JP2016140516A - 薬袋及びその結束体 - Google Patents
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Abstract
【課題】底部を含む全体の分厚さが軽減される薬袋及びその結束体を提供する。【解決手段】薬袋1は、薬剤を内部に収容可能なものであって、シート材2を折り畳んで貼り合わせて構成され、シート材2は、坪量40〜60g/m2の晒包装紙であるものであり、この薬袋1が、複数枚ごとに結束されて結束体が構成されている。これにより、従来の上質紙と同様の印刷のしやすさを確保した上で、薬袋が強度不足とならない範囲で、紙厚みを従来の上質紙(坪量64g/m2)よりも薄くすることができる。【選択図】図1
Description
本発明は、例えば薬局や病院等において使用する薬袋及びその結束体に関するものである。
一般の薬局や病院等で使用されている薬袋に、坪量64g/m2程度の上質紙を用いて形成されたものが知られており(例えば特許文献1参照)、それを角底紙袋状となしたものが市販されている。
そのような薬袋では、底部分のみが分厚くなる。これを積み重ねると、薬袋の底部分が反り返る「薬袋反り」が発生することがある。この薬袋反りにより、薬袋発行機において、薬袋が機械へ引き込まれない、又は引き込みタイミングのずれにより、正常に印刷ができない。薬袋と印刷ヘッドとが擦れることで、インク汚れが付着するなどの不具合が発生する。また、薬袋がかさばることで、薬袋発行機に収納できる薬袋の枚数が限られること、薬袋を輸送するための箱サイズが大きくなることなども問題である。また、薬袋反りは、薬袋が複数枚ごとに結束されて構成される結束体ではより顕著なものとなる。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、底部を含む全体の分厚さが軽減される薬袋及びその結束体を提供することを目的とする。
本発明は、薬剤を内部に収容可能な薬袋であって、シート材を折り畳んで貼り合わせて構成され、前記シート材は、坪量40〜60g/m2の晒包装紙であることを特徴とするものである。
本発明によれば、シート材を折り畳んで貼り合わせて構成され、前記シート材は、坪量40〜60g/m2の晒包装紙であるので、従来の上質紙と同様の印刷のしやすさを確保した上で、薬袋が強度不足とならない範囲で、紙厚みを従来の上質紙(坪量64g/m2)よりも薄くすることができる。
また、薬袋が強度不足とならない範囲であれば、紙厚みを薄くするほど、薬袋底部を含む全体の分厚さが軽減される。また、折り角部分の折れがより鋭角になり、より薬袋が平坦になることで、薬袋反りの発生が抑制される。薬袋反りの発生が抑制されると、薬袋発行機における引き込みトラブルや印刷不良の解決が見込まれる。
さらに、薬袋反りの他にも、薬袋発行機への薬袋収納枚数増加により、薬袋補充頻度が下がることで、ユーザー負担を軽減でき、輸送時の箱サイズ縮小、及び軽量化に伴う取り扱いの容易化も見込まれる。
請求項2記載の発明のように、角底部と、この角底部に連なる角筒胴部とを有することが好ましい。
請求項2記載の発明によれば、角底部と、この角底部に連なる角筒胴部とを有するので、薬剤を内部により多く収容できて便利である。このような角底部を有する薬袋では、薬袋反りが大きくなる傾向がある。本発明は、そのような場合に特に有効であり、前述のようにシート材として坪量40〜60g/m2の晒包装紙を用いることで、薬袋反りを効果的に抑制することができる。
請求項3記載の発明のように、内部に収容される薬剤に関する処方箋情報が印刷されることが好ましい。
請求項3記載の発明によれば、内部に収容される薬剤に関する処方箋情報が印刷されるので、薬剤に関する処方箋情報を知ることができて便利である。前述のようにシート材として坪量40〜60g/m2の晒包装紙を用いることで、薬袋反りを抑制しているので、薬袋には、処方箋情報を確実に印刷することができる。
請求項4記載の発明のように、前記シート材は、坪量45〜55g/m2であることがより好ましい。
請求項5記載の発明のように、前記シート材は、坪量50g/m2であることがさらに好ましい。
ところで、一般的に上質紙の多くは広葉樹パルプを主原料とするが、晒クラフト紙は針葉樹パルプを主原料としている。針葉樹は広葉樹に比べて繊維が長く、より強度のある紙となるから、晒クラフト紙は上質紙よりも強度が優れているといえる。そこで、請求項6記載の発明のように、前記シート材は、晒クラフト紙であることが好ましい。
請求項6記載の発明によれば、前記シート材は、晒クラフト紙であるので、紙厚みを薄くした場合の、薬袋の強度不足を補うことができる。
請求項7記載の発明のように、請求項1〜6のいずれか1項に記載の薬袋が複数枚ごとに結束されて構成されることが好ましい。
請求項7記載の発明によれば、請求項1〜6のいずれか1項に記載の薬袋が複数枚ごとに結束されて構成されるので、かかる形態での流通ができる。このような薬袋の結束体では、個々の薬袋の薬袋反りが累積され、薬袋反りが大きくなる傾向がある。本発明は、そのような場合に特に有効であり、前述のようにシート材として坪量40〜60g/m2の晒包装紙を用いることで、薬袋反りを効果的に抑制することができる。
とはいっても、薬袋の結束体が流通される間に薬袋反りが徐々に進行し、やがて薬袋反りが最大となって安定した状態となる。したがって、この流通後に、請求項8記載の発明のように、前記複数枚ごとに結束された薬袋が1枚ずつに分離された状態で、それぞれの内部に収容される薬剤に関する処方箋情報が各薬袋に印刷されることが好ましい。
請求項8記載の発明によれば、前記複数枚ごとに結束された薬袋が1枚ずつに分離された状態で、それぞれの内部に収容される薬剤に関する処方箋情報が各薬袋に印刷されるので、各薬袋への印刷が容易となる。前述のようにシート材として坪量40〜60g/m2の晒包装紙を用いることで、薬袋反りを抑制しているので、薬袋には、処方箋情報を確実に印刷することができる。
本発明によれば、シート材を折り畳んで貼り合わせて構成され、前記シート材は、坪量40〜60g/m2の晒包装紙であるので、従来の上質紙と同様の印刷のしやすさを確保した上で、薬袋が強度不足とならない範囲で、紙厚みを従来の上質紙(坪量64g/m2)よりも薄くすることができる。
また、薬袋が強度不足とならない範囲であれば、紙厚みを薄くするほど、薬袋底部を含む全体の分厚さが軽減される。また、折り角部分の折れがより鋭角になり、より薬袋が平坦になることで、薬袋反りの発生が抑制される。薬袋反りの発生が抑制されると、薬袋発行機における引き込みトラブルや印刷不良の解決が見込まれる。
さらに、薬袋反りの他にも、薬袋発行機への薬袋収納枚数増加により、薬袋補充頻度が下がることで、ユーザー負担を軽減でき、輸送時の箱サイズ縮小、及び軽量化に伴う取り扱いの容易化も見込まれる。
図1は本発明の一実施形態に係る薬袋1を開いた状態を示す斜視図、図2は本薬袋1を閉じた状態を示す背面図である。
図1,図2に示すように、本発明の一実施形態に係る薬袋(以下、本薬袋という。)1は、薬剤を内部に収容可能である。本薬袋1は、シート材2である晒包装紙を折り畳んで貼り合わせて構成される角底紙袋である。具体的には、シート材2として、坪量40〜60g/m2の晒クラフト紙を用いる。本薬袋1は、このシート材2からなる表面21と、裏面22と、左右両側面23,24と、底面25とを有している。図2中のA部分は、裏面22の左側面23と接する側でシート材2を若干重ねて貼着する部分であり、B部分は底面25を矩形状に形成貼着する部分であって、薬袋1を閉じたときに、ともに分厚くなるが、特にB部分は、A部分を含み、最も分厚くなっている。
本薬袋1の底面25は角底部を構成し、表面21と、裏面22と、左右両側面23,24とで、この角底部に連なる角筒胴部を構成しており、これらの構成により、薬剤を内部により多く収容できるようになっている。
この薬袋1を閉じ、複数枚ずつ、例えば表面21を上向きにし、かつ、角底の折り返し部を同じ向きになるように揃えた状態で結束されることにより結束体10が構成され(後述する図4(b)参照)、かかる形態での流通ができるようになっている。そして、この流通された結束体10を構成する複数枚の薬袋1が1枚ずつに分離された状態で、それぞれの内部に収容される薬剤に関する処方箋情報が図示しない薬袋発行機で各薬袋1の表面21に印刷されるようになっている。これにより、薬袋1を逐一開くことなく、その内部に収容された薬剤に関する処方箋情報を知ることができて便利である。
ところで、一般的に上質紙の多くは広葉樹パルプを主原料とするが、晒クラフト紙は針葉樹パルプを主原料としている。針葉樹は広葉樹に比べて繊維が長く、より強度のある紙となるから、晒クラフト紙は上質紙よりも強度が優れていると評価される。また、通常のクラフト紙では、茶色っぽいので、印刷が不鮮明となるおそれがある。そこで、本薬袋1のシート材2として、漂白した晒クラフト紙を用いた。これにより、印刷が鮮明になるとともに、従来よりも紙厚みを薄くした場合の、薬袋の強度不足を補うことができる。
図3は折り角部分の様子を示す説明図、図4は薬袋反りの様子を示す説明図であって、それぞれ(a)は従来例、(b)は本発明の実施例を示している。なお、図4中の符号3は結束体10,10aを置いた基準面、符号4,4aは結束体10,10aの各最大高さを示している。
図3(a)に示すように、従来の上質紙(坪量64g/m2)2aでは、紙が厚く、同図中のC方向での折れが不十分である。これに対して、図3(b)に示すように、本発明の晒クラフト紙(坪量40〜60g/m2)2では、紙が薄く、同図中のD方向で、より鋭角に折れることがわかる。
また、図4(a)に示すように、従来の上質紙(坪量64g/m2)を用いた角底薬袋では、薬袋1aが分厚く、同図中のE方向への薬袋反りが大きい。そして、この薬袋1aを複数枚ずつ結束した結束体10aでは、薬袋反りが累積されて、より顕著なものとなっていることがわかる。これに対して、図4(b)に示すように、本発明の晒クラフト紙(坪量40〜60g/m2)では、薬袋1が薄く、同図中のF方向への薬袋反りが小さい。そして、この薬袋1を複数枚ずつ結束した結束体10では、前記結束体10aに比べて、全体の薬袋反りが差Gだけ小さくなっていることがわかる。
ここで、本薬袋1で坪量40〜60g/m2の晒クラフト紙を用いた理由は以下のとおりである。表1は、本発明者による自社製薬袋発行機を用いた場合の本薬袋1の性能予測を行ったものである。薬袋1の強度は、前述した上質紙と晒クラフト紙とについての強度評価に基づく予測値であって、表1中の右欄に示す棒グラフ(ハッチング入り)の、左側から右側に向けて伸びる量が大きいほど、薬袋の強度が大きくなるものとしている。
表1における上から一段目は、従来の上質紙を用いた角底薬袋の場合であり、薬袋発行機への収納枚数は36枚で、坪量64g/m2の上質紙を用いた角底薬袋の強度は予測値である。そして、この従来の上質紙を用いた角底薬袋の強度を、他の種類の紙に対する評価基準とするために、その右端を通る上下方向の二点鎖線を入れている。
上から二段目は、従来よりも薄い上質紙を用いた角底薬袋の場合であり、薬袋発行機への収納枚数は61枚と従来よりも増加しているが、坪量52.3g/m2の上質紙を用いた角底薬袋の強度は上記二点鎖線の左側にとどっており、従来よりも低い値となることが予想される。
上から三段目(最下段)は、本発明の晒クラフト紙を用いた角底薬袋の場合であり、薬袋発行機への収納枚数は58枚であり、上から二段目の角底薬袋の場合と同じく従来よりも増加しているにもかかわらず、坪量50g/m2の晒クラフト紙を用いた角底薬袋の強度は上記二点鎖線と一致するか、それを越えて右側にさらに伸びる可能性を(二点鎖線で囲むハッチングなしの部分で)示しており、従来よりも高い値となることが予想される。
ただし、紙は環境湿度に応じて含有する水分量が変化するので、坪量の測定は標準温度・湿度で十分調湿して測定されるのであるが、実際の薬袋1での評価は、かかる環境湿度などの変化により変動することが予想される。そこで、表1の上から三段目の坪量50g/m2の晒クラフト紙を用いた角底薬袋が最も好ましいものとするとともに、坪量での変動を±5g/m2として、坪量45〜55g/m2をより好ましいものとし、坪量での変動を±10g/m2として、坪量40〜60g/m2を好ましいものとした。
図5は本薬袋1の使用手順を示す工程図である。以下、図5を参照して説明する。
図5に示すように、シート材2として、坪量40〜60g/m2の晒クラフト紙を用いて角底薬袋1を製袋する(ステップS1)。ここでは、裏面22の左側面23と接する側でシート材2を図2中のA部分で若干重ねて貼着した上で、左右両側面23,24をガゼット折りし、最後に底面25を矩形状に形成貼着する。そして、表面21に裏面22が当接するように、左右両側面23,24を畳み込み、かつ、底面25を裏面22側に折り返して、薬袋1が完全に閉じた状態とする。このときには、図2中のB部分が最も分厚くなっている。
次いで、この薬袋1が複数枚ごとに、例えば表面21を上向きにし、かつ、角底の折り返し部が下向きになるように揃えた状態で重ねられ、図示しない紐やバンド等で結束されることにより、結束体10が構成される(ステップS2)。この結束体10は、さらに段ボール箱に適宜詰め込まれて、市場において流通される(ステップS3)。そして、結束体10が流通される間に薬袋反りが徐々に進行し、やがて薬袋反りが最大となって安定した状態となる。
この流通されて、薬袋反りが安定した状態となった結束体10は、結束が解除され、その後、結束体10を構成していた複数枚の薬袋1が図示しない薬袋発行機に装填される。薬袋発行機において、複数枚の薬袋1が1枚ずつに分離され(ステップS4)、各薬袋1の内部に収容される薬剤に関する処方箋情報がその表面21に印刷される(ステップS5)。
以上説明したように、本薬袋1によれば、シート材2を折り畳んで貼り合わせて構成され、このシート材2は、坪量40〜60g/m2の晒クラフト紙であるので、従来の上質紙と同様の印刷のしやすさを確保した上で、薬袋が強度不足とならない範囲で、紙厚みを従来の上質紙(坪量64g/m2)よりも薄くすることができる。
また、薬袋1が強度不足とならない範囲であれば、紙厚みを薄くするほど、薬袋底部を含む全体の分厚さが軽減される。また、折り角部分の折れがより鋭角になり、より薬袋が平坦になることで、薬袋反りの発生が抑制される。薬袋反りの発生が抑制されると、薬袋発行機における引き込みトラブルや印刷不良の解決が見込まれる。
さらに、薬袋反りの他にも、薬袋発行機への薬袋収納枚数増加により、薬袋補充頻度が下がることで、ユーザー負担を軽減でき、輸送時の箱サイズ縮小、及び軽量化に伴う取り扱いの容易化も見込まれる。
なお、上記実施形態では、角底部のある薬袋1について説明したが、角底部のないものであっても、少なくとも折り角部分を有する限り、同様の傾向にあることが明らかである。
また、上記実施形態では、結束体10を段ボールに入れて流通させているが、そのまま流通させることもできる。
また、上記実施形態では、印刷工程で個々の薬袋1に収容される薬剤に関する処方箋情報を、その表面21に印刷しているが、プリンタの送り方向や印刷の向きなどによっては、裏面22に印刷することとしてもよい。さらに、印刷の代わりに、薬剤師が手書きする場合は、印刷工程そのものを省略できる。
10 結束体
1 薬袋
2 シート材
21 表面
22 裏面
23 左側面
24 右側面
25 底面
1 薬袋
2 シート材
21 表面
22 裏面
23 左側面
24 右側面
25 底面
Claims (8)
- 薬剤を内部に収容可能な薬袋であって、
シート材を折り畳んで貼り合わせて構成され、
前記シート材は、坪量40〜60g/m2の晒包装紙であることを特徴とする薬袋。 - 角底部と、この角底部に連なる角筒胴部とを有することを特徴とする請求項1記載の薬袋。
- 内部に収容される薬剤に関する処方箋情報が印刷されることを特徴とする請求項1又は2記載の薬袋。
- 前記シート材は、坪量45〜55g/m2であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の薬袋。
- 前記シート材は、坪量50g/m2であることを特徴とする請求項4記載の薬袋。
- 前記シート材は、晒クラフト紙であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の薬袋。
- 請求項1〜6のいずれか1項に記載の薬袋が複数枚ごとに結束されて構成されることを特徴とする薬袋の結束体。
- 前記複数枚ごとに結束された薬袋が1枚ずつに分離された状態で、それぞれの内部に収容される薬剤に関する処方箋情報が各薬袋に印刷されることを特徴とする請求項7記載の薬袋の結束体。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2015017897A JP2016140516A (ja) | 2015-01-30 | 2015-01-30 | 薬袋及びその結束体 |
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Citations (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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