JP2016135557A - 印刷装置および印刷方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】振動板の残留振動に基づいてノズルからの液滴の吐出異常を検出する印刷装置において、ユーザーの実使用に合致した形で液滴の吐出異常を検出することを可能とする。
【解決手段】振動板の変位によって液体の液滴を媒体に吐出するノズルと、振動板の残留振動に基づいてノズルからの液滴の吐出異常が発生しているか否かを検出する異常検出動作を実行する検出部と、異常検出動作に連携して液滴の吐出異常を確認するパターンを媒体に印刷させる制御部とを備える。
【選択図】図4
【解決手段】振動板の変位によって液体の液滴を媒体に吐出するノズルと、振動板の残留振動に基づいてノズルからの液滴の吐出異常が発生しているか否かを検出する異常検出動作を実行する検出部と、異常検出動作に連携して液滴の吐出異常を確認するパターンを媒体に印刷させる制御部とを備える。
【選択図】図4
Description
この発明は、ノズルから液体の液滴を媒体に吐出して画像を印刷する印刷装置および印刷方法に関するものである。
印刷装置として、圧電素子(ピエゾ素子)を駆動させてノズルから液体(例えば、インク)を吐出させるプリンターが知られている。また、このようなプリンターにおいて、圧電素子を駆動させた後の残留振動を検出し、その残留振動に基づいてノズルの吐出検査を行うようにしたものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
しかしながら、上記吐出検査はセンシティブな側面を有しており、例えばインクの飛行曲りが発生したり、圧電素子の僅かな剥離が発生した場合にも、吐出不良と判定することがある。このような場合、上記吐出検査により吐出不良と判定されるものの、実際にはノズルからインクが吐出されることがある。そして、そのインク吐出状態のまま印刷を行ったとしても実使用上、支障ないとユーザーが判断することもある。
この発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、振動板の残留振動に基づいてノズルからの液滴の吐出異常を検出する印刷装置において、ユーザーの実使用に合致した形で液滴の吐出異常を検出することができる技術を提供することを目的とする。
この発明の第1態様は、媒体に画像を印刷する印刷装置であって、振動板の変位によって液体の液滴を媒体に吐出するノズルと、振動板の残留振動に基づいてノズルからの液滴の吐出異常が発生しているか否かを検出する異常検出動作を実行する検出部と、異常検出動作に連携して液滴の吐出異常を確認するパターンを媒体に印刷させる制御部とを備えることを特徴としている。
また、この発明の第2態様は、ノズルに設けられる振動板の変位によってノズルから液体の液滴を吐出して画像を媒体に印刷する印刷方法であって、振動板の残留振動に基づいてノズルからの液滴の吐出異常が発生しているか否かを検出する異常検出動作を実行する工程と、異常検出動作に連携して液滴の吐出異常を確認するパターンを媒体に印刷する工程とを備えることを特徴としている。
このように構成された発明では、検出部が異常検出動作を行うのみならず、当該異常検出動作に連携して液滴の吐出異常を確認するパターンが媒体に印刷され、ユーザーの目視によって液滴の吐出異常の検出が可能となっている。このため、検出部によって液滴の吐出異常が検出されたとしても、ユーザーにとって実使用に合致した判断が可能となっている。つまり、ユーザーの実使用に合致した形で液滴の吐出異常を検出することが可能となっている。
ここで、「異常検出動作に連携して」とは、異常検出動作と同時あるいは異常検出動作後に必ず上記パターンを印刷する態様や、異常検出動作の結果に基づいて上記パターンを印刷する態様などを含んでいる。特に、後者の場合の一態様として、異常検出動作により液滴の吐出異常が検出されたときのみ上記パターンを媒体に印刷してもよく、この場合、パターン印刷の回数を低減させることができ、その結果、液体の消費を抑制することができる。
また、パターンの印刷位置については任意であるが、画像を印刷しない非画像形成領域にパターンを印刷するのが望ましい。例えば連続するシート状の媒体に対してジョブ毎に画像を印刷する場合、ジョブとジョブの間は非画像形成領域となっている。また、媒体の端部は非画像形成領域となっていることが多い。したがって、これらの非画像形成領域に上記パターンが画像から分離して印刷される。よって、パターンを良好に目視することが可能となっている。
また、検出部は振動板の残留振動に基づいてノズルからの液滴の吐出異常の発生を検出するため、画像形成領域に画像を形成するときに上記異常検出動作を実行するように構成してもよい。これによって、印刷装置のスループットを落とすことなく、液滴の吐出異常の確認を行うことができる。
また、異常検出動作をノズルからの液滴の吐出を伴って行うことも、また吐出を伴わないで行うことも可能であるが、特許文献1に記載されているように通常印刷と異なる信号で振動板を変位させる。したがって、液滴の吐出を伴いながら画像形成領域で異常検出動作を実行すると、画像の品質劣化を招く可能性がある。したがって、液滴の吐出を伴う異常検出動作については、画像形成領域の端部に限定して行うことで画質劣化を最小限に抑えることができる。
また、検出部が液滴の吐出異常を検出したときに、液滴の吐出異常が発生したことを報知するように構成すると、ユーザーは媒体に印刷された上記パターンを目視するタイミングを容易に知ることができる。
また、上記パターンが媒体に印刷され、当該パターンを目視することでユーザーは、検出部で検出された吐出異常が実使用上問題あるものか、あるいは印刷を続行しても問題ないレベルなのかを容易に判断し、その判断結果を装置に与えることができる。そこで、外部から与えられる指令に応じて画像の印刷を続行するか否かを選択する選択部を設けるのが望ましい。なお、選択部が画像の印刷の続行を選択したときには、液滴の吐出異常が発生しているか否かの判断基準を変更してもよい。これによって、印刷装置をユーザーの使用態様に近づける、つまりカスタマイズすることができ、検出部が過剰に吐出異常を検出するのを防止することができる。
図1は本発明にかかる印刷装置の一実施形態に係るインクジェット記録装置の外観を示す斜視図である。また、図2は図1に示すインクジェット記録装置の内部機構を模式的に示す斜視図である。さらに、図3は図1に示すインクジェット記録装置の電気的構成を示すブロック図である。このインクジェット記録装置1は、外部装置であるホストコンピューター100から印刷データを受信し、当該印刷データに基づいて記録媒体RMにインク組成物(以下、単に「インク」と称する)の液滴(以下「インク滴」と称する)を吐出することより上記印刷データに対応する画像(文字などの情報を含む)を記録媒体RMに印刷する。なお、記録媒体RMとしては、例えばJIS規格のA1判といった大判の単票、同単票と同じ用紙幅を有するロール紙など紙の他に、樹脂フィルム等を用いることもできる。
インクジェット記録装置1は、図1に示すように、3種類のボックス部材、つまり上部ボックス部材10a、下部ボックス部材10bおよび小型ボックス部材10cを組み合わせてなる筐体10と、筐体10を支持する脚部12とを有している。上部ボックス部材10aおよび下部ボックス部材10bは上下方向に積層されている。そして、上部ボックス部材10aの正面右側には操作パネル14が設けられている。この操作パネル14は、例えば液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、LEDランプ等で構成され、各種メッセージ等を表示する表示部(図示省略)と、各種スイッチ等で構成される操作部(図示省略)とを備えている。また、下部ボックス部材10bの正面左側にはインクを収容したインクカートリッジ20を装填するカートリッジホルダー16が設けられている。
図1への図示を省略するが、下部ボックス部材10bの後部(図1において奥手側)においてスピンドルが水平に設けられるとともに当該スピンドルに対してロールが装着されている。そして、このロールに印刷前の長尺の記録媒体RMが巻き取られている。ロールから上部ボックス部材10aと下部ボックス部材10bとの間に記録媒体RMを引き出し可能となっており、当該記録媒体RMを内部機構30の搬送部31が正面側に送り出すとともに、当該記録媒体RMに対して内部機構30のヘッドユニット32が画像を印刷する。こうして印刷された記録媒体RMはさらに搬送部31によって筐体10の正面側(図1や図2の手前側)に送り出され、自重により下方に垂れ下がる。
次に、内部機構30について図2を参照しつつ説明する。この内部機構30は、上記した搬送部31およびヘッドユニット32以外に、ヘッドユニット32を移動させる走査部33、キャップ部34およびフラッシング部35などを備えている。
搬送部31は、搬送モーター(図示省略)、搬送駆動ローラー311、搬送従動ローラー(図示省略)、吸引プラテン312などを有している。搬送駆動ローラー311および吸引プラテン312は記録媒体RMの搬送方向Sに沿って、この順に配置されている。この搬送駆動ローラー311は上部ボックス部材10aの内部に収容されている。これに対し、吸引プラテン312は下部ボックス部材10bに収容されている。そして、装置全体を制御するコントローラー40のユニット制御部44(図3)からの制御指令に応じて搬送モーターが作動すると、当該搬送モーターによって回転駆動される搬送駆動ローラー311が記録媒体RMを押し付けつつ回転して、前方の吸引プラテン312上に送り出す。
吸引プラテン312は、水平で平坦な表面を有し、搬送駆動ローラー311により送り込まれた記録媒体RMを下方から支持する。吸引プラテン312は、吸引ファン等の減圧源に連通した多数の吸引孔を表面に有し、記録媒体RMを吸着する。これにより、吸引プラテン312は、巻き癖のついた記録媒体RMを、ヘッドユニット32の下方で平坦に保持する。また、吸引プラテン312の前端には、滑らかな案内面312aが形成されており、送り出される記録媒体RMを円滑に下方に案内する。
ヘッドユニット32は、図3に示すように、ヘッド320およびヘッド制御部HCで構成されている。ヘッド320は複数のノズルを有しており、走査部33によって移動方向M(図2)に移動される間に、ヘッド制御部HCからの駆動指令にしたがって各ノズルからインク滴を断続的に吐出する。これによって、移動方向Mに沿ったドットライン(ラスタライン)が記録媒体RMに形成される。ヘッド320の詳細については後述する。
走査部33は、図2に示すように、ガイドレール331、キャリッジ332、キャリッジモーター333などで構成されている。ガイドレール331は上部ボックス部材10aの内部に長手方向に水平に延在するように設けられている。また、キャリッジ332は、ヘッドユニット32を搭載し、ガイドレール331に支持されつつ、ガイドレール331に沿って、移動方向Mに、水平に往復移動(走査)するように配置されている。
ガイドレール331の後方には、一対のプーリー334に掛けわたされたタイミングベルト335が配置される。プーリー334の一方はキャリッジモーター333の回転軸(図示省略)に接続されている。プーリー334の間で、タイミングベルト335はガイドレール331に対して平行に走行自在となっている。また、タイミングベルト335の一部は、キャリッジ332に結合される。このため、ユニット制御部44からの制御指令に応じてキャリッジモーター333が作動すると、それによってキャリッジ332が移動方向Mに移動される。
さらに、往復移動方向Mに対して平行にリニアスケール336が配置されている。リニアスケール336は、透明な本体と、往復移動方向Mに沿って一定の周期で形成された遮光帯とを有する。一方、キャリッジ332は遮光帯を検出するキャリッジ検出部332a(図3)を備えている。このため、キャリッジ検出部332aの検知結果がコントローラー40に出力され、キャリッジ332の移動量が正確に検知される。
このように、走査部33は、ヘッドユニット32を走査するように精度良く移動させることで、記録媒体RM上にインク滴が吐出されて画像形成の領域(画像形成領域)を形成する。また、記録媒体RMのうち上記画像形成領域以外の領域が非画像形成領域に相当する。さらに、キャリッジ332は記録媒体RMを越えて移動方向Mに移動可能となっており、移動方向Mについて吸引プラテン312の外側の領域には、メンテナンスユニットとして、フラッシング部35およびキャップ部34が順次配置されている。そして、ユニット制御部44からの制御指令に応じてキャリッジモーター333が作動することで、ヘッドユニット32をフラッシング部35やキャップ部34に移動させることが可能となっている。例えばキャリッジ332(ヘッドユニット32)をフラッシング部35に移動させ、所定のノズルからインクを吐出させてフラッシングを行う。一方、フラッシング部35は吐出されたインクを吸収する。このようなフラッシング処理により、増粘したインクをヘッドユニット32から除去することができる。
また、キャップ部34は、インクジェット記録装置1が休止している期間に、ヘッドユニット32の下面を気密に封止して、ヘッドユニット32においてインクが増粘または固化することを防止する。
なお、本実施形態では、図2に示すようにフラッシング部35がヘッドユニット32の走査領域に対して一方の側にだけ設けられているが、これに限定するものではなく、走査領域の両外側に設けても良い。フラッシング部35を走査領域の両外側に設けることで、同じフラッシング間隔に対しては、走査領域の長さをより長くすることができる。
次に、ヘッド320の構成について図4を参照しつつ説明する。図4はヘッドのノズルの周辺の断面図である。
ヘッド320は、図4に示すように、振動板321と、この振動板321を変位させる圧電式アクチュエータ322と、内部に液体であるインクが充填され且つ振動板321の変位により内部の圧力が増減されるキャビティ(圧力室)323と、このキャビティ323に連通し且つ当該キャビティ323内の圧力の増減によりインクを液滴として吐出するノズル324とを備えている。
ヘッド320は、図4に示すように、振動板321と、この振動板321を変位させる圧電式アクチュエータ322と、内部に液体であるインクが充填され且つ振動板321の変位により内部の圧力が増減されるキャビティ(圧力室)323と、このキャビティ323に連通し且つ当該キャビティ323内の圧力の増減によりインクを液滴として吐出するノズル324とを備えている。
ヘッド320は、ノズル324が形成されたノズル基板325と、キャビティ基板326と、振動板321と、複数の圧電素子322aを積層した積層型の圧電式アクチュエータ322とを備えている。キャビティ基板326は、図示のように所定形状に形成され、これにより、キャビティ323と、これに連通するリザーバ327とが形成されている。また、リザーバ327は、インク供給チューブ328を介してインクカートリッジ20に接続されている。圧電式アクチュエータ322は、対向して配置される櫛歯状の第1電極322b、第2電極322cと、その電極(第1電極322b、第2電極322c)の各櫛歯と交互に配置される圧電素子322aとを有している。また、圧電式アクチュエータ322は、その一端側が図4に示すように、中間層329を介して振動板321と接合されている。
このような構成からなる圧電式アクチュエータ322では、第1電極322bと第2電極322cとの間に駆動信号が印加されることによって、図4の矢印で示すように上下方向に伸び縮みするモードを利用している。従って、この圧電式アクチュエータ322では、駆動信号が印加されると、振動板321に圧電式アクチュエータ322の伸縮による変位が生じてキャビティ323内の圧力が変化し、ノズル324からインク滴が吐出されるようになっている。具体的には、キャビティ323の容積を拡大してインクを引き込み、次いでキャビティ323の容積を縮小してインク滴を吐出する。なお、このような圧電式アクチュエータ322の駆動制御については、コントローラー40の駆動信号生成部45からの駆動信号に応じてヘッド制御部HCが行っている。
このコントローラー40は、ホストコンピューター100から受信した印刷データに基づいて、インクジェット記録装置1の各部を制御し、印刷データに対応する画像を記録媒体RMに印刷する。コントローラー40は、インターフェイス部41と、CPU(Central Processing Unit)などで構成される演算処理部42と、メモリー43と、ユニット制御部44と、駆動信号生成部45とを有する。インターフェイス部41は、外部装置であるホストコンピューター100とプリンター1との間でデータの送受信を行う。演算処理部42はインクジェット記録装置1全体の制御を行うための演算処理を行う。メモリー43は、演算処理部42のプログラムを格納する領域や作業領域等を確保するためのものであり、RAM(Random Access Memory)、EEPROM(Electrically
Erasable Programmable Read-Only Memory)等の記憶素子を有する。演算処理部42は、メモリー43に格納されているプログラムに従って、ユニット制御部44を介して搬送部31、ヘッドユニット32、走査部33などを制御する。さらに、駆動信号生成部45は、ヘッド320を駆動させる駆動信号を生成する。
Erasable Programmable Read-Only Memory)等の記憶素子を有する。演算処理部42は、メモリー43に格納されているプログラムに従って、ユニット制御部44を介して搬送部31、ヘッドユニット32、走査部33などを制御する。さらに、駆動信号生成部45は、ヘッド320を駆動させる駆動信号を生成する。
また、本実施形態では、各ノズルからのインク滴の吐出が正常か異常かを判定するために残留振動検出部50が設けられ、振動板321の残留振動を検出する。また、残留振動検出部50は、検出結果に基づいて、特許文献1に記載の装置と同様にして各ノズルについてインク滴の吐出が正常か異常かを判定し、その判定結果を演算処理部42に出力する。また、異常との判定を受け取ったとき、演算処理部42は装置各部を制御してノズルをチェックするためのノズルチェックパターンを記録媒体RMの非画像形成領域に印刷する。さらに、演算処理部42は、当該ノズルチェックパターンを目視したオペレータが操作パネル14を介して入力した指令に基づいて画像の印刷を続行するか否かを選択する。このように、本実施形態では、演算処理部42は、印刷データに基づく通常の印刷動作を実行する以外に、パターン印刷部421および選択部422として機能し、以下の処理を実行する。
図5は図1に示すインクジェット記録装置の動作を示すフローチャートである。また、図6は電源投入直後に行われる異常検出動作に連携して印刷されたノズルチェックパターンの一例を示す図であり、図7はジョブ間で行われる異常検出動作に連携して印刷されたノズルチェックパターンの一例を示す図である。さらに、図8は吐出異常を検出したときに表示されるメッセージの一例を示す図である。このインクジェット記録装置1では、メモリー43に格納されているプログラムにしたがって演算処理部42が装置各部を制御して異常検出動作や印刷動作などを実行する。まず、ステップS1で異常検出動作の実行タイミングに該当すると判定されると、異常検出動作を実行する(ステップS2〜S4)。なお、本実施形態では、インクジェット記録装置1の電源が投入された直後、一定時間が経過する毎、あるいは印刷ジョブの間などを「異常検出動作の実行タイミング」としている。
異常検出動作は、特許文献1と同様に、フラッシング処理とともに行われる。より詳しくは、ヘッド320をフラッシング部35に移動させ、一のノズル324からインク滴をフラッシング部35に向けて吐出させた後で残留振動検出部50により振動板321の残留振動を検出する(ステップS2)。また、検出された残留振動の波形データから残留振動の周期を計測する(ステップS3)。そして、残留振動の周期が予めメモリー43に記憶されている基準周期範囲内にあるか否かを判定する(ステップS4)。この「基準周期範囲」は、正常吐出時の残留振動周期も対して正常と判定できる許容範囲を持たせたものである。したがって、残留振動周期が基準周期範囲内にあるとき、吐出異常は発生していない(ステップS4で「NO」)と判定され、以下に説明するノズルチェックパターンを印刷することなく、通常の印刷動作を実行し(ステップS5)、ステップS1に戻る。
一方、残留振動周期が基準周期範囲外にあるとき(ステップS4で「YES」)、吐出異常が発生したと判定される。例えば残留振動周期が基準周期範囲よりも短い、つまり残留振動の周波数が高いときには、ヘッド320のキャビティ323内に気泡が混入しているものと考えられる。逆に、残留振動周期が基準周期範囲よりも長いときには、ノズル324付近のインクが乾燥により増粘していたり、ノズル324の出口付近に紙粉が付着しているもの(紙粉付着)と判定することができる。
このように異常検出動作によってインク滴の吐出異常が検出される(ステップS4で「YES」と判定される)と、演算処理部42は装置各部を制御してノズル324の不良をチェックするためのノズルチェックパターンを記録媒体RMの非画像形成領域に印刷する(ステップS6)。例えばインクジェット記録装置1の電源が投入された直後に実行された異常検出動作によって吐出異常が検出された場合、図6に示すように、搬送方向Sにおける記録媒体RMの先端側の非画像形成領域61にノズルチェックパターン70が印刷される(なお、同図中の符号81は、電源投入後、最初に印刷される予定の画像を示している)。また、印刷ジョブ間で実行された異常検出動作によって吐出異常が検出された場合、図7に示すように、異常検出動作の直前の印刷ジョブにより画像82が印刷された画像形成領域62と、次の印刷ジョブにより画像83が印刷される予定の画像形成領域63とに挟まれる非画像形成領域64にノズルチェックパターン70が印刷される。なお、各ノズルチェックパターン70はヘッド320の全てのノズル324を使ってインク滴を吐出して印刷ドットが重ならないようにインク色毎(YMCK毎)に形成された複数のパターン71を含んでいる。このため、記録媒体RMにノズルチェックパターン70を目視で観察することでユーザーはノズル324のノズル目詰まり等に起因するドット抜け、つまり吐出異常の発生の有無を確実に確認することができる。
このような目視観察をユーザーに促すために、本実施形態では、操作パネル14の表示部に、例えば図8に示すメッセージを表示して報知する(ステップS7)。そして、ユーザーが吐出異常を発見しない、あるいは吐出異常が存在するものの実使用上問題ないと判断し、操作パネル14の操作部の「印刷続行」のボタンをタッチする(ステップS8で「NO」と判定される)と、通常の印刷動作を実行し(ステップS5)、ステップS1に戻る。
一方、ユーザーが吐出異常を確認し、操作パネル14の操作部の「Cancel」のボタンをタッチする(ステップS8で「YES」と判定される)と、印刷を中止して印刷不良を未然に防止する(ステップS9)。
以上のように、本実施形態によれば、残留振動検出部50によって吐出異常が検出されたとき、直ちに印刷を中止するのではなく、記録媒体RMにノズルチェックパターン70を印刷しているため、ユーザーは目視によって吐出異常を確認することができる。したがって、ユーザーにとって実使用に耐えならない程度の吐出異常が発生しているか否かを確認した上で印刷続行または印刷中止の判断を行うことができる。なお、印刷続行の判断がなされ、「印刷続行」の指令が与えられた場合、メモリー43に記憶されている基準周期範囲、つまり吐出異常が発生しているか否かの判断基準を変更し、ユーザーによる吐出異常の判断基準に合致させるように構成してもよい。つまり、異常検出動作による吐出異常の判断がユーザー毎にカスタマイズされ、各ユーザーの使い勝手を向上させることができる。
また、上記実施形態では、異常検出動作によりインク滴の吐出異常が検出されたときのみノズルチェックパターン70を記録媒体RMに印刷するため、ノズルチェックパターン70の印刷回数が徒に増大するのを防止し、インク消費を抑制することができる。
また、画像を印刷しない非画像形成領域61、64にノズルチェックパターン70を印刷しており、画像81〜83から分離させている。このため、画像劣化を確実に防止することができるとともに、ノズルチェックパターン70を良好に目視することが可能となっている。
また、ノズル324からのインク滴の吐出異常が検出されたときには、図8に示すように、その旨を表示部に表示して報知している。このため、ユーザーは吐出異常の発生をタイムリーに知ることができる。また、吐出異常を確認するためのノズルチェックパターン70が印刷されることも同時に知ることができ、記録媒体RMに印刷されるノズルチェックパターン70を目視すべきタイミングも容易に知ることができる。
さらに、ノズルチェックパターン70を目視して当該吐出異常が印刷を続行しても問題ないレベルとユーザーが判断し、操作パネル14の操作部を介して「印刷続行」を指令すると、印刷が実行される。したがって、吐出異常が検出されると一律に印刷を中止していた従来技術に比べて、インクジェット記録装置1の稼働効率を高めることができる。
このように、本実施形態では、記録媒体RMおよび残留振動検出部50がそれぞれ本発明の「媒体」および「検出部」の一例に相当している。また、インクおよびインク滴がそれぞれ本発明の「液体」および「液滴」の一例に相当している。また、コントローラー40が本発明の「制御部」の一例に相当している。また、ノズルチェックパターン70が本発明の「液滴の吐出異常を確認するパターン」の一例に相当している。また、操作パネル14が本発明の「報知部」の一例として相当している。さらに、操作パネル14の操作部を介してユーザーから与えられる指令が本発明の「外部から与えられる指令」の一例に相当している。
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて上述したものに対して種々の変更を加えることが可能である。例えば上記実施形態では、異常検出動作によりインク滴の吐出異常が検出されたときのみ、ノズルチェックパターン70を記録媒体RMに印刷しているが、吐出異常の有無にかかわらず異常検出動作とともにノズルチェックパターン70を印刷してもよい。
また、フラッシング処理と並行して行う代わりに、非画像形成領域61、64で異常検出動作と同時にノズルチェックパターン70の印刷を行ってもよい。また、印刷動作は、ヘッド320が画像形成領域65を移動方向Mに移動しながらドットラインを形成する動作を繰り返して行うが、図9に示すように、ヘッド320が画像形成領域65を越えて非画像形成領域66に移動するタイミングで異常検出動作を行い、非画像形成領域66へのノズルチェックパターン70の形成を行ってよい。ただし、この場合、移動方向Mにおける非画像形成領域66の幅は非画像形成領域61、64に比べて狭いため、色毎に分けてパターン71の形成を行うのが好適である。
また、上記実施形態では、異常検出動作を印刷動作と異なるタイミングで行っているが、画像形成領域に画像を形成するときに上記異常検出動作を実行してもよい。このように印刷動作中に異常検出動作を並行して行うことでインクジェット記録装置1のスループットを落とすことなく、インク滴の吐出異常の確認を行うことができる。ただし、特許文献1に記載されているように画像と異なる態様で液滴の吐出が行われるため、画像の品質劣化を抑制するために、画像形成領域の端部で行うのが望ましい。
また、上記実施形態では、ノズル324からインク滴を吐出させて異常検出動作を実行いているが、インク滴を吐出させない程度の信号をヘッド320に与えて異常検出動作を行ってもよい。特に、印刷動作中に異常検出動作を行う場合に好適であり、例えば画像のうちブランク部分を印刷するタイミング、つまりインクドットを形成しないタイミングで上記異常検出動作を行うのが望ましい。これによって、画像の品質劣化およびスループットの低下を防止しながら、ノズル324からのインク滴の吐出異常の確認を行うことができる。
また、上記実施形態では、インク滴の吐出異常を検出したときに、その旨を表示部に表示して報知しているが、報知手段(報知の方法)としては、これに限らず、例えば、音声、警報音、ランプの点灯によるもの、あるいは、インターフェイス部41を経由してホストコンピューター100などへ、または、ネットワークを経由してプリントサーバーなどへそれぞれ吐出異常情報を伝達するものなど、いかなるものでもよい。
1…インクジェット記録装置(印刷装置)、14…操作パネル(報知部)、40…コントローラー、42…演算処理部、50…残留振動検出部(検出部)、61,64,66…非画像形成領域、62,63,65…画像形成領域、70…ノズルチェックパターン、71…パターン、81〜83…画像、100…ホストコンピューター、320…ヘッド、321…振動板、421…パターン印刷部、422…選択部、M…移動方向、RM…記録媒体
Claims (9)
- 媒体に画像を印刷する印刷装置であって、
振動板の変位によって液体の液滴を前記媒体に吐出するノズルと、
前記振動板の残留振動に基づいて前記ノズルからの液滴の吐出異常が発生しているか否かを検出する異常検出動作を実行する検出部と、
前記異常検出動作に連携して液滴の吐出異常を確認するパターンを前記媒体に印刷させる制御部と
を備えることを特徴とする印刷装置。 - 請求項1に記載の印刷装置であって、
前記制御部は、前記異常検出動作により液滴の吐出異常が検出されたときのみ、前記パターンを前記媒体に印刷する印刷装置。 - 請求項1または2に記載の印刷装置であって、
前記制御部は、前記媒体のうち前記画像を印刷する画像形成領域以外の非画像形成領域に前記パターンを印刷させる印刷装置。 - 請求項3に記載の印刷装置であって、
前記検出部は、前記画像形成領域に画像を形成するときに前記異常検出動作を実行する印刷装置。 - 請求項4に記載の印刷装置であって、
前記検出部は、前記画像形成領域の端部に前記ノズルから液滴が吐出されるときに前記異常検出動作を実行する印刷装置。 - 請求項1ないし5のいずれか一項に記載の印刷装置であって、
前記検出部が液滴の吐出異常を検出したときに、液滴の吐出異常が発生したことを報知する報知部を備える印刷装置。 - 請求項1ないし6のいずれか一項に記載の印刷装置であって、
前記パターンの印刷後に、外部から与えられる指令に応じて前記画像の印刷を続行するか否かを選択する選択部を備える印刷装置。 - 請求項7に記載の印刷装置であって、
前記検出部は、前記選択部が画像の印刷の続行を選択したとき、液滴の吐出異常が発生しているか否かの判断基準を変更する印刷装置。 - ノズルに設けられる振動板の変位によって前記ノズルから液体の液滴を吐出して画像を媒体に印刷する印刷方法であって、
前記振動板の残留振動に基づいて前記ノズルからの液滴の吐出異常が発生しているか否かを検出する異常検出動作を実行する工程と、
前記異常検出動作に連携して液滴の吐出異常を確認するパターンを前記媒体に印刷する工程と
を備えることを特徴とする印刷方法。
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-
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EP3670188A1 (en) * | 2018-12-18 | 2020-06-24 | Canon Production Printing Holding B.V. | A method for detecting nozzle failures in an inkjet print head |
US10926534B2 (en) | 2018-12-18 | 2021-02-23 | Canon Production Printing Holding B.V. | Circuit and method for detecting nozzle failures in an inkjet print head |
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