JP2016150489A - 感熱記録体 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は、記録画質、及び耐薬品性のいずれにおいても優れた感熱記録体を提供することを目的とする。【解決手段】支持体上に、感熱記録層及び保護層の順で有する感熱記録体であって、感熱記録層中にロイコ染料、呈色剤及び水性接着剤(1)を含み、保護層中に、アニオン系ポリエチレンワックスによって表面処理された顔料、及び水性接着剤(2)を含み、前記表面処理された顔料が、分散媒中、顔料と、顔料100質量部に対して0.5〜10質量部の前記アニオン系ポリエチレンワックスを混合することによって得られる感熱記録体である。【選択図】なし

Description

本発明は、電子供与性化合物と電子受容性化合物との発色反応を利用し、特に熱エネルギーによる発色反応により記録像が得られる感熱記録体に関するものである。
熱エネルギーにより電子供与性化合物と電子受容性化合物を接触させて記録像を得るようにした感熱記録体はよく知られている。このような感熱記録体は比較的安価であり、記録機器がコンパクトで、その保守も容易なため、ファクシミリや各種計算機等の記録媒体に使用されている。
特に近年は、ガス、水道、電気料金等の領収書、金融機関のATMの利用明細書、各種レシート等、財務関係の記録用紙(所謂、ハンディターミナル用)やPOSシステム用の感熱記録ラベル或いは感熱記録タグ等にも感熱記録材料が利用されるようになっている。
かかる用途の感熱記録体は、室外で雨天時に使用されたり或いは室内でも水と接触する条件下で使用されたりする可能性があるため、感熱記録体が耐水性に優れ、濡れても破れたり、層間剥離が生じないことが求められる。
また、耐水性を改良する目的で、感熱記録体の保護層のバインダーとして、反応基を有する変性ポリビニルアルコールと硬化剤との組合せを用いることが一般的である。例えばアセトアセチル変性ポリビニルアルコールと水溶性ポリアミド樹脂を使用する方法(特許文献1参照)、ジアセトン変性ポリビニルアルコールとポリアミドアミン・エピクロルヒドリン樹脂を使用する方法(特許文献2参照)等が挙げられる。また、耐水性のある樹脂を使用する方法(特許文献3参照)も提案されている。
さらに、平均粒子径0.1μm以下の酸化ワックスを添加する方法(特許文献4参照)が提案されており、可塑剤、油類に対するバリア性が向上する効果も認められるが、より以上の性能が求められている。
特開2002−301868号公報 特開2002−127601号公報 特開2004−74531号公報 特開2013−188955号公報
本発明は、記録画質、及び耐薬品性のいずれにおいても優れた感熱記録体を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を種々検討した結果、支持体上に、ロイコ染料、呈色剤及び水性接着剤(1)を含有する感熱記録層、更に感熱記録層上にアニオン系ポリエチレンワックスによって表面処理された顔料、及び水性接着剤(2)を含む保護層を有する感熱記録体において、前記保護層中の表面処理された顔料が、特定のアニオン系ポリエチレンワックスで表面処理されることにより、上記の課題が解決されることを見出し本発明の完成に至った。
即ち、本発明は、以下の感熱記録体を提供するものである。
項1.支持体上に、感熱記録層及び保護層の順で有する感熱記録体であって、
感熱記録層中にロイコ染料、呈色剤及び水性接着剤(1)を含み、
保護層中に、アニオン系ポリエチレンワックスによって表面処理された顔料、及び水性接着剤(2)を含み、
前記表面処理された顔料が、分散媒中、顔料と、顔料100質量部に対して0.5〜10質量部の前記アニオン系ポリエチレンワックスを混合することによって得られる
感熱記録体。
項2.アニオン系ポリエチレンワックスが、融点が90〜110℃、平均粒子径が0.01〜0.1μmのアニオン系ポリエチレンワックスである項1に記載の感熱記録体。
項3.分散媒中で前記表面処理された顔料の平均粒子径が、表面処理前の顔料を分散させたときの平均粒子径の1.05倍以上から2.0倍未満である、項1又は2に記載の感熱記録体。
項4.前記保護層中の水性接着剤(2)が、変性ポリビニルアルコール及び/又は溶解度パラメーターが12.0以上のメタアクリロニトリル系共重合体である項1〜3のいずれかに記載の感熱記録体。
項5.変性ポリビニルアルコールが、アセトアセチル変性ポリビニルアルコール、ジアセトン変性ポリビニルアルコール及びカルボキシ変性ポリビニルアルコールよりなる群から選ばれる少なくとも1種である項4に記載の感熱記録体。
項6.メタアクリロニトリル系共重合体が、(i)メタアクリロニトリル及び(ii)メタアクリロニトリルと共重合可能なビニル単量体を含む単量体からなる共重合体であって、
前記ビニル単量体(ii)は、少なくとも1種のカルボキシル基含有ビニル単量体を含み、前記カルボキシル基含有ビニル単量体の含有割合が、前記単量体中、1〜10質量%である、項4に記載の感熱記録体。
項7.前記保護層中の水性接着剤(2)が、顔料100質量部に対して、20〜100質量部含有する、項1〜6のいずれかに記載の感熱記録体。
項8.支持体上に、感熱記録層用塗料及び保護層用塗料を塗工し、感熱記録層及び保護層の順で形成させる感熱記録体の製造方法であって、
感熱記録層用塗料中にロイコ染料、呈色剤及び水性接着剤(1)を含み、
保護層用塗料中に、アニオン系ポリエチレンワックスによって表面処理された顔料、及び水性接着剤(2)を含み、
前記表面処理された顔料が、分散媒中、顔料と、顔料100質量部に対して0.5〜10質量部の前記アニオン系ポリエチレンワックスを混合する工程で調製されることを特徴とする感熱記録体の製造方法。
項9.アニオン系ポリエチレンワックスが、融点が90〜110℃、平均粒子径が0.01〜0.1μmのアニオン系ポリエチレンワックスである項8に記載の感熱記録体の製造方法。
項10.分散媒中で前記表面処理された顔料の平均粒子径が、表面処理前の顔料を分散させたときの平均粒子径の1.05倍以上から2.0倍未満である、項8又は9に記載の感熱記録体の製造方法。
本発明の感熱記録体によると、記録画質、及び耐薬品性において優れた効果を発揮することができる。
本明細書中において、「含む」なる表現については、「含む」、「実質のみからなる」、及び「のみからなる」旨の概念を含む。
以下、本発明に係る感熱記録体について詳細に説明する。本発明では、支持体上に、感熱記録層及び保護層の順で有し、感熱記録層中にロイコ染料、呈色剤及び水性接着剤(1)を含保護層中に、アニオン系ポリエチレンワックスによって表面処理された顔料、及び水性接着剤(2)を含むことを特徴とする。
まず、本発明の保護層中に含有される顔料の表面処理に用いるアニオン系ポリエチレンワックスを構成するポリエチレンワックスについて説明する。
現在、製造・販売されているポリエチレンワックスの製法は、次の4方法に大別される。
I)エチレンのラジカル触媒により高温高圧下で重合する方法、又はチーグラー触媒により低圧で重合する方法。
II)一般成形用ポリエチレンを熱分解により低分子化する方法。
III)一般成形用ポリエチレンを製造する際に副生する低分子量ポリエチレンを分離精製して利用する方法。
IV)一般成形用ポリエチレンを酸化する方法。
一般にエマルションワックスは、これら前記の方法のうち、I、II、IIIの方法で製造されたポリエチレンワックスを空気酸化等の酸化法で酸化して、カルボキシル基や水酸基を付加したものや、前記IVの製法で製造されたもののことを指し、これらのワックスは、その分子中に存在するカルボキシル基や水酸基のため、界面活性剤が少量、又はソープフリーの状態で安定な水性サスペンション、又は水性エマルションを得ることができる。
製造されたポリエチレンワックスの融点、密度、他樹脂との相溶性等の諸物性は、それらの側鎖の長短、分岐鎖の量等の分子構造の差、及び分子量の差等に非常に大きく起因する。一般に、側鎖が多く長いポリエチレンは高密度タイプ(密度0.96以上)になり、側鎖が少なく短いポリエチレンは低密度タイプ(密度0.93以下)、そして密度が0.94〜0.95のものは中密度タイプに分類されている。
本発明では、融点が90〜110℃で、密度0.93以下の低密度ポリエチレンが好ましく使用される。
また、ポリエチレンワックスをエマルションにする場合、乳化剤の種類により、アニオン系、ノニオン系、カチオン系のポリエチレンワックスが得られるが、本発明ではアニオン系の乳化剤を使用してアニオン系ポリエチレンワックスを得る。一般に感熱記録層用塗液はアニオン系であるため、ノニオン系又はカチオン系ポリエチレンワックスのエマルションを使用した場合、感熱記録層用塗液に凝集物が生じたり、感熱記録層の発色を阻害するためである。
乳化剤を使用しない場合で、平均粒子径を0.1μm以下に細かくする場合には、アニオン系の分散剤を使用して得られるアニオン系ポリエチレンワックスが好ましい。
本発明において、保護層の顔料としては、例えば炭酸カルシウム、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、二酸化チタン、非晶性シリカ、水酸化アルミニウム、硫酸バリウム、タルク、カオリン、焼成カオリン等の無機顔料、ナイロン樹脂フィラー、尿素・ホルマリン樹脂フィラー、生澱粉粒子等の有機顔料が挙げられる。なかでも、カオリン、水酸化アルミニウムは、可塑剤、油等の薬品に対するバリア性の低下が少なく、しかも記録濃度の低下も小さいため、特に好ましく用いられる。顔料の平均粒子径は、通常、0.1〜5.0μm程度が好ましく、0.3〜3.0μm程度がより好ましい。
本発明では、顔料を上記のアニオン系ポリエチレンワックスで表面処理する。顔料の表面をアニオン系ポリエチレンワックスで表面処理する方法としては、上記アニオン系ポリエチレンワックスと顔料を湿式分散する方法が挙げられる。この処理により顔料の表面にアニオン系ポリエチレンワックスがコーティングされた状態になり、その後の保護層形成時に顔料とバインダーの隙間が少なくなり、単に顔料とワックスを混合するよりもバリア性が向上すると考えられる。
表面処理された顔料は、アニオン系ポリエチレンワックスと顔料を、分散媒中で混合することにより調製される。混合に用いられる装置としては、超音波、高速回転ミル、ローラーミル、容器駆動媒体ミル、媒体撹拌ミル、ジェットミル、サンドグラインダー、メディアレス微粒子化装置、コーレス分散機等の分散処理装置が挙げられ、これらの分散処理装置で混合することで分散処理することが好ましい。分散媒としては、水が挙げられる。
ただし、過度の分散は、顔料表面にワックスがコーティングされない状態になる可能性がある。そのため、分散媒中で表面処理された顔料の平均粒子径が、表面処理前の顔料を分散させたときの平均粒子径の1.05倍以上から2.0倍未満となるような分散条件にすることにより、安定的な品質を有するバリア性が向上した保護層を得ることができる。上記の顔料の平均粒子径の倍率を、1.05倍以上に設定することで、顔料表面に十分にワックスが存在する粒子を得ることができ、アニオン系ポリエチレンワックスによる保護層のバリア性を向上することができる。また、2.0倍未満に設定することにより、顔料同士が凝集せず、乾燥後のバリア性を向上することができる。ここで、表面処理前の顔料を分散させたときの平均粒子径とは、アニオン系ポリエチレンワックスを配合させずに分散剤を含む分散媒中で顔料のみを分散させたときの平均粒子径をいう。
本発明のアニオン系ポリエチレンワックスは、平均粒子径が0.01〜0.1μmであることが特徴であるが、該アニオン系ポリエチレンワックスで表面処理された顔料を感熱記録体の保護層に添加すると、印字濃度が上がり、可塑剤、油、アルコールに対するバリア性が向上することが分かった。かかる理由は明らかではないが、保護層は、主として顔料とバインダーの組合せであり、サーマルヘッドの加熱により顔料の表面に存在するアニオン系ポリエチレンワックスが溶解して、顔料とバインダーの隙間に、有効に入り込み、また、一部のアニオン系ポリエチレンワックスは、保護層上に膜を形成するためと考えられる。
アニオン系ポリエチレンワックスの融点は、90〜110℃である。融点を110℃以下に設定することにより、顔料とバインダーの隙間に入り込むことができ、また、90℃以上に設定することで、溶融粘度が低くならず、ポリエチレン膜が保護層内及び保護層上に形成させることができる。また、平均粒子径が0.01〜0.1μmの範囲であれば、より均一に保護層内に分散し、バリア性が向上すると考えられる。
前記アニオン系ポリエチレンワックスによる表面処理後の顔料の平均粒子径は、上記の平均粒子径の倍率となるように設定されればよく、例えば、0.3〜7.0μm程度が好ましく、0.5〜5.0μm程度がより好ましい。
本発明において、保護層に使用される水性接着剤(2)としては、従来公知の水溶性高分子及び水分散性高分子の少なくともいずれか1種を適宜用いることができる。
水溶性高分子の具体例としては、完全鹸化ポリビニルアルコール、部分鹸化ポリビニルアルコール、アセトアセチル変性ポリビニルアルコール、ジアセトン変性ポリビニルアルコール、カルボキシ変性ポリビニルアルコール、珪素変性ポリビニルアルコール、及びイタコン酸変性ポリビニルアルコール等の変性ポリビニルアルコール;殿粉及び酸化澱粉等の澱粉又はその誘導体;ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース等のセルロース誘導体;その他に、ポリアクリル酸ソーダ、ポリビニルピロリドン、アクリルアミド・アクリル酸エステル共重合体、アクリルアミド・アクリル酸エステル・メタクリル酸三元共重合体、スチレン・無水マレイン酸共重合体アルカリ塩、イソブチレン・無水マレイン酸共重合体アルカリ塩、ポリアクリルアミド、アルギン酸ソーダ、ゼラチン、アラビアガム、カゼイン等が挙げられる。
水分散性高分子としては、ポリ酢酸ビニル、ポリウレタン、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸エステル、塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体、ポリブチルメタクリレート、エチレン・酢酸ビニル共重合体等のエマルジョンやスチレン・ブタジエン共重合体、スチレン・ブタジエン・アクリル系共重合体等が挙げられ、これらの分散液(ラテックス)としても用いることができる。
これらの水溶性高分子及び水分散性高分子は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を併用して使用してもよい。
これらの水溶性高分子及び水分散性高分子の中でも、スティッキング抑制や耐水性に対しては、特に、アセトアセチル変性ポリビニルアルコール、ジアセトン変性ポリビニルアルコール及びカルボキシ変性ポリビニルアルコールから選ばれる少なくとも1種の変性ポリビニルアルコール(以下、「特定の変性ポリビニルアルコール」とも表記する)が好ましく用いられる。
保護層中に使用されるアセトアセチル変性ポリビニルアルコール、ジアセトン変性ポリビニルアルコール、カルボキシ変性ポリビニルアルコールは、それぞれアセトアセチル基、ジアセトン基、カルボキシル基を持つ単量体とビニルエステルとを共重合して得た樹脂を鹸化することにより製造される。
鹸化度については85モル%から完全鹸化の100モル%程度が好ましく、90〜100モル%程度がより好ましい。平均重合度については300〜3000程度が好ましく、400〜2000程度がより好ましい。変性度は0.5〜10モル%程度が好ましく、1〜9モル%程度がより好ましい。重合度、鹸化度が高いほど耐水性が良好になるが、塗料濃度、粘度、塗工性又は乾燥性から状況に応じて選択する必要がある。
変性度については、0.5〜10モル%程度の範囲であれば、充分な耐水性が得られ、また水への溶解性が低下しないため、溶液濃度が低くなるのを抑えることができる。
保護層中に使用される特定の変性ポリビニルアルコールの使用量としては、保護層の全固形分中、10〜90質量%程度が好ましく、15〜50質量%程度がより好ましい。
保護層に使用される水性接着剤(2)で、上記以外の水溶性高分子及び水分散性高分子としては、溶解度パラメーターが12.0以上のメタアクリロニトリル系共重合体が好ましく、具体的には、(i)メタアクリロニトリル及び(ii)メタアクリロニトリルと共重合可能なビニル単量体を含む単量体からなる共重合体であって、前記ビニル単量体(ii)は、少なくとも1種のカルボキシル基含有ビニル単量体を含み、前記カルボキシル基含有ビニル単量体の含有割合が、前記単量体中、1〜10質量%である。また、メタアクリロニトリル系共重合体は、共重合体のエマルションで使用することが好ましい。
上記共重合体のエマルションとしては、例えば、特開2004−74531号公報に開示されている方法に従って製造することができる。本樹脂のエマルションは、樹脂自体乾燥後の耐水性が良好で、硬化剤を添加する必要がなく、変性ポリビニルアルコールと硬化剤との組み合わせのような塗料のポットライフにも問題のないことが特徴である。
本発明の効果を損なわない範囲において、その他の接着剤を併用することもできる。かかる接着剤としては、例えば、ジイソブチレン・無水マレイン酸共重合体塩、エチレン・アクリル酸共重合体塩、スチレン・アクリル酸共重合体塩、尿素樹脂、メラミン樹脂、アミド樹脂等が挙げられ、その他に、アクリル樹脂又はウレタン樹脂のラテックス等も挙げられる。
更に、保護層中に水溶性の酸性化合物を含有させることにより、保護層用塗液の安定性がより高められる。保護層用塗液に添加される水溶性の酸性化合物としては特に限定されないが、硼酸、蟻酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、フマル酸、マレイン酸、酒石酸、クエン酸、乳酸、安息香酸、フタル酸、ベンゼントリカルボン酸等のカルボキシル基を有する水溶性の有機酸が好ましい。
前記水溶性の酸性化合物の添加量としては特に限定されないが、保護層用塗液のpHが3.0〜7.0となるように添加するのが好ましく、4.0〜6.0の範囲がより好ましい。pHが3.0〜7.0の範囲であれば、塗液の粘度が経時的に高くなることを抑えられる。
その他、保護層用塗液中に添加し得る助剤としては、顔料の表面処理に使用されるアニオン系ポリエチレンワックスを含め、それ以外に、例えばステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、カルナバロウ、パラフィンワックス、エステルワックス等の滑剤、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム、スルホン変性ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸ナトリウム等の界面活性剤、ジアルデヒドデンプン、メチロール尿素、グリオキシル酸塩、エポキシ系化合物、ヒドラジン系化合物等の耐水化剤、及び紫外線吸収剤、蛍光染料、着色染料、離型剤、酸化防止剤等の助剤を添加することもできる。
保護層用塗液については、上記のアニオン系ポリエチレンワックスと顔料を分散媒中で混合することで、アニオン系ポリエチレンワックスで表面処理された顔料を含む分散液を調製する。次いで、該分散液と、水性接着剤(2)、更に必要に応じて、水溶性の酸性化合物、及び各種助剤を混合撹拌して調製される。この場合、アニオン系ポリエチレンワックスが、全て顔料の表面処理に使用される必要はなく、一部が分散液中に分散されていてもよい。
次に感熱記録層について、述べる。
電子供与性化合物と電子受容性化合物を有する感熱記録方式としては、例えばロイコ染料と呈色剤との組合せ、ジアゾニウム塩とカプラーとの組合せ、鉄、コバルト、銅等の遷移元素とキレート化合物との組合せ、芳香族イソシアネート化合物とイミノ化合物との組合せ等が挙げられるが、ロイコ染料と呈色剤との組合せが発色濃度に優れるため、好ましく用いられる。以下、ロイコ染料と呈色剤との組合せからなる感熱記録層について詳細に述べる。
ロイコ染料及び呈色剤としては、各種公知のものが使用できる。ロイコ染料の具体例としては、例えば3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)−6−ジメチルアミノフタリド、3−(4−ジエチルアミノ−2−メチルフェニル)−3−(4−ジメチルアミノフェニル)−6−ジメチルアミノフタリド、3−(N−エチル−N−p−トリル)アミノ−7−N−メチルアニリノフルオラン、3−シクロヘキシルアミノ−6−クロロフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−クロロフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−クロロフルオラン、3−(N−エチル−N−イソアミル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジ(n−ブチル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジ(n−ペンチル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−エチル−p−トルイジノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジ(n−ブチル)アミノ−6−クロロ−7−アニリノフルオラン、3−ピロリジノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ピペリジノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3,3−ビス〔1−(4−メトキシフェニル)−1−(4−ジメチルアミノフェニル)エチレン−2−イル〕−4,5,6,7−テトラクロロフタリド、3−p−(p−ジメチルアミノアニリノ)アニリノ−6−メチル−7−クロロフルオラン、3−p−(p−クロロアニリノ)アニリノ−6−メチル−7−クロロフルオラン、3,6−ビス(ジメチルアミノ)フルオレン−9−スピロ−3’−(6’−ジメチルアミノ)フタリド等が挙げられる。
勿論、これらに限定されるものではなく、また2種以上を併用することもできる。ロイコ染料の使用量は、使用する呈色剤により異なるため限定できないが、例えば、感熱記録層の全固形分中、3〜50質量%程度、特に5〜40質量%程度とするのが好ましい。
呈色剤としては、例えば4,4’−イソプロピリデンジフェノール、4,4’−シクロヘキシリデンジフェニル、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−エタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、2,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4−ヒドロキシ−4’−イソプロポキシジフェニルスルホン、4−ヒドロキシ−4’−アリルオキシジフェニルスルホン、3,3’−ジアリル−4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、2,2’−ビス〔4−(4−ヒドロキシフェニル)フェノキシ〕ジエチルエーテル、N−p−トルエンスルホニル−N’−3−(p−トルエンスルホニルオキシ)フェニルウレア、4,4’−ビス[(4−メチル−3−フェノキシカルボニルアミノフェニル)ウレイド]ジフェニルスルホン、4−ヒドロキシ安息香酸ベンジルエステル、N,N’−ジ−m−クロロフェニルチオ尿素、N−p−トリルスルホニル−N’−フェニルウレア、4,4’−ビス(p−トリルスルホニルアミノカルボニルアミノ)ジフェニルメタン、4−〔2−(p−メトキシフェノキシ)エチルオキシ〕サリチル酸亜鉛、4−{3−(p−トリルスルホニル)プロピルオキシ〕サリチル酸亜鉛、5−〔p−(2−p−メトキシフェノキシエトキシ)クミル〕サリチル酸亜鉛、下記一般式(1)で表されるジフェニルスルホン架橋型化合物等が挙げられる。
Figure 2016150489
(式(1)中、nは1〜7の整数を表す)
呈色剤の使用量は、使用するロイコ染料により異なるため限定できないが、感熱記録層の全固形分中、10〜70質量%程度、特に12〜50質量%程度とするのが好ましい。
感熱記録層には、記録部の保存安定性を高めるために保存性改良剤、及び記録感度を高めるために増感剤を含有させることもできる。かかる保存性改良剤の具体例としては、例えば2,2’−エチリデンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、4,4’−チオビス(2−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)ブタン、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−シクロヘキシルフェニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン等のヒンダードフェノール化合物、4,4’−ジグリシジルオキシジフェニルスルホン、4−ベンジルオキシ−4’−(2−メチルグリシジルオキシ)ジフェニルスルホン、テレフタル酸ジグリシジル、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂等のエポキシ化合物、N,N’−ジ−2−ナフチル−p−フェニレンジアミン、ビス(4−エチレンイミノカルボニルアミノフェニル)メタン等が挙げられる。
保存性改良剤を使用する場合、その使用量は、保存性改良のために有効な量とすればよいが、通常は、感熱記録層の全固形分中、1〜30質量%程度、特に5〜20質量%程度の範囲で配合されるのが好ましい。
増感剤の具体例としては、例えばステアリン酸アミド、メチレンビスステアリン酸アミド、テレフタル酸ジベンジル、p−ベンジルオキシ安息香酸ベンジル、2−ナフチルベンジルエーテル、m−ターフェニル、p−ベンジルビフェニル、p−トリルビフェニルエーテル、ジ(p−メトキシフェノキシエチル)エーテル、1,2−ジ(3−メチルフェノキシ)エタン、1,2−ジ(4−メチルフェノキシ)エタン、1,2−ジ(4−メトキシフェノキシ)エタン、1,2−ジ(4−クロロフェノキシ)エタン、1,2−ジフェノキシエタン、1−(4−メトキシフェノキシ)−2−(3−メチルフェノキシ)エタン、p−メチルチオフェニルベンジルエーテル、1,4−ジ(フェニルチオ)ブタン、p−アセトトルイジド、p−アセトフェネチジド、N−アセトアセチル−p−トルイジン、ジ(β−ビフェニルエトキシ)ベンゼン、シュウ酸ジ−p−クロロベンジルエステル、シュウ酸ジ−p−メチルベンジルエステル、シュウ酸ジベンジルエステル等が例示される。
増感剤を使用する場合、その使用量は、増感のために有効な量とすればよいが、通常は、感熱記録層の全固形分中、2〜40質量%程度、特に5〜25質量%程度の範囲で配合されるのが好ましい。
感熱記録層中の水性接着剤(1)としては、前記の保護層中に含まれる水性接着剤(2)で挙げられたものを使用することができるが、これらの中でも、アセトアセチル変性ポリビニルアルコール、ジアセトン変性ポリビニルアルコール及びカルボキシ変性ポリビニルアルコールから選ばれる少なくとも1種の変性ポリビニルアルコールを含有させることが好ましい。
更に、感熱記録層用塗液中には必要に応じて各種の助剤を添加することができ、例えばカオリン、軽質(重質)炭酸カルシウム、焼成カオリン、酸化チタン、炭酸マグネシウム、水酸化アルミニウム、無定形シリカ、尿素・ホルマリン樹脂フィラー等の顔料、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ラウリルアルコール硫酸エステルナトリウム、脂肪酸金属塩等の分散剤、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ポリエチレンワックス、カルナバロウ、パラフィンワックス、エステルワックス等のワックス類、ヒドラジン系化合物、グリオキザール、硼酸、ジアルデヒドデンプン、メチロール尿素、グリオキシル酸塩、エポキシ系化合物等の耐水化剤、消泡剤、着色染料及び蛍光染料等が挙げられる。
感熱記録層は、水を分散媒体とし、ロイコ染料、呈色剤、必要により増感剤、保存性改良剤等を共に、或いは別々にボールミル、アトライター、サンドミル等の撹拌・粉砕機により平均粒子径が2μm以下となるように微分散した後、水性接着剤(1)を添加して調製された感熱記録層用塗液を支持体の一方の面に塗布乾燥して形成される。
本発明の感熱記録体に用いられる支持体としては、特に限定しないが、例えば、中性又は酸性の上質紙、合成紙、透明又は半透明のプラスチックフィルム、白色のプラスチックフィルム等が挙げられる。なお、支持体の厚みは特に限定しないが、通常、20〜200μm程度である。
本発明では、必要であれば、支持体と感熱記録層との間に、記録感度及び記録走行性をより高めるために、下塗り層を設けることもできる。下塗り層は、吸油量が70ml/100g以上、特に80〜150ml/100g程度の吸油性顔料及び/又は有機中空粒子及び/又は熱膨張性粒子、並びに接着剤を主成分とする下塗り層用塗液を支持体上に塗布乾燥して形成される。ここで、上記吸油量はJISK 5101の方法に従い、求められる値である。
上記吸油性顔料としては、各種のものが使用できるが、具体例としては、焼成カオリン、無定形シリカ、軽質炭酸カルシウム、タルク等の無機顔料が挙げられる。これら吸油性顔料の一次粒子の平均粒子径は0.01〜5μm程度、特に0.02〜3μm程度であるのが好ましい。吸油性顔料の使用量は、広い範囲から選択できるが、一般に下塗り層の全固形分中、2〜95質量%程度、特に5〜90質量%程度であるのが好ましい。
なお、必要に応じて感熱記録体の支持体の裏面側にも保護層、印刷層、磁気記録層、或いはインクジェット記録層を設けたり、各層塗抹後にスーパーカレンダー掛け等の平滑化処理を施すこと等も可能である。また、感熱記録体の支持体の裏面側に粘着剤層を設ける等の感熱記録体製造分野における各種の公知技術が必要に応じて付加し得るものである。
以下に実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、勿論これらに限定されるものではない。なお、例中の「部」及び「%」は、特に断らない限りそれぞれ「質量部」、「質量%」を示す。
実施例1
・下塗り層用塗液の調製
焼成カオリン(商品名:アンシレックス93、BASF社製)60部を水80部に分散して得られた分散液に、微小中空粒子(商品名:ローペイクSN−1055、ローム&ハース社製、固形分濃度26.5%)75部、スチレン・ブタジエン系ラテックス(商品名:L−1571、旭化成ケミカルズ社製、固形分濃度48%)31部と、カルボキシメチルセルロース(商品名:セロゲン7A、第一工業製薬社製)2.5部、同じくカルボキシメチルセルロース(商品名:セロゲンAGガム、第一工業製薬社製)1部、及び水15.5部を混合攪拌して、下塗り層用塗液を得た。
・ロイコ染料分散液(A液)調製
3−ジ−(n−ブチル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン10部、メチルセルロースの5%水溶液5部及び水15部からなる組成物を、サンドミルでレーザー回折式粒径測定器SALD2200(島津製作所社製)によるメジアン径が0.5μmになるまで粉砕してロイコ染料分散液(A液)を得た。
・呈色剤分散液(B液)調製
4−ヒドロキシ−4’−イソプロポキシジフェニルスルホン10部、メチルセルロースの5%水溶液5部及び水15部からなる組成物を、サンドミルでレーザー回折式粒径測定器SALD2200(島津製作所社製)によるメジアン径が1.5μmになるまで粉砕して呈色剤分散液(B液)を得た。
・呈色剤分散液(C液)調製
ジフェニルスルホン架橋型化合物(商品名:D−90、日本曹達社製)10部、メチルセルロースの5%水溶液5部及び水15部からなる組成物を、サンドミルでレーザー回折式粒径測定器SALD2200(島津製作所社製)によるメジアン径が1.0μmになるまで粉砕して呈色剤分散液(C液)を得た。
・増感剤分散液(D液)調製
シュウ酸ジ−p−メチルベンジルエステル10部、メチルセルロースの5%水溶液5部及び水15部からなる組成物を、サンドミルでレーザー回折式粒径測定器SALD2200(島津製作所社製)によるメジアン径が1.0μmになるまで粉砕して増感剤分散液(D液)を得た。
・感熱記録層用塗液の調製
A液33.5部、B液68部、C液5部、D液10.5部、完全鹸化ポリビニルアルコール(商品名:PVA110、鹸化度:99モル%、平均重合度:1000、クラレ社製)の10%水溶液30部、部分鹸化ポリビニルアルコール(商品名:PVA205、鹸化度:88モル%、平均重合度:500、クラレ社製)の20%水溶液5部、ブタジエン系共重合体ラテックス(商品名:P−OY72、日本A&L社製、固形分濃度48%)16.5部、軽質炭酸カルシウム(商品名:Brilliant−15、白石工業社製)42部、パラフィンワックスエマルジョン(商品名:ハイドリンL−700、中京油脂社製、固形分濃度30%)10部、及び水90.5部を混合撹拌して感熱記録層用塗液を得た。
・保護層用に用いられるワックスで表面処理された顔料の分散液の調製
顔料としてカオリン(商品名:HYDRAGLOSS90、KaMin LLC社製)55.5部、分散剤(商品名:アロンT−50、東亜合成社製、固形分濃度40%)0.5部、アニオン系ポリエチレンワックスエマルション(商品名:メイカテックスHP−598A、明成化学社製、固形分濃度25%、融点100℃、平均粒子径0.04μm)4.4部、水40部からなる組成物を、コーレス分散機で1時間分散し、ワックスで表面処理された顔料の平均粒子径が1.01μmになるよう調整した。なお、分散液中のワックスで表面処理された顔料の平均粒子径は、レーザー回折式粒径測定器SALD2200(島津製作所社製)によるメジアン径である。また、表面処理前の顔料の分散処理したときの平均粒子径は、0.73μmである(後述の比較例1参照)。
・保護層用塗液の調製
アセトアセチル変性ポリビニルアルコール(商品名:ゴーセファイマーZ−200、鹸化度:99.4モル%、平均重合度:1000、変性度:5モル%、日本合成化学工業社製)の10%水溶液210部、同じくアセトアセチル変性ポリビニルアルコール(商品名:ゴーセファイマーZ−100、鹸化度:99.4モル%、平均重合度:500、変性度:5モル%、日本合成化学工業社製)の20%水溶液80部、上記ワックスで表面処理された顔料の分散液を100部、水酸化アルミニウム(商品名:ハイジライトH−42M、昭和電工社製)4部、ステアリン酸亜鉛の水分散液(商品名:ハイドリンZ−8−36、中京油脂社製、固形分濃度36%)5.6部、及びグルオキシル酸ナトリウム(商品名:SPM−01、日本合成化学工業製)の10%水溶液5部からなる組成物を混合撹拌し、10%酢酸水溶液でpH5となるように調整して保護層用塗液を得た。
・感熱記録体の作製
坪量60g/mの上質紙の片面上に、下塗り層用塗液、感熱記録層用塗液、及び保護層用塗液を乾燥後の塗布量がそれぞれ6.0g/m、4.5g/m、及び2.0g/mとなるように塗布・乾燥して、下塗り層、感熱記録層、及び保護層を順次形成した後、スーパーカレンダーで表面を平滑化して感熱記録体を得た。
実施例2
実施例1の保護層用に用いられるワックスで表面処理した顔料の分散液の調製において、バッチサンドミルで1時間分散し、分散液におけるワックスで表面処理された顔料の平均粒子径が0.71μmとなるように調整した以外は、実施例1と同様にして感熱記録体を得た。なお、表面処理前の顔料の分散処理したときの平均粒子径は、0.61μmである(後述の比較例2参照)。
実施例3
実施例2の保護層用に用いられるワックスで表面処理した顔料の分散液の調製において、アニオン系ポリエチレンワックスエマルション(商品名:メイカテックスHP−598A、明成化学社製、固形分濃度25%、融点100℃、平均粒子径0.04μm)4.44部の代わりに、8.88部にし、分散液におけるワックスで表面処理された顔料が0.91μmとなるように調整した以外は、実施例2と同様にして感熱記録体を得た。なお、表面処理前の顔料の分散処理したときの平均粒子径は、0.61μmである(後述の比較例2参照)。
実施例4
実施例2の保護層用に用いられるワックスで表面処理した顔料の分散液の調製において、アニオン系ポリエチレンワックスエマルション(商品名:メイカテックスHP−598A、明成化学社製、固形分濃度25%、融点100℃、平均粒子径0.04μm)4.44部の代わりに、17.76部にし、分散液におけるワックスで表面処理された顔料の平均粒子径が1.05μmとなるように調整した以外は、実施例2と同様にして感熱記録体を得た。なお、表面処理前の顔料の分散処理したときの平均粒子径は、0.61μmである(後述の比較例2参照)。
実施例5
実施例2の保護層用に用いられるワックスで表面処理した顔料の分散液の調製において、アニオン系ポリエチレンワックスエマルション(商品名:メイカテックスHP−598A、明成化学社製、固形分濃度25%、融点100℃、平均粒子径0.04μm)4.44部の代わりに、アニオン系ポリエチレンワックスエマルション(商品名:メイカテックスKSP、明成化学社製、固形分濃度24%、融点95℃、平均粒子径0.03μm)4.63部にし、分散液におけるワックスで表面処理された顔料の平均粒子径が0.78μmとなるように調整した以外は、実施例2と同様にして感熱記録体を得た。なお、表面処理前の顔料の分散処理したときの平均粒子径は、0.61μmである(後述の比較例2参照)。
実施例6
実施例2の保護層用に用いられるワックスで表面処理した顔料の分散液の調製において、アニオン系ポリエチレンワックスエマルション(商品名:メイカテックスHP−598A、明成化学社製、固形分濃度25%、融点100℃、平均粒子径0.04μm)4.44部の代わりに、アニオン系ポリエチレンワックスエマルション(商品名:ノプコートPEM−17、サンノプコ社製、固形分濃度40%、融点105℃、平均粒子径0.04μm)2.78部にし、分散液におけるワックスで表面処理された顔料の平均粒子径が0.84μmとなるように調整した以外は、実施例2と同様にして感熱記録体を得た。なお、表面処理前の顔料の分散処理したときの平均粒子径は、0.61μmである(後述の比較例2参照)。
実施例7
・保護層用塗液の調製
(メタ)アクリロニトリル系共重合体(共重合成分:(メタ)アクリロニトリル/(メタ)アクリル酸アルキル/(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル/(メタ)アクリル酸/(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリル酸の割合:共重合体全体中、5質量%、溶解度パラメーター:12.8、ガラス転移温度:50℃、平均粒子径:230nm)のエマルション(商品名:OT1043Z−1、固形分濃度25%、三井化学社製)152部、実施例1のワックスで表面処理された顔料の分散液を99部、水酸化アルミニウム(商品名:ハイジライトH−42M、昭和電工社製)4部、ステアリン酸亜鉛の水分散液(商品名:ハイドリンZ−8−36、中京油脂社製、固形分濃度36%)5.6部、及び水139.4部からなる組成物を混合撹拌して保護層用塗液を得た。
実施例1の感熱記録体の作製において、上記保護層用塗液を乾燥後の塗布量が3.0g/mとなるように塗布・乾燥した以外は、実施例1と同様にして感熱記録体を得た。
実施例8
実施例7の保護層用塗液の調製において、保護層用に用いられるワックスで表面処理した顔料の分散液を実施例2の分散液に置き換える以外は、実施例7と同様にして感熱記録体を得た。
比較例1
実施例1の保護層用に用いられるワックスで表面処理した顔料の分散液の調製において、アニオン系ポリエチレンワックスエマルション(商品名:メイカテックスHP−598A、明成化学社製、固形分濃度25%、融点100℃、平均粒子径0.04μm)を使用せずにカオリンを分散し、カオリンの平均粒子径が0.73μmになる分散液を得た。この表面未処理の顔料の分散液100部を、保護層用塗液の調製に使用した以外は、実施例1と同様にして感熱記録体を得た。
比較例2
実施例2の保護層用に用いられるワックスで表面処理した顔料の分散液の調製において、アニオン系ポリエチレンワックスエマルション(商品名:メイカテックスHP−598A、明成化学社製、固形分濃度25%、融点100℃、平均粒子径0.04μm)を使用せずにカオリンを分散し、平均粒子径が0.61μmになる分散液を得た。この表面未処理の顔料の分散液を100部、保護層用塗液の調製に使用した以外は、実施例2と同様にして感熱記録体を得た。
比較例3
比較例2の保護層用塗液に、アニオン系ポリエチレンワックスエマルション(商品名:メイカテックスHP−598A、明成化学社製、固形分濃度25%、融点100℃、平均粒子径0.04μm)4.44部を追加した以外は、比較例2と同様にして感熱記録体を得た。
比較例4
比較例3の保護層用塗液の調製において、アニオン系ポリエチレンワックスエマルション(商品名:メイカテックスHP−598A、明成化学社製、固形分濃度25%、融点100℃、平均粒子径0.04μm)4.44部の代わりに8.88部用いた以外は、比較例3と同様にして感熱記録体を得た。
比較例5
比較例3の保護層用塗液の調製において、アニオン系ポリエチレンワックスエマルション(商品名:メイカテックスHP−598A、明成化学社製、固形分濃度25%、融点100℃、平均粒子径0.04μm)4.44部の代わりに17.76部用いた以外は、比較例3と同様にして感熱記録体を得た。
比較例6
実施例7の保護層用に用いられるワックスで表面処理した顔料の分散液の代わりに、比較例1で使用した顔料分散液を使用した以外は、実施例7と同様にして感熱記録体を得た。
比較例7
比較例6の保護層用塗液に、アニオン系ポリエチレンワックスエマルション(商品名:メイカテックスHP−598A、明成化学社製、固形分濃度25%、融点100℃、平均粒子径0.04μm)4.44部を追加した以外は、比較例6と同様にして感熱記録体を得た。
比較例8
実施例2の保護層用に用いられるワックスで表面処理した顔料の分散液の調製において、アニオン系ポリエチレンワックスエマルション(商品名:メイカテックスHP−598A、明成化学社製、固形分濃度25%、融点100℃、平均粒子径0.04μm)4.44部の代わりに、26.64部にし、バッチサンドミルで1時間分散した。得られた分散液のワックスで表面処理された顔料の平均粒子径が2.05μmとなったが、分散液の流動性はなく1時間放置すると凝集した。このため、感熱記録体を得ることはできなかった。
比較例9
実施例2の保護層用に用いられるワックスで表面処理した顔料の分散液の調製において、アニオン系ポリエチレンワックスエマルション(商品名:メイカテックスHP−598A、明成化学社製、固形分濃度25%、融点100℃、平均粒子径0.04μm)4.44部の代わりに、アニオン系パラフィンワックスエマルション(商品名:ハイドリンP−7、中京油脂社製、固形分濃度30%、融点54℃、平均粒子径1.1μm)3.7部用いた以外は、実施例2と同様にして感熱記録体を得た。
比較例10
実施例2の保護層用に用いられるワックスで表面処理した顔料の分散液の調製において、アニオン系ポリエチレンワックスエマルション(商品名:メイカテックスHP−598A、明成化学社製、固形分濃度25%、融点100℃、平均粒子径0.04μm)4.44部の代わりに、ステアリン酸亜鉛の水分散液(商品名:ハイドリンZ−8−36、中京油脂社製、固形分濃度36%)3.08部用いた以外は、実施例2と同様にして感熱記録体を得た。
比較例11
実施例2の保護層用に用いられるワックスで表面処理した顔料の分散液の調製において、アニオン系ポリエチレンワックスエマルション(商品名:メイカテックスHP−598A、明成化学社製、固形分濃度25%、融点100℃、平均粒子径0.04μm)4.44部の代わりに、ソープフリーのポリオレフィンワックスディスパーション(商品名:ケミパールW4005、三井化学社製、固形分濃度40%、融点110℃、平均粒子径0.6μm)2.78部用いた以外は、実施例2と同様にして感熱記録体を得た。
・感熱記録体の評価
かくして得られた感熱記録体を40℃〜50%RHの条件下で24時間放置後、下記の項目について評価し、その結果を表1に示した。
〔記録濃度、及び白紙部濃度〕
感熱記録評価機(商品名:TH−PMD、大倉電機社製)を用い、印加エネルギー:0.24mJ/dotにて各感熱記録体を記録し、得られた印字部と白紙部をそれぞれマクベス濃度計(RD−914、マクベス社製)のビジュアルモードで測定した。数値が大きい程、印字の濃度が濃いことを示しており、記録濃度については、実用上、1.20以上であることが必要とされる。また、白紙部濃度は、0.15以下であることが必要となる。
〔耐油性〕
記録濃度の測定における記録後の感熱記録体に食用油を塗布し、20℃で24時間放置した後にガーゼで食用油を拭き取り、印字部をマクベス濃度計(前述)のビジュアルモードで測定して耐油性を評価した。また、下記式により、記録部の保存率を求めた。食用油塗布処理後の記録濃度0.6以上で、保存率50%以上であれば、実用上問題はない。
保存率(%)=[測定値(処理後の記録濃度)/処理前の記録濃度]×100
〔耐可塑剤性〕
ポリカーボネイトパイプ(40mm径)の上にラップフィルム(商品名:ハイラップKMA−W、三井化学社製)を三重に巻きつけ、その上に記録濃度の測定における記録後の感熱記録体を置き、更にその上にラップフィルムを三重に巻きつけ、40℃の条件で24時間放置した後、印字部をマクベス濃度計(前述)のビジュアルモードで測定した。また、記録部の保存率を、耐油性の場合と同様に、上記式に基いて、算出した。処理後の記録濃度0.6以上で、保存率50%以上であれば、実用上問題はない。
〔耐エタノール性〕
記録濃度の測定における記録後の感熱記録体に、エタノールを含ませたガーゼで拭き5分放置した後、白紙部をマクベス濃度計(前述)のビジュアルモードで測定して耐エタノール性を評価した。エタノール拭き取り処理後の白紙部濃度0.2以下であれば、実用上問題はない。
Figure 2016150489

Claims (4)

  1. 支持体上に、感熱記録層及び保護層の順で有する感熱記録体であって、
    感熱記録層中にロイコ染料、呈色剤及び水性接着剤(1)を含み、
    保護層中に、アニオン系ポリエチレンワックスによって表面処理された顔料、及び水性接着剤(2)を含み、
    前記表面処理された顔料が、分散媒中、顔料と、顔料100質量部に対して0.5〜10質量部の前記アニオン系ポリエチレンワックスを混合することによって得られる
    感熱記録体。
  2. アニオン系ポリエチレンワックスが、融点が90〜110℃、平均粒子径が0.01〜0.1μmのアニオン系ポリエチレンワックスである請求項1に記載の感熱記録体。
  3. 前記保護層中の水性接着剤(2)が、変性ポリビニルアルコール及び/又は溶解度パラメーターが12.0以上のメタアクリロニトリル系共重合体であって、
    変性ポリビニルアルコールが、アセトアセチル変性ポリビニルアルコール、ジアセトン変性ポリビニルアルコール及びカルボキシ変性ポリビニルアルコールよりなる群から選ばれる少なくとも1種であり、
    メタアクリロニトリル系共重合体が、(i)メタアクリロニトリル及び(ii)メタアクリロニトリルと共重合可能なビニル単量体を含む単量体からなる共重合体であって、
    前記ビニル単量体(ii)は、少なくとも1種のカルボキシル基含有ビニル単量体を含み、前記カルボキシル基含有ビニル単量体の含有割合が、前記単量体中、1〜10質量%である、
    請求項1又は2に記載の感熱記録体。
  4. 前記保護層中の水性接着剤(2)が、顔料100質量部に対して、20〜100質量部含有する、請求項1〜3のいずれかに記載の感熱記録体。
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