JP2016152323A - 半導体装置 - Google Patents

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内山 和典
Kazunori Uchiyama
和典 内山
袴田 尚樹
Naoki Hakamada
尚樹 袴田
昌孝 出口
Masataka Deguchi
昌孝 出口
明朗 北見
Akio Kitami
明朗 北見
忠史 吉田
Tadashi Yoshida
忠史 吉田
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Abstract

【課題】グリス抜けを抑制する技術を提供する。
【解決手段】本明細書で開示する積層ユニット2は、グリス9が塗布される冷却器10の筐体表面に、積層方向(X軸方向)から見て、パワーカード20に収容された半導体素子23の外周を囲む環状溝12が形成されている。環状溝12が囲む内側にはグリス9が塗布されているとともに、環状溝12の中にもグリス9が充填されている。これにより、環状溝12の部分のグリス9の厚さが、環状溝12が形成されていない部分に比べて厚くなる。そのため、環状溝12の形成範囲においては、グリス9の移動に抗するせん断抵抗力が小さくなり、グリス9が半導体素子23の方向(内側)に戻り易くなる。したがって、パワーカード20の半導体素子23の発熱によりグリス9が半導体素子23の外側に押し出されても、グリス9が半導体素子23内側に戻り易いため、グリス抜けが抑制される。
【選択図】図1

Description

本明細書が開示する技術は、半導体素子を収容したパワーカードと冷却部材がグリスを挟んで積層されているとともに積層方向に加圧されている半導体装置に関する。
電力変換用の半導体素子(パワーデバイス)は発熱量が大きい。そのため、このようなパワーデバイスを収容するパワーカードは、冷却部材が取り付けられて冷却される。例えば、平板形状のパワーカードには、ほぼ平面で接触する冷却部材をグリスを介して接触させる。パワーカードから冷却部材への伝熱効率を高めるため、パワーカードと冷却部材は積層方向に加圧される。パワーカードと冷却部材が接する部位は平面であっても、面粗さや平面度などの両者の違いによってこれらの間に微小な空間、つまり微小隙間が形成され得る。このような隙間は、パワーカードから冷却部材への熱伝達の妨げとなる熱抵抗の増加に繋がる。そのため、パワーカードと冷却部材との間にグリスを介在させて熱抵抗を下げることで、熱拡散の効率の低下を抑制している。このような技術として、例えば、特許文献1に開示されるものがある。
パワーデバイスには、パワーデバイスの発した熱を外部に拡散させる熱拡散板が設けられている。熱拡散板は、パワーカードの表面に露出している。即ち、熱拡散板の表面にグリスが塗布される。この熱拡散板は、パワーデバイスのオンオフ動作に伴う発熱と冷却の繰り返しによって膨張したり収縮したりする。グリスは粘性流体であるため、オン動作時のパワーデバイスの発熱によって熱拡散板が膨張すると、その部分に存在するグリスは熱拡散板の外側に押し出される。押し出されたグリスは、パワーデバイスのオフ動作により膨張した熱拡散板が収縮すると熱拡散板の内側に戻る。特許文献1の技術では、押し出されたグリスが溜まる環状溝を形成して冷却部材の収縮時に戻り得るグリスの欠損を防止している。
特開2013−138113号公報
ところで、グリスの粘度は温度に依存する。典型的には、温度が高いほど粘度が低く、温度が低いほど粘度が高い。そのため、パワーデバイスの発熱により押し出されたグリスの方が、熱拡散板の収縮時に戻るグリスよりも粘度が低い。つまり、パワーカードと冷却部材の間に介在するグリスは、押し出され易く戻り難い。このようなグリスの移動に逆らう(抗する)力は、粘性流体におけるせん断応力の関係式τ=μU/hにより説明できる。τは粘性流体を移動させるために必要な単位面積当たりの力、μは粘度、Uは移動速度、hは粘性流体の厚さ(高さ)である。この関係式からも、粘度μが大きいほどグリスの移動には大きな力を要することがわかる。
特許文献1の技術では、グリスが溜まる環状溝がパワーデバイスの大部分を囲むように形成されてはいるものの、パワーデバイスの一部が環状溝の外側に存在する(特許文献1の図1に表されている半導体チップ21c、31)。そのため、パワーデバイスがオンオフ動作を繰り返すうちに、環状溝の外側にグリスが抜け出してしまう虞がある。本明細書は、グリス抜けを抑制する技術を提供する。
本明細書が開示する半導体装置は、パワーカードと冷却部材がグリスを挟んで積層されているとともに、積層方向に加圧されているデバイスである。その半導体装置は、グリスが塗布される冷却部材の表面に、積層方向から見て、パワーカードに収容された半導体素子の外周を囲む環状溝が形成されている。そして、環状溝が囲む内側にグリスが塗布されているとともに、環状溝内にもグリスが充填されている。このような環状溝は、グリスが塗布されるパワーカードの表面に形成されてもよい。また、冷却部材の表面とパワーカードの表面、の両方に形成されていてもよい。冷却部材とパワーカードの間には絶縁板が挟まれていてもよい。その場合、冷却部材と絶縁板の間にグリスが塗布されているとともに、パワーカードと絶縁板の間にもグリスが塗布されている。そして、冷却部材とパワーカードの一方あるいは両方に、上記した溝が設けられている。
本明細書が開示する半導体装置では、環状溝内にグリスが充填されることにより、この部分のグリスの厚さが、環状溝が形成されていない部分に比べて厚くなる。これにより、環状溝が形成されている部分のグリスの厚さhが厚くなることから、環状溝の形成範囲においては、グリスの移動に抗するせん断抵抗力τ(=μU/h)が小さくなりグリスが戻り易くなる。そのため、パワーカードの発熱部位の発熱によりグリスが半導体素子の外側に押し出されても、グリスが積層方向からみて半導体素子の内側に戻り易い。このように本明細書が開示する半導体装置では、押し出されたグリスを戻り易くする環状溝を、半導体素子の外周を囲むように形成することにより、グリス抜けを抑制する。
本明細書が開示する技術の詳細、及び、さらなる改良は、発明の実施の形態で説明する。
実施例の積層ユニット(半導体装置)の斜視図である。 積層方向(X軸方向)から見た冷却器の正面図又は背面図である。 図2のIII−III線に沿った断面図である。 (A)は、図3のIV内の拡大図、(B)は、環状溝が形成されていない比較例の拡大図((A)に相当する)、である。 積層方向(X軸方向)から見た冷却器の正面図又は背面図であり、冷却器の他の構成例を示すものである。 環状溝をパワーカードに形成した構成例の説明図である。
図面を参照して実施例の半導体装置を説明する。実施例の半導体装置は、複数のパワーカードと複数の冷却器が一つずつ交互に積層された積層ユニット2である。図1は、実施例の積層ユニット2の斜視図である。積層ユニット2は、冷却器10とパワーカード20の間にグリス9を塗布してこれらを交互に積層したものである。なお、図1では、積層ユニット2の全体が見えるように、積層ユニット2を収容するケース6は仮想線(二点鎖線)で描いてある。また、ケース6の上方(図1に表す座標系のZ軸の正方向)に抜き出して描いてあるパワーカード20と絶縁板30の間にもグリス9が塗布されているが、その図示を省略している。以下、本明細書では、図1やその他の図に表す座標系のX、Y、Zの各軸のことを、夫々単に、X軸、Y軸、Z軸と表現する。
冷却器10とパワーカード20は、共に平板形状を成しており、夫々の平坦面が対向するように積層されている。本実施例では、積層方向(X軸方向)の両端に冷却器10が位置するように、6枚のパワーカード20に対して7個の冷却器10を配置している。また、本実施例では、冷却器10とパワーカード20の間の電気絶縁を確保するため、両者の間に絶縁板30を介在させている。絶縁板30は、例えば、板厚の薄いセラミック板である。パワーカード20の表面が絶縁性の樹脂で覆われている場合など、電気的な絶縁をする必要がない場合には、絶縁板30は不要である。
複数の冷却器10は、連結パイプ4a、4bにより連結されている。積層方向(X軸方向)の一端の冷却器10には、冷媒供給管3aと冷媒排出管3bが連結されている。冷媒供給管3aを通じて供給される冷媒は、連結パイプ4aを通じて全ての冷却器10に分配される。冷却器10は、薄箱形状の金属製の筐体11と、筐体11内に収容されるフィン15により構成されている。フィン15は、筐体11内を流れる冷媒との接触面積を増やして伝熱効率を高める。冷却器10を通る冷媒は、当該冷却器10に隣接するパワーカード20から熱を吸収する。各冷却器10を通った冷媒は、連結パイプ4bを通り、冷媒排出管3bから排出される。冷媒は、液体であり、典型的には水である。
積層ユニット2は、ケース6に収容される際、積層方向(X軸方向)の一端側に板バネ7が挿入される。この板バネ7により、冷却器10とパワーカード20と絶縁板30に対して、積層方向の両側から所定の圧力が加えられる。積層ユニット2に加えられる総圧力(荷重)は、例えば3[kN]である。後述するように、冷却器10と絶縁板30、及び、パワーカード20と絶縁板30の間に、グリス9が塗布される。グリス9は、放熱グリスであり、粘性流体の一種である。そのため、塗布されたグリス9は、3[kN]という高い荷重により薄く引き延ばされる。これにより、冷却器10と絶縁板30の間、或いはパワーカード20と絶縁板30の間に形成される微小隙間を、薄く引き延ばされたグリス9が埋めることで熱抵抗を低下させてパワーカード20から冷却器10への伝熱効率(熱拡散効率)を高めている。
パワーカード20は、2個の半導体素子23を樹脂パッケージ21に樹脂封止している。本実施例では、樹脂封止された2個の半導体素子23が樹脂パッケージ21の長手方向(Y軸方向)に並んでいる。半導体素子23は、典型的には、IGBTやパワーMOSFETなどの平板状の半導体チップと、半導体チップを両面から挟み込む熱拡散板(例えば銅板)と、により構成されている。半導体チップは、電力変換用であり、通電時(オン状態)の発熱量が大きい。そのため、熱拡散板により半導体チップが発した熱を外部に拡散する。本実施例では、熱拡散板は、積層方向(X軸方向)から見た面積が、半導体チップの面積と同じである。熱拡散板は、樹脂パッケージ21から外部に露出している。図1において、矩形状に描かれている半導体素子23は、樹脂パッケージ21から露出した熱拡散板を表している。パワーカード20の上方(Z軸の正方向)からは3本の電極端子26、27、28が、また下方(Z軸の負方向)からは6本の制御端子29が、夫々突出している。
このように積層ユニット2を構成することにより、積層ユニット2は、パワーカード20が発した熱の大部分を、冷却器10を流れる冷媒との熱交換により放熱する。本実施例では、冷却器10に環状溝12を形成することで、冷却器10と絶縁板30の間に塗布されているグリス9が抜け出る「グリス抜け」を抑制する。ここからは、図1に加えて図2〜4も参照して説明する。図2に、積層方向(X軸方向)から見た冷却器10の正面図又は背面図を示す。図3に、図2のIII−III線に沿った断面図を示す。図4(A)に、図3のIV内の拡大図を示し、また図4(B)に、環状溝12が形成されていない比較例の拡大図を示す。なお、図2においては、環状溝12の形成部分をグレーに着色している。また、図2においては、パワーカード20と絶縁板30を省略して表している。さらに、図3では、半導体素子23を構成する半導体チップ及び熱拡散板を、一つの矩形で表していることに注意されたい。
環状溝12は、冷却器10、パワーカード20及び絶縁板30が積層された状態において、積層方向(X軸方向)から見て、パワーカード20の半導体素子23が絶縁板30を介して重なる範囲を取り囲むように形成されている。本実施例では、半導体素子23は、積層方向(X軸方向)から見ると、正方形に近い矩形状を成しており、2個の半導体素子23が樹脂パッケージ21の長手方向(Y軸方向)に並んでいる。そのため、これら2個の半導体素子23を一緒に囲み得るように、横長の矩形状に環状溝12が形成されている。グリス9は、環状溝12を含めた範囲(図2に表すクロスハッチングの範囲)に塗布される。以下、この範囲のことを「グリス塗布範囲」と称する。
即ち、環状溝12は、グリス塗布範囲の最外周を含めたその内側近傍に形成される。そのため、環状溝12の外側の溝壁12aは、グリス塗布範囲の最外周に重なるように位置している。これにより、積層ユニット2の組立工程において、筐体表面11aのグリス塗布範囲にグリス9が塗布されると、環状溝12の中にグリス9が入り込み、冷却器10、パワーカード20及び絶縁板30を積層した状態においては、環状溝12内にグリス9が充填された状態を維持する。この様子は、図3によく表されている。
パワーカード20は、半導体素子23の半導体チップのオン動作(通電動作)により発熱をする。すると、半導体素子23の熱拡散板(例えば銅板)は、半導体チップに接しているため、半導体チップの発熱に伴い熱膨張をする。これに対して、絶縁板30は、熱拡散板よりも熱膨張率が桁違いに小さいセラミック板であり、また面積差(熱容量差)も大きいことから、熱拡散板に比べて熱膨張が極めて小さい。そのため、図3に示すように、熱拡散板の熱膨張により半導体素子23と絶縁板30の隙間dが狭まると、その間に存在しているグリス9がグリス塗布範囲の外側に押し出される。
一方、半導体チップがオフ状態(非通電動作)に移行すると、半導体チップは発熱をしなくなるため、絶縁板30を介して冷却器10に冷却されている熱拡散板が収縮をする。すると、半導体素子23と絶縁板30の隙間dが元の間隔に戻ることから、押し出されていたグリス9がグリス塗布範囲の内側に向けて移動する。つまり、半導体素子23の半導体チップのオンオフ動作により熱拡散板が膨張したり収縮したりすると、グリス塗布範囲の最外周付近に存在するグリス9は同範囲から出入りを繰り返す。
グリス9は粘性流体であることから、グリス9の移動時にはせん断抵抗力が発生する。このせん断抵抗力は、大きいほどグリス9が移動し難い。そのため、半導体チップのオン動作時にグリス9に作用する力Fonは、熱拡散板の膨張による体積力faから、グリス9のせん断抵抗力τaを除いたものになる。また、半導体チップのオフ動作時にグリス9に作用する力Foffは、熱拡散板の収縮による体積力fbから、グリス9のせん断抵抗力τbを除いたものになる。
グリス9のせん断抵抗力τa、τbは、A×μU/hで表される。Aは、筐体表面11aと絶縁板30の間に介在するグリス9の塗布面積、μはグリス9の粘度、Uはグリス9の移動速度、hはグリス9の厚さ、である。これらのパラメータのうち、グリス9の粘度μは、温度が高いほど小さく(低く)、温度が低いほど大きく(高く)なる。つまり、グリス9は、温度が高いほど移動し易く、温度が低いほど移動し難い。これにより、せん断抵抗力τa、τbは、τa(オン動作時)<τb(オフ動作時)の関係になることから、オフ動作時にグリス9に作用する力Foffの方が、オン動作時にグリス9に作用する力Fonよりも小さくなる。
これは、例えば、筐体表面11aに環状溝12などが形成されてなく、グリス塗布範囲の筐体表面11aがすべて平坦面である場合には、グリス塗布範囲内に存在するグリス9が半導体素子23の半導体チップのオンオフ動作に伴ってグリス塗布範囲外に徐々に押し出されることを意味する。この様子が図4(B)の比較例に表されている。同図の比較例において、符号91は、冷却器の筐体を示し、符号91aは筐体表面を示す。hoは、グリス9の厚さである。また同図及び図4(A)では、オン動作時にグリス9に作用する力Fonが黒色矢印で表されており、オフ動作時にグリス9に作用する力Foffが白抜き矢印で表されている。両矢印の長さが力の大きさを表しており、力の大小は長さに比例する。黒色矢印と白抜き矢印の間の黒丸は、力が作用する位置を示している。
これに対して、本実施例の構成では、図4(A)に示すように、筐体11の筐体表面11aにおいて、グリス塗布範囲の最外周を含めたその内側近傍に環状溝12を形成している。そのため、環状溝12が形成されている範囲(以下「溝形成範囲」と称する)のグリス9の厚さは、環状溝12が形成されていない範囲のグリス9の厚さha(=ho)に溝深さhbを加えた値(=(ha+hb)>ho)になる。これにより、溝形成範囲におけるグリス9のせん断抵抗力τcは、A×μU/(ha+hb)になる(τb>τa>τc)。これは、環状溝12の深さを適切な値、つまりグリス9の厚さを適切な厚さに設定することにより、溝形成範囲のグリス9のせん断抵抗力τcをほぼゼロにできることを意味する。そのため、環状溝12の溝幅及び深さは、グリス9の種類、グリス9の主成分、絶縁板30のうち冷却器10に対向する範囲の面積、対向間隔、半導体素子23の発熱最高温度などに基づく実験やコンピュータシミュレーションにより得られた結果から、溝形成範囲のグリス9のせん断抵抗力τcを極力小さくする値が予め設定される。
図4(A)に示すように、溝形成範囲外の位置Paでは、黒色矢印の力Fonの方が、白抜き矢印の力Foffよりも大きいのに対して、溝形成範囲内の位置Pcでは、黒色矢印の力Fonと白抜き矢印の力Foffがほぼ同じ大きさになっていることからも、溝形成範囲においてはグリス9のせん断抵抗力τcがほぼゼロになることが理解できる。なお、グリス塗布範囲外かつ絶縁板30に覆われない位置Pbでは、オフ動作時であっても力Foffがグリス9に作用しない。そのため、位置Pbでは、黒色矢印の力Fonだけが表されている。
本実施例では、このように環状溝12をグリス塗布範囲の外側境界部分の内側に形成することによって、溝形成範囲においては、グリス9の移動に逆らう(抗する)せん断抵抗力τc(=μU/(ha+hb))を極力小さくする。これにより、オン動作時にグリス9に作用する力Fonと、オフ動作時にグリス9に作用する力Foffとがほぼ等しくなるので、半導体素子23の熱拡散板の膨張により熱拡散板の外側に押し出されたグリス9が熱拡散板の内側に戻り易くなる。パワーカード20の半導体素子23の発熱によりグリス9が半導体素子23の外側に押し出されても、グリス9が半導体素子23の内側に戻り易い。環状溝12がグリスストッパとして機能することで、グリス9がグリス塗布範囲外側に押し出されてグリス塗布範囲内側に戻らない「グリス抜け」を抑制する。
冷却器10の他の構成例として、例えば、図5に示すものがある。図5(A)及び図5(B)に、積層方向(X軸方向)から見た冷却器110、210の正面図又は背面図を示す。図5(A)に示す冷却器110では、樹脂パッケージ21の長手方向(Y軸方向)に並ぶ2個の半導体素子23の夫々について、周囲を囲むように筐体111の筐体表面111aに環状溝112、113を形成する(グレーに着色した部分)。環状溝112、113も、前述した環状溝12と同様に、グリス塗布範囲(クロスハッチングの範囲)の最外周を含めたその内側近傍に形成される。そのため、環状溝112、113の外側の溝壁112a、113aは、グリス塗布範囲の最外周に重なるように位置する。これにより、個々の半導体素子23に対して環状溝112、113が形成されるため、例えば、一方の環状溝112(又は環状溝113)からグリス9が漏れ出る場合があっても、他方の環状溝113(又は環状溝112)に囲まれる半導体素子23はその影響を受けない。そのため、図2などで示すように2個の半導体素子23を一つの環状溝12でまとめて囲む場合に比べて、2個の半導体素子23が共にグリス抜けに至る現象が生じ難い。
また、図5(B)に示す冷却器210のように、2個の半導体素子23をまとめて囲む環状溝を多重に構成してもよい。この図の例では、筐体211の筐体表面211aに、環状溝212、213、214を三重に形成する(グレーに着色した部分)。環状溝は、筐体表面211aに形成可能な範囲で、二重でも四重以上でもよい。環状溝214は、前述した環状溝12と同様に、グリス塗布範囲(クロスハッチングの範囲)の最外周を含めたその内側近傍に形成され、その内側にその他の環状溝212、213が形成される。つまり、環状溝212、213、214は、いずれもグリス塗布範囲の内側に形成される。これにより、グリスストッパとして機能する環状溝212、213、214が多重に存在するので、図2などで示すように環状溝12が一重の場合に比べて「グリス抜け」がさらに抑制される。
なお、図5(B)の構成例では、グリス塗布範囲(クロスハッチングの範囲)を一番外側に位置する環状溝214の外側の溝壁214aまで拡張したが、例えば、一番内側に位置する環状溝212の外側の溝壁212aがグリス塗布範囲の最外周に重なるように構成してもよい。この場合、環状溝213、214は、いずれもグリス塗布範囲よりも外側に位置することになるが、これらの環状溝213、214がグリス塗布範囲の外側近傍に位置することで、抜け出たグリスがこれらの溝内に溜まり得るため、次善のグリスストッパとしてこれらの環状溝213、214が機能する。
なお、環状溝12、112、113は、図6(A)に示すように、パワーカード20を構成する樹脂パッケージ21のパッケージ表面21aに形成してもよい(グレーに着色した部分)。この場合も、冷却器10に環状溝12を形成した場合と同様に、環状溝22は、グリス塗布範囲(クロスハッチングの範囲)の最外周を含めたその内側近傍に形成される。そのため、環状溝22の外側の溝壁22aは、グリス塗布範囲の最外周に重なるように位置する。これにより、冷却器10に代えて(又は冷却器10に加えて)、パワーカード20にも環状溝22が形成されるため、パワーカード20と絶縁板30の間における「グリス抜け」を抑制する。
また、図6(B)に示すように、パワーカード120では、樹脂パッケージ121の長手方向(Y軸方向)に並ぶ2個の半導体素子23の夫々について、周囲を囲むように樹脂パッケージ121のパッケージ表面121aに環状溝122、123を形成する(グレーに着色した部分)。環状溝122、123も、図6(A)の環状溝22と同様に、グリス塗布範囲(クロスハッチングの範囲)の最外周を含めたその内側近傍に形成される。そのため、環状溝122、123の外側の溝壁122a、123aは、グリス塗布範囲の最外周に重なるように位置する。これにより、個々の半導体素子23に対して環状溝122、123が形成されるため、例えば、一方の環状溝122(又は環状溝123)からグリス9が漏れ出る場合があっても、他方の環状溝123(又は環状溝122)に囲まれる半導体素子23はその影響を受けない。そのため、図6(A)などで示すように2個の半導体素子23を一つの環状溝22でまとめて囲む場合に比べて、2個の半導体素子23が共にグリス抜けに至る現象が生じ難い。
以上説明したように実施例の積層ユニット2は、グリス9が塗布される冷却器10(110、210)の筐体表面11a(111a、211a)に、積層方向(X軸方向)から見て、パワーカード20に収容された半導体素子23の外周を囲む環状溝12(112、113、212、213、214)が形成されている。そして、これらの環状溝12などが囲む内側にグリス9が塗布されているとともに、環状溝12などの中(環状溝内)にもグリス9が充填されている。また、環状溝22(122)は、パワーカード20(120)のパッケージ表面21a(121a)に形成される場合もある。冷却器10とパワーカード20の両方に環状溝12などが形成されていることもある。
これにより、溝形成範囲のグリス9の厚さは、環状溝12などが形成されていない範囲に比べて厚くなる。そのため、溝形成範囲においては、グリス9の移動に抗するせん断抵抗力τ(=μU/(ha+hb))が小さくなり、グリス9が半導体素子23の方向(内側)に戻り易くなる。したがって、パワーカード20の半導体素子23の発熱によりグリス9が半導体素子23の外側に押し出されても、グリス9が内側に戻り易い。つまり、環状溝12がグリスストッパとして機能するので、グリス9が外側に押し出されて内側に戻らない「グリス抜け」を抑制する。
上記の実施例では、本明細書が開示する技術として、冷却器10とパワーカード20を交互に積層している積層ユニット2の例を挙げて説明したが、パワーカード20の一方の面に冷却器10が接し、他方の面には冷却器10が接しない構成、つまりパワーカード20の片面のみを冷却する構成においても、上述の環状溝12、112、113、212、213、214を冷却器10の筐体表面11a、111a、211aに形成してもよい。また同様の構成において、パワーカード20のパッケージ表面21a、121aに環状溝22、122、123を形成してもよい。
実施例技術に関する留意点を述べる。積層ユニット2が半導体装置の一例に相当する。冷却器10、110、210が冷却部材の一例に相当する。筐体表面11a、111a、211aが「冷却部材の表面」の一例に相当する。パッケージ表面21a、121aが「パワーカードの表面」の一例に相当する。
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。また、本明細書又は図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書又は図面に例示した技術は複数目的を同時に達成するものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
2:積層ユニット(半導体装置)
6:ケース
7:板バネ
9:グリス
10、110、210:冷却器
11、91、111、211:筐体
11a、111a、211a:筐体表面
12、22、112、113、122、123、212、213、214:環状溝
15:フィン
20、120:パワーカード
21、121:樹脂パッケージ
21a、121a:パッケージ表面
23:半導体
26、27、28:電極端子
29:制御端子
30:絶縁板
91a:冷却表面

Claims (1)

  1. 半導体素子を収容したパワーカードと冷却部材がグリスを挟んで積層されているとともに積層方向に加圧されている半導体装置であり、
    前記グリスが塗布される前記冷却部材の表面又は前記グリスが塗布される前記パワーカードの表面の少なくとも一方に、積層方向から見て、前記パワーカードに収容された半導体素子の外周を囲む環状溝が形成されており、
    前記環状溝が囲む内側に前記グリスが塗布されているとともに、前記環状溝内にも前記グリスが充填されている、ことを特徴とする半導体装置。
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