JP2016146394A - 硬化性樹脂組成物、ドライフィルム、プリント配線板およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
セミアディティブ法では、例えば、基板に無電解銅めっき処理を施し、レジストで回路パターンを形成した後に、電解銅めっきを行うことにより銅の回路が形成される。
しかしながら、このようなめっき層のエッチングには多くの時間、エネルギーそしてコストがかかるとの問題がある。また、バフ研磨の場合、基板の歪みや伸びの発生や、断線してしまう場合がある。
この問題を解決するため、本発明者らは、先に、基板に硬化性樹脂層と非硬化性樹脂層とを順に形成し、非硬化性樹脂層側から硬化性樹脂層および非硬化性樹脂層にレーザーにより凹部を形成し、凹部表面にめっき用触媒を付与し、めっき用触媒とともに非硬化性樹脂層を除去し、硬化性樹脂層の凹部に無電解めっきを施すプリント配線板の製造方法を提案した。
さらに、鋭意検討する中で本発明者らは、レーザーの種類によっては非硬化性樹脂層を残したまま凹部のスミアを十分に除去することができず、層間のビア部分の接続信頼性が悪くなるという問題があることに新たに気付いた。
すなわち、本発明者らは、先に提案したプリント配線板の製造方法において、エキシマレーザー以外のレーザーについても検討したところ、例えばUV―YAGやCO2レーザーを使用した場合、凹部の底部に残留するスミアを除去する際、通常のデスミア処理では除去できず、確実に除去するために膨潤処理を含めた強い条件でデスミア処理を実施するとめっき用触媒付与前に非硬化性樹脂層が剥離してしまうということに気付いた。
本発明の他の目的は、前記硬化性樹脂組成物を用いた、クラックや反りの発生を抑えることができるプリント配線板およびその製造方法を提供することにある。
その結果、本発明の硬化性樹脂組成物を用いたプリント配線板は、クラックや反りの発生を抑えることができる。
本発明の硬化性樹脂組成物は、基板の表面に、硬化性樹脂層を介してレジスト層を形成する工程、該レジスト層側から、該レジスト層および前記硬化性樹脂層に凹部を形成する工程、前記レジスト層表面および前記凹部表面にめっき用触媒を付与する工程、前記レジスト層をその表面のめっき用触媒と共に除去する工程、および前記凹部表面に無電解めっきを施す工程、を含むプリント配線板の製造方法における前記レジスト層を形成するために用いる組成物であって、前記組成物が、アルカリ可溶性樹脂および硬化性成分を含むことを特徴とするものである。
(積層工程)
一般にキャリフィルムや支持フィルムと呼ばれるフィルム11と、その上にレジスト層12および硬化性樹脂層13を有するドライフィルムを用意する。このドライフィルムを、導電層(導体回路)14が設けられた基板15のその導電層14に、硬化性樹脂層13と導電層14が接触するように載置し、押圧する(工程(1))。この押圧後、フィルム11を除去し、工程(2)で示されるような、基板15、導電層14、硬化性樹脂層13およびレジスト層12がこの順で積層された構造体を得る。
また、レジスト層12および硬化性樹脂層13を、それぞれ各層形成用材料を用いて、スクリーン印刷、カーテンコーター、スピンコーター、ディップコーター、ロールコーターなどにより導電層14を形成した基板15に塗布し、それぞれ乾燥することにより形成することもできる。
また、透明フィルム11上に、レジスト層形成用組成物を塗布した後、乾燥させずに硬化性樹脂層形成用材料を塗布し、その後溶剤を蒸発させてドライフィルムを得、そのドライフィルムを、導電層14を形成した基板15に貼り付け(ラミネート)することにより形成することもできる。
導電層14を形成した基板15へのレジスト層12および硬化性樹脂層13の形成方法は限定されず、上記の塗布乾燥方法とラミネート方法とを組み合わせても良い。
レジスト層12および硬化性樹脂層13の硬化方法としては、加熱による硬化でも光による硬化でもよい。
加熱による硬化方法としては、例えば約140〜200℃の温度で30〜90分間、加熱することにより硬化させることができる。
光照射による硬化方法としては、例えば、最大波長が350〜410nmの範囲にある光を用いることにより硬化させることができる。露光量は膜厚等によって異なるが、一般に20〜1000/cm2の範囲内である。
レジスト層12および硬化性樹脂層13の硬化は、下記凹部形成工程の前でも凹部形成工程の後でもよい。硬化により、特に表層部に位置するレジスト層12のスクラッチ耐性を向上させることができ、工程中で発生する構造体表面の傷を低減させることができる。また、プリント配線板の製造工程における早い段階でスクラッチ耐性を向上させることができるという点で凹部形成工程の前に硬化させることが好ましい。
逆に、凹部形成工程の前で硬化させず、凹部形成工程の後で硬化させる場合、レジスト層12および硬化性樹脂層13が未硬化の状態のまま凹部を形成することになるので、凹部の形成が容易になる。
硬化性樹脂層13を硬化させることにより樹脂絶縁層とすることができる。硬化度合としては、半硬化でも完全硬化でも良い。
工程(2)で得られた、基板15、導電層14、硬化性樹脂層13およびレジスト層12が積層された構造体に、レジスト層12の上からレーザーを照射して配線パターンを形成するための凹部16を形成する(工程(3))。なお、図1では、トレンチ用凹部16Tとビアホール用凹部16Vが示されている。
凹部(16T,16V等)は、レジスト層12を貫通し、硬化性樹脂層13を部分的または完全に貫通するように形成される。凹部(16T,16V等)とは、基板15上の複数の導電層を電気的に接合可能とするためのビアホールあるいは配線パターンを形成するトレンチを表す。すなわち、ビアホール16Vは、硬化性樹脂層13に、レジスト層12を貫通して、基板15の導電層14を露出させるように形成される。トレンチ15Tは、延びた溝、および局部的なビアで、レジスト層12を貫通し、硬化性樹脂層13の途中まで形成され、導電層14とは導通接続されずに、回路パターンを形成する。
凹部16T,16Vの大きさは、アスペクト比、直径の大きさ、深さのそれぞれに関して特定の範囲に限定されるものではない。
なお、凹部を形成する方法は、レーザーを用いる方法に限られず、例えばドリル加工などの物理的方法や強アルカリ溶液などの化学的方法を使用して凹部を形成してもよい。
レーザー加工により生じたビアホール内の残留した成分(スミア)を除去することが好ましい。これをデスミアという。デスミアは湿式法でも乾式法でもよい。
湿式法としては、市販品の過マンガン酸塩溶液等のデスミア処理の薬液を用い、スミアを分解除去することができる。また、過マンガン酸塩を含まない強アルカリ溶液を用いることもできる。過マンガン酸塩溶液の例として、セキュリガントSAPシリーズ、セキュリガントMVシリーズ(アトテック社)、アップデスMDS、MDE、MDN過マンガン酸デスミア液(上村工業社)、MLBシリーズ(ロームアンドハース社)などがあげられる。
乾式法としては、プラズマ発生装置や、UV照射、高圧水銀灯、低圧水銀灯などの近紫外線、遠紫外線領域を発生させる紫外線洗浄改質装置などを用いることができる。プラズマ処理においては、例えば、真空プラズマ装置や、常圧プラズマ装置などを用いることができ、酸素、アルゴン、ヘリウム、四フッ化炭素などのガスを用いたプラズマ、および、これらの混合ガスのプラズマなど、公知のプラズマを用いることができる。乾式法によるデスミア処理を行った場合、さらに超音波洗浄を行うことが好ましい。乾式法により、有機成分は除去されるものの、フィラーなどの無機成分に対しては、十分な分解除去性が得られず、残存する恐れがあるが、超音波洗浄を行うことにより、残存する無機成分を除去することができる。
レーザー加工では、レジスト層12の凹部側の端部が突き出した状態で残る場合がある。その場合、簡易的な除去方法により、その突き出した状態の端部を除去することが好ましい。除去液としては、下記除去工程で使用するものを用いることができるが、時間や温度を調整して下記除去方法よりも簡易的に実施する。なお、この工程は、触媒を付与する工程の後に実施してもよい。
構造体のレジスト層12側の表面は、レジスト層12の表面と凹部16T,16Vの表面、すなわち、壁面と底面とからなっており、これらのレジスト層12の表面と凹部16V,16Tの表面にめっき用触媒を付与し、めっき用触媒層17を形成する(工程(4))。例えば、2価のパラジウムイオン(Pd2+)を含む触媒液をスプレー等で塗布、乾燥することによって形成する方法や、前記のイオンを含む触媒液に浸漬しめっき用触媒層17を形成する方法があるが、特に限定されるものではない。
例えば、触媒液の組成として、例えば、Pd濃度が100〜300mg/Lの塩化パラジウム(PdCl2・2H2O)と、Sn濃度が10〜20g/Lの塩化第一スズ(SnCl2・2H2O)と、150〜250mL/Lの塩酸(HCl)を含有する混合溶液を用いることができる。
めっき用触媒の付与は、触媒液中に構造体を、例えば、温度30〜40℃の条件で3〜10分間浸漬させて、まずPd−Snコロイドを構造体の表面に吸着させる。次に、常温条件下で、50〜100mL/Lの硫酸または塩酸からなるアクセレータ(促進剤)に構造体を浸漬して触媒の活性化を行う。この活性化処理によって、錯化合物のスズが除去され、パラジウム吸着粒子となり、最終的にパラジウム触媒として、無電解めっき処理による金属めっきの析出を促進させるようになる。このようにして、めっき用触媒層17を形成することができる。
触媒付与工程を終えた構造体から、硬化性樹脂層13上のレジスト層12を除去する。レジスト層12を除去すると、レジスト層12上のめっき用触媒層17も一緒に除去される。これにより、凹部16T,16Vの表面(すなわち、壁面と底面)のみにめっき用触媒層17が残る(工程(5))。レジスト層12の除去は、例えば、アルカリ水溶液や塩基性の有機溶剤により行うことができる。好適には、レジスト層12は、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、リン酸ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、アンモニア、テトラメチルアンモニウムハイドロオキシド、エタノールアミンなどのアルカリ水溶液により除去される。それらのアルカリ水溶液中の濃度は、例えば、0.3〜10wt%である。
除去方法としては、ディッピング法、シャワー法、スプレー法、ブラシ法等によることができる。また、除去液としては、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、リン酸ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、TMAH(水酸化テトラメチルアンモニウム)、アンモニア、アミン類等のアルカリ水溶液を用いることができる。
レジスト層除去工程を終えた構造体に対し、無電解めっき処理を行い凹部16T,16Vのめっき用触媒層17に無電解めっき層18を形成する。このようにして、凹部16T,16Vの表面にめっき用触媒層17および無電解めっき層18を有するプリント配線板が得られる(工程(6))。無電解めっき処理により凹部16T,16V内にめっき金属を埋め込むことにより、配線パターンが形成される。
無電解めっき液は、特に限定されないが、例えば水溶性第二銅(合金)塩や水溶性ニッケル(合金)塩等の水溶性金属塩を主成分として、ホルムアルデヒドおよび/またはパラホルムアルデヒド、グリオキシル酸またはその塩、次亜リン酸またはその塩、ジメチルアミノボラン等の1種以上の還元剤と、エチレンジアミン四酢酸四ナトリウムおよび/または酒石酸ナトリウムカリウム等の錯化剤を含有するとともに、少なくとも1種の硫黄系有機化合物を含有する無電解めっき液を用いることができる。
基板に使用される樹脂は、特に限定されるものではなく周知のものを用いることができる。なお、この基板を底面(ベース)とし、片面だけに導電層と絶縁層を積層して多層プリント配線板を形成してもよく、基板の両面から、導電層と絶縁層を交互に積層して多層プリント配線板を形成するようにしてもよい。
基板としては、予め回路形成されたプリント配線板やフレキシブルプリント配線板の他、紙−フェノール樹脂、紙−エポキシ樹脂、ガラス布−エポキシ樹脂、ガラス−ポリイミド、ガラス布/不繊布−エポキシ樹脂、ガラス布/紙−エポキシ樹脂、合成繊維−エポキシ樹脂、フッ素樹脂・ポリエチレン・ポリフェニレンエーテル,ポリフェニレンオキシド・シアネートエステル等の複合材を用いた全てのグレード(FR−4等)の銅張積層板、ポリイミドフィルム、PETフィルム、ガラス基板、セラミック基板、ウエハ板等を用いることができる。
一方、硬化性樹脂層の膜厚は、5〜180μmが好ましい。
また、本発明では、アルカリ現像等で除去可能なレジスト層を用いることにより、配線パターンやビアホール(via hole)となる凹部のみにめっき用触媒層を形成することができ、これによりこれらの凹部のみに無電解めっきを施すことができる。従って、本発明では、極めて容易にトレンチ配線板等の平坦なプリント配線板を作製することができる。
さらに、本発明により、余分なめっき皮膜を、物理研磨、エッチング等によって除去する必要がなくなり、エッチング等による断線等を防止することができる。特に、例えば、高速信号を扱うプリント配線板や、配線密度の高いプリント配線板にあっては、エッチング等によって断線やショートの原因をもたらし易くなり、余分なめっき皮膜を形成させてしまうことは、作業的、経済的観点からも好ましくない。その点においても、本発明を用いることによって、プリント配線板表面にめっき皮膜が形成されることを抑制できるので、高速信号を扱うプリント配線板や配線密度の高いプリント配線板であっても、信頼性を向上させた製造が可能となる。
加えて、大きなサイズ、例えば510×610mmのプリント配線板においては、プリント配線板の反り等の影響により、プリント配線板表面を均一に研磨したりすることや、エッチングすることが困難となるけれども、このようなプリント配線板に対しても、本発明を適用することによって、余分に付着しためっき金属を取り除く必要はなくなり、余分な設備を設ける必要もなく、作業効率や生産性も向上して、均一な表面を有する良好なプリント配線板を製造することができる。
硬化性樹脂層を形成するための材料は、特に限定されるものではなく周知のものを使用することができ、例えば、熱硬化性成分および光硬化性成分のいずれか1種を含む材料でよいが、熱硬化性成分を含む材料が好ましい。
熱硬化性成分としては、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、メラミン誘導体、ベンゾグアナミン誘導体等のアミノ樹脂、ポリイソシアネート化合物、ブロックイソシアネート化合物、シクロカーボネート化合物、エポキシ化合物、オキセタン化合物、エピスルフィド樹脂、ビスマレイミド、カルボジイミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂等の公知の熱硬化性樹脂を使用することができる。特に、分子中に複数の環状エーテル基および環状チオエーテル基(以下、環状(チオ)エーテル基と略す)の少なくとも何れか1種を有する熱硬化性樹脂が好ましい。
上記の分子中に環状(チオ)エーテル基を有する熱硬化性樹脂は、分子中に3、4または5員環の環状(チオ)エーテル基のいずれか一方または2種類の基を複数有する化合物であり、例えば、分子内に複数のエポキシ基を有する化合物、分子内に複数のオキセタニル基を有する化合物、分子内に複数のチオエーテル基を有する化合物、すなわちエピスルフィド樹脂等を挙げることができる。なかでもエポキシ化合物であるエポキシ樹脂が好ましい。
ブロックイソシアネート化合物のブロック化イソシアネート基は、イソシアネート基がブロック剤との反応により保護されて一時的に不活性化された基であり、所定温度に加熱されたときにそのブロック剤が解離してイソシアネート基が生成する。
上記フェノール樹脂としては、フェノールノボラック樹脂、アルキルフェノールボラック樹脂、ビスフェノールAノボラック樹脂、ジシクロペンタジエン型フェノール樹脂、Xylok型フェノール樹脂、テルペン変性フェノール樹脂、クレゾール/ナフトール樹脂、ポリビニルフェノール類、フェノール/ナフトール樹脂、α−ナフトール骨格含有フェノール樹脂、トリアジン含有クレゾールノボラック樹脂等の従来公知のものを、1種を単独または2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記ポリカルボン酸およびその酸無水物は、一分子中に2個以上のカルボキシル基を有する化合物およびその酸無水物であり、例えば(メタ)アクリル酸の共重合物、無水マレイン酸の共重合物、二塩基酸の縮合物等の他、カルボン酸末端イミド樹脂等のカルボン酸末端を有する樹脂が挙げられる。
特に分子中に複数の環状チオエーテル基を有する熱硬化性樹脂の配合量は、硬化剤の官能基1当量に対して、熱硬化性官能基が0.6〜2.5当量であることが好ましい。配合量が0.6以上の場合、耐アルカリ性に優れる。一方、2.5当量以下の場合、塗膜の強度が向上する。より好ましくは、0.8〜2.0当量である。
レジスト層形成用の硬化性樹脂組成物(以下、レジスト層形成用組成物とも言う。)は、アルカリ水溶液による除去に適していることから、アルカリ可溶性樹脂および硬化性成分を含む組成物である。
アルカリ可溶性樹脂としてのカルボキシル基含有樹脂またはヒドロキシル基含有樹脂が好ましい。特にカルボキシル基含有樹脂の場合、炭酸ナトリウムなどの弱アルカリにでも容易に溶解させることができるため好ましい。
上記ヒドロキシル基含有樹脂として、フェノール樹脂、ポリビニルアセタール樹脂が挙げられる。フェノール樹脂としては、フェノールノボラック樹脂、アルキルフェノールボラック樹脂、ビスフェノールAノボラック樹脂、ジシクロペンタジエン型フェノール樹脂、Xylok型フェノール樹脂、テルペン変性フェノール樹脂、クレゾール/ナフトール樹脂、ポリビニルフェノール類、フェノール/ナフトール樹脂、α−ナフトール骨格含有フェノール樹脂、トリアジン含有クレゾールノボラック樹脂等の従来公知のものを、1種を単独または2種以上を組み合わせて用いることができる。ポリビニルアセタール樹脂として、特にポリビニルブチラール樹脂が好ましい。ポリビニルアセタール樹脂の具体例としては、電気化学工業(株)製、電化ブチラール4000−2、5000−A、6000−C、6000−EP、積水化学工業(株)製エスレックBHシリーズ、BXシリーズ、KSシリーズ、BLシリーズ、BMシリーズ等が挙げられる。レーザー加工時の耐熱性の観点から、ヒドロキシル基含有樹脂は、フェノール樹脂であることが好ましい。
アルカリ可溶性樹脂の酸価は、40〜200mgKOH/gの範囲が好ましく、さらに45〜120mgKOH/gの範囲が好ましい。アルカリ可溶性樹脂の酸価が40mgKOH/g以上の場合、希アルカリ水溶液による除去が容易になる。一方、200mgKOH/g以下の場合、湿式のデスミア耐性に優れる。
アルカリ可溶性樹脂の質量平均分子量Mwは、樹脂骨格により異なるが、一般的にポリスチレン換算で2,000〜150,000、さらには5,000〜100,000の範囲が好ましい。質量平均分子量が2,000以上の場合、タックフリーに優れる。一方、質量平均分子量が150,000以下の場合、アルカリ現像性に優れる。アルカリ可溶性樹脂の配合量は、レジスト層の組成物の固形分全量基準で30〜80質量%、好ましくは40〜75質量%の範囲が適切である。
光硬化性成分としては、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート類;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート類;エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール等のアルキレンオキシド誘導体のモノまたはジ(メタ)アクリレート類;ヘキサンジオール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジトリメチロールプロパン、ジペンタエリスリトール、トリスヒドロキシエチルイソシアヌレート等の多価アルコールまたはこれらのエチレンオキシドあるいはプロピレンオキシド付加物の多価(メタ)アクリレート類;フェノキシエチル(メタ)アクリレート、ビスフェノールAのポリエトキシジ(メタ)アクリレート等のフェノール類のエチレンオキシドあるいはプロピレンオキシド付加物の(メタ)アクリレート類;グリセリンジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、トリグリシジルイソシアヌレートなどのグリジジルエーテルの(メタ)アクリレート類;およびメラミン(メタ)アクリレート等を挙げることができる。
また、他の添加剤として、消泡剤やレベリング剤を配合することにより、表面平滑性の劣化を防止し、ボイドやピンホールによる層間絶縁性の劣化も防止することができる。消泡剤やレベリング剤の具体例としては、市販されている非シリコーン系の破泡性ポリマー溶液からなる消泡剤としてビックケミー・ジャパン(株)製のBYK(登録商標)−054、−055、−057、−1790などが挙げられ、シリコーン系の消泡剤としてはビックケミー・ジャパン(株)製のBYK(登録商標)−063、−065、−066N、−067A、−077および信越化学(株)製のKS−66(商品名)などが挙げられる。フッ素系添加剤としてはDIC社のメガファックシリーズ、メガファックRS、F−554、F−557などが挙げられる。このような添加剤の配合量は、レジスト層の合計100質量部に対して、10質量部以下、好ましくは0.01〜5質量部が適切である。
アセトフェノン化合物の具体例を挙げると、例えば、アセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2,2−ジエトキシ−2−フェニルアセトフェノン、1,1−ジクロロアセトフェノンである。
アントラキノン化合物の具体例を挙げると、例えば、2−メチルアントラキノン、2−エチルアントラキノン、2−t−ブチルアントラキノン、1−クロロアントラキノンである。
チオキサントン化合物の具体例を挙げると、例えば、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントンである。
ケタール化合物の具体例を挙げると、例えば、アセトフェノンジメチルケタール、ベンジルジメチルケタールである。
ベンゾフェノン化合物の具体例を挙げると、例えば、ベンゾフェノン、4−ベンゾイルジフェニルスルフィド、4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルスルフィド、4−ベンゾイル−4’−エチルジフェニルスルフィド、4−ベンゾイル−4’−プロピルジフェニルスルフィドである。
第3級アミン化合物の具体例を挙げると、例えば、エタノールアミン化合物、ジアルキルアミノベンゼン構造を有する化合物、例えば、4,4’−ジメチルアミノベンゾフェノン(日本曹達社製ニッソキュアーMABP)、4,4’−ジエチルアミノベンゾフェノン(保土ヶ谷化学社製EAB)などのジアルキルアミノベンゾフェノン、7−(ジエチルアミノ)−4−メチル−2H−1−ベンゾピラン−2−オン(7−(ジエチルアミノ)−4−メチルクマリン)等のジアルキルアミノ基含有クマリン化合物、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル(日本化薬社製カヤキュアーEPA)、2−ジメチルアミノ安息香酸エチル(インターナショナルバイオ−シンセエティックス社製Quantacure DMB)、4−ジメチルアミノ安息香酸(n−ブトキシ)エチル(インターナショナルバイオ−シンセエティックス社製Quantacure BEA)、p−ジメチルアミノ安息香酸イソアミルエチルエステル(日本化薬社製カヤキュアーDMBI)、4−ジメチルアミノ安息香酸2−エチルヘキシル(Van Dyk社製Esolol 507)、4,4’−ジエチルアミノベンゾフェノン(保土ヶ谷化学社製EAB)である。
このような増感剤の配合量としては、組成物100質量部(2種以上を使用する場合にはそれらの合計量)に対して、好ましくは30質量部以下、より好ましくは20質量部以下の割合が適切である。
表1に記載の配合に従って、実施例および比較例に記載の材料をそれぞれ配合混練し、A層形成用材料、およびB層形成用組成物を調製した。表中の値は、質量部である。
キャリアフィルムとして、38μmの厚みのPETフィルム上に、A層形成用材料を、アプリケーターを用いて塗布し、その後、熱風循環式乾燥路にて90℃/10min乾燥し、A層を有するドライフィルムを作製した。A層の厚みは乾燥後、約20μm、A層中の溶剤量が0.3〜3.0wt%になるように調整した。その後、得られたドライフィルムを所定のサイズにスリット加工を行った。
キャリアフィルムとして、38μmの厚みのPETフィルム上に、B層形成用組成物を、アプリケーターを用いて塗布し、その後、熱風循環式乾燥炉にて90℃/10min乾燥して、B層を有するドライフィルムを作製した。B層の厚みは乾燥後、約3μm、B層中の溶剤量が0.3〜15wt%になるように調整した。その後、得られたドライフィルムを所定のサイズにスリット加工を行った。
銅厚5μmの導電層が形成されている両面基板を用意し、メック社CZ−8101を使用して前処理を行った。次いで、名機社真空ラミネーターMVLP−500を用いて基板の表裏に順次ドライフィルムをラミネートし、基板の両面にA層を形成した構造体を得た。ラミネート条件は温度80℃、圧力5kg/cm2/60secでおこなった。次いで、キャリアフィルムを剥離し、熱風循環式乾燥炉にて180℃/30min熱硬化し、基板の両面に硬化したA層を形成した構造体を得た。
次いで、両面に硬化したA層を形成した構造体上に、名機社真空ラミネーターMVLP−500を用いて構造体の表裏にB層を有するドライフィルムをラミネートした。そして、表裏のPETフィルムを剥離し、A層およびB層を表裏に形成した構造体を得た。ラミネート条件は温度100℃、圧力5kg/cm2/60secでおこなった。
B層の硬化方法が「UV硬化」のものについて、上記B層を形成した構造体に、高圧水銀灯が搭載されたUVコンベア装置で1J/cm2の条件でUV照射を行い、B層を硬化させた。
<B層の硬化:熱硬化>
B層の硬化方法が「熱硬化」のものについて、上記B層を形成した構造体に、熱風循環式乾燥炉を用い、150℃にて60分間熱硬化を行い、B層を硬化させた。
A層およびB層を形成した構造体について、ビアメカニクス社エキシマレーザーLE−1A(光源XeCl:308nm、出力150W、ラインビームスキャン37.5mm幅)、クロムマスクを用いトレンチパターンの溝幅10μm、深さ10μmのラインを形成した。ラインの深さはB層の表面からの深さのことである。
次いで、CO2レーザーにてビアの形成をおこなった。導電層まで到達するビアホールを形成するためにビアメカニクス社CO2レーザー(日立ビアメカニクス社、光源10.6μm)にて、アパチャー(マスク径):3.1mm、パルス幅20μsec、出力2W、周波数5kHz、バースト3ショットの条件で、トップ径65μm、ボトム50μmのビアホールの形成をおこなった。
JIS−K5400に準拠し、上記トレンチパターン等を形成した構造体に、カッターナイフを用いA層に到達するようにB層に縦11本、横11本の切り傷をつけ、100個の碁盤目を作製した。
次いで、碁盤目部分にセロハンテープを強く圧着させ、テープの端を45°の角度で一気に引き剥がし、碁盤目の状態を目視にて観察し、以下の基準にて評価した。
(評価方法)
○:100マスすべてで剥がれ無し
×:碁盤目で1箇所以上剥がれが確認された
上記トレンチパターン等を形成した構造体について、パターン部のラインおよびビアホール形状を光学顕微鏡にて観察し、以下の判断基準に従い評価を行った。
(評価方法)
◎:トレンチパターンの形成が設計どおりで、その端部も突き出しがなく綺麗な状態。
○:トレンチパターンの端部のレジスト層が溶融し、端部が突き出した状態がわずかに観察された。
×:トレンチパターンの端部のレジスト層が溶融し、端部の突き出しおよび浮きが観察された。
トレンチパターン等を形成した構造体について、過マンガン酸デスミア水溶液にてビアホール底部の残渣の除去およびトレンチパターンのライン内部のスミアの除去処理を行った。薬液はロームアンドハース社、膨潤MLB−211(70℃/5min)過マンガン酸水溶液MLB−213(70℃/10min)であり、次いで還元MLB−216(50℃/5min)処理を行いスミア除去を行い、以下の基準に従い、デスミア耐性の評価を行った。
(評価方法)
◎:B層剥離なし。ビアホール底部およびライン底部に残渣がみられなかった。
○:B層剥離なし。ビアホール底部およびライン底部に残渣がみられなかった。ただし、表面の一部に変色(過マンガン酸の色が着色)が確認された。
△:ビアホール底部およびライン底部に残渣がみられなかった。表面の一部に変色(過マンガン酸の色が着色)が確認され、また光学顕微鏡観察した結果、部分的に数ミクロンのB層の浮きが確認された。
×:ビアホール底部の残渣がみられなかったが、B層が完全に剥離、溶解した。
デスミア処理によりスミアを除去した後、以下の触媒付与プロセス(上村工業(株)製のスルカップシリーズ)を用い、構造体の表層およびトレンチライン形成部へ触媒の付与を行った。詳細条件は下記に記すとおりである。
(条件)
クリーナーコンディショナー(スルカップPCK−120−I、60℃/5min)
ソフトエッチ(アディディブMSE−7、25℃/2min)
硫酸洗浄(室温/1min)
プレディップ(スルカップPED−104、25℃/1min)
アクチベーター(スルカップAT−105およびPED104の混合液、30℃/8min)
触媒付与を行った構造体について、B層の表層部の触媒を取り除くため、B層の除去を行った。剥離液は3wt%の各アルカリ水溶液(炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム)にて、液温50℃、スプレー圧0.2MPa、60secの条件にて剥離処理を行った。60secで剥離できないものについては、180secまで時間を延長し、剥離性の確認をおこなった。剥離後、光化学顕微鏡にて表層部の観察を行い、下記基準に従い評価を行った。
(評価方法)
◎:炭酸ナトリウム水溶液、水酸化ナトリウム水溶液ともにB層を剥離することができた。
○:水酸化ナトリウム水溶液の場合のみB層を剥離することができた。
△:水酸化ナトリウム水溶液の180secでB層を剥離することができた。
×:水酸化ナトリウム水溶液の180secでB層を剥離することができず、構造体の表層部にB層の残渣がみられた。
比較例1〜3は、B層の組成を変更した以外は実施例1と同じである。
※1 Joncryl 586:スチレンアクリル酸共重合体(酸価108mg/KOH、Mw=4600、BASF社)
※2 ZFR−1401H:(酸価100mgKOH/g、日本化薬製)
※3 HF−1:フェノールノボラック樹脂(水酸基当量104〜108g/eq、軟化点=82〜86℃、明和化成社)
※4 HP−7200:ジシクロペンタジエン型エポキシ(エポキシ当量254〜264g/eq、D軟化点56〜66℃、DIC社)
※5 SBR:スチレン−ブタジエンラバー(酸当量600g/eq、日本ゼオン社)
※6 DPHA:ジペンタエリスリトールエキサアクリレート、ダイセルオルネクス社
※7 Irg369:α−アミノアセトフェノン系光重合開始剤(2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1)、BASFジャパン社
※8 OXE−02:オキシムエステル系光重合開始剤(エタノン,1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−,1−(0−アセチルオキシム))、BASFジャパン社
※9 EAB:4,4’’−ジエチルアミノベンゾフェノン(保土ヶ谷化学社)
※10 DETX−S:2,4−ジメチルチオキサントン、日本化薬社
※11 KS−66:シリコーン系消泡剤、信越化学工業(株)
※12 F−554:含フッ素基・親油性基含有オリゴマー、DIC社
これに対し、比較例1〜3ではB層が硬化しないタイプのものであるため、密着性、レーザー加工性、デスミア耐性、および剥離性のいずれかが不十分であった。
12 レジスト層
13 熱硬化性樹脂層
14 導電層
15 基板
16T,16V 凹部
17 めっき用触媒層
18 無電解めっき層
Claims (6)
- 基板の表面に、硬化性樹脂層を介してレジスト層を形成する工程、
該レジスト層側から、該レジスト層および前記硬化性樹脂層に凹部を形成する工程、
前記レジスト層表面および前記凹部表面にめっき用触媒を付与する工程、
前記レジスト層をその表面のめっき用触媒と共に除去する工程、および
前記凹部表面に無電解めっきを施す工程、
を含むプリント配線板の製造方法における前記レジスト層を形成するために用いる組成物であって、
前記組成物が、アルカリ可溶性樹脂および硬化性成分を含むことを特徴とする硬化性樹脂組成物。 - さらに、撥水性の添加剤を含む請求項1記載の硬化性樹脂組成物。
- 前記硬化性成分が、光硬化性成分および熱硬化性成分のいずれか1種を含む請求項1または2記載の硬化性樹脂組成物。
- フィルム上に、請求項1〜3のうちいずれか1項に記載の硬化性樹脂組成物を塗布および乾燥してなる層を有することを特徴とするドライフィルム。
- 請求項1〜3のうちいずれか1項に記載の硬化性樹脂組成物または請求項4記載のドライフィルムを用いて得られることを特徴とするプリント配線板。
- 基板の表面に、硬化性樹脂層を介してレジスト層を形成する工程、
該レジスト層側から、該レジスト層および前記硬化性樹脂層に凹部を形成する工程、
前記レジスト層表面および前記凹部表面にめっき用触媒を付与する工程、
前記レジスト層をその表面のめっき用触媒と共に除去する工程、および
前記凹部表面に無電解めっきを施す工程、
を含むプリント配線板の製造方法であって、
前記レジスト層としてアルカリ可溶性樹脂および硬化性成分を含む硬化性樹脂組成物を用いたことを特徴とするプリント配線板の製造方法。
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