以下、本発明の実施形態について添付図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の第1実施形態に係る四輪駆動車の概略構成図である。図1に示すように、本発明の第1実施形態に係る四輪駆動車10は、駆動源としてのエンジン14と、エンジン14の出力トルクを前輪12Fと後輪12Rとに伝達するためのトランスミッション16とトランスミッション16からの駆動力を左右の前輪12Fに車軸18を介して伝達する前輪用差動装置20とを備えたトランスミッションケース17と、後輪12Rに伝達する駆動力を取り出すトランスファ22と、トランスファ22からの駆動力を左右の後輪12Rに車軸24を介して伝達する後輪用差動装置26とを有している。
エンジン14は、複数の気筒を有する多気筒エンジン、具体的には四気筒を有する四気筒エンジンであり、四気筒を作動させる全筒運転モードと二気筒を休止させて二気筒を作動させる減筒運転モードとを切換可能に構成されている。
トランスファ22と後輪用差動装置26とは、車体前後方向に延びるプロペラシャフト30及びカップリング28を介して連結されている。トランスファ22の出力軸がプロペラシャフト30の一端に連結され、プロペラシャフト30の他端がカップリング28の入力軸に連結され、該カップリング28の出力軸が後輪用差動装置26の入力軸に連結されている。
トランスファ22は、軸心が車幅方向に延びる前輪用差動装置20から車体前後方向に延びるプロペラシャフト30に動力を伝達するために、互いに噛み合う一対の傘歯車(不図示)、具体的には前輪用差動装置20の軸心上に設けられた傘歯車とプロペラシャフト30の軸心上に設けられた傘歯車が用いられる。
カップリング28は、電磁式等のカップリングが用いられ、エンジン14の出力トルクのうち後輪12Rに配分するトルクを調整するように構成されている。四輪駆動車10では、カップリング28によって前輪12Fと後輪12Rとのトルク配分が前輪:後輪=100:0〜50:50まで可変できるようになっている。
本実施形態では、前輪12Fが主駆動輪であり、後輪12Rが補助駆動輪であり、トランスミッション16、前輪用差動装置20、車軸18、トランスファ22、プロペラシャフト30、カップリング28、後輪用差動装置26及び車軸24によって、エンジン14の出力トルクを前輪12Fと後輪12Rとに伝達するトルク伝達手段が構成され、カップリング28によって、エンジン14の出力トルクのうち後輪12Rに配分するトルクを調整するトルク配分調整手段が構成されている。
四輪駆動車10には、運転者によるアクセルペダルの踏込量(アクセル開度)を検出するアクセル開度センサ36と、エンジン14の回転数を検出するエンジン回転数センサ38と、エンジン14やカップリング28等の作動を制御する制御ユニット34とが備えられている。
制御ユニット34には、アクセル開度センサ36及びエンジン回転数センサ38からの信号等の各種情報が入力され、制御ユニット34は、これら各種情報に基づいてエンジン14やカップリング28等の作動を制御する。なお、制御ユニット34は、マイクロコンピュータを主要部として構成されている。
制御ユニット34には、エンジン回転数及びアクセル開度と運転モード、具体的には全筒運転モード及び減筒運転モードとの関係を示す運転モードマップが記憶されており、制御ユニット34は、運転モードマップを用いてエンジン回転数及びアクセル開度からエンジン14の全筒運転モードと減筒運転モードとを切り換えるように制御する。
制御ユニット34はまた、全筒運転モード及び減筒運転モードにおいて前記トルク伝達手段、具体的にはトランスファ22における前輪用差動装置20の軸心上に設けられた傘歯車から後輪12Rに至るプロペラシャフト30及び後輪用差動装置26等の駆動系で異音が発生することを抑制するように後輪12Rに対するトルク配分を増大させるように制御する。
制御ユニット34は、全筒運転モードでは該全筒運転モードで前記トルク伝達手段、すなわち前記駆動系が異音発生状態となる第1運転領域にあるときに異音の発生を抑制するようにカップリング28によって後輪12Rに対するトルク配分を増大させ、減筒運転モードでは該減筒運転モードで前記トルク伝達手段、すなわち前記駆動系が異音発生状態となる第2運転領域にあるときに異音の発生を抑制するように後輪12Rに対するトルク配分を増大させるように制御する。
このように、制御ユニット34は、全筒運転モードと減筒運転モードとにおいてそれぞれ前記トルク伝達手段、すなわち前記駆動系が異音発生状態となる運転領域に応じて後輪12Rに対するトルク配分を変更させる。
図2は、前記四輪駆動車におけるエンジン回転数と駆動系の変動トルク及び後輪への配分トルクとの関係を示すグラフである。図2では、エンジン回転数を横軸にとり、トランスファ22における傘歯車から後輪12Rに至るプロペラシャフト30及び後輪用差動装置26等の駆動系の変動トルク及び後輪12Rへの配分トルクを縦軸にとり、全筒運転モードにおける前記駆動系の変動トルクの波形を実線Waで示し、減筒運転モードにおける前記駆動系の変動トルクの波形を破線Wbで示している。
図2に示すように、全筒運転モードの変動トルクの波形Waは、所定のエンジン回転数NaでピークPaを有し、減筒運転モードの変動トルクの波形Wbは、エンジン回転数Naより高エンジン回転数側の所定のエンジン回転数NbでピークPbを有している。
なお、図2では、エンジン14の実用領域のエンジン回転数について示しており、変動トルクの波形Wa、Wbは、図19に示す変動トルクの波形W11、W12に対応し、ピークPa、Pbは、図19に示すピークP13、P23に対応する。エンジン14の実用領域とは、例えばアイドル回転数以上のエンジン回転数の領域をいうものとする。
制御ユニット34には、全筒運転モードで前記トルク伝達手段が異音発生状態となる第1運転領域として、変動トルクの波形WaのピークPaとなるエンジン回転数Naを含む所定の第1エンジン回転数N1と該第1エンジン回転数N1より高エンジン回転数側の所定の第2エンジン回転数N2との間の運転領域が設定されて記憶されている。
制御ユニット34にはまた、減筒運転モードで前記トルク伝達手段が異音発生状態となる第2運転領域として、変動トルクの波形WbのピークPbとなるエンジン回転数Nbを含む所定の第3エンジン回転数N3と該第3エンジン回転数N3より高エンジン回転数側の所定の第4エンジン回転数N4との間の運転領域が設定されて記憶されている。
そして、制御ユニット34は、全筒運転モードで第1運転領域、すなわち第1エンジン回転数N1と第2エンジン回転数N2との間の運転領域にあるときに全筒運転モードにおける異音抑制制御を行う。具体的には、制御ユニット34は、異音の発生を抑制するように後輪12Rに対するトルク配分を増大させ、図2の実線L1で示すように、波形WaのピークPaの変動トルクを超える後輪12Rへの配分トルクT1になるように制御する。
制御ユニット34はまた、減筒運転モードで第2運転領域、すなわち第3エンジン回転数N3と第4エンジン回転数N4との間の運転領域にあるときに減筒運転モードにおける異音抑制制御を行う。具体的には、制御ユニット34は、異音の発生を抑制するように後輪12Rに対するトルク配分を増大させ、図2の破線L2で示すように、波形WbのピークPbの変動トルクを超える後輪12Rへの配分トルクT1になるように制御する。
制御ユニット34には、四輪駆動車10の前記駆動系の変動トルクの波形Wa、Wbが記憶されると共に、全筒運転モード及び減筒運転モードにおける異音抑制制御のためのエンジン回転数と後輪12Rへの配分トルクとの関係が設定されて記憶されている。
図3は、前記四輪駆動車の制御を示すフローチャートである。四輪駆動車10において前記トルク伝達手段で異音が発生することを抑制する異音抑制制御は、制御ユニット34によって実行される。図3に示すように、制御ユニット34には、先ず、四輪駆動車10に関係する構成により検出された信号、すなわちアクセル開度及びエンジン回転数等の各種信号が読み込まれる(ステップS1)。
次に、ステップS2において、全筒運転モードであるか否かが判定される。エンジン回転数及びアクセル開度と運転モードとの関係を示す運転モードマップを用いて、エンジン回転数及びアクセル開度からエンジン14が全筒運転モードであるか否かが判定される。
ステップS2での判定結果がイエス(YES)の場合、すなわち全筒運転モードであると判定される場合、全筒運転モードにおける異音抑制制御が行われ(ステップS3)、全筒運転モードで第1運転領域にあるときに後輪12Rに対するトルク配分を増大させ、全筒運転モードで前記波形WaのピークPaの変動トルクを超える後輪12Rへの配分トルクT1になるように制御する。
一方、ステップS2での判定結果がノー(NO)の場合、すなわち全筒運転モードではなく減筒運転モードであると判定される場合、減筒運転モードにおける異音抑制制御が行われ(ステップS4)、減筒運転モードで第2運転領域にあるときに後輪12Rに対するトルク配分を増大させ、減筒運転モードで前記波形WbのピークPbの変動トルクを超える後輪12Rへの配分トルクT1になるように制御する。
制御ユニット34はまた、運転モードマップを用いてエンジン回転数及びアクセル開度から全筒運転モードと減筒運転モードとを切り換えるようにエンジン14の作動を制御する。
なお、制御ユニット34によって、全筒運転モード及び減筒運転モードにおいて前記トルク伝達手段で異音が発生することを抑制するように後輪12Rに対するトルク配分を増大させると共に、全筒運転モードと減筒運転モードとにおいてそれぞれ前記トルク伝達手段が異音発生状態となる運転領域に応じて後輪12Rに対するトルク配分を変更させる異音抑制手段が構成されている。
このように、本実施形態に係る四輪駆動車10では、全筒運転モード及び減筒運転モードでエンジン14の出力トルクを前輪12Fと後輪12Rとに伝達する前記トルク伝達手段における異音の発生を抑制するようにカップリング28によって後輪12Rに対するトルク配分を増大させる異音抑制手段34が備えられ、該異音抑制手段34は、全筒運転モードと減筒運転モードとでそれぞれ前記トルク伝達手段が異音発生状態となる運転領域に応じて後輪12Rに対するトルク配分を変更させる。
これにより、全筒運転モードでは該全筒運転モードで前記トルク伝達手段が異音発生状態となる運転領域にあるときに異音の発生を抑制するように後輪12Rに対するトルク配分を増大させ、減筒運転モードでは該減筒運転モードで前記トルク伝達手段が異音発生状態となる運転領域にあるときに異音の発生を抑制するように後輪12Rに対するトルク配分を増大させることで、四輪駆動車10において、全筒運転モード及び減筒運転モードで後輪12Rに対するトルク配分を変更することなく全筒運転モード及び減筒運転モードで前記トルク伝達手段が異音発生状態となる運転領域にあるときに後輪12Rに対するトルク配分を増大させる場合に比して、燃費の悪化を抑制しつつ全筒運転モードで異音の発生を抑制すると共に減筒運転モードで異音の発生を抑制することができる。
本実施形態では、第1運転領域として、第1エンジン回転数N1と第2エンジン回転数N2との間の運転領域が設定されているが、全筒運転モードにおける前記トルク伝達手段の変動トルクが所定値以上である運転領域に設定してもよく、エンジン回転数Naを含む所定の運転領域に設定することが可能である。
また、第2運転領域として、第3エンジン回転数N3と第4エンジン回転数N4との間の運転領域が設定されているが、減筒運転モードにおける前記トルク伝達手段の変動トルクが所定値以上である運転領域に設定してもよく、エンジン回転数Nbを含む所定の運転領域に設定することが可能である。
本実施形態ではまた、全筒運転モードと減筒運転モードとで同一の後輪12Rへの配分トルクT1になるように後輪12Rに対するトルク配分を増大させているが、前記駆動系の変動トルクの波形Wa、WbのピークPa、Pbの変動トルクに応じて、全筒運転モードと減筒運転モードとで異なる後輪12Rへの配分トルクになるように後輪12Rに対するトルク配分を増大させるようにしてもよい。
図4は、本発明の第2実施形態に係る四輪駆動車の概略構成図である。第2実施形態に係る四輪駆動車は、第1実施形態に係る四輪駆動車10と、減筒運転モードにおいて前記トルク伝達手段で異音が発生することを抑制する異音抑制手段が異なること以外は同様であるので、同様の構成については説明を省略する。
図4に示すように、第2実施形態に係る四輪駆動車40では、トランスミッション16に、減筒運転モードにおいて前記トルク伝達手段、具体的にはトランスファ22における前輪用差動装置20の軸心上に設けられた傘歯車から後輪12Rに至るプロペラシャフト30及び後輪用差動装置26等の駆動系で異音が発生することを抑制するダンパ装置45が備えられている。
ダンパ装置45として、振り子の揺動によって振動を減衰する遠心式の振り子ダンパが用いられ、振り子ダンパ45は、減筒運転モードで前記トルク伝達手段、具体的にはトランスファ22における前輪用差動装置20の軸心上に設けられた傘歯車から後輪12Rに至るプロペラシャフト30及び後輪用差動装置26等の駆動系の変動トルクを低減するように構成されている。
図5は、前記四輪駆動車におけるエンジン回転数と駆動系の変動トルク及び後輪への配分トルクとの関係を示すグラフである。図5では、全筒運転モードにおける四輪駆動車40の前記駆動系の変動トルクの波形を実線Waで示し、減筒運転モードにおける前記駆動系の変動トルクの波形を二点鎖線Wb及び破線Wb´で示している。
減筒運転モードにおける前記駆動系の変動トルクの波形については、四輪駆動車40の変動トルクの波形を破線Wb´として示し、トランスミッション16に振り子ダンパ45を備えていないことを除き四輪駆動車40と同様に構成された四輪駆動車10の変動トルクの波形を二点鎖線Wbとして示している。
図5に示すように、全筒運転モードの変動トルクの波形Waは、所定のエンジン回転数NaでピークPaを有し、減筒運転モードの変動トルクの波形Wb、Wb´は、エンジン回転数Naより高エンジン回転数側の所定のエンジン回転数NbでピークPb、Pb´を有している。
減筒運転モードの変動トルクの波形Wb´のピークPb´は、減筒運転モードの変動トルクの波形WbのピークPbより低くなっており、トランスミッション16に振り子ダンパ45を備えることで、減筒運転モードで前記駆動系の変動トルクを低減することができる。
本実施形態においても、制御ユニット34には、全筒運転モードで前記トルク伝達手段が異音発生状態となる第1運転領域として、変動トルクの波形WaのピークPaとなるエンジン回転数Naを含む第1エンジン回転数N1と第2エンジン回転数N2との間の運転領域が設定されて記憶されている。
制御ユニット34にはまた、減筒運転モードで前記トルク伝達手段が異音発生状態となる第2運転領域として、変動トルクの波形Wb´のピークPb´となるエンジン回転数Nbを含む第3エンジン回転数N3と第4エンジン回転数N4との間の運転領域が設定されて記憶されている。
そして、制御ユニット34は、全筒運転モードで第1運転領域、すなわち第1エンジン回転数N1と第2エンジン回転数N2との間の運転領域にあるときに全筒運転モードにおける異音抑制制御を行い、異音の発生を抑制するように後輪12Rに対するトルク配分を増大させ、図5の実線L1で示すように、波形WaのピークPaの変動トルクを超える後輪12Rへの配分トルクT1になるように制御する。
制御ユニット34はまた、減筒運転モードで第2運転領域、すなわち第3エンジン回転数N3と第4エンジン回転数N4との間の運転領域にあるときに減筒運転モードにおける異音抑制制御を行い、異音の発生を抑制するように後輪12Rに対するトルク配分を増大させ、図5の破線L12で示すように、波形Wb´のピークPb´の変動トルクを超える後輪12Rへの配分トルクT1より低い配分トルクT2になるように制御する。
本実施形態では、制御ユニット34は、減筒運転モードで異音が発生することを抑制するように増大される後輪12Rに対するトルク配分を、全筒運転モードで異音が発生することを抑制するように増大される後輪12Rに対するトルク配分より小さくする。
本実施形態においても、制御ユニット34によって、全筒運転モードであるか否かが判定され、全筒運転モードであると判定される場合、全筒運転モードにおける異音抑制制御が行われ、全筒運転モードではなく減筒運転モードであると判定される場合、減筒運転モードにおける異音抑制制御が行われる。また、制御ユニット34によって、運転モードマップを用いてエンジン回転数及びアクセル開度から全筒運転モードと減筒運転モードとを切り換えるようにエンジン14の作動が制御される。
制御ユニット34には、四輪駆動車40の前記駆動系の変動トルクの波形Wa、Wb´が記憶されると共に、全筒運転モード及び減筒運転モードにおける異音抑制制御のためのエンジン回転数と後輪12Rへの配分トルクとの関係が設定されて記憶されている。
このように、本実施形態に係る四輪駆動車40においても、全筒運転モード及び減筒運転モードでエンジン14の出力トルクを前輪12Fと後輪12Rとに伝達する前記トルク伝達手段における異音の発生を抑制するようにカップリング28によって後輪12Rに対するトルク配分を増大させる異音抑制手段34が備えられ、該異音抑制手段34は、全筒運転モードと減筒運転モードとでそれぞれ前記トルク伝達手段が異音発生状態となる運転領域に応じて後輪12Rに対するトルク配分を変更させる。
これにより、全筒運転モードでは該全筒運転モードで前記トルク伝達手段が異音発生状態となる運転領域にあるときに異音の発生を抑制するように後輪12Rに対するトルク配分を増大させ、減筒運転モードでは該減筒運転モードで前記トルク伝達手段が異音発生状態となる運転領域にあるときに異音の発生を抑制するように後輪12Rに対するトルク配分を増大させることで、四輪駆動車40において、全筒運転モード及び減筒運転モードで後輪12Rに対するトルク配分を変更することなく全筒運転モード及び減筒運転モードで前記トルク伝達手段が異音発生状態となる運転領域にあるときに後輪12Rに対するトルク配分を増大させる場合に比して、燃費の悪化を抑制しつつ全筒運転モードで異音の発生を抑制すると共に減筒運転モードで異音の発生を抑制することができる。
また、四輪駆動車40に、減筒運転モードにおいてトルク伝達手段で異音が発生することを抑制するダンパ装置45が備えられ、異音抑制手段34は、減筒運転モードにおいて異音が発生することを抑制するように増大される後輪12Rに対するトルク配分を、全筒運転モードにおいて異音が発生することを抑制するように増大される後輪12Rに対するトルク配分より小さくすることにより、ダンパ装置を用いて減筒運転モードで異音の発生を抑制するように増大される後輪12Rに対するトルク配分を小さくすることができ、燃費の悪化をさらに抑制することができる。
図6は、本発明の第3実施形態に係る四輪駆動車におけるエンジン回転数と駆動系の変動トルク及び後輪への配分トルクとの関係を示すグラフであり、図6(a)は、全筒運転モード及び減筒運転モードにおける後輪への配分トルクを示し、図6(b)は、運転モード変更時における後輪への配分トルクを示している。
第3実施形態に係る四輪駆動車は、第1実施形態に係る四輪駆動車10と、運転モード変更時に、運転モード変更時用トルクマップに基づいて後輪に対するトルク配分を一時的に変更させた後に変更後の運転モードにおける後輪に対するトルク配分に変更させるようにしたこと以外は同様であるので、同様の構成については説明を省略する。
本実施形態においても、制御ユニット34は、図6(a)に示すように、全筒運転モードで第1運転領域、すなわち第1エンジン回転数N1と第2エンジン回転数N2との間の運転領域にあるときに全筒運転モードにおける異音抑制制御を行い、異音の発生を抑制するように後輪12Rに対するトルク配分を増大させ、図6(a)の実線L1で示すように、波形WaのピークPaの変動トルクを超える後輪12Rへの配分トルクT1になるように制御する。
また、減筒運転モードで第2運転領域、すなわち第3エンジン回転数N3と第4エンジン回転数N4との間の運転領域にあるときに減筒運転モードにおける異音抑制制御を行い、異音の発生を抑制するように後輪12Rに対するトルク配分を増大させ、図6(a)の破線L2で示すように、波形WbのピークPbの変動トルクを超える後輪12Rへの配分トルクT1になるように制御する。
制御ユニット34は、全筒運転モードと減筒運転モードとにおいてそれぞれ前記トルク伝達手段、すなわち前記駆動系が異音発生状態となる運転領域に応じて後輪12Rに対するトルク配分を変更させる。
本実施形態では、制御ユニット34は、全筒運転モードから減筒運転モードへの変更時及び減筒運転モードから全筒運転モードへの変更時にそれぞれ、エンジン回転数と後輪12Rに配分するトルクとの関係が設定された運転モード変更時用トルクマップに基づいて後輪12Rに対するトルク配分を一時的に変更させ、その後に、変更後の運転モードにおける後輪12Rに対するトルク配分に変更させる。
制御ユニット34には、全筒運転モードから減筒運転モードへの変更時におけるエンジン回転数と後輪12Rに配分するトルクとの関係が設定された運転モード変更時用トルクマップと、減筒運転モードから全筒運転モードへの変更時におけるエンジン回転数と後輪12Rに配分するトルクとの関係が設定された運転モード変更時用トルクマップとが記憶されている。
減筒運転モードから全筒運転モードへの変更時の運転モード変更時用トルクマップは、図6(b)の実線L21で示すように、変更後の全筒運転モードにおける後輪12Rに対するトルク配分が変更前の減筒運転モードにおける後輪12Rに対するトルク配分より増大されて変更後の後輪12Rへの配分トルクが変更前の後輪12Rへの配分トルクより増大される運転領域、すなわち第1エンジン回転数N1と第2エンジン回転数N2との間の運転領域において、後輪12Rへの配分トルクを変更後の後輪12Rへの配分トルクT1よりも増大させた配分トルクT1´に変更させるように設定されている。
一方、全筒運転モードから減筒運転モードへの変更時の運転モード変更時用トルクマップは、図6(b)の破線L22で示すように、変更後の減筒運転モードにおける後輪12Rに対するトルク配分が変更前の全筒運転モードにおける後輪12Rに対するトルク配分より増大されて変更後の後輪12Rへの配分トルクが変更前の後輪12Rへの配分トルクより増大される運転領域、すなわち第3エンジン回転数N3と第4エンジン回転数N4との間の運転領域において、後輪12Rへの配分トルクを変更後の後輪12Rへの配分トルクT1よりも増大させた配分トルクT1´に変更させるように設定されている。
そして、制御ユニット34は、減筒運転モードから全筒運転モードへの変更時には、減筒運転モードから全筒運転モードへの変更時の運転モード変更時用トルクマップに基づいて、第1エンジン回転数N1と第2エンジン回転数N2との間の運転領域において後輪12Rへの配分トルクを変更後の後輪12Rへの配分トルクT1よりも増大させた配分トルクT1´になるように後輪12Rに対するトルク配分を変更後の後輪12Rに対するトルク配分よりも一時的に増大させ、その後に、変更後の後輪12Rへの配分トルクT1になるように後輪12Rに対するトルク配分に変更させる。
図7は、運転モード変更時における後輪への配分トルクの増大制御を説明するための説明図である。図7に示すように、時間t1において減筒運転モードから全筒運転モードへ変更するとき、時刻t1において減筒運転モードから全筒運転モードへの切替制御を開始し、エンジンは、時間t1において減筒運転状態から全筒運転状態への切替運転状態に制御され、所定時間経過後の時間t2において全筒運転状態に制御される。
時間t2においてエンジンが全筒運転状態に制御されるときに、第1エンジン回転数N1と第2エンジン回転数N2との間の運転領域において、図7の破線で示すように、後輪12Rへの配分トルクがT1になるように後輪12Rに対するトルク配分の増大制御を開始した場合、後輪12Rへの実際の配分トルクは徐々に増大して所定時間経過後の時間t3において後輪12Rに実際に配分トルクT1が伝達されることとなり、後輪12Rに対するトルク配分の増大制御に対して応答性の遅れが生じ、前記トルク伝達手段において異音の発生を引き起こし得る。
後輪12Rに対するトルク配分の増大制御に対する後輪12Rへの実際の配分トルクの増大度合いは、後輪12Rへの配分トルクの増大量が大きいほど大きくなることから、本実施形態では、減筒運転モードから全筒運転モードへ変更するときに、減筒運転モードから全筒運転モードへの変更時の運転モード変更時用トルクマップに基づいて、後輪12Rへの配分トルクを変更後の後輪12Rへの配分トルクT1よりも増大させた配分トルクT1´になるように後輪12Rに対するトルク配分を変更後の後輪12Rに対するトルク配分よりも一時的に増大させる。
図7の実線で示すように、時間t2においてエンジンが全筒運転状態に制御されるときに、第1エンジン回転数N1と第2エンジン回転数N2との間の運転領域において、後輪12Rへの配分トルクがT1´になるように後輪12Rに対するトルク配分の増大制御を開始し、その後に、時間t3´において後輪12Rに実際に配分トルクT1´が伝達されると、後輪12Rへの配分トルクがT1になるように後輪12Rに対するトルク配分を変更して後輪12Rに配分トルクT1が伝達されるように制御する。
これにより、後輪12Rに対するトルク配分を速やかに増大させて後輪12Rへの実際の配分トルクを速やかに増大させ、時間t3よりも早い時間t3´´において後輪12Rへの配分トルクをT1以上にすることができるので、後輪12Rに対するトルク配分の増大制御に対する応答性の遅れによる異音の発生を抑制することができる。
制御ユニット34は、全筒運転モードから減筒運転モードへの変更時についても同様に、全筒運転モードから減筒運転モードへの変更時の運転モード変更時用トルクマップに基づいて、第3エンジン回転数N3と第4エンジン回転数N4との間の運転領域において後輪12Rへの配分トルクを変更後の後輪12Rへの配分トルクT1よりも増大させた配分トルクT1´になるように後輪12Rに対するトルク配分を変更後の後輪12Rに対するトルク配分よりも一時的に増大させ、その後に、変更後の後輪12Rへの配分トルクT1になるように後輪12Rに対するトルク配分に変更させる。
本実施形態では、全筒運転モードから減筒運転モードへの変更時及び減筒運転モードから全筒運転モードへの変更時に後輪12Rへの配分トルクT1´になるように後輪12Rに対するトルク配分を一時的に増大させているが、全筒運転モードから減筒運転モードへの変更時と減筒運転モードから全筒運転モードへの変更時とで異なる後輪12Rへの配分トルクになるように後輪12Rに対するトルク配分を一時的に増大させるようにしてもよい。
このように、本実施形態に係る四輪駆動車においても、全筒運転モード及び減筒運転モードで前記トルク伝達手段における異音の発生を抑制するように後輪12Rに対するトルク配分を増大させる異音抑制手段34が備えられ、該異音抑制手段34は、全筒運転モードと減筒運転モードとでそれぞれ前記トルク伝達手段が異音発生状態となる運転領域に応じて後輪12Rに対するトルク配分を変更させる。これにより、燃費の悪化を抑制しつつ全筒運転モードで異音の発生を抑制すると共に減筒運転モードで異音の発生を抑制することができる。
また、異音抑制手段34は、運転モードの変更時に、変更後の後輪12Rに対するトルク配分が変更前の後輪12Rに対するトルク配分より増大される運転領域において後輪12Rに対するトルク配分を変更後の後輪12Rに対するトルク配分よりも一時的に増大させる。これにより、後輪12Rに対するトルク配分を運転モード変更後の後輪12Rに対するトルク配分に速やかに増大させることができ、後輪12Rに対するトルク配分の増大制御に対する応答性の遅れによる異音の発生を抑制することができる。
本実施形態では、運転モードを変更するときエンジンが変更後の運転状態に制御されるときに、後輪12Rに対するトルク配分を変更後の後輪12Rに対するトルク配分よりも一時的に増大させて後輪12Rに対するトルク配分の増大制御に対する応答性の遅れによる異音の発生を抑制しているが、運転モードを変更するときエンジンが切替運転状態に制御されるときに、後輪12Rに対するトルク配分を変更後の後輪12Rに対するトルク配分に増大させて後輪12Rに対するトルク配分の増大制御に対する応答性の遅れによる異音の発生を抑制することも可能である。
図8は、運転モード変更時における後輪への配分トルクの別の増大制御を説明するための説明図である。なお、図8及び後述する図9では、図7の破線で示す後輪12Rへの配分トルク指示値及び後輪12Rへの配分トルクについても示している。
図8の実線に示すように、時間t1においてエンジンが減筒運転状態から全筒運転状態への切替運転状態に制御されるときに、第1エンジン回転数N1と第2エンジン回転数N2との間の運転領域において、後輪12Rへの配分トルクがT1になるように後輪12Rに対するトルク配分の増大制御を開始することで、エンジンが全筒運転状態に制御されるときに後輪12Rに対するトルク配分の増大制御を開始した場合に後輪12Rに配分トルクT1が伝達される時間t3よりも早い時間t3´において後輪12Rに配分トルクT1を伝達させ、後輪12Rに対するトルク配分の増大制御に対する応答性の遅れによる異音の発生を抑制することが可能である。
全筒運転モードから減筒運転モードへ変更するときについても同様に、エンジンが全筒運転状態から減筒運転状態への切替運転状態に制御されるときに、第3エンジン回転数N3と第4エンジン回転数N4との間の運転領域において、後輪12Rへの配分トルクがT1になるように後輪12Rに対するトルク配分の増大制御を開始することで、後輪12Rに対するトルク配分の増大制御に対する応答性の遅れによる異音の発生を抑制することが可能である。
また、運転モードを変更するときエンジンが切替運転状態に制御されるときに、後輪12Rに対するトルク配分を変更後の後輪12Rに対するトルク配分よりも一時的に増大させて後輪12Rに対するトルク配分の増大制御に対する応答性の遅れによる異音の発生をさらに抑制することも可能である。
図9は、運転モード変更時における後輪への配分トルクの更に別の増大制御を説明するための説明図である。図9の実線で示すように、時間t1においてエンジンが減筒運転状態から全筒運転状態への切替運転状態に制御されるときに、第1エンジン回転数N1と第2エンジン回転数N2との間の運転領域において、後輪12Rへの配分トルクが変更後の後輪12Rへの配分トルクT1よりも増大させた配分トルクT1´になるように後輪12Rに対するトルク配分の増大制御を開始し、その後に、時間t3´において後輪12Rに配分トルクT1´が伝達されると、後輪12Rへの配分トルクがT1になるように後輪12Rに対するトルク配分を変更して後輪12Rに配分トルクT1が伝達されるように制御することで、エンジンが全筒運転状態に制御されるときに後輪12Rに対するトルク配分の増大制御を開始した場合に後輪12Rに配分トルクT1が伝達される時間t3よりも早い時間t3´´において後輪12Rへの配分トルクをT1以上にし、後輪12Rに対するトルク配分の増大制御に対する応答性の遅れによる異音の発生をさらに抑制することが可能である。
全筒運転モードから減筒運転モードへ変更するときについても同様に、エンジンが全筒運転状態から減筒運転状態への切替運転状態に制御されるときに、第3エンジン回転数N3と第4エンジン回転数N4との間の運転領域において、後輪12Rへの配分トルクがT1´になるように後輪12Rに対するトルク配分の増大制御を開始し、その後に、後輪12Rに配分トルクT1´が伝達されると、後輪12Rへの配分トルクがT1になるように後輪12Rに対するトルク配分を変更して後輪12Rに配分トルクT1が伝達されるように制御することで、後輪12Rに対するトルク配分の増大制御に対する応答性の遅れによる異音の発生をさらに抑制することが可能である。
図10は、本発明の第4実施形態に係る四輪駆動車におけるエンジン回転数と駆動系の変動トルク及び後輪への配分トルクとの関係を示すグラフであり、図10(a)は、全筒運転モード及び減筒運転モードにおける後輪への配分トルクを示し、図10(b)は、運転モード変更時における後輪への配分トルクを示している。
第4実施形態に係る四輪駆動車は、第3実施形態に係る四輪駆動車と、減筒運転モードにおける異音抑制制御のためのエンジン回転数と後輪12Rへの配分トルクとの関係が異なると共に全筒運転モードから減筒運転モードへの変更時の運転モード変更時用トルクマップが異なること以外は同様であるので、同様の構成については説明を省略する。
本実施形態においても、制御ユニット34は、図10(a)に示すように、全筒運転モードで第1運転領域、すなわち第1エンジン回転数N1と第2エンジン回転数N2との間の運転領域にあるときに全筒運転モードにおける異音抑制制御を行い、異音の発生を抑制するように後輪12Rに対するトルク配分を増大させ、図10(a)の実線L1で示すように、波形WaのピークPaの変動トルクを超える後輪12Rへの配分トルクT1になるように制御する。
本実施形態では、制御ユニット34には、減筒運転モードで前記トルク伝達手段が異音発生状態となる第2運転領域として、変動トルクの波形WbのピークPbとなるエンジン回転数Nbを含む第1エンジン回転数N1と該第1エンジン回転数より高エンジン回転数側の第4エンジン回転数N4との間の運転領域が設定されて記憶されている。
そして、制御ユニット34は、減筒運転モードで第2運転領域、すなわち第1エンジンN1と第4エンジン回転数N4との間の運転領域にあるときに減筒運転モードにおける異音抑制制御を行い、図10(a)の破線L32で示すように、第1エンジン回転数N1と第3エンジン回転数N3との間の運転領域にあるときに異音の発生を抑制するように後輪12Rに対するトルク配分を増大させて波形Wbの変動トルクを超える後輪12Rへの配分トルクT3になるように制御し、第3エンジン回転数N3と第4エンジン回転数N4との間の運転領域にあるときに異音の発生を抑制するように後輪12Rに対するトルク配分を増大させて波形WbのピークPbの変動トルクを超える後輪12Rへの配分トルクT3よりも大きい配分トルクT1になるように制御する。
本実施形態においても、制御ユニット34は、全筒運転モードから減筒運転モードへの変更時及び減筒運転モードから全筒運転モードへの変更時にそれぞれ、エンジン回転数と後輪12Rに配分するトルクとの関係が設定された運転モード変更時用トルクマップに基づいて後輪12Rに対するトルク配分を一時的に変更させ、その後に、変更後の運転モードにおける後輪12Rに対するトルク配分に変更させる。
制御ユニット34には、全筒運転モードから減筒運転モードへの変更時におけるエンジン回転数と後輪12Rに配分するトルクとの関係が設定された運転モード変更時用トルクマップと、減筒運転モードから全筒運転モードへの変更時におけるエンジン回転数と後輪12Rに配分するトルクとの関係が設定された運転モード変更時用トルクマップとが記憶されている。
減筒運転モードから全筒運転モードへの変更時の運転モード変更時用トルクマップは、図10(b)の実線L21で示すように、変更後の全筒運転モードにおける後輪12Rに対するトルク配分が変更前の減筒運転モードにおける後輪12Rに対するトルク配分より増大されて変更後の後輪12Rへの配分トルクが変更前の後輪12Rへの配分トルクより増大される運転領域、すなわち第1エンジン回転数N1と第2エンジン回転数N2との間の運転領域において、後輪12Rへの配分トルクを変更後の後輪12Rへの配分トルクT1よりも増大させた配分トルクT1´に変更させるように設定されている。
一方、全筒運転モードから減筒運転モードへの変更時の運転モード変更時用トルクマップは、図10(b)の破線L42で示すように、変更後の減筒運転モードにおける後輪12Rに対するトルク配分が変更前の全筒運転モードにおける後輪12Rに対するトルク配分より増大されて変更後の後輪12Rへの配分トルクが変更前の後輪12Rへの配分トルクより増大される運転領域、すなわち第2エンジン回転数N2と第4エンジン回転数N4との間の運転領域において、後輪12Rへの配分トルクを変更後の後輪12Rへの配分トルクよりも増大させた配分トルクに変更させるように設定されている。
具体的には、第2エンジン回転数N2と第3エンジン回転数N3との間の運転領域において後輪12Rへの配分トルクを変更後の後輪12Rへの配分トルクT3よりも増大させた配分トルクT3´に変更させるように設定され、第3エンジン回転数N3と第4エンジン回転数N4との間の運転領域において後輪12Rへの配分トルクを変更後の後輪12Rへの配分トルクT1よりも増大させた配分トルクT1´に変更させるように設定されている。
全筒運転モードから減筒運転モードへの変更時の運転モード変更時用トルクマップはまた、変更後の減筒運転モードにおける後輪12Rに対するトルク配分が変更前の全筒運転モードにおける後輪12Rに対するトルク配分より減少されて変更後の後輪12Rへの配分トルクが変更前の後輪12Rへの配分トルクより減少される運転領域、すなわち第1エンジン回転数N1と第2エンジン回転数N2との間の運転領域において、後輪12Rへの配分トルクを変更後の後輪12Rへの配分トルクT3よりも減少させた配分トルクT3´´に変更させるように設定されている。
そして、制御ユニット34は、減筒運転モードから全筒運転モードへの変更時には、減筒運転モードから全筒運転モードへの変更時の運転モード変更時用トルクマップに基づいて、第1エンジン回転数N1と第2エンジン回転数N2との間の運転領域において後輪12Rへの配分トルクを変更後の後輪12Rへの配分トルクT1よりも増大させた配分トルクT1´になるように後輪12Rに対するトルク配分を変更後の後輪12Rに対するトルク配分よりも一時的に増大させ、その後に、変更後の後輪12Rへの配分トルクT1になるように後輪12Rに対するトルク配分に変更させる。
制御ユニット34は、全筒運転モードから減筒運転モードへの変更時についても同様に、全筒運転モードから減筒運転モードへの変更時の運転モード変更時用トルクマップに基づいて、第2エンジン回転数N2と第3エンジン回転数N3との間の運転領域において後輪12Rへの配分トルクを変更後の後輪12Rへの配分トルクT1よりも増大させた配分トルクT3´になるように後輪12Rに対するトルク配分を変更後の後輪12Rに対するトルク配分よりも一時的に増大させ、その後に、変更後の後輪12Rへの配分トルクT3になるように後輪12Rに対するトルク配分に変更させる。
また、全筒運転モードから減筒運転モードへの変更時の運転モード変更時用トルクマップに基づいて、第3エンジン回転数N3と第4エンジン回転数N4との間の運転領域において後輪12Rへの配分トルクを変更後の後輪12Rへの配分トルクT1よりも増大させた配分トルクT1´になるように後輪12Rに対するトルク配分を変更後の後輪12Rに対するトルク配分よりも一時的に増大させ、その後に、変更後の後輪12Rへの配分トルクT1になるように後輪12Rに対するトルク配分に変更させる。
全筒運転モードから減筒運転モードへの変更時にはまた、全筒運転モードから減筒運転モードへの変更時の運転モード変更時用トルクマップに基づいて、第1エンジン回転数N1と第2エンジン回転数N2との間の運転領域において後輪12Rへの配分トルクを変更後の後輪12Rへの配分トルクT3よりも減少させた配分トルクT3´´になるように後輪12Rに対するトルク配分を変更後の後輪12Rに対するトルク配分よりも一時的に減少させ、その後に、変更後の後輪12Rへの配分トルクT3になるように後輪12Rに対するトルク配分に変更させる。
図11は、運転モード変更時における後輪への配分トルクの減少制御を説明するための説明図である。図11に示すように、時間t1において全筒運転モードから減筒運転モードへ変更するとき、時刻t1において全筒運転モードから減筒運転モードへの切替制御を開始し、エンジンは、時間t1において全筒運転状態から減筒運転状態への切替運転状態に制御され、所定時間経過後の時間t2において減筒運転状態に制御される。
時間t2においてエンジンが減筒運転状態に制御されるときに、第1エンジン回転数N1と第2エンジン回転数N2との間の運転領域において、図11の破線で示すように、後輪12Rへの配分トルクがT3になるように後輪12Rに対するトルク配分の減少制御を開始した場合、後輪12Rへの実際の配分トルクは徐々に減少して所定時間経過後の時間t3において後輪12Rに実際に配分トルクT3が伝達されることとなり、後輪12Rに対するトルク配分の減少制御に対して応答性の遅れが生じ、応答性の遅れによる燃費の悪化を引き起こし得る。
後輪12Rに対するトルク配分の減少制御に対する後輪12Rへの実際の配分トルクの減少度合いは、後輪12Rへの配分トルクの減少量が大きいほど大きくなることから、本実施形態では、全筒運転モードから減筒運転モードへ変更するときに、全筒運転モードから減筒運転モードへの変更時の運転モード変更時用トルクマップに基づいて、後輪12Rへの配分トルクを変更後の後輪12Rへの配分トルクT3よりも減少させた配分トルクT3´´になるように後輪12Rに対するトルク配分を変更後の後輪12Rに対するトルク配分よりも一時的に減少させる。
図11の実線で示すように、時間t2においてエンジンが減筒運転状態に制御されるときに、第1エンジン回転数N1と第2エンジン回転数N2との間の運転領域において、後輪12Rへの配分トルクがT3´´になるように後輪12Rに対するトルク配分の減少制御を開始し、その後に、時間t3´において後輪12Rに配分トルクT3´´が伝達されると、後輪12Rへの配分トルクがT3になるように後輪12Rに対するトルク配分を変更して後輪12Rに配分トルクT3が伝達されるように制御する。
これにより、後輪12Rに対するトルク配分を速やかに減少させて後輪12Rへの実際の配分トルクを速やかに減少させ、時間t3よりも早い時間t3´´において後輪12Rへの配分トルクをT3以下にすることができるので、後輪12Rに対するトルク配分の減少制御に対する応答性の遅れによる燃費の悪化を抑制することができる。
このように、本実施形態に係る四輪駆動車においても、全筒運転モード及び減筒運転モードで前記トルク伝達手段における異音の発生を抑制するように後輪12Rに対するトルク配分を増大させる異音抑制手段34が備えられ、該異音抑制手段34は、全筒運転モードと減筒運転モードとでそれぞれ前記トルク伝達手段が異音発生状態となる運転領域に応じて後輪12Rに対するトルク配分を変更させる。これにより、燃費の悪化を抑制しつつ全筒運転モードで異音の発生を抑制すると共に減筒運転モードで異音の発生を抑制することができる。
また、異音抑制手段34は、運転モードの変更時に、変更後の後輪12Rに対するトルク配分が変更前の後輪12Rに対するトルク配分より増大される運転領域において後輪12Rに対するトルク配分を変更後の後輪12Rに対するトルク配分よりも一時的に増大させる。これにより、後輪12Rに対するトルク配分を運転モード変更後の後輪12Rに対するトルク配分に速やかに増大させることができ、後輪12Rに対するトルク配分の増大制御に対する応答性の遅れによる異音の発生を抑制することができる。
また、異音抑制手段34は、運転モードの変更時に、変更後の後輪12Rに対するトルク配分が変更前の後輪12Rに対するトルク配分より減少される運転領域において後輪12Rに対するトルク配分を変更後の後輪12Rに対するトルク配分よりも一時的に減少させる。これにより、後輪12Rに対するトルク配分を運転モード変更後の後輪12Rに対するトルク配分に速やかに減少させることができ、燃費の悪化をさらに抑制することができる。
本実施形態では、全筒運転モードから減筒運転モードへ変更するときエンジンが減筒運転状態に制御されるときに、後輪12Rに対するトルク配分を変更後の後輪12Rに対するトルク配分よりも一時的に減少させて後輪12Rに対するトルク配分の減少制御に対する応答性の遅れによる燃費の悪化を抑制しているが、全筒運転モードから減筒運転モードへ変更するときエンジンが切替運転状態に制御されるときに、後輪12Rに対するトルク配分を変更後の後輪12Rに対するトルク配分に減少させて後輪12Rに対するトルク配分の減少制御に対する応答性の遅れによる燃費の悪化を抑制することも可能である。
図12は、運転モード変更時における後輪への配分トルクの別の減少制御を説明するための説明図である。なお、図12及び後述する図13では、図11の破線で示す後輪12Rへの配分トルク指示値及び後輪12Rへの配分トルクについても示している。
図12の実線に示すように、時間t1においてエンジンが全筒運転状態から減筒運転状態への切替運転状態に制御されるときに、第1エンジン回転数N1と第2エンジン回転数N2との間の運転領域において、後輪12Rへの配分トルクがT3になるように後輪12Rに対するトルク配分の減少制御を開始することで、エンジンが減筒運転状態に制御されるときに後輪12Rに対するトルク配分の減少制御を開始した場合に後輪12Rに配分トルクT3が伝達される時間t3よりも早い時間t3´において後輪12Rに配分トルクT3を伝達させ、後輪12Rに対するトルク配分の減少制御に対する応答性の遅れによる燃費の悪化を抑制することが可能である。
また、全筒運転モードから減筒運転モードへ変更するときエンジンが切替運転状態に制御されるときに、後輪12Rに対するトルク配分を変更後の後輪12Rに対するトルク配分よりも一時的に減少させて後輪12Rに対するトルク配分の減少制御に対する応答性の遅れによる燃費の悪化をさらに抑制することも可能である。
図13は、運転モード変更時における後輪への配分トルクの更に別の減少制御を説明するための説明図である。図13の実線で示すように、時間t1においてエンジンが全筒運転状態から減筒運転状態への切替運転状態に制御されるときに、第1エンジン回転数N1と第2エンジン回転数N2との間の運転領域において、後輪12Rへの配分トルクが変更後の後輪12Rへの配分トルクT3よりも減少させた配分トルクT3´´になるように後輪12Rに対するトルク配分の減少制御を開始し、その後に、時間t3´において後輪12Rに配分トルクT3´´が伝達されると、後輪12Rへの配分トルクがT3になるように後輪12Rに対するトルク配分を変更して後輪12Rに配分トルクT3が伝達されるように制御することで、エンジンが減筒運転状態に制御されるときに後輪12Rに対するトルク配分の減少制御を開始した場合に後輪12Rに配分トルクT3が伝達される時間t3よりも早い時間t3´´において後輪12Rへの配分トルクをT3以下にし、後輪12Rに対するトルク配分の減少制御に対する応答性の遅れによる燃費の悪化をさらに抑制することが可能である。
前述した実施形態では、四気筒を作動させる全筒運転モードと二気筒を作動させる減筒運転モードとが切換可能に構成された四気筒エンジンを有する四輪駆動車10について説明しているが、減筒運転モードとして二気筒を作動させる減筒運転モードを有するものに限定するものでなく、減筒運転モードとして一気筒、二気筒及び三気筒の何れかを作動させるものについても同様に適用することができる。
図14は、本発明の第5実施形態に係る四輪駆動車におけるエンジン回転数と駆動系の変動トルク及び後輪への配分トルクとの関係を示すグラフである。第5実施形態に係る四輪駆動車は、第1実施形態に係る四輪駆動車10と、減筒運転モードとして一気筒及び三気筒をそれぞれ作動させる減筒運転モードをさらに有すると共に、前記減筒運転モードにおいても前記トルク伝達手段で異音が発生することを抑制するように後輪12Rに対するトルク配分を増大させること以外は同様であるので、同様の構成については説明を省略する。
本実施形態では、エンジン14は、減筒運転モードとして、一気筒を休止させて三気筒を作動させる一気筒減筒運転モードと、二気筒を休止させて二気筒を作動させる二気筒減筒運転モードと、三気筒を休止させて一気筒を作動させる三気筒減筒運転モードとを有し、四気筒を作動させる全筒運転モードとこれら減筒運転モードとがそれぞれ切換可能に構成されている。
制御ユニット34には、エンジン回転数及びアクセル開度と運転モード、具体的には全筒運転モード、一気筒減筒運転モード、二気筒減筒運転モード及び三気筒減筒運転モードとの関係を示す運転モードマップが記憶されており、制御ユニット34は、運転モードマップを用いてエンジン回転数及びアクセル開度から運転モードを切り換えるように制御する。
制御ユニット34はまた、全筒運転モード及び減筒運転モードにおいて前記トルク伝達手段で異音が発生することを抑制するように後輪12Rに対するトルク配分を増大させるように制御し、全筒運転モードでは該全筒運転モードで前記トルク伝達手段が異音発生状態となる第1運転領域にあるときに異音の発生を抑制するように後輪12Rに対するトルク配分を増大させ、二気筒減筒運転モード、一気筒減筒運転モード及び三気筒減筒運転モードではそれぞれ各減筒運転モードで前記トルク伝達手段が異音発生状態となる第2運転領域、第3運転領域及び第4運転領域にあるときに異音の発生を抑制するように後輪12Rに対するトルク配分を増大させるように制御する。
図14では、全筒運転モードにおける前記駆動系の変動トルクの波形を実線Waで示し、二気筒減筒運転モードにおける前記駆動系の変動トルクの波形を破線Wbで示し、一気筒減筒運転モードにおける前記駆動系の変動トルクの波形を一点鎖線Wcで示し、三気筒減筒運転モードにおける前記駆動系の変動トルクの波形を二点鎖線Wdで示している。
図14に示すように、全筒運転モードの変動トルクの波形Waは、所定のエンジン回転数NaでピークPaを有し、一気筒減筒運転モードの変動トルクの波形Wcは、エンジン回転数Naより高エンジン回転数側の所定のエンジン回転数NcでピークPcを有し、二気筒減筒運転モードの変動トルクの波形Wbは、エンジン回転数Ncより高エンジン回転数側の所定のエンジン回転数NbでピークPbを有し、三気筒減筒運転モードの変動トルクの波形Wdは、エンジン回転数Nbより高エンジン回転数側の所定のエンジン回転数NdでピークPdを有している。
制御ユニット34には、全筒運転モードで前記トルク伝達手段が異音発生状態となる第1運転領域として、変動トルクの波形WaのピークPaとなるエンジン回転数Naを含む所定の第1エンジン回転数N1と該第1エンジン回転数N1より高エンジン回転数側の所定の第2エンジン回転数N2との間の運転領域が設定されて記憶されている。
また、一気筒減筒運転モードで前記トルク伝達手段が異音発生状態となる第3運転領域として、変動トルクの波形WcのピークPcとなるエンジン回転数Ncを含む所定の第5エンジン回転数N5と該第5エンジン回転数N5より高エンジン回転数側の所定の第6エンジン回転数N6との間の運転領域が設定されて記憶されている。
また、二気筒減筒運転モードで前記トルク伝達手段が異音発生状態となる第2運転領域として、変動トルクの波形WbのピークPbとなるエンジン回転数Nbを含む所定の第3エンジン回転数N3と該第3エンジン回転数N3より高エンジン回転数側の所定の第4エンジン回転数N4との間の運転領域が設定されて記憶されている。
また、三気筒減筒運転モードで前記トルク伝達手段が異音発生状態となる第4運転領域として、変動トルクの波形WdのピークPdとなるエンジン回転数Ndを含む所定の第7エンジン回転数N7と該第7エンジン回転数N7より高エンジン回転数側の所定の第8エンジン回転数N8との間の運転領域が設定されて記憶されている。
そして、制御ユニット34は、全筒運転モードで第1運転領域、すなわち第1エンジン回転数N1と第2エンジン回転数N2との間の運転領域にあるときに全筒運転モードにおける異音抑制制御を行い、異音の発生を抑制するように後輪12Rに対するトルク配分を増大させ、図14の実線L1で示すように、波形WaのピークPaの変動トルクを超える後輪12Rへの配分トルクT1になるように制御する。
また、一気筒減筒運転モードで第3運転領域、すなわち第5エンジン回転数N5と第6エンジン回転数N6との間の運転領域にあるときに一気筒減筒運転モードにおける異音抑制制御を行い、異音の発生を抑制するように後輪12Rに対するトルク配分を増大させ、図14の一点鎖線L51で示すように、波形WcのピークPcの変動トルクを超える後輪12Rへの配分トルクT1になるように制御する。
また、二気筒減筒運転モードで第2運転領域、すなわち第3エンジン回転数N3と第4エンジン回転数N4との間の運転領域にあるときに二気筒減筒運転モードにおける異音抑制制御を行い、異音の発生を抑制するように後輪12Rに対するトルク配分を増大させ、図14の破線L2で示すように、波形WbのピークPbの変動トルクを超える後輪12Rへの配分トルクT1になるように制御する。
また、三気筒減筒運転モードで第4運転領域、すなわち第7エンジン回転数N7と第8エンジン回転数N8との間の運転領域にあるときに三気筒減筒運転モードにおける異音抑制制御を行い、異音の発生を抑制するように後輪12Rに対するトルク配分を増大させ、図14の二点鎖線L52で示すように、波形WdのピークPdの変動トルクを超える後輪12Rへの配分トルクT1になるように制御する。
制御ユニット34には、四輪駆動車10の前記駆動系の変動トルクの波形Wa、Wb、Wc、Wdが記憶されると共に、全筒運転モード及び各減筒運転モードにおける異音抑制制御のためのエンジン回転数と後輪12Rへの配分トルクとの関係が設定されて記憶されている。
本実施形態においても、制御ユニット34は、全筒運転モードと各減筒運転モードとにおいてそれぞれ前記トルク伝達手段が異音発生状態となる運転領域に応じて後輪12Rに対するトルク配分を変更させる。
このように、本実施形態に係る四輪駆動車においても、全筒運転モード及び減筒運転モードで前記トルク伝達手段における異音の発生を抑制するように後輪12Rに対するトルク配分を増大させる異音抑制手段34が備えられ、該異音抑制手段34は、全筒運転モードと減筒運転モードとでそれぞれ前記トルク伝達手段が異音発生状態となる運転領域に応じて後輪12Rに対するトルク配分を変更させる。これにより、燃費の悪化を抑制しつつ全筒運転モードで異音の発生を抑制すると共に減筒運転モードで異音の発生を抑制することができる。
第5実施形態に係る四輪駆動車においても、第3実施形態に係る四輪駆動車と同様に、運転モードの変更時に、変更後の運転モードにおける後輪12Rに対するトルク配分が変更前の運転モードにおける後輪12Rに対するトルク配分より増大される運転領域において後輪12Rに対するトルク配分を変更後の運転モードにおける後輪12Rに対するトルク配分よりも一時的に増大させることも可能である。
図15は、本発明の第6実施形態に係る四輪駆動車におけるエンジン回転数と駆動系の変動トルク及び後輪への配分トルクとの関係を示すグラフである。なお、図15では、分かり易くするために、一気筒及び二気筒減筒運転モードにおける後輪への配分トルクを一部少しずらして示している。
第6実施形態に係る四輪駆動車は、第5実施形態に係る四輪駆動車と、減筒運転モードにおける異音抑制制御のためのエンジン回転数と後輪12Rへの配分トルクとの関係が異なること以外は同様であるので、同様の構成については説明を省略する。
本実施形態においても、制御ユニット34は、図15に示すように、全筒運転モードで第1運転領域、すなわち第1エンジン回転数N1と第2エンジン回転数N2との間の運転領域にあるときに全筒運転モードにおける異音抑制制御を行い、異音の発生を抑制するように後輪12Rに対するトルク配分を増大させ、図15の実線L1で示すように、波形WaのピークPaの変動トルクを超える後輪12Rへの配分トルクT1になるように制御する。
本実施形態では、制御ユニット34には、一気筒減筒運転モードで前記トルク伝達手段が異音発生状態となる第3運転領域として、変動トルクの波形WcのピークPcとなるエンジン回転数Ncを含む第1エンジン回転数N1と第6エンジン回転数N6との間の運転領域が設定されて記憶されている。
また、二気筒減筒運転モードで前記トルク伝達手段が異音発生状態となる第2運転領域として、変動トルクの波形WbのピークPbとなるエンジン回転数Nbを含む第1エンジン回転数N1と第4エンジン回転数N4との間の運転領域が設定されて記憶されている。
また、三気筒減筒運転モードで前記トルク伝達手段が異音発生状態となる第4運転領域として、変動トルクの波形WdのピークPdとなるエンジン回転数Ndを含む第1エンジン回転数N1と第8エンジン回転数N8との間の運転領域が設定されて記憶されている。
そして、制御ユニット34は、一気筒減筒運転モードで第3運転領域、すなわち第1エンジンN1と第5エンジン回転数N5との間の運転領域にあるときに一気筒減筒運転モードにおける異音抑制制御を行い、図15の一点鎖線L61で示すように、第1エンジン回転数N1と第5エンジン回転数N5との間の運転領域にあるときに異音の発生を抑制するように後輪12Rに対するトルク配分を増大させて波形Wcの変動トルクを超える後輪12Rへの配分トルクT3になるように制御し、第5エンジン回転数N5と第6エンジン回転数N6との間の運転領域にあるときに異音の発生を抑制するように後輪12Rに対するトルク配分を増大させて波形WcのピークPcの変動トルクを超える後輪12Rへの配分トルクT3よりも大きい後輪12Rへの配分トルクT1になるように制御する。
また、二気筒減筒運転モードで第2運転領域、すなわち第1エンジンN1と第4エンジン回転数N4との間の運転領域にあるときに二気筒減筒運転モードにおける異音抑制制御を行い、図15の破線L62で示すように、第1エンジン回転数N1と第3エンジン回転数N3との間の運転領域にあるときに異音の発生を抑制するように後輪12Rに対するトルク配分を増大させて波形Wbの変動トルクを超える後輪12Rへの配分トルクT3になるように制御し、第3エンジン回転数N3と第4エンジン回転数N4との間の運転領域にあるときに異音の発生を抑制するように後輪12Rに対するトルク配分を増大させて波形WbのピークPbの変動トルクを超える後輪12Rへの配分トルクT3よりも大きい後輪12Rへの配分トルクT1になるように制御する。
また、三気筒減筒運転モードで第4運転領域、すなわち第1エンジンN1と第8エンジン回転数N8との間の運転領域にあるときに三気筒減筒運転モードにおける異音抑制制御を行い、図15の二点鎖線L63で示すように、第1エンジン回転数N1と第7エンジン回転数N7との間の運転領域にあるときに異音の発生を抑制するように後輪12Rに対するトルク配分を増大させて波形Wdの変動トルクを超える後輪12Rへの配分トルクT3になるように制御し、第7エンジン回転数N7と第8エンジン回転数N8との間の運転領域にあるときに異音の発生を抑制するように後輪12Rに対するトルク配分を増大させて波形WdのピークPdの変動トルクを超える後輪12Rへの配分トルクT3よりも大きい後輪12Rへの配分トルクT1になるように制御する。
制御ユニット34には、四輪駆動車10の前記駆動系の変動トルクの波形Wa、Wb、Wc、Wdが記憶されると共に、全筒運転モード及び各減筒運転モードにおける異音抑制制御のためのエンジン回転数と後輪12Rへの配分トルクとの関係が設定されて記憶されている。
本実施形態においても、制御ユニット34は、全筒運転モードと各減筒運転モードとにおいてそれぞれ前記トルク伝達手段が異音発生状態となる運転領域に応じて後輪12Rに対するトルク配分を変更させる。
このように、本実施形態に係る四輪駆動車においても、全筒運転モード及び減筒運転モードで前記トルク伝達手段における異音の発生を抑制するように後輪12Rに対するトルク配分を増大させる異音抑制手段34が備えられ、該異音抑制手段34は、全筒運転モードと減筒運転モードとでそれぞれ前記トルク伝達手段が異音発生状態となる運転領域に応じて後輪12Rに対するトルク配分を変更させる。これにより、燃費の悪化を抑制しつつ全筒運転モードで異音の発生を抑制すると共に減筒運転モードで異音の発生を抑制することができる。
第6実施形態に係る四輪駆動車においても、第4実施形態に係る四輪駆動車と同様に、運転モードの変更時に、変更後の運転モードにおける後輪12Rに対するトルク配分が変更前の運転モードにおける後輪12Rに対するトルク配分より増大される運転領域において後輪12Rに対するトルク配分を変更後の運転モードにおける後輪12Rに対するトルク配分よりも一時的に増大させ、変更後の運転モードにおける後輪12Rに対するトルク配分が変更前の運転モードにおける後輪12Rに対するトルク配分より減少される運転領域において後輪12Rに対するトルク配分を変更後の運転モードにおける後輪12Rに対するトルク配分よりも一時的に減少させることも可能である。
図16は、本発明の第7実施形態に係る四輪駆動車におけるエンジン回転数及びアクセル開度と燃焼モードとの関係を示す図である。第7実施形態に係る四輪駆動車では、第1実施形態に係る四輪駆動車10において、エンジン14はまた、燃焼モードを火花点火モードと圧縮着火モードとに切換可能に構成されている。
火花点火モードでは、点火プラグ周りからの火炎伝播により燃焼室内の燃料が次第に燃焼され、圧縮着火モードでは、気筒内で空気と燃料との混合ガスを圧縮することにより燃料を自己着火させて燃焼室の至るところで略一斉に燃焼が開始され、圧縮着火モードは、火花点火モードに比して急速に燃焼が進むためにエンジン14の変動トルクが大きくなる。
制御ユニット34には、図16に示すエンジン回転数及びアクセル開度と燃焼モード、具体的には火花点火モード及び圧縮着火モードとの関係を示す燃焼モードマップが記憶されており、制御ユニット34は、燃焼モードマップを用いてエンジン回転数及びアクセル開度からエンジン14の燃焼モードを火花点火モードと圧縮着火モードとに切り換えるように制御する。
本実施形態では、図16に示すように、燃焼モードを火花点火モードとする火花点火領域が高回転、高負荷側に設定され、燃焼モードを圧縮着火モードとする圧縮着火領域が低回転、低負荷側に設定されている。
エンジン14はまた、運転モードを全筒運転モードと減筒運転モードとに切換可能に構成されており、図16に示す燃焼モードマップに運転モードマップが組み合わせられ、図示されていないが、図16に示す火花点火領域と圧縮着火領域とはそれぞれさらに全筒運転領域と減筒運転領域とに区画されている。
制御ユニット34は、燃焼モードマップに運転モードマップが組み合わせられたものを用いて、エンジン回転数及びアクセル開度からエンジン14の燃焼モードを火花点火モードと圧縮着火モードとに切り換えると共に運転モードを全筒運転モードと減筒運転モードとに切り換えるように制御する。
制御ユニット34はまた、火花点火モード及び圧縮着火モードにおいてそれぞれ前記トルク伝達手段で異音が発生することを抑制するように後輪12Rに対するトルク配分を増大させるように制御する。
制御ユニット34は、火花点火モードでは該火花点火モードで前記トルク伝達手段が異音発生状態となる運転領域にあるときに異音の発生を抑制するように後輪12Rに対するトルク配分を増大させ、圧縮着火モードでは該圧縮着火モードで前記トルク伝達手段が異音発生状態となる運転領域にあるときに異音の発生を抑制するように後輪12Rに対するトルク配分を増大させるように制御する。
圧縮着火モードは、火花点火モードに比してエンジン14の変動トルクが大きくなることから、制御ユニット34は、圧縮着火モードでは、火花点火モードに比して、異音の発生を抑制するように増大される後輪12Rに対するトルク配分を増大させるように制御する。
このように、制御ユニット34は、火花点火モードと圧縮着火モードとにおいてそれぞれ前記トルク伝達手段が異音発生状態となる運転領域に応じて後輪12Rに対するトルク配分を変更させる。
図17は、前記四輪駆動車におけるエンジン回転数と駆動系の変動トルク及び後輪への配分トルクとの関係を示すグラフであり、図17(a)は、全筒運転モードについて火花点火モード及び圧縮着火モードにおける後輪への配分トルクを示し、図17(b)は、全筒運転モードについて燃焼モード変更時における後輪への配分トルクを示している。図17(a)及び図17(b)では、全筒運転モードについて火花点火モードにおける前記駆動系の変動トルクの波形を実線Wa1で示し、全筒運転モードについて圧縮着火モードにおける前記駆動系の変動トルクの波形を破線Wa2で示している。
図17(a)及び図17(b)に示すように、火花点火モードの変動トルクの波形Wa1は、所定のエンジン回転数Na1でピークPa1を有し、圧縮着火モードの変動トルクの波形Wa2は、火花点火モードの変動トルクの波形Wa1と同一のエンジン回転数Na1で火花点火モードの変動トルクの波形Wa1のピークPa1よりも大きいピークPa2を有している。
制御ユニット34には、全筒運転モードについて火花点火モード及び圧縮着火モードで前記トルク伝達手段が異音発生状態となる運転領域として、変動トルクの波形Wa1のピークPa1及び波形Wa2のピークPa2となるエンジン回転数Na1を含む所定の第1エンジン回転数N11と該第1エンジン回転数N11より高エンジン回転数側の所定の第2エンジン回転数N12との間の運転領域が設定されて記憶されている。
そして、制御ユニット34は、火花点火モードで第1エンジン回転数N11と第2エンジン回転数N12との間の運転領域にあるときに火花点火モードにおける異音抑制制御を行い、異音の発生を抑制するように後輪12Rに対するトルク配分を増大させ、図17(a)の実線L71で示すように、波形Wa1のピークPa1の変動トルクを超える後輪12Rへの配分トルクT11になるように制御する。
制御ユニット34はまた、圧縮着火モードで第1エンジン回転数N11と第2エンジン回転数N12との間の運転領域にあるときに圧縮着火モードにおける異音抑制制御を行い、異音の発生を抑制するように後輪12Rに対するトルク配分を増大させ、図17(a)の破線L72で示すように、波形Wa2のピークPa2の変動トルクを超える後輪12Rへの配分トルクT12になるように制御する。
制御ユニット34はまた、全筒運転モードにおいて火花点火モードから圧縮着火モードへの燃焼モードの切換時に、エンジン回転数と後輪12Rに配分するトルクとの関係が設定された燃焼モード切換時用トルクマップに基づいて後輪12Rに対するトルク配分を一時的に変更させ、その後に、変更後の燃焼モードにおける後輪12Rに対するトルク配分に変更させる。
火花点火モードから圧縮着火モードへの燃焼モード切換時用トルクマップは、図17(b)の実線L82で示すように、変更後の燃焼モードである圧縮着火モードにおける後輪12Rに対するトルク配分が変更前の燃焼モードである火花天下モードにおける後輪12Rに対するトルク配分より増大されて変更後の後輪12Rへの配分トルクが変更前の後輪12Rへの配分トルクより増大される運転領域、すなわち第1エンジン回転数N11と第2エンジン回転数N12との間の運転領域において、後輪12Rへの配分トルクを変更後の後輪12Rへの配分トルクT12よりも増大させた配分トルクT12´に変更させるように設定されている。
そして、制御ユニット34は、全筒運転モードにおいて火花点火モードから圧縮着火モードへの燃焼モードの切換時には、火花点火モードから圧縮着火モードへの燃焼モード切換時用トルクマップに基づいて、第1エンジン回転数N1と第2エンジン回転数N2との間の運転領域において後輪12Rへの配分トルクを変更後の後輪12Rへの配分トルクT12よりも増大させた配分トルクT12´になるように後輪12Rに対するトルク配分を変更後の後輪12Rに対するトルク配分よりも一時的に増大させるように制御し、その後に、変更後の後輪12Rへの配分トルクT12になるように後輪12Rに対するトルク配分に変更させる。
制御ユニット34には、四輪駆動車10の前記駆動系の変動トルクの波形Wa1、Wa2が記憶されると共に、全筒運転モードについて火花点火モード及び圧縮着火モードにおける異音抑制制御のためのエンジン回転数と後輪12Rへの配分トルクとの関係、全筒運転モードについて火花点火モードから圧縮着火モードへの切換時におけるエンジン回転数と後輪12Rに配分するトルクとの関係が設定されて記憶されている。
本実施形態では、全筒運転モードについて火花点火モードと圧縮着火モードとにおいてそれぞれ後輪12Rに対するトルク配分を変更させ、全筒運転モードについて火花点火モードから圧縮着火モードへの切換時に、圧縮着火モードにおける後輪12Rに対するトルク配分が火花点火モードにおける後輪12Rに対するトルク配分より増大される運転領域において後輪12Rに対するトルク配分を圧縮着火モードにおける後輪12Rに対するトルク配分よりも一時的に増大させているが、減筒運転モードについても火花点火モードと圧縮着火モードとにおいてそれぞれ後輪12Rに対するトルク配分を変更させ、減筒運転モードについて火花点火モードから圧縮着火モードへの切換時に、圧縮着火モードにおける後輪12Rに対するトルク配分が火花点火モードにおける後輪12Rに対するトルク配分より増大される運転領域において後輪12Rに対するトルク配分を圧縮着火モードにおける後輪12Rに対するトルク配分よりも一時的に増大させる。
また、全筒運転モードにおける火花点火モードから減筒運転モードにおける圧縮着火モードへの切換時、及び減筒運転モードにおける火花点火モードから全筒運転モードにおける圧縮着火モードへの切換時についても同様に、圧縮着火モードにおける後輪12Rに対するトルク配分が火花点火モードにおける後輪12Rに対するトルク配分より増大される運転領域において後輪12Rに対するトルク配分を圧縮着火モードにおける後輪12Rに対するトルク配分よりも一時的に増大させる。
このように、本実施形態に係る四輪駆動車においても、全筒運転モード及び減筒運転モードで前記トルク伝達手段における異音の発生を抑制するように後輪12Rに対するトルク配分を増大させる異音抑制手段34が備えられ、該異音抑制手段34は、全筒運転モードと減筒運転モードとでそれぞれ前記トルク伝達手段が異音発生状態となる運転領域に応じて後輪12Rに対するトルク配分を変更させる。これにより、燃費の悪化を抑制しつつ全筒運転モードで異音の発生を抑制すると共に減筒運転モードで異音の発生を抑制することができる。
また、異音抑制手段34は、火花点火モードと圧縮着火モードとにおいてそれぞれ後輪12Rに対するトルク配分を変更させる。これにより、火花点火モードに比してトルク変動が大きくなる圧縮着火モードにおける後輪12Rに対するトルク配分を火花点火モードにおける後輪12Rに対するトルク配分より増大させることで、燃費の悪化を抑制しつつ各燃焼モードにおいて異音の発生を抑制することができる。
また、異音抑制手段34は、火花点火モードから圧縮着火モードへの切換時に、後輪12Rに対するトルク配分が増大される運転領域において後輪12Rに対するトルク配分を圧縮着火モードにおける後輪12Rに対するトルク配分よりも一時的に増大させる。これにより、後輪12Rに対するトルク配分を圧縮着火モードの後輪12Rに対するトルク配分に速やかに増大させることができ、後輪12Rに対するトルク配分の増大制御に対する応答性の遅れによる異音の発生を抑制することができる。
前述した実施形態では、全筒運転モードと減筒運転モードとが切換可能に構成された四気筒エンジンについて説明しているが、三気筒を作動させる全筒運転モードと一気筒又は二気筒を作動させる減筒運転モードとが切換可能に構成された三気筒エンジン、あるいは六気筒を作動させる全筒運転モードと一気筒、二気筒、三気筒、四気筒及び五気筒をそれぞれ作動させる減筒運転モードとが切換可能に構成された六気筒エンジンなど、全筒運転モードと減筒運転モードとが切換可能に構成された多気筒エンジンに同様に適用することができる。
なお、本実施形態では、前輪12Fを主駆動輪とし、後輪12Rを補助駆動輪とした四輪駆動車について説明しているが、後輪12Rを主駆動輪とし、前輪12Fを補助駆動輪とした四輪駆動車についても同様に適用することができる。
本発明は、例示された実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の改良及び設計上の変更が可能である。