JP2016143708A - ペロブスカイト型太陽電池モジュール - Google Patents

ペロブスカイト型太陽電池モジュール Download PDF

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保 堀内
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Yuji Tanaka
裕二 田中
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Naomichi Kanei
直道 兼為
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Abstract

【課題】長期安定性に優れ、生産性にも優れたペロブスカイト型太陽電池モジュールを提供する。
【解決手段】透明導電膜基板上1に、電子輸送層3を設けた第一電極2、前記電子輸送層3上に設けられた多孔質層4、前記多孔質層4上に設けられたペロブスカイト化合物層5、前記ペロブスカイト化合物層5上に設けられたホール輸送層6、前記ホール輸送層6上に第二電極7を具備したペロブスカイト型太陽電池において、前記第一電極2と第二電極7がそれぞれ分割された複数の電極と、前記電子輸送層3、多孔質層4、ペロブスカイト化合物層5、およびホール輸送層6が分割されていないことを特徴とするペロブスカイト型太陽電池モジュール。
【選択図】図1

Description

本発明は、ペロブスカイト型太陽電池の製造方法及び太陽電池に関するものである。
近年、化石燃料の代替エネルギーとして、また地球温暖化対策として太陽電池の重要性が高まっている。しかし、シリコン系太陽電池に代表される現行の太陽電池は、現状ではコストが高く、普及を妨げる要因となっている。
そのため、各種低コスト型の太陽電池の研究開発が進められており、その中でもスイスローザンヌ工科大学のGraetzelらが発表した色素増感型太陽電池は、実用化への期待が高まっている(例えば、特許文献1:特許第2664194号公報、非特許文献1:Nature,353(1991)737、非特許文献2:J.Am.Chem.Soc.,115(1993)6382参照)。
この太陽電池の構造は、透明導電性ガラス基板上に多孔質な金属酸化物半導体を設け、その表面に吸着した色素と、酸化還元対を有する電解質と、対向電極とからなる。Graetzelらは、酸化チタン等の金属酸化物半導体電極を多孔質化して表面積を大きくしたこと、並びに色素としてルテニウム錯体を単分子吸着させたことにより光電変換効率を著しく向上させた。
また、素子の製造方法に印刷方式を適用出来るため、高価な製造設備を必要としないことから製造コストを下げられることが期待されている。しかしながら、この太陽電池はヨウ素と揮発性溶剤を含んでおり、ヨウ素レドックス系の劣化による発電効率の低下、電解液の揮発や漏れといった問題がある。
この欠点を補うものとして、次に示されるような固体型色素増感型太陽電池の発表が行なわれている。
1)無機半導体を用いたもの(例えば、非特許文献3:Semicond.Sci.Technol.,10(1995)1689、非特許文献4:Electrochemistry,70(2002)432参照)
2)低分子有機ホール輸送材料を用いたもの(例えば、特許文献2:特開平11−144773号公報、非特許文献5:Synthetic Metals,9(1997)215、非特許文献6:Nature,398(1998)583参照)
3)導電性高分子を用いたもの(例えば、特許文献3:特開2000−106223号公報、非特許文献7:Chem,Lett.,(1997)471参照)
非特許文献3記載の太陽電池では、p型半導体層の構成材料としてヨウ化銅が用いられている。作製直後は比較的良好な光電変換効率も、ヨウ化銅の結晶粒の増大等を理由とする劣化により数時間で半減してしまうことが知られている。そこで、非特許文献4に記載の太陽電池においては、イミダゾリニウムチオシアナートを加えることによってヨウ化銅の結晶化を抑制しているが、十分ではない。
非特許文献5に記載の有機ホール輸送材料を用いたタイプの固体型色素増感太陽電池は、Hagenらによって報告され、Graetzelらによって改良されている(非特許文献6)。特許文献2に記載のトリフェニルアミン化合物を用いた固体型色素増感太陽電池は、トリフェニルアミン化合物を真空蒸着して電荷輸送層を形成している。
そのため、多孔質半導体の内部空孔へトリフェニルアミン化合物が到達できず、低い変換効率しか得られていない。非特許文献6記載の例は、スピロ型のホール輸送材料を有機溶媒に溶解し、スピンコートを利用してナノチタニア粒子とホール輸送材料の複合体を得ている。
しかしながら、この太陽電池におけるナノチタニア粒子膜厚の最適値は2μm程度とされており、ヨウ素電解液を使用する場合の10〜20μmと比較して非常に薄い。そのため、酸化チタンに吸着した色素量も少なく、十分な光吸収やキャリア発生を行うことが困難であり、電解液を用いた場合の特性は及ばない。ナノチタニア粒子の膜厚が2μmに留まる理由は、膜厚が厚くなるとホール輸送材料の浸透が十分でなくなるためとされている。
また、導電性高分子を用いたタイプの固体型太陽電池として、大阪大学柳田らがポリピロールを用いたものを報告(非特許文献7参照)している。これらの太陽電池においても、変換効率は低く、特許文献3に記載のポリチオフェン誘導体を用いた固体型色素増感太陽電池は、色素を吸着した多孔質酸化チタン電極上で、電解重合法を用いて電荷移動層を設けているが、色素が酸化チタンから脱着したり、あるいは色素の分解が生じたりする問題がある。
また、近年ペロブスカイト型化合物が光を吸収し、発電するペロブスカイト型太陽電池が桐蔭横浜大学宮坂らによって報告されている(非特許文献8:J.Am.Chem.Soc.131(2009)6050参照)。
この太陽電池に用いられているペロブスカイト型化合物は、ハロゲン化メチルアミンとハロゲン化鉛を混合することによって形成されたものであり、可視光領域に強い吸収を有している。この化合物は溶液中では不安定なため、ヨウ素電解液を用いた場合は太陽電池特性が低い。そこで、ヨウ素電解液を有機ホール輸送材料に変更することで変換効率を大きく向上させた太陽電池が報告された(非特許文献9:Science,338(2012)643参照)。しかしながら、ここで報告された太陽電池は非常に安定性が低く、767個も太陽電池を作製しているが、変換効率の分布は非常に大きい。
色素増感型太陽電池で得られる開放電圧は単セルあたり約0.7V程度である。この開放電圧の値では、実際の機器を駆動させるには不十分なため、複数個のセルを直列接続して、機器が駆動できる電圧にまで増加する必要がある。その直列接続の方法としては、W型(例えば、特許文献4:特開平8−306399号公報参照)、Z型(例えば、特許文献5:特開2007−12377号公報参照)、モノリシック型(例えば、特許文献6:特開2004−303463号公報参照)などが報告されている。
W型は、隣り合うセルの正極と負極を交互に反転させ、隣り合うセルの集電電極を共通のものとし、正極基板と負極基板の間に隔壁を設け、電解液を注入・封止した直列に接続方法である。この方法は、比較的容易に製造することできるという反面、この接続方法では正極と負極が交互に反転しているため、光を吸収する負極側のセル面積が、どちらの側でも半分となってしまう。そのため、何れの基板側から光を入射しても半分のセルしか受光できない。隣り合うセルの正負が交互に反転しているため、機能しないセルが一つおきに存在するため、全てのセルが機能するZ型に比較しても、全体の出力が低下するという問題もある。
一方、Z型は、いずれのセルの正極、負極もそれぞれ一方の基板の側に共通に配置されており、セル間の隔壁を通じて配線を形成して隣接するセルの端部どうしを接続する方法である。この方法では、一方の基板には負極のみが配置されているため、負極側から光を取り込めば、すべてのセルで受光でき、配列されたすべてのセルが機能する。このためZ型では、W型のように光電変換効率が落ちることはない。
Z型は隔壁を通じて隣り合う正極と負極の電極を接続する方法である。そのため、隔壁内部に導通部を形成させ、かつその導通部が腐食性の高い電解液から保護されている必要がある。従って、このような隔壁の製造は技術的に困難であると同時に、液洩れやショートを防ぐ精密な封止技術も必要となる。特に、セルが微細化されたモジュールを製造する場合、より高度な隔壁の微細加工技術、より精密な封止技術が必要であるが、完全に電解液の漏洩を防止し、ショートを防ぐことは難しく、歩留まりの低下、太陽電池特性の低下を生じることが多かった。
特許文献6記載の太陽電池モジュールは、モノリシック型と呼ばれる構造であるが、Z型のモジュールからさらに進んだ構造として、一つの基板上にユニットセルを並べて配し、隣接するユニットセル同士を電気的に接続したものであり、Z型モジュールと同様の欠点を有している。
何れのモジュール形状であっても、セル間を完全に独立させることが必要なため、セル間に隔壁を設けて分割しており、製造工程の増加と言った問題だけでなく、モジュールの開口率が小さくなる問題があった。開口率を増加するためには、隔壁部分をより狭く作りこむ必要があるが、製造プロセスがより複雑になってしまい、モジュール化した時の歩留まりが低くなってしまう問題も生じていた。
一方、モジュール化を簡便にするために、透明電極や対向電極、更にチタニア膜もベタ塗りし、透明電極の抵抗を低減するために金属グリッドを配線するだけという簡便なモジュール化方法もあるが、この手法では、一つのセルを大面積化しているため、得られる開放電圧は単セルあたりの約0.7V程度と低く、実際の機器を駆動するには不十分であった。
また、太陽電池は、発電量が光量に依存するため夜間などに電力を得ることができない。そのため、日中に発電した電力を貯蔵する必要がある。太陽電池と二次電池を組み合わせたものとしては、二次電池とアモルファスシリコン太陽電池の組合せ(例えば、特許文献7:特開平8−330616号公報参照)が報告されている。
これは、太陽電池と二次電池を並列に接続したものであり、システム全体としての出力電圧を調整するために、二次電池および太陽電池のセルの接続数(セル段数)を調整する必要があり、モジュール形状が複雑になってしまう弱点がある。
一方、ペロブスカイト型太陽電池モジュールとして、上記と同様のZ型モジュールが報告されている(非特許文献10:Phys.Chem.Chem.Phys.,16(2014)3918参照)。これも上記と同様の問題がある。
以上、これまでに検討されてきた太陽電池は、何れも満足いく特性のものが得られていないのが現状である。
そこで、我々は先に、基板、電子輸送層を設けた第一電極、前記電子輸送層上に設けられた多孔質層、前記多孔質層上に設けられ、表面に光増感化合物を吸着させた電子輸送性半導体からなる電子輸送層、ホール輸送層、第二電極をこの順序で積層し、前記第一電極と、第二電極がそれぞれ分割された複数の電極からなる固体色素増感型太陽電池を提案(特許文献8の特開2014−143333号公報)している。
本発明の課題は、このような上記問題点を解決し、従来と比較して長期安定性に優れ、生産性にも優れたペロブスカイト型太陽電池モジュールを提供することにある。
上記課題を解決するために鋭意検討した結果、高性能なペロブスカイト型太陽電池モジュールを提供できることを見出し、本発明に到達した。上記課題は、本発明の下記(1)の構成の「ペロブスカイト型太陽電池モジュール」によって解決される。
(1)「透明導電膜基板上に、電子輸送層を設けた第一電極、前記電子輸送層上に設けられた多孔質層、前記多孔質層上に設けられたペロブスカイト化合物層、前記ペロブスカイト化合物層上に設けられたホール輸送層、前記ホール輸送層上に第二電極を具備したペロブスカイト型太陽電池において、前記第一電極と第二電極がそれぞれ分割された複数の電極と、前記電子輸送層、多孔質層、ペロブスカイト化合物層、およびホール輸送層が分割されていないことを特徴とするペロブスカイト型太陽電池モジュール。」
以下の詳細かつ具体的な説明から明らかなように、本発明のペロブスカイト型太陽電池モジュールによれば、上記(1)に記載の構成によって、良好な特性のペロブスカイト型太陽電池モジュールを得ることが可能である。すなわち、従来と比較して長期安定性に優れ、生産性にも優れたペロブスカイト型太陽電池が提供されるという極めて優れた効果が発揮される。
本発明に係るペロブスカイト型太陽電池モジュールの構造を表わす断面図の一例である。 本発明に係るペロブスカイト型太陽電池モジュールと二次電池を組み合わせた構造の断面図の一例である。 本発明において、エッチングにより基板に導電性部位を複数に分割した1例を示す図である。 複数に分割された導電性部位のうちの特定な導電性部位にのみ多孔質酸化チタン膜をオーバーラップさせる1例を示す図である。 前記多孔質酸化チタン膜上にペロブスカイト膜を設ける1例を示す図である。 前記多孔質酸化チタン膜のない部位と多孔質酸化チタン膜部位との間をオーバーラップする金電極を複数(この例では2か所)設ける一例を示す図である。 前記金電極の端部に導通するリード電極としての銀ペーストを設ける1例を示す図である。 ペロブスカイト膜について説明する図である。 本発明のペロブスカイト型太陽電池の機作例について説明する図である。
本発明は、上記(1)に記載の構成を有する「ペロブスカイト型太陽電池モジュール」に係るものであるが、この「ペロブスカイト型太陽電池モジュール」は、以降の詳細な説明から理解されるように、つぎの(2)〜(8)に記載される態様の「ペロブスカイト型太陽電池モジュール」をも包含する。
(2)「前記ペロブスカイト化合物層が、下記一般式(1)にて表される組成であることを特徴とする前記(1)記載のペロブスカイト型太陽電池モジュール。
XαYβMγ ・・・一般式(1)
(式中、Xはハロゲン原子、Yはアルキルアミン化合物、Mは金属を含み、α:β:γの比率が3:1:1であり、β及びγは1より大きい整数を表す。)」
(3)「前記一般式(1)におけるMが、少なくとも鉛を含有することを特徴とする前記(2)に記載のペロブスカイト型太陽電池モジュール。」
(4)「前記一般式(1)におけるMが鉛と、インジウム、アンチモン、スズのいずれか1種類とを含有することを特徴とする前記(2)乃至(3)のいずれかに記載のペロブスカイト型太陽電池モジュール。」
(5)「前記一般式(1)におけるYのハロゲン化アルキルアミンが、ハロゲン化メチルアミン、ハロゲン化ホルムアミジンの何れかであることを特徴とする前記(2)乃至(4)のいずれかに記載のペロブスカイト型太陽電池モジュール。」
(6)「前記多孔質層が、金属酸化物を含むことを特徴とする前記(2)乃至(5)のいずれかに記載のペロブスカイト型太陽電池モジュール。」
(7)「前記ホール輸送層が、酸化剤を含有することを特徴とする前記(2)乃至(6)いずれかに記載のペロブスカイト型太陽電池モジュール。」
(8)「前記酸化剤が、Co錯体化合物であることを特徴とする前記(2)乃至(7)のいずれかに記載のペロブスカイト型太陽電池モジュール。」
本発明のペロブスカイト太陽電池モジュールによれば、透明導電膜基板上に、電子輸送層を設けた第一電極、前記電子輸送層上に設けられた多孔質層、前記多孔質層上に設けられたペロブスカイト化合物層、前記ペロブスカイト化合物層上に設けられたホール輸送層、前記ホール輸送層上に第二電極を具備したペロブスカイト型太陽電池において、前記第一電極と第二電極がそれぞれ分割された複数の電極と、前記電子輸送層、多孔質層、ペロブスカイト化合物層、およびホール輸送層が分割されていない構成によって良好な特性の色素増感型太陽電池モジュールを得ることが可能である。
<太陽電池の構成>
以下本発明を詳細に説明する。
ペロブスカイト型太陽電池の構成について図1に基づいて説明する。
なお、図1はペロブスカイト型太陽電池モジュールの断面図である。
図1に示す態様においては、基板1上に第一電極2が設けられ、緻密な電子輸送層3、多孔質層4、ペロブスカイト層5、ホール輸送層6、第二電極7が順次設けられた構成をとっている。
<基板>
本発明で用いられる基板1は、一定の硬性を維持する必要があり、基板1として用いられるものとしては、ガラス、透明プラスチック板、透明プラスチック膜、無機物透明結晶体等が挙げられる。
<第一電極>
本発明で用いられる電極2(以下、第一電極と称する)は、基板1の上に設ける。
第一電極2としては、可視光に対して透明な導電性物質や金属で構成されるものであり、通常の光電変換素子、あるいは液晶パネル等に用いられる公知のものを使用できる。例えば、インジウム・スズ酸化物(以下、ITOと称する)、フッ素ドープ酸化スズ(以下、FTOと称する)、アンチモンドープ酸化スズ(以下、ATOと称する)、インジウム・亜鉛酸化物、ニオブ・チタン酸化物、グラフェン、金、銀、Pt、Ti、Crなどの金属が挙げられ、これらが単独あるいは複数積層されていてもよい。
電子集電電極の厚さは5nm〜100μmが好ましく、50nm〜10μmが更に好ましい。
また、金属リード線等を用いてもよい。
金属リード線の材質はアルミニウム、銅、銀、金、白金、ニッケル等の金属が挙げられる。金属リード線は、基板に蒸着、スパッタリング、圧着等で設置し、その上にITOやFTOを設ける方法が挙げられる。
本発明において、第一電極は分割されたものを使用する。第一電極の分割方法は、レーザーやエッチング液に浸すエッチング方法、スパッタなどの真空製膜時にマスクを用いて分割する方法などが挙げられるが、本発明においてはその何れであっても構わない。
<電子輸送層>
本発明のペロブスカイト型太陽電池は、上記の第一電極2上に、半導体からなる電子輸送層3を形成する。この電子輸送層3の膜厚に制限はないが、10nm〜1μmが好ましく、20nm〜700nmがより好ましい。なお、電子輸送層3は緻密である必要があるが、「緻密」さとは、多孔質層4中の微粒子の充填密度より高密度で電子輸送性化合物が膜を形成していることを意味する。
電子輸送層3に用いられるものは、電子輸送性の半導体が好ましく、具体的には、シリコン、ゲルマニウムのような単体半導体、あるいは金属のカルコゲニドに代表される化合物半導体、またはペロブスカイト構造を有する化合物等を挙げることができる。
金属のカルコゲニドとしてはチタン、スズ、亜鉛、鉄、タングステン、ジルコニウム、ハフニウム、ストロンチウム、インジウム、セリウム、イットリウム、ランタン、アルミニウム、マグネシウム、バナジウム、ニオブ、あるいはタンタルの酸化物、カドミウム、亜鉛、鉛、銀、アンチモン、ビスマスの硫化物、カドミウム、鉛のセレン化物、カドミウムのテルル化物等が挙げられる。
他の化合物半導体としては亜鉛、ガリウム、インジウム、カドミウム、等のリン化物、ガリウム砒素、銅−インジウム−セレン化物、銅−インジウム−硫化物等が好ましい。また、ペロブスカイト構造を有する化合物としては、チタン酸ストロンチウム、チタン酸カルシウム、チタン酸ナトリウム、チタン酸バリウム、ニオブ酸カリウム等が好ましい。
これらの中でも酸化物が好ましく、特に酸化亜鉛、酸化スズ、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ニオブ、酸化イットリウム、チタン酸バリウムが好ましく、単独、あるいは2種以上の混合で使用しても構わない。これらの酸化物の結晶型は特に限定されるものではなく、単結晶でも多結晶でも、あるいは非晶質でも構わない。
電子輸送層3の作製方法としては、作製方法には特に制限は無く、真空中で薄膜を形成する方法や湿式製膜法が挙げられる。
真空製膜としては、スパッタリング法、パルスレーザーデポジッション法(PLD法)、イオンビームスパッタ法、イオンアシスト法、イオンプレーティング法、真空蒸着法、アトミックレイヤーデポジッション法(ALD法)、化学気相成長法(CVD法)等が挙げられる。湿式製膜法としては、ゾル−ゲル法による薄膜の作製が挙げられる。 ゾル−ゲル法では溶液から出発し、加水分解や重合・縮合等の化学反応を経てゲルを作製し、その後加熱処理によって緻密化を促進させる方法である。このゾル−ゲル法を用いた場合、塗布方法は特に制限はなく、公知の方法に従って行うことができる。例えば、ディップ法、スプレー法、ワイヤーバー法、スピンコート法、ローラーコート法、ブレードコート法、グラビアコート法、また、湿式印刷方法として、凸版、オフセット、グラビア、凹版、ゴム版、スクリーン印刷等様々な方法を用いることができる。ゾル溶液を塗布した後の加熱処理は80℃以上が好ましく、100℃以上がより好ましい。
<多孔質層>
多孔質層4は、単層であっても多層であってもよい。多層の場合、粒径の異なる半導体微粒子の分散液を多層塗布することも、種類の異なる半導体や、樹脂、添加剤の組成が異なる塗布層を多層塗布することもできる。一度の塗布で膜厚が不足する場合には、多層塗布は有効な手段である。多孔質層の膜厚は30〜1000nmが好ましく、100〜600nmがより好ましい。
多孔質層4に用いられる微粒子としては特に限定されるものではなく、公知のものを使用することができる。
具体的には、シリコン、ゲルマニウムのような単体半導体、あるいは金属のカルコゲニドに代表される化合物半導体、またはペロブスカイト構造を有する化合物等を挙げることができる。
金属のカルコゲニドとしてはチタン、スズ、亜鉛、鉄、タングステン、ジルコニウム、ハフニウム、ストロンチウム、インジウム、セリウム、イットリウム、ランタン、アルミニウム、マグネシウム、バナジウム、ニオブ、あるいはタンタルの酸化物、カドミウム、亜鉛、鉛、銀、アンチモン、ビスマスの硫化物、カドミウム、鉛のセレン化物、カドミウムのテルル化物等が挙げられる。
他の化合物半導体としては亜鉛、ガリウム、インジウム、カドミウム、等のリン化物、ガリウム砒素、銅−インジウム−セレン化物、銅−インジウム−硫化物等が好ましい。また、ペロブスカイト構造を有する化合物としては、チタン酸ストロンチウム、チタン酸カルシウム、チタン酸ナトリウム、チタン酸バリウム、ニオブ酸カリウム等が好ましい。
これらの中でも酸化物が好ましく、特に酸化亜鉛、酸化スズ、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ニオブ、酸化イットリウム、チタン酸バリウムが好ましく、単独、あるいは2種以上の混合で使用しても構わない。これらの酸化物の結晶型は特に限定されるものではなく、単結晶でも多結晶でも、あるいは非晶質でも構わない。
酸化物微粒子のサイズに特に制限はないが、一次粒子の平均粒径は1〜100nmが好ましく、10〜50nmがより好ましい。また、より大きい平均粒径の酸化物微粒子を混合あるいは積層して入射光を散乱させる効果により、効率を向上させることも可能である。この場合の酸化物の平均粒径は50〜500nmが好ましい。
多孔質層4の作製方法としては、浸漬法、スピンコート法、スプレー法、ディップ法、ローラ法、エアーナイフ法等を用いることができる。また、二酸化炭素などを用いた超臨界流体中で析出させても構わない。
酸化物微粒子を機械的粉砕、あるいはミルを使用して分散液を作製する場合、少なくとも酸化物微粒子単独、あるいは酸化物微粒子と樹脂の混合物を水あるいは有機溶剤に分散して形成される。
この時に使用される樹脂としては、スチレン、酢酸ビニル、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル等によるビニル化合物の重合体や共重合体、シリコン樹脂、フェノキシ樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルホルマール樹脂、ポリエステル樹脂、セルロースエステル樹脂、セルロースエーテル樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂等が挙げられる。
酸化物微粒子を分散する溶媒としては、水、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、α−テルピネオール等のアルコール系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン、あるいはメチルイソブチルケトン等のケトン系溶媒、ギ酸エチル、酢酸エチル、あるいは酢酸n−ブチル等のエステル系溶媒、ジエチルエーテル、ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、ジオキソラン、あるいはジオキサン等のエーテル系溶媒、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、あるいはN−メチル−2−ピロリドン等のアミド系溶媒、ジクロロメタン、クロロホルム、ブロモホルム、ヨウ化メチル、ジクロロエタン、トリクロロエタン、トリクロロエチレン、クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン、フルオロベンゼン、ブロモベンゼン、ヨードベンゼン、あるいは1−クロロナフタレン等のハロゲン化炭化水素系溶媒、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−オクタン、1,5−ヘキサジエン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、シクロヘキサジエン、ベンゼン、トルエン、o−キシレン、m−キシレン、p−キシレン、エチルベンゼン、あるいはクメン等の炭化水素系溶媒を挙げることができる。これらは単独、あるいは2種以上の混合溶媒として用いることができる。
酸化物微粒子の分散液、あるいはゾル−ゲル法等によって得られた酸化物微粒子のペーストは、粒子の再凝集を防ぐため、塩酸、硝酸、酢酸等の酸、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル等の界面活性剤、アセチルアセトン、2−アミノエタノール、エチレンジアミン等のキレート化剤等を添加することができる。また、製膜性を向上させる目的で増粘剤を添加することも有効な手段である。この時加える増粘剤としては、ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール等の高分子、エチルセルロース等の増粘剤等が挙げられる。
酸化物微粒子は、塗布した後に粒子同士を電子的にコンタクトさせ、膜強度の向上や基板との密着性を向上させるために焼成、マイクロ波照射、電子線照射、あるいはレーザー光照射を行なうことが好ましい。これらの処理は単独で行なってもあるいは二種類以上組み合わせて行なってもよい。
焼成する場合、焼成温度の範囲に特に制限はないが、温度を上げ過ぎると基板の抵抗が高くなったり、溶融することもあるため、30〜700℃が好ましく、100〜600℃がより好ましい。また、焼成時間にも特に制限はないが、10分〜10時間が好ましい。また、四塩化チタンの水溶液や有機溶剤との混合溶液を用いた化学メッキや三塩化チタン水溶液を用いた電気化学的メッキ処理を行なってもよい。マイクロ波照射は、多孔質層4形成側から照射しても、基板1側から照射しても構わない。照射時間には特に制限がないが、1時間以内で行なうことが好ましい。
直径が数十nmの酸化物微粒子を焼結等によって積層した膜は、多孔質状態を形成する。
このナノ多孔構造は、非常に高い表面積を持ち、その表面積はラフネスファクターを用いて表わすことができる。このラフネスファクターは、基板に塗布した酸化物微粒子の面積に対する多孔質内部の実面積を表わす数値である。従って、ラフネスファクターは大きいほど好ましいが、多孔質層4の膜厚との関係もあり、本発明においては20以上が好ましい。
<ペロブスカイト化合物>
本発明におけるペロブスカイト化合物は有機化合物と無機化合物の複合物質であり、ハロゲン化金属からなる層と有機カチオン分子が並んだ層が交互に積層した層状ペロブスカイト型構造を示すことが好ましく、以下の一般式(1)にて表わされる。
XαYβMγ ・・・一般式(1)
上記一般式(1)において、Xはハロゲン原子、Yはアルキルアミン化合物、Mは鉛とアンチモンの混合物を表し、α:β:γの比率が3:1:1であり、β及びγは1より大きい整数を表わす。
具体的には、Xは塩素、臭素、ヨウ素などのハロゲン原子を挙げることができ、これらは単独または混合物として用いることができる。Yはメチルアミン、エチルアミン、n−ブチルアミン、ホルムアミジン等のアルキルアミン化合物を挙げることが(ハロゲン化鉛−メチルアンモニウムのペロブスカイト化合物の場合、ハロゲンがClのときは光吸収スペクトルのピークλmaxは約350nm、Brのときは約410nm、Iのときは約540nmと、順に長波長側にシフトし、利用できるスペクトル幅、換言すればバンド域、が違う)できる。
Mは鉛、インジウム、アンチモン、スズ、銅、ビスマス等の金属を示す。
図8Aに模式的に示されるように、有機無機ペロブスカイト化合物結晶は、概略、2つのピラミッドを、底面が共有されるように貼り合わせた形のハロゲン化鉛の8個が、アルキルアンモニウム部位を頂点とする立方体の殻中に埋め込まれた形のもの(但し6個のハロゲン原子のうち、3個は隣接結晶単位からもので、したがって残りの3個も隣接結晶単位に共有されている。ハロゲン原子についても同様)で、殻部分の立方体の6面と、内部の8面体の頂稜部との共有)であるが、ペロブスカイトの結晶単位における電荷輸送には方向性がある(前記の内部8面体の2つの錐状頂部方向に直交する結晶の(110)方向)が電荷輸送方向)が、図8Bにて模式的に示されるように、本発明において好ましく用いられる旨説明した前記積層状ペロブスカイトは、無機層と有機層が交互に積層した立体構造を有する。
また知られるように、光電変換型電池の性能(光エネルギーに対する出力ネルギーの割合(%)は、通常、開放電圧Voc(電池が生成できる最大電圧)のみでなく、短絡電流Jsc(電池が生成できる最大電流)、及び曲線因子FF(電池が生成できる最大出力)を加味した3つのパラメータの積で表されるとされるところ、実際にはキャリアの輸率も重要であり、本発明におけるような薄層を介して各電極ユニットを直列結線する場合には、短絡電流Jscや曲線因子FFも非常に重要である。本発明においては、特定P型有機半造体と組合せ用いる相手が、特にプロブスカイト型結晶構造材料であることにより、短絡電流Jscや曲線因子FFが大幅に改善されることがその構造的性質から理解される。
また、図9に示されるように、P型半造体のD(HOMO)準位とD(LOMO)準位、n型半造体のA(HOMO)準位とA(LOMO)準位、の4つのうち、電池の効率は、P型半造体のD(HOMO)準位とn型半造体のA(LOMO)準位の幅で左右されると云われているところ、
本発明における組合せでは、特定P型有機半造体のHOMO準位が高く、かつ、プロブスカイト型結晶構造材料のLUMO準位が低い(知られるように、A(φ)に比しC(φ)が大きいのがプロブスカイト型結晶構造材料の特徴)だけでなく(P型半造体のD(HOMO)準位とn型半造体のA(LOMO)準位の幅を採り易いだけでなく)、当該p型半導体層はバンドギャップ幅が広く仕事関数が高いため、ホールは通過させるが電子を良好にブロックし、一方、プロブスカイト型結晶構造材料は、その構造から理解されるように、バンドギャップ幅が広く仕事関数が低いため、電子は通過させるがホールを良好にブロックする(n型半導体であると同時に、無機層と有機層が交互に積層した立体構造を有するcharge transfer complexで、内部の正負両チャージをそれぞれ逆方向に移動可能)。すなわち、本発明においては、スイスローザンヌ工科大学のGraetzelらが発表(非特許文献3参照)したような、単なる色素増感されたものの使用とは、基本的に相違し、両キャリアの易動性にも優れるため、図2に示すような好結果しを齎すものと思われる。すなわち、本発明における光電変換素子は、スイスローザンヌ工科大学のGraetzelらが発表(非特許文献1、2参照)したような、単なる色素増感されたものの使用とは、基本的に相違し、両キャリアの易動性にも優れるため、供述の実施例に示すような好結果しを齎すものと思われる。
本発明におけるペロブスカイト化合物は、ハロゲン化金属とハロゲン化アルキルアミンを溶媒に溶解あるいは分散した溶液を多孔質層4上に塗布、乾燥することで形成する一段階析出法、あるいはハロゲン化金属を溶解あるいは分散した溶媒を多孔質層4上に塗布、乾燥した後、ハロゲン化アルキルアミンを溶媒に溶解した溶液中に浸してペロブスカイト化合物を形成する二段階析出法の何れを用いても構わないが、特に二段階析出法が好ましい。
電子輸送層上に塗布する方法としては、浸漬法、スピンコート法、スプレー法、ディップ法、ローラ法、エアーナイフ法等を用いることができる。また、二酸化炭素などを用いた超臨界流体中で電子輸送層上に析出させても構わない。
二段階析出法の場合、ハロゲン化金属を電子輸送層上に形成したものと、ハロゲン化アルキルアミンの溶液を接触する方法としては、浸漬法、スピンコート法、スプレー法、ディップ法、ローラ法、エアーナイフ法等を用いることができる。また、二酸化炭素などを用いた超臨界流体中でハロゲン化アルキルアミンと接触することによって析出させても構わない。
また、多孔質層4上に、ペロブスカイト化合物と増感色素を混合、あるいはペロブスカイト層を形成した後で、増感色素を吸着させても構わない。増感色素は使用される励起光により光励起される化合物であれば特に限定されないが、具体的には以下の化合物が挙げられる。
特表平7−500630号公報、特開平10−233238号公報、特開2000−26487号公報、特開2000−323191号公報、特開2001−59062号公報等に記載の金属錯体化合物、特開平10−93118号公報、特開2002−164089号公報、特開2004−95450号公報、J.Phys.Chem.C,7224,Vol.111(2007)等に記載のクマリン化合物、同特開2004−95450号公報、Chem.Commun.,4887(2007)等に記載のポリエン化合物、特開2003−264010号公報、特開2004−63274号公報、特開2004−115636号公報、特開2004−200068号、特開2004−235052号公報、J.Am.Chem.Soc.,12218,Vol.126(2004)、Chem.Commun.,3036(2003)、Angew.Chem.Int.Ed.,1923,Vol.47(2008)等に記載のインドリン化合物、J.Am.Chem.Soc.,16701,Vol.128(2006)、J.Am.Chem.Soc.,14256,Vol.128(2006)等に記載のチオフェン化合物、特開平11−86916号公報、特開平11−214730号公報、特開2000−106224号公報、特開2001−76773号公報、特開2003−7359号公報等に記載のシアニン色素、特開平11−214731号公報、特開平11−238905号公報、特開2001−52766号公報、特開2001−76775号公報、特開2003−7360号等に記載メロシアニン色素、特開平10−92477号公報、特開平11−273754号公報、特開平11−273755号公報、特開2003−31273号等に記載の9−アリールキサンテン化合物、特開平10−93118号公報、特開2003−31273号等に記載のトリアリールメタン化合物、特開平9−199744号公報、特開平10−233238号公報、特開平11−204821号公報、特開平11−265738号、J.Phys.Chem.,2342,Vol.91(1987)、J.Phys.Chem.B,6272,Vol.97(1993)、Electroanal.Chem.,31,Vol.537(2002)、特開2006−032260号公報、J.Porphyrins Phthalocyanines,230,Vol.3(1999)、Angew.Chem.Int.Ed.,373,Vol.46(2007)、Langmuir,5436,Vol.24(2008)等に記載のフタロシアニン化合物、ポルフィリン化合物等を挙げることができる。
特にこの中で、金属錯体化合物、インドリン化合物、チオフェン化合物、ポルフィリン化合物を用いることが好ましい。
<ホール輸送層>
ホール輸送層6は、固体のホール輸送性化合物を用いる。
固体のホール輸送化合物は、無機化合物、有機化合物の何れであっても構わない。無機化合物を用いる無機のホール輸送層は、例えば、ヨウ化銅、チオシアン化銅等をキャスト法、塗布法、スピンコート法、浸漬法、電解メッキ等の手法により電極内部に形成される。
有機化合物の場合、単一材料からなる単層構造でも複数の化合物からなる積層構造でも良い。積層構造の場合は、第二電極7に接するホール輸送層には、高分子材料を用いることが好ましい。製膜性に優れる高分子材料を用いることにより、ペロブスカイト層5の表面をより平滑化することができ、光電変換特性を向上することができるためである。
単一で用いられる単層構造において用いられるホール輸送材料としては、公知のホール輸送性化合物が用いられ、その具体例としては特公昭34−5466号公報等に示されているオキサジアゾール化合物、特公昭45−555号公報等に示されているトリフェニルメタン化合物、特公昭52−4188号公報等に示されているピラゾリン化合物、特公昭55−42380号公報等に示されているヒドラゾン化合物、特開昭56−123544号公報等に示されているオキサジアゾール化合物、特開昭54−58445号公報に示されているテトラアリールベンジジン化合物又は特開昭58−65440号公報若しくは特開昭60−98437号公報に示されているスチルベン化合物等を挙げることができる。
積層構造において用いられる第二電極7に接するホール輸送層6に用いられる高分子材料としては、公知のホール輸送性の高分子材料が用いられ、その具体例としては、ポリ(3−n−ヘキシルチオフェン)、ポリ(3−n−オクチルオキシチオフェン)、ポリ(9,9’−ジオクチル−フルオレン−コ−ビチオフェン)、ポリ(3,3’’’−ジドデシル−クォーターチオフェン)、ポリ(3,6−ジオクチルチエノ[3,2−b]チオフェン)、ポリ(2,5−ビス(3−デシルチオフェン−2−イル)チエノ[3,2−b]チオフェン)、ポリ(3,4−ジデシルチオフェン−コ−チエノ[3,2−b]チオフェン)、ポリ(3,6−ジオクチルチエノ[3,2−b]チオフェン−コ−チエノ[3,2−b]チオフェン)、ポリ(3,6−ジオクチルチエノ[3,2−b]チオフェン−コ−チオフェン)若しくはポリ(3,6−ジオクチルチエノ[3,2−b]チオフェン−コ−ビチオフェン)等のポリチオフェン化合物、ポリ[2−メトキシ−5−(2−エチルヘキシルオキシ)−1,4−フェニレンビニレン]、ポリ[2−メトキシ−5−(3,7−ジメチルオクチルオキシ)−1,4−フェニレンビニレン]若しくはポリ[(2−メトキシ−5−(2−エチルフェキシルオキシ)−1,4−フェニレンビニレン)−コ−(4,4’−ビフェニレン−ビニレン)]等のポリフェニレンビニレン化合物、ポリ(9,9’−ジドデシルフルオレニル−2,7−ジイル)、ポリ[(9,9−ジオクチル−2,7−ジビニレンフルオレン)−alt−コ−(9,10−アントラセン)]、ポリ[(9,9−ジオクチル−2,7−ジビニレンフルオレン)−alt−コ−(4,4’−ビフェニレン)]、ポリ[(9,9−ジオクチル−2,7−ジビニレンフルオレン)−alt−コ−(2−メトキシ−5−(2−エチルヘキシルオキシ)−1,4−フェニレン)]若しくはポリ[(9,9−ジオクチル−2,7−ジイル)−コ−(1,4−(2,5−ジヘキシルオキシ)ベンゼン)]等のポリフルオレン化合物、ポリ[2,5−ジオクチルオキシ−1,4−フェニレン]、ポリ[2,5−ジ(2−エチルヘキシルオキシ−1,4−フェニレン]等のポリフェニレン化合物、ポリ[(9,9−ジオクチルフルオレニル−2,7−ジイル)−alt−コ−(N,N’−ジフェニル)−N,N’−ジ(p−ヘキシルフェニル)−1,4−ジアミノベンゼン]、ポリ[(9,9−ジオクチルフルオレニル−2,7−ジイル)−alt−コ−(N,N’−ビス(4−オクチルオキシフェニル)ベンジジン−N,N’−(1,4−ジフェニレン)]、ポリ[(N,N’−ビス(4−オクチルオキシフェニル)ベンジジン−N,N’−(1,4−ジフェニレン)]、ポリ[(N,N’−ビス(4−(2−エチルヘキシルオキシ)フェニル)ベンジジン−N,N’−(1,4−ジフェニレン)]、ポリ[フェニルイミノ−1,4−フェニレンビニレン−2,5−ジオクチルオキシ−1,4−フェニレンビニレン−1,4−フェニレン]、ポリ[p−トリルイミノ−1,4−フェニレンビニレン−2,5−ジ(2−エチルヘキシルオキシ)−1,4−フェニレンビニレン−1,4−フェニレン]若しくはポリ[4−(2−エチルヘキシルオキシ)フェニルイミノ−1,4−ビフェニレン]等のポリアリールアミン化合物又はポリ[(9,9−ジオクチルフルオレニル−2,7−ジイル)−alt−コ−(1,4−ベンゾ(2,1’,3)チアジアゾール]若しくはポリ(3,4−ジデシルチオフェン−コ−(1,4−ベンゾ(2,1’,3)チアジアゾール)等のポリチアジアゾール化合物を挙げることができる。この中で、キャリア移動度やイオン化ポテンシャルを考慮すると、ポリチオフェン化合物、ポリアリールアミン化合物、及び特開2007−115665号公報、特開2014−72327号公報、特願2000−067544号明細書、JP,WO2004/063283号公報、WO2011/030450号公報、WO2011/45321号公報、WO2013/042699号公報、WO2013/121835号公報に記載されるようなスピロビフルオレン化合物が好ましく、スピロビフルオレン化合物が特に好ましい。
添加剤としては、例えば、ヨウ素、ヨウ化リチウム、ヨウ化ナトリウム、ヨウ化カリウム、ヨウ化セシウム、ヨウ化カルシウム、ヨウ化銅、ヨウ化鉄若しくはヨウ化銀等の金属ヨウ化物、ヨウ化テトラアルキルアンモニウム若しくはヨウ化ピリジニウム等の4級アンモニウム塩、臭化リチウム、臭化ナトリウム、臭化カリウム、臭化セシウム若しくは臭化カルシウム等の金属臭化物、臭化テトラアルキルアンモニウム若しくは臭化ピリジニウム等の4級アンモニウム化合物の臭素塩、塩化銅若しくは塩化銀等の金属塩化物、酢酸銅、酢酸銀若しくは酢酸パラジウム等の酢酸金属塩、硫酸銅若しくは硫酸亜鉛等の金属硫酸塩、フェロシアン酸塩−フェリシアン酸塩若しくはフェロセン−フェリシニウムイオン等の金属錯体、ポリ硫化ナトリウム若しくはアルキルチオール−アルキルジスルフィド等のイオウ化合物、ビオロゲン色素、ヒドロキノン等、ヨウ化1,2−ジメチル−3−n−プロピルイミダゾイニウム塩、ヨウ化1−メチル−3−n−ヘキシルイミダゾリニウム塩、1,2−ジメチル−3−エチルイミダゾリウムトリフロオロメタンスルホン酸塩、1−メチル−3−ブチルイミダゾリウムノナフルオロブチルスルホン酸塩若しくは1−メチル−3−エチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメチル)スルホニルイミド等のInorg.Chem.35(1996)1168に記載のイオン液体、ピリジン、4−t−ブチルピリジン若しくはベンズイミダゾール等の塩基性化合物又はリチウムトリフルオロメタンスルホニルイミド若しくはリチウムジイソプロピルイミド等のリチウム化合物等を挙げることができる。
また、導電性を向上させる目的で、有機のホール輸送材料の一部をラジカルカチオンにするための酸化剤を添加しても良い。
酸化剤としては、例えば、ヘキサクロロアンチモン酸トリス(4−ブロモフェニル)アミニウム、ヘキサフルオロアンチモネート銀、ニトロソニウムテトラフルオボラート、硝酸銀、コバルト錯体等が挙げられる。なお、酸化剤の添加によって全ての有機のホール輸送材料が酸化される必要はなく、一部のみが酸化されていれば良い。また、添加した酸化剤は添加した後、系外に取り出しても、取り出さなくても良い。
無機及び有機のホール輸送層は、ペロブスカイト層5上に、直接形成される。有機のホール輸送層の作製方法は、特に限定されず、例えば、真空蒸着等の真空中で薄膜を形成する方法や湿式製膜法等が挙げられる。製造コスト等を考慮した場合、特に湿式製膜法が好ましく、ペロブスカイト層5上に塗布する方法が好ましい。
湿式製膜法を用いる場合、塗布方法は特に限定されず、公知の方法に従って行なうことができる。塗布方法は、例えば、ディップ法、スプレー法、ワイヤーバー法、スピンコート法、ローラーコート法、ブレードコート法、グラビアコート法等を用いることができる。また、凸版、オフセット、グラビア、凹版、ゴム版、スクリーン等を用いた印刷法を用いても良い。また、超臨界流体又は亜臨界流体中で製膜しても良い。
超臨界流体としては、気体と液体が共存できる限界(臨界点)を超えた温度・圧力領域において非凝集性高密度流体として存在し、圧縮しても凝集せず、臨界温度以上、かつ臨界圧力以上の状態にある流体であれば特に限定されない。超臨界流体は、当業者が目的に応じて適宜選択することができるが、臨界温度が低いものが好ましい。
超臨界流体は、例えば、一酸化炭素、二酸化炭素、アンモニア、窒素、水、メタノール、エタノール若しくはn−ブタノール等のエルコール系溶媒、エタン、プロパン、2,3−ジメチルブタン、ベンゼン若しくはトルエン等の炭化水素系溶媒、塩化メチレン若しくはクロロトリフロロメタン等のハロゲン系溶媒又はジメチルエーテル等のエーテル系溶媒が好適である。
これらの中でも、二酸化炭素は、臨界圧力が7.3MPa、臨界温度が31℃であることから、容易に超臨界状態をつくり出せるとともに、不燃性で取扱いが容易であるため、特に好ましい。また、これらの流体は、単独であっても二種以上の混合であっても良い。
亜臨界流体としては、臨界点近傍の温度及び圧力領域において、高圧液体として存在する限り特に限定はなく、当業者が目的に応じて適宜選択することができる。
なお、上述した超臨界流体として挙げられる化合物は、亜臨界流体としても好適に使用することができる。
また、超臨界流体の臨界温度及び臨界圧力は特に限定されず、当業者が目的に応じて適宜選択することができるが、臨界温度としては、−273℃以上300℃以下が好ましく、0℃以上200℃以下が特に好ましい。
さらに、上述の超臨界流体及び亜臨界流体に加え、有機溶媒やエントレーナーを併用することもできる。有機溶媒及びエントレーナーの添加により、超臨界流体中での溶解度の調整をより容易に行なうことができる。
このような有機溶媒としては、特に限定されず、例えば、アセトン、メチルエチルケトン若しくはメチルイソブチルケトン等のケトン系溶媒、ギ酸エチル、酢酸エチル若しくは酢酸n−ブチル等のエステル系溶媒、ジイソプロピルエーテル、ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、ジオキソラン若しくはジオキサン等のエーテル系溶媒、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド若しくはN−メチル−2−ピロリドン等のアミド系溶媒、ジクロロメタン、クロロホルム、ブロモホルム、ヨウ化メチル、ジクロロエタン、トリクロロエタン、トリクロロエチレン、クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン、フルオロベンゼン、ブロモベンゼン、ヨードベンゼン若しくは1−クロロナフタレン等のハロゲン化炭化水素系溶媒又はn−ペンタン、n−ヘキサン、n−オクタン、1,5−ヘキサジエン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、シクロヘキサジエン、ベンゼン、トルエン、o−キシレン、m−キシレン、p−キシレン、エチルベンゼン若しくはクメン等の炭化水素系溶媒等が挙げられる。
また、無機及び有機のホール輸送層6を設けた後、プレス処理を施しても良い。
プレス処理を施すことにより、無機及び有機のホール輸送層6がよりペロブスカイト層5と密着するため、光電変換特性が改善すると考えられる。
プレス処理方法は、特に限定されず、例えば、IR錠剤整形器に代表されるような平板を用いたプレス成型法、ローラ等を用いたロールプレス法等を挙げることができる。
プレス処理する圧力としては、10kgf/cm以上が好ましく、30kgf/cm以上がより好ましい。プレス処理する時間は、特に限定されず、1時間以内で行なうことが好ましい。また、プレス処理時に熱を加えても良い。
また、上述のプレス処理の際、プレス機と電極間に離型材を挟んでも良い。離型材としては、例えば、ポリ四フッ化エチレン、ポリクロロ三フッ化エチレン、四フッ化エチレン六フッ化プロピレン共重合体、ペルフルオロアルコキシフッ化樹脂、ポリフッ化ビニリデン、エチレン四フッ化エチレン共重合体、エチレンクロロ三フッ化エチレン共重合体、ポリフッ化ビニル等のフッ素樹脂を挙げることができる。
上記プレス処理工程を行った後、第二電極7を設ける前に、無機あるいは有機のホール輸送層6と第二電極7との間に金属酸化物を設けても良い。金属酸化物としては、例えば、酸化モリブデン、酸化タングステン、酸化バナジウム、酸化ニッケル等を挙げることができ、特に酸化モリブデンが好ましい。
金属酸化物をホール輸送材料上に設ける方法は、特に限定されず、スパッタリングや真空蒸着等の真空中で薄膜を形成する方法や湿式製膜法が挙げることができる。
湿式製膜法は、金属酸化物の粉末又はゾルを分散したペーストを調製し、ホール輸送層上に塗布する方法が好ましい。
湿式製膜法を用いた場合、塗布方法は特に限定されず、公知の方法に従って行なうことができる。塗布方法は、例えば、ディップ法、スプレー法、ワイヤーバー法、スピンコート法、ローラーコート法、ブレードコート法、グラビアコート法等を用いることができる。また、凸版、オフセット、グラビア、凹版、ゴム版、スクリーン等を用いた印刷法を用いても良い。
金属酸化物の膜厚は、特に限定されないが、0.1〜50nmが好ましく、1〜10nmがより好ましい。
<第二電極>
第二電極7としては、例えば、白金、金、銀、銅、アルミニウム、ロジウム若しくはインジウム等の金属、グラファイト、フラーレン若しくはカーボンナノチューブ等の炭素系化合物、ITO、フッ素ドープ酸化スズ(以下、FTOと称す)、アンチモンドープ酸化スズ(以下、ATOと称す)等の導電性金属酸化物又はポリチオフェン若しくはポリアニリン等の導電性高分子等が挙げられる。
第二電極7の膜厚は、特に限定されない。また、第二電極7は、上述の材料を単独又は2種以上を混合又は積層して用いても良い。
<太陽電池と二次電池の組み合わせ>
二次電池と組み合わせたペロブスカイト型太陽電池モジュールの構成について図2に基づいて説明する。
なお、図2はペロブスカイト型太陽電池と二次電池を組み合わせた構造の断面図の一例であり、ここで示す二次電池は半導体電池と称する。
図2に示す態様においては、基板1上に第一電極2が設けられ、緻密な電子輸送層3、多孔質層4、ペロブスカイト層5、ホール輸送層6、第二電極7が順にその上に設けられた構成をとっている。半導体電池は絶縁層8を介して積層され、半導体電池の第一電極9、半導体電池の電子輸送層10、半導体電池の充電層11、半導体電池のホール輸送層12、半導体電池の第二電極13が順次設けられた態様である。また、太陽電池の第二電極7と半導体電池の第一電極9が接続され、太陽電池の第一電極2と半導体電池の第二電極13が接続された態様である。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明の実施の形態はこれらの実施例に限定されるものではない。
[実施例1]
ジオマテック社ATO基板を図3のようにエッチング処理し、次いで、チタニウムテトラ−n−プロポキシド2ml、酢酸4ml、イオン交換水1ml、2−プロパノール40mlを混合した溶液を、ATO基板上にスピンコートし、室温で乾燥後、空気中450℃で30分間焼成し、電極上に約100nm厚の緻密な電子輸送層を形成した。
次に、Dyesol社製18NR−T(酸化チタンペースト)をエタノールで薄めたペーストを用いて、上記緻密な電子輸送層上にスピンコートで塗布し、120℃、3分で温風乾燥した後、空気中500℃で30分間焼成し、図4のような多孔質層を形成した。多孔質層の膜厚は308nmであった。
ヨウ化鉛(II)(0.461g)を溶解したN,N−ジメチルホルムアミド(1.0ml)溶液を、上記多孔質酸化チタン電極上にスプレー(タミヤ製スプレーワークHGコンプレッサーレボ)を用いて塗布し、100℃で10分乾燥した。この電極上にヨウ化メチルアミンを溶解したイソプロピルアルコール溶液(濃度0.038M)をスピンコートにて塗布、乾燥し、再びこの電極上にヨウ化メチルアミンを溶解したイソプロピルアルコール溶液(濃度0.038M)をスピンコートで塗布、乾燥を繰り返した。
最後に、イソプロピルアルコールをこの電極上にスピンコートにて塗布、乾燥して図5のようなペロブスカイト層を形成した。ペロブスカイト層の膜厚は多孔質電子輸送層も含めて509nmであった。
ペロブスカイト化合物を設けた半導体電極上に、2,2(7,7(−テトラキス−(N,N−ジ−p−メトキシフェニルアミン)9,9(−スピロビフルオレン)))(50mM)、リチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(30mM)、4−t−ブチルピリジン(200mM)、トリス(2−(1H−ピラゾール−1−イル)−4−tert−ブチルピリジン)コバルト(III)ヘキサフルオロフォスフェート(6mM)を溶解したクロロベンゼン溶液をスピンコートした。この上に金を100nm真空蒸着して、図6のような2つのセルが直列接続したペロブスカイト型太陽電池モジュールを作製した。
このペロブスカイト型太陽電池モジュールに、疑似太陽光(AM1.5、100mW/cm)を照射して直列接続による電圧の増加を測定した。その結果、A−B間による開放電圧は1.01V、B−C間による開放電圧は1.04V、対してA−C間の開放電圧は2.05Vであり、本発明による太陽電池は、電子輸送性部位とホール輸送性部位を分割しなくても開放電圧が2倍になっており、直列接続として働いていることがわかる。
[実施例2]
図1に示すセルを5つ直列接続したモジュールを作製した。
第一電極と第二電極の接続は、第一電極Aと第二電極Bを、第一電極Bと第二電極Cを、第一電極Cと第二電極Dを、第一電極Dと第二電極Eをそれぞれ接続した。
実施例1と同様にして擬似太陽光を照射したところ、開放電圧として5.08Vを得た。これは、単独のセルから得られる約1.0Vの開放電圧が5つ直列接続したことで、5倍の開放電圧が得られたことがわかる。
[実施例3]
実施例1におけるペロブスカイト層の形成を、以下に示す方法に変更した以外は、実施例1と同様にしてペロブスカイト型太陽電池を作製し、評価した。
ヨウ化鉛(II)(0.461g)、ヨウ化メチルアミン(0.159g)を溶解したN,N−ジメチルホルムアミド(1.0ml)溶液を、上記多孔質酸化チタン電極上にスピンコートを用いて塗布し、100℃で10分乾燥してペロブスカイト層を形成した。ペロブスカイト層の膜厚は514nmであった。
得た太陽電池の開放電圧は、A−B間による開放電圧が1.02V、B−C間による開放電圧は1.01V、対してA−C間の開放電圧は2.03Vであり、本発明による太陽電池は、電子輸送性部位とホール輸送性部位を分割しなくても開放電圧が2倍になっており、直列接続として働いていることがわかる。
[実施例4]
実施例1における多孔質層の形成を、以下に示す方法に変更した以外は、実施例1と同様にしてペロブスカイト型太陽電池を作製し、評価した。
アルミナ(シーアイ化成製ナノテック)3g、アセチルアセトン0.2g、界面活性剤(和光純薬社製ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル)0.3gをエタノール6.5gと共にビーズミル処理を12時間施した。得られた分散液にエチルセルロースを溶解した10wt%エタノール溶液1.5gを加えた。この分散液を、上記緻密な電子輸送層上に膜厚300nmになるようにスピンコートで塗布し、室温で乾燥後、空気中500℃で30分間焼成し、多孔質層を形成した。
得た太陽電池の開放電圧は、A−B間による開放電圧が0.99V、B−C間による開放電圧は1.03V、対してA−C間の開放電圧は2.02Vであり、本発明による太陽電池は、電子輸送性部位とホール輸送性部位を分割しなくても開放電圧が2倍になっており、直列接続として働いていることがわかる。
[実施例5]
実施例1におけるペロブスカイト層の形成を、以下に示す方法に変更した以外は、実施例1と同様にしてペロブスカイト型太陽電池を作製し、評価した。
ヨウ化鉛(II)(0.438g)とヨウ化アンチモン(III)(0.025g)、ヨウ化メチルアミン(0.159g)を溶解したN,N−ジメチルホルムアミド(1.0ml)溶液を、上記多孔質酸化チタン電極上にスピンコートを用いて塗布し、100℃で10分乾燥してペロブスカイト層を形成した。ペロブスカイト層の膜厚は510nmであった。
得た太陽電池の開放電圧は、A−B間による開放電圧が1.00V、B−C間による開放電圧は1.01V、対してA−C間の開放電圧は2.01Vであり、本発明による太陽電池は、電子輸送性部位とホール輸送性部位を分割しなくても開放電圧が2倍になっており、直列接続として働いていることがわかる。
[実施例6]
実施例1におけるペロブスカイト層の形成を、以下に示す方法に変更した以外は、実施例1と同様にしてペロブスカイト型太陽電池を作製し、評価した。
ヨウ化鉛(II)(0.438g)とヨウ化アンチモン(III)(0.025g)、ヨウ化ホルムアミジン(0.172g)を溶解したN,N−ジメチルホルムアミド(1.0ml)溶液を、上記多孔質酸化チタン電極上にスピンコートを用いて塗布し、100℃で10分乾燥してペロブスカイト層を形成した。ペロブスカイト層の膜厚は507nmであった。
得た太陽電池の開放電圧は、A−B間による開放電圧が1.02V、B−C間による開放電圧は1.07V、対してA−C間の開放電圧は2.09Vであり、本発明による太陽電池は、電子輸送性部位とホール輸送性部位を分割しなくても開放電圧が2倍になっており、直列接続として働いていることがわかる。
[実施例7]
ペロブスカイト型太陽電池で発電した電力を充電する半導体二次電池の作製条件を、以下に記述する。
ガラス基板上に、ITOをスパッタにて200nm形成した。その上に、2−エチルヘキサン酸スズ(0.24g)、シリコンオイル(TSF433、1.2g)を溶解したトルエン(1.28ml)をスピンコートにて塗布し、自然乾燥後、500℃で1時間焼成した。この膜に、254nmにて40mW/cmの強度の紫外線を5時間照射した。次に、酸化ニッケルを150nm,ITOを200nmスパッタにて形成して半導体二次電池を作製した。最後に、実施例2で作製した太陽電池の第二電極と上記で得た半導体電池の第一電極をワニ口クリップで接続し、太陽電池の第一電極と半導体電池の第二電極をワニ口クリップで接続した。この一体型モジュールの性能は以下のようにして評価した。
開回路とした条件で、擬似太陽光をペロブスカイト型太陽電池の第一電極側から照射した。この照射の間、電極の光起電力を測った結果、光電極が光照射によって対極に対して負の起電力を生じていることが確認された。すなわちこの光照射によって、光電極を構成する電極活物質が還元され、電池が充電された。光照射を継続し光電極の電圧が飽和したのを確認して、光照射を止め充電を終了した。
充電の終了した電池を暗中に置き、外部回路を閉じてポテンショスタットを用いて、出力電圧を測定したところ、1.7Vであった。また、光電極を負極、対極を正極として10μA/cmの定電流密度で放電を行ったところ、放電容量が0.533μAh/cmであった。
[比較例1]
実施例6において使用した太陽電池を、電極を分割していない単一なセル(開放電圧は1.01V)に変更して、実施例6と同様にして半導体二次電池に充電を行ったが、充電することができなかった。これは、半導体二次電池の出力電圧が1.7Vのため、単一セルの開放電圧1.01Vでは電圧が足りなくて充電することができないことを示している。
以上明らかなように、本発明の固体色素増感型太陽電池モジュールは、電極を分割するだけで直列接続の機能を発現するため、モジュールを容易に形成できることがわかる。また、本発明の固体色素増感太陽電池モジュールは半導体二次電池を組み合わせることで優れた充放電特性を示すことがわかる。
1 基板
2 第一電極
3 電子輸送層
4 多孔質層
5 ペロブスカイト層
6 ホール輸送層
7 第二電極
8 絶縁層
9 半導体電池の第一電極
10 半導体電池の電子輸送層
11 半導体電池の充電層
12 半導体電池のホール輸送層
13 半導体電池の第二電極
特許第2664194号公報 特開平11−144773号公報 特開2000−106223号公報 特開平8−306399号公報 特開2007−12377号公報 特開2004−303463号公報 特開平8−330616号公報 特開2014−143333号公報
Nature,353(1991)737 J.Am.Chem.Soc.,115(1993)6382 Semicond.Sci.Technol.,10(1995)1689 Electrochemistry,70(2002)432 Synthetic Metals,89(1997)215 Nature,398(1998)583 Chem.Lett.,(1997)471 J.Am.Chem.Soc.,131(2009)6050 Science,338(2012)643 Phys. Chem. Chem. Phys., 16 (2014) 3918

Claims (8)

  1. 透明導電膜基板上に、電子輸送層を設けた第一電極、前記電子輸送層上に設けられた多孔質層、前記多孔質層上に設けられたペロブスカイト化合物層、前記ペロブスカイト化合物層上に設けられたホール輸送層、前記ホール輸送層上に第二電極を具備したペロブスカイト型太陽電池において、前記第一電極と第二電極がそれぞれ分割された複数の電極と、前記電子輸送層、多孔質層、ペロブスカイト化合物層、およびホール輸送層が分割されていないことを特徴とするペロブスカイト型太陽電池モジュール。
  2. 前記ペロブスカイト化合物層が、下記一般式(1)にて表される組成であることを特徴とする請求項1記載のペロブスカイト型太陽電池モジュール。
    XαYβMγ ・・・一般式(1)
    (式中、Xはハロゲン原子、Yはアルキルアミン化合物、Mは金属を含み、α:β:γの比率が3:1:1であり、β及びγは1より大きい整数を表す。)
  3. 前記一般式(1)におけるMが、少なくとも鉛を含有することを特徴とする請求項2に記載のペロブスカイト型太陽電池モジュール。
  4. 前記一般式(1)におけるMが鉛と、インジウム、アンチモン、スズのいずれか1種類とを含有することを特徴とする請求項2乃至3のいずれかに記載のペロブスカイト型太陽電池モジュール。
  5. 前記一般式(1)におけるYのハロゲン化アルキルアミンが、ハロゲン化メチルアミン、ハロゲン化ホルムアミジンの何れかであることを特徴とする請求項2乃至4のいずれかに記載のペロブスカイト型太陽電池モジュール。
  6. 前記多孔質層が、金属酸化物を含むことを特徴とする請求項2乃至5のいずれかに記載のペロブスカイト型太陽電池モジュール。
  7. 前記ホール輸送層が、酸化剤を含有することを特徴とする請求項2乃至6いずれかに記載のペロブスカイト型太陽電池モジュール。
  8. 前記酸化剤が、Co錯体化合物であることを特徴とする請求項2乃至7のいずれかに記載のペロブスカイト型太陽電池モジュール。
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