JP2016146394A - 硬化性樹脂組成物、ドライフィルム、プリント配線板およびその製造方法 - Google Patents

硬化性樹脂組成物、ドライフィルム、プリント配線板およびその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】レーザーの種類によらず確実に凹部のスミアを除去することができ、しかもめっき用触媒付与後にレジスト層を確実に除去できる硬化性樹脂組成物を提供すること。【解決手段】基板の表面に、硬化性樹脂層を介してレジスト層を形成する工程、該レジスト層側から、該レジスト層および前記硬化性樹脂層に凹部を形成する工程、前記レジスト層表面および前記凹部表面にめっき用触媒を付与する工程、前記レジスト層をその表面のめっき用触媒と共に除去する工程、および前記凹部表面に無電解めっきを施す工程、を含むプリント配線板の製造方法における前記レジスト層を形成するために用いる組成物であって、前記組成物が、アルカリ可溶性樹脂および硬化性成分を含むことを特徴とする硬化性樹脂組成物である。【選択図】 図2

Description

本発明は、硬化性樹脂組成物、ドライフィルム、プリント配線板およびその製造方法に関する。
最近、携帯電話、ノートパソコン、カメラ等の最新デジタル機器のプリント配線板においては、その小型化、薄型化に伴って、配線パターンの高密度化、微細化の要望が高まっている。例えば、多層プリント配線板の配線パターンを形成する方法としては、セミアディティブ法やフルアディティブ法が用いられている。
セミアディティブ法では、例えば、基板に無電解銅めっき処理を施し、レジストで回路パターンを形成した後に、電解銅めっきを行うことにより銅の回路が形成される。
一方、フルアディティブ工法では、ブラインドビア(ビアホール)の形成された基板に触媒を付与した後、レジストで回路パターンを形成し、無電解銅めっき処理のみによって銅回路を形成する。
上記セミアディティブ法やフルアディティブ法では、基板上に導体層と絶縁層を交互に積層した場合、基板表面の回路の凹凸によって積層される層間樹脂の表面も小さな凹凸を有するようになることから、積層体の表面が平坦にならないとの問題がある。また、回路のライン幅とライン間の空間の幅を小さくできないため、近年の配線パターンの高密度化には不利である。
一方、基板表面に凹凸を形成しない回路を有するトレンチ基板も知られている。その製造方法としては、一般に、基板表面にレーザーで、回路やビアホール等の凹部(孔または溝)を形成し、その全面に無電解めっきの層、その上に電解めっきの厚い層を形成し、これにより凹部を埋め且つ基板全面に厚いめっき層を形成し、そして、その後凹部以外の領域のめっき層をエッチングや物理研磨により除去する方法が行われている。
しかしながら、このようなめっき層のエッチングには多くの時間、エネルギーそしてコストがかかるとの問題がある。また、バフ研磨の場合、基板の歪みや伸びの発生や、断線してしまう場合がある。
これに対し従来、配線基板の表面にめっき皮膜が付着することを抑制して、研磨やエッチング等によって不要なめっき皮膜を取り除く必要がなく、断線やショート等のない信頼性の高いプリント配線板の製造方法が提案されている(特許文献1参照)。確かに、この方法では撥水性を有するコーティング樹脂表面には触媒が付着せず、形成された貫通孔内にのみ触媒が付着するので、研磨やエッチング等によって不要なめっき皮膜を取り除く必要がない。
特開2010−287862号公報
しかしながら、特許文献1に記載のプリント配線板の製造方法では、撥水性のコ−ティング層が残存するため、下層の絶縁樹脂層のガラス転移温度(Tg)や熱膨張係数(CTE)との違いによっては、コ−ティング層や絶縁樹脂層にクラックが発生したり、プリント配線板に反りが生じるなどの新たな問題があった。
この問題を解決するため、本発明者らは、先に、基板に硬化性樹脂層と非硬化性樹脂層とを順に形成し、非硬化性樹脂層側から硬化性樹脂層および非硬化性樹脂層にレーザーにより凹部を形成し、凹部表面にめっき用触媒を付与し、めっき用触媒とともに非硬化性樹脂層を除去し、硬化性樹脂層の凹部に無電解めっきを施すプリント配線板の製造方法を提案した。
さらに、鋭意検討する中で本発明者らは、レーザーの種類によっては非硬化性樹脂層を残したまま凹部のスミアを十分に除去することができず、層間のビア部分の接続信頼性が悪くなるという問題があることに新たに気付いた。
すなわち、本発明者らは、先に提案したプリント配線板の製造方法において、エキシマレーザー以外のレーザーについても検討したところ、例えばUV―YAGやCOレーザーを使用した場合、凹部の底部に残留するスミアを除去する際、通常のデスミア処理では除去できず、確実に除去するために膨潤処理を含めた強い条件でデスミア処理を実施するとめっき用触媒付与前に非硬化性樹脂層が剥離してしまうということに気付いた。
そこで、本発明の目的は、レーザーの種類によらず確実に凹部のスミアを除去することができ、しかもめっき用触媒付与後に非硬化性樹脂層を確実に除去することができる硬化性樹脂組成物およびドライフィルムを提供することにある。
本発明の他の目的は、前記硬化性樹脂組成物を用いた、クラックや反りの発生を抑えることができるプリント配線板およびその製造方法を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、非硬化性樹脂層の代わりに、硬化性樹脂組成物を用いたレジスト層を形成すれば、意外にもレーザーの種類によらず強い条件でデスミア処理を実施してもレジスト層が剥離してしまうことなくスミアを確実に除去することができ、しかもめっき用触媒付与後にレジスト層を確実に除去することができることを見出した。
従って、本発明は、基板の表面に、硬化性樹脂層を介してレジスト層を形成する工程、該レジスト層側から、該レジスト層および前記硬化性樹脂層に凹部を形成する工程、前記レジスト層表面および前記凹部表面にめっき用触媒を付与する工程、前記レジスト層をその表面のめっき用触媒と共に除去する工程、および前記凹部表面に無電解めっきを施す工程、を含むプリント配線板の製造方法における前記レジスト層を形成するために用いる組成物であって、前記組成物が、アルカリ可溶性樹脂および硬化性成分を含むことを特徴とする硬化性樹脂組成物である。
本発明の硬化性樹脂組成物は、さらに、撥水性の添加剤を含むことが好ましい。また、前記硬化性成分が、光硬化性成分および熱硬化性成分のいずれか1種を含むことが好ましい。
そして、本発明は、フィルム上に、上記硬化性樹脂組成物を塗布および乾燥してなる層を有することを特徴とするドライフィルムである。
さらに、本発明は、上記硬化性樹脂組成物または上記ドライフィルムを用いて得られることを特徴とするプリント配線板である。
そして、本発明は、基板の表面に、硬化性樹脂層を介してレジスト層を形成する工程、該レジスト層側から、該レジスト層および前記硬化性樹脂層に凹部を形成する工程、前記レジスト層表面および前記凹部表面にめっき用触媒を付与する工程、前記レジスト層をその表面のめっき用触媒と共に除去する工程、および前記凹部表面に無電解めっきを施す工程、を含むプリント配線板の製造方法であって、前記レジスト層としてアルカリ可溶性樹脂および硬化性成分を含む硬化性樹脂組成物を用いたことを特徴とするプリント配線板の製造方法である。
本発明によれば、レーザーの種類によらず確実に凹部のスミアを除去することができ、しかもめっき用触媒付与後にレジスト層を確実に除去することができる硬化性樹脂組成物およびドライフィルムを提供することができる。
その結果、本発明の硬化性樹脂組成物を用いたプリント配線板は、クラックや反りの発生を抑えることができる。
図1には、プリント配線板の製造方法の一例の前半の工程が示されている。 図2には、図1のプリント配線板の製造方法の続く工程が示されている。
以下、本発明について説明する。
本発明の硬化性樹脂組成物は、基板の表面に、硬化性樹脂層を介してレジスト層を形成する工程、該レジスト層側から、該レジスト層および前記硬化性樹脂層に凹部を形成する工程、前記レジスト層表面および前記凹部表面にめっき用触媒を付与する工程、前記レジスト層をその表面のめっき用触媒と共に除去する工程、および前記凹部表面に無電解めっきを施す工程、を含むプリント配線板の製造方法における前記レジスト層を形成するために用いる組成物であって、前記組成物が、アルカリ可溶性樹脂および硬化性成分を含むことを特徴とするものである。
上記の通り、プリント配線板の製造方法におけるレジスト層を形成するための材料としてアルカリ可溶性樹脂および硬化性成分を含む硬化性樹脂組成物を使用する。これにより、硬化性樹脂層とレジスト層との密着強度を向上させることができるため、レーザーにより凹部を形成した後、強い条件でデスミア処理を施してもレジスト層が剥がれることなく、凹部のスミアを確実に除去することができる。また、めっき用触媒付与後にレジスト層を確実に除去することもできる。さらに、レジスト層における凹部の端部が溶融したり、その端部が浮いたりすることを抑制することもできる。
以下、本発明を、図1および図2を参照しながら説明する。
(積層工程)
一般にキャリフィルムや支持フィルムと呼ばれるフィルム11と、その上にレジスト層12および硬化性樹脂層13を有するドライフィルムを用意する。このドライフィルムを、導電層(導体回路)14が設けられた基板15のその導電層14に、硬化性樹脂層13と導電層14が接触するように載置し、押圧する(工程(1))。この押圧後、フィルム11を除去し、工程(2)で示されるような、基板15、導電層14、硬化性樹脂層13およびレジスト層12がこの順で積層された構造体を得る。
上記構造体は、硬化性樹脂層13を有するフィルム11とレジスト層12を有するフィルム11とを用いて、順に導電層14を形成した基板15に貼り付けることによって得ることもできる。
また、レジスト層12および硬化性樹脂層13を、それぞれ各層形成用材料を用いて、スクリーン印刷、カーテンコーター、スピンコーター、ディップコーター、ロールコーターなどにより導電層14を形成した基板15に塗布し、それぞれ乾燥することにより形成することもできる。
また、透明フィルム11上に、レジスト層形成用組成物を塗布した後、乾燥させずに硬化性樹脂層形成用材料を塗布し、その後溶剤を蒸発させてドライフィルムを得、そのドライフィルムを、導電層14を形成した基板15に貼り付け(ラミネート)することにより形成することもできる。
導電層14を形成した基板15へのレジスト層12および硬化性樹脂層13の形成方法は限定されず、上記の塗布乾燥方法とラミネート方法とを組み合わせても良い。
(硬化工程)
レジスト層12および硬化性樹脂層13の硬化方法としては、加熱による硬化でも光による硬化でもよい。
加熱による硬化方法としては、例えば約140〜200℃の温度で30〜90分間、加熱することにより硬化させることができる。
光照射による硬化方法としては、例えば、最大波長が350〜410nmの範囲にある光を用いることにより硬化させることができる。露光量は膜厚等によって異なるが、一般に20〜1000/cmの範囲内である。
レジスト層12および硬化性樹脂層13の硬化は、下記凹部形成工程の前でも凹部形成工程の後でもよい。硬化により、特に表層部に位置するレジスト層12のスクラッチ耐性を向上させることができ、工程中で発生する構造体表面の傷を低減させることができる。また、プリント配線板の製造工程における早い段階でスクラッチ耐性を向上させることができるという点で凹部形成工程の前に硬化させることが好ましい。
逆に、凹部形成工程の前で硬化させず、凹部形成工程の後で硬化させる場合、レジスト層12および硬化性樹脂層13が未硬化の状態のまま凹部を形成することになるので、凹部の形成が容易になる。
硬化性樹脂層13を硬化させることにより樹脂絶縁層とすることができる。硬化度合としては、半硬化でも完全硬化でも良い。
(凹部形成工程)
工程(2)で得られた、基板15、導電層14、硬化性樹脂層13およびレジスト層12が積層された構造体に、レジスト層12の上からレーザーを照射して配線パターンを形成するための凹部16を形成する(工程(3))。なお、図1では、トレンチ用凹部16Tとビアホール用凹部16Vが示されている。
凹部(16T,16V等)は、レジスト層12を貫通し、硬化性樹脂層13を部分的または完全に貫通するように形成される。凹部(16T,16V等)とは、基板15上の複数の導電層を電気的に接合可能とするためのビアホールあるいは配線パターンを形成するトレンチを表す。すなわち、ビアホール16Vは、硬化性樹脂層13に、レジスト層12を貫通して、基板15の導電層14を露出させるように形成される。トレンチ15Tは、延びた溝、および局部的なビアで、レジスト層12を貫通し、硬化性樹脂層13の途中まで形成され、導電層14とは導通接続されずに、回路パターンを形成する。
レーザーにより凹部16T,16Vを形成する場合、レーザーとしては、微小孔を形成するために一般的に使用されている種々のものを用いることができる。例えば、COレーザー、YAGレーザー、エキシマレーザー等;アルゴンレーザー、ヘリウム−ネオンレーザー等の気体レーザー;サファイアレーザー等の固体レーザーを挙げることができる。その他に色素レーザー、半導体レーザー、自由電子レーザー等を用いてもよい。UV−YAGレーザーや、エキシマレーザーの光源の発振波長は、180〜600nmの範囲が好ましく、COレーザーの発振波長は、9.4〜10.6μmが好ましい。特に、本発明では、COレーザー、UV−YAGレーザーを使用する場合において顕著に効果を発揮することができ、特に加工後にスミアが発生しやすいCOレーザーの場合に有効である。
凹部16T,16Vの大きさは、アスペクト比、直径の大きさ、深さのそれぞれに関して特定の範囲に限定されるものではない。
なお、凹部を形成する方法は、レーザーを用いる方法に限られず、例えばドリル加工などの物理的方法や強アルカリ溶液などの化学的方法を使用して凹部を形成してもよい。
(デスミア工程・超音波工程)
レーザー加工により生じたビアホール内の残留した成分(スミア)を除去することが好ましい。これをデスミアという。デスミアは湿式法でも乾式法でもよい。
湿式法としては、市販品の過マンガン酸塩溶液等のデスミア処理の薬液を用い、スミアを分解除去することができる。また、過マンガン酸塩を含まない強アルカリ溶液を用いることもできる。過マンガン酸塩溶液の例として、セキュリガントSAPシリーズ、セキュリガントMVシリーズ(アトテック社)、アップデスMDS、MDE、MDN過マンガン酸デスミア液(上村工業社)、MLBシリーズ(ロームアンドハース社)などがあげられる。
乾式法としては、プラズマ発生装置や、UV照射、高圧水銀灯、低圧水銀灯などの近紫外線、遠紫外線領域を発生させる紫外線洗浄改質装置などを用いることができる。プラズマ処理においては、例えば、真空プラズマ装置や、常圧プラズマ装置などを用いることができ、酸素、アルゴン、ヘリウム、四フッ化炭素などのガスを用いたプラズマ、および、これらの混合ガスのプラズマなど、公知のプラズマを用いることができる。乾式法によるデスミア処理を行った場合、さらに超音波洗浄を行うことが好ましい。乾式法により、有機成分は除去されるものの、フィラーなどの無機成分に対しては、十分な分解除去性が得られず、残存する恐れがあるが、超音波洗浄を行うことにより、残存する無機成分を除去することができる。
(簡易除去工程)
レーザー加工では、レジスト層12の凹部側の端部が突き出した状態で残る場合がある。その場合、簡易的な除去方法により、その突き出した状態の端部を除去することが好ましい。除去液としては、下記除去工程で使用するものを用いることができるが、時間や温度を調整して下記除去方法よりも簡易的に実施する。なお、この工程は、触媒を付与する工程の後に実施してもよい。
(触媒付与工程)
構造体のレジスト層12側の表面は、レジスト層12の表面と凹部16T,16Vの表面、すなわち、壁面と底面とからなっており、これらのレジスト層12の表面と凹部16V,16Tの表面にめっき用触媒を付与し、めっき用触媒層17を形成する(工程(4))。例えば、2価のパラジウムイオン(Pd2+)を含む触媒液をスプレー等で塗布、乾燥することによって形成する方法や、前記のイオンを含む触媒液に浸漬しめっき用触媒層17を形成する方法があるが、特に限定されるものではない。
例えば、触媒液の組成として、例えば、Pd濃度が100〜300mg/Lの塩化パラジウム(PdCl・2HO)と、Sn濃度が10〜20g/Lの塩化第一スズ(SnCl・2HO)と、150〜250mL/Lの塩酸(HCl)を含有する混合溶液を用いることができる。
めっき用触媒の付与は、触媒液中に構造体を、例えば、温度30〜40℃の条件で3〜10分間浸漬させて、まずPd−Snコロイドを構造体の表面に吸着させる。次に、常温条件下で、50〜100mL/Lの硫酸または塩酸からなるアクセレータ(促進剤)に構造体を浸漬して触媒の活性化を行う。この活性化処理によって、錯化合物のスズが除去され、パラジウム吸着粒子となり、最終的にパラジウム触媒として、無電解めっき処理による金属めっきの析出を促進させるようになる。このようにして、めっき用触媒層17を形成することができる。
(レジスト層除去工程)
触媒付与工程を終えた構造体から、硬化性樹脂層13上のレジスト層12を除去する。レジスト層12を除去すると、レジスト層12上のめっき用触媒層17も一緒に除去される。これにより、凹部16T,16Vの表面(すなわち、壁面と底面)のみにめっき用触媒層17が残る(工程(5))。レジスト層12の除去は、例えば、アルカリ水溶液や塩基性の有機溶剤により行うことができる。好適には、レジスト層12は、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、リン酸ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、アンモニア、テトラメチルアンモニウムハイドロオキシド、エタノールアミンなどのアルカリ水溶液により除去される。それらのアルカリ水溶液中の濃度は、例えば、0.3〜10wt%である。
除去方法としては、ディッピング法、シャワー法、スプレー法、ブラシ法等によることができる。また、除去液としては、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、リン酸ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、TMAH(水酸化テトラメチルアンモニウム)、アンモニア、アミン類等のアルカリ水溶液を用いることができる。
(めっき工程)
レジスト層除去工程を終えた構造体に対し、無電解めっき処理を行い凹部16T,16Vのめっき用触媒層17に無電解めっき層18を形成する。このようにして、凹部16T,16Vの表面にめっき用触媒層17および無電解めっき層18を有するプリント配線板が得られる(工程(6))。無電解めっき処理により凹部16T,16V内にめっき金属を埋め込むことにより、配線パターンが形成される。
無電解めっき液は、特に限定されないが、例えば水溶性第二銅(合金)塩や水溶性ニッケル(合金)塩等の水溶性金属塩を主成分として、ホルムアルデヒドおよび/またはパラホルムアルデヒド、グリオキシル酸またはその塩、次亜リン酸またはその塩、ジメチルアミノボラン等の1種以上の還元剤と、エチレンジアミン四酢酸四ナトリウムおよび/または酒石酸ナトリウムカリウム等の錯化剤を含有するとともに、少なくとも1種の硫黄系有機化合物を含有する無電解めっき液を用いることができる。
図1および図2の各工程の断面図においては、基板の一方の面のみ図示されているが、両側の面に対して同様の処理を行うことができることは言うまでもない。また、上記工程を繰り返すことによって、さらに多層構造を有する多層プリント配線板を製造することもできる。
基板は、一般に電気的絶縁性を有する樹脂からなり、配線パターンとなる導電層が形成された構造である。
基板に使用される樹脂は、特に限定されるものではなく周知のものを用いることができる。なお、この基板を底面(ベース)とし、片面だけに導電層と絶縁層を積層して多層プリント配線板を形成してもよく、基板の両面から、導電層と絶縁層を交互に積層して多層プリント配線板を形成するようにしてもよい。
基板としては、予め回路形成されたプリント配線板やフレキシブルプリント配線板の他、紙−フェノール樹脂、紙−エポキシ樹脂、ガラス布−エポキシ樹脂、ガラス−ポリイミド、ガラス布/不繊布−エポキシ樹脂、ガラス布/紙−エポキシ樹脂、合成繊維−エポキシ樹脂、フッ素樹脂・ポリエチレン・ポリフェニレンエーテル,ポリフェニレンオキシド・シアネートエステル等の複合材を用いた全てのグレード(FR−4等)の銅張積層板、ポリイミドフィルム、PETフィルム、ガラス基板、セラミック基板、ウエハ板等を用いることができる。
導電層は、例えば、銅、アルミニウム、鉄、ニッケル、クロム、モリブデン等の金属箔、またはこれらの合金箔、例えばアルミニウム青銅、リン青銅、黄青銅等の銅合金;あるいはステンレス、アンバー、ニッケル合金、スズ合金等から構成され、これら金属箔等を単層あるいは複数層に積層したもの、無電解や電解めっきにより単層あるいは複数層形成したものを、回路状にエッチングして使用することができる。特に、めっき密着性、導電性、コスト等の観点から、銅または銅合金を使用することが好ましい。
レジスト層の膜厚は、1〜10μmが好ましく、1〜5μmの範囲がより好ましい。1μm以上の場合、乾式デスミア工程時と簡易除去工程時の耐性を向上させることができる。10μm以下の場合、レーザー加工によるトレンチの形成やビアホールの形成、またレジスト層の除去が容易になる。
一方、硬化性樹脂層の膜厚は、5〜180μmが好ましい。
以上説明したように、本発明では、レジスト層を形成するための材料としてアルカリ可溶性樹脂および硬化性成分を含む硬化性樹脂組成物を使用する。これにより、硬化性樹脂層とレジスト層との密着強度を向上させることができる。そのため、レーザーの種類によらず確実に凹部のスミアを除去することができ、しかもめっき用触媒付与後にレジスト層を確実に除去できる
また、本発明では、アルカリ現像等で除去可能なレジスト層を用いることにより、配線パターンやビアホール(via hole)となる凹部のみにめっき用触媒層を形成することができ、これによりこれらの凹部のみに無電解めっきを施すことができる。従って、本発明では、極めて容易にトレンチ配線板等の平坦なプリント配線板を作製することができる。
さらに、本発明により、余分なめっき皮膜を、物理研磨、エッチング等によって除去する必要がなくなり、エッチング等による断線等を防止することができる。特に、例えば、高速信号を扱うプリント配線板や、配線密度の高いプリント配線板にあっては、エッチング等によって断線やショートの原因をもたらし易くなり、余分なめっき皮膜を形成させてしまうことは、作業的、経済的観点からも好ましくない。その点においても、本発明を用いることによって、プリント配線板表面にめっき皮膜が形成されることを抑制できるので、高速信号を扱うプリント配線板や配線密度の高いプリント配線板であっても、信頼性を向上させた製造が可能となる。
加えて、大きなサイズ、例えば510×610mmのプリント配線板においては、プリント配線板の反り等の影響により、プリント配線板表面を均一に研磨したりすることや、エッチングすることが困難となるけれども、このようなプリント配線板に対しても、本発明を適用することによって、余分に付着しためっき金属を取り除く必要はなくなり、余分な設備を設ける必要もなく、作業効率や生産性も向上して、均一な表面を有する良好なプリント配線板を製造することができる。
(硬化性樹脂層形成用材料)
硬化性樹脂層を形成するための材料は、特に限定されるものではなく周知のものを使用することができ、例えば、熱硬化性成分および光硬化性成分のいずれか1種を含む材料でよいが、熱硬化性成分を含む材料が好ましい。
熱硬化性成分としては、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、メラミン誘導体、ベンゾグアナミン誘導体等のアミノ樹脂、ポリイソシアネート化合物、ブロックイソシアネート化合物、シクロカーボネート化合物、エポキシ化合物、オキセタン化合物、エピスルフィド樹脂、ビスマレイミド、カルボジイミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂等の公知の熱硬化性樹脂を使用することができる。特に、分子中に複数の環状エーテル基および環状チオエーテル基(以下、環状(チオ)エーテル基と略す)の少なくとも何れか1種を有する熱硬化性樹脂が好ましい。
上記の分子中に環状(チオ)エーテル基を有する熱硬化性樹脂は、分子中に3、4または5員環の環状(チオ)エーテル基のいずれか一方または2種類の基を複数有する化合物であり、例えば、分子内に複数のエポキシ基を有する化合物、分子内に複数のオキセタニル基を有する化合物、分子内に複数のチオエーテル基を有する化合物、すなわちエピスルフィド樹脂等を挙げることができる。なかでもエポキシ化合物であるエポキシ樹脂が好ましい。
エポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビスフェノールE型エポキシ樹脂、ビスフェノールM型エポキシ樹脂、ビスフェノールP型エポキシ樹脂、ビスフェノールZ型エポキシ樹脂などのビスフェノール型エポキシ樹脂、ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラックエポキシ樹脂などのノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂、アリールアルキレン型エポキシ樹脂、テトラフェニロールエタン型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、アントラセン型エポキシ樹脂、フェノキシ型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、ノルボルネン型エポキシ樹脂、アダマンタン型エポキシ樹脂、フルオレン型エポキシ樹脂、グリシジルメタアクリレート共重合系エポキシ樹脂、シクロヘキシルマレイミドとグリシジルメタアクリレートとの共重合エポキシ樹脂、エポキシ変性のポリブタジエンゴム誘導体、CTBN変性エポキシ樹脂、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル、フェニル−1,3−ジグリシジルエーテル、ビフェニル−4,4’−ジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、エチレングリコールまたはプロピレングリコールのジグリシジルエーテル、ソルビトールポリグリシジルエーテル、トリス(2,3−エポキシプロピル)イソシアヌレート、トリグリシジルトリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、フェノキシ樹脂等が挙げられる。
ブロックイソシアネート化合物のブロック化イソシアネート基は、イソシアネート基がブロック剤との反応により保護されて一時的に不活性化された基であり、所定温度に加熱されたときにそのブロック剤が解離してイソシアネート基が生成する。
上記熱硬化性成分は、必要に応じて硬化剤とともに使用される。硬化剤としては、フェノール樹脂、ポリカルボン酸およびその酸無水物、シアネートエステル樹脂、水酸基をアセチル化などでキャッピングされた活性エステル樹脂、側鎖にカルボキシル基や水酸基、活性エステル構造を有するシクロオレフィンポリマーや、前述した硬化性樹脂の一部に水酸基、カルボキシル基、活性エステル構造を有する環状エーテル基と反応する置換基を有する硬化剤と共に使用される。硬化剤は1種を単独または2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記フェノール樹脂としては、フェノールノボラック樹脂、アルキルフェノールボラック樹脂、ビスフェノールAノボラック樹脂、ジシクロペンタジエン型フェノール樹脂、Xylok型フェノール樹脂、テルペン変性フェノール樹脂、クレゾール/ナフトール樹脂、ポリビニルフェノール類、フェノール/ナフトール樹脂、α−ナフトール骨格含有フェノール樹脂、トリアジン含有クレゾールノボラック樹脂等の従来公知のものを、1種を単独または2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記ポリカルボン酸およびその酸無水物は、一分子中に2個以上のカルボキシル基を有する化合物およびその酸無水物であり、例えば(メタ)アクリル酸の共重合物、無水マレイン酸の共重合物、二塩基酸の縮合物等の他、カルボン酸末端イミド樹脂等のカルボン酸末端を有する樹脂が挙げられる。
上記シアネートエステル樹脂は、一分子中に2個以上のシアネートエステル基(−OCN)を有する化合物である。シアネートエステル樹脂は、従来公知のものをいずれも使用することができる。シアネートエステル樹脂としては、例えば、フェノールノボラック型シアネートエステル樹脂、アルキルフェノールノボラック型シアネートエステル樹脂、ジシクロペンタジエン型シアネートエステル樹脂、ビスフェノールA型シアネートエステル樹脂、ビスフェノールF型シアネートエステル樹脂、ビスフェノールS型シアネートエステル樹脂が挙げられる。また、一部がトリアジン化したプレポリマーであってもよい。
上記活性エステル樹脂は、一分子中に2個以上の活性エステル基を有する樹脂である。活性エステル樹脂は、一般に、カルボン酸化合物とヒドロキシ化合物との縮合反応によって得ることができる。中でも、ヒドロキシ化合物としてフェノール化合物またはナフトール化合物を用いて得られる活性エステル化合物が好ましい。フェノール化合物またはナフトール化合物としては、ハイドロキノン、レゾルシン、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、フェノールフタリン、メチル化ビスフェノールA、メチル化ビスフェノールF、メチル化ビスフェノールS、フェノール、o−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾール、カテコール、α−ナフトール、β−ナフトール、1,5−ジヒドロキシナフタレン、1,6−ジヒドロキシナフタレン、2,6−ジヒドロキシナフタレン、ジヒドロキシベンゾフェノン、トリヒドロキシベンゾフェノン、テトラヒドロキシベンゾフェノン、フロログルシン、ベンゼントリオール、ジシクロペンタジエニルジフェノール、フェノールノボラック等が挙げられる。
また、硬化剤として、脂環式オレフィン重合体を用いてもよい。脂環式オレフィン重合体の製造方法の具体例としては、(1)カルボキシル基および/またはカルボン酸無水物基(以下、「カルボキシル基等」と称する)を有する脂環式オレフィンを、必要に応じて他の単量体と共に重合する方法、(2)カルボキシル基等を有する芳香族オレフィンを、必要に応じて他の単量体と共に重合して得られる(共)重合体の芳香環部分を水素化する方法、(3)カルボキシル基等を有しない脂環式オレフィンと、カルボキシル基等を有する単量体とを共重合する方法、(4)カルボキシル基等を有しない芳香族オレフィンと、カルボキシル基等を有する単量体とを共重合して得られる共重合体の芳香環部分を水素化する方法、(5)カルボキシル基等を有しない脂環式オレフィン重合体にカルボキシル基等を有する化合物を変性反応により導入する方法、もしくは、(6)前記(1)〜(5)のようにして得られるカルボン酸エステル基を有する脂環式オレフィン重合体のカルボン酸エステル基を、例えば加水分解等によりカルボキシル基に変換する方法等が挙げられる。
熱硬化性成分は、硬化性樹脂層形成用材料全量基準で、10〜30質量%が好ましい。
特に分子中に複数の環状チオエーテル基を有する熱硬化性樹脂の配合量は、硬化剤の官能基1当量に対して、熱硬化性官能基が0.6〜2.5当量であることが好ましい。配合量が0.6以上の場合、耐アルカリ性に優れる。一方、2.5当量以下の場合、塗膜の強度が向上する。より好ましくは、0.8〜2.0当量である。
硬化性樹脂層形成用材料としては、上記のほか、熱可塑性樹脂、エラストマー、ゴム状粒子などの高分子樹脂、シリカや硫酸バリウムなどの無機充填剤、イミダゾールなどの硬化促進剤、難燃剤、着色剤、その他添加剤を含んでもよい。硬化性樹脂層形成用材料は、硬化により絶縁性を示す材料、すなわち、絶縁性材料であることが好ましい。
(レジスト層形成用の硬化性樹脂組成物)
レジスト層形成用の硬化性樹脂組成物(以下、レジスト層形成用組成物とも言う。)は、アルカリ水溶液による除去に適していることから、アルカリ可溶性樹脂および硬化性成分を含む組成物である。
アルカリ可溶性樹脂としてのカルボキシル基含有樹脂またはヒドロキシル基含有樹脂が好ましい。特にカルボキシル基含有樹脂の場合、炭酸ナトリウムなどの弱アルカリにでも容易に溶解させることができるため好ましい。
上記ヒドロキシル基含有樹脂として、フェノール樹脂、ポリビニルアセタール樹脂が挙げられる。フェノール樹脂としては、フェノールノボラック樹脂、アルキルフェノールボラック樹脂、ビスフェノールAノボラック樹脂、ジシクロペンタジエン型フェノール樹脂、Xylok型フェノール樹脂、テルペン変性フェノール樹脂、クレゾール/ナフトール樹脂、ポリビニルフェノール類、フェノール/ナフトール樹脂、α−ナフトール骨格含有フェノール樹脂、トリアジン含有クレゾールノボラック樹脂等の従来公知のものを、1種を単独または2種以上を組み合わせて用いることができる。ポリビニルアセタール樹脂として、特にポリビニルブチラール樹脂が好ましい。ポリビニルアセタール樹脂の具体例としては、電気化学工業(株)製、電化ブチラール4000−2、5000−A、6000−C、6000−EP、積水化学工業(株)製エスレックBHシリーズ、BXシリーズ、KSシリーズ、BLシリーズ、BMシリーズ等が挙げられる。レーザー加工時の耐熱性の観点から、ヒドロキシル基含有樹脂は、フェノール樹脂であることが好ましい。
前記カルボキシル基含有樹脂およびその酸無水物は、一分子中に2個以上のカルボキシル基を有する化合物およびその酸無水物であり、例えば(メタ)アクリル酸の共重合物、無水マレイン酸の共重合物、二塩基酸の縮合物などの他、カルボン酸末端イミド樹脂等のカルボン酸末端を有する樹脂が挙げられる。市販品としては、BASFジャパン社製のジョンクリル(商品群名)、サートマー社製のSMAレジン(商品群名)、新日本理化社製のポリアゼライン酸無水物、DIC社製のV−8000、V−8002等のカルボン酸末端ポリイミド樹脂等の従来公知のものを、1種を単独または2種以上を組み合わせて用いることができる。また、ヒドロキシル基含有樹脂とカルボキシル基含有樹脂は併用して用いてもよい。
アルカリ可溶性樹脂は、バックボーン・ポリマー(ポリマー主鎖)の側鎖に多数のカルボキシル基などのアルカリ可溶性基を有するため、希アルカリ水溶液による除去が可能になる。
アルカリ可溶性樹脂の酸価は、40〜200mgKOH/gの範囲が好ましく、さらに45〜120mgKOH/gの範囲が好ましい。アルカリ可溶性樹脂の酸価が40mgKOH/g以上の場合、希アルカリ水溶液による除去が容易になる。一方、200mgKOH/g以下の場合、湿式のデスミア耐性に優れる。
アルカリ可溶性樹脂の質量平均分子量Mwは、樹脂骨格により異なるが、一般的にポリスチレン換算で2,000〜150,000、さらには5,000〜100,000の範囲が好ましい。質量平均分子量が2,000以上の場合、タックフリーに優れる。一方、質量平均分子量が150,000以下の場合、アルカリ現像性に優れる。アルカリ可溶性樹脂の配合量は、レジスト層の組成物の固形分全量基準で30〜80質量%、好ましくは40〜75質量%の範囲が適切である。
硬化性成分としては、上記熱硬化性成分でも光硬化性成分でもよい。
光硬化性成分としては、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート類;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート類;エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール等のアルキレンオキシド誘導体のモノまたはジ(メタ)アクリレート類;ヘキサンジオール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジトリメチロールプロパン、ジペンタエリスリトール、トリスヒドロキシエチルイソシアヌレート等の多価アルコールまたはこれらのエチレンオキシドあるいはプロピレンオキシド付加物の多価(メタ)アクリレート類;フェノキシエチル(メタ)アクリレート、ビスフェノールAのポリエトキシジ(メタ)アクリレート等のフェノール類のエチレンオキシドあるいはプロピレンオキシド付加物の(メタ)アクリレート類;グリセリンジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、トリグリシジルイソシアヌレートなどのグリジジルエーテルの(メタ)アクリレート類;およびメラミン(メタ)アクリレート等を挙げることができる。
光硬化性成分の配合量は、アルカリ可溶性樹脂100質量部に対して、好ましくは5〜120質量部、より好ましくは15〜120質量部、さらにより好ましくは30〜120質量部の割合である。上記配合率の範囲では、光硬化性が向上して、パターン形成が容易となり、硬化膜の強度も向上できる。
レジスト層形成用組成物が光硬化性成分を含む場合、ラジカル、塩基および酸のいずれか1種を発生する光反応開始剤を含むことが好ましい。光反応開始剤としては、例えば、ビス−(2,6−ジクロロベンゾイル)フェニルフォスフィンオキサイド、ビス−(2,6−ジクロロベンゾイル)−2,5−ジメチルフェニルフォスフィンオキサイド、ビス−(2,6−ジクロロベンゾイル)−4−プロピルフェニルフォスフィンオキサイド、ビス−(2,6−ジクロロベンゾイル)−1−ナフチルフォスフィンオキサイド、ビス−(2,6−ジメトキシベンゾイル)フェニルフォスフィンオキサイド、ビス−(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルフォスフィンオキサイド、ビス−(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,5−ジメチルフェニルフォスフィンオキサイド、ビス−(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド(BASFジャパン(株)製,IRGACURE819)等のビスアシルフォスフィンオキサイド類;2,6−ジメトキシベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、2,6−ジクロロベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイルフェニルフォスフィン酸メチルエステル、2−メチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、ピバロイルフェニルフォスフィン酸イソプロピルエステル、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド(BASFジャパン(株)製,DAROCUR TPO)等のモノアシルフォスフィンオキサイド類;1−ヒドロキシ−シクロヘキシルフェニルケトン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−1−{4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−ベンジル]フェニル}−2−メチル−プロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン等のヒドロキシアセトフェノン類;ベンゾイン、ベンジル、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインn−プロピルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインn−ブチルエーテル等のベンゾイン類;ベンゾインアルキルエーテル類;ベンゾフェノン、p−メチルベンゾフェノン、ミヒラーズケトン、メチルベンゾフェノン、4,4’−ジクロロベンゾフェノン、4,4’−ビスジエチルアミノベンゾフェノン等のベンゾフェノン類;アセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2,2−ジエトキシ−2−フェニルアセトフェノン、1,1−ジクロロアセトフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノ−1−プロパノン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1、N,N−ジメチルアミノアセトフェノン等のアセトフェノン類;チオキサントン、2−エチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン等のチオキサントン類;アントラキノン、クロロアントラキノン、2−メチルアントラキノン、2−エチルアントラキノン、2−tert−ブチルアントラキノン、1−クロロアントラキノン、2−アミルアントラキノン、2−アミノアントラキノン等のアントラキノン類;アセトフェノンジメチルケタール、ベンジルジメチルケタール等のケタール類;エチル−4−ジメチルアミノベンゾエート、2−(ジメチルアミノ)エチルベンゾエート、p−ジメチル安息香酸エチルエステル等の安息香酸エステル類;1.2−オクタンジオン,1−[4−(フェニルチオ)−,2−(O−ベンゾイルオキシム)]、エタノン,1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−,1−(0−アセチルオキシム)等のオキシムエステル類;ビス(η5−2,4−シクロペンタジエン−1−イル)−ビス(2,6−ジフルオロ−3−(1H−ピロール−1−イル)フェニル)チタニウム、ビス(シクロペンタジエニル)−ビス[2,6−ジフルオロ−3−(2−(1−ピル−1−イル)エチル)フェニル]チタニウム等のチタノセン類;フェニルジスルフィド2−ニトロフルオレン、ブチロイン、アニソインエチルエーテル、アゾビスイソブチロニトリル、テトラメチルチウラムジスルフィド等を挙げることができる。以上の光反応開始剤は、いずれも1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
光反応開始剤の配合量は、アルカリ可溶性樹脂100質量部に対して、例えば、0.1〜50質量部である。光反応開始剤をこの範囲で配合することで、銅上での光硬化性が十分となり、塗膜の硬化性が良好となり、耐薬品性等の塗膜特性が向上し、また、深部硬化性も向上する。光反応開始剤の配合量は、好ましくはアルカリ可溶性樹脂100質量部に対して、1〜40質量部である。
レジスト層形成用組成物は、撥水性の添加剤(撥水剤とも言う。)を含むことが好ましい。撥水剤としては、Si系、F系化合物を含むシリコーン系添加剤やフッ素系添加剤が挙げられる。撥水剤を加えることで、表層部への触媒の付与を抑制できるうえ、凹部のみに触媒を付与することができる。
また、他の添加剤として、消泡剤やレベリング剤を配合することにより、表面平滑性の劣化を防止し、ボイドやピンホールによる層間絶縁性の劣化も防止することができる。消泡剤やレベリング剤の具体例としては、市販されている非シリコーン系の破泡性ポリマー溶液からなる消泡剤としてビックケミー・ジャパン(株)製のBYK(登録商標)−054、−055、−057、−1790などが挙げられ、シリコーン系の消泡剤としてはビックケミー・ジャパン(株)製のBYK(登録商標)−063、−065、−066N、−067A、−077および信越化学(株)製のKS−66(商品名)などが挙げられる。フッ素系添加剤としてはDIC社のメガファックシリーズ、メガファックRS、F−554、F−557などが挙げられる。このような添加剤の配合量は、レジスト層の合計100質量部に対して、10質量部以下、好ましくは0.01〜5質量部が適切である。
レジスト層形成用組成物は、レーザー光源の吸収助剤となる増感剤を含むことが好ましい。増感剤は、凹部形成工程で述べたレーザーの光源の発振波長に吸収のある材料であることが好ましい。光源の発振波長での吸収の評価方法は、紫外可視分光光度計および積分球装置やIRスペクトル測定を行うことで吸収の確認を行うことができる。紫外可視分光光度計の場合、ガラス板上に硬化性樹脂組成物を塗布、乾燥させたガラス基板を用い、IRスペクトルの場合、KBr板上に塗布、乾燥させた基板について、それぞれの吸収波長を測定することができる。光源にUV−YAGやエキシマレーザーを用いた場合、180〜600nmの範囲で、紫外可視分光光度計にて測定した吸光度が、0.1〜1.0の範囲であることが好ましく、0.3〜0.8の範囲であることがより好ましい。また、光源にCOレーザーを用いた場合、9.4〜10.6μmの範囲で、IRスペクトルにて測定した吸光度が、5〜95%の範囲であることが好ましい。上記範囲にすることで、レーザーによるダメージを抑えることが可能で、レジスト層の凹部側の端部が突き出した状態になることを抑制することが可能となる。増感剤としては、ベンゾイン化合物、アセトフェノン化合物、アントラキノン化合物、チオキサントン化合物、ケタール化合物、ベンゾフェノン化合物、キサントン化合物、および第3級アミン化合物等を挙げることができる。
ベンゾイン化合物の具体例を挙げると、例えば、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテルである。
アセトフェノン化合物の具体例を挙げると、例えば、アセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2,2−ジエトキシ−2−フェニルアセトフェノン、1,1−ジクロロアセトフェノンである。
アントラキノン化合物の具体例を挙げると、例えば、2−メチルアントラキノン、2−エチルアントラキノン、2−t−ブチルアントラキノン、1−クロロアントラキノンである。
チオキサントン化合物の具体例を挙げると、例えば、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントンである。
ケタール化合物の具体例を挙げると、例えば、アセトフェノンジメチルケタール、ベンジルジメチルケタールである。
ベンゾフェノン化合物の具体例を挙げると、例えば、ベンゾフェノン、4−ベンゾイルジフェニルスルフィド、4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルスルフィド、4−ベンゾイル−4’−エチルジフェニルスルフィド、4−ベンゾイル−4’−プロピルジフェニルスルフィドである。
第3級アミン化合物の具体例を挙げると、例えば、エタノールアミン化合物、ジアルキルアミノベンゼン構造を有する化合物、例えば、4,4’−ジメチルアミノベンゾフェノン(日本曹達社製ニッソキュアーMABP)、4,4’−ジエチルアミノベンゾフェノン(保土ヶ谷化学社製EAB)などのジアルキルアミノベンゾフェノン、7−(ジエチルアミノ)−4−メチル−2H−1−ベンゾピラン−2−オン(7−(ジエチルアミノ)−4−メチルクマリン)等のジアルキルアミノ基含有クマリン化合物、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル(日本化薬社製カヤキュアーEPA)、2−ジメチルアミノ安息香酸エチル(インターナショナルバイオ−シンセエティックス社製Quantacure DMB)、4−ジメチルアミノ安息香酸(n−ブトキシ)エチル(インターナショナルバイオ−シンセエティックス社製Quantacure BEA)、p−ジメチルアミノ安息香酸イソアミルエチルエステル(日本化薬社製カヤキュアーDMBI)、4−ジメチルアミノ安息香酸2−エチルヘキシル(Van Dyk社製Esolol 507)、4,4’−ジエチルアミノベンゾフェノン(保土ヶ谷化学社製EAB)である。
このような増感剤の配合量としては、組成物100質量部(2種以上を使用する場合にはそれらの合計量)に対して、好ましくは30質量部以下、より好ましくは20質量部以下の割合が適切である。
また、本発明の組成物等は、ビルドアップ工法による高密度多層プリント配線板の製造にのみ適用されるものではなく、例えば、ウエハレベルCSP(Chip SizeエポキシPackageまたはChip ScaleエポキシPackage)、あるいはTCP(Tape Carrier Package)等における多層配線層の製造工程にも適用することができる。
以下、本発明の具体的な実施例および比較例ついて説明する。但し、本発明は、それらに限られない。
<硬化性樹脂層(A層)、レジスト層(B層)用組成物作製>
表1に記載の配合に従って、実施例および比較例に記載の材料をそれぞれ配合混練し、A層形成用材料、およびB層形成用組成物を調製した。表中の値は、質量部である。
<A層形成用ドライフィルムの作製>
キャリアフィルムとして、38μmの厚みのPETフィルム上に、A層形成用材料を、アプリケーターを用いて塗布し、その後、熱風循環式乾燥路にて90℃/10min乾燥し、A層を有するドライフィルムを作製した。A層の厚みは乾燥後、約20μm、A層中の溶剤量が0.3〜3.0wt%になるように調整した。その後、得られたドライフィルムを所定のサイズにスリット加工を行った。
<B層形成用ドライフィルムの作製>
キャリアフィルムとして、38μmの厚みのPETフィルム上に、B層形成用組成物を、アプリケーターを用いて塗布し、その後、熱風循環式乾燥炉にて90℃/10min乾燥して、B層を有するドライフィルムを作製した。B層の厚みは乾燥後、約3μm、B層中の溶剤量が0.3〜15wt%になるように調整した。その後、得られたドライフィルムを所定のサイズにスリット加工を行った。
<A層のラミネートおよび硬化>
銅厚5μmの導電層が形成されている両面基板を用意し、メック社CZ−8101を使用して前処理を行った。次いで、名機社真空ラミネーターMVLP−500を用いて基板の表裏に順次ドライフィルムをラミネートし、基板の両面にA層を形成した構造体を得た。ラミネート条件は温度80℃、圧力5kg/cm/60secでおこなった。次いで、キャリアフィルムを剥離し、熱風循環式乾燥炉にて180℃/30min熱硬化し、基板の両面に硬化したA層を形成した構造体を得た。
<B層のラミネート>
次いで、両面に硬化したA層を形成した構造体上に、名機社真空ラミネーターMVLP−500を用いて構造体の表裏にB層を有するドライフィルムをラミネートした。そして、表裏のPETフィルムを剥離し、A層およびB層を表裏に形成した構造体を得た。ラミネート条件は温度100℃、圧力5kg/cm/60secでおこなった。
<B層の硬化:UV硬化>
B層の硬化方法が「UV硬化」のものについて、上記B層を形成した構造体に、高圧水銀灯が搭載されたUVコンベア装置で1J/cmの条件でUV照射を行い、B層を硬化させた。
<B層の硬化:熱硬化>
B層の硬化方法が「熱硬化」のものについて、上記B層を形成した構造体に、熱風循環式乾燥炉を用い、150℃にて60分間熱硬化を行い、B層を硬化させた。
<トレンチパターンおよびビアホールの形成>
A層およびB層を形成した構造体について、ビアメカニクス社エキシマレーザーLE−1A(光源XeCl:308nm、出力150W、ラインビームスキャン37.5mm幅)、クロムマスクを用いトレンチパターンの溝幅10μm、深さ10μmのラインを形成した。ラインの深さはB層の表面からの深さのことである。
次いで、COレーザーにてビアの形成をおこなった。導電層まで到達するビアホールを形成するためにビアメカニクス社COレーザー(日立ビアメカニクス社、光源10.6μm)にて、アパチャー(マスク径):3.1mm、パルス幅20μsec、出力2W、周波数5kHz、バースト3ショットの条件で、トップ径65μm、ボトム50μmのビアホールの形成をおこなった。
<A層とB層の密着性>
JIS−K5400に準拠し、上記トレンチパターン等を形成した構造体に、カッターナイフを用いA層に到達するようにB層に縦11本、横11本の切り傷をつけ、100個の碁盤目を作製した。
次いで、碁盤目部分にセロハンテープを強く圧着させ、テープの端を45°の角度で一気に引き剥がし、碁盤目の状態を目視にて観察し、以下の基準にて評価した。
(評価方法)
○:100マスすべてで剥がれ無し
×:碁盤目で1箇所以上剥がれが確認された
<レーザー加工性の評価>
上記トレンチパターン等を形成した構造体について、パターン部のラインおよびビアホール形状を光学顕微鏡にて観察し、以下の判断基準に従い評価を行った。
(評価方法)
◎:トレンチパターンの形成が設計どおりで、その端部も突き出しがなく綺麗な状態。
○:トレンチパターンの端部のレジスト層が溶融し、端部が突き出した状態がわずかに観察された。
×:トレンチパターンの端部のレジスト層が溶融し、端部の突き出しおよび浮きが観察された。
<デスミア耐性>
トレンチパターン等を形成した構造体について、過マンガン酸デスミア水溶液にてビアホール底部の残渣の除去およびトレンチパターンのライン内部のスミアの除去処理を行った。薬液はロームアンドハース社、膨潤MLB−211(70℃/5min)過マンガン酸水溶液MLB−213(70℃/10min)であり、次いで還元MLB−216(50℃/5min)処理を行いスミア除去を行い、以下の基準に従い、デスミア耐性の評価を行った。
(評価方法)
◎:B層剥離なし。ビアホール底部およびライン底部に残渣がみられなかった。
○:B層剥離なし。ビアホール底部およびライン底部に残渣がみられなかった。ただし、表面の一部に変色(過マンガン酸の色が着色)が確認された。
△:ビアホール底部およびライン底部に残渣がみられなかった。表面の一部に変色(過マンガン酸の色が着色)が確認され、また光学顕微鏡観察した結果、部分的に数ミクロンのB層の浮きが確認された。
×:ビアホール底部の残渣がみられなかったが、B層が完全に剥離、溶解した。
<触媒付与>
デスミア処理によりスミアを除去した後、以下の触媒付与プロセス(上村工業(株)製のスルカップシリーズ)を用い、構造体の表層およびトレンチライン形成部へ触媒の付与を行った。詳細条件は下記に記すとおりである。
(条件)
クリーナーコンディショナー(スルカップPCK−120−I、60℃/5min)
ソフトエッチ(アディディブMSE−7、25℃/2min)
硫酸洗浄(室温/1min)
プレディップ(スルカップPED−104、25℃/1min)
アクチベーター(スルカップAT−105およびPED104の混合液、30℃/8min)
<B層の剥離性>
触媒付与を行った構造体について、B層の表層部の触媒を取り除くため、B層の除去を行った。剥離液は3wt%の各アルカリ水溶液(炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム)にて、液温50℃、スプレー圧0.2MPa、60secの条件にて剥離処理を行った。60secで剥離できないものについては、180secまで時間を延長し、剥離性の確認をおこなった。剥離後、光化学顕微鏡にて表層部の観察を行い、下記基準に従い評価を行った。
(評価方法)
◎:炭酸ナトリウム水溶液、水酸化ナトリウム水溶液ともにB層を剥離することができた。
○:水酸化ナトリウム水溶液の場合のみB層を剥離することができた。
△:水酸化ナトリウム水溶液の180secでB層を剥離することができた。
×:水酸化ナトリウム水溶液の180secでB層を剥離することができず、構造体の表層部にB層の残渣がみられた。
Figure 2016146394
Figure 2016146394
実施例2,3は、モノマーの配合量を変更した以外は、実施例1と同じである。実施例4は、添加剤の種類を変更した以外は、実施例1と同じである。実施例5は、光重合開始剤の種類をおよび配合量を変更した以外は、実施例1と同じである。実施例6〜8は、B層の樹脂を変更した以外は実施例1と同じである。実施例9,10は、A層の組成を変更した以外は実施例1と同じである。
比較例1〜3は、B層の組成を変更した以外は実施例1と同じである。
以下に、各層に使用した材料について説明する。
硬化性樹脂層:A層
1)エポキシ樹脂
Figure 2016146394
2)硬化剤
Figure 2016146394
3)熱可塑性樹脂
Figure 2016146394
4)ゴム状粒子
Figure 2016146394
5)難燃剤
Figure 2016146394
6)無機充填剤
Figure 2016146394
7)硬化促進剤
Figure 2016146394
8)有機溶剤
Figure 2016146394
レジスト層:B層
※1 Joncryl 586:スチレンアクリル酸共重合体(酸価108mg/KOH、Mw=4600、BASF社)
※2 ZFR−1401H:(酸価100mgKOH/g、日本化薬製)
※3 HF−1:フェノールノボラック樹脂(水酸基当量104〜108g/eq、軟化点=82〜86℃、明和化成社)
※4 HP−7200:ジシクロペンタジエン型エポキシ(エポキシ当量254〜264g/eq、D軟化点56〜66℃、DIC社)
※5 SBR:スチレン−ブタジエンラバー(酸当量600g/eq、日本ゼオン社)
※6 DPHA:ジペンタエリスリトールエキサアクリレート、ダイセルオルネクス社
※7 Irg369:α−アミノアセトフェノン系光重合開始剤(2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1)、BASFジャパン社
※8 OXE−02:オキシムエステル系光重合開始剤(エタノン,1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−,1−(0−アセチルオキシム))、BASFジャパン社
※9 EAB:4,4’’−ジエチルアミノベンゾフェノン(保土ヶ谷化学社)
※10 DETX−S:2,4−ジメチルチオキサントン、日本化薬社
※11 KS−66:シリコーン系消泡剤、信越化学工業(株)
※12 F−554:含フッ素基・親油性基含有オリゴマー、DIC社
上記観察の結果、実施例1〜10では、密着性、レーザー加工性、デスミア耐性、および剥離性のいずれも良好であり、レーザー加工の種類によらず、確実にスミアを除去することができた。
これに対し、比較例1〜3ではB層が硬化しないタイプのものであるため、密着性、レーザー加工性、デスミア耐性、および剥離性のいずれかが不十分であった。
11 フィルム
12 レジスト層
13 熱硬化性樹脂層
14 導電層
15 基板
16T,16V 凹部
17 めっき用触媒層
18 無電解めっき層

Claims (6)

  1. 基板の表面に、硬化性樹脂層を介してレジスト層を形成する工程、
    該レジスト層側から、該レジスト層および前記硬化性樹脂層に凹部を形成する工程、
    前記レジスト層表面および前記凹部表面にめっき用触媒を付与する工程、
    前記レジスト層をその表面のめっき用触媒と共に除去する工程、および
    前記凹部表面に無電解めっきを施す工程、
    を含むプリント配線板の製造方法における前記レジスト層を形成するために用いる組成物であって、
    前記組成物が、アルカリ可溶性樹脂および硬化性成分を含むことを特徴とする硬化性樹脂組成物。
  2. さらに、撥水性の添加剤を含む請求項1記載の硬化性樹脂組成物。
  3. 前記硬化性成分が、光硬化性成分および熱硬化性成分のいずれか1種を含む請求項1または2記載の硬化性樹脂組成物。
  4. フィルム上に、請求項1〜3のうちいずれか1項に記載の硬化性樹脂組成物を塗布および乾燥してなる層を有することを特徴とするドライフィルム。
  5. 請求項1〜3のうちいずれか1項に記載の硬化性樹脂組成物または請求項4記載のドライフィルムを用いて得られることを特徴とするプリント配線板。
  6. 基板の表面に、硬化性樹脂層を介してレジスト層を形成する工程、
    該レジスト層側から、該レジスト層および前記硬化性樹脂層に凹部を形成する工程、
    前記レジスト層表面および前記凹部表面にめっき用触媒を付与する工程、
    前記レジスト層をその表面のめっき用触媒と共に除去する工程、および
    前記凹部表面に無電解めっきを施す工程、
    を含むプリント配線板の製造方法であって、
    前記レジスト層としてアルカリ可溶性樹脂および硬化性成分を含む硬化性樹脂組成物を用いたことを特徴とするプリント配線板の製造方法。
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