以下、本発明を実施するための形態について図面を参照して説明する。各図面において、同一の又は対応する構成には、同一の又は対応する符号を付して説明を省略する。以下の説明において、X方向、Y方向、Z方向は互いに垂直な方向であり、X方向およびY方向は水平方向、Z方向は鉛直方向である。
[第1実施形態]
図1は、第1実施形態による剥離システムの概略を示す平面図である。図2は、第1実施形態による剥離前の重合基板の平面図である。図3は、第1実施形態による剥離前の重合基板の断面図である。図4は、図3の一部拡大図である。図5は、第1実施形態による剥離後の被処理基板の断面図である。
剥離システム1は、被処理基板Wと支持基板Sとを接合層Gを介して接合させた重合基板Tを、被処理基板Wと支持基板Sとに剥離する。また、剥離システム1は、剥離後の被処理基板Wの接合面を洗浄し、その接合面に付着した接合剤を除去する。
被処理基板Wは、素子、回路、端子などが形成されたものである。素子、回路、端子などが形成される面が接合面とされる。被処理基板Wの接合面とは反対側の面(以下、非接合面ともいう)は接合後に研磨されており、被処理基板Wは薄板化されている。研磨の後、被処理基板Wの非接合面に、表面電極、貫通電極などが形成されていてもよい。尚、被処理基板Wは、複数の基板を積層したものでもよい。
支持基板Sは、被処理基板Wと接合され、被処理基板Wを一時的に補強する。支持基板Sは、被処理基板Wの研磨後に、被処理基板Wから剥離される。剥離された支持基板Sは、洗浄された後、別の被処理基板Wと接合されてもよい。
接合層Gは、被処理基板Wと支持基板Sとを接合する。接合層Gは、例えば被処理基板Wから支持基板Sに向けて、保護剤層G1、剥離剤層G2、および接着剤層G3をこの順で有する。
保護剤層G1は、被処理基板Wの接合面に形成される素子などを保護する。保護剤層G1は、保護剤および保護剤を溶かす有機溶剤からなるコート液を、例えば被処理基板Wの接合面に塗布した後、熱処理することにより形成される。
剥離剤層G2は、被処理基板Wと支持基板Sの剥離を円滑に行うためのものである。剥離剤層G2は、剥離剤および剥離剤を溶かす有機溶剤からなるコート液を、例えば保護剤層G1または接着剤層G3に塗布した後、熱処理することにより形成される。剥離剤は、保護剤や接着剤よりも接着力の低いものである。
接着剤層G3は、接着剤および接着剤を溶かす有機溶剤からなるコート液を、例えば支持基板Sの接合面に塗布した後、熱処理することにより形成される。接着剤は、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂のいずれでもよい。
重合基板Tは、図2〜図4に示すように、フレームFの内周部に固定されるテープPに貼り付けられ、フレームFに保持される。テープPは、フレームFの開口部を覆う。フレームFとしては例えばダイシングフレームが用いられ、テープPとしては例えばダイシングテープが用いられる。
重合基板Tは、フレームFに保持された状態で、被処理基板Wと支持基板Sとに剥離される。剥離後の被処理基板Wは、フレームFに保持された状態のまま、洗浄処理に供される。この洗浄処理では、被処理基板Wの接合面に付着する保護剤層G1および剥離剤層G2を除去する。
剥離システム1は、図1に示すように、第1処理ブロック10と、第2処理ブロック20と、制御装置30とを備える。
第1処理ブロック10は、重合基板Tまたは剥離後の被処理基板Wに対する処理を行う。第1処理ブロック10は、搬入出ステーション11と、第1搬送装置12と、待機装置13と、剥離装置15と、第1洗浄装置16とを備える。
搬入出ステーション11は、外部との間でカセットCt、Cwを搬出入させる。搬入出ステーション11はカセット載置台を有し、このカセット載置台は複数の載置部11a、11bを含む。これらの載置部11a、11bにカセットCt、Cwが載置される。カセットCtは重合基板Tを、カセットCwは剥離後の被処理基板Wをそれぞれ複数収容する。重合基板Tおよび剥離後の被処理基板Wは、フレームFに保持された状態で、カセットCt、Cwに収容される。
第1搬送装置12は、重合基板Tまたは剥離後の被処理基板Wを搬送する。第1搬送装置12は、搬送アーム部と、基板保持部とを備える。搬送アーム部は、水平方向に移動自在とされ、鉛直方向に昇降自在とされ、且つ、鉛直軸を中心に旋回自在とされる。基板保持部は、フレームFを保持することによって、重合基板Tまたは剥離後の被処理基板Wを略水平に保持する。第1搬送装置12は、基板保持部によって保持された基板を搬送アーム部によって所望の場所まで搬送する。
待機装置13は、処理待ちの重合基板Tを一時的に待機させておく。待機装置13は載置台を含む。この載置台には、重合基板Tが載置される。載置台にはID読取装置が設けられ、ID読取装置は、フレームFのID(Identification)を読み取り、重合基板Tを識別する。
剥離装置15は、重合基板Tを被処理基板Wと支持基板Sとに剥離する。重合基板Tは、フレームFに保持された状態で、被処理基板Wと、支持基板Sとに剥離される。剥離後の被処理基板Wは、図5に示すようにフレームFに保持された状態のままとされる。
第1洗浄装置16は、剥離後の被処理基板Wを洗浄する。剥離後の被処理基板Wは、非接合面をテープPに貼り付けた状態で、洗浄される。この洗浄によって、被処理基板Wの接合面に付着する保護剤層G1および剥離剤層G2が除去される。第1洗浄装置16の詳細については、後述する。
一方、第2処理ブロック20は、剥離後の支持基板Sに対する処理を行う。第2処理ブロック20は、受渡装置21と、第2洗浄装置22と、第2搬送装置23と、搬出ステーション24とを備える。
受渡装置21は、剥離後の支持基板Sを剥離装置15から受け取り、第2洗浄装置22へ渡す。
第2洗浄装置22は、剥離後の支持基板Sを洗浄する。第2洗浄装置22としては、例えば特開2013−033925号公報に記載の洗浄装置が用いられる。
第2搬送装置23は、洗浄後の支持基板Sを搬出ステーション24に搬送する。第2搬送装置23は、第1搬送装置12と同様に、搬送アーム部と、基板保持部とを備える。第2搬送装置23に備えられる基板保持部は、例えば支持基板Sを下方から支持することによって支持基板Sを略水平に保持する。
搬出ステーション24は、外部との間でカセットCsを搬入出させる。搬出ステーション24はカセット載置台を有し、このカセット載置台は複数の載置部24a、24bを有する。これらの載置部24a、24bにカセットCsが載置される。カセットCsは剥離後の支持基板Sを複数収容する。
制御装置30は、メモリなどの記録媒体31と、CPU(Central Processing Unit)32などを含むコンピュータで構成され、記録媒体31に記憶されたプログラム(レシピとも呼ばれる)をCPU32に実行させることにより各種処理を実現させる。尚、制御装置30は、本実施形態では第1洗浄装置16とは別に設けられるが、第1洗浄装置16の一部であってもよい。
制御装置30のプログラムは、情報記憶媒体に記憶され、情報記憶媒体からインストールされる。情報記憶媒体としては、例えば、ハードディスク(HD)、フレキシブルディスク(FD)、コンパクトディスク(CD)、マグネットオプティカルデスク(MO)、メモリーカードなどが挙げられる。尚、プログラムは、インターネットを介してサーバからダウンロードされ、インストールされてもよい。
次に、図6を参照して、上記剥離システム1を用いた剥離方法について説明する。図6は、第1実施形態による剥離方法のフローチャートである。ここでは、被処理基板Wに着目して剥離方法を説明する。
剥離方法は、搬入工程S11、剥離工程S12、洗浄工程S13、および搬出工程S14などを有する。これらの工程は、制御装置30による制御下で実施される。
搬入工程S11では、第1搬送装置12が重合基板Tを載置部11a上のカセットCtから待機装置13に搬送し、次いで、待機装置13から剥離装置15に搬送する。
剥離工程S12では、剥離装置15が重合基板Tを被処理基板Wと支持基板Sとに剥離する。重合基板Tは、フレームFに保持された状態で、被処理基板Wと、支持基板Sとに剥離される。剥離後の被処理基板Wは、フレームFに保持された状態のままとされる。剥離後、第1搬送装置12が被処理基板Wを剥離装置15から第1洗浄装置16に搬送する。
洗浄工程S13では、第1洗浄装置16が剥離後の被処理基板Wを洗浄する。剥離後の被処理基板Wは、非接合面をテープPに貼り付けた状態で、洗浄される。この洗浄によって、被処理基板Wの接合面に付着する保護剤層G1および剥離剤層G2が除去される。
搬出工程S14では、第1搬送装置12が剥離後の被処理基板Wを載置部11b上のカセットCwに搬送する。
このようにして、剥離後の被処理基板Wは、第1洗浄装置16において洗浄され、その後、カセットCwに収容される。この間、剥離後の支持基板Sは、第2洗浄装置22において洗浄され、その後、カセットCsに収容される。
尚、剥離システム1は、上記構成に限定されない。例えば、剥離システム1は、マウント装置を有してもよい。マウント装置は、フレームFの内周部に固定されたテープPに対し重合基板Tを貼り付ける。剥離システム1の外部ではなく、剥離システム1の内部で、重合基板Tのマウントが行われる。また、剥離システム1は、各種の検査装置を有してもよい。検査装置としては、例えば、洗浄後の被処理基板Wや洗浄後の支持基板Sの残渣の有無を検査する検査装置、洗浄後の被処理基板の素子などの電気特性を検査する検査装置が挙げられる。
次に、図7および図8を参照して、上記第1洗浄装置16の詳細について説明する。図7は、第1実施形態による第1洗浄装置の断面図であって、図17のVII-VII線に沿った断面図である。図8は、図7の一部拡大図である。図9は、図8のIX-IX線に沿った断面図である。
第1洗浄装置16は、不図示の処理容器内に、スピンチャック40、液供給機構50、カップ60、外周カバー65、受渡機構80(図15等参照)、フレームカバー85、および昇降機構90(図15等参照)を備える。処理容器の側面には被処理基板Wの搬入出口が形成され、この搬入出口には開閉シャッタが設けられる。処理容器の天井にはファンフィルタユニットが設けられ、ファンフィルタユニットは処理容器内にダウンフローを形成する。
スピンチャック40は、処理容器の略中央に設けられる。スピンチャック40は、基板保持部41、フレームカバー固定部43、支柱部45、および回転駆動部46を備える。
基板保持部41は、テープPを介して被処理基板Wを下方から保持する。基板保持部41は、例えばポーラスチャックで構成され、被処理基板Wをその接合面を上に向けて水平に真空吸着する。
フレームカバー固定部43は、フレームFに対しフレームカバー85を分離可能に固定する。フレームカバー固定部43は、所謂メカニカルチャックで構成され、爪部43aおよび腕部43bを有する。腕部43bは、基板保持部41の下面に取り付けられ、基板保持部41の径方向外方に突出する。腕部43bは、基板保持部41の周方向に間隔をおいて複数(例えば4つ)設けられる。各腕部43bの先端部に、爪部43aが揺動自在に取り付けられる。各爪部43aは、図9に示すようにフレームカバー85(詳細には後述のリング部86)を上方から押さえ、フレームカバー85をフレームFに対して固定する。
回転駆動部46は、モータなどで構成され、支柱部45を回転させることにより、基板保持部41、およびフレームカバー固定部43を一体的に回転させる。
図10は、第1実施形態によるスピンチャックの一部を示す平面図である。図10において、図面を見やすくするため、被処理基板W、フレームFおよびフレームカバー85の図示を省略する。図10に示すように、スピンチャック40は、フレームガイド部47、フレームカバーガイド部48を備える。
フレームガイド部47は、基板保持部41の周りに間隔をおいて複数(例えば8つ)設けられる。フレームガイド部47は、各爪部43aを挟んで両側に配設されてよい。フレームガイド部47は、各腕部43bの先端部に固定され、フレームカバー固定部43と一体的に回転させられる。
フレームガイド部47は、基板保持部41に対するフレームFの位置ずれを矯正する。フレームガイド部47は、例えばガイドピンで構成され、上側から下側に向かうほど直径が大きいテーパ面47aを有する。テーパ面47aにフレームFが上方から接触すると、フレームFには重力によって基板保持部41側に向かう力が作用する。
尚、フレームガイド部47は、ガイドピンではなく、ガイドブロックで構成され、上側から下側に向かって基板保持部41側に傾斜する傾斜面を有してもよい。この傾斜面にフレームFが上方から接触すると、フレームFには重力によって基板保持部41側に向かう力が作用する。
フレームカバーガイド部48は、基板保持部41の周りに間隔をおいて複数(例えば8つ)設けられる。フレームカバーガイド部48は、各爪部43aを挟んで両側に配設されてよい。フレームカバーガイド部48は、各腕部43bの先端部に固定され、フレームカバー固定部43と一体的に回転させられる。
フレームカバーガイド部48は、基板保持部41に対するフレームカバー85の位置ずれを矯正する。フレームカバーガイド部48は、例えばガイドブロックで構成され、上側から下側に向かって基板保持部41側に傾斜する傾斜面48aを有する。傾斜面48aにフレームカバー85が上方から接触すると、フレームカバー85には重力によって基板保持部41側に向かう力が作用する。
尚、フレームカバーガイド部48は、ガイドブロックではなく、ガイドピンで構成され、上側から下側に向かうほど直径が大きいテーパ面を有してもよい。このテーパ面にフレームカバー85が上方から接触すると、フレームカバー85には重力によって基板保持部41側に向かう力が作用する。
図11は、図8に示すフレームカバー85が取り外されたときのフレームカバー固定部43の状態を示す図である。図11において、破線はフレームカバー固定部43がフレームカバー85を抑えるときの状態を示す。
フレームカバー固定部43は、フレームカバー85が第1洗浄装置16から取り外される場合に、フレームFを押さえる。フレームカバー85がある場合とない場合の両方の場合にフレームカバー固定部43が対応できる。よって、部品の共通化を図ることができる。
フレームカバー固定部43の爪部43aは、フレームカバー押さえ部43a−1と、フレーム押さえ部43a−2とを有する。フレームカバー押さえ部43a−1は、図9に示すようにフレームカバー85に当接し、フレームカバー85を押さえる。このとき、フレーム押さえ部43a−2は、フレームFとの間に隙間を形成し、フレームFを押さえない。このように、爪部43aは、フレームカバー85を押さえるとき、フレームFを押さえないので、フレームカバー85をフレームFに確実に押し付けることができる。
フレーム押さえ部43a−2は、フレームカバー押さえ部43a−1の下面から突出する。図11に示すように、フレームカバー85が第1洗浄装置16から取り外される場合に、フレーム押さえ部43a−2はフレームFに当接しフレームFを押さえる。
液供給機構50(図7等参照)は、基板保持部41と共に回転する被処理基板Wに向けて洗浄液を供給する。洗浄液としては、例えば接合剤(例えば剥離剤と保護剤)を溶かす溶剤が用いられる。溶剤は、例えばシンナーなどの有機溶剤である。液供給機構50は、洗浄液ノズル51と、ノズルアーム52と、移動昇降部53とを備える。液供給機構50が特許請求の範囲に記載の液供給部に対応する。
洗浄液ノズル51は、例えば2流体ノズルであって、溶剤流量調節バルブ55を介して溶剤供給源56に接続されると共に、ガス流量調節バルブ57を介してガス供給源58に接続される。洗浄液ノズル51は、溶剤供給源56から供給される溶剤と、ガス供給源58から供給されるガスとを混合した洗浄液を被処理基板Wに対し供給する。洗浄液ノズル51は、上方視において、カップ60の内側の液供給位置(図17に示す位置)と、カップ60の外側の待機位置(図16に示す位置)との間で移動自在とされる。
ノズルアーム52は、水平とされ、洗浄液ノズル51をその吐出口を下に向けて保持する。
移動昇降部53は、ノズルアーム52を水平移動させることで、洗浄液ノズル51を液供給位置と待機位置との間で水平移動させる。また、移動昇降部53は、ノズルアーム52を昇降させることで、洗浄液ノズル51の高さを調整する。
尚、液供給機構50は、不図示のリンス液ノズルをさらに有してよい。リンス液ノズルは、リンス液流量調節バルブを介してリンス液供給源と接続され、リンス液供給源から供給されるリンス液を被処理基板Wに対し供給する。リンス液ノズルは、その吐出口を下に向けてノズルアーム52に保持される。リンス液としては、例えば純水またはIPA(イソプロピルアルコール)が用いられる。
また、液供給機構50は、不図示の吸引ノズルをさらに有してよい。吸引ノズルは、被処理基板W上の液体を吸引する。吸引ノズルは、その吸引口を下に向けてノズルアーム52に保持される。
カップ60は、液供給機構50によって供給される洗浄液を回収する。カップ60は、外周部としてのカップ筒部61と、カップ筒部61の底を塞ぐ底部62とを有する。底部62には、カップ60内の液体を排出する排液管63と、カップ60内のガスを排出する排気管64とが接続される。
外周カバー65は、カップ60の外周部に沿って昇降自在とされる。外周カバー65は、洗浄液の供給時に、スピンチャック40の基板保持部41を取り囲み、被処理基板Wからの液滴の飛散を遮る。
尚、外周カバー65は、複数設けられてもよい。外周カバー65の数が2つの場合、1段目の外周カバー65はカップ60の外周部に沿って昇降自在とされ、2段目の外周カバー65は1段目の外周カバー65に沿って昇降自在とされる。外周カバー65の数は3つ以上でもよく、k+1(kは1以上の自然数)段目の外周カバー65はk段目の外周カバー65に沿って昇降自在とされる。
受渡機構80(図15等参照)は、第1搬送装置12から被処理基板Wを受け取り、スピンチャック40に渡す。また、受渡機構80は、スピンチャック40から被処理基板Wを受け取り、第1搬送装置12に渡す。受渡機構80が特許請求の範囲に記載の受渡部に対応する。
受渡機構80は、基板保持部81を有する。基板保持部81は、フレームFを介して被処理基板Wを保持する。基板保持部81は、フレームFが載置される係止爪81aと、フレームFの径方向に係止爪81aを移動させるシリンダ81bとを有する。係止爪81aは、フレームFを係止する係止位置と、フレームFを離脱させる離脱位置との間で移動自在とされる。
受渡機構80は、フレームカバー保持部82を有する。フレームカバー保持部82は、フレームカバー85を保持する。フレームカバー保持部82は、例えば吸着パッドで構成され、フレームカバー85を真空吸着する。
フレームカバー85は、フレームFに対し分離可能に固定され、フレームFを洗浄液から保護する。フレームカバー85は、図8に示すように、フレームFに上方から接触するリング部86と、リング部86を洗浄液から保護する本体部87とを有する。
本体部87は、洗浄液に対し耐食性を有するテフロン(登録商標)などのフッ素系樹脂で環状に形成される。本体部87は、リング部86の他に、爪部43aを洗浄液から保護する。
リング部86は、フレームFと同様に、本体部87よりも剛性の高いステンレス鋼などの金属で形成される。図9に示すようにリング部86を爪部43aが押さえることで、フレームカバー85をフレームFに対して安定的に固定できる。
リング部86には、図9に示すようにフレーム押さえ部43a−2が挿入される切欠き86aが形成される。フレームカバー押さえ部43a−1は、切欠き86aの周縁部を押さえる。
フレームカバー85は、図8に示すようにテープPに対し面接触する面接触部88を有する。面接触部88は、環状に形成され、被処理基板Wの外周を囲む。フレームカバー85がテープPに対し点接触する場合に比べて、接触部位を洗浄液が横切る時間をかせぐことができる。面接触部88は、フレームカバー85とテープPとの界面に浸入する洗浄液と接触するため、本体部87に形成されてよい。
フレームカバー85は、面接触部88に溝部89を有する。溝部89は、環状に形成され、被処理基板Wの外周を囲む。溝部89は、フレームカバー85とテープPとの界面をフレームFに向けて移動する洗浄液を捕集する。溝部89は、同心円状に複数形成されてよい。溝部89の数は特に限定されない。
昇降機構90(図15等参照)は、シリンダなどで構成され、カップ60に対し受渡機構80を昇降させる。
次に、図12〜図17を参照して、上記第1洗浄装置16を用いた洗浄方法について説明する。図12は、第1実施形態による洗浄方法のフローチャートである。図13は、図12の準備工程のフローチャートである。図14は、図12の取出工程のフローチャートである。図15は、第1実施形態による第1洗浄装置の受渡機構が待機位置にある状態を示す側面図である。図16は、第1実施形態による第1洗浄装置の受渡機構が受渡位置にある状態を示す側面図である。図17は、第1実施形態による第1洗浄装置の液供給ノズルが液供給位置にある状態を示す側面図である。図15〜図17において、図面を見やすくするため、フレームガイド部47およびフレームカバーガイド部48の図示を省略する。
図12に示すように、洗浄方法は、準備工程S21、第1洗浄液供給工程S22、吸引工程S23、第2洗浄液供給工程S24、リンス液供給工程S25、乾燥工程S26、および取出工程S27を有する。これらの工程は、制御装置30による制御下で実施される。
準備工程S21は、剥離後の被処理基板Wを第1搬送装置12から受渡機構80が受け取ったときに開始される。受渡機構80の基板保持部81がフレームFを介して被処理基板Wを保持する。フレームカバー保持部82は、フレームFの上方にフレームカバー85を保持する。
準備工程S21では、受渡機構80が被処理基板Wをスピンチャック40に渡し、洗浄液の供給のための準備を行う。準備工程S21は、図13に示すように、受渡機構下降工程S31、保持工程S32、フレームカバー固定工程S33、および受渡機構上昇工程S34を有する。
受渡機構下降工程S31では、昇降機構90が、受渡機構80を待機位置(図15に示す位置)から受渡位置(図16に示す位置)まで下降させる。その後、基板保持部81が被処理基板Wの保持を解除すると共に、フレームカバー保持部82がフレームカバー85の保持を解除する。これにより、受渡機構80からスピンチャック40に被処理基板Wおよびフレームカバー85が渡される。このとき、フレームカバー85は、フレームFを介してフレームカバー固定部43の載置部(不図示)に載置される。この載置部は、腕部43bの先端部に固定される。
保持工程S32では、基板保持部41が被処理基板Wを保持する。基板保持部41はテープPを介して被処理基板Wを下方から真空吸着する。この状態は、図14の保持解除工程S45まで維持される。
フレームカバー固定工程S33では、フレームカバー固定部43がフレームカバー85をフレームFに対し分離可能に固定する。フレームカバー固定部43は、その爪部43aをフレームカバー85の外周部に当接させ、爪部43aでフレームカバー85を押さえる。この状態は、図14のフレームカバー固定解除工程S44まで維持される。
受渡機構上昇工程S34では、昇降機構90が、受渡機構80を受渡位置から待機位置まで上昇させる。
その後、液供給機構50は、移動昇降部53によって、洗浄液ノズル51を待機位置(図16に示す位置)から液供給位置(図17に示す位置)まで移動させる。尚、この移動は、受渡機構80の上昇完了前に開始されてもよい。
その後、外周カバー65が、カップ60の外周部に沿って待機位置(図16に示す位置)から液飛散防止位置(図17に示す位置)まで上昇させられる。尚、この上昇は、洗浄液ノズル51の移動完了前に開始されてもよい。
第1洗浄液供給工程S22では、洗浄液ノズル51が、被処理基板Wの中央部に向けて洗浄液を供給する。このとき、回転駆動部46が、基板保持部41、およびフレームカバー固定部43を一体的に回転させる。被処理基板Wの中央部に供給された洗浄液は、被処理基板Wの回転に伴う遠心力によって被処理基板Wの外周部に向けて濡れ広がる。被処理基板Wの接合面全体が洗浄液の膜で覆われ、被処理基板Wの接合面に付着する接合剤が洗浄液に浸漬される。洗浄液に剥離剤層G2が徐々に溶解する。
尚、本実施形態の第1洗浄液供給工程S22では、複数の洗浄液ノズル51のうち、被処理基板Wの中央部上方の洗浄液ノズル51のみが作動するが、その他の洗浄液ノズル51も作動してもよい。
吸引工程S23では、液供給機構50の吸引ノズルが、被処理基板W上の液体を吸引する。剥離剤層G2が溶解した液体を除去できる。このとき、液体が残らないように、回転駆動部46が基板保持部41、およびフレームカバー固定部43を一体的に回転させると共に、移動昇降部53がノズルアーム52を介して吸引ノズルを往復移動させる。吸引ノズルは、被処理基板Wの中央部上方の位置と、被処理基板Wの外周部上方の位置との間を往復移動させられる。
第2洗浄液供給工程S24では、洗浄液ノズル51を液供給位置で停止させた状態で、洗浄液ノズル51が被処理基板Wに向けて洗浄液を供給する。このとき、回転駆動部46が基板保持部41、およびフレームカバー固定部43を一体的に回転させると共に、図7に示すように複数の洗浄液ノズル51が被処理基板Wの径方向に異なる複数の位置に向けて洗浄液を供給する。被処理基板Wの全体に洗浄液の圧力が作用する。保護剤層G1が洗浄液に溶解すると共に、保護剤層G1が洗浄液の液圧によって剥がれる。
尚、本実施形態の第2洗浄液供給工程S24で用いられる洗浄液は、第1洗浄液供給工程S22で用いられる洗浄液と同じものであるが、異なるものでもよい。
リンス液供給工程S25では、リンス液ノズルが、被処理基板Wの中央部に向けてリンス液(例えばIPA)を供給する。このとき、回転駆動部46が基板保持部41、およびフレームカバー固定部43を一体的に回転させる。被処理基板Wの中央部に供給されたリンス液は、被処理基板Wの回転に伴う遠心力によって被処理基板Wの外周部に向けて濡れ広がる。被処理基板W上の液体をリンス液によって置換または希釈することができる。
乾燥工程S26では、回転駆動部46が、基板保持部41、およびフレームカバー固定部43を一体的に回転させ、被処理基板W上の残液を遠心力によって振り切る。尚、リンス液供給工程S25の後、乾燥工程S26の前に、移動昇降部53が、洗浄液ノズル51などを液供給位置から待機位置まで移動させておいてもよい。
取出工程S27では、準備工程S21とは略逆の動作を行い、乾燥後の被処理基板Wをスピンチャック40から受渡機構80が受け取り、第1搬送装置12に渡す。取出工程S27は、図14に示すように、受渡機構下降工程S43、フレームカバー固定解除工程S44、保持解除工程S45、および受渡機構上昇工程S46を有する。
受渡機構下降工程S43では、昇降機構90が、受渡機構80を待機位置から受渡位置まで下降させる。受渡機構下降工程S43は、外周カバー65が液飛散防止位置から待機位置まで下降させられた後に行われてよい。
フレームカバー固定解除工程S44では、フレームカバー固定部43がフレームFに対するフレームカバー85の固定を解除する。フレームカバー固定部43は、その爪部43aをフレームカバー85の外周部から離す。
保持解除工程S45では、基板保持部41が被処理基板Wの保持を解除する。基板保持部41は被処理基板Wの真空吸着を停止する。
保持解除工程S45の後、基板保持部81による被処理基板Wの保持、およびフレームカバー保持部82によるフレームカバー85の保持が行われる。これにより、スピンチャック40から受渡機構80に被処理基板Wおよびフレームカバー85が渡される。
尚、受渡機構下降工程S43、フレームカバー固定解除工程S44、および保持解除工程S45の順序は、特に限定されない。
受渡機構上昇工程S46では、昇降機構90が、受渡機構80を受渡位置から待機位置まで上昇させる。
その後、受渡機構80が被処理基板Wを第1搬送装置12に渡し、取出工程S27が終了する。このとき、フレームカバー85は、受渡機構80に保持され、次回のフレームFの保護に用いられる。
以上説明したように、本実施形態の第1洗浄装置16は、フレームカバー85、およびフレームカバー固定部43を有する。フレームカバー85は、洗浄液からフレームFを保護する。よって、フレームFの洗浄液による劣化を防止できる。また、フレームカバー固定部43が、フレームカバー85をフレームFに対し分離可能に固定する。第1洗浄装置16の内部でフレームカバー85がフレームFに着脱されるので、洗浄時のみフレームFに対しフレームカバー85を被せることができる。また、1つのフレームカバー85を繰り返し使用することができる。
本実施形態のフレームカバー85は、テープPに対し面接触する面接触部88を有する。面接触部88は、環状に形成され、被処理基板Wの外周を囲む。フレームカバー85がテープPに対し点接触する場合に比べて、接触部位を洗浄液が横切る時間をかせぐことができる。
本実施形態のフレームカバー85は、面接触部88に溝部89を有する。溝部89は、環状に形成され、被処理基板Wの外周を囲む。溝部89は、フレームカバー85とテープPとの界面をフレームFに向けて移動する洗浄液を捕集する。溝部89は、同心円状に複数形成されてよい。溝部89の数は特に限定されない。
本実施形態のフレームカバー固定部43は、フレームカバー85が第1洗浄装置16から取り外された場合、フレームカバー85の代わりにフレームFを押さえる。フレームカバー85がある場合とない場合の両方の場合にフレームカバー固定部43が対応できる。よって、部品の共通化を図ることができる。
本実施形態のフレームカバー固定部43は、フレームカバー85を押さえるフレームカバー押さえ部43a−1と、フレームFを押さえるフレーム押さえ部43a−2とを有する。フレームカバー押さえ部43a−1がフレームカバー85を押さえるとき、フレーム押さえ部43a−2はフレームFを押さえない。よって、フレームカバー85をフレームFに確実に押し付けることができる。
本実施形態の第1洗浄装置16は、フレームカバーガイド部48を有する。フレームカバーガイド部48は、基板保持部41に対するフレームカバー85の位置ずれを矯正する。フレームカバー85とフレームカバー固定部43との位置関係を調整することができる。
本実施形態の第1洗浄装置16は、フレームガイド部47を有する。フレームガイド部47は、基板保持部41に対するフレームFの位置ずれを矯正する。フレームFとフレームカバー固定部43との位置関係を調整することができる。
[第2実施形態]
図18は、第2実施形態による第1洗浄装置の断面図であって、図27のXVIII-XVIII線に沿った断面図である。図19は、図18の一部拡大図である。本実施形態の第1洗浄装置16Aは、上記第1実施形態の第1洗浄装置16の代わりに用いられる。以下、相違点について主に説明する。
第1洗浄装置16Aは、上記第1実施形態のスピンチャック40に代えて、スピンチャック40Aを有する。スピンチャック40Aは、基板保持部41、フレームカバー固定部43、支柱部45、および回転駆動部46の他に、フレーム保持部49を備える。フレーム保持部49は、フレームFを保持する。フレーム保持部49は、例えば吸着パッドで構成され、フレームFの外周部(テープPのない部分)を下方から真空吸着する。フレーム保持部49は、基板保持部41の周りに間隔をおいて複数(例えば8つ)設けられる。フレーム保持部49は、基板保持部41およびフレームカバー固定部43と一体的に回転させられる。
第1洗浄装置16Aは、上蓋70を有する。上蓋70は、カップ60に対して昇降自在とされ、カップ60の開口部からの洗浄液の飛散を遮る。上蓋70は、外周部としての筒部71と、筒部71の一方の開口部を塞ぐ蓋部72とを有する。上蓋70は、洗浄液の供給時に、筒部71の他方の開口部をカップ60に向ける。筒部71には切欠き73が形成され、洗浄液の供給時に液供給機構50のノズルアーム52が切欠き73を貫通する。上蓋70が特許請求の範囲に記載の遮断部に対応する。
第1洗浄装置16Aは、上記第1実施形態の昇降機構90に代えて、昇降反転機構90A(図23等参照)を備える。昇降反転機構90A(図23等参照)は、連結部91、昇降部92、および反転部93を有する。連結部91は、上蓋70と受渡機構80を連結する。昇降部92は、シリンダなどで構成され、カップ60に対し連結部91を昇降させることにより、上蓋70および受渡機構80を一体的に昇降させる。反転部93は、連結部91を反転させる。反転部93は、モータなどで構成され、上蓋70を基板保持部41に向けた位置(図26に示す位置)と、受渡機構80を基板保持部41に向けた位置(図25に示す位置)との間で、連結部91を反転させる。
次に、図20〜図29を参照して、上記第1洗浄装置16Aを用いた洗浄方法について説明する。図20は、第2実施形態による洗浄方法のフローチャートである。図21は、図20の準備工程のフローチャートである。図22は、図20の取出工程のフローチャートである。図23は、図20の準備工程の開始時の第1洗浄装置の状態を示す側面図である。図24は、図21の受渡機構下降工程の終了時の第1洗浄装置の状態を示す側面図である。図25は、図21の受渡機構上昇工程の終了時の第1洗浄装置の状態を示す側面図である。図26は、図21の反転工程の終了時の第1洗浄装置の状態を示す側面図である。図27は、図21の上蓋下降工程の終了時、図20の第1洗浄液供給工程の途中、図20の第2洗浄液供給工程の途中、および図20のリンス液供給工程の途中の第1洗浄装置の状態を示す側面図である。図28は、図20の吸引工程の途中の第1洗浄装置の状態を示す側面図である。図29は、図20の乾燥工程の途中の第1洗浄装置の状態を示す側面図である。
図20に示すように、洗浄方法は、準備工程S21A、第1洗浄液供給工程S22、吸引工程S23、第2洗浄液供給工程S24、リンス液供給工程S25、乾燥工程S26、および取出工程S27Aを有する。これらの工程は、制御装置30による制御下で実施される。
準備工程S21Aは、図21に示すように、受渡機構下降工程S31、保持工程S32、フレームカバー固定工程S33、受渡機構上昇工程S34、反転工程S35、および上蓋下降工程S36を有する。
受渡機構下降工程S31では、昇降部92が、図23に示す位置から図24に示す位置まで、連結部91を下降させ、受渡機構80を基板保持部41に向けた状態のまま下降させる。受渡機構80の下降後、基板保持部81による被処理基板Wの保持の解除、およびフレームカバー保持部82によるフレームカバー85の保持の解除が行われる。これにより、受渡機構80からスピンチャック40Aに被処理基板Wおよびフレームカバー85が渡される。このとき、フレームカバー85は、フレームFに載置される。
保持工程S32では、基板保持部41が被処理基板Wを保持し、フレーム保持部49がフレームFを保持する。基板保持部41はテープPを介して被処理基板Wを下方から真空吸着し、フレーム保持部49はフレームFを下方から真空吸着する。この状態は、図22の保持解除工程S45まで維持される。
フレームカバー固定工程S33では、フレームカバー固定部43がフレームカバー85をフレームFに対し分離可能に固定する。フレームカバー固定部43は、その爪部43aをフレームカバー85の外周部に当接させ、爪部43aでフレームカバー85を押さえる。この状態は、図22のフレームカバー固定解除工程S44まで維持される。
受渡機構上昇工程S34では、昇降部92が、図24に示す位置から図25に示す位置まで、連結部91を上昇させ、受渡機構80を基板保持部41に向けた状態のまま上昇させる。
反転工程S35では、反転部93が、受渡機構80を基板保持部41に向けた位置(図25に示す位置)から、上蓋70を基板保持部41に向けた位置(図26に示す位置)へ、連結部91を反転させる。
反転工程S35の間に、液供給機構50は、移動昇降部53によって、洗浄液ノズル51を待機位置(図25に示す位置)から液供給位置(図26に示す位置)まで移動させる。尚、この洗浄液ノズル51の移動は、受渡機構上昇工程S34の後、上蓋下降工程S36の前に行われればよく、反転工程S35と同時に行われなくてもよい。
上蓋下降工程S36では、昇降部92が、図26に示す位置から図27に示す位置まで、連結部91を下降させ、上蓋70を基板保持部41に向けた状態のまま下降させる。上蓋70の筒部71には切欠き73が形成されており、上蓋70の下降時に上蓋70とノズルアーム52との接触が防止できる。ノズルアーム52は、洗浄液ノズル51を液供給位置で保持した状態で、上蓋70の切欠き73を貫通する。
上蓋下降工程S36の間に、外周カバー65が、カップ60の外周部に沿って待機位置(図26に示す位置)から液飛散防止位置(図27に示す位置)まで上昇させられ、カップ60の外周部と上蓋70の外周部との間を閉塞する。尚、この外周カバー65の上昇は、反転工程S35の後、図20に示す第1洗浄液供給工程S22の前に行われればよく、上蓋下降工程S36と同時に行われなくてもよい。
上蓋下降工程S36が終了し、図20に示す準備工程S21Aが終了する。続いて、図20に示す第1洗浄液供給工程S22が行われる。
第1洗浄液供給工程S22では、洗浄液ノズル51が、被処理基板Wの中央部に向けて洗浄液を供給する。このとき、回転駆動部46が、基板保持部41、フレーム保持部49、およびフレームカバー固定部43を一体的に回転させる。被処理基板Wの中央部に供給された洗浄液は、被処理基板Wの回転に伴う遠心力によって被処理基板Wの外周部に向けて濡れ広がる。被処理基板Wの接合面全体が洗浄液の膜で覆われ、被処理基板Wの接合面に付着する接合剤が洗浄液に浸漬される。洗浄液に剥離剤層G2が徐々に溶解する。この間の待ち時間を利用して、吸引工程S23のための準備を行う。具体的には、洗浄液ノズル51からの洗浄液の供給を停止させ、洗浄液の上方への跳ね返りを防止した状態で、上蓋70を図27に示す位置から図28に示す位置まで上昇させる。これによりノズルアーム52の移動が可能になる。尚、このとき、回転駆動部46は、作動状態、停止状態のいずれでもよい。
尚、本実施形態の第1洗浄液供給工程S22では、複数の洗浄液ノズル51のうち、被処理基板Wの中央部上方の洗浄液ノズル51のみが作動するが、その他の洗浄液ノズル51も作動してもよい。
吸引工程S23では、液供給機構50の吸引ノズルが、被処理基板W上の液体を吸引する。剥離剤層G2が溶解した液体を除去できる。このとき、液体が残らないように、回転駆動部46が基板保持部41、フレーム保持部49、およびフレームカバー固定部43を一体的に回転させると共に、移動昇降部53がノズルアーム52を介して吸引ノズルを往復移動させる。吸引ノズルは、被処理基板Wの中央部上方の位置と、被処理基板Wの外周部上方の位置との間を往復移動させられる。この往復移動を実現するため、予め上蓋70が吸引ノズルの往復移動を妨げない位置(図28に示す位置)に上昇させられている。
第2洗浄液供給工程S24では、上蓋70を元の位置(図27に示す位置)まで下降させ、洗浄液ノズル51を液供給位置で停止させた状態で、洗浄液ノズル51が被処理基板Wに向けて洗浄液を供給する。このとき、回転駆動部46が基板保持部41、フレーム保持部49、およびフレームカバー固定部43を一体的に回転させると共に、図18に示すように複数の洗浄液ノズル51が被処理基板Wの径方向に異なる複数の位置に向けて洗浄液を供給する。被処理基板Wの全体に洗浄液の圧力が作用する。保護剤層G1が洗浄液に溶解すると共に、保護剤層G1が洗浄液の液圧によって剥がれる。
尚、本実施形態の第2洗浄液供給工程S24で用いられる洗浄液は、第1洗浄液供給工程S22で用いられる洗浄液と同じものであるが、異なるものでもよい。
リンス液供給工程S25では、リンス液ノズルが、被処理基板Wの中央部に向けてリンス液(例えばIPA)を供給する。このとき、回転駆動部46が基板保持部41、フレーム保持部49、およびフレームカバー固定部43を一体的に回転させる。被処理基板Wの中央部に供給されたリンス液は、被処理基板Wの回転に伴う遠心力によって被処理基板Wの外周部に向けて濡れ広がる。被処理基板W上の液体をリンス液によって置換または希釈することができる。
リンス液供給工程S25の後、乾燥工程S26のための準備を行う。具体的には、リンス液ノズルからのリンス液の供給を停止させ、洗浄液の上方への跳ね返りを防止した状態で、上蓋70を上昇させる。続いて、移動昇降部53が、洗浄液ノズル51などを液供給位置から待機位置まで移動させる。これにより、洗浄液の供給時よりも上蓋70を下降させても、上蓋70とノズルアーム52とが接触しなくなる。その後に、昇降部92が、上蓋70を下降させ、上蓋70の切欠き73を外周カバー65によって塞ぐ。
乾燥工程S26では、回転駆動部46が、基板保持部41、フレーム保持部49、およびフレームカバー固定部43を一体的に回転させ、被処理基板W上の残液を遠心力によって振り切る。振り切られた液滴の飛散を制限するため、外周カバー65が上蓋70の切欠き73を塞ぐ。
取出工程S27Aでは、準備工程S21Aとは略逆の動作を行い、乾燥後の被処理基板Wをスピンチャック40Aから受渡機構80が受け取り、第1搬送装置12に渡す。取出工程S27Aは、図22に示すように、上蓋上昇行程S41、反転工程S42、受渡機構下降工程S43、フレームカバー固定解除工程S44、保持解除工程S45、および受渡機構上昇工程S46を有する。
上蓋上昇行程S41では、昇降部92が、図29に示す位置から図26に示す位置まで、連結部91を上昇させ、上蓋70を基板保持部41に向けた状態のまま上昇させる。
上蓋上昇行程S41の間に、外周カバー65が、カップ60の外周部に沿って液飛散防止位置(図29に示す位置)から待機位置(図26に示す位置)まで下降させられる。尚、この外周カバー65の下降は、反転工程S42の前に行われればよく、上蓋上昇行程S41と同時に行われなくてもよい。
反転工程S42では、上蓋70を基板保持部41に向けた位置(図26に示す位置)から、受渡機構80を基板保持部41に向けた位置(図25に示す位置)へ、連結部91を反転させる。
受渡機構下降工程S43では、昇降部92が、図25に示す位置から図24に示す位置まで、連結部91を下降させ、受渡機構80を基板保持部41に向けた状態のまま下降させる。
フレームカバー固定解除工程S44では、フレームカバー固定部43がフレームFに対するフレームカバー85の固定を解除する。フレームカバー固定部43は、その爪部43aをフレームカバー85の外周部から離す。
保持解除工程S45では、基板保持部41が被処理基板Wの保持を解除し、フレーム保持部49がフレームFの保持を解除する。基板保持部41は被処理基板Wの真空吸着を停止し、フレーム保持部49はフレームFの真空吸着を停止する。
保持解除工程S45の後、基板保持部81による被処理基板Wの保持、およびフレームカバー保持部82によるフレームカバー85の保持が行われる。これにより、スピンチャック40Aから受渡機構80に被処理基板Wおよびフレームカバー85が渡される。
尚、受渡機構下降工程S43、フレームカバー固定解除工程S44、および保持解除工程S45の順序は、特に限定されない。
受渡機構上昇工程S46では、昇降部92が、図24に示す位置から図23に示す位置まで、連結部91を上昇させることにより、受渡機構80を下に向けた状態のまま上昇させる。
その後、受渡機構80が被処理基板Wを第1搬送装置12に渡し、取出工程S27Aが終了する。このとき、フレームカバー85は、受渡機構80に保持され、次回のフレームFの保護に用いられる。
以上説明したように、本実施形態の第1洗浄装置16Aは、上蓋70を有する。上蓋70は、カップ60に対して昇降自在とされ、カップ60の開口部からの洗浄液の飛散を遮る。よって、洗浄力の高い技術が適用できる。例えば、洗浄液ノズル51として、2流体ノズルの使用が可能である。また、洗浄液で洗浄する被処理基板Wの高速回転が可能である。これらの場合、被処理基板Wからの洗浄液の跳ね返りが激しいが、上蓋70がカップ60の開口部からの洗浄液の飛散を遮るため、カップ60の周辺部材に対する洗浄液の付着が防止できる。
本実施形態の第1洗浄装置16Aは、受渡機構80、連結部91、および反転部93を有する。受渡機構80は、スピンチャック40Aの基板保持部41に対し被処理基板Wを受け渡す。連結部91は、上蓋70および受渡機構80を保持する。反転部93は、上蓋70を基板保持部41に向けた位置と、受渡機構80を基板保持部41に向けた位置との間で、連結部91を反転させる。よって、基板保持部41の上方において、上蓋70と受渡機構80との位置の入れ替えができる。被処理基板Wの受渡時には受渡機構80が基板保持部41に向けた状態とされ、洗浄液の供給時には上蓋70が基板保持部41に向けた状態とされる。
本実施形態の上蓋70は、洗浄液の供給時に液供給機構50が貫通する切欠き73を有する筒部71と、筒部71の一方の開口部を塞ぐ蓋部72とを備える。上蓋70は、洗浄液の供給時に筒部71の他方の開口部をカップ60に向ける。切欠き73が筒部71ではなく蓋部72に形成される場合に比べて、蓋部72が洗浄液ノズル51の上方を覆うことができ、上方への洗浄液の跳ね返りが確実に防止できる。
本実施形態の第1洗浄装置16Aは、外周カバー65を有する。外周カバー65は、カップ60の外周部に沿って昇降自在とされ、洗浄液の供給後、被処理基板Wの回転乾燥時に、上蓋70の切欠き73を覆う。切欠き73を介した液滴の飛散を外周カバー65が制限でき、回転乾燥時の被処理基板の回転数が洗浄液供給時の被処理基板の回転数よりも大きく設定できる。よって、乾燥能力が向上できる。
本実施形態の第1洗浄装置16Aは、上記第1実施形態の第1洗浄装置16と同様にフレームカバー85、フレームカバー固定部43、フレームガイド部47、およびフレームカバーガイド部48を有する。従って、本実施形態によれば、上記第1実施形態と同様の効果が得られる。
以上、洗浄装置などの実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態などに限定されず、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形、改良が可能である。
例えば、被処理基板Wの種類は多種多様であってよく、半導体用の基板の他、例えばFPD(フラットパネルディスプレイ)用の基板、フォトマスク用のマスクレチクルの基板などでもよい。
図3に示す重合基板Tの接合層Gは、保護剤層G1、剥離剤層G2、および接着剤層G3の3構造であるが、その構造は特に限定されない。例えば、接合層Gは、接着剤層G3のみの1層構造、または剥離剤層G2および接着剤層G3の2層構造でもよい。2層構造の場合、剥離剤層G2と接着剤層G3の配置は図3とは逆でもよく、剥離剤層G2が被処理基板Wの側に配され、接着剤層G3が支持基板Sの側に配されてもよい。従って、剥離後の被処理基板Wの接合面に付着する接合剤の種類は特に限定されない。
上記第1実施形態の第1洗浄装置16、および上記第2実施形態の第1洗浄装置16Aは、剥離後の被処理基板Wの洗浄に用いられるが、剥離後の支持基板Sの洗浄に用いられてもよい。第1洗浄装置16、16Aの用途は特に限定されない。
上記第1実施形態および上記第2実施形態の液供給機構50は、洗浄液ノズル51を水平方向に直線移動させるが、洗浄液ノズル51を水平方向に旋回させてもよい。
上記第1実施形態および上記第2実施形態の洗浄液ノズル51は、複数であるが、1つでもよい。この場合、第2洗浄液供給工程S24では、複数の洗浄液ノズル51から被処理基板Wの径方向に異なる複数の位置に向けて洗浄液を同時に供給する代わりに、1つの洗浄液ノズル51を被処理基板Wの径方向に移動させ、被処理基板Wの径方向全体に洗浄液を順次供給してもよい。前者の場合、後者の場合とは異なり洗浄液の供給時に洗浄液ノズル51が移動しないため、切欠き73が小型化でき、切欠き73を介した洗浄液の飛散が抑制できる。一方、後者の場合、前者の場合に比べて、被処理基板Wの全体にもれなく均一に洗浄液の液圧を作用させることができる。
上記第2実施形態の上蓋70は、筒部71と蓋部72とを備えるが、蓋部72のみを備えてもよい。つまり、上蓋70と外周カバー65との間に隙間が形成されてもよい。この場合も、上蓋70は、洗浄液の上方への飛散を遮ることができる。
上記第2実施形態の上蓋70は、筒部71に切欠き73を有するが、蓋部72に切欠き73を有してもよい。この場合、洗浄液の供給時に洗浄液ノズル51が切欠き73を上から下に貫通し、洗浄液ノズル51の下端部から洗浄液が供給される。
上記第2実施形態のフレームカバー85は、上蓋70とは別に設けられるが、上蓋70と一体に設けられてもよい。この場合、上蓋70は、フレームカバー85と同様に、フレームFに対し分離可能に固定され、フレームFと共に回転する。