JP2016136086A - 水蒸気透過度評価方法、水蒸気透過度評価システム及びガスバリアーフィルムの製造方法 - Google Patents

水蒸気透過度評価方法、水蒸気透過度評価システム及びガスバリアーフィルムの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明の課題は、非破壊・非接触でガスバリアーフィルム全体の水蒸気透過度を算出することが可能なガスバリアーフィルムの水蒸気透過度評価方法を提供することである。また、当該水蒸気透過度評価方法を用いた水蒸気透過度評価システム及びガスバリアーフィルムの製造方法を提供することである。
【解決手段】本発明の水蒸気透過度評価方法は、ガスバリアーフィルムFのガスバリアー層F4の層厚及び屈折率に基づきガスバリアーフィルムFの水蒸気透過度を評価する水蒸気透過度評価方法であって、ガスバリアー層F4の層厚及び屈折率を測定する測定ステップと、測定ステップにより測定される層厚及び屈折率に基づいて、測定範囲のガスバリアーフィルムF全体の水蒸気透過度を算出する水蒸気透過度算出ステップと、を含むことを特徴とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、水蒸気透過度評価方法に関する。また、当該水蒸気透過度評価方法を用いた水蒸気透過度評価システム及びガスバリアーフィルムの製造方法に関する。より詳しくは、検査効率が改善された水蒸気透過度評価方法等に関する。
従来、プラスチック基板やフィルムの表面に、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム又は酸化ケイ素等の金属酸化物を含む薄膜(ガスバリアー層)を形成したガスバリアーフィルムは、水蒸気や酸素等の各種ガスによる変質を防止するため、各種ガスの遮断を必要とする物品を包装する用途で広く用いられている。また、上記包装用途以外にも、各種ガスによる変質を防止するため、太陽電池、液晶表示素子又は有機エレクトロルミネッセンス素子(以下、有機EL素子ともいう。)等の電子デバイスを封止する用途にも使用されている。ガスバリアーフィルムは、ガラス基板と比べてフレキシブル性に優れており、ロール式での生産適性や、電子デバイスの軽量化及び取り扱い性の点において優位である。
しかしながら、透明プラスチック等のフィルム基板は、ガラス基板に対しガスバリアー性が劣るという問題がある。ガスバリアー性が劣る基板を用いると、水蒸気や酸素が浸透してしまい、例えば、電子デバイス内の機能を劣化させてしまうという問題があることが分かっている。
従来から用いられてきた水蒸気透過度の評価は、カップ法(JIS Z 0208−1976)やいわゆるモコン法(JIS K 7129−1992 B法)等である。これらの方法のうち、測定可能な範囲の広いモコン法であっても水蒸気透過度が5×10−2〜5×10g/m・24hの範囲が対象となっている。しかし、液晶基板や有機EL基板等には、更に高感度の水蒸気透過度の評価が要求されている。
ガスバリアーフィルムのガスバリアー性を評価する方法として、上記方法に加えて、水蒸気透過度を測定するカルシウム腐食法(以下、カルシウム法又はCa法ともいう。)が知られている。この方法は、内側にカルシウムの膜を成膜したフィルムを試験片として、恒温恒湿環境下に置き、フィルムを透過した水蒸気と反応して腐食したカルシウムの量を画像処理等で測定し、フィルムの水蒸気透過度を算出する。カルシウム腐食法は、従来のモコン法等よりも高感度に水蒸気透過度を算出することができるが、サンプル試料の一部を抜き取る破壊法である。
また、質量分析計等を用いて水蒸気透過度を評価する方法(例えば、特許文献1参照。)や、マーカー部を有する機能性素子について、マーカー部の屈折率を基準にガスバリアー層の優劣を検査する方法(例えば、特許文献2参照。)が知られている。
しかしながら、特許文献1に記載の方法は、カルシウム腐食法と同様に、サンプル試料を一部抜き取る破壊法である。また、特許文献2に記載の方法は、ガスバリアーフィルムの一様性を前提とした部分評価であり、ガスバリアーフィルム全体の水蒸気透過度を保障するものではない。
また、特許文献3には、ガスバリアー性積層フィルムの測定した膜厚に基づいて屈折率を算出し、差圧法による測定した水蒸気透過度との関係から前記フィルムのガスバリアー性を判定する方法が記載されている。
しかしながら、特許文献3の方法は、水蒸気透過度と屈折率の実測値に基づく相関からガスバリアー膜の不良をおおまかに判定するものであり、水蒸気透過度を算出するものではない。
特許第4759096号公報 特開2005−317286号公報 特開2013−44542号公報
本発明は、上記問題・状況に鑑みてなされたものであり、その解決課題は、非破壊・非接触で、ガスバリアー層を有するガスバリアーフィルム全体の水蒸気透過度を算出することが可能な水蒸気透過度評価方法を提供することである。また、当該水蒸気透過度評価方法を用いた水蒸気透過度評価システム及びガスバリアーフィルムの製造方法を提供することである。
本発明者は、上記課題を解決すべく、上記問題の原因等について検討したところ、ガスバリアー層を有するガスバリアーフィルムの層厚及び屈折率に基づいて、測定範囲のガスバリアーフィルム全体の水蒸気透過度を算出することで本発明の課題を解決できることを見出し本発明に至った。
すなわち、本発明に係る上記課題は、以下の手段により解決される。
1.ガスバリアーフィルムのガスバリアー層の層厚及び屈折率に基づきガスバリアーフィルムの水蒸気透過度を評価する水蒸気透過度評価方法であって、
(1)前記ガスバリアー層の層厚及び屈折率を測定する測定ステップと、
(2)前記測定ステップにより測定される層厚及び屈折率に基づいて、測定範囲のガスバリアーフィルム全体の水蒸気透過度を算出する水蒸気透過度算出ステップと、
を含むことを特徴とする水蒸気透過度評価方法。
2.前記水蒸気透過度算出ステップでは、カルシウム腐食法により測定されたガスバリアーフィルムの水蒸気透過度、ガスバリアー層の層厚及び屈折率に基づいて作成される水蒸気透過度の推定モデルを用いて水蒸気透過度を算出することを特徴とする第1項に記載の水蒸気透過度評価方法。
3.前記水蒸気透過度の推定モデルが、あらかじめ設定された水蒸気透過度の項と、あらかじめ設定された層厚及び屈折率からの変化量に基づく水蒸気透過度の変化量の項と、補正項とを有することを特徴とする第2項に記載の水蒸気透過度評価方法。
4.測定対象のガスバリアー層が、基板にポリシラザンを含有する塗布液を塗布し、乾燥して得られる層に、真空紫外光を照射して改質することにより形成されたガスバリアー層であることを特徴とする第1項から第3項までのいずれか一項に記載の水蒸気透過度評価方法。
5.前記測定ステップでは、前記層厚及び屈折率を分光反射率計又はエリプソメーターを用いて測定することを特徴とする第1項から第4項までのいずれか一項に記載の水蒸気透過度評価方法。
6.ガスバリアーフィルムのガスバリアー層の層厚及び屈折率に基づきガスバリアーフィルムの水蒸気透過度を評価する水蒸気透過度評価システムであって、
(1)前記ガスバリアー層の層厚及び屈折率を測定する測定手段と、
(2)前記測定手段により測定される層厚及び屈折率に基づいて、測定範囲のガスバリアーフィルム全体の水蒸気透過度を算出する水蒸気透過度算出手段と、
を含むことを特徴とする水蒸気透過度評価システム。
7.前記ガスバリアーフィルムを製造する工程において、当該ガスバリアーフィルムの水蒸気透過度を評価するために用いられることを特徴とする第6項に記載の水蒸気透過度評価システム。
8.第1項から第5項までのいずれか一項に記載のガスバリアーフィルムの水蒸気透過度評価方法を用いて、ガスバリアーフィルムの水蒸気透過度を評価する工程を有することを特徴とするガスバリアーフィルムの製造方法。
本発明の上記手段により、非破壊・非接触で、ガスバリアーフィルム全体の水蒸気透過度を算出することが可能な水蒸気透過度評価方法を提供することができる。また、当該水蒸気透過度評価方法を用いた水蒸気透過度評価システム及びガスバリアーフィルムの製造方法を提供することができる。
フィルム基板を用いる有機エレクトロルミネッセンス素子等の電子デバイスにおいて、水蒸気に対する高いガスバリアー性を有するフィルム基板が必須であり、フィルム基板の不均一性等による水蒸気透過度の上昇が電子デバイスの劣化につながる。そこで、ガスバリアー層を有するガスバリアーフィルムの層厚及び屈折率を測定し、当該層厚及び屈折率を用いてガスバリアーフィルム全体の水蒸気透過度を算出することで、フィルムが非破壊・非接触の状態で、信頼性の高い水蒸気透過度が得られることを見出した。
本発明に係る水蒸気透過度評価システムの一例を示す概略構成図 本発明に係る水蒸気透過度評価システムの主要構成を示すブロック図 本発明に係るガスバリアーフィルムの一例を示す断面図 層厚と水蒸気透過度の関係を示す概念図 屈折率と水蒸気透過度の関係を示す概念図 水蒸気透過度推定モデル作成処理の流れを示すフローチャート 水蒸気透過度評価システムによる水蒸気透過度評価処理の流れを示すフローチャート
本発明の水蒸気透過度評価方法は、ガスバリアーフィルムのガスバリアー層の層厚及び屈折率に基づきガスバリアーフィルムの水蒸気透過度を評価する水蒸気透過度評価方法であって、ガスバリアー層の層厚及び屈折率を光学的に測定する測定ステップと、測定ステップにより測定される層厚及び屈折率に基づいて、測定範囲のガスバリアーフィルム全体の水蒸気透過度を算出する水蒸気透過度算出ステップと、を含むことを特徴とする。この特徴は、請求項1から請求項8に係る発明に共通する技術的特徴である。
本発明の実施態様としては、本発明の効果をより発現できる点で、前記水蒸気透過度算出ステップでは、カルシウム腐食法により測定されたガスバリアーフィルムの水蒸気透過度、ガスバリアー層の層厚及び屈折率に基づいて作成される水蒸気透過度の推定モデルを用いて水蒸気透過度を算出することが好ましい。これにより、非破壊・非接触の状態で実測値に近い水蒸気透過度を算出することができる。
また、本発明においては、前記水蒸気透過度の推定モデルが、あらかじめ設定された水蒸気透過度の項と、あらかじめ設定された層厚及び屈折率からの変化量に基づく水蒸気透過度の変化量の項と、補正項とを有することが好ましい。これにより、層厚又は屈折率が所定の範囲から僅かに外れる部分についても正確な水蒸気透過度を算出することができる。
また、本発明においては、測定対象のガスバリアー層が、基板にポリシラザンを含有する塗布液を塗布し、乾燥して得られる層に、真空紫外光を照射して改質することにより形成されたガスバリアー層であることが好ましい。これにより、高いガスバリアー性のガスバリアーフィルムについても正確な水蒸気透過度を算出することができる。
また、本発明においては、前記測定ステップでは、前記層厚及び屈折率を分光反射率計又はエリプソメーターを用いて測定することが好ましい。これにより、多層膜であっても膜厚(層厚)と屈折率を同時に非接触で測定することができる。
また、本発明の水蒸気透過度評価システムとしては、ガスバリアーフィルムのガスバリアー層の層厚及び屈折率に基づきガスバリアーフィルムの水蒸気透過度を評価する水蒸気透過度評価システムであって、
(1)前記ガスバリアー層の層厚及び屈折率を光学的に測定する測定手段と、
(2)前記測定手段により測定される層厚及び屈折率に基づいて、測定範囲のガスバリアーフィルム全体の水蒸気透過度を算出する水蒸気透過度算出手段と、
を含むことを特徴とする。光学的に測定したガスバリアー層の層厚及び屈折率に基づいて、測定範囲のガスバリアーフィルム全体の水蒸気透過度を算出しているため、非破壊、非接触で広範囲に水蒸気透過度を得ることができる。
また、本発明の水蒸気透過度評価システムとしては、前記ガスバリアーフィルムを製造する工程において、当該ガスバリアーフィルムの水蒸気透過度を評価するために用いられることが好ましい。ガスバリアーフィルムの水蒸気透過度の評価が製造工程に組み込まれていることで、水蒸気透過度と製造条件を対応付けることが容易となる。
また、本発明のガスバリアーフィルムの製造方法としては、前記ガスバリアーフィルムの水蒸気透過度評価方法を用いて、ガスバリアーフィルムの水蒸気透過度を評価する工程を有することが、時間的・経済的な観点から好ましい。
以下、本発明とその構成要素及び本発明を実施するための形態・態様について詳細な説明をする。なお、本願において、「〜」は、その前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味で使用する。
<水蒸気透過度評価方法の概要>
本発明の水蒸気透過度評価方法は、ガスバリアーフィルムのガスバリアー層の層厚及び屈折率に基づいて、ガスバリアー層の層厚及び屈折率を光学的に測定する測定ステップと、測定ステップにより測定される層厚及び屈折率に基づいて、測定範囲のガスバリアーフィルム全体の水蒸気透過度を算出する水蒸気透過度算出ステップと、を含むことを特徴とする。
具体的には、太陽電池、液晶表示素子又は有機EL素子等の電子デバイスに用いられるガスバリアーフィルムについて、ガスバリアーフィルムのガスバリアー層の層厚及び屈折率を測定する。次に、測定された層厚及び屈折率に基づいて、測定範囲のガスバリアーフィルム全体の水蒸気透過度を算出する。
測定ステップでは、ガスバリアー層の層厚及び屈折率を分光反射率計又はエリプソメーターを用いて測定することが好ましい。
例えば、分光反射率計を用いて、ガスバリアー層の表面を1mm毎に測定し、層厚及び屈折率を算出してもよい。ガスバリアー層の座標情報とともにガスバリアー層の層厚及び屈折率を算出することがより好ましい。これにより、所定の範囲内のガスバリアー層の層厚及び屈折率を位置情報と関連付けて取得することができる。
水蒸気透過度算出ステップでは、カルシウム腐食法により測定されたガスバリアーフィルムの水蒸気透過度、ガスバリアー層の層厚及び屈折率に基づいて作成される水蒸気透過度の推定モデルを用いて水蒸気透過度を算出することが好ましい。
具体的には、水蒸気透過度算出ステップでは、測定対象となるガスバリアーフィルムについて、目的とする水蒸気透過度の範囲に合わせて、最適な水蒸気透過度の推定モデルを作成する。
水蒸気透過度の推定モデルは、あらかじめ設定された水蒸気透過度の項と、あらかじめ設定された層厚及び屈折率からの変化量に基づく水蒸気透過度の変化量の項と、補正項とを有することが好ましい。
具体的には、水蒸気透過度が層厚及び屈折率と相関があるため、水蒸気透過度の推定モデルは、カルシウム腐食法により得られた水蒸気透過度を用いて、層厚及び屈折率を変化量とする重回帰分析を行って求めることができる。重回帰分析により、水蒸気透過度の項と、あらかじめ設定された層厚及び屈折率からの変化量に基づく水蒸気透過度の変化量の項と、補正項とを有する水蒸気透過度の推定モデルが得られる。
次に、測定ステップにより測定されたガスバリアー層の層厚及び屈折率が所定の範囲外であるか否かを判定する。
具体的には、ガスバリアーフィルムの種類等に応じて、測定されたガスバリアー層の層厚及び屈折率があらかじめ設定された所定範囲外であるか否かを判定する。例えば、ガスバリアー層の層厚及び屈折率のうち少なくとも一方が所定範囲外であると判定されると、異常部と判断する。ガスバリアー層の層厚及び屈折率のうち少なくとも一方が所定範囲外であると水蒸気透過度が実用に耐える値よりも低い場合が多いことから、水蒸気透過度を算出することで、実用可能であるか否かを確認することが有効である。
なお、ガスバリアーフィルムのガスバリアー層に求められる層厚及び屈折率の所定の範囲は、ガスバリアーフィルム毎に設定することができる。
そして、測定ステップにより測定されたガスバリアー層の層厚及び屈折率に基づいて、所定の範囲外の層厚又は屈折率を有するガスバリアー層の部分、すなわち、異常部の水蒸気透過度を、推定モデルを用いて算出する。
なお、層厚及び屈折率が所定の範囲内のガスバリアー層の部分(以下、正常部とする。)は、ガスバリアーフィルムとして求められる水蒸気透過度を満たしていると考えられるため、規定の値以上の水蒸気透過度とすることができる。
次に、水蒸気透過度算出ステップでは、推定モデルにより算出された異常部の水蒸気透過度と、正常部の水蒸気透過度を合わせて測定範囲のガスバリアーフィルム全体の水蒸気透過度を算出する。
以下の説明においては、正常部の水蒸気透過度は規定の値以上であるとして、推定モデルを用いて算出していないが、推定モデルを用いて水蒸気透過度を算出するよう適宜設定することができる。
<水蒸気透過度評価システムの構成>
本発明のガスバリアーフィルムの水蒸気透過度評価方法を用いるガスバリアーフィルムの水蒸気透過度評価システム100の構成の一例として、図1に示す。ガスバリアーフィルムの水蒸気透過度評価システム100の機能ブロック図を図2に示す。
図1に示すとおり、本発明にかかるガスバリアーフィルムの水蒸気透過度評価システム100は、データ処理装置1、分光反射率計調整装置2、分光反射率計3及びフィルム観察台4を備えていることが好ましい。
[データ処理装置]
データ処理装置1は、分光反射率計調整装置2及び分光反射率計3と相互に通信可能に接続されている。以下において、データ処理装置1の各構成について説明する。
図2に示すとおり、データ処理装置1は、制御部11、記録部12、通信部13、データ処理部14(推定モデル作成部14a、ガスバリアー層判定部14b、水蒸気透過度算出部14c)及び操作表示部15等を備え、バス16により各部が相互に通信可能に接続されている。
制御部11は、データ処理装置1の動作を統括制御するCPU(Central Processing Unit)11aと、CPU11aがプログラムを実行する際に各種データを一時的に格納するためのワークメモリーとして機能するRAM(Random Access Memory)11bと、CPU11aが読み出して実行するプログラムや固定データが記憶されたプログラムメモリー11cなどを備えている。プログラムメモリー11cは、ROMなどにより構成されている。
記録部12は、分光反射率計3により測定されたガスバリアーフィルムのガスバリアー層の層厚及び屈折率の値の他、データ処理部で用いる閾値のデータやガスバリアー層作製の際の照射光量、水蒸気透過度の値、基板の種類等に応じて作成された水蒸気透過度の推定モデル等を記録する。
通信部13は、ネットワークI/F等の通信用のインターフェイスを備え、イントラネット等のネットワークを介して、操作表示部15から入力された測定条件を分光反射率計調整装置2に送信する。また、通信部13は、分光反射率計3により測定されたガスバリアーフィルムのガスバリアー層の層厚及び屈折率の値を受信する。
データ処理部14は、通信部13により受信した、分光反射率計3により測定されたガスバリアーフィルムのガスバリアー層の層厚及び屈折率について解析する。
データ処理部14は、推定モデル作成部14a、ガスバリアー層判定部14b及び水蒸気透過度算出部14cを備える。
なお、ガスバリアー層の層厚及び屈折率は、分光反射率計3が測定及び算出する構成を例示したが、分光反射率計3により測定された物性値に基づいて、データ処理部14によりガスバリアー層の層厚及び屈折率を算出してもよい。
推定モデル作成部14aは、ガスバリアーフィルムの水蒸気透過度を算出する推定モデルを作成する。
具体的には、推定モデル作成部14aは、分光反射率計3により計算されたガスバリアー層の層厚及び屈折率並びにカルシウム腐食法による水蒸気透過度の実測値を用いて、異常部と判定されたガスバリアー層の水蒸気透過度を算出する推定モデルを作成する。
推定モデルの作成に当たっては、後述するガスバリアー層に含有されるポリシラザンを改質する照射光量がガスバリアー層の屈折率に大きく関与するため、当該照射光量をガスバリアー層の層厚及び屈折率並びにカルシウム腐食法による水蒸気透過度の実測値とともに対応関係を示すデータベースを作成してもよい。
例えば、推定モデル作成部14aは、カルシウム腐食法にて得られた水蒸気透過度、ガスバリアー層の層厚及び屈折率を説明変数として、水蒸気透過度を目的変数とする重回帰分析を行い、水蒸気透過度の推定モデルを作成する。
一例として、層厚と水蒸気透過度の関係を表すグラフを図4に示す。また、屈折率と水蒸気透過度の関係を表すグラフを図5に示す。
水蒸気透過度の推定モデルは、これらの層厚と水蒸気透過度の関係及び屈折率と水蒸気透過度の関係に基づいて重回帰分析を行い、層厚の変化量及び屈折率の変化量に対する係数を求めている。以下に水蒸気透過度の推定モデル(A)を示す。
(A)水蒸気透過度(WVTR)[g/m・24h]=WVTR(d,n)+f(Δd,Δn)+k
WVTR(d,n):水蒸気透過度の正常値
d:層厚
n:屈折率
f(Δd,Δn):層厚変化及び屈折率変化による水蒸気透過度の変化量
Δd:層厚変化量
Δn:屈折率変化量
k:定数
水蒸気透過度の正常値を示すガスバリアー層の層厚及び屈折率の値からの差分を用いて重回帰分析を行って、作成した水蒸気透過度推定モデル(B)を示す。ここでの水蒸気透過度の正常値を示すガスバリアー層の層厚は250nm、屈折率は1.78、水蒸気透過度は1.0×10−6g/m・24hとしている。
(B)水蒸気透過度(WVTR)[g/m・24h]=1.0×10−6−2.7×10−7×Δd−1.7×10−4×Δn+k
ここで、定数kは、重回帰分析とカルシウム腐食法による実測値から求めた水蒸気透過度の補正項である。
ガスバリアー層判定部14bは、ガスバリアー層の測定された部分の層厚及び屈折率のいずれかが、あらかじめ設定された所定の範囲外であるか否かを判定する。
ここで、ガスバリアー層判定部14bは、ガスバリアー層の測定された部分の層厚及び屈折率のいずれかが、あらかじめ設定された所定の範囲外であると判定すると、異常部と判断する。一方、ガスバリアー層判定部14bは、ガスバリアー層の測定された部分の層厚及び屈折率が、あらかじめ設定された所定の範囲内の層厚及び屈折率と判定すると、正常部と判断する。
ここで、層厚及び屈折率のあらかじめ設定された所定の範囲とは、測定対象となるガスバリアーフィルムによって適宜設定することができる。例えば、ガスバリアー層の層厚の範囲が240〜260nmの範囲内で、屈折率の範囲が1.73〜1.83の範囲内を層厚及び屈折率のあらかじめ設定された所定の範囲として設定することができる。その場合、層厚又は屈折率のいずれかがこの範囲から外れると判定されると、異常部と判断される。
例えば、ガスバリアー層の層厚が270nm、屈折率が1.70の場合、所定の範囲外と判定され、異常部と判断される。この場合、水蒸気透過度を算出するために、Δdとして、層厚の変化量(270−250=20nm)を用いる。また、Δnとして、屈折率の変化量(1.70−1.78=−0.08)を用いる。この値を前記(B)に代入することで、異常部と判断されたガスバリアー層の水蒸気透過度を算出することができる。
水蒸気透過度算出部14cは、分光反射率計3により測定されるガスバリアー層の層厚及び屈折率に基づいて、測定範囲のガスバリアーフィルム全体の水蒸気透過度を算出する。
具体的には、水蒸気透過度算出部14cは、ガスバリアー層判定部14bにて異常部と判断された部分の水蒸気透過度を、推定モデルを用いて算出する。
正常部については、実用可能なガスバリアーフィルムであり、水蒸気透過度の推定モデルを用いて水蒸気透過度を算出しなくてもよい。すなわち、所定範囲の層厚及び屈折率を有するガスバリアー層の正常部は、所定の値以上の水蒸気透過度であり、実用可能な水蒸気透過度を有するガスバリアー層の部分として所定の値を水蒸気透過度として概算することができる。なお、正常部の水蒸気透過度を、推定モデルを用いて算出する場合は、補正項k=0として水蒸気透過度を算出することができる。
これにより、正常部の水蒸気透過度と推定モデルにより算出した異常部の水蒸気透過度を合算することにより測定範囲のガスバリアーフィルム全体の水蒸気透過度を算出することができる。
水蒸気透過度算出部14cは、分光反射率計3により作成される層厚及び屈折率に基づいて、測定範囲のガスバリアーフィルム全体の水蒸気透過度を算出する水蒸気透過度算出手段として機能する。
また、データ処理部14は、ガスバリアーフィルムの水蒸気透過度の分布を算出する水蒸気透過度分布算出部をさらに備えていてもよい。
水蒸気透過度分布算出部は、データ処理部14により判断される正常部及び異常部の水蒸気透過度から、ガスバリアーフィルムの水蒸気透過度分布を算出してもよい。
具体的には、水蒸気透過度分布算出部は、データ処理部14により異常部と判断された部分のガスバリアー層について、水蒸気透過度算出部14cにより算出される水蒸気透過度と、正常部の水蒸気透過度から、ガスバリアーフィルムの位置座標に対応させた水蒸気透過度の分布を算出してもよい。
操作表示部15は、例えば、LCD(Liquid Crystal Display)、LCDを覆うように設けられたタッチパネル、各種スイッチやボタン、テンキー及び操作キー群等(図示略)から構成されてもよい。操作表示部15は、ユーザーからの指示を受け付けその操作信号を制御部11に出力する。また、操作表示部15は、制御部11から出力される表示信号に従って、各種操作指示や設定情報を入力するための各種設定画面や各種処理結果等を表示する操作画面をLCD上に表示する。
[分光反射率計調整装置]
分光反射率計調整装置2は、データ処理装置1から受信した測定条件に基づいて分光反射率計3を調整する。
具体的には、分光反射率計調整装置2は、データ処理装置1から受信した測定条件、例えば、ガスバリアーフィルムからの位置(高さ)、波長、分光反射率計3の測定間隔、移動速度等に基づいて分光反射率計3を調整することができる。
[分光反射率計]
分光反射率計3は、分光反射率計調整装置2により調整された条件でガスバリアーフィルムのガスバリアー層の層厚及び屈折率を測定する。
分光反射率計3は、受光部31及び光源32を備えている。分光反射率計3は、例えば、分光反射率計又はエリプソメーターであって、ガスバリアーフィルムのガスバリアー層を光学的に測定し、層厚及び屈折率を算出することができる。
具体的には、分光反射率計3は、分光反射率計調整装置2により調整された条件、例えば、受光部の位置(高さ)、波長、分光反射率計の移動方向等に従ってガスバリアーフィルムのガスバリアー層の分光反射率を測定し、測定された分光反射率に基づいて、層厚及び屈折率を算出する。
例えば、分光反射率計3は、ガスバリアーフィルムのガスバリアー層を1mm毎に測定することが好ましい。これにより、ガスバリアー層の水蒸気透過度を正確に算出することができる。
また、分光反射率計3は、380〜1050nmの範囲内の波長でガスバリアー層を測定することが好ましく、特に、可視光域の380〜750nmの範囲内が好ましい。
そして、分光反射率計3は、得られたガスバリアー層の層厚及び屈折率を、通信部13を介してデータ処理装置1に送信する。
なお、ガスバリアー層の層厚及び屈折率を求めるにあたり、あらかじめ基板やその他の層の層厚及び屈折率を測定することで、ガスバリアー層のみの層厚及び屈折率を求めることができる。
また、分光反射率計又はエリプソメーターは、測定対象となるガスバリアーフィルムに応じて適宜選択することができる。例えば、ガスバリアーフィルムが10μmよりも薄い場合に、エリプソメーターを用いて、10μm以上である場合に、分光反射率計を用いてもよい。
分光反射率計3は、ガスバリアー層の層厚及び屈折率を光学的に測定する測定手段として機能する。
[フィルム観察台]
フィルム観察台4は、例えば、フィルム固定台41、二軸電動ステージ42及び装置フレーム43を備える態様が好ましい。
具体的には、フィルム観察台4は、フィルム固定台41によって試料となるガスバリアーフィルム(図3参照)を固定し、ガスバリアー層の層厚及び屈折率を分光反射率計3により測定できるように固定する。試料となるガスバリアーフィルムが、例えば、ロール状に巻き取られている場合であっても、短軸方向をフィルム固定台41によって固定し、所定の速さで二軸電動ステージを動かし、ガスバリアーフィルムを長軸方向に移動させることで、フィルム観察台4よりも広い範囲を分光反射率計3で測定することができる。
なお、フィルム観察台4は、データ処理装置1と通信可能に接続されていてもよい。データ処理装置1とフィルム観察台4を相互に通信可能に接続することで、ガスバリアーフィルムを移動させる速度をデータ処理装置1により設定してもよい。
[外部出力装置]
データ処理装置1は、データ処理装置1と通信可能に接続される外部出力装置5を備えていてもよい。外部出力装置5は、一般的なPC(Personal Computer)であってもよいし、画像形成装置等であってもよい。また、外部出力装置5は、データ処理装置1の操作表示部15の代わりに操作表示部として機能してもよい。
<ガスバリアーフィルムの水蒸気透過度評価方法>
[ガスバリアーフィルムの水蒸気透過度の推定モデル作成処理]
次に、図6及び図7に示すフローチャートを参照しながらガスバリアーフィルムの水蒸気透過度評価方法について説明する。
具体的には、図6に示すガスバリアーフィルムの水蒸気透過度の推定モデルの作成処理と、図7に示すガスバリアーフィルムの水蒸気透過度評価処理について説明する。
ガスバリアーフィルムの水蒸気透過度の推定モデル作成処理は、まず、測定対象の試料と同等の試料を用いてカルシウム腐食法等の方法により試料の一部の範囲について水蒸気透過度を測定する。そして、測定した水蒸気透過度に基づいて、ガスバリアーフィルムの水蒸気透過度算出に用いる水蒸気透過度の推定モデルを作成する処理である。
制御部11は、記録部12に記録されたガスバリアーフィルムのガスバリアー層の測定条件、正常部の層厚及び屈折率の範囲を設定する(ステップS1)。
具体的には、制御部11は、測定条件を分光反射率計3に通信部13を介して送信し、層厚及び屈折率の所定の範囲(正常部の層厚及び屈折率の範囲)をデータ処理部14に送信し、設定する。なお、測定条件等の設定は、あらかじめ記録部12に記録されている条件を用いてもよいし、測定対象となる試料の状態、所望の水蒸気透過度の精度に合わせてユーザーが操作表示部15により入力又は変更することができる。
次に、分光反射率計3は、ガスバリアーフィルムのガスバリアー層の分光反射率を測定する(ステップS2)。
具体的には、分光反射率計3は、データ処理装置1から入力された測定条件等でガスバリアーフィルムのガスバリアー層の分光反射率を測定する。
次に、分光反射率計3は、測定した分光反射率に基づいて、ガスバリアー層の層厚及び屈折率を算出する(ステップS3)。
具体的には、ガスバリアーフィルムの表面と基板との界面からの反射を解析することにより、ガスバリアーフィルムの膜厚及び屈折率を算出することができる。ガスバリアーフィルムの基板やガスバリアー層以外の層(膜)の層厚(膜厚)及び屈折率については、あらかじめ測定することができるため、ガスバリアーフィルム全体の膜厚及び屈折率を算出することで、ガスバリアー層単独の層厚及び屈折率を求めることができる。
次に、カルシウム腐食法等の方法を用いてガスバリアーフィルムの水蒸気透過度を測定する(ステップS4)。
具体的には、制御部11は、カルシウム腐食法によるガスバリアーフィルムの水蒸気透過度の実測値を記録部に記録させる。
なお、あらかじめ測定対象となる試料と同等のガスバリアーフィルムの水蒸気透過度を測定する方法としては、カルシウム腐食法に限定するものではなく、1.0×10−6g/m・24h未満の水蒸気透過度についても測定できる方法であればよい。以下の説明においては、一例としてカルシウム腐食法により得られた水蒸気透過度の実測値を用いて説明する。
次に、推定モデル作成部14aは、ガスバリアー層の層厚及び屈折率並びにカルシウム腐食法により得られた水蒸気透過度の実測値から重回帰分析法を用いて水蒸気透過度の推定モデルを作成する(ステップS5)。
具体的には、推定モデル作成部14aは、ガスバリアー層の層厚及び屈折率並びにカルシウム腐食法により得られた水蒸気透過度の実測値から重回帰分析法を用いる。例えば、推定モデル作成部14aは、ガスバリアーフィルムの種類等に応じて設定された水蒸気透過度の正常値に基づく水蒸気透過度の項と、層厚及び屈折率の変化量に基づく水蒸気透過度の変化量の項と、補正項とを有する推定モデルを作成する。
[ガスバリアーフィルムの水蒸気透過度評価処理]
次に、図7に示すフローチャートを参照しながらガスバリアーフィルムの水蒸気透過度評価処理について説明する。
ガスバリアーフィルムの水蒸気透過度評価処理は、水蒸気透過度推定モデル作成処理により作成された水蒸気透過度の推定モデルを用いて、ガスバリアーフィルムの測定範囲の水蒸気透過度を算出することで水蒸気透過度を評価する処理である。
ステップS11〜S13の処理については、図6に示すステップS1〜S3と同様の処理を測定対象となる試料に行う。
ガスバリアー層判定部14bは、ステップS13にて算出されたガスバリアー層の層厚及び屈折率が所定範囲外であるか否かを判定する(ステップS14)。
具体的には、ガスバリアー層判定部14bは、データ処理部14に送信された正常部のガスバリアー層の層厚及び屈折率が範囲外であると判定されると(ステップS14;Yes)、ガスバリアー層の当該部分を異常部と判断する。
例えば、ガスバリアー層判定部14bは、データ処理部14に送信された正常部のガスバリアー層の層厚が240〜260nmの範囲内であり、屈折率が1.73〜1.78の範囲内として設定されている場合、層厚が250nmで屈折率が1.45のガスバリアー層の部分を異常部と判断される。
一方で、ガスバリアー層判定部14bは、ガスバリアー層の層厚が250nmで屈折率が1.75である場合、設定された範囲外ではないと判定し(ステップS14;No)、ガスバリアー層の当該部分を正常部と判断する。
そして、ステップS14にて異常部と判断された場合、水蒸気透過度算出部14cは、ステップS13にて算出されたガスバリアー層の層厚及び屈折率から、水蒸気透過度の推定モデルを用いて異常部の水蒸気透過度を算出する(ステップS15)。
具体的には、水蒸気透過度算出部14cは、水蒸気透過度推定モデル作成処理で作成した水蒸気透過度の推定モデルを用いて、異常部の水蒸気透過度を算出する。
次に、水蒸気透過度算出部14cは、正常部の水蒸気透過度及びステップS14にて算出された異常部の水蒸気透過度から測定範囲のガスバリアーフィルム全体の水蒸気透過度を算出する(ステップS16)。
具体的には、水蒸気透過度算出部14cは、推定モデルにより算出された異常部の水蒸気透過度と、所定の範囲内である正常部の水蒸気透過度を合算することにより、測定範囲のガスバリアーフィルム全体の水蒸気透過度を算出する。
また、ステップS14にて正常部と判断された場合、正常部の水蒸気透過度は、算出された層厚及び屈折率が所定の範囲内であることから、一定の水蒸気透過度以下とみなすことができる(ステップS16)。
なお、経済的、時間的な観点から正常部の推定モデルを用いた水蒸気透過度の算出は省略することができるが、正常部の水蒸気透過度についても推定モデルを用いて算出してもよい。ただし、推定モデルを用いて正常部の水蒸気透過度を算出する場合、推定モデルの補正項kは0とする。
また、ガスバリアーフィルムの製造方法としては、ガスバリアーフィルムの水蒸気透過度評価方法又は水蒸気透過度評価システムを用いて、ガスバリアーフィルムの水蒸気透過度を評価する工程を有することが好ましい。
当該ガスバリアーフィルムの水蒸気透過度評価方法及び水蒸気透過度評価システムは、非破壊・非接触でガスバリアーフィルム全体の水蒸気透過度を測定することから、ガスバリアーフィルムの製造工程に組み込み、水蒸気透過度を評価することができる。
<ガスバリアーフィルムの構成>
測定対象となるガスバリアーフィルムの一例を図3に示す。図3に示すように、ガスバリアーフィルムFは、基板F1、ブリードアウト防止層F2、平滑層F3、ガスバリアー層F4から構成されている。
ガスバリアーフィルムFは、図3に示すように、基板F1の一方の面に平滑層F3を備え、その平滑層F3上にガスバリアー層F4が積層されている。また、基板F1の他方の面側にはブリードアウト防止層F2を備えている。図3に示すガスバリアーフィルムは一例であって、測定対象となるガスバリアーフィルムを限定するものではない。
以下、本発明に係るガスバリアーフィルムの主要構成について、詳細に説明する。
〔基板〕
ガスバリアーフィルムFを構成する基板F1としては、可撓性を有する折り曲げ可能な樹脂フィルムが挙げられるが、ガラス基板等であってもよい。この基板F1は、ガスバリアー性を有するガスバリアー層F4や本発明に係る平滑層F3及びその他の各種機能層を保持することができる材料であれば、特に限定されるものではない。
基板F1に適用可能な樹脂材料としては、例えば、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリカーボネート(PC)、ポリアリレート、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)、ナイロン(Ny)、芳香族ポリアミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリイミド、ポリエーテルイミド等の樹脂材料から構成される樹脂フィルム、有機無機ハイブリッド構造を有するシルセスキオキサンを基本骨格とした耐熱透明フィルム(製品名:シルプラス、新日鐵化学株式会社製)、さらには上記したフィルム材料を2層以上積層して構成される樹脂フィルム等を用いることができる。
これら樹脂フィルムのうち、経済性や入手の容易性の観点からは、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリカーボネート(PC)等のフィルムが好ましく用いられる。
また、デバイスを封止する封止工程で高温処理が必要な場合には、耐熱性と透明性を両立した透明ポリイミドフィルム、例えば、東洋紡株式会社製の透明ポリイミド系フィルム(例えば、タイプHM)や、三菱瓦斯化学株式会社製の透明ポリイミド系フィルム(例えば、ネオプリムL L−3430)などを好ましく用いることができる。
本発明に適用する基板F1の厚さとしては、5〜500μmの範囲が好ましいが、耐熱性、搬送の容易さを考慮して25〜250μmが特に望ましい。
上記の樹脂材料を用いた基板F1は、未延伸フィルムでもよく、延伸フィルムでもよい。
〔平滑層〕
平滑層F3は、微小な突起等が存在する基板F1の粗面を平坦化し、基板F1表面の突起等によって基板F1上に成膜するガスバリアー層F4などに凹凸やピンホールが生じないようにするため、及び前記のようなガスバリアー層から拡散してくるアミン触媒やアンモニア、あるいは基板F1からガスバリアー層F4に拡散してくる水分等をトラップする機能を有し、各層間の密着性を向上させる役割を付与した層である。
このような平滑層F3は、例えば、ポリマー骨格中に少なくとも一つのウレタン結合を有する化合物であれば良く、1分子中に少なくとも二つのヒドロキシ基を有する公知のポリオール化合物と、1分子中にイソシアネート基を二つ以上有する公知の多官能イソシアネートを用いて、ウレタン架橋した硬化樹脂であることが好ましい。このような範囲には、イソシアネートで架橋硬化したフェノキシ樹脂及びその共重合体や、ポリビニルアセタール樹脂も含まれる。
〔ガスバリアー層〕
ガスバリアー層F4は、上記方法で形成した平滑層F3上に、ポリシラザンを含有するガスバリアー層形成用塗布液を塗布、乾燥して塗膜を形成した後、形成した塗膜に真空紫外光を照射して改質処理を施すことにより形成することが好ましい。
(ガスバリアー層としての塗膜改質層)
基板及び平滑層上にガスバリアー層を形成する薄膜である塗膜改質層を塗設する方法としては、例えば、ポリシラザンを含むガスバリアー層形成用塗布液を、平滑層上に塗布及び乾燥して形成した塗膜(ポリシラザン含有層)に、真空紫外光を照射する紫外線照射処理を施して、ガスバリアー性を有するポリシラザン改質層であるガスバリアー層に転化する方法である。
例えば、ガスバリアー層は、平滑層上にポリシラザンを含むガスバリアー層形成用塗布液を塗布及び乾燥して形成したポリシラザン含有層に真空紫外光を照射する改質処理を施して、ポリシラザン含有層をガスバリアー層に改質することで形成できる。また、塗布及び乾燥によって形成したポリシラザン含有層(ガスバリアー層)上には、保護層を積層し、その保護層の塗膜面側から真空紫外光を照射するなどの改質処理を施すことによって、ポリシラザン含有層をガスバリアー層に改質して形成することもできる。
(ポリシラザンを含むガスバリアー層形成用塗布液の塗布)
ガスバリアー層は、ポリシラザンを含むガスバリアー層形成用塗布液を塗布し、塗膜を成膜する湿式塗布方法によって形成することが好ましい。
ここで、「ポリシラザン」とは、ケイ素−窒素結合を持つポリマーで、Si−N、Si−H、N−H等の結合を有するSiO、Si及び両方の中間固溶体SiO等から構成されるセラミック前駆体無機ポリマーである。
そのポリシラザンを含むガスバリアー層形成用塗布液を塗布する湿式塗布方法としては、従来公知の方法から適宜選択して用いることができる。具体例な塗布方法としては、スピンコート法、ロールコート法、フローコート法、インクジェット法、スプレーコート法、プリント法、ディップコート法、流延成膜法、バーコート法及びグラビア印刷法等が挙げられる。
平滑層上に形成するポリシラザン含有層の層厚としては、目的に応じて適宜設定されるが、乾燥後の厚さとしては、1nm〜100μmの範囲内であることが好ましく、さらに好ましくは10nm〜10μmの範囲内であり、最も好ましくは10nm〜1μmの範囲内である。
また、適用するポリシラザンとしては、使用する基板の性状を損なわないように塗布するため、比較的低温条件でセラミック化してシリカに変性する化合物が好ましく、例えば、特開平8−112879号公報に記載の化合物が好ましい。
(ポリシラザンの改質処理:真空紫外光照射処理)
ポリシラザンの改質処理とは、ポリシラザン化合物の一部又は大部分を、酸化ケイ素又は酸化窒化ケイ素へ転化する処理をいう。
この改質処理は、ガスバリアーフィルムを作製するに際し、プラスチック基板への適応という観点から、より低温で、転化反応が可能な紫外光を適用した転化反応が好適に用いられる。
水分が取り除かれたポリシラザン塗膜(ポリシラザン含有層)は、紫外光の照射処理により改質される。紫外線(紫外光と同義)によって生成されるオゾンや活性酸素原子は高い酸化能力を有しており、低温で高い緻密性と絶縁性を有する酸化ケイ素膜又は酸化窒化ケイ素膜を形成することが可能である。
この紫外光照射により、セラミックス化に寄与するOとHO、紫外線吸収剤、ポリシラザン自身等が励起し、活性化される。そして、励起したポリシラザンのセラミックス化が促進され、得られるセラミックス膜が緻密になる。紫外光照射は、塗膜形成後であればいずれの時点で実施しても有効である。
真空紫外線照射処理において、ポリシラザン層塗膜が受ける塗膜面での該真空紫外線の照度は30〜200mW/cmの範囲内であることが好ましく、50〜160mW/cmの範囲内であることがより好ましい。30mW/cm以上では、改質効率が低下する懸念がなく、200mW/cm以下では、塗膜にアブレーションを生じず、基板にダメージを与えないため好ましい。
なお、真空紫外光の照射光量とガスバリアー層の屈折率に相関があると考えられるため、目的とするガスバリアー層の屈折率に合わせて真空紫外光の照射光量を調節してもよい。
〔保護層〕
本発明に係るガスバリアーフィルムにおいては、必要に応じて、保護層を設けてもよい。該保護層は、平滑層上に形成したガスバリアー層を保護する目的で、ガスバリアー層上に積層されている。
この保護層は、ガスバリアー層上に保護層形成用塗布液を塗布した後、乾燥することによって形成することができる。また、保護層形成用塗布液を塗布、乾燥した後、形成した塗膜に所定の改質処理(例えば、ガスバリアー層の形成に用いるのと同様の真空紫外光を照射する紫外線照射処理や、熱線を照射する加熱処理)を施して、保護層を形成する方法を適用してもよい。
保護層の形成に用いられる化合物としては、有機又は無機の化合物で、紫外〜可視光の領域において透明な被膜であることが好ましく、有機の樹脂として、例えば、ポリエステル樹脂、イソシアネート樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、エチレンビニルアルコール樹脂、ビニル変性樹脂、エポキシ樹脂、変性スチレン樹脂、変性シリコン樹脂及びアセタール樹脂等を、1種又は2種以上併せて使用することができる。これらの樹脂には、従来公知の添加剤を加えることもできる。そして、上記の化合物材料(樹脂)及び各種添加剤を、適宜選択した溶剤や希釈剤等で溶解して保護層形成用塗布液を調製した後、ロールコート、グラビアコート、ナイフコート、ディップコート及びスプレーコート等の公知の湿式塗布方法により、ガスバリアー層上にコーティングし、次いで溶剤や希釈剤等を乾燥除去することにより、保護層を形成することができる。その塗布量としては、0.01〜1g/m(乾燥状態)の範囲内が好ましい。
(保護層の積層方法)
保護層は、平滑層上に設けられたガスバリアー層(ポリシラザン含有層)上に積層される。
保護層の形成方法としては、水分と反応性のある無機化合物を用いる場合には、水分含有率の低い溶媒にその化合物を溶解、分散して調製した保護層形成用塗布液を低湿度環境下で塗布し乾燥することによって形成することが好ましい。ここで低湿度環境における湿度は、温度により変化するので、温度と湿度の関係は露点温度の規定により好ましい形態が示される。好ましい露点温度は4℃以下(温度25℃/湿度25%)で、より好ましい露点温度は−8℃(温度25℃/湿度10%)以下、さらに好ましい露点温度は−31℃(温度25℃/湿度1%)以下である。
また、保護層の厚さは、通常1〜1000nmの範囲であり、好ましくは、10〜500nmの範囲である。本発明において、保護層の厚さが、上記で規定する範囲内にあれば、形成する保護層塗膜の均一性を確保しやすくなり、また、ガスバリアー層を、擦り傷や折り曲げ時のストレスから保護することができる。
〔ブリードアウト防止層〕
また、ガスバリアーフィルムにおいては、図3に示すように、基板F1の平滑層等を形成するのとは反対側の面に、ブリードアウト防止層F2を形成してもよい。
ブリードアウト防止層F2は、平滑層F3を有する基板(フィルム)を加熱した際に、基板F1中からその表面に未反応のオリゴマー等が移行して、フィルム表面を汚染する現象を抑制する目的で、平滑層F3を有する基板F1の反対面に設けられる。ブリードアウト防止層F2は、この機能を有していれば、基本的に平滑層F3と同じ構成をとっても構わない。
ブリードアウト防止層F2に含ませることが可能な重合性不飽和基を有する不飽和有機化合物(以下、ハードコート剤ともいう。)としては、分子中に2個以上の重合性不飽和基を有する多価不飽和有機化合物、あるいは分子中に1個の重合性不飽和基を有する単価不飽和有機化合物等を挙げることができる。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例において「部」あるいは「%」の表示を用いるが、特に断りがない限り「質量部」あるいは「質量%」を表す。
なお、以下の実施例では、ガスバリアー層の層厚が240〜260nmの範囲内であり、屈折率が1.73〜1.78の範囲内であるガスバリアー層の範囲を正常部、範囲外を異常部として水蒸気透過度を算出した。
[水蒸気透過度の推定モデルの作成]
(基板の作製)
両面に易接着加工された100μmの厚さのポリエチレンテレフタレート(PET)基板(東洋紡績株式会社製、コスモシャインA4300)を基板F1として用い、シート状の基板F1を温度25℃、相対湿度55%の環境下で96時間保管して調湿した後、下記のように、片面にブリードアウト防止層F2、反対面に平滑層F3を作製して用いた。
(ブリードアウト防止層の形成)
上記基板の片面に、JSR株式会社製 UV硬化型有機/無機ハイブリッドハードコート材OPSTAR Z7535を、乾燥後の層厚が4μmになるようにミカサ製スピンコーター MS−A100を用いてスピンコートにより、塗布した後、空気下で高圧水銀ランプ使用して、1.0J/cmの硬化条件、80℃、3分間の乾燥条件で硬化及び乾燥を行い、ブリードアウト防止層を形成した。
(平滑層の形成)
基板の上記ブリードアウト防止層を形成した面の反対側の面に、二液型ポリウレタン樹脂塗料、ワシンコート MP−6103A(固形分濃度40質量%の酢酸ノルマルブチル溶液);トリレンジイソシアネート系変性イソシアネート樹脂(イソシアネート基を有する素材)、とワシンコート MP−6103B(固形分濃度30質量%のトルエン・メチルエチルケトン混合溶液);変性ポリエステル樹脂(ポリオール)を、ポリオール中のヒドロキシ基とイソシアネート基の質量比率が1:4のようになるように混合し、塗布液としての固形分濃度が10質量%になるように、メチルエチルケトン/メチルイソブチルケトンの1/1の混合溶媒で希釈した塗布液を調製した。これらの塗布液を用いて、乾燥後の層厚が2μmになるようにミカサ製スピンコーター MS−A100を用いてスピンコートにより、塗布した後、80℃、3分間の乾燥条件で乾燥し、その後、40℃の環境下で48時間静置した。
(ガスバリアー層の形成)
次いで、パーヒドロポリシラザン(アクアミカ NN120−10、AZエレクトロニックマテリアルズ(株)製)の10質量%ジブチルエーテル溶液と、アミン触媒のN,N,N′,N′−テトラメチル−1,6−ジアミノヘキサンの10質量%ジブチルエーテル溶液を、99対1の割合で混合した液体(第1の塗布液)を、ミカサ製スピンコーター MS−A100を用いてスピンコートにより、乾燥後の(平均)層厚が、250nmとなるように平滑層F3上に塗布し、温度50℃、露点−5℃の乾燥空気で1分間乾燥して塗布試料を得た。得られた塗布試料を、温度95℃、露点−5℃の乾燥空気で2分間処理し、基板F1上面の平滑層F3上にポリシラザン含有層を形成した試料を得た。
各試料の表面に下記装置、条件で真空紫外光照射(エキシマ改質処理)を行い、ポリシラザン含有層を改質してガスバリアー層を形成した。
(エキシマ改質処理)
ポリシラザン塗膜を乾燥し、ポリシラザン含有層を形成した後の上記試料に対し、下記の装置、条件でエキシマ改質処理を施してポリシラザン含有層を改質してガスバリアー層F4を形成した。
〈エキシマ照射装置〉
(株)エム・ディ・コム製エキシマ照射装置MODEL:MECL−M−1−200
波長:172nm
ランプ封入ガス:Xe
〈改質処理条件〉
平均エキシマ光強度 :130mW/cm(172nm)
試料と光源の距離 :2mm
ステージ加熱温度 :95℃
照射装置内の酸素濃度 :0.1%以下を維持
エキシマ光照射時のステージ搬送速度:10mm/秒
エキシマ光照射時のステージ搬送回数:試料表面へのエキシマ光露光量の積算量が5000mj/cmとなるように調整。
(層厚及び屈折率の測定)
XYステージでガスバリアーフィルムを移動させながら、1mm毎にガスバリアー層の層厚及び屈折率を測定した。1mm当たりの測定時間は、約1秒で測定した。
使用装置:膜厚測定システム F20(フィルメトリクス社製)
使用ソフト:FILMeasure(フィルメトリクス社製)
(カルシウム腐食法によるガスバリアー性の評価)
上記のガスバリアー層を形成した基板(ガスバリアーフィルム)をカルシウム腐食法による実測値を得るために更に作製し、以下の測定方法に従って、ガスバリアーフィルムの水蒸気透過度の実測値をカルシウム腐食法により評価した。
〈評価装置〉
蒸着装置:日本電子製真空蒸着装置JEE−400
恒温恒湿度オーブン:Yamato Humidic ChamberIG47M
水分と反応して腐食する金属:カルシウム(粒状)
水蒸気不透過性の金属:アルミニウム(φ3〜5mm、粒状)
〈ガスバリアー性評価用セルの作製〉
真空蒸着装置(日本電子製真空蒸着装置 JEE−400)を用い、ガスバリアーフィルム試料の保護層の表面に金属カルシウムを蒸着させた。次いで、乾燥窒素ガス雰囲気下で、厚さ0.2mmの石英ガラスに封止用紫外線硬化樹脂(ナガセケムテックス製)を介して金属カルシウム蒸着面を対面させて接着し、紫外線を照射することで、評価用セルを作製した。
特開2005−283561号公報に記載の試験片を恒温恒湿環境下で撮像し、得られた画像を画像処理することで腐食したカルシウムを算出し、水蒸気透過度を測定する方法に基づき、得られた試料(評価用セル)を60℃、90%RHの条件下で保存し、金属カルシウムの腐食量からセル内に透過した水分量を評価した。
(層厚及び屈折率からの水蒸気透過度の推定モデル作成)
説明変数としてカルシウム腐食法により得られた水蒸気透過度、ガスバリアー層の層厚及び屈折率を用いて重回帰分析を行った。変化量を算出するための正常部のガスバリアー層の層厚を250nm、屈折率を1.78、水蒸気透過度を1.0×10−6g/m・24hとして、水蒸気透過度の推定モデルを以下のように作成した。
水蒸気透過度(g/m・24h)=1.0×10−6−2.7×10−7×Δd−1.7×10−4×Δn+k
Δnは、正常部のガスバリアー層と測定するガスバリアーフィルムのガスバリアー層との屈折率の差分である。Δdは、正常部のガスバリアー層と測定するガスバリアーフィルムのガスバリアー層との層厚の差分である。定数kは、重回帰分析とカルシウム腐食法による実測値から求めた水蒸気透過度の補正項である。
[水蒸気透過度推定モデルによる水蒸気透過度の算出]
(ガスバリアーフィルムの作製)
ガスバリアーフィルムは、カルシウム腐食法により水蒸気透過度の推定モデルを算出するために用いたガスバリアーフィルムと同様に作製した。
(層厚及び屈折率の測定)
ガスバリアーフィルムは、カルシウム腐食法により水蒸気透過度の推定モデルを算出するために用いたガスバリアーフィルムと同様にガスバリアー層の層厚及び屈折率を測定した。
(ガスバリアーフィルムの判定)
分光反射率計により算出された層厚及び屈折率が所定の範囲外か否かが判定され、所定の範囲外と判定されたガスバリアー層の部分を異常部と判断し、所定の範囲内であると判定されたガスバリアー層の部分を異常部と判断した。
本実施例では、ガスバリアー層の層厚及び屈折率を算出した部分のうち、正常部と判断された部分を試料番号1として、異常部と判断された部分を試料番号2〜4とした。
測定された層厚及び屈折率に基づいて、ガスバリアー層の層厚が250nm、屈折率が1.78との差分を用いて、試料番号2〜4について、推定モデルに基づいて水蒸気透過度を算出した。なお、正常部(試料番号1)の水蒸気透過度(水蒸気透過度の正常値)は、1.0×10−6g/m・24h以下としている。結果を表1に示す。
Figure 2016136086
(カルシウム腐食法による水蒸気透過度との比較)
推定モデルにより算出された異常部(試料番号2〜4)の水蒸気透過度の値は、カルシウム腐食法で得られた実測値と近い値が得られている。
以上より、本発明のガスバリアーフィルムの水蒸気透過度の評価方法を用いて、非接触、非破壊で短時間、広範囲にガスバリアー性能を評価できることがわかった。本発明の水蒸気透過度評価方法を高速の分光反射率計又はエリプソメーターを用いることで、ガスバリアーフィルムの製造工程に組み込むことも可能となる。
100 水蒸気透過度評価システム
1 データ処理装置
11 制御部
12 記録部
13 通信部
14 データ処理部
14a 推定モデル作成部
14b ガスバリアー層判定部
14c 水蒸気透過度算出部
15 操作表示部
2 分光反射率計調整装置
3 分光反射率計
31 受光部
32 光源
4 フィルム観察台
41 フィルム固定台
42 二軸電動ステージ
43 装置フレーム
F ガスバリアーフィルム
F1 基板
F2 ブリードアウト防止層
F3 平滑層
F4 ガスバリアー層

Claims (8)

  1. ガスバリアーフィルムのガスバリアー層の層厚及び屈折率に基づきガスバリアーフィルムの水蒸気透過度を評価する水蒸気透過度評価方法であって、
    (1)前記ガスバリアー層の層厚及び屈折率を光学的に測定する測定ステップと、
    (2)前記測定ステップにより測定される層厚及び屈折率に基づいて、測定範囲のガスバリアーフィルム全体の水蒸気透過度を算出する水蒸気透過度算出ステップと、
    を含むことを特徴とする水蒸気透過度評価方法。
  2. 前記水蒸気透過度算出ステップでは、カルシウム腐食法により測定されたガスバリアーフィルムの水蒸気透過度、ガスバリアー層の層厚及び屈折率に基づいて作成される水蒸気透過度の推定モデルを用いて水蒸気透過度を算出することを特徴とする請求項1に記載の水蒸気透過度評価方法。
  3. 前記水蒸気透過度の推定モデルが、あらかじめ設定された水蒸気透過度の項と、あらかじめ設定された層厚及び屈折率からの変化量に基づく水蒸気透過度の変化量の項と、補正項とを有することを特徴とする請求項2に記載の水蒸気透過度評価方法。
  4. 測定対象のガスバリアー層が、基板にポリシラザンを含有する塗布液を塗布し、乾燥して得られる層に、真空紫外光を照射して改質することにより形成されたガスバリアー層であることを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載の水蒸気透過度評価方法。
  5. 前記測定ステップでは、前記層厚及び屈折率を分光反射率計又はエリプソメーターを用いて測定することを特徴とする請求項1から請求項4までのいずれか一項に記載の水蒸気透過度評価方法。
  6. ガスバリアーフィルムのガスバリアー層の層厚及び屈折率に基づきガスバリアーフィルムの水蒸気透過度を評価する水蒸気透過度評価システムであって、
    (1)前記ガスバリアー層の層厚及び屈折率を光学的に測定する測定手段と、
    (2)前記測定手段により測定される層厚及び屈折率に基づいて、測定範囲のガスバリアーフィルム全体の水蒸気透過度を算出する水蒸気透過度算出手段と、
    を含むことを特徴とする水蒸気透過度評価システム。
  7. 前記ガスバリアーフィルムを製造する工程において、当該ガスバリアーフィルムの水蒸気透過度を評価するために用いられることを特徴とする請求項6に記載の水蒸気透過度評価システム。
  8. 請求項1から請求項5までのいずれか一項に記載のガスバリアーフィルムの水蒸気透過度評価方法を用いて、ガスバリアーフィルムの水蒸気透過度を評価する工程を有することを特徴とするガスバリアーフィルムの製造方法。
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