JP2016153451A - 硬化性組成物、硬化膜の製造方法、及び、硬化膜 - Google Patents

硬化性組成物、硬化膜の製造方法、及び、硬化膜 Download PDF

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寛晃 伊藤
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Abstract

【課題】低温でのベークによって高い屈折率を有し、かつ、クラックの発生が抑制された硬化膜が得られる硬化性組成物、上記硬化性組成物を硬化させた硬化膜及びその製造方法を提供すること。
【解決手段】成分Aとして、下記a1を満たすチタノキサンと、成分Bとして、下記b1及びb2よりなる群から選ばれた少なくとも1種と、成分Cとして、溶剤と、を含有することを特徴とする硬化性組成物。
a1:チタン原子に直結するアルコキシ基を少なくとも1つ有し、相関長ξが1.03nm以上1.07nm未満であるチタノキサン、
b1:チタン配位性基及びエチレン性不飽和基を有する化合物、
b2:チタン配位性基を有する化合物及びエチレン性不飽和基を有する化合物。
【選択図】なし

Description

本発明は、硬化性組成物、硬化膜の製造方法、及び、硬化膜に関する。
透明材料は、絶縁膜、保護膜、光取り出し層、スペーサー、マイクロレンズ等として各種表示装置、撮像装置、太陽電池等の多くの部分構造として使用されている。
また、透明材料の用途として、装置の性能向上のため、屈折率を調整する材料として用いられることが知られている。
パターンニング性能のある金属アルコキシドを用いた透明膜用の組成物としては、特許文献1に記載された組成物が知られている。特許文献1には、(A)チタンテトラアルコキシドを1.0〜1.8倍モルの量の水を用いて加水分解縮合させて得られるチタノキサン化合物、(B)1分子中にSH基を少なくとも二つ有するチオール化合物、並びに、(C)1分子中に炭素数2〜5のアルケニル基を少なくとも二つ有し、かつ、分子中に、(i)少なくとも一つの芳香環を含有する、及び/又は、(ii)(a)酸素原子、硫黄原子若しくはケイ素原子、若しくは、(b)炭素数2〜20(ただし、アルケニル基を構成する炭素を除く。)の鎖状若しくは非芳香環状の炭素鎖(ただし、炭素鎖を構成する炭素原子の一部が酸素原子、硫黄原子又はケイ素原子で置き換わっていてもよい。)のいずれかを少なくとも一つ含有する、アルケニル化合物を含有し、上記チタノキサン化合物(A)、チオール化合物(B)及びアルケニル化合物(C)は相溶溶液を形成することを特徴とする硬化性組成物が記載されている。
特開2012−203061号公報
近年では、表示装置や撮像装置において、透明材料を作製する際に、高温でベークすると、他の部材の性能劣化を引き起こすことがあり、より低温でのベークによって、高屈折率な透明膜を作製することが求められている。しかし、特許文献1に記載された組成物では、低温でのベークでは、十分な屈折率を得ることができない。
このように、従来の金属アルコキシドを用いたパターンニング材料は、低温でベークすると、高い屈折率が得られないという問題があった。また、低温でのベークで高い屈折率を得るために、金属アルコキシドの添加量を増やすと、硬化膜にクラック(ひび割れ、亀裂)が発生するという問題があった。
本発明が解決しようとする課題は、低温でのベークによって高い屈折率を有し、かつ、クラックの発生が抑制された硬化膜が得られる硬化性組成物、上記硬化性組成物を硬化させた硬化膜及びその製造方法を提供することである。
本発明の上記課題は、以下の<1>、<12>、又は、<13>に記載の手段により解決された。好ましい実施態様である<2>〜<11>、<14>、及び、<15>と共に以下に記載する。
<1> 成分Aとして、下記a1を満たすチタノキサンと、成分Bとして、下記b1及びb2よりなる群から選ばれた少なくとも1種と、成分Cとして、溶剤と、を含有することを特徴とする硬化性組成物、
a1:チタン原子に直結するアルコキシ基を少なくとも1つ有し、相関長ξが1.03nm以上1.07nm未満であるチタノキサン、
b1:チタン配位性基及びエチレン性不飽和基を有する化合物、
b2:チタン配位性基を有する化合物及びエチレン性不飽和基を有する化合物。
<2> 成分Aが、アルコキシ基を有するチタン化合物を、チタン原子の総モル量1.0モルに対して、0.5〜1.9倍モル当量の水により加水分解縮合させて得られるチタノキサンである、<1>に記載の硬化性組成物、
<3> 成分Aが、チタンテトラブトキシドを、イソプロパノール中、0℃〜40℃で、チタンテトラブトキシド1モルに対して0.5〜1.9モル当量の水により加水分解縮合させて得られるチタノキサンである、<1>又は<2>に記載の硬化性組成物、
<4> 成分Aが、チタンテトラブトキシドを、イソプロパノール中、0℃〜10℃で、水/イソプロパノール溶液を滴下しながら加水分解縮合した後、20℃〜40℃に昇温して1〜10時間撹拌して得られるチタノキサンである、<3>に記載の硬化性組成物、
<5> 成分Aの含有量が、硬化性組成物の全固形分に対し、30〜90質量%である、<1>〜<4>のいずれか1つに記載の硬化性組成物、
<6> 成分Dとして、光重合開始剤を含有する、<1>〜<5>のいずれか1つに記載の硬化性組成物、
<7> 成分Dがオキシムエステル化合物を含有する、<6>に記載の硬化性組成物、
<8> 成分Bが上記b2を含有する場合、上記チタン配位性基を有する化合物の含有量BW1と、エチレン性不飽和基を有する化合物の含有量BW2との質量比が、BW1:BW2=2:8〜8:2である、<1>〜<7>のいずれか1つに記載の硬化性組成物、
<9> 上記チタン配位性基が、チタン原子に酸素原子によって配位可能な基である、<1>〜<8>のいずれか1つに記載の硬化性組成物、
<10> 上記チタン及び/又はジルコニウム配位性基が、1,2−ジケトン構造、1,3−ジケトン構造、1,4−ジケトン構造、α−ヒドロキシケトン構造、α−ヒドロキシエステル構造、α−ケトエステル構造、β−ケトエステル構造、マロン酸ジエステル構造、フマル酸ジエステル構造、及び、フタル酸ジエステル構造よりなる群から選ばれた少なくとも1つの構造を有する基である、<1>〜<9>のいずれか1つに記載の硬化性組成物、
<11> 成分Bとしてb1を含有し、b1が下記式1で表される化合物である、<1>〜<10>のいずれか1つに記載の硬化性組成物、
Figure 2016153451
式1中、Rは水素原子又はアルキル基を表す。
<12> 少なくとも工程1〜工程5をこの順で含む硬化膜の製造方法、
工程1:<1>〜<11>のいずれか1つに記載の硬化性組成物を基板上に塗布する塗布工程
工程2:塗布された硬化性組成物から溶剤を除去する溶剤除去工程
工程3:溶剤が除去された硬化性組成物の少なくとも一部を活性光線により露光する露光工程
工程4:露光された硬化性組成物を水性現像液により現像する現像工程
工程5:現像された硬化性組成物を熱処理する熱処理工程
<13> <1>〜<11>のいずれか1つに記載の硬化性組成物を硬化してなる硬化膜、
<14> 層間絶縁膜又はオーバーコート膜である、<13>に記載の硬化膜、
<15> 波長550nmの光における屈折率が1.60〜2.10である、<13>又は<14>に記載の硬化膜。
本発明によれば、低温でのベークによって高い屈折率を有し、かつ、クラックの発生が抑制された硬化膜が得られる硬化性組成物、上記硬化性組成物を硬化させた硬化膜及びその製造方法を提供することができた。
液晶表示装置の一例の構成概念図を示す。液晶表示装置におけるアクティブマトリックス基板の模式的断面図を示し、層間絶縁膜である硬化膜17を有している。 有機EL表示装置の一例の構成概念図を示す。ボトムエミッション型の有機EL表示装置における基板の模式的断面図を示し、平坦化膜4を有している。 タッチパネル付き表示装置の一例におけるタッチパネルの電極パターンを示す平面図である。 図3に示すA1−A2線に沿った断面構造を示す断面図である。 図3に示すB1−B2線に沿った断面構造を示す断面図である。
以下において、本発明の内容について詳細に説明する。以下に記載する構成要件の説明は、本発明の代表的な実施態様に基づいてなされることがあるが、本発明はそのような実施態様に限定されるものではない。なお、本願明細書において「〜」とはその前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味で使用される。また、本発明における有機EL素子とは、有機エレクトロルミネッセンス素子のことをいう。
本明細書における基(原子団)の表記において、置換及び無置換を記していない表記は、置換基を有さないものと共に置換基を有するものをも包含するものである。例えば、「アルキル基」とは、置換基を有さないアルキル基(無置換アルキル基)のみならず、置換基を有するアルキル基(置換アルキル基)をも包含するものである。
また、本明細書における化学構造式は、水素原子を省略した簡略構造式で記載する場合もある。
なお、本明細書中において、“(メタ)アクリレート”はアクリレート及びメタクリレートを表し、“(メタ)アクリル”はアクリル及びメタクリルを表し、“(メタ)アクリロイル”はアクリロイル及びメタクリロイルを表す。
本発明において、「a1を満たすチタノキサン」等を、単に「成分A」等ともいう。
また、本発明において、「質量%」と「重量%」とは同義であり、「質量部」と「重量部」とは同義である。
また、本発明において、好ましい態様の組み合わせは、より好ましい態様である。
本発明のチタノキサンにおける重量平均分子量及び数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ法(GPC)法にて測定される。
(硬化性組成物)
本発明の硬化性組成物(以下、単に「組成物」ともいう。)は、成分Aとして、下記a1を満たすチタノキサンと、成分Bとして、下記b1及びb2よりなる群から選ばれた少なくとも1種と、成分Cとして、溶剤と、を含有することを特徴とする。
a1:チタン原子に直結するアルコキシ基を少なくとも1つ有し、相関長ξが1.03nm以上1.07nm未満であるチタノキサン、
b1:チタン配位性基及びエチレン性不飽和基を有する化合物、
b2:チタン配位性基を有する化合物及びエチレン性不飽和基を有する化合物。
本発明者らは上記観点に鑑み鋭意検討を重ねた結果、成分A〜成分Cを含有する硬化性組成物とすることにより、低温ベークであっても、高い屈折率を有し、かつ、クラックの発生が抑制された硬化膜を得られることを見いだし、本発明を完成するに至ったものである。
効果の作用機構は明確ではないが、従来のチタノキサンに比べて、低い相関長ξを有するチタノキサンを使用することにより、高い屈折率が得られたものと推定される。これは、相関長ξは、チタノキサンの鎖の絡み合いの程度を示しており、特定の合成条件によってチタノキサンの鎖が直線的に成長した結果、チタノキサンの鎖同士が近づくことができる(相関長ξが小さくなる)。その結果として、チタン原子が密に存在した溶液になるため、硬化後に高い屈折率が得られたものと推定される。また、少ない使用量で高い屈折率が得られるため、有機成分の含有量を増加させることができ、そのために硬化膜の可塑性が高くなり、クラックの発生が抑制されたものと推定されるが、詳細な効果の発現機構については不明である。
本発明の硬化性組成物は、活性光線による重合後、得られた硬化膜等の硬化物を熱処理することにより、硬化物の強度がより高くなる組成物であることが好ましい。
また、本発明の硬化性組成物は、透明硬化物製造用硬化性組成物であることが好ましく、透明硬化膜製造用硬化性組成物であることがより好ましい。
更に、本発明の硬化性組成物は、得られる硬化物の波長550nmにおける屈折率が1.60以上であることが好ましく、1.70以上であることがより好ましく、1.72以上であることが更に好ましく、1.76以上であることが特に好ましく、1.80以上である硬化性組成物であることが最も好ましい。また、得られる硬化物の波長550nmにおける屈折率は、2.40以下であることが好ましく、2.30以下であることがより好ましく、2.20以下であることが更に好ましく、2.10以下であることが特に好ましい。
また、本発明の硬化性組成物は、層間絶縁膜用又はオーバーコート膜用硬化性組成物として好適に用いることができる。
更に、本発明の硬化性組成物は、屈折率調整層用硬化性組成物として好適に用いることができる。
成分A:a1を満たすチタノキサン
本発明の硬化性組成物は、成分Aとして、下記a1を満たすチタノキサンを含有する。
a1:チタン原子に直結するアルコキシ基を少なくとも1つ有し、相関長ξが1.03以上1.07未満であるチタノキサン。
本発明において、成分Aは相関長ξが1.03nm以上1.07nm未満である。相関長ξが1.03nm以上であると、合成が可能であり、相関長ξが1.07nm未満であると、屈折率が高く、クラックが発生が抑制された硬化膜が得られる。
成分Aの相関長ξは、1.03nm〜1.06nmであることが好ましく、1.03nm〜1.05nmであることがより好ましく、1.03nm〜1.04nmであることが更に好ましい。
相関長ξとは、溶液における高分子間距離を特徴付ける長さのパラメータである。本発明では、従来使用されているチタノキサンに比べて、相関長ξが短いチタノキサンを使用する。
本発明において、相関長ξは、小角X線散乱測定のデータを、Ornstein−Zernikeの式にフィッティングすることにより求めることができる。より詳細には、チタノキサンを27質量%含有するイソプロパノール溶液を調製し、室温(25℃)で小角X線散乱測定を行い、得られたデータを、下記式A(Ornstein−Zernikeの式)にフィッティングする。
Figure 2016153451
ここで、式A中、Iは散乱強度を表し、qは散乱ベクトルの絶対値、ξは相関長である。また、qは、q=(4π/λ)sinθを満たし、2θは散乱角であり、λはX線波長である。相関長ξは、小角X線散乱測定における散乱強度の散乱角ないしは散乱ベクトル依存性(スペクトル)から、フィッティングにより求める。
チタノキサンは、ポリチタノキサンとも称され、Ti−O−Ti結合を2以上有する化合物である。その製造方法としては、例えば、チタンテトラアルコキシドを、水を用いて加水分解縮合させて得る方法が挙げられる。この他にも、チタンテトラクロライドなどのハロゲン化チタンを加水分解・縮合させてもよい。中でも合成の容易性から、チタンアルコキシド、チタンクロライドが好ましく、チタンアルコキシドがより好ましい。
チタンアルコキシドとしては下記式a1−1で表される化合物が好ましく例示される。
Figure 2016153451
式a1−1中、R1〜R4はそれぞれ独立に、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数6〜18のアリール基、又は、炭素数7〜18のアラルキル基を表す。
式a1−1におけるR1〜R4はそれぞれ独立に、膜物性の観点から、炭素数1〜18のアルキル基であることが好ましく、炭素数1〜8のアルキル基であることがより好ましく、炭素数1〜5のアルキル基であることが特に好ましい。
式a1−1で表されるチタンテトラアルコキシドとしては、以下の具体例に限定はされないが、例えば、チタンテトラエトキシド、チタンテトラn−プロポキシド、チタンテトライソプロポキシド、チタンテトラn−ブトキシド、チタンテトライソブトキシド、チタンジイソプロポキシジn−ブトキシド、チタンジt−ブトキシジイソプロポキシド、チタンテトラt−ブトキシド、チタンテトライソオクチロキシド、チタンテトラ2−エチルヘキロキシド、チタンテトラステアリルアルコキシド等が挙げられる。これらの中でも、所望の相関長ξのチタノキサンを得る観点から、チタンテトラn−ブトキシド(チタンテトラノルマルブトキシドともいう。)であることが特に好ましい。
これらは、1種単独又は2種類以上混合して用いることができる。
成分Aは、アルコキシ基を有するチタン化合物(チタンアルコキシド)を、チタン原子の総モル量1.0モルに対して、0.5〜1.9倍モル当量の水により加水分解縮合させて得られるチタノキサンであることが好ましい・
なお、ハロゲノ基を有するチタン化合物を用いる場合には、アルコキシ基を有するチタン化合物と併用するか、ハロゲノ基を有するチタン化合物であり、かつ少なくともアルコキシ基を1つ以上有する化合物を用いるか、又は、水に加えアルコール化合物を添加して加水分解縮合することが好ましい。ハロゲノ基を有するチタン化合物としては、チタンモノハライド、チタンジハライド、チタントリハライド、及び、チタンテトラハライドが挙げられるが、膜物性の観点から、チタンテトラハライドが好ましく挙げられる。これらは、1種単独又は2種類以上混合して用いることができる。
また、上記加水分解縮合には、水だけでなく、溶剤等を使用してもよく、添加剤として、アルコール化合物を使用してもよい。また、溶剤としては、アルコール化合物が好適に挙げられる。アルコール化合物としては、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール(イソプロパノールともいう。)、ブタノールが好ましく例示され、これらの中でも、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノールがより好ましく、2−プロパノールが更に好ましい。
得られる膜の機械強度の観点から、上記加水分解縮合に用いられる水の量は、原料におけるチタン原子の総モル量1.0モルに対して、0.5〜1.9モル当量であることが好ましく、下限としては、膜強度の観点から、0.9モル当量以上が好ましく、1.2モル当量以上がより好ましく、また、上限としては、膜柔軟性の観点から、1.8モル当量以下が好ましく、1.7モル当量以下がより好ましい。
成分Aは、組成物の保存安定性及び膜物性の観点から、チタン原子に直結するアルコキシ基を少なくとも1つ有するチタノキサン(以下、単に「チタノキサン」ともいう。)、を含む。
これらの中でも、上述のように、成分Aは、アルコキシ基を有するチタン化合物を、チタン原子の総モル量1.0モルに対して、0.5〜1.9倍モル当量の水により加水分解縮合させて得られるチタノキサンであることが好ましく、上記アルコキシ基を有するチタン化合物として、チタンテトラブトキシドを使用することが好ましく、チタンテトラノルマルブトキシドを使用することがより好ましい。水の量は、チタンテトラブトキシド1モルに対して、0.9モル当量以上が好ましく、1.0モル当量以上がより好ましく、また、上限としては、膜柔軟性の観点から、1.8モル当量以下が好ましく、1.7モル当量以下がより好ましい。また、水と共に、イソプロパノールの存在下で加水分解縮合を行うことが好ましい。
加水分解縮合を行う温度は特に限定されないが、0℃〜40℃であることが好ましく、0〜30℃であることがより好ましく、0〜25℃であることが更に好ましい。
加水分解縮合を行う時間は特に限定されないが、1〜10時間であることが好ましく、2〜7時間であることが好ましく、3〜5時間であることがより好ましい。
より具体的には、チタンテトラブトキシドをイソプロパノール中に溶解させた後、これに、水及びイソプロパノールの混合液を滴下し、加水分解縮合反応を行うことが好ましい。
なお、混合液の滴下を冷却下で行い、冷却しながら加水分解縮合を進行させ、その後、昇温して更に加水分解縮合を進行させることが好ましい。
上記冷却温度は、0〜10℃であることが好ましく、0〜5℃であることがより好ましく、0〜3℃であることが更に好ましい。
また、昇温した温度は、20〜40℃であることが好ましく、20〜30℃であることがより好ましく、23〜27℃であることが更に好ましい。
混合液の滴下は、撹拌しながら行うことが好ましく、滴下後冷却しながら1分〜60分撹拌を行うことが好ましく、5分〜30分撹拌を行うことがより好ましく、10〜20分撹拌を行うことが更に好ましい。
また、昇温した後の撹拌時間は、1〜10時間であることが好ましく、2〜7時間であることがより好ましく、3〜5時間であることが更に好ましい。
上記の合成反応により、相関長ξが1.03nm以上1.07nm未満のチタノキサンが得られるので好ましい。
チタノキサンは、直鎖状、分枝状、三次元網目状、ペンダント状、ラダー状、籠状等のいずれの重合体形態であってもよく、特にその形態は限定されるものではないが、その相関長ξが1.03nm以上1.07nm未満を満たす必要があり、また、成分Bと相溶性を有するチタノキサンであることが好ましい。また、チタノキサンは、常温(25℃)で固体であっても液体であってもよい。
チタノキサンの重量平均分子量としては、特に制限されないが、500〜50,000が好ましく、1,000〜20,000がより好ましい。
上記チタノキサンは、下記式a2−1で表されるチタノキサンであることが膜物性の観点から好ましい。
Tiαβ(OR)γ (a2−1)
式a2−1及び式a2−2中、Rはそれぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数6〜18のアリール基、又は、炭素数7〜18のアラルキル基を表し、α、β及びγは、下記の条件a’〜c’を満たし、αは正の整数を表し、β及びγは正の数を表す。
a’:200≧α≧2、
b’:1.9α≧β≧1.0α、
c’:γ=4α−2β
上記成分Aは、単一の組成のものであっても、2種類以上の混合物であってもよい。
成分Aの含有量は、硬化性組成物の全固形分に対し、屈折率調整の観点から、30〜90質量%であることが好ましく、40〜85質量%であることがより好ましく、50〜85質量%であることが更に好ましく、60〜80質量%であることが特に好ましい。なお、硬化性組成物における「固形分」とは、溶剤等の揮発性成分を除いた成分を表し、また、成分Bには一部沸点の低い化合物も含まれるが、チタンに配位することで揮発性が失われるため、本発明における成分Bは固形分に含まれるものとする。また、上記固形分は、固体でなく、液状のものであってもよいことはいうまでもない。
また、本発明における硬化性組成物の全固形分に対するチタン原子の総含有量は、高屈折率及び膜物性の観点から、5〜60質量%が好ましく、10〜50質量%がより好ましく、15〜40質量%が更に好ましい。
成分B:b1及びb2よりなる群から選ばれた少なくとも1種
本発明の硬化性組成物は、成分Bとして、下記b1及びb2よりなる群から選ばれた少なくとも1種とを含有する。
b1:チタン配位性基及びエチレン性不飽和基を有する化合物、
b2:チタン配位性基を有する化合物及びエチレン性不飽和基を有する化合物。
本発明の硬化性組成物は、成分Bとして、チタン配位性基及びエチレン性不飽和基を有する化合物を少なくとも含有するか、チタン配位性基を有する化合物及びエチレン性不飽和基を有する化合物の両方を少なくとも含有する。
また、本発明において、成分Bに該当する化合物は、1つ以上のチタン配位性基を有するか、1つ以上のエチレン性不飽和基を有するか、又は、その両方を有する化合物である。
成分Bとしては、現像性の観点から、b2を少なくとも含むことが好ましい。
また、成分Bとしては、耐薬品性の観点から、エチレン性不飽和基を有する化合物を少なくとも含むことが好ましく、チタン配位性基を有しないエチレン性不飽和基を有する化合物を少なくとも含むことがより好ましい。
本発明における「チタン配位性基」とは、チタン原子と配位結合を形成可能な基である。また、チタン配位性基により形成される配位は、単座配位(一座配位)、二座配位、三座配位、及び、四座以上の配位のいずれであってもよいが、上記配位性基は、単座配位又は二座配位の配位性基であることが好ましく、二座配位の配位性基であることがより好ましい。
更に、チタン配位性基は、チタン原子に配位して、チタン原子上の中性配位子となる基であることが好ましい。
チタン配位性基を少なくとも有する化合物が、成分Aに配位した場合、成分Aにおける配位されたチタン原子のd軌道のエネルギー準位が分裂する。よって、エネルギー準位の分裂を観測することで配位の有無が分かる。
チタン配位性基であるか否かを確認する方法としては、配位の有無を観測する方法が挙げられる。具体的な配位の有無の観測方法としては、公知の観測方法を使用でき、例えば、分光学的手法や電子スピン共鳴法(ESR)などが挙げられる。
本発明におけるチタン配位性基は、組成物の安定性や膜物性の観点から、酸素原子を有する基であることが好ましく、2以上の酸素原子を有する基であることがより好ましく、2つの酸素原子が2〜4原子の他の原子を間に介して結合している構造を少なくとも有する基であることが更に好ましく、2つの酸素原子が3又は4原子の他の原子を間に介して結合している構造を少なくとも有する基であることが特に好ましい。また、上記酸素原子の少なくとも1つは、カルボニル基又はエステル構造におけるカルボニル基の酸素原子であることが好ましい。
また、本発明におけるチタン配位性基は、組成物の安定性や膜物性の観点から、チタン原子に酸素原子によって配位可能な基であることが好ましい。
本発明におけるチタン配位性基としては、1,2−ジケトン構造、1,3−ジケトン構造、1,4−ジケトン構造、α−ヒドロキシケトン構造、α−ヒドロキシエステル構造、α−ケトエステル構造、β−ケトエステル構造、マロン酸ジエステル構造、フマル酸ジエステル構造、及び、フタル酸ジエステル構造よりなる群から選ばれた少なくとも1つの構造を有する基であることが好ましく、1,2−ジケトン構造、1,3−ジケトン構造、α−ヒドロキシケトン構造、α−ヒドロキシエステル構造、α−ケトエステル構造、β−ケトエステル構造、及び、フタル酸ジエステル構造よりなる群から選ばれた少なくとも1つの構造を有する基であることがより好ましく、1,3−ジケトン構造、α−ヒドロキシケトン構造、β−ケトエステル構造、及び、フタル酸ジエステル構造よりなる群から選ばれた少なくとも1つの構造を有する基であることが更に好ましく、1,3−ジケトン構造、α−ヒドロキシケトン構造、及び、β−ケトエステル構造よりなる群から選ばれた少なくとも1つの構造を有する基であることが特に好ましく、1,3−ジケトン構造、及び、β−ケトエステル構造よりなる群から選ばれた少なくとも1つの構造を有する基であることが最も好ましい。上記態様であると、得られる硬化膜の屈折率及び保存安定性により優れる。
本発明におけるチタン配位性基としては、下記式b−1〜式b−5で表される構造のいずれかを有する基が好ましく、下記式b−1、式b−2、式b−3又は式b−5で表される構造を有する基がより好ましく、下記式b−1、式b−2又は式b−3で表される構造を有する基が更に好ましく、下記式b−1又は式b−2で表される構造を有する基が特に好ましい。
Figure 2016153451
式b−1〜式b−5中、L1及びL2はそれぞれ独立に、単結合又は炭素数1若しくは2のアルキレン基を表し、R’はそれぞれ独立に、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、アシル基又はアルコキシカルボニル基を表し、nbは0〜4の整数を表し、波線部分は、他の構造との結合位置を表す。
1及びL2は、メチレン基であることが好ましい。
R’の炭素数は、0〜20であることが好ましい。また、R’はそれぞれ独立に、アルキル基、アルコキシ基又はハロゲン原子であることが好ましい。
nbは0又は1であることが好ましく、0であることがより好ましい。
チタン配位性基として具体的には、下記に示す基が好ましく挙げられる。なお、波線部分は、他の構造との結合位置を表す。
Figure 2016153451
成分Bにおけるエチレン性不飽和基としては、特に制限はないが、(メタ)アクリロキシ基、(メタ)アクリルアミド基、アリル基、スチリル基、及び、ビニルオキシ基が好ましく挙げられ、(メタ)アクリロキシ基、及び、アリル基がより好ましく挙げられ、(メタ)アクリロキシ基が特に好ましく挙げられる。
b1におけるチタン配位性基及びエチレン性不飽和基を有する化合物としては、現像性の観点から、1,3−ジケトン構造又はβ−ケトエステル構造を有する(メタ)アクリレート化合物、又は、フタル酸ジエステル構造を有するエチレン性不飽和化合物であることが好ましく、1,3−ジケトン構造又はβ−ケトエステル構造を有する(メタ)アクリレート化合物であることがより好ましい。
また、チタン配位性基及びエチレン性不飽和基を有する化合物は、1種単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。
上記チタン配位性基及びエチレン性不飽和基を有する化合物としては、硬化膜の耐薬品性の観点から、チタン配位性基を有する(メタ)アクリレート化合物であることが好ましく、チタン配位性基を有する単官能(メタ)アクリレート化合物であることがより好ましく、下記式(1)に示す化合物であることが更に好ましい。
Figure 2016153451
式1中、Rは水素原子又はアルキル基を表す。
上記b2におけるチタン配位性基を有する化合物は、エチレン性不飽和基を有しないチタン配位性基を有する化合物である。
また、エチレン性不飽和基を有しないチタン配位性基を有する化合物は、1種単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。
上記エチレン性不飽和基を有しないチタン配位性基を有する化合物としては、1,2−ジケトン化合物、1,3−ジケトン化合物、1,4−ジケトン化合物、α−ヒドロキシケトン化合物、α−ヒドロキシエステル化合物、α−ケトエステル化合物、β−ケトエステル化合物、マロン酸ジエステル化合物、フマル酸ジエステル化合物、又は、フタル酸ジエステル化合物が好ましく、1,2−ジケトン化合物、1,3−ジケトン化合物、α−ヒドロキシケトン化合物、α−ケトエステル化合物、β−ケトエステル化合物、又は、フタル酸ジエステル化合物がより好ましく、1,3−ジケトン化合物、α−ヒドロキシケトン化合物、又は、β−ケトエステル化合物が更に好ましく、1,3−ジケトン化合物、又は、β−ケトエステル化合物が特に好ましい。
上記エチレン性不飽和基を有しないチタン配位性基を有する化合物の具体例としては、下記に示す化合物が挙げられる。
Figure 2016153451
これらの中でも、アセチルアセトン(2,4−ペンタジオン)、アセト酢酸エチル(3−オキソ酪酸エチル)、又は、乳酸エチルが好ましく、アセチルアセトン、又は、アセト酢酸エチルが特に好ましい。
上記b2におけるエチレン性不飽和基を有する化合物としては、エチレン性不飽和基を有する化合物が好ましい。エチレン性不飽和基を有する化合物としては、エチレン性不飽和基を有する化合物であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、エステル化合物、アミド化合物、ウレタン化合物及びその他の化合物が挙げられる。
エチレン性不飽和基を有する化合物としては、単官能エチレン性不飽和化合物、多官能エチレン性不飽和化合物のいずれであってもよいが、多官能エチレン性不飽和化合物を含むことが好ましく、多官能エチレン性不飽和化合物であることがより好ましい。
上記エステル化合物としては、例えば、(メタ)アクリル酸エステル、イタコン酸エステル、クロトン酸エステル、イソクロトン酸エステル、マレイン酸エステル、その他のエステル化合物などが挙げられる。これらの中でも、多官能(メタ)アクリル酸エステル(多官能(メタ)アクリレート化合物)等が好ましい。
上記多官能(メタ)アクリレート化合物としては、例えば、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、テトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ソルビトールトリ(メタ)アクリレート、ソルビトールテトラ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。中でも、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、及び、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートが特に好ましい。
上記多官能(メタ)アクリル酸エステルの他の例としては、グリセリンやトリメチロールエタン、ビスフェノールA等の多官能アルコールにエチレンオキサイドやプロピレンオキサイドを付加させた後(メタ)アクリレート化したもの、特公昭48−41708号公報、特公昭50−6034号公報、特開昭51−37193号公報に記載のウレタンアクリレート類、特開昭48−64183号公報、特公昭49−43191号公報、及び特公昭52−30490号公報に記載のポリエステルアクリレート類、エポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸との反応生成物であるエポキシアクリレート類、特開昭60−258539号公報に記載の(メタ)アクリル酸エステルやウレタン(メタ)アクリレートやビニルエステルなどが挙げられる。
他の多官能エチレン性不飽和化合物としては、例えば、トリメチロールプロパントリ(アクリロイルオキシプロピル)エーテル、トリ(アクリロイロキシエチル)イソシアヌレート、日本接着協会誌Vol.20,No.7,第300〜308頁に記載の光硬化性モノマー及びオリゴマーなどが挙げられる。
また、上記のアミド化合物としては、例えば、不飽和カルボン酸と脂肪族多価アミン化合物とのアミド(モノマー)などが挙げられ、具体的には、メチレンビス(メタ)アクリルアミド、1,6−ヘキサメチレンビス(メタ)アクリルアミド、ジエチレントリアミントリス(メタ)アクリルアミド、キシリレンビス(メタ)アクリルアミド、などが挙げられ、また、特開昭60−258539号公報に記載の(メタ)アクリル酸アミドなどが挙げられる。
また、上記のウレタン化合物としては、イソシアネートと水酸基との付加反応を用いて製造されるウレタン連鎖重合性化合物が例示され、例えば、ペンタエリスリトールトリアクリレートとヘキサメチレンジイソシアネートとのウレタン化物、ペンタエリスリトールトリアクリレートとトルエンジイソシアネートとのウレタン化物、ペンタエリスリトールトリアクリレートとイソホロンジイソシアネートとのウレタン化物、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートとヘキサメチレンジイソシアネートとのウレタン化物、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートとトルエンジイソシアネートとのウレタン化物、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートとイソホロンジイソシアネートとのウレタン化物等が挙げられる。
具体的には、特開2011−126921号公報、特開昭51−37193号公報、特公平2−32293号公報、特公平2−16765号公報に記載されているようなウレタンアクリレート類が例示され、これらの記載は本願明細書に組み込まれる。
また、他の多官能エチレン性不飽和化合物としては、特開昭60−258539号公報、国際公開第2010/050580号に記載のアリル化合物やアルケニル基含有化合物、などが挙げられる。
具体的には、1,2−ジビニルベンゼン、1,4−ジビニルベンゼン、1,2−ジアリルベンゼン、1,3−ジアリルベンゼン、1,4−ジアリルベンゼン、1,3,5−トリビニルベンゼン、1,3,5−トリアリルベンゼン、1,2,4,5−テトラアリルベンゼン、へキサアリルベンゼン、ジビニルトルエン、ビスフェノールAジアリルエーテル、1,2−ジアリルオキシベンゼン、1,4−ジアリルオキシベンゼン、テレフタル酸ジアリル、イソフタル酸ジアリル、1,4−ビス(ジメチルビニルシリル)ベンゼン、ジビニルメチルフェニルシラン、ジビニルジフェニルシラン、ジアリルジフェニルシランなどを挙げることができる。
上記多官能エチレン性不飽和化合物におけるエチレン性不飽和基の数は、2〜20であることが好ましく、2〜16であることがより好ましく、3〜10であることが更に好ましい。
単官能エチレン性不飽和化合物としては、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、マレイン酸等の不飽和カルボン酸類及びそれらの塩、(メタ)アクリレート類、(メタ)アクリルアミド類、(メタ)アクリロニトリル類、スチレン類等の単官能エチレン性不飽和化合物が挙げられる。
また、ヒドロキシル基やアミノ基、メルカプト基等の求核性置換基を有する不飽和カルボン酸エステル又はアミド類とイソシアネート類又はエポキシ類との付加反応物、及び、単官能又は多官能のカルボン酸との脱水縮合反応物等も好適に使用される。
更に、イソシアナト基(イソシアネート基)や、エポキシ基等の親電子性置換基を有する不飽和カルボン酸エステル又はアミド類とアルコール類、アミン類、チオール類との付加反応物、更にハロゲノ基や、トシルオキシ基等の脱離性置換基を有する不飽和カルボン酸エステル又はアミド類とアルコール類、アミン類、チオール類との置換反応物も好適である。
また、別の例として、上記の不飽和カルボン酸の代わりに、不飽和ホスホン酸、スチレン、ビニルエーテル等に置き換えた化合物群を使用することも可能である。
単官能エチレン性不飽和化合物としては、特に制限はなく、上記例示した化合物の他、公知の種々の化合物を用いることができ、例えば、特開2009−204962号公報に記載の化合物などを使用してもよい。
更に単官能エチレン性不飽和化合物としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、カルビトール(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸誘導体、N−ビニルピロリドン、N−ビニルカプロラクタム等のN−ビニル化合物類、アリルグリシジルエーテル等のアリル化合物の誘導体が好ましく用いられる。
エチレン性不飽和基を有する化合物は、1種単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。
本発明の硬化性組成物がb2を含有する、すなわち、チタン配位性基を有する化合物とエチレン性不飽和基を有する化合物とを含有する場合、本発明の硬化性組成物における、チタン配位性基を有する化合物の含有量BW1と、エチレン性不飽和基を有する化合物の含有量BW2との質量比が、BW1:BW2=1:20〜20:1であることが好ましく、1:10〜10:1であることがより好ましく、2:8〜8:2であることが更に好ましく、3:7〜7:3であることが特に好ましい。
成分Bに該当する各化合物の分子量は、80〜2,000であることが好ましく、100〜1,000であることがより好ましい。
チタン配位性基を有しないエチレン性不飽和基を有する化合物の含有量は、硬化性組成物の全固形分に対して、1〜50質量%が好ましく、5〜40質量%がより好ましい。
本発明の硬化性組成物において、成分Bの含有量は、硬化膜の屈折率と現像性との両立の観点から、硬化性組成物の全固形分に対し、5〜59質量%であることが好ましく、10〜55質量%であることがより好ましく、15〜50質量%であることが更に好ましく、25〜45質量%であることが特に好ましい。
また、本発明の硬化性組成物において、上記チタン配位性基及びエチレン性不飽和基を有する化合物、並びに、上記チタン配位性基を有する化合物の総含有量は、硬化物の屈折率と現像性との両立、及び、保存安定性などの観点から、成分Aの含有量100質量部に対し、15〜140質量部であることが好ましく、15〜80質量部であることがより好ましく、20〜60質量部であることが更に好ましい。
成分C:溶剤
本発明の硬化性組成物は、成分Cとして、溶剤を含有する。また、本発明における溶剤は、成分B以外の化合物であり、成分Bに該当する化合物は、溶剤に含めないものとする。
本発明の硬化性組成物は、必須成分と、後述の任意成分とを、溶剤に溶解又は分散した溶液又は分散液として調製されることが好ましい。
本発明の硬化性組成物に使用される溶剤としては、公知の溶剤を用いることができ、アルコール類、エチレングリコールモノアルキルエーテル類、エチレングリコールジアルキルエーテル類、エチレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類、プロピレングリコールモノアルキルエーテル類、プロピレングリコールジアルキルエーテル類、プロピレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類、ジエチレングリコールジアルキルエーテル類、ジエチレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類、ジプロピレングリコールモノアルキルエーテル類、ブチレングリコールジアセテート類、ジプロピレングリコールジアルキルエーテル類、ジプロピレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類、エステル類、ケトン類、アミド類、ラクトン類等が例示できる。この他の具体例としては特開2009−098616号公報の段落0062を参照できる。
これらの溶剤の中でも、好ましい具体例としては、ブタノール、テトラヒドロフルフリルアルコール、フェノキシエタノール、1,3−ブチレングリコールジアセテート、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを挙げることができ、ブタノール、1,3−ブチレングリコールジアセテート、ジエチレングリコールメチルエチルエーテルをより好ましく挙げることができる。
溶剤の沸点は、塗布性の観点から、100℃〜300℃が好ましく、120℃〜250℃がより好ましい。
本発明に用いることができる溶剤は、1種単独、又は、2種以上を併用することができる。沸点の異なる溶剤を併用することも好ましい。
本発明の硬化性組成物における溶剤の含有量は、塗布に適した粘度に調整するという観点から、硬化性組成物の全固形分100質量部あたり、100〜3,000質量部であることが好ましく、200〜2,000質量部であることがより好ましく、250〜1,000質量部であることが更に好ましい。
本発明の硬化性組成物の粘度は、1〜200mPa・sが好ましく、2〜100mPa・sがより好ましく、3〜50mPa・sが更に好ましい。
粘度は、例えば、東機産業(株)製のRE−80L型回転粘度計を用いて、25±0.2℃で測定することが好ましい。測定時の回転速度は、5mPa・s未満は100rpm、5mPa・s以上10mPa・s未満は50rpm、10mPa・s以上30mPa・s未満は20rpm、30mPa・s以上は10rpmで、それぞれ行うことが好ましい。
成分D:光重合開始剤
本発明の硬化性組成物は、成分Dとして、光重合開始剤を含有することが好ましい。
光重合開始剤としては、光ラジカル重合開始剤を含有することが好ましい。
本発明において光重合開始剤は、活性光線により、エチレン性不飽和基などの重合性基を有する化合物等の重合性化合物の重合を開始、促進可能な化合物である。
「活性光線」とは、その照射により成分Dより開始種を発生させることができるエネルギーを付与することができる活性エネルギー線であれば、特に制限はなく、広くα線、γ線、X線、紫外線(UV)、可視光線、電子線などを包含するものである。これらの中でも、紫外線を少なくとも含む光が好ましい。
光重合開始剤としては、例えば、オキシムエステル化合物、有機ハロゲン化化合物、オキシジアゾール化合物、カルボニル化合物、ケタール化合物、ベンゾイン化合物、アクリジン化合物、有機過酸化化合物、アゾ化合物、クマリン化合物、アジド化合物、メタロセン化合物、ヘキサアリールビイミダゾール化合物、有機ホウ酸化合物、ジスルホン酸化合物、オニウム塩化合物、アシルホスフィン(オキシド)化合物が挙げられる。これらの中でも、感度の点から、オキシムエステル化合物、ヘキサアリールビイミダゾール化合物が好ましく、オキシムエステル化合物がより好ましい。
オキシムエステル化合物としては、特開2000−80068号公報、特開2001−233842号公報、特表2004−534797号公報、特開2007−231000号公報、特開2009−134289号公報、及び、国際公開第2012/057165号公報の段落0046〜0059に記載の化合物を使用できる。
有機ハロゲン化化合物の例としては、具体的には、若林等、「Bull Chem. Soc. Japan」42、2924(1969)、米国特許第3,905,815号明細書、特公昭46−4605号公報、特開昭48−36281号公報、特開昭55−32070号公報、特開昭60−239736号公報、特開昭61−169835号公報、特開昭61−169837号公報、特開昭62−58241号公報、特開昭62−212401号公報、特開昭63−70243号公報、特開昭63−298339号公報、M.P.Hutt“Journal of Heterocyclic Chemistry”1(No3),(1970)等に記載の化合物が挙げられ、特に、トリハロメチル基が置換したオキサゾール化合物、s−トリアジン化合物が挙げられる。
ヘキサアリールビイミダゾール化合物の例としては、例えば、特公平6−29285号公報、米国特許第3,479,185号、同第4,311,783号、同第4,622,286号等の各明細書に記載の種々の化合物が挙げられる。
アシルホスフィン(オキサイド)化合物としては、モノアシルホスフィンオキサイド化合物、及び、ビスアシルホスフィンオキサイド化合物が例示され、具体的には例えば、BASF社製のIRGACURE 819、ダロキュア4265、ダロキュアTPOなどが挙げられる。
アセトフェノン化合物としては、BASF社製のIRGACURE 127が例示できる。
光重合開始剤は、1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。また、露光波長に吸収を持たない光重合開始剤を用いる場合には、増感剤を使用することもできる。
本発明の硬化性組成物における光重合開始剤の総量は、組成物中の全固形分100質量部に対して、0.5〜30質量部であることが好ましく、1〜20質量部であることがより好ましく、1〜10質量部であることが更に好ましく、2〜5質量部であることが特に好ましい。
なお、本発明においては、光重合開始剤が、チタン配位性基を有する場合でも、b1におけるチタン配位性基並びにエチレン性不飽和基を有する化合物、又は、b2におけるチタン配位性基を有する化合物としては扱わないものとする。
−増感剤−
本発明の硬化性組成物には、光重合開始剤の他に、増感剤を加えることもできる。
増感剤は、活性光線又は放射線を吸収して励起状態となる。励起状態となった増感剤は、成分Cとの相互作用により、電子移動、エネルギー移動、発熱などの作用が生じ、重合を開始・促進できる。
好ましい増感剤の例としては、以下の化合物類に属しており、かつ350nmから450nm域に吸収波長を有する化合物を挙げることができる。多核芳香族類(例えば、ピレン、ペリレン、トリフェニレン、アントラセン、フェナントレン)、キサンテン類(例えば、フルオレッセイン、エオシン、エリスロシン、ローダミンB、ローズベンガル)、キサントン類(例えば、キサントン、チオキサントン、ジメチルチオキサントン、ジエチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、2−クロロチオキサントン)、シアニン類(例えば、チアカルボシアニン、オキサカルボシアニン)、メロシアニン類(例えば、メロシアニン、カルボメロシアニン)、ローダシアニン類、オキソノール類、チアジン類(例えば、チオニン、メチレンブルー、トルイジンブルー)、アクリジン類(例えば、アクリジンオレンジ、クロロフラビン、アクリフラビン、ベンゾフラビン)、アクリドン類(例えば、アクリドン、10−ブチル−2−クロロアクリドン)、アントラキノン類(例えば、アントラキノン、9,10−ジブトキシアントラセン)、スクアリウム類(例えば、スクアリウム)、スチリル類、ベーススチリル類、クマリン類(例えば、7−ジエチルアミノ−4−メチルクマリン、ケトクマリン)、カルバゾール類(例えば、N−ビニルカルバゾール)、カンファーキノン類、フェノチアジン類。
この他、本発明において用いることができる典型的な増感剤としては、クリベロ〔J. V. Crivello, Adv. in Polymer Sci., 62, 1 (1984)〕に開示しているものが挙げられる。
増感剤の好ましい具体例としては、ピレン、ペリレン、アクリジンオレンジ、チオキサントン、2−クロロチオキサントン、ベンゾフラビン、N−ビニルカルバゾール、9,10−ジブトキシアントラセン、アントラキノン、クマリン、ケトクマリン、フェナントレン、カンファーキノン、フェノチアジン類などを挙げることができる。増感剤は、重合開始剤100質量部に対し、30〜200質量部の割合で添加することが好ましい。
成分E:界面活性剤
本発明の硬化性組成物は、界面活性剤を含有してもよい。
界面活性剤としては、アニオン系、カチオン系、ノニオン系、又は、両性のいずれでも使用することができるが、好ましい界面活性剤はノニオン系界面活性剤である。また、界面活性剤としては、フッ素系界面活性剤が好ましく、フッ素系ノニオン界面活性剤がより好ましい。
本発明に用いることができる界面活性剤としては、例えば、市販品である、メガファックF142D、同F172、同F173、同F176、同F177、同F183、同F479、同F482、同F554、同F780、同F781、同F781−F、同R30、同R08、同F−472SF、同BL20、同R−61、同R−90(DIC(株)製)、フロラードFC−135、同FC−170C、同FC−430、同FC−431、Novec FC−4430(住友スリーエム(株)製)、アサヒガードAG7105、7000、950、7600、サーフロンS−112、同S−113、同S−131、同S−141、同S−145、同S−382、同SC−101、同SC−102、同SC−103、同SC−104、同SC−105、同SC−106(旭硝子(株)製)、エフトップEF351、同352、同801、同802(三菱マテリアル電子化成(株)製)、フタージェント250(ネオス(株)製)が挙げられる。また、上記以外にも、KP(信越化学工業(株)製)、ポリフロー(共栄社化学(株)製)、エフトップ(三菱マテリアル電子化成(株)製)、メガファック(DIC(株)製)、フロラード(住友スリーエム(株)製)、アサヒガード、サーフロン(旭硝子(株)製)、PolyFox(OMNOVA社製)等の各シリーズを挙げることができる。
また、界面活性剤としては、特開2014−238438号公報段落0151〜0155に記載の化合物も好ましい例として挙げることができる。
これら界面活性剤は、1種単独又は2種以上を混合して使用することができる。
本発明の硬化性組成物における界面活性剤の含有量は、配合する場合、硬化性組成物の全固形分中100質量部に対して、0.001〜5.0質量部が好ましく、0.01〜2.0質量部がより好ましい。
−その他の成分−
本発明の硬化性組成物には、必要に応じて、エポキシ基を有する化合物、オキセタニル基を有する化合物、メルカプト化合物、アルコキシシラン化合物、架橋剤、酸化防止剤、金属酸化物粒子、可塑剤、重合禁止剤、熱酸発生剤、酸増殖剤、バインダーポリマー等のその他の成分を添加することができる。これらの成分については、例えば、特開2014−235216号公報の段落0102〜0104、特開2014−235216号公報の段落0106〜0108、特開2014−44278号公報段落0156〜0163、特開2014−238438号公報、特開2007−334322号公報の段落0154〜0173、特開2009−98616号公報、特開2009−244801号公報に記載のもの、その他公知のものを用いることができる。また、“高分子添加剤の新展開((株)日刊工業新聞社)”に記載の各種紫外線吸収剤や、金属不活性化剤等を本発明の硬化性組成物に添加してもよい。
<重合禁止剤>
本発明の硬化性組成物は、重合禁止剤を含有してもよい。
重合禁止剤とは、重合開始剤から発生した重合開始ラジカル成分に対して水素供与(又は、水素授与)、エネルギー供与(又は、エネルギー授与)、電子供与(又は、電子授与)などを実施し、重合開始ラジカルを失活させ、重合開始を禁止する役割をはたす物質である。例えば、特開2007−334322号公報の段落0154〜0173に記載の化合物などを用いることができる。
好ましい化合物として、フェノチアジン、フェノキサジン、ヒドロキノン、3,5−ジブチル−4−ヒドロキシトルエンを挙げることができる。
重合禁止剤の含有量は、特に制限はないが、硬化性組成物の全固形分に対して、0.0001〜5質量%であることが好ましい。
<硬化性組成物の調製方法>
本発明の硬化性組成物の調製方法としては、特に制限はなく、公知の方法により調製することができ、例えば、各成分を所定の割合でかつ任意の方法で混合し、撹拌溶解及び/又は分散して硬化性組成物を調製することができる。また、例えば、各成分を、それぞれ予め溶剤に溶解させた溶液とした後、これらを所定の割合で混合して硬化性組成物を調製することもできる。以上のように調製した硬化性組成物は、例えば、孔径0.2μmのフィルター等を用いてろ過した後に、使用することもできる。
(硬化膜及びその製造方法)
本発明の硬化膜は、本発明の硬化性組成物を硬化させた硬化膜である。また、本発明の硬化膜は、本発明の硬化膜の製造方法により得られた硬化膜であることが好ましい。
本発明の硬化物の製造方法は、本発明の硬化性組成物を硬化させ硬化物を製造する方法であれば、特に制限はないが、以下の工程1〜工程5をこの順で含むことが好ましい。
工程1:本発明の硬化性組成物を基板上に塗布する塗布工程
工程2:塗布された硬化性組成物から溶剤を除去する溶剤除去工程
工程3:溶剤が除去された硬化性組成物の少なくとも一部を活性光線により露光する露光工程
工程4:露光された硬化性組成物を水性現像液により現像する現像工程
工程5:現像された硬化性組成物を熱処理する熱処理工程
上記塗布工程では、本発明の硬化性組成物を基板上に塗布して溶剤を含む湿潤膜とすることが好ましい。硬化性組成物を基板へ塗布する前にアルカリ洗浄やプラズマ洗浄といった基板の洗浄を行うことができる。更に基板洗浄後にヘキサメチルジシラザン等で基板表面を処理することができる。この処理を行うことにより、硬化性組成物の基板への密着性が向上する傾向にある。
上記の基板としては、無機基板、樹脂、樹脂複合材料などが挙げられる。
無機基板としては、例えば、ガラス、石英、シリコン、シリコンナイトライド、及び、それらのような基板上にモリブデン、チタン、アルミ、銅などを蒸着した複合基板が挙げられる。
樹脂としては、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリアリレート、アリルジグリコールカーボネート樹脂、ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、ポリベンズアゾール、ポリフェニレンサルファイド、ポリシクロオレフィン、ノルボルネン樹脂、ポリクロロトリフルオロエチレン等のフッ素樹脂、液晶ポリマー、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、アイオノマー樹脂、シアネート樹脂、架橋フマル酸ジエステル、環状ポリオレフィン、芳香族エーテル樹脂、マレイミド−オレフィン共重合体、セルロース、エピスルフィド樹脂等の合成樹脂からなる基板が挙げられる。これらの基板は、上記の形態のまま用いられる場合は少なく、通常、最終製品の形態によって、例えば、TFT素子のような多層積層構造が形成されている。
本発明の硬化性組成物は、スパッタリングにより製膜された金属膜や金属酸化物に対する密着がよいため、基板としては、スパッタリングにより製膜された金属膜を含むことが好ましい。金属としては、チタン、銅、アルミニウム、インジウム、スズ、マンガン、ニッケル、コバルト、モリブデン、タングステン、クロム、銀、ネオジウム及びこれらの酸化物又は合金であることが好ましく、モリブデン、チタン、アルミニウム、銅及びこれらの合金であることが更に好ましい。なお、金属や金属酸化物は1種単独で用いても、複数種を併用してもよい。
基板への塗布方法は特に限定されず、例えば、スリットコート法、スプレー法、ロールコート法、回転塗布法、流延塗布法、スリットアンドスピン法、インクジェット法、印刷法(フレキソ、グラビア、スクリーン等)等の方法を用いることができる。インクジェット法、印刷法は必要な箇所に絞って組成物を設置することができ、組成物を省液化できるため、好ましい。
塗布したときの湿潤膜厚は特に限定されるものではなく、用途に応じた膜厚で塗布することができるが、0.05〜10μmの範囲であることが好ましい。
更に、基板に本発明の硬化性組成物を塗布する前に、特開2009−145395号公報に記載されているような、いわゆる、プリウェット法を適用することも可能である。
上記溶剤除去工程では、塗布された上記の膜から、減圧(バキューム)及び/又は加熱等により、溶剤を除去して基板上に乾燥塗膜を形成させる。溶剤除去工程の加熱条件は、好ましくは70〜130℃で30〜300秒間程度である。
なお、上記塗布工程と上記溶剤除去工程とは、この順に行っても、同時に行っても、交互に繰り返してもよい。例えば、上記塗布工程におけるインクジェット塗布が全て終了した後、上記溶剤除去工程を行ってもよいし、基板を加熱しておき、上記塗布工程におけるインクジェット塗布方式による硬化性組成物の吐出を行いながら溶剤除去を行ってもよい。
上記露光工程は、活性光線を用いて光重合開始剤より重合開始種を発生させ、エチレン性不飽和基を有する化合物の重合を行い、溶剤が除去された硬化性組成物の少なくとも一部を硬化する工程である。
上記露光工程に用いることができる露光光源としては、低圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、ケミカルランプ、LED光源、エキシマレーザー発生装置などを用いることができ、i線(365nm)、h線(405nm)、g線(436nm)などの波長300nm以上450nm以下の波長を有する活性光線が好ましく使用できる。また、必要に応じて長波長カットフィルター、短波長カットフィルター、バンドパスフィルターのような分光フィルターを通して照射光を調整することもできる。
露光装置としては、ミラープロジェクションアライナー、ステッパー、スキャナー、プロキシミティ、コンタクト、マイクロレンズアレイ、レンズスキャナ、レーザー露光など各種方式の露光装置を用いることができる。
また、上記露光工程における露光量としても、特に制限はないが、1〜3,000mJ/cm2であることが好ましく、1〜500mJ/cm2であることがより好ましい。
上記露光工程における露光は、酸素遮断された状態で行うことが、硬化促進の観点から好ましい。酸素を遮断する手段としては、窒素雰囲気下で露光したり、酸素遮断膜を設けることが例示される。
また、上記露光工程における露光は、溶剤が除去された硬化性組成物の少なくとも一部に行われればよく、例えば、全面露光であっても、パターン露光であってもよい。
また、上記露光工程後に、露光後加熱処理:Post Exposure Bake(以下、「PEB」ともいう。)を行うことができる。PEBを行う場合の温度は、30℃以上130℃以下であることが好ましく、40℃以上120℃以下がより好ましく、50℃以上110℃以下が特に好ましい。
加熱の方法は特に限定されず、公知の方法を用いることができる。例えば、ホットプレート、オーブン、赤外線ヒーターなどが挙げられる。
また、加熱時間としては、ホットプレートの場合は1分〜30分程度が好ましく、それ以外の場合は20分〜120分程度が好ましい。この範囲で基板、装置へのダメージなく加熱することができる。
本発明の硬化膜の製造方法は、露光された硬化性組成物を現像液により現像する現像工程を更に含むことが好ましい。
現像工程では、パターン状に露光された硬化性組成物を、溶剤やアルカリ性現像液で現像し、パターンを形成する。現像工程で使用する現像液には、塩基性化合物が含まれることが好ましい。塩基性化合物としては、例えば、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ金属水酸化物類;炭酸ナトリウム、炭酸カリウムなどのアルカリ金属炭酸塩類;重炭酸ナトリウム、重炭酸カリウムなどのアルカリ金属重炭酸塩類;テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラプロピルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド、ベンジルトリメチルアンモニウムヒドロキシド、コリンヒドロキシド等のアンモニウムヒドロキシド類等のアンモニウムヒドロキシド類;ケイ酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウムなどの水溶液を使用することができる。また、上記アルカリ類の水溶液にメタノールやエタノールなどの水溶性有機溶剤や界面活性剤を適当量添加した水溶液を現像液として使用することもできる。
好ましい現像液として、テトラメチルアンモニウムヒドロキシドの0.4〜2.5質量%水溶液を挙げることができる。
現像液のpHは、好ましくは10.0〜14.0である。現像時間は、好ましくは30〜500秒間であり、また、現像の手法は液盛り法(パドル法)、シャワー法、ディップ法等のいずれでもよい。
現像の後に、リンス工程を行うこともできる。リンス工程では、現像後の基板を純水などで洗うことで、付着している現像液除去、現像残渣除去を行う。リンス方法は公知の方法を用いることができる。例えばシャワーリンスやディップリンスなどを挙げることができる。
パターン露光及び現像については、公知の方法や公知の現像液を用いることができる。例えば、特開2011−186398号公報、特開2013−83937号公報に記載のパターン露光方法及び現像方法を好適に用いることができる。
本発明の硬化膜の製造方法は、上記露光工程後、露光された硬化性組成物を熱処理する工程を含むことが好ましい。本発明の硬化性組成物を露光した後に熱処理を行うことにより、より強度に優れた硬化膜を得ることができる。
上記熱処理の温度としては、80℃〜300℃であることが好ましく、100℃〜280℃であることがより好ましく、120℃〜200℃であることが特に好ましく、120℃〜150℃であることが最も好ましい。上記態様であると、成分Aの縮合が適度に生じると推定され、硬化膜の物性により優れる。
また、上記熱処理の時間としては、特に制限はないが、1分〜360分が好ましく、5分〜240分がより好ましく、10分〜120分が更に好ましい。
また、上記本発明の硬化膜の製造方法における光及び/又は熱による硬化は、連続して行ってもよいし、逐次行ってもよい。
また、熱処理を行う際は窒素雰囲気下で行うことにより、透明性をより向上させることもできる。
熱処理工程(ポストベーク)の前に、比較的低温でベークを行った後に熱処理工程を行うこともできる(ミドルベーク工程の追加)。ミドルベークを行う場合は、90〜150℃で1〜60分加熱した後に、200℃以上の高温でポストベークすることが好ましい。また、ミドルベーク、ポストベークを3段階以上の多段階に分けて加熱することもできる。このようなミドルベーク、ポストベークの工夫により、パターンのテーパー角を調整することができる。これらの加熱は、ホットプレート、オーブン、赤外線ヒーターなど、公知の加熱方法を使用することができる。
なお、ポストベークに先立ち、パターンを形成した基板に活性光線により全面再露光(ポスト露光)した後、ポストベークすることにより、成分A同士の縮合反応、及び/又は、露光部分に残存する光重合開始剤から熱分解により開始種を発生させ、架橋工程を促進する触媒として機能すると推定され、膜硬化を促進することができる。ポスト露光工程を含む場合の好ましい露光量としては、100〜3,000mJ/cm2が好ましく、100〜500mJ/cm2が特に好ましい。
(硬化膜)
本発明の硬化膜や硬化物(以下、硬化膜等ということがある。)は、本発明の硬化性組成物を硬化して得られたものである。
本発明の硬化膜等は、上述したように現像した硬化膜等であっても、現像していない硬化膜等であってもよいが、本発明の効果をより発揮できる現像した硬化膜等であることが好ましい。
本発明の硬化膜等は、成分Aと、成分B等とにより形成された有機−無機ハイブリッド硬化膜等であって、金属酸化物の結晶の膜ではない。硬化膜等中の金属酸化物の結晶成分は、30体積%以下が好ましく、10体積%以下がより好ましく、含まないことが更に好ましい。このような態様とすることで、クラック耐性が向上する。
本発明の硬化膜等は、屈折率が高く、高い透明性を有するため、マイクロレンズ、光導波路、反射防止膜、太陽電池や有機EL発光素子の光取り込み/取り出し効率改善層、LED用封止材及びLED用チップコート材等の光学部材、有機EL表示装置や液晶表示装置などの表示装置に使用される保護膜や絶縁膜、タッチパネルに使用される配線電極の保護膜として好適に用いることができる。
また、本発明の硬化膜は、液晶表示装置又は有機EL装置等におけるカラーフィルターの保護膜、液晶表示装置における液晶層の厚みを一定に保持するためのスペーサー、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)用デバイスの構造部材等にも好適に用いることができる。
また、本発明の硬化膜等は、タッチパネルに使用される配線電極等の視認性低減層に使用することができる。なお、タッチパネルに使用される配線電極の視認性低減層とは、タッチパネルに使用される配線電極等の視認性を低減する、すなわち、配線電極等を見えにくくする層であり、例えば、タッチ検出電極(例えば、酸化インジウムスズ(ITO)製)間の層間絶縁膜、電極の保護膜(オーバーコート膜)などが挙げられる。また、インデックスマッチング層(IM層、又は、屈折率調整層ということがある。)にも好適である。インデックスマッチング層とは、表示装置の光の反射率や透過率を調整する層である。インデックスマッチング層については特開2012−146217号公報に詳述されており、この内容は本明細書取り込まれる。本発明の硬化膜を視認性低減層に使用することで優れた視認性のタッチパネルとすることができる。
中でも、本発明の硬化膜は、表示装置等における層間絶縁膜又はオーバーコート膜として好適である。
タッチ検出電極間の層間絶縁膜や保護膜に使用される場合は、視認性改良の観点から硬化膜の屈折率は電極の屈折率に近いことが好ましく、具体的には波長550nmの光における屈折率が1.70〜2.40が好ましく、1.60〜2.10がより好ましく、1.80〜2.30が更に好ましく、1.90〜2.20が最も好ましい。
また本発明の硬化膜は、特開2014−238438号公報段落0207〜0208に記載の液晶表示装置、特開2014−238438号公報段落0209に記載の有機EL表示装置、特開2014−238438号公報段落0212〜0223に記載のタッチパネル表示装置、特開2014−238438号公報段落210に記載の用途に好適に用いることができる。
以下に実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り、適宜、変更することができる。したがって、本発明の範囲は以下に示す具体例に限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「部」、「%」は質量基準である。
<合成例1>
チタニウムテトラノルマルブトキシド400.0g(1.18モル)をイソプロピルアルコール248.0gに溶解させた後、0℃まで冷却した。ここに、水21.1g(1.18モル)とイソプロピルアルコール248.0gの混合液を滴下した。滴下終了後、15分間0℃で撹拌した後、室温まで昇温して4時間撹拌を行い、溶液A−1を得た。
<合成例2>
チタニウムテトラノルマルブトキシド400.0g(1.18モル)をイソプロピルアルコール248.0gに溶解させた後、0℃まで冷却した。ここに、水23.2g(1.30モル)とイソプロピルアルコール248.0gの混合液を滴下した。滴下終了後、15分間0℃で撹拌した後、室温まで昇温して4時間撹拌を行い、溶液A−2を得た。
<合成例3>
チタニウムテトラノルマルブトキシド400.0g(1.18モル)をイソプロピルアルコール248.0gに溶解させた後、0℃まで冷却した。ここに、水26.4g(1.48モル)とイソプロピルアルコール248.0gの混合液を滴下した。滴下終了後、15分間0℃で撹拌した後、室温まで昇温して4時間撹拌を行い、溶液A−3を得た。
<合成例4>
チタニウムテトラノルマルブトキシド400.0g(1.18モル)をイソプロピルアルコール248.0gに溶解させた後、0℃まで冷却した。ここに、水20.0g(1.12モル)とイソプロピルアルコール248.0gの混合液を滴下した。滴下終了後、15分間0℃で撹拌した後、室温まで昇温して4時間撹拌を行い、溶液A−4を得た。
<合成例5>
チタニウムテトラノルマルブトキシド400.0g(1.18モル)をイソプロピルアルコール248.0gに溶解させた後、0℃まで冷却した。ここに、水19.0g(1.06モル)とイソプロピルアルコール248.0gの混合液を滴下した。滴下終了後、15分間0℃で撹拌した後、室温まで昇温して4時間撹拌を行い、溶液A−5を得た。
<比較合成例1>
チタニウムテトラノルマルブトキシド45.3g(0.133モル)をノルマルブチルアルコール40.0gに溶解させた後、水2.4g(0.133モル)とノルマルブチルアルコール80.0gの混合液を滴下した。滴下終了後、1時間撹拌した後、117℃まで昇温して更に1時間加熱還流し、溶液R−5を得た。
(相関長ξの測定方法)
Bruker AXS社製Nanostarにより、露光を2時間行い、小角散乱測定を行った。得られたスペクトルについて、Ornstein−Zernikeモデルによるフィッティングで相関長(ξ)を評価した。
実施例及び比較例で使用した各成分は、以下の通りである。
(成分A)
・溶液A−1:合成品、ξ1.06nm
・溶液A−2:合成品、ξ1.06nm
・溶液A−3:合成品、ξ1.06nm
・溶液A−4:合成品、ξ1.05nm
・溶液A−5:合成品、ξ1.04nm
(成分A、比較化合物)
・R−1:オルガチックスPC−200(チタンオリゴマー)、松本ファインケミカル(株)製、ξ1.18nm、固形分濃度31.0%
・R−2:B−4(チタンテトラブトキシド重合体)、日本曹達(株)製、ξ1.07nm
・R−3:B−7(チタンテトラブトキシド重合体)、日本曹達(株)製、ξ1.10nm
・R−4:B−10(チタンテトラブトキシド重合体)、日本曹達(株)製、ξ1.18nm
・R−5:溶液R−5(合成品)、ξ1.18nm
・R−6:チタンテトラブトキシド、和光純薬工業(株)製
(成分B)
<チタン配位性基及び重合性基を有する化合物>
・B−1:2−アセトアセトキシエチルメタクリレート(日本合成化学(株)製、AAEM)
<重合性基を含有せず、チタン配位性基を有する化合物>
・B−2:アセチルアセトン(東京化成工業(株)製)
なお、表中、チタン配位性基及び重合性基を有する化合物、並びに、重合性基を含有せず、チタン配位性基を有する化合物を、「配位性基含有化合物」と記載している。
<チタン配位性基を含有せず、重合性基を有する化合物>
・M−1:ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートとジペンタエリスリトールペンタアクリレートとの質量比70:30の混合物
・M−2:ペンタエリスリトールテトラアクリレートとペンタエリスリトールトリアクリレートとの質量比70:30の混合物
なお、表中、チタン配位性基を含有せず、重合性基を含有する化合物を、[重合性基含有化合物]と記載している。
(成分C)
・C−1:MEDG(メチルエチルジグリコール、日本乳化剤(株)製)
・C−2:ジエチレングリコールメチルエチルエーテル/1,3−ブチレングリコールジアセテート=9/1(質量比)の混合溶液
・C−3:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(ダイセル社製)
(成分D)
・D−1:オキシムエステル開始剤(下記化合物、特開2009−134289号公報に記載の特定化合物1の合成方法を参照し、合成した。)
・D−2:CGI124(オクタンジオン−O−ベンゾイルオキシム)、チバスペシャルティケミカルズ社製)
・D−3:CGI−242(カルバゾールオキシム)1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9.H−カルバゾール−3−イル]−エタン−1−オンオキシム−O−アセテート、チバスペシャルティケミカルズ社製)
・D−4:Irgacure907(2−メチル−1−〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルフォリノプロパン−1、チバスペシャルティケミカルズ社製)
Figure 2016153451
(成分E)
・E−1:メガファックF−554(パーフルオロアルキル基含有ノニオン界面活性剤、DIC(株)製)
(実施例1)
<硬化性組成物の作製>
以下のようにして、調製した。
表1記載の各成分を、各成分の固形分が表1に記載の割合になるように混合した。更に表1記載の添加溶剤にて表1記載の固形分濃度となるように希釈し、1時間撹拌した。
次いで、0.45μmのメンブレンフィルターにてろ過を行い、実施例1の硬化性組成物を作製した。なお、表中の「−」の記載は、該当する成分を含有していないことを意味する。
(実施例2〜45及び比較例1〜26)
<硬化性組成物の作製>
下記表1及び表2に記載の各成分及びその配合量、並びに、固形分量に変更した以外は、実施例1の硬化性組成物の作製と同様にして、実施例2〜45及び比較例1〜26の硬化性組成物をそれぞれ作製した。
(硬化性組成物の評価)
作製された硬化性組成物について、以下のようにして評価を行った。評価結果を表1及び表2にまとめて示す。なお、実施例1〜37及び比較例1〜16では、クラックの評価1を行い、実施例38〜45及び比較例17〜26では、クラックの評価2を行った。
<屈折率の評価>
得られた硬化性組成物を、スピナーを用いてシリコンウエハ基板上に塗布し、90℃で100秒乾燥することによって厚さ0.5μmの膜を形成した。この基板を、超高圧水銀灯を用いて150mJ/cm2(i線で測定)で露光し、その後オーブンにて120℃で30分加熱した。
エリプソメーターVUV−VASE(ジェー・エー・ウーラム・ジャパン(株)製)を用いて、550nmでの硬化膜の屈折率を測定した。屈折率が高いほうが好ましく、1.72以上がより好ましい。評価基準を以下に示す。
5:1.72以上
4:1.70以上1.72未満
3:1.63以上1.70未満
2:1.61以上1.63未満
1:1.61未満
<クラックの評価1>
300mm×400mmのガラス基板(商品名:XG、コーニング社製)上に、硬化性組成物を膜厚1.0μmとなるように塗布し、90℃のオーブンで100秒乾燥(プリベーク)した。その後オーブンにて120℃で30分加熱した。
この硬化膜表面を観察し、クラックの量を評価した。クラックが少ないほうが好ましく、発生しないことがより好ましい。評価基準を以下に示す。
3:発生しない
2:部分的に発生する
1:全体に発生する
<クラックの評価2>
300mm×400mmのガラス基板(商品名:XG、コーニング社製)上に、硬化性組成物を膜厚1.5μmとなるように塗布し、90℃のオーブンで100秒乾燥(プリベーク)した。その後オーブンにて150℃で30分加熱した。
この硬化膜表面を観察し、クラックの量を評価した。クラックが少ないほうが好ましく、発生しないことがより好ましい。評価基準を以下に示す。
3:発生しない
2:部分的に発生する
1:全体に発生する
<パターン形成性評価>
300mm×400mmのガラス基板(商品名:XG、コーニング社製)上に、実施例に記載の各硬化性組成物を膜厚1.0μmとなるように塗布し、90℃のオーブンで100秒乾燥(プリベーク)した。その後、ラインアンドスペース1:1の100μm〜1μmラインがあるマスクを介して150mJ/cm2の露光(照度は24mW/cm2)をし、アルカリ現像液(水酸化テトラメチルアンモニウム2.38質量%水溶液)を用いて25℃で現像した。
現像後の基板について、パターン形成の有無を顕微鏡で観察したところ、パターンを形成することがわかった。
Figure 2016153451
Figure 2016153451
1:TFT(薄膜トランジスタ)、2:配線、3:絶縁膜、4:平坦化膜、5:第一電極、6:ガラス基板、7:コンタクトホール、8:絶縁膜、10:液晶表示装置、12:バックライトユニット、14,15:ガラス基板、16:TFT、17:硬化膜、18:コンタクトホール、19:ITO透明電極、20:液晶、22:カラーフィルター、101a,102a:交差部、101b,102b:電極部、111:基板、112:絶縁膜、112a:コンタクトホール、113:保護膜、W:台座層、X,Y:電極

Claims (15)

  1. 成分Aとして、下記a1を満たすチタノキサンと、
    成分Bとして、下記b1及びb2よりなる群から選ばれた少なくとも1種と、
    成分Cとして、溶剤と、を含有することを特徴とする
    硬化性組成物。
    a1:チタン原子に直結するアルコキシ基を少なくとも1つ有し、相関長ξが1.03nm以上1.07nm未満であるチタノキサン、
    b1:チタン配位性基及びエチレン性不飽和基を有する化合物、
    b2:チタン配位性基を有する化合物及びエチレン性不飽和基を有する化合物。
  2. 成分Aが、アルコキシ基を有するチタン化合物を、チタン原子の総モル量1.0モルに対して、0.5〜1.9倍モル当量の水により加水分解縮合させて得られるチタノキサンである、請求項1に記載の硬化性組成物。
  3. 成分Aが、チタンテトラブトキシドを、イソプロパノール中、0℃〜40℃で、チタンテトラブトキシド1モルに対して0.5〜1.9モル当量の水により加水分解縮合させて得られるチタノキサンである、請求項1又は2に記載の硬化性組成物。
  4. 成分Aが、チタンテトラブトキシドを、イソプロパノール中、0℃〜10℃で、水/イソプロパノール溶液を滴下しながら加水分解縮合した後、20℃〜40℃に昇温して1〜10時間撹拌して得られるチタノキサンである、請求項3に記載の硬化性組成物。
  5. 成分Aの含有量が、硬化性組成物の全固形分に対し、30〜90質量%である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の硬化性組成物。
  6. 成分Dとして、光重合開始剤を含有する、請求項1〜5のいずれか1項に記載の硬化性組成物。
  7. 成分Dがオキシムエステル化合物を含有する、請求項6に記載の硬化性組成物。
  8. 成分Bが前記b2を含有する場合、前記チタン配位性基を有する化合物の含有量BW1と、エチレン性不飽和基を有する化合物の含有量BW2との質量比が、BW1:BW2=2:8〜8:2である、請求項1〜7のいずれか1項に記載の硬化性組成物。
  9. 前記チタン配位性基が、チタン原子に酸素原子によって配位可能な基である、請求項1〜8のいずれか1項に記載の硬化性組成物。
  10. 前記チタン及び/又はジルコニウム配位性基が、1,2−ジケトン構造、1,3−ジケトン構造、1,4−ジケトン構造、α−ヒドロキシケトン構造、α−ヒドロキシエステル構造、α−ケトエステル構造、β−ケトエステル構造、マロン酸ジエステル構造、フマル酸ジエステル構造、及び、フタル酸ジエステル構造よりなる群から選ばれた少なくとも1つの構造を有する基である、請求項1〜9のいずれか1項に記載の硬化性組成物。
  11. 成分Bとしてb1を含有し、b1が下記式1で表される化合物である、請求項1〜10のいずれか1項に記載の硬化性組成物。
    Figure 2016153451
    式1中、Rは水素原子又はアルキル基を表す。
  12. 少なくとも工程1〜工程5をこの順で含む硬化膜の製造方法。
    工程1:請求項1〜11のいずれか1項に記載の硬化性組成物を基板上に塗布する塗布工程
    工程2:塗布された硬化性組成物から溶剤を除去する溶剤除去工程
    工程3:溶剤が除去された硬化性組成物の少なくとも一部を活性光線により露光する露光工程
    工程4:露光された硬化性組成物を水性現像液により現像する現像工程
    工程5:現像された硬化性組成物を熱処理する熱処理工程
  13. 請求項1〜11のいずれか1項に記載の硬化性組成物を硬化してなる硬化膜。
  14. 層間絶縁膜又はオーバーコート膜である、請求項13に記載の硬化膜。
  15. 波長550nmの光における屈折率が1.60〜2.10である、請求項13又は14に記載の硬化膜。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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