JP2016141603A - スメクタイトスラリー及び粘土膜 - Google Patents

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Abstract

【課題】
2価又は3価の陽イオン型スメクタイトを水系溶媒中に安定的に分散してなり、且つ、粘土膜の形成に好適な性状のスラリーを提供する。
【解決手段】
2価又は3価の陽イオン型スメクタイトと、水と、アセトニトリルとを含有するスメクタイトスラリー。
【選択図】なし

Description

本発明は、2価又は3価の陽イオン型スメクタイトを安定的に分散してなるスラリー、及び当該スラリーを用いた粘土膜に関する。
古くから粘土は増粘剤、粘結剤、レオロジー改質剤、無機バインダー、土木泥水、止水材、化粧品原料等、様々な分野で利用されている。
工業用粘土の一種としてスメクタイト鉱物が知られており、中でもモンモリロナイトが広く用いられている。モンモリロナイトの一般的な結晶構造は、ケイ酸のネットワークが広がるケイ酸四面体シートがアルミナ八面体シートを挟んで存在する、2:1層構造の単位結晶層からなる。多くの場合、この結晶層中においてアルミナ八面体シートの中心原子であるアルミニウムの一部がマグネシウムに置換され、これにより結晶層は負に帯電し、この負電荷を中和する形で層間には陽イオンが取り込まれている。この陽イオンはイオン交換性であるため、モンモリロナイトは陽イオン交換性を示す。
天然で産出されるモンモリロナイト等のスメクタイトは、結晶層間に取り込まれた交換性陽イオンとして、Na、Ca2+、Mg2+などを有する。スメクタイトはその水分散性により2種類に大別される。1つは、水と混合した際に高い水膨潤性を示し、水中に安定的に微分散し、粘性を有するスラリーを与えるスメクタイトである。この性質を示すスメクタイトは、交換性陽イオンとして主にNaやLi等の1価の陽イオンを有する(1価の陽イオン型スメクタイトともいう)。
もう一つは、水膨潤性が低く、スラリー化しても低粘性であり、時間経過に伴い沈殿物を生じるスメクタイト(いわゆる難分散性スメクタイト)である。この性質を示すスメクタイトは、交換性陽イオンとして主に2価以上の多価陽イオンを有する(多価陽イオン型スメクタイトともいう)。多価陽イオン型スメクタイトは、多価陽イオンが単位結晶層間に多く存在するため単位結晶層同士が強く引き付けられており、水を添加しても結晶層間の剥離が生じにくい。また、部分的ないし一時的に結晶層間を剥離することができても、経時的に結晶層が凝集し、水中に安定的に微分散させることが困難である。
多価陽イオン型スメクタイトは、水に対して難分散性である分、水による形状の変化が少なく耐水性はより高いとされる。そのため耐水フィルムや水蒸気バリア等の粘土膜形成に本来的には適している。しかし、難分散性であるが故に成膜性に劣り、実用化には課題がある。これまで粘土膜の原料としては、水中に安定的に微分散しうるNa型ないしLi型の1価の陽イオン型スメクタイトを用いることが報告されている(例えば特許文献1〜4)。
また、多価陽イオン型スメクタイトは機能性粘土としても知られている。例えば銅イオン型、亜鉛イオン型、ニッケルイオン型スメクタイト等は抗菌性ないし消臭性を有することが知られている(例えば特許文献5)。また、アルミニウムイオン型、ニッケルイオン型、亜鉛イオン型、鉄イオン型スメクタイト等は触媒能を有することが知られている(例えば非特許文献1)。このように多価陽イオン型スメクタイトは、潜在的に工業的応用範囲の広い粘土である。
スメクタイトの分級などを目的として、難分散性スメクタイトを分散剤の存在下、水中に分散させることが報告されている。例えば非特許文献2には、ケイ酸ナトリウム、ピロリン酸ナトリウム、ヘキサメタリン酸ナトリウム、ポリアクリル酸ナトリウムなどの分散剤により単位結晶層間の結合をほぐし、難分散性スメクタイトを水中に分散させることが記載されている。また、水酸化ナトリウムなどのナトリウム源を添加し、難分散性スメクタイトの分散性を高めることも報告されている。
しかし、これらの方法で調製した難分散性スメクタイトの分散液を用いて粘土膜を形成した場合、粘土膜を構成するスメクタイトに分散剤由来の陰イオンが吸着したり、スメクタイトが元来有してした交換性陽イオンと分散剤由来の陽イオンとの間でイオン交換が生じたりして、スメクタイトの性質が変化してしまう。
特許第3855004号公報 特許第4162049号公報 特開2009−107907号公報 国際公開第2011/152500 特許公開2005−176673号公報
「粘土ハンドブック」、第三版、日本粘土学会編、2009年5月、p.579 「粘土ハンドブック」、第三版、日本粘土学会編、2009年5月、p.264
上述したように、多価陽イオン型スメクタイトを水中に安定的に分散させ、成膜に適した性状のスラリーを得るのは困難であった。
本発明は、2価又は3価の陽イオン型スメクタイトを水系溶媒中に安定的に分散してなり、且つ、粘土膜の形成に好適な性状のスラリーを提供することを課題とする。
本発明者らは上記課題に鑑み鋭意検討を重ねた。その結果、2価又は3価の陽イオン型スメクタイトが、アセトニトリルの存在下、水中に良好に分散し、膜形成に適した粘性を示すスラリーが得られること見い出した。本発明はこれらの知見に基づきさらに検討を重ね、完成させるに至ったものである。
本発明の上記課題は下記の手段により解決された。
〔1〕
2価又は3価の陽イオン型スメクタイトと、水と、アセトニトリルとを含有するスメクタイトスラリー。
〔2〕
前記水及び前記アセトニトリルの総量中に占める前記アセトニトリルの割合が5〜60質量%である、〔1〕に記載のスメクタイトスラリー。
〔3〕
アンモニアを含有し、該アンモニアの含有量が、前記スメクタイト1g当たり0.2mmol以上である、〔1〕又は〔2〕に記載のスメクタイトスラリー。
〔4〕
前記陽イオン型スメクタイトが2価の陽イオン型スメクタイトである、〔1〕〜〔3〕のいずれか1項に記載のスメクタイトスラリー。
〔5〕
前記2価の陽イオン型スメクタイトがCa型、Mg型、Zn型及びCu型から選ばれる陽イオン型スメクタイトである、〔4〕に記載のスメクタイトスラリー。
〔6〕
前記陽イオン型スメクタイトが3価の陽イオン型スメクタイトである、〔1〕〜〔3〕のいずれか1項に記載のスメクタイトスラリー。
〔7〕
前記3価の陽イオン型スメクタイトがAl型及びFe型から選ばれる陽イオン型スメクタイトである、〔6〕に記載のスメクタイトスラリー。
〔8〕
前記陽イオン型スメクタイトの含有量が1〜30質量%である、〔1〕〜〔7〕のいずれか1項に記載のスメクタイトスラリー。
〔9〕
前記スメクタイトがモンモリロナイトである、〔1〕〜〔8〕のいずれか1項に記載のスメクタイトスラリー。
〔10〕
〔1〕〜〔9〕のいずれか1項に記載のスメクタイトスラリーを用いて形成した粘土膜。
本明細書において、2価の陽イオン型スメクタイトとは、スメクタイトの浸出陽イオン量(すなわち浸出陽イオンの総量、単位:meq/100g、以下同様)に占める2価の陽イオンの量(単位:meq/100g)が70%以上であるスメクタイトを意味する。
同様に、3価の陽イオン型スメクタイトとは、スメクタイトの浸出陽イオン量に占める3価の陽イオンの量(単位:meq/100g)が70%以上であるスメクタイトを意味する。
また同様に、Ca型スメクタイト、Mg型スメクタイト、Ba型スメクタイト、Cu型スメクタイト、Zn型スメクタイト、Sn型スメクタイト、Pb型スメクタイト、Co型スメクタイト、Mn型スメクタイト、Al型スメクタイト、Fe型スメクタイト、及びCr型スメクタイトとは、それぞれ、スメクタイトの浸出陽イオン量に占めるCa2+、Mg2+、Ba2+、Cu2+、Zn2+、Sn2+、Pb2+、Co2+、Mn2+、Al3+、Fe3+、及びCr3+の量(単位:meq/100g)が70%以上であるスメクタイトを意味する。
本明細書において、スメクタイトの浸出陽イオン量は、スメクタイトの層間陽イオンをスメクタイト0.5gに対して100mLの1M酢酸アンモニウム水溶液(Al型スメクタイトについては1M硫酸)を用いて4時間かけて浸出させ、得られた溶液中の各種陽イオンの濃度を、ICP発光分析や原子吸光分析等により測定し、算出される。
本発明のスメクタイトスラリーは、2価又は3価の陽イオン型スメクタイトが安定的に分散してなり、粘土膜を形成するのに好適な性状を有する。
[本発明のスメクタイトスラリー]
本発明のスメクタイトスラリー(以下、単に「本発明のスラリー」という)は、2価、又は3価の陽イオン型スメクタイトと、水と、アセトニトリルとを少なくとも含有する。本発明のスラリーを構成する各成分について順に説明する。
<2価又は3価の陽イオン型スメクタイト>
本発明に用いるスメクタイトは2価又は3価の陽イオン型スメクタイトである(すなわち、2価の陽イオン型スメクタイト及び3価の陽イオンスメクタイトから選ばれる1種又は2種以上のスメクタイトである)。当該スメクタイトとして、例えば粉末又は脱水ケーキの形態のものを、本発明のスラリーの原料として用いることができる。
本発明のスラリーに用いうる2価の陽イオン型スメクタイトに特に制限はなく、例えば、Ca型、Mg型、Ba型、Cu型、Zn型、Sn型、Pb型、Co型、及びMn型から選ばれる少なくとも1種の陽イオン型スメクタイトを挙げることができる。なかでも入手が容易である点や、機能性、安全性の観点から、Ca型、Mg型、Ba型、Cu型、及びZn型から選ばれる少なくとも1種の陽イオン型スメクタイトを用いることが好ましく、Ca型、Mg型、Cu型、及びZn型から選ばれる少なくとも1種の陽イオン型スメクタイトを用いることがより好ましい。
本発明に用いうる3価の陽イオン型スメクタイトも特に制限はなく、例えば、Al型、Fe型、及びCr型から選ばれる陽イオン型スメクタイトを挙げることができる。なかでも入手が容易である点や、機能性、安全性の観点から、Al型及びFe型から選ばれる陽イオン型スメクタイトを用いることが好ましく、Al型スメクタイトを用いることがより好ましい。
本発明に用いうる2価又は3価の陽イオン型スメクタイトの製造方法に特に制限はなく、例えば、天然のナトリウム型スメクタイトの水性分散液に、目的の2価又は3価の陽イオンの塩溶液を添加し、陽イオン交換させることにより得ることができる。分散液中に添加する塩の量を調節することにより、得られるスメクタイトの浸出陽イオン量に占める、目的の2価又は3価の陽イオンの割合を適宜に調節することができる。
また、本発明に用いうる2価又は3価の陽イオン型スメクタイトは、陽イオン交換樹脂を用いたカラム法やバッチ法によっても得ることができる。
本発明に用いる粘土はスメクタイトであり、モンモリロナイト、バイデライト、ノントロナイト、サポナイト、ヘクトライト、ソーコナイト、及びスチーブンサイトから選ばれる粘土を用いることができる。なかでも比較的高アスペクト比であり、入手も容易なモンモリロナイトを用いることが好ましい。
本発明のスラリー中のスメクタイトの含有量に特に制限はなく、目的に応じて適宜に調節することができる。スラリーとしての流動性を確保し、混練、及び撹拌工程が実際的に可能なものとする観点から、本発明のスラリー中のスメクタイトの含有量は、1〜30質量%であることが好ましく、2〜15質量%であることがより好ましく、5〜10質量%であることがさらに好ましい。
<水>
本発明のスラリーは分散媒として水を含有する。本発明に用いる水に特に制限はなく、水道水、蒸留水、イオン交換水、純水等を用いることができる。後述するようにアンモニア源としてアンモニア水を用いた場合には、アンモニア水中の水は、スラリー中の水を構成する。
本発明のスラリー中、後述するアセトニトリルと水の総含有量に占める水の割合は40〜95質量%であることが好ましく、より好ましくは50〜90質量%、さらに好ましくは60〜85質量%、さらに好ましくは65〜85質量、さらに好ましくは70〜82質量%である。スラリー中の水の含有量を上記好ましい範囲内とすることで、スメクタイトの水分散性をより向上させることができる。
<アセトニトリル>
本発明のスラリーは、アセトニトリルを含有する。アセトニトリルは、2価又は3価の陽イオン型スメクタイトを水に分散させる際の分散剤として機能する。
本発明に用いうる2価又は3価の陽イオン型スメクタイトは、1価の陽イオン型スメクタイト(Na型スメクタイト、Li型スメクタイト等)に比べて水膨潤性に劣る。したがってこれまで、2価又は3価の陽イオン型スメクタイトが水中に安定的に微分散したスラリーを得るのは困難であった。これは、2価又は3価の陽イオンが、スメクタイトの単位結晶層面に強固に吸着して単位結晶層同士をつなぎとめる働きをし、単位結晶層間にわずかな水分子しか侵入できないためである(すなわち無限膨潤しないためである)。また、ボールミルや湿式粉砕などの機械的処理等により、2価又は3価の陽イオン型スメクタイトの水分散液を一時的に作りだすことはできるが、時間経過と共に結晶同士が凝集して沈殿物を生じ、均質な分散状態を安定的に維持することは困難であった。
アセトニトリルが2価又は3価の陽イオン型スメクタイトの水分散性を高める理由は定かではないが、アセトニトリルが非共有電子対を有し、2価又は3価の陽イオンに配位しやすい特性を有することにより、モンモリロナイト結晶層内に侵入して結晶層間を広げ、この結晶層間の広がりに連鎖して結晶層間に水が浸入し、2価又は3価の陽イオン型スメクタイトに無限膨潤性を付与するためと推定される。無限膨潤性を獲得したスメクタイトは水中に安定的に微分散することができ、粘土膜の形成に適した粘性を有するスラリーを得ることができる。
また、アセトニトリルは揮発性が比較的高く、スラリーを用いた粘土膜の形成において、熱による乾燥工程で揮発する。したがって粘土膜中に残存しにくい利点もある。
本発明のスラリー中、アセトニトリルの含有量に特に制限はないが、分散安定性をより高め、且つ粘土膜の形成に適した粘度のスラリーを得る観点から、本発明のスラリー中の水とアセトニトリルの総量中、アセトニトリルの割合は5〜60質量%であることが好ましく、10〜50質量%であることがより好ましく、15〜40質量%であることがさらに好ましく、15〜35質量%であることがさらに好ましく、18〜30質量%であることがさらに好ましい。スラリー中のアセトニトリルの含有量を上記好ましい範囲内とすることで、スメクタイトの水分散性をより向上させることができる。
<アンモニア>
本発明のスラリーはアンモニアを含有してもよい。アンモニアを含有することにより、2価又は3価の陽イオン型スメクタイトの分散性がより向上しうる。アンモニアもアセトニトリルと同様に非共有電子対を有し、2価又は3価の陽イオンに配位しやすいために、スメクタイトの結晶層間を広げ、2価又は3価の陽イオン型スメクタイトに無限膨潤性を付与しうる。
また、アンモニアは揮発性が高く、スラリーを用いた粘土膜の形成において、熱による乾燥工程で揮発する。したがって、アセトニトリルと同様に粘土膜中に残存しにくい利点もある。
本発明のスラリーがアンモニアを含有する場合、スラリー中のアンモニアの含有量に特に制限はないが、スメクタイトの分散安定性をより高め、且つ、粘土膜の形成に適した粘度のスラリーを得る観点から、スラリー中のスメクタイト1g当たり、0.2mmol以上が好ましく、より好ましくは0.5mmol以上、さらに好ましくは1mmol以上である。
また、分散安定性に加え、アンモニア臭気の発生、製造コストを考慮すると、本発明のスラリー中のアンモニアの含有量は、本発明のスラリー中のスメクタイト1g当たり、0.2〜50mmolであることが好ましく、より好ましくは1〜20mmol、さらに好ましくは3〜10mmolであり、さらに好ましくは3〜8mmolであり、さらに好ましくは4〜7mnolである。スラリー中のアンモニアの量はインドフェノール法、ケルダール法、ガスクロマトグラフィー、イオンクロマトグラフィー等により測定することができる。
なお、アンモニア源としては、アンモニア水、気体アンモニア、液体アンモニアのいずれを使用してもよいが、常温、大気圧下でスラリーを製造する場合には、アンモニア水を用いるのが好ましい。
本発明のスラリーは、成膜性の観点から、その粘度が5.0mPa・s以上であることが好ましく、20.0mPa・s以上であることがより好ましく、40.0mPa・s以上であることがさらに好ましく、60.0mPa・s以上であることがさらに好ましい。また、本発明のスラリーの粘度の上限は、成膜可能な粘度であれば特に制限はなく、通常は10000mPa・s以下であり、5000mPa・s以下であることが好ましい。この粘度は、B型粘度計(TV−10M型粘度計、東機産業社製)を用いて、25℃の温度下で測定した粘度であり、回転数を60rpm、測定時間を60秒として測定される。
本発明のスラリーは、粘土濃度が所望するよりも高濃度であれば、目的の濃度に希釈して用いることができる。
<その他の成分>
本発明のスラリーは、本発明の効果を実質的に損なわない範囲で、さらにシランカップリング剤、架橋剤、有機高分子、非膨潤性ケイ酸塩化合物、シリカ、界面活性剤、無機ナノ粒子等を含んでいてもよい。
<本発明のスラリーの製造>
続いて本発明のスラリーの製造について説明する。本発明のスラリーは、上述した各成分を所望量混合し、均質化することにより得ることができる。
各原料の混合方法は特に制限されるものではなく、各原料を同時にあるいは任意の順序で混合することができる。また、混合に際しては、一般的な羽根つき撹拌機、ホモミキサー、万能混合機、自転公転ミキサー、アイリッヒミキサーなどを用いることが出来る。なかでも、撹拌せん断力が強く、短時間での微分散スラリーを製造できる点において、ホモミキサーが好ましい。また、モンモリロナイト濃度が20質量%を超えるような高濃度スラリーを製造する場合、効率的に混合できる自転公転ミキサーを好適に用いることができる。各原料を混合してスラリーを調製する際の温度に特に制限はない。通常は4〜80℃の温度下で行われる。
[本発明の粘土膜]
本発明のスラリーを基板上に塗布し、所望のレベルまで乾燥させることで、耐水性に優れた粘土膜を形成することができる。
上記基板に特に制限はなく、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリエチレン等の樹脂製基板、ガラス基板、ステンレス基板等を挙げることができる。
基板上に塗布したスラリーの乾燥方法は特に制限はなく、強制送風式オーブン、あるいは連続式乾燥機中で、60〜130℃の温度条件下、好ましくは70〜105℃の温度条件下で、15分から3時間程度、好ましくは30分〜2時間程度乾燥処理することが好ましい。
本発明の粘土膜の厚さは、スラリー中のスメクタイトの含有量を調整することで適宜に調整される。本発明の粘土膜の厚さは、通常は1〜100μmであり、2〜80μmが好ましく、4〜60μmがより好ましく、10〜60μmがさらに好ましく、20〜60μmがさらに好ましい。
本発明のスラリーを用いて調製した粘土膜は、例えば、包装フィルム、電子基盤、難燃フィルム、水蒸気バリアフィルム、絶縁フィルム、コートフィルム等として用いることができる。
以下、実施例に基づいて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
[調製例1] 各種陽イオン型スメクタイトの調製
原料とする2価の陽イオン型スメクタイト及び3価の陽イオン型スメクタイトを、天然Na型モンモリロナイト(商品名:クニピアF、クニミネ工業社製)のイオン交換処理によって得た。得られた各陽イオン型スメクタイトを浸出陽イオン分析に付し、交換性陽イオン組成を調べた。より詳細には、層間に存在する陽イオンの浸出を1M酢酸アンモニウム、あるいは1M硫酸(Al型モンモリロナイトのみ)を用いて4時間かけて行い、その浸出液を、4100MP−AES分光分析装置(AgilentTechnologies社製)により分析し、交換性陽イオン組成を調べた。結果を下記表1に示す。
Figure 2016141603
[調製例2] スラリーの調製
上記調製例1で調製した2価の陽イオン型スメクタイト及び3価の陽イオン型スメクタイトを用いて、下記表2に示す組成のスラリーを調製した。配合方法を以下に示す。
(1)水、アセトニトリル(特級、関東化学社製)、及びアンモニア水(28wt%、関東化学社製)を、50mLのスクリュー管瓶に量りとった。
(2)上記(1)にスメクタイトを投入後、スターラーで一晩撹拌した。
(3)得られたスラリー(分散液)を一晩静置して下記の各試験例に用いた。
下記表2中、溶媒組成比(%)は、アセトニトリルと水の合計を100質量%としたときの、アセトニトリル及び水の各質量%を示す。
Figure 2016141603
[試験例1] 分散安定性の評価
スラリーを目視観察し、下記評価基準により分散安定性を確認した。結果を下記表3に示す。
<分散安定性評価基準>
A:沈殿が生じておらず、均質な分散状態が安定的に維持されている。
B:分散状態ではあるが、沈殿も生じている。
C:沈殿の量がより多い。
[試験例2] スラリー中のスメクタイトの粒径の測定
スラリー中のスメクタイトの粒径を、湿式の粒度分布測定装置(LA−950V2、HORIBA社製)を用いて、メディアン径及びモード径を測定した。結果を下記表3に示す。
[試験例3] スラリーの粘度測定
B型粘度計(TV−10M型粘度計、東機産業社製)を用いて、スラリーのη60(25℃の条件で測定した60rpm、測定時間60秒における粘度)及びη6(25℃の条件で測定した6rpm、測定時間180秒における粘度)を測定した。結果を下記表3に示す。下記表3中、「>上限値」は測定上限値を超える粘度を有していたことを示す。
[試験例4] 粘土膜の形成と評価
ポリプロピレン製のトレイ(底面の面積:100×70mm)にスラリー10gを量りとり、105℃乾燥機を用いて105℃で120分間乾燥して粘土膜を形成した。粘土膜を目視観察し、下記評価基準により成膜性を評価した。結果を下記表3に示す。なお、得られた粘土膜の厚さは、下記成膜性がA評価のものはすべて40〜60μmの範囲内であった。
<成膜性の評価基準>
A:トレイの底面全体に膜が形成され、膜欠陥も認められない。
B:トレイ底面が露出しており、露出面積が底面全体の1/3未満である。
C:トレイ底面が露出しており、露出面積が底面全体の1/3以上である。
Figure 2016141603
表3の結果から、スラリーがアセトニトリルを含有しない場合、2価の陽イオン型スメクタイト及び3価の陽イオン型スメクタイトのいずれも安定的に微分散させることができず、成膜性にも劣る結果となった(組成1、2)。
これに対し、スラリーがアセトニトリルを含有する場合には、2価の陽イオン型スメクタイト及び3価の陽イオン型スメクタイトのいずれも安定的に微分散させることができ、成膜に適した性状(粘性)のスラリーが得られた(組成3〜7)。

Claims (10)

  1. 2価又は3価の陽イオン型スメクタイトと、水と、アセトニトリルとを含有するスメクタイトスラリー。
  2. 前記水及び前記アセトニトリルの総量中に占める前記アセトニトリルの割合が5〜60質量%である、請求項1に記載のスメクタイトスラリー。
  3. アンモニアを含有し、該アンモニアの含有量が、前記スメクタイト1g当たり0.2mmol以上である、請求項1又は2に記載のスメクタイトスラリー。
  4. 前記陽イオン型スメクタイトが2価の陽イオン型スメクタイトである、請求項1〜3のいずれか1項に記載のスメクタイトスラリー。
  5. 前記2価の陽イオン型スメクタイトがCa型、Mg型、Zn型及びCu型から選ばれる陽イオン型スメクタイトである、請求項4に記載のスメクタイトスラリー。
  6. 前記陽イオン型スメクタイトが3価の陽イオン型スメクタイトである、請求項1〜3のいずれか1項に記載のスメクタイトスラリー。
  7. 前記3価の陽イオン型スメクタイトがAl型及びFe型から選ばれる陽イオン型スメクタイトである、請求項6に記載のスメクタイトスラリー。
  8. 前記陽イオン型スメクタイトの含有量が1〜30質量%である、請求項1〜7のいずれか1項に記載のスメクタイトスラリー。
  9. 前記スメクタイトがモンモリロナイトである、請求項1〜8のいずれか1項に記載のスメクタイトスラリー。
  10. 請求項1〜9のいずれか1項に記載のスメクタイトスラリーを用いて形成した粘土膜。
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