JP2016150948A - タイヤリムクッション用ゴム組成物およびそれを用いた空気入りタイヤ - Google Patents

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弥生 赤堀
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健介 土方
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Abstract

【課題】タイヤリムクッションはビード部に配置され、タイヤ走行中のリムズレの抑制や荷重を支えるため高硬度であることが求められる。また、かなり強い屈曲を受けることから耐クラック性のような耐疲労性も要求される。高硬度化する手法として、カーボンブラックを多量に配合することが一般的に行われているが、加工性の悪化・耐疲労性の悪化を招いていた。【解決手段】ブタジエンゴムを40質量部以上含むジエン系ゴム100質量部に対し、窒素吸着比表面積(N2SA)が70〜140m2/gのカーボンブラックを50〜100質量部およびジスチレン化フェノールまたはトリスチレン化フェノールを主成分とするスチレン化フェノール化合物を0.5〜30質量部配合してなるタイヤリムクッション用ゴム組成物によって上記課題を解決した。【選択図】なし

Description

本発明は、タイヤリムクッション用ゴム組成物およびそれを用いた空気入りタイヤに関するものであり、詳しくは、加工性に優れ、耐疲労性および硬度を向上し得るタイヤリムクッション用ゴム組成物およびそれを用いた空気入りタイヤに関するものである。
タイヤリムクッションはビード部に配置され、タイヤ走行中のリムズレの抑制や荷重を支えるため高硬度であることが求められる。また、かなり強い屈曲を受けることから耐クラック性のような耐疲労性も要求される。高硬度化する手法として、カーボンブラックを多量に配合することが一般的に行われているが、加工性の悪化・耐疲労性の悪化を招いていた。これとは別に、オイルを配合することも試みられているが、マイグレーション等による経時変化が生じ、望ましくない。
なお下記特許文献1には、ゴム材料と特定構造のメチレンビス(アルキルスルフィド)およびフェノール系酸化防止剤等から選ばれる劣化防止剤とを混合する技術が開示されている。しかし特許文献1には、下記で説明する本発明のスチレン化フェノール化合物については開示も示唆もない。また、特定のスチレン化フェノール化合物を用い、加工性、耐疲労性および硬度を同時に改善し、これをリムクッションに用いようとする技術思想は何ら開示されていない。
特公平8−26178号公報
本発明の目的は、加工性に優れ、耐疲労性および硬度を向上し得るタイヤリムクッション用ゴム組成物およびそれを用いた空気入りタイヤを提供することにある。
本発明者らは鋭意研究を重ねた結果、特定の組成のジエン系ゴムに対し、特定の特性を有するカーボンブラックおよび特定の構造を有する化合物を特定量で配合することにより、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成することができた。
すなわち本発明は以下のとおりである。
1.ブタジエンゴムを40質量部以上含むジエン系ゴム100質量部に対し、窒素吸着比表面積(NSA)が70〜140m/gのカーボンブラックを50〜100質量部およびジスチレン化フェノールまたはトリスチレン化フェノールを主成分とするスチレン化フェノール化合物を0.5〜30質量部配合してなることを特徴とするタイヤリムクッション用ゴム組成物。
2.前記1に記載のゴム組成物をリムクッションに使用した空気入りタイヤ。
本発明によれば、特定の組成のジエン系ゴムに対し、特定の特性を有するカーボンブラックおよび特定の構造を有するスチレン化フェノール化合物を特定量で配合したので、加工性に優れ、耐疲労性および硬度を向上し得るタイヤリムクッション用ゴム組成物およびそれを用いた空気入りタイヤを提供することができる。
以下、本発明をさらに詳細に説明する。
(ジエン系ゴム)
本発明で使用されるジエン系ゴムは、ブタジエンゴム(BR)を必須成分とする。BRの配合量は、ジエン系ゴム全体を100質量部としたときに40質量部以上であることが必要であり、45〜80質量部であることが好ましい。BRの配合量が40質量部未満であると耐クラック性が悪化し、好ましくない。
なお、BR以外に使用される他のジエン系ゴムとしては、例えば、天然ゴム(NR)、合成イソプレンゴム(IR)、スチレン−ブタジエン共重合体ゴム(SBR)、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体ゴム(NBR)等が挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。また、その分子量やミクロ構造はとくに制限されず、アミン、アミド、シリル、アルコキシシリル、カルボキシル、ヒドロキシル基等で末端変性されていても、エポキシ化されていてもよい。中でも本発明の効果が向上するという観点から、NRを併用するのが好ましい。
(カーボンブラック)
本発明で使用するカーボンブラックは、窒素吸着比表面積(NSA)が70〜140m/gのカーボンブラックであることが必要であり、本発明の効果が向上するという観点から、80〜140m/gであることが好ましい。窒素吸着比表面積(NSA)が70m/g未満であると硬度が低下し、逆に140m/gを超えると粘度が高くなり加工性が悪化する。なお、窒素吸着比表面積(NSA)はJIS K6217−2に準拠して求めた値である。
(スチレン化フェノール化合物)
スチレン化フェノール化合物は、下記式で表すことができる。
Figure 2016150948
本発明で使用されるスチレン化フェノール化合物は、nが2であるジスチレン化フェノールまたはnが3であるトリスチレン化フェノールを主成分とする。本発明で使用されるスチレン化フェノール化合物は、公知の製造方法により製造することができ、また商業的に入手も可能である、市販品としては、例えば三光(株)製SP−24(ジスチレン化フェノールを主成分とする)、TSP(トリスチレン化フェノールを主成分とする)等が挙げられる。
一般的に製造されたスチレン化フェノール化合物は、フェノール1モルに対してスチレン1モルが付加したモノスチレン化フェノール(上記式中、n=1);フェノール1モルに対してスチレン2モルが付加したジスチレン化フェノール(上記式中、n=2);フェノール1モルに対してスチレン3モルが付加したトリスチレン化フェノール(上記式中、n=3);およびその他の成分の混合物となる。本発明では、これらのスチレン化フェノール化合物のうち、主成分としてジスチレン化フェノールおよびトリスチレン化フェノールを使用する。上述のように製造されたスチレン化フェノール化合物は、主に、モノ、ジおよびトリ体の混合物であるので、本発明で使用されるスチレン化フェノール化合物は、モノ体がある程度存在することができる。したがって本発明で言う、「ジスチレン化フェノールまたはトリスチレン化フェノールを主成分とする」とは、ジスチレン化フェノールまたはトリスチレン化フェノールが全体の50モル%以上、好ましくは60モル%以上、さらに好ましくは65モル%以上を占めることを意味し、それ以外の成分としてモノスチレン化フェノールやその他の成分(例えばテトラ体あるいはそれ以上の付加物のスチレン化フェノール化合物)が含まれていてもよい。
なお、上記式におけるスチレン部位は、スチレンの誘導体であってもよい。例えば、α−メチルスチレン、o−メチルスチレン、1,3−ジメチルスチレン等が挙げられる。
(ゴム組成物の配合割合)
本発明のゴム組成物は、ジエン系ゴム100質量部に対し、窒素吸着比表面積(NSA)が70〜140m/gのカーボンブラックを50〜100質量部およびジスチレン化フェノールまたはトリスチレン化フェノールを主成分とするスチレン化フェノール化合物を0.5〜30質量部配合してなることを特徴とする。
前記カーボンブラックの配合量が50質量部未満であると、硬度が低下する。逆に100質量部を超えると耐疲労性および加工性が悪化する。
前記スチレン化フェノール化合物の配合量が0.5質量部未満であると、配合量が少な過ぎて本発明の効果を奏することができない。逆に30質量部を超えると硬度が低下する。
さらに好ましい前記カーボンブラックの配合量は、ジエン系ゴム100質量部に対し、55〜70質量部である。
さらに好ましい前記スチレン化フェノール化合物の配合量は、ジエン系ゴム100質量部に対し、1〜20質量部(とくに好ましくは3〜15質量部)である。
(その他成分)
本発明におけるタイヤリムクッション用ゴム組成物には、前記した成分に加えて、加硫又は架橋剤;加硫又は架橋促進剤;酸化亜鉛;老化防止剤;可塑剤;各種充填剤などのタイヤリムクッション用ゴム組成物に一般的に配合されている各種添加剤を配合することができ、かかる添加剤は一般的な方法で混練して組成物とし、加硫又は架橋するのに使用することができる。これらの添加剤の配合量も、本発明の目的に反しない限り、従来の一般的な配合量とすることができる。
また本発明のゴム組成物は、加工性に優れ、耐疲労性および硬度を向上し得ることから、タイヤリムクッションに好適に用いられる。また本発明のゴム組成物は、従来の空気入りタイヤの製造方法に従って空気入りタイヤを製造することができる。
以下、本発明を実施例および比較例によりさらに説明するが、本発明は下記例に制限されるものではない。
実施例1〜4および比較例1〜7
サンプルの調製
表1に示す配合(質量部)において、加硫促進剤と硫黄を除く成分を1.7リットルの密閉式バンバリーミキサーで5分間混練した後、ゴムをミキサー外に放出し室温冷却した。続いて同バンバリーミキサーにゴムを入れ、加硫促進剤および硫黄を加えてさらに混練し、タイヤリムクッション用ゴム組成物を得た。次に得られたタイヤリムクッション用ゴム組成物を所定の金型中で160℃、20分間プレス加硫して加硫ゴム試験片を得、以下に示す試験法で未加硫のゴム組成物または加硫ゴム試験片の物性を測定した。
ムーニー粘度:上記未加硫のゴム組成物を用い、JIS K6300に従い、100℃における未加硫ゴムの粘度を測定した。結果は比較例1の値を100として指数表示した。指数が小さいほど粘度が低く、加工性が良好であることを示す。
耐クラック性:JIS K6260に記載の方法に準拠し、クラック成長試験を行った。試験片の中央にあらかじめ傷をつけ、室温にてストローク20mmで、毎分300±10回、合計40万回屈曲させ、亀裂長さを測定した。 結果は、比較例1の値を100として指数で示した。指数が大きいほど、クラックが成長せず、耐疲労性に優れることを示す。
硬度(20℃):JIS K6253に準拠して20℃にて測定した。結果は、比較例1の値を100として指数表示した。指数が大きいほど硬度が高いことを示す。
結果を表1に併せて示す。
Figure 2016150948
*1:NR(TSR20)
*2:BR(日本ゼオン(株)製NIPOL BR 1220)
*3:カーボンブラック−1(東海カーボン(株)製シースト3H、NSA=120m/g)
*4:カーボンブラック−2(東海カーボン(株)社製商品名シーストSO、NSA=42m/g)
*5:カーボンブラック−3(東海カーボン(株)製シースト9、NSA=142m/g)
*6:酸化亜鉛(正同化学工業(株)製酸化亜鉛3種)
*7:ステアリン酸(日油(株)製ビーズステアリン酸)
*8:ワックス(日本精鑞(株)製オゾエース0015)
*9:オイル(昭和シェル石油(株)製エキストラクト4号S)
*10:スチレン化フェノール化合物−1(三光(株)製SP−24。モノスチレン化フェノール0モル%、ジスチレン化フェノール60モル%以上、トリスチレン化フェノール40モル%以下)
*11:スチレン化フェノール化合物−2(三光(株)製TSP。モノスチレン化フェノール0モル%、ジスチレン化フェノール30モル%以下、トリスチレン化フェノール65モル%以上)
*12:スチレン化フェノール化合物−3(三光(株)製SP−F。モノスチレン化フェノール65モル%以上、ジスチレン化フェノール32モル%以下、トリスチレン化フェノール1モル%以下)
*13:硫黄(鶴見化学工業(株)製金華印油入微粉硫黄)
*14:加硫促進剤(大内新興化学工業(株)製ノクセラーCZ−G)
上記の表1から明らかなように、実施例1〜4で調製されたゴム組成物は、特定の組成のジエン系ゴムに対し、特定の特性を有するカーボンブラックおよび特定の構造を有するスチレン化フェノール化合物を特定量で配合したので、従来の代表的な比較例1に対し、加工性に優れ、耐疲労性および硬度が向上していることが分かる。
これに対し、比較例2は、カーボンブラックの配合量が本発明で規定する下限未満であるので、硬度が低下した。
比較例3は、スチレン化フェノール化合物の配合量が本発明で規定する上限を超えているので、硬度が低下した。
比較例4は、モノスチレン化フェノールを主成分とするスチレン化フェノール化合物を使用しているので、耐クラック性が悪化した。
比較例5は、カーボンブラックの窒素吸着比表面積(NSA)が本発明で規定する下限未満であるので、硬度が低下した。
比較例6は、カーボンブラックの窒素吸着比表面積(NSA)が本発明で規定する上限を超えているので、粘度が高くなり、さらに耐クラック性が悪化した。
比較例7は、カーボンブラックの配合量が本発明で規定する上限以上であるので、粘度が高くなり、加工性が悪化した。また耐クラック性も悪化した。

Claims (2)

  1. ブタジエンゴムを40質量部以上含むジエン系ゴム100質量部に対し、窒素吸着比表面積(NSA)が70〜140m/gのカーボンブラックを50〜100質量部およびジスチレン化フェノールまたはトリスチレン化フェノールを主成分とするスチレン化フェノール化合物を0.5〜30質量部配合してなることを特徴とするタイヤリムクッション用ゴム組成物。
  2. 請求項1に記載のゴム組成物をリムクッションに使用した空気入りタイヤ。
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