JP2016146375A - 蛍光体含有樹脂シート、それを用いた発光装置およびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】LED素子に波長変換層として貼り付ける蛍光体含有樹脂シートとして、完全硬化させた後も剥離しづらい蛍光体シートを提供すること。
【解決手段】シリコーン樹脂と蛍光体を含有する蛍光体含有樹脂シートであって、完全硬化させた前記蛍光体含有樹脂シートの、25℃における傾斜式ボールタック試験によるボールナンバーが2以下であり、100℃における傾斜式ボールタック試験によるボールナンバーが6以上であることを特徴とする蛍光体含有樹脂シート。
【選択図】なし

Description

本発明は、LED素子の発光波長を変換するためのシート状の蛍光材料に関する。
発光ダイオード(LED、Light Emitting Diode)は、その発光効率の目覚ましい向上を背景とし、低消費電力、高寿命、意匠性などを特長とした液晶ディスプレイ(LCD)用バックライト、車載用ヘッドライト、スポットライト、一般照明用途で急激に市場を拡大しつつある。
LEDの発光スペクトルは、LED素子を形成する半導体材料に依存するためその発光色は限られている。そのため、LEDを用いてLCDバックライトや一般照明向けの白色光を得るためにはLED素子上にそれぞれのチップに適合した蛍光体を配置し、発光波長を変換する必要がある。具体的には、青色発光するLED素子上に黄色蛍光体を設置する方法、青色発光するLED素子上に赤および緑の蛍光体を設置する方法、紫外線を発するLED素子上に赤、緑、青の蛍光体を設置する方法などが提案されている。これらの中で、LED素子の発光効率やコストの面から青色LED上に黄色蛍光体を設置する方法、および青色LED上に赤および緑の蛍光体を設置する方法が現在最も広く採用されている。
LED素子上に蛍光体を設置する具体的な方法の1つとして、LED素子上に、蛍光体を含有したシート(以下蛍光体含有樹脂シート)を貼り合わせる方法が提案されている(例えば、特許文献1〜3参照)。この方法は、従来実用化されている蛍光体を分散した液状樹脂をLED素子上にディスペンスして硬化する方法と比較して、一定量の蛍光体をLED素子上に配置することが容易であり、結果として得られる白色LEDの色や輝度を均一にできる点で優れている。
特開2009−235368号公報 特開2010−123802号公報 特許2011−102004号公報
蛍光体含有樹脂シートをLED素子に貼り合わせる方法は、前述のように液状蛍光体樹脂を用いるよりも色や輝度の安定化のためには優れた方法ではあるが、完全硬化後の蛍光体含有樹脂シートとLED素子の接着性が長期的に保持されにくいという問題があった。
これは、蛍光体含有樹脂シートの接着層は、完全硬化後に硬くなり、タックがほとんど無くなるため、高温時にシートが膨張した時に、LED素子とシートの接着が徐々に損なわれていくためと考えられる。そのために、長期的に蛍光体含有樹脂シートとLED素子との接着性に優れる蛍光体含有樹脂シート材料を開発することが重要となる。
シリコーン樹脂と蛍光体を含有する蛍光体含有樹脂シートであって、完全硬化させた前記蛍光体含有樹脂シートの、25℃における傾斜式ボールタック試験によるボールナンバーが2以下であり、100℃における傾斜式ボールタック試験によるボールナンバーが6以上であることを特徴とする蛍光体含有樹脂シートである。
本発明の蛍光体含有樹脂シートは、完全硬化させた後にも高温時におけるタックが保たれるために、LED素子との接着性が長期的に保持される。
本発明の蛍光体含有樹脂シートによるLED発光装置製造工程の第1の例。 本発明の蛍光体含有樹脂シートによるLED発光装置製造工程の第2の例。 本発明の蛍光体含有樹脂シートによるLED発光装置製造工程の第3の例。 本発明の蛍光体含有樹脂シートによるLED発光装置製造工程の第4の例
本発明の蛍光体含有樹脂シートは、シリコーン樹脂と蛍光体を含むものである。必要に応じその他の成分を含んでいてもよい。
本発明で用いられるシリコーン樹脂としては、架橋性のシリコーン樹脂が好ましい。一液型、二液型(三液型)のいずれの液構成を使用してもよい。架橋性のシリコーン樹脂には、空気中の水分あるいは触媒によって縮合反応を起こすタイプとして脱アルコール型、脱オキシム型、脱酢酸型、脱ヒドロキシルアミン型などがある。また、触媒によってヒドロシリル化反応を起こすタイプとして付加反応型がある。これらのいずれのタイプの硬化型シリコーンゴムを使用してもよい。特に、付加反応型の架橋性シリコーン樹脂は硬化反応に伴う副成物がなく、硬化収縮が小さい点、加熱により硬化を早めることが容易な点でより好ましい。
付加反応型の架橋性シリコーン樹脂は、一例として、ケイ素原子に結合したアルケニル基を含有する化合物と、ケイ素原子に結合した水素原子を有する化合物のヒドロシリル化反応により形成される。このような材料としては、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、アリルトリメトキシシラン、プロペニルトリメトキシシラン、ノルボルネニルトリメトキシシラン、オクテニルトリメトキシシラン等のケイ素原子に結合したアルケニル基を含有する化合物と、メチルハイドロジェンポリシロキサン、ジメチルポリシロキサン-CO-メチルハイドロジェンポリシロキサン、エチルハイドロジェンポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン-CO-メチルフェニルポリシロキサン等のケイ素原子に結合した水素原子を有する化合物のヒドロシリル化反応により形成されるものが挙げられる。また、他にも、例えば特開2010−159411号公報に記載されているような公知のものを利用することができる。
本発明においては、シリコーン樹脂の一部に非架橋性シリコーン樹脂を用いることが好ましい。すなわち、シリコーン樹脂として、非架橋性シリコーン樹脂と、架橋性シリコーン樹脂の両方を用いることが好ましい。ここで、非架橋性シリコーン樹脂というのは、150℃以下の温度で架橋せず、硬化が進行しないものであり、架橋性シリコーン樹脂というのは、150℃以下の温度で架橋して、完全硬化するものを指す。
本発明においては、シリコーン樹脂中の、架橋性シリコーン樹脂と非架橋性シリコーン樹脂の割合を適宜設計することで、完全硬化させた後にも高温時におけるタックを保つことが可能となり、本発明の実施に有用な樹脂が得られるが、架橋性シリコーン樹脂に対する非架橋性シリコーン樹脂の好適な比率は、架橋性シリコーン樹脂100重量部に対して、0.5〜200重量部であり、より好ましくは、5〜100重量部、さらに好ましくは、10〜50重量部である。前記範囲内にあることにより、蛍光体含有樹脂シートが好適なタックを有する。
本発明における非架橋性シリコーン樹脂は、ガラス転移点温度が50〜150℃の範囲内にあるものが好ましい。より好ましくは、70〜120℃である。ガラス転移点温度が50℃以上になると、蛍光体含有樹脂シートのタックが小さく適切になる。また、ガラス転移点温度が150℃以下でも、蛍光体含有樹脂シートのタックが適切になる。
なお、本発明の化合物のガラス転移点の測定は、市販の測定器[例えば、セイコー電子工業社製の示差走査熱量計(商品名 DSC6220 昇温速度 0.5℃/min)]によって、測定可能である。
本発明における非架橋性シリコーン樹脂は、下記一般式(1)で表される組成を有するものであることが好ましい。
一般式(1)
Figure 2016146375
(式中、Rは炭素原子数1〜6のアルキル基もしくはシクロアルキル基、Phはフェニル基、Meはメチル基、a、b、c、d、e、fおよびgは各構造単位の構成比を表し、整数であり、0<a≦10、20≦b≦40、10≦c≦35、1≦d≦15、10≦e≦35、5≦f≦30、0<g≦10、かつa+b+c+d+e+f+g=100を満たす数である)
上記のような組成を有する非架橋性シリコーン樹脂を用いることによって、蛍光体含有樹脂シートの25℃および100℃におけるタックを好ましい範囲に調整することができるほか、蛍光体含有樹脂組成物中の蛍光体の凝集・沈降を抑制することが可能になり、シート化した時に、色温度ばらつきが小さい蛍光体含有樹脂組成物を作製することが出来る。
一般式(1)で表される組成のうち、Rは炭素原子数1〜6のアルキル基もしくはシクロアルキル基である。アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ヘキシル基、オクチル基等を挙げることができ、メチル基がより好ましい。シクロアルキル基としては、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等を挙げることができ、シクロヘキシル基がより好ましい。
また、一般式(1)で表される組成のうち、a、b、c、d、e、fおよびgは整数であり、0<a≦10、20≦b≦40、10≦c≦35、1≦d≦15、10≦e≦35、5≦f≦30、0<g≦10、かつa+b+c+d+e+f+g=100を満たす数である。また、0≦a≦5、25≦b≦35、15≦c≦30、5≦d≦15、20≦e≦35、5≦f≦30、0<g≦5がより好ましい。
このような結合の存在は、1H−NMRや13C−NMRの固体NMRによる構造解析、アルカリ存在下でテトラエトキシシランにより分解と生成した分解物のGC/MS測定による共重合組成、架橋点の解析、FT−IRなどにより分析できる。
本発明における非架橋性シリコーン樹脂の重量平均分子量は、1,000〜10,000であることが好ましい。前記範囲内にあることにより、蛍光体の分散安定効果がより高くなる。
なお、本発明の化合物の重量平均分子量の測定は、市販の測定器[例えば、昭光サイエンティフィック社製の多角度光散乱検出器(商品名 DAWN HELEOS II)]によって、測定可能である。
本発明における非架橋性シリコーン樹脂は、市販されているものとして、一般的な樹脂を選択して使用することも可能である。具体例としては、信越化学工業社製のKR−100、KR−101−10、KR−130や、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製のSR−1000、YR3340、YR3286、PSA−610SM、XR37−B6722等がある。
本発明においては、これらのシリコーン樹脂と蛍光体を含有する蛍光体含有樹脂シートの完全硬化後のシート表面のタックについて、25℃における傾斜式ボールタック試験によるボールナンバーが2以下であり、100℃における傾斜式ボールタック試験によるボールナンバーが6以上であることを必須要件とする。より好ましくは、100℃における傾斜式ボールタック試験によるボールナンバーが10以上、さらに好ましくは、100℃における傾斜式ボールタック試験によるボールナンバーが15以上である。シート表面のタックが上記の範囲にあることにより、常温(25℃付近)でのシート加工性に優れるとともに、高温時(100℃付近)におけるLED素子との密着性に優れ、LED素子との接着性が長期的に保持される。
なお、シートの硬化の進行度は、シートのショア硬度を測定することによって、確認可能である。シートの熱硬化が進むと、どれだけシートの加熱硬化時間を増やしても、シートのショア硬度が変化しなくなる。その段階のシートは、完全硬化したとみなされる。なお、ショア硬度とは、JIS K 6253-3(2012)のデュロメータ硬さで示されている硬度である。具体的には、厚さ2mm程度に加工したシートを、一定の温度条件にて、タイプAMデュロメータを用いて測定する。その際、押し付け速度や押し付け圧力を一定に出来るような装置を用いることが、測定精度を向上させる点で好ましい。なお、本発明の蛍光体樹脂シートのショア硬度は、市販の測定器[例えば、エムアンドケー社製のショア硬度計(商品名 バーレイス・マイクロショアー硬度計 Type AM/M)]によって、測定可能である。
傾斜式ボールタック試験は、JIS Z 0237(2009)で採用されているタックの測定法である。
傾斜角20度、30度または40度の傾斜板を備えた三角形の装置の頂上に、JIS G 4805に規定された高炭素クロム軸受鋼鋼材のSUJ2で JIS B 1501に規定する「ボールの呼び」が 1/16 から1までの大きさの鋼球のうち、5/64、7/64,9/64,15/64および17/64を除いた合計31種のボールを置き、ボールが助走路(長さ100mm)を転がり、助走路に続く試験片の粘着面(長さ100mm)上で停止した「ボールの呼び」の32倍の数値を「ボールナンバー」といい、試験結果は停止した最大のボールナンバーを持って表す。
本発明においては、傾斜角は30度、転がす鋼球は直径が1/16インチから1インチまでの31種を用意して測定し、粘着面で停止した最大径のボールナンバーで表示する方法で評価する。
ボールナンバーは、前記したように「ボールの呼び」の32倍の数値を表すため、例えばボールナンバーが2であったということは、ボールの直径が1/16インチ(ボールナンバー2)のもののみが停止したということであり、ボールナンバーが10であるということは、ボールの直径が5/16インチ(ボールナンバー10)以下のものが停止して、それよりも直径が大きいボールは停止しなかったということである。なお、ボールナンバー2も停止しない場合は、ボールナンバーが1であると評価する。
傾斜式ボールタック試験は、上記のような測定方法であることから、直径が大きいボールほど、重力の影響で速度が増すため、停止しにくくなる。したがって、シートのタックが大きい場合は、ボールナンバーの数値は大きくなる。
本発明の蛍光体含有樹脂シートには、さらに無機粒子および/またはシリコーン微粒子を含有させることが好ましい。
無機粒子としては、金属粒子、金属窒化物粒子、金属酸化物粒子、金属塩粒子等があげられるが、特に金属酸化物粒子が好ましく用いられる。
本発明の蛍光体含有樹脂シートに含有される金属酸化物粒子としては、シリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニア、イットリア、セリア、マグネシア、酸化亜鉛、酸化マンガン、酸化銅、酸化鉄、酸化ホルミウム、酸化鉛および酸化スズなどが挙げられ、特に組成物中に分散させやすい点からアルミナが好ましい。
本発明の蛍光体含有樹脂シートは、平均粒子径D50が10〜100nmの金属酸化物粒子を含むことで、蛍光体含有樹脂組成物をシート状に加工する為に支持基材上に塗布する際の、塗れ性を向上させることができる。離型処理がされている支持基材の場合、蛍光体含有樹脂組成物を支持基材上に塗布すると、塗れ性が悪い為に、収縮してしまうことがあるが、蛍光体含有樹脂組成物が上記金属酸化物粒子を含むことで、塗れ性を向上させて蛍光体含有樹脂組成物の収縮を抑制することが出来る。また、蛍光体含有樹脂シートにした際には、高濃度の蛍光体を含有していても柔軟なシート物性を有し、加工性やハンドリング性にも優れる。
平均粒子径D50が10〜100nmの金属酸化物粒子を含むことで、蛍光体含有樹脂組成物中の蛍光体が、相互作用によって凝集しやすくなる。しかし、本発明における一般式(1)の組成を持つシリコーン樹脂を用いると、金属酸化物粒子の表面活性を低下させ、分散を促進することにより、蛍光体の凝集を抑制することが可能になる。
蛍光体の分散が不十分であると、蛍光体含有樹脂組成物のろ過を行ったときに、蛍光体の残渣が発生しやすくなるほか、蛍光体が沈降しやすくなり、蛍光体含有樹脂シートに加工したときの色温度バラツキが大きくなるなどの不具合が予想される。
なお、ここでいう金属酸化物粒子の平均粒子径とD50は、蛍光体と同様に、レーザー回折散乱式粒度分布測定法により測定して得られる体積基準粒度分布において、小粒径側からの通過分積算が50%となるときの粒子径のことをいう。以下の方法で求められる粒子径の平均値である。走査型電子顕微鏡(SEM)で粒子を観察して得られる2次元画像から、粒子の外縁と2点で交わる直線の当該2つの交点間の距離が最大になるものを算出し、それを粒子径と定義する。さらに任意の20個の異なる粒子に対して同様の測定を行い、得られた粒子径の平均値を平均粒子径とする。例えば、蛍光体含有樹脂シート中に存在する前記金属酸化物粒子の粒径を測定する場合は、機械研磨法、ミクロトーム法、CP法(Cross-section Polisher)および集束イオンビーム(FIB)加工法のいずれかの方法で、蛍光体含有樹脂シートの断面研磨を行った後、得られた研磨断面を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察して得られる2次元画像から、前記方法と同様にして平均粒子径を算出することができる。
さらに本発明の好ましい態様として、シリコーン微粒子を含むことで、蛍光体の分散性が向上する。そのため、蛍光体含有樹脂シートの輝度が向上し、発光の色温度ばらつきが少なくなる。また、シリコーン微粒子を含むことで、蛍光体含有樹脂シート中に含有される蛍光体が高濃度になっても蛍光体自体による光の吸収を抑制し、高輝度なLED発光装置を提供できる。
本発明の蛍光体含有樹脂組成物に含有されるシリコーン微粒子は、シリコーン樹脂およびまたはシリコーンゴムからなる微粒子が好ましい。特に、オルガノトリアルコキシシランやオルガノジアルコキシシラン、オルガノトリアセトキシシラン、オルガノジアセトキシシラン、オルガノトリオキシムシラン、オルガノジオキシムシランなどのオルガノシランを加水分解し、次いで縮合させる方法により得られるシリコーン微粒子が好ましい。
オルガノトリアルコキシシランとしては、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリ−n−プロキシシラン、メチルトリ−i−プロキシシラン、メチルトリ−n−ブトキシシラン、メチルトリ−i−ブトキシシラン、メチルトリ−s−ブトキシシラン、メチルトリ−t−ブトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、i−プロピルトリメトキシシラン、n−ブチルトリブトキシシラン、i−ブチルトリブトキシシラン、s−ブチルトリメトキシシラン、t−ブチルトリブトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシランなどが例示される。
オルガノジアルコキシシランとしては、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、メチルエチルジメトキシシラン、メチルエチルジエトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、3−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノイソブチルメチルジメトキシシラン、N−エチルアミノイソブチルメチルジエトキシシラン、(フェニルアミノメチル)メチルジメトキシシラン、ビニルメチルジエトキシシランなどが例示される。
オルガノトリアセトキシシランとしては、メチルトリアセトキシシラン、エチルトリアセトキシシラン、ビニルトリアセトキシシランなどが例示される。
オルガノジアセトキシシランとしては、ジメチルジアセトキシシラン、メチルエチルジアセトキシシラン、ビニルメチルジアセトキシシラン、ビニルエチルジアセトキシシランなどが例示される。
オルガノトリオキシムシランとしては、メチルトリスメチルエチルケトオキシムシラン、ビニルトリスメチルエチルケトオキシムシラン、オルガノジオキシムシランとしては、メチルエチルビスメチルエチルケトオキシムシランなどが例示される。
このような粒子は、具体的には、特開昭63-77940号公報で報告されている方法、特開平6-248081号公報で報告されている方法、特開2003-342370号公報で報告されている方法、特開平4-88022号公報で報告されている方法などにより得ることができる。また、オルガノトリアルコキシシランやオルガノジアルコキシシラン、オルガノトリアセトキシシラン、オルガノジアセトキシシラン、オルガノトリオキシムシラン、オルガノジオキシムシランなどのオルガノシランおよび/またはその部分加水分解物をアルカリ水溶液に添加し、加水分解・縮合させ粒子を得る方法や、水あるいは酸性溶液にオルガノシランおよび/またはその部分加水分解物を添加し、該オルガノシランおよび/またはその部分加水分解物の加水分解部分縮合物を得た後、アルカリを添加し縮合反応を進行させ粒子を得る方法、オルガノシランおよび/またはその加水分解物を上層にし、アルカリまたはアルカリと有機溶媒の混合液を下層にして、これらの界面で該オルガノシランおよび/またはその加水分解物を加水分解・重縮合させて粒子を得る方法なども知られており、これらいずれの方法においても、本発明で用いられる粒子を得ることができる。
これらの中で、オルガノシランおよび/またはその部分加水分解物を加水分解・縮合させ、球状シリコーン微粒子を製造するにあたり、特開2003-342370号公報で報告されているような反応溶液内に高分子分散剤を添加する方法により得られたシリコーン微粒子を用いることが好ましい。
また、粒子を製造するに当たり、オルガノシランおよび/またはその部分加水分解物を加水分解・縮合させ、酸性水溶液に溶媒中で保護コロイドとして作用する高分子分散剤及び塩を存在させた状態で、オルガノシランおよび/またはその加水分解物を添加し加水分解物を得た後、アルカリを添加し縮合反応を進行させることにより製造したシリコーン微粒子を用いることもできる。
高分子分散剤は、水溶性高分子であり、溶媒中で保護コロイドとして作用するものであれば合成高分子、天然高分子のいずれでも使用できるが、具体的にはポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドンなどを例示することができる。高分子分散剤の添加方法としては、反応初液に予め添加する方法、オルガノトリアルコキシシランおよび/またはその部分加水分解物と同時に添加する方法、オルガノトリアルコキシシランおよび/またはその部分加水分解物を加水分解部分縮合させた後に添加する方法が例示でき、これらの何れの方法を選ぶこともできる。ここで、高分子分散剤の添加量は、反応液容量1重量部に対して5×10−7〜10−2重量部の範囲が好ましく、この範囲であると粒子同士の凝集が起きにくい。
シリコーン微粒子に含まれる有機置換基としては、好ましくはメチル基、フェニル基であり、これら置換基の含有量によりシリコーン微粒子の屈折率を調整することができる。
本発明の蛍光体含有樹脂組成物中のシリコーン微粒子の含有量としては、シリコーン樹脂100重量部に対して、下限としては5重量部以上であることが好ましく、10重量部以上であることがさらに好ましい。また、上限としては50重量部以下であることが好ましく、30重量部以下であることがさらに好ましい。シリコーン微粒子を5重量部以上含有することで、特に良好な蛍光体分散安定化効果が得られ、一方、50重量部以下の含有により、蛍光体含有樹脂組成物の粘度を過度に上昇させることがない。
シリコーン微粒子の平均粒子径の上限としては2μm以下が好ましく、1.5μm以下がさらに好ましい。また、下限としては0.1μm以上がより好ましい。
また、平均粒子径が0.1μm以上2.0μm以下であることで、シート中の蛍光体及び金属酸化物を均一に分散させることが可能になり、シートの色温度ばらつきを抑制させることができる。また、真球状の粒子を用いることが好ましい。
なお、シリコーン微粒子の平均粒子径は、シート断面のSEM観察によって前記金属酸化物粒子の場合と同様にして測定され、求められる平均粒子径である。
蛍光体は、LED素子から放出される青色光、紫色光、紫外光を吸収して波長を変換し、LED素子の光と異なる波長の赤、橙色、黄色、緑色、青色領域の波長の光を放出するものである。これにより、LED素子から放出される光の一部と、蛍光体から放出される光の一部とが混合して、白色を含む多色系のLEDが得られる。具体的には、青色系LEDにLEDからの光によって黄色系の発光色を発光する蛍光体を光学的に組み合わせることによって、単一のLED素子を用いて白色系を発光させることができる。
上述のような蛍光体には、緑色に発光する蛍光体、青色に発光する蛍光体、黄色に発光する蛍光体、赤色に発光する蛍光体等の種々の蛍光体がある。本発明に用いられる具体的な蛍光体としては、有機蛍光体、無機蛍光体、蛍光顔料、蛍光染料等公知の蛍光体が挙げられる。有機蛍光体としては、アリルスルホアミド・メラミンホルムアルデヒド共縮合染色物やペリレン系蛍光体等を挙げることができ、長期間使用可能な点からペリレン系蛍光体が好ましく用いられる。本発明に特に好ましく用いられる蛍光物質としては、無機蛍光体が挙げられる。以下に本発明に用いられる無機蛍光体について記載する。
緑色に発光する蛍光体として、例えば、SrAl:Eu、YSiO:Ce,Tb、MgAl1119:Ce,Tb、SrAl1225:Eu、(Mg、Ca、Sr、Baのうち少なくとも1以上)Ga:Euなどがある。
青色に発光する蛍光体として、例えば、Sr(POCl:Eu、(SrCaBa)(POCl:Eu、(BaCa)(POCl:Eu、(Mg、Ca、Sr、Baのうち少なくとも1以上)Cl:Eu,Mn、(Mg、Ca、Sr、Baのうち少なくとも1以上)(POCl:Eu,Mnなどがある。
緑色から黄色に発光する蛍光体として、少なくともセリウムで賦活されたイットリウム・アルミニウム酸化物蛍光体、少なくともセリウムで賦括されたイットリウム・ガドリニウム・アルミニウム酸化物蛍光体、少なくともセリウムで賦活されたイットリウム・アルミニウム・ガーネット酸化物蛍光体、及び、少なくともセリウムで賦活されたイットリウム・ガリウム・アルミニウム酸化物蛍光体などがある(いわゆるYAG系蛍光体)。具体的には、Ln12:R(Lnは、Y、Gd、Laから選ばれる少なくとも1以上である。Mは、Al、Caの少なくともいずれか一方を含む。Rは、ランタノイド系である。)、(Y1−xGa(Al1−yGa12:R(Rは、Ce、Tb、Pr、Sm、Eu、Dy、Hoから選ばれる少なくとも1以上である。0<Rx<0.5、0<y<0.5である。)を使用することができる。
赤色に発光する蛍光体として、例えば、YS:Eu、LaS:Eu、Y:Eu、GdS:Euなどがある。
また、現在主流の青色LEDに対応し発光する蛍光体としては、Y(Al,Ga)12:Ce,(Y,Gd)Al12:Ce,LuAl12:Ce,YAl12:CeなどのYAG系蛍光体、TbAl12:CeなどのTAG系蛍光体、(Ba,Sr)SiO:Eu系蛍光体やCaScSi12:Ce系蛍光体、(Sr,Ba,Mg)SiO:Euなどのシリケート系蛍光体、(Ca,Sr)Si:Eu、(Ca,Sr)AlSiN:Eu、CaSiAlN:Eu等のナイトライド系蛍光体、Cax(Si,Al)12(O,N)16:Euなどのオキシナイトライド系蛍光体、さらには(Ba,Sr,Ca)Si:Eu系蛍光体、CaMgSi16Cl:Eu系蛍光体、SrAl:Eu,SrAl1425:Eu等の蛍光体が挙げられる。
これらの中では、YAG系蛍光体、TAG系蛍光体、シリケート系蛍光体が、発光効率や輝度などの点で好ましく用いられる。
上記以外にも、用途や目的とする発光色に応じて公知の蛍光体を用いることができる。
蛍光体の粒子サイズは、特に制限はないが、D50が0.05μm以上のものが好ましく、3μm以上のものがより好ましい。また、D50が30μm以下のものが好ましく、20μm以下のものがより好ましい。ここでD50とは、レーザー回折散乱式粒度分布測定法により測定して得られる体積基準粒度分布において、小粒径側からの通過分積算が50%となるときの粒子径のことをいう。D50が前記範囲であると、蛍光体含有樹脂シート中の蛍光体の分散性が良好で、安定な発光が得られる。
本発明の蛍光体含有樹脂シート中の蛍光体の含有量は、樹脂100重量部に対して20〜500重量部である。蛍光体含有樹脂シート中の蛍光体含有量を前記範囲とすることで、シートのタックを上記の範囲内に保つことができる。
本発明の蛍光体含有樹脂シートの膜厚は、蛍光体含有量と、所望の光学特性から決められる。蛍光体含有量は上述のように作業性の観点から限界があるので、膜厚は10μm以上あることが好ましい。蛍光体含有樹脂シートの光学特性・耐熱性を高める観点からは、蛍光体含有樹脂シートの膜厚は1000μm以下であることが好ましく、200μm以下であることがより好ましく、100μm以下であることがさらに好ましい。蛍光体含有樹脂シートを1000μm以下の膜厚にすることによって、バインダ樹脂による光吸収や光散乱を低減することができるので、光学的に優れた蛍光体含有樹脂シートとなる。
本発明の蛍光体含有樹脂シートの作製方法を説明する。なお、以下は一例であり蛍光体含有樹脂シートの作製方法はこれに限定されない。まず、蛍光体含有樹脂シート形成用の塗布液として蛍光体含有樹脂組成物を作製する。蛍光体含有樹脂組成物は蛍光体と樹脂を適当な溶媒中で混合することによって得られる。
溶媒は流動状態の樹脂の粘度を調整できるものであれば、特に限定されない。例えば、トルエン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ヘキサン、アセトン、テルピネオール等が挙げられる。
これらの成分を所定の組成になるように調合した後、ホモジナイザー、自公転型攪拌機、3本ローラー、ボールミル、遊星式ボールミル、ビーズミル等の撹拌・混練機で均質に混合分散することで、蛍光体含有樹脂組成物が得られる。混合分散後、もしくは混合分散の過程で、真空もしくは減圧条件下で脱泡することも好ましく行われる。
次に、蛍光体含有樹脂組成物を支持基材上に塗布し、乾燥させることで、蛍光体含有樹脂シートを得る。塗布は、リバースロールコーター、ブレードコーター、スリットダイコーター、ダイレクトグラビアコーター、オフセットグラビアコーター、リバースロールコーター、ブレードコーター、キスコーター、ナチュラルロールコーター、エアーナイフコーター、ロールブレードコーター、バリバーロールブレードコーター、トゥーストリームコーター、ロッドコーター、ワイヤーバーコーター、アプリケーター、ディップコーター、カーテンコーター、スピンコーター、ナイフコーター等により行うことができる。蛍光体含有樹脂シートの膜厚の均一性を得るためにはスリットダイコーターで塗布することが好ましい。また、本発明の蛍光体含有樹脂シートはスクリーン印刷やグラビア印刷、平版印刷などの印刷法を用いても作製することもできる。印刷法を用いる場合には、特にスクリーン印刷が好ましく用いられる。
シートの乾燥は熱風乾燥機や赤外線乾燥機等の一般的な加熱装置を用いて行うことができる。シートの加熱硬化には、熱風乾燥機や赤外線乾燥機等の一般的な加熱装置が用いられる。この場合、加熱硬化条件は、通常、40〜250℃で1分〜5時間、好ましくは100℃〜200℃で2分〜3時間である。
支持基材としては、特に制限無く公知の金属、フィルム、ガラス、セラミック、紙等を使用することができる。具体的には、アルミニウム(アルミニウム合金も含む)、亜鉛、銅、鉄などの金属板や箔、セルロースアセテート、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレン、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、ポリフェニレンスルフィド、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリビニルアセタール、アラミドなどのプラスチックのフィルム、前記プラスチックがラミネートされた紙、または前記プラスチックによりコーティングされた紙、前記金属がラミネートまたは蒸着された紙、前記金属がラミネートまたは蒸着されたプラスチックフイルムなどが挙げられる。また、支持基材が金属板の場合、表面にクロム系やニッケル系などのメッキ処理やセラミック処理されていてもよい。これらの中でも、蛍光体含有樹脂シートをLED素子に貼りつける際の密着性から、支持基材は柔軟なフィルム状であることが好ましい。また、フィルム状の支持基材を取り扱う際に破断などのおそれがないように強度が高いフィルムが好ましい。それらの要求特性や経済性の面で樹脂フィルムが好ましく、これらの中でも、経済性、取り扱い性の面でPETフィルムが好ましい。また、樹脂の硬化や蛍光体含有樹脂シートをLEDに貼り合わせる際に200℃以上の高温を必要とする場合は、耐熱性の面でポリイミドフィルムが好ましい。シートの剥離のし易さから、支持基材は、あらかじめ表面が離型処理されていることが好ましい。
支持基材の厚さは特に制限はないが、下限としては25μm以上が好ましく、40μm以上がより好ましい。また、上限としては5000μm以下が好ましく、3000μm以下がより好ましい。
本発明の蛍光体含有樹脂シートは、LED素子の上面またはLED素子上に形成されたシリコーン層上に波長変換層として貼り付けられ、発光装置として使用される。また、LED素子の直上のみならず側面を覆うように貼り付けて使用しても良い。
本発明ではLED素子の上面またはLED素子上に形成されたシリコーン層上にシートを貼り付ける際に、加熱して貼り付ける。加熱温度は、60℃以上150℃以下が望ましい。60℃以上にすることで、室温と貼り付け温度でのタックの差を大きくするための樹脂設計が容易となる。また、150℃以下にすることで、支持基材および蛍光体含有樹脂シートの熱膨張、熱収縮を小さくすることができるので、貼り合わせの精度を高めることができる。特に、蛍光体含有樹脂シートに予め孔開け加工を施して、LED素子上の所定部分と位置合わせを行う場合などには貼り合わせの位置精度は重要である。さらに、本発明によるLED発光装置の信頼性向上のためには、蛍光体含有樹脂シートとLED素子の間に応力歪みが無いことが好ましい。そのため、貼り合わせ温度はLED発光装置の動作温度近辺、好ましくは動作温度の±20℃以内にしておくことが好ましい。LED発光装置は、点灯時には80℃〜130℃まで温度が上昇する。よって、動作温度と貼り合わせ温度を近づける意味でも、貼り合わせ温度は60℃以上150℃以下が望ましい。
蛍光体含有樹脂シートをLED素子の上面またはLED素子上に形成されたシリコーン層上に貼り合わせる方法としては、所望の温度で加熱加圧できる装置であれば既存の任意の装置が利用できる。後述するように、蛍光体含有樹脂シートを個片に切断してから、個別のLED素子に貼り合わせる方法と、ダイシング前のLED素子を作り付けたウェハに一括貼り合わせを経て、ウェハのダイシングと蛍光体含有樹脂シートの切断を一括して行う方法があるが、蛍光体含有樹脂シートを個片に分割してから貼り合わせる方法の場合は、フリップチップボンダーが利用できる。ウェハレベルのLED素子に一括して貼り付ける際には、100mm角程度の加熱部分を有する加熱圧着ツールなどで貼り合わせる。いずれの場合も、高温で蛍光体含有樹脂シートをLED素子に熱融着させてから、室温まで放冷し、支持基材を剥離する。
蛍光体含有樹脂シートをLED素子の側面まで貼り合わせる方法としては、上記同様加熱加圧できる装置を用いるが、その場合、まず蛍光体含有樹脂シートを、融点が40〜100℃程度の熱可塑性樹脂支持基材に貼り付けることが好ましい。
熱可塑性樹脂支持基材への蛍光体含有樹脂シートの貼り付けは、熱可塑性樹脂支持基材が軟化流動する状態で押圧して行う。したがって、貼り付け温度は熱可塑性樹脂支持基材が軟化して流動する程度の温度が好ましい。また空気溜まりの残存を防ぐため0.01MPa以下の減圧下で貼り付けを行うことが好ましい。このような貼り付けを行う製造装置としては真空ダイアフラムラミネーターなどが例示される。
次にLED素子の側面まで蛍光体含有樹脂シートを貼り合わせるには、熱可塑性樹脂支持基材に貼り付けられた蛍光体含有樹脂シートを、支持基材に用いている熱可塑性樹脂の融点以上に加熱し、LED素子に接するようにして上面から加圧積層することによって、LED素子の側面まで蛍光体含有樹脂シートを貼り合わせることが出来る。
蛍光体含有樹脂シートをLED素子の上面に貼り合わせるときの切断加工する方法について説明する。蛍光体含有樹脂シートは、LED素子への貼り付け前に予め個片に切断し、個別のLED素子に貼り付ける方法と、ウェハレベルのLED素子に蛍光体含有樹脂シートを貼り付けてからウェハのダイシングと同時に一括して蛍光体含有樹脂シートを切断する方法がある。貼りつけ前に予め切断する場合には、均一に形成された蛍光体含有樹脂シートを、レーザーによる加工、あるいは刃物による切削によって所定の形状に加工し、分割する。レーザーによる加工は、高エネルギーが付与されるので樹脂の焼け焦げや蛍光体の劣化を回避することが非常に難しく、刃物による切削が望ましい。刃物で切断する上で加工性を向上するために、蛍光体含有樹脂シートの25℃でのタックがないことが非常に重要となる。刃物での切削方法としては、単純な刃物を押し込んで切る方法と、回転刃によって切る方法があり、いずれも好適に使用できる。回転刃によって切断する装置としては、ダイサーと呼ばれる半導体基板を個別のチップに切断(ダイシング)するのに用いる装置が好適に利用できる。ダイサーを用いれば、回転刃の厚みや条件設定により、分割ラインの幅を精密に制御できるため、単純な刃物の押し込みにより切断するよりも高い加工精度が得られる。
支持基材と積層された状態の蛍光体含有樹脂シートを切断する場合には、支持基材ごと個片化しても良いし、あるいは蛍光体含有樹脂シートは個片化しつつ、支持基材は切断しなくても構わない。あるいは支持基材は貫通しない切り込みラインが入る所謂ハーフカットでも良い。そのように個片化した蛍光体含有樹脂シートを、個別のLED素子の上面に加熱融着させる。蛍光体含有樹脂シートを支持基材ごと個片化する場合の、個片化・LED素子貼り合わせ・ダイシングの工程の一例を、図1に示す。図1の工程には、蛍光体含有樹脂シートを個片に切断する工程、および該個片に切断された蛍光体含有シートを加熱してLED素子に貼り付ける工程が含まれる。図1の(a)は、支持基材2と積層された状態の本発明の蛍光体含有樹脂シート1を仮固定シート3に固定したところである。図1に示した工程では、蛍光体含有樹脂シート1と支持基材2はいずれも個片化するので、取り扱いが容易なように仮固定シート3に固定しておく。次に(b)に示すように蛍光体含有樹脂シート1と支持基材2を切断して個片化する。続いて、(c)に示すように実装基板5に実装されたLED素子4の上に、個片化された蛍光体含有樹脂シート1と支持基材2を位置合わせし、(d)に示すように加熱圧着ツールで圧着する。このとき、蛍光体含有樹脂シート1とLED素子4の間に空気を噛み込まないように、圧着工程は真空下あるいは減圧下で行うことが好ましい。圧着後に室温まで放冷し、(e)に示すように支持基材2を剥離する。
また、支持基材が連続したまま蛍光体含有樹脂シートを個片化した場合には、そのまま一括してダイシング前のウェハレベルのLED素子に熱融着させても良い。支持基材が連続したまま蛍光体含有樹脂シートを個片化する場合の、個片化・LED素子貼り合わせ・ダイシングの工程の一例を、図2に示す。図2の工程にも、蛍光体含有樹脂シートを個片に切断する工程、および該個片に切断された蛍光体含有シートを加熱してLED素子の上面に貼り付ける工程が含まれる。図2に示す工程の例では、まず(b)に示す工程で蛍光体含有樹脂シート1を個片化する際に、支持基材2は個片化されない。図2の(b)では支持基材2は全く切断されていないが、支持基材2が連続している限りは、部分的に切断されても構わない。次に(c)に示すように、個片化された蛍光体含有樹脂シート1を、ダイシング前のLED素子を表面に形成したウェハ7に対向させ、位置合わせを行う。(d)に示す工程で加熱圧着ツールにより、蛍光体含有樹脂シート1とダイシング前のLED素子を表面に形成したウェハ7を圧着する。このとき、このとき、蛍光体含有樹脂シート1とLED素子4の間に空気を噛み込まないように、圧着工程は真空下あるいは減圧下で行うことが好ましい。圧着後に室温まで放冷し、(e)に示すように支持基材2を剥離した後、ウェハをダイシングして個片化し、(f)に示すように個片化された蛍光体含有樹脂シート付きLED素子を得る。
ダイシング前のウェハレベルのLED素子に一括して蛍光体含有樹脂シートを熱融着する場合には、貼り合わせ後にLED素子ウェハのダイシングと共に、蛍光体含有樹脂シートを切断することもできる。蛍光体含有樹脂シートとウェハを貼り合わせ後に一括してダイシングする場合の工程の一例を図3に示す。図3の工程には、複数のLED素子の上面に蛍光体含有樹脂シートを加熱して一括して貼り付ける工程、および蛍光体含有樹脂シートとLED素子を一括ダイシングする工程が含まれる。図3の工程では、本発明の蛍光体含有樹脂シート1は予め切断加工することなく、図3の(a)に示すように蛍光体含有樹脂シート1の側をダイシング前のLED素子を表面に形成したウェハ7に対向させて位置合わせする。次に(b)に示すように、加熱圧着ツールにより蛍光体含有樹脂シート1とダイシング前のLED素子を表面に形成したウェハ7を圧着する。このとき、蛍光体含有樹脂シート1とLED素子4の間に空気を噛み込まないように、圧着工程は真空下あるいは減圧下で行うことが好ましい。圧着後に室温まで放冷し、(c)に示すように支持基材2を剥離した後、ウェハをダイシングすると同時に、蛍光体含有樹脂シート1を切断して個片化し、(d)に示すように個片化された蛍光体含有樹脂シート付きLED素子を得る。
上述の図1〜3いずれの工程を採る場合でも、本発明の蛍光体含有樹脂シートを上面に電極があるLED素子に貼り付ける場合には、電極部分の蛍光体含有樹脂シートを除去するために蛍光体含有樹脂シートの貼り合わせ前に予めその部分に孔開け加工をしておくことが望ましい。孔開け加工はレーザー加工、金型パンチングなどの公知の方法が好適に使用できるが、レーザー加工は樹脂の焼け焦げや蛍光体の劣化を引き起こすので、金型によるパンチング加工がより望ましい。パンチング加工を実施する場合、蛍光体含有樹脂シートをLED素子に貼り付けた後ではパンチング加工は不可能であるので、蛍光体含有樹脂シートには貼り付け前にパンチング加工を施すことが必須となる。金型によるパンチング加工は、貼り合わせるLED素子の電極形状などにより任意の形状や大きさの孔を開けることができる。孔の大きさや形状は金型を設計すれば任意のものが形成できるが、1mm角内外のLED素子上の電極接合部分は、発光面の面積を小さくしないためには500μm以下であることが望ましく、孔はその大きさに合わせて500μm以下で形成される。また、ワイヤーボンディングなどを行う電極はある程度の大きさが必要であり、少なくとも50μm程度の大きさとなるので、孔はその大きさに合わせて50μm程度である。孔の大きさは電極より大きすぎると、発光面が露出して光漏れが発生し、LED発光装置の色特性が低下する。また、電極より小さすぎると、ワイヤーボンディング時にワイヤが触れて接合不良を起こす。従って、孔開け加工は50μm以上500μm以下という小さい孔を±10%以内の高精度で加工する必要がある。
次に蛍光体含有樹脂シートをLED素子の側面まで貼り合わせる時の切断方法について、例示する。製造例を図4に示す。(a)LED素子4をパッケージ基板5上のパッケージ電極9に金バンプ8を介して接合する。(b)支持基材2上の蛍光体含有樹脂シート1がLED素子4に接するようにして積層する。(c)(b)の積層物を真空ダイアフラムラミネーター10の下部チャンバー13に入れた後、加熱しながら排気/吸気口11を通じて排気して上部チャンバー12および下部チャンバー13を減圧する。支持基材2が流動するまで減圧加熱を行った後、上部チャンバー12に排気/吸気口11を通じて大気を吸入することでダイアフラム14を膨張させ、支持基材2を通じて蛍光体樹脂層1を押圧し、LED素子4の発光面に追従するように貼り付ける。(d)上下チャンバーを大気圧に戻したのち、積層物を真空ダイアフラムラミネーター10から取り出し、放冷後に支持基材2を剥離する。続いて得られた被覆体を切断部分の位置で切断する。(e)個片化された蛍光体含有樹脂シート付きLED素子を得る。
以下に、本発明を実施例により具体的に説明する。ただし、本発明はこれらに限定されるものではない。
<架橋性シリコーン樹脂>
シリコーン樹脂1:XE14−C6091(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン)
シリコーン樹脂2:TX2496−4(東レ・ダウコーニングシリコーン)
<非架橋性シリコーン樹脂>
非架橋性シリコーン樹脂を配合するための成分
樹脂主成分1
Figure 2016146375
(平均組成)
樹脂主成分2
Figure 2016146375
(平均組成)
樹脂主成分3
Figure 2016146375
(平均組成)
樹脂主成分4
Figure 2016146375
(平均組成)
架橋剤 (HMeSiO)SiPh2
※ただしMe:メチル基、Ph:フェニル基
反応抑制剤 1−エチニルヘキサノール
白金触媒 白金(1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン)錯体 1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン溶液
白金含有量5重量%。
実施例に用いたシリコーン樹脂3,4,8,9は、上記の非架橋性シリコーン樹脂を配合するための成分を配合して作製し、シリコーン樹脂5〜7は市販品を利用した。
シリコーン樹脂3:樹脂主成分1 75重量部、架橋剤25重量部、反応抑制剤0.01重量部、白金触媒0.01重量部、重量平均分子量 8000、ガラス転移点 92℃
シリコーン樹脂4:樹脂主成分2 75重量部、架橋剤25重量部、反応抑制剤0.01重量部、白金触媒0.01重量部、重量平均分子量 8000、ガラス転移点 92℃
シリコーン樹脂5:SR−1000(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン)、ガラス転移点 80℃
シリコーン樹脂6:KR−100(信越化学工業)、ガラス転移点 70℃
シリコーン樹脂7:YR−3286(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン)、ガラス転移点 100℃
シリコーン樹脂8:樹脂主成分3 75重量部、架橋剤25重量部、反応抑制剤0.01重量部、白金触媒0.01重量部、重量平均分子量 2000、ガラス転移点 30℃
シリコーン樹脂9:樹脂主成分4 75重量部、架橋剤25重量部、反応抑制剤0.01重量部、白金触媒0.01重量部、重量平均分子量 10000、ガラス転移点 180℃。
<蛍光体>
“NYAG−02”(Intematix社製:CeドープのYAG系蛍光体、比重:4.8g/cm、D50:7μm)。
<金属酸化物粒子>
金属酸化物粒子1:アルミナ粉末“Aeroxide” (日本アエロジル(株)製)
平均粒子径D50 13nm
金属酸化物粒子2: アルミナ粉末“TM−DAR” (大明化学工業(株)製)
平均粒子径D50 100nm
金属酸化物粒子3:シリカ粉末“KE−P10” ((株)日本触媒製)
平均粒子径D50 150nm。
<支持基材>
基材1:離型剤つきPETフィルム“セラピール”BLK(東レフィルム加工(株)製)
剥離力 5.7N/50mm
基材2:離型剤付きPETフィルム“セラピール”WDS(東レフィルム加工(株)製)
剥離力 0.1N/50mm。
<塗れ性>
蛍光体含有樹脂組成物を基材に塗布した時の塗れ性を評価した。
A:端部の収縮が無く、端部の膜厚と中央部の膜厚の差が2μm以内のもの。
B:端部の収縮が無く、端部の膜厚が中央部よりも3〜5μm厚くなったもの
C:端部の膜厚が中央部よりも5μm以上厚くなってしまったもの
D:塗布乾燥後、端部が3mm以上収縮してしまったもの。
<ボールタック測定>
測定装置 :ボールタックテスター(安田精機製作所製)
ゲート数 :5箇所
傾斜板 :助走路 100mm、測定部 100mm
傾斜角度 :30度
温度範囲 :25℃〜100℃。
<孔開け加工性評価>
100mm角の蛍光体含有樹脂シートに、1mm間隔で10000個の孔を、パンチング装置(UHT社製)と200μmφのパンチング金型を用いて形成し、その中から無作為に選択した10個のホールの平均直径を測定し、ホール加工性を評価した。
<切断加工性評価>
蛍光体含有樹脂シートを、カッティング装置(UHT社製GCUT)を用いて蛍光体含有樹脂シート、支持基材を共に切断して1mm角×10000個に個片化した。その後、切断面のバリやシートの欠け、割れ等の不良を確認した。10000個に個片化された中から任意に100個を選択し、その切断箇所が良好なものの個数をもって、切断加工性を評価した。
<接着性評価>
1mm角にカットした蛍光体含有樹脂シートを、LED素子に100℃または150℃で貼り合わせて所定の時間圧着後に、室温に戻し、支持基材を剥がしたとき、蛍光体含有樹脂シートが全てLED素子に接着して支持基材上に残らない最小の時間を接着可能時間とした。加熱圧着時間が100℃、10分以内で蛍光体含有樹脂シートが全てLED素子に接着して支持基材上に残らないものを接着性Aとし、100℃、10分以内で接着しないが150℃で10分以内に接着するものを接着性Bとし、150℃で10分より長く加熱圧着してもLED素子上に接着しないかあるいは部分的に接着しても一部が支持基材上に残るような場合は、接着性C(接着不良)とした。
<LED点灯試験評価>
蛍光体含有樹脂シートをLED素子に接着した後、予め蛍光体含有樹脂シートに加工してある孔を介して実装基板とLED素子の表面電極をワイヤーボンディングにより接合した。同一の蛍光体含有樹脂シート付LEDを透明樹脂で封止したものを10個作成し、直流電源につないで点灯させ、その点灯数を確認した。
<色温度ばらつき>
各蛍光体含有樹脂シートを青色LED素子に搭載した発光装置に20mAの電流を流してLED素子を点灯させ、瞬間マルチ測光システム(MCPD−3000,大塚電子社製)を用いて、相関色温度を測定した。10個のサンプルを作製し、計測した相関色温度(CCT)の最大値と最小値の差を色温度ばらつきとした。
<長期接着性評価>
LED素子に貼り合わせた蛍光体含有樹脂シートを、100℃のオーブン内に1000時間放置後、垂直方向に切断して断面を走査電子顕微鏡(日立ハイテクノロジーズ社製)で観察し、LED素子と蛍光体含有樹脂シート界面にボイドがあったものが、10個あたり何個あるかを評価した。
(シリコーン微粒子の合成)
<シリコーン微粒子1>
2L四つ口丸底フラスコに攪拌機、温度計、環流管、滴下ロートを取り付け、フラスコに、界面活性剤としてポリエーテル変性シロキサン“BYK333”を1ppm含む2.5%のアンモニア水2Lを入れ、300rpmで攪拌しつつ、オイルバスにて昇温した。内温50℃に到達したところで滴下ロートからメチルトリメトキシシランとフェニルトリメトキシシランの混合物(23/77mol%)200gを30分かけ滴下した。そのままの温度で、さらに60分間撹拌を続けた後、酢酸(試薬特級)約5gを添加、撹拌混合した後、濾過を行った。濾過器上の生成粒子に水600mLを2回、メタノール200mLを1回添加し、濾過、洗浄を行った。濾過器上のケークを取り出し、解砕後、10時間かけ凍結乾燥することにより、白色粉末60gを得た。得られた粒子は、SEMで観察したところ球状微粒子であった。
<シリコーン微粒子2>
2L四つ口丸底フラスコに攪拌機、温度計、環流管、滴下ロートを取り付け、フラスコに、界面活性剤としてポリエーテル変性シロキサン“BYK333”を7ppm含む2.5%のアンモニア水2Lを入れ、300rpmで攪拌しつつ、オイルバスにて昇温した。内温50℃に到達したところで滴下ロートからメチルトリメトキシシランとフェニルトリメトキシシランの混合物(23/77mol%)200gを30分かけ滴下した。そのままの温度で、さらに60分間撹拌を続けた後、酢酸(試薬特級)約5gを添加、撹拌混合した後、濾過を行った。濾過器上の生成粒子に水600mLを2回、メタノール200mLを1回添加し、濾過、洗浄を行った。濾過器上のケークを取り出し、解砕後、10時間かけ凍結乾燥することにより、白色粉末40gを得た。得られた粒子は、SEMで観察したところ球状微粒子であった。
(実施例1)
ポリエチレン製容器を用いて、シリコーン樹脂1を80重量部、シリコーン樹脂3を20重量部、蛍光体を100重量部の比率で混合した。
その後、遊星式撹拌・脱泡装置“マゼルスターKK−400”(クラボウ製)を用い、1000rpmで20分間撹拌・脱泡して蛍光体含有樹脂組成物を得た。スリットダイコーターを用いて蛍光体含有樹脂組成物を、基材1上に塗布し、120℃で1時間加熱、乾燥して半硬化した蛍光体含有樹脂シートを得た。基材に対する塗れ性を評価した結果、端部の収縮は無く、端部の膜厚と中央部の膜厚の差は1μmであり塗れ性は非常に良好だった。一方、タック測定サンプルとして、同様に基材1上に塗布した蛍光体含有樹脂組成物を、150℃で1時間加熱、乾燥して完全硬化した蛍光体含有樹脂シートを得た。完全硬化させた蛍光体含有樹脂シートを、傾斜式ボールタック試験機にて測定した結果、25℃におけるボールタックナンバーは2、100℃におけるボールタックナンバーは20であった。半硬化させた蛍光体含有樹脂シートに金型パンチング装置(UHT社製)で直径200μmのパンチング金型で打ち抜いたところ、平均直径198μmのホールが形成され、孔開け加工性に問題はなかった。切断加工性評価において、切断面はバリや欠けが無い良好な形状であり、切断箇所の再付着なども発生しなかった。切断箇所が良好なものの個数は100個であった。
1mm角にカットした蛍光体含有樹脂シートを、青色LED素子が実装された基板のチップ表面に蛍光体含有樹脂シート面が接触するように配置した。ダイボンディング装置(東レエンジニアリング株式会社製)を用いて、蛍光体含有樹脂シートの孔とLED素子の表面電極を位置合わせして、支持基材側から100℃の加熱ヘッドで押圧して接着したところ、接着可能時間は30秒であった。30秒圧着した試料を室温に戻した後、支持基材を剥がしたところ、蛍光体含有樹脂シートは青色LED上に完全に接着し、支持基材には蛍光体含有樹脂シートが全く残ること無くきれいに剥がすことができ、接着性は良好であった。LED点灯評価においてはワイヤーボンディング接合に問題はなく、点灯数は10個であった。得られた発光装置について、色温度ばらつきを評価したところ、色温度ばらつきは95Kであった。
青色LED上に接着させた蛍光体含有樹脂シート10個を、100℃のオーブン内に1000時間放置後、垂直方向に切断して断面を走査電子顕微鏡(日立ハイテクノロジーズ社製)で観察した結果、蛍光体含有樹脂シートとLED素子との界面においてボイドがあったものは全く見つからず、しっかり接着されていた。
(実施例2〜6)
添加するシリコーン樹脂の種類を表1に記載したようにする以外は、実施例1と同様の操作にて、塗れ性、シートタック、孔開け加工性、切断加工性、接着性、LED点灯試験、色ばらつきおよび長期接着性の評価を行った。結果を表1に示した。実施例4は、接着性がやや悪化し、100℃では接着せず、150℃で接着可能であった。また、長期接着性評価した結果、蛍光体含有樹脂シートとLED素子との界面においてボイドがあったものが10個中1個見つかった。また、実施例3〜5は、色温度ばらつきが150K前後となり、実施例1と比較して大きくなった。実施例2、6は、実施例1と同様にいずれの評価結果も問題なかった。
(実施例7〜10)
支持基材および添加する金属酸化物粒子の種類を表2に記載したようにする以外は、実施例1と同様の操作にて、塗れ性、シートタック、孔開け加工性、切断加工性、接着性、LED点灯試験、色ばらつきおよび長期接着性の評価を行った。結果を表2に示した。シートタック、孔開け加工性、切断加工性、接着性、LED点灯試験および色温度ばらつきは、いずれも問題なかったが、塗れ性については、金属酸化物粒子が入っていない実施例7において、蛍光体含有樹脂組成物が塗布後に端部が3mm以上収縮してしまい、非常に悪かった。また、金属酸化物粒子の粒径が大きい実施例9,10も若干塗れ性が悪かった。金属酸化物粒子の粒径が小さい実施例8の塗れ性は非常に良好であった。
(実施例11,12)
添加するシリコーン微粒子の種類を表2に記載したようにする以外は、実施例1と同様の操作にて、塗れ性、シートタック、孔開け加工性、切断加工性、接着性、LED点灯試験および色温度ばらつきの評価を行った。結果を表2に示した。塗れ性、シートタック、孔開け加工性、切断加工性、接着性、LED点灯試験および色温度ばらつきは、いずれも問題なく、特に色温度ばらつきについては、いずれの組成も50K以下となり、非常に良好であった。
(比較例1)
添加するシリコーン樹脂の種類を、表3に記載したようにする以外は、実施例1と同様の操作にて、塗れ性、シートタック、孔開け加工性、切断加工性、接着性、LED点灯試験、色温度ばらつきおよび長期接着性の評価を行った。結果を表3に示した。完全硬化したシートのタックを評価した結果、100℃でのボールタックナンバーが4と小さかった。また、接着性評価した結果、150℃でも接着出来なかった。したがって、LED素子としての評価は不可能であった。
(比較例2)
添加するシリコーン樹脂の種類を、表3に記載したようにする以外は、実施例1と同様の操作にて、塗れ性、シートタック、孔開け加工性、切断加工性、接着性、LED点灯試験、色温度ばらつきおよび長期接着性の評価を行った。結果を表3に示した。完全硬化したシートのタックを評価した結果、100℃でのボールタックナンバーが5と小さかった。色温度ばらつきを評価した結果、160Kとなり、実施例1と比較して大きくなった。長期接着性評価において、断面をSEMで観察した結果、LED素子と蛍光体含有樹脂シートとの界面においてボイドが見つかったシートが10個中6個あった。
(比較例3)
添加するシリコーン樹脂の種類を、表3に記載したようにする以外は、実施例1と同様の操作にて、塗れ性、シートタック、孔開け加工性、切断加工性、接着性、LED点灯試験、色温度ばらつきおよび長期接着性の評価を行った。結果を表3に示した。完全硬化したシートのタックを評価した結果、25℃でのボールタックナンバーが5とやや大きかった。また、孔開け加工性評価においてはシートがタックを有するために金型に付着し、これにより加工後の孔の平均直径は160μmとなり、設計に対して大幅に小さくなった。実施例1と同様にして蛍光体含有樹脂シートを個片化したが、100個中55個が再付着して切り離すことができなかった。LED点灯評価においては予め蛍光体含有樹脂シートに加工してある孔のサイズが小さく、一部のワイヤボンダーが接触した。ワイヤーボンディング後に樹脂封止したものを10個作成し、直流電源につないで点灯させたが、10個のうち6つが接合不良で点灯できなかった。
(比較例4)
添加するシリコーン樹脂の種類を、表3に記載したようにする以外は、実施例1と同様の操作にて、塗れ性、シートタック、孔開け加工性、切断加工性、接着性、LED点灯試験、色温度ばらつきおよび長期接着性の評価を行った。結果を表3に示した。完全硬化したシートのタックを評価した結果、100℃でのボールタックナンバーが5と小さかった。また、接着性評価した結果、150℃でも接着出来なかった。したがって、LED素子としての評価は不可能であった。
Figure 2016146375
Figure 2016146375
Figure 2016146375
1 蛍光体含有樹脂シート
2 支持基材
3 仮固定シート
4 LED素子
5 実装基板
6 加熱圧着ツール
7 LED素子を表面に形成したウェハ
8 金バンプ
9 パッケージ電極
10 真空ダイアフラムラミネーター
11 排気/吸気口
12 上部チャンバー
13 下部チャンバー
14 ダイアフラム

Claims (12)

  1. シリコーン樹脂と蛍光体を含有する蛍光体含有樹脂シートであって、完全硬化させた前記蛍光体含有樹脂シートの、25℃における傾斜式ボールタック試験によるボールナンバーが2以下であり、100℃における傾斜式ボールタック試験によるボールナンバーが6以上であることを特徴とする蛍光体含有樹脂シート。
  2. 前記シリコーン樹脂の一部が、非架橋性シリコーン樹脂である請求項1に記載の蛍光体含有樹脂シート。
  3. 前記非架橋性シリコーン樹脂が、50〜150℃の範囲にガラス転移点をもつことを特徴とする請求項2に記載の蛍光体含有樹脂シート。
  4. 前記非架橋性シリコーン樹脂が、一般式(1)で表される組成を有するシリコーン樹脂であることを特徴とする請求項2または3に記載の蛍光体含有樹脂シート。
    一般式(1)
    Figure 2016146375
    (式中、Rは炭素原子数1〜6のアルキル基もしくはシクロアルキル基、Phはフェニル基、Meはメチル基、a、b、c、d、e、fおよびgは各構造単位の構成比を表し、整数であり、0<a≦10、20≦b≦40、10≦c≦35、1≦d≦15、10≦e≦35、5≦f≦30、0<g≦10、かつa+b+c+d+e+f+g=100を満たす数である)
  5. 前記非架橋性シリコーン樹脂の重量平均分子量が、1,000〜10,000である請求項2〜4のいずれかに記載の蛍光体含有樹脂シート。
  6. さらに、無機粒子および/またはシリコーン微粒子を含む請求項1〜5のいずれかに記載の蛍光体含有樹脂シート。
  7. 前記無機粒子が、平均粒子径D50が10〜100nmの金属酸化物粒子である請求項6記載の蛍光体含有樹脂シート。
  8. 請求項1〜7のいずれかに記載の蛍光体含有樹脂シートを、LED素子の上面、または、LED素子上に形成されたシリコーン層上に備えてなる発光装置。
  9. 蛍光体含有樹脂シートを、さらにLED素子の側面にも備えてなる請求項8記載の発光装置。
  10. 請求項1〜7のいずれかに記載の蛍光体含有樹脂シートを、LED素子の発光面あるいは発光面上に形成されたシリコーン層に、加熱して貼り付ける工程を含む発光装置の製造方法。
  11. 蛍光体含有樹脂シートを、個片状に切断する工程、および該個片に切断された蛍光体含有樹脂シートを加熱してLED素子あるいはLED素子上に形成されたシリコーン層に貼り付ける工程を含む請求項10記載の発光装置の製造方法。
  12. 蛍光体含有樹脂シートを貼り付ける温度が50℃以上150℃以下である請求項10または11に記載の発光装置の製造方法。
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