回前ベースを表示するための1回前ベース表示処理を実行する(S132)。具体的に、遊技制御用マイコン101は、シリアルデータ送信端子TX3(図27参照)から、第1表示領域310及び第2表示領域320で点灯態様での「b1.」を表示し、第3表示領域330及び第4表示領域340で1回前ベースを表示するためのシリアルデータをLEDドライバ350に送信する。こうして7セグ表示器300では、現在ベースだけでなく、図31(C)に示すように、1回前ベースも把握することができて、パチンコ遊技機PY1に故障や不具合、或いは不正な改造が施されているか否かをより正確に判断することが可能である。
一方、ステップS131において、1回前ベース情報の記憶がないと判定すれば(S131でNO)、1回前ベース非表示処理を実行する(S134)。この1回前ベース非表示処理(S134)では、遊技制御用マイコン101は、シリアルデータ送信端子TX3(図27参照)から、第1表示領域310及び第2表示領域320で点滅態様での「b1.」を表示し、第3表示領域330及び第4表示領域340で点灯態様での「−−」を表示するためのシリアルデータをLEDドライバ350に送信する。このときには図32(C)に示すように、7セグ表示器300で1回前ベースを未だ把握できないことになる。
続いて、1回前ベース表示処理(S132)又は1回前ベース非表示処理(S134)を開始してから特定時間(本形態では4.8秒)が経過したか否かを判定する(S135)。経過してなければ(S135でNO)、未だ1回前ベース表示処理(S132)又は1回前ベース非表示処理(S134)を継続させるため、本処理を終える。一方、経過していれば(S135でYES)、2回前ベース表示フラグをONにする(S136)。2回前ベース表示フラグは、2回前ベースの表示タイミングになっていることを示すフラグである。ステップS136の後、1回前ベース表示フラグをOFFにして(S137)、本処理を終える。
ステップS130で、1回前ベース表示フラグがONでない場合には(S130でNO)、ステップS138に進み、2回前ベース表示フラグがONであるか否かを判定する。2回前ベース表示フラグがONであれば(S138でYES)、続いて、ベース情報記憶部108に2回前ベース情報の記憶があるか否かを判定する(S139)。記憶があれば(S139でYES)、7セグ表示器300で2回前ベースを表示するための2回前ベース表示処理を実行する(S140)。具体的に、遊技制御用マイコン101は、シリアルデータ送信端子TX3(図27参照)から、第1表示領域310及び第2表示領域320で点灯態様での「b2.」を表示し、第3表示領域330及び第4表示領域340で2回前ベースを表示するためのシリアルデータをLEDドライバ350に送信する。こうして7セグ表示器300では、現在ベースと1回前ベースだけでなく、図31(D)に示すように、2回前ベースも把握することができて、パチンコ遊技機PY1に故障や不具合、或いは不正な改造が施されているか否かをより正確に判断することが可能である。
一方、ステップS139において、2回前ベース情報の記憶がないと判定すれば(S139でNO)、2回前ベース非表示処理を実行する(S141)。この2回前ベース非表示処理(S141)では、遊技制御用マイコン101は、シリアルデータ送信端子TX3(図27参照)から、第1表示領域310及び第2表示領域320で点滅態様での「b2.」を表示し、第3表示領域330及び第4表示領域340で点灯態様での「−−」を表示するためのシリアルデータをLEDドライバ350に送信する。このときには図32(D)に示すように、7セグ表示器300で2回前ベースを未だ把握できないことになる。
続いて、2回前ベース表示処理(S140)又は2回前ベース非表示処理(S141)を開始してから特定時間(本形態では4.8秒)が経過したか否かを判定する(S142)。経過してなければ(S142でNO)、未だ2回前ベース表示処理(S140)又は2回前ベース非表示処理(S141)を継続させるため、本処理を終える。一方、経過していれば(S142でYES)、3回前ベース表示フラグをONにする(S143)。3回前ベース表示フラグは、3回前ベースの表示タイミングになっていることを示すフラグである。ステップS143の後、2回前ベース表示フラグをOFFにして(S144)、本処理を終える。
ステップS138で、2回前ベース表示フラグがONでない場合には(S138でNO)、ステップS145に進み、3回前ベース表示フラグがONであるか否かを判定する。なおステップS145にて、3回前ベース表示フラグがONでないと判定されることは実質的にない。つまりステップS145に進むと、3回前ベース表示フラグがONであるため、必ずステップS146に進む。ステップS146では、ベース情報記憶部108に3回前ベース情報の記憶があるか否かを判定する。記憶があれば(S146でYES)、7セグ表示器300で3回前ベースを表示するための3回前ベース表示処理を実行する(S147)。具体的に、遊技制御用マイコン101は、シリアルデータ送信端子TX3(図27参照)から、第1表示領域310及び第2表示領域320で点灯態様での「b3.」を表示し、第3表示領域330及び第4表示領域340で3回前ベースを表示するためのシリアルデータをLEDドライバ350に送信する。こうして7セグ表示器300では、現在ベースと1回前ベースと2回前ベースだけでなく、図31(E)に示すように、3回前ベースも把握することができて、パチンコ遊技機PY1に故障や不具合、或いは不正な改造が施されているか否かをより正確に判断することが可能である。
一方、ステップS146において、3回前ベース情報の記憶がないと判定すれば(S146でNO)、3回前ベース非表示処理を実行する(S148)。この3回前ベース非表示処理(S148)では、遊技制御用マイコン101は、シリアルデータ送信端子TX3(図27参照)から、第1表示領域310及び第2表示領域320で点滅態様での「b3.」を表示し、第3表示領域330及び第4表示領域340で点灯態様での「−−」を表示するためのシリアルデータをLEDドライバ350に送信する。このときには図32(E)に示すように、7セグ表示器300で3回前ベースを未だ把握できないことになる。
続いて、3回前ベース表示処理(S147)又は3回前ベース非表示処理(S148)を開始してから特定時間(本形態では4.8秒)が経過したか否かを判定する(S149)。経過してなければ(S149でNO)、未だ3回前ベース表示処理(S147)又は3回前ベース非表示処理(S148)を継続させるため、本処理を終える。一方、経過していれば(S149でYES)、現在ベース表示フラグをONにする(S150)。これにより、次回のベース表示処理(S108)にて、7セグ表示器300で現在ベースの表示が開始される。ステップS150の後、3回前ベース表示フラグをOFFにして(S151)、本処理を終える。
[電源断監視処理]電源断監視処理(S109)では、図47に示すように、遊技制御用マイコン101はまず、電源断信号を入力したか否かを判定し(S160)、入力していなければ(S160でNO)、本処理を終える。電源断信号は、監視している電源の電圧(例えばDC24V)が所定期間(例えば25ms)に亘って検出されていないと、電源ユニット190から出力される信号である。電源断信号の入力があれば(S160でYES)、チェックサムを算出して遊技用RAM104に格納するとともに(S161)、電源断フラグをONする(S162)。そして、遊技制御用マイコン101は、メイン遮断回数カウンタの値を「1」だけ増加する(S170)。こうして、正常な電源の遮断として、電源ユニット190から遊技制御基板100(遊技制御用マイコン101)への通常電源の供給が遮断される度に、メイン遮断回数カウンタの値が「1」ずつ増加することになる。その一方で、不正遊技制御基板である場合に、上記した巧妙な不正行為により、遊技用CPU102に対する通常電源が遮断されても、メイン遮断回数カウンタの値が増加していくことになる。ステップS170の後、ステップS163では、遊技用RAM104へのアクセスの禁止設定を行う。これにより、遊技用RAM104に対する情報の書き込みや読み出しが不可能になる。その後はメイン側タイマ割り込み処理(S005、図43参照)に戻ることなくループ処理を行う。
[電源情報コマンド処理]電源情報コマンド処理(S110)では、図48に示すように、遊技制御用マイコン101はまず、特別図柄の変動表示が開始されるタイミングであるか否かを判定する(S171)。特別図柄の変動表示が開始されるタイミングでない場合には(S171でNO)、電源情報コマンドを送信しないため、本処理を終える。一方、特別図柄の変動表示が開始されるタイミングである場合には(S171でYES)、メイン遮断回数カウンタを参照すると共に、メイン投入回数カウンタを参照する。これにより、遊技制御用マイコン101は、メイン遮断回数カウンタの値に基づいてメイン遮断回数を把握すると共に、メイン投入回数カウンタの値に基づいてメイン投入回数を把握する。そして、メイン遮断回数の情報とメイン投入回数の情報とを含む電源情報コマンドを遊技用RAM104の出力バッファにセットして(S174)、本処理を終える。このようにして、特別図柄の変動表示が開始される度に、電源情報コマンドが演出制御基板120に送信されることになる。
13.演出制御用マイコンの動作
次に、図50〜図60に基づいて、演出制御用マイコン121の動作について説明する。
[サブ制御メイン処理]演出制御基板120に備えられた演出制御用マイコン121は、電源投入時に、演出用ROM123から図50に示すサブ制御メイン処理のプログラムを読み出して実行する。なお、演出制御用マイコン121の動作説明にて登場するカウンタ、タイマ、フラグ、ステータス、バッファ等は、演出用RAM124に設けられている。
図50に示すように、サブ制御メイン処理では、サブ側電源断フラグがONで且つ演出用RAM124の内容が正常であるか否かを判定する(S1001)。サブ側電源断フラグは、電断の発生を示すフラグであり、後述するサブ側電源断監視処理(図51参照)でONにされるフラグである。ステップS1001の判定結果がNOであれば、つまり、サブ側電源断フラグがONでない場合、又はサブ側電源断フラグがONであっても演出用RAM124の内容が正常でない場合には、演出用RAM124の初期化をして(S1002)、ステップS1013に進む。
一方、ステップS1001の判定結果がYESであれば、つまり、電断によりサブ側電源断フラグがONとなったが演出用RAM124の内容が正常に保たれている場合には、続いて、RAMクリア通知コマンドを受信しているか否かを判定する(S1011)。RAMクリア通知コマンドを受信していれば(S1011でYES)、遊技制御基板100の遊技用RAM104はクリアされている。そのため、演出制御基板120の演出用RAM124をクリアして(S1002)、ステップS1013に進む。これに対して、RAMクリア通知コマンドを受信していなければ(S1011でNO)、演出用RAM124をクリアすることなく、ステップS1013に進む。
ここでステップS1002の処理において、演出用RAM124がクリアされる際には、後述する設定値フラグ125の情報もクリア(消去)される。設定値フラグ125は、演出制御用マイコン121が、演出側(サブ側)の情報として設定値を把握するものである。よって電源投入時に、演出制御用マイコン121は、演出用RAM124をクリアすれば、併せて設定値の情報もクリアするようになっている。
但し本形態では、ステップS1002の処理において、演出制御用マイコン121は、サブ遮断回数カウンタの値、及びサブ投入回数カウンタの値をクリアしないようになっている。そして、演出用RAM124に設けられているサブ遮断回数カウンタ及びサブ投入回数カウンタは、演出制御用マイコン121に対して通常電源が供給されない状況であっても、バックアップ電源が供給されることにより、それぞれ記憶している値を保持できるようになっている。
ステップS1013では、演出制御用マイコン121は、サブ投入回数カウンタの値を「1」だけ増加する。こうして、正常な電源の投入として、電源ユニット190から演出制御基板120(演出制御用マイコン121)に通常電源が投入される度に、サブ投入回数カウンタの値が「1」ずつ増加することになる。そして仮に、不正遊技制御基板にすり替えられていても、上記した巧妙な不正行為では演出制御用マイコン121に対する通常電源は遮断されずに供給され続けているため、サブ投入回数カウンタの値は維持されていることになる。
ステップS1013の後、ステップS1003では、その他の初期設定を行う。その他の初期設定では例えば、演出用CPU122の設定、SIO、PIO、CTC(割り込み時間の管理のための回路)等の設定等を行う。また、サブ側電源断フラグがONであればOFFにする。
ステップS1004では、割り込みを禁止する。次いで、乱数シード更新処理を実行する(S1005)。乱数シード更新処理(S1005)では、種々の演出決定用乱数カウンタの値を更新する。なお演出決定用乱数には、演出図柄を決定するための演出図柄決定用乱数、変動演出パターンを決定するための変動演出パターン決定用乱数、種々の予告演出を決定するための予告演出決定用乱数等がある。乱数の更新方法は、前述の遊技制御基板100が行う乱数更新処理と同様の方法をとることができる。更新に際して乱数値を1ずつ加算するのではなく、2ずつ加算するなどしてもよい。これは、前述の遊技制御基板100が行う乱数更新処理においても同様である。
乱数シード更新処理(S1005)が終了すると、コマンド送信処理を実行する(S1006)。コマンド送信処理(S1006)では、演出制御基板120の演出用RAM124内の出力バッファに格納されている各種のコマンドを、画像制御基板140に送信する。コマンドを受信した画像制御基板140は、コマンドに従い画像表示装置50を用いて各種の演出(変動演出や、オープニング演出、ラウンド演出およびエンディング演出からなる大当たり演出等)を実行する。演出制御用マイコン121は続いて、割り込みを許可する(S1007)。以降、ステップS1004〜S1007をループさせる。割り込み許可中においては、サブ側電源断監視処理(S1012)、受信割り込み処理(S1008)、1msタイマ割り込み処理(S1009)および10msタイマ割り込み処理(S1010)の実行が可能となる。
[サブ側電源断監視処理]サブ側電源断監視処理(S1012)では、図51に示すように、演出制御用マイコン121はまず、電源断信号を入力したか否かを判定し(S1020)、入力していなければ(S1020でNO)、本処理を終える。電源断信号は、監視している電源の電圧(例えばDC24V)が所定期間(例えば25ms)に亘って検出されていないと、電源ユニット190から出力される信号である。電源断信号の入力があれば(S1020でYES)、サブ側電源断フラグをONする(S1021)。そして、演出制御用マイコン121は、サブ遮断回数カウンタの値を「1」だけ増加する(S1022)。こうして、正常な電源の遮断として、電源ユニット190から演出制御基板120(演出制御用マイコン121)への通常電源の供給が遮断される度に、サブ遮断回数カウンタの値が「1」ずつ増加することになる。なお仮に、不正遊技制御基板にすり替えられていても、上記した巧妙な不正行為では、演出制御用マイコン121に対する通常電源は遮断されずに供給され続けているため、サブ遮断回数カウンタの値は維持されていることになる。
ステップS1022の後、ステップS1023では、演出用RAM124へのアクセスの禁止設定を行う。これにより、演出用RAM124に対する情報の書き込みや読み出しが不可能になる。その後はサブ制御メイン処理(図50参照)のステップS1004〜S1007の処理に戻ることなくループ処理を行う。
[受信割り込み処理]受信割り込み処理(S1008)は、ストローブ信号(STB信号)がONになると、すなわち遊技制御基板100から送られたストローブ信号が演出制御用マイコン121の外部INT入力部に入力されると、他の割り込み処理(S1009、S1010)に優先して実行される処理である。図52に示すように、受信割り込み処理(S1008)では、遊技制御基板100から送信されてきた各種のコマンドを演出用RAM124の受信バッファに格納する(S1101)。
[1msタイマ割り込み処理]1msタイマ割り込み処理(S1009)は、演出制御基板120に1msec周期の割り込みパルスが入力される度に実行される。図53に示すように、1msタイマ割り込み処理(S1009)ではまず、入力処理を行う(S1201)。入力処理(S1201)では、入力部検知センサ40a(図7参照)やセレクトボタン検知センサ42a(図7参照)からの検知信号に基づいてスイッチデータ(エッジデータ及びレベルデータ)を作成する。
続いて、ランプデータ出力処理を行う(S1202)。ランプデータ出力処理(S1202)では、演出に合うタイミングで枠ランプ212や盤ランプ54を発光させるべく、セットされたランプデータ(枠ランプ212や盤ランプ54の発光を制御するデータ)をサブドライブ基板162に出力する。これにより、サブドライブ基板162が枠ランプ212や盤ランプ54の発光を制御することで、後述するように例えば、異常であることを示す特別の発光態様(図49参照)で発光させることが可能である。
次いで、駆動制御処理(S1203)を行う。駆動制御処理(S1203)では、演出に合うタイミングで盤可動体55kを駆動させるべく、駆動データを作成したり、出力したりする。つまり、駆動データに従って、盤可動体55kを所定の動作態様で駆動させる。そして、ウォッチドッグタイマのリセット設定を行うウォッチドッグタイマ処理(S1204)を行って、本処理を終える。
[10msタイマ割り込み処理]10msタイマ割り込み処理(S1010)は、演出制御基板120に10msec周期の割り込みパルスが入力される度に実行される。図54に示すように、10msタイマ割り込み処理(S1010)ではまず、後述する受信コマンド解析処理を行う(S1301)。次いで、1msタイマ割り込み処理で作成したスイッチデータを10msタイマ割り込み処理用のスイッチデータとして演出用RAM124に格納するスイッチ状態取得処理を行う(S1302)。続いて、スイッチ状態取得処理(S1302)にて格納したスイッチデータに基づいて表示画面50aの表示内容等を設定するスイッチ処理を行う(S1303)。
続いて、演出制御用マイコン121は、音声データ(スピーカ620からの音声を出力する制御データ)を作成したり、画像制御基板140に音声データを出力する音声制御処理を実行する(S1304)。この音声制御処理(S1304)により、後述するように例えば、スピーカ620から「ブー」というブザー音(図49参照)を出力することが可能である。その後、演出制御用マイコン121は、ランプデータを作成したり、各種の演出決定用乱数を更新したりするなどのその他の処理を実行して(S1305)、本処理を終える。
[受信コマンド解析処理]図55に示すように、受信コマンド解析処理(S1301)ではまず、演出制御用マイコン121は、遊技制御基板100から変動開始コマンドを受信したか否か判定し(S1401)、受信していれば後述する変動演出開始処理を行う(S1402)。
続いて、演出制御用マイコン121は、遊技制御基板100から変動停止コマンドを受信したか否か判定し(S1403)、受信していれば変動演出終了処理を行う(S1404)。変動演出終了処理(S1404)では、変動停止コマンドを解析し、その解析結果に基づいて、変動演出を終了させるための変動演出終了コマンドを演出用RAM124の出力バッファにセットする。
続いて、演出制御用マイコン121は、遊技制御基板100からオープニングコマンドを受信したか否か判定し(S1405)、受信していればオープニング演出選択処理を行う(S1406)。オープニング演出選択処理(S1406)では、オープニングコマンドを解析して、その解析結果に基づいて、大当たり遊技のオープニング中に実行するオープニング演出のパターン(内容)を選択する。そして、選択したオープニング演出パターンにてオープニング演出を開始するためのオープニング演出開始コマンドを演出用RAM124の出力バッファにセットする。
続いて、演出制御用マイコン121は、遊技制御基板100からラウンド指定コマンドを受信したか否か判定し(S1407)、受信していればラウンド演出選択処理を行う(S1408)。ラウンド演出選択処理(S1408)では、ラウンド指定コマンドを解析して、その解析結果に基づいて、大当たり遊技のラウンド遊技中に実行するラウンド演出のパターン(内容)を選択する。そして、選択したラウンド演出パターンにてラウンド演出を開始するためのラウンド演出開始コマンドを演出用RAM124の出力バッファにセットする。
続いて、演出制御用マイコン121は、遊技制御基板100からエンディングコマンドを受信したか否か判定し(S1409)、受信していればエンディング演出選択処理を行う(S1410)。エンディング演出選択処理(S1410)では、エンディングコマンドを解析して、その解析結果に基づいて、大当たり遊技のエンディング中に実行するエンディング演出のパターン(内容)を選択する。そして、選択したエンディング演出パターンにてエンディング演出を開始するためのエンディング演出開始コマンドを演出用RAM124の出力バッファにセットする。
続いて、演出制御用マイコン121は、遊技制御基板100から設定値指定コマンドを受信したか否か判定し(S1411)、受信していれば設定値フラグ変更処理を行う(S1412)。設定値フラグ変更処理(S1412)では、設定値指定コマンドに含まれている設定値の情報に基づいて、演出用RAM124の設定値フラグ125を設定する。例えば、設定値指定コマンドに設定値「1」の情報が含まれていれば、設定値フラグ125を「1」に設定し、設定値指定コマンドに設定値「6」の情報が含まれていれば、設定値フラグ125に「6」に設定する。これにより、演出制御用マイコン121は、現時点での設定値を把握することが可能である。
続いて、演出制御用マイコン121は、遊技制御基板100から設定モード移行コマンドを受信したか否か判定し(S1413)、受信していれば設定モード移行演出処理を行う(S1414)。設定モード移行演出処理(S1414)では、図26(B)に示す設定変更中画像SHを表示するための設定モード移行演出コマンドを演出用RAM124の出力バッファにセットする。これにより、設定モード移行演出コマンドを受信した画像制御基板140の画像用CPU141は、表示画面50aに設定変更中画像SHを表示する。
また設定モード移行演出処理(S1414)では、「設定変更可能です」という音声(図26(B)参照)を出力するための音声データを、演出用RAM124の所定の記憶領域にセットする。これにより、その音声データを受信した画像制御基板140の音声用CPU149は、スピーカ620から「設定変更可能です」という音声を出力させる。また設定モード移行演出処理(S1414)では、枠ランプ212及び盤ランプ54を特別な第1発光態様(図26(B)参照)で発光させるためのランプデータを、演出用RAM124の所定の記憶領域にセットする。これにより、そのランプデータを受信したサブドライブ基板162は、枠ランプ212及び盤ランプ54を特別な第1発光態様で発光させる。以上により、設定変更中画像SHの表示と、「設定変更可能です」という音声と、特別な第1発光態様での発光とにより、設定変更者には、設定変更モードに移行して任意に設定値を変更できる状況であることを把握させることが可能である。
続いて、演出制御用マイコン121は、遊技制御基板100から設定値変更コマンドを受信したか否か判定し(S1415)、受信していれば設定値変更演出処理を行う(S1416)。設定値変更演出処理(S1416)では、図26(C)や図26(D)に示す設定値変更画像YGを表示するための設定値変更演出コマンドを演出用RAM124の出力バッファにセットする。これにより、設定値変更演出コマンドを受信した画像制御基板140の画像用CPU141は、表示画面50aにて設定変更中画像SHの上から重ねて(レイヤー状に)設定値変更画像YGを表示する。その結果、設定変更中画像SHよりも設定値変更画像YGの方を認識させ易くして、設定値が変更した状況を優先的に示すことが可能である。
また設定値変更演出処理(S1416)では、「設定値が変更されました」という音声(図26(C)又は図26(D)参照)を出力するための音声データを、演出用RAM124の所定の記憶領域にセットする。これにより、その音声データを受信した画像制御基板140の音声用CPU149は、スピーカ620から「設定値が変更されました」という音声を出力させる。また設定値変更演出処理(S1416)では、枠ランプ212及び盤ランプ54を特別な第2発光態様(図26(C)又は図26(D)参照)で発光させるためのランプデータを、演出用RAM124の所定の記憶領域にセットする。これにより、そのランプデータを受信したサブドライブ基板162は、枠ランプ212及び盤ランプ54を特別な第2発光態様で発光させる。以上により、設定値変更画像YGの表示と、「設定値が変更されました」という音声と、特別な第2発光態様での発光とにより、設定変更者だけでなく、周囲の遊技場の従業員にも、設定値が変更された状況を把握させることが可能である。
続いて、演出制御用マイコン121は、遊技制御基板100から設定モード終了コマンドを受信したか否か判定し(S1417)、受信していれば設定モード終了演出処理を行う(S1418)。設定モード終了演出処理(S1418)では、図26(F)に示す設定値確定画像SKを表示するための設定値確定演出コマンドを演出用RAM124の出力バッファにセットする。これにより、設定値確定演出コマンドを受信した画像制御基板140の画像用CPU141は、表示画面50aにて図26(E)に示す設定変更中画像SHの表示から、図26(F)に示す設定値確定画像SKの表示に切り替える。
また設定モード終了演出処理(S1418)では、「設定値を確定しました」という音声(図26(F)参照)を出力するための音声データを、演出用RAM124の所定の記憶領域にセットする。これにより、その音声データを受信した画像制御基板140の音声用CPU149は、スピーカ620から「設定値を確定しました」という音声を出力させる。また設定モード終了演出処理(S1418)では、枠ランプ212及び盤ランプ54を特別な第3発光態様(図26(F)参照)で発光させるためのランプデータを、演出用RAM124の所定の記憶領域にセットする。これにより、そのランプデータを受信したサブドライブ基板162は、枠ランプ212及び盤ランプ54を特別な第3発光態様で発光させる。以上により、設定値確定画像SKの表示と、「設定値を確定しました」という音声と、特別な第3発光態様での発光とにより、設定変更者だけでなく、周囲の遊技場の従業員にも、設定値が確定された状況を把握させることが可能である。
続いて、図56に示すように、演出制御用マイコン121は、遊技制御基板100からエラーコマンドを受信したか否か判定し(S1419)、受信していればエラーモード報知処理を行う(S1420)。エラーモード報知処理(S1420)では、図30(B)に示す操作示唆画像SEを表示するための操作示唆演出コマンドを演出用RAM124の出力バッファにセットする。これにより、操作示唆演出コマンドを受信した画像制御基板140の画像用CPU141は、表示画面50aにて図30(B)に示す操作示唆画像SEを表示する。
またエラーモード報知処理(S1420)では、特殊なエラー音(図30(B)参照)を出力するための音声データを、演出用RAM124の所定の記憶領域にセットする。これにより、その音声データを受信した画像制御基板140の音声用CPU149は、スピーカ620から特殊なエラー音を出力させる。またエラーモード報知処理(S1420)では、枠ランプ212及び盤ランプ54を特殊なエラー発光態様(図30(B)参照)で発光させるためのランプデータを、演出用RAM124の所定の記憶領域にセットする。これにより、そのランプデータを受信したサブドライブ基板162は、枠ランプ212及び盤ランプ54を特殊なエラー発光態様で発光させる。
続いて、演出制御用マイコン121は、遊技制御基板100から設定示唆条件成立コマンドを受信したか否か判定し(S1421)、受信していれば設定示唆条件成立フラグをONにする(S1422)。設定示唆条件成立フラグは、発射球数が10000発、20000発、30000発、40000発、50000発、60000発といった10000発の倍数になったことを示すフラグである。
続いて、演出制御用マイコン121は、遊技制御基板100から電源情報コマンドを受信したか否か判定し(S1423)、受信していれば後述する不正行為監視処理を行う(S1424)。その後、その他の処理(S1425)として、上記のコマンド以外の受信コマンドに基づく処理(例えば、普通図柄の変動表示に伴う演出を行うための処理等)を行う。そして、受信コマンド解析処理(S1301)を終える。
[変動演出開始処理]図57に示すように、変動演出開始処理(S1402)ではまず、演出制御用マイコン121は、変動開始コマンドを解析する(S1501)。変動開始コマンドには、変動パターン(図18参照)の情報や、大当たりの判定等に基づく特図停止図柄データの情報が含まれている。次に、後述する演出図柄選択処理を実行し(S1502)、続いて、後述する変動演出パターン選択処理を実行する(S1503)。
そして演出制御用マイコン121は、予告演出選択処理を行う(S1504)。これにより、いわゆるステップアップ予告演出やチャンスアップ予告演出などの予告演出の内容が決定される。次いで、選択した変動演出パターンに応じて駆動データを設定するための駆動データ設定処理を実行する(S1505)。
その後、演出制御用マイコン121は、選択した演出図柄、変動演出パターン、及び予告演出にて変動演出を開始するための変動演出開始コマンドを演出用RAM124の出力バッファにセットして(S1506)、変動演出開始処理(S1402)を終了する。ステップS1506でセットされた変動演出開始コマンドが、画像制御基板140に送信されると、画像制御基板140の画像用CPU141は、所定の演出画像を画像用ROM142から読み出して、画像表示装置50の表示画面50aにて変動演出を行う。
[演出図柄選択処理]図58に示すように、演出図柄選択処理(S1502)ではまず、演出制御用マイコン121は、変動パターン(図18参照)の情報がハズレを示すものであるかを判定する(S1601)。ハズレを示すものであれば(S1601でYES)、続いて、設定値フラグ125に基づくハズレ演出図柄抽選テーブルを用いて、ハズレ演出図柄EZを決定する(S1602)。決定されるハズレ演出図柄EZは、ハズレ態様を示す3つの演出図柄EZ1,EZ2,EZ3のうち最後に停止表示される演出図柄EZのことである。ステップS1602に続いて、ハズレ演出図柄EZを除く2つの演出図柄EZを、変動パターンに基づいて図示しない演出図柄抽選テーブルを用いて抽選によって決定して、本処理を終える。
以上により、例えば、設定値フラグ125が「6」を示すものであれば、ハズレ演出図柄乱数を取得して、図34(F)に示すハズレ演出図柄抽選テーブルを用いて、ハズレ演出図柄乱数を判定する。この場合、ハズレ演出図柄EZとして第6演出図柄EZfが決定され易いため、図35(B)に示すような図柄設定示唆演出の実行頻度が高くなる。その結果、遊技者には設定値が「6」であることを推測させて、演出図柄EZのハズレ態様にも興味を抱かせることが可能である。
一方、ステップS1601において、変動パターンの情報がハズレを示すものでなければ(S1601でNO)、大当たりに当選していることになり、ステップS1604に進む。この場合、大当たり態様(ゾロ目)で停止表示される3つの演出図柄EZ1、EZ2、EZ3を、変動パターンに基づいて図示しない大当たり用の演出図柄抽選テーブルを用いて抽選によって決定して(S1604)、本処理を終える。
[変動演出パターン選択処理]図59に示すように、変動演出パターン選択処理(S1503)ではまず、演出制御用マイコン121は、変動パターン(図18参照)の情報がSPリーチハズレを示すものであるかを判定する(S1701)。具体的には、変動パターンP11、P12、P13、P41、P42、P43(図18参照)であるか否かを判定する。SPリーチハズレを示すものであれば(S1701でYES)、続いて、設定示唆条件成立フラグがONであるか否かを判定する(S1702)。ONであれば(S1702でYES)、設定示唆条件成立フラグをOFFにして(S1703)、ステップS1704に進む。要するに、ステップS1704に進む場合とは、SPリーチハズレであって、発射球数が10000発の倍数を超えていることである。
ステップS1704では、設定値フラグの値が「4」又は「5」或いは「6」であるか否かを判定する。「4」又は「5」或いは「6」であれば(S1704でYES)、変動パターンに基づいて、図示しない高設定示唆演出有り用の変動演出パターンテーブルを用いて抽選する。その結果、高設定示唆演出有りのSPリーチハズレ変動演出パターンを決定して、本処理を終える。こうして、高設定示唆演出有りのSPリーチハズレ変動演出パターンが決定された場合には、図36(A)に示すバトル演出⇒図36(B)に示すバトル敗北演出⇒図36(C)に示す演出図柄EZのハズレ態様での停止表示を経て、図36(D)に示すように、不死鳥画像FTを示す高設定示唆演出が実行される。これにより、SPリーチハズレで落胆している遊技者には、不死鳥画像FTを把握させることで、高設定(設定値が「4」又は「5」或いは「6」)を復活によって獲得したかのような高揚感を与えることが可能である。
これに対して、SPリーチハズレでない場合(S1701でNO)、設定条件示唆フラグがONでない場合(S1702でNO)、設定値が高設定(「4」又は「5」或いは「6」)でない場合(S1704でNO)には、ステップS1706に進む。ステップS1706では、変動パターンに基づいて、図示しない高設定示唆演出無し用の変動演出パターンテーブルを用いて抽選する。その結果、高設定示唆演出無しの変動演出パターンを決定して、本処理を終える。
[不正行為監視処理]不正行為監視処理(S1424)は、不正遊技制御基板にすり替えられていて上記した巧妙な不正行為が行われたか否かを監視するための処理である。図60に示すように、不正行為監視処理(S1424)ではまず、演出制御用マイコン121は、電源情報コマンドを解析する(S1801)。これにより、演出制御用マイコン121は、電源情報コマンドに含まれているメイン遮断回数の情報とメイン投入回数の情報に基づいて、メイン遮断回数の値とメイン投入回数の値とを把握することが可能である。
次に、演出制御用マイコン121は、サブ遮断回数カウンタを参照する(S1802)。これにより、サブ遮断回数の値を把握することが可能である。続いて、サブ投入回数カウンタを参照する(S1803)。これにより、サブ投入回数の値を把握することが可能である。そして、メイン遮断回数とサブ遮断回数との差が「3」以上であるか否かを判定する(S1804)。「3」以上でなければ(S1804でNO)、上記した巧妙な不正行為が行われていないと判断して、本処理を終える。「3」以上であれば(S1804でYES)、続いて、メイン投入回数とサブ投入回数との差が「3」以上であるか否かを判定する(S1805)。「3」以上でなければ(S1805でNO)、上記した巧妙な不正行為が行われていないと判断して、本処理を終える。一方、「3」以上であれば(S1805でYES)、上記した巧妙な不正行為が行われていると判断して、ステップS1806に進む。
ステップS1806では、演出制御用マイコン121は、赤色の背景画像RHと「遊技制御基板エラー」の文字を示す文字画像ER(図49参照)を表示するための不正用表示コマンドを演出用RAM124の出力バッファにセットする。これにより、不正用表示コマンドを受信した画像制御基板140の画像用CPU141は、表示画面50aにて赤色の背景画像RHと「遊技制御基板エラー」の文字を示す文字画像ERを表示する。続いて、演出制御用マイコン121は、枠ランプ212及び盤ランプ54が異常であることを示す特別の発光態様(図49参照)で発光するための不正用発光データ(ランプデータ)を演出用RAM124の所定の記憶領域にセットする。これにより、不正用発光データを受信したサブドライブ基板162は、枠ランプ212及び盤ランプ54を特別の発光態様で発光させる。
続いて、演出制御用マイコン121は、スピーカ620から「ブー」というブザー音(図49参照)を出力するための不正用音声データを、演出用RAM124の所定の記憶領域にセットする。これにより、その不正用音声データを受信した画像制御基板140の音声用CPU149は、スピーカ620から「ブー」というブザー音を出力させる。以上により、赤色の背景画像RHと「遊技制御基板エラー」の文字を示す文字画像ERの表示、枠ランプ212及び盤ランプ54の特別の発光態様(図49参照)での発光、スピーカ620から「ブー」というブザー音の出力によって、上記した巧妙な不正行為が行われたことを周囲に容易に把握させることが可能である。
14.本形態の効果
仮に、不正な遊技用ROMが搭載された不正な遊技制御基板にすり替えられている場合があり得る。この場合、通常時には正規の遊技用ROM103に基づいて正規の遊技用CPU102が作動している。しかしながら、或る不正タイミングでは、正規の遊技用CPU102に対する通常電源の供給を一時的に遮断して、正規の遊技用ROM103が機能しないようにしてから、不正な遊技用ROMを替わりに作動させて不正行為が実行されることが考えられる。
このような巧妙な不正行為において、遊技用CPU102(遊技制御用マイコン101)に対して供給される通常電源が遮断された後に、再び遊技用CPU102に通常電源が投入(供給)されることになる。そこで本形態のパチンコ遊技機PY1によれば、遊技用CPU102に対して通常電源が遮断されたこと及び投入されたことに基づく電源情報コマンドを演出制御基板120に送信する。一方、演出制御基板120においては、上述した巧妙な不正行為であっても、通常電源が供給され続けている。従って、演出制御基板120(演出制御用マイコン121)は、通常電源が供給されていた状態にも拘わらず、電源情報コマンドを受信することになる。この電源情報コマンドの受信により、演出制御用マイコン121は異常であると判断して、図49に示す不正報知演出により異常であることを報知することが可能である。
具体的に本形態のパチンコ遊技機PY1では、遊技制御用マイコン101は、メイン遮断回数カウンタによりメイン遮断回数をカウントすると共に、メイン投入回数カウンタによりメイン投入回数をカウントしている。そして、特別図柄の変動表示が開始される度に、メイン遮断回数の情報とメイン遮断回数の情報を含む電源情報コマンドを演出制御基板120に送信する。一方、演出制御用マイコン121は、サブ遮断回数カウンタによりサブ遮断回数をカウントすると共に、サブ投入回数カウンタによりサブ投入回数をカウントしている。そして、受信した電源情報コマンドに基づいて、メイン遮断回数とサブ遮断回数との差が「3」以上であり、且つメイン遮断回数とサブ遮断回数との差が「3」以上であれば、上述した不正行為がなされていると判断する。これにより、図49に示す不正報知演出が実行されることで、上述した不正行為に気付くことが可能である。
以上により、本形態のパチンコ遊技機PY1では、サブ側である演出制御用マイコン121(演出制御基板120)が、メイン側である遊技用CPU102(又は遊技用ROM103)に対する通常電源の投入回数と、遊技用CPU102に対する通常電源の遮断回数を管理していることに特徴がある。そして、サブ側である演出制御用マイコン121が、メイン側の通常電源の遮断回数とサブ側の通常電源の遮断回数との差、メイン側の通常電源の遮断回数とサブ側の通常電源の遮断回数と差に基づいて、不正行為が行われているか否かを判断するという技術的思想がある。
15.変更例
以下、変更例について説明する。なお、変更例の説明において、上記形態のパチンコ遊技機PY1と同様の構成については、同じ符号を付して説明を省略する。勿論、変更例に係る構成同士を適宜組み合わせて構成してもよい。また、上記形態および下記変更例中の技術的特徴は、本明細書において必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することが可能である。
上記形態では、図12に示すように、遊技制御用マイコン101に通常電源が供給されない場合に、コンデンサCA3が遊技制御用マイコン101にバックアップ電源を供給できるように構成した。これに対して、図61に示す比較例のように、遊技制御用マイコン101に通常電源が供給されない場合に、ボタン電池BATが遊技制御用マイコン101にバックアップ電源を供給できるように構成しても良い。
図61に示す変形例において、ボタン電池BATは、払出制御基板170に実装されている一次電池であり、上記形態のコンデンサCA3よりも電力量が大きいものである。このボタン電池BATは、電断時に、バックアップ電源を遊技制御用マイコン101と払出制御用マイコン171に供給できるように構成されている。またこの変形例において、演出制御基板120に組み込まれているバックアップ電源回路126(図7参照)には、コンデンサに替えてボタン電池が設けられている。従って、演出制御基板120に設けられているボタン電池は、電断時に、バックアップ電源を演出制御用マイコン121に供給できるように構成されている。
ここで、上記形態のようにコンデンサCA3(図12参照)によって、バックアップ電源を遊技制御用マイコン101に供給する場合と、変形例のようにボタン電池BATによって、バックアップ電源を遊技制御用マイコン101に供給する場合の違いについて説明する。
上記形態のようにコンデンサCA3(図12参照)によって、バックアップ電源を遊技制御用マイコン101に供給する場合、コンデンサCA3は比較的電力量が小さいため、電断時に遊技制御用マイコン101及び払出制御用マイコン171に長い間バックアップ電源を供給し続けることができない。具体的には、コンデンサCA3は、電源ユニット190からの通常電源が遮断されてから約1か月間、遊技制御用マイコン101及び払出制御用マイコン171にバックアップ電源を供給することができる。従って、メイン遮断回数カウンタとメイン投入回数カウンタは、通常電源が遮断されてから約1か月間だけ作動することができる。言い換えれば、通常電源が遮断されてから1か月以上経過すると、メイン遮断回数カウンタとメイン投入回数カウンタはリセットされるため、メイン遮断回数とメイン投入回数を正しくカウントできなくなる。その結果、不正遊技制御基板による上記した巧妙な不正行為を正しく判断できなくなる。
これに対して変形例のようにボタン電池BAT(図61参照)によって、バックアップ電源を遊技制御用マイコン101に供給する場合、ボタン電池BATは比較的電力量が大きいため、電断時に遊技制御用マイコン101及び払出制御用マイコン171に長い間バックアップ電源を供給し続けることができる。具体的には、ボタン電池BATは、電源ユニット190からの通常電源が遮断されてから1か月間以上、遊技制御用マイコン101及び払出制御用マイコン171にバックアップ電源を供給することができる。従って、メイン遮断回数カウンタとメイン投入回数カウンタは、通常電源が遮断されてから1か月以上作動することができて、長期間にわたってメイン遮断回数とメイン投入回数を正しくカウントすることができる。よって、メンテナンスや故障等によって1か月以上という比較的長い間稼働しなかった後、本パチンコ遊技機PY1が再び稼働する状況において、不正遊技制御基板による上記した巧妙な不正行為を正しく判断することが可能である。
なお演出制御基板120のバックアップ電源回路126(図7参照)にも、ボタン電池が設けられているため、このボタン電池は、通常電源が遮断されてから1か月以上、演出制御用マイコン121にバックアップ電源を供給することが可能である。そのため、サブ遮断回数カウンタとサブ投入回数カウンタは、通常電源が遮断されてから1か月以上作動することができて、長期間にわたってサブ遮断回数とサブ投入回数を正しくカウントすることができるようになっている。変形例のその他の作用効果は、上記形態の作用効果と同様であるため、その説明を省略する。
上記形態では、メイン遮断回数とサブ遮断回数との差が「3」回(所定回数)以上であり、且つメイン投入回数とサブ投入回数との差が「3」回(所定回数)以上である場合に、異常であると判断して、異常報知演出(図49参照)を実行するようにした。しかしながら、異常報知演出を実行するための判断基準となる各所定回数は、3回に限られるものではなく、1回、2回、4回以上であっても良い。また各所定回数は、同じ回数でなくても良い。但し、上記した所定回数を1回にすると、上述したように、以下の問題点がある。即ち、電源ユニット190による動作不良がある場合や、電源ユニット190の初期不良がある場合等に、遊技制御基板100又は演出制御基板120の何れか一方にのみ通常電源が供給されてしまい、不正遊技制御基板へのすり替えによる不正行為が行われていないにも拘わらず、異常と判断される可能性がある。従って、誤った異常の判断をできるだけ防ぐという観点では、上記した所定回数は、複数回であることが好ましい。その一方で、できるだけ早く異常の判断を行うことができるという観点では、上記した所定回数は1回であることが好ましい。
上記形態では、メイン遮断回数とサブ遮断回数との差が「3」回以上であるという条件と、且つメイン投入回数とサブ投入回数との差が「3」回以上であるという条件の両方が成立した場合に、異常であると判断して、異常報知演出(図49参照)が実行されるようにした。しかしながら上記した2つの条件のうち、何れか一方のみ成立した場合に、異常であると判断して、異常報知演出が実行されるようにしても良い。
上記形態では、遊技制御基板100の遊技用CPU102(特定の電子デバイス)に対して通常電源が投入された回数と、演出制御基板120(演出制御用マイコン121)に対して通常電源が投入された回数とを比較して、演出制御用マイコン121が異常であるか否かを判断した。しかしながら、遊技用CPU102以外の特定の電子デバイスに対して通常電源が投入された回数と、演出制御基板120に対して通常電源が投入された回数とを比較して異常であるか否かを判断しても良い。例えば、遊技用ROM103(特定の電子デバイス)や遊技用RAM104(特定の電子デバイス)に対して通常電源が投入された回数と、演出制御基板120に対して通常電源が投入された回数とを比較して、演出制御用マイコン121が異常であるか否かを判断しても良い。
上記形態では、メイン投入回数をカウントするメイン投入回数カウンタ(第1投入回数カウント手段)が遊技用RAM104に設けられていた。しかしながら、メイン投入回数カウンタは、遊技用RAM104とは別に、遊技制御基板100上に設けられていても良い。またメイン遮断回数をカウントするメイン遮断回数カウンタが遊技用RAM104に設けられていた。しかしながら、メイン遮断回数カウンタは、遊技用RAM104とは別に、遊技制御基板100上に設けられていても良い。
上記形態では、サブ投入回数をカウントするサブ投入回数カウンタ(第2投入回数カウント手段)が演出用RAM124に設けられていた。しかしながら、サブ投入回数カウンタは、演出用RAM124とは別に、演出制御基板120上に設けられていても良い。またサブ遮断回数をカウントするサブ遮断回数カウンタが演出用RAM124に設けられていた。しかしながら、サブ遮断回数カウンタは、演出用RAM124とは別に、演出制御基板120上に設けられていても良い。
上記形態では、メイン投入回数カウンタ(第1投入回数カウント手段)によりカウントされたメイン投入回数と、サブ投入回数カウンタ(第2投入回数カウント手段)によりカウントされたサブ投入回数との差に基づいて、異常であるか否かを判断した。しかしながら、メイン投入回数カウンタとサブ投入回数カウンタとを用いないで、異常であるか否かを判断するようにしても良い。例えば、遊技制御用マイコン101(遊技制御基板100)は、通常電源が投入されたことに基づいて当該通常電源が投入されたことを示すコマンド(投入情報)を演出制御基板120に送信する。そして演出制御基板120(演出制御用マイコン121)は、継続して通常電源が投入されていた状態にも拘わらず遊技制御基板100から上記コマンドを受信したときには、遊技制御用マイコン101(遊技用CPU102)に対して不正に通常電源が遮断されたものとみなして、異常と判断するようにしても良い。
上記形態では、遊技制御基板100の遊技用CPU102(特定の電子デバイス)に対して通常電源が遮断された回数と、演出制御基板120(演出制御用マイコン121)に対して通常電源が遮断された回数とを比較して、演出制御用マイコン121が異常であるか否かを判断した。しかしながら、遊技用CPU102以外の特定の電子デバイスに対して通常電源が遮断された回数と、演出制御基板120に対して通常電源が遮断された回数とを比較して異常であるか否かを判断しても良い。例えば、遊技用ROM103(特定の電子デバイス)や遊技用RAM104(特定の電子デバイス)に対して通常電源が遮断された回数と、演出制御基板120に対して通常電源が遮断された回数とを比較して、演出制御用マイコン121が異常であるか否かを判断しても良い。
上記形態では、メイン遮断回数カウンタによりカウントされたメイン遮断回数と、サブ遮断回数カウンタによりカウントされたサブ遮断回数との差に基づいて、異常であるか否かを判断した。しかしながら、メイン遮断回数カウンタとサブ遮断回数カウンタとを用いないで、異常であるか否かを判断するようにしても良い。例えば、遊技制御用マイコン101(遊技制御基板100)は、通常電源が遮断されたことに基づいて当該通常電源が遮断されたことを示すコマンド(遮断情報)を演出制御基板120に送信する。そして演出制御基板120(演出制御用マイコン121)は、継続して通常電源が供給されている状態にも拘わらず遊技制御基板100から上記コマンドを受信したときには、遊技制御用マイコン101(遊技用CPU102)に対して不正に通常電源が遮断されたものとみなして、異常と判断するようにしても良い。
上記形態では、遊技制御基板100の遊技用CPU102に対して通常電源が投入された回数(メイン投入回数)の情報を電源情報コマンド(投入情報)に含めるようにした。しかしながら、電源情報コマンドに含める情報は、遊技用CPU102(特定の電子デバイス)に対して通常電源が投入された回数の情報に限られるものではなく、電源が投入されたことに基づくものであれば、適宜変更可能である。例えば、電源投入時には、遊技用CPU102は電源ユニット190(電源投入手段)からリセット信号を受信するようになっている。従って、遊技制御基板100の遊技用CPU102がリセット信号を受信した回数(リセット回数)の情報を電源情報コマンド(投入情報)に含めるようにしても良い。そして、この電源情報コマンドを受信した演出制御用マイコン121は、リセット回数とサブ投入回数(又は演出制御用マイコン121が電源ユニット190からリセット信号を受信した回数)とを比較して、異常であるか否かを判断するようにしても良い。なおリセット回数とメイン投入回数とは実質的に同じ回数である。
上記形態では、遊技制御基板100の遊技用CPU102に対して通常電源が遮断された回数(メイン遮断回数)の情報を電源情報コマンド(遮断情報)に含めるようにした。しかしながら、電源情報コマンドに含める情報は、遊技用CPU102(特定の電子デバイス)に対して通常電源が遮断された回数の情報に限られるものではなく、電源が遮断されたことに基づくものであれば、適宜変更可能である。例えば、電断時には、遊技用CPU102は電源ユニット190(電源投入手段)からリセット信号を受信するようになっている。従って、遊技制御基板100の遊技用CPU102がリセット信号を受信した回数(リセット回数)の情報を電源情報コマンド(遮断情報)に含めるようにしても良い。そして、この電源情報コマンドを受信した演出制御用マイコン121は、リセット回数とサブ遮断回数(又はサブ投入回数、或いは演出制御用マイコン121が電源ユニット190からリセット信号を受信した回数)とを比較して、異常であるか否かを判断するようにしても良い。
上記形態では、演出制御用マイコン121が異常であることを示す場合に、図49に示すように、画像表示装置50の表示画面50aに赤色の背景画像RH及び「遊技制御基板エラー」の文字を示す文字画像ERを表示し、盤ランプ54及び枠ランプ212を異常であることを示す特別の発光態様で発光させて、スピーカ620から「ブー」というブザー音を出力した。しかしながら、演出制御用マイコン121が異常であることを示す場合の報知態様は、上記したものに限られるものではなく、適宜変更可能である。例えば、画像表示装置50の表示画面50aに表示されていた画像(演出画像等)がフリーズしたり、盤可動体55k等の演出可動体が異常用の動作態様で動作するようにしても良い。
上記形態では、コンデンサCA3(図12参照)が遊技制御用マイコン101にバックアップ電源を供給し、バックアップ電源回路126のコンデンサが演出制御用マイコン121にバックアップ電源を供給するようにした。また変形例では、ボタン電池BAT(図61参照)が遊技制御用マイコン101にバックアップ電源を供給し、バックアップ電源回路126のボタン電池が演出制御用マイコン121にバックアップ電源を供給するようにした。しかしながら、遊技制御用マイコン101と演出制御用マイコンにバックアップ電源を供給するバックアップ電源供給手段は、コンデンサやボタン電池に限られるものではなく、適宜変更可能である。例えば、充放電可能な二次電池であっても良い。
上記形態では、遊技制御用マイコン101は、電源情報コマンド(投入情報、遮断情報)を、特別図柄の変動表示が実行される度に、演出制御基板120に送信した。しかしながら、電源情報コマンドを送信する条件及びタイミングは、適宜変更可能である。例えば、特別図柄の変動表示が10回実行される度に、電源情報コマンドを送信するようにしても良い。また特別図柄が停止表示される度に、電源情報コマンドが送信されるようにしても良い。或いは、予め定められた所定時間(例えば60分)が計測される度に、電源情報コマンドが送信されるようにしても良い。若しくは、電源投入時(詳細にはS001の電源投入時処理)にて、電源情報コマンドが送信されるようにしても良い。また所定の演出(客待ち演出や大当たり演出)が実行されると、電源情報コマンドが送信されるようにしても良い。
また上記形態では、外部から供給される電源(AC24Vの電力)に基づいて電力を供給可能な電力供給部を、表面実装部品を実装可能な電源ユニット190(モジュール)として構成した。しかしながら、電力供給部を、表面実装部品を実装不能な電源基板として構成しても良い。なお電源ユニット190や電源基板は、遊技球(遊技媒体)の発射を制御する発射制御回路を一体的に組み込んでいるものであっても良い。
また上記形態では、払出制御用マイコン171及び遊技制御用マイコン101に供給される通常電源は、DC5V(特定電圧)の電力であった。しかしながら、その他の電圧に基づく電力としても良い。また払出制御用マイコン171及び遊技制御用マイコン101に供給されるバックアップ電源は、DC5Vの電力であった。しかしながら、その他の電圧に基づく電力としても良い。
また上記形態では、払出制御基板170又は遊技制御基板100に、バックアップ電源供給手段としてのコンデンサCA3を設けた。しかしながら、払出制御基板170又は遊技制御基板100という遊技の結果に影響を及ぼす(及ぼすおそれがある)制御基板(主基板)以外に、バックアップ電源供給手段としてのコンデンサCA3を設けても良い。つまり、演出制御基板120、画像制御基板140、サブドライブ基板162にバックアップ電源供給手段としてのコンデンサCA3を設けても良い。またこの場合に、バックアップ電源を供給する対象を、演出制御用マイコン121、画像用CPU141及び画像用RAM143等にしても良い。
また上記形態では、電源ユニット190は、DC5Vの電力(通常電源)を、枠側基板である払出制御基板170を介して、盤側基板である遊技制御基板100に供給した。しかしながら、枠側基板と盤側基板の関係は、払出制御基板170と遊技制御基板100との関係に限られるものではなく、適宜変更可能である。例えば、電源ユニット190は、DC5Vの電力を、枠側基板である発射制御基板(発射制御回路175を実装している基板)を介して、盤側基板である演出制御基板120に供給するようにして良い。また電源ユニット190は、DC5Vの電力に限られず、例えばDC12Vの電力、DC18Vの電力、DC24Vの電力、DC37Vの電力を、枠側基板を介して盤側基板に供給するようにしても良い。なお枠側基板、盤側基板は、集積回路(IC)を実装していない中継基板であっても良い。
また上記形態では、当選した大当たり図柄の種類に基づいて高確率状態への移行が決定される遊技機として構成したが、いわゆるV確機(大入賞口内の特定領域(V領域)の通過に基づいて高確率状態に制御する遊技機)として構成してもよい。また上記各形態では、一旦高確率状態に制御されると次の大当たり遊技の開始まで高確率状態への制御が続く遊技機(いわゆる確変ループタイプの遊技機)として構成したが、いわゆるST機(確変の回数切りの遊技機)や転落機(抽選結果によって高確率状態が終了する遊技機)として構成してもよい。また、いわゆる1種2種混合機や、ハネモノタイプの遊技機として構成してもよい。すなわち、本明細書に示されている発明は、遊技機のゲーム性を問わず、種々のゲーム性の遊技機に対して好適に採用することが可能である。
なお例えば1種2種混合機のように高確率状態に制御されることがないパチンコ遊技機において以下のように構成することも可能である。即ち、大当たり判定テーブルの中には、高確率状態に対応するテーブル(高確用テーブル)が設けられておらず、通常確率状態に対応するテーブル(通常用テーブル)だけが設けられている。そして、通常確率状態に対応するテーブルには、設定値の各々に拘わらず、大当たりと判定するための共通の下限判定値(共通下限判定値)が記憶されている一方、各設定値に対応して大当たりとは判定するための上限判定値(通常用上限判定値)がそれぞれ記憶されているようにしても良い。又は、通常確率状態に対応するテーブルには、設定値の各々に拘わらず、大当たりと判定するための共通の上限判定値(共通上限判定値)が記憶されている一方、各設定値に対応して大当たりとは判定するための下限判定値(通常用上限判定値)がそれぞれ記憶されているようにしても良い。
また、特別遊技として、小当たり遊技(大入賞口の総開放時間が所定時間(例えば1.8秒)以下と短い特別遊技)を行うことがあってもよい。小当たり遊技の実行中の状態を小当たり遊技状態と言う。
また、大入賞口(大入賞装置)は、複数(例えば2つ)あってもよい。この場合には、第1大入賞口と、第1大入賞口に入賞した遊技球を検出可能な第1大入賞口センサと、第2大入賞口と、第2大入賞口に入賞した遊技球を検出可能な第2大入賞口センサとが設けられている遊技機になる。
また上記形態では、第1始動口11又は第2始動口12への入賞に基づいて取得する乱数(判定用情報)として、大当たり乱数等の4つの乱数を取得することとしたが、一つの乱数を取得してその乱数に基づいて、大当たりか否か、当たりの種別、リーチの有無、及び変動パターンの種類を決めるようにしてもよい。すなわち、始動入賞に基づいて取得する乱数の個数および各乱数において何を決定するようにするかは任意に設定可能である。
また上記形態では、大当たりに当選してそのことを示す特別図柄が停止表示されたことを制御条件として、大当たり遊技状態(特別遊技状態)に制御されるパチンコ遊技機として構成した。これに対して、スロットマシン(回胴式遊技機、パチスロ遊技機)として構成してもよい。
また、スロットマシンのタイプは、どのようなタイプであってもよい。ビッグボーナスやレギュラーボーナスへの入賞によって獲得メダルを増やす所謂ノーマル機(Aタイプのスロットマシン)であれば、ビッグボーナスやレギュラーボーナス等のボーナスを実行している状態が特別遊技状態に相当する。また、小役に頻繁に入賞可能なART(アシストリプレイタイム)やAT(アシストタイム)等の特別な遊技期間にて獲得メダルを増やす所謂ART機やAT機であれば、ARTやAT中の状態が特別遊技状態に相当する。また、ノーマル機では特別遊技状態への制御条件は、ビッグボーナスやレギュラーボーナスに当選した上で、有効化された入賞ライン上に、ビッグボーナスやレギュラーボーナスへの移行契機となる図柄の組み合せが各リールの表示結果として導出表示されることである。また、ART機やAT機では特別遊技状態への制御条件は、例えば、ARTやATの実行抽選に当選した上で、規定ゲーム数を消化するなどしてARTやATの発動タイミングを迎えることである。
16.上記した実施の形態に示されている発明
上記した実施の形態には、以下の各手段の発明が示されている。以下に記す手段の説明では、上記した実施の形態における対応する構成名や表現、図面に使用した符号を参考のためにかっこ書きで付記している。但し、各発明の構成要素はこの付記に限定されるものではない。
手段1に係る発明は、
遊技を制御可能な遊技制御部(遊技制御基板100)と、
演出を制御可能な演出制御部(演出制御基板120)と、
前記遊技制御部と前記演出制御部に電源を投入可能な電源投入手段(電源ユニット190)と、を備える遊技機(パチンコ遊技機PY1)において、
前記遊技制御部は、当該遊技制御部に含まれている特定の電子デバイス(遊技用CPU102)に対して前記電源が投入されると、当該電源が投入されたことに基づく投入情報(電源情報コマンド)を前記演出制御部に送信可能であり、
前記演出制御部は、当該演出制御部に前記電源が投入されていた状態にも拘わらず前記遊技制御部から前記投入情報を受信することに基づいて、異常であることを示す異常報知手段(S1806,S1807,S1808を実行する演出制御用マイコン121、図49参照)を備えていることを特徴とする遊技機である。
不正な電子デバイスが搭載された不正な遊技制御部にすり替えられる不正が行われることがあり得る。そしてこのような場合、特定の電子デバイスを機能させつつ、或る不正タイミングでは、特定の電子デバイスに供給される電源を遮断して、不正な電子デバイスを替わりに作動させることが考えられる。そこでこの構成の遊技機によれば、上述した不正行為において、特定の電子デバイスに対して供給される電源が遮断された後に、再び電源が投入されると、遊技制御部は、投入情報を演出制御部に送信する。このとき演出制御部は、電源が供給されていた状態にも拘わらず、投入情報を受信することなる。これにより、演出制御部は異常であると判断して、異常報知手段により異常であることを報知することが可能である。その結果、上述した不正行為に気付くことが可能である。
手段2に係る発明は、
手段1に記載の遊技機において、
前記遊技制御部には、前記特定の電子デバイスに対して前記電源が投入されると、当該電源が投入されたことに基づく第1投入回数(メイン投入回数)をカウント可能な第1投入カウント手段(メイン投入回数カウンタ)が設けられていて、
前記投入情報は、前記第1投入回数の情報を含み、
前記演出制御部には、当該演出制御部に対して前記電源が投入されると、当該電源が投入されたことに基づく第2投入回数(サブ投入回数)をカウント可能な第2投入カウント手段(サブ投入回数カウンタ)が設けられていて、
前記異常報知手段は、前記第1投入回数と前記第2投入回数との差が所定回数(3回)以上である場合に、異常であることを報知可能であることを特徴とする遊技機である。
この構成の遊技機によれば、遊技制御部の第1投入カウント手段は、特定の電子デバイスに対して電源が投入されると、第1投入回数をカウントする。一方、演出制御部は、当該演出制御部に対して電源が供給されると、第2投入回数をカウントする。ここで、上述した不正行為が行われた場合、特定の電子デバイスに対して電源の供給が遮断された後に再び電源が投入されるのに対して、演出制御部に対して電源が供給され続けていることになる。そのため、第1投入回数が第2投入回数よりも多くなる。こうして、異常報知手段は、第1投入回数と第2投入回数と差が所定回数以上である場合に、異常であることを報知することが可能である。
手段3に係る発明は、
手段2に記載の遊技機において、
前記特定の電子デバイスは、遊技の結果に影響を及ぼす制御処理を実行可能な遊技用CPU(103)であることを特徴とする遊技機である。
この構成の遊技機によれば、演出制御部が、遊技用CPUに対してメイン電力が投入されたことに基づく投入情報を管理することで、異常であるか否かを判断することが可能である。
手段4に係る発明は、
遊技を制御可能な遊技制御部(遊技制御基板100)と、
演出を制御可能な演出制御部(演出制御基板120)と、
前記遊技制御部と前記演出制御部に電源を供給可能な電源投入手段(電源ユニット190)と、を備える遊技機(パチンコ遊技機PY1)において、
前記遊技制御部は、当該遊技制御部に含まれている特定の電子デバイス(遊技用CPU102)に対して前記電源の供給が遮断されると、当該電源が遮断されたことに基づく遮断情報(電源情報コマンド)を前記演出制御部に送信可能であり、
前記演出制御部は、当該演出制御部に前記電源が供給されているにも状態にも拘わらず前記遊技制御部から前記遮断情報を受信することに基づいて、異常であることを示す異常報知手段(S1806,S1807,S1808を実行する演出制御用マイコン121、図49参照)を備えていることを特徴とする遊技機である。
不正な電子デバイスが搭載された不正な遊技制御部にすり替えられる不正が行われることがあり得る。そしてこのような場合、特定の電子デバイスを機能させつつ、或る不正タイミングでは、特定の電子デバイスに供給される電源を遮断して、不正な電子デバイスを替わりに作動させることが考えられる。そこでこの構成の遊技機によれば、上述した不正行為において、特定の電子デバイスに対して供給される電源が遮断されると、遊技制御部は、遮断情報を演出制御部に送信する。このとき演出制御部は、電源が供給されている状態にも拘わらず、遮断情報を受信することなる。これにより、演出制御部は異常であると判断して、異常報知手段により異常であることを報知することが可能である。その結果、上述した不正行為に気付くことが可能である。
ところで、特開2001−096030号公報に記載の遊技機では、遊技制御基板(遊技制御部)に設けられている遊技用CPUや遊技用ROM等の電子デバイスは、電源基板から供給される電力に基づいて、動作できるようになっている。ここで、正規の遊技制御部(遊技制御基板)が不正な遊技制御部にすり替えられる不正が行われることがあり得る。この不正の中でも巧妙なものとして、不正な遊技制御部が不正な電子デバイス(不正な遊技用CPU、不正な遊技用ROM等)を備えているだけでなく、正規の電子デバイス(正規の遊技用CPU、正規の遊技用ROM等)も備えている場合がある。この場合、通常時には正規の電子デバイスを動作させていて、不正行為に気付かれ難くしている。そして或る不正タイミングにおいて、正規の電子デバイスに供給される電力を遮断して、不正の電子デバイスを替わり作動させるという巧妙な不正が行われる。このような巧妙な不正では、通常時には正規の電子デバイスを作動させていることから、不正行為に気付き難くなり、対策を施す必要がある。そこで手段1〜4に係る発明は、特開2001−096030号公報に記載の遊技機に対して、遊技制御部は、当該遊技制御部に含まれている特定の電子デバイスに対して電源が投入されると、当該電源が投入されたことに基づく投入情報を演出制御部に送信可能であり、演出制御部は、当該演出制御部に前記電源が投入されていた状態にも拘わらず遊技制御部から投入情報を受信することに基づいて、異常であることを示す異常報知手段を備えている点で相違している。これにより、不正行為に気付くことが可能な遊技機を提供するという課題を解決する(作用効果を奏する)ことが可能である。