JP2016147242A - 加飾部品の製造方法、加飾部品 - Google Patents

加飾部品の製造方法、加飾部品 Download PDF

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聡伸 嶋田
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征弘 後藤
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Abstract

【課題】艶の程度が部分的に異なる加飾面を低コストで形成できるとともに、意匠性を十分に確保することができる加飾部品の製造方法を提供すること。【解決手段】加飾部品1は、レーザ照射工程と光輝剤含有塗膜形成工程とを経て製造される。レーザ照射工程では、第1加飾面11及び第2加飾面12のうち少なくとも第1加飾面11に対してレーザ照射による艶低減加工を施すことにより、第1加飾面11の艶の程度を第2加飾面12の艶の程度よりも低くする。レーザ照射工程後の光輝剤含有塗膜形成工程では、第1加飾面11及び第2加飾面12を覆う光輝剤含有塗膜30を形成する。なお、光輝剤含有塗膜30は、鱗片状をなす光輝剤を含有した塗料からなる。【選択図】図2

Description

本発明は、立体形状をなすワークの表面に第1加飾面と第2加飾面とを形成する加飾部品の製造方法、加飾部品に関するものである。
自動車の内装部品などでは、デザイン性や品質を高めるために、ワークの表面に装飾を加えるようにした車両用加飾部品(例えば、ドアトリム、アームレスト、センタークラスター、コンソールボックス、インストルメントパネルなど)が実用化されている。また、この種の内装部品では、質感を高めるために、ワークの表面に光沢を付与したものも実用化されている。
ところで、車両用加飾部品のバリエーションを増やすために、表面の艶を部分的に落として輝度を調整することが従来から行われている。なお、表面の艶を落とす手法としては、例えば、艶消し材を含んだ塗料を用いて塗装を行う方法が考えられている。また、表面の艶を落とす別の手法として、素地色を有するベース材料や素地色とは明度の異なる着色材を配合した樹脂材料を用いて、表面の艶が部分的に異なるワークを射出成形した後、ワークの表面にカラークリア層を形成する技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
WO2003/024690号公報(図1等)
ところが、艶消し材を含んだ塗料を用いて塗装を行う場合、艶を部分的に落とすために、表面の一部をマスキングした状態で艶の程度が異なる塗膜を複数回に分けて形成する必要がある。この場合、製造工程が大幅に増加することに加え、マスク等の材料費が必要となるため、製造コストが嵩んでしまうという問題がある。また、特許文献1に記載の従来技術では、艶の状態がワークの成形状態に依存することから、安定した艶を得ることが困難であるため、車両用加飾部品の意匠性を高めることができないという問題がある。
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、艶の程度が部分的に異なる加飾面を低コストで形成できるとともに、意匠性を十分に確保することができる加飾部品の製造方法及び加飾部品を提供することにある。
上記課題を解決するために、手段1に記載の発明は、立体形状をなすワークの表面に第1加飾面と第2加飾面とを形成することにより、加飾部品を製造する方法であって、前記第1加飾面及び前記第2加飾面のうち少なくとも前記第1加飾面に対してレーザ照射による艶低減加工を施すことにより、前記第1加飾面の艶の程度を前記第2加飾面の艶の程度よりも低くするレーザ照射工程と、前記レーザ照射工程後に、鱗片状をなす光輝剤を含有した塗料からなり、前記第1加飾面及び前記第2加飾面を覆う光輝剤含有塗膜を形成する光輝剤含有塗膜形成工程とを含むことを特徴とする加飾部品の製造方法をその要旨とする。
手段1に記載の発明では、レーザ照射工程においてレーザ照射による艶低減加工を施すことにより、第1加飾面の艶の程度を第2加飾面の艶の程度よりもあらかじめ低くしている。このため、レーザ照射工程後の光輝剤含有塗膜形成工程において、第1加飾面及び第2加飾面を覆う光輝剤含有塗膜を1回形成するだけで、艶の程度が部分的に異なる加飾面を容易に形成することができる。即ち、マスキングを行って艶の程度が異なる塗膜を複数回に分けて形成する工程が不要になり、マスキングに用いられるマスク等の材料費が不要となるため、製造コストの上昇を抑えることができる。また、第1加飾面及び第2加飾面を光輝剤含有塗膜によって覆っているため、ワークの成形状態に関係なく、安定した艶を得ることができる。よって、加飾部品の意匠性を十分に確保することができる。
なお、艶低減加工では、第1加飾面に複数本の線状レーザ加工溝を、線幅が100μm以下となり、かつ線ピッチが50μm以上500μm以下となるように形成することが好ましい。仮に、線状レーザ加工溝の線幅が100μmよりも大きくなると、線状レーザ加工溝によって得られる凹凸の密度が小さくなり、光が乱反射しにくくなるため、第1加飾面の艶の程度を低くすることが困難になる。また、線状レーザ加工溝の線ピッチが500μmよりも大きい場合においても、線状レーザ加工溝によって得られる凹凸の密度が小さくなり、光が乱反射しにくくなるため、第1加飾面の艶の程度を低くすることが困難になる。一方、線状レーザ加工溝の線ピッチが50μm未満になると、線状レーザ加工溝の形成領域の面積が小さくなりすぎるため、線状レーザ加工溝を視認できない可能性がある。ここで、本明細書で述べられている「線幅」及び「線ピッチ」とは、マイクロスコープ(株式会社キーエンス製 VHF−200)を用いてワークを第1加飾面から観察することにより得られる測定値をいう。
また、レーザ照射工程において照射されるレーザの種類は特に限定されないが、例えば、気体レーザや固体レーザなどを用いることができる。ここで、気体レーザとしては、COレーザ、He−Neレーザ、Arレーザ、エキシマレーザなどが挙げられる。一方、固体レーザとしては、YAGレーザ、YVOレーザ、ルビーレーザ、ガラスレーザなどが挙げられる。
さらに、光輝剤含有塗膜形成工程において形成される光輝剤含有塗膜は、光輝剤を含有する塗料からなる。ここで、光輝剤としては、鉱物、金属、ガラスなどの無機材料、即ち、反射率が高い材料からなることが好ましく、具体的には、メタルフレーク、チタナイズドマイカ顔料、ガラスビーズなどが挙げられる。また、光輝剤を含有する塗料としては、メタリック塗料(即ち、メタルフレークが熱硬化アクリル塗料などの半透明エナメルに含まれる塗料)、パール塗料(即ち、チタナイズドマイカ顔料やガラスビーズが半透明エナメルに含まれる塗料)などが挙げられる。
なお、光輝剤含有塗膜は、メタルフレークを光輝剤として含有した塗料からなり、光輝剤含有塗膜形成工程を行うことにより、第1加飾面を覆う光輝剤含有塗膜の表面がサテン調程度の艶となることが好ましい。このようにすれば、第2加飾面を覆う光輝剤含有塗膜の表面の意匠と、第1加飾面を覆う光輝剤含有塗膜の表面の意匠(サテン調程度の艶となる意匠)とを、1つの加飾部品内に成立させることができる。また、これらの意匠により、より立体感のある表現が可能となる。ここで、メタルフレークとしては、鉄、金、銀、銅、アルミニウム、ニッケル、スズ、ステンレス、チタン、亜鉛、白金、クロム、インジウム等からなるものが挙げられる。
また、光輝剤含有塗膜形成工程では、第1加飾面を覆う光輝剤含有塗膜と第2加飾面を覆う光輝剤含有塗膜とを同じ工程で形成してもよい。この場合、第1加飾面を覆う光輝剤含有塗膜と第2加飾面を覆う光輝剤含有塗膜とを同じ塗装機を用いて形成することができるため、加飾部品の製造コストを低く抑えることができる。また、第1加飾面を覆う光輝剤含有塗膜と第2加飾面を覆う光輝剤含有塗膜とを別々に形成する場合と比較して、製造工程の短縮が可能となる。
なお、レーザ照射工程前に、熱硬化性を有する塗料からなり、ワークの表面を覆う熱硬化型塗膜を形成する熱硬化型塗膜形成工程を行い、レーザ照射工程では、熱硬化型塗膜にレーザを照射することにより、熱硬化型塗膜の表面において第1加飾面となる領域の艶の程度を、熱硬化型塗膜の表面において第2加飾面となる領域の艶の程度よりも低く設定し、光輝剤含有塗膜形成工程では、熱硬化型塗膜の表面を覆う光輝剤含有塗膜を形成するようにしてもよい。このようにすれば、ワークの表面にヒケやウェルドラインなどの不良が生じていたとしても、熱硬化型塗膜によって不良部位を隠すことができるため、製造される加飾部品の意匠性低下を防止することができる。また、熱硬化型塗膜を形成することにより、ワークの表面が熱硬化型塗膜によって保護され、光輝剤含有塗膜を形成することにより、熱硬化型塗膜の表面や線状レーザ加工溝の表面が光輝剤含有塗膜によって保護されるため、加飾部品の耐傷付き性を高めることができる。
ここで、熱硬化型塗膜形成工程において形成される熱硬化型塗膜の種類は特に限定される訳ではなく、例えば、ソリッド塗料によって形成された塗膜、光輝剤を含有する塗料によって形成された塗膜、クリア塗料(顔料が配合されていない塗料)によって形成された無色透明な塗膜などを挙げることができる。
手段2に記載の発明は、立体形状をなすワークの表面に第1加飾面と第2加飾面とが形成された加飾部品であって、前記第1加飾面の艶の程度が前記第2加飾面の艶の程度よりも低くなるように設定され、前記第1加飾面及び前記第2加飾面のうち少なくとも前記第1加飾面に対してレーザ照射による艶低減加工が施され、前記第1加飾面及び前記第2加飾面が、鱗片状をなす光輝剤を含有した塗料からなる光輝剤含有塗膜によって覆われていることを特徴とする加飾部品をその要旨とする。
手段2に記載の発明によれば、レーザ照射による艶低減加工が施されることにより、第1加飾面の艶の程度が第2加飾面の艶の程度よりも低くなるように設定されている。このため、第1加飾面及び第2加飾面を光輝剤含有塗膜で覆うだけで、艶の程度が部分的に異なる加飾面が容易に形成される。即ち、マスキングを行って艶の程度が異なる塗膜を複数回に分けて形成する必要がなくなり、マスキングに用いられるマスク等の材料費が不要となるため、製造コストの上昇を抑えることができる。また、第1加飾面及び第2加飾面が光輝剤含有塗膜によって覆われているため、ワークの成形状態に関係なく、安定した艶を得ることができる。よって、加飾部品の意匠性を十分に確保することができる。
なお、第1加飾面と第2加飾面とがワークの表面上において連続して形成され、ワークの表面が複数の面によって構成され、第1加飾面と第2加飾面との境界部分が、複数の面の接続部分となるキャラクターライン上に位置していてもよい。このようにすれば、加飾部品のキャラクターラインとなる境界部分で艶の度合いが変化するため、より立体感のある表現が可能となる。
以上詳述したように、請求項1〜11に記載の発明によると、艶の程度が部分的に異なる加飾面を低コストで形成できるとともに、意匠性を十分に確保することができる。
第1実施形態における車両用加飾部品を示す斜視図。 図1のA−A線断面図。 第1加飾面を覆う光輝剤含有塗膜を厚さ方向に切断して得られる切断面を示す要部断面図。 光輝剤含有塗膜及び熱硬化型塗膜の一部を拡大して示す要部断面図。 第2加飾面を覆う光輝剤含有塗膜を厚さ方向に切断して得られる切断面を示す要部断面図。 表面加飾システムを示す概略構成図。 熱硬化型塗膜形成工程を示す説明図。 レーザ照射工程を示す説明図。 光輝剤含有塗膜形成工程を示す説明図。 第2実施形態における車両用加飾部品を示す斜視図。 図10のB−B線断面図。
[第1実施形態]
以下、本発明を具体化した第1実施形態を図面に基づき詳細に説明する。
図1,図2に示されるように、車両用加飾部品1は、黒色の熱可塑性樹脂(本実施形態ではABS樹脂)によって形成され、立体形状をなすワーク2を備えている。本実施形態の車両用加飾部品1は、自動車のドアに設けられたドアトリムである。また、ワーク2の表面3は、複数の面4によって構成されている。
そして、図2〜図5に示されるように、ワーク2の表面3は、熱硬化性を有する黒色の塗料(本実施形態では、黒色の2液型アクリルウレタン樹脂塗料)からなる熱硬化型塗膜10によって覆われている。さらに、熱硬化型塗膜10の表面10a上の一部には、ヘアライン加工が施されたアルミパネルを示す柄による装飾が施されている。
詳述すると、熱硬化型塗膜10の表面10aには、車内に設置した状態で側方に向けて配置される2つの第1加飾面11と、両第1加飾面11の間において斜め上方に向けて配置される1つの第2加飾面12とが設けられている。なお、第1加飾面11及び第2加飾面12は、ワーク2の表面3上において連続して形成されている。また、第1加飾面11と第2加飾面12との境界部分13は、複数の面4の接続部分となるキャラクターライン14上に位置している。
図1〜図5に示されるように、本実施形態では、第1加飾面11及び第2加飾面12のうち、第1加飾面11のみに対してレーザ照射による艶低減加工が施されている。これにより、熱硬化型塗膜10の表面10aにおいて第1加飾面11となる領域の艶の程度が、表面10aにおいて第2加飾面12となる領域の艶の程度よりも低く設定される。具体的に言うと、第1加飾面11には、複数本の線状レーザ加工溝21がそれぞれ平行に形成されている。各線状レーザ加工溝21は、車内に設置した状態において、横方向に沿って同一方向にかつ直線的に延びている。なお、第2加飾面12は、線状レーザ加工溝21が形成されていないレーザ未照射領域となっている。
また、熱硬化型塗膜10の表面10a上における線状レーザ加工溝21の線幅W1(図3参照)は、30μm以上100μm以下(本実施形態では80μm)に設定されている。表面10aからの線状レーザ加工溝21の深さH2(図3参照)は、5μm以上35μm以下(本実施形態では10μm以上15μm以下)に設定されている。なお、熱硬化型塗膜10の厚さH1(図3,図5参照)は、10μm以上50μm以下(本実施形態では25μm)に設定されており、線状レーザ加工溝21の深さH2よりも大きくなっている。さらに、線状レーザ加工溝21の線ピッチP1は、50μm以上500μm以下(本実施形態では100μm)に設定されている。
そして、図2〜図5に示されるように、第1加飾面11及び第2加飾面12を含む熱硬化型塗膜10の表面10a全体は、光輝剤含有塗膜30によって覆われている。なお、光輝剤含有塗膜30の厚さH3は、5μm以上25μm以下(本実施形態では12μm)に設定されている。また、本実施形態の光輝剤含有塗膜30は、メタルフレークであるアルミフレークを光輝剤32として含有したメタリック塗料からなる塗膜であり、第1加飾面11を覆う光輝剤含有塗膜30の表面31は、サテン調程度の艶となっている。光輝剤32は、鱗片状をなし、平均粒子径が5μm以上30μm以下(本実施形態では10μm)に設定されている。
そして、図4に示されるように、第1加飾面11を覆う光輝剤含有塗膜30を厚さ方向に切断して得られる切断面においては、仮想線V1が光輝剤32ごとに規定されている。なお、図4では、説明の便宜上、3つの光輝剤32に規定された仮想線V1のみを図示しているが、実際には、全ての光輝剤32に対して仮想線V1が規定されている。仮想線V1は、光輝剤32の厚さ方向に延びて光輝剤32の中心を通過し、仮想面V2と交差している。仮想面V2は、第1加飾面11においてワーク2の厚さ方向に延びる垂線V3に対して直交する面である。なお、仮想面V2を基準とした仮想線V1の傾斜角度θの平均値は80°未満(本実施形態では78.2°)である。また、光輝剤含有塗膜30は、傾斜角度θが80°未満となる光輝剤32を30%以上(本実施形態では37.9%)含んでいる。よって、第1加飾面11を覆う光輝剤含有塗膜30においては、光輝剤32がランダムに配置されている。一方、図5に示されるように、第2加飾面12を覆う光輝剤含有塗膜30においては、光輝剤32が第2加飾面12の表面や線状レーザ加工溝21の表面22と平行に配置されている。
次に、車両用加飾部品1を製造するための表面加飾システム40について説明する。
図6に示されるように、表面加飾システム40は、レーザ照射装置41及びワーク変位ロボット42を備えている。レーザ照射装置41は、レーザL1(本実施形態では、波長1064nmのYAGレーザ)を発生させるレーザ発生部51と、レーザL1を偏向させるレーザ偏向部52と、レーザ発生部51及びレーザ偏向部52を制御するレーザ制御部53とを備えている。レーザ偏向部52は、レンズ54と反射ミラー55とを複合させてなる光学系であり、これらレンズ54及び反射ミラー55の位置を変更することにより、レーザL1の照射位置や焦点位置を調整するようになっている。レーザ制御部53は、レーザL1の照射時間変調、照射強度変調、照射面積変調などの制御を行う。
また、ワーク変位ロボット42は、ロボットアーム56と、ロボットアーム56の先端に設けられたワーク支持部57とを備えている。ワーク支持部57は、ワーク2を支持するようになっている。そして、ワーク変位ロボット42は、ロボットアーム56を駆動してワーク2の位置及び角度を変更することにより、ワーク2の表面3に対するレーザL1の照射位置や照射角度を変更するようになっている。
次に、表面加飾システム40の電気的構成について説明する。
図6に示されるように、表面加飾システム40は、システム全体を統括的に制御する制御装置43を備えている。制御装置43は、CPU60、メモリ61及び入出力ポート62等からなる周知のコンピュータにより構成されている。CPU60は、レーザ照射装置41及びワーク変位ロボット42に電気的に接続されており、各種の駆動信号によってそれらを制御する。
なお、メモリ61には、レーザ照射を行うためのレーザ照射データが記憶されている。レーザ照射データは、CADデータを変換することによって得られるデータである。CADデータは、線状レーザ加工溝21が形成された熱硬化型塗膜10を示す画像データを変換することによって得られるデータである。なお、画像データは、複数の描画ドットを散点的(本実施形態では格子状)に配置することにより構成される。また、メモリ61には、レーザ照射に用いられるレーザ照射パラメータ(レーザL1の照射位置、焦点位置、照射角度、照射面積、照射時間、照射強度、照射周期、照射ピッチなど)を示すデータが記憶されている。
次に、車両用加飾部品1の製造方法を説明する。
まず、黒色の熱可塑性樹脂(本実施形態ではABS樹脂)を用いて所定の立体形状に成形したワーク2を準備する。具体的に言うと、ワーク形成工程を行い、線状レーザ加工溝21を成形するための成形用シボ(ここでは、微細な凹凸)を有しない金型(図示略)を用いて、ワーク2を形成する。そして、ワーク2は、作業者によってワーク変位ロボット42のワーク支持部57(図6参照)にセットされる。
次に、熱硬化型塗膜形成工程を行い、ワーク2の表面3を覆う熱硬化型塗膜10を形成する(図7参照)。詳述すると、CPU60は、熱硬化型塗膜形成用の駆動信号である熱硬化型塗膜形成信号を生成し、生成した熱硬化型塗膜形成信号を塗装装置(図示略)に出力する。そして、塗装装置は、CPU60から出力された熱硬化型塗膜形成信号に基づいて、塗装機71による塗装を開始させる。具体的に言うと、ワーク2の表面3上に、塗装機71を用いて2液型アクリルウレタン樹脂塗料を塗装することにより熱硬化型塗膜10を形成する。
次に、CPU60は、メモリ61に記憶されているレーザ照射データを読み出し、読み出したレーザ照射データに基づいてロボット駆動信号(駆動信号)を生成し、生成したロボット駆動信号をワーク変位ロボット42に出力する。ワーク変位ロボット42は、CPU60から出力されたロボット駆動信号に基づいてロボットアーム56を駆動し、ワーク支持部57に支持されたワーク2を、熱硬化型塗膜10の表面10a上に設けられた第1加飾面11に対してレーザL1を照射可能な位置に移動させる。それとともに、ワーク支持部57に支持されたワーク2の角度を調節し、第1加飾面11に対するレーザL1の照射角度を調節する。
そして、レーザ照射工程を行う。CPU60は、メモリ61に記憶されているレーザ照射データに基づき、熱硬化型塗膜10の表面10a上に設定された第1加飾面11及び第2加飾面12のうち、第1加飾面11のみに対してレーザ照射による艶低減加工を施す。具体的に言うと、レーザ照射工程では、第1加飾面11にレーザL1を照射することにより、表面10aにおいて第1加飾面11となる領域の艶の程度を、表面10aにおいて第2加飾面12となる領域の艶の程度よりも低く設定する。詳述すると、まず、CPU60は、メモリ61に記憶されているレーザ照射データを読み出し、読み出したレーザ照射データに基づいて線状レーザ加工溝形成用の駆動信号である線状レーザ加工溝形成信号を生成し、生成した線状レーザ加工溝形成信号をレーザ照射装置41に出力する。レーザ照射装置41は、CPU60から出力された線状レーザ加工溝形成信号に基づいて、第1加飾面11を構成する特定の照射領域にレーザL1を照射する(図8参照)。なお、レーザ制御部53は、レーザ発生部51からレーザL1を照射させ、線状レーザ加工溝21のパターンに応じてレーザ偏向部52を制御する。この制御により、レーザL1の照射位置が決定されるとともに、レーザL1の焦点位置が熱硬化型塗膜10の表層部分に決定される。この場合、レーザL1の熱が表層部分に集中して熱量が多くなるため、熱硬化型塗膜10の表層部分が昇華することにより、熱硬化型塗膜10の表面10a(第1加飾面11)に複数本の線状レーザ加工溝21が形成され、加飾が施される。
そして、レーザ照射工程後に光輝剤含有塗膜形成工程を行い、熱硬化型塗膜10の表面10aを覆う光輝剤含有塗膜30を形成する(図9参照)。また、本実施形態の光輝剤含有塗膜形成工程では、第1加飾面11を覆う光輝剤含有塗膜30と第2加飾面12を覆う光輝剤含有塗膜30とを同じ工程で形成する。
詳述すると、CPU60は、第1加飾面11を覆う光輝剤含有塗膜30の形成を指示する駆動信号である第1光輝剤含有塗膜形成信号を生成し、生成した第1光輝剤含有塗膜形成信号を塗装装置に出力する。そして、塗装装置は、CPU60から出力された第1光輝剤含有塗膜形成信号に基づいて、塗装機のスプレーガン72による塗装を開始させる。具体的に言うと、スプレーガン72と線状レーザ加工溝21の表面22との距離を200mm以上(本実施形態では200mm)に設定し、かつ、塗料(メタリック塗料)をスプレーガン72から噴出させる際のエアの圧力を0.2MPa以上(本実施形態では0.25MPa)に設定した状態で、スプレーガン72によるメタリック塗料の塗装を行う。この場合、スプレーガン72から噴出した塗料は、線状レーザ加工溝21の表面22に到達した時点で溶媒の大部分が蒸発する。従って、塗料に含まれる光輝剤32は、表面22に到達した時点での向きをそのまま保持するため、塗料内においてランダムに配置されるようになる。その結果、第1加飾面11を覆う光輝剤含有塗膜30の表面31が、サテン調程度(低光沢)の艶となる。
また、CPU60は、第2加飾面12を覆う光輝剤含有塗膜30の形成を指示する駆動信号である第2光輝剤含有塗膜形成信号を生成し、生成した第2光輝剤含有塗膜形成信号を塗装装置に出力する。そして、塗装装置は、CPU60から出力された第2光輝剤含有塗膜形成信号に基づいて、スプレーガン72による塗装を開始させる。具体的に言うと、スプレーガン72と第2加飾面12との距離を200mm以下(本実施形態では200mm)に設定し、かつ、メタリック塗料をスプレーガン72から噴出させる際のエアの圧力を0.2MPa未満(本実施形態では0.15MPa)に設定した状態で、スプレーガン72によるメタリック塗料の塗装を行う。この場合、スプレーガン72から噴出した塗料は、第2加飾面12に到達した後に溶媒の大部分が蒸発する。従って、塗料に含まれる鱗片状の光輝剤32は、塗料の乾燥に伴って塗布面に沿って並ぶため、塗料内において第2加飾面12と平行に配置されるようになる。その結果、第2加飾面12を覆う光輝剤含有塗膜30の表面31が、高光沢の艶となる。その後、スプレーガン72によるメタリック塗料の塗装を終了する。この時点で、車両用加飾部品1が完成する。
従って、本実施形態によれば以下の効果を得ることができる。
(1)本実施形態の車両用加飾部品1の製造方法では、レーザ照射工程においてレーザ照射による艶低減加工を施すことにより、第1加飾面11の艶の程度を第2加飾面12の艶の程度よりもあらかじめ低くしている。このため、レーザ照射工程後の光輝剤含有塗膜形成工程において、加飾面11,12を覆う光輝剤含有塗膜30を1回形成するだけで、艶の程度が部分的に異なる加飾面11,12を容易に形成することができる。即ち、マスキングを行って艶の程度が異なる塗膜を複数回に分けて形成する工程が不要になり、マスキングに用いられるマスク等の材料費が不要となるため、製造コストの上昇を抑えることができる。また、加飾面11,12を光輝剤含有塗膜30によって覆っているため、ワーク2の成形状態に関係なく、安定した艶を得ることができる。よって、車両用加飾部品1の意匠性を十分に確保することができる。
(2)図3,図4に示されるように、第1加飾面11を覆う光輝剤含有塗膜30においては、仮想面V2を基準とした仮想線V1の傾斜角度θの平均値が80°未満となるように、光輝剤32が配置される。この場合、光輝剤32ごとの傾斜角度θの値が比較的分散していることから、光輝剤含有塗膜30に含まれる光輝剤32の向きがランダムになるため、光輝剤32に当たった光A1は、様々な方向に反射されるようになる。その結果、反射した光A1は、弱くなるものの、確実に眼81に入るため、線状レーザ加工溝21からなる装飾を視認しやすくなり、意匠性を確実に高めることができる。特に、本実施形態のように、ヘアライン加工が施されたアルミパネルを示す柄による装飾が施されている場合には、線状レーザ加工溝21からなる線を1本ずつ視認できるため、効果的に意匠性を高めることができる。
また、図5に示されるように、第2加飾面12を覆う光輝剤含有塗膜30においては、光輝剤32が第2加飾面12と平行に配置されるため、光輝剤32に当たった光A2は、一方向に強く反射されるようになる。その結果、反射した強い光A2が眼81に入るため、高光沢の第2加飾面12を視認することができ、この場合も意匠性を高めることができる。
(3)本実施形態では、第1加飾面11と第2加飾面12とが熱硬化型塗膜10の表面10aにおいて連続して形成され、ワーク2の表面3が複数の面4によって構成され、第1加飾面11と第2加飾面12との境界部分13が、各面4の接続部分となるキャラクターライン14上に位置している。その結果、車両用加飾部品1のキャラクターライン14となる境界部分13で艶の度合いが変化するようになるため、より立体感のある表現が可能となる。
(4)本実施形態では、熱硬化型塗膜10にレーザL1を照射することによって線状レーザ加工溝21を形成しているため、金型を用いた射出成形によって線状レーザ加工溝を形成する場合に比べて、微細な線状レーザ加工溝21を確実に形成することができる。
(5)本実施形態の車両用加飾部品1を構成する熱硬化型塗膜10は、黒色の2液型アクリルウレタン樹脂塗料、即ち、熱を吸収しやすい濃い色の塗料からなっている。従って、熱硬化型塗膜10が薄い色の塗料からなる場合に比べて、レーザL1のエネルギーが熱硬化型塗膜10の表層部分で熱に吸収されやすくなるため、線状レーザ加工溝21を短時間で形成することができる。よって、車両用加飾部品1の製造効率が向上する。
[第2実施形態]
以下、本発明を具体化した第2実施形態を図面に基づき説明する。ここでは、上記第1実施形態と相違する部分を中心に説明する。本実施形態では、車両用加飾部品の構造が上記第1実施形態と異なっている。
詳述すると、図10,図11に示されるように、本実施形態の車両用加飾部品91は、立体形状をなすワーク92と、ワーク92の表面93を覆う熱硬化型塗膜100と、熱硬化型塗膜100の表面100a全体を覆う光輝剤含有塗膜120とを有している。さらに、熱硬化型塗膜100の表面100a上の一部には、ヘアライン加工が施されたアルミパネルを示す柄による装飾が施されている。本実施形態の車両用加飾部品91は、ナビゲーションシステムのモニタを装着するための開口94を有するセンタークラスターであり、車両外部からの入射光が運転席側に反射する部位、即ち、車両内において窓写りが生じる部位に装着される。
また、熱硬化型塗膜100の表面100aには、車内に設置した状態で上方に向けて配置される1つの第1加飾面101(上面となる加飾面)と、その第1加飾面101に対して略直角に屈曲して運転席側に対向するように配置される1つの第2加飾面102(正面となる加飾面)とが設けられている。第1加飾面101及び第2加飾面102は、熱硬化型塗膜100の表面100aにおいて連続して形成されている。
また、図11に示されるように、車両用加飾部品91を車内に設置した状態では、第1加飾面101の法線N1の仰角θ1が第2加飾面102の法線N2の仰角θ2よりも大きくなっている。ここで、「仰角θ1,θ2」とは、水平を基準とした上向きの角度をいう。従って、第1加飾面101(または第2加飾面102)が仮に水平面と平行になると、加飾面の法線N1(または法線N2)の仰角θ1(または仰角θ2)は90°となり、第1加飾面101(または第2加飾面102)が仮に垂直面と平行になると、第1加飾面101(または第2加飾面102)の法線N1(または法線N2)の仰角θ1(または仰角θ2)は0°となる。
図10,図11に示されるように、本実施形態では、上記第1実施形態と同様に、第1加飾面101及び第2加飾面102のうち、第1加飾面101のみに対してレーザ照射による艶低減加工が施されている。これにより、表面100aにおいて第1加飾面101となる領域の艶の程度が、表面100aにおいて第2加飾面102となる領域の艶の程度よりも低く設定される。具体的に言うと、第1加飾面101には、複数本の線状レーザ加工溝111がそれぞれ平行に形成されている。各線状レーザ加工溝111は、車内に設置した状態において、横方向に沿って同一方向にかつ直線的に延びている。なお、第2加飾面102は、線状レーザ加工溝111が形成されていないレーザ未照射領域となっている。
従って、本実施形態の車両用加飾部品91では、第1加飾面101に対してレーザ照射による艶低減加工が施されることにより、第1加飾面101のみに微細な凹凸が付与される。具体的には、第1加飾面101に複数本の線状レーザ加工溝111が形成される一方、第2加飾面102には線状レーザ加工溝111が形成されないようになっている。その結果、第1加飾面101では、線状レーザ加工溝111の凹凸によって光が乱反射しやすくなり、光沢度が低くなる一方、第2加飾面102では、線状レーザ加工溝111の凹凸がないため、光が乱反射しにくく、光沢度が高くなる。即ち、第2加飾面102よりも第1加飾面101の光沢が低下するため、第1加飾面101の艶の程度が第2加飾面102の艶の程度よりも低くなる。
また、本実施形態では、車両用加飾部品91を車両に設置した状態で、第1加飾面101の法線N1の仰角θ1が第2加飾面102の法線N2の仰角θ2よりも大きくなる(図11参照)。この場合、第1加飾面101が、光の反射が強くなったり、窓写りを生じさせたりする原因となるが、第1加飾面101の艶を第2加飾面102よりも低くすることにより、反射や窓写りの問題を回避することができる。
なお、本実施形態を以下のように変更してもよい。
・上記各実施形態では、レーザ照射によって凹状の線状レーザ加工溝21,111を形成することにより、艶低減加工を行っていたが、レーザ照射によって熱硬化型塗膜10,100の表面10a,100aを凸状に膨らませたレーザ加工部を形成することにより、艶低減加工を行ってもよい。さらに、上記各実施形態では、線状のレーザ加工部である線状レーザ加工溝21,111を形成していたが、これに限定される訳ではなく、例えばスポット状のレーザ加工部を形成してもよい。
・上記各実施形態では、複数本の線状レーザ加工溝21,111によってヘアライン模様を形成していたが、これに限定される訳ではない。例えば、円形、楕円形、三角形、四角形などの模様やそれらが組み合わされた模様を形成してもよい。
・上記各実施形態のレーザ照射工程では、第1加飾面11,101及び第2加飾面12,102のうち第1加飾面11,101のみに対してレーザ照射による艶低減加工を施すことにより、第1加飾面11,101の艶の程度を第2加飾面12,102の艶の程度よりも低くしていた。しかし、レーザ照射工程において、第1加飾面及び第2加飾面の両方に対してレーザ照射による艶低減加工を施すことにより、第1加飾面の艶の程度を第2加飾面の艶の程度よりも低くしてもよい。
この場合、第1加飾面及び第2加飾面の両方に、線状レーザ加工溝などが形成される。そして、第1加飾面に形成される線状レーザ加工溝の深さを、第2加飾面に形成される線状レーザ加工溝の深さよりも深く設定したり、第1加飾面に形成される線状レーザ加工溝の線幅を、第2加飾面に形成される線状レーザ加工溝の線幅よりも狭く設定したりすることにより、第1加飾面の艶の程度を第2加飾面の艶の程度より低くしてもよい。この場合、レーザの出力やレーザの走査速度を変更することにより、深さや線幅が異なる線状レーザ加工溝を形成することができる。また、第1加飾面に形成される線状レーザ加工溝の線ピッチを、第2加飾面に形成される線状レーザ加工溝の線ピッチよりも小さくすることにより、第1加飾面の艶の程度を第2加飾面の艶の程度より低くしてもよい。
・上記各実施形態では、ワーク2,92の表面3,93に2つの加飾面(第1加飾面11,101及び第2加飾面12,102)が形成されていた。しかし、加飾面は3つ以上形成されていてもよい。なお、ワークの表面に例えば3つの加飾面(第1加飾面、第2加飾面、第3加飾面)が形成されている場合、第1加飾面のみに艶低減加工を施すようにしてもよいし、第1加飾面と第2加飾面とに艶低減加工を施すようにしてもよいし、第1加飾面と第3加飾面とに艶低減加工を施すようにしてもよい。また、第1〜第3加飾面の全てに艶低減加工を施すようにしてもよい。なお、複数の加飾面に艶低減加工を施す場合、加飾面ごとに加工の程度(艶の程度)を変化させるようにしてもよい。
・上記各実施形態では、線状レーザ加工溝21,111が、熱硬化型塗膜10,100の表面10a,100a上に形成されていた。しかし、塗装によって形成される塗膜の表面ではなく、蒸着によって形成される被膜の表面に線状レーザ加工溝21,111を形成してもよい。さらに、ワーク2,92の表面3,93を被覆する熱硬化型塗膜10,100を省略し、ワーク2,92の表面3,93に線状レーザ加工溝21,111を直接形成してもよい。また、熱硬化型塗膜10,100を保護する別の塗膜を形成し、その塗膜に線状レーザ加工溝21,111を形成してもよい。
・上記第1実施形態は、車両用加飾部品1をドアトリムに具体化するものであり、上記第2実施形態は、車両用加飾部品91をセンタークラスターに具体化するものであった。しかし、車両用加飾部品を、ドアのアームレスト、コンソールボックス、インストルメントパネルなどの他の内装部品や、ラジエターグリル、ロッカーモールなどの外装部品に具体化してもよい。
・上記各実施形態の表面加飾システム40は、車両用加飾部品1,91を製造するものであったが、これに限定される訳ではなく、家電製品や家具などの加飾部品を製造するものであってもよい。
次に、特許請求の範囲に記載された技術的思想のほかに、前述した各実施形態によって把握される技術的思想を以下に列挙する。
(1)上記手段1において、前記レーザ照射工程では、前記第1加飾面及び前記第2加飾面のうち前記第1加飾面のみに対して前記艶低減加工を施すことを特徴とする加飾部品の製造方法。
(2)上記手段1において、前記艶低減加工では、前記第1加飾面及び前記第2加飾面に対して複数本の線状レーザ加工溝をそれぞれ平行に形成するとともに、前記第2加飾面に形成される前記線状レーザ加工溝の線ピッチを、前記第1加飾面に形成される前記線状レーザ加工溝の線ピッチよりも大きくすることを特徴とする加飾部品の製造方法。
(3)上記手段1において、前記光輝剤含有塗膜形成工程では、前記光輝剤含有塗膜を厚さ方向に切断して得られる切断面において、前記第1加飾面において前記ワークの厚さ方向に延びる垂線に対して直交する仮想面を規定するとともに、前記光輝剤の厚さ方向に延びて前記仮想面と交差する仮想線を前記光輝剤ごとに規定し、前記仮想面を基準とした前記仮想線の傾斜角度の平均値が80°未満となるように前記光輝剤含有塗膜を形成することを特徴とする加飾部品の製造方法。
(4)技術的思想(3)において、前記光輝剤含有塗膜は、前記傾斜角度が80°未満となる前記光輝剤を30%以上含んでいることを特徴とする加飾部品の製造方法。
(5)上記手段2において、前記加飾部品を車両に設置した状態では、前記第1加飾面の法線の仰角が前記第2加飾面の法線の仰角よりも大きいことを特徴とする加飾部品。
(6)上記手段2において、前記加飾部品は、車両内において窓写りが生じる部位に装着されることを特徴とする加飾部品。
1,91…加飾部品としての車両用加飾部品
2,92…ワーク
3,93…ワークの表面
4…ワークの表面を構成する複数の面
10,100…熱硬化型塗膜
10a,100a…熱硬化型塗膜の表面
11,101…第1加飾面
12,102…第2加飾面
13…境界部分
14…キャラクターライン
21,111…線状レーザ加工溝
30,120…光輝剤含有塗膜
31…光輝剤含有塗膜の表面
32…光輝剤
L1…レーザ
P1…線状レーザ加工溝の線ピッチ
W1…線状レーザ加工溝の線幅

Claims (11)

  1. 立体形状をなすワークの表面に第1加飾面と第2加飾面とを形成することにより、加飾部品を製造する方法であって、
    前記第1加飾面及び前記第2加飾面のうち少なくとも前記第1加飾面に対してレーザ照射による艶低減加工を施すことにより、前記第1加飾面の艶の程度を前記第2加飾面の艶の程度よりも低くするレーザ照射工程と、
    前記レーザ照射工程後に、鱗片状をなす光輝剤を含有した塗料からなり、前記第1加飾面及び前記第2加飾面を覆う光輝剤含有塗膜を形成する光輝剤含有塗膜形成工程と
    を含むことを特徴とする加飾部品の製造方法。
  2. 前記艶低減加工では、前記第1加飾面に複数本の線状レーザ加工溝を、線幅が100μm以下となり、かつ線ピッチが50μm以上500μm以下となるように形成したことを特徴とする請求項1に記載の加飾部品の製造方法。
  3. 前記光輝剤含有塗膜は、メタルフレークを前記光輝剤として含有した塗料からなり、
    前記光輝剤含有塗膜形成工程を行うことにより、前記第1加飾面を覆う前記光輝剤含有塗膜の表面がサテン調程度の艶となる
    ことを特徴とする請求項1または2に記載の加飾部品の製造方法。
  4. 前記光輝剤含有塗膜形成工程では、前記第1加飾面を覆う前記光輝剤含有塗膜と前記第2加飾面を覆う前記光輝剤含有塗膜とを同じ工程で形成することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の加飾部品の製造方法。
  5. 前記レーザ照射工程前に、熱硬化性を有する塗料からなり、前記ワークの表面を覆う熱硬化型塗膜を形成する熱硬化型塗膜形成工程を行い、
    前記レーザ照射工程では、前記熱硬化型塗膜にレーザを照射することにより、前記熱硬化型塗膜の表面において前記第1加飾面となる領域の艶の程度を、前記熱硬化型塗膜の表面において前記第2加飾面となる領域の艶の程度よりも低く設定し、
    前記光輝剤含有塗膜形成工程では、前記熱硬化型塗膜の表面を覆う前記光輝剤含有塗膜を形成する
    ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の加飾部品の製造方法。
  6. 前記第1加飾面と前記第2加飾面とが前記ワークの表面上において連続して形成され、前記ワークの表面が複数の面によって構成され、
    前記第1加飾面と前記第2加飾面との境界部分が、前記複数の面の接続部分となるキャラクターライン上に位置する
    ことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の加飾部品の製造方法。
  7. 立体形状をなすワークの表面に第1加飾面と第2加飾面とが形成された加飾部品であって、
    前記第1加飾面の艶の程度が前記第2加飾面の艶の程度よりも低くなるように設定され、前記第1加飾面及び前記第2加飾面のうち少なくとも前記第1加飾面に対してレーザ照射による艶低減加工が施され、
    前記第1加飾面及び前記第2加飾面が、鱗片状をなす光輝剤を含有した塗料からなる光輝剤含有塗膜によって覆われている
    ことを特徴とする加飾部品。
  8. 前記第1加飾面に複数本の線状レーザ加工溝がそれぞれ平行に形成され、前記線状レーザ加工溝は、線幅が100μm以下であって線ピッチが50μm以上500μm以下であることを特徴とする請求項7に記載の加飾部品。
  9. 前記光輝剤含有塗膜は、メタルフレークを前記光輝剤として含有した塗料からなり、
    前記第1加飾面を覆う前記光輝剤含有塗膜の表面が、サテン調程度の艶となっている
    ことを特徴とする請求項7または8に記載の加飾部品。
  10. 前記ワークの表面が、熱硬化性を有する塗料からなる熱硬化型塗膜によって覆われており、
    前記熱硬化型塗膜の表面において前記第1加飾面となる領域の艶の程度が、前記熱硬化型塗膜の表面において前記第2加飾面となる領域の艶の程度よりも低く設定され、
    前記熱硬化型塗膜の表面が前記光輝剤含有塗膜によって覆われている
    ことを特徴とする請求項7乃至9のいずれか1項に記載の加飾部品。
  11. 前記第1加飾面と前記第2加飾面とが前記ワークの表面上において連続して形成され、前記ワークの表面が複数の面によって構成され、
    前記第1加飾面と前記第2加飾面との境界部分が、前記複数の面の接続部分となるキャラクターライン上に位置する
    ことを特徴とする請求項7乃至10のいずれか1項に記載の加飾部品。
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