JP2016154502A - 酸化セスキテルペンの生産およびその利用 - Google Patents

酸化セスキテルペンの生産およびその利用 Download PDF

Info

Publication number
JP2016154502A
JP2016154502A JP2015035855A JP2015035855A JP2016154502A JP 2016154502 A JP2016154502 A JP 2016154502A JP 2015035855 A JP2015035855 A JP 2015035855A JP 2015035855 A JP2015035855 A JP 2015035855A JP 2016154502 A JP2016154502 A JP 2016154502A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
gene
amino acid
seq
protein
sesquiterpene
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2015035855A
Other languages
English (en)
Inventor
俊哉 村中
Toshiya Muranaka
俊哉 村中
光 關
Hikari Seki
光 關
祐太朗 山田
Yutaro Yamada
祐太朗 山田
信博 池澤
Nobuhiro Ikezawa
信博 池澤
宗典 鈴木
Munenori Suzuki
宗典 鈴木
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Osaka University NUC
KNC Laboratories Co Ltd
Original Assignee
Osaka University NUC
KNC Laboratories Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Osaka University NUC, KNC Laboratories Co Ltd filed Critical Osaka University NUC
Priority to JP2015035855A priority Critical patent/JP2016154502A/ja
Publication of JP2016154502A publication Critical patent/JP2016154502A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Preparation Of Compounds By Using Micro-Organisms (AREA)
  • Micro-Organisms Or Cultivation Processes Thereof (AREA)
  • Organic Low-Molecular-Weight Compounds And Preparation Thereof (AREA)

Abstract

【課題】本発明の目的は、新規な酸化セスキテルペンの合成を可能とする製造方法を提供することである。【解決手段】本発明は、異なる生物種由来の(A)セスキテルペン合成酵素遺伝子と特定の(B)シトクロームP450モノオキシゲナーゼ遺伝子を導入したことを特徴とする形質転換体を提供することにより、前記課題を解決する。【選択図】図1

Description

本発明は、酸化セスキテルペンの生産およびその利用に関し、具体的には、新規な酸化セスキテルペンの合成方法およびその利用技術に関するものである。
植物が生産する多様な生理活性物質は、古くから有用な医薬品資源として注目されてきた。その中でも、テルペン(テルペノイドとも称する)、とりわけ、セスキテルペンや酸化セスキテルペン(これらを総称してテルペノイドとも称する)は、特に構造が多様で、約3000種類が確認されている。現在確認されているセスキテルペンから、抗マラリア活性を持つアルテミシニン、駆虫活性を持つサントニンをはじめ、抗菌活性、殺虫性、抗腫瘍活性など様々な生理活性を持つものが報告されている。このことから、セスキテルペンや酸化セスキテルペンは潜在的な医薬品資源として有用な物質といえる。
このように植物に由来する酸化セスキテルペンは極めて有用であるが、天然から供給できる量はごく限られている。このため、十分な量を確保するために、人工的に合成する方法が試みられている。例えば、ヨモギ属植物アルテミシア・アヌアのセスキテルペン合成酵素であるアモルファジエン合成酵素遺伝子とシトクロームP450モノオキシゲナーゼであるCYP71AV1遺伝子を出芽酵母で発現させて、アルテミシニンの前駆体であるアルテミシニン酸を合成したことが報告されている(非特許文献1)。また、前記以外の技術として、例えば、シトクロームP450モノオキシゲナーゼ遺伝子を改変して、増大したモノオキシゲナーゼ活性や生成物選択性を有する変異体を取得しこれを利用する技術(特許文献1)や、シトクロームP450モノオキシゲナーゼ遺伝子を改変して、テルペンの望まれる部位を特異的に酸化できる変異体を作製し、これを利用する技術(特許文献2)などが、セスキテルペンの製造法に関連する技術として報告されている。
特表2010−539967号公報 特開2012−10707号公報
Ro et al. Nature, 440, 940-943, 2006
上述のように、酸化セスキテルペンを製造する技術の開発は進んでいるが、まだ十全とはいえない。特に、これまでに確認できていないような、あるいは、天然には存在しない、新規な酸化セスキテルペンを合成できる技術が開発できれば、その価値は非常に高いといえる。
本発明は、前記の問題点を鑑みてなされたものであり、その目的は、新規な酸化セスキテルペンの合成を可能とする新規な形質転換体およびその利用技術を提供することである。
本発明者らは、前記の課題を解決するべく鋭意検討を重ねた結果、(i)異なる生物種由来のセスキテルペン合成酵素(以下、単に「STS」と称する場合もある)遺伝子とシトクロームP450モノオキシゲナーゼ(以下、単に「P450」と称する場合もある)遺伝子とを任意に組み合わせること、(ii)特定のP450を選択すること、により、これまで確認されていない新規の酸化セスキテルペンを製造できることを見出し、本発明を完成させるに至った。すなわち、本発明は、以下の発明を包含する。
(1)異なる生物種由来の(A)セスキテルペン合成酵素遺伝子および(B)シトクロームP450モノオキシゲナーゼ遺伝子を導入した形質転換体であって、
前記シトクロームP450モノオキシゲナーゼが、CYP71Dサブファミリー、CYP706BサブファミリーおよびCYP71AVサブファミリーからなる群より選択される少なくとも一つの酵素であることを特徴とする形質転換体。
(2)前記(A)セスキテルペン合成酵素遺伝子が、以下の(a)〜(e)からなる群より選択されるいずれかの遺伝子であることを特徴とする、(1)に記載の形質転換体:
(a)配列番号1〜5のいずれかに記載されるアミノ酸配列からなるタンパク質をコードする遺伝子;
(b)配列番号1〜5のいずれかに記載されるアミノ酸配列において、1または数個のアミノ酸残基が置換、欠失、挿入および/または付加されたアミノ酸配列からなり、かつセスキテルペン合成活性を有するタンパク質をコードする遺伝子;
(c)配列番号1〜5のいずれかに記載されるアミノ酸配列と80%以上の相同性を有するアミノ酸配列からなり、かつセスキテルペン合成活性を有するタンパク質をコードする遺伝子;
(d)配列番号6〜10のいずれかに記載される塩基配列からなる遺伝子;
(e)前記(a)〜(d)のいずれかの遺伝子と相補的な塩基配列からなるポリヌクレオチドとストリンジェントな条件でハイブリダイズし、かつセスキテルペン合成活性を有するタンパク質をコードする遺伝子。
(3)前記(B)シトクロームP450モノオキシゲナーゼ遺伝子が、以下の(f)〜(j)からなる群より選択されるいずれかの遺伝子であることを特徴とする、(1)または(2)に記載の形質転換体:
(f)配列番号11〜14のいずれかに記載されるアミノ酸配列からなるタンパク質をコードする遺伝子;
(g)配列番号11〜14のいずれかに記載されるアミノ酸配列において、1または数個のアミノ酸残基が置換、欠失、挿入および/または付加されたアミノ酸配列からなり、かつシトクロームP450モノオキシゲナーゼ活性を有するタンパク質をコードする遺伝子;
(h)配列番号11〜14のいずれかに記載されるアミノ酸配列と80%以上の相同性を有するアミノ酸配列からなり、かつシトクロームP450モノオキシゲナーゼ活性を有するタンパク質をコードする遺伝子;
(i)配列番号17〜20のいずれかに記載される塩基配列からなる遺伝子;
(j)前記(f)〜(i)のいずれかの遺伝子と相補的な塩基配列からなるポリヌクレオチドとストリンジェントな条件でハイブリダイズし、かつシトクロームP450モノオキシゲナーゼ活性を有するタンパク質をコードする遺伝子。
(4)前記形質転換体が、組換え酵母であることを特徴とする、(1)から(3)のいずれかに記載の形質転換体。
(5)前記形質転換体が、ファルネシル二リン酸を高生産するものであることを特徴とする、(1)から(4)のいずれかに記載の形質転換体。
(6)(1)から(5)のいずれかに記載の形質転換体を培養して、酸化セスキテルペンを取得することを特徴とする、酸化セスキテルペンの製造方法。
(7)下記式(I):
Figure 2016154502
で示される化合物。
本発明によれば、新規な酸化セスキテルペンの提供が可能となる。
本発明の実施例にて使用した形質転換体により酸化セスキテルペンが製造される工程を模式的に示す図である。 ファルネシル二リン酸から酸化セスキテルペンが製造されるまでの一般的な工程を模式的に示す図である。 本発明の実施例にて得られた新規な酸化セスキテルペンの構造式およびNMR解析の結果を示す図である。
本発明の実施の一形態について、以下に詳細に説明する。なお、本明細書中に記載された学術文献および特許文献の全てが、本明細書中において参考として援用される。なお、本明細書において特記しない限り、数値範囲を表す「A〜B」は、「A以上(Aを含みかつAより大きい)B以下(Bを含みかつBより小さい)」を意味する。
本明細書中で使用される場合、用語「遺伝子」は、「ポリヌクレオチド」、「核酸」または「核酸分子」と交換可能に使用され、ヌクレオチドの重合体が意図される。ここで、遺伝子は、DNAの形態(例えば、cDNAもしくはゲノムDNA)、またはRNA(例えば、mRNA)の形態にて存在し得る。DNAまたはRNAは、二本鎖であっても、一本鎖であってもよい。一本鎖DNAまたはRNAは、コード鎖(センス鎖)であっても、非コード鎖(アンチセンス鎖)であってもよい。また、遺伝子は化学的に合成してもよく、コードするタンパク質の発現が向上するように、コドンユーセージ(Codon usage)を変更してもよい。同じアミノ酸をコードするコドン同士であれば置換することも可能である。また、用語「タンパク質」は、「ペプチド」または「ポリペプチド」と交換可能に使用される。本明細書において使用される場合、塩基およびアミノ酸の表記は、適宜IUPACおよびIUBの定める1文字表記または3文字表記を使用する。
<1.STS遺伝子およびP450遺伝子を導入した形質転換体>
<1−1.本発明の概要>
本発明は、異なる生物種由来のSTS遺伝子および特定のP450遺伝子を導入した形質転換体を提供するものである。より具体的には、前記P450が、CYP71Dサブファミリー、CYP706BサブファミリーおよびCYP71AVサブファミリーからなる群より選択される少なくとも一つの酵素であることが好ましい。
後述する実施例に示すように、例えば、沈香由来のδ−グアイエン合成酵素とレタス由来のCYP71AV3を導入した酵母を用いた場合、新規な酸化セスキテルペンを製造できることが見いだされた。すなわち、本発明は、異なる生物種由来のSTSとP450を組み合わせることにより、これまで確認されていないような新規な構造を有する酸化セスキテルペンを製造し得る点に特徴がある。このため、本発明に係る形質転換体によれば、新規な酸化セスキテルペンの製造を達成できる。
本明細書において「セスキテルペン」とは、STSの触媒活性によりファルネシル二リン酸(FDP、FPPとも称する)(FPPの各種異性体を含む)から生成するC15(xは20〜26であり、yは0〜4である)の化学式を有する化合物および化合物群を意図する。FPPからの生成は、STSの触媒活性によるFPPの環化、酸化、水酸化等の生体内の酵素反応、およびその後に付随する非酵素反応により行われるが、これらに限定されない。セスキテルペンは、非環、単環または多環の任意の形態をとり得るが、共通して、セスキテルペン基本骨格を有する。したがって、セスキテルペン基本骨格を有する任意の化合物は、本明細書におけるセスキテルペンの概念に包含される。
まず、本発明の理解の一助とすべく、形質転換体により酸化セスキテルペンが製造される場合の概要について説明する。図1に示すように、酸化セスキテルペンは、形質転換体内で、メバロン酸経路(MVA経路とも呼ばれる)または非メバロン酸経路(MEP経路とも呼ばれる)により合成されたFPPから、セスキテルペン基本骨格を経て合成される。FPPは、テルペンやステロイドを生合成するメバロン酸経路の中間体となる物質である。
FPPは、下記で詳述するSTSの作用により、セスキテルペン基本骨格を有する化合物へ変換される。セスキテルペン基本骨格を有する化合物は、5個の炭素原子を有するイソプレンユニットが3つ組み合わさって構成される化合物である。
次いで、セスキテルペン基本骨格を有する化合物は、下記で詳述するP450の作用により、酸化セスキテルペンへ変換される。
本明細書において「酸化セスキテルペン」とは、セスキテルペン骨格を有する化合物をP450の作用により酸化した化合物および化合物群を意図するものであって、セスキテルペン骨格を有する化合物がヒドロキシ基により置換されたセスキテルペンアルコール、カルボニル基により置換されたセスキテルペンアルデヒド、カルボキシ基により置換されたセスキテルペノイック酸などが例示できる。酸化セスキテルペンは、3つのイソプレンから構成され、14もしくは15個の炭素原子を有するテルペンの一種であり、非環、単環または多環の任意の形態をとり得る。公知の酸化セスキテルペンとしては、例えば、アルテミシニックアルコール(artemisinic alcohol)、アルテミシニックアルデヒド(artemisinic aldehyde)、アルテミシニン酸(artemisinic acid)、アルテミシニン(artemisinin)、ジヒドロアルテミシニン酸(dihydro artemisinic acid)、ジヒドロアルテミニックアルコール(dihydro artemisinic alcohol)、ジヒドロアルテミシニックアルデヒド(dihydro artemisinic aldehyde)、α-サントニン(α-santonin)、ゼルンボン(zerumbone)、ソラティボン(solavetivone)、ルビミン(lubimin)、リシュチン(rishitin)、ゲルマクロン(germacrone)、クルジオン(crudione)、コスチノリド(costunolide)、シナロピクリン(cynaropicrin)、カプシジオール(capsidiol)、ラクチュシン(lactucin)、ラクチュコピクリン(lactucopicrin)、アニサチン(anisatin)、クニシン(cnicin)、β-オイデスモール(β-eudesmol)、アブシンチン(absinthin)、ビロバリド(bilobalide)、パルテノリド(parthenolide)などが挙げられる。
本発明においては、異なる生物種由来のSTS遺伝子およびP450遺伝子を形質転換体の中で発現させることにより、新規な酸化セスキテルペンの製造が可能となる。なかでも、本発明者らは、P450として、CYP71Dサブファミリー、CYP706BサブファミリーおよびCYP71AVサブファミリーからなる群より選択される少なくとも一つの酵素を選択した場合、効率よく新規な構造の酸化セスキテルペンを製造できることを見出した。本発明者らは、おそらくこれらのP450は、基質特異性が比較的低いことから、異なる生物種由来のSTSにより製造されたセスキテルペン基本骨格を有する化合物でも基質として反応を進められるためではないかと推測している。
<1−2.形質転換体>
本発明に係る形質転換体は、以下に記載した異なる生物種由来の(A)および(B)の遺伝子を導入し、発現させた形質転換体であればよく、その他の具体的な構成は特に限定されない:
(A)STS遺伝子;
(B)P450遺伝子。
前記(B)特定のP450遺伝子は、CYP71Dサブファミリー、CYP706BサブファミリーおよびCYP71AVサブファミリーからなる群より選択される少なくとも一つの酵素であり得る。
以下、本発明における態様について詳述する。
<(A)セスキテルペン合成酵素(STS)および遺伝子>
本発明において「セスキテルペン合成酵素(STS)」とは、FPPからセスキテルペン基本骨格を有する化合物を生成することがきる機能(セスキテルペン合成活性)を有する任意のタンパク質を意味し、セスキテルペン合成活性を有している限り、別段に制限されない。かかるSTSとしては、例えば、タバコおよびトウガラシ由来の5−エピ−アリストロチェン合成酵素(EASとも称する)(各々、Facchini, P.J. and Chappell, J., Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 89.11088-11092, 1992およびBack, K., et al., Plant Cell Physiol. 39 (9), 899-904, 1998)、ヒヨス由来のベチスピラジエン合成酵素(Back, K. and Chappell, J., J. Biol. Chem. 270 (13), 7375-7381, 1995)、オレンジ由来のバレンセン合成酵素(Sharon-Asa, L., et al., Plant J. 36(5), 664-674, 2003)、キダチワタ由来の(+)−δ−カジネン合成酵素(Chen, X.Y., et al., Arch. Biochem. Biophys. 324 (2), 255-266, 1995およびChen, X.Y., et al., J. Nat Prod. 59, 944-951, 1996)、沈香由来のδ−グアイエン合成酵素(AcC2とも称する)(Kumeta, Y., et al., Plant Physiol. 154(4) 1998-2007, 2010)、セイヨウハッカおよびユズ由来の(E)−β−ファルネセン合成酵素(Crock, J., et al., Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 94 (24), 12833-12838, 1997およびMaruyama et al., Biol. Pharm. Bull. 24 (10), 1171-1175, 2001)、グランドファー由来のδ−セリネン合成酵素およびγ−フムレン合成酵素(Steele, C.L., et al., J. Biol. Chem. 273 (4), 2078-2089, 1998)、グランドファー由来のE−α−ビサボレン合成酵素(Bohlmann, J., et al., Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 95 (12), 6756-6761, 1998)、トマト由来のゲルマクレンC合成酵素(Colby, S.M., et al., Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 95 (5), 2216-2221, 1998)、ニンジン由来のエピ−セドロール合成酵素およびアモルファ−4,11−ジエン合成酵素(Mercke, P., et al., Arch. Biochem. Biophys. 369 (2), 213-222, 1999; Mercke, P., et al., Arch. Biochem. Biophys. 381 (2), 173-180, 2000)、トマト由来のゲルマクレンD合成酵素(van der Hoeven, R. S., Monforte, A. J. , Breeden D., Tanksley, S. D. , and Steffens J. C., The Plan cell 12, 2283-2294, 2000)、ならびにレタス、チコリーおよびソリダゴ・カナデンシス由来のゲルマクレンA合成酵素(各々、Bennett, M.H., et al., Phytochem. 60, 255-261, 2002; Bouwmeester, H.J., et al., Plant Physiol. 129 (1) 134-144, 2002およびProsserl, et al., Phytochem. 60, 691-702, 2000)を含むが、これらに限定されない。
本発明において、STSは、好ましくは、タバコ由来の5−エピ−アリストロチェン合成酵素(EAS)(配列番号1)、ヒヨス由来のベチスピラジエン合成酵素(配列番号2)、オレンジ由来のバレンセン合成酵素(配列番号3)、キダチワタ由来の(+)−δ−カジネン合成酵素(配列番号4)、または沈香由来のδ−グアイエン合成酵素(配列番号5)が使用され、特に好ましくは、沈香由来のδ−グアイエン合成酵素(配列番号6)が使用され得る。配列番号1〜5のタンパク質をコードする遺伝子の塩基配列をそれぞれ配列番号6〜10で示す。
また、本発明において、前記(A)STS遺伝子は、以下の(a)〜(e)からなる群より選択されるいずれかの遺伝子であることが好ましい:
(a)配列番号1〜5のいずれかに記載されるアミノ酸配列からなるタンパク質をコードする遺伝子;
(b)配列番号1〜5のいずれかに記載されるアミノ酸配列において、1または数個のアミノ酸残基が置換、欠失、挿入および/または付加されたアミノ酸配列からなり、かつセスキテルペン合成活性を有するタンパク質をコードする遺伝子;
(c)配列番号1〜5のいずれかに記載されるアミノ酸配列と80%以上の相同性を有するアミノ酸配列からなり、かつセスキテルペン合成活性を有するタンパク質をコードする遺伝子;
(d)配列番号6〜10のいずれかに記載される塩基配列からなる遺伝子;
(e)前記(a)〜(d)のいずれかの遺伝子と相補的な塩基配列からなるポリヌクレオチドとストリンジェントな条件でハイブリダイズし、かつセスキテルペン合成活性を有するタンパク質をコードする遺伝子。
前記(a)の遺伝子について具体的に説明する。配列番号1は、5−エピ−アリストロチェン合成酵素(EAS)と呼ばれるタバコ由来のセスキテルペン合成酵素であり、全長548アミノ酸残基から構成されるタンパク質である。配列番号2は、ベチスピラジエン合成酵素と呼ばれるヒヨス由来のセスキテルペン合成酵素であり、全長555アミノ酸残基から構成されるタンパク質である。配列番号3は、バレンセン合成酵素と呼ばれるオレンジ由来のセスキテルペン合成酵素であり、全長548アミノ酸残基から構成されるタンパク質である。配列番号4は、(+)−δ−カジネン合成酵素と呼ばれるキダチワタ由来のセスキテルペン合成酵素であり、全長554アミノ酸残基から構成されるタンパク質である。配列番号5は、δ−グアイエン合成酵素と呼ばれる沈香由来のセスキテルペン合成酵素であり、全長547アミノ酸残基から構成されるタンパク質である。
前記(b)の遺伝子は、配列番号1〜5のいずれかに示すアミノ酸配列を有するタンパク質の、機能的に同等の変異体、誘導体、バリアント、アレル、ホモログ、オルソログ、部分ペプチド、または他のタンパク質・ペプチドとの融合タンパク質等であって、セスキテルペン合成活性を有するタンパク質をコードする限り、その具体的な配列については限定されない。ここで欠失、置換または付加されてもよいアミノ酸の数は、前記機能を失わせない限り、限定されてないが、部位特異的突然変異誘発法等の公知の導入法によって欠失、置換または付加できる程度の数をいい、通常は、30アミノ酸以内であり、好ましくは20アミノ酸以内であり、さらに好ましくは10アミノ酸以内であり、より好ましくは7アミノ酸以内、さらに好ましくは5アミノ酸以内(例えば、5、4、3、2または1アミノ酸)である。また、明細書中において「変異」とは、部位特異的突然変異誘発法等によって人為的に導入された変異を主に意味するが、天然に存在する同様の変異であってもよい。
変異するアミノ酸残基は、アミノ酸側鎖の性質が保存されている別のアミノ酸に変異されていることが好ましい。例えば、アミノ酸側鎖の性質としては、疎水性アミノ酸(A、I、L、M、F、P、W、Y、V)、親水性アミノ酸(R、D、N、C、E、Q、G、H、K、S、T)、脂肪族側鎖を有するアミノ酸(G、A、V、L、I、P)、水酸基含有側鎖を有するアミノ酸(S、T、Y)、硫黄原子含有側鎖を有するアミノ酸(C、M)、カルボン酸およびアミド含有側鎖を有するアミノ酸(D、N、E、Q)、塩基含有側鎖を有するアミノ酸(R、K、H)、芳香族含有側鎖を有するアミノ酸(H、F、Y、W)が挙げられる(括弧内はいずれもアミノ酸の一文字表記を表す)。あるアミノ酸配列に対する1または複数個のアミノ酸残基の欠失、付加および/または他のアミノ酸による置換により修飾されたアミノ酸配列を有するポリペプチドがその生物学的活性を維持することはすでに知られている。さらに、標的アミノ酸残基は、共通した性質をできるだけ多く有するアミノ酸残基に変異させることがより好ましい。
本明細書において「機能的に同等」とは、対象となるタンパク質が、目的とするタンパク質と同等(同一および/または類似)の生物学的機能や生化学的機能を有することを意図する。生物学的な性質には発現する部位の特異性や、発現量等も含まれ得る。変異を導入したタンパク質が所望の機能を有するかどうかは、その変異タンパク質がセスキテルペン合成活性を有するかどうか調べることにより判断できる。
前記(c)の遺伝子も、配列番号1〜5のいずれかに示すアミノ酸配列を有するタンパク質の、機能的に同等の変異体、誘導体、バリアント、アレル、ホモログ、オルソログ、部分ペプチド、または他のタンパク質・ペプチドとの融合タンパク質等を意図しており、セスキテルペン合成活性を有するタンパク質をコードする限り、その具体的な配列については限定されない。アミノ酸配列の相同性とは、アミノ酸配列全体(または機能発現に必要な領域)で、少なくとも80%以上、より好ましくは90%以上、さらに好ましくは95%以上(例えば、95%、96%、97%、98%、99%以上)の配列の同一性を有することを意味する。アミノ酸配列の相同性は、BLASTN(核酸レベル)やBLASTX(アミノ酸レベル)のプログラム(Altschul et al. J. Mol. Biol., 215: 403-410, 1990) を利用して決定することができる。該プログラムは、KarlinおよびAltschulによるアルゴリズムBLAST (Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 87:2264-2268, 1990, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 90: 5873-5877, 1993) に基づいている。BLASTNによって塩基配列を解析する場合には、パラメーターは例えばscore =100、wordlength =12とする。また、BLASTXによってアミノ酸配列を解析する場合には、パラメーターは例えばscore =50、wordlength =3とする。また、Gapped BLASTプログラムを用いて、アミノ酸配列を解析する場合は、Altschulら(Nucleic Acids Res. 25: 3389-3402, 1997)に記載されているように行うことができる。BLASTとGapped BLASTプログラムを用いる場合には、各プログラムのデフォルトパラメーターを用いる。これらの解析方法の具体的な手法は公知である。比較対象の塩基配列またはアミノ酸配列を最適な状態にアラインメントするために、付加または欠失(例えば、ギャップ等)を許容してもよい。
本明細書において「相同性」とは、性質が類似のアミノ酸残基数の割合(homology、positive等)を意図しているが、より好ましくは、一致したアミノ酸残基数の割合、すなわち同一性(identity)である。なお、アミノ酸の性質については上述したとおりである。
前記(d)の遺伝子について、配列番号6は、配列番号1で示されるアミノ酸配列からなるタンパク質をコードする遺伝子の塩基配列(Open Reading Frame:ORF)を示す。また、配列番号7、8、9および10は、それぞれ配列番号2、3、4および5で示されるアミノ酸配列からなるタンパク質をコードする遺伝子の塩基配列(ORF)を示す。
前記(e)の遺伝子は、前記(a)〜(d)のいずれかの遺伝子と相補的な塩基配列からなるポリヌクレオチドとストリンジェントな条件でハイブリダイズする遺伝子を意図する。ここで、ストリンジェントな条件とは、いわゆる塩基配列に特異的な2本鎖のポリヌクレオチドが形成され、非特異的な2本鎖のポリヌクレオチドが形成されない条件をいう。換言すれば、相同性が高い核酸同士、例えば完全にマッチしたハイブリッドの融解温度(Tm値)から15℃、好ましくは10℃、更に好ましくは5℃低い温度までの範囲の温度でハイブリダイズする条件ともいえる。例えば、一例を示すと、0.25M Na2HPO4、pH7.2、7%SDS、1mM EDTA、1×デンハルト溶液からなる緩衝液中で温度が60〜68℃、好ましくは65℃、さらに好ましくは68℃の条件下で16〜24時間ハイブリダイズさせ、さらに20mM Na2HPO4、pH7.2、1%SDS、1mM EDTAからなる緩衝液中で温度が60〜68℃、好ましくは65℃、さらに好ましくは68℃の条件下で15分間の洗浄を2回行う条件を挙げることができる。他の例としては、25%ホルムアミド、より厳しい条件では50%ホルムアミド、4×SSC(塩化ナトリウム/クエン酸ナトリウム)、50mM Hepes pH7.0、10×デンハルト溶液、20μg/mL変性サケ精子DNAを含むハイブリダイゼーション溶液中、42℃で一晩プレハイブリダイゼーションを行った後、標識したプローブを添加し、42℃で一晩保温することによりハイブリダイゼーションを行う。その後の洗浄における洗浄液および温度条件は、「1×SSC、0.1%SDS、37℃」程度で、より厳しい条件としては「0.5×SSC、0.1%SDS、42℃」程度で、さらに厳しい条件としては「0.2×SSC、0.1%SDS、65℃」程度で実施することができる。このようにハイブリダイゼーションの洗浄の条件が厳しくなるほど、特異性の高いハイブリダイズとなる。ただし、前記SSC、SDSおよび温度の条件の組み合わせは例示であり、当業者であれば、ハイブリダイゼーションのストリンジェンシーを決定する前記若しくは他の要素(例えば、プローブ濃度、プローブの長さ、ハイブリダイゼーション反応時間等)を適宜組み合わせることにより、前記と同様のストリンジェンシーを実現することが可能である。このことは、例えば、Sambrookら、Molecular Cloning, A Laboratory Manual, 3rd Ed., Cold Spring Harbor Laboratory(2001)等に記載されている。
また、前記(e)の遺伝子には、配列番号6〜10のいずれかに記載の塩基配列からなるDNAにおいて、1〜50個の塩基配列が置換、欠損、挿入および/または付加しているDNAからなる遺伝子、および配列番号6〜10のいずれかに記載の塩基配列からなるDNAと90%以上の相同性を有するDNAからなる遺伝子も含まれる。
<(B)シトクロームP450モノオキシゲナーゼ(P450)および遺伝子>
本発明において「シトクロームP450モノオキシゲナーゼ(P450)」とは、セスキテルペン基本骨格を有する化合物を基質として、酸化反応を行い得る機能(シトクロームP450モノオキシゲナーゼ活性、P450活性)を有するタンパク質を意味し、P450活性を有している限り、別段に制限されない。かかるP450としては、好ましくは、セスキテルペン基本骨格を有する化合物に対する酸化作用能を有する植物由来のタンパク質であり得る。論文Nelson, D. and Werck−Reichhart, D., Plant J. 66(1), 194−211, 2011の中で、植物におけるP450は、現在までのところ、127種のファミリーに分類されることが記述されている。P450の種類は、今もなお増え続けており、新たに同定されたP450も、本願発明の趣旨に反しない範囲でP450に包含されるものとする。P450命名委員会によって命名されたP450の最新情報については、http://drnelson.uthsc.edu/biblioD.html#710Aに記載されており、本願明細書において適宜援用される。
P450ファミリーとしては、例えば、CYP51、CYP71〜CYP99、CYP701〜CYP772(CYPに続く数字の部分がファミリー名を示しており、相同性が40%以上のCYPの集団を示す)等が挙げられるが、これらに限定されない。本発明において特に重要なCYP71およびCYP706の2つのP450ファミリーについて、下記にそのサブファミリーを示す(このことは何ら、本発明で利用可能なP450の範囲を限定することを意図するものではない)。
本発明に利用可能なCYP71サブファミリーとしては、例えば、下記に示すものが挙げられるが、これらに限定されない:CYP71A、CYP71B、CYP71C、CYP71D、CYP71E、CYP71F、CYP71G、CYP71H、CYP71J、CYP71K、CYP71L、CYP71M、CYP71N、CYP71P、CYP71Q、CYP71R、CYP71S、CYP71T、CYP71U、CYP71V、CYP71W、CYP71X、CYP71Y、CYP71Z、CYP71AA、CYP71AB、CYP71AC、CYP71AD、CYP71AE、CYP71AF、CYP71AG、CYP71AH、CYP71AJ、CYP71AK、CYP71AL、CYP71AM、CYP71AN、CYP71AP、CYP71AQ、CYP71AR、CYP71AS、CYP71AT、CYP71AU、CYP71AV、CYP71AW、CYP71AX、CYP71AY、CYP71AZ、CYP71BA、CYP71BB、CYP71BC、CYP71BD、CYP71BE、CYP71BF、CYP71BG、CYP71BH、CYP71BJ、CYP71BK、CYP71BL、CYP71BQ、CYP71BR、CYP71BS、CYP71BT、CYP71BU、CYP71BV、CYP71BW、CYP71BX、CYP71BY、CYP71BZ、CYP71CA(CYPおよび数字に続くアルファベットの部分がサブファミリー名を示しており、相同性が55%以上のCYPの集団を示す)。
本発明に利用可能なCYP706サブファミリーとしては、例えば、下記に示すものが挙げられるが、これらに限定されない:CYP706A、CYP706B、CYP706C、CYP706D、CYP706E、CYP706F、CYP706G、CYP706H、CYP706J、CYP706K、CYP706L、CYP706M。
本発明に利用可能なCYP71およびCYP706サブファミリーには、それらのアミノ酸配列に対して、55%以上の相同性(又は同一性)を有し、かつ、P450活性を有しているタンパク質も包含するものとする。また、前記配列相同性は、60%以上であることがより好ましく、70%以上であることがさらに好ましく、80%以上であることが特に好ましい。
前記P450は、さらに、アイソフォームの段階まで分類され得る。アイソフォームは、前記のCYP、数字およびアルファベットに続いて、さらに数字を付すことにより記載される。
本発明におけるP450は、セスキテルペン基本骨格を有する化合物に対して特異的に結合するものであってよく、非特異的に結合するものであってもよい。セスキテルペン基本骨格を含む多くの物質に対して非特異的に結合するもの、すなわち基質特異性が低いP450の方が多くのセスキテルペン基本骨格に作用し得る可能性が高いことからより好ましい。そのようなP450としては、CYP71ファミリー、CYP706ファミリーが挙げられるがこれらに限定されない。その中でも、特に、CYP71Dサブファミリー、CYP706Bサブファミリー、CYP71AVサブファミリー、CYP71BLサブファミリーなどが、セスキテルペン基本骨格に対して特異的に結合する分子として知られており、本発明において好ましく使用できる。
すなわち、本発明において用いられるP450は、好ましくは、CYP71ファミリーまたはCYP706ファミリーであり、より好ましくは、CYP71Dサブファミリー、CYP706Bサブファミリー、CYP71AVサブファミリーまたはCYP71BLサブファミリーであり、特に好ましくは、CYP71Dサブファミリー、CYP706BサブファミリーまたはCYP71AVサブファミリーである。さらに具体的には、シトクロームP450モノオキシゲナーゼは、CYP71D20(配列番号11)、CYP71D55(配列番号12)、CYP706B1(配列番号13)、CYP71AV3(配列番号14)、CYP71BL1(配列番号15)またはCYP71BL2(配列番号16)が好ましく、CYP71D20、CYP71D55、CYP706B1またはCYP71AV3がより好ましく、CYP71AV3がとりわけ好ましい。配列番号11〜16のタンパク質をコードする遺伝子の塩基配列をそれぞれ配列番号17〜22で示す。
また、本発明において、前記(B)P450遺伝子は、以下の(f)〜(j)からなる群より選択されるいずれかの遺伝子であることが好ましい:
(f)配列番号11〜14のいずれかに記載されるアミノ酸配列からなるタンパク質をコードする遺伝子;
(g)配列番号11〜14のいずれかに記載されるアミノ酸配列において、1または数個のアミノ酸残基が置換、欠失、挿入および/または付加されたアミノ酸配列からなり、かつP450活性を有するタンパク質をコードする遺伝子;
(h)配列番号11〜14のいずれかに記載されるアミノ酸配列と80%以上の相同性を有するアミノ酸配列からなり、かつP450活性を有するタンパク質をコードする遺伝子;
(i)配列番号17〜20のいずれかに記載される塩基配列からなる遺伝子;
(j)前記(f)〜(i)のいずれかの遺伝子と相補的な塩基配列からなるポリヌクレオチドとストリンジェントな条件でハイブリダイズし、かつP450活性を有するタンパク質をコードする遺伝子。
前記(f)の遺伝子について、配列番号11は、CYP71D20と呼ばれるタバコ由来のシトクロームP450モノオキシゲナーゼであり、全長504アミノ酸残基から構成されるタンパク質である。配列番号12は、CYP71D55と呼ばれるヒヨス由来のシトクロームP450モノオキシゲナーゼであり、全長502アミノ酸残基から構成されるタンパク質である。配列番号13は、CYP706B1と呼ばれるワタ由来のシトクロームP450モノオキシゲナーゼであり、全長536アミノ酸残基から構成されるタンパク質である。配列番号14は、CYP71AV3と呼ばれるレタス由来のシトクロームP450モノオキシゲナーゼであり、全長488アミノ酸残基から構成されるタンパク質である。
また、前記(f)の遺伝子としては記載されていないが、配列番号15または16に記載されるアミノ酸配列からなるたんぱく質についても、同様に、本発明のP450として使用され得る。配列番号15は、CYP71BL2と呼ばれるレタス由来のシトクロームP450モノオキシゲナーゼであり、全長488アミノ酸残基から構成されるタンパク質である。配列番号16は、CYP71BL1と呼ばれるヒマワリ由来のシトクロームP450モノオキシゲナーゼであり、全長490アミノ酸残基から構成されるタンパク質である。
前記(g)の遺伝子は、配列番号11〜14のいずれかに示すアミノ酸配列を有するタンパク質の、機能的に同等の変異体、誘導体、バリアント、アレル、ホモログ、オルソログ、部分ペプチド、または他のタンパク質・ペプチドとの融合タンパク質等であって、シトクロームP450モノオキシゲナーゼ活性を有するタンパク質をコードする限り、その具体的な配列については限定されない。その他の説明は、P450活性を有する点を除いて、前記(b)の遺伝子と共通するため、省略する。
前記(h)の遺伝子は、配列番号11〜14のいずれかに示すアミノ酸配列を有するタンパク質の、機能的に同等の変異体、誘導体、バリアント、アレル、ホモログ、オルソログ、部分ペプチド、または他のタンパク質・ペプチドとの融合タンパク質等を意図しており、P450活性を有するタンパク質をコードする限り、その具体的な配列については限定されない。その他の説明は、P450活性を有する点を除いて、前記(c)の遺伝子と共通するため、省略する。
前記(i)の遺伝子について、配列番号17〜20は、それぞれ配列番号11〜14のいずれかで示されるアミノ酸配列からなるタンパク質をコードする遺伝子の塩基配列(Open Reading Frame:ORF)を示す。
前記(j)の遺伝子は、前記(f)〜(i)のいずれかの遺伝子と相補的な塩基配列からなるポリヌクレオチドとストリンジェントな条件でハイブリダイズする遺伝子を意図する。また、前記(j)の遺伝子には、配列番号17〜20のいずれかに記載の塩基配列からなるDNAにおいて、1〜50個の塩基配列が置換、欠損、挿入および/または付加しているDNAからなる遺伝子、および配列番号17〜20のいずれかに記載の塩基配列からなるDNAと90%以上の相同性を有するDNAからなる遺伝子も含まれる。その他の説明は、P450活性を有する点を除いて、前記(e)の遺伝子と共通するため、省略する。
<1−3.STSとP450の組み合わせ>
本発明において、STSとP450の組み合わせは、新規な酸化セスキテルペンを生成できる可能性を有する組み合わせであればよく特に限定されないが、例えば、天然に存在しない両者の組み合わせ、とりわけ、異なる生物種に由来する酵素の組み合わせが採用され得る。本発明において、STSとP450の組み合わせとしては、例えば、下記の組み合わせが考えられる(前者がSTSを示し、後者がP450を示す。以下の表2,3も同様。):
Figure 2016154502
本発明において、STSとP450の好ましい組み合わせは、下記の通りである:
Figure 2016154502
本発明において、STSとP450のとりわけ好ましい組み合わせは、(2)、(6)、(7)、(9)、(10)、(11)または(12)であり、特に好ましくは、(12)であり得る。
また、他の観点から、本発明において、STSとP450の組み合わせとしては、例えば、下記の組み合わせが考えられる:
Figure 2016154502
本発明において、セスキテルペン合成酵素とシトクロームP450モノオキシゲナーゼのとりわけ好ましい組み合わせは、(ii)、(vi)、(vii)、(ix)、(x)、(xi)または(xii)であり、特に好ましくは、(xii)であり得る。
本発明において「異なる生物種に由来する」とは、一方がある種Aに由来する場合、他方は種A以外の種に由来することを意味する。本発明において、STSおよびP450の由来となる種としては、STSおよび/またはP450を内在的に有している種であれば別段限定されず、任意の生物種が対象となり得る。
好ましくは、植物由来の酵素が本発明において好ましく使用される。由来となる植物としては、例えば、種子植物、シダ植物、コケ植物、藻類などが挙げられるが、これらに限定されない。種子植物は、裸子植物であってもよく、被子植物であってもよい。被子植物の場合、単子葉植物、双子葉植物のいずれであってもよく、別段限定されない。種子植物として、例えば、イネ、オオムギ、トウモロコシ、コムギなどの穀類;レタス、カリフラワー、キャベツ、セイヨウナタネ、ジャガイモ、トマト、ニンジン、バジル、ダイコン、小松菜、ホウレンソウ、カブ、カボチャ、ピーマンなどの野菜類;アルファルファ、クローバー、レンゲなどの緑肥植物;コスモス、トレニア、キク、ガーベラ、パンジー、ラン、シャクヤク、チューリップ、ヒマワリなどの花卉類;ダイズ、アズキ、インゲン、落花生、ソラマメ、エンドウなどの豆類;コウライシバ、ベントグラス、ノシバなどの芝類;その他シロイヌナズナ、ニチニチソウ、タバコ、ワタ、オレンジなどが挙げられる。シダ植物としては、例えば、ゼンマイ、ワラビ、スギナなどが、コケ植物としては、例えば、ゼニゴケ、ツノゴケ、スギゴケ、ミズゴケなどが、藻類としては、例えば、ヘマトコッカス・プルビアリス、クラミドモナス、ミドリムシなどが挙げられる。
本発明には、STSが1種類のみが使用され、P450が1種類もしくは複数種類が使用される形態も包含され得る。STSおよびP450を何種類用いるかについては、本発明の趣旨並びに目的に応じて、当業者が任意に設定することができる。
<1−4.形質転換体の作製>
上述したSTSおよびP450の遺伝子・タンパク質を得る方法としては、通常行われるポリヌクレオチド改変方法を用いてもよい。すなわち、タンパク質の遺伝情報を有するポリヌクレオチドの特定の塩基を置換、欠失、挿入および/または付加することで、所望の組換えタンパク質の遺伝情報を有するポリヌクレオチドを作製することができる。ポリヌクレオチドの塩基を変換する具体的な方法としては、例えば市販のキット(KOD-Plus Site-Directed Mutagenesis Kit;東洋紡製,Transformer Site-Directed Mutagenesis Kit; Clontech製,QuickChange Site Directed Mutagenesis Kit; Stratagene製など)の使用、またはポリメラーゼ連鎖反応法(polymerase chain reaction:PCR)の利用が挙げられる。これらの方法は当業者に公知である。
また、前記遺伝子は、前記タンパク質をコードするポリヌクレオチドのみからなるものであってもよいが、その他の塩基配列が付加されていてもよい。付加される塩基配列としては、特に限定されないが、標識(例えば、ヒスチジンタグ、MycタグまたはFLAGタグなど)、融合タンパク質(例えば、ストレプトアビジン、シトクローム、GST、GFPまたはMBPなど)、プロモーター配列、およびシグナル配列(例えば、小胞体移行シグナル配列、および分泌配列など)をコードする塩基配列などが挙げられる。これらの塩基配列が付加される部位は特に限定されるものではなく、例えば、翻訳されるタンパク質のN末端であっても、C末端でもあってもよい。
また、本発明には、前記遺伝子を含むベクターが含まれ得る。本ベクターとしては、形質転換体作製のために宿主細胞内で、前記遺伝子を発現させるための発現ベクターのほか、組換えタンパク質の生産に用いるものも含まれる。形質転換の対象は特に限定されず、細菌、酵母、昆虫、動物および植物を例示することができる。本発明において、好ましくは、酵母が形質転換の対象とされる。
前記ベクターの母体となる基材ベクターとしては、一般的に使用される種々のベクターを用いることができる。例えば、プラスミド、ファージまたはコスミド等を用いることができ、導入される細胞または導入方法に応じて適宜選択できる。つまり、ベクターの具体的な種類は特に限定されるものではなく、宿主細胞中で発現可能なベクターを適宜選択すればよい。宿主細胞の種類に応じて、確実に前記遺伝子を発現させるために適宜プロモーター配列を選択し、これと前記遺伝子を各種プラスミド等に組み込んだものを発現ベクターとして用いればよい。かかる発現ベクターは、例えば、ファージベクター、プラスミドベクター、ウイルスベクター、レトロウイルスベクター、染色体ベクター、エピソームベクターおよびウイルス由来ベクター(例えば、細菌プラスミド、バクテリオファージ、酵母エピソーム、酵母染色体エレメントおよびウイルス(例えば、バキュロウイルス、パポバウイルス、ワクシニアウイルス、アデノウイルス、トリポックスウイルス、仮性狂犬病ウイルス、ヘルペスウイルス、レンチウイルスおよびレトロウイルス))ならびにそれらの組合せに由来するベクター(例えば、コスミドおよびファージミド)を利用可能である。
一般的に、プラスミドベクターは、リン酸カルシウム沈殿物のような沈殿物中か、または荷電された脂質との複合体中で導入される。ベクターがウイルスである場合、ベクターは、適切なパッケージング細胞株を用いてin vitroでパッケージングされ得、次いで宿主細胞に形質導入され得る。また、レトロウイルスベクターは、複製可能かまたは複製欠損であり得る。後者の場合、ウイルスの増殖は、一般的に、ヘルパー細胞においてのみ生じる。
また、前記ベクターは、目的の遺伝子に対するシス作用性制御領域を含むベクターが好ましい。適切なトランス作用性因子は、宿主によって供給され得るか、相補ベクターによって供給され得るか、または宿主への導入の際にベクター自体によって供給され得る。この点に関する好ましい実施態様としては、前記ベクターは、誘導性および/または細胞型特異的であり得る特異的な発現を提供するものであることが好適である。このようなベクターの中で特に好ましいベクターは、温度および栄養添加物のような操作することが容易である環境因子によって誘導性のベクターである。
細菌における使用に好ましいベクターの中には、例えば、pQE-70、pQE-60およびpQE-9(Qiagen社から入手可能);pBSベクター、Phagescriptベクター、Bluescriptベクター、pNH8A、pNH16a、pNH18AおよびpNH46A(Stratagene社から入手可能);ならびにptrc99a、pKK223-3、pKK233-3、pDR540およびpRIT5(Addgene社から入手可能)が含まれる。また、好ましい真核生物ベクターの中には、pWLNEO、pSV2CAT、pOG44、pXT1およびpSG(Stratagene社から入手可能);ならびにpSVK3、pBPV、pMSGおよびpSVL(Addgene社から入手可能)が含まれる。
前記遺伝子が宿主細胞に導入されたか否か、さらには宿主細胞中で確実に発現しているか否かを確認するために、各種マーカーを用いてもよい。すなわち、前記ベクターは、少なくとも1つの選択マーカーを含むことが好ましい。このような選択マーカーとしては、例えば、真核生物細胞培養についてはジヒドロ葉酸レダクターゼまたはネオマイシン耐性、E.coliおよび他の細菌における培養についてはテトラサイクリン耐性遺伝子またはアンピシリン耐性遺伝子等の薬剤耐性遺伝子が挙げられる。また、その他にも宿主細胞中で欠失している遺伝子をマーカーとして用いてもよい。このマーカーと本発明に係る遺伝子とを含むプラスミド等を発現ベクターとして宿主細胞に導入することにより、マーカー遺伝子の発現から前記遺伝子の導入を確認することができる。また、前記遺伝子は、宿主細胞における増殖のための選択マーカーを含むベクターに結合されてもよい。
また、前記遺伝子のインサートは、適切なプロモーターに作動可能に連結されることが好ましい。他の適切なプロモーターとしては、当業者に知られたものを利用可能であり、特に限定されないが、例えば、ファージλPLプロモーター、E.coli lacIプロモーター、lacZプロモーター、T3プロモーターおよびT7プロモーター、trpプロモーターおよびtacプロモーター、SV40初期プロモーターおよび後期プロモーターならびにレトロウイルスLTRのプロモーターが挙げられる。
形質転換における宿主として酵母を用いる場合には、酵母内複製させるための「ori」および形質転換された酵母を選抜するための遺伝子(例えば、薬剤(アンピシリン、テトラサイクリン、カナマイシンおよびクロラムフェニコール等)耐性遺伝子)をベクター上に有することが好ましい。酵母発現ベクターとしては、例えば、YEp-FLAG-1(SIGMA社製)、pYES2、pYD1(Invitorogen社製)、pUR123(宝酒造社製)、pYEX-BX、pYEX-S1、pYEX-4T(CLONTECH社製)、pESC等が挙げられる。
前記ベクターは、さらに、転写開始、転写終結のための部位、および、転写領域中に翻訳のためのリボゾーム結合部位を含むことが好ましい。ベクター構築物によって発現される成熟転写物のコード部分は、翻訳されるべきポリペプチドの始めに転写開始AUGを含み、そして終わりに適切に位置される終止コドンを含むことになる。
また、高等真核生物によるDNAの転写は、ベクター中にエンハンサー配列を挿入することによって増大させ得る。エンハンサーは、所定の宿主細胞型におけるプロモーターの転写活性を増大するように働く、通常約10〜300bpのDNAのシス作用性エレメントである。エンハンサーとしては、例えば、SV40エンハンサー(これは、複製起点の後期側上の100〜270bpに位置される)、サイトメガロウイルスの初期プロモーターエンハンサー、複製起点の後期側上のポリオーマエンハンサーおよびアデノウイルスエンハンサーが挙げられる。
ベクターが導入される宿主としては、特に限定されないが、各種細胞を好適に用いることができる。適切な宿主の代表的な例としては、菌体(例えば、E. coli細胞、Streptomyces細胞およびSalmonella typhimurium細胞)、真菌細胞(例えば、酵母細胞)、昆虫細胞(例えば、Drosophila S2細胞およびSpodoptera Sf9細胞)、動物細胞(例えば、CHO細胞、COS細胞およびBowes黒色腫細胞)ならびに植物細胞が挙げられる。より具体的には、ヒトまたはマウス等の哺乳類の細胞だけでなく、例えば、カイコガ由来の細胞をはじめとして、キイロショウジョウバエ等の昆虫、大腸菌(Escherichia coli)等の細菌、酵母(出芽酵母(Saccharomyces cerevisiae)および分裂酵母(Schizosaccharomyces pombe))、線虫(Caenorhabditis elegans)、アフリカツメガエル(Xenopus laevis)の卵母細胞等を挙げることができるが、特に限定されるものではない。前記の宿主細胞のための適切な培養培地および条件は当分野で公知ものを利用可能である。
前記ベクターを宿主細胞に導入する方法、すなわち形質転換方法も特に限定されるものではなく、電気穿孔法、リン酸カルシウム法、リポソーム法、DEAEデキストラン法、マイクロインジェクション法、カチオン性脂質媒介トランスフェクション、エレクトロポレーション、形質導入または感染等の従来公知の方法を好適に用いることができる。このような方法は、Davisら、Basic Methods In Molecular Biology (1986) のような多くの標準的研究室マニュアルに記載されている。
なお、本発明には、前記タンパク質の部分断片(フラグメント)を組換え的に生成するための、前記タンパク質の部分断片をコードするポリヌクレオチドを含む組換え発現ベクターおよび組換え発現ベクターで遺伝子操作された形質転換体(宿主細胞)を含む。
さらに、本発明には、上述の組換え技術によって得られるタンパク質の変異体またはそのフラグメントの産生に関する発明も含まれ得る。すなわち、本発明には、組換え技術を利用して、タンパク質の変異体またはそのフラグメントを生産する方法も含まれ得る。
かかる技術によって生産されたタンパク質の変異体は、宿主細胞または細胞外(培地等)から単離し、実質的に純粋で均一なタンパク質として精製することができる。タンパク質の分離、精製は、通常のタンパク質の精製で使用されている分離、精製方法を使用すればよい。例えば、クロマトグラフィーカラム、フィルター、限外濾過、塩析、溶媒沈殿、溶媒抽出、蒸留、免疫沈降、SDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動、等電点電気泳動法、硫安沈殿またはエタノール沈殿、酸抽出、透析および再結晶等を適宜選択または組み合せることにより、タンパク質を分離、精製することができる。さらに、これらのカラムを複数組み合わせることもできる。
クロマトグラフィーとしては、アフィニティークロマトグラフィー、陰イオンまたは陽イオンのイオン交換クロマトグラフィー、疎水性クロマトグラフィー、ホスホセルロースクロマトグラフィー、ヒドロキシアパタイトクロマトグラフィー、レクチンクロマトグラフィー、ゲル濾過、逆相クロマトグラフィーおよび吸着クロマトグラフィー等が挙げられる。
また、タンパク質の変異体をGSTとの融合タンパク質または6×Hisを付加させた組換えタンパク質として宿主細胞(大腸菌等)内で発現させた場合は、発現させた組換えタンパク質は、グルタチオンカラムまたはニッケルカラムを用いて精製することができる。融合タンパク質の精製後、必要に応じて融合タンパク質のうち、目的のタンパク質以外の領域を、トロンビンまたはファクターXa等により切断し、除去することも可能である。
本発明には、前記遺伝子または前記ベクターを含む形質転換体も含まれる。ここで、「遺伝子またはベクターを含む」とは、公知の遺伝子工学的手法(遺伝子操作技術)により、対象細胞(宿主細胞)内に発現可能に導入されていることを意味する。また、前記「形質転換体」とは、細胞・組織・器官のみならず、生物個体を含む意味である。
本形質転換体の作製方法(生産方法)としては、上述したベクターを形質転換する方法が挙げられる。また、形質転換の対象となる生物も特に限定されるものではなく、前記宿主細胞で例示した各種微生物を挙げることができる。また、プロモーターまたはベクターを選択すれば、植物または動物も形質転換の対象とすることが可能である。
<2.他の遺伝子を導入した形質転換体>
さらに、本発明には、以下の(C)の遺伝子を導入し発現させた形質転換体が含まれる:
(C)NADPH−シトクロームP450還元酵素(以下、単に「CPR」と称する場合もある)遺伝子
前記(C)CPRは、P450が酸化反応を行う際に必要な電子を供給するフラビン酵素であり、自らの補酵素であるFADおよびFMNが結合するドメイン(各々、FAD結合ドメインおよびFMN結合ドメイン)をその内部に包含している。本発明において、形質転換体のための宿主(以下、単に「宿主」と記す。)が自身のCPR遺伝子を有していない場合に、CPR遺伝子を導入する態様は当然に好ましいが、宿主が自身のCPR遺伝子を有している場合においても、CPR遺伝子を導入する態様は好ましくあり得る。例えば、本発明の宿主が酵母である場合において、酵母自体はCPR遺伝子を有しているが、さらにCPR遺伝子を導入する態様が好ましくあり得る。導入されるCPR遺伝子は、宿主と同じ種由来のCPR遺伝子であってもよく、異なる種由来のCPR遺伝子であってもよい。好ましくは、異なる種由来のCPR遺伝子であり、より好ましくは、植物由来のCPR遺伝子である。
さらに、本発明には、FPPの供給量を上げるために、以下の(D)〜(F)の遺伝子を導入し発現させた形質転換体が含まれ得る:
(D)HMG−CoA合成酵素遺伝子;
(E)HMG−CoA還元酵素遺伝子;
(F)1型および/または2型イソペンテニル二リン酸イソメラーゼ遺伝子。
上述した(A)〜(C)の遺伝子に加えて、メバロン酸またはメバロノラクトンからイソペンテニル二リン酸までの合成を行うメバロン酸経路遺伝子群として前記(D)および(E)の遺伝子を、形質転換体に導入することが好ましい。
前記(D)および(E)の遺伝子群としては、ストレプトミセス属CL190株由来のメバロン酸経路遺伝子群(特開2009−207376号公報、Accession no AB037666)を用いることができるが、これ以外にも出芽酵母(Saccharomyces cerevisiae)由来のメバロン酸経路遺伝子群(V. J. J. Martin, D. J. Pitera, S. T. Withers, J. D. Newman, J. D. Keasling, Nature Biotechonosy, 21: 796-802, 2003)、細菌ストレプトコッカス・プノイモニエ(Streptococcus pneumoniae)由来のメバロン酸経路遺伝子群(S. H. Yoon, Y. M. Lee, J. E. Kim, S. H. Lee, J. H. Lee, J. Y. Kim, K. H. Jung, Y. C. Shin, J. D. Keasling, S. W. Kim, Biotechnology & Bioengineering, 94: 1025-1032, 2006)なども好適に用いることができる。
さらに、FPPの供給量を上げるために、(F)1型および/または2型イソペンテニル二リン酸イソメラーゼIPPイソメラーゼ(Idi;IPP isomerase)遺伝子を用いることが好ましい。Idiには互いに構造が異なる、1型(type 1)と2型(type 2)のものが存在するが、本発明では、いずれのIdiを用いてもよいが、最も好ましくは両方のIdiを用いる態様である。Idi遺伝子としては、ストレプトミセス属CL190株由来のイソペンテニル二リン酸イソメラーゼ遺伝子(特許文献1、Accession no AB037666)を用いることができるが、これ以外にも大腸菌由来のイソペンテニル二リン酸イソメラーゼ遺伝子(V. J. J. Martin, D. J. Pitera, S. T. Withers, J. D. Newman, J. D. Keasling, Nature Biotechonosy, 21: 796-802, 2003)、出芽酵母(Saccharomyces cerevisiae)由来のイソペンテニル二リン酸イソメラーゼ遺伝子(S. Kajiwara, P. D. Fraser, K. Kondo, N. Misawa, Biochemical Journal, 324: 421-426, 1997)、緑藻ヘマトコッカス・プルビアリス(Haematococcus pluvialis)由来のイソペンテニル二リン酸イソメラーゼ遺伝子(後述のJ. J. Martinらの文献、および後述のS. Kajiwaraらの文献)なども用いることができる。
上述した(D)および(E)のメバロン酸経路遺伝子群、ならびに(F)のIdi遺伝子を導入した形質転換体によれば、培地中にメバロン酸またはメバロノラクトン(D−メバロノラクトン(D-mevalonate lactone))を基質として配合することにより、FPPを大量に生産することができる。
本発明の酸化セスキテルペンの製造において酵母を用いる場合、通常の酵母株を使用することもできるし、FPPを高生産する酵母を使用することもできる。FPPを高生産する酵母の製造は、当分野において既知の技術を用いて、当業者により容易に実施することができる。FPPを高生産する酵母の製造方法の一例として、本明細書の実施例で使用したEPY300(S288C, MATa his3D1 leu2D0 PGAL1−tHMG1::d1 PGAL1−upc2−1::d2 erg9::PMET3−ERG9::HIS3 PGAL1−ERG20::d3 PGAL1−tHMG1::d4)の製造例について、以下に示す(工程1〜4)。
1)フィードバック阻害による酵素活性阻害を回避するためにN末端の一部を欠失させたHMG−CoA還元酵素(酵母由来)をコードする遺伝子をGAL1プロモーターの下流に連結したキメラ遺伝子を作成し、これを酵母ゲノムに2コピー挿入する(Donald, K. A. G., et al., Applied and Environmental Microbiology, 63, 3341-3344, 1997)。
2)変異を導入した転写制御因子(upc2−1)をコードする遺伝子をGAL1プロモーターの下流に連結したキメラ遺伝子を作成し、これを酵母ゲノムに挿入する。upc2−1は、酵母におけるエルゴステロール生合成に関わる幾つかの酵素(HMG−CoA合成酵素、メバロン酸キナーゼ、ホスホメバロン酸キナーゼ)遺伝子の発現を上昇させる機能を持つ。導入した変異によってこの転写因子の安定性が上昇すると推定されている(Davies, B. S. J.,et al., Molecular and Cellular Biology, 25, 7375-7385, 2005)。
3)ERG9(スクアレン合成酵素遺伝子)の天然のプロモーター配列を、メチオニンに応答して発現が抑制されるプロモーター(PMET3)に置換する。これにより、酵母培養液にメチオニンを添加することで、二分子のFPP(炭素数15)からスクアレン(炭素数30)を合成するERG9遺伝子の発現を抑制し、FPPをステロール生産から引き離してセスキテルペン合成に向かわせることが可能となる。
4)ERG20(FPP合成酵素)をコードする遺伝子をGAL1プロモーターの下流に連結したキメラ遺伝子を作成し、これを酵母ゲノムに挿入する。
またさらに、本発明には、酸化セスキテルペノイドの生産を増強させるために以下の(G)および(H)の遺伝子を導入し発現させた形質転換体が含まれ得る:
(G)アルコールデヒドロゲナーゼ遺伝子;
(H)アルデヒドデヒドロゲナーゼ遺伝子。
前記(G)アルコールデヒドロゲナーゼ遺伝子は、アルコールを酸化してアルデヒドに酸化する反応を触媒する酵素遺伝子であり、(H)アルデヒドデヒドロゲナーゼ遺伝子は、アルデヒドを酸化してカルボン酸に反応を触媒する酵素遺伝子である。本発明において、(G)および(H)の遺伝子を用いることにより、酸化セスキテルペンの生産量を上げることができる。導入されるアルコールデヒドロゲナーゼ遺伝子およびアルデヒドデヒドロゲナーゼ遺伝子は、宿主と同じ種由来のデヒドロゲナーゼ遺伝子であってもよく、異なる種由来のデヒドロゲナーゼ遺伝子であってもよい。好ましくは、異なる種由来のデヒドロゲナーゼ遺伝子であり、より好ましくは、植物由来のデヒドロゲナーゼ遺伝子である。例えば、アルコールデヒドロゲナーゼ遺伝子として、アルテミシア・アヌア由来のADH1遺伝子を、また、アルデヒドデヒドロゲナーゼ遺伝子として、アルテミシア・アヌア由来のALDH1遺伝子などを例示できる。
一方、基質として、メバロノラクトンより安価なアセト酢酸塩(例えばlithium acetoacetate;LAA)を基質として利用することもできる。培地中に添加されたLAAを利用するためには、それを基質とするアセト酢酸−コエンザイムA(CoA)リガーゼ(acetoacetate-CoA ligase)遺伝子を、さらに導入することが好ましい。
アセト酢酸−CoAリガーゼは、アセト酢酸とCoAとを基質とし、ATPを用いてアセトアセチル−CoAへの変換を触媒する酵素である(J.R. Stern, Biochem. Biophys. Res. Commun. 44, 1001-1007, 1971; Bergstrom, J.D.;Wong, G.A.; Edwards, P.A.; Edmond, J., J. Biol. Chem. 259, 14548-14553, 1984)。アセト酢酸−CoAリガーゼ遺伝子としては、ラット(Rattus norvegicus)やヒトなどの哺乳類、ある種のバクテリア、菌類等に由来する遺伝子が知られており、本発明においても、これらの遺伝子を使用することができる。また、ラット由来のアセト酢酸−CoAリガーゼをコードする遺伝子全長(Accession No.BC061803)を含むプラスミドは、Mammalian Gene Collection cDNAクローンとして、Invitrogen社より取得できる(クローンID: 5598532)。
<3.形質転換体による酸化セスキテルペンの製造方法>
本発明には、上述した形質転換体を培養して、酸化セスキテルペンを取得する酸化セスキテルペンの製造方法が含まれる。かかる酸化セスキテルペンの製造方法は、上述した形質転換体を使用するものであればよく、その他の具体的な構成については特に限定されない。
前記形質転換体としては、例えば、組換え酵母を用いることができる。組換え酵母の宿主酵母株については各種の酵母株を用いることができ特に限定されないが、例えば、Saccharomyces属酵母、Pichia属酵母、Schizosaccharomyces属酵母、Yarrowia属酵母、Rhodotorula属酵母、Rhodosporidium属酵母、Xanthophyllomyces属酵母、Cryptococcus属酵母、Lipomyces属酵母、Trichosporon属酵母、Kluyveromyces属酵母、Candida属酵母、Pseudozyma属酵母、Ustilago属酵母、Debaryomyces属酵母、Sporobolomyces属酵母、Guehomyces属酵母などが挙げられる。好ましくは、Saccharomyces属酵母、Pichia属酵母が用いられ、より好ましくは、Saccharomyces属酵母が用いられる。かかる菌株であれば、高効率でテルペンを製造することができる。
前記形質転換体を培養する工程に関しては従来公知の手法を好適に利用でき、特に限定されない。例えば、培養時の温度であれば、常法にしたがい、15〜48℃とするのが好ましく、26〜37℃とするのがより好ましい。培養時間も特に限定されないが、導入遺伝子発現から12〜120時間培養することが好ましく、72〜96時間培養することがより好ましい。
培養物または菌体からの酸化セスキテルペンの採取方法についても、微生物生産物を得るのに常用される方法に従って行うことができ、特に限定されない。
組換え酵母から酸化セスキテルペンを採取する方法としては、例えば、組換え酵母を培養する際、または培養の後に、培地に有機溶媒を添加することにより行われ得る。有機溶媒としては、例えば、n−ペンタン、n−ヘキサン、酢酸エチル等が用いられるが、これらに限定されない。好ましくは、n−ペンタンであり得る。培地中の有機溶媒の濃度は、酵母がテルペンを生産し得る範囲であれば特に限定されないが、培地1Lに対して、400〜800mL、好ましくは、500〜700mL、とりわけ好ましくは、600mL添加し得る。
組換え酵母からの酸化セスキテルペンを採取は、組換え酵母の培養後に、有機溶媒を用いた抽出を行う方法や遠心分離等によりテルペンを含む油層を分離する方法が採用され得る。酸化セスキテルペンの採取は、前記抽出または分離により得られたテルペン液を、さらに各種担体を用いたクロマトグラフィーで精製することが好ましい。この際使用される担体としては、例えば、シリカゲル、硝酸銀添加シリカゲル、オクタデシルジメチルシリル修飾シリカゲル、ジメチルシリル修飾シリカゲル、オクチルジメチルシリル修飾シリカゲル、プロピルアミノ修飾シリカゲル、シアノプロピル修飾シリカゲル、フェニル修飾シリカゲル等の各種化学修飾シリカゲル、アルミナ、活性炭等が挙げられるが、これらに限定されない。前記抽出または分離により得られたテルペン液を、蒸留によって精製することも好ましい態様であり得る。
<4.新規化合物>
本発明の酸化セスキテルペンの製造方法によって得られた物質は、当分野において既知である任意の技術を用いて、その構造を決定することができる。構造を決定するための技術としては、例えば、X線回折、NMR(核磁気共鳴法)、赤外分光法(IR)、MS(質量分析)がなど挙げられるが、これらに限定されない。
また、本発明には、上述した酸化セスキテルペンの製造方法にて得られた化合物も包含され得る。例えば、後述する実施例で示した化合物(化学式1参照)が含まれ得る。本化合物の機能については確定されていないが、上述のとおり、セスキテルペン(酸化セスキテルペンも含む)は種々の生理活性を有する物質である。このため、本化合物に関しても、医薬品の候補化合物等として有用であると推測される。また、医薬品以外にも、機能性食品、香料、農園芸、生活消費財、ポリマー樹脂原料、触媒原料、化成品原料、建材、燃料、クロマトグラフィー用担体、ろ過担体、キレート剤、洗浄剤、潤滑剤、農薬原料等にも利用可能である。
その他、前記<1>〜<4>の各項目で記載した内容は、他の項目においても適宜援用できることを付言する。また、本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。以下、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明はかかる実施例のみに限定されるものではない。
<1.STS遺伝子の単離>
本実施例においては、タバコ由来の5−エピ−アリストロチェン合成酵素、ヒヨス由来のベチスピラジエン合成酵素(GenBank accession no. U20187)、オレンジ由来のバレンセン合成酵素(GenBank accession no. AF441124)、キダチワタ由来の(+)−δ−カジネン合成酵素(GenBank accession no. U23206)および沈香由来のδ−グアイエン合成酵素(AcC2, GenBank accession no. GU083697)の5種類のSTSを使用した。当該5種類のSTSのうち、5−エピ−アリストロチェン合成酵素以外の4種類の酵素については、各酵素をコードする遺伝子を人工合成により作製した。人工合成に際して、酵母内でのタンパク質発現量が増加することを目的としてコドンの最適化を行った。ベチスピラジエン合成酵素、バレンセン合成酵素、(+)−δ−カジネン合成酵素およびδ−グアイエン合成酵素のそれぞれについて、最適化したポリペプチドのアミノ酸配列を配列番号2〜5とし、当該アミノ酸配列をコードするポリヌクレオチドの塩基配列を配列番号7〜10として示す。
下記2.の項におけるプラスミド構築のため、人工合成により得られた4種類のSTSをコードする遺伝子について、そのN末端側にGATEWAY attB1配列を、C末端側にattB2配列を、それぞれ付加しておいた。
5−エピ−アリストロチェン合成酵素については、以下の方法によりcDNAクローニングを行った。タバコ(Nicotiana tabacum cv. Petite Havana SR-1)の実生から調製したトータルRNA 1μgを用いて、TaKaRa RNA PCR kit(タカラバイオ)を用いて、添付のプロトコルに従いファーストストランドcDNA合成を行った。ファーストストランドcDNA 1μLを鋳型として、5−エピ−アリストロチェン合成酵素のポリペプチドのN末端とC末端に相当する箇所のオリゴDNA、すなわち、caccaaaaATGGCCTCAGCAGCAGTTGC(配列番号23)およびTCAAATTTTGATGGAGTCCACAAGTAGG(配列番号24)をプライマーに用い、アニール温度55℃でPCRを行った(30サイクル、タカラバイオ株式会社製 PrimeSTAR HS DNA Polymeraseを使用)。pENTRTM-D-TOPOエントリーベクター(Invitrogen)へのクローニングの際に必要であることから、N末端側のプライマーには、その5’末端に4塩基(cacc)と酵母のコンセンサス配列として4塩基(aaaa)を付加した。増幅したDNA断片をpENTRTM-D-TOPOにクローニングして、エントリークローンを作製した。これにより得られたポリヌクレオチドの塩基配列を配列番号6とし、それから推定されるポリペプチドのアミノ酸配列を配列番号1とした。当該ポリペプチドのアミノ酸配列は、GenBankに登録されている5−エピ−アリストロチェン合成酵素(GenBank accession no.AAA19216)のアミノ酸配列に対して、99%の同一性を有していた。
<2.STSの酵母発現プラスミドの構築>
上記1.の項において人工合成により作製した4種類のSTS遺伝子について、pDONR(商標) 221 (Invitrogen)ベクターとの間でGATEWAY BP反応を行うことにより、エントリークローンを作製した。次に、得られた各エントリークローンと酵母発現用のデスティネーションベクターであるpYES-DEST52ベクター(Invitrogen)の間でGATEWAY LR反応を行うことにより、発現クローンを作製した。一方、PCRにより増幅した5−エピ−アリストロチェン合成酵素遺伝子については、pENTRTM-D-TOPOエントリーベクター(Invitrogen)を用いて作製したエントリークローンとpYES-DEST52ベクター(Invitrogen)の間でGATEWAY LR反応を行うことにより、発現クローンを作製した。
<3.P450遺伝子の単離>
本実施例においては、タバコ由来のCYP71D20、ヒヨス由来のCYP71D55(GenBank accession no. EF569601)、ワタ由来のCYP706B1(GenBank accession no. AF332974)、レタス由来のCYP71AV3(GenBank accession no. GU198171)、レタス由来のCYP71BL2(GenBank accession no. HQ439599)およびヒマワリ由来のCYP71BL1(GenBank accession no. HQ439590)の6種類のP450を使用した。当該6種類のSTSのうち、CYP71D55およびCYP706B1については、各酵素をコードする遺伝子を人工合成により作製した。人工合成に際して、酵母内でのタンパク質発現量が増加することを目的としてコドンの最適化を行った。CYP71D55およびCYP706B1のそれぞれについて、最適化したポリペプチドのアミノ酸配列を配列番号12および13とし、当該アミノ酸配列をコードするリヌクレオチドの塩基配列を配列番号18および19とした。
CYP71AV3については、Nguyen et al., J. Biol. Chem. 285, 16588-16598, 2010で報告されているものを用いた。CYP71BL2およびCYP71BL1については、Ikezawa et al., J. Biol. Chem. 286, 21601-21611, 2010で報告されているものを用いた。これらの各遺伝子について、ポリペプチドのアミノ酸配列を配列番号14〜16とし、当該アミノ酸配列をコードするポリヌクレオチドの塩基配列を配列番号20〜22とした。
CYP71D20については、以下の方法によりcDNAクローニングを行った。タバコ(Nicotiana tabacum cv. Petite Havana SR-1)の実生から調製したトータルRNAを1μg用いて、TaKaRa RNA PCR kit(タカラバイオ)を用いて添付のプロトコルに従いファーストストランドcDNA合成を行った。ファーストストランドcDNA 1μLを鋳型として、CYP71D20のポリペプチドのN末端側とC末端側に相当する箇所のオリゴDNA、すなわち、TACTAGTAAAAATGCAATTCTTCAGCTTGGTTTCC(配列番号25)およびTACTAGTTTACTCTCGAGAAGGTTGATAAGGAG(配列番号26)をプライマーに用い、Prime STAR Max(タカラバイオ)により98℃で2分間処理した後、PCRを行い、CYP71D20のcDNAを含むDNA断片を増幅した(PCRは、(98℃10秒間→55℃15秒間→72℃90秒間)×30サイクルで行った)。PCR溶液を電気泳動し、約1.5kbの増幅断片をQIAquick Gel Extraction Kit (QIAGEN)で精製した。TaKaRa Ex Taq (タカラバイオ)を用いて、精製PCR産物にdATPを付加後、pT7Blue T-vector (Novagen)と混合し、TaKaRa Ligation Kit Ver. 2.1 (タカラバイオ) を用いてライゲーションを行った。プラスミド(CYP71D20 in T-vec)を得た後、塩基配列を解析した。これにより得られたポリヌクレオチドの塩基配列を配列番号17とし、それから推定されるポリペプチドのアミノ酸配列を配列番号11とした。当該ポリペプチドのアミノ酸配列は、GenBankに登録されているCYP71D20(GenBank accession no. AAK62342)のアミノ酸配列に対して、99%の同一性を有していた。
<4.P450の酵母発現プラスミドの構築>
CYP71AV3については、Nguyen et al., J. Biol. Chem. 285, 16588-16598, 2010で報告されているLsGAO/CPR::pESC-Leu2dベクターを、酵母内での発現に使用した。
CYP71D20については、上記3.の項において構築したCYP71D20 in T-vecを、BamHI、SpeIで二重消化した後、Blunting high (TOYOBO)を用いてCYP71D20のcDNAを含む断片の末端を平滑化した。それと並行して、Nguyen et al., J. Biol. Chem. 285, 16588-16598, 2010で報告されているCPR::pESC-Leu2d発現ベクターをSpeI消化し、Blunting high (TOYOBO)を用いて末端平滑化後、Alkaline Phosphatase (Calf intestine) (タカラバイオ)により平滑末端の脱リン酸化処理を行った。これらのDNA断片を、TaKaRa Ligation Kit Ver. 2.1 (タカラバイオ)を用いてライゲーションを行い、目的のプラスミドを得た。
上記以外の、CYP71D55、CYP706B1、CYP71BL1およびCYP71BL2については、Nguyen et al., J. Biol. Chem. 285, 16588-16598, 2010で報告されているCPR::pESC-Leu2dベクターのSpeIサイトにコード領域を組み込むことにより、発現プラスミドを構築した。
<5.酵母の形質転換>
Frozen-EZ Yeast Transformation II(Zymo Research)を用いて、製品に付属のプロトコルに従い、FPP高生産酵母(EPY300株)への遺伝子導入を行った。上記2.の項で得られた5種類のSTS発現プラスミドと上記4.の項で得られた6種類のP450発現プラスミドの全ての組み合せ(計30種類)でプラスミドを混合し、EPY300株の形質転換を行った。
遺伝子導入操作後の酵母を、SC-His-Met-Ura-Leu固形培地上に塗布し、形質転換酵母の選抜を行った。
<6.(+)−δ−カジネン合成酵素およびδ−グアイエン合成酵素発現酵母培養液の溶媒抽出、ならびにGC-MS測定試料の調製>
上記5.の項で得られた形質転換酵母のグリセロールストックの一部をSD-His-Met-Ura-Leu液体培地2mLに植菌し、30℃で1日間振盪培養を行い、前培養液を得た。得られた前培養液をSC-His-Met-Ura-Leu液体培地(1.8% Gal + 0.2% Glc + 1 mM Met)50mLに全量添加し、30℃で4日間振盪培養を行い、本培養液を得た。培養液50mLを50mL容量のチューブに各25mLずつ分注した。各チューブに酢酸エチルを20mL加え、ストロングシェーカー(SR-2DS,TAITEC)を用いて300rpmで5min振盪した後、遠心分離を行い、酢酸エチル層を回収した。この抽出・分配操作を2回繰り返し、抽出液を合わせて酢酸エチル抽出画分とした。酢酸エチル抽出画分に無水NaSOを加えて静置し、濾過を行った。濾液をロータリーエバポレータ及び窒素気流で1mL程度になるまで濃縮した。濃縮液を酢酸エチルで100倍または1000倍希釈し、GC−MS(ガスクロマトグラフ質量分析計)測定試料とした。
<GC−MS分析条件>
装置はJMS-AM SUN200質量分析計(JEOL)及びガスクロマトグラフ(6890A; Agilent Technologies)を使用した。ガスクロマトグラフにガードカラムとして不活性処理フューズドシリカキャピラリーチューブ(1 m, 外径:0.35 mm, 内径:0.25 mm; GL Sciences)をつけたキャピラリーカラムHP-5MS (30 m × 0.25 mm, 膜厚0.25 μm : Agilent J&W)を用いた。カラムオーブンの昇温条件は、100℃で2min保持,280℃まで10℃/minで昇温、280℃で5min保持とした。インジェクター温度は250℃、GCインターフェイス温度は280℃とした。キャリアガスにはヘリウムを用い、流速は0.7mL/min、サンプル注入量は1μL、スプリット比1:10とした。質量分析計は電子イオン化法(EI)を用い、イオン化エネルギーは70eV、イオン源温度は250℃とした。m/z:40−350について1回0.5secでスキャンした。
<7.5−エピ−アリストロチェン合成酵素、ベチスピラジエン合成酵素およびバレンセン合成酵素発現酵母培養液の溶媒抽出、ならびにGC−MS測定試料の調製>
上記5.の項で得られた形質転換酵母をグリセロールストックからSD-His-Met-Ura-Leu液体培地2mLに植菌し、30℃で1日間振盪培養を行い、前培養液を得た。得られた前培養液をYPA液体培地(1.8% Gal + 0.2% Glc + 1 mM Met)50mLに全量添加し、30℃で3日間振盪培養を行い、本培養液を得た。本培養液2mLに内部標準液(tetradecane 0.106 μg/μL酢酸エチル溶液)100μL及び酢酸エチル2mLを加え、ストロングシェーカー(SR-2DS,TAITEC)を用いて300rpmで5min振盪した後、酢酸エチル層を回収した。酢酸エチル層に無水NaSOを加えて静置し、脱水した。上清をGC−MSバイアルに移し、GC−MS測定試料とした。GC−MSの条件は、上記6.の項と同様の条件で行った。
<8.酵母代謝物のGC−MS分析によるスクリーニング>
上記6.または7.の項に記載の方法により、STSとP450の各組み合わせにおける酵母代謝物の解析を行った結果、以下の組み合わせの場合に、新規なセスキテルペノイドが製造されたことを推測させるデータが得られた。
Figure 2016154502
<9.δ−グアイエン酸化物の分離・精製>
STSとしてδ−グアイエン合成酵素、P450としてCYP71AV3の各タンパク質をコードする遺伝子を導入して形質転換した酵母(AcC2/CYP71AV3/CPR発現酵母)を、SD-His-Met-Ura-Leu液体培地2mLに植菌し、30℃で1日間振盪培養を行い、前々培養液を得た。得られた前々培養液をSD-His-Met-Ura-Leu液体培地50mLに全量添加し、30℃で1日間振盪培養を行い、前培養液を得た。得られた前培養液をYPA液体培地(1.8% Gal + 0.2% Glc + 1 mM Met)1Lに全量添加し、30℃で3日間振盪培養を行い、本培養液を得た。
得られた本培養液にn−ペンタン(200mL×3)を加え、抽出・分配を行った。n−ペンタン抽出画分をロータリーエバポレータで減圧濃縮した後、窒素気流で乾固させ、384mgの乾固物を得た。得られた乾固物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(Hexane : EtOAc = 10 : 1)で精製した。シリカゲルカラムクロマトグラフィーにはシリカゲル60N(球状,中性,粒子径40-50 μm,関東化学)を担体として用いた。推定δ−グアイエン酸化物を含むフラクションを回収し、再度シリカゲルカラムクロマトグラフィー(Benzene : EtOAc = 30 : 1)で精製し、純度93.3%(GC-FID)で1.18mgの無色油状物質を得た。
<NMR分析>
得られた精製物を、TMSを添加したCDClに溶解してNMR用サンプルとした。NMRは、JNM-ECS400(JEOL)を使用し、1H、13C、DEPT135°、1H-1H COSY、HMBC、HSQC、NOESYについての測定を行った。化学シフトは1H−NMRの場合はTMSを内部標準(0.0)とし、13C−NMRはCDClの77.0を標準としてppm値で与えた。
<高分解能マススペクトル>
機器としてJMS-700(JEOL)を用いて、電子イオン化法(EI)により、高分解能マススペクトル測定を行った。
<結果>
本実施例の方法で得られた解析結果を、図3に示す。これらの結果より、δ−グアイエン合成酵素とCYP71AV3の組み合わせを用いることで、新規な酸化セスキテルペンが製造されることが確認できた。
<参考文献>
〔非特許文献1〕Fukushima EO, Seki H, Sawai S, Suzuki M, Ohyama K, Saito K and Muranaka T, Plant Cell Physiol. 54: 740-749, 2013
〔非特許文献2〕Ramilowski JA, Sawai S, Seki H, Mochida K, Yoshida T, Sakurai T, Muranaka T, Saito K and Daub CO, Plant Cell Physiol. 54: 679-710, 2013
〔非特許文献3〕Komori A, Suzuki M, Seki H, Nishizawa T, Meyer JJM, Shimizu H, Yokoyama S and Muranaka T, FEBS Lett. 587: 278-284, 2013
〔非特許文献4〕Kojima M, Okamoto K, Yanase H, Appl Microbiol Biotechnol in press, 2013
〔非特許文献5〕Ito K, Nakamura K, Aoyama T, Matsuba R, Kakimoto T, Murakami M, Yamanaka R, Muranaka T, Sakamaki H and Takido T, Biotechnol. Lett. 34: 2083-2086, 2012
〔非特許文献6〕Heintz D, Gallien S, Compagnon V, Berna A, Suzuki M, Yoshida S, Muranaka T, Dorsselaer AV, Schaeffer C, Bach TJ, Schaller H, J. Proteome Res. 11: 1228-1239, 2012
〔非特許文献7〕Kojima M, Akahoshi T, Okamoto K, Yanase H, Appl Microbiol Biotechnol 96:1093-1104, 2012
〔非特許文献8〕Yanase H, Miyawaki H, Sakurai M, Kawakami A, Matsumoto M, Haga K, Kojima M, Okamoto K, Appl Microbiol Biotechnol 94(6):1667-1678, 2012
〔非特許文献9〕Seki H, Sawai S, Ohyama K, Mizutani M, Ohnishi T, Sudo H, Fukushima EO, Akashi T, Aoki T, Saito K and Muranaka T, Plant Cell 23: 4112-4123, 2011
〔非特許文献10〕Fukushima EO, Seki H, Ohyama K, Ono E, Umemoto N, Mizutani M, Saito K, Muranaka T, Plant Cell Physiol. 52: 2050-2061, 2011
〔非特許文献11〕Tang J, Ohyama K, Kawaura K, Hashinokuchi H, Kamiya Y, Suzuki M, Muranaka T and Ogihara Y, Plant Physiol. 157: 1555-1567, 2011
〔非特許文献12〕Tang J, Kobayashi K, Suzuki M, Matsumoto S, Muranaka T, Plant J. 61, 456-466, 2010
〔非特許文献13〕Muranaka T, Saito K, “Comprehensive Natural Products II Chemisty and Biology” edited by Mander, L., Lui, H.-W. Elsevier (Oxford), 3: 615-628, 2010
〔非特許文献14〕Ohyama K, Suzuki M, Kikuchi, J, Saito K, Muranaka T, Proc. Natl. Acad. Sci., USA 106, 725-730, 2009
新規な酸化セスキテルペンは、種々の有益な生理活性を有することが期待される。このため、本発明は、医薬品、機能性食品、香料、農園芸、生活消費財等の種々の産業において利用可能である。

Claims (7)

  1. 異なる生物種由来の(A)セスキテルペン合成酵素遺伝子および(B)シトクロームP450モノオキシゲナーゼ遺伝子を導入した形質転換体であって、
    前記シトクロームP450モノオキシゲナーゼが、CYP71Dサブファミリー、CYP706BサブファミリーおよびCYP71AVサブファミリーからなる群より選択される少なくとも一つの酵素であることを特徴とする形質転換体。
  2. 前記(A)セスキテルペン合成酵素遺伝子が、以下の(a)〜(e)からなる群より選択されるいずれかの遺伝子であることを特徴とする、請求項1に記載の形質転換体:
    (a)配列番号1〜5のいずれかに記載されるアミノ酸配列からなるタンパク質をコードする遺伝子;
    (b)配列番号1〜5のいずれかに記載されるアミノ酸配列において、1または数個のアミノ酸残基が置換、欠失、挿入および/または付加されたアミノ酸配列からなり、かつセスキテルペン合成活性を有するタンパク質をコードする遺伝子;
    (c)配列番号1〜5のいずれかに記載されるアミノ酸配列と80%以上の相同性を有するアミノ酸配列からなり、かつセスキテルペン合成活性を有するタンパク質をコードする遺伝子;
    (d)配列番号6〜10のいずれかに記載される塩基配列からなる遺伝子;
    (e)前記(a)〜(d)のいずれかの遺伝子と相補的な塩基配列からなるポリヌクレオチドとストリンジェントな条件でハイブリダイズし、かつセスキテルペン合成活性を有するタンパク質をコードする遺伝子。
  3. 前記(B)シトクロームP450モノオキシゲナーゼ遺伝子が、以下の(f)〜(j)からなる群より選択されるいずれかの遺伝子であることを特徴とする、請求項1または2に記載の形質転換体:
    (f)配列番号11〜14のいずれかに記載されるアミノ酸配列からなるタンパク質をコードする遺伝子;
    (g)配列番号11〜14のいずれかに記載されるアミノ酸配列において、1または数個のアミノ酸残基が置換、欠失、挿入および/または付加されたアミノ酸配列からなり、かつシトクロームP450モノオキシゲナーゼ活性を有するタンパク質をコードする遺伝子;
    (h)配列番号11〜14のいずれかに記載されるアミノ酸配列と80%以上の相同性を有するアミノ酸配列からなり、かつシトクロームP450モノオキシゲナーゼ活性を有するタンパク質をコードする遺伝子;
    (i)配列番号17〜20のいずれかに記載される塩基配列からなる遺伝子;
    (j)前記(f)〜(i)のいずれかの遺伝子と相補的な塩基配列からなるポリヌクレオチドとストリンジェントな条件でハイブリダイズし、かつシトクロームP450モノオキシゲナーゼ活性を有するタンパク質をコードする遺伝子。
  4. 前記形質転換体が、組換え酵母であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の形質転換体。
  5. 前記形質転換体が、ファルネシル二リン酸を高生産するものであることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の形質転換体。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の形質転換体を培養して、酸化セスキテルペンを取得することを特徴とする、酸化セスキテルペンの製造方法。
  7. 下記式(I):
    Figure 2016154502

    で示される、化合物。
JP2015035855A 2015-02-25 2015-02-25 酸化セスキテルペンの生産およびその利用 Pending JP2016154502A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2015035855A JP2016154502A (ja) 2015-02-25 2015-02-25 酸化セスキテルペンの生産およびその利用

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2015035855A JP2016154502A (ja) 2015-02-25 2015-02-25 酸化セスキテルペンの生産およびその利用

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2016154502A true JP2016154502A (ja) 2016-09-01

Family

ID=56824098

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2015035855A Pending JP2016154502A (ja) 2015-02-25 2015-02-25 酸化セスキテルペンの生産およびその利用

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2016154502A (ja)

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2019500875A (ja) * 2016-01-12 2019-01-17 ザ ユニバーシティ オブ ヨーク 組換えタンパク質の生成
US20210147880A1 (en) * 2018-02-14 2021-05-20 Ginkgo Bioworks, Inc. Chimeric terpene synthases
CN113195726A (zh) * 2018-09-06 2021-07-30 马努斯生物合成股份有限公司 莎草奥酮的微生物生产
WO2023097167A1 (en) * 2021-11-24 2023-06-01 Ginkgo Bioworks, Inc. Engineered sesquiterpene synthases

Cited By (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2019500875A (ja) * 2016-01-12 2019-01-17 ザ ユニバーシティ オブ ヨーク 組換えタンパク質の生成
US11268101B2 (en) 2016-01-12 2022-03-08 The University Of York Recombinant protein production
JP7257788B2 (ja) 2016-01-12 2023-04-14 ザ ユニバーシティ オブ ヨーク 組換えタンパク質の生成
US20210147880A1 (en) * 2018-02-14 2021-05-20 Ginkgo Bioworks, Inc. Chimeric terpene synthases
CN113195726A (zh) * 2018-09-06 2021-07-30 马努斯生物合成股份有限公司 莎草奥酮的微生物生产
JP2022500018A (ja) * 2018-09-06 2022-01-04 マナス バイオ インコーポレイテッド ロタンドンの微生物生成
EP3847268A4 (en) * 2018-09-06 2022-06-08 Manus Bio Inc. MICROBIAL PRODUCTION OF ROTUNDON
US20230183760A1 (en) * 2018-09-06 2023-06-15 Manus Bio Inc. Microbial production of rotundone
WO2023097167A1 (en) * 2021-11-24 2023-06-01 Ginkgo Bioworks, Inc. Engineered sesquiterpene synthases

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Wakabayashi et al. CYP722C from Gossypium arboreum catalyzes the conversion of carlactonoic acid to 5-deoxystrigol
AU2015326892B2 (en) Methods and materials for biosynthesis of mogroside compounds
KR101487304B1 (ko) 이소프레노이드 변형 효소를 코드화하는 폴리뉴클레오티드 및 그것의 사용방법
EP2914729B1 (en) Cytochrome p450 and cytochrome p450 reductase polypeptides, encoding nucleic acid molecules and uses thereof
JP6327856B2 (ja) 向上したテルペン生合成に重要である1−デオキシ−d−キシルロース−5−リン酸シンターゼ対立遺伝子
JP2002529077A (ja) イチイのゲラニルゲラニル二リン酸シンターゼをコードする核酸、及び使用方法。
JP2016154502A (ja) 酸化セスキテルペンの生産およびその利用
KR102310518B1 (ko) 시토크롬 p450 돌연변이 단백질 및 이의 응용
Wang et al. Molecular cloning, characterization, and heterologous expression of an acetyl-CoA acetyl transferase gene from Sanghuangporus baumii
JP7160811B2 (ja) マノオールの製造
CN106987578A (zh) 一种生产koraiol的萜类合酶及其应用
JP4668176B2 (ja) トリテルペン水酸化酵素
JP6694211B2 (ja) 22α位水酸化五環系トリテルペンの生産およびその利用
KR20240032944A (ko) 람노스가 고도로 특이적인 글리코실트랜스퍼라제 및 이의 응용
JP6735461B2 (ja) 組換え大腸菌及びその利用
JPWO2009020231A1 (ja) カンゾウ属植物由来トリテルペン酸化酵素、それをコードする遺伝子およびその利用
JP6314030B2 (ja) 新規エレモール合成酵素遺伝子及びその利用
JP6440109B2 (ja) 組換え大腸菌及びその利用
WO2024120509A1 (zh) 新型对映-贝壳杉烯羟化酶及其应用
CN117586970A (zh) 细胞色素p450氧化酶变体及其应用
JP2017503504A (ja) メレオライド生合成遺伝子クラスターおよびその使用
CN117230030A (zh) 一种生物全合成紫杉醇前体物质巴卡亭iii的方法、生物材料及应用
Ly Characterization of CYP264B1 and a terpene cyclase of a terpene biosynthesis gene cluster from the myxobacterium Sorangium cellulosum So ce56
Morrone On the biosynthesis of labdane-related diterpenoids by class I synthases and P450s: a