JP5839481B2 - 車両用加飾部品の製造方法、車両用加飾部品 - Google Patents

車両用加飾部品の製造方法、車両用加飾部品 Download PDF

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本発明は、ワークにレーザーを照射する車両用加飾部品の製造方法、及び車両用加飾部品に関するものである。
自動車の内装部品などでは、デザイン性や品質を高めるために、ワークの表面に装飾を加えるようにした自動車用加飾部品(例えば、コンソールボックス、インストルメントパネル、アームレストなど)が多く実用化されている。このような自動車用加飾部品に装飾を加える方法としては、金型を用いた射出成形と塗装とによって装飾を加える方法が提案されている(例えば特許文献1参照)。具体的には、まず、成形面にシボ加工が施された金型を用いて射出成形を行うことにより、表面に凹凸(シボ)が施されたワークを形成する。そして、ワークの表面に施された凹凸を、光輝剤を含有する塗料(メタリック塗料やパール塗料など)からなる塗膜で被覆することにより、ヘアライン模様(金属調意匠)を有する自動車用加飾部品を得ることができる。
特開平10−71677号公報(図3,図4等)
しかしながら、金型を用いて装飾を加える場合、ワークの表面に施された凹凸は、金型の成形面に設けた凹凸によって直接形成されるため、金型は、特定の装飾専用の金型となる。よって、金型を用いて表現できる意匠は限られたものとなってしまう。この問題を解決するためには、装飾の種類を増やす必要があるが、金型の数を増やさなければならないという問題がある。
また、意匠性を高めるために、ワークの表面に微細な凹凸を形成し、形成した凹凸を光輝剤を含有する塗料からなる塗膜で被覆することが提案されている。この場合、一般的には、成形面に細い凹部が多数形成された金型を用いて射出成形を行うため、ワークの表面には細い凸部が多数形成されるようになる。しかし、細い凸部は強度が低いため、量産には不向きである。また、細い凸部を形成しようとしても、射出成形に用いられる樹脂の流動性には制約があるため、金型内に樹脂を完全に充填することは困難である。以上のことから、金型を用いて装飾を加える場合には、微細な凹凸の形成が困難であるため、凹凸を塗膜で被覆したとしても、塗膜に含まれる光輝剤が綺麗に配向しにくくなる。その結果、ワークの意匠性を高めることができないという問題がある。
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、意匠性を確実に高めることが可能な車両用加飾部品の製造方法を提供することにある。また、別の目的は、高い意匠性を有する車両用加飾部品を提供することにある。
上記課題を解決するために、手段1に記載の発明は、ワークにレーザーを照射するレーザー照射工程を経て、熱可塑性樹脂製の車両用加飾部品を製造する方法であって、前記レーザー照射工程前に、熱硬化性を有する塗料からなり、前記ワークの表面を覆う熱硬化型塗膜を形成する熱硬化型塗膜形成工程を行い、前記レーザー照射工程では、前記熱硬化型塗膜にレーザーを照射することにより、幅が30μm以上100μm以下であって深さが5μm以上35μm以下となる複数の凹部を前記熱硬化型塗膜の表面上に形成し、前記レーザー照射工程後に、光輝剤を含有する塗料からなり、前記熱硬化型塗膜の表面及び前記複数の凹部の表面を覆う光輝剤含有塗膜を形成する光輝剤含有塗膜形成工程を行うことを特徴とする車両用加飾部品の製造方法をその要旨とする。
手段1に記載の発明によれば、レーザー照射工程において、ワークの表面を覆う熱硬化型塗膜にレーザーを照射することにより、幅が30μm以上100μm以下であって深さが5μm以上35μm以下となる複数の凹部が形成される。つまり、金型を用いた射出成形によって複数の凹部を形成する場合とは異なり、微細な複数の凹部を簡単かつ確実に形成することができる。この場合、光輝剤含有塗膜形成工程において、熱硬化型塗膜の表面及び複数の凹部の表面を覆う光輝剤含有塗膜を形成すれば、光輝剤含有塗膜に含まれる光輝剤を綺麗に配向させることができるため、複数の凹部が存在する部分と存在しない部分とで反射光の反射度合いを綺麗に変化させることができる。その結果、光輝剤含有塗膜によって色彩変化や深み感を表現することができるため、意匠性を確実に高めることができる。また、熱硬化型塗膜を形成することにより、ワークの表面が熱硬化型塗膜によって保護され、光輝剤含有塗膜を形成することにより、熱硬化型塗膜の表面と複数の凹部の表面とが光輝剤含有塗膜によって保護されるため、ワークの耐傷付き性を高めることができる。
なお、上記した凹部の幅が仮に30μm未満になると、凹部の形成領域の面積が小さくなりすぎるため、凹部を視認できない可能性がある。一方、凹部の幅が100μmよりも大きくなると、微細な凹部ではなくなってしまう。さらに、上記した凹部の深さが仮に5μm未満になると、凹部が存在する部分と存在しない部分との深さの差が殆どなくなってしまい、凹部が存在する部分と存在しない部分とで反射光のコントラストが弱くなるため、凹部を視認できない可能性がある。一方、凹部の深さが35μmよりも大きくなると、熱硬化型塗膜を厚く形成しておかなければ、凹部を形成するためのレーザーが熱硬化型塗膜を貫通しやすくなるため、凹部の形成が困難になる。しかも、最悪の場合、レーザーがワークを貫通するおそれもある。ここで、本明細書で述べられている「凹部の幅」とは、マイクロスコープ(株式会社キーエンス製 VHF−200)を用いて熱硬化型塗膜を上面から観察することにより得られる測定値をいう。また、「凹部の深さ」とは、マイクロスコープ(株式会社キーエンス製 VHF−200)を用いて熱硬化型塗膜の断面形状を観察することにより得られる測定値をいう。
また、車両用加飾部品を形成する熱可塑性樹脂の好適例としては、ABS樹脂、PP樹脂(ポリプロピレン樹脂)、PC/ABS樹脂、PC樹脂(ポリカーボネート樹脂)、PMMA樹脂(アクリル樹脂)、POM樹脂(ポリアセタール樹脂)、PBT樹脂(ポリブチレンテレフタレート樹脂)、PET樹脂(ポリエチレンテレフタレート樹脂)などが挙げられる。
なお、レーザー照射工程において照射されるレーザーの種類は特に限定されないが、例えば、気体レーザーや固体レーザーなどを用いることができる。ここで、気体レーザーとしては、COレーザー、He−Neレーザー、Arレーザー、エキシマレーザーなどが挙げられる。一方、固体レーザーとしては、YAGレーザー、ルビーレーザー、ガラスレーザーなどが挙げられる。
また、熱硬化型塗膜形成工程において形成される熱硬化型塗膜の種類は特に限定される訳ではなく、例えば、ソリッド塗料によって形成された塗膜、光輝剤を含有する塗料によって形成された塗膜、クリア塗料(顔料が配合されていない塗料)によって形成された無色透明な塗膜などを挙げることができる。
なお、熱硬化型塗膜の厚さは特に限定される訳ではないが、例えば15μm以上50μm以下であり、凹部の深さよりも大きいことが好ましい。仮に、熱硬化型塗膜の厚さが15μm未満になると、熱硬化型塗膜が薄くなりすぎるため、凹部を形成するためのレーザーが熱硬化型塗膜を貫通しやすくなる。また、使用者の手などが触れた際に、熱硬化型塗膜が傷付いてワークの表面が露出しやすくなるため、熱硬化型塗膜によってワークの表面を保護できなくなる。一方、熱硬化型塗膜の厚さが50μmよりも大きくなると、熱硬化型塗膜を形成する熱硬化性を有する塗料の使用量が多くなりすぎるため、車両用加飾部品の製造コストが上昇してしまう。また、熱硬化型塗膜の厚さが凹部の深さ以下になると、レーザー照射工程においてレーザーを照射した際に、レーザーがワークの表面を傷付けるおそれがある。
さらに、光輝剤含有塗膜形成工程において形成される光輝剤含有塗膜は、光輝剤を含有する塗料からなる。ここで、光輝剤としては、鉱物、金属、ガラスなどの無機材料、即ち、反射率が高い材料からなることが好ましく、具体的には、アルミニウム粉末、チタナイズドマイカ顔料、ガラスビーズなどが挙げられる。また、光輝剤を含有する塗料としては、メタリック塗料(即ち、アルミニウム粉末が熱硬化アクリル塗料などの半透明エナメルに含まれる塗料)、パール塗料(即ち、チタナイズドマイカ顔料やガラスビーズが半透明エナメルに含まれる塗料)などが挙げられる。
なお、光輝剤の平均粒子径は特に限定される訳ではないが、例えば5μm以上30μm以下であり、光輝剤含有塗膜の厚さは凹部の深さよりも小さいことが好ましい。仮に、光輝剤の平均粒子径が5μm未満になると、光輝剤を含有する塗料の選択肢が小さくなるため、車両用加飾部品のコスト上昇に繋がる可能性がある。一方、光輝剤の平均粒子径が30μmよりも大きくなると、微細な凹部の表面に対して光輝剤を綺麗に配向させることが困難になる。この場合、凹部の表面での反射光の反射度合いが乱れやすくなるため、意図した意匠性を実現できなくなるおそれがある。また、光輝剤の平均粒子径は凹部の深さよりも小さいことが好ましく、例えば凹部の深さの半分以下であることが好ましい。仮に、光輝剤の平均粒子径が凹部の深さ以上になると、微細な凹部の表面に対して光輝剤を綺麗に配向させることが困難になる。さらに、光輝剤の平均粒子径は、光輝剤含有塗膜の厚さより大きくてもよいし、小さくてもよい。なお、光輝剤は、平均粒子径と厚さとのアスペクト比が大きい形状(例えば鱗片状)をなすことが好ましい。このようにすれば、光輝剤が配向した状態になりやすくなる。ここで、「光輝剤が配向した状態」とは、光輝剤が例えば鱗片状をなす場合において、光輝剤の厚さ方向と、熱硬化型塗膜の表面(または凹部の表面)に対する垂線が延びる方向とが略同一方向となり、かつ、光輝剤の径方向と、熱硬化型塗膜の表面(または凹部の表面)の面方向とが略平行となる状態をいう。
手段2に記載の発明は、ワークに複数の凹部が形成された熱可塑性樹脂製の車両用加飾部品であって、前記ワークの表面が、熱硬化性を有する塗料からなる熱硬化型塗膜によって覆われており、前記複数の凹部は、前記熱硬化型塗膜の表面上に形成され、幅が30μm以上100μm以下、深さが5μm以上35μm以下に設定されており、前記熱硬化型塗膜の表面及び前記複数の凹部の表面が、光輝剤を含有する塗料からなる光輝剤含有塗膜によって覆われていることを特徴とする車両用加飾部品をその要旨とする。
手段2に記載の発明によれば、ワークの表面を覆う熱硬化型塗膜の表面上に、幅が30μm以上100μm以下であって深さが5μm以上35μm以下となる複数の凹部、即ち微細な複数の凹部が形成される。しかも、熱硬化型塗膜の表面及び複数の凹部の表面が光輝剤含有塗膜によって覆われている。よって、光輝剤含有塗膜に含まれる光輝剤を綺麗に配向させることができるため、複数の凹部が存在する部分と存在しない部分とで反射光の反射度合いを綺麗に変化させることができる。その結果、光輝剤含有塗膜によって色彩変化や深み感を表現することができるため、意匠性を確実に高めることができる。また、熱硬化型塗膜を形成することにより、ワークの表面が熱硬化型塗膜によって保護され、光輝剤含有塗膜を形成することにより、熱硬化型塗膜の表面と複数の凹部の表面とが光輝剤含有塗膜によって保護されるため、ワークの耐傷付き性を高めることができる。
以上詳述したように、請求項1〜6に記載の発明によると、意匠性を確実に高めることが可能である。
本実施形態の自動車用加飾部品を示す斜視図。 図1のA−A線断面図。 自動車用加飾部品を示す要部断面図。 表面加飾システムを示す概略構成図。 自動車用加飾部品の製造方法を示す説明図。 自動車用加飾部品の製造方法を示す説明図。 自動車用加飾部品の製造方法を示す説明図。
以下、本発明を具体化した一実施形態を図面に基づき詳細に説明する。
図1〜図3に示されるように、自動車用加飾部品1(車両用加飾部品)は、黒色の熱可塑性樹脂(本実施形態ではABS樹脂)によって形成され、立体形状のワーク2を備えている。本実施形態の自動車用加飾部品1は、自動車のドアに設けられたアームレストの上面を覆う装飾パネルである。また、ワーク2は、凸状湾曲面であるワーク表面3aと、ワーク表面3aの反対側に位置する凹状湾曲面であるワーク裏面3bとを有している。さらに、ワーク2には、パワーウィンドウスイッチ(図示略)を取り付けるためのスイッチ取付孔6と、ドアロックスイッチ(図示略)を取り付けるためのスイッチ取付孔7とが設けられている。これらスイッチ取付孔6,7は、ワーク表面3a及びワーク裏面3bを貫通している。
そして、ワーク2においてスイッチ取付孔6,7を除く表面(ワーク表面3a)は、熱硬化性を有する黒色の塗料(本実施形態では、黒色の2液型アクリルウレタン樹脂塗料)からなる熱硬化型塗膜11によって覆われている。なお、熱硬化型塗膜11の厚さH1は、15μm以上50μm以下(本実施形態では25μm)に設定されている。
さらに、図2,図3に示されるように、熱硬化型塗膜11の表面12上に設定された被加飾領域4には、それぞれ同一方向に延びる複数の凹部21が形成されている。詳述すると、各凹部21は、被加飾領域4の縦方向に沿って同一方向にかつ直線的に延びている。なお、熱硬化型塗膜11の表面12上における凹部21の幅W1は、30μm以上100μm以下(本実施形態では50μm)に設定されている。また、表面12上における凹部21の深さH2は、5μm以上35μm以下(本実施形態では10μm以上15μm以下)に設定されている。即ち、上記した熱硬化型塗膜11の厚さH1(25μm)は、凹部21の深さH2よりも大きくなっている。さらに、隣接する凹部21同士の間隔は、50μm以上300μm以下(本実施形態では200μm)に設定されている。
そして、熱硬化型塗膜11の表面12及び凹部21の表面22は、光輝剤含有塗膜71によって覆われている。光輝剤含有塗膜71は、多数の光輝剤72(本実施形態ではアルミニウム粉末)を含有するメタリック塗料によって形成された塗膜である。なお、光輝剤72は、鱗片状をなし、平均粒子径が5μm以上30μm以下(本実施形態では15μm)に設定されている。そして、各光輝剤72は、熱硬化型塗膜11の表面12及び凹部21の表面22と平行に配向している。詳述すると、光輝剤72の厚さ方向は、熱硬化型塗膜11の表面12(または凹部21の表面22)に対する垂線が延びる方向と略同一方向となっている。また、光輝剤72の長径が延びる方向及び短径が延びる方向は、熱硬化型塗膜11の表面12(または凹部21の表面22)の面方向と略平行となっている。なお、光輝剤含有塗膜71の厚さH3は、5μm以上25μm以下(本実施形態では5μm)に設定されている。即ち、光輝剤含有塗膜71の厚さH3は、凹部21の深さH2(10μm以上15μm以下)よりも小さくなっている。
次に、自動車用加飾部品1を製造するための表面加飾システム30について説明する。
図4に示されるように、表面加飾システム30は、レーザー照射装置31及びワーク変位ロボット32を備えている。レーザー照射装置31は、レーザーL1(本実施形態では、波長1064nmのYAGレーザー)を発生させるレーザー発生部41と、レーザーL1を偏向させるレーザー偏向部42と、レーザー発生部41及びレーザー偏向部42を制御するレーザー制御部43とを備えている。レーザー偏向部42は、レンズ44と反射ミラー45とを複合させてなる光学系であり、これらレンズ44及び反射ミラー45の位置を変更することにより、レーザーL1の照射位置や焦点位置を調整するようになっている。レーザー制御部43は、レーザーL1の照射時間変調、照射強度変調、照射面積変調などの制御を行う。
また、ワーク変位ロボット32は、ロボットアーム46と、ロボットアーム46の先端に設けられたワーク支持部47とを備えている。ワーク支持部47は、ワーク2を支持するようになっている。そして、ワーク変位ロボット32は、ロボットアーム46を駆動してワーク2の位置及び角度を変更することにより、ワーク2のワーク表面3aに対するレーザーL1の照射位置や照射角度を変更するようになっている。
次に、表面加飾システム30の電気的構成について説明する。
図4に示されるように、表面加飾システム30は、システム全体を統括的に制御する制御装置33を備えている。制御装置33は、CPU50、メモリ51及び入出力ポート52等からなる周知のコンピュータにより構成されている。CPU50は、レーザー照射装置31及びワーク変位ロボット32に電気的に接続されており、各種の駆動信号によってそれらを制御する。
なお、メモリ51には、レーザー照射を行うためのレーザー照射データが記憶されている。レーザー照射データは、CADデータを変換することによって得られるデータであり、CADデータは、凹部21が形成された熱硬化型塗膜11を示す画像データを変換することによって得られるデータである。なお、画像データは、凹部21を形成するための描画領域からなっている。そして、描画領域には、複数の描画ドットが散点的(本実施形態では格子状)に形成されている。また、メモリ51には、レーザー照射に用いられるレーザー照射パラメータ(レーザーL1の照射位置、焦点位置、照射角度、照射面積、照射時間、照射強度、照射周期、照射ピッチなど)を示すデータが記憶されている。
次に、自動車用加飾部品1の製造方法を説明する。
まず、黒色の熱可塑性樹脂(本実施形態ではABS樹脂)を用いて所定の立体形状に成形したワーク2を準備する。具体的に言うと、ワーク形成工程を行い、凹部21を成形するための成形用シボ(ここでは、微細な凹凸)を有しない金型(図示略)を用いて、ワーク2を形成する。そして、ワーク2は、作業者によってワーク変位ロボット32のワーク支持部47(図4参照)にセットされる。
次に、熱硬化型塗膜形成工程を行い、ワーク2のワーク表面3aを覆う熱硬化型塗膜11を形成する(図5参照)。詳述すると、CPU50は、熱硬化型塗膜形成用の駆動信号を生成し、生成した熱硬化型塗膜形成用の駆動信号を塗装装置(図示略)に出力する。そして、塗装装置は、CPU50から出力された熱硬化型塗膜形成用の駆動信号に基づいて、塗装機61による熱硬化型塗膜11の塗装を開始させる。具体的に言うと、ワーク2のワーク表面3a上に、塗装機61を用いて2液型アクリルウレタン樹脂塗料を塗装することにより熱硬化型塗膜11を形成する。
次に、CPU50は、メモリ51に記憶されているレーザー照射データを読み出し、読み出したレーザー照射データに基づいて駆動信号を生成し、生成した駆動信号をワーク変位ロボット32に出力する。ワーク変位ロボット32は、CPU50から出力された駆動信号に基づいてロボットアーム46を駆動し、ワーク支持部47に支持されたワーク2を、被加飾領域4を構成する特定の照射範囲に対してレーザーL1を照射可能な位置に移動させる。それとともに、ワーク支持部47に支持されたワーク2の角度を調節し、特定の照射範囲に対するレーザーL1の照射角度を調節する。
そして、レーザー照射工程を行い、CPU50は、メモリ51に記憶されているレーザー照射データに基づき、熱硬化型塗膜11の表面12上に設定された被加飾領域4に対してレーザーL1を照射する。詳述すると、まず、CPU50は、メモリ51に記憶されているレーザー照射データを読み出し、読み出したレーザー照射データに基づいて凹部形成用の駆動信号を生成し、生成した凹部形成用の駆動信号をレーザー照射装置31に出力する。レーザー照射装置31は、CPU50から出力された凹部形成用の駆動信号に基づいて、被加飾領域4を構成する特定の照射範囲にレーザーL1を照射する(図6参照)。なお、レーザー制御部43は、レーザー発生部41からレーザーL1を照射させ、凹部21のパターンに応じてレーザー偏向部42を制御する。この制御により、レーザーL1の照射位置が決定されるとともに、レーザーL1の焦点位置が熱硬化型塗膜11の表層部分に決定される。その結果、熱硬化型塗膜11の表層部分に照射されるレーザーL1のエネルギー密度が5MW/cmとなる。この場合、レーザーL1の熱が表層部分に集中して熱量が多くなるため、熱硬化型塗膜11の表層部分が昇華することにより、熱硬化型塗膜11の表面12上に凹部21が形成される。
そして、レーザー照射工程後に光輝剤含有塗膜形成工程を行い、熱硬化型塗膜11の表面12及び凹部21の表面22を覆う光輝剤含有塗膜71を形成する(図7参照)。詳述すると、CPU50は、光輝剤含有塗膜形成用の駆動信号を生成し、生成した光輝剤含有塗膜形成用の駆動信号を塗装装置に出力する。そして、塗装装置は、CPU50から出力された光輝剤含有塗膜形成用の駆動信号に基づいて、塗装機62による光輝剤含有塗膜71の塗装を開始させる。具体的に言うと、熱硬化型塗膜11の表面12上及び凹部21の表面22上に、塗装機62を用いてメタリック塗料を塗装することにより光輝剤含有塗膜71を形成する。そして、塗装機62によるメタリック塗料の塗装が終了すると、図1〜図3に示す自動車用加飾部品1が完成する。
従って、本実施形態によれば以下の効果を得ることができる。
(1)本実施形態の自動車用加飾部品1の製造方法では、熱硬化型塗膜11にレーザーL1を照射することによって凹部21を形成しているため、金型を用いた射出成形によって凹部を形成する場合に比べて、微細な凹部21を確実に形成することができる。この場合、光輝剤含有塗膜形成工程において、熱硬化型塗膜11の表面12及び凹部21の表面22を覆う光輝剤含有塗膜71を形成すれば、光輝剤含有塗膜71に含まれる光輝剤72を綺麗に配向させることができるため、凹部21が存在する部分と存在しない部分とで反射光の反射率(反射度合い)を綺麗に変化させることができる。その結果、光輝剤含有塗膜71によって色彩変化や深み感を表現することができるため、意匠性を確実に高めることができる。また、熱硬化型塗膜11を形成することにより、ワーク2のワーク表面3aが熱硬化型塗膜11によって保護され、光輝剤含有塗膜71を形成することにより、熱硬化型塗膜11の表面12と凹部21の表面22とが光輝剤含有塗膜71によって保護されるため、ワーク2の耐傷付き性を高めることができる。
(2)本実施形態の自動車用加飾部品1を構成する熱硬化型塗膜11は、黒色の2液型アクリルウレタン樹脂塗料、即ち、熱を吸収しやすい濃い色の塗料からなっている。従って、熱硬化型塗膜11が薄い色の塗料からなる場合に比べて、レーザーL1のエネルギーが熱硬化型塗膜11の表層部分で熱に吸収されやすくなるため、凹部21を短時間で形成することができる。よって、自動車用加飾部品1の製造効率が向上する。
(3)例えば、金型を用いた射出成形によってワークの表面に凹部を形成することが考えられる。この場合、凹部は、金型の成形面に設けた凹凸によって直接形成されるため、金型は、特定の装飾専用の金型となる。従って、金型を用いて表現できる意匠は限られたものとなってしまう。なお、装飾の種類を増やすためには、金型の数を増やす必要があるが、この場合には、自動車用加飾部品の製造コストが上昇するという問題がある。
そこで、本実施形態では、レーザーL1を照射することによって凹部21を形成している。この場合、装飾の種類を増やす際には、レーザー照射データを変更するだけで対応することができるため、自動車用加飾部品1の製造コスト上昇を抑えることができる。
なお、本実施形態を以下のように変更してもよい。
・上記実施形態のレーザー照射工程では、熱硬化型塗膜11の表面12において平坦面となる領域にレーザーL1を照射することにより、凹部21を形成していた。しかし、表面12において曲面となる領域にレーザーL1を照射することにより、凹部21を形成するようにしてもよい。
・上記実施形態は、自動車用加飾部品1をドアのアームレストに具体化するものであったが、これ以外に、コンソールボックス、インストルメントパネルなどの部品に具体化してもよい。
次に、特許請求の範囲に記載された技術的思想のほかに、全記述した実施形態に把握される技術的思想を以下に列挙する。
(1)手段1において、前記凹部は、前記熱硬化型塗膜の表面上に複数設けられており、隣接する前記凹部同士の間隔は、50μm以上300μm以下に設定されていることを特徴とする車両用加飾部品の製造方法。
(2)手段1において、前記光輝剤は鱗片状をなしていることを特徴とする車両用加飾部品の製造方法。
(3)手段1において、前記熱硬化型塗膜形成工程前に、前記凹部を成形するための成形用シボを有しない金型を用いて、前記ワークを形成するワーク形成工程を行うことを特徴とする車両用加飾部品の製造方法。
(4)手段2において、前記凹部は、前記熱硬化型塗膜の表面上に複数設けられており、隣接する前記凹部同士の間隔は、50μm以上300μm以下に設定されていることを特徴とする車両用加飾部品。
(5)手段2において、前記光輝剤は鱗片状をなしていることを特徴とする車両用加飾部品。
1…車両用加飾部品としての自動車用加飾部品
2…ワーク
3a…ワークの表面としてのワーク表面
11…熱硬化型塗膜
12…熱硬化型塗膜の表面
21…凹部
22…凹部の表面
71…光輝剤含有塗膜
72…光輝剤
W1…凹部の幅
H1…熱硬化型塗膜の厚さ
H2…凹部の深さ
H3…光輝剤含有塗膜の厚さ
L1…レーザー

Claims (6)

  1. ワークにレーザーを照射するレーザー照射工程を経て、熱可塑性樹脂製の車両用加飾部品を製造する方法であって、
    前記レーザー照射工程前に、熱硬化性を有する塗料からなり、前記ワークの表面を覆う熱硬化型塗膜を形成する熱硬化型塗膜形成工程を行い、
    前記レーザー照射工程では、前記熱硬化型塗膜にレーザーを照射することにより、幅が30μm以上100μm以下であって深さが5μm以上35μm以下となる複数の凹部を前記熱硬化型塗膜の表面上に形成し、
    前記レーザー照射工程後に、光輝剤を含有する塗料からなり、前記熱硬化型塗膜の表面及び前記複数の凹部の表面を覆う光輝剤含有塗膜を形成する光輝剤含有塗膜形成工程を行う
    ことを特徴とする車両用加飾部品の製造方法。
  2. 前記熱硬化型塗膜の厚さは、15μm以上50μm以下であり、前記複数の凹部の深さよりも大きいことを特徴とする請求項1に記載の車両用加飾部品の製造方法。
  3. 前記光輝剤の平均粒子径は5μm以上30μm以下であり、前記光輝剤含有塗膜の厚さは前記複数の凹部の深さよりも小さいことを特徴とする請求項1または2に記載の車両用加飾部品の製造方法。
  4. ワークに複数の凹部が形成された熱可塑性樹脂製の車両用加飾部品であって、
    前記ワークの表面が、熱硬化性を有する塗料からなる熱硬化型塗膜によって覆われており、
    前記複数の凹部は、前記熱硬化型塗膜の表面上に形成され、幅が30μm以上100μm以下、深さが5μm以上35μm以下に設定されており、
    前記熱硬化型塗膜の表面及び前記複数の凹部の表面が、光輝剤を含有する塗料からなる光輝剤含有塗膜によって覆われている
    ことを特徴とする車両用加飾部品。
  5. 前記熱硬化型塗膜の厚さは、15μm以上50μm以下であり、前記複数の凹部の深さよりも大きいことを特徴とする請求項4に記載の車両用加飾部品。
  6. 前記光輝剤の平均粒子径は5μm以上30μm以下であり、前記光輝剤含有塗膜の厚さは前記複数の凹部の深さよりも小さいことを特徴とする請求項4または5に記載の車両用加飾部品。
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