JP7257788B2 - 組換えタンパク質の生成 - Google Patents

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Description

本開示は、遺伝子改変細胞を含む組換えタンパク質発現系であって、遺伝子改変細胞が、遺伝子コードにおける遺伝子縮重のための塩基ミスマッチ、したがって解読のためのゆらぎに対する依存を低減させるためにtRNA遺伝子で形質転換またはトランスフェクトされている、発現系に関し、改変細胞は、そのようにして改善された組換えタンパク質発現を有する。
タンパク質のアミノ酸組成は、それらの特性を決定し、遺伝子のDNA配列によりコードされる。遺伝子配列は、メッセンジャーRNA(mRNA)に複製され、特定の順序でアミノ酸を送達するトランスファーRNA(tRNA)を使用して解読される。コードは、コドンと呼ばれる連続した三つ組塩基で書かれ、アンチコドンと呼ばれるtRNAの相補的塩基三つ組に結合することにより解読される。各tRNAは、単一のアンチコドンを有し、特定のアミノ酸を送達する。しかしながら、DNAに存在する4つの塩基の組合せから64個のコドンが提供されるが、それより少ないtRNAおよびアンチコドンしか存在しない。
DNAは、4つの異なる塩基を含み、アデノシンはチミンに特異的に結合し、グアニンはシトシンに特異的に結合する。全ての生物は、コドンより少ない種類のtRNAしか有さず、それゆえ、一部のtRNA種は、1つを超えるコドンと対形成しなければならず、このことは、mRNA上の3’塩基に結合するアンチコドン上の5’塩基は、3つの塩基のうちの2つのみが最適にマッチする非標準塩基対形成を有し得ると仮定する「ゆらぎ」説をもたらした。最適以下の塩基対形成は、翻訳に際して誤取り込みエラーをもたらし得る。最も頻繁に起こるエラーは、翻訳中のG(mRNA)/U(tRNA)塩基対ミスマッチおよび追加のゆらぎ位置ミスマッチ(C/UおよびU/U)に対応する。
組換えタンパク質の異種発現は、豊富な診断剤および治療剤を提供した。多くの場合、細菌系は、維持に手間がかからず取り扱いが容易なためにタンパク質発現の好ましい宿主である。しかしながら、翻訳後改変に適応できないために、他の発現系、例えば酵母、昆虫細胞、植物または哺乳動物発現系の利用がもたらされた。約70%の組換えタンパク質医薬および予防接種、ヒトの治療または診断に使用されるタンパク質ほとんどのタンパク質の大半が現在、哺乳動物細胞または細胞株、例えばCHOまたはHEK293で生成されている。しかしながら、発現系の選択は発現を補助するが、それでも臨床開発中にCHO細胞で治療用モノクローナル抗体を発現する場合に報告される顕著な誤取り込みレベルがある。かかる配列変動の影響は、質および効率に影響するだけでなく、免疫原性応答を誘発することにより患者の安全性を損ない得る。
エラーのない、可溶性タンパク質発現をもたらす最適なタンパク質発現系が強く求められている。上記に説明するように、完全な組のtRNAを持つ生物はなく、さらに、種依存的差異がある。細菌系における例えばヒト由来導入遺伝子の発現は多くの場合、コドンの利用および頻度が大きく異なり、非効率的な発現をもたらし得るので、問題がある。この問題は一般的に、発現宿主に好ましいコドン利用にコドンを最適化することにより対処される。しかしながら、導入遺伝子配列の操作は、コードされるmRNA転写産物の構造、折畳み、安定性および調節を、理解が不十分で予測が極めて難しい様式で妨害することから、非常に問題がある。代替のアプローチは、コドン認識を改善するために宿主に追加のtRNA導入遺伝子を導入することであり、これはE.coliで成功して使用されているが、真核生物宿主では試みられていない。加えて、このアプローチは、ゆらぎに関連する問題、例えば非効率的な翻訳および翻訳忠実度の低減には対処しない。
本開示は、さもなくばゆらぎに依存するコドンを最適にマッチさせるために、アンチコドンを有するtRNA遺伝子を導入することに関し、このようにして、意図されない不均質性を低減することができ、タンパク質合成の効率を改善することができる。
本発明の一態様によれば、転写カセットを含む核酸分子でのトランスフェクションまたは形質転換により改変された単離された真核細胞を提供することであって、上記転写カセットが、トランスファーRNA[tRNA]をコードする少なくとも1つのヌクレオチド配列を含み、上記tRNAが、真核細胞にないアンチコドンヌクレオチド配列を含み、上記アンチコドン配列が、対応するメッセンジャーRNA[mRNA]コドンにおける同族の第1、第2または第3のヌクレオチド位置のいずれか1つで塩基ミスマッチを修正して、翻訳効率を改善し、および/または遺伝子コードの縮重の結果としてのアミノ酸誤取り込みを減少させる、
が提供される。
本発明の代替の態様では、上記細胞は原核細胞である。本発明の好ましい実施形態では、上記塩基ミスマッチ補正は、上記mRNAの翻訳中の上記細胞のゆらぎへの依存を低減させる。
「ゆらぎ」は、周知の自然現象である。遺伝子コードは、細胞が、使用可能な61個のコドンを補完する61個の異なるアンチコドンを有するtRNAを必要とし得ることを意味する。しかしながら、遺伝子コードの縮重のために、第3の塩基は、他の2つの塩基よりアミノ酸の識別性が低い。コドン中のこの第3の位置は、「ゆらぎ」位置と呼ばれる。この位置では、UおよびCは、アンチコドン中でGと読まれ得る。同様に、AおよびGは、アンチコドン中でUまたはy(プソイドウリジン)と読まれる場合があり、A、UまたはCは、アンチコドン中でイノシンと読まれる場合がある。コドン認識におけるこの融通性は、あまり効率的でない翻訳およびアミノ酸の誤取り込みの可能性をもたらし得る。本発明は、翻訳を向上させ、かつ翻訳忠実度を増大させるために「ゆらぎ」への依存を低減させるように細胞を遺伝子組み換えすることにより、これらの問題に取り組む。本発明に記載の転写カセットは、上記tRNAの発現に適合される。これは、好適なRNAポリメラーゼIIIプロモーターの供給を含む。あるいは、転写カセットは、好適なプロモーター、例えばRNAポリメラーゼIIIプロモーターに近い位置で上記細胞のゲノムに統合することができる。
本発明の好ましい実施形態では、上記tRNAは、対応するmRNAコドンの第1、第2または第3のヌクレオチド位置で塩基ミスマッチを修正する。
本発明の好ましい実施形態では、上記核酸分子は、上記tRNAの真核生物発現に適合させた発現ベクターの部分である。
本発明の好ましい実施形態では、上記細胞は、組換えタンパク質、ポリペプチドまたはペプチドをコードする核酸分子での形質転換またはトランスフェクションによりさらに改変されている。
本発明の好ましい実施形態では、上記発現ベクターは、哺乳動物細胞での発現に適合する。
典型的に、上記調整は、細胞/組織特異的発現を仲介する転写制御配列(プロモーター配列)の供給を含む。これらのプロモーター配列は、細胞/組織特異的、誘導性または構成的であってもよい。「プロモーター」は、本分野で理解されている用語であり、明確に述べると、例としてのみ提供する以下の特色を含む。エンハンサーエレメントは、多くの場合遺伝子の転写開始部位の5’で見られるシス作用ヌクレオチド配列である(また、エンハンサーは、遺伝子配列の3’で見られるか、またはイントロン配列に位置することさえもあり得る)。エンハンサーは、エンハンサーが連結する遺伝子の転写率を増大するように機能する。エンハンサー活性は、エンハンサーエレメントに特異的に結合することが示されているトランス作用転写因子(ポリペプチド)に応答性である。転写因子の結合/活性は、例として、限定の目的ではなく、中間代謝産物(例えばグルコース、脂質)、環境因子(例えば熱)を含むいくつかの生理学的/環境的キューに応答性である。また、プロモーターエレメントは、転写開始の部位を選択するように機能する、いわゆるTATAボックスおよびRNAポリメラーゼ開始選択配列を含む。また、これらの配列は、特にRNAポリメラーゼIIまたはIIIによる転写開始選択を促進するように機能するポリペプチドに結合する。ベクターは、多数の宿主で機能する二機能性発現ベクターであり得る。ゲノムDNAの場合、これは、それ自体のプロモーターまたは他の調節エレメントを含有する場合があり、cDNAの場合、これは、宿主細胞での発現のための適切なプロモーターまたは他の調節エレメントの制御下にあり得る。
また、その調整は、真核細胞または原核生物宿主のいずれかにおける上記ベクターの維持を促進する、選択可能マーカーおよび自律的複製配列の供給を含む。自律的に維持されるベクターは、エピソームベクターと呼ばれる。これらの分子は大きなDNA断片(30~50kb DNA)を組み込むことができるので、エピソームベクターは望ましい。この種類のエピソームベクターは、WO98/07876号で説明されている。あるいは、ベクターは、統合ベクターが組み込まれる細胞を安定に形質転換するための、染色体DNAと組み換える「統合ベクター」であってもよい。
組換え遺伝子をコードしたベクターの発現を促進する調整は、転写終止/ポリアデニル化配列の供給を含む。また、これは、二シストロン性または多シストロン性発現カセットに配置された、ベクターにコードされた遺伝子の発現を最大限にするように機能する配列内リボソーム進入部位(IRES:internal ribosome entry site)の供給を含む。また、発現制御配列は、いわゆる遺伝子座調節領域(LCR:Locus Control Region)を含む。これらは、トランスジェニック構築物として評価される場合、連結される遺伝子に位置非依存的な、コピー数依存的発現を与える調節エレメントである。LCRは、導入遺伝子を隣接するヘテロクロマチンのサイレンシング効果から保護する調節エレメントを含む(Grosveldら、Cell(1987)、51:975~985)。一般的な発現ベクター構築および組換えDNA技術についてのかなりの量の既刊文献がある。Sambrookら(1989)Molecular Cloning:A Laboratory Manual、Cold Spring Harbour Laboratory、Cold Spring Harbour、NYおよびその中の参考文献;Marston,F(1987)DNA Cloning Techniques:A Practical Approach Vol III IRL Press、Oxford UK;DNA Cloning:F M Ausubelら、Current Protocols in Molecular Biology、John Wiley & Sons,Inc.(1994)を参照されたい。
加えて、いくつかのウイルスは通常、外因性遺伝子の送達のためのベクターとして使用される。通常使用されるベクターは、組換え改変エンベロープまたは無エンベロープDNAおよびRNAウイルスを含み、好ましくはバキュロウイルス科、パルボウイルス科、ピコルナウイルス科、ヘルペスウイルス科、ポックスウイルス科、アデノウイルス科またはピコルナウイルス科から選択される。また、親ベクター特性の各々の有利なエレメントを利用するキメラベクターを使用してもよい(例えばFengら(1997)Nature Biotechnology 15:866~870を参照のこと)。かかるウイルスベクターは野生型であってもよく、または複製欠損、条件付き複製もしくは複製可能となるように組換えDNA技術により改変してもよい。
本発明の好ましい実施形態では、上記発現ベクターは、真菌細胞における発現に適合する。
本発明の好ましい実施形態では、上記発現ベクターは、昆虫細胞における発現に適合する。
本発明の好ましい実施形態では、上記発現ベクターは、植物細胞における発現に適合する。
植物細胞における組換えタンパク質またはtRNAの発現に好適なプロモーターは、植物細胞における発現のための構成的、組織特異的、誘導型、発生的または他のプロモーターを含む。かかるプロモーターは、植物細胞で機能することができるウイルス、真菌、細菌、動物および植物由来プロモーターを含む。構成的プロモーターは、例えばCaMV 35Sプロモーター(Odellら(1985)Nature 313、9810~812);ライスアクチン(McElroyら(1990)Plant Cell 2:163~171);ユビキチン(Christianら(1989)Plant Mol.Biol.18(675~689);pEMU(Lastら(1991)Theor Appl.Genet.81:581~588);MAS(Veltenら(1984)EMBO J.3.2723~2730);ALSプロモーター(米国特許出願第08/409,297号)などを含む。他の構成的プロモーターは、米国特許第5,608,149号、同第5,608,144号、同第5,604,121号、同第5,569,597号、同第5,466,785号、同第5,399,680号、同第5,268,463号および同第5,608,142号中のものを含み、これらの特許の各々は参照により組み込まれる。
化学物質調節植物プロモーターは、外因性化学物質レギュレーターの適用を通して、植物細胞において遺伝子の発現を調節するために使用することができる。目的によって、プロモーターは、化学物質の適用が遺伝子発現を誘導する化学物質誘導性プロモーターであってもよく、または化学物質の適用が遺伝子発現を抑制する化学物質抑制性プロモーターであってもよい。化学物質誘導性プロモーターは、植物トランスジェニック発現の分野で既知であり、ベンゼンスルホンアミド除草剤解毒剤により活性化されるトウモロコシIn2-2プロモーター、出現前除草剤として使用される疎水性求電子性化合物により活性化されるトウモロコシGSTプロモーターおよびサリチル酸により活性化されるタバコPR-1aプロモーターが挙げられるが、これらに限定されない。他の目的の化学物質調節植物プロモーターは、ステロイド応答性プロモーター(例えばSchenaら(1991)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 88:10421~10425およびMcNellisら(1998)Plant J.14(2):247~257のグルココルチコイド誘導性プロモーターを参照のこと)ならびにテトラサイクリン誘導性およびテトラサイクリン抑制性プロモーター(例えばGatzら(1991)Mol.Gen.Genet.227:229~237ならびに米国特許第5,814,618号および同第5,789,156号を参照のこと)を含み、これらの文献および特許は参照により本明細書に組み込まれる。
特定の組織での向上した発現が所望される場合、組織特異的プロモーターを利用することができる。組織特異的プロモーターは、Yamamotoら(1997)Plant J.12(2):255~265;Kawamataら(1997)Plant Cell Physiol.38(7):792~803;Hansenら(1997)Mol.Gen.Genet.254(3):337~343;Russellら(1997)Transgenic Res.6(2):157~168;Rinehartら(1996)Plant Physiol.112(3):1331~1341;Van Campら(1996)Plant Physiol.112(2):525~535;Canevascniら(1996)Plant Physiol.112(2):513~524;Yamamotoら(1994)Plant Cell Physiol.35(5):773~778;Lam(1994)Results Probl.Cell Differ.20:181~196;Orozcoら(1993)Plant Mol.Biol.23(6):1129~1138;Mutsuokaら(1993)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 90(20):9586~9590;およびGuevara-Garciaら(1993)Plant J.4(3):495~50により説明されているものを含む。
本発明の状況において特に興味深いものは、植物ベクターとして作動する核酸構築物である。以前に植物において広範に成功して使用されている特定の手技およびベクターは、GuerineauおよびMullineaux(1993)(Plant Molecular Biology Labfax(Croy RRD編)Oxford中のPlant transformation and expression vectors.、BIOS Scientific Publishers、121~148頁)により説明されている。好適なベクターは、植物ウイルス由来ベクターを含み得る(例えばEP194809を参照のこと)。所望の場合、選択可能な遺伝子マーカー、例えば選択可能な表現型、例えば除草剤(例えばカナマイシン、ハイグロマイシン、ホスフィノトリシン、クロルスルフロン、メトトレキセート、ゲンタマイシン、スペクチノマイシン、イミダゾリノンおよびグリホセート)に対する抵抗性を与えるものを構築物に含めることができる。
本発明の好ましい実施形態では、上記単離された真核細胞は、昆虫細胞、植物細胞、真菌細胞または哺乳動物細胞である。
本発明の好ましい実施形態では、上記単離された哺乳動物細胞は、非ヒト哺乳動物細胞である。
本発明のさらに好ましい実施形態では、上記単離された哺乳動物細胞は、チャイニーズハムスター卵巣[CHO:Chinese Hamster Ovary]、HEK293、NS0またはCAP細胞からなる群から選択される。
本発明のさらに好ましい実施形態では、上記真菌細胞は、酵母:Saccharomyces cerevisae、Schizosaccharomyces pombe、Pichia pastoris、Aspergillus属[例えばA.niger]、Kluyveromyces lactisならびにTrichoderma reeseiおよびYarrowia lipolyticaからなる群から選択される。
本発明の好ましい実施形態では、上記植物細胞は、群:トウモロコシ(Zea mays)、キャノーラ(Brassica napus、Brassica rapa属)、アルファルファ(Medicago sativa)、コメ(Oryza sativa)、ライムギ(Secale cereale)、モロコシ(Sorghum bicolor、Sorghum vulgare)、ヒマワリ(helianthus annuas)、コムギ(Tritium aestivum)、ダイズ(Glycine max)、タバコ(Nicotiana tabacum)、ジャガイモ(Solanum tuberosum)、ピーナッツ(Arachis hypogaea)、綿(Gossypium hirsutum)、サツマイモ(lopmoea batatus)、キャッサバ(Manihot esculenta)、コーヒー(Cofea属)、ココナッツ(Cocos nucifera)、パイナップル(Anana comosus)、柑橘類樹(Citrus属)、ココア(Theobroma cacao)、茶(Camellia senensis)、バナナ(Musa属)、アボカド(Persea americana)、イチジク(Ficus casica)、グアバ(Psidium guajava)、マンゴー(Mangifer indica)、オリーブ(Olea europaea)、パパイヤ(Carica papaya)、カシュー(Anacardium occidentale)、マカダミア(Macadamia intergrifolia)、アーモンド(Prunus amygdalus)、テンサイ(Beta vulgaris)、オート、オオムギ、野菜および観賞植物から選択される植物種から単離される。
好ましくは、本発明の植物細胞は、作物植物(例えば穀物および豆類、トウモロコシ、コムギ、ジャガイモ、タピオカ、コメ、モロコシ、キビ、キャッサバ、オオムギ、エンドウならびに他の根、塊茎または種子作物)である。重要な種子作物は、アブラナ、テンサイ、トウモロコシ、ヒマワリ、ダイズおよびモロコシである。本発明が適用され得る園芸植物は、レタス、エンダイブ、ならびにキャベツ、ブロッコリーおよびカリフラワーを含むアブラナ属の野菜;ならびにカーネーションおよびゼラニウムを含み得る。本発明は、タバコ、ウリ科植物、ニンジン、イチゴ、ヒマワリ、トマト、コショウ、キクで適用され得る。目的の種子を提供する穀物植物は、油料種子植物およびマメ科植物を含む。目的の種子は、穀物種子、例えばトウモロコシ、コムギ、オオムギ、コメ、モロコシ、ライムギなどを含む。油料種子植物は、綿、ダイズ、ベニバナ、ヒマワリ、アブラナ属、トウモロコシ、アルファルファ、ヤシ、ココナッツなどを含む。マメ科植物は、マメ類およびエンドウを含む。マメ類は、グアー、イナゴマメ、コロハ、ダイズ、インゲンマメ(garden bean)、ササゲ、リョクトウ、アオイマメ、ソラマメ、レンズマメ、ヒヨコマメを含む。
本発明のさらに好ましい実施形態では、上記発現カセットは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14または15個のさまざまなtRNAをコードするヌクレオチド配列を含む。
本発明の一実施形態では、上記核酸は、Ala-tRNA、Arg-tRNA、Asp-tRNA、Asn-tRNA、Cys-tRNA、Glu-tRNA、Gln-tRNA、Gly-tRNA、His-tRNA、Ile-tRNA、Leu-tRNA、Lys-tRNA、Met-tRNA、Phe-tRNA、Pro-tRNA、Ser-tRNA、Thr-tRNA、Trp-tRNA、Tyr-tRNAおよびVal-tRNAの群から選択されるトランスファーRNAをコードする。
好ましい実施形態では、上記アンチコドンは、シトシンおよび/またはアデニン含量が高い。
好ましい実施形態では、上記アンチコドンは、ウラシルを含まない。
さらに好ましい実施形態では、上記アンチコドンは、AGC、GGC、CGC、UGC、ACC、GCC、CCC、UCC、AGG、GGG、CGG、UGG、AGU、GGU、CGU、UGU、AAC、GAC、CAC、UAC、AAA、GAA、AUU、GUU、CUU、UUU、AUC、GUC、CUC、UUC、AGA、GGA、CGA、UGA、ACU、GCU、ACG、GCG、CCG、UCG、CCU、UCU、AAG、GAG、CAG、UAG、CAA、UAA、AAU、GAU、UAU、CAU、AUA、GUA、ACA、GCA、AUG、GUG、CUG、UUG、CCAからなる群から選択される。
本発明の好ましい実施形態では、上記改変細胞は、治療用抗体をコードする核酸分子で形質転換またはトランスフェクトされている。
本発明の代替の実施形態では、上記改変細胞は、医薬または治療用タンパク質またはペプチドをコードする核酸分子で形質転換またはトランスフェクトされている。
本発明のさらに好ましい実施形態では、上記改変細胞は、工業用酵素をコードする核酸分子で形質転換またはトランスフェクトされている。
本発明の好ましい実施形態では、上記改変細胞は、7SLヌクレオチド配列を含む核酸分子での形質転換またはトランスフェクションによりさらに改変されている。
分泌型タンパク質および膜タンパク質は、小胞体へ分泌されるために標的タンパク質が必要とするシグナル配列を含有する。分泌が予定された天然および組換えタンパク質のシグナル配列は、6個の異なるタンパク質およびおよそ300ヌクレオチドの7SL RNAと呼ばれる構造的RNAを含むリボ核タンパク質複合体であるシグナル認識粒子と相互作用する。7SL RNAは、種間で保存されており、配列同一性のレベルではほとんどホモロジーがないが、2つの小ステムループ構造により1つの末端に、さらに2つの比較的大きなステムループ構造により他方の末端に隣接する中心二重鎖領域を含む7SL RNAの二次構造は、高度に保存されている。本発明者らは、当該改変細胞における7SL核酸の共発現が、組換えタンパク質の発現を大いに向上させることを開示する。
本発明の好ましい実施形態では、上記核酸分子は、配列番号10で示されるヌクレオチド配列または配列番号10で示されるヌクレオチド配列に全長にわたり少なくとも90%のヌクレオチド配列同一性を有するヌクレオチド配列バリアントを含む。
本発明の好ましい実施形態では、配列番号10で示されるヌクレオチド配列に全長にわたり少なくとも91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%のヌクレオチド配列同一性を有するヌクレオチド配列を含む核酸分子が提供される。
好ましくは、上記核酸分子は、配列番号10で示されるヌクレオチド配列を含むか、またはそれからなる。
本発明の好ましい実施形態では、翻訳効率は、同じ種の非改変細胞と比較すると、1倍超向上されている。
本発明の好ましい実施形態では、翻訳効率は、同じ種の非改変細胞と比較すると、少なくとも2倍向上されている。
好ましくは、翻訳効率は、同じ種の非改変細胞と比較すると、少なくとも3倍、4倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍または少なくとも10倍向上されている。好ましくは、翻訳は、同じ種の非改変細胞と比較すると、10倍超向上されている。
本発明の好ましい実施形態では、上記組換えタンパク質のアミノ酸の誤取り込みは、同じ種の非改変細胞におけるアミノ酸誤取り込み率と比較すると、1分の1より低く抑制されている。
本発明の好ましい実施形態では、上記組換えタンパク質のアミノ酸の誤取り込みは、同じ種の非改変細胞におけるアミノ酸誤取り込み率と比較すると、少なくとも2分の1に抑制されている。
好ましくは、誤取り込みは、同じ種の非改変細胞におけるアミノ酸誤取り込み率と比較すると、少なくとも3分の1、4分の1、5分の1、6分の1、7分の1、8分の1、9分の1、10分の1、15分の1、20分の1、25分の1、30分の1、35分の1または少なくとも40分の1に抑制されている。
本発明の一態様に従って、組換えタンパク質の生成における遺伝子コードの縮重の結果としてのtRNAミスマッチを低減させることにおける使用のための、本発明に記載の改変細胞が提供される。
好ましくは、上記tRNAミスマッチの低減は、上記改変細胞による上記mRNAの翻訳中の上記細胞のゆらぎへの依存を低減させる。
本発明のさらなる態様によれば、遺伝子コードの縮重の結果としてのtRNAミスマッチを低減させる方法を提供することであって、
i)本発明に記載の改変細胞を提供するステップ、
ii)上記改変細胞により発現される1つまたは複数の組換えタンパク質/ペプチドの発現に好適な細胞培養条件下でi)の細胞をインキュベートするステップ、および任意選択で
iii)改変細胞または細胞培養培地から、発現した組換えタンパク質/ペプチドを単離するステップ
を含む、方法が提供される。
本発明のさらなる態様によれば、細胞発現系における選択された組換えタンパク質の発現をカスタマイズする方法を提供することであって、
i)発現させようとする組換えタンパク質をコードする核酸分子のヌクレオチド配列を分析して、1つまたは複数のコドン/アンチコドンtRNAミスマッチを特定するステップ、
ii)少なくとも1つのコドンにおける少なくとも1つの塩基対形成ミスマッチを修正する1つまたは複数のtRNA遺伝子を含む1つまたは複数の転写カセットで細胞をトランスフェクトまたは形質転換して、改変細胞を提供するステップ、
iii)発現させようとする組換えタンパク質で上記改変細胞をトランスフェクトまたは形質転換するステップ、および任意選択で
iv)上記組換えタンパク質を発現するための細胞培養条件を提供するステップ
を含む、方法が提供される。
本発明の好ましい方法では、上記細胞は真核細胞である。
好ましくは、上記細胞は、哺乳動物細胞、真菌細胞、昆虫細胞または植物細胞である。
本発明の代替の好ましい方法では、上記細胞は、原核細胞、例えば細菌細胞である。
本発明の一態様によれば、本発明に記載の方法により得られるか、または得ることができる改変細胞が提供される。
本発明のさらなる態様によれば、本発明に記載の改変細胞を含む細胞培養容器が提供される。本発明の好ましい実施形態では、上記細胞培養容器は、発酵槽のようなバイオリアクターである。
真核微生物発現または原核生物発現が本発明に記載の方法で好ましい場合、それらを、宿主生物によって、当業者が精通している様式で生育または培養する。概して、微生物を、通常、糖の形態の炭素源;通常、酵母抽出物などの有機窒素源または硫酸アンモニウムなどの塩の形態の窒素源;鉄、マンガンおよびマグネシウムの塩などの微量元素;ならびに適切な場合、ビタミンを含む液体培地中で、0℃~100℃、好ましくは10℃~60℃の温度で、酸素供給しながら生育させる。
液体培地のpHは、一定に維持する、すなわち、培養期間中調節してもよく、またはそうでなくてもよい。培養物は、バッチ毎に、半バッチ毎にまたは連続して生育させてもよい。栄養素は、発酵の開始時に提供してもよく、または半連続的もしくは連続的に供給してもよい。生成される組換えタンパク質は、当業者に既知のプロセスにより、例えば抽出、適切な場合塩での沈殿および/またはクロマトグラフィーにより上記に説明するように生物から単離することができる。この目的のために、生物は有利に予め破壊することができる。
このプロセスでは、pH値は、pH4~12、好ましくはpH6~9、とりわけ好ましくはpH7~8に維持した。使用される培養培地は、当該株の必要条件を好適に満たさなければならない。様々な微生物の培養培地の説明は、American Society for Bacteriology(Washington D.C.、USA、1981)の教本「Manual of Methods for General Bacteriology」で見ることができる。
上記に説明するように、本発明に従って使用され得るこれらの培地は通常、1つまたは複数の炭素源、窒素源、無機塩、ビタミンおよび/または微量元素を含む。好ましい炭素源は、糖、例えば単糖類、二糖類または多糖類である。炭素源の例は、グルコース、果糖、マンノース、ガラクトース、リボース、ソルボース、リブロース、乳糖、麦芽糖、ショ糖、ラフィノース、デンプンまたはセルロースである。また、糖は、糖蜜または糖精製からの他の副生成物などの複合体化合物により培地に添加することができる。また、様々な炭素源の混合物の添加は、有利であり得る。他の可能性のある炭素源は、油および脂肪、例えばダイズ油、ヒマワリ油、ピーナッツ油および/もしくはココナッツ脂肪;脂肪酸、例えばパルミチン酸、ステアリン酸および/もしくはリノール酸;アルコールおよび/もしくは多価アルコール、例えばグリセロール、メタノールおよび/もしくはエタノール、ならびに/または有機酸、例えば酢酸および/もしくは乳酸である。
窒素源は通常、有機または無機窒素化合物またはこれらの化合物を含む材料である。窒素源の例は、液体もしくは気体形態のアンモニアもしくはアンモニウム塩、例えば硫酸アンモニウム、塩化アンモニウム、リン酸アンモニウム、炭酸アンモニウムもしくは硝酸アンモニウム、硝酸塩、尿素、アミノ酸;または複合体窒素源、例えばコーンスティープリカー、ダイズミール、ダイズタンパク質、酵母抽出物、肉抽出物およびその他のものを含む。窒素源は、個々にまたは混合物として使用することができる。
培地中に存在し得る無機塩化合物は、カルシウム、マグネシウム、ナトリウム、コバルト、モリブデン、カリウム、マンガン、亜鉛、銅および鉄の塩化物、リンおよび硫酸塩を含む。無機硫黄含有化合物、例えば硫酸塩、亜硫酸塩、亜ジチオン酸塩、四チオン酸塩、チオ硫酸塩、硫化物または他の有機硫黄化合物など、例えばメルカプタンおよびチオールは、硫黄含有精密化学品、特にメチオニンの生成のための硫黄の供給源として使用され得る。リン酸、リン酸二水素カリウムもしくはリン酸水素二カリウムまたは対応するナトリウム含有塩は、リンの供給源として使用され得る。
また、微生物を培養するために本発明に従って使用される発酵培地は通常、例えばビオチン、リボフラビン、チアミン、葉酸、ニコチン酸、パントテン酸塩およびピリドキシンを含む、ビタミンまたは増殖プロモーターなどの他の増殖因子を含む。増殖因子および塩は多くの場合、複雑な培地構成成分、例えば酵母抽出物、糖蜜、コーンスティープリカーなどに由来する。さらに、培養培地に好適な前駆体を添加することが可能である。
本発明のさらなる態様によれば、組換えタンパク質のカスタマイズされたin vitro合成の方法であって、
i)発現させようとする組換えタンパク質をコードする核酸分子のヌクレオチド配列を分析して、1つまたは複数のコドン/アンチコドンtRNAミスマッチを特定するステップ、
ii)上記組換えタンパク質をコードするmRNAおよび上記mRNA中の少なくとも1つのコドンにおける少なくとも1つの塩基対形成ミスマッチを修正する1つまたは複数のtRNAを含む反応混合物を提供するステップ、および
iii)上記mRNAからの上記組換えタンパク質の合成のための反応条件を提供するステップ
を含む、方法が提供される。
本発明の好ましい方法では、上記反応混合物は、発現ベクターおよびRNAポリメラーゼを含み、上記方法は、組合せ転写/翻訳反応である。
本発明のさらなる態様によれば、
1つまたは複数のtRNA遺伝子を含む発現ベクター、任意で
1つまたは複数の組換え核酸分子を受容するように適合した発現ベクター、ならびに
サブクローニングおよび/またはトランスフェクション/形質転換に必要な酵素および緩衝液
を含むキットが提供される。
本明細書の説明および特許請求の範囲全体を通して、「含む」および「含有する」という単語ならびにこれらの単語の変形、例えば「含むこと」および「含む」は、「~を含むが、これらに限定されない」を意味し、他の部分、補助剤、構成成分、要素(integer)またはステップを除外することを意図しない(および除外しない)。「から本質的になる」は、本質的な要素を有するが、これらの本質的な要素の機能に実質的に影響しない要素を含むことを意味する。
本明細書の説明および特許請求の範囲全体を通して、文脈において別段の要求がない限り、単数形は複数形を包含する。特に、不確定な物品が使用される場合、明細書は、文脈において別段の要求がない限り、複数形および単数形を企図すると理解されるべきである。
本発明の特定の態様、実施形態または実施例に関連して説明される特色、要素、特徴、化合物、化学部分または基は、本明細書で説明する任意の他の態様、実施形態または実施例に、それらと不適合でない限り、適用可能であると理解されるべきである。
好ましい実施形態
抗体は、ポリクローナル、モノクローナル抗体、CDRを含むヒト化およびキメラ抗体ならびに由来断片を含む。
キメラ抗体は、マウスまたはラット抗体のV領域の全てをヒト抗体C領域と組み合わせた組換え抗体である。ヒト化抗体は、げっ歯類抗体V領域の相補性決定領域とヒト抗体V領域のフレームワーク領域とを融合した組換えハイブリッド抗体である。また、ヒト抗体のC領域が使用される。相補性決定領域(CDR:complementarity determining region)は、V領域の変形の大部分が制限されている、抗体の重鎖および軽鎖の両方のN末端ドメイン内の領域である。これらの領域は、抗体分子の表面でループを形成する。これらのループは、抗体と抗原との間の結合表面を提供する。
非ヒト動物からの抗体は、外来性抗体への免疫応答および循環からのその除去を引き起こす。キメラおよびヒト化抗体の両方は、組換えハイブリッド抗体内に低減された量のげっ歯類(すなわち、外来性)抗体しかなく、一方でヒト抗体領域は免疫応答を誘発しないので、ヒト対象に注射されたとき低減した抗原性しか有しない。このことは、より弱い免疫応答および抗体のクリアランスにおける減少をもたらす。これは、ヒト疾患の治療において治療用抗体を使用する場合に、明らかに望ましい。ヒト化抗体は、より少ない「外来性」抗体領域を有するように設計され、それゆえキメラ抗体より免疫原性が低いと考えられる。
様々な抗体の断片は、本分野で既知である。Fab断片は、共に共有結合し、かつ抗原に特異的に結合することができる、免疫グロブリン重鎖可変領域および免疫グロブリン軽鎖可変領域の免疫学的に活性な部分からなる多量体タンパク質である。Fab断片は、インタクトな免疫グロブリン分子の(例えばパパインでの)タンパク質溶解切断により発生する。Fab断片は、2つの接合したFab断片を含む。これらの2つの断片が免疫グロブリンヒンジ領域により接合される場合、F(ab’)断片をもたらす。Fv断片は、共に共有結合し、かつ抗原に特異的に結合することができる、免疫グロブリン重鎖可変領域および免疫グロブリン軽鎖可変領域の免疫学的に活性な部分からなる多量体タンパク質である。また、断片は、1つの軽鎖可変領域のみを含有する単鎖ポリペプチドまたは軽鎖可変領域の3つのCDRを含有するその断片であって、関連付けられる重鎖可変領域または重鎖可変領域の3つのCDRを含有するその断片を伴わず、関連付けられる軽鎖部分を伴わないもの;および抗体断片から形成される多特異性抗体であってもよく、これは例えば米国特許第6,248,516号で説明されている。Fv断片または単一領域(ドメイン)断片は典型的に、関連が特定された領域の、宿主細胞株における発現により発生する。これらおよび他の免疫グロブリンまたは抗体断片は、本発明の範囲内であり、標準の免疫学教本、例えばPaul、Fundamental ImmunologyまたはJanewayら、Immunobiology(上記に引用される)で説明されている。今や、分子生物学は、これらの断片の(細胞での発現による、または化学的な)直接合成およびこれらの組合せの合成を可能にする。また、抗体または免疫グロブリンの断片は、上記に説明するように二重特異性機能を有し得る。
医薬タンパク質およびペプチド
医薬タンパク質の例は、「サイトカイン」を含む。サイトカインは、いくつかの多様な細胞機能に関連する。これらは、免疫系の調節、エネルギー代謝の調節ならびに増殖および発達の制御を含む。サイトカインは、標的細胞上の細胞表面で発現される受容体を介してそれらの効果を仲介する。サイトカインの例として、インターロイキン、例えばIL1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32および33が挙げられる。他の例として、成長ホルモン、レプチン、エリスロポエチン、プロラクチン、腫瘍壊死因子[TNF:tumour necrosis factor]、顆粒球コロニー刺激因子(GCSF:granulocyte colony stimulating factor)、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GMCSF:granulocyte macrophage colony stimulating factor)、毛様体神経栄養因子(CNTF:ciliary neurotrophic factor)、カルジオトロフィン-1(CT-1:cardiotrophin-1)、白血病阻止因子(LIF:leukemia inhibitory factor)およびオンコスタチンM(OSM:oncostatin M)、インターフェロンα、インターフェロンβ、インターフェロンε、インターフェロンκおよびωインターフェロンが挙げられる。
薬学的に活性なペプチドの例として、GLP-1、抗利尿ホルモン;オキシトシン;性腺刺激ホルモン放出ホルモン、副腎皮質刺激ホルモン放出ホルモン;カルシトニン、グルカゴン、アミリン、A型ナトリウム利尿ホルモン、B型ナトリウム利尿ホルモン、グレリン、神経ペプチドY、神経ペプチドYY3~36、成長ホルモン放出ホルモン、ソマトスタチン;またはこれらのホモログもしくはアナログが挙げられる。
「ケモカイン」という用語は、分裂促進活性、走化活性または炎症活性を有する細胞により分泌される、一群の構造的に関連する低分子量因子を指す。それらは主に、4つの保存されたシステイン残基を共有する70~100個のアミノ酸残基のカチオン性タンパク質である。これらのタンパク質は、2つのアミノ末端システインの間隔に基づいて、2つの群に分類することができる。第1の群では、2つのシステインは単一の残基により分離されており(C-x-C)、一方で第2の群では、それらは隣接している(C-C)。「C-x-C」ケモカインのメンバーの例として、血小板因子4(PF4:platelet factor 4)、血小板塩基性タンパク質(PBP:platelet basic protein)、インターロイキン-8(IL-8:interleukin-8)、黒色腫増殖刺激活性タンパク質(MGSA:melanoma growth stimulatory activity protein)、マクロファージ炎症性タンパク質2(MIP-2:macrophage inflammatory protein 2)、マウスMig(m119)、ニワトリ9E3(またはpCEF-4)、ブタ肺胞マクロファージ走化性因子IおよびII(AMCF-Iおよび-II:alveolar macrophage chemotactic factor I and II)、プレB細胞増殖刺激因子(PBSF:pre-B cell growth stimulating factor)ならびにIP10が挙げられるが、これらに限定されない。「C-C」群のメンバーの例として、単球走化性タンパク質1(MCP-1:monocyte chemotactic protein 1)、単球走化性タンパク質2(MCP-2)、単球走化性タンパク質3(MCP-3)、単球走化性タンパク質4(MCP-4)、マクロファージ炎症性タンパク質1α(MIP-1-α:macrophage inflammatory protein 1α)、マクロファージ炎症性タンパク質1β(MIP-1-β)、マクロファージ炎症性タンパク質1-γ(MIP-1-γ)、マクロファージ炎症性タンパク質3α(MIP-3-α)、マクロファージ炎症性タンパク質3β(MIP-3-β)、ケモカイン(ELC)、マクロファージ炎症性タンパク質-4(MIP-4)、マクロファージ炎症性タンパク質5(MIP-5)、LD78β、RANTES、SIS-イプシロン(p500)、胸腺および活性化制御ケモカイン(TARC:thymus and activation-regulated chemokine)、エオタキシン、I-309、ヒトタンパク質HCC-1/NCC-2、ヒトタンパク質HCC-3が挙げられるが、これらに限定されない。
内皮細胞が血管新生を受けるように促進/活性化するいくつかの増殖因子が特定されている。これらは、血管内皮増殖因子(VEGF:vascular endothelial growth factor)A;VEGF B、VEGF CおよびVEGF D;形質転換増殖因子(TGF:transforming growth factor)b;酸性および塩基性線維芽細胞増殖因子(aFGFおよびbFGF:acidic and basic fibroblast growth factor);ならびに血小板由来増殖因子(PDGF:platelet derived growth factor)を含む。VEGFは、非常に特異的な作用部位、すなわち、内皮細胞増殖、遊走および分化の促進を有する内皮細胞特異的増殖因子である。VEGFは、2つの同一の23kDポリペプチドを含む複合体である。VEGFは、異なる分子量の4つの別個のポリペプチドとして存在し、各々は、二者択一的にスプライスされたmRNAに由来し得る。bFGFは、線維芽細胞および内皮細胞の増殖を刺激するように機能する増殖因子である。bFGFは、16.5Kdの分子量を有する単鎖ポリペプチド鎖である。アミノ末端領域で長さが異なる、bFGFのいくつかの分子形態が発見されている。しかしながら、様々な分子形態の生物学的機能は、同じであるように見える。
ここで、本発明の実施形態を、単なる例示として、以下の図面を参照して説明する。
図1は、CHO細胞にないtRNA TyrATA遺伝子を含む570bpインサートを有する発現ベクターpcDNA3 Tyr-ATAを例示する。 図2は、安定にトランスフェクトされたCHO細胞におけるヒトtRNA Tyr-ATA遺伝子の発現を示すRT-PCRアッセイを例示する。 図3は、CHOゲノムで同等物がない3つのヒトtRNA遺伝子を有するトランスジェニッククラスターを例示する。これらを、pcDNA3に組み込み、クローニングしてpcDNA.YINを作製し、CHO細胞に安定にトランスフェクトした。 図4は、pcDNA.YINでトランスフェクトしたCHO細胞におけるヒトtRNA Tyr-ATA、tRNA Asn-ATTおよびtRNA Ile-GAT遺伝子の発現を示すRT-PCRアッセイを例示する。 図5は、ハーセプチン軽鎖および重鎖をコードする発現ベクターpCET 1006L&Hを例示する。 図6は、安定に組み込まれたpCET 1006L&Hを有するクローニングした細胞を、空のベクター、pcDNA.YIN+pSUPER.7SL、pcDNA.YIN+ベクターまたはpSUPER-7SL+ベクターで一過的にトランスフェクトすることの、分泌ハーセプチン(トラスツズマブ)の相対的発現に対する効果を例示する。相対的発現の平均値(n=3)は、ベクター1.00、pcDNA.YIN+pSUPER-7SL 1.49、pcDNA.YIN+ベクター1.20、pSUPER-7SL+ベクター1.24であった。 図7は、pcDNA.YINを有するか、または有しないpCET 1006L&Hで安定にトランスフェクトした細胞の対応するクローンによる分泌ハーセプチン(トラスツズマブ)の相対的発現を例示する。分泌フィブロネクチン(CHO遺伝子生成物、対照)に対する分泌ハーセプチン(トラスツズマブ)の比は、pcDNA.YINで約59%増大した(n=4)。 図8は、軽鎖の残基156ならびに重鎖の残基307、336および405でアスパラギンの代わりに誤って組み込まれたリジンを有する、pcDNA.YINを有するか、または有しないpCET 1006L&Hで安定にトランスフェクトした細胞の対応するクローンにより分泌されたハーセプチン(トラスツズマブ)ポリペプチドの割合を例示する。 図9は、pAU39を作製するための、tRNA49-LeuCAG遺伝子(配列番号9)を含有するSchizosaccharomyces pombeゲノム配列の300bp断片を受容したベクターpRS426を例示する。 図10は、tRNA-LeuCAGを発現するプラスミドpAU39を有するか、または有しないS.cerevisiaeにおける、ウェスタンブロットにより決定されたCOG8およびPgk1の発現を例示する(n=3)。 図11は、ウコン酵素ジケチド-CoA合成酵素(DCS:diketide-CoA synthase)をS.cerevisiaeにおいて発現するために使用したベクターpESC-TRPを例示する。 図12は、tRNA-LeuCAGを発現するプラスミドpAU39を有するか、または有しないS.cerevisiaeにおける、ウェスタンブロットにより決定されたDCSおよびPgk1の発現を例示する。
材料および方法
ヒトtRNA-Tyr-ATA遺伝子のpcDNA3へのクローニング
5’末端でattB配列の付加を伴い、BglII(5’)およびXhoI(3’)制限酵素配列を端部に有するヒトtRNA-Tyr-ATA遺伝子(chr2:219110270-219110770)を含有する500bpゲノムDNA断片(配列番号1)をLife Technologies社により合成し、ベクターpMK-Tyr_ATAで提供した。この配列を、BglIIおよびXhoIによる37℃での消化により放出し、ゲルを精製した。真核生物発現ベクターpcDNA3をBglIIおよびXhoIで消化して、CMVプロモーターを除去し、ゲルを精製した。2つのDNA断片を、T4リガーゼ(NEB社)を使用して接合し、化学誘導コンピテントE.coliに42℃で1分間のヒートショックにより導入した。プラスミドを続いて、得られたカルベニシリン抵抗性(50μg/ml)コロニーから単離し、インサートの存在を制限酵素消化および続くシークエンシングにより確認した。
Figure 0007257788000001
配列1-標的化ゲノム統合のために3’末端に融合したラムダAttb統合部位(黄色ハイライト)を有するヒトTyr-ATA遺伝子(緑色の文字)を含有する合成したゲノム断片の配列。
pcDNA-Tyr-ATAのCHO細胞へのトランスフェクション
CHO-K1細胞を、10%ウシ胎児血清で補充したハムF12培地中で生育させ、37℃で5%CO中にて培養した。トランスフェクションのために、3mlの培地を含む6ウェルプレート中の1ウェル当たり350,000個の細胞を播種した。翌日、培地を除去し、1mlの新しい培地で置換し、X-fect試薬(Clontech社)を使用して製造者の使用説明書に従い5μgのプラスミドを細胞に導入した。24時間後、3ウェルからの全ての細胞を回収し、pcDNAベクターがネオマイシン抵抗性遺伝子を有するので、400μg/ml G418を補充した15mlの培地を含むT75フラスコに再播種した。これらの細胞を3日後に1:4に分け、G418は600μg/mlまで増大させた。細胞を続いて2~3日毎に1:4に分け、G418はさらに12日目で800μg/mlまで増大させた。完全に形質転換された抵抗性細胞株を示す、さらなる細胞死が起こらなくなるときまで、選択を800μg/mlで継続した。G418の存在下で培養した形質転換されていない細胞は増殖せず、着実に数が減った。
pcDNA-Tyr-ATAの発現分析
1ml/ウェルのTrizol(Life technologies社)を使用して製造者の使用説明書に従い、CHO細胞からRNAを抽出した。沈殿後、RNAペレットを、4uのRNアーゼ非含有DNアーゼ1(NEB社 M0303S)を含有する30μlの1×DNアーゼ1緩衝液中に懸濁し、RNAを37℃で30分間インキュベートし、その後反応を70℃で10分間にて停止させた。その後、以下のように、SuperScript IV(Life Technologies社)およびランダムモノマー(Sigma社)を使用して、1μgのRNAをcDNAに逆転写した[1μgのRNA、1μlのランダムモノマー、1μlの10mM dNTP混合物、RNアーゼ非含有水を14μlになるように混合し、70℃まで5分間加熱し、その後氷上で冷却し、4μlの5×SSIV緩衝液、1μlの100mM DTTおよび1μlのSuperScript IV逆転写酵素を添加し、室温で10分間、その後55℃で30分間静置し、その後反応を80℃で10分間にて停止させる]。このcDNAを続いてDNアーゼ/RNアーゼ非含有水で100μlまで希釈し、OneTaqポリメラーゼ2×混合物(NEB社)および遺伝子特異的プライマー(配列番号2:ATAフォワード-GCTGGTAGAGCAGAGGACTAT、配列番号3:ATA(2)リバース-TCGAACCAGCAACCTAAGGAC)でのPCR反応で使用した。[標準緩衝液を伴うOneTaq2×-10μl、cDNA-2μl、10μMプライマー-0.2μl、dHOで20μlにする]。PCR条件-[94℃-3分間、(94℃-30秒間、62℃-12秒間、68℃-12秒間)×35、68℃-3分間]。PCRの結果は、3%TBEアガロースゲル上でSYBR Safe DNA染色(Invitrogen社)にて可視化した。
ヒトtRNA遺伝子(tRNA-IleGAT1-1、tRNA-AsnATT1-1およびtRNA-TyrATA)のYINクラスターの構築
各tRNA遺伝子につき、Ile-GAT1-1 hg19_dna範囲ChrX:3756418~3756491、Asn-ATT1-1 hg19_dna範囲chr1:147718729~147719202である配列を以下のようにして得た。これらの配列を、それらを分離するHindIII部位を有し、pcDNA-Tyr-ATA中のTyr-ATA tRNA配列に隣接するクローニングのためのBamHI部位を端部に有するDNAの1断片(配列番号4)として合成した(図3)。得られた構築物は、pcDNA.YINと命名した。
Figure 0007257788000002
YIN tRNA遺伝子クラスターのCHO細胞への導入および発現の確認。
pcDNA-Tyr-ATAについて上記に説明するように、pcDNA-YINを、CHO K1細胞に安定にトランスフェクトした。tRNA-Tyr-ATAについて上記に説明するように、各tRNAの発現をトランスフェクタントにおいて確認した(図4)。tRNA-Ile-GATのプライマー配列は、(配列番号5:フォワード-TCAGGCGGCCGGTTAGC、配列番号6:リバース-GCTAACGCCGTGGCCGGTG)であり、tRNA-Asn-ATTのプライマー配列は、(配列番号7フォワード-TCGCTAGTACCTGTCTCTGTGGおよび配列番号8:リバース-CCTGGGTGGTCTTGAACTACTC)であった。
ハーセプチン(トラスツズマブ)を発現する安定にトランスフェクトしたクローンの作製
細胞がトランスフェクション時に50~70%コンフルエントになるように、トランスフェクションの1日前に、3×10個のCHO細胞を、6ウェルCostar透明TC処理細胞培養プレート(Corning社)中の1mlの完全増殖培地(F12/DMEM)中に播種した。微量遠心分離管中で、ハーセプチン(トラスツズマブ)をコードする5μgのプラスミドpCET 1006L+H(図5)DNAを、最終体積が100μlになるようにXfect反応緩衝液で希釈し、高速で5秒間のボルテックスにより混合した。1.5μl Xfectポリマーを、希釈したプラスミドDNAに添加し、高速で10秒間のボルテックスにより十分に混合した(ポリマー:DNAの比は一定に維持した:1μgのプラスミドDNA当たり0.3μlのXfectポリマー)。混合物を室温で10分間インキュベートしてナノ粒子複合体を形成させた。100μlのナノ粒子複合体溶液全てを、ウェル中の細胞培養培地に一滴ずつ添加した。プレートを37℃、5%COで4時間から一晩インキュベートし、その後ナノ粒子複合体を吸引により細胞から除去し、2~3mlの新しい完全増殖培地で置換し、プレートを37℃のインキュベーターに戻した。24時間後、細胞をトリプシン処理し、計数し、非処理プレート中のGlutamax(Gibco社)およびピューロマイシン(10μg/ml)で補充したClonaCell(商標)半固体培地(Stem Cell Technologies社)中に200、500または1000個の細胞/mlで再懸濁した。プレートを、コロニーが明らかに見えるようになるまで、37℃、5%COで14~21日間インキュベートした。個々のコロニーを、10%FCSおよび10ug/mlピューロマイシンを補充した液体F12培地にピペットで入れ、増殖させ、その後、ウェスタンブロットにより分析した。
ハーセプチン(トラスツズマブ)の発現を評価するために、1mlの培地をEppendorf管に除去し、1200rpmで回転させて任意の細胞残屑をペレット化した。上清(800μl)を取り除き、-80℃で凍結した。培地の試料(30μl)を、10μlのアルキル化ローディング緩衝液、(125mM Tris、20%グリセロール、2%SDS、90mM N-エチルマレイミド(NEM:N-Ethylmaleimide)、ブロモフェノールブルー)と混合し、室温で15分間インキュベートした。その後、試料を95℃で10分間加熱し、氷上で冷却し、その後、SDS-PAGEを行った。タンパク質を、Hoefer社製Semiphor半乾燥ブロッターを使用して、移行緩衝液(Towbin-25mM Tris-HCl、192mMグリシン、pH8.3、20%MeOH)中に事前に浸漬した膜(Amersham社製Protran 0.45ミクロン NC10600003番)に移した。この膜を1×PBSですすぎ、1×PBS中の5%粉乳、1% PVP-40(Sigma社 101616021)、0.05% Tween-20(Applichem GmbH社 A4974)中で4℃にて一晩ブロックした。その後、ブロッキング緩衝液を除去し、1/5000希釈のHRPコンジュゲート抗ヒトIgG抗体(Abcam社 97165 1mg/ml ヒトIgG HRPに対するヤギpAb)で置換し、振盪しながら室温で1時間インキュベートした。その後、この膜を1×PBS+0.05% Tween20中で3×10分間洗浄した。34087番 Thermo Super-Signal Western Pico Chemi基質を添加することにより、タンパク質を検出した。過剰な試薬を除去し、シグナルを、GeneSnapソフトウェアを伴うSynGene G box chemiimagerで検出した。その後、膜を1×PBSですすぎ、フィブロネクチン抗体Ab 2413(Abcam社)をブロッキング緩衝液中の1/10000希釈で添加するか、またはSigma F6140フィブロネクチンマウスモノクローナル1/4000希釈を5%BSA(Sigma社 A7906)中でブロックし、4℃で一晩インキュベートした。その後、膜を3×10分間、1×PBS+0.05% Tween20で洗浄し、その後、二次抗体を粉乳ブロッキング緩衝液(1/5000希釈の抗ウサギIgG HRP 7074S Cell Signalling社または抗マウスHRP 1/5000希釈 7076P2番 Cell Signalling社)中に添加し、振盪しながら室温で1時間インキュベートした。
上記のように、膜を、PBS/Tween中で3×10分間洗浄し、高感度基質を使用して現像した。image J(https://imagej.nih.gov/ij/index.html)を使用して、Chemiimageを分析した。
ハーセプチン(トラスツズマブ)の発現に対するYINによるゆらぎ抑制の効果
ハーセプチン(トラスツズマブ)発現がどのように、pcDNA.YINを使用したヒトtRNA-IleGAT1-1、tRNA-AsnATT1-1およびtRNA-TyrATA遺伝子の一過性または安定的導入によるゆらぎ抑制に応答するか試験するために、pCET 1006L+Hで安定にトランスフェクトしたクローンを使用した。CHO細胞は、これらの3つのtRNAを有さず、それゆえIle、AsnおよびTyrについて、それぞれ、ATC、AATおよびTATコドンを解読するためにゆらぎに依存する。
安定にトランスフェクトしたpCET 1006L+Hを発現するクローンを、37℃で5%CO中にて、10%ウシ胎児血清(Gibco社 10270)、100U/ml Pen/Strep(Gibco社 15140122)および10μg/mlピューロマイシン(Gibco社 A11138)を補充した、L-グルタミン(Lonza社 BE12615F)含有ハムF12培地中で生育させ、Genecelinを使用してpcDNA.YINまたは等量のpcDNA.3空ベクターでトランスフェクトした。pSUPER-7SL(Misraら(2005)J.Biol.Chem 280、29364)と等量のpcDNA.YINまたは空ベクターとの共トランスフェクションにより、7SL RNAの過剰発現への応答を並行して試験した。培地に分泌されたハーセプチン(トラスツズマブ)のレベルを、トランスフェクション3日後に、上記のようにウェスタンブロットにより決定した(図6)。
安定に発現するtRNA-IleGAT1-1、tRNA-AsnATT1-1およびtRNA-TyrATAの効果を試験するために、pCET 1006L+Hで安定にトランスフェクトしたクローンを、上記にようにpcDNA.YINでさらにトランスフェクトした。24時間後、細胞をトリプシン処理し、計数し、Glutamax(Gibco社)および継続するpCET 1006L+H統合の選択のためにピューロマイシン(10μg/ml)(Gibco社 A11138)ならびにpcDNA.YIN統合の選択のために800μg/ml G418(Sigma社 A1720)で補充したClonaCell(商標)半固体培地(Stem Cell Technologies社)中に200、500または1000個の細胞/mlで再懸濁した。プレートを、コロニーが明らかに見えるようになるまで、37℃、5%COで14~21日間インキュベートした。個々のコロニーを、10%FCS、800μg/ml G418および10μg/mlピューロマイシンで補充した液体F12培地にピペットで入れ、増殖させた。これらのクローンおよび親クローンを、T25細胞培養フラスコ(Starsted社)中で37℃にて5%CO中で、適宜800μg/ml G418(Sigma社 A1720)を伴うまたは伴わない、10%ウシ胎児血清(Gibco社 10270)、100U/ml Pen/Strep(Gibco社 15140122)および10μg/mlピューロマイシン(Gibco社 A11138)で補充した、L-グルタミン(Lonza社 BE12615F)を含むハムF12培地中にて培養した。ハーセプチン(トラスツズマブ)の発現を評価するために、500,000個の細胞(継代4~8)を、上記のように、T25フラスコ中の5mlの培地中に播種した。72時間後、1mlの一定分量の培地をEppendorf管に除去し、1200rpmで回転させて任意の細胞残屑をペレット化した。上清(880μl)を取り除き、-80で凍結した。上記に説明するように、発現を続いてウェスタンブロットにより評価した(図7)。
ハーセプチン(トラスツズマブ)におけるアスパラギンについてのリジンの誤取り込みに対するゆらぎ抑制の効果
質量分析(MS:mass spectrometry)による分析のために、ハーセプチンを、Pierce社Protein A磁気ビーズ(Thermo Scientific Pierce社 50μl、0.5mg)を使用して、安定に発現するCHO細胞の単一細胞クローンの播種後72~96時間で回収した細胞培養上清(10% Ultra-Low IgG FBS[Thermo Scientific社]を含むF12:DMEM培地)から精製した。磁気ビーズをピペットで微量遠心分離管に移した。管を磁石上に置いて保存溶液からビーズを分離した。磁気ビーズを1mlの洗浄緩衝液(0.05% Tween-20洗剤を含有するTBS)で洗浄し、ビーズを磁石により回収し、上清を除去した。30mlの細胞培養上清を、Ultracel-50膜(Merck Millipore社)を有するAmicon社製Ultra-15遠心分離フィルターユニットを使用して1.5mlまで濃縮し、ビーズに添加し、回転しながら室温で60分間インキュベートした。管を磁石上に置き、上清を除去した。ビーズ/抗体複合体を、500μlの洗浄緩衝液中に再懸濁し、穏やかなピペッティングにより洗浄した。ビーズ/抗体複合体を全部で3回洗浄し、各洗浄の間に磁石上で分離した。ビーズ懸濁液を、管壁に結合したタンパク質の共溶出を避けるために、クリーン管に移した。100μlの溶出緩衝液(50mMグリシンpH2.8)をビーズに10分間添加して抗体を溶出し、15μl 1M TRIS pH7.5を添加することにより緩衝液を中和した。溶出したタンパク質を、LDS試料緩衝液(Biorad社、4:1)と混合し、DTT(最終濃度100mM)により還元した。混合物を95℃で10分間加熱し、4~15% SDS-PAGEゲル(Biorad社)上にローディングした。ゲルを製造業者の使用説明書に従って泳動した(180V、30~40分)。SDS-PAGEゲルを、InstantBlueクーマシーベースタンパク質染色(Expedeon社)を使用して染色した。DTEでの還元およびヨードアセトアミドでのS-カルバミドメチル化後に、ゲル内トリプシン消化を行った。ゲル片を、25mM炭酸水素アンモニウムを含有する50%(v:v)水性アセトニトリルで2回、その後アセトニトリルで1回洗浄し、真空濃縮器内で20分間乾燥させた。シークエンシンググレードの改変ブタトリプシン(Promega社)を50mM酢酸中に溶解し、その後25mM炭酸水素アンモニウムで5倍希釈して0.02μg/μLの最終トリプシン濃度を得た。ゲル片を、25μLのトリプシン溶液を添加することにより再水和し、10分後、十分な25mM炭酸水素アンモニウム溶液を添加してゲル片を覆った。消化物を37℃で一晩インキュベートした。ペプチドを、0.1%トリフルオロ酢酸(v:v)を含有する50%(v:v)水性アセトニトリルで3回洗浄することにより抽出し、その後真空濃縮器内で乾燥させ、水性0.1%トリフルオロ酢酸(v:v)中に再構成した。ペプチドを、PepMap 100Å C18、5μmトラップカラム(300μm×5mm、Thermo社)およびAcclaim PepMap RSLCまたはEasyNanoカラム、2μm、100Å(C18、75μm×150mm、Thermo社)を備えたUltiMate 3000 RSLCナノHPLCシステム(Thermo社)上にローディングした。トラップ洗浄溶媒は水性0.05%(v:v)トリフルオロ酢酸であり、トラッピング流速は15μl/分であった。トラップを3分間洗浄し、その後キャピラリーカラムへの流動に変えた。分離は、2つの溶媒(溶媒A:水性1%(v:v)ギ酸;溶媒B:1%(v:v)ギ酸を含有する水性80%(v:v)アセトニトリル)の勾配溶出を使用した。キャピラリーカラムの流速は、300nl/分であった。カラム温度は40℃であり、勾配プロファイルは、7分間にわたる直線3~10%B、30分間にわたる直線10~35%B、5分間にわたる直線35~99%Bであり、その後99%溶媒Bでの4分間の洗浄に進めた。カラムを初期条件に戻し、15分間再平衡化し、その後続いて注入した。
ナノLCシステムは、Nanospray FlexまたはEasyNanoイオン化源(Thermo社)を伴うOrbitrap Fusionハイブリッド質量分析計(Thermo社)とインターフェースで接続していた。陽性ESI-MSおよびMSスペクトルを、Xcaliburソフトウェア(バージョン4.0、Thermo社)を使用して得た。器具源設定は:イオンスプレイ電圧、1,900~2,400V;スイープガス、2Arb;イオン移行管温度、275℃であった。MSスペクトルを、全ての取得の中で通常の取得パラメーター、特に:120,000解像度;スキャン範囲、m/z 375~1,500;AGC標的、4e;最大充填時間、100ミリ秒;およびデータタイプ、プロファイルによりOrbitrapで得た。MSスペクトルを、1秒の固定周期時間;四重極型単離ウィンドウ、m/z 1.6;活性化タイプ、HCD;衝突エネルギー、32%;第1の質量、m/z 110;およびデータタイプ、中心軌跡を維持しながら最大スピードモードで得た。ペプチド特定を最大限にするために、直線イオントラップおよびOrbitrap質量分析計の両方を用いて多MS取得体制を行った。直線イオントラップMS取得は、スキャン速度、速い;AGC標的、5e;および最大注入時間、100ミリ秒を特定した。Orbitrap MS取得は、解像度、30,000;AGC標的、5e;および最大注入時間、54ミリ秒を使用した。データ依存的前駆体選択は、5eの閾値を超える最も強いまたは最も弱い(別々の取得)前駆体のいずれかを選択した。50秒後の前駆体選択に動的排除を適用し、断片化の最小閾値は5eに設定した。最近では、MS取得のために、AsnのLysへの改変を含有することが以前に特定されたペプチドについて理論的2+および3+ m/z値を含有する固定包含リストを使用する標的化アプローチが取られた。
MSConvert(proteowizard社、バージョン3.0.9967)を使用してMGF形式でピークリストを作成した。Mascotプログラム(Matrix Science Ltd.社、バージョン2.5.1)のローカル実行コピーを使用して、MGFファイルを、予測されるタンパク質配列に対して検索し、組織内データベースに追加した。検索基準は:酵素、半トリプシン;固定改変、カルバミドメチル(C);変動改変、酸化(M)、Asn→Lys(N);ペプチド耐性、3ppm;MS/MS耐性、直線イオントラップについて0.5DaまたはOrbitrapについて10mDa;器具、ESI-TRAPまたはESI-ORBITRAP-HCDを特定した。アミノ酸置換を含有すると分類されるペプチドは、予測スコア<0.05を有することが必要とされ、示唆されるアミノ酸への置換の位置を位置付ける配列イオンの存在を確認するために手動で検証した。
Qual Browser(Xcalibur、バージョン4.0、Thermo社)を使用して、抽出したイオンクロマトグラムピーク領域を作成し、予測される前駆体m/z値周辺の2mDaウィンドウを設定した。XICをガウス平滑化し、ピーク取得パラメーターは:基線ウィンドウ、100;領域ノイズ因子、5;ピークノイズ因子、100を特定した。置換形態のペプチドXIC領域を、置換形態および予測形態の合計と比較することにより、アミノ酸置換の割合を見積もった。
図8は、pcDNA.YINを有するか、または有しない対応するクローンにおけるリジン誤取り込みの頻度を示す。リジンの誤取り込みが一貫して検出された4つの部位についてデータを得る。各場合に、正しい残基、アスパラギンは、天然CHO細胞においてはゆらぎに依存するAATコドンによりコードされるが、pcDNA.YINでトランスフェクトした細胞においてはtRNA-AsnATTによりゆらぎを伴わずに解読され得る。
分裂酵母tRNA-LeuCAG遺伝子のpRS426へのクローニング
上流末端および下流末端で、それぞれ、BamHIおよびSpeI制限酵素部位を端部に有するtRNA49-LeuCAG遺伝子(chr1:1527350-1527050)を含有する、分裂酵母Schizosaccharomyces pombeの第1染色体からのゲノムDNAの300bp断片(配列番号9)を、Life Technologies社により合成した。この配列を37℃でのBamHIおよびSpeIによる消化により放出し、ゲル精製した。このDNA断片を、BamHIおよびSpeIで切断したベクターpRS426(図9)に導入して、T4リガーゼ(NEB社)を室温で2時間使用してプラスミドpAU39を作製し、化学誘導コンピテントE.coli(DH5α)に42℃で0.5分間のヒートショックにより導入した。得られたアンピシリン抵抗性(100μg/ml)コロニーからプラスミドpAU39を続いて単離し、インサートの存在を制限酵素消化により確認した後、配列決定を行った。
Figure 0007257788000003
出芽酵母における導入遺伝子発現に対する分裂酵母tRNA-LeuCAGの効果
Saccharomyces cerevisiae株COG8-TAP(遺伝子型his3Δ1 leu2Δ0 met15Δ0 ura3Δ0、COG8-TAP::HIS3、Mat a)を、酢酸リチウムを使用して、pAU39または空のpRS426ベクターで形質転換した。形質転換体を標準の最小限培地(SD、プラスミド選択に適切なアミノ酸を欠いている)中で生育させた。5 OD600単位相当の細胞を対数増殖期の液体培養物から回収し、120μl溶解緩衝液中に再懸濁し、その後95℃で2分間インキュベートし、100μgのガラスビーズ(425~600μm、酸で洗浄済み)の存在下で3分間ボルテックスした。溶解物を8%SDS PAGEにより分離し、その後、上記のとおり、COG8に対する抗体およびローディング対照Pgk1でのウェスタンブロッティングにより分析した(図10)。
また、株G175(ADE2 MET his3 leu2 ura3 trp1 TAG+ SE+ Mat α)を、Mycタグに結合したウコン(Curcuma longa)から得たジケチド-CoA合成酵素(DCS;AB495006.1)のコード配列を含有する導入遺伝子を有するか、または有しないベクターpESC-TRP(図11)と共に、pAU39または空のpRS426で形質転換した。この配列は、天然S.cerevisiaeにおける発現についてはゆらぎに依存するが、pAU39上の外因性tRNA-LeuCAG遺伝子の導入後はゆらぎに依存しない、17CTGコドンを含有する。DCSの発現を、上記のように、Mycタグに対する抗体でのウェスタンブロッティングにより測定した(図12)。
CHO細胞は、tRNA-IleGAT、tRNA-AsnATTまたはtRNA-TyrATAの遺伝子を有さず、それゆえ、TAT、AATおよびATCコドンを解読するためにゆらぎに依存する。これらのコドンのゆらぎ非依存的解読を可能にするために、本発明者らは、ヒトtRNA-IleGAT、tRNA-AsnATTおよびtRNA-TyrATA遺伝子を有する構築物pcDNA.YINを作製および導入した。ヒト第2染色体からのtRNA14-TyrATA遺伝子を含有するDNA断片を合成し、クローニングした(図1)。構築物をCHO細胞に安定にトランスフェクトし、RT-PCR分析により導入遺伝子の発現を確認した(図2)。同じアプローチを、ヒトtRNA-TyrATA、tRNA-AsnATTおよびtRNA-IleGATを発現する合成アセンブリ(図3)を、pcDNA.YINに導入するために使用した。レシピエントCHO細胞における3つの全てのヒトtRNAの発現を、RT-PCRにより確認した(図4)。pCET 1006L+H発現ベクターで安定にトランスフェクトしたCHO細胞におけるハーセプチン(トラスツズマブ)の発現に対するこれらのtRNAの効果を試験した(図5)。これらの細胞を空のベクター、pcDNA.YINおよび/またはpSUPER-7SLでトランスフェクトし、分泌されたハーセプチン(トラスツズマブ)を回収および定量した(図6)。pcDNA.YINの一過性トランスフェクションは、ハーセプチン発現を約20%上昇させることが分かった。この向上は、7SL RNAをコードするヒトRN7SL1遺伝子を含有する構築物であるpSUPER-7SLの共トランスフェクションにより約49%まで高められた。安定なトランスフェクタントでは、pcDNA.YINのゲノムへの組込みが、pcDNA.YINを有しない親クローンと比較して、ハーセプチン(トラスツズマブ)の発現を約59%上昇させることが分かった(図7)。アスパラギンについてのゆらぎ依存性AATコドンの誤読み取りのための分泌抗体におけるリジン誤取り込み率を確認するために、質量分析を使用した。かかるエラーは4つの位置で検出され、頻度は最大約0.28%であった。これらのエラーは、pcDNA.YINを有する対応する細胞では4~32分の1に抑制され、外因性tRNA Asn-ATTは、ゆらぎを伴わないAATコドンの直接的な解読を可能にした(図8)。全体として、治療用抗体でのこれらの実験は、ゆらぎへの依存を低減する外因性tRNAのCHO細胞への導入後に、生成の増大および誤取り込みの減少を示す。
S.cerevisiaeは、tRNA-LeuCAGを有しないので、ロイシンについてCTGコドンを解読するためにゆらぎに依存する。このコドンのゆらぎ依存性を除去するために、本発明者らは、Schizosaccharomyces pombeからの外因性tRNA-LeuCAG遺伝子を有するS.cerevisiae株を作製した。CTGコドンが豊富な遺伝子の発現に対するこのtRNAの効果を測定した。S.pombeの第1染色体からのtrna49-LeuCAG遺伝子を含有するDNA断片を合成し、pRS426にクローニングして(図9)プラスミドpAU39を作製した。COG8(図10)およびDCS(図12)のS.cerevisiaeにおける発現に対するpAU39の効果を決定するためにウェスタンブロッティングを使用した。COG8中に10個のCTGコドンおよびDCS中に17個があるが、対照として使用された内因性タンパク質であるPgk1中にはない。COG8およびDCSの両方について、発現は、空のベクター対照と比較してpAU39上のtRNA-LeuCAG遺伝子により向上した。本発明者らは、導入遺伝子を発現するためのプラットフォームとしてのS.cerevisiaeの効率は、ゆらぎに対する依存を低減させるための外因性tRNAの導入により改善され得ることを結論付けた。

Claims (18)

  1. 第1の核酸分子でのトランスフェクションまたは形質転換により改変された単離された真核細胞であって、
    前記第1の核酸分子は転写カセットを含み、当該転写カセットが、トランスファーRNA[tRNA]遺伝子をコードする少なくとも1つのヌクレオチド配列を含み、前記tRNAが、AGC、GGC、CGC、UGC、ACC、GCC、CCC、UCC、AGG、GGG、CGG、UGG、AGU、GGU、CGU、UGU、AAC、GAC、CAC、UAC、AAA、GAA、AUU、GUU、CUU、UUU、AUC、GUC、CUC、UUC、AGA、GGA、CGA、UGA、ACU、GCU、ACG、GCG、CCG、UCG、CCU、UCU、AAG、GAG、CAG、UAG、CAA、UAA、AAU、GAU、UAU、CAU、AUA、GUA、ACA、GCA、AUG、GUG、CUG、UUG、及びCCAからなる群から選択されるアンチコドンヌクレオチド配列を含み、
    前記tRNA遺伝子が、真核細胞にないアンチコドンヌクレオチド配列を含み、
    前記細胞は、組換え治療用抗体をコードする第2の核酸分子での形質転換またはトランスフェクションによりさらに改変され、
    前記アンチコドン配列が、前記組換え治療用抗体をコードする対応するメッセンジャーRNA[mRNA]コドンにおける第3のヌクレオチド位置で塩基ミスマッチを修正して、翻訳効率を改善する、および/または、遺伝子コードの縮重の結果としてのアミノ酸誤取り込みを減少させて、前記細胞の前記mRNAの翻訳中のゆらぎに対する依存を低減する、単離された真核細胞。
  2. 前記第1の核酸分子が、前記tRNAの真核生物発現に適合された発現ベクターの一部である、請求項1に記載の単離された真核細胞。
  3. 前記発現ベクターが、哺乳動物細胞における発現に適合されている、請求項1又は2に記載の単離された真核細胞。
  4. 前記発現ベクターが、真菌細胞における発現に適合されている、請求項1又は2に記載の単離された真核細胞。
  5. 前記発現ベクターが、昆虫細胞における発現に適合されている、請求項1又は2に記載の単離された真核細胞。
  6. 前記発現ベクターが、植物細胞における発現に適合されている、請求項1又は2に記載の単離された真核細胞。
  7. 昆虫細胞、植物細胞、真菌細胞または哺乳動物細胞である、請求項1から6のいずれか一項に記載の単離された真核細胞。
  8. 単離された前記哺乳動物細胞が、非ヒト哺乳動物細胞である、請求項7に記載の単離された真核細胞。
  9. 単離された前記哺乳動物細胞が、チャイニーズハムスター卵巣[CHO]、HEK293、NS0またはCAP細胞からなる群から選択される、請求項7又は8に記載の単離された真核細胞。
  10. 前記真菌細胞が、酵母:Saccharomyces cerevisae(サッカロミセス・セレビシエ)、Schizosaccharomyces pombe(シゾサッカロミセス・ポンベ)、Yarrowia lipolytica(ヤロウイア・リポリチカ)、Pichia pastoris(ピシア・パストリス)、Aspergillus(アスペルギルス)、Kluyveromyces lactis(クリベロミセス・ラクチス)およびTrichoderma reesei(トリコデルマ・レエセイ)からなる群から選択される、請求項7に記載の単離された真核細胞。
  11. 前記Aspergillus(アスペルギルス)が、A.niger(アスペルギルス・ニガー)である、請求項10に記載の単離された真核細胞。
  12. 前記発現カセットが、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14または15個の異なるtRNAをコードするヌクレオチド配列を含む、請求項1から11のいずれか一項に記載の単離された真核細胞。
  13. 前記第1の核酸が、Ala-tRNA、Arg-tRNA、Asp-tRNA、Asn-tRNA、Cys-tRNA、Glu-tRNA、Gln-tRNA、Gly-tRNA、His-tRNA、Ile-tRNA、Leu-tRNA、Lys-tRNA、Met-tRNA、Phe-tRNA、Pro-tRNA、Ser-tRNA、Thr-tRNA、Trp-tRNA、Tyr-tRNAおよびVal-tRNAの群から選択されるトランスファーRNAをコードする、請求項1から12のいずれか一項に記載の単離された真核細胞。
  14. 前記細胞が、7SLヌクレオチド配列を含む第3の核酸分子での形質転換またはトランスフェクションによりさらに改変されている、請求項1から13のいずれか一項に記載の単離された真核細胞。
  15. 前記第3の核酸分子が、配列番号10で示されるヌクレオチド配列または配列番号10で示されるヌクレオチド配列に全長にわたり少なくとも90%のヌクレオチド配列同一性を有するヌクレオチド配列バリアントを含む、請求項14に記載の単離された真核細胞。
  16. 前記第3の核酸分子が、配列番号10で示されるヌクレオチド配列を含むか、または配列番号10で示されるヌクレオチド配列からなる、請求項15に記載の単離された真核細胞。
  17. 請求項1から16のいずれか一項に記載の単離された真核細胞を含む細胞培養容器。
  18. 前記細胞培養容器が、バイオリアクターである、請求項17に記載の容器。
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