JP6314030B2 - 新規エレモール合成酵素遺伝子及びその利用 - Google Patents

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本発明は、新規エレモール(Elemol)合成酵素遺伝子、当該遺伝子がコードする新規エレモール合成酵素及びその利用に関するものである。
イソプレノイド(テルペノイドとも呼ばれる)は2万種を超える、自然界で最も多様な化合物の集団で、3千種以上のセスキテルペンを含む。イソプレノイドには、医薬品、農薬、機能性食品、香料、又はこれらの原料として用いられる等、産業上有用なものが多い。しかしながら、自然界における蓄積量は一部の例を除いて少なく、単品を多量調製するには莫大なコストと労力を必要とするものが多い。
このため、遺伝子組換え微生物又は植物を利用したバイオテクノロジーによる多量生産のための開発研究が盛んに行われてきた。特に、微生物の中で大腸菌は遺伝子組換えの技術や材料、情報が最も充実した微生物であるため、組換え大腸菌を用いてイソプレノイドを多量生産しようとする技術が報告されている(例えば、特許文献1,2)。
特開2009−207376号公報 特開2011−125272号公報
上述した技術は優れたものではあるが、これだけでは十全とはいえず、さらなるイソプレノイドの生産技術の開発が要望されている。特に、セスキテルペンを生産するための新たな遺伝子等が強く求められている。
本発明は、上記の問題点を鑑みてなされたものであり、その目的は、セスキテルペンの一種であるエレモールを合成する新規エレモール合成酵素遺伝子、当該遺伝子がコードする新規エレモール合成酵素及びその利用に係る技術を提供することにある。
本発明者らは、上記目的を達成するため鋭意検討を重ねた結果、ファルネシル二リン酸(以後、「FPP」と称する。)を基質として、ツバキ科植物が有するセスキテルペンであるエレモールを合成する新規遺伝子を世界で初めて同定し、本発明を完成させるに至った。すなわち、本発明は、以下の発明を包含する。
(1)以下の(a)〜(e)からなる群より選択されるいずれかの遺伝子:
(a)配列番号1に記載されるアミノ酸配列からなるタンパク質をコードする遺伝子;
(b)配列番号1に記載されるアミノ酸配列において、1又は数個のアミノ酸残基が置換、欠失、挿入及び/又は付加されたアミノ酸配列からなり、かつファルネシル二リン酸をエレモールに変換する活性を有するタンパク質をコードする遺伝子;
(c)配列番号1に記載されるアミノ酸配列と80%以上の相同性を有するアミノ酸配列からなり、かつファルネシル二リン酸をエレモールに変換する活性を有するタンパク質をコードする遺伝子;
(d)配列番号2に記載される塩基配列からなる遺伝子;
(e)上記(a)〜(d)のいずれかの遺伝子と相補的な塩基配列からなるポリヌクレオチドとストリンジェントな条件でハイブリダイズし、かつファルネシル二リン酸をエレモールに変換する活性を有するタンパク質をコードする遺伝子。
(2)以下の(f)〜(i)からなる群より選択されるいずれかのタンパク質:
(f)配列番号1に記載されるアミノ酸配列からなるタンパク質;
(g)配列番号1に記載されるアミノ酸配列において、1又は数個のアミノ酸残基が置換、欠失、挿入及び/又は付加されたアミノ酸配列からなり、かつファルネシル二リン酸をエレモールに変換する活性を有するタンパク質;
(h)配列番号1に記載されるアミノ酸配列と80%以上の相同性を有するアミノ酸配列からなり、かつファルネシル二リン酸をエレモールに変換する活性を有するタンパク質;
(i)請求項1に記載の遺伝子にコードされるタンパク質。
(3)上記(1)に記載の遺伝子を含む組換えベクター。
(4)上記(1)に記載の遺伝子又は(3)に記載の組換えベクターを含む形質転換体。
(5)さらに、以下の(ア)〜(エ)の遺伝子を導入し、発現させた(4)に記載の形質転換体:
(ア)メバロン酸又はメバロノラクトンからイソペンテニル二リン酸までの合成を行うメバロン酸経路遺伝子群、
(イ)1型のイソペンテニル二リン酸イソメラーゼ遺伝子、
(ウ)2型のイソペンテニル二リン酸イソメラーゼ遺伝子、
(エ)アセト酢酸−コエンザイムAリガーゼ遺伝子。
(6)組換え大腸菌である(4)又は(5)に記載の形質転換体。
(7)上記(4)〜(6)のいずれかに記載の形質転換体を培養し、エレモールを取得する工程を含むエレモールの製造方法。
(8)上記(2)に記載のタンパク質に特異的に結合する抗体。
本発明によれば、エレモールを効率的に生産することができる。
プラスミドpAC-Mev/Scidi/Aaclの構造を示す図である。 本発明で生産可能なセスキテルペンであるエレモールの化学構造とファルネシル二リン酸からの生合成を示す図である。 「短柱茶」(Camellia brevistyla)の(a)花及び(b)地上部を表す図である。 CbTPS1と既知のショウガ科植物由来セスキテルペン合成酵素(シンターゼ)のアミノ酸配列アラインメントを表す図である。 プラスミドpRSF-CbTps1の構造を表す図である。 GC−MSを用いた大腸菌のセスキテルペン生成物の分析結果を表す図である。
本発明の実施の一形態について、以下に詳細に説明する。なお、本明細書中に記載された学術文献及び特許文献の全てが、本明細書中において参考として援用される。なお、本明細書において特記しない限り、数値範囲を表す「A〜B」は、「A以上(Aを含みかつAより大きい)B以下(Bを含みかつBより小さい)」を意味する。
本明細書中で使用される場合、用語「遺伝子」は、「ポリヌクレオチド」、「核酸」又は「核酸分子」と交換可能に使用され、ヌクレオチドの重合体が意図される。ここで、遺伝子は、DNAの形態(例えば、cDNAもしくはゲノムDNA)、又はRNA(例えば、mRNA)の形態にて存在し得る。DNA又はRNAは、二本鎖であっても、一本鎖であってもよい。一本鎖DNA又はRNAは、コード鎖(センス鎖)であっても、非コード鎖(アンチセンス鎖)であってもよい。また、遺伝子は化学的に合成してもよく、コードするタンパク質の発現が向上するように、コドンユーセージ(Codon usage)を変更してもよい。同じアミノ酸をコードするコドン同士であれば置換することも可能である。また、用語「タンパク質」は、「ペプチド」又は「ポリペプチド」と交換可能に使用される。本明細書において使用される場合、塩基及びアミノ酸の表記は、適宜IUPAC及びIUBの定める1文字表記又は3文字表記を使用する。
<1.本発明に係る遺伝子・タンパク質>
本発明に係る遺伝子は、以下の(a)〜(e)からなる群より選択されるいずれかのポリヌクレオチドである:
(a)配列番号1に記載されるアミノ酸配列からなるタンパク質をコードするポリヌクレオチド;
(b)配列番号1に記載されるアミノ酸配列において、1又は数個のアミノ酸残基が置換、欠失、挿入及び/又は付加されたアミノ酸配列からなり、かつFPPをエレモールに変換する活性を有するタンパク質をコードする遺伝子;
(c)配列番号1に記載されるアミノ酸配列と80%以上の相同性を有するアミノ酸配列からなり、かつFPPをエレモールに変換する活性を有するタンパク質をコードする遺伝子;
(d)配列番号2に記載される塩基配列からなる遺伝子;
(e)上記(a)〜(d)のいずれかのポリヌクレオチドと相補的な塩基配列からなるポリヌクレオチドとストリンジェントな条件でハイブリダイズし、かつFPPをエレモールに変換する活性を有するタンパク質をコードする遺伝子。
また、本発明に係るタンパク質は、以下の(f)〜(i)からなる群より選択されるいずれかのタンパク質である:
(f)配列番号1に記載されるアミノ酸配列からなるタンパク質;
(g)配列番号1に記載されるアミノ酸配列において、1又は数個のアミノ酸残基が置換、欠失、挿入及び/又は付加されたアミノ酸配列からなり、かつFPPをエレモールに変換する活性を有するタンパク質;
(h)配列番号1に記載されるアミノ酸配列と80%以上の相同性を有するアミノ酸配列からなり、かつFPPをエレモールに変換する活性を有するタンパク質;
(i)上記(a)〜(e)のいずれかに記載の遺伝子にコードされるタンパク質。
上記(a)〜(e)の遺伝子は、FPPをエレモールに変換する機能を有するタンパク質をコードするものである。このため、植物や微生物において上記遺伝子を発現させることにより、エレモールを効率的に生産できる。
上記(a)の遺伝子について具体的に説明する。配列番号1は、「短柱茶」(Camellia brevistyla;シマサザンカ)由来のセキステルペン合成酵素の一種であり、図2に示すように、FPPをエレモールに変換する活性(以下、「エレモール合成活性」と称する場合もある。)を有する、全長554アミノ酸残基から構成されるタンパク質である(本明細書において、「CbTPS1」と称する場合もある)。
上記(b)の遺伝子は、配列番号1に示すアミノ酸配列を有するタンパク質の、機能的に同等の変異体、誘導体、バリアント、アレル、ホモログ、オルソログ、部分ペプチド、又は他のタンパク質・ペプチドとの融合タンパク質等であって、エレモール合成活性を有するタンパク質をコードする限り、その具体的な配列については限定されない。ここで欠失、置換又は付加されてもよいアミノ酸の数は、上記機能を失わせない限り、限定されてないが、部位特異的突然変異誘発法等の公知の導入法によって欠失、置換又は付加できる程度の数をいい、通常は、30アミノ酸以内であり、好ましくは20アミノ酸以内であり、さらに好ましくは10アミノ酸以内であり、より好ましくは7アミノ酸以内、さらに好ましくは5アミノ酸以内(例えば、5、4、3、2又は1アミノ酸)である。また、明細書中において「変異」とは、部位特異的突然変異誘発法等によって人為的に導入された変位を主に意味するが、天然に存在する同様の変異であってもよい。
変異するアミノ酸残基は、アミノ酸側鎖の性質が保存されている別のアミノ酸に変異されていることが好ましい。例えば、アミノ酸側鎖の性質としては、疎水性アミノ酸(A、I、L、M、F、P、W、Y、V)、親水性アミノ酸(R、D、N、C、E、Q、G、H、K、S、T)、脂肪族側鎖を有するアミノ酸(G、A、V、L、I、P)、水酸基含有側鎖を有するアミノ酸(S、T、Y)、硫黄原子含有側鎖を有するアミノ酸(C、M)、カルボン酸及びアミド含有側鎖を有するアミノ酸(D、N、E、Q)、塩基含有側鎖を有するアミノ酸(R、K、H)、芳香族含有側鎖を有するアミノ酸(H、F、Y、W)が挙げられる(括弧内はいずれもアミノ酸の一文字表記を表す)。あるアミノ酸配列に対する1又は複数個のアミノ酸残基の欠失、付加及び/又は他のアミノ酸による置換により修飾されたアミノ酸配列を有するポリペプチドがその生物学的活性を維持することはすでに知られている。さらに、標的アミノ酸残基は、共通した性質をできるだけ多く有するアミノ酸残基に変異させることがより好ましい。
本明細書において「機能的に同等」とは、対象となるタンパク質が、CbTPS1と同等(同一及び/又は類似)の生物学的機能や生化学的機能を有することを意図する。本明細書において、CbTPS1の生物学的機能や生化学的機能としては、例えばFPPからエレモールへ変換する機能、及び/又はこの可逆的反応を触媒する機能を挙げることができる。生物学的な性質には発現する部位の特異性や、発現量等も含まれ得る。
変異を導入したタンパク質が植物に所望の形質を付与するかどうかは、そのタンパク質をコードする遺伝子を導入発現させた形質転換体を取得し、この形質転換体がFPPを基質としてエレモールを生産し得るかどうか調べることにより判断できる。
上記(c)の遺伝子も、配列番号1に示すアミノ酸配列を有するタンパク質の、機能的に同等の変異体、誘導体、バリアント、アレル、ホモログ、オルソログ、部分ペプチド、又は他のタンパク質・ペプチドとの融合タンパク質等を意図しており、エレモール合成活性を有するタンパク質をコードする限り、その具体的な配列については限定されない。
アミノ酸配列の相同性とは、アミノ酸配列全体(又は機能発現に必要な領域)で、少なくとも80%以上、より好ましくは90%以上、さらに好ましくは95%以上(例えば、95%、96%、97%、98%、99%以上)の配列の同一性を有することを意味する。アミノ酸配列の相同性は、BLASTN(核酸レベル)やBLASTX(アミノ酸レベル)のプログラム(Altschul et al. J. Mol. Biol., 215: 403-410, 1990) を利用して決定することができる。該プログラムは、Karlin及びAltschulによるアルゴリズムBLAST (Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 87:2264-2268, 1990, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 90: 5873-5877, 1993) に基づいている。BLASTNによって塩基配列を解析する場合には、パラメーターは例えばscore =100、wordlength =12とする。また、BLASTXによってアミノ酸配列を解析する場合には、パラメーターは例えばscore =50、wordlength =3とする。また、Gapped BLASTプログラムを用いて、アミノ酸配列を解析する場合は、Altschulら(Nucleic Acids Res. 25: 3389-3402, 1997)に記載されているように行うことができる。BLASTとGapped BLASTプログラムを用いる場合には、各プログラムのデフォルトパラメーターを用いる。これらの解析方法の具体的な手法は公知である。比較対象の塩基配列又はアミノ酸配列を最適な状態にアラインメントするために、付加又は欠失(例えば、ギャップ等)を許容してもよい。
本明細書において「相同性」とは、性質が類似のアミノ酸残基数の割合(homology、positive等)を意図しているが、より好ましくは、一致したアミノ酸残基数の割合、すなわち同一性(identity)である。なお、アミノ酸の性質については上述したとおりである。
上記(d)の遺伝子について、配列番号2は、配列番号1で示されるアミノ酸配列からなるタンパク質をコードする遺伝子の塩基配列(Open Reading Frame:ORF)を示す。
上記(e)の遺伝子は、上記(a)〜(d)のいずれかの遺伝子と相補的な塩基配列からなるポリヌクレオチドとストリンジェントな条件でハイブリダイズする遺伝子を意図する。ここで、ストリンジェントな条件とは、いわゆる塩基配列に特異的な2本鎖のポリヌクレオチドが形成され、非特異的な2本鎖のポリヌクレオチドが形成されない条件をいう。換言すれば、相同性が高い核酸同士、例えば完全にマッチしたハイブリッドの融解温度(Tm値)から15℃、好ましくは10℃、更に好ましくは5℃低い温度までの範囲の温度でハイブリダイズする条件ともいえる。例えば、一例を示すと、0.25M Na2HPO4、pH7.2、7%SDS、1mM EDTA、1×デンハルト溶液からなる緩衝液中で温度が60〜68℃、好ましくは65℃、さらに好ましくは68℃の条件下で16〜24時間ハイブリダイズさせ、さらに20mM Na2HPO4、pH7.2、1%SDS、1mM EDTAからなる緩衝液中で温度が60〜68℃、好ましくは65℃、さらに好ましくは68℃の条件下で15分間の洗浄を2回行う条件を挙げることができる。他の例としては、25%ホルムアミド、より厳しい条件では50%ホルムアミド、4×SSC(塩化ナトリウム/クエン酸ナトリウム)、50mM Hepes pH7.0、10×デンハルト溶液、20μg/mL変性サケ精子DNAを含むハイブリダイゼーション溶液中、42℃で一晩プレハイブリダイゼーションを行った後、標識したプローブを添加し、42℃で一晩保温することによりハイブリダイゼーションを行う。その後の洗浄における洗浄液及び温度条件は、「1×SSC、0.1%SDS、37℃」程度で、より厳しい条件としては「0.5×SSC、0.1%SDS、42℃」程度で、さらに厳しい条件としては「0.2×SSC、0.1%SDS、65℃」程度で実施することができる。このようにハイブリダイゼーションの洗浄の条件が厳しくなるほど、特異性の高いハイブリダイズとなる。ただし、上記SSC、SDS及び温度の条件の組み合わせは例示であり、当業者であれば、ハイブリダイゼーションのストリンジェンシーを決定する上記若しくは他の要素(例えば、プローブ濃度、プローブの長さ、ハイブリダイゼーション反応時間等)を適宜組み合わせることにより、上記と同様のストリンジェンシーを実現することが可能である。このことは、例えば、Sambrookら、Molecular Cloning, A Laboratory Manual, 3rd Ed., Cold Spring Harbor Laboratory(2001)等に記載されている。
また、上記(e)の遺伝子には、配列番号2に記載の塩基配列からなるDNAにおいて、1〜50個の塩基配列が置換、欠損、挿入及び/又は付加しているDNAからなる遺伝子、及び配列番号2に記載の塩基配列からなるDNAと90%以上の相同性を有するDNAからなる遺伝子も含まれる。
上記遺伝子・タンパク質を得る方法としては、通常行われるポリヌクレオチド改変方法を用いてもよい。すなわち、タンパク質の遺伝情報を有するポリヌクレオチドの特定の塩基を置換、欠失、挿入及び/又は付加することで、所望の組換えタンパク質の遺伝情報を有するポリヌクレオチドを作製することができる。ポリヌクレオチドの塩基を変換する具体的な方法としては、例えば市販のキット(KOD-Plus Site-Directed Mutagenesis Kit;東洋紡製,Transformer Site-Directed Mutagenesis Kit; Clontech製,QuickChange Site Directed Mutagenesis Kit; Stratagene製など)の使用、又はポリメラーゼ連鎖反応法(polymerase chain reaction:PCR)の利用が挙げられる。これらの方法は当業者に公知である。
また、上記遺伝子は、上記タンパク質をコードするポリヌクレオチドのみからなるものであってもよいが、その他の塩基配列が付加されていてもよい。付加される塩基配列としては、特に限定されないが、標識(例えば、ヒスチジンタグ、Mycタグ又はFLAGタグなど)、融合タンパク質(例えば、ストレプトアビジン、シトクロム、GST、GFP又はMBPなど)、プロモーター配列、及びシグナル配列(例えば、小胞体移行シグナル配列、及び分泌配列など)をコードする塩基配列などが挙げられる。これらの塩基配列が付加される部位は特に限定されるものではなく、例えば、翻訳されるタンパク質のN末端であっても、C末端でもあってもよい。
<2.組換えベクター、形質転換体>
本発明は、上記遺伝子を含むベクターを提供する。本ベクターとしては、形質転換体作製のために宿主細胞内で、上記遺伝子を発現させるための発現ベクターのほか、組換えタンパク質の生産に用いるものも含まれる。形質転換の対象は特に限定されず、細菌、酵母、昆虫、動物及び植物を例示することができる。
上記ベクターの母体となる基材ベクターとしては、一般的に使用される種々のベクターを用いることができる。例えば、プラスミド、ファージ又はコスミド等を用いることができ、導入される細胞又は導入方法に応じて適宜選択できる。つまり、ベクターの具体的な種類は特に限定されるものではなく、宿主細胞中で発現可能なベクターを適宜選択すればよい。宿主細胞の種類に応じて、確実に上記遺伝子を発現させるために適宜プロモーター配列を選択し、これと上記遺伝子を各種プラスミド等に組み込んだものを発現ベクターとして用いればよい。かかる発現ベクターは、例えば、ファージベクター、プラスミドベクター、ウイルスベクター、レトロウイルスベクター、染色体ベクター、エピソームベクター及びウイルス由来ベクター(例えば、細菌プラスミド、バクテリオファージ、酵母エピソーム、酵母染色体エレメント及びウイルス(例えば、バキュロウイルス、パポバウイルス、ワクシニアウイルス、アデノウイルス、トリポックスウイルス、仮性狂犬病ウイルス、ヘルペスウイルス、レンチウイルス及びレトロウイルス))ならびにそれらの組合せに由来するベクター(例えば、コスミド及びファージミド)を利用可能である。
一般的に、プラスミドベクターは、リン酸カルシウム沈殿物のような沈殿物中か、又は荷電された脂質との複合体中で導入される。ベクターがウイルスである場合、ベクターは、適切なパッケージング細胞株を用いてin vitroでパッケージングされ得、次いで宿主細胞に形質導入され得る。また、レトロウイルスベクターは、複製可能か又は複製欠損であり得る。後者の場合、ウイルスの増殖は、一般的に、ヘルパー細胞においてのみ生じる。
また、上記ベクターは、目的の遺伝子に対するシス作用性制御領域を含むベクターが好ましい。適切なトランス作用性因子は、宿主によって供給され得るか、相補ベクターによって供給され得るか、又は宿主への導入の際にベクター自体によって供給され得る。この点に関する好ましい実施態様としては、上記ベクターは、誘導性及び/又は細胞型特異的であり得る特異的な発現を提供するものであることが好適である。このようなベクターの中で特に好ましいベクターは、温度及び栄養添加物のような操作することが容易である環境因子によって誘導性のベクターである。
細菌における使用に好ましいベクターの中には、例えば、pQE-70、pQE-60及びpQE-9(Qiagen社から入手可能);pBSベクター、Phagescriptベクター、Bluescriptベクター、pNH8A、pNH16a、pNH18A及びpNH46A(Stratagene社から入手可能);ならびにptrc99a、pKK223-3、pKK233-3、pDR540及びpRIT5(Addgene社から入手可能)が含まれる。また、好ましい真核生物ベクターの中には、pWLNEO、pSV2CAT、pOG44、pXT1及びpSG(Stratagene社から入手可能);ならびにpSVK3、pBPV、pMSG及びpSVL(Addgene社から入手可能)が含まれる。
上記遺伝子が宿主細胞に導入されたか否か、さらには宿主細胞中で確実に発現しているか否かを確認するために、各種マーカーを用いてもよい。すなわち、上記ベクターは、少なくとも1つの選択マーカーを含むことが好ましい。このような選択マーカーとしては、例えば、真核生物細胞培養についてはジヒドロ葉酸レダクターゼ又はネオマイシン耐性、E.coli及び他の細菌における培養についてはテトラサイクリン耐性遺伝子又はアンピシリン耐性遺伝子等の薬剤耐性遺伝子が挙げられる。また、その他にも宿主細胞中で欠失している遺伝子をマーカーとして用いてもよい。このマーカーと本発明に係る遺伝子とを含むプラスミド等を発現ベクターとして宿主細胞に導入することにより、マーカー遺伝子の発現から上記遺伝子の導入を確認することができる。また、上記遺伝子は、宿主細胞における増殖のための選択マーカーを含むベクターに結合されてもよい。
また、上記遺伝子のインサートは、適切なプロモーターに作動可能に連結されることが好ましい。他の適切なプロモーターとしては、当業者に知られたものを利用可能であり、特に限定されないが、例えば、ファージλPLプロモーター、E.coli lacIプロモーター、lacZプロモーター、T3プロモーター及びT7プロモーター、trpプロモーター及びtacプロモーター、SV40初期プロモーター及び後期プロモーターならびにレトロウイルスLTRのプロモーターが挙げられる。
形質転換における宿主として大腸菌を用いる場合には、大腸菌内複製させるための「ori」及び形質転換された大腸菌を選抜するための遺伝子(例えば、薬剤(アンピシリン、テトラサイクリン、カナマイシン及びクロラムフェニコール等)耐性遺伝子)をベクター上に有することが好ましい。例えば、M13系ベクター、pUC系ベクター、pBR322、pBluescript、pCR-Script、pGEM-T、pDIRECT 、pGEX(GEヘルスケア社製)pET(Promega社製)、pTrc(Invitrogen社製)及びpT7等が挙げられる。
上記ベクターは、さらに、転写開始、転写終結のための部位、及び、転写領域中に翻訳のためのリボゾーム結合部位を含むことが好ましい。ベクター構築物によって発現される成熟転写物のコード部分は、翻訳されるべきポリペプチドの始めに転写開始AUGを含み、そして終わりに適切に位置される終止コドンを含むことになる。
また、高等真核生物によるDNAの転写は、ベクター中にエンハンサー配列を挿入することによって増大させ得る。エンハンサーは、所定の宿主細胞型におけるプロモーターの転写活性を増大するように働く、通常約10〜300bpのDNAのシス作用性エレメントである。エンハンサーとしては、例えば、SV40エンハンサー(これは、複製起点の後期側上の100〜270bpに位置される)、サイトメガロウイルスの初期プロモーターエンハンサー、複製起点の後期側上のポリオーマエンハンサー及びアデノウイルスエンハンサーが挙げられる。
ベクターが導入される宿主としては、特に限定されないが、各種細胞を好適に用いることができる。適切な宿主の代表的な例としては、菌体(例えば、E. coli細胞、Streptomyces細胞及びSalmonella typhimurium細胞)、真菌細胞(例えば、酵母細胞)、昆虫細胞(例えば、Drosophila S2細胞及びSpodoptera Sf9細胞)、動物細胞(例えば、CHO細胞、COS細胞及びBowes黒色腫細胞)ならびに植物細胞が挙げられる。より具体的には、ヒト又はマウス等の哺乳類の細胞だけでなく、例えば、カイコガ由来の細胞をはじめとして、キイロショウジョウバエ等の昆虫、大腸菌(Escherichia coli)等の細菌、酵母(出芽酵母(Saccharomyces cerevisiae)及び分裂酵母(Schizosaccharomyces pombe))、線虫(Caenorhabditis elegans)、アフリカツメガエル(Xenopus laevis)の卵母細胞等を挙げることができるが、特に限定されるものではない。上記の宿主細胞のための適切な培養培地及び条件は当分野で公知ものを利用可能である。
上記ベクターを宿主細胞に導入する方法、すなわち形質転換方法も特に限定されるものではなく、電気穿孔法、リン酸カルシウム法、リポソーム法、DEAEデキストラン法、マイクロインジェクション法、カチオン性脂質媒介トランスフェクション、エレクトロポレーション、形質導入又は感染等の従来公知の方法を好適に用いることができる。このような方法は、Davisら、Basic Methods In Molecular Biology (1986) のような多くの標準的研究室マニュアルに記載されている。
なお、本発明には、上記タンパク質の部分断片(フラグメント)を組換え的に生成するための、上記タンパク質の部分断片をコードするポリヌクレオチドを含む組換え発現ベクター及び組換え発現ベクターで遺伝子操作された形質転換体(宿主細胞)を含む。
さらに、本発明には、上述の組換え技術によって得られるタンパク質の変異体又はそのフラグメントの産生に関する発明も含まれ得る。すなわち、本発明には、組換え技術を利用して、タンパク質の変異体又はそのフラグメントを生産する方法も含まれ得る。
かかる技術によって生産されたタンパク質の変異体は、宿主細胞又は細胞外(培地等)から単離し、実質的に純粋で均一なタンパク質として精製することができる。タンパク質の分離、精製は、通常のタンパク質の精製で使用されている分離、精製方法を使用すればよい。例えば、クロマトグラフィーカラム、フィルター、限外濾過、塩析、溶媒沈殿、溶媒抽出、蒸留、免疫沈降、SDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動、等電点電気泳動法、硫安沈殿又はエタノール沈殿、酸抽出、透析及び再結晶等を適宜選択又は組み合せることにより、タンパク質を分離、精製することができる。さらに、これらのカラムを複数組み合わせることもできる。
クロマトグラフィーとしては、アフィニティークロマトグラフィー、陰イオン又は陽イオンのイオン交換クロマトグラフィー、疎水性クロマトグラフィー、ホスホセルロースクロマトグラフィー、ヒドロキシアパタイトクロマトグラフィー、レクチンクロマトグラフィー、ゲル濾過、逆相クロマトグラフィー及び吸着クロマトグラフィー等が挙げられる。
また、タンパク質の変異体をGSTとの融合タンパク質又は6×Hisを付加させた組換えタンパク質として宿主細胞(大腸菌等)内で発現させた場合は、発現させた組換えタンパク質は、グルタチオンカラム又はニッケルカラムを用いて精製することができる。融合タンパク質の精製後、必要に応じて融合タンパク質のうち、目的のタンパク質以外の領域を、トロンビン又はファクターXa等により切断し、除去することも可能である。
本発明には、上記遺伝子又は上記ベクターを含む形質転換体も含まれる。ここで、「遺伝子又はベクターを含む」とは、公知の遺伝子工学的手法(遺伝子操作技術)により、対象細胞(宿主細胞)内に発現可能に導入されていることを意味する。また、上記「形質転換体」とは、細胞・組織・器官のみならず、生物個体を含む意味である。
本形質転換体の作製方法(生産方法)としては、上述したベクターを形質転換する方法が挙げられる。また、形質転換の対象となる生物も特に限定されるものではなく、上記宿主細胞で例示した各種微生物を挙げることができる。また、プロモーター又はベクターを選択すれば、植物又は動物も形質転換の対象とすることが可能である。
また、本発明の遺伝子は植物由来であるため、宿主として、植物細胞を用いて形質転換体を取得してもよい。植物細胞には、種々の形態の植物細胞、例えば、懸濁培養細胞、プロトプラスト、植物体中の細胞が含まれる。また、本発明に係る形質転換体としては、植物細胞のみならず、植物体全体、植物器官(例えば、根、茎、葉、花弁、種子、果実等)、植物組織(例えば、表皮、篩部、柔組織、木部、維管束等)、これらの切片、カルス、苗条原基、多芽体、毛状根及び培養根等のいずれをも包含する。
植物の宿主細胞内で上記遺伝子を発現させる方法としては、上記遺伝子を適当なベクターに組み込み、例えば、ポリエチレングリコール法、アグロバクテリウム法、リポソーム法、カチオニックリポソーム法、リン酸カルシウム沈殿法、電気パルス穿孔法(エレクトロポレーション)(Current protocols in Molecular Biology edit. Ausubel et al. (1987) Publish. John Wiley & Sons.Section 9.1-9.9)、リポフェクション法(GIBCO-BRL社製)、マイクロインジェクション法、パーティクルガン法等の当業者に公知の方法により生体内に導入する方法が挙げられる。
また、植物体内への投与は、ex vivo法であっても、in vivo法であってもよい。また、植物体内へ本発明の遺伝子を導入する場合、遺伝子は、マイクロインジェクション法、エレクトロポレーション法、ポリエチレングリコール法等を用いて、植物細胞に直接導入することもできるが、植物への遺伝子導入用プラスミドに組込み、これをベクターとして、植物感染能のあるウイルスあるいは細菌を介して、間接的に植物細胞に導入することもできる。かかるウイルスとしては、例えば代表的なウイルスとして、カリフラワーモザイクウイルス、タバコモザイクウイルス、ジェミニウイルス等が挙げられ、細菌としては、アグロバクテリウム等が挙げられる。アグロバクテリウム法により、植物への遺伝子導入を行う場合には、市販のプラスミドを用いることができる。このようなベクターを用いて、植物体内へ本発明の遺伝子を導入する場合の方法としては、好ましくは、アグロバクテリウムを介して遺伝子を導入するリーフディスク法(Jorgensen, R.A. et al., (1996). Chalcone synthase cosuppression phenotypes in petunia flowers: comparison of sense vs. antisense constructs and single-copy vs. complex T-DNA sequences. Plant Mol. Biol. 31, 957-973.)が挙げられる。
本発明において形質転換の対象となる「植物」とは、特に制限されないが、被子植物であることが好ましく、単子葉植物及び双子葉植物のいずれであってもよい。また、草本類だけでなく、木本類も含まれ得る。
なお、上述の形質転換方法は、宿主となる植物等の種類(例えば単子葉植物、双子葉植物)に応じて適宜選択することが好ましい。
また、本発明には、上記遺伝子又はベクターを直接導入した宿主細胞のみならず、当該宿主細胞が高等植物である場合等は、植物細胞を生育させた植物体、当該植物の、後代、子孫またはクローンである植物、並びに繁殖材料(例えば、種子、果実、切穂、塊茎、塊根、株、カルス、プロトプラスト等)が含まれる。形質転換植物細胞からの植物体の再生は、植物細胞の種類に応じて当業者に公知の方法で行うことが可能である。例えば、形質転換植物体を作出する手法については、ポリエチレングリコールによりプロトプラストへ遺伝子導入し植物体を再生させる方法、電気パルスによりプロトプラストへ遺伝子導入し植物体を再生させる方法、パーティクルガン法により細胞へ遺伝子を直接導入し、植物体を再生させる方法、及びアグロバクテリウムを介して遺伝子を導入し、植物体を再生させる方法などを挙げることができるが、特に制限されるものではない。上記技術については既に確立し、本発明の技術分野において広く用いられており、本発明において上記方法を好適に用いることができる。
形質転換された植物細胞を再分化させて植物体を再生させる方法は、植物細胞の種類により異なるが、例えばイネであればFujimuraら(Plant Tissue Culture Lett. 2:74 (1995))の方法が挙げられ、トウモロコシであればShillitoら(Bio/Technology 7:581 (1989))の方法やGorden-Kammら(Plant Cell 2:603(1990))の方法が挙げられる。上記手法により再生され、かつ栽培した形質転換植物体中の導入された外来遺伝子の存在は、公知のPCR法やサザンハイブリダイゼーション法によって、又は植物体中のDNAの塩基配列を解析することによって確認することができる。この場合、形質転換植物体からのDNAの抽出は、公知のJ.Sambrookらの方法(Molecular Cloning、第2版、Cold Spring Harbor Laboratory Press, 1989)にしたがって実施することができる。
例えば、再生させた植物体中に存在する本発明の遺伝子を、PCR法を用いて解析する場合には、上記のように再生植物体から抽出したDNAを鋳型として増幅反応を行う。また、本発明の遺伝子、あるいは改変された遺伝子の塩基配列に従って適当に選択された塩基配列をもつ合成したオリゴヌクレオチドをプライマーとして用い、これらを混合させた反応液中において増幅反応を行うこともできる。増幅反応においては、DNAの変性、アニーリング、伸張反応を数十回繰り返すと、本発明の遺伝子の塩基配列を含むDNA断片の増幅生成物を得ることができる。増幅生成物を含む反応液を例えばアガロース電気泳動にかけると、増幅された各種のDNA断片が分画されて、そのDNA断片が本発明の遺伝子に対応することを確認することが可能である。
一旦、ゲノム内に本発明の遺伝子が導入された形質転換植物体が得られれば、該植物体から有性生殖又は無性生殖により子孫を得ることが可能である。また、該植物体やその子孫あるいはクローンから繁殖材料を得て、それらを基に該植物体を量産することも可能である。本発明には、本発明の遺伝子又は組換え発現ベクターが導入された植物細胞、該細胞を含む植物体、該植物体の子孫及びクローン、並びに該植物体、その子孫、及びクローンの繁殖材料が含まれる。つまり、本発明には、形質転換処理を施した再分化当代である「T0世代」やT0世代の植物の自殖種子である「T1世代」などの後代植物や、それらを片親にして交配した雑種植物やその後代植物を含む。
以上、種々説明してきたが、宿主細胞としては、特に、大腸菌が好ましく例示できる。後述する実施例では、大腸菌B株のBL21(DE3)を用いた。しかし、大腸菌の株には、大腸菌K12株のJM109(DE3)など種々の株が存在するので、大腸菌の株としてBL21(DE3)に限定されるものでない。また、実施例では、組換え大腸菌の培養培地として、LB培地とTB培地を利用したが、大腸菌の培養培地としては、2×YT培地やM9培地等多くの培地が存在するので、LB培地とTB培地に限定されるものでない。また、遺伝子組換え実験方法としては、実施例で示したメーカーによる実施マニュアル以外に、多くの手引書が存在している。例えば、Sambrook and Russel, Molecular Cloning A Laboratory Manual (Third edition) Cold Spring Harbor Laboratory Press, 2001が例示できる。本手引書は包括的であり、通常の遺伝子組換え実験方法以外に、大腸菌株の種類、ベクターの種類、培養法等が示されているので、参考にして実験を行うことができる。
また、本発明に係る形質転換体は、さらに、以下の(ア)〜(エ)の遺伝子を導入し、発現させたものであることが好ましい:
(ア)メバロン酸又はメバロノラクトンからイソペンテニル二リン酸までの合成を行うメバロン酸経路遺伝子群、
(イ)1型のイソペンテニル二リン酸イソメラーゼ遺伝子、
(ウ)2型のイソペンテニル二リン酸イソメラーゼ遺伝子、
(エ)アセト酢酸−コエンザイムAリガーゼ遺伝子。
上記(ア)〜(エ)の遺伝子については、後述する。
<3.エレモールの製造方法>
本発明に係るエレモールの製造方法は、上述した形質転換体を培養し、エレモールを取得する工程を含むものであればよく、その他の具体的な条件、材料、及び使用設備等は特に限定されない。
以下、遺伝子組み換え技術のなかで、材料及び情報が最も充実した微生物である大腸菌を例に挙げて説明する。なお、本発明はこれに限定されるものではなく、宿主については、上述の<2>欄で述べた各種材料を用いることができる。
組換え大腸菌を用いてイソプレノイドを多量生産する場合の概要について説明する。大腸菌はメバロン酸経路を持っておらず、非メバロン酸経路[2−C−メチル−D−エリストール4−リン酸(以後、MEPと記載)を経由するのでMEP経路とも呼ばれる]により最初のイソプレノイド基質であるイソペンテニル二リン酸(イソペンテニルピロリン酸とも呼ばれる;以後、IPPと記載)が作られる。IPPはIPPイソメラーゼ(以後、Idiと称する場合もある)によりジメチルアリル二リン酸(以後、DMAPPと記載)に変換され、DMAPPはファルネシル二リン酸(farnesyl diphosphate;以後、FPPと記載)合成酵素(シンターゼ)によりIPPと順次縮合することにより、炭素数10のゲラニル二リン酸(以後GPPと記載)、炭素数15のFPPに変換される。GPPから分岐して揮発成分であるモノテルペンが作られる。さらに、FPPから分岐して、セスキテルペンやトリテルペンが作られる。FPPはゲラニルゲラニル二リン酸(以後、GGPPと記載)合成酵素によりIPPとさらに縮合して炭素数20のGGPPが合成される。このGGPPから分岐して、ジテルペンやカロテノイド(テトラテルペン)が合成される。大腸菌は、上記のテルペンは合成しないので、これらのイソプレノイドを大腸菌に合成させるためには、FPPからそのイソプレノイドまでの合成を担う生合成酵素遺伝子(群)を大腸菌に導入し、発現させる必要がある。以下、これらの遺伝子について詳説する。
(3−1.メバロン酸経路遺伝子群)
メバロン酸又はメバロノラクトンからイソペンテニル二リン酸までの合成を行うメバロン酸経路遺伝子群としては、例えば、HMG-CoA合成酵素(HMG-CoA synthase)遺伝子、HMG-CoAレダクターゼ(HMG-CoA reductase)遺伝子、メバロン酸キナーゼ(mevalonate kinase;MVA kinase)遺伝子、ホスホメバロン酸キナーゼ(phosphomevalonate kinase; PMVA kinase)遺伝子、及び、ジホスホメバロン酸デカルボキシラーゼ(diphosphomevalonate decarboxylase;DPMVA decarboxylase)遺伝子の5遺伝子を挙げることができる。
これらのメバロン酸経路遺伝子群としては、ストレプトミセス属CL190株由来のメバロン酸経路遺伝子群(非特許文献4、Accession no AB037666)を用いることができるが、これ以外にも出芽酵母(Saccharomyces cerevisiae)由来のメバロン酸経路遺伝子群(V. J. J. Martin, D. J. Pitera, S. T. Withers, J. D. Newman, J. D. Keasling, Nature Biotechonosy, 21: 796-802, 2003)、細菌ストレプトコッカス・プノイモニエ(Streptococcus pneumoniae)由来のメバロン酸経路遺伝子群(S. H. Yoon, Y. M. Lee, J. E. Kim, S. H. Lee, J. H. Lee, J. Y. Kim, K. H. Jung, Y. C. Shin, J. D. Keasling, S. W. Kim, Biotechnology & Bioengineering, 94: 1025-1032, 2006)なども用いることができる。
(3−2.1型/2型イソペンテニル二リン酸イソメラーゼ遺伝子)
さらに、FPPの供給量を上げるために、IPPイソメラーゼ(Idi;IPP isomerase)遺伝子(idi)を用いることが好ましい。idi遺伝子としては、ストレプトミセス属CL190株由来のイソペンテニル二リン酸イソメラーゼ遺伝子(非特許文献4Accession no AB037666)を用いることができるが、これ以外にも大腸菌由来のイソペンテニル二リン酸イソメラーゼ遺伝子(V. J. J. Martin, D. J. Pitera, S. T. Withers, J. D. Newman, J. D. Keasling, Nature Biotechonosy, 21: 796-802, 2003)、出芽酵母(Saccharomyces cerevisiae)由来のイソペンテニル二リン酸イソメラーゼ遺伝子(S. Kajiwara, P. D. Fraser, K. Kondo, N. Misawa, Biochemical Journal, 324: 421-426, 1997)、緑藻ヘマトコッカス・プルビアリス(Haematococcus pluvialis)由来のイソペンテニル二リン酸イソメラーゼ遺伝子(前述のJ. J. Martinらの文献、及び前述のS. Kajiwaraらの文献)なども用いることができる。
また、Idiには互いに構造が異なる、1型(type 1)と2型(type 2)のものが存在する。本発明では、いずれのIdiを用いてもよいが、本発明者らは下記実施例では両方のIdiを用いた。
(3−3.アセト酢酸−コエンザイムAリガーゼ遺伝子)
上述したメバロン酸経路遺伝子群及びIdi遺伝子を導入した組換え大腸菌によれば、培地中にメバロン酸又はメバロノラクトン(D−メバロノラクトン(D-mevalonate lactone))を基質として配合することにより、FPPを大量に生産することができる。
一方、基質として、メバロノラクトンより安価なアセト酢酸塩(例えばlithium acetoacetate;LAA)を基質として利用することもできる。培地中に添加されたLAAを利用するためには、それを基質とするアセト酢酸−コエンザイムA(CoA)リガーゼ(acetoacetate-CoA ligase)遺伝子を、さらに導入することが好ましい。
アセト酢酸−CoAリガーゼは、アセト酢酸とCoAとを基質とし、ATPを用いてアセトアセチル−CoAへの変換を触媒する酵素である(J.R. Stern, Biochem. Biophys. Res. Commun. 44, 1001-1007, 1971; Bergstrom, J.D.;Wong, G.A.; Edwards, P.A.; Edmond, J., J. Biol. Chem. 259, 14548-14553, 1984)。アセト酢酸−CoAリガーゼ遺伝子としては、ラット(Rattus norvegicus)やヒトなどの哺乳類、ある種のバクテリア、菌類等に由来する遺伝子が知られており、本発明においても、これらの遺伝子を使用することができる。また、ラット由来のアセト酢酸−CoAリガーゼをコードする遺伝子全長(Accession No.BC061803)を含むプラスミドは、Mammalian Gene Collection cDNAクローンとして、Invitrogen社より取得できる(クローンID: 5598532)。
すなわち、本発明には、上記<1>欄で説明した遺伝子に加えて、(ア)メバロン酸又はメバロノラクトンからイソペンテニル二リン酸までの合成を行うメバロン酸経路遺伝子群、(イ)1型のイソペンテニル二リン酸イソメラーゼ遺伝子、(ウ)2型のイソペンテニル二リン酸イソメラーゼ遺伝子、及び(エ)アセト酢酸−コエンザイムAリガーゼ遺伝子を導入した形質転換体を、アセト酢酸塩を含む培地にて培養し、エレモールを取得する工程を含むエレモールの製造方法も含まれる。
上述した以外にも、上述した(ア)〜(エ)の遺伝子については、例えば、特許文献1,2に加えて、本明細書の末尾に記載した参考文献である非特許文献1〜8に記載された事項も援用できる。例えば、メバロン酸経路遺伝子群のソースに関し、本発明者らは、下記実施例ではストレプトミセス属CL190株由来のものを用いたが、酵母や他の細菌由来の相当遺伝子群を用いることもできる(参照:非特許文献8)。
以上のように、本発明は、芳香性のある健康に良い食用・観賞植物の精油成分(セスキテルペン)を合成するタンパク質、該タンパク質をコードする遺伝子、並びに該遺伝子を用いる精油成分の製造方法に関する。さらに具体的には本発明は、エレモールという、ヒトに有用な生理活性が期待できるセスキテルペンをファルネシル二リン酸から合成するタンパク質、該タンパク質をコードする遺伝子、並びに該遺伝子を利用したセスキテルペンの製造方法に関する。本発明により、組換え大腸菌や組換え植物等を用いて化学合成が困難なエレモールの製造が可能になる。本発明により製造可能なセスキテルペンであるエレモールは、快適な香り成分であるだけでなく、ヒトにおいて種々の有益な生理活性を有すると期待できる。
<4.抗体>
本発明には、上記タンパク質に、特異的に結合する抗体を含む。本抗体は、上記<1>欄で説明したタンパク質又はその部分ペプチドを抗原として、公知の方法により得られる抗体であればよい。本抗体の形態は、特に制限されない。
公知の方法としては、例えば、文献(Harlowらの「Antibodies : A laboratory manual(Cold Spring Harbor Laboratory, New York(1988))」、岩崎らの「単クローン抗体 ハイブリドーマとELISA、講談社(1991)」)に記載の方法が挙げられる。このようにして得られる抗体は、タンパク質の検出・測定等に利用できる。例えば、上記タンパク質を感作抗原として使用し、取得することができる。感作抗原として使用されるタンパク質は、完全なタンパク質であってもよく、タンパク質の部分ペプチドであってもよい。また、タンパク質を発現する細胞もしくはその溶解物または化学的に合成したタンパク質を感作抗原として使用してもよい。短いペプチドは、キーホールリンペットヘモシアニン、ウシ血清アルブニンおよび卵白アルブニン等のキャリアタンパク質と適宜結合させて抗原とすることができる。
感作抗原で免疫される哺乳動物としては、特に限定されないが、モノクローナル抗体の作製においては細胞融合に使用する親細胞との適合性を考慮して選択することが好ましく、一般的には、マウス等のげっ歯目、ウサギ等のウサギ目またはアカゲザル等の霊長目の動物が使用される。
また、本発明には、上記タンパク質における免疫原性エピトープ部分のアミノ酸配列を有するポリペプチドが含まれる。上記タンパク質のエピトープ保有部分のアミノ酸配列を有するポリペプチドは、少なくとも上記<1>欄で説明した変異部位を含み、かつ、6個、7個、8個、9個または10個のアミノ酸を有するポリペプチドの部分を含んでいればよい。
上記タンパク質において、抗体応答を惹起する免疫原性エピトープ部分は、当該分野で公知の方法により同定することができる。例えば、Geysen, H. M. ら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 81: 3998-4002 (1984) には、酵素−結合免疫吸着アッセイにおける反応に利用可能な程度に、十分に純粋な何百というペプチドの固体支持体上の迅速な同時合成の手順が開示されている。合成ペプチドの抗体との相互作用は、次いで、それらを支持体から除去することなく容易に検出可能である。この様式において、所望のタンパク質の免疫原性エピトープを保有するペプチドは、当業者により日常的に同定され得る。例えば、口蹄疫ウイルスのコートタンパク質における免疫学的に重要な免疫原性エピトープは、タンパク質の213のアミノ酸配列全体を覆う全ての208の可能なヘキサペプチドの重複セットの合成による7アミノ酸の解明によりGeysenらによって位置付けされた。次いで、全ての20アミノ酸が順にエピトープ内の各位置で置換されたペプチドの完全な置換セットが合成され、そして抗体との反応のための特異性を与える特定のアミノ酸が決定された。したがって、本発明のエピトープ保有ペプチドのペプチドアナログは、この方法により日常的に作製され得る。Geysen (1987) の米国特許第4,708,871号には、所望のタンパク質の免疫原性エピトープを保有するペプチドを同定するこの方法がさらに詳細に記載されている。
「免疫原性エピトープ」は、タンパク質全体が免疫原である場合、抗体応答を誘発するタンパク質の一部として定義される。これらの免疫原性エピトープは、分子上の2、3の焦点に制限されると考えられている。一方では、抗体が結合し得るタンパク質分子の領域は、「抗原性エピトープ」と定義され得る。タンパク質の免疫原性エピトープの数は、一般には、抗原性エピトープの数よりも少ない。このことは、例えば、Geysen, H. M. ら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 81: 3998-4002 (1984) に記載されている。
上記タンパク質の抗原性エピトープを保有するペプチドは、本発明に係る抗体、特にモノクローナル抗体を惹起するのに有用である。したがって、抗原性エピトープ保有ペプチドで免疫化されたドナーからの脾臓細胞の融合により得られるハイブリドーマの大部分は、一般に天然のタンパク質と反応性がある抗体を分泌する。抗原性エピトープ保有ペプチドにより惹起された抗体は、模倣タンパク質を検出するのに有用であり、そして異なるペプチドに対する抗体が、翻訳後プロセシングを受けるタンパク質前駆体の種々の領域の末路を追跡するために使用され得る。免疫沈降アッセイにおいて、短いペプチド(例えば、約9アミノ酸)でさえ、より長いペプチドに結合しそして置換し得ることが示されているため、ペプチドおよび抗ペプチド抗体は、模倣タンパク質についての種々の定性的または定量的アッセイ、例えば、競合的アッセイにおいて使用され得る。このことは、例えば、Wilson, I. A. ら、Cell 37: 767-778 (1984) の777頁に記載されている。本発明に含まれるタンパク質の特異的抗体もまた、模倣タンパク質の精製(例えば、当該分野で周知の方法を使用して、吸着クロマトグラフィーにより)に有用である。
上記のガイドラインにしたがって設計された、上記タンパク質に由来する抗原性エピトープ保有ペプチドは、好ましくは上記タンパク質の変異部位を含むアミノ酸配列内に含まれる少なくとも7、より好ましくは少なくとも9、そして最も好ましくは15〜30アミノ酸の間の配列を含む。さらに、上記タンパク質の変異部位を含むアミノ酸配列の30〜50アミノ酸あるいは全体までの任意の長さおよび全体を含んでいてもよい。また、抗原性エピトープ保有ペプチドのアミノ酸配列は、水性溶媒中で実質的な溶解性を提供するように選択され(すなわち、その配列は、比較的親水性残基を含み、そして高度な疎水性配列は好ましくは回避される)、そしてプロリン残基を含む配列が特に好ましい。なお、上記タンパク質の抗原性エピトープ保有ペプチドは、公知の組換えタンパク質の生産技術等により簡便に取得し得る。
上記抗原性エピトープ保有ペプチドは、当該分野に周知の方法によって抗体を誘導するために使用できる。このことは、例えば、Chow, M. ら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 82: 910-914; および Bittle, F. J. ら、 J. Gen. Virol. 66: 2347-2354 (1985) に記載されている。一般には、動物は遊離ペプチドで免疫化され得る。しかし、抗タンパク質抗体力価はペプチドを高分子キャリア(例えば、キーホールリンペットヘモシアニン(KLH)または破傷風トキソイド)にカップリングすることにより追加免疫され得る。例えば、システインを含有するペプチドは、m−マレイミドベンゾイル−N−ヒドロキシスクシンイミドエステル(MBS)のようなリンカーを使用してキャリアにカップリングされ得るが、他のペプチドは、グルタルアルデヒドのような、より一般的な連結剤を使用してキャリアにカップリングされ得る。ウサギ、ラット、およびマウスのような動物は、遊離またはキャリア−カップリングペプチドのいずれかで、例えば、約100μgのペプチドまたはキャリアタンパク質およびFreundのアジュバントを含むエマルジョンの腹腔内および/または皮内注射により免疫化される。いくつかの追加免疫注射が、例えば、固体表面に吸着された遊離ペプチドを使用してELISAアッセイにより検出され得る有用な力価の抗タンパク質抗体を提供するために、例えば、約2週間の間隔で必要とされ得る。免疫化動物からの血清における抗タンパク質抗体の力価は、抗タンパク質抗体の選択により、例えば、当該分野で周知の方法による固体支持体上のペプチドへの吸着および選択された抗体の溶出により増加され得る。
また、本明細書中で使用される場合、用語「抗体」は、免疫グロブリン(IgA、IgD、IgE、IgG、IgMならびにこれらのFabフラグメント、F(ab')2フラグメントおよびFcフラグメント)を含み、例としては、全てのクラスのポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、単鎖抗体、抗イディオタイプ抗体、ヒト化抗体および遺伝子組換えによるヒト型化抗体等が挙げられるがこれらに限定されるものではない。
また、本抗体は、上記タンパク質に結合する限り、抗体断片または抗体修飾物であってもよい。つまり、本抗体は、上述のタンパク質に特異的に結合し得る完全な分子および抗体フラグメント(例えば、FabおよびF(ab')2フラグメント)を含む。FabおよびF(ab')2フラグメントは完全な抗体のFc部分を欠いており、循環によってさらに迅速に除去され、そして完全な抗体の非特異的組織結合をほとんど有し得ない (Wahlら、J. Nucl. Med. 24: 316-325 (1983)) 。したがって、これらのフラグメントが好ましい。
また、本抗体は、抗イディオタイプ抗体の使用を通じて二工程手順で産生され得る。このような方法は、抗体それ自体が抗原であるという事実を使用し、したがって、二次抗体に結合する抗体を得ることが可能である。この方法に従って、本抗体は、動物(好ましくは、マウス)を免疫するために使用される。次いで、このような動物の脾細胞はハイブリドーマ細胞を産生するために使用され、そしてハイブリドーマ細胞は、本抗体に結合する能力が上記タンパク質抗原によってブロックされ得る抗体を産生するクローンを同定するためにスクリーニングされる。このような抗体は、本抗体に対する抗イディオタイプ抗体を含み、そしてさらなる本抗体の形成を誘導するために動物を免疫するために使用され得る。
FabおよびF(ab')2ならびに本抗体の他のフラグメントは、本明細書中で開示される方法に従って使用され得ることが明らかである。このようなフラグメントは、代表的には、パパイン(Fabフラグメントを生じる)またはペプシン(F(ab')2フラグメントを生じる)のような酵素を使用するタンパク質分解による切断によって産生される。あるいは、本発明に係るタンパク質結合フラグメントは、組換えDNA技術の適用または合成化学によって産生され得る。
その他、上記<1>〜<4>の各項目で記載した内容は、他の項目においても適宜援用できることを付言する。また、本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。以下、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明はかかる実施例のみに限定されるものではない。
〔実施例1〕ツバキ短柱茶由来セスキテルペンシンターゼ(セスキテルペン合成酵素)遺伝子cDNA配列の決定
「短柱茶」(Camellia brevistyla;シマサザンカ)の花(図3)から、RNeasy Plant Mini Kit(Qiagen社製)を用いて全RNAを抽出した。SMARTer RACE cDNA amplification kit (Takara Bio社製) を用いて、製造元の指示に従い、全RNA 1.0μgからcDNAを調製した。縮重オリゴヌクレオチドプライマー対(フォワード:5’- ttycgaytny tnmgrmarca ngg -3’(配列番号3)及びリバース:5’- tanghrtcaw anrtrtcrtc -3’(配列番号4))を用いて、非特許文献3に記載の条件でcDNAを鋳型としたPCRを行い、1005bpの増幅断片を得た。
得られた増幅断片をpGEM-T Easy Vector System(Promega社製)を用いてクローン化し塩基配列を決定した。得られたクローンは、両端にリバースプライマーの配列を持ち、リバースプライマーのみで増幅されたことが分かった。5’側は開始メチオニンおよび5’UTR配列を含んでいたことから、全長cDNAを単離するために、上述のSMARTer RACE cDNA Amplification Kit(Takara Bio社製)、オリゴヌクレオチドプライマー(White.3race-2:5’- TTTAGACAAACAGCTATGGGACAA-3’(配列番号5))及びAdvantage2 Polymerase Mix(Clontech社製)を用いて、製造元の指示に従い断片を3’末端に向かって伸長させ、全長cDNA配列を決定した。
〔実施例2〕エレモールシンターゼ(エレモール合成酵素)遺伝子(CbTps1)cDNAの取得
実施例1で得られた全長cDNA配列に特異的なオリゴヌクレオチドプライマー対Wh.Bgl-F(5’- AGACAGAAGATCTCATGGCTTCATCTCAAGTTGGTGA -3’(配列番号6)、プライマーの「AGATCT」はBglII認識部位を示す)及びWh.Xho-R(5’- GAGGTACCTCGAGTCACATGGGAATTGGATCTTCGA -3’ (配列番号7)、プライマーの「CTCGAG」はXhoI認識部位を示す)及びAdvantage2 Polymerase Mix(Clontech社製)を用いて、ツバキ短柱茶cDNAを鋳型としたPCR(反応組成:製造元の指示に従った;反応条件:変性94℃で2分間、次に、94℃で30秒間、55℃で30秒間、72℃で4分間を5サイクル、次いで94℃で30秒間、60℃で30秒間、72℃で4分間を25サイクル)を行った。得られたcDNAはプラスミドpGEM-T Easy Vector System(Promega社製)によりクローン化し、塩基配列を決定した。
このcDNAヌクレオチド配列を配列番号2に、該cDNAによりコードされるポリペプチドのアミノ酸配列を配列番号1に示す。また、配列番号2により特定されるcDNAをCbTps1遺伝子と命名し、CbTps1遺伝子がコードする配列番号1により特定されるタンパク質をCbTPS1と命名した。
CbTps1遺伝子は、1665bpのオープンリーディングフレーム(ORF)を含み、推定554アミノ酸残基、分子量64.0kDa、及びpI 5.19のタンパク質(CbTPS1)をコードしていた。GenBank/EMBL/DDBJデータベースに対する相同性検索により、CbTPS1は既知セスキテルペンシンターゼであるセイヨウカノコソウ(Valeriana officinalis L.)由来ドリミノールシンターゼ(Driminol synthase)と50%、ラベンダー(Lavandula pedunculata)由来ゲルマクレンAシンターゼ(germacrene A synthase)と51%、トマト(Solanum lycopersicum)由来テルペンシンターゼ(terpene synthase)と49%のアミノ酸配列一致度(identity)を示した。
既知セスキテルペンシンターゼとの相同性から、CbTPS1は、被子植物のセスキテルペンおよびジテルペンシンターゼの群であるTPS−aサブファミリー(J. Bohlmann, G. Meyer-Gauen, R. Croteau (1998) Plant terpenoid synthases: molecular biology and phylogenetic analysis. Proc. Natl. Acad. Sci. USA 95:4126-4133 参照のこと)に属することが分かった。さらにCbTPS1は、セスキテルペンシンターゼに高度に保存されているDDxxD、RDR、(N/D)Dxx(S/T)xxxE(NSE/DTEモチーフと呼ばれる)というモチーフを含んでいた(図4)。一方、既知のセスキテルペンシンターゼと同様に、CbTPS1は、色素体輸送(transit)ペプチドを含まないことが予測された。なお、ZoGDSはZ. officinale Roscoe由来ゲルマクレンD合成酵素(AAX40665)を示す。ZzZSS1及びZzZSS2は、それぞれ、Z. zerumbet Smith由来のα-フムレン合成酵素(BAG12020)及びβ-ユーデスモール合成酵素(BAG12021)を示す。全てのタンパク質に共通するアミノ酸は黒塗りで示した。縮重オリゴヌクレオチドプライマーに対応する配列の下部に矢印を付した。セスキテルペン合成酵素に高度に保存されているRDR、DDxxD、(N/D)Dxx(S/T)xxxEモチーフはアスタリスクで示した。
〔実施例3〕プラスミドpRSF-CbTps1及びプラスミドpAC-Mev/Scidi/Aaclを持つ大腸菌によるエレモール生産
CbTps1遺伝子の全長配列が挿入されたプラスミドDNAを制限酵素BglII−XhoIで消化し、得られたCbTps1遺伝子の配列をベクターpRSFDuet-1(Novagen社製;カナマイシン耐性)のBglII−XhoI部位に連結して、pRSF-CbTps1プラスミドを作製した(図5)。CbTps1遺伝子のORFに相当するcDNA(1,665bp)が、ベクターpRSFDuet-1のBglI−XhoI間に挿入されている。
また、リチウムアセト酢酸(lithium acetoacetate;LAA)を基質として利用するため、ラット由来のアセト酢酸−CoAリガーゼ遺伝子(Aacl)をプラスミドpAC-Mev/Scidiに挿入し、最終プラスミドpAC-Mev/Scidi/Aacl(図1)を作製した(特許文献2、非特許文献7、8)。
プラスミドpRSF-CbTps1及びプラスミドpAC-Mev/Scidi/Aaclを用いた大腸菌の形質転換法、組換え大腸菌の培養法、培養した大腸菌の菌体からのエレモール(elemol)の抽出、同定法は非特許文献2、7に示されている。ただし、組換え大腸菌の培養では、培地に加える薬剤として、カナマイシン50mg/L、クロラムフェニコール30mg/Lを用い、LAAを1mg/mLの濃度で加えた。具体的な培養法は以下の通りである。
まず、プラスミドpRSF-CbTps1及びプラスミドpAC-Mev/Scidi/Aaclを導入した組換え大腸菌を、Km、Cmを含むLB培地(バクトトリプトン 1%、酵母エキス 0.5%、NaCl 0.5〜1%)に加え、20℃、180rpmで一晩培養し、前培養とした。続いて、Km、Cm、及びLAAを含むTB培地(Sambrook and Russel, Molecular Cloning A Laboratory Manual (Third edition) Cold Spring Harbor Laboratory Press, 2001)にIPTG 0.05 mM(最終濃度)を添加し、TB培地の1%相当量の前培養液を加えて本培養を開始した。本培養は、18℃、180rpmで70時間行った。本培養終了後、大腸菌を集菌し、菌体から酢酸エチルによる抽出を行った。
ガスクロマトグラフ質量分析計(GC−MS)を用いた分析の結果、空ベクターpRSFDuet-1及びプラスミドpAC-Mev/Scidi/Aacl を含む大腸菌培養中に、IPTGを添加した対照区では、菌体からの酢酸エチル抽出液中に新規なセスキテルペンの生成は確認されなかったのに対し、プラスミドpRSF-CbTps1及びプラスミドpAC-Mev/Scidi/Aacl を含む大腸菌培養中にIPTG誘導を行った実験区では、菌体からの酢酸エチル抽出液中に新規なピークが見られた。結果を図6に示す。図6中、(a)は、CbTps1遺伝子を含むプラスミドpRSF-CbTps1とプラスミドpAC-Mev/Scidi/Aaclを保持する大腸菌株の酢酸エチル抽出液のクロマトグラムである。新規なピーク1を矢印で示した。また、(b)は、CbTps1遺伝子を含まないベクターpRSFDuet-1とプラスミドpAC-Mev/Scidi/Aaclを保持する大腸菌株酢酸エチル抽出液のクロマトグラム(コントロール)である。(c)は、(a)の矢印で示したピーク1(上図)及びデータベース中のエレモール(下図)のマススペクトルである。
図6に示すように、マススペクトルのデータベースとの比較により、このピーク1はエレモール(Elemol)であると同定された。この結果から、CbTps1遺伝子がエレモールシンターゼ(elemol synthase)をコードする遺伝子であることが判明した。エレモールの化学構造は図2に示す。
以上の結果より、プラスミドpRSF-CbTps1及びプラスミドpAC-Mev/Scidi/Aaclを導入した大腸菌を用いて、エレモールの選択的な生産が可能であることが示された。
<参考文献>
〔非特許文献1〕S. Picard, M. E. Olsson, M. Brodelius, P. E. Brodelius, Arch. Biochem. Biophys. 452: 17-28, 2006
〔非特許文献2〕M. Fujisawa, H. Harada, H. Kenmoku, S. Mizutani, N. Misawa, Planta, 232: 121-130; Erratum, 232: 131, 2010
〔非特許文献3〕F. Yu, S. Okamoto, K. Nakasone, K. Adachi, S. Matsuda, H. Harada, N. Misawa, R. Utsumi, Planta 227: 1291-1299, 2008
〔非特許文献4〕F. Yu, H. Harada, K. Yamasaki, S. Okamoto, S. Hirase, Y. Tanaka, N. Misawa, R. Utsumi, FEBS Lett 582: 565-572, 2008
〔非特許文献5〕M. Takagi, T. Kuzuyama, S. Takahashi, H. Seto, J. Bacteriol., 182: 4153-4157, 2000
〔非特許文献6〕K. Kakinuma, Y. Dekishima, Y. Matsushima, T. Eguchi, N. Misawa, M. Takagi, T. Kuzuyama, H. Seto, J. Am. Chem. Soc., 123: 1238-1239, 2001
〔非特許文献7〕H. Harada, F. Yu, S. Okamoto, T. Kuzuyama, R. Utsumi, N. Misawa, Appl. Microbiol. Biotechnol. 81: 915-925, 2009
〔非特許文献8〕H. Harada, N. Misawa, Appl. Microbiol. Biotechnol. 84: 1021-1031, 2009
エレモールは、快適な香り成分であるだけでなく、ヒトにおいて種々の有益な生理活性を有すると期待できる。このため、医薬品、機能性食品、香料、農園芸、生活消費財等の種々の産業において利用可能である。

Claims (8)

  1. 以下の(a)〜(e)からなる群より選択されるいずれかの遺伝子:
    (a)配列番号1に記載されるアミノ酸配列からなるタンパク質をコードする遺伝子;
    (b)配列番号1に記載されるアミノ酸配列において、1又は数個のアミノ酸残基が置換、欠失、挿入及び/又は付加されたアミノ酸配列からなり、かつファルネシル二リン酸をエレモールに変換する活性を有するタンパク質をコードする遺伝子;
    (c)配列番号1に記載されるアミノ酸配列と90%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、かつファルネシル二リン酸をエレモールに変換する活性を有するタンパク質をコードする遺伝子;
    (d)配列番号2に記載される塩基配列からなる遺伝子;
    (e)上記(a)〜(d)のいずれかの遺伝子と相補的な塩基配列からなるポリヌクレオチドとストリンジェントな条件でハイブリダイズし、かつファルネシル二リン酸をエレモールに変換する活性を有するタンパク質をコードする遺伝子;上記ストリンジェントな条件とは、0.25M Na 2 HPO 4 、pH7.2、7%SDS、1mM EDTA、1×デンハルト溶液からなる緩衝液中で温度が68℃の条件下でハイブリダイズさせ、さらに20mM Na 2 HPO 4 、pH7.2、1%SDS、1mM EDTAからなる緩衝液中で温度が68℃の条件下で洗浄を行う条件である
  2. 以下の(f)〜(i)からなる群より選択されるいずれかのタンパク質:
    (f)配列番号1に記載されるアミノ酸配列からなるタンパク質;
    (g)配列番号1に記載されるアミノ酸配列において、1又は数個のアミノ酸残基が置換、欠失、挿入及び/又は付加されたアミノ酸配列からなり、かつファルネシル二リン酸をエレモールに変換する活性を有するタンパク質;
    (h)配列番号1に記載されるアミノ酸配列と90%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、かつファルネシル二リン酸をエレモールに変換する活性を有するタンパク質;
    (i)請求項1に記載の遺伝子にコードされるタンパク質。
  3. 請求項1に記載の遺伝子を含むことを特徴とする組換えベクター。
  4. 請求項1に記載の遺伝子又は請求項3に記載の組換えベクターを含むことを特徴とする形質転換体。
  5. さらに、以下の(ア)〜(エ)の遺伝子を導入し、発現させたことを特徴とする請求項4に記載の形質転換体:
    (ア)メバロン酸又はメバロノラクトンからイソペンテニル二リン酸までの合成を行うメバロン酸経路遺伝子群、
    (イ)1型のイソペンテニル二リン酸イソメラーゼ遺伝子、
    (ウ)2型のイソペンテニル二リン酸イソメラーゼ遺伝子、
    (エ)アセト酢酸−コエンザイムAリガーゼ遺伝子。
  6. 組換え大腸菌であることを特徴とする請求項4又は5に記載の形質転換体。
  7. 請求項4〜6のいずれか1項に記載の形質転換体を培養し、エレモールを取得する工程を含むことを特徴とするエレモールの製造方法。
  8. 請求項2に記載のタンパク質に特異的に結合する抗体。
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