JP2016149314A - 固体酸化物形燃料電池用グリーンシートおよびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】優れた発電性能と保存安定性とを備えた固体酸化物形燃料電池(SOFC)形成用のグリーンシートを提供すること。【解決手段】本発明により、SOFCの形成に用いられるグリーンシートの製造方法が提供される。かかる製造方法は、少なくとも導電性材料とバインダとを含む原料混合物を用意すること;上記原料混合物を用いて、ロール成形法によりアノード支持層を形成すること;上記アノード支持層の表面に、少なくとも酸化物イオン伝導体とバインダとを含む固体電解質層を形成すること;を包含する。そして、上記アノード支持層を形成するための上記原料混合物に含まれる上記バインダとして、アクリル系高分子化合物を用いる。【選択図】図1

Description

本発明は、固体酸化物形燃料電池を形成するために用いられるグリーンシートおよびその製造方法に関する。
固体酸化物形燃料電池(Solid Oxide Fuel Cell,以下、単に「SOFC」ということもある。)は、種々のタイプの燃料電池のなかでも発電効率が高く、また多様な燃料の使用が可能なため、環境負荷の少ない次世代の発電装置として開発が進められている。
SOFCの単セルは、本質的な構成として、酸素イオン伝導体からなる緻密な層状の固体電解質を基本とし、この固体電解質の一方の面に多孔質構造の空気極(カソード)が形成され、他方の面に多孔質構造の燃料極(アノード)が形成されている。なかでも、アノード支持層の上に、固体電解質層とカソード層とが順に形成されたアノード支持型のSOFCが広く採用されている。
このアノード支持型のSOFCの典型的な製造においては、まず、液状媒体に導電性粉末を分散させたスラリー状(ペースト状、インク状を包含する。以下同様。)組成物を用意する。そしてこの組成物を、ドクターブレード法等によって厚み100μm程度のシート状に成形し、これを複数枚積層して乾燥させることで、比較的厚い(例えば厚みが約300μm〜1500μmの)アノード支持層用のグリーンシートを形成する。そして、このアノード支持層用のグリーンシートの上に固体電解質層およびカソード層(いずれも厚みが約20μm〜50μm程度)のグリーンシートを順に形成して焼成することでSOFCを得ている。その一方で、スラリー状組成物を使用することなく、乾燥工程を省略して、省エネルギーかつ低コストにSOFCを製造する方法も知られている。例えば特許文献1〜3には、導電性粉末とバインダとをそのまま、あるいは造粒した後、ロール成形することにより、SOFCを製造することが開示されている。
特開2004−152773号公報 特開2012−146579号公報 特開2014−135135号公報
ところで、近年、SOFCの高性能化の一環として固体電解質層等の大面積化および薄層化が進められている。一般に、SOFCの電気抵抗は各層の厚みに比例して増大するため、固体電解質層を薄くする(例えば10μm以下とする)ことでより発電性能に優れたSOFCを実現し得る。その反面、アノード支持層をドクターブレード法により形成したSOFCについては、電解質層に厚み方向で貫通する貫通孔が形成され易いという新たな問題が生じていた。また、上記特許文献3に示される導電性粉末の造粒物をロール成形する手法では、発電性能に優れたSOFCを作製することが可能となるものの、その品質にバラつきが見られやすく、安定して発電性能の良いSOFCが得られ難いという問題があった。
本発明は、これらの事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、貫通孔等の欠陥が生じ難く、優れた発電性能と高い信頼性とを備えるSOFCを安定的に製造し得る、SOFC用のグリーンシートを提供することである。また、このグリーンシートを用いて製造されるSOFCを提供することである。
上記目的を実現するべく、本発明によって、固体酸化物形燃料電池の形成に用いられるグリーンシートの製造方法が提供される。この製造方法は、下記の工程を包含することを特徴としている。
(1)少なくとも導電性材料と第1のバインダとを含む原料混合物を用意すること。ここで上記第1のバインダはアクリル系高分子化合物である。
(2)上記原料混合物をロール成形することにより、アノード支持層用グリーンシートを形成すること。
(3)上記アノード支持層用グリーンシートの表面に、少なくとも酸化物イオン伝導体と第2のバインダとを含む固体電解質層用グリーンシートを形成すること。
アノード支持層用グリーンシートを公知のドクターブレード法等により成形し、複数枚を重ねて接合すると、その上面に形成される固体電解質層用グリーンシートに焼成により貫通孔やクラックが発生する等の欠陥が生じ得た。本発明者らの検討によると、これらの貫通孔やクラックは、これまで比較的厚めの固体電解質層であれば問題にならなかった固体電解質層内の空隙が、薄層化(例えば10μm以下)により貫通孔やクラックに進展したものであると考えられた。また、アノード支持層用グリーンシートを公知のドクターブレード法等により成形すると、比較的薄いグリーンシートシートを重ねて接合するため、接合界面に空隙が形成されたり、層間で部分剥離が発生したりしていた。そして焼成時にこのような空隙に含まれるガスが、層間の部分剥離部を優先的に伝い、局所的に集まって固体電解質層を突き破り得るとの知見を得た。
これに対し、ロール成形法によれば、例えば100μm〜1500μm程度の比較的厚いアノード支持層用グリーンシートを、一度により等方的に(例えば、厚み方向に対する組成や気孔率のバラつきを抑えて、均質に)製造することが可能とされる。なお、本発明者らの更なる検討によると、上記文献3に開示の手法では、焼成前にグリーンシートを保管し、製造から長時間(例えば、常温で72時間以上、また80℃程度の高温で10時間以上)が経過した場合に、焼成して得られるSOFCの発電性能にバラつきが見られ得ることを知見した。そこで、本発明者らは、アノード支持層用グリーンシートに用いる第1のバインダとして、エーテル系高分子化合物に代えて、アクリル系高分子化合物を用いるようにしている。これにより、グリーンシートの保管時の品質安定性が高められ、製造から長時間の経過後にSOFCを製造しても、発電性能等の品質にバラつきが生じることを抑制するようにしている。したがって、ここで開示されるグリーンシートの製造方法によれば、固体電解質層の薄層化に伴う不都合(貫通孔の形成や、品質のばらつき等)が好適に抑制され、所望のタイミングで焼成を行うことができるSOFC用グリーンシートが提供される。
なお、本明細書において「グリーンシート」とは、セラミックシート(ここではアノード支持層,固体電解質層,反応抑止層およびカソード層)を作製するに際して用意する、セラミック原料からなる未焼成の状態のシートをいう。なお、このグリーンシートは、完全な未焼成シートの他、例えば100℃以下の温度で乾燥したシート(乾燥シート)や、例えば200℃以下の温度で仮焼成したシート(仮焼成シート)をも包含する。
また、アノード支持層用グリーンシート等のグリーンシートに含まれるバインダの種類は、例えば熱分解ガスクロマトグラフ質量分析(Gas Chromatography-Mass Spectrometry:GC−MS)や、電子線マイクロアナライザ(Electron Probe Microanalysis:EPMA)による表面分析等から把握することができる。より具体的には、アノード支持層用グリーンシートおよび固体電解質層用グリーンシートからそれぞれ測定用試料を採取し、この測定試料を熱分解GC−MSに導入し分析することによって、バインダの種類を特定し得る。
ここに開示される製造方法の好ましい一態様において、上記アクリル系高分子化合物は、ガラス転移温度が−100℃以上10℃以下であることが好ましい。このようなアクリル系高分子化合物をバインダとして用いることで、より保管時の品質安定性が高められる。
なお、ここに開示される製造方法の好ましい一態様において、上記固体電解質層用グリーンシートの形成は、印刷成形法またはドクターブレード法によって行うことを特徴としている。これらの手法によれば、従来に比べて薄く(例えば平均厚みが20μm以下の、好ましくは平均厚みが10μm以下の)緻密な固体電解質層用グリーンシートを、上記アノード支持層用グリーンシートに直接形成することができる。また、ここに開示される製造方法では、貫通孔や層間剥離などの不都合が少なく、表面平坦性に優れたアノード支持層用グリーンシートが形成される。したがって、印刷成形法またはドクターブレード法により薄層化された固体電解質層用グリーンシートを形成した場合にも、焼成による欠陥等の発生が好適に抑制され得るために好ましい。
ここに開示される製造方法の好ましい一態様において、上記アノード支持層用グリーンシートは、有機物含有率が10質量%以下となるよう形成することが好ましい。このようにして得られるグリーンシートは、焼成後のアノード支持層に反りや変形等が生じ難く、また、焼成時に有機物が燃え抜けることに伴い厚みの薄い固体電解質層に欠陥が発生するのを抑制することができる。したがって、固体電解質層に貫通孔等の欠陥をもたらすことなく、アノード支持層との界面接合性に優れたSOFCを実現することができる。
なお、有機物含有率は、例えば、示差熱−熱重量同時測定(Thermogravimetry −Differential Thermal Analysis:TG−DTA)により以下の手順で測定することができる。具体的には、グリーンシートから測定用試料としてのアノード支持層用グリーンシートを採取し、例えば大気雰囲気において測定用試料を500℃まで昇温する。そして、例えば25℃〜500℃の温度範囲における重量変化(重量減少量)に基づいて、有機物含有率を算出することができる。
ここに開示される製造方法の好ましい一態様において、上記アノード支持層用グリーンシートは、平均厚みが100μm以上1500μm以下の単層構造となるよう形成するのが好ましい。アノード支持層用グリーンシートをこのような厚みとすることで、固体電解質層の薄層化による発電性能の向上を実現しつつ、強度や耐久性に優れたSOFCを実現することができる。加えて、単層構造とすることで、例えば100μm程度のシートを複数枚積層して結着してなる多層構造のアノード支持層用グリーンシートに比べて、グリーンシート全体に含まれる接合界面の数が少なくなり、SOFCを作製したときの抵抗を低く抑えることができる。このことは作業効率や製造コストの観点からも好ましい。したがって、より信頼性や耐久性に優れたSOFCを、従来に比べ簡便かつ安価に実現することができる。
なお、アノード支持層用グリーンシートが単層構造であるか否かは、例えば、走査型電子顕微鏡(Scanning Electron Microscope:SEM)観察により以下の手順で把握することができる。具体的には、例えば、まずクロスセクションポリッシャ加工等によってグリーンシートの断面出しを行い、この研磨断面をSEMで観察する。ここで、アノード支持層用グリーンシートの構成組織を観察することで、アノード支持層用グリーンシートが単層構造であるか否かを確認することができる。また、グリーンシート全体の構成層の数(シートの枚数)および各層の厚みを考慮しながら、アノード支持層用グリーンシートが単層構造であるか否かを判断するようにしても良い。
ここに開示される製造方法において、上記第2のバインダは、ポリビニルブチラールおよびエチルセルロースの少なくとも1つを含むことが好ましい。このような第2のバインダおよび溶媒を用いることで、アノード支持層用グリーンシートと固体電解質層用グリーンシートとの界面密着性をより一層高めることができ、その後の焼成においてクラックや界面剥離等の発生をより確実に抑制することができる。
ここに開示される製造方法の好ましい一態様において、上記ロール成形法は、例えば、一対のロールの間に原料混合物(典型的には、ほぼ粉末状)を供給し、ロールの間を通すことで圧縮成形する方法であり得る。そして、このロール成形法は、以下の条件;
(1)上記一対のロールの温度を、上記第1のバインダの軟化温度よりも高くなるよう調整すること;
(2)上記一対のロールの間隔が、100μm以上1500μm以下となるよう調整すること;
(3)ロール線圧を0.1kN/cm以上30kN/cm以下に設定すること;および
(4)成形速度を0.1m/min以上20m/min以下に設定すること;
を、いずれも具備することが好ましい。このような態様によれば、その後の焼成において反りや変形等の不都合が生じ難い、等方性や均質性に優れたアノード支持層用グリーンシートを形成することができる。
ここに開示される製造方法の好ましい一態様においては、上記固体電解質層用グリーンシートの表面に、少なくともセリウム酸化物を含む反応抑止層用グリーンシートを形成すること、をさらに包含する。反応抑止層用グリーンシートを形成することで、SOFCを作製した場合に固体電解質層とカソード層との界面がより安定化され、固相反応を抑制することができる。したがって、このグリーンシートによると、長期に亘り安定して高い性能を発現し得るSOFCを簡便に製造することができる。
他の側面において、ここに開示される技術は、SOFCの形成に用いられるグリーンシートを提供する。このグリーンシートは、少なくともアノード支持層用グリーンシートと、上記アノード支持層用グリーンシートに積層された固体電解質層用グリーンシートとを含んでいる。そして上記アノード支持層用グリーンシートは、少なくとも導電性材料と第1のバインダとを含み、平均厚みが100μm以上1500μm以下の単層構造である。ここで上記第1のバインダはアクリル系高分子化合物である。そして上記固体電解質層用グリーンシートは、少なくとも酸化物イオン伝導体と第2のバインダとを含む。
このような構成により、アノード支持層用グリーンシートと固体電解質層用グリーンシートの界面の接合性を良好に保つことができ、界面剥離等の発生を一層好適に抑制することができる。また、アクリル系高分子化合物を第1のバインダとして用いたアノード支持層用グリーンシートは、機械的強度や耐久性に優れ、且つ、保管に対する性状安定性に優れたものであり得る。したがって、ここで開示されるグリーンシートによれば、長期(例えば3日以上、特に1週間以上)の保管の後であっても、優れた発電性能(高出力密度)と信頼性(耐久性)とを高いレベルで両立し得るSOFCを製造することができる。
ここに開示されるSOFC形成用グリーンシートの好ましい一態様について、上記アノード支持層用グリーンシートの有機物含有率は10質量%以下である。このようにして得られるグリーンシートは、焼成後のアノード支持層に反りや変形等が生じ難く、また、焼成時に有機物が燃え抜けることに伴い厚みの薄い固体電解質層に欠陥が発生するのを抑制することができる。したがって、固体電解質層に貫通孔等の欠陥をもたらすことなく、アノード支持層との界面接合性に優れたSOFCを実現することができる。
ここに開示されるSOFC形成用グリーンシートの好ましい一態様について、上記第2のバインダは、ポリビニルブチラールおよびエチルセルロースの少なくとも1つを含む。これらのバインダは、固体電解質層用グリーンシートのアノード支持層用グリーンシートに対する密着性をより一層高めることができ、その後の焼成においてクラックや界面剥離等の発生を抑制することができるために好ましい。
ここに開示されるSOFC形成用グリーンシートの好ましい一態様について、上記固体電解質層用グリーンシートの表面に少なくともセリウム酸化物を含む反応抑止層用グリーンシートを備えることを特徴としている。反応抑止層用グリーンシートを形成することで、焼成ないしはSOFCの運転時に固体電解質層とカソード層との界面がより安定化され、互いの固相反応を抑制することができる。したがって、このグリーンシートによると、長期に亘り安定して高い性能を発現し得るSOFCを簡便に製造することができる。
また、ここに開示される技術により、上記のグリーンシートが焼成されてなる積層体を備える、固体酸化物形燃料電池が提供される。上述のように、上記のグリーンシートは、固体電解質層用グリーンシートを従来よりも薄く形成した場合であっても、各層が均質で空隙や欠陥等の発生が抑制され、良好な接合性を保ち得る。したがって、このグリーンシートを用いて形成されているSOFCは高い発電性能を発揮し得る。また、焼成後のアノード支持層と固体電解質層との間の接合強度が高いため、SOFCの運転に際しても界面剥離を生じ難く、長期に亘って高い発電性能を安定的に発揮することができる。すなわち、ここで開示されるSOFCは、高性能且つ高耐久性を備えたものであり得る。
ロール成形によりグリーンシートを製造する様子を模式的に示した図である。 一実施形態に係るグリーンシートを模式的に示す断面図であり、(a)はアノード支持層用グリーンシートと固体電解質層グリーンシートとからなるSOFC用グリーンシートを、(b)はさらに反応抑止層用グリーンシートを備えたSOFC用グリーンシートを、それぞれ示している。 一実施形態に係るアノード支持型のSOFCを備えた発電システムを模式的に示す断面図である。
以下、適宜図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態を説明する。なお、本明細書において特に言及している事項以外の事柄であって本発明の実施に必要な事柄(例えば、発電システムの構成や製造方法等)は、当該分野における従来技術に基づく当業者の設計事項として把握され得る。本発明は、本明細書に開示されている内容と当該分野における技術常識とに基づいて実施することができる。なお、以下の図面において、同じ作用を奏する部材・部位には同じ符号を付して説明し、重複する説明は省略または簡略化することがある。また、各図における寸法関係(長さ、幅、厚さ等)は実際の寸法関係を反映するものではない。
図2(a)および(b)は、本発明により提供されるSOFC用グリーンシート110G,120Gである。図2(a)のグリーンシート110Gは、比較的厚みの厚いアノード支持層用グリーンシート10Gの表面に、固体電解質層用グリーンシート20Gが備えられている。また、図2(b)のグリーンシート120Gは、上記のグリーンシート110Gにおける固体電解質層用グリーンシート20G側の表面に、さらに反応抑止層用グリーンシート30Gが備えられている。これらのSOFC用グリーンシートの製造方法は特に限定されないものの、好適には、ここに開示されるSOFC用グリーンシートの製造方法により好適に製造することができる。以下、かかる製造方法について説明する。すなわち、この製造方法は、本質的に、以下の工程を包含することを特徴としている。
(1)少なくとも導電性材料と第1のバインダとを含む原料混合物を用意すること。ここで前記第1のバインダはアクリル系高分子化合物である。
(2)上記原料混合物をロール成形することにより、アノード支持層用グリーンシート10Gを形成すること。
(3)上記アノード支持層用グリーンシート10Gの表面に、少なくとも酸化物イオン伝導体と第2のバインダとを含む固体電解質層用グリーンシート20Gを形成すること。
好適な一態様では、上記の工程(3)の後に、さらに以下の工程を包含する。
(4)上記固体電解質層用グリーンシート20Gの表面に、少なくともセリウム酸化物とバインダとを含む反応抑止層用グリーンシート30Gを形成すること。
1.原料混合物の用意
ここで開示される製造方法では、先ず、図2(a)および(b)に示すようなアノード支持層用グリーンシート10Gを形成するための原料混合物を準備する。この原料混合物は、少なくとも導電性材料とバインダとを含んでいる。そして典型的には、これら導電性材料とバインダとがほぼ均一な分散状態で混合されることで原料混合物を構成している。
導電性材料としては、導電性を示し、従来からSOFCのアノード層の形成に用いることができる電気触媒的作用(触媒活性)を有する物質の一種または二種以上を特に限定することなく用いることができる。具体的には、チタン(Ti)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、亜鉛(Zn)、ストロンチウム(Sr)、ジルコニウム(Zr)、ルテニウム(Ru)、パラジウム(Pd)、オスミウム(Os)、イリジウム(Ir)、白金(Pt)、ランタン(La)、金(Au)等の金属材料、およびその金属酸化物を用いることができる。これらはいずれか1種を単独で用いても良いし、2種以上を組み合わせて用いても良い。なかでも、Co,Ni,Zr,Ru,酸化コバルト(CoO、Co、Co)、酸化ニッケル(NiO、Ni、Ni)、酸化ジルコニウム(ZrO)、酸化ルテニウム(RuO)等を好ましく用いることができる。特に、Niは他の金属に比べて比較的安価であり、且つ高い反応活性を示す(高い触媒能を有する)ことから特に好適な金属種であり得る。したがって、ここで開示される製造方法では、導電性材料として含ニッケル材料(例えばニッケルまたは酸化ニッケル)を特に好ましく用いることができる。
導電性材料としては、また、例えば、上記の金属材料および/または金属酸化物材料(以下、単に「金属系材料」という。)と、他の材料とを混合した複合材料を用いることもできる。例えば、上記金属系材料と後述する固体電解質層20の形成材料(典型的には酸化物イオン伝導体)とを任意の割合で混合した複合材料を用いることができる。好適例として、ニッケル系材料(例えばNiO)と、例えばイットリア安定化ジルコニア(YSZ;Yttria stabilized zirconia),カルシア安定化ジルコニア(CSZ;Calcia stabilized zirconia),スカンジア安定化ジルコニア(ScSZ;Scandia stabilized zirconia)等の安定化ジルコニアとの混合物またはサーメットが挙げられる。これらはいずれか1種を上記金属系材料と混合しても良いし、2種以上を混合するようにしても良い。
アノード支持層用グリーンシート10Gに固体電解質層の構成材料(酸化物イオン伝導体)を含ませることで、グリーンシートの間の整合性(馴染み)はもちろんのこと、焼成の際のアノード支持層と固体電解質層との整合性(例えば熱膨張係数の調和)を高めることができ、またSOFCの運転時のアノード支持層と固体電解質層との間の接合性(密着性)を向上させることができる。したがって、グリーンシートの形成から、その後得られるSOFCの運転においても、界面剥離等の不具合を抑制することができる。延いては、耐久性や信頼性に優れたSOFCを実現することができる。なお、金属系材料と固体電解質層形成材料との混合比率は、特に限定されないが、例えば質量比で、90:10〜40:60(好ましくは、80:20〜50:50)とすることができる。
導電性材料の性状は特に限定されないが、例えば平均粒子径が0.01μm〜5μm(典型的には0.1μm〜2μm)程度の粉末状(粒子状)のものを好ましく用いることができる。また、上述のようなサーメットを調製・使用する場合には、実質的に同等な平均粒子径を有する材料同士を混合して用いることが好ましい。例えば、平均粒子径が約0.1μm〜5μmのニッケル系材料と、平均粒子径が約0.1μm〜5μmの安定化ジルコニアと、を上記比率で混合して用いることが好ましい。これによって、より均質なアノード支持層用グリーンシートを実現し得る。なお、本明細書において「平均粒子径」とは、一般的なレーザー回折・光散乱法に基づく粒度分布測定により測定した体積基準の粒度分布において、微粒子側からの累積50%に相当する粒径(D50粒径、メジアン径ともいう。)をいう。かかる粒径の調整は、従来公知の粉砕処理や篩いがけ、分級等によって行うことができる。
第1のバインダとしては、熱可塑性を有し、且つ脱バインダ処理(典型的には、200℃以上の加熱焼成)によって蒸発除去し得るものを用いることができる。なかでも、アクリル系高分子化合物または該アクリル系高分子化合物を主体とするものを好ましく用いることができる。アクリル系高分子化合物は、比較的少ない添加量で導電性材料の粒子間を強固に接着することができる。このため、アノード支持層用グリーンシート10Gの有機物含有率を低減することができ、その後の焼成時における反りやボイドの発生を抑制することができる。また、アノード支持層用グリーンシート10Gと固体電解質層用グリーンシート20Gとの密着性(親和性)を高めることができ、界面剥離の生じ難いグリーンシートを実現し得る。さらに、アクリル系高分子化合物は、耐水性や耐薬品性に優れるため、アノード支持層用グリーンシートの形状を長期に亘り安定的に保持し得る。とりわけ高温環境(例えば50℃以上、特に80℃以上)に長期間(例えば3日以上、さらには1週間以上、特に2週間以上)保管した場合であっても、これらバインダ成分が揮発され難く、安定した性状を保つことができる。したがって、SOFC(後述のハーフセルであり得る。)を製造(すなわちグリーンシート110G,120Gを焼成)するまでの期間を気にすることなく、任意のタイミングで使用可能な、信頼性や耐久性に優れたグリーンシートを好適に形成することができる。
なお、上述のように、アノード支持層用グリーンシート10Gを構成するバインダとしてエーテル系高分子化合物を用いると、固体電解質層用グリーンシート20Gとの界面接合性は良好であるものの、保管に対する安定性が低いという欠点があった。とりわけ高温環境での保管によりグリーンシート110G,120Gの性状が変化しやすかった。詳細な原因は明らかではないものの、本発明者らは、この性状の変化はエーテル系高分子化合物が保管時に揮発してしまうことによるものであると考えている。本発明においては、アノード支持層用グリーンシート10Gを構成するバインダとして、エーテル系高分子化合物と同等の固体電解質層用グリーンシート20Gに対する界面接合性を示し、保管安定性に優れるものとして、数あるバインダ樹脂の中でも、とりわけアクリル系高分子化合物を使用するようにしている。これにより、エーテル系高分子化合物を用いていた場合に見られた、長時間の保管後、とりわけ高温での長時間の保管後のグリーンシートの変質が抑制され得る。また、エーテル系高分子化合物を用いた場合よりもロール成形性に優れ、連続して安定した品質のアノード支持層用グリーンシート10Gを形成することができる。延いては、高性能で、品質のバラつきの少ないSOFCを製造することが可能となる。
アクリル系高分子化合物としては、特に制限なく各種のアクリル系高分子化合物を用いることができる。例えば、アルキル(メタ)アクリレートを主モノマー(単量体全体の50重量%超を占める成分)として含み、当該主モノマーと共重合性を有する副モノマーをさらに含むモノマー混合物であってもよい。このモノマー混合物は、これら主モノマーおよび副モノマーに加えて、他の共重合成分を任意に含んでいてもよい。そしてこれらのモノマー混合物が共重合することにより、所定の機能を有するアクリル系高分子化合物となり得る。
なお、本明細書中において「(メタ)アクリレート」とは、アクリレートおよびメタクリレートを意味する用語である。同様に、「(メタ)アクリル」はアクリルおよびメタクリルを意味する用語である。
アルキル(メタ)アクリレートとしては、例えば、一般式:CH=C(R)COORで表される化合物を好適に用いることができる。ここで、式中のRは水素原子またはメチル基を示している。また、Rは炭素原子数が1〜20の鎖状アルキル基を示している。Rは、炭素原子数が1〜14の鎖状アルキル基であるアルキル(メタ)アクリレートが好ましく、炭素原子数が1〜10、例えば2〜8の鎖状アルキル基であるアルキル(メタ)アクリレートがより好ましい。さらには、Rがブチル基または2−エチルヘキシル基であるアルキル(メタ)アクリレートなどが好ましい。
炭素原子数が1〜20の鎖状アルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、s−ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、イソペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ウンデシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、テトラデシル(メタ)アクリレート、ペンタデシル(メタ)アクリレート、ヘキサデシル(メタ)アクリレート、ヘプタデシル(メタ)アクリレート、オクタデシル(メタ)アクリレート、ノナデシル(メタ)アクリレート、エイコシル(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらアルキル(メタ)アクリレートは、1種を単独で用いても良いし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。特に限定されるわけではないが、好ましいアルキル(メタ)アクリレートとして、例えば、n−ブチルアクリレート(BA)および2−エチルヘキシルアクリレート(2EHA)等が挙げられる。
副モノマーとしては、アクリル系高分子化合物に架橋点を導入したり、アクリル系高分子化合物の結着性を制御したりする機能を有し、所望のバインダ特性に応じて各種の官能基を含むモノマー成分を用いることができる。かかる官能基は、例えば、カルボキシル基、ヒドロキシ基、アミド基、アミノ基、エポキシ基等であり得る。特に限定されるわけではないが、なかでも、ヒドロキシル基を有するエチレン性不飽和モノマーを用いるのが好ましい。副モノマーの量は特に限定されず、所望の密着層特性が実現されるように適宜設計することができる。例えば、ポリマーの凝集力と粘着性とをバランス良く両立させる観点から、副モノマーの量は、アルキル(メタ)アクリレート100質量%に対して合計20質量%以下、より好ましくは15質量%以下、例えば10質量%以下とすることが例示される。なお、ここに例示した副モノマー以外の他の共重合成分を含むようにしてもよい。上記モノマー(主モノマーと副モノマーの総量)に占める副モノマーの割合は、所望の架橋度に応じて適宜選択すればよく、例えば、全モノマー成分100質量%に対して、1〜10質量%程度とすることができる。また、モノマー混合物を重合する方法は特に制限されず、従来公知の一般的な重合方法(エマルション重合、溶液重合等)を採用することができる。
ヒドロキシル基含有モノマーの好ましい例として、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、6−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、8−ヒドロキシオクチル(メタ)アクリレート、10−ヒドロキシデシル(メタ)アクリレート、12−ヒドロキシラウリル(メタ)アクリレート、[4−(ヒドロキシメチル)シクロヘキシル]メチルアクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートが挙げられる。特に好ましい例として、2−ヒドロキシエチルメタクリレートが挙げられる。
この様なバインダにおいて、50質量%以上(より好ましくは80質量%以上、さらに好ましくは90質量%以上)がアクリル系高分子化合物であるものを好ましく使用し得る。特に好ましい例として、実質的に100%がアクリル系高分子化合物からなるバインダが挙げられる。
また、特に制限されるものではないが、第1のバインダとしてのアクリル系高分子化合物は、ガラス転移温度(Tg)が−100℃以上10℃以下であることが好ましい。Tgが上記範囲にあるアクリル系高分子化合物を用いることで、この原料混合物を後述のロール成形に供した場合の成形性が格段と向上されて、保管安定性に優れ、均一かつ等方的なアノード支持層用グリーンシート10Gを得ることができる。延いては、このグリーンシート110G,120Gを用いて製造されるSOFCの性能のバラつきをより一層抑制することが可能となる。Tgは、−100℃よりも低すぎると、ロール成形により得られるアノード支持層用グリーンシート10Gの密度が高められるものの、例えば室温での成形性に若干劣る傾向がある。したがって、Tgは−95℃以上であることが好ましく、−60℃以上であることがより好ましく、−40℃以上(例えば−30℃以上)であることが特に好ましい。またTgが10℃よりも高すぎると、例えば形成されたアノード支持層用グリーンシート10Gのロール成形性が若干劣る傾向にある。したがって、Tgは5℃以下であることが好ましく、0℃以下であることがより好ましく、例えば−1℃以下であることがより好ましい。
また、第1のバインダとしてのアクリル系高分子化合物は、常温(例えば10℃〜30℃の温度範囲)において水溶性であることが好ましい。この水溶性高分子としては、任意の非イオン性、アニオン性あるいはカチオン性の親水基を有するアクリル系高分子であってよい。特に好ましくは、アニオン性の親水基を分子構造に有するアニオン性アクリル高分子化合物であり得る。このアニオン性の親水基としては、例えば、カルボキシル基(−CO )やスルホン酸基(−SO )が挙げられ、このようなアニオン性基を有するポリアクリル酸ナトリウムや、アクリル酸共重合物等のアクリル系高分子化合物を特に好ましく用いることができる。なお、このような水溶性アクリル系高分子化合物の溶解条件は特に制限されないが、中性ないしはアルカリ性(例えばpH6〜13程度、好ましくはpH6〜10程度)で溶解するものであることが好ましい。
そして特に制限されるものではないが、第1のバインダとしてのアクリル系高分子化合物は、不揮発分(NV)が30%以上65%以下であることが好ましい。NVが上記範囲にあるアクリル系高分子化合物を用いることで、この原料混合物を後述のロール成形後の形状安定性が向上され得るために好ましい。NVは、30%よりも低すぎると、得られるアノード支持層用グリーンシート10G、延いてはグリーンシート110G,120Gの高温での性状が変質しやすくなる可能性があり得る。したがって、NVは35%以上であることが好ましく、40%以上であることがより好ましい。またNVが65%よりも高すぎると、アノード支持層用グリーンシート10Gのロール成形性が若干劣る傾向にある。したがって、NVは60%以下であることが好ましく、55%以下であることがより好ましく、例えば50%以下であることがより好ましい。
なお、このようなアクリル系高分子化合物は、市販されているものを利用することもできる。特に限定するものではないが、かかるアクリル系高分子化合物としては、例えば、一例として、ジャパンコーティングレジン株式会社製のAP−60L,AP−80,AP−96,AP-360,AP368,ES−37,ES−64,ES−85,ES−232,ES−650,SA−200,HS−531,ESZ−4366−02,FK−285,FK−433,FK−854,FK−4300、Polymer Innovations社製のWB4101(いずれも商品名)等が好適なものとして挙げられる。
アノード支持層用グリーンシート10Gを形成するための原料混合物には、さらに、本発明の効果を著しく損なわない限りにおいて、例えば造孔材(気孔形成材)や可塑剤、酸化防止剤、増粘剤、分散剤等の各種添加剤等を必要に応じて含み得る。造孔材としては、例えばカーボン、炭化ケイ素、窒化ケイ素、澱粉等を好適に用いることができる。可塑剤としては、例えばプロピレングリコール等のグリコール類;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールイソプロピルエーテル等のグリコールエーテル類;フタル酸ジブチル、フタル酸ジオクチル、フタル酸ジトリデシル等のフタル酸エステル類;等を好適に用いることができる。分散剤としては、例えばカルボン酸系の高分子界面活性剤を好適に用いることができる。各種添加剤を使用する場合、原料混合物全体に占める添加剤の割合は、例えば0.1質量%〜20質量%とすることができ、通常は約0.5質量%〜10質量%とすることが好ましい。
原料混合物の調製には、ボールミル、ミキサー、ディスパー、ニーダ等の従来公知の種々の攪拌・混合装置を適宜用いることができる。例えば導電性材料とバインダと必要に応じて用いられる他の成分(典型的には造孔材や可塑剤)とを任意の撹拌・混合装置に投入し、50rpm〜300rpmの攪拌速度で0.5時間〜1時間撹拌混合することによって均質な原料混合物を調製し得る。なお、上記原料を装置に投入する順序は特に限定されず、例えば一度に全ての材料を投入してもよく、複数回に分けて投入してもよい。
またあるいは、これらの原料混合物は、所定の大きさに造粒された造粒粒子の形態に調製されていても良い。造粒粒子の製法は特に制限されない。例えば、導電性材料および第1のバインダを所定の割合で乾式または湿式で混合して、造粒、分級等を行うことで製造されたものであってよい。造粒の手法についても特に制限はなく、例えば、転動造粒法、流動層造粒法、撹拌造粒法、圧縮造粒法、押出造粒法、破砕造粒法、スプレードライ法(噴霧造粒法)等であり得る。一好適例では、スプレードライ法を採用して、導電性材料とバインダとを溶媒中で混ぜ合わせたスラリー状組成物(懸濁液)を乾燥雰囲気中に噴霧し乾燥させることで造粒(成形)したものである。この手法では、噴霧される液滴中に含まれる粒子が概ね1つの塊になって造粒されるため、液滴の大きさによって造粒粒子の大きさや質量等が容易に調整され得る。なお、噴霧される液滴には導電性材料と第1のバインダ以外の材料、例えば上記の各種の添加剤をも含み得る。
この場合の造粒粒子の大きさは特に制限されないが、例えば、生産効率を高める観点やより均質な活物質層を形成する観点等から、例えば粒径範囲はおよそ10μm以上200μm以下、好ましくは30μm以上180μm以下、例えば45μm以上150μm以下であるとよい。また、平均粒子径は、20μm以上100μm以下、好ましくは30μm以上90μm以下、例えば50μm以上80μm以下であるとよい。
なお、各材料の配合は、アノード支持層用グリーンシート10Gを形成したとき、全体に占める金属系材料(金属または金属酸化物)の割合が、約30質量%以上(典型的には40質量%〜80質量%)であり、通常は約45質量%〜70質量%であることが好ましい。固体電解質層の形成材料(典型的には酸化物イオン伝導体)を使用する場合、アノード支持層用グリーンシート10G全体に占める固体電解質層形成材料の割合は、例えば約10質量%〜50質量%とすることができ、通常は約20質量%〜40質量%とすることが好ましい。また、アノード支持層用グリーンシート10G全体に占めるバインダの割合は、例えば約1質量%〜20質量%とすることができ、通常は約2質量%〜10質量%とすることが好ましい。なお、特に好ましい構成では、アノード支持層用グリーンシート10Gにおける有機物含有率が10質量%以下(好ましくは8質量%以下、より好ましくは7質量%以下)である。有機物含有率を低減することで、後述のグリーンシートの焼成の際に発生し得る不都合(例えば反りや変形、界面剥離、固体電解質層の貫通孔の形成など)を一層抑制することができる。
2.アノード支持層用グリーンシートの形成
ここで開示される製造方法では、次に、上記原料混合物を用いて、図2(a)および(b)に示すようなアノード支持層用グリーンシート10Gを形成する。アノード支持層用グリーンシート10Gは、ロール成形法によって形成する。
ところで、これまでアノード支持層用グリーンシートの形成は、一般にドクターブレード法を用いて行われていた。かかる方法では、ドクターブレードと呼ばれる刃を用いて、上述したような材料を溶媒(典型的には有機溶媒)中に分散させてなるスラリー状組成物を所定の厚みに成形した後、溶媒を揮発させることによって所望の厚みのアノード支持層用グリーンシートを作成していた。このため、スラリー状組成物にはある程度の粘性を持たせる必要があり、このことによって乾燥時間が長びいたり、或いは乾燥時に環境衛生上の問題を生じたりすることがあり得る。また、かかる方法は製造条件(例えば、スラリー状組成物の粘度や乾燥温度等)の影響を受け易く、条件の微妙な変動でアノード支持層用グリーンシートにクラックやボイド等を生じたり、アノード支持層用グリーンシートの表面の平坦性が失われたりすることがあり得た。さらに、アノード支持型のSOFCに用いるために、アノード支持層用グリーンシートを比較的厚め(例えば100μm〜1500μm)に形成しようとすると、比重の大きい材料(典型的には金属系材料)が下部に沈降し、比重の軽いバインダが上部に偏在して、厚さ方向の組成や密度が不均質なものとなり得た。そこで、一般には100μm程度の厚みのシートをドクターブレード法によって複数枚作製し、該シートを積層して、加熱圧着或いはシートの間に接着剤としての有機物を付与して加圧したりすることで、アノード支持層用グリーンシートを形成していた。しかしながら、このように比較的薄いアノード支持層用グリーンシートを複数枚積層して形成する場合であっても、上記のとおりの厚み方向での組成や密度の不均質性は微視的に解消されていなかった。また、積層枚数の増加に伴ってシート間の界面の数が増え、該界面において空隙や接合不良を生じたり、或いは界面剥離を招来したりする可能性が高かった。
これに対して、ここで開示されるロール成形法では、回転するロールで原料を圧縮し所望の形状のアノード支持層用グリーンシートを圧縮成形する。典型的には、反対方向に回転する一対のロールの間に原料を供給し、この一対のロール間で原料を圧縮することにより所望の形状に成形する。このため、原料(材料)を粉体のまま直接ロール成形機に投入することができ、すなわち原料混合物をスラリー状に調製する必要がない。このことは、作業効率(典型的には乾燥時間の短縮)や製造コスト、環境衛生の観点からも好ましい。また、スラリー状組成物を用いた場合にみられる原料の不均一化が発生しない点においても好ましい。
ここで開示される好適な一態様では、上記アノード支持層用グリーンシート10Gは、平均厚みが100μm以上1500μm以下の単層構造となるよう形成するのが好ましい。100μm以上1500μm以下の厚みとすることで、強度や耐久性に優れたアノード支持層用グリーンシート10Gとすることができる。加えて、単層構造とすることで、例えば100μm程度の層を積層し一体化させた場合に比べて界面の数が少ないため、界面間の接合不良が生じ難く、且つ焼成後のアノード支持層の抵抗を低く抑えることができる。このように、ロール成形法によれば、アノード支持型のSOFCに用いられるような比較的厚いアノード支持層用グリーンシート10Gであっても、安定的に形成することができる。すなわち、かかるアノード支持層用グリーンシート10Gは、等方性や均質性に優れた(例えば組成や気孔率にバラつきが少ない)ものであり得る。また、ロール成形法では溶媒を用いてスラリー状組成物を調製する必要がないため簡便であり、作業効率(典型的には乾燥時間の短縮)や製造コスト、環境衛生の観点からも好ましい。
図1に、一実施形態に係るロール成形機の模式的な断面図を示す。図1に示すロール成形機5は、大略的には、原料混合物1aを貯留する貯留タンク1と、一対のロール2と、を備える。
貯留タンク1は、原料混合物1aを貯留する容器である。貯留タンク1はまた、その底部にフィーダー1bを備えており、フィーダー1bの吐出口から一定量の原料混合物1aを一対のロール2の間に連続的に供給するよう構成されている。フィーダー1bとしては、定量性に優れるものであれば特に限定されず、例えばスクリュー式、振動式、流動式等の各種フィーダーを適宜採用し得る。
一対のロール2の間に供給された原料混合物1aは、ロール2の表面との摩擦力によって一対のロール2の間に引き込まれ、ロール2の間を通過する際に圧縮成形される。ロール2による圧延は、常温で行っても良いし、加熱しながら行っても良い。ここでは、後述するロール成形の条件等を調整することにより、所望の性状(例えば厚みや気孔率)を有するアノード支持層用グリーンシート10Gを好適に形成することができる。
ロール2の直径は特に限定されないが、例えば数十cm〜数百cm程度であり得る。原料混合物やロール成形機の運転条件等が等しい場合は、一般にロールの直径が大きくなるほど密度の高い(緻密な)アノード支持層用グリーンシート10Gを形成することができる。また、一対のロール2間のプレス線圧は、特に限定されないが、通常10kg/mm〜500kg/mm程度であり、例えば50kg/mm〜200kg/mm程度とすることができる。また、アノード支持層用グリーンシート10Gの成形速度は、通常0.01m/分〜20m/分程度とすることができ、例えば0.05m/分〜10m/分、好ましくは0.1m/分〜1m/分とすることができる。かかる態様によれば、従来に比べて反りや変形等の不都合が生じ難く、均質なアノード支持層用グリーンシート10Gを安定して形成することができる。
また、一対のロール2の間隔は特に限定されず、目的物としてのアノード支持層用グリーンシート10Gの厚みに応じて適宜調整することができる。ここで開示されるアノード支持層用グリーンシート10Gは、SOFCの支持体として、例えば固体電解質層用グリーンシート20Gや反応抑止層用グリーンシート30G,カソード層用グリーンシート(図示せず)等に比べて厚めに形成される。支持体としてのアノード支持層用グリーンシート10Gの平均厚みは通常約100μm〜2000μmであることから、一対のロール2の間隔は例えば100μm以上(典型的には200μm以上、例えば300μm以上)であって、2000μm以下(典型的には1800μm以下、例えば1500μm以下)とすることができる。ロール成形法では、ロール2の間隔を調整するだけで所望の厚みを有するアノード支持層用グリーンシート10Gを形成することができるため簡便である。
3.固体電解質層用グリーンシートの形成
ここで開示される製造方法では、次に、図2(a)および(b)に示すように、アノード支持層用グリーンシート10Gの表面に、少なくとも酸化物イオン伝導体と第2のバインダとを含む固体電解質層用グリーンシート20Gを形成する。かかる固体電解質層用グリーンシート20Gは、例えば、アノード支持層用グリーンシート10Gの上に、酸化物イオン伝導体と第2のバインダと必要に応じて含まれる添加剤(例えば可塑剤)とを溶媒に分散させてなるスラリー状の組成物(固体電解質層形成用スラリー)を任意の手法で供給し、溶媒を除去することで形成することができる。
酸化物イオン伝導体としては、従来からSOFCの固体電解質層の構成材料として知られている各種の材料を特に限定することなく用いることができる。好適例として、マグネシウム(Mg)、アルミニウム(Al)、カルシウム(Ca)、スカンジウム(Sc)、チタン(Ti)、ガリウム(Ga)、ストロンチウム(Sr)、イットリウム(Y)、ジルコニウム(Zr)、ニオブ(Nb)、バリウム(Ba)、ランタン(La)、セリウム(Ce)、サマリウム(Sm)、ガドリニウム(Gd)、タングステン(W)、ビスマス(Bi)から選択される元素を含んだ酸化物が挙げられる。具体的には、イットリア(Y)、カルシア(CaO)、スカンジア(Sc)、マグネシア(MgO)、イッテルビア(Yb)、エルビア(Er)等の安定化剤で結晶構造を安定化させたジルコニア(ZrO);イットリア(Y)、ガドリニア(Gd)、サマリア(Sm)等のドープ剤をドープした酸化セリウム(CeO);等を採用し得る。これらはいずれか1種を単独で用いても良いし、2種以上を組み合わせて用いても良い。なかでも、ジルコニア(ZrO)にイットリウムの酸化物(例えば、イットリア(Y))を固溶させたイットリア安定化ジルコニア(YSZ)、またはスカンジウムの酸化物(例えばスカンジア(Sc))を固溶させたスカンジア安定化ジルコニア(ScSZ)を好適に用いることができる。これらの酸化物は、比較的温度が低い場合(約500℃〜800℃)であっても高い酸化物イオン伝導性を示し得るため、起動性に優れたSOFCを実現し得ることから好ましい。固溶させる酸化物の量は特に限定されないが、例えば約1mol%〜20mol%(通常、約5mol%〜10mol%)とすることができる。
上記酸化物イオン伝導体の平均粒子径は、上記アノード支持層用グリーンシート10G(アノード支持層)の形成用として例示した導電性材料と同等とすることが好ましい。すなわち、平均粒子径が0.01μm〜5μm程度(例えば0.1μm〜2μm)程度の酸化物イオン伝導体を好ましく用いることができる。アノード支持層用グリーンシートおよび固体電解質層用グリーンシートに含まれる材料の平均粒子径を揃えることで、両者の層間における接着性を高めることができ、より高い接合性や機械的強度を実現することができる。
第2のバインダとしては、脱バインダ処理(典型的には、300℃以上で加熱焼成すること)やグリーンシートの焼成によって蒸発除去し得るものであれば、特に限定なく用いることができる。具体的には、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシエチルセルロース、カルボキシエチルメチルセルロース、酢酸フタル酸セルロース等のセルロース系ポリマー;メタクリル酸エステル等のエステル系ポリマー;ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリメチルアクリレート、ポリエチルメタクリレート等のアクリル系ポリマー;ポリアミドイミド、ポリイミド等のイミド系ポリマー;ポリエチレンオキサイド等のエチレン系ポリマー;ポリアクリロニトリル、ポリメタリロニトリル等のニトリル系ポリマー;ポリウレタン等のウレタン系ポリマー;ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリ塩化ビニリデンポリフッ化ビニル、酢酸ビニル等のビニル系重合体;スチレンブタジエンゴム等のゴム類;等を用いることができる。なかでも、セルロース系ポリマー(例えばエチルセルロース)やポリビニルブチラールを好適に用いることができる。
溶媒としては、上記酸化物イオン伝導体および第2のバインダを好適に分散(または溶解)し得るもののうち一種または二種以上を特に限定することなく用いることができる。例えば、アルコール系溶剤、エーテル系溶剤、エステル系溶剤、ケトン系溶剤、環状エーテル系溶剤、芳香族炭化水素系溶剤または他の有機溶剤が挙げられる。なかでも、エタノール、イソプロピルアルコール、イソブチルアルコール、オクタノール、エチレングリコール、α−テルピネオール、ブチルセロソルブアセテート、ブチルカルビトールアセテート、ブチルジグリコールアセテート、イソボルニルアセテート、ブチルカルビトール、ブチルセロソルブ、メチルエチルケトン、シクロヘキサン、トルエン、キシレン等を好適に用いることができる。特に好ましくは、αーテルピネオール、ブチルセロソルブアセテート、ブチルカルビトールアセテート、ブチルジグリコールアセテート、イソボルニルアセテート、ブチルカルビトール、ブチルセロソルブが挙げられる。
好適な一態様では、バインダとしてセルロースおよびその誘導体(典型的にはエチルセルロース)を、溶媒としてα−テルピネオールを用いることである。また、好適な他の一態様では、バインダとしてポリビニルブチラールを、溶媒としてブチルセロソルブアセテート、ブチルカルビトールアセテート、ブチルジグリコールアセテート、イソボルニルアセテート等のエステル系溶剤および/またはイソプロピルアルコール等のアルコール系溶剤を用いることである。本発明者の検討によれば、上記の組み合わせのバインダおよび溶媒を用いて固体電解質層用グリーンシート20Gを形成することによって、アノード支持層用グリーンシート10Gと固体電解質層用グリーンシート20Gとの界面密着性をより一層高めることができ、界面剥離やボイド(空隙)等の発生を抑制することができるために好ましい。
固体電解質層用グリーンシート20Gを形成するためのスラリー(以下、「固体電解質層形成用スラリー」のように表現する場合がある。)の固形分濃度(NV)は特に限定されないが、例えば60質量%〜80質量%とすることが好ましく、例えば65質量%〜75質量%程度とすることができる。換言すれば、固体電解質層形成用スラリー全体に占める溶媒の割合は、例えば約20質量%〜40質量%とすることができ、通常は約25質量%〜35質量%とすることが好ましい。
また、固体電解質層形成用スラリー全体に占める酸化物イオン伝導体の割合は、約50質量%以上であり、通常は約60質量%〜70質量%であることが好ましい。固体電解質層形成用スラリー全体に占めるバインダの割合は、例えば約1質量%〜10質量%とすることができ、通常は約1質量%〜5質量%とすることが好ましい。各種添加剤を使用する場合、固体電解質層形成用スラリー全体に占める添加剤の割合は、例えば0.1質量%〜20質量%とすることができ、通常は約0.5質量%〜15質量%とすることが好ましい。
固体電解質層形成用スラリーの供給方法としては、一般的なスラリーの塗布技術、例えば印刷法(凸版印刷、オフセット印刷、グラビア印刷、インクジェット印刷、スクリーン印刷等)、シート成形法(ドクターブレード法等)、ディッピング法、スプレー法等を採用することができ、なかでも印刷成形法(典型的にはスクリーン印刷法)やドクターブレード法を好ましく採用し得る。かかる手法によれば、従来に比べて薄く緻密な固体電解質層用グリーンシート20Gを好適に形成することができる。
また、ここで開示される製造方法の好適な一態様では、固体電解質層形成用スラリーを供給した後に、適当な乾燥手法で該固体電解質層形成用スラリーに含まれる溶媒を除去する。かかる手法としては、自然乾燥、熱風、低湿風、真空、赤外線、遠赤外線、電子線等による乾燥を単独または組み合わせて用いることができる。これにより、酸化物イオン伝導体および第2のバインダからなる固体電解質層用グリーンシート20Gが形成される。
なお、固体電解質層用グリーンシート20Gの厚み(平均厚み)は、従来に比べて薄く形成することができる。固体電解質層用グリーンシート20Gの厚みは厳密には制限されないものの、典型的には10μm以下、例えば7μm以下、特に5μm以下となるよう形成することが好ましい。上記範囲とすることで、抵抗をより低く抑えることができ、優れた発電性能(高出力密度)を発揮し得るSOFCを実現することができる。また、固体電解質層用グリーンシート20Gの厚みは、典型的には1μm以上、例えば2μm以上、好ましくは3μm以上となるよう形成することが好ましい。上記範囲とすることで、固体電解質層用グリーンシート20Gの形成時に生じ得るピンホールや塗工スジの発生や、焼成の際に固体電解質層に貫通孔が形成される等の不都合の発生を抑制することができる。
上述のようにして、例えば、図2(a)に示すような、アノード支持層用グリーンシート10Gと固体電解質層用グリーンシート20Gとが積層されたグリーンシート110Gを作製することができる。
4.反応抑止層の形成
ここで開示される好適な一態様では、例えば、図2(b)に示すように、固体電解質層用グリーンシート20Gの表面に反応抑止層用グリーンシート30Gを備えることができる。例えば、SOFCの固体電解質層に酸化ジルコニウム系の材料を含み、且つ後述するカソード層にペロブスカイト構造の酸化物材料を含む場合には、それらを作製するための焼成ないしは焼成後のSOFCにおいて固体電解質層とカソード層とが接触する部分(界面)で固相反応を生じ得る。かかる固相反応は、固体電解質層および/またはカソード層間の酸化物イオン伝導性が低下する原因となり得るために好ましくない。そのため、上記材料を用いてSOFCを製造する場合には、固体電解質層とカソード層との間に両者の反応を防止する反応抑止層を設けることができる。また、ここに開示されるグリーンシート110Gについても、固体電解質層用グリーンシート20Gの表面に、反応抑止層を形成するための反応抑止層用グリーンシート30Gを形成することができる。
かかる反応抑止層用グリーンシート30Gは、例えば、セリウム酸化物とバインダと必要に応じて含まれる添加剤(例えば分散剤)とを溶媒に分散させて調整してなるスラリー状の組成物(反応抑止層形成用スラリー)を、固体電解質層用グリーンシート20Gの表面に任意の手法で供給した後、溶媒を除去することで形成することができる。
セリウム酸化物としては、例えば固体電解質層の形成材料として例示したセリウム酸化物を用いることができる。好適例として、ガドリニア(Gd)をドープした酸化セリウム(CeO)が挙げられる。上記置換的な構成元素の量(異元素のドープ量)は、特に限定されないが、例えば当該置換元素の酸化物換算で1mol%〜20mol%(例えば5mol%〜15mol%)とすることができる。
バインダや溶媒としては特に限定されず、例えば固体電解質層用グリーンシート20Gの形成用として例示したものの中から適宜採用し得る。好適な一態様では、上記固体電解質層用グリーンシート20Gの形成に用いた第2のバインダや溶媒を使用することである。例えば、バインダにセルロースおよびその誘導体(典型的にはエチルセルロース)を、溶媒にα−テルピネオールを、それぞれ好ましく採用し得る。或いは、バインダにポリビニルブチラールを、溶媒にブチルセロソルブアセテート、ブチルカルビトールアセテート、ブチルジグリコールアセテート、イソボルニルアセテート等のエステル系溶剤を用いることができる。かかる構成によれば、固体電解質層用グリーンシート20Gと反応抑止層用グリーンシート30Gとの間の親和性(相溶性)を高めることができ、かかる界面において自己組織化を生じさせることができる。したがって、界面剥離等の不都合を一層抑制することができ、高い発電性能を長期に亘って発揮し得る、高性能なSOFCを製造することが可能とされる。なお、反応抑止層用グリーンシート30Gの添加剤としては、カルボン酸系(例えばモノカルボン酸、ジカルボン酸等)の界面活性剤を好ましく用いることができる。
反応抑止層形成用スラリーの固形分濃度(NV)は特に限定されないが、典型的には60質量%〜80質量%(例えば65質量%〜75質量%)程度とすることができ、概ね固体電解質層形成用スラリーと同等とすることが好ましい。換言すれば、反応抑止層形成用スラリー全体に占める溶媒の割合は、例えば約20質量%〜40質量%とすることができ、通常は約25質量%〜35質量%とすることが好ましい。
また、反応抑止層形成用スラリー全体に占める上記セリウム酸化物の割合は、約50質量%以上であり、通常は約60質量%〜70質量%であることが好ましい。反応抑止層形成用スラリー全体に占めるバインダの割合は、例えば約1質量%〜10質量%とすることができ、通常は約1質量%〜5質量%とすることが好ましい。なお、反応抑止層形成用スラリーの調製方法は、固体電解質層形成用スラリーと同様であり得る。
反応抑止層形成用スラリーの供給方法は特に限定されないが、固体電解質層用グリーンシート20Gを形成する場合と同様とすることができ、例えば印刷法(例えばスクリーン印刷法)を採用することができる。そして、供給された反応抑止層形成用スラリーの溶媒を除去することで、反応抑止層用グリーンシート30Gを形成することができる。
反応抑止層用グリーンシート30Gの厚みは特に限定されないが、厚すぎる場合は焼成後に得られる固体電解質層の酸化物イオン伝導性を妨げ、発電性能が低下する虞がある。また、あまりに薄い場合は焼成ないしは焼成後に固体電解質層とカソード層とが接触し反応を生じ得る等、反応抑止層としての役割を果たさない虞がある。かかる観点から、反応抑止層用グリーンシート30Gの平均厚みは、0.5μm〜10μmであることが適当であり、通常1μm〜5μm程度であることが好ましい。
上述のようにして、図2(b)に示すような、アノード支持層用グリーンシート10Gと固体電解質層用グリーンシート20Gと反応抑止層用グリーンシート30Gとが順に積層されたグリーンシート120Gを製造することができる。
[固体酸化物形燃料電池(SOFC)]
図3は、ここに開示される円筒型のアノード支持型SOFC50を備えた発電システムの一構成例を示す断面図である。本発明により、上記グリーンシート110G,120Gを焼成してなる積層体を備えた固体酸化物形燃料電池(SOFC)50が提供される。
かかるSOFC50は、例えば、以下の手順で好適に製造することができる。
[ハーフセル]
すなわち、まず、上記で作製したグリーンシート110Gを所定の温度で焼成(共焼成)して、アノード支持層10の表面に固体電解質層20が形成されたハーフセルを得る。あるいは、反応抑止層用グリーンシート30Gを備えたグリーンシート120Gを所定の温度で焼成(共焼成)して、アノード支持層10の表面に固体電解質層20および反応抑止層30が順に形成されたハーフセルを得る。このときの焼成時の温度は、例えば約1200℃〜1500℃とすることができる。また、焼成時間は、例えば約1時間〜5時間とすることができる。
アノード支持層10は、ガス拡散性に優れた多孔質構造を有しており、気孔率は通常約10体積%〜50体積%であり、20体積%〜40体積%であることが好ましい。また、アノード支持層10の平均細孔径は、通常約10μm以下であり、0.1μm〜5μmであることが好ましい。かかる範囲を満たす場合、ガスとの接触面積を十分に確保し得、高い機械的強度と優れたガス拡散性とを好適に両立し得る。
固体電解質層20および反応抑止層30は、薄膜状で緻密構造を有しており、気孔率は通常約30体積%以下であり、20体積%以下であることが好ましい。かかる範囲を満たす場合、より出力密度の高いSOFCを実現し得る。
なお、本明細書において「平均細孔径」とは、一般的な水銀圧入法の測定によって得られる値をいう。また、本明細書において「気孔率」とは、上記水銀圧入法の測定によって得られる気孔容積(Vb(cm))を、見かけの体積(Va(cm))で除して、100を掛けることにより、算出した値(Vb/Va×100(%))をいう。
[カソード層]
そしてこれらのハーフセルの固体電解質層20側(または反応抑止層30側)の表面に、カソード層用グリーンシートを形成し、再度焼成することで、ハーフセルにカソード層40を形成することができる。これにより、SOFC50を製造することができる。
カソード層用グリーンシートは、カソード構成材料(例えばペロブスカイト型酸化物)とバインダと必要に応じて含まれる添加剤とを溶媒に分散させてなるスラリー状の組成物(カソード層形成用スラリー)を調整し、上記の固体電解質層あるいは反応抑止層用のグリーンシート20G,30Gと同様に、所定の厚みに供給して、溶媒を除去(乾燥)することで形成することができる。そして、このハーフセル・カソード層用グリーンシート積層体を所定の温度で焼成することによって、SOFC50を製造することができる。このときの焼成温度は、例えば700℃〜1200℃(好ましくは800℃〜1100℃)とすることができ、焼成時間は約1時間〜5時間とすることができる。
焼成後のカソード層40は、アノード支持層10と同様にガス拡散性に優れた多孔質構造を有し、気孔率は通常約10体積%〜30体積%であり、15体積%〜25体積%であることが好ましい。また、カソード層40の平均細孔径は、通常約10μm以下であり、0.1μm〜5μmであることが好ましい。かかる範囲を満たす場合、ガスとの接触面積を十分に確保し得、高い発電性能を実現し得る。カソード層40の平均厚みは、発電性能の観点から、通常約50μm以下(典型的には、約5μm〜20μm)であるが、かかる厚みに限定されるものではない。
カソード層40を構成する材料としては、従来からSOFCのカソード層の形成に用いられる物質の一種または二種以上を特に限定することなく用いることができる。なかでも、酸化雰囲気において優れた耐久性を発揮し得るものが好ましい。典型的として、ランタンコバルタイト(LaCoO)系、ランタンマンガネート(LaMnO)系、ランタンフェライト(LaFeO)系、ランタンニッケラート(LaNiO)系のペロブスカイト型酸化物;サマリウムコバルタイト(SmCoO)系ペロブスカイト型酸化物;等が挙げられる。
ここで、例えば上記ランタンコバルタイト系酸化物とは、LaおよびCoを構成金属元素とする酸化物の他、LaおよびCo以外に他の一種以上の金属元素(遷移金属元素および/または典型金属元素)を含む酸化物をも包含する意味である。また、ランタンマンガネート系酸化物、ランタンフェライト系酸化物、ランタンニッケラート系酸化物およびサマリウムコバルタイト系酸化物についても同様である。典型例として、SrをドープしたLaMnO系酸化物(例えば、La0.8Sr0.2MnO)、SrをドープしたLaCoO系酸化物(例えば、La0.6Sr0.4CoO)、SrおよびFeをドープしたLaCoO系酸化物(例えば、La0.6Sr0.4Co0.2Fe0.8)等が挙げられる。これらの酸化物は、いわゆる電子−酸化物イオン混合伝導体であり、他のペロブスカイト型酸化物に比べて高い反応活性を示す(高い触媒能を有する)ことから好適である。
カソード層用グリーンシートは、また、本発明の効果を著しく損なわない限りにおいて、バインダや各種添加剤等を必要に応じて含み得る。これらは、例えばアノード支持層用グリーンシート10Gの形成用として上述したもののうちの、一種または二種以上を適宜用いることができる。
以上のようにして製造されるSOFC50は、アノード支持層(燃料極)10と、固体電解質層20と、反応抑止層30と、カソード層(空気極)40と、が順に積層された構造を有している。また、アノード支持層10の端部12と、燃料ガスを供給するガス管70の接合面とが接続部材60によって接合され、気体が流出および/または流入しないように封止されている。一方、カソード層40は外気に露出した構造を有している。SOFC50の使用時には、アノード支持層10側の固体電解質表面に燃料ガス(典型的には水素(H))が、カソード層40側の固体電解質表面に酸素(O)含有ガス(典型的には空気)が、それぞれ供給される。このSOFC50に電流を印加すると、カソード層40において酸素が還元され、酸化物イオンとなる。そして、該酸化物イオンが(固体電解質層20を介して)アノード支持層10に到達し、燃料ガスを酸化して電子を放出することによって電気エネルギーの生成(すなわち発電)が行われる。
なお、図3に示すSOFCは円筒型(Tubular)であるが、他にも種々の構造、例えば従来公知の多角形型、平型(Planar)あるいは円筒の周側面を垂直に押し潰した扁平円筒型(Flat Tubular)等とすることができ、形状やサイズは特に限定されない。例えば平型は、電力密度が高く円筒型に比べて安価であるという特徴を有する。また、円筒型はガスの流量を一定に保ち易く、より安定的な発電が可能であるという特徴を有する。このため、用途等に応じて適宜好ましい形状およびサイズを選択することが好ましい。また、平型のSOFCとしては、ここで開示されるアノード支持型(ASC;Anode-Supported Cell)の他にも、例えばアノード支持層の下に多孔質な金属シートを入れた、メタルサポートセル(MSC;Metal-Supported Cell)とすることもできる。
以下、本発明に関するいくつかの実施例を説明するが、本発明をかかる具体例に示すものに限定することを意図したものではない。
[グリーンシートの作製]
(例1)
導電性材料として、平均粒子径0.5μmの酸化ニッケル(NiO)粉末と、平均粒子径0.5μmの8mol%イットリア安定化ジルコニア(8YSZ)粉末とを、NiO:8YSZ=60:40の質量比率で混ぜ合わせ、混合粉末とした。また、第1のバインダとして、下記の表1に示すガラス転移温度(Tg)が−96℃のアクリル高分子系バインダ1を用意した。表1には、この第1のバインダの主組成,イオン性,pH,不揮発成分量等の性状についても示した。そして、上記の混合粉末と、第1のバインダと、造孔材(炭素粒子)と、可塑剤(グリコールエーテル)とを、100:7:10:3の質量比で配合し、イオン交換水を加えて撹拌することにより、スラリー状組成物を調製した。次いで、このスラリー状組成物を用い、スプレードライ手法により造粒することで、造粒粒子の形態の原料混合物を用意した。
上記のように用意した原料混合物を一対のロールの間に連続的に供給し、圧縮成形すること(ロール成形法)により、厚みが約0.5mm程度のシート状のアノード支持層用グリーンシートを形成した。この時の圧延条件は、以下のとおりとした。なお、ここで得られたアノード支持層用グリーンシートは、一部を下記に示す各種の特性評価に供した。
ロール温度:30℃
ロール間ギャップ:500μm
ロール線圧:100kg/mm
成形速度:0.5m/min
次に、平均粒子径0.5μmの8YSZ粉末と、バインダ(エチルセルロース;EC)と、溶媒(α−テルピネオール;TE)とを、65:4:31の質量比率で混練することにより、スラリー状の固体電解質層形成用組成物を調製した。これを上記アノード支持層用グリーンシートの上にスクリーン印刷法によって供給(印刷)し、厚み5μmの固体電解質層用グリーンシートを形成した。
同様に、平均粒子径0.5μmの10%ガドリニウムドープセリア(GDC)粉末と、バインダ(EC)と、溶媒(α−TE)とを、65:4:31の質量比率で混練することにより、スラリー状の反応抑止層形成用組成物を調製した。これを上記固体電解質層用グリーンシートの上にスクリーン印刷法によって供給(印刷)し、厚み5μmの反応抑止層用グリーンシートを形成した。
これにより、アノード支持層用グリーンシート−固体電解質層用グリーンシート−反応抑止層用グリーンシートが一体的に積層形成されている、例1のSOFC用グリーンシートを得た。
(例2)
上記の第1のバインダとして、Tgが−44℃のアクリル高分子系バインダ2を用い、その他は例1と同様にして、例2のSOFC用グリーンシートを得た。なお、例2で用いたアクリル高分子系バインダ2のその他の性状については表1に示した。
(例3)
上記の第1のバインダとして、Tgが−30℃のアクリル高分子系バインダ3を用い、その他は例1と同様にして、例3のSOFC用グリーンシートを得た。例3で用いたアクリル高分子系バインダ3のその他の性状については表1に示した。
(例4)
上記の第1のバインダとして、Tgが−3℃のアクリル高分子系バインダ4を用い、その他は例1と同様にして、例4のSOFC用グリーンシートを得た。例4で用いたアクリル高分子系バインダ4のその他の性状については表1に示した。
(例5)
アノード支持層用グリーンシートの形成時に、バインダとして、Tgが61℃のポリエーテル系バインダを用い、その他は例1と同様にして、例5のSOFC用グリーンシートを得た。例5で用いたポリエーテル系バインダ5のその他の性状については表1に示した。
(例6)
上記のロール成形法に代えて、ドクターブレード法によりアノード支持層用グリーンシートを形成した。すなわち、第1のバインダとして、例3と同じTgが−30℃のアクリル高分子系バインダ3を用いた。そして、上記例1と同様にして、混合粉末と、第1のバインダ(バインダ3)と、造孔材と、可塑剤とを配合し、溶媒(α−TE)に分散させることで、スラリー状のアノード形成用組成物を調整した。そしてまず、スラリー状のアノード形成用組成物をキャリアシート上に供給し、100μm程度の厚みのサブシートを作製する。そしてこのサブシートを所定寸法に5枚切り出し、デンプンを含む接着材を介して積層することで、総厚みが約0.5mm程度のシート状のアノード支持層用グリーンシートとした。
そしてその他は例1と同様にして、例6のSOFC用グリーンシートを得た。
[SOFCの作製]
上記例1〜6で得たSOFC用グリーンシートを、焼成後の寸法が直径20mmの円形となるように切り出し、1350℃で共焼成することで、SOFCのハーフセルを得た。
また、カソード材料として、平均粒子径2μmのLSCF粉末(La0.6Sr0.4Co0.2Fe0.8の粉末)を用意した。LSCF粉末と、バインダ(EC)と、溶媒(TE)とを、80:3:17の質量比で混練することにより、スラリー状の空気極形成用組成物を得た。これを上記で用意した各例のハーフセルグリーンシートの反応抑止層用グリーンシートの上にスクリーン印刷法によって円形に供給することで、空気極層用グリーンシートを形成した。次いで、これを1100℃で焼成して空気極を形成し、例1〜6の評価用のSOFCを得た。
[有機物含有率]
上記例1〜6におけるアノード支持層用グリーンシートについて、示差熱・熱重量分析を行うことにより、シートに含まれる有機成分の含有率を測定した。具体的には、示差熱−熱重量同時測定装置(株式会社リガク製,Thermo plus)を用い、大気雰囲気において所定の昇温速度(ここでは10℃/min)で500℃まで昇温したときの減量プロファイルを基に、アノード支持層用グリーンシート中の有機物含量を測定した。そして、得られた有機物含量を測定前の重量で除すことで有機物含有率(質量%)を算出した。結果を表1の「有機物含有率」の欄に示した。
[表面粗さ]
上記例1〜6におけるアノード支持層用グリーンシートについて、JIS B 0601:2001に準拠して表面粗さを測定した。具体的には、表面粗さ測定器(株式会社東京精密、surfcom120A)を用い、測定長を5mmとして、各例のアノード支持層用グリーンシートの表面の算術平均粗さ(Ra)を測定した。測定は10回行い、その平均値を、表1の「Ra」の欄に示した。
[引張強度]
上記例1〜6におけるアノード支持層用グリーンシートについて、JIS K7161:1994(プラスチック−引張特性の試験方法)に準じて引張強度を測定した。試験片は、各例のグリーンシートから所定の試験片打ち抜き刃を用いて打ち抜くことで、用意した。測定には、引張強度試験機(島津製作所製、卓上試験機:EZ−TEST)を用い、試験片の両端をつかみ治具で保持しつつ、つかみ治具を引張速度で100mm/分で引張り方向に移動させた。そして試験片が破断したときの引張破壊応力を測定し、試験片の断面積で除すことで引張強度を求めた。試験は10回行い、その平均値を、表1の「引張強度」の欄に示した。
[グリーンシート性状観察]
上記例1〜6で得たSOFC用グリーンシートの性状を観察し、クラックや破れ等の欠陥がないか確認した。観察手法としては目視および走査型電子顕微鏡(Scanning Electron Microscope:SEM)観察とを併用した。すなわち、ハーフセル用グリーンシートの断面を切り出し、複数(10面)の断面を目視およびSEMにて観察し、各層間にクラックや破れ、部分剥離等の有無を調べた。その結果を、表1の「積層時欠陥」の欄に示す。
[高温保持後重量変化]
上記例1〜6で得たSOFC用グリーンシートの保存特性を調べた。具体的には、各例のグリーンシートを85℃の恒温槽に15日間保管し、保管前後でのグリーンシートの重量変化を調べた。その結果を、初期重量に対する重量減少量の割合(%)として、表1の「高温保持後重量変化」の欄に示した。
[焼成後性状観察]
上記例1〜6で得たハーフセルの積層状態を、上記と同様にして目視とSEMとで観察し、ハーフセルに反りや界面剥離等の欠陥がないか観察した。その結果を、表1の「焼成後界面剥離」の欄に、欠陥があった場合を「有」、無かった場合を「無」として示した。
また、反応抑止層および固体電解質層に貫通孔等が形成されてリークが生じないかどうかを、アルコールを使用した漏れ試験を行うことで確認した。具体的には、各例のハーフセルの固体電解質層の表面にアルコールを滴下し、ハーフセルの裏側、すなわちアノードへのアルコールの漏れの有無を確認する。そして、5分間以内に漏れが確認できた場合に、固体電解質層にリークがあると判断した。その結果を、表1の「焼成後リーク」の欄に、リークがあった場合を「有」、無かった場合を「無」として示した。
[発電性能]
例1〜6のSOFCを下記の条件で運転させた際の電力密度を測定した。その結果、最大出力密度(W/cm)を発電性能として、表1の「発電性能」の欄に示した。
燃料極供給ガス:水素ガス(50ml/min)
空気極供給ガス:空気(100ml/min)
運転温度:700℃
Figure 2016149314
表1に示すように、ドクターブレード法によってアノード支持層用グリーンシートを形成した例6では、接着剤を用いての積層が必要であることから、有機物含有率が大幅に高くなってしまい、また、アノード支持層内での接合界面に気泡が形成されたり、一部シートの破れが生じたりし易いことがわかった。そして、焼成後のハーフセルにおいては、界面剥離やリークが見られた。これは、グリーンシートに含まれる有機物や接合界面の気泡等が焼成で燃えぬける際に、組織が不均質で脆弱な部位や界面剥離部等を燃焼ガスが優先的に伝い、固体電解質層を局所的に突き抜けて貫通孔を形成したことによるものであると考えられる。また、界面剥離は、スラリー状に調製された原料が乾燥されるまでに約100μmの厚みの中でマイグレーションを起こし、厚み方向で組成ムラが発生しやすいことにもよると考えられる。固体電解質層が薄層化されると、これまでに問題とならなかったドクターブレード法によるアノード支持層の組織ムラや、固体電解質層の厚みムラ等が、貫通孔という重大な欠陥を形成する要因となったと考えられる。その結果、SOFCの発電性能は0.28W/cmと、極めて低い値となった。
一方、ロール成形法によって形成された例1〜5のグリーンシートは、原料混合物はマイグレーション等を起こさず、一度の成形でアノード支持層を形成できるため、アノード支持層が全体として均質な(等方的な)構造となり、これを焼成して得られるセルについて、気泡や界面剥離、リークの問題は生じ難いことが確認された。また、得られたSOFCはいずれも発電性能が0.38W/cmと、比較的良好な値であった。
しかしながら、第1バインダとしてエーテル系高分子化合物を用いた例5のグリーンシートについては、85℃の高温で15日間保管した場合の重量変化が極めて大きかった。そしてこの高温保管後のグリーンシートを焼成したところ、焼成後に大きなリークが生じた。これは、成形時および高温保管により例5のグリーンシートの組織が不均一となってしまい、さらに焼成時に不均質部分がより顕在化されて、界面剥離等が生じたものと推測される。
これに対し、第1バインダとしてアクリル系高分子化合物を用いた例1〜4のグリーンシートは、高温保存後も重量変化がほぼ見られず、品質が安定していることが確認できた。すなわち、グリーンシートを製造後、実際にセルを作製するまでに、たとえ85℃の高温の環境であっても2週間以上は安定した品質で保管できることが示された。また、例1〜4においては、例5の場合と比較して、クラックの発生等をきたすことなく高品質なグリーンシートをロール成形法により連続的に安定して製造できることが確認できた。
なお、例1〜4の比較から解るように、第1バインダとして使用したアクリル系高分子化合物のTgにより、得られるアノード支持層用グリーンシートの性状に変化が見られることが解った。すなわち、同じロール成形条件で製造した場合であっても、Tgが大きいバインダを用いるほど、得られるアノード支持層用グリーンシートの表面粗さが小さく、引張強度が高くなることが解った。なかでも、例2〜3に係るSOFCは特に高い発電性能を実現できることが確認された。具体的なデータは示していないが、Tgが大きいバインダを用いた場合は、グリーンシートの密度がやや低くなってしまっていたが、反対にロール成形性がより一層良好となり、結果としてグリーンシートの平滑性や強度(すなわち原料混合物の結合性)が向上されたものと考えられる。そして、これに伴い、SOFCの発電性能も良好となることが確認された。
以上の結果から、ここに開示されるSOFC用グリーンシートの製造方法によると、従来よりも薄い固体電解質層をスクリーン印刷によって形成する場合でも、焼成時にこの固体電解質層に貫通孔(リーク)やクラックなどの欠陥が形成されない、高品質なグリーンシートを形成することができる。また、このSOFC用グリーンシートは保存性に優れているため、グリーンシートの製造から焼成までに時間や温度環境に負荷がかかっても、上記の薄い固体電解質層に欠陥を誘起することなく、高品質なSOFCを製造することが可能とされる。また、SOFC用グリーンシートは成形性良く製造されるため、品質のバラつきが抑制されている。したがって、かかるSOFC用グリーンシートを用いて製造されるSOFCは、性能のバラつきが抑制されたものとなり得る。
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、請求の範囲を限定するものではない。請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。例えば、上記に例示した実施形態における導電性材料、酸化物イオン伝導体、カソード構成材料等は一例に過ぎず、上記以外の材料を使用できることは言うまでもない。
1 貯留タンク
1a 原料混合物
1b フィーダー
2 ロール
5 ロール成形機
10 アノード支持層
10G アノード支持層用グリーンシート
20 固体電解質層
20G 固体電解質層用グリーンシート
30 反応抑止層
30G 反応抑止層用グリーンシート
40 カソード層
50 SOFC
60 接合部材
70 ガス管
110G グリーンシート
120G グリーンシート

Claims (13)

  1. 固体酸化物形燃料電池の形成に用いられるグリーンシートの製造方法であって:
    少なくとも導電性材料と第1のバインダとを含む原料混合物を用意すること、ここで前記第1のバインダはアクリル系高分子化合物である;
    前記原料混合物をロール成形することにより、アノード支持層用グリーンシートを形成すること;
    前記アノード支持層用グリーンシートの表面に、少なくとも酸化物イオン伝導体と第2のバインダとを含む固体電解質層用グリーンシートを形成すること;
    を包含する、製造方法。
  2. 前記アクリル系高分子化合物は、ガラス転移温度が−100℃以上10℃以下である、請求項1に記載の製造方法。
  3. 前記固体電解質層用グリーンシートの形成は、印刷成形法またはドクターブレード法によって行う、請求項1または2に記載の製造方法。
  4. 前記アノード支持層用グリーンシートは、有機物含有率が10質量%以下となるよう形成する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の製造方法。
  5. 前記アノード支持層用グリーンシートは、平均厚みが100μm以上1500μm以下の単層構造となるよう形成する、請求項1〜4のいずれか1項に記載の製造方法。
  6. 前記第2のバインダは、ポリビニルブチラールおよびエチルセルロースの少なくとも1つを含む、請求項1〜5のいずれか1項に記載の製造方法。
  7. 前記ロール成形は、一対の圧延ロールの間に前記原料混合物を供給して圧縮成形を施すことにより行い、以下の条件;
    (1)前記一対のロールの温度を、前記第1のバインダの軟化温度よりも高くなるよう調整すること;
    (2)前記一対のロールの間隔が、100μm以上1500μm以下となるよう調整すること;
    (3)ロール線圧を0.1kN/cm以上30kN/cm以下に設定すること;および
    (4)成形速度を0.1m/min以上20m/min以下に設定すること;
    を、いずれも具備する、請求項1〜6のいずれか1項に記載の製造方法。
  8. 前記固体電解質層用グリーンシートの表面に、少なくともセリウム酸化物を含む反応抑止層用グリーンシートを形成すること、をさらに包含する、請求項1〜7のいずれか1項に記載の製造方法。
  9. 固体酸化物形燃料電池の形成に用いられるグリーンシートであって、
    少なくともアノード支持層用グリーンシートと、前記アノード支持層用グリーンシートに積層された固体電解質層用グリーンシートとを含み、
    前記アノード支持層用グリーンシートは、少なくとも導電性材料と第1のバインダとを含み、平均厚みが100μm以上1500μm以下の単層構造であって、
    前記第1のバインダはアクリル系高分子化合物であり、
    前記固体電解質層用グリーンシートは、少なくとも酸化物イオン伝導体と第2のバインダとを含む、固体酸化物形燃料電池形成用のグリーンシート。
  10. 前記アノード支持層用グリーンシートの有機物含有率は10質量%以下である、請求項9に記載のグリーンシート。
  11. 前記第2のバインダは、ポリビニルブチラールおよびエチルセルロースの少なくとも1つを含む、請求項9または10に記載のグリーンシート。
  12. 前記固体電解質層用グリーンシートの表面に少なくともセリウム酸化物を含む反応抑止層用グリーンシートを備える、請求項9〜11のいずれか1項に記載のグリーンシート。
  13. 請求項9〜12のいずれか1項に記載のグリーンシートが焼成されてなる積層体を備える、固体酸化物形燃料電池。
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