JP2016151339A - 車両用モータ駆動装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】減速部の曲線板を支持する転がり軸受の大型化を防止し、かつ発熱を抑制したサイクロイド減速機を有する車両用モータ駆動装置を提供する。【解決手段】減速機入力軸の偏心部に、公転部材としての曲線板を転がり軸受41を介して回転自在に支持し、減速機入力軸がモータ回転軸に連結された車両用モータ駆動装置において、転がり軸受41は、曲線板に形成された外側軌道面43と、内側軌道面42aと、内側軌道面の軸方向両端部に鍔部42bを有する内輪42と、外側軌道面と内側軌道面の間に配置された複数の円筒ころ44と、この円筒ころを保持する保持器47とからなる円筒ころ軸受41で構成され、内輪42は、減速機入力軸の偏心部の外径面に嵌合して組込まれ、保持器47の内径面47dと鍔部42bの外径面42dとの間にすきまδを設け、このすきまδを0.20mm以上0.60mm以下としたことを特徴とする。【選択図】図5

Description

本発明は、車両用モータ駆動装置に関する。
従来の車両用モータ駆動装置の一例であるインホイールモータ駆動装置は、例えば、特許第5374215号公報(特許文献1)に記載されている。同公報に記載されているインホイールモータ駆動装置は、駆動力を発生させるモータ部と、車輪に接続する車輪用軸受部と、モータ部と車輪用軸受部との間に配置され、モータ部の回転を減速して車輪用軸受部に伝達する減速部とを備えている。
上記のインホイールモータ駆動装置は、装置のコンパクト化の観点からモータ部には低トルクで高回転型のモータが採用されている。一方、車輪用軸受部には、車輪を駆動する大きなトルクが必要となるため、コンパクトで高い減速比が得られるサイクロイド減速機が採用されている。
モータ部は、ケーシングに固定されたステータと、ステータの内側に径方向の隙間をもって対向する位置に配置されるロータと、ロータの内側に連結固定されてロータと一体回転するモータ回転軸とを備えるラジアルギャップモータである。中空構造のモータ回転軸は、軸方向両端部を一対の転がり軸受によって回転自在にケーシングに支持されている。
サイクロイド減速機を適用した減速部は、一対の偏心部を有する減速機入力軸と、偏心部に配置される一対の曲線板と、曲線板の外周面に係合して曲線板に自転運動を生じさせる複数の外周係合部材と、曲線板の自転運動を減速機出力軸に伝達する複数の内ピンを主な構成とする。減速部を構成する曲線板は偏心しながら回転するが、この曲線板は、減速機入力軸の偏心部に取り付けられた転がり軸受によって回転自在に支持される。
特許第5374215号公報
ところで、インホイールモータ駆動装置は、ホイールハウジングの内部に収められ、ばね下荷重となるため、小型軽量化が必須である。ところが、モータの出力トルクは、モータの体格に比例するため、モータ単体で車両の駆動に必要なトルクを発生させようとすると、大型のモータが必要になり、重量増となる。そこで、減速機をモータと組み合わせることでモータの小型化を図ることができる。小型のモータとするために減速比を大きくしていくと、必然的に高回転が必要になり、例えば、減速比11の減速機を用いた場合、15000min-1程度の高回転が要求される。
このような高回転に転がり軸受を対応させるためには、転がり軸受の径を縮小するのが効果的である。しかし、減速機入力軸は偏心部を介して曲線板に押されるため、剛性を維持しかつ転動体の面圧増加を抑制する必要があり、設計要件的に簡単に縮径することができない。そのため、偏心部に取り付けられる転がり軸受は、その径寸法に比して高回転で、かつ変動する高荷重を受ける過酷な条件で使用される。
偏心部に取り付けられる転がり軸受の保持器は、上記のような高回転の条件では、もはや真円を保つことはできず、遠心力や転動体(円筒ころ)間の荷重差に起因する速度差による相対的な位置の変化に起因する保持器への負荷により、わずかに変形することが判明した。偏心部の転がり軸受の円筒ころは、内輪に設けられた鍔部によって、その軸方向位置を拘束されており、円筒ころを軌道面内に保持するために鍔部の存在が必須である。しかし、保持器がわずかに変形した際、保持器と内輪の鍔部の外径面との間のすきまが狭いと、両者の接触による発熱や保持器の損傷などの問題が危惧されることが判明した。
さらに、設計上の要件として、内輪の鍔部は、円筒ころの端面と平坦面で接触して円筒ころからのスラスト荷重を受けるため、平坦面の面積を確保する必要がある。また、保持器も高回転下での変形を抑えるために肉厚を確保して強度を持たせる必要がある。そのため、限られた軸受設置スペースの中で、鍔部の平坦面の面積と保持器の肉厚の両方をそれぞれ大きくする必要があることが分かった。その結果、保持器の内径面と内輪の鍔部の外径面との間のすきまを可能な限り切り詰めないと設計が成立したいことに着目した。
上記の問題について、特許文献1に記載されたインホイールモータ駆動装置は、改善の余地が残っている。
本発明は、上記の問題に鑑みて提案されたものであって、減速部の曲線板を支持する転がり軸受の大型化を防止し、かつ発熱を抑制し、耐久性を向上させたサイクロイド減速機を有する車両用モータ駆動装置を提供することを目的とする。
前述した目的を達成するための技術的手段として、本発明は、モータ部の回転駆動力を減速部に入力し回転数を減速して車輪側に伝達する車両用モータ駆動装置であって、前記減速部がサイクロイド減速機構を有し、減速機入力軸が偏心部を有し、この偏心部に、前記サイクロイド減速機構の公転部材としての曲線板を転がり軸受を介して回転自在に支持し、前記減速機入力軸が前記モータ部のモータ回転軸に連結された車両用モータ駆動装置において、前記転がり軸受は、前記曲線板の貫通孔に形成された外側軌道面と、内側軌道面とこの内側軌道面の軸方向両端部に鍔部を有する内輪と、前記外側軌道面と内側軌道面の間に配置された複数の円筒ころと、この円筒ころを保持する保持器とからなる円筒ころ軸受で構成され、前記内輪は、減速機入力軸の偏心部の外径面に嵌合して組込まれ、前記保持器の内径面と鍔部の外径面との間にすきまδを設け、このすきまδを0.20mm以上0.60mm以下としたことを特徴とする。
上記の構成により、減速部の曲線板を支持する転がり軸受の大型化を防止し、かつ発熱を抑制し、耐久性を向上させたサイクロイド減速機を有する車両用モータ駆動装置を実現することができる。
上記のすきまδを0.20mm以上0.50mm以下とすると、内輪の鍔部の平坦面の面積や保持器の強度を確保する上で、より好ましい。
前記鍔部の外径面の直径の公差範囲を100μm以下とすることが望ましい。この場合は、上記のすきまδの範囲を達成するために、内輪の鍔部の外径面側の公差範囲を抑えることにより、公差範囲を狭めるのが難しい樹脂製保持器の採用を可能にできる。
また、上記のすきまδの範囲を達成する上で、内輪の鍔部の外径面の直径の公差範囲を30μm以下とすること、更には、鍔部の外径面を研削加工面とすると、より好ましい。
上記の車両用モータ駆動装置は、インホイールモータ駆動装置として好適である。
上記の車両用モータ駆動装置は、そのモータ部と減速部を車体に搭載し、減速部からドライブシャフトを介して車輪に回転駆動力を伝達するオンボードタイプの車両用モータ駆動装置として好適である。
本発明によれば、減速部の曲線板を支持する転がり軸受の大型化を防止し、耐久性を向上させたサイクロイド減速機を有する車両用モータ駆動装置を実現することができる。
本発明の第1の実施形態に係る車両用モータ駆動装置を示す図である。 図1のP−Pにおける横断面図である。 図1の回転ポンプの横断面図である。 図1の曲線板に作用する荷重を示す説明図である。 (a)は、図2の偏心部に取り付ける転がり軸受の拡大した側面図で、(b)は、(a)のH−Hにおける縦断面図である。 図5(b)のI−Iにおける横断面図である。 本発明の第2の実施形態に係る車両用モータ駆動装置を示す図である。 図7の減速部周辺を拡大した縦断面図である。 図1のインホイールモータ駆動装置を搭載した電気自動車の平面図である。 図9の電気自動車の後方断面図である。
図9は、本発明の第1の実施形態に係る車両用モータ駆動装置であるインホイールモータ駆動装置21を搭載した電気自動車11の概略平面図であって、図10は、電気自動車を後方から見た概略断面図である。図9に示すように、電気自動車11は、シャーシ12と、操舵輪としての前輪13と、駆動輪としての後輪14と、左右の後輪14それぞれに駆動力を伝達するインホイールモータ駆動装置21とを備える。図10に示すように、後輪14は、シャーシ12のホイールハウジング12aの内部に収容され、懸架装置(サスペンション)12bを介してシャーシ12の下部に固定されている。
懸架装置12bは、左右に延びるサスペンションアームによって後輪14を支持すると共に、コイルスプリングとショックアブソーバとを含むストラットによって、後輪14が地面から受ける振動を吸収してシャーシ12の振動を抑制する。さらに、左右のサスペンションアームの連結部分には、旋回時等の車体の傾きを抑制するスタビライザが設けられる。懸架装置12bは、路面の凹凸に対する追従性を向上し、駆動輪の駆動力を効率よく路面に伝達するために、左右の車輪を独立して上下させることができる独立懸架式とするのが望ましい。
この電気自動車11は、ホイールハウジング12a内部に、左右の後輪14それぞれを駆動するインホイールモータ駆動装置21を設けることによって、シャーシ12上にモータ、ドライブシャフトおよびデファレンシャルギヤ機構等を設ける必要がなくなるので、客室スペースを広く確保でき、かつ、左右の駆動輪の回転をそれぞれ制御することができるという利点を備えている。
電気自動車11の走行安定性およびNVH特性を向上するために、ばね下重量を抑える必要がある。また、さらに広い客室スペースを確保するために、インホイールモータ駆動装置21の小型化が求められる。そこで、図1に示すように、本実施形態に係る車両用モータ駆動装置であるインホイールモータ駆動装置21を採用する。
本発明の第1の実施形態に係る車両用モータ駆動装置であるインホイールモータ駆動装置21を図1〜図6に基づいて説明する。図1はインホイールモータ駆動装置21の概略縦断面図、図2は図1のP−Pにおける横断面図、図3は回転ポンプの横断面図、図4は曲線板に作用する荷重を示す説明図、図5(a)は偏心部に取り付ける転がり軸受の拡大した側面図、図5(b)は、図5(a)のH−Hにおける縦断面図、図6は、図5(b)のI−Iにおける横断面図である。本実施形態に係る車両用モータ駆動装置であるインホイールモータ駆動装置の特徴的な構成を説明する前に全体構成を説明する。
図1に示すように、インホイールモータ駆動装置21は、駆動力を発生させるモータ部Aと、モータ部Aの回転を減速して出力する減速部Bと、減速部Bからの出力を駆動輪14(図10参照)に伝達する車輪用軸受部Cとを備え、モータ部Aと減速部Bはケーシング22に収納されて、図10に示すように電気自動車11のホイールハウジング12a内に取り付けられる。本実施形態では、ケーシング22は、モータ部Aと減速部Bとで分割可能な構造とし、ボルトで締結されている。本明細書において、ケーシング22とは、モータ部Aが収容されたケーシング部分と減速部Bが収容されたケーシング部分の両方を指すものとする。
モータ部Aは、ケーシング22に固定されているステータ23aと、ステータ23aの内側に径方向の隙間をもって対向する位置に配置されるロータ23bと、ロータ23bの内側に連結固定されてロータ23bと一体回転するモータ回転軸24とを備えるラジアルギャップモータであり、モータ回転軸24は15000min-1程度で回転可能である。
中空構造のモータ回転軸24は、ロータ23bの内径面に嵌合固定されて一体回転すると共に、モータ部A内で軸方向一方側端部(図1の右側)を転がり軸受36aに、軸方向他方側端部(図1の左側)を転がり軸受36bによって回転自在に支持されている。
減速機入力軸25は、その軸方向一方側略中央部(図1の右側)が転がり軸受37aに、軸方向他方側端部(図1の左側)を転がり軸受37bによって、減速機出力軸28に対して回転自在に支持されている。減速機入力軸25は、減速部B内に偏心部25a、25bを有する。2つの偏心部25a、25bは、偏心運動による遠心力を互いに打ち消し合うために、180°位相を変えて設けられている。
モータ回転軸24と減速機入力軸25とは、スプライン(セレーションを含む。以下同じ。)嵌合によって連結され、モータ部Aの駆動力が減速部Bに伝達される。このスプライン嵌合部は、減速機入力軸25がある程度傾いても、モータ回転軸24への影響を抑制するように構成されている。
減速部Bは、偏心部25a、25bに回転自在に保持される公転部材としての曲線板26a、26bと、曲線板26a、26bの外周部に係合する外周係合部材としての複数の外ピン27と、曲線板26a、26bの自転運動を減速機出力軸28に伝達する運動変換機構と、偏心部25a、25bに隣接する位置にカウンタウェイト29とを備える。曲線板26a、26bは、偏心部25a、25bに取り付けられた転がり軸受41によって、回転自在に支持されている。
減速機出力軸28は、フランジ部28aと軸部28bとを有する。フランジ部28aには、減速機出力軸28の回転軸心を中心とする円周上に等間隔に内ピン31を固定する孔が形成されている。また、軸部28bは、車輪用軸受部Cの内方部材としてのハブ輪32にスプライン嵌合によって連結され、減速部Bの出力を車輪14(図10参照)に伝達する。減速機出力軸28は、転がり軸受46によって外ピンハウジング60に回転自在に支持されている。
図2に示すように、曲線板26aは、外周部にエピトロコイド等のトロコイド系曲線で構成される複数の波形を有し、一方側端面から他方側端面に貫通する複数の貫通孔30aと、中心部に貫通孔30bを有する。貫通孔30aは、曲線板26aの自転軸心を中心とする円周上に等間隔に複数個設けられており、後述する内ピン31を受け入れる。また、貫通孔30bは、曲線板26aの中心に設けられており、偏心部25aに嵌合する。
曲線板26aは、転がり軸受41によって偏心部25aに対して回転自在に支持されている。図2に示すように、転がり軸受41は、偏心部25aの外径面に嵌合し、外径面に内側軌道面42aを有する内輪42と、曲線板26aの貫通孔30bの内径面に直接形成された外側軌道面43と、内側軌道面42aと外側軌道面43の間に配置される複数の円筒ころ44と、円筒ころ44を保持する保持器(図示省略)とを備える円筒ころ軸受である。また、内輪42は、内側軌道面42aの軸方向両端部から径方向外側に突出する鍔部42bを有する。
図2に示すように、外ピン27は、減速機入力軸25の回転軸心を中心とする円周上に等間隔に設けられている。曲線板26a、26bが公転運動すると、曲線形状の波形と外ピン27とが係合して、曲線板26a、26bに自転運動を生じさせる。外ピン27は、針状ころ軸受27a(図1参照)によって外ピンハウジング60に回転自在に支持されている。これにより、曲線板26a、26bとの間の接触抵抗を低減することができる。
カウンタウェイト29(図1参照)は、略扇形状で、減速機入力軸25と嵌合する貫通孔を有し、曲線板26a、26bの回転によって生じる不釣合い慣性偶力を打ち消すために、各偏心部25a、25bに隣接する位置に偏心部25a、25bと180°位相を変えて配置される。
図1に示すように、運動変換機構は、減速機出力軸28に保持された複数の内ピン31と、曲線板26a、26bに設けられた貫通孔30aとで構成される。内ピン31は、減速機出力軸28の回転軸心を中心とする円周上に等間隔に設けられており(図2参照)、その軸方向一方側端部が減速機出力軸28に固定されている。また、曲線板26a、26bとの摩擦抵抗を低減するために、曲線板26a、26bの貫通孔30aの内壁面に当接する位置に針状ころ軸受31aが設けられている。
内ピン31の軸方向他方側端部には、スタビライザ31bが設けられている。スタビライザ31bは、円環形状の円環部31cと、円環部31cの内径面から軸方向に延びる円筒部31dとを含む。複数の内ピン31の軸方向他方側端部は、円環部31cに固定されている。曲線板26a、26bから一部の内ピン31に負荷される荷重はスタビライザ31bを介して全ての内ピン31によって支持されるため、内ピン31に作用する応力を低減させ、耐久性を向上させることができる。
図2に示すように、貫通孔30aは、複数の内ピン31のそれぞれに対応する位置に設けられ、貫通孔30aの内径寸法は、内ピン31の外径寸法(「針状ころ軸受31aを含む最大外径」を指す。以下同じ。)より所定寸法大きく設定されている。
図1に示すように、車輪用軸受部Cの車輪用軸受33は、ハブ輪32の外径面に直接形成した内側軌道面33fと外径面の小径段部に嵌合された内輪33aとで内方部材を形成し、ケーシング22の内径面に嵌合固定された外輪33bと、内側軌道面33f、内輪33aおよび外輪33bの間に配置された転動体としての複数の玉33cと、隣接する玉33cの間隔を保持する保持器33dと、車輪用軸受33の軸方向両端部を密封し、泥水などの浸入を防止するシール部材33eとを備えた複列アンギュラ玉軸受である。
次に、潤滑機構を説明する。この潤滑機構は、モータ部Aの冷却のために潤滑油を供給すると共に減速部Bに潤滑油を供給するものである。図1に示す潤滑油路24a、25c、潤滑油供給口24b、25d、25e、25f、潤滑油排出口22b、潤滑油貯留部22d、潤滑油路22e、回転ポンプ51および循環油路45を主な構成とする。潤滑機構内に付した白抜き矢印は潤滑油の流れる方向を示す。
モータ回転軸24の潤滑油路24aに接続された潤滑油路25cは、減速機入力軸25の内部を軸線方向に沿って延びている。潤滑油供給口25d、25eは、潤滑油路25cから分岐し減速機入力軸25の外径面に向って延び、潤滑油供給口25fは、減速機入力軸25の軸端部から回転軸心方向に軸端面に向って延びている。
減速部Bの位置におけるケーシング22の少なくとも1箇所には、減速部B内部の潤滑油を排出する潤滑油排出口22bが設けられ、吐出された潤滑油を一時的に貯留する潤滑油貯留部22dが設けられている。
図1に示すように、循環油路45は、ケーシング22の内部を軸方向に延びる軸方向油路45aと、軸方向油路45aの軸方向一端部(図1の右側)に接続されて径方向に延びる径方向油路45cと、軸方向油路45aの軸方向他端部(図1の左側)に接続されて径方向に延びる径方向油路45bとで構成される。
潤滑油を強制的に循環させるために、潤滑油貯留部22dに接続する潤滑油路22eと循環油路45との間に回転ポンプ51が設けられている。径方向油路45bは回転ポンプ51から圧送された潤滑油を軸方向油路45aに供給し、軸方向油路45aから径方向油路45cを経て潤滑油を潤滑油路24a、25cに供給する。
図3に示すように、回転ポンプ51は、減速機出力軸28の回転を利用して回転するインナーロータ52と、インナーロータ52の回転に伴って従動回転するアウターロータ53と、ポンプ室54と、潤滑油路22eに連通する吸入口55と、循環油路45の径方向油路45bに連通する吐出口56とを備えるサイクロイドポンプである。回転ポンプ51をケーシング22内に配置することによって、インホイールモータ駆動装置21全体としての大型化を防止することができる。
インナーロータ52は、回転中心c1を中心として回転し、一方、アウターロータ53は、回転中心c2を中心として回転する。インナーロータ52およびアウターロータ53はそれぞれ異なる回転中心c1、c2を中心として回転するので、ポンプ室54の容積は連続的に変化する。これにより、吸入口55から流入した潤滑油が吐出口56から径方向油路45bに圧送される。また、インナーロータ52の歯数をrとするとアウターロータ
53の歯数は(r+1)となる。なお、この実施形態においてはr=5としている。
モータ部Aの冷却として、図1に示すように、循環油路45から潤滑油路24aに還流された潤滑油の一部が、遠心力によって潤滑油供給口24bからロータ23bを冷却し、その後、潤滑油が飛散してステータ23aを冷却する。
減速部Bの潤滑として、潤滑油路25cの潤滑油は、減速機入力軸25の回転に伴う遠心力および圧力によって潤滑油供給口25d、25eから減速部Bに流出する。潤滑油供給口25dから流出した潤滑油は、曲線板26a、26bを支持する円筒ころ軸受41(図2参照)、さらに、遠心力により、曲線板26a、26bと内ピン31との当接部分および曲線板26a、26bと外ピン27との当接部分等を潤滑しながら径方向外側に移動する。潤滑油供給口25e、25fから流出した潤滑油は、減速機入力軸25を支持する深溝玉軸受37a、37b、さらに、内部の軸受や当接部分に供給される。
ケーシング22の内壁面に到達した潤滑油は、潤滑油排出口22bから排出されて潤滑油貯留部22dに貯留される。潤滑油吐出口22bと回転ポンプ51との間に潤滑油貯留部22dが設けられているので、回転ポンプ51によって排出しきれない潤滑油が一時的に発生しても、潤滑油貯留部22dに貯留しておくことができる。その結果、減速部Bのトルク損失の増加を防止することができる。一方、潤滑油排出口22bに到達する潤滑油量が少なくなっても、回転ポンプは、潤滑油貯留部22dに貯留されている潤滑油を潤滑油路24a、25cに還流することができる。潤滑油は、遠心力に加えて重力によって移動する。したがって、潤滑油貯留部22dがインホイールモータ駆動装置21の下部に位置するように、電気自動車11に取り付けるのが望ましい。
次に、曲線板26a、26bに作用する荷重の状態を図4に基づいて説明する。図4は、図10の左側後輪14に駆動力を伝達するインホイールモータ駆動装置21の場合を示し、図1に示す左右方向の向きで使用される。偏心部25aの軸心O2は減速機入力軸25の軸心Oから偏心量eだけ偏心している。偏心部25aの外周には、曲線板26aが取り付けられ、偏心部25aは曲線板26aを回転自在に支持するので、軸心O2は曲線板26aの軸心でもある。曲線板26aの外周は波形曲線で形成され、径方向に窪んだ波形の凹部34を周方向等間隔に有する。曲線板26aの周囲には、凹部34と係合する外ピン27が、軸心Oを中心として周方向に複数配設されている。
図4において、電気自動車11が前進走行で力行運転時に、減速機入力軸25と共に偏心部25aが紙面上で反時計周りに回転すると、偏心部25aは軸心Oを中心とする公転運動を行うので、曲線板26aの凹部34が、外ピン27と周方向に順次当接する。この結果、矢印で示すように、曲線板26aは、複数の外ピン27から荷重Fiを受けて、時計回りに自転する。以降、曲線板26aについて説明するが、曲線板26bも同様である。
また、曲線板26aには貫通孔30aが軸心O2を中心として周方向に複数配設されている。各貫通孔30aには、軸心Oと同軸に配置された減速機出力軸28と結合する内ピン31が挿通する。貫通孔30aの内径は、内ピン31の外径よりも所定寸法大きいため、内ピン31は曲線板26aの公転運動の障害とはならず、内ピン31は曲線板26aの自転運動を取り出して減速機出力軸28を回転させる。このとき、減速機出力軸28は、減速機入力軸25よりも高トルクかつ低回転数になり、図4に矢印で示すように、曲線板26aは、複数の内ピン31から荷重Fjを受ける。これらの複数の荷重Fi、Fjの合力Fsが減速機入力軸25にかかり、この合力Fsが円筒ころ軸受41の軸受荷重となる。このため、以降の説明では軸受荷重Fsともいう。
軸受荷重Fsの方向は、曲線板26aの波形形状、凹部34の数などの幾何学的条件や遠心力の影響により変化する。具体的には、自転軸心O2と軸心Oとを結ぶ直線Yと直角であって軸心O2を通過する基準線Xと、軸受荷重Fsとの角度αは概ね30°〜60°で変動する。
上記の複数の荷重Fi、Fjは、減速機入力軸25が1回転(360°)する間に荷重の方向や大きさが変り、その結果、軸受荷重Fsも荷重の方向や大きさが変動する。そして、減速機入力軸25が1回転すると、曲線板26aの波形の凹部34が減速されて1ピッチ時計回りに回転し、図4の状態になり、これを繰り返す。上記のように、軸受荷重Fsの荷重の方向や大きさが変動し、かつ減速機入力軸25が高回転するので、転がり軸受41は、その径寸法に比して高回転で、かつ変動する高荷重を受ける過酷な条件で使用される。
本実施形態に係るインホイールモータ駆動装置21の全体構成は、前述したとおりであるが、その特徴的な構成を以下に説明する。
図5および図6に基づいて本実施形態の特徴的な構成を説明する。図5(a)は、偏心部25aに取り付ける転がり軸受41の拡大した側面図で、図5(b)は、図5(a)のH−Hにおける縦断面図である。図6は、図5(b)のI−Iにおける横断面図である。転がり軸受41は、曲線板26a、26bの貫通孔30bの内径面に直接形成された外側軌道面43と、内輪42と、複数の円筒ころ44と、円筒ころ44を保持する保持器47とからなる円筒ころ軸受である。図5(b)に曲線板26a、26bを2点鎖線で示す。
図5(b)に示すように、外側軌道面43と内側軌道面42aの間に配置された円筒ころ44は、保持器47のポケット47aに1個ずつ収容されている。ポケット47aは、一対の環状部47bと、この環状部47b間を連結する多数の柱部47cにより形成されている。円筒ころ44は、軸方向には環状部47bの側面で案内され、周方向には、図6に示すように柱部47cの側面で案内される。
曲線板26a、26bを支持する円筒ころ軸受41は、その径寸法に比して高回転で、かつ変動する高荷重を受ける過酷な使用条件で使用されることを考慮して、以下のような種々の対策を講じている。
すなわち、保持器47の外径面47eの直径Jを外側軌道面43の直径Kに対してわずかに小さい寸法とし、保持器47の外径面47eと外側軌道面43との間に案内すきまを設けて、保持器47の外径面47eが外側軌道面43により案内される形式としている。このような保持器47の案内形式にすることにより、高回転の使用条件に適する。
潤滑面では、図5(b)や図6に示すように、内輪42の設けられた油孔42fは、減速機入力軸25に設けられた潤滑油供給口25d(図1参照)に連通し、内側軌道面42a、外側軌道面43へ潤滑油が供給される構成となっており、高回転に配慮したものである。
また、円筒ころ軸受41の上記の使用条件を考慮して、対向する円筒ころ44の端面44aと鍔部42bの側面42cの双方の表面粗さ(算術平均粗さ)を、Ra0.25μm以下としている。これにより、比較的大径の円筒ころ44を転動体とした円筒ころ軸受41を用いざるを得ない場合でも、円筒ころ44と鍔部42bの摺動接触に伴う異音、振動の発生を可及的に防止できる。
さらに、材料、熱処理の面では、円筒ころ44は、軸受鋼からなり、浸炭窒化処理を施した後、焼入れ焼戻しを施すことにより、表層部の残留オーステナイト量を20〜35%としている。内輪42は、軸受鋼からなり、浸炭窒化処理を施した後、焼入れ焼戻しを施すことにより、表層部の残留オーステナイト量を20〜50%とし、芯部の残留オーステナイト量を15〜20%としている。これにより、転動疲労寿命を向上させると共にクラックの発生およびその進展を抑制し、円筒ころ軸受41の耐久性向上(長寿命化)を図っている。
曲線板26a、26bは、SCM415、SCM420、SCr420等の肌焼き鋼からなり、浸炭焼入れ焼戻しが施され、表面に硬化層が形成されている。このため、曲線板26a、26bは、靱性を有し、例えば車両の運転走行時に車輪用軸受部C(図1参照)を介して減速部Bに瞬間的な衝撃荷重が入力された場合でも、この衝撃荷重により曲線板26a、26bが変形、破損する可能性を効果的に減ずることを図っている。本実施形態では、曲線板26a、26bの貫通孔30bの内径面に外側軌道面43を直接形成したものを例示したが、これに限られず、貫通孔30bに別体の外輪を装着してもよい。
しかし、上述した種々の対策を講じてきたが、曲線板26a、26bを支持する円筒ころ軸受41は、予想外に過酷な条件で使用されていることが判明した。そのため、前述したような種々の対策に加えて、更なる対策が必要であることに着目したのが本実施形態である。この着目を基に、種々検討、検証し、次のような知見を得た。
曲線板26a、26bを支持する円筒ころ軸受41の保持器47は、上記のような高回転の条件では、もはや真円を保つことはできず、遠心力や円筒ころ44間の速度差、荷重差による相対的な位置の変化に起因する保持器47への負荷により、わずかに変形することが判明した。円筒ころ44は、図5(b)に示すように、内輪42に設けられた鍔部42bによって、その軸方向位置を拘束されており、円筒ころ44を軌道面42a、43内に保持するために鍔部42bの存在が必須である。しかし、保持器47がわずかに変形した際、保持器47の内径面47dと内輪42の鍔部42bの外径面42dとの間のすきまが狭いと、両者の接触による発熱や保持器47の損傷などの問題が危惧されることが判明した。
さらに、設計上の要件として、内輪42の鍔部42bは、円筒ころ44の端面と平坦面で接触して円筒ころ44からのスラスト荷重を受けるため、平坦面の面積を確保する必要がある。鍔部42bの平坦面は、研削ヌスミを設ける必要があるために、平坦面の面積に限度がある。鍔部42bの平坦面は、図6に示す鍔部42bの外径面42dから半径方向内側の研削ヌスミ端部42eまでの幅Nの部分である。また、保持器47も高回転下での変形を抑えるために肉厚を確保して強度を持たせる必要がある。そのため、限られた軸受設置スペースの中で、鍔部42bの平坦面の面積と保持器47の肉厚の両方をそれぞれ大きくする必要がある。その結果、保持器47の内径面47dと内輪42の鍔部42bの外径面42dとの間のすきまδを可能な限り切り詰めないと設計が成立しないことが判明した。
上記の知見に基づき思考した結果、曲線板26a、26bを支持する円筒ころ軸受41の実現するために、保持器47の内径面47dと内輪42の鍔部42bの外径面42dとの間のすきまδに係わる構成を規定するという新たな着想に至った。
本実施形態における円筒ころ軸受41では、保持器47の内径面47dと内輪42の鍔部42bの外径面42dとの間に、直径値でδのすきまが設けられている。図5(b)に示すように、保持器47の内径面47dは直径がLであり、内輪42の鍔部42bの外径面42dは直径がMである。したがって、直径値として、すきまδは、δ=L−Mで表される。特許請求の範囲における、すきまδはこの意味(δ=L−M)で用いるものとする。本実施形態では、すきまδを0.20mm以上0.60mm以下、より好ましくは、0.20mm以上0.50mmとしている。
保持器47の内径面47dと内輪42の鍔部42bの外径面42dとの間のすきまδの実現可能な範囲を追求するために、実験して評価した。その結果を表1に示す。表1の評価結果として、○は問題なし、△は条件により問題なし、×は問題の起きる可能性大を示す。
Figure 2016151339
以上の実験結果より、すきまδを0.20mm以上0.60mm以下に設定することにより、実現可能な範囲で、変形した保持器の内径と内輪の鍔部の外径との接触を効果的に防止でき、発熱や保持器の摩耗・損傷を防止できることおよび設計上の成立性を検証した。また、すきまδを0.20mm以上0.50mm以下にすると、内輪の鍔部の平坦面の面積や保持器の強度を確保という設計上の成立性の面から、より好ましいことを検証した。
また、本実施形態では、内輪42の鍔部42bの外径面47dの直径Mの公差範囲を100μm以下としている。上記のすきまδの範囲を達成するために、鍔部42bの外径面42d側の公差範囲を抑えることにより、公差範囲を狭めるのが難しい樹脂製保持器の採用を可能にできる。また、上記のすきまδの範囲を達成する上で、鍔部42bの外径面47dの直径Mの公差範囲を30μm以下とすること、更には、鍔部42bの外径面42dを研削加工面とすると、より好ましい。
上記構成のインホイールモータ駆動装置21の全体的な作動原理を説明する。
図1および図2を参照して、モータ部Aは、例えば、ステータ23aのコイルに交流電流を供給することによって生じる電磁力を受けて、永久磁石又は磁性体によって構成されるロータ23bが回転する。これにより、モータ回転軸24に連結された減速機入力軸25が回転すると、曲線板26a、26bは減速機入力軸25の回転軸心を中心として公転運動する。このとき、外ピン27が、曲線板26a、26bの曲線形状の波形と係合して、曲線板26a、26bを減速機入力軸25の回転とは逆向きに自転回転させる。
貫通孔30aに挿通する内ピン31は、曲線板26a、26bの自転運動に伴って貫通孔30aの内壁面と当接する。これにより、曲線板26a、26bの公転運動が内ピン31に伝わらず、曲線板26a、26bの自転運動のみが減速機出力軸28を介して車輪用軸受部Cに伝達される。
このとき、減速機入力軸25の回転が減速部Bによって減速されて減速機出力軸28に伝達されるので、低トルク、高回転型のモータ部Aを採用した場合でも、駆動輪14に必要なトルクを伝達することが可能となる。
上記構成の減速部Bの減速比は、外ピン27の数をZA、曲線板26a、26bの波形の数をZBとすると、(ZA−ZB)/ZBで算出される。図2に示す実施形態では、ZA=12、ZB=11であるので、減速比は1/11と非常に大きな減速比を得ることができる。
このように、多段構成とすることなく大きな減速比を得ることができる減速部Bを採用することにより、コンパクトで高減速比のインホイールモータ駆動装置21を得ることができる。また、外ピン27および内ピン31に針状ころ軸受27a、31aを設けたことにより、曲線板26a、26bとの間の摩擦抵抗が低減されるので、減速部Bの伝達効率が向上する。
本実施形態に係るインホイールモータ駆動装置21を電気自動車11に搭載することにより、ばね下重量を抑えることができる。その結果、走行安定性およびNVH特性に優れた電気自動車11を得ることができる。
本実施形態においては、回転ポンプ51としてサイクロイドポンプの例を示したが、これに限ることなく、減速機出力軸28の回転を利用して駆動するあらゆる回転型ポンプを採用することができる。さらには、回転ポンプ51を省略して、遠心力のみによって潤滑油を循環させるようにしてもよい。
減速部Bの曲線板26a、26bを180°位相を変えて2枚設けた例を示したが、この曲線板の枚数は任意に設定することができ、例えば、曲線板を3枚設ける場合は、120°位相を変えて設けるとよい。
運動変換機構は、減速機出力軸28に固定された内ピン31と、曲線板26a、26bに設けられた貫通孔30aとで構成された例を示したが、これに限ることなく、減速部Bの回転をハブ輪32に伝達可能な任意の構成とすることができる。例えば、曲線板に固定された内ピンと減速機出力軸に形成された穴とで構成される運動変換機構であってもよい。
本実施形態における作動の説明は、各部材の回転に着目して行ったが、実際にはトルクを含む動力がモータ部Aから駆動輪14に伝達される。したがって、上述のように減速された動力は高トルクに変換されたものとなっている。
また、モータ部Aに電力を供給してモータ部を駆動させ、モータ部Aからの動力を駆動輪14に伝達させる場合を示したが、これとは逆に、車両が減速したり坂を下ったりするようなときは、駆動輪14側からの動力を減速部Bで高回転低トルクの回転に変換してモータ部Aに伝達し、モータ部Aで発電してもよい。さらに、ここで発電した電力は、バッテリーに蓄電しておき、後でモータ部Aを駆動させたり、車両に備えられた他の電動機器等の作動に用いてもよい。
本実施形態の構成にブレーキを加えることもできる。例えば、図1の構成において、ケーシング22を軸方向に延長してロータ23bの図中右側に空間を形成し、ロータ23bと一体的に回転する回転部材と、ケーシング22に回転不能にかつ軸方向に移動可能なピストンとこのピストンを作動させるシリンダとを配置して、車両停止時にピストンと回転部材とによってロータ23bをロックするパーキングブレーキとしてもよい。
また、ロータ23bと一体的に回転する回転部材の一部に形成されたフランジおよびケーシング22側に設置された摩擦板をケーシング22側に設置されたシリンダで挟むディスクブレーキであってもよい。さらに、この回転部材の一部にドラムを形成すると共に、ケーシング22側にブレーキシューを固定し、摩擦係合およびセルフエンゲージ作用で回転部材をロックするドラムブレーキを用いることができる。
本実施形態においては、モータ部Aにラジアルギャップモータを採用した例を示したが、これに限ることなく、任意の構成のモータを適用可能である。例えば、ケーシングに固定されるステータと、ステータの内側の軸方向の隙間を開けて対向する位置に配置されるロータとを備えるアキシャルギャップモータであってもよい。
さらに、図11に示した電気自動車11は、後輪14を駆動輪とした例を示したが、これに限ることなく、前輪13を駆動輪としてもよく、4輪駆動車であってもよい。なお、本明細書中で「電気自動車」とは、電力から駆動力を得る全ての自動車を含む概念であり、例えば、ハイブリッドカー等をも含むものとして理解すべきである。
次に、本発明の第2の実施形態に係る車両用モータ駆動装置を図7および図8に基づいて説明する。図7は車両用モータ駆動装置の縦断面図で、図8は減速部の周辺を拡大した縦断面図である。本実施形態の車両用モータ駆動装置71はオンボードタイプと呼ばれるもので、車両用モータ駆動装置71は車体に搭載される。図7に示すように、車両用モータ駆動装置71は、左右のドライブシャフト100を介して駆動車輪14を駆動する。車両用モータ駆動装置71は、サイクロイド減速機構を有する減速部Bと、減速部Bを回転駆動するモータ部Aを備えている。
車両用モータ駆動装置71は左右にモータ部Aと減速部Bとをそれぞれ2個ずつ備える。2個のモータ部Aは、同軸に背中合わせで隣接して配設されている。また、減速部Bはモータ部と同軸に配設されている。左右のモータ部A、減速部Bおよびドライブシャフト100は同じであるので、左側のモータ部A、減速部Bおよびドライブシャフト100について説明する。
モータ部Aは、ケーシング72に固定されたステータ73aと、ステータ73aの内側に径方向の隙間をもって対向する位置に配置されるロータ73bと、ロータ73bの内側に連結固定されてロータ73bと一体回転するモータ回転軸74とを備えるラジアルギャップモータである。モータ回転軸74は、その両端を転がり軸受106a、106bによって回転自在に支持されている。
図8に示すように、減速部Bの減速機入力軸75は、軸方向一方側端部(図8の右側)がモータ回転軸74とスプライン嵌合しトルク伝達可能に連結されている。減速機入力軸75の軸方向他端部(図8の左側)は転がり軸受87によって、減速機出力軸78に対して回転自在に支持されている。減速機入力軸75は、偏心部75a、75bを有する。第1の実施形態と同様に、2つの偏心部75a、75bは、偏心運動による遠心力を互いに打ち消し合うために、180°位相を変えて設けられている。
減速部Bは、偏心部75a、75bに転がり軸受91を介して回転自在に保持される曲線板76a、76bと、曲線板76a、76bの外周に係合する外ピン77と、曲線板76a、76bの自転運動を減速機出力軸78に伝達する内ピン81と、偏心部75a、75bに隣接する位置にカウンタウェイト79とを備える。減速機出力軸78は転がり軸受96によってケーシング22に回転自在に支持されている。
図7に示すように、ドライブシャフト100は、駆動車輪14側の固定式等速自在継手101と減速機側の摺動式等速自在継手102と、両等速自在継手101、102間を連結する中間シャフト103を主な構成とする。減速機出力軸78は、摺動式等速自在継手101にスプライン嵌合によって連結され、減速部Bの出力を車輪14に伝達する。
本実施形態においても、第1の実施形態と同様に、減速機入力軸75の偏心部75a、75bに取り付けられ、曲線板76a、76bを回転自在に支持する円筒ころ軸受91は、図示は省略するが、保持器の内径面と内輪の鍔部の外径面との間に、すきまδが設けられている。本実施形態においても、すきまδを0.20mm以上0.60mm以下、より好ましくは、0.20mm以上0.50mm以下としている。これにより、高回転時の保持器の内径面と内輪の鍔部の外径面との接触を効果的に防止し、発熱や保持器の摩耗・損傷の防止と共に設計上の成立性を確保している。
また、内輪の鍔部の外径面の直径の公差範囲を100μm以下、より好ましくは、30μm以下としている。さらには、鍔部の外径面を研削加工面としている。上記のすきまδの範囲を達成するために、鍔部42bの外径面42d側の公差範囲を抑えることにより、公差範囲を狭めるのが難しい樹脂製保持器の採用を可能にしている。
減速部Bの作動や、曲線板76a、76bに作用する荷重の状態、軸受荷重や、曲線板76a、76bを支持する円筒ころ軸受91の過酷な使用条件に対する種々の対策内容については、第1の実施形態と同様であるので、第1の実施形態で説明した内容を準用し、重複説明を省略する。
第2の実施形態の車両用モータ駆動装置71は、左右の車輪をそれぞれ駆動するモータ部A、減速部Bをそれぞれ2個ずつ配設したものを示したが、これに限られず、1個のモータ部と1個の減速部Bからなる車両用モータ駆動装置により左右の車輪を駆動するものにも適宜適用することができる。
本発明は前述した実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、さらに種々の形態で実施し得ることは勿論のことであり、本発明の範囲は、特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲に記載の均等の意味、および範囲内のすべての変更を含む。
11 電気自動車、12 シャーシ、12a ホイールハウジング、12b 懸架装置、13 前輪、14 後輪、21 インホイールモータ駆動装置、22 ケーシング、22a 軸受装着面、22b 潤滑油排出口、22d 潤滑油貯留部、22e 潤滑油路、23a ステータ、23b ロータ、24 モータ回転軸、25 減速機入力軸、25a 偏心部、25b 偏心部、25c 潤滑油路、25d 潤滑油供給口、25e 潤滑油供給口、25h 部分溝、25g 外径面、26a 曲線板、26b 曲線板、27 外ピン、27a 針状ころ軸受、28 減速機出力軸、29 カウンタウェイト、30b 貫通孔、31 内ピン、31a 針状ころ軸受、31b スタビライザ、31c 円環部、31d 円筒部、32 ハブ輪、33 車輪用軸受、33a 内輪、33b 外輪、33c 玉、33d 保持器、33e シール部材、33f 内側軌道面、36a 転がり軸受、36b 転がり軸受、37a 転がり軸受、37b 転がり軸受、41 転がり軸受、42 内輪、42a 内側軌道面、42b 鍔部、42d 外径面、43 外側軌道面、44 円筒ころ、45 循環油路、45a 軸方向油路、45b 径方向油路、45c 径方向油路、46 転がり軸受、47 保持器、47d 内径面、47e 外径面、51 回転ポンプ、52 インナーロータ、53 アウターロータ、54 ポンプ室、55 吸入口、56 吐出口、60 外ピンハウジング、71 車両用モータ駆動装置、74 モータ回転軸、75 減速機入力軸、75a、75b 偏心部、75c 潤滑油路、75d 潤滑油供給口、75h 部分溝、75k 外径面、76a、76b 曲線板、91 転がり軸受、92 内輪、92a 内側軌道面、92b 油孔、100 ドライブシャフト、L 直径、M 直径、δ すきま

Claims (7)

  1. モータ部の回転駆動力を減速部に入力し回転数を減速して車輪側に伝達する車両用モータ駆動装置であって、前記減速部がサイクロイド減速機構を有し、減速機入力軸が偏心部を有し、この偏心部に、前記サイクロイド減速機構の公転部材としての曲線板を転がり軸受を介して回転自在に支持し、前記減速機入力軸が前記モータ部のモータ回転軸に連結された車両用モータ駆動装置において、
    前記転がり軸受は、前記曲線板の貫通孔に形成された外側軌道面と、内側軌道面とこの内側軌道面の軸方向両端部に鍔部を有する内輪と、前記外側軌道面と内側軌道面の間に配置された複数の円筒ころと、この円筒ころを保持する保持器とからなる円筒ころ軸受で構成され、前記内輪は、減速機入力軸の偏心部の外径面に嵌合して組込まれ、前記保持器の内径面と鍔部の外径面との間にすきまδを設け、このすきまδを0.20mm以上0.60mm以下としたことを特徴とする車両用モータ駆動装置。
  2. 前記すきまδを0.20mm以上0.50mm以下としたことを特徴とする請求項1に記載の車両用モータ駆動装置。
  3. 前記鍔部の外径面の直径の公差範囲を100μm以下としたことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の車両用モータ駆動装置。
  4. 前記鍔部の外径面の直径の公差範囲を30μm以下としたことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の車両用モータ駆動装置。
  5. 前記鍔部の外径面が研削加工面であること特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の車両用モータ駆動装置。
  6. 前記車両用モータ駆動装置がインホイールモータであることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の車両用モータ駆動装置。
  7. 前記車両用モータ駆動装置のモータ部と減速部が車体に搭載され、減速部からドライブシャフトを介して車輪に回転駆動力を伝達することを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の車両用モータ駆動装置。
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