JP2016150970A - ゴム組成物および高性能タイヤ - Google Patents

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Abstract

【課題】十分な耐摩耗性を維持しながら、走行初期および走行中に安定した高いグリップ性能が得られるゴム組成物を提供すること。
【解決手段】ジエン系ゴム成分、粘着付与樹脂、補強剤および軟化剤を含有するゴム組成物であり、ジエン系ゴム成分100質量部に対する粘着付与樹脂の含有量が5〜70質量部であり、ジエン系ゴム成分、粘着付与樹脂および軟化剤の全量または一部をマスターバッチとして含有するゴム組成物および該ゴム組成物で構成されるトレッドを有する高性能タイヤ。
【選択図】なし

Description

本発明はゴム組成物および該ゴム組成物で構成されるトレッドを有する高性能タイヤに関する。
高性能タイヤ用のトレッドには、走行初期から走行終了まで、乾燥路面(ドライ路面)における優れた操縦安定性(グリップ性能)を保つことが望まれている。すなわち、優れた初期グリップ性能と共に、走行中のグリップ性能も良好に保つことが望まれている。
従来、走行中の安定したグリップ性能を得る目的では、トレッド用ゴム組成物へ粘着樹脂を配合する方法が検討されている。しかし、粘着樹脂を配合することで走行中の安定したグリップ性能は得られるものの、背反的に初期グリップ性能が大きく低下するという問題がある。
一方、初期グリップ性能を向上させる目的で、トレッド用ゴム組成物中の軟化剤の配合量を増やす方法や、低温軟化剤を配合する方法が検討されている。これらの方法により初期グリップ性能は向上するものの、トレッドの温度が上昇するにつれて走行中のグリップ性能が低下するという問題がある。
特許文献1には、所定の樹脂と軟化剤とを含有するトレッド用ゴム組成物が記載されているが、耐摩耗性、走行中のグリップ性能、および初期グリップ性能の向上については、まだ改善の余地がある。
特開2012−162620号公報
本発明は、十分な耐摩耗性を維持しながら、走行初期および走行中に安定した高いグリップ性能が得られるゴム組成物を提供することを目的とする。
本発明は、ジエン系ゴム成分、粘着付与樹脂、補強剤および軟化剤を含有するゴム組成物であり、ジエン系ゴム成分100質量部に対する粘着付与樹脂の含有量が5〜70質量部であり、ジエン系ゴム成分、粘着付与樹脂および軟化剤の全量または一部をマスターバッチとして含有するゴム組成物に関する。
ジエン系ゴム成分の60質量%以上がスチレンブタジエンゴムであり、ジエン系ゴム成分100質量部に対する補強剤の含有量が40〜200質量部であり、軟化剤の含有量が30〜200質量部であることが好ましい。
粘着付与樹脂の軟化点が60〜170℃であることが好ましい。
補強剤がカーボンブラックを含むことが好ましい。
軟化剤がオイルおよび液状ジエン系重合体を含むことが好ましい。
マスターバッチが、ゴム組成物中の全ジエン系ゴム成分の70〜100質量%のジエン系ゴム成分、全ジエン系ゴム成分100質量部に対して5〜70質量部の粘着付与樹脂および5〜100質量部の軟化剤を含むマスターバッチであることが好ましい。
また、本発明は前記ゴム組成物で構成されるトレッドを有する高性能タイヤに関する。
本発明によれば、十分な耐摩耗性を維持しながら、走行初期および走行中に安定した高いグリップ性能が得られるゴム組成物および該ゴム組成物で構成されるトレッドを有する高性能タイヤを提供することができる。
本発明のゴム組成物は、ジエン系ゴム成分に対し、所定量の粘着付与樹脂、補強剤および軟化剤を含有するゴム組成物であり、前記のジエン系ゴム成分、粘着付与樹脂および軟化剤の全量または一部をマスターバッチとして含有することを特徴とする。
前記ジエン系ゴム成分としては、例えば、天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)、ブタジエンゴム(BR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、スチレンイソプレンブタジエンゴム(SIBR)、エチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)、クロロプレンゴム(CR)、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)、ブチルゴム(IIR)などが挙げられる。これらのジエン系ゴム成分は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。なかでも、グリップ性能および耐摩耗性がバランスよく得られるという理由からNR、BR、SBRが好ましく、SBRがより好ましい。
SBRとしては、特に限定されず、例えば、乳化重合スチレンブタジエンゴム(E−SBR)、溶液重合スチレンブタジエンゴム(S−SBR)、これらのSBRの末端を変性した変性SBR(変性E−SBR、変性S−SBR)など、タイヤ工業において一般的なものを使用できる。なかでも、グリップ性と耐摩耗性とのバランスに優れるという理由からS−SBRが好ましい。
SBRのスチレン含有量は、20質量%以上が好ましく、25質量%以上がより好ましい。20質量%未満の場合は、十分なグリップ性能が得られない傾向がある。また、該スチレン含有量は、60質量%以下が好ましく、50質量%以下がより好ましい。60質量%を超える場合は、耐摩耗性が低下するだけでなく、温度依存性が増大し、温度変化に対する性能変化が大きくなってしまい、走行中の安定したグリップ性能が良好に得られない傾向がある。なお、本発明において、SBRのスチレン含有量は、H1−NMR測定により算出される値である。
SBRを含有する場合のジエン系ゴム成分中の含有量は、60質量%以上が好ましく、80質量%以上がより好ましい。60質量%未満の場合は、十分な耐熱性、グリップ性能、耐摩耗性が得られない傾向がある。また、SBRの含有量の上限は特に限定されず、100質量%でもよい。
前記粘着付与樹脂としては、芳香族系石油樹脂などの従来タイヤ用ゴム組成物で慣用される樹脂が挙げられる。芳香族石油樹脂としては例えば、フェノール系樹脂、クマロンインデン樹脂、テルペン樹脂、スチレン樹脂、アクリル樹脂、ロジン樹脂、ジシクロペンタジエン樹脂(DCPD樹脂)などが挙げられる。フェノール系樹脂としては例えばコレシン(BASF社製)、タッキロール(田岡化学工業(株)製)などが挙げられる。クマロンインデン樹脂としては例えばクマロン(日塗化学(株)製)、エスクロン(新日鉄化学(株)製)、ネオポリマー(新日本石油化学(株)製)などが挙げられる。スチレン樹脂としては例えばSylvatraxx 4401 (Arizona chemical社製)などが挙げられる。テルペン樹脂としては例えばTR7125(Arizona chemical社製)、TO125(ヤスハラケミカル(株)製)などが挙げられる。
粘着付与樹脂の軟化点は、60℃以上が好ましく、80℃以上がより好ましい。軟化点が60℃未満の場合は、走行中の安定したグリップ性能が得られないおそれがある。また、該軟化点は170℃以下が好ましく、160℃以下がより好ましい。軟化点が170℃を超える場合は、初期グリップ性能が低下するおそれがある。なお、本発明における樹脂の軟化点は、JIS K 6220−1:2001に規定される軟化点を環球式軟化点測定装置で測定し、球が降下した温度である。
粘着付与樹脂のジエン系ゴム成分100質量部に対する含有量は、5質量部以上であり、10質量部以上が好ましい。5質量部未満の場合は、十分なグリップ性能が得られない傾向がある。また、粘着付与樹脂の含有量は、70質量部以下であり、60質量部以下が好ましい。70質量部を超える場合は、十分な耐摩耗性能が得られない傾向がある。
前記補強剤としては、カーボンブラック、シリカ、炭酸カルシウム、アルミナ、クレー、タルクなど、従来タイヤ用ゴム組成物で慣用されるものが挙げられる。なかでも、耐摩耗性が優れるという理由から、カーボンブラックが好ましい。カーボンブラックとしては、例えば、オイルファーネス法により製造されたカーボンブラックなどが挙げられ、2種類以上のコロイダル特性の異なるものを併用してもよい。具体的にはGPF、HAF、ISAF、SAFなどが挙げられるが、なかでも、SAFが好適である。
カーボンブラックのチッ素吸着比表面積(N2SA)は、100m2/g以上が好ましく、105m2/g以上がより好ましく、110m2/g以上がさらに好ましい。N2SAが100m2/g未満の場合は、グリップ性能が低下する傾向がある。また、カーボンブラックのN2SAは、600m2/g以下が好ましく、250m2/g以下がより好ましく、180m2/g以下がさらに好ましい。600m2/gを超える場合は、良好な分散性が得られにくく、耐摩耗性が低下する傾向がある。なお、カーボンブラックのN2SAは、JIS K 6217−2:2001に準拠して求められる値である。
カーボンブラックのDBP吸油量は、50ml/100g以上が好ましく、100ml/100g以上がより好ましい。DBP吸油量が50ml/100g未満の場合は、十分な耐摩耗性が得られないおそれがある。また、カーボンブラックのDBP吸油量は、250ml/100g以下が好ましく、200ml/100g以下がより好ましく、135ml/100g以下がさらに好ましい。DBP吸油量が250ml/100gを超える場合は、グリップ性能が低下するおそれがある。なお、カーボンブラックのDBP吸油量は、JIS K 6217−4:2008に準拠して測定される。
カーボンブラックを含有する場合のジエン系ゴム成分100質量部に対する含有量は、50質量部以上が好ましく、80質量部以上がより好ましく、100質量部以上がさらに好ましい。含有量が50質量部未満の場合は十分な耐摩耗性およびグリップ性能が得られないおそれがある。また、カーボンブラックの含有量は、200質量部以下が好ましく、150質量部以下がより好ましい。含有量が200質量部を超えると、グリップ性能が低下するおそれがある。
補強剤のジエン系ゴム成分100質量部に対する合計含有量は、40質量部以上が好ましく、50質量部以上がより好ましく、60質量部以上がさらに好ましい。合計含有量が40質量部未満の場合は、十分なグリップ性能が得られない傾向がある。また、補強剤の合計含有量は200質量部以下が好ましく、180質量部以下がより好ましく、150質量部以下がさらに好ましい。合計含有量が200質量部を超える場合は、耐摩耗性が悪化する傾向がある。
本発明のゴム組成物は、初期グリップ性能、走行中の安定したグリップ性能などの観点から、前記粘着付与樹脂に加えて、軟化剤を配合する。該軟化剤としては特に限定されないが、オイル、液状ジエン系重合体などが挙げられる。
オイルとしては、例えば、パラフィン系、アロマ系、ナフテン系プロセスオイルなどのプロセスオイルが挙げられる。
オイルを含有する場合のジエン系ゴム成分100質量部に対する含有量は、15質量部以上が好ましく、30質量部以上がより好ましい。含有量が15質量部未満の場合は、添加による効果が得られないおそれがある。また、オイルの含有量は、85質量部以下が好ましく、75質量部以下がより好ましい。含有量が85質量部を超える場合は、耐摩耗性が悪化する傾向がある。なお、本明細書において、オイルの含有量には油展ゴムに含まれるオイル量も含まれる。
液状ジエン系重合体は、常温(25℃)で液体状態のジエン系重合体である。液状ジエン系重合体は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)で測定したポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)が、1.0×103〜2.0×105であることが好ましく、3.0×103〜1.5×104であることがより好ましい。1.0×103未満の場合は、耐摩耗性、破壊特性が低下し、十分な耐久性が確保できないおそれがある。一方、2.0×105を超える場合は、重合溶液の粘度が高くなり過ぎ生産性が悪化するおそれがある。
液状ジエン系重合体としては、液状スチレンブタジエン共重合体(液状SBR)、液状ブタジエン重合体(液状BR)、液状イソプレン重合体(液状IR)、液状スチレンイソプレン共重合体(液状SIR)などが挙げられる。なかでも、耐摩耗性と走行中の安定したグリップ性能がバランスよく得られるという理由から、液状SBRが好ましい。
液状ジエン系重合体を含有する場合のジエン系ゴム成分100質量部に対する含有量は、20質量部以上が好ましく、30質量部以上がより好ましい。20質量部未満の場合は、十分なグリップ性能が得られない傾向がある。また、液状ジエン系重合体の含有量は、100質量部以下が好ましく、50質量部以下がより好ましく、40質量部以下がさらに好ましい。100質量部を超える場合は、耐摩耗性が悪化する傾向がある。
軟化剤のジエン系ゴム成分100質量部に対する合計含有量は、30質量部以上が好ましく、35質量部以上がより好ましく、40質量部以上がさらに好ましい。合計含有量が30質量部未満の場合は、ゴム組成物が硬く、十分なグリップ性が得られない傾向がある。また、軟化剤の合計含有量は200質量部以下が好ましく、180質量部以下がより好ましく、150質量部以下がさらに好ましい。合計含有量が200質量部を超える場合は、耐摩耗性が悪化する傾向がある。
本発明のゴム組成物には、前記成分以外にも、タイヤ工業において一般的に用いられている配合剤、例えば、ワックス、酸化亜鉛、老化防止剤、硫黄等の加硫剤、加硫促進剤等を適宜配合してもよい。
前記酸化亜鉛としては、特に限定されず、タイヤなどのゴム分野で使用されているものなどが挙げられる。なかでも、微粒子酸化亜鉛が耐ブロー性能に優れるという理由から好適に使用できる。具体的には、平均一次粒子径が200nm以下の酸化亜鉛を使用することが好ましく、100nm以下の酸化亜鉛がより好ましい。該平均一次粒子径の下限は特に限定されないが、好ましくは20nm以上、より好ましくは30nm以上である。なお、酸化亜鉛の平均一次粒子径は、窒素吸着によるBET法により測定した比表面積から換算された平均粒子径(平均一次粒子径)を表す。
酸化亜鉛を含有する場合のジエン系ゴム成分100質量部に対する含有量は、0.5〜10質量部が好ましく、1.0〜5質量部がより好ましい。酸化亜鉛の含有量が該範囲内であると、本発明の効果がより好適に得られる。
前記硫黄としては、特に限定されず、タイヤなどのゴム分野で使用されている粉末硫黄、沈降硫黄、不溶性硫黄などが挙げられる。なお、混練温度が高く、ゴム焼けが発生する恐れがあるという理由から、硫黄は後述のマスターバッチには配合しないことが好ましく、他の配合剤と同様に予め混練りしたマスターバッチに加えて混練りすることがより好ましい。
前記加硫促進剤としては、スルフェンアミド系、チアゾール系、チウラム系、グアニジン系加硫促進剤などが挙げられ、なかでも、チアゾール系、チウラム系加硫促進剤を好適に使用できる。
チアゾール系加硫促進剤としては、例えば、2−メルカプトベンゾチアゾール、2−メルカプトベンゾチアゾールのシクロヘキシルアミン塩、ジ−2−ベンゾチアゾリルジスルフィドなどが挙げられ、なかでも、ジ−2−ベンゾチアゾリルジスルフィドが好ましい。チウラム系加硫促進剤としては、テトラメチルチウラムジスルフィド(TMTD)、テトラベンジルチウラムジスルフィド(TBzTD)、テトラキス(2−エチルヘキシル)チウラムジスルフィド(TOT−N)などが挙げられ、なかでも、TOT−Nが好ましい。
加硫促進剤を含有する場合のジエン系ゴム成分100質量部に対する含有量は、1質量部以上が好ましく、3質量部以上がより好ましい。1質量部未満の場合は十分な加硫速度が得られず、良好なグリップ性能、耐摩耗性が得られない傾向がある。また、加硫促進剤の含有量は、15質量部以下が好ましく、10質量部以下がより好ましい。15質量部を超える場合は、ブルーミングを起こし、グリップ性能、耐摩耗性が低下するおそれがある。
本発明のゴム組成物は、ジエン系ゴム成分、粘着付与樹脂および軟化剤の全量または一部を、予め混練りしたマスターバッチとして含有することを特徴とする。これらの成分をマスターバッチとして含有することで、ゴム組成物中での粘着付与樹脂の分散性が向上して温度依存性が低減し、走行初期および走行中に安定した高いグリップ性能が得られる。
マスターバッチの調製方法としては、例えば、ジエン系ゴム成分をバンバリーミキサーやニーダー、オープンロールなどで1〜5分間素練り後、粘着付与樹脂および軟化剤を投入し、混練り物の温度が粘着付与樹脂の軟化点を超えるまで混練りする方法などが挙げられる。
マスターバッチとして含有するジエン系ゴム成分は、ゴム組成物中の全ジエン系ゴム成分(以下、全ジエン系ゴム成分と記す)の70質量%以上が好ましく、80質量%以上がより好ましい。70質量%未満の場合は、本発明に係るマスターバッチによる効果が不十分となる傾向がある。また、全ジエン系ゴム成分の全てをマスターバッチとすることが、粘着付与樹脂の分散性がより向上し、維持できるという理由から好ましい。
マスターバッチとして含有する粘着付与樹脂は、ゴム組成物中に含有する粘着付与樹脂の全量とすることも、その一部とすることもできる。また、マスターバッチとして含有する粘着付与樹脂の全ジエン系ゴム成分100質量部に対する含有量は、5〜70質量部が好ましく、10〜70質量部がより好ましい。5質量部未満の場合は、本発明に係るマスターバッチによる効果が不十分となる傾向がある。また、70質量部を超える場合は、十分な耐摩耗性が得られない傾向がある。
マスターバッチとして含有する軟化剤は、ゴム組成物中に含有する軟化剤の全量とすることも、その一部とすることもできる。また、マスターバッチとして含有する軟化剤の全ジエン系ゴム成分100質量部に対する含有量は、5〜100質量部が好ましく、10〜70量部がより好ましい。5質量部未満の場合は、軟化剤が少な過ぎて、マスターバッチの製造が困難となる傾向がある。また、100質量部を超える場合は、軟化剤が多過ぎて、マスターバッチの製造が困難となる傾向がある。
本発明のゴム組成物は、前記のマスターバッチおよび各配合剤をさらにバンバリーミキサーやニーダー、オープンロールなどで混練りし、その後加硫する方法等により製造できる。
また、本発明の高性能タイヤは、前記ゴム組成物を用いて通常の方法で製造される。すなわち、前記成分を配合したゴム組成物を、未加硫の段階でトレッドの形状にあわせて押出し加工し、他のタイヤ部材とともに、タイヤ成形機上にて通常の方法で成形することにより、未加硫タイヤを形成する。この未加硫タイヤを加硫機中で加熱加圧することによりタイヤを得る。なお、本発明における高性能タイヤとは、グリップ性能(特に、ドライグリップ性能)に特に優れたタイヤであり、競技車両に使用する競技用タイヤをも含む概念であり、該高性能タイヤは、レースなどの競技用タイヤ、特にドライ路面に使用される高性能ドライタイヤに好適に適用できる。
本発明を実施例に基づいて説明するが、本発明は、実施例にのみ限定されるものではない。
以下、実施例および比較例において用いた各種薬品をまとめて示す。
SBR:日本ゼオン(株)製のNS116(S−SBR、スチレン含有量:22質量%、ビニル結合量:65質量%)
粘着付与樹脂:日塗化学(株)製のクマロンG−90(クマロンインデン樹脂、軟化点:90℃)
液状ジエン系重合体:(株)クラレ製のL−SBR−820(液状SBR、スチレン含有量:22質量%、Mw:8500)
プロセスオイル:出光興産(株)製のダイアナプロセスAH−24
カーボンブラック:東海カーボン(株)製のシースト9SAF(N2SA:142m2/g、DBP吸油量:115ml/100g)
酸化亜鉛:三井金属工業(株)製の酸化亜鉛2種(平均一次粒子径:65nm)
ステアリン酸:日本油脂(株)製のステアリン酸「椿」
老化防止剤:住友化学(株)製のアンチゲン6C(N−(1,3−ジメチルブチル)−N−フェニル−p−フェニレンジアミン、6PPD)
ワックス:大内新興化学工業(株)製のサンノックN
硫黄:軽井沢硫黄(株)製の粉末硫黄
加硫促進剤1:大内新興化学(株)製のノクセラーDM(ジ−2−ベンゾチアゾリルジスルフィド)
加硫促進剤2:大内新興化学(株)製のノクセラーTOT−N(テトラキス(2−エチルヘキシル)チウラムジスルフィド)
マスターバッチの調製
表1に示す配合内容に従い、ジエン系ゴム成分をバンバリーミキサーやニーダー、オープンロールなどで1分間素練り後、粘着付与樹脂および軟化剤を投入し、混練り物の温度が粘着付与樹脂の軟化点を超えるまで混練りし、各マスターバッチを得た。
実施例および比較例
表2に示す配合内容に従い、上記各種薬品(硫黄および加硫促進剤を除く)を、1.7Lバンバリーミキサーにて、排出温度150℃で5分間混練りし、混練り物を得た。得られた混練り物に、硫黄および加硫促進剤を添加し、オープンロールを用いて練り込み、未加硫ゴム組成物を得た。得られた未加硫ゴム組成物をトレッドの形状に成形し、タイヤ成型機上で他のタイヤ部材とともに貼りあわせ、150℃の条件下で30分間加硫し、試験用タイヤ(タイヤサイズ:215/45R17)を得た。得られた試験用タイヤについて、下記評価を行った。結果を表1に示す。
<初期グリップ性能、走行中グリップ性能>
試験用タイヤを国産FR車(2000cc)の全輪に装着し、1周2kmのドライアスファルト路面のテストコースにて10周の実車走行を行った。その際における、操舵時のコントロールの安定性をテストドライバーが評価し、比較例3を100として指数表示をした。数値が大きいほど初期グリップ性能が高いことを示す。1〜3周目の結果を初期グリップ性能として、また、4〜10周目の結果を走行中グリップ性能とした。
<耐摩耗性>
試験用タイヤを国産FR車(2000cc)の全輪に装着し、1周2kmのドライアスファルト路面のテストコースにて実車走行を行った。その際におけるタイヤトレッドゴムの残溝量を計測し(新品時15mm)、比較例3の残溝量を100として指数表示した。耐摩耗性指数が大きいほど、耐摩耗性が高いことを示す。
Figure 2016150970
Figure 2016150970
表2の結果より、ゴム成分、ならびに、所定量の粘着付与樹脂、補強剤および軟化剤を含有するゴム組成物であって、ジエン系ゴム成分、粘着付与樹脂および軟化剤をマスターバッチとして含有するゴム組成物は、十分な耐摩耗性を維持しながら、走行初期および走行中に安定した高いグリップ性能が得られるゴム組成物であることがわかる。

Claims (7)

  1. ジエン系ゴム成分、粘着付与樹脂、補強剤および軟化剤を含有するゴム組成物であり、
    ジエン系ゴム成分100質量部に対する粘着付与樹脂の含有量が5〜70質量部であり、
    ジエン系ゴム成分、粘着付与樹脂および軟化剤の全量または一部をマスターバッチとして含有するゴム組成物。
  2. ジエン系ゴム成分の60質量%以上がスチレンブタジエンゴムであり、
    ジエン系ゴム成分100質量部に対する補強剤の含有量が40〜200質量部であり、
    軟化剤の含有量が30〜200質量部である請求項1記載のゴム組成物。
  3. 粘着付与樹脂の軟化点が60〜170℃である請求項1または2記載のゴム組成物。
  4. 補強剤がカーボンブラックを含む請求項1〜3のいずれか1項に記載のゴム組成物。
  5. 軟化剤がオイルおよび液状ジエン系重合体を含む請求項1〜4のいずれか1項に記載のゴム組成物。
  6. マスターバッチが、ゴム組成物中の全ジエン系ゴム成分の70〜100質量%のジエン系ゴム成分、全ジエン系ゴム成分100質量部に対して5〜70質量部の粘着付与樹脂および5〜100質量部の軟化剤を含むマスターバッチである請求項1〜5記載のゴム組成物。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項に記載のゴム組成物で構成されるトレッドを有する高性能タイヤ。
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JP2020111675A (ja) * 2019-01-11 2020-07-27 住友ゴム工業株式会社 加硫ゴム組成物及びタイヤ

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