JP2016146310A - バックライトユニット、液晶表示装置、波長変換部材、および光硬化性組成物 - Google Patents

バックライトユニット、液晶表示装置、波長変換部材、および光硬化性組成物 Download PDF

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Abstract

【課題】光硬化により形成されたエポキシマトリックス中に量子ドットを含む波長変換層を有する波長変換部材を備えた液晶表示装置において、輝度向上を達成すること。
【解決手段】光源と、光源から出射される光の光路上に位置する波長変換部材と、を含むバックライトユニットであって、上記波長変換部材は、励起光により励起され蛍光を発光する量子ドットをマトリックス中に含む波長変換層を有し、上記波長変換層は、光硬化性組成物を光照射により硬化させてなる光硬化層であり、上記光硬化性組成物は、上記量子ドット、脂環式エポキシ化合物を少なくとも含む重合性化合物、および光重合開始剤を含み、上記波長変換層のマトリックスにおける上記光源から出射される光の損失率は、厚み60μm換算で3%以下であるバックライトユニット。液晶表示装置。波長変換部材。光硬化性組成物。
【選択図】なし

Description

本発明は、バックライトユニット、このバックライトユニットを含む液晶表示装置、波長変換部材、および光硬化性組成物に関する。
液晶表示装置(以下、LCD(Liquid Crystal Display)とも言う)などのフラットパネルディスプレイは、消費電力が小さく、省スペースの画像表示装置として年々その用途が広がっている。液晶表示装置は、少なくともバックライトと液晶セルとから構成され、通常、更に、バックライト側偏光板、視認側偏光板などの部材が含まれる。
フラットパネルディスプレイ市場では、LCD性能改善として、色再現性の向上が進行している。この点に関し、近年、発光材料として、量子ドット(Quantum Dot、QD、量子点とも呼ばれる。)が注目を集めている(特許文献1参照)。例えば、バックライトから量子ドットを含む波長変換部材に励起光が入射すると、量子ドットが励起され蛍光を発光する。ここで異なる発光特性を有する量子ドットを用いることで、赤色光、緑色光、および青色光を発光させて白色光を具現化することができる。量子ドットによる蛍光は半値幅が小さいため、得られる白色光は高輝度であり、しかも色再現性に優れる。このような量子ドットを用いた3波長光源化技術の進行により、色再現域は、NTSC(National Television System Committee)比72%から100%へと拡大している。
特表2013−544018号公報
波長変換部材は、通常、少なくとも量子ドットをマトリックス中に含む波長変換層を有する。例えば特許文献1には、好ましいマトリックス材料としてエポキシが開示されている(特許文献1の段落0009等参照)。また特許文献1には、マトリックスは熱硬化により形成することが好ましいと記載されている(特許文献1の段落0091参照)。なお以下において、エポキシ化合物を含む重合性化合物の硬化により形成されたマトリックスを、エポキシマトリックスと記載する。
一方、波長変換部材の生産性向上の観点からは、熱硬化と比べてマトリックスの硬化を短時間で行うことのできる光硬化が好ましい。そこで本発明者らが、波長変換部材を製造するにあたり、波長変換層のエポキシマトリックスを光硬化により形成することを試みたところ、量子ドットを含む波長変換部材の利点の1つは高輝度の白色光を得ることができる点であるにもかかわらず、製造される波長変換部材を組み込んだ液晶表示装置において、輝度が低下する現象が見られた。
そこで本発明の目的は、光硬化により形成されたエポキシマトリックス中に量子ドットを含む波長変換層を有する波長変換部材を備えた液晶表示装置において、輝度向上を達成することにある。
本発明の一態様は、
光源と、光源から出射される光の光路上に位置する波長変換部材と、を含むバックライトユニットであって、
波長変換部材は、励起光により励起され蛍光を発光する量子ドットをマトリックス中に含む波長変換層を有し、
波長変換層は、光硬化性組成物を光照射により硬化させてなる光硬化層であり、
光硬化性組成物は、量子ドット、脂環式エポキシ化合物を少なくとも含む重合性化合物、および光重合開始剤を含み、
波長変換層のマトリックスにおける光源から出射される光の損失率は、厚み60μm換算で3%以下であるバックライトユニット、
に関する。
波長変換層のマトリックスとは、波長変換層の量子ドットを除く部分をいい、少なくとも重合性化合物の重合体を含み、任意に添加される添加剤を含み得る部分である。マトリックスにおける光源から出射される光の損失率は、下記手段1〜3のいずれかにより作製した測定用サンプルの光の損失率として求めるものとする。本発明では、下記手段1〜3の少なくとも1つにより得られた測定用サンプルについて求められる値が3%以下である場合、マトリックスにおける光源から出射される光の損失率が、厚み60μm換算で3%以下であると判定するものとする。
(手段1:モデル膜で測定)
波長変換層(光硬化層)を形成する光硬化性組成物から、量子ドットまたは量子ドットとともに溶媒の少なくとも一部を除いた光硬化性組成物を用意する。この光硬化性組成物を離型フィルム(例えば東レ社製ルミラー#50、50μm厚)にワイヤーバーで塗布した後、その上にもう一枚の離型フィルムをラミネートし、大気下1200W/cmの空冷メタルハライドランプ(例えばアイグラフィックス社製)を用いて、紫外線を塗布面より2000mJ/cm照射して硬化させる。こうして得られた硬化膜を、例えば2cm角に裁断したのち硬化膜の両面にある離型フィルムを剥離し、厚み60μmの樹脂層単膜(モデル膜)を得る。
こうして得られたモデル膜を、後述の方法による損失率測定に付す。得られた測定値を光源から出射される光の損失率とする。なおモデル膜としては厚み60μm以外のモデル膜を作製してもよい。この場合には、測定値を厚み60μmに換算した値、即ち、モデル膜の厚みをTμmとすると、「測定された損失率×(T/60)」で算出される値を、光源から出射される光の損失率とする。
(手段2:酸素暴露により量子ドットを失活させた後に測定)
波長変換層を酸素雰囲気中、例えば大気中に、量子ドットが失活するまで暴露する。量子ドットが失活したことは、励起光を照射しても量子ドットが励起しなくなること、即ち蛍光が検出されなくなることにより確認することができる。なお評価対象の波長変換部材が波長変換層以外の層や部材を含む場合には、例えば市販の研磨シートで研磨するなどして波長変換層を露出させる。こうして得られた波長変換層サンプルを、例えば2cm角に裁断した後に後述の方法による損失率測定に付す。損失率測定に付すサンプルの厚みが60μmである場合には、得られた測定値を光源から出射される光の損失率とする。一方、損失率測定に付すサンプルの厚みが60μm以外の場合には、得られた測定値を厚み60μmに換算した値を、光源から出射される光の損失率とする。
(手段3:波長変換層を組成解析し、解析された組成を有するモデル膜を作製し測定)
波長変換層の組成解析は、例えば赤外分光、NMR(Nuclear Magnetic Resonance)、ガスクロマトグラフィー等を用いる組成解析法により行うことができる。組成解析は、組成解析法に応じた処理を波長変換層に施して得られたサンプルを用いて行うことができる。そのようなサンプルとしては、例えば、波長変換層の一部を切り出して得られたサンプル、波長変換層のマトリックスを、マトリックスを溶解可能な溶媒に溶解して得られた溶液、等を挙げることができる。なお評価対象の波長変換部材が波長変換層以外の層や部材を含む場合には、例えば市販の研磨シートで研磨するなどして波長変換層を露出させる。そして上記組成解析により判明した波長変換層のマトリックスを形成するための光硬化性組成物を用意する。以降は手段1と同様にモデル膜を得る。
以上の手段1〜3のいずれかにより作製した測定用サンプルにおける光源から出射される光の損失率は、積分球を用いた絶対発光量子収率測定法により、以下の手法により求めるものとする。
測定用サンプルを配置した積分球に光源から出射される光の発光中心波長の光を含む測定光を入射させて発光中心波長における検出光強度Iを測定する。例えば、発光中心波長が450nmの青色光を出射する光源については、波長450nmにおける検出光強度Iを測定する。
同じ測定光を、測定用サンプルを配置していない積分球に入射させて発光中心波長における検出光強度Iを測定する。
以上の測定値を求めて、次式により求められる損失率Aを、光源から出射される光の損失率とする。
A=(I−I)/I
また、青色光損失率とは、測定光として青色光を入射させて、上記方法により波長450nmにおける検出光強度を測定して求められる値とする。紫外光損失率とは、測定光として紫外光を入射させて、上記方法により波長400nmにおける検出光強度を測定して求められる値とする。
以上の測定を行う測定装置としては、積分球を用いた絶対発光量子収率測定法を実施可能な市販の装置を用いることができる。一例として、浜松ホトニクス社製絶対PL(フォトルミネッセンス)量子収率測定装置(C9920−02)を挙げることができ、後述の実施例では、この測定装置を用いた。
一態様では、光源は青色光源である。また他の一態様では、光源は紫外光源である。
本発明の更なる態様は、上記バックライトユニットと、液晶セルと、を含む液晶表示装置に関する。
本発明の更なる態様は、
励起光により励起され蛍光を発光する量子ドットをマトリックス中に含む波長変換層を有し、
波長変換層は、光硬化性組成物を光照射により硬化させてなる光硬化層であり、
光硬化性組成物は、量子ドット、脂環式エポキシ化合物を少なくとも含む重合性化合物、および光重合開始剤を含み、
波長変換層のマトリックスにおける青色光損失率は、厚み60μm換算で3%以下である波長変換部材、
に関する。
本発明の更なる態様は、
励起光により励起され蛍光を発光する量子ドットをマトリックス中に含む波長変換層を有し、
波長変換層は、光硬化性組成物を光照射により硬化させてなる光硬化層であり、
光硬化性組成物は、量子ドット、脂環式エポキシ化合物を少なくとも含む重合性化合物、および光重合開始剤を含み、
波長変換層のマトリックスにおける紫外光損失率は、厚み60μm換算で3%以下である波長変換部材、
に関する。
本発明の更なる態様は、
励起光により励起され蛍光を発光する量子ドットを含む光硬化性化合物であって、
量子ドット、脂環式エポキシ化合物を少なくとも含む重合性化合物、および光重合開始剤を含み、
光硬化性組成物を光照射により硬化させて得られる光硬化体の量子ドットを除く部分の青色光損失率が、厚み60μm換算で3%以下である、光硬化性組成物、
に関する。
上記の光硬化性組成物に関する青色光損失率については、
(1)先に記載した手段1により得られた測定用サンプル、
(2)量子ドットを含む光硬化性組成物を用いて手段1により得られた光硬化体を手段2にしたがい酸素暴露により失活させた測定用サンプル、
の少なくとも一方を用いて先に記載した手法により求められる値が3%以下である場合、上記光硬化体の量子ドットを除く部分の青色光損失率がマトリックスにおける光源から出射される光の損失率が、厚み60μm換算で3%以下であると判定するものとする。この点は、後述する光硬化性組成物に関する紫外光損失率についても、同様である。
本発明の更なる態様は、
励起光により励起され蛍光を発光する量子ドットを含む波長変換層を有する波長変換部材の製造方法であって、
波長変換層は、量子ドットをマトリックス中に含み、かつマトリックスにおける青色光損失率は、厚み60μm換算で3%以下であり、
波長変換層を、上記光硬化性組成物を光照射により硬化させることによって形成することを含む波長変換部材の製造方法、
に関する。
本発明の更なる態様は、
励起光により励起され蛍光を発光する量子ドットを含む光硬化性化合物であって、
量子ドット、脂環式エポキシ化合物を少なくとも含む重合性化合物、および光重合開始剤を含み、
光硬化性組成物を光照射により硬化させて得られる光硬化体の量子ドットを除く部分の紫外光損失率が、厚み60μm換算で3%以下である、光硬化性組成物、
に関する。
本発明の更なる態様は、
励起光により励起され蛍光を発光する量子ドットを含む波長変換層を有する波長変換部材の製造方法であって、
波長変換層は、量子ドットをマトリックス中に含み、かつマトリックスにおける紫外光損失率は、厚み60μm換算で3%以下であり、
波長変換層を、上記光硬化性組成物を光照射により硬化させることによって形成することを含む波長変換部材の製造方法、
に関する。
上記バックライトユニット、波長変換部材、光硬化性組成物に関し、一態様では、光重合開始剤は、ヨードニウム塩化合物である。
一態様では、ヨードニウム塩化合物は、アニオン部として、気相酸性度が240〜290kcal/molの範囲であるアニオン部を含む。ここで「気相酸性度」とは、気相中での酸性度であり、IUPAC(International Union of Pure and Applied Chemistry)により酸解離に伴うギブズエネルギー変化と定義されている。気相酸性度は、公知の計算ソフトにより算出することができる。
一態様では、重合性化合物は、重合性化合物全量100質量部に対して脂環式エポキシ化合物を1〜100質量部含む。
一態様では、重合性化合物は、(メタ)アクリレート化合物を更に含む。
一態様では、(メタ)アクリレート化合物は、単官能(メタ)アクリレートを含む。
一態様では、波長変換層は、光散乱粒子を0.20体積%以上含む。
一態様では、光硬化性組成物は、光散乱粒子を固形分全量に対して体積基準で0.20体積%以上含む。なお固形分とは、溶媒を含む組成物については溶媒を除く部分をいい、溶媒を含まない組成物については組成物全体をいうものとする。
ここで「光散乱粒子」とは、粒子サイズ0.10μm以上の粒子をいう。光の散乱は、層内の光学的不均一性によりもたらされる。粒子サイズが十分に小さな粒子は、この粒子が含まれていても層の光学的均一性が大きく低下することはないのに対し、粒子サイズ0.10μm以上の粒子は、層を光学的に不均一にし、これにより光の散乱をもたらすことができる粒子である。
本発明および本明細書における粒子サイズとは、走査型電子顕微鏡(Scanning Electron Microscope;SEM)により観察することによって求められる値とする。具体的には、波長変換層または光硬化性組成物を光照射により硬化させて得られた光硬化体の断面を倍率5000倍で撮影したのちに、得られた画像から一次粒子径を測定する。また、球形状ではない粒子については、長軸の長さと短軸の長さの平均値を求め、これを一次粒子径として採用する。こうして求められる一次粒子径を、上記の粒子の粒子サイズとする。また、光散乱粒子の平均粒子サイズとは、上記の撮影した画像において、粒子サイズ0.10μm以上の粒子のうち無作為に抽出した20個の粒子の粒子サイズの算術平均とする。なお後述の実施例で示す光散乱粒子の平均粒子サイズは、走査型電子顕微鏡として日立ハイテク社製S−3400Nを用いて波長変換層の断面を観察して測定することで得られた値である。
本発明によれば、光硬化により形成されたエポキシマトリックス中に量子ドットを含む波長変換層を有する波長変換部材を備えた液晶表示装置であって、高輝度の画像を表示可能な液晶表示装置を提供することができる。更に本発明によれば、かかる液晶表示装置の提供を可能とする波長変換部材および波長変換部材の製造方法、ならびバックライトユニットも提供することができる。
図1(a)、(b)は、波長変換部材を含むバックライトユニットの一例の説明図である。 図2は、波長変換部材の製造装置の一例の概略構成図である。 図3は、図2に示す製造装置の部分拡大図である。 図4は、液晶表示装置の一例を示す。
以下の説明は、本発明の代表的な実施態様に基づいてなされることがあるが、本発明はそのような実施態様に限定されるものではない。なお、本発明および本明細書において「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。
本発明および本明細書中、ピークの「半値幅」とは、ピーク高さ1/2でのピークの幅のことを言う。また、430〜480nmの波長帯域に発光中心波長を有する光を青色光と呼び、520〜560nmの波長帯域に発光中心波長を有する光を緑色光と呼び、600〜680nmの波長帯域に発光中心波長を有する光を赤色光と呼ぶ。また、紫外光とは、300nm〜430nmの波長帯域に発光中心波長を有する光をいう。そして単一ピークの光として青色光を出射する光源を青色光源と呼び、単一ピークの光として紫外光を出射する光源を紫外光源と呼ぶ。ここで単一ピークの光を発光するとは、発光スペクトルに、白色光源のように2つ以上のピークが出現するのではなく、発光中心波長を発光極大とするピークが1つのみ存在することを意味する。
また、直交、等の角度に関する記載については、本発明が属する技術分野において許容される誤差の範囲を含むものとする。例えば、厳密な角度±10°未満の範囲内であることを意味し、厳密な角度との誤差は、5°以下であることが好ましく、3°以下であることがより好ましい。
[バックライトユニット、波長変換部材、光硬化性組成物、波長変換部材の製造方法]
本発明のバックライトユニットは、光源と、光源から出射される光の光路上に位置する波長変換部材と、を含むバックライトユニットであって、波長変換部材は、励起光により励起され蛍光を発光する量子ドットをマトリックス中に含む波長変換層を有し、波長変換層は、光硬化性組成物を光照射により硬化させてなる光硬化層であり、光硬化性組成物は、量子ドット、脂環式エポキシ化合物を少なくとも含む重合性化合物、および光重合開始剤を含み、波長変換層のマトリックスにおける光源から出射される光の損失率は、厚み60μm換算で3%以下であるバックライトユニットである。
本発明者らは、先に記載した目的を達成するために鋭意検討を重ねた結果、本発明のバックライトユニットを見出した。以下、この点について更に説明する。
本発明者らは、光硬化により形成したエポキシマトリックスを含む波長変換層を有する波長変換部材を備えた液晶表示装置における輝度低下の原因について検討を重ねる中で、原因は以下の点にあると考えるに至った。
エポキシマトリックスを形成するためのエポキシ化合物としては、脂環式エポキシ化合物と脂肪族エポキシ化合物が挙げられる。なお本発明および本明細書において、脂環式エポキシ化合物とは、エポキシ環と飽和炭化水素環が縮環した構造を有するエポキシ化合物をいい、例えばシクロアルケンから派生する形式のエポキシドである。これに対し、グリシジル基などを有するエポキシ化合物は脂肪族エポキシ化合物である。上記二種のエポキシ化合物の中では、光照射による硬化性が良好である点で、脂環式エポキシ化合物が好ましい。しかし本発明者らは、この脂環式エポキシ化合物を用いて光硬化により形成されたエポキシマトリックスが光源から出射された光を吸収することによる光の損失が、上記の輝度低下をもたらしていると考えるに至った。詳しくは、次の通りである。
波長変換部材を備えたバックライトユニットでは、光源から出射された光(以下、「光源由来の光」とも記載する。)が波長変換層に入射し、少なくとも一部が量子ドットに当たることにより量子ドットが励起され蛍光が発光される。また、バックライトユニットには、反射性を有する部材(プリズムシート、輝度向上膜等)が含まれることが多い。光源由来の光の一部は波長変換層を通過した後に、波長変換層よりも出射側に位置する反射性を有する部材により反射されて再び波長変換層に入射し(以下、そのような光を「戻り光」とも記載する。)、その一部が量子ドットに当たることによって量子ドットが励起されることによっても蛍光を得ることができる。更に、戻り光の一部は波長変換層を通過した後に光源側に存在する反射性を有する部材(例えば反射板等)により反射され再び波長変換層に入射することもある。このように、波長変換部材を備えたバックライトユニットでは、光源由来の光が反射を繰り返し波長変換層に入射することにより量子ドットが励起されて蛍光を得ることができる。このようなバックライトユニットにおいて光源由来の光が波長変換層のマトリックスに吸収されることは、吸収がわずかであっても量子ドットの発光効率を低下させてしまうと考えられる。本発明者らは、脂環式エポキシ化合物を用いて光硬化により形成されたエポキシマトリックスが上記のように量子ドットの発光効率を低下させてしまうことが、上述の輝度低下の原因であると考えるに至った。
そこで本発明者らは、例えば詳細を後述する各種手段により脂環式エポキシ化合物を用いて光硬化により形成されたエポキシマトリックスにおける光源由来の光の損失を低減させることによって、上記のバックライトユニットを完成させた。かかるバックライトユニットを組み込んだ液晶表示装置によれば、高輝度の画像を得ることができる。
ただし以上は本発明者らによる推察であって、本発明を何ら限定するものではない。
更に、光源として青色光源を用いるバックライトユニットに好適な波長変換部材として、
励起光により励起され蛍光を発光する量子ドットをマトリックス中に含む波長変換層を有し、
波長変換層は、光硬化性組成物を光照射により硬化させてなる光硬化層であり、
光硬化性組成物は、量子ドット、脂環式エポキシ化合物を少なくとも含む重合性化合物、および光重合開始剤を含み、
波長変換層のマトリックスにおける青色光損失率は、厚み60μm換算で3%以下である波長変換部材、
も本発明により提供される。
更に、上記波長変換部材の製造のために好適な光硬化性組成物として、
励起光により励起され蛍光を発光する量子ドットを含む光硬化性化合物であって、
量子ドット、脂環式エポキシ化合物を少なくとも含む重合性化合物、および光重合開始剤を含み、
光硬化性組成物を光照射により硬化させて得られる光硬化体の量子ドットを除く部分の青色光損失率が、厚み60μm換算で3%以下である、光硬化性組成物、
も本発明により提供される。
更に、上記波長変換部材の製造方法として、
励起光により励起され蛍光を発光する量子ドットを含む波長変換層を有する波長変換部材の製造方法であって、
波長変換層は、量子ドットをマトリックス中に含み、かつマトリックスにおける青色光損失率は、厚み60μm換算で3%以下であり、
波長変換層を、上記光硬化性組成物を光照射により硬化させることによって形成することを含む波長変換部材の製造方法、
も本発明により提供される。
更に、光源として紫外光源を用いるバックライトユニットに好適な波長変換部材として、
励起光により励起され蛍光を発光する量子ドットをマトリックス中に含む波長変換層を有し、
波長変換層は、光硬化性組成物を光照射により硬化させてなる光硬化層であり、
光硬化性組成物は、量子ドット、脂環式エポキシ化合物を少なくとも含む重合性化合物、および光重合開始剤を含み、
波長変換層のマトリックスにおける紫外光損失率は、厚み60μm換算で3%以下である波長変換部材、
も本発明により提供される。
更に、上記波長変換部材の製造のために好適な光硬化性組成物として、
励起光により励起され蛍光を発光する量子ドットを含む光硬化性化合物であって、
量子ドット、脂環式エポキシ化合物を少なくとも含む重合性化合物、および光重合開始剤を含み、
光硬化性組成物を光照射により硬化させて得られる光硬化体の量子ドットを除く部分の紫外光損失率が、厚み60μm換算で3%以下である、光硬化性組成物、
も本発明により提供される。
更に、上記波長変換部材の製造方法として、
励起光により励起され蛍光を発光する量子ドットを含む波長変換層を有する波長変換部材の製造方法であって、
波長変換層は、量子ドットをマトリックス中に含み、かつマトリックスにおける紫外光損失率は、厚み60μm換算で3%以下であり、
波長変換層を、上記光硬化性組成物を光照射により硬化させることによって形成することを含む波長変換部材の製造方法、
も本発明により提供される。
以下、上記バックライトユニット、波長変換部材、光硬化性組成物、および波長変換部材の製造方法について、更に詳細に説明する。
(波長変換部材の構成、配置例)
波長変換部材は、入射光の少なくとも一部の波長を変換して、入射光の波長と異なる波長の光を出射する機能を有していればよい。波長変換部材の形状は特に限定されるものではなく、シート状、バー状等の任意の形状であることができる。波長変換部材は、液晶表示装置のバックライトユニットの構成部材として使用することができる。
図1は、波長変換部材を含むバックライトユニット1の一例の説明図である。図1中、バックライトユニット1は、光源1Aと、面光源とするための導光板1Bを備える。図1(a)に示す例では、波長変換部材は、導光板から出射される光の経路上に配置されている。一方、図1(b)に示す例では、波長変換部材は、導光板と光源との間に配置されている。そして図1(a)に示す例では、導光板1Bから出射される光が、波長変換部材1Cに入射する。
図1(a)に示す例では、導光板1Bのエッジ部に配置された光源1Aから出射される光2は青色光であり、導光板1Bの液晶セル(図示せず)側の面から液晶セルに向けて出射される。導光板1Bから出射された光(青色光2)の経路上に配置された波長変換部材1Cには、青色光2により励起され赤色光4を発光する量子ドット(A)と、青色光2により励起され緑色光3を発光する量子ドット(B)を、少なくとも含む。このようにしてバックライトユニット1からは、励起された緑色光3および赤色光4、ならびに波長変換部材1Cを透過した青色光2が出射される。こうして赤色光、緑色光、および青色光の光を発光させることで、白色光を具現化することができる。
図1(b)に示す例は、波長変換部材と導光板の配置が異なる点以外は、図1(a)に示す態様と同様である。図1(b)に示す例では、波長変換部材1Cから、励起された緑色光3および赤色光4、ならびに波長変換部材1Cを透過した青色光2が出射され導光板に入射し、面光源が実現される。
(波長変換層)
波長変換部材は、少なくとも、量子ドットを含む波長変換層を有する。波長変換層は、量子ドットをマトリックス中に含む。マトリックスは重合体を含み、波長変換層は、量子ドットおよび重合性化合物を含む光硬化性組成物から形成することができる。上記波長変換部材では、波長変換層は、量子ドット、脂環式エポキシ化合物を少なくとも含む一種以上の重合性化合物および光重合開始剤を含む光硬化性組成物の光硬化層である。波長変換層の形状は特に限定されるものではなく、シート状、バー状等の任意の形状であることができる。
量子ドットは、励起光により励起され蛍光を発光する。波長変換層は、少なくとも一種の量子ドットを含み、発光特性の異なる二種以上の量子ドットを含むこともできる。公知の量子ドットには、600nm〜680nmの範囲の波長帯域に発光中心波長を有する量子ドット(A)、520nm〜560nmの範囲の波長帯域に発光中心波長を有する量子ドット(B)、400nm〜500nmの波長帯域に発光中心波長を有する量子ドット(C)がある。量子ドット(A)は、励起光により励起され赤色光を発光し、量子ドット(B)は緑色光を、量子ドット(C)は青色光を発光する。例えば、量子ドット(A)と量子ドット(B)を含む波長変換層へ励起光として青色光を入射させると、図1に示すように、量子ドット(A)により発光される赤色光、量子ドット(B)により発光される緑色光と、波長変換層を透過した青色光により、白色光を具現化することができる。または、量子ドット(A)、(B)、および(C)を含む波長変換層に励起光として紫外光を入射させることにより、量子ドット(A)により発光される赤色光、量子ドット(B)により発光される緑色光、および量子ドット(C)により発光される青色光により、白色光を具現化することができる。
上記バックライトユニットに含まれる波長変換部材の波長変換層のマトリックスについて測定される光源から出射される光の損失率は、厚み60μm換算で3%以下である。波長変換層のマトリックスの上記損失率が3%以下であることにより、光源由来の光が波長変換層により損失することを抑制することができる。本発明者らは、この点が、上記バックライトユニットを備える液晶表示装置における輝度低下を抑制することに寄与すると推察している。上記損失率は、3%未満であることが好ましく、2%未満であることがより好ましく、1%未満であることが更に好ましい。上記損失率は、例えば0.01%以上であれば、低いほど好ましいため下限は特に限定されるものではない。なお上記損失率の測定方法は、先に記載した通りである。
上記損失率は、バックライトユニットに含まれる光源が青色光源である場合には青色光の損失率である。また、光源が紫外光源である場合には、紫外光の損失率である。上記光の損失率は、例えば、波長変換層を形成するために用いる光硬化性組成物の処方により制御することができる。詳細は後述する。
(量子ドット含有光硬化性組成物)
上記波長変換部材における波長変換層は、量子ドット含有光硬化性組成物を光照射により硬化させてなる光硬化層である。量子ドット含有光硬化性組成物(「光硬化性組成物」とも記載する。)は、量子ドット、脂環式エポキシ化合物を少なくとも含む一種以上の重合性化合物および光重合開始剤を含む。光硬化性組成物は、有機金属カップリング剤等の他の成分を含んでいてもよい。
(量子ドット)
量子ドットとは、量子閉じ込め効果により離散的なエネルギー準位を取る蛍光体である。量子ドットの形状としては、球状、棒状、テトラポット型等の各種形状が挙げられる。なお棒状には、針状、円柱状、回転楕円体形状、多角柱状等の異方性のある形状が包含される。量子ドットの形状の確認方法は、特に制限はなく、例えば透過型電子顕微鏡を用いて確認することができる。棒状の量子ドットは、量子ロッド(Quantum Rod)とも呼ばれる。
発光半値幅(FWHM;full width at half maximum)を狭くすることにより液晶表示装置の色再現域を拡大する観点からは、球形の量子ドットおよび棒状の量子ドット(すなわち、量子ロッド)からなる群から選ばれる量子ドットが好ましい。
一方、波長変換層の薄層化の観点からは、波長変換層中の量子ドットの濃度を高めることが好ましい。この観点からは、棒状の量子ドット(即ち、量子ロッド)およびテトラポッド型の量子ドットからなる群から選ばれる量子ドットが好ましい。詳しくは、次の通りである。量子ロッドおよびテトラポッド型の量子ドットは、球状の量子ドットと比べて発光した光の再吸収(自己吸収ともいう)が小さいため、波長変換層における濃度を高めても発光量子収率の低下が小さい傾向がある。そのため、波長変換層における量子ドットの濃度を高めることにより、波長変換層の厚みを薄くすることができる。波長変換層を薄くすることは、脂環式エポキシ化合物を用いて光硬化により形成されたエポキシマトリックス量を低減することにつながり、これにより光源由来の光の損失を更に低減することができる。更に、波長変換層を薄くできることは、光硬化を行う場合に硬化性の改善にもつながるため、好ましい。
波長変換層に使用可能な量子ロッドとしては、特に制限はなく、例えば、米国特許7303628号、論文(Peng,X. G.; Manna, L.; Yang,W. D.; Wickham, j.; Scher,E.; Kadavanich,A.; Alivisatos,A. P. Nature 2000,404, 59−61)、論文(Manna,L.; Scher, E. C.; Alivisatos,A. P. j. Am. Chem.Soc. 2000, 122, 12700−12706)等に記載の量子ロッドを用いることができ、これらの文献の内容は本発明に組み込まれる。
量子ロッドの平均長軸長(長軸長の平均値)は特に制限されないが、発光特性、発光効率等の点から、8〜500nmの範囲であることが好ましく、10〜160nmの範囲であることがより好ましい。上記平均長軸長は、任意に選択した20個以上の量子ロッドの長軸長を顕微鏡(例えば、透過型電子顕微鏡)にて測定して、それらを算術平均した値である。
また、量子ロッドの長軸とは、顕微鏡(例えば、透過型電子顕微鏡)観察して得られる量子ロッドの二次元像において、量子ロッドを横切る線分が最も長くなる線分のことをいう。短軸とは、長軸に直交し、かつ量子ロッドを横切る線分が最も長くなる線分のことをいう。
量子ロッドの平均短軸長(短軸長の平均値)は特に制限されないが、発光特性、発光効率等の点から、0.3〜20nmの範囲であることが好ましく、1〜10nmの範囲であることがより好ましい。上記平均短軸長は、任意に選択した20個以上の量子ロッドの短軸長を顕微鏡(例えば、透過型電子顕微鏡)にて測定して、それらを算術平均した値である。
量子ロッドのアスペクト比(量子ロッドの長軸長/量子ロッドの短軸長)は、発光特性がより優れる点、発光効率の低下が抑制される点等から、1.5以上が好ましく、3.0以上がより好ましい。上限は特に制限されないが、取り扱いやすさの点からは、20以下であることが好ましい。上記アスペクト比は平均値であり、任意に選択した20個以上の量子ロッドのアスペクト比を顕微鏡(例えば、透過型電子顕微鏡)にて測定して、それらを算術平均した値である。
なお上記方法により求められるアスペクト比が1.1以下の形状を球状、アスペクト比が1.1超の形状を、棒状と呼ぶ。
各種形状の量子ドットの表面には、ルイス塩基性の配位性基を有する配位子が配位していてもよい。ルイス塩基性の配位性基としては、アミノ基、カルボキシ基、メルカプト基、ホスフィン基、およびホスフィンオキシド基、等を挙げることができる。配位子の具体例としては、ヘキシルアミン、デシルアミン、ヘキサデシルアミン、オクタデシルアミン、オレイルアミン、ミリスチルアミン、ラウリルアミン、オレイン酸、メルカプトプロピオン酸、トリオクチルホスフィン、およびトリオクチルホスフィンオキシド等を挙げることができる。なかでも、ヘキサデシルアミン、トリオクチルホスフィン、およびトリオクチルホスフィンオキシドが好ましく、トリオクチルホスフィンオキシドが特に好ましい。
量子ドットについては、上記の記載に加えて、例えば特開2012−169271号公報段落0060〜0066を参照することができるが、ここに記載のものに限定されるものではない。量子ドットとしては、市販品を何ら制限なく用いることができる。量子ドットの発光波長は、通常、粒子の組成、サイズ、ならびに組成およびサイズにより調整することができる。
量子ドットとしては、コアを構成する半導体をシェルを構成する半導体が被覆したコアシェル構造を有する半導体粒子(コア−シェル型の半導体粒子)が、発光効率の観点から好ましい。コアとしては、例えば、II−VI族半導体粒子、III−V族半導体粒子等の二種以上の原子を含む多元系半導体粒子等を用いることができる。これら半導体粒子は、一態様では、数nm〜数十nm程度の粒子サイズを有するいわゆるナノ粒子であることができる。コアを構成し得る半導体の具体例としては、CdSe、CdTe、CdS、ZnS、ZnSe、ZnTe、InP、InAs、InGaP、CuInS等が挙げられるが、これらに限定されない。中でも、CdSe、CdTe、InP、InGaP、CuInSは、高効率で可視光を発光することができるため好ましい。一方、シェルを構成し得る半導体としては、CdS、ZnS、ZnO、GaAs、およびこれらの複合体を挙げることができるが、これらに限定されない。
量子ドットは、上記光硬化性組成物に粒子の状態で添加してもよく、溶媒に分散した分散液の状態で添加してもよい。分散液の状態で添加することが量子ドットの粒子の凝集を抑制する観点から好ましい。ここで使用される溶媒は、特に限定されるものではない。量子ドットは、光硬化性組成物の全量100質量部に対して、例えば0.01〜10質量部程度添加することができる。
(脂環式エポキシ化合物)
上記光硬化性化合物は、重合性化合物として、脂環式エポキシ化合物を少なくとも含む。脂環式エポキシ化合物は、一種のみであってもよく、構造の異なる二種以上であってもよい。なお以下において、脂環式エポキシ化合物に関する含有量とは、構造の異なる二種以上の脂環式エポキシ化合物を用いる場合には、これらの合計含有量をいうものとする。この点は、他の成分についても、構造の異なる二種以上を用いる場合には同様とする。先に記載した通り、脂環式エポキシ化合物は、脂肪族エポキシ化合物と比べて光照射による硬化性が良好である。光硬化性に優れる重合性化合物を用いることは、生産性を向上させることに加え、光照射側と非照射側とで均一な物性を有する層を形成できる点でも有利である。これにより、波長変換層のカールの抑制や均一な品質の波長変換部材の提供も可能となる。なおエポキシ化合物は、一般に、光硬化時の硬化収縮が少ない傾向もある。この点は、変形が少なく平滑な波長変換層を形成するうえで有利である。
脂環式エポキシ化合物は、少なくとも1つの脂環式エポキシ基を有する。ここで脂環式エポキシ基とは、エポキシ環と飽和炭化水素環との縮環を有する1価の置換基をいい、好ましくはエポキシ環とシクロアルカン環との縮環を有する1価の置換基である。より好ましい脂環式エポキシ化合物としては、エポキシ環とシクロヘキサン環が縮環した下記構造:
を1分子中に1つ以上有するものを挙げることができる。上記構造は、1分子中に2つ以上含まれていてもよく、好ましくは1分子中に1つまたは2つ含まれる。また、上記構造は、1つ以上の置換基を有していてもよい。置換基としては、アルキル基(例えば炭素数1〜6のアルキル基)、水酸基、アルコキシ基(例えば炭素数1〜6のアルコキシ基)、ハロゲン原子(例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子)、シアノ基、アミノ基、ニトロ基、アシル基、カルボキシル基等を挙げることができる。上記構造は、無置換であることが好ましい。
また、脂環式エポキシ化合物は、脂環式エポキシ基以外の重合性官能基を有していてもよい。重合性官能基とは、ラジカル重合、またはカチオン重合によって重合反応を起こすことができる官能基を指し、例えば(メタ)アクリロイル基を挙げることができる。なお脂環式エポキシ基とともに(メタ)アクリロイル基とを有する化合物は、脂環式エポキシ化合物として、後述する含有量を算出するものとする。
脂環式エポキシ化合物として好適に使用できる市販品としては、ダイセル化学工業社のセロキサイド2000、セロキサイド2021P、セロキサイド3000、セロキサイド8000、サイクロマーM100、エポリードGT301、エポリードGT401、シグマアルドリッチ社製の4−ビニルシクロヘキセンジオキシド、日本テルペン化学社のD−リモネンオキサイド、新日本理化社のサンソサイザーE−PS等を挙げることができる。これらは、一種単独で、または二種以上組み合わせて用いることができる。中でも、波長変換層と隣接する層との密着性向上の観点からは、下記の脂環式エポキシ化合物A、Bが特に好ましい。脂環式エポキシ化合物Aは、市販品としてはダイセル化学工業社セロキサイド2021Pとして入手することができる。脂環式エポキシ化合物Bは、市販品としてはダイセル化学工業社サイクロマーM100として入手することができる。
また、脂環式エポキシ化合物は、公知の合成方法により製造することもできる。その合成方法は問わないが、例えば、丸善KK出版、第四版実験化学講座20有機合成II、213〜、平成4年、Ed.by Alfred Hasfner,The chemistry of heterocyclic compounds−Small Ring Heterocycles part3 Oxiranes,John & Wiley and Sons,An Interscience Publication,New York,1985、吉村、接着、29巻12号、32、1985、吉村、接着、30巻5号、42、1986、吉村、接着、30巻7号、42、1986、特開平11−100378号公報、特許第2926262号公報などの文献を参考にして合成できる。
脂環式エポキシ化合物は、上記の通り脂肪族エポキシ化合物と比べて光照射による硬化性に優れる重合性化合物である。ただし本発明者らは、脂環式エポキシ化合物が、光源由来の光の吸収の一因となっていると推察している。詳しくは、光照射により脂環式エポキシ化合物のエポキシ環が開環した開環体が酸化されて形成される生成物が、青色光等の光源由来の光の吸収の一因となっていることを推察している。そこで光源由来の光の吸収を抑制する手段の1つとしては、光硬化性組成物中の脂環式エポキシ化合物の含有量を低減することが挙げられる。光硬化性化合物における脂環式エポキシ化合物の含有量は、重合性化合物全量100質量部に対して100質量部でもよく、好ましくは90質量部以下であり、より好ましくは80質量部以下であり、更に好ましくは70質量部以下である。また、上記含有量は、例えば1質量部以上であり、脂環式エポキシ化合物を使用することにより良好な硬化性を得る観点から、10質量部以上であることが好ましく、20質量部以上であることがより好ましく、30質量部以上であることが更に好ましい。なお後述する有機金属カップリング剤の中には、脂環式エポキシ基を含むものもある。そのような脂環式エポキシ基含有有機金属含有カップリング剤も、脂環式エポキシ化合物の含有量の算出にあたっては脂環式エポキシ化合物に含めるものとする。また、そのような脂環式エポキシ基含有有機金属カップリング剤の光硬化性組成物における含有量は、脂環式エポキシ化合物全量100質量部に対して0.1〜20質量部とすることが好ましく、0.5〜20質量部とすることがより好ましい。
(脂環式エポキシ化合物と併用可能な重合性化合物)
光硬化性化合物は、重合性化合物として、脂環式エポキシ化合物の一種以上に加えて、他の重合性化合物の一種以上を含んでもよい。他の重合性化合物としては、単官能(メタ)アクリレート化合物、多官能(メタ)アクリレート化合物等の(メタ)アクリレート化合物が好ましい。ここで、本発明および本明細書において、(メタ)アクリレート化合物または(メタ)アクリレートとは、(メタ)アクリロイル基を1分子中に1つ以上含む化合物をいうものとし、(メタ)アクリロイル基とは、アクリロイル基とメタリロイル基の一方または両方を示すために用いるものとする。また、(メタ)アクリレート化合物について単官能とは、1分子中に含まれる(メタ)アクリロイル基の数が1つであることをいい、多官能とは、1分子中に含まれる(メタ)アクリロイル基の数が2つ以上であることをいうものとする。本発明者らは、脂環式エポキシ化合物と(メタ)アクリレート化合物を併用することは、波長変換層のマトリックスの光源由来の光の吸収を抑制することに寄与すると推察している。詳しくは、次の通りである。本発明者らは、先に記載したように光源由来の光の吸収の一因として、脂環式エポキシ化合物のエポキシ基が開環した開環体の酸化を推察している。これに対し、(メタ)アクリレート化合物は、ラジカル重合性化合物であって、重合時に発生するラジカルの一部は反応系内の酸素と結合すると考えられる。これにより反応系内の酸素が低減される結果、上記の開環体の酸化が防止されることが、上述の吸収抑制に寄与するのではないかと本発明者らは考えている。ただし以上は本発明者らによる推察であって、本発明を何ら限定するものではない。
光硬化性組成物における(メタ)アクリレート化合物の含有量は、重合性化合物全量100質量部に対して0〜99質量部とすることが好ましく、30〜70質量部とすることがより好ましい。また、硬化収縮が少ないという点からは、(メタ)アクリレート化合物としては単官能(メタ)アクリレート化合物が好ましい。光硬化性組成物における単官能(メタ)アクリレート化合物の含有量は、重合性化合物全量100質量部に対して0〜99質量部とすることが好ましく、30〜70質量部とすることがより好ましい。なお後述する有機金属カップリング剤の中には、(メタ)アクリロイル基を含むものもある。そのような(メタ)アクリロイル基含有有機金属含有カップリング剤も、(メタ)アクリレート化合物の含有量の算出にあたっては(メタ)アクリレート化合物に含めるものとする。また、そのような(メタ)アクリロイル基含有有機金属カップリング剤の光硬化性組成物における含有量は、(メタ)アクリレート化合物全量100質量部に対して 0.1〜20質量部とすることが好ましく、0.5〜10質量部とすることがより好ましい。
単官能(メタ)アクリレート化合物としては、アクリル酸およびメタクリル酸、それらの誘導体、より詳しくは、(メタ)アクリル酸の重合性不飽和結合((メタ)アクリロイル基)を分子内に1つ有する化合物を挙げることができる。それらの具体例として以下に化合物を挙げるが、本発明はこれに限定されるものではない。なお上記の(メタ)アクリル酸とは、アクリル酸およびメタクリル酸の一方または両方を示すものとする。
メチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート等のアルキル基の炭素数が1〜30であるアルキル(メタ)アクリレート;ベンジル(メタ)アクリレート等のアラルキル基の炭素数が7〜20であるアラルキル(メタ)アクリレート;ブトキシエチル(メタ)アクリレート等のアルコキシアルキル基の炭素数が2〜30であるアルコキシアルキル(メタ)アクリレート;N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート等の(モノアルキルまたはジアルキル)アミノアルキル基の総炭素数が1〜20であるアミノアルキル(メタ)アクリレート;ジエチレングリコールエチルエーテルの(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールブチルエーテルの(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールモノメチルエーテルの(メタ)アクリレート、ヘキサエチレングリコールモノメチルエーテルの(メタ)アクリレート、オクタエチレングリコールのモノメチルエーテル(メタ)アクリレート、ノナエチレングリコールのモノメチルエーテル(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールのモノメチルエーテル(メタ)アクリレート、ヘプタプロピレングリコールのモノメチルエーテル(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールのモノエチルエーテル(メタ)アクリレート等のアルキレン鎖の炭素数が1〜10で末端アルキルエーテルの炭素数が1〜10のポリアルキレングリコールアルキルエーテルの(メタ)アクリレート;ヘキサエチレングリコールフェニルエーテルの(メタ)アクリレート等のアルキレン鎖の炭素数が1〜30で末端アリールエーテルの炭素数が6〜20のポリアルキレングリコールアリールエーテルの(メタ)アクリレート;シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、メチレンオキシド付加シクロデカトリエン(メタ)アクリレート等の脂環構造を有する総炭素数4〜30の(メタ)アクリレート;ヘプタデカフロロデシル(メタ)アクリレート等の総炭素数4〜30のフッ素化アルキル(メタ)アクリレート;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールのモノ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ヘキサエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、オクタプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、グリセロールのモノまたはジ(メタ)アクリレート等のヒドロキシ基を有する(メタ)アクリレート;グリシジル(メタ)アクリレート等のグリシジル基を有する(メタ)アクリレート;テトラエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ヘキサエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、オクタプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート等のアルキレン鎖の炭素数が1〜30のポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート;(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド、アクリロイルモルホリン等の(メタ)アクリルアミドなどが挙げられる。中でも波長変換層と隣接する層との密着性の観点からは、極性官能基を有する単官能(メタ)アクリレートが好ましい。好ましい極性官能基としては、ヒドロキシ基、フェニル基が挙げられる。具体的な化合物としては、ベンジルアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、フェノキシジエチレングリコールアクリレート、1,4−シクロヘキサンジメタノールモノアクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレート、4―ヒドロキシブチルアクリレートが特に好ましい。
(光重合開始剤)
上記光硬化性組成物は、光照射による硬化を可能にするために一種以上の光重合開始剤を含む。光重合開始剤は、露光により分解してラジカル、酸、塩基などの開始種を発生させることができる化合物であり、この開始種により重合性化合物の重合反応を開始、促進させることができる化合物である。脂環式エポキシ化合物はカチオン重合可能な化合物であるため、上記光硬化性組成物は、光重合開始剤として光カチオン重合開始剤を一種または二種以上含むことが好ましい。また、脂環式エポキシ化合物はアニオン重合可能な化合物でもあるため、上記光硬化性組成物は、光重合開始剤として光アニオン重合開始剤を一種または二種以上含むことも好ましい。
光カチオン重合開始剤については、例えば、特許4675719号公報段落0019〜0024を参照できる。光カチオン重合開始剤は、光硬化性組成物に含まれる重合性化合物の全量の0.1モル%以上含まれることが好ましく、0.5〜5モル%含まれることがより好ましい。適量の重合開始剤の使用は、硬化のための光照射量を低減すること、および波長変換層全体を均一に硬化することを可能にする観点から好ましい。
好ましい光カチオン重合開始剤としては、ヨードニウム塩化合物、スルホニウム塩化合物、ピリジニウム塩化合物、ホスホニウム塩化合物を挙げることができる。これらの塩化合物に含まれるアニオン部(カウンターアニオン)としては、例えば、CHSO 、CSO 、CFSO 、PF 、HSbF 、HB(C を例示することができる。中でも、硬化速度の観点から、アニオン部の気相酸性度が240〜290kcal/molの範囲にあるヨードニウム塩化合物、スルホニウム塩化合物、ピリジニウム塩化合物、ホスホニウム塩化合物が好ましい。気相酸性度の範囲としては、240〜280kcal/molがより好ましく、240〜270kcal/molの範囲が更に好ましい。
中でも、熱安定性に優れる観点から、ヨードニウム塩化合物、スルホニウム塩化合物が好ましく、波長変換層の光源由来の光の吸収を抑制する観点から、ヨードニウム塩化合物が特に好ましい。波長変換層が光源由来の光を吸収する一因として、光重合開始剤の分解物による吸収が考えられるが、ヨードニウム塩化合物はそのような吸収の一因となる分解物を生成し難いと本発明者らは推察している。ただし以上は本発明者らによる推察であって、本発明を何ら限定するものではない。
ヨードニウム塩化合物とは、構造中にIを含むカチオン部と任意の構造のアニオン部とにより形成される塩であって、電子供与性基を3つ以上有し、これら電子供与性基の少なくとも1つがアルコキシ基であるジアリールヨードニウム塩が更に好ましい。このようにジアリールヨードニウム塩に電子供与性基であるアルコキシ基を導入することで、経時での水や求核剤による分解や、熱による電子移動が抑制することができること等により、安定性が向上すると考えられる。このような構造を有するヨードニウム塩化合物の具体例としては、下記光カチオン重合開始剤(ヨードニウム塩化合物)A、Bを挙げることができる。また、気相酸性度が240〜290kcal/molの範囲にあるアニオン部を有するヨードニウム塩化合物の具体例としては、下記光カチオン重合開始剤(ヨードニウム塩化合物)Cを挙げることができる。
なお波長変換層の光源由来の光の吸収は、ヨードニウム塩化合物の使用によらずに先に記載したように脂環式エポキシ化合物の含有量の低減、(メタ)アクリレート化合物の併用等の手段によって低減することも可能であるため、光硬化性化合物に添加可能な光カチオン重合開始剤は、ヨードニウム塩化合物に限定されるものではない。使用可能な光カチオン重合開始剤として、例えば以下の市販品の一種または二種以上の組み合わせを挙げることもできる:サンアプロ社製のCPI−110P(下記光カチオン重合開始剤D)、CPI−101A、CPI−110P、CPI−200K、和光純薬工業社製のWPI−113、WPI−116、WPI−124、WPI−169、WPI−170、ローディア社製のPI−2074、BASF社製のイルガキュア(登録商標)250、イルガキュア270、イルガキュア290(下記光カチオン重合開始剤E)。
一方、光アニオン重合開始剤については、例えば、特開2013−235216号公報段落0039〜0053を参照できる。光アニオン重合開始剤は、光硬化性組成物に含まれる重合性化合物の全量の0.5〜50モル%含まれることが好ましく、1〜40モル%含まれることがより好ましい。
また、光硬化性組成物がラジカル重合性化合物を含む場合には、光硬化性組成物は光ラジカル重合開始剤を一種または二種以上含んでもよい。光ラジカル開始剤については、例えば、特開2013−043382号公報段落0037、特開2011−159924号公報段落0040〜0042を参照できる。光ラジカル重合開始剤の含有量は、光硬化性組成物に含まれる重合性化合物の全量の0.1モル%以上であることが好ましく、0.5〜5モル%であることがより好ましい。
(有機金属カップリング剤)
光硬化性組成物は、波長変換層と隣接する層との密着性を改良するために有機金属カップリング剤を含んでいてもよい。なお有機金属カップリング剤とは、Si、Ti、Zr、Al、Sn等の金属原子を含み、加水分解性基と反応性官能基とを併せ持つ有機化合物である。加水分解性基としては、アルコキシ基(RO−)、アルキルカルボニルオキシ基(RCOO−)等を挙げることができ、反応性官能基としては、脂環式エポキシ基等のエポキシ基、(メタ)アクリロイル基、アミノ基、ビニル基、メルカプト基等が挙げられる。上記において、Rはアルキル基を表す。有機金属カップリング剤は、熱硬化反応を促進させる効果も持つため有効である。有機金属カップリング剤としては、例えば、シランカップリング剤、チタンカップリング剤、ジルコニウムカップリング剤、アルミニウムカップリング剤、スズカップリング剤等の各種カップリング剤を使用できる。これら有機金属カップリング剤は、波長変換層に隣接する層が、金属、金属酸化物、金属窒化物等の無機材料の層である場合や樹脂中にこれら無機材料を含む層である場合に密着改良効果が大きく、特に好ましい。
光硬化性組成物に添加することのできるシランカップリング剤としては、例えば、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、p−スチリルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−トリエトキシシリル−N−(1,3−ジメチル−ブチリデン)プロピルアミンとその部分加水分解物、3−トリメトキシシリル−N−(1,3−ジメチル−ブチリデン)プロピルアミンとその部分加水分解物、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシランなどが挙げられる。なかでも、ビニル、エポキシ、(メタ)アクリロイルオキシ、アミノ、イソシアネート変性のシランカップリング剤が好ましく、特に好ましくは、(メタ)アクリロイルオキシ変性のシランカップリング剤である。これらは、1種単独で、または2種以上組み合わせて用いることができる。
好適に使用できるシランカップリング剤の市販品としては、信越化学工業社製のものを挙げることができる。例えば、信越化学工業社製KBM−502、KBM−503、KBM−5103、KBE−502、KBE−503、KBM−903、KBM−9103等が挙げられる。
また、シランカップリング剤としては、特開2013−43382号公報に記載の一般式(1)で表されるシランカップリング剤を挙げることができる。詳細については、特開2013−43382号公報段落0011〜0016の記載を参照できる。
有機金属カップリング剤は、波長変換層と隣接する層との密着性をより一層向上する観点からは、光硬化性組成物中に、光硬化性組成物の総質量から量子ドットおよび溶媒の質量を除いた質量100質量部に対し0.1〜20質量部の範囲で含まれることが好ましく、0.5〜10質量部の範囲で含まれることがより好ましく、1〜5質量部の範囲で含まれることが更に好ましい。
(塩基発生剤)
一態様では、上記光硬化性組成物に、塩基発生剤を配合してもよい。塩基発生剤とは、加熱または光照射によって塩基を生成する化合物を意味する。例えば、塩基発生剤を含む光硬化性組成物を光照射することによって形成された波長変換層に熱を加えたり光を照射することにより、塩基発生剤から塩基を発生させることができる。一例として、例えば、太陽光や光源からの光が波長変換層に入射することにより、または任意に行われ得る波長変換部材の耐熱試験時等に外部から熱が加えられることにより、波長変換層において塩基発生剤から塩基を発生させることができる。ここで発生した塩基は、波長変換層に何らかの要因により酸が含まれる場合、酸を中和することができる。酸を中和することは、波長変換層の経時的な性能変化を防ぐことに寄与し得るため好ましい。一態様では、酸の発生要因としては、光カチオン重合開始剤存在下での重合反応(硬化反応)が挙げられる。したがって、光カチオン重合開始剤を含む光硬化性組成物に、塩基発生剤を配合することが好ましい。
塩基発生剤は、加熱または光照射によって塩基を生成する化合物であればよく、特に限定されるものではない。例えば、2−(4−ビフェニル)−2−プロピルカルバメート、1、1−ジメチル−2−シアノエチルカルバメート等のカルバメート誘導体、1,4−ジヒドロニコチンアミド等のジヒドロピリジン誘導体、ジシアンジアミド、有機塩や無機塩等の酸と塩基からなる塩等が、一般に塩基発生剤として知られており、上記光硬化性組成物にも好ましく用いることができる。中でも、酸と塩基からなる塩は、この塩を含む組成物の安定性に優れ、かつ比較的安価であることから、好ましい。またその中でも、重合性化合物との相溶性の観点から、酸とアミン化合物との塩が好ましく、有機酸とアミン化合物との有機塩がより好ましい。
光硬化性組成物における塩基発生剤の含有量は、重合性化合物全量100質量部に対して、例えば0.01質量部以上、好ましくは 0.1質量部以上であり、また例えば20質量部以下、好ましくは10質量部以下、更に好ましくは2質量部以下である。
(粘度調整剤)
光硬化性組成物は、必要に応じて粘度調整剤を含んでいてもよい。粘度調整剤は、粒径が5nm〜300nmであるフィラーであることが好ましい。また、粘度調整剤はチキソトロピー剤であることも好ましい。なお本発明および本明細書中、チキソトロピー性とは、液状組成物において、せん断速度の増加に対して粘性を減じる性質を指し、チキソトロピー剤とは、それを液状組成物に含ませることによって、組成物にチキソトロピー性を付与する機能を有する素材のことを指す。チキソトロピー剤の具体例としては、ヒュームドシリカ、アルミナ、窒化珪素、二酸化チタン、炭酸カルシウム、酸化亜鉛、タルク、雲母、長石、カオリナイト(カオリンクレー)、パイロフィライト(ろう石クレー)、セリサイト(絹雲母)、ベントナイト、スメクタイト・バーミキュライト類(モンモリロナイト、バイデライト、ノントロナイト、サポナイトなど)、有機ベントナイト、有機スメクタイト等が挙げられる。
一態様では、光硬化性組成物は、粘度がせん断速度500s−1の時に3〜100mPa・sであり、せん断速度1s−1の時に300mPa・s以上であることが好ましい。このように粘度調整するために、チキソトロピー剤を用いることが好ましい。また、光硬化性組成物の粘度がせん断速度500s−1の時に3〜100mPa・sであり、せん断速度1s−1の時に300mPa・s以上であることが好ましい理由は、以下の通りである。
波長変換部材の製造方法の一例としては、後述するように、第1の基材に光硬化性組成物を塗布したのちに、光硬化性組成物の上に第2の基材を貼り付けてから、光硬化性組成物を硬化して波長変換層を形成する工程を含む製造方法を挙げることができる。上記製造方法では、第1の基材に光硬化性組成物を塗布する際に塗布スジが生じないように均一に塗布して塗膜の膜厚を均一にすることが望ましく、そのためには塗布性とレベリング性の観点から塗布液(光硬化性組成物)の粘度は低いことが好ましい。一方、第1の基材に塗布された塗布液の上に第2の基材を均一に貼り合せるためには貼り合せ時の圧力への抵抗力が高いことが好ましく、この点から高粘度の塗布液が好ましい。上記のせん断速度500s−1とは、第1の基材に塗布される塗布液に加わるせん断速度の代表値であり、せん断速度1s−1とは塗布液に第2の基材を貼り合せる直前に塗布液に加わるせん断速度の代表値である。なお、せん断速度1s−1とはあくまでも代表値に過ぎない。第1の基材に塗布された塗布液の上に第2の基材を貼り合せる際、第1の基材と第2の基材を同速度で搬送しつつ貼り合せるのであれば塗布液に加わるせん断速度はほぼ0s−1であり、実製造工程において塗布液に加わるせん断速度が1s−1に限定されるものではない。せん断速度500s−1も同様に代表値に過ぎず、実製造工程において塗布液に加わるせん断速度が500s−1に限定されるものではない。そして均一な塗布および貼り合せの観点から、光硬化性組成物の粘度を、第1の基材に塗布液を塗布する際に塗布液に加わるせん断速度の代表値500s−1の時に3〜100mPa・sであり、第1の基材に塗布された塗布液上に第2の基材を貼り合せる直前に塗布液に加わるせん断速度の代表値1s−1の時に300mPa・s以上であるように調整することが好ましい。
(光散乱粒子)
一態様では、波長変換層は、光散乱粒子を含んでいてもよい。したがって、上記光硬化性組成物に光散乱粒子を添加してもよい。
先に記載した通り、光散乱粒子の粒子サイズは0.10μm以上である。光散乱粒子が波長変換層に含まれることは、輝度の更なる向上の観点から好ましい。光散乱効果の観点から、光散乱粒子の粒子サイズは0.10〜15.0μmの範囲であることが好ましく、0.10〜10.0μmの範囲であることがより好ましく、0.20〜4.0μmであることが更に好ましい。また、より一層の輝度の向上や、視野角に対する輝度の分布を調整するために、粒子サイズの異なる二種以上の光散乱粒子を混合して用いてもよい。
光散乱粒子は、有機粒子であってもよく、無機粒子であってもよく、有機無機複合粒子であってもよい。例えば有機粒子としては、合成樹脂粒子を挙げることができる。具体例としては、シリコーン樹脂粒子、アクリル樹脂粒子(ポリメチルメタクリレート(PMMA))、ナイロン樹脂粒子、スチレン樹脂粒子、ポリエチレン粒子、ウレタン樹脂粒子、ベンゾグアナミン粒子等が挙げられる。光散乱効果の観点からは、波長変換層のマトリックスにおいて光散乱粒子と他の部分との屈折率は異なることが好ましく、この点から好適な屈折率を有する粒子の入手容易性の観点からはシリコーン樹脂粒子、アクリル樹脂粒子が好ましい。また中空構造を有する粒子も使用できる。また、無機粒子としては、ダイヤモンド、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化鉛、炭酸鉛、酸化亜鉛、硫化亜鉛、酸化アンチモン、酸化ケイ素、酸化アルミニウム等の粒子を用いることができ、好適な屈折率を有する粒子の入手容易性の観点からは酸化チタン、酸化アルミニウムが好ましい。
光散乱粒子は、光散乱効果の観点およびこの粒子を含む波長変換層の脆性の観点から、波長変換層中に波長変換層全体を100体積%として体積基準で0.20体積%以上含まれることが好ましく、0.20体積%〜50体積%含まれることがより好ましく、0.20体積%〜30体積%含まれることが更に好ましく、0.20体積%〜10体積%含まれることがいっそう好ましい。したがって、かかる波長変換層を得るために、光硬化性組成物として、光散乱粒子を組成物の固形分全量に対して体積基準で0.20体積%以上含む光硬化性組成物を用いることが好ましい。より好ましい範囲等は、上記と同様である。
更にマトリックスの光散乱粒子を除く部分の屈折率を調整するためには、光散乱粒子より粒子サイズが小さい粒子を、屈折率調整粒子として用いることができる。屈折率調整粒子の粒子サイズは、0.10μm未満である。
屈折率調整粒子としては、例えば、ダイヤモンド、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化鉛、炭酸鉛、酸化亜鉛、硫化亜鉛、酸化アンチモン、酸化ケイ素、酸化アルミニウム等の粒子が挙げられる。中でも青色光や紫外光の吸収の少ない点で、酸化ジルコニウムや酸化ケイ素の粒子が好ましく、少量で屈折率を調整できることから、酸化ジルコニウムの粒子が好ましい。屈折率調整粒子は、屈折率の調整が可能な量を用いればよく、光散乱層における含有量は特に限定されるものではない。
(溶媒)
上記光硬化性組成物は、必要に応じて溶媒を含んでいてもよい。この場合に使用される溶媒の種類および添加量は、特に限定されない。例えば溶媒として、有機溶媒を一種または二種以上混合して用いることができる。
(波長変換層の形成方法)
波長変換層は、光硬化性組成物を、基材またはバリアフィルム等の基材表面に塗布した後に光照射により硬化させ、形成することができる。
塗布方法としてはカーテンコーティング法、ディップコーティング法、スピンコーティング法、印刷コーティング法、スプレーコーティング法、スロットコーティング法、ロールコーティング法、スライドコーテティング法、ブレードコーティング法、グラビアコーティング法、ワイヤーバー法等の公知の塗布方法が挙げられる。
硬化条件は、使用する重合性化合物の種類や光硬化性組成物の組成に応じて、適宜設定することができる。また、光硬化性組成物が溶媒を含む組成物である場合には、硬化を行う前に、溶媒除去のために乾燥処理を施してもよい。
光硬化性組成物の硬化は、光硬化性組成物を2枚の基材間に挟持した状態で行ってもよい。かかる硬化処理を含む波長変換部材の製造工程の一態様を、図面を参照し以下に説明する。ただし、本発明は、下記態様に限定されるものではない。
図2は、波長変換部材の製造装置の一例の概略構成図であり、図3は、図2に示す製造装置の部分拡大図である。図2、3に示す製造装置を用いる波長変換部材の製造工程は、連続搬送される第1の基材(以下、「第1のフィルム」という。)の表面に光硬化性組成物を塗布し塗膜を形成する工程と、塗膜の上に、連続搬送される第2の基材(以下、「第2のフィルム」ともいう。)をラミネートし(重ねあわせ)、第1のフィルムと第2のフィルムとで塗膜を挟持する工程と、第1のフィルムと第2のフィルムとで塗膜を挟持した状態で、第1のフィルム、および第2のフィルムの何れかをバックアップローラに巻きかけて、連続搬送しながら光照射し、塗膜を重合硬化させて波長変換層(硬化層)を形成する工程とを少なくとも含む。第1のフィルム、第2のフィルムのいずれか一方として酸素や水分に対するバリア性を有するバリアフィルムを用いることにより、片面がバリアフィルムにより保護された波長変換部材を得ることができる。また、第1のフィルムおよび第2のフィルムとして、それぞれバリアフィルムを用いることにより、波長変換層の両面がバリアフィルムにより保護された波長変換部材を得ることができる。
より詳しくは、まず、図示しない送出機から第1のフィルム10が塗布部20へと連続搬送される。送出機から、例えば、第1のフィルム10が1〜50m/分の搬送速度で送り出される。但し、この搬送速度に限定されない。送出される際、例えば、第1のフィルム10には、20〜150N/mの張力、好ましくは30〜100N/mの張力が加えられる。
塗布部20では、連続搬送される第1のフィルム10の表面に光硬化性組成物(以下、「塗布液」とも記載する。)が塗布され、塗膜22(図3参照)が形成される。塗布部20では、例えば、ダイコーター24と、ダイコーター24に対向配置されたバックアップローラ26とが設置されている。第1のフィルム10の塗膜22の形成される表面と反対の表面をバックアップローラ26に巻きかけて、連続搬送される第1のフィルム10の表面にダイコーター24の吐出口から塗布液が塗布され、塗膜22が形成される。ここで塗膜22とは、第1のフィルム10上に塗布された硬化前の光硬化性組成物をいう。
本実施の形態では、塗布装置としてエクストルージョンコーティング法を適用したダイコーター24を示したが、これに限定されない。例えば、カーテンコーティング法、エクストルージョンコーティング法、ロッドコーティング法またはロールコーティング法等、種々の方法を適用した塗布装置を用いることができる。
塗布部20を通過し、その上に塗膜22が形成された第1のフィルム10は、ラミネート部30に連続搬送される。ラミネート部30では、塗膜22の上に、連続搬送される第2のフィルム50がラミネートされ、第1のフィルム10と第2のフィルム50とで塗膜22が挟持される。
ラミネート部30には、ラミネートローラ32と、ラミネートローラ32を囲う加熱チャンバー34とが設置されている。加熱チャンバー34には第1のフィルム10を通過させるための開口部36、および第2のフィルム50を通過させるための開口部38が設けられている。
ラミネートローラ32に対向する位置には、バックアップローラ62が配置されている。塗膜22の形成された第1のフィルム10は、塗膜22の形成面と反対の表面がバックアップローラ62に巻きかけられ、ラミネート位置Pへと連続搬送される。ラミネート位置Pは第2のフィルム50と塗膜22との接触が開始する位置を意味する。第1のフィルム10はラミネート位置Pに到達する前にバックアップローラ62に巻きかけられることが好ましい。仮に第1のフィルム10にシワが発生した場合でも、バックアップローラ62によりシワがラミネート位置Pに達するまでに矯正され、除去できるからである。したがって、第1のフィルム10がバックアップローラ62に巻きかけられた位置(接触位置)と、ラミネート位置Pまでの距離L1は長いことが好ましく、例えば、30mm以上が好ましく、その上限値は、通常、バックアップローラ62の直径とパスラインとにより決定される。
本実施の形態では硬化部60で使用されるバックアップローラ62とラミネートローラ32とにより第2のフィルム50のラミネートが行われる。即ち、硬化部60で使用されるバックアップローラ62が、ラミネート部30で使用するローラとして兼用される。ただし、上記形態に限定されるものではなく、ラミネート部30に、バックアップローラ62と別に、ラミネート用のローラを設置し、バックアップローラ62を兼用しないようにすることもできる。
硬化部60で使用されるバックアップローラ62をラミネート部30で使用することで、ローラの数を減らすことができる。また、バックアップローラ62は、第1のフィルム10に対するヒートローラとしても使用できる。
図示しない送出機から送出された第2のフィルム50は、ラミネートローラ32に巻きかけられ、ラミネートローラ32とバックアップローラ62との間に連続搬送される。第2のフィルム50は、ラミネート位置Pで、第1のフィルム10に形成された塗膜22の上にラミネートされる。これにより、第1のフィルム10と第2のフィルム50とにより塗膜22が挟持される。ラミネートとは、第2のフィルム50を塗膜22の上に重ねあわせ、積層することをいう。
ラミネートローラ32とバックアップローラ62との距離L2は、第1のフィルム10と、塗膜22を重合硬化させた波長変換層(硬化層)28と、第2のフィルム50と、の合計厚みの値以上であることが好ましい。また、L2は第1のフィルム10と塗膜22と第2のフィルム50との合計厚みに5mmを加えた長さ以下であることが好ましい。距離L2を合計厚みに5mmを加えた長さ以下にすることより、第2のフィルム50と塗膜22との間に泡が侵入することを防止することができる。ここでラミネートローラ32とバックアップローラ62との距離L2とは、ラミネートローラ32の外周面とバックアップローラ62の外周面との最短距離をいう。
ラミネートローラ32とバックアップローラ62の回転精度は、ラジアル振れで0.05mm以下、好ましくは0.01mm以下である。ラジアル振れが小さいほど、塗膜22の厚み分布を小さくすることができる。
また、第1のフィルム10と第2のフィルム50とで塗膜22を挟持した後の熱変形を抑制するため、硬化部60のバックアップローラ62の温度と第1のフィルム10の温度との差、およびバックアップローラ62の温度と第2のフィルム50の温度との差は30℃以下であることが好ましく、より好ましくは15℃以下、最も好ましくは同じである。
バックアップローラ62の温度との差を小さくするため、加熱チャンバー34が設けられている場合には、第1のフィルム10、および第2のフィルム50を加熱チャンバー34内で加熱することが好ましい。例えば、加熱チャンバー34には、図示しない熱風発生装置により熱風が供給され、第1のフィルム10、および第2のフィルム50を加熱することができる。
第1のフィルム10が、温度調整されたバックアップローラ62に巻きかけられることにより、バックアップローラ62によって第1のフィルム10を加熱してもよい。
一方、第2のフィルム50については、ラミネートローラ32をヒートローラとすることにより、第2のフィルム50をラミネートローラ32で加熱することができる。
ただし、加熱チャンバー34、およびヒートローラは必須ではなく、必要に応じで設けることができる。
次に、第1のフィルム10と第2のフィルム50とにより塗膜22が挟持された状態で、硬化部60に連続搬送される。硬化部60における硬化は光照射により行われる。
バックアップローラ62と、バックアップローラ62に対向する位置には、光照射装置64が設けられている。バックアップローラ62と光照射装置64と間を、塗膜22を挟持した第1のフィルム10と第2のフィルム50とが連続搬送される。光照射装置により照射される光は、光硬化性組成物に含まれる重合性化合物の種類に応じて決定すればよく、一例としては、紫外線が挙げられる。紫外線を発生する光源として、例えば、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、カーボンアーク灯、メタルハライドランプ、キセノンランプ等を用いることができる。光照射量は塗膜の重合硬化を進行させ得る範囲に設定すればよく、例えば、一例として100〜10000mJ/cmの照射量の紫外線を塗膜22に向けて照射することができる。
硬化部60では、第1のフィルム10と第2のフィルム50とにより塗膜22を挟持した状態で、第1のフィルム10をバックアップローラ62に巻きかけて、連続搬送しながら光照射装置64から光照射を行い、塗膜22を硬化させて波長変換層(光硬化層)28を形成することができる。
本実施の形態では、第1のフィルム10側をバックアップローラ62に巻きかけて、連続搬送したが、第2のフィルム50をバックアップローラ62に巻きかけて、連続搬送させることもできる。
バックアップローラ62に巻きかけるとは、第1のフィルム10および第2のフィルム50の何れかが、あるラップ角でバックアップローラ62の表面に接触している状態をいう。したがって、連続搬送される間、第1のフィルム10および第2のフィルム50はバックアップローラ62の回転と同期して移動する。バックアップローラ62へ巻きかけは、少なくとも紫外線が照射されている間であればよい。
バックアップローラ62は、円柱状の形状の本体と、本体の両端部に配置された回転軸とを備えている。バックアップローラ62の本体は、例えば、φ200〜1000mmの直径を有している。バックアップローラ62の直径φについて制限はない。積層フィルムのカール変形と、設備コストと、回転精度とを考慮すると直径φ300〜500mmであることが好ましい。バックアップローラ62の本体に温度調節器を取り付けることにより、バックアップローラ62の温度を調整することができる。
バックアップローラ62の温度は、光照射時の発熱と、塗膜22の硬化効率と、第1のフィルム10と第2のフィルム50のバックアップローラ62上でのシワ変形の発生と、を考慮して、決定することができる。バックアップローラ62は、例えば、10〜95℃の温度範囲に設定することが好ましく、15〜85℃であることがより好ましい。ここでローラに関する温度とは、ローラの表面温度をいうものとする。
ラミネート位置Pと光照射装置64との距離L3は、例えば30mm以上とすることができる。
光照射により塗膜22は硬化層28となり、第1のフィルム10と硬化層28と第2のフィルム50とを含む波長変換部材70が製造される。波長変換部材70は、剥離ローラ80によりバックアップローラ62から剥離される。波長変換部材70は、図示しない巻取機に連続搬送され、次いで巻取機により波長変換部材70はロール状に巻き取られる。
以上、波長変換部材の製造工程の一態様について説明したが、本発明は上記態様に限定されるものではない。例えば、光硬化性組成物を基材またはバリアフィルムなどの基材上に塗布し、その上に更なる基材をラミネートすることなく、必要に応じて行われる乾燥処理の後、硬化を施すことにより波長変換層(光硬化層)を形成してもよい。形成された波長変換層には、無機層等の一層以上の他の層を、公知の方法により積層することもできる。
波長変換層の厚みは、好ましくは1〜500μmの範囲であり、より好ましくは10〜250μmの範囲であり、さらに好ましくは30〜150μmの範囲である。厚みが1μm以上であると、高い波長変換効果が得られるため、好ましい。また、厚みが500μm以下であると、バックライトユニットに組み込んだ場合に、バックライトユニットを薄くすることができるため、好ましい。
(基材)
波長変換部材は、強度向上、成膜の容易性等のため、基材を有していてもよい。基材は、波長変換層に隣接する層として含まれていてもよい。基材は、波長変換部材中に1つまたは2つ以上含まれていてもよく、波長変換部材は、基材、波長変換層、基材がこの順で積層された構造を有していてもよい。波長変換部材が2つ以上の基材を含む場合、かかる基材は同一であっても異なっていてもよい。基材は、可視光に対して透明であることが好ましい。ここで可視光に対して透明とは、可視光領域における光線透過率が、80%以上、好ましくは85%以上であることをいう。透明の尺度として用いられる光線透過率は、JIS−K7105に記載された方法、すなわち積分球式光線透過率測定装置を用いて全光線透過率および散乱光量を測定し、全光線透過率から拡散透過率を引いて算出することができる。
基材の厚さは、ガスバリア性、耐衝撃性等の観点から、10μm〜500μmの範囲内、中でも15〜400μmの範囲内、特に20〜300μmの範囲内であることが好ましい。
また、基材は、上述の第1のフィルムおよび第2のフィルムのいずれか、または双方として用いることもできる。
基材は、バリアフィルムであることもできる。バリアフィルムは酸素分子を遮断するガスバリア機能を有するフィルムである。バリアフィルムが、水蒸気を遮断する機能を有していることも好ましい。
バリアフィルムは、通常、少なくとも無機層を含んでいればよく、支持体フィルムおよび無機層を含むフィルムであってもよい。支持体フィルムについては、例えば、特開2007−290369号公報段落0046〜0052、特開2005−096108号公報段落0040〜0055を参照できる。バリアフィルムは、支持体フィルム上に少なくとも一層の無機層1層と少なくとも一層の有機層を含むバリア積層体を含むものであってもよい。一例として、支持体フィルム/有機層/無機層の積層構成、支持体フィルム/無機層/有機層の積層構成、支持体フィルム/有機層/無機層/有機層の積層構成(ここで二層の有機層は、厚さおよび組成の一方または両方が同一であっても異なっていてもよい)、等を挙げることができる。このように複数の層を積層することは、より一層バリア性を高めることができるため、他方、積層する層の数が増えるほど、波長変換部材の光透過率は低下する傾向があるため、良好な光透過率を維持し得る範囲で、積層数を増やすことが望ましい。具体的には、バリアフィルムは、酸素透過度が1cm/(m・day・atm)以下であることが好ましい。ここで、上記酸素透過度は、測定温度23℃、相対湿度90%の条件下で、酸素ガス透過率測定装置(MOCON社製OX−TRAN 2/20:商品名)を用いて測定した値である。また、バリアフィルムは、可視光領域における全光線透過率が80%以上であることが好ましい。可視光領域とは、380〜780nmの波長領域をいうものとし、全光線透過率とは、可視光領域にわたる光透過率の平均値を示す。
バリアフィルムの酸素透過度は、より好ましくは、0.1cm/(m・day・atm)以下、より好ましくは、0.01cm/(m・day・atm)以下である。可視光領域における全光線透過率は、より好ましくは90%以上である。酸素透過度は低いほど好ましく、可視光領域における全光線透過率は高いほど好ましい。
―無機層−
「無機層」とは、無機材料を主成分とする層であり、好ましくは無機材料のみから形成される層である。これに対し、有機層とは、有機材料を主成分とする層であって、好ましくは有機材料が50質量%以上、更には80質量%以上、特に90質量%以上を占める層を言うものとする。
無機層を構成する無機材料としては、特に限定されるものではなく、例えば、金属、または無機酸化物、窒化物、酸化窒化物等の各種無機化合物を用いることができる。無機材料を構成する元素としては、ケイ素、アルミニウム、マグネシウム、チタン、スズ、インジウムおよびセリウムが好ましく、これらを一種または二種以上含んでいてもよい。無機化合物の具体例としては、酸化ケイ素、酸化窒化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化チタン、酸化スズ、酸化インジウム合金、窒化ケイ素、窒化アルミニウム、窒化チタンを挙げることができる。また、無機層として、金属膜、例えば、アルミニウム膜、銀膜、錫膜、クロム膜、ニッケル膜、チタン膜を設けてもよい。
上記の材料の中でも、窒化ケイ素、酸化ケイ素、または酸化窒化ケイ素が特に好ましい。これらの材料からなる無機層は、有機層との密着性が良好であることから、バリア性をより一層高くすることができるからである。
無機層の形成方法としては、特に限定されず、例えば成膜材料を蒸発ないし飛散させ被蒸着面に堆積させることができる各種成膜方法を用いることができる。
無機層の形成方法の例としては、無機酸化物、無機窒化物、無機酸化窒化物、金属等の無機材料を、加熱して蒸着させる真空蒸着法;無機材料を原料として用い、酸素ガスを導入することにより酸化させて蒸着させる酸化反応蒸着法;無機材料をターゲット原料として用い、アルゴンガス、酸素ガスを導入して、スパッタリングすることにより蒸着させるスパッタリング法;無機材料にプラズマガンで発生させたプラズマビームにより加熱させて蒸着させるイオンプレーティング法等の物理気相成長法(Physical Vapor Deposition法)、酸化ケイ素の蒸着膜を成膜させる場合は、有機ケイ素化合物を原料とするプラズマ化学気相成長法(Chemical Vapor Deposition法)等が挙げられる。蒸着は、支持体フィルム、波長変換層、有機層などを基板としてその表面に行えばよい。
無機層の厚さは、1nm〜500nmであればよく、5nm〜300nmであることが好ましく、特に10nm〜150nmのであることが好ましい。隣接無機層の膜厚が、上述した範囲内であることにより、良好なバリア性を実現しつつ、無機層における反射を抑制することができ、光透過率がより高い波長変換部材を提供することができるからである。
波長変換部材には、一態様では、波長変換層の少なくとも一方の主表面が無機層と直接接していることが好ましい。波長変換層の両主表面に無機層が直接接していることも好ましい。また一態様では、波長変換層の少なくとも一方の主表面が有機層と直接接していることが好ましい。波長変換層の両主表面に有機層が直接接していることも好ましい。ここで「主表面」とは、波長変換部材使用時に視認側またはバックライト側に配置される波長変換層の表面(おもて面、裏面)をいう。他の層や部材についての主表面も、同様である。また、無機層と有機層との間、二層の無機層の間、または二層の有機層の間を、公知の接着層により貼り合わせてもよい。光透過率向上の観点からは、接着層は少ないほど好ましく、接着層が存在しないことがより好ましい。一態様では、無機層と有機層とが直接接していることが好ましい。
−有機層−
有機層については、特開2007−290369号公報段落0020〜0042、特開2005−096108号公報段落0074〜0105を参照できる。なお有機層は、一態様では、カルドポリマーを含むことが好ましい。これにより、有機層と隣接する層との密着性、特に、無機層とも密着性が良好になり、より一層優れたガスバリア性を実現することができるからである。カルドポリマーの詳細については、上述の特開2005−096108号公報段落0085〜0095を参照できる。有機層の膜厚は、0.05μm〜10μmの範囲内であることが好ましく、中でも0.5〜10μmの範囲内であることが好ましい。有機層がウェットコーティング法により形成される場合には、有機層の膜厚は、0.5〜10μmの範囲内、中でも1μm〜5μmの範囲内であることが好ましい。また、ドライコーティング法により形成される場合には、0.05μm〜5μmの範囲内、中でも0.05μm〜1μmの範囲内であることが好ましい。ウェットコーティング法またはドライコーティング法により形成される有機層の膜厚が上述した範囲内であることにより、無機層との密着性をより良好なものとすることができるからである。
なお本発明および本明細書において、ポリマーとは、同一または異なる2以上の化合物が重合反応により重合した重合体をいい、オリゴマーも包含する意味で用いるものとし、その分子量は特に限定されるものではない。また、ポリマーは、重合性基を有するポリマーであって、加熱、光照射等の重合性基の種類に応じた重合処理を施されることにより更に重合することができるものであってもよい。なお、先に記載した脂環式エポキシ化合物、単官能(メタ)アクリレート化合物、多官能(メタ)アクリレート化合物等の重合性化合物が、上記意味でのポリマーに該当するものであってもよい。
また、有機層は、(メタ)アクリレートポリマーを含む硬化性組成物を硬化させてなる硬化層であることもできる。(メタ)アクリレートポリマーとは、(メタ)アクリロイル基を1分子中に1つ以上含むポリマーである。有機層形成に用いる(メタ)アクリレートポリマーの一例としては、ウレタン結合を1分子中に1つ以上含む(メタ)アクリレートポリマーを挙げることもできる。以下、ウレタン結合を1分子中に1つ以上含む(メタ)アクリレートポリマーを、ウレタン結合含有(メタ)アクリレートポリマーと記載する。バリア層が二層以上の有機層を含む場合、ウレタン結合含有(メタ)アクリレートポリマーを含む硬化性組成物を硬化させてなる硬化層と、他の有機層とが含まれていてもよい。一態様では、波長変換層の一方または両方の主表面と直接接する有機層は、ウレタン結合含有(メタ)アクリレートポリマーを含む硬化性組成物を硬化させてなる硬化層であることが好ましい。
ウレタン結合含有(メタ)アクリレートポリマーにおいて、一態様では、ウレタン結合を有する構造単位が、ポリマーの側鎖に導入されていることが好ましい。以下において、ウレタン結合を有する構造単位が導入される主鎖を、アクリル主鎖と記載する。
また、ウレタン結合を有する側鎖の末端の少なくとも1つに、(メタ)アクリロイル基が含まれることも好ましい。ウレタン結合を有する側鎖のすべてに(メタ)アクリロイル基が含まれることがより好ましい。ここで末端に含まれる(メタ)アクリロイル基は、アクリロイル基であることが更に好ましい。
ウレタン結合含有(メタ)アクリレートポリマーは、一般にはグラフト共重合により得ることができるが、特に限定されるものではない。アクリル主鎖とウレタン結合を有する構造単位とは、直接結合していてもよく、連結基を介して結合していてもよい。連結基の一例としては、エチレンオキシド基、ポリエチレンオキシド基、プロピレンオキシド基、およびポリプロピレンオキシド基などが挙げられる。ウレタン結合含有(メタ)アクリレートポリマーは、ウレタン結合を有する構造単位が異なる連結基(直接結合を含む)を介して結合している側鎖を複数種含んでいてもよい。
ウレタン結合含有(メタ)アクリレートポリマーは、ウレタン結合を有する構造単位以外の他の側鎖を有していてもよい。他の側鎖の一例としては、直鎖または分岐のアルキル基が挙げられる。直鎖または分岐のアルキル基としては、炭素数1〜6の直鎖アルキル基が好ましく、n−プロピル基、エチル基、またはメチル基がより好ましく、メチル基がさらに好ましい。また、他の側鎖は、異なる構造のものが含まれていてもよい。この点は、ウレタン結合を有する構造単位についても同様である。
ウレタン結合含有(メタ)アクリレートポリマーの1分子に含まれるウレタン結合および(メタ)アクリロイル基の数は、それぞれ1つ以上であり、2つ以上であることが好ましいが、特に限定されるものではない。ウレタン結合含有(メタ)アクリレートポリマーの分子量は、10,000以上であることが好ましく、12,000以上であることがより好ましく、15,000以上であることがさらに好ましい。また、ウレタン結合含有(メタ)アクリレートポリマーの重量平均分子量は、1,000,000以下であることが好ましく、500,000以下であることがより好ましく、300,000以下であることがさらに好ましい。ウレタン結合含有(メタ)アクリレートポリマーのアクリル当量は、500以上であることが好ましく、600以上であることがより好ましく、7,00以上であることが更に好ましく、また、アクリル当量が5,000以下であることが好ましく、3,000以下であることがより好ましく、2,000以下であることがさらに好ましい。本発明および本明細書における重量平均分子量とは、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)による測定値をポリスチレン換算して求めた重量平均分子量をいうものとする。GPCによる測定条件としては、例えば以下の条件を採用することができる。後述の実施例に記載する重量平均分子量は、以下の条件によって測定された値である。
GPC装置:HLC−8120(東ソー社製):
カラム:TSK gel Multipore HXL−M(東ソー社製、7.8mmID(内径)×30.0cm)
溶離液:テトラヒドロフラン(THF)
また、アクリル当量とは、一分子中の(メタ)アクリロイル基の数で重量平均分子量を除して求められる値である。
ウレタン結合含有(メタ)アクリレートポリマーとしては、公知の方法で合成したものを用いてもよく、市販品を用いてもよい。市販品としては、例えば大成ファインケミカル株式会社製のUV硬化型アクリルウレタンポリマー(8BRシリーズ)を挙げることができる。ウレタン結合含有(メタ)アクリレートポリマーは、有機層を形成するための硬化性組成物の固形分全量100質量%に対して5〜90質量%含まれることが好ましく、10〜80質量%含まれることがより好ましい。
有機層を形成するために用いる硬化性化合物において、ウレタン結合含有(メタ)アクリレートポリマーの一種以上と、他の重合性化合物との一種以上とを併用してもよい。他の重合性化合物としては、エチレン性不飽和結合を末端または側鎖に有する化合物が好ましい。エチレン性不飽和結合を末端または側鎖に有する化合物の例としては、(メタ)アクリレート化合物、アクリルアミド系化合物、スチレン系化合物、無水マレイン酸等が挙げられ、(メタ)アクリレート化合物が好ましく、アクリレート化合物がより好ましい。
(メタ)アクリレート化合物としては、(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート等が好ましい。(メタ)アクリレート化合物として具体的には、例えば特開2013−43382号公報の段落0024〜0036または特開2013−43384号公報の段落0036〜0048に記載の化合物を挙げることができる。
スチレン系化合物としては、スチレン、α−メチルスチレン、4−メチルスチレン、ジビニルベンゼン、4−ヒドロキシスチレン、4−カルボキシスチレン等が好ましい。
有機層を形成するために用いる硬化性組成物は、一種以上の重合性化合物とともに、公知の添加剤を含むこともできる。そのような添加剤の一例としては、有機金属カップリング剤を挙げることができる。詳細については、前述の記載を参照できる。有機金属カップリング剤は、有機層を形成するために用いる硬化性組成物の固形分全量を100質量%とすると、0.1〜30質量%が好ましく、1〜20質量%がより好ましい。
また、添加剤としては、重合開始剤を挙げることができる。重合開始剤を用いる場合、硬化性組成物における重合開始剤の含有量は、重合性化合物の合計量の0.1モル%以上であることが好ましく、0.5〜5モル%であることがより好ましい。光重合開始剤の例としてはBASF社から市販されているイルガキュア(Irgacure)シリーズ(例えば、イルガキュア651、イルガキュア754、イルガキュア184、イルガキュア2959、イルガキュア907、イルガキュア369、イルガキュア379、イルガキュア819など)、ダロキュア(Darocure)シリーズ(例えば、ダロキュアTPO、ダロキュア1173など)、クオンタキュア(Quantacure)PDO、ランベルティ(Lamberti)社から市販されているエザキュア(Ezacure)シリーズ(例えば、エザキュアTZM、エザキュアTZT、エザキュアKTO46など)等が挙げられる。
有機層を形成するための硬化性組成物の硬化は、硬化性組成物に含まれる成分(重合性化合物や重合開始剤)の種類に応じた処理(光照射、加熱等)により行えばよい。硬化条件は特に限定されるものではなく、硬化性組成物に含まれる成分の種類や有機層の厚さ等に応じて設定すればよい。
無機層、有機層のその他詳細については、上述の特開2007−290369号公報、特開2005−096108号公報、更にUS2012/0113672A1の記載を参照できる。
[バックライトユニット]
波長変換部材はバックライトユニットの構成部材として使用することができる。バックライトユニットは、波長変換部材と光源とを少なくとも含む。
(バックライトユニットの発光波長)
高輝度かつ高い色再現性の実現の観点からは、バックライトユニットとして、多波長光源化されたものを用いることが好ましい。例えば、430〜480nmの波長帯域に発光中心波長を有し、半値幅が100nm以下である発光強度のピークを有する青色光と、520〜560nmの波長帯域に発光中心波長を有し、半値幅が100nm以下である発光強度のピークを有する緑色光と、600〜680nmの波長帯域に発光中心波長を有し、半値幅が100nm以下である発光強度のピークを有する赤色光とを発光することが好ましい。
より一層の輝度および色再現性の向上の観点から、バックライトユニットが発光する青色光の波長帯域は、440〜475nmであることがより好ましい。
同様の観点から、バックライトユニットが発光する緑色光の波長帯域は、520〜545nmであることがより好ましい。
また、同様の観点から、バックライトユニットが発光する赤色光の波長帯域は、610〜640nmであることがより好ましい。
また同様の観点から、バックライトユニットが発光する青色光、緑色光および赤色光の各発光強度の半値幅は、いずれも80nm以下であることが好ましく、50nm以下であることがより好ましく、40nm以下であることがさらに好ましく、30nm以下であることが一層好ましい。これらの中でも、青色光の発光強度の半値幅が25nm以下であることが、特に好ましい。
バックライトユニットは、少なくとも、上記波長変換部材とともに、光源を含む。一態様では、光源として、430nm〜480nmの波長帯域に発光中心波長を有する青色光を発光するもの(青色光源)、例えば、青色光を発光する青色発光ダイオードを用いることができる。青色光を発光する光源を用いる場合、波長変換層には、少なくとも、励起光により励起され赤色光を発光する量子ドット(A)と、緑色光を発光する量子ドット(B)が含まれることが好ましい。これにより、光源から発光され波長変換部材を透過した青色光と、波長変換部材から発光される赤色光および緑色光により、白色光を具現化することができる。
または他の態様では、光源として、300nm〜430nmの波長帯域に発光中心波長を有する紫外光を発光するもの(紫外光源)、例えば、紫外線発光ダイオードを用いることができる。この場合、波長変換層には、量子ドット(A)、(B)とともに、励起光により励起され青色光を発光する量子ドット(C)が含まれることが好ましい。これにより、波長変換部材から発光される赤色光、緑色光および青色光により、白色光を具現化することができる。
また他の態様では、発光ダイオードに替えてレーザー光源を使用することもできる。
(バックライトユニットの構成)
バックライトユニットは、例えば、導光板や反射板などを構成部材とするエッジライト方式のバックライトユニットであることができる。図1には、エッジライト方式のバックライトユニットの例を示した。導光板としては、公知のものを何ら制限なく使用することができる。ただし、バックライトユニットは、直下型方式であっても構わない。
また、バックライトユニットは、光源の後部に、反射部材を備えることもできる。このような反射部材としては特に制限は無く、公知のものを用いることができ、特許3416302号、特許3363565号、特許4091978号、特許3448626号などに記載されており、これらの公報の内容は本発明に組み込まれる。
バックライトユニットは、その他、公知の拡散板や拡散シート、プリズムシート(例えば、住友スリーエム社製BEFシリーズなど)、導光器を備えていることも好ましい。その他の部材についても、特許3416302号、特許3363565号、特許4091978号、特許3448626号などに記載されており、これらの公報の内容は本発明に組み込まれる。
[液晶表示装置]
上述のバックライトユニットは液晶表示装置に応用することができる。液晶表示装置は上述のバックライトユニットと液晶セルとを少なくとも含む構成とすればよい。
(液晶表示装置の構成)
液晶セルの駆動モードについては特に制限はなく、ツイステットネマチック(TN)、スーパーツイステットネマチック(STN)、バーティカルアライメント(VA)、インプレインスイッチング(IPS)、オプティカリーコンペンセイテットベンドセル(OCB)等の種々のモードを利用することができる。液晶セルは、VAモード、OCBモード、IPSモード、またはTNモードであることが好ましいが、これらに限定されるものではない。VAモードの液晶表示装置の構成としては、特開2008−262161号公報の図2に示す構成が一例として挙げられる。ただし、液晶表示装置の具体的構成には特に制限はなく、公知の構成を採用することができる。
液晶表示装置の一実施形態では、対向する少なくとも一方に電極を設けた基板間に液晶層を挟持した液晶セルを有し、この液晶セルは2枚の偏光板の間に配置して構成される。液晶表示装置は、上下基板間に液晶が封入された液晶セルを備え、電圧印加により液晶の配向状態を変化させて画像の表示を行う。さらに必要に応じて偏光板保護フィルムや光学補償を行う光学補償部材、接着層などの付随する機能層を有する。また、カラーフィルター基板、薄層トランジスタ基板、レンズフィルム、拡散シート、ハードコート層、反射防止層、低反射層、アンチグレア層等とともに(またはそれに替えて)、前方散乱層、プライマー層、帯電防止層、下塗り層等の表面層が配置されていてもよい。
図4に、本発明の一態様にかかる液晶表示装置の一例を示す。図4に示す液晶表示装置51は、液晶セル21のバックライト側の面にバックライト側偏光板14を有する。バックライト側偏光板14は、バックライト側偏光子12のバックライト側の表面に、偏光板保護フィルム11を含んでいても、含んでいなくてもよいが、含んでいることが好ましい。
バックライト側偏光板14は、偏光子12が、2枚の偏光板保護フィルム11および13で挟まれた構成であることが好ましい。
本明細書中、偏光子に対して液晶セルに近い側の偏光板保護フィルムをインナー側偏光板保護フィルムと言い、偏光子に対して液晶セルから遠い側の偏光板保護フィルムをアウター側偏光板保護フィルムと言う。図4に示す例では、偏光板保護フィルム13がインナー側偏光板保護フィルムであり、偏光板保護フィルム11がアウター側偏光板保護フィルムである。
バックライト側偏光板は、液晶セル側のインナー側偏光板保護フィルムとして、位相差フィルムを有していてもよい。このような位相差フィルムとしては、公知のセルロースアシレートフィルム等を用いることができる。
液晶表示装置51は、液晶セル21のバックライト側の面とは反対側の面に、表示側偏光板44を有する。表示側偏光板44は、偏光子42が、2枚の偏光板保護フィルム41および43で挟まれた構成である。偏光板保護フィルム43がインナー側偏光板保護フィルムであり、偏光板保護フィルム41がアウター側偏光板保護フィルムである。
液晶表示装置51が有するバックライトユニット1については、先に記載した通りである。
液晶表示装置を構成する液晶セル、偏光板、偏光板保護フィルム等については特に限定はなく、公知の方法で作製されるものや市販品を、何ら制限なく用いることができる。また、各層の間に、接着層等の公知の中間層を設けることも、もちろん可能である。
以下に実施例に基づき本発明をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。したがって、本発明の範囲は以下に示す具体例により限定的に解釈されるべきものではない。
(バリアフィルム10の作製)
支持体フィルムとしてポリエチレンテレフタレートフィルム(PETフィルム、東洋紡社製、商品名:コスモシャイン(登録商標)A4300、厚さ50μm)を用いて、支持体フィルムの片面側に以下の手順で有機層および無機層を順次形成した。
トリメチロールプロパントリアクリレート(ダイセルサイテック社製TMPTA)および光重合開始剤(ランベルティ社製ESACURE KTO46)を用意し、質量比率として95:5となるように秤量し、これらをメチルエチルケトンに溶解させ、固形分濃度15質量%の塗布液とした。この塗布液を、ダイコーターを用いてロールトウロールにて上記PETフィルム上に塗布し、50℃の乾燥ゾーンを3分間通過させた。その後、窒素雰囲気下で紫外線を照射(積算照射量約600mJ/cm)し、紫外線硬化にて硬化させ、巻き取った。支持体フィルム上に形成された第1有機層の厚さは、1μmであった。
次に、ロールトウロールのCVD(Chemical Vapor Deposition)装置を用いて、上記有機層の表面に無機層(窒化ケイ素層)を形成した。原料ガスとして、シランガス(流量160sccm)、アンモニアガス(流量370sccm)、水素ガス(流量590sccm)、および窒素ガス(流量240sccm)を用いた。電源として、周波数13.56MHzの高周波電源を用いた。製膜圧力は40Pa、到達膜厚は50nmであった。
このようにして支持体フィルム上に形成された第1有機層の表面に無機層が積層されたバリアフィルム10を作製した。
(バリアフィルム11の作製)
上記バリアフィルム10の無機層の表面に、第2有機層を積層した。
ウレタン結合含有アクリルポリマー(大成ファインケミカル社製アクリット8BR500、重量平均分子量250,000)と光重合開始剤(BASF社製イルガキュア184)を質量比率として95:5となるように秤量し、これらをメチルエチルケトンに溶解させ、固形分濃度15質量%の塗布液を調製した。調製した塗布液を、ダイコーターを用いてロールトウロールにて上記バリアフィルム10の無機層の表面に塗布し、100℃の乾燥ゾーンを3分間通過させ、巻き取った。こうして形成された第2有機層の厚さは、1μmであった。このようにして第1有機層の表面に無機層が積層され、さらに第2有機層が積層されたバリアフィルム11を作製した。
(実施例1に使用する量子ドット含有光硬化性組成物の作製)
下記の量子ドット含有光硬化性組成物1を調製し、孔径0.2μmのポリプロピレン製フィルタでろ過した後、30分間減圧乾燥して塗布液として用いた。
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量子ドット含有光硬化性組成物1の調製(実施例1で使用)
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量子ドット1のトルエン分散液(発光極大:530nm) 10質量部
量子ドット1:NN-labs社製INP530―10(球状量子ドット)
量子ドット2のトルエン分散液(発光極大:620nm) 1質量部
量子ドット2:NN-labs社製INP620−10(球状量子ドット)
脂環式エポキシ化合物 60質量部
セロキサイド2021P(ダイセル社製)
単官能アクリレート化合物 40質量部
AMP−10G(新中村化学工業社製)
シランカップリング剤1 2.5質量部
KBM−303(信越化学工業社製)
シランカップリング剤2 2.5質量部
KBM−5103(信越化学工業社製)
光カチオン重合開始剤(ヨードニウム塩化合物)A 3質量部
光ラジカル重合開始剤イルガキュア819(BASF社製) 3質量部
粘度調整剤(AEROSIL R972(日本アエロジル社製)) 3質量部
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(上記において、量子ドット1、2のトルエン分散液の量子ドット濃度は1質量%である。)
(実施例2〜12および比較例1〜6に使用する量子ドット含有光硬化性組成物の作製)
表1または表2に示す組成比にて量子ドット含有光硬化性組成物を調製し、孔径0.2μmのポリプロピレン製フィルタでろ過した後、30分間減圧乾燥して塗布液として用いた。
(実施例13に使用する量子ドット(量子ロッド)含有光硬化性組成物の作製)
下記の量子ドット(量子ロッド)含有光硬化性組成物2を調製し、孔径0.2μmのポリプロピレン製フィルタでろ過した後、30分間減圧乾燥して塗布液として用いた。
量子ロッド1、量子ロッド2は、米国特許7303628号、論文(Peng, X. G.; Manna, L.;Yang, W. D.; Wickham, j.;Scher, E.; Kadavanich, A.; Alivisatos, A. P. Nature 2000,404, 59−61)および論文(Manna,L.; Scher, E. C.; Alivisatos,A. P. j. Am. Chem.Soc. 2000, 122, 12700−12706)を参考にして作製した。透過型電子顕微鏡で確認した量子ロッド1、量子ロッド2の平均長軸長は、50nmであった。
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量子ドット含有光硬化性組成物2の調製(実施例13で使用)
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量子ロッド1のトルエン分散液 10質量部
量子ロッド1(発光極大:532nm、半値幅:30nm)
量子ロッド2のトルエン分散液 1質量部
量子ロッド2(発光極大:626nm、半値幅27nm)
脂環式エポキシ化合物 100質量部
セロキサイド2021P(ダイセル社製)
シランカップリング剤1 5質量部
KBM−303(信越化学工業社製)
光カチオン重合開始剤 3質量部
CPI−110P(サンアプロ社製)
粘度調整剤(AEROSIL R972(日本アエロジル社製)) 3質量部
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(上記において、量子ロッド1、2のトルエン分散液の量子ロッド濃度は1質量%である。)
(実施例1の波長変換部材の作製)
上述した手順で作製したバリアフィルム10を第1、第2のフィルムとして使用し、図2および図3を参照し説明した製造工程により、波長変換部材を得た。具体的には、第1のフィルムとしてバリアフィルム10を用意し、1m/分、60N/mの張力で連続搬送しながら、無機層面上に上記で調製した量子ドット含有光硬化性組成物1をダイコーターにて塗布し、50μmの厚さの塗膜を形成した。次いで、塗膜の形成された第1のフィルム(バリアフィルム10)をバックアップローラに巻きかけ、塗膜の上に第2のフィルム(バリアフィルム10)を無機層面が塗膜に接する向きでラミネートし、2枚のバリアフィルム10で塗膜を挟持した状態で連続搬送しながら、100℃の加熱ゾーンを3分間通過させた。その後、160W/cmの空冷メタルハライドランプ(アイグラフィックス社製)を用いて、紫外線を照射して硬化させ、量子ドットを含有する波長変換層を形成した。紫外線の照射量は2000mJ/cmであった。また、L1は50mm、L2は1mm、L3は50mmであった。
(実施例2〜13、比較例1〜6の波長変換部材の作製)
表1または表2中、バリアフィルムの欄にバリアフィルム10と記載されている実施例、比較例については、上記で作製した各実施例、比較例に使用する量子ドット含有光硬化性組成物(塗布液)を用いて、実施例1と同様にして波長変換部材を作製した。
表1または表2中、バリアフィルムの欄にバリアフィルム11と記載されている実施例については、上記で作製した各実施例、比較例に使用する量子ドット含有光硬化性組成物(塗布液)を用いた点、ならびに第1のフィルムおよび第2のフィルムとしてバリアフィルム10に代えて、第2有機層が塗膜と接するようにバリアフィルム11を用いた点以外、実施例1と同様にして波長変換部材を作製した。
(波長変換層のマトリックスの励起光損失率測定)
実施例1〜12、比較例1〜6については、用いた量子ドット含有光硬化性組成物の組成から、量子ドット1のトルエン分散液および量子ドット2のトルエン分散液を除いたモデル膜作製用組成物を用意し、前述の手段1により厚さ60μmのモデル膜を作製した。具体的には、以下の方法によりモデル膜を作製した。
実施例13については、用いた量子ロッド含有光硬化性組成物の組成から、量子ロッド1のトルエン分散液および量子ロッド2のトルエン分散液を除いたモデル膜作製用組成物を用意し、前述の手段1により厚さ60μmのモデル膜を作製した。具体的には、以下の方法によりモデル膜を作製した。
モデル膜作製用組成物を離型フィルム(東レ社製ルミラー#50、50μm厚)にワイヤーバーで塗布した後、その上にもう一枚の離型フィルムをラミネートし、大気下1200W/cmの空冷メタルハライドランプ(アイグラフィックス社製)を用いて、紫外線を塗布面より2000mJ/cm照射して硬化させた。こうして得られた硬化膜を、2cm角に裁断したのち硬化膜の両面にある離型フィルムを剥離し、厚み60μmの樹脂層単膜(モデル膜)を得た。
得られたモデル膜を、浜松ホトニクス社製絶対PL量子収率測定装置(C9920−02)の積分球内に配置し、市販のタブレット端末(Amazon社製、Kindle Fire HDX 7”)に備えられている青色光源の発光中心波長である波長450nmに発光中心波長を有する青色光を入射させ、このときの波長450nmにおける検出光強度Iを測定した。モデル膜を積分球内に配置しないブランクについても同様に波長450nmにおける透過光強度Iを測定し、先に示した式により厚さ60μmのモデル膜の青色光の損失率Aを測定した。得られた測定値から、波長変換層のマトリックスにおける青色光の損失率を以下の評価基準により評価した。結果を表1、表2に示す。
A: A<1.0%
B: 1.0≦A<2.0
C: 2.0≦A<3.0
D: 3.0≦A
(輝度の測定)
バックライトユニットに青色光源を備える市販のタブレット端末(Amazon社製Kindle(登録商標)Fire HDX 7”)を分解し、バックライトユニットを取り出した。取り出したバックライトユニットの導光板上に矩形に切り出した実施例1〜4、比較例1〜3で作製した波長変換部材を置き、その上に、表面凹凸パターンの向きが直交した2枚のプリズムシートを重ね置いた。青色光源から発し、波長変換部材および2枚のプリズムシートを透過した光の輝度Yを、導光板の面に対して垂直方向740mmの位置に設置した輝度計(TOPCON社製SR3)にて測定した。そして輝度Yを以下のように評価した。結果を下記表に示す。
A+:Y≧11,000[cd/m
A: 10,000≦Y<11,000[cd/m
B: 9,000≦Y<10,000[cd/m
C: 8,000≦Y<9,000[cd/m
D: Y<8,000[cd/m
(波長変換層の光硬化性評価)
各実施例、比較例で用いた量子ドット含有光硬化性組成物を用意し、バリアフィルム10の無機層上にワイヤーバーで塗布した後、窒素パージ(酸素濃度0.5%以下)しながら1200W/cmの空冷メタルハライドランプ(アイグラフィックス社製)を用いて、紫外線を塗布面に向かって下記表に示す露光量で照射して硬化させた。そして、指触で硬化性を以下のように評価した。結果を下記表に示す。
A: 指残りなし。
B: 若干の粘着性あり。
C: 明確な粘着性あり。
D: 明らかなベタつきがあり、未硬化。
上記表に記載の実施例、比較例で用いた成分は、下記表3に示す通りである。
上記表中の比較例3、6の結果から、脂肪族エポキシ化合物と比べて脂環式エポキシ化合物は光硬化性は良好であるものの(比較例1、2、4、5参照)、光源から出射される光(励起光)の損失原因となることがわかる。その結果、比較例3、6では輝度の低下が生じている。
これに対し、上記表に示すように、実施例では、光硬化性向上に寄与する脂環式エポキシ化合物を使用しつつ励起光損失率を厚み60μm換算で3%以下に抑えることにより、輝度向上を達成することができた。
本発明は、液晶表示装置の製造分野において有用である。

Claims (16)

  1. 光源と、該光源から出射される光の光路上に位置する波長変換部材と、を含むバックライトユニットであって、
    前記波長変換部材は、励起光により励起され蛍光を発光する量子ドットをマトリックス中に含む波長変換層を有し、
    前記波長変換層は、光硬化性組成物を光照射により硬化させてなる光硬化層であり、
    前記光硬化性組成物は、前記量子ドット、脂環式エポキシ化合物を少なくとも含む重合性化合物、および光重合開始剤を含み、
    前記波長変換層のマトリックスにおける前記光源から出射される光の損失率は、厚み60μm換算で3%以下であるバックライトユニット。
  2. 前記光重合開始剤は、ヨードニウム塩化合物である請求項1に記載のバックライトユニット。
  3. 前記ヨードニウム塩化合物は、アニオン部として、気相酸性度が240〜290kcal/molの範囲であるアニオン部を含む請求項2に記載のバックライトユニット。
  4. 前記波長変換層は、光散乱粒子を0.20体積%以上含む請求項1〜3のいずれか1項に記載のバックライトユニット。
  5. 前記光源は、青色光源である請求項1〜4のいずれか1項に記載のバックライトユニット。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載のバックライトユニットと、液晶セルと、を含む液晶表示装置。
  7. 励起光により励起され蛍光を発光する量子ドットをマトリックス中に含む波長変換層を有し、
    前記波長変換層は、光硬化性組成物を光照射により硬化させてなる光硬化層であり、
    前記光硬化性組成物は、前記量子ドット、脂環式エポキシ化合物を少なくとも含む重合性化合物、および光重合開始剤を含み、
    前記波長変換層のマトリックスにおける青色光損失率は、厚み60μm換算で3%以下である波長変換部材。
  8. 前記光重合開始剤は、ヨードニウム塩化合物である請求項7に記載の波長変換部材。
  9. 前記ヨードニウム塩化合物は、アニオン部として、気相酸性度が240〜290kcal/molの範囲であるアニオン部を含む請求項8に記載の波長変換部材。
  10. 前記重合性化合物は、(メタ)アクリレート化合物を更に含む請求項7〜9のいずれか1項に記載の波長変換部材。
  11. 励起光により励起され蛍光を発光する量子ドットを含む光硬化性化合物であって、
    前記量子ドット、脂環式エポキシ化合物を少なくとも含む重合性化合物、および光重合開始剤を含み、
    前記光硬化性組成物を光照射により硬化させて得られる光硬化体の量子ドットを除く部分の青色光損失率が、厚み60μm換算で3%以下である、光硬化性組成物。
  12. 前記光重合開始剤は、ヨードニウム塩化合物である請求項11に記載の光硬化性組成物。
  13. 前記ヨードニウム塩化合物は、アニオン部として、気相酸性度が240〜290kcal/molの範囲であるアニオン部を含む請求項12に記載の光硬化性組成物。
  14. 前記重合性化合物は、(メタ)アクリレート化合物を更に含む請求項11〜13のいずれか1項に記載の光硬化性組成物。
  15. 前記(メタ)アクリレート化合物は、単官能(メタ)アクリレートを含む請求項14に記載の光硬化性組成物。
  16. 光散乱粒子を固形分全量に対して体積基準で0.20体積%以上含む請求項11〜15のいずれか1項に記載の光硬化性組成物。
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