JP2016133262A - 冷媒分流器 - Google Patents

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Abstract

【課題】複数の排出空間が形成された分流器ケース内に、円周方向に沿って配置された複数の分流路が形成された棒部材が配置されており、分流器ケースに流入した冷媒を複数の分流路を通じて複数の排出空間に送る冷媒分流器において、複数の分流路を設計通りの円周方向位置に配置できるようにして、所望の熱交換性能が得られる熱交換器を提供する。
【解決手段】冷媒分流器70は、複数の排出空間76の下方から冷媒が流入するようになっており、分流器ケース71に流入した冷媒を複数の分流路74A〜74L及び複数の連通路74aを通じて複数の排出空間76に送るようになっている。そして、冷媒分流器70には、分流器ケース71に対する棒部材74の円周方向位置を位置決めするための棒位置決め部材74cが設けられている。
【選択図】図16

Description

本発明は、冷媒分流器、特に、複数の排出空間が形成された分流器ケース内に、円周方向に沿って配置された複数の分流路が形成された棒部材が配置されており、分流器ケースに流入した冷媒を複数の分流路を通じて複数の排出空間に送る冷媒分流器に関する。
従来より、冷媒の蒸発器として機能する熱交換器においては、液冷媒管を流れる気液二相状態の冷媒を分流して下流側の伝熱管に送るための冷媒分流器が設けられている。このような冷媒分流器として、特許文献1(特開平4−316785号公報)に示すようなものがある。具体的には、複数の液溜(排出空間)が形成された外管(分流器ケース)内に円周方向に沿って配置された複数の分配通路(分流路)が形成された内管(棒部材)が配置されており、分流器ケースに流入した冷媒を複数の分流路を通じて複数の排出空間に送る冷媒分流器となっている。
上記従来の冷媒分流器では、分流器ケースに接続される液冷媒管の接続方向等の設置条件に応じて、複数の分流路に流入する液冷媒の量に偏りが発生することがある。例えば、液冷媒管を分流器ケースの下端側面に接続する場合には、液冷媒管を通じて分流器ケースに流入する冷媒の流れ方向(ここでは、横方向)に沿って液冷媒に偏りが発生する。一方、複数の分流路は、円周方向に沿って配置されているため、分流器ケースに流入する冷媒の流れ方向の上流側に位置する分流路と分流器ケースに流入する冷媒の流れ方向の下流側に位置する分流路とでは、流入する液冷媒の量に偏りが発生するのである。
このため、熱交換器においては、このような複数の分流路に流入する液冷媒の量の偏りの傾向を考慮して、冷媒分流器の下流側に接続される複数の冷媒パスの配置や伝熱面積等を設計する場合がある。しかし、複数の分流路が設計通りの円周方向位置に配置されずに冷媒分流器が組み立てられてしまうと、熱交換器において、所望の熱交換性能が得られなくなるおそれがある。例えば、液冷媒の量が多い分流路に対して伝熱面積が大きい冷媒パスが接続されるように設計していたにもかかわらず、この分流路が誤って伝熱面積が小さい例バイパスに接続されるように冷媒分流器が組み立てられると、この伝熱面積が小さい冷媒パスに多量の液冷媒が流れることになり、冷媒の熱交換が不十分になるおそれがある。
本発明の課題は、複数の排出空間が形成された分流器ケース内に、円周方向に沿って配置された複数の分流路が形成された棒部材が配置されており、分流器ケースに流入した冷媒を複数の分流路を通じて複数の排出空間に送る冷媒分流器において、複数の分流路を設計通りの円周方向位置に配置できるようにして、熱交換器において所望の熱交換性能が得られるようにすることにある。
第1の観点にかかる冷媒分流器は、冷媒を分流して下流側に送るための冷媒分流器であって、分流器ケースと棒部材とを有している。分流器ケースは、鉛直方向に延びる中空のケースであり、内部に鉛直方向に沿って配置される複数の排出空間が形成されており、複数の排出空間の下方から冷媒が流入するようになっている。棒部材は、分流器ケース内に配置された鉛直方向に延びる棒状の部材であり、円周方向に沿って配置された複数の分流路と、複数の分流路と複数の排出空間とを連通させる複数の連通路と、が形成されており、分流器ケースに流入した冷媒を複数の分流路及び複数の連通路を通じて複数の排出空間に送るようになっている。そして、ここでは、分流器ケースに対する棒部材の円周方向位置を位置決めするための棒位置決め部材が設けられている。
ここでは、分流器ケースに対する棒部材の円周方向位置が位置決めされることで、分流器ケースに流入した冷媒が棒部材の複数の分流路に流入する際の偏流の傾向を考慮した設計を行うことができる。
これにより、ここでは、複数の分流路を設計通りの円周方向位置に配置できるようになり、熱交換器において所望の熱交換性能を得ることができる。
第2の観点にかかる冷媒分流器は、第1の観点にかかる冷媒分流器において、棒部材に、棒側係合部が形成されており、棒位置決め部材に、棒側係合部に係合する位置決め側係合部が形成されている。
第3の観点にかかる冷媒分流器は、第2の観点にかかる冷媒分流器において、棒位置決め部材に、棒部材が貫通する棒貫通孔が形成されており、位置決め側係合部が、棒貫通孔の周縁から内周側に向かう凸形状又は棒貫通孔の周縁から外周側に向かう凹形状であり、棒側係合部が、棒部材の側面に形成された凹形状又は凸形状である。
ここでは、棒部材を棒位置決め部材の棒貫通孔に貫通させる作業と同時に、位置決め側係合部と棒側係合部とを係合させることができる。
第4の観点にかかる冷媒分流器は、第3の観点にかかる冷媒分流器において、棒部材の上端を覆う棒蓋部材をさらに有しており、棒位置決め部材の上面が、棒蓋部材の下面に当接しており、棒位置決め部材の下面に、下方に向かう凸形状からなる誤組防止部が形成されている。
ここで、棒位置決め部材の上面と下面とを間違った状態で、棒部材を棒位置決め部材の棒貫通孔に貫通させて、棒蓋部材で棒部材の上端を覆うことができる場合を想定する。この場合には、位置決め側係合部が所定の円周方向位置とは異なる円周方向位置に配置されてしまうため、棒側係合部も所定の円周方向位置とは異なる円周方向位置に配置されてしまい、その結果、棒部材の複数の分流路が設計通りの円周方向位置に配置できなくなってしまう。
これに対して、ここでは、上記のように、棒位置決め部材の下面に誤組防止部を形成しておき、棒位置決め部材の上面と下面とを間違った状態で、棒部材を棒位置決め部材の棒貫通孔に貫通させた場合に、誤組防止部が上方に向かう凸形状になり、棒蓋部材と干渉して、棒蓋部材を棒部材の上端を覆うことができなくなるようにしている。
これにより、ここでは、棒位置決め部材の上面と下面とを間違った状態で取り付けられること、すなわち、棒位置決め部材の誤組みを防止することができる。
第5の観点にかかる冷媒分流器は、第2の観点にかかる冷媒分流器において、棒位置決め部材が、棒部材の上端を覆っており、位置決め側係合部が、棒位置決め部材の下面から下方に向かう凸形状又は棒位置決め部材の下面から上方に向かう凹形状であり、棒側係合部が、棒部材の上端に形成された凹形状又は凸形状である。
ここでは、棒位置決め部材が、分流器ケースに対する棒部材の円周方向位置を位置決めするだけでなく、棒部材の上端を覆う棒蓋部材の機能も果たすことができる。
以上の説明に述べたように、本発明によれば、以下の効果が得られる。
第1及び図2の観点にかかる冷媒分流器では、複数の分流路を設計通りの円周方向位置に配置できるようになり、熱交換器において所望の熱交換性能を得ることができる。
第3の観点にかかる冷媒分流器では、棒部材を棒位置決め部材の棒貫通孔に貫通させる作業と同時に、位置決め側係合部と棒側係合部とを係合させることができる。
第4の観点にかかる冷媒分流器では、棒位置決め部材の上面と下面とを間違った状態で取り付けられること、すなわち、棒位置決め部材の誤組みを防止することができる。
第5の観点にかかる冷媒分流器では、棒位置決め部材が、分流器ケースに対する棒部材の円周方向位置を位置決めするだけでなく、棒部材の上端を覆う棒蓋部材の機能も果たすことができる。
本発明の一実施形態にかかる冷媒分流器を採用した空気調和装置の概略構成図である。 室外ユニットの外観を示す斜視図である。 室外ユニットの天板を取り外した状態を示す平面図である。 室外熱交換器の概略斜視図である。 図4の熱交換部の部分拡大図である。 伝熱フィンとして波形フィンを採用した場合の図5に対応する図である。 室外熱交換器の概略構成図である。 図4の出入口ヘッダ及び冷媒分流器の拡大図である。 図7の出入口ヘッダ及び冷媒分流器の拡大断面図である。 図9の出入口ヘッダ及び冷媒分流器の下部の拡大断面図である。 棒部材の斜視図である。 棒部材の下端の平面図である。 冷媒分流器の分解図である。 棒貫通バッフルを分流器ケースに差し込む様子を示す斜視図である。 ノズル部及び上下端側分流バッフルを分流器ケースの下端に差し込む様子を示す斜視図である。 棒位置決めバッフル及び上下端側分流バッフルを分流器ケースの上端に差し込む様子を示す斜視図である。 棒位置決めバッフルが差し込まれた状態の棒部材の上端の平面図である。 棒位置決めバッフル及び上下端側分流バッフルを分流器ケースの上端に差し込む様子を示す斜視図(棒位置決めバッフルの上面と下面とを間違った場合)である。 変形例にかかる冷媒分流器を示す図であって、図16に対応する図である。 変形例にかかる冷媒分流器を示す図であって、図17に対応する図である。 変形例にかかる冷媒分流器を示す図であって、図16に対応する図である。 変形例にかかる冷媒分流構造を示す図であって、図12に対応する図である。 変形例にかかる冷媒分流構造を示す図であって、図12に対応する図である。 変形例にかかる冷媒分流構造を示す図であって、図12に対応する図である。 変形例にかかる冷媒分流構造を示す図であって、図12に対応する図である。 変形例にかかる冷媒分流構造を採用した空気調和装置の室外ユニットの天板を取り外した状態を示す平面図である。
以下、本発明にかかる冷媒分流器の実施形態及びその変形例について、図面に基づいて説明する。尚、本発明にかかる冷媒分流器の具体的な構成は、下記の実施形態及びその変形例に限られるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で変更可能である。
(1)空気調和装置の全体構成
図1は、本発明の一実施形態にかかる冷媒分流器を採用した空気調和装置1の概略構成図である。
空気調和装置1は、蒸気圧縮式の冷凍サイクルを行うことによって、建物等の室内の冷房及び暖房を行うことが可能な装置である。空気調和装置1は、主として、室外ユニット2と、室内ユニット4とが接続されることによって構成されている。ここで、室外ユニット2と室内ユニット4とは、液冷媒連絡管5及びガス冷媒連絡管6を介して接続されている。すなわち、空気調和装置1の蒸気圧縮式の冷媒回路10は、室外ユニット2と、室内ユニット4とが冷媒連絡管5、6を介して接続されることによって構成されている。
<室内ユニット>
室内ユニット4は、室内に設置されており、冷媒回路10の一部を構成している。室内ユニット4は、主として、室内熱交換器41を有している。
室内熱交換器41は、冷房運転時には冷媒の蒸発器として機能して室内空気を冷却し、暖房運転時には冷媒の放熱器として機能して室内空気を加熱する熱交換器である。室内熱交換器41の液側は液冷媒連絡管5に接続されており、室内熱交換器41のガス側はガス冷媒連絡管6に接続されている。
室内ユニット4は、室内ユニット4内に室内空気を吸入して、室内熱交換器41において冷媒と熱交換させた後に、供給空気として室内に供給するための室内ファン42を有している。すなわち、室内ユニット4は、室内熱交換器41を流れる冷媒の加熱源又は冷却源としての室内空気を室内熱交換器41に供給するファンとして、室内ファン42を有している。ここでは、室内ファン42として、室内ファン用モータ42aによって駆動される遠心ファンや多翼ファン等が使用されている。
<室外ユニット>
室外ユニット2は、室外に設置されており、冷媒回路10の一部を構成している。室外ユニット2は、主として、圧縮機21と、四路切換弁22と、室外熱交換器23と、膨張弁24と、液側閉鎖弁25と、ガス側閉鎖弁26とを有している。
圧縮機21は、冷凍サイクルの低圧の冷媒を高圧になるまで圧縮する機器である。圧縮機21は、ロータリ式やスクロール式等の容積式の圧縮要素(図示せず)を圧縮機用モータ21aによって回転駆動する密閉式構造となっている。圧縮機21は、吸入側に吸入管31が接続されており、吐出側に吐出管32が接続されている。吸入管31は、圧縮機21の吸入側と四路切換弁22とを接続する冷媒管である。吐出管32は、圧縮機21の吐出側と四路切換弁22とを接続する冷媒管である。
四路切換弁22は、冷媒回路10における冷媒の流れの方向を切り換えるための切換弁である。四路切換弁22は、冷房運転時には、室外熱交換器23を圧縮機21において圧縮された冷媒の放熱器として機能させ、かつ、室内熱交換器41を室外熱交換器23において放熱した冷媒の蒸発器として機能させる冷房サイクル状態への切り換えを行う。すなわち、四路切換弁22は、冷房運転時には、圧縮機21の吐出側(ここでは、吐出管32)と室外熱交換器23のガス側(ここでは、第1ガス冷媒管33)とが接続される(図1の四路切換弁22の実線を参照)。しかも、圧縮機21の吸入側(ここでは、吸入管31)とガス冷媒連絡管6側(ここでは、第2ガス冷媒管34)とが接続される(図1の四路切換弁22の実線を参照)。また、四路切換弁22は、暖房運転時には、室外熱交換器23を室内熱交換器41において放熱した冷媒の蒸発器として機能させ、かつ、室内熱交換器41を圧縮機21において圧縮された冷媒の放熱器として機能させる暖房サイクル状態への切り換えを行う。すなわち、四路切換弁22は、暖房運転時には、圧縮機21の吐出側(ここでは、吐出管32)とガス冷媒連絡管6側(ここでは、第2ガス冷媒管34)とが接続される(図1の四路切換弁22の破線を参照)。しかも、圧縮機21の吸入側(ここでは、吸入管31)と室外熱交換器23のガス側(ここでは、第1ガス冷媒管33)とが接続される(図1の四路切換弁22の破線を参照)。ここで、第1ガス冷媒管33は、四路切換弁22と室外熱交換器23のガス側とを接続する冷媒管である。第2ガス冷媒管34は、四路切換弁22とガス側閉鎖弁26とを接続する冷媒管である。
室外熱交換器23は、冷房運転時には室外空気を冷却源とする冷媒の放熱器として機能し、暖房運転時には室外空気を加熱源とする冷媒の蒸発器として機能する熱交換器である。室外熱交換器23は、液側が液冷媒管35に接続されており、ガス側が第1ガス冷媒管33に接続されている。液冷媒管35は、室外熱交換器23の液側と液冷媒連絡管5側とを接続する冷媒管である。
膨張弁24は、冷房運転時には、室外熱交換器23において放熱した冷凍サイクルの高圧の冷媒を冷凍サイクルの低圧まで減圧する弁である。また、膨張弁24は、暖房運転時には、室内熱交換器41において放熱した冷凍サイクルの高圧の冷媒を冷凍サイクルの低圧まで減圧する弁である。膨張弁24は、液冷媒管35の液側閉鎖弁25寄りの部分に設けられている。ここでは、膨張弁24として、電動膨張弁が使用されている。
液側閉鎖弁25及びガス側閉鎖弁26は、外部の機器・配管(具体的には、液冷媒連絡管5及びガス冷媒連絡管6)との接続口に設けられた弁である。液側閉鎖弁25は、液冷媒管35の端部に設けられている。ガス側閉鎖弁26は、第2ガス冷媒管34の端部に設けられている。
室外ユニット2は、室外ユニット2内に室外空気を吸入して、室外熱交換器23において冷媒と熱交換させた後に、外部に排出するための室外ファン36を有している。すなわち、室外ユニット2は、室外熱交換器23を流れる冷媒の冷却源又は加熱源としての室外空気を室外熱交換器23に供給するファンとして、室外ファン36を有している。ここでは、室外ファン36として、室外ファン用モータ36aによって駆動されるプロペラファン等が使用されている。
<冷媒連絡管>
冷媒連絡管5、6は、空気調和装置1を建物等の設置場所に設置する際に、現地にて施工される冷媒管であり、設置場所や室外ユニット2と室内ユニット4との組み合わせ等の設置条件に応じて種々の長さや管径を有するものが使用される。
(2)空気調和装置の基本動作
次に、図1を用いて、空気調和装置1の基本動作について説明する。空気調和装置1は、基本動作として、冷房運転及び暖房運転を行うことが可能である。
<冷房運転>
冷房運転時には、四路切換弁22が冷房サイクル状態(図1の実線で示される状態)に切り換えられる。
冷媒回路10において、冷凍サイクルの低圧のガス冷媒は、圧縮機21に吸入され、冷凍サイクルの高圧になるまで圧縮された後に吐出される。
圧縮機21から吐出された高圧のガス冷媒は、四路切換弁22を通じて、室外熱交換器23に送られる。
室外熱交換器23に送られた高圧のガス冷媒は、冷媒放熱器として機能する室外熱交換器23において、室外ファン36によって冷却源として供給される室外空気と熱交換を行って放熱して、高圧の液冷媒になる。
室外熱交換器23において放熱した高圧の液冷媒は、膨張弁24に送られる。
膨張弁24に送られた高圧の液冷媒は、膨張弁24によって冷凍サイクルの低圧まで減圧されて、低圧の気液二相状態の冷媒になる。膨張弁24で減圧された低圧の気液二相状態の冷媒は、液側閉鎖弁25及び液冷媒連絡管5を通じて、室内熱交換器41に送られる。
室内熱交換器41に送られた低圧の気液二相状態の冷媒は、室内熱交換器41において、室内ファン42によって加熱源として供給される室内空気と熱交換を行って蒸発する。これにより、室内空気は冷却され、その後に、室内に供給されることで室内の冷房が行われる。
室内熱交換器41において蒸発した低圧のガス冷媒は、ガス冷媒連絡管6、ガス側閉鎖弁26及び四路切換弁22を通じて、再び、圧縮機21に吸入される。
<暖房運転>
暖房運転時には、四路切換弁22が暖房サイクル状態(図1の破線で示される状態)に切り換えられる。
冷媒回路10において、冷凍サイクルの低圧のガス冷媒は、圧縮機21に吸入され、冷凍サイクルの高圧になるまで圧縮された後に吐出される。
圧縮機21から吐出された高圧のガス冷媒は、四路切換弁22、ガス側閉鎖弁26及びガス冷媒連絡管6を通じて、室内熱交換器41に送られる。
室内熱交換器41に送られた高圧のガス冷媒は、室内熱交換器41において、室内ファン42によって冷却源として供給される室内空気と熱交換を行って放熱して、高圧の液冷媒になる。これにより、室内空気は加熱され、その後に、室内に供給されることで室内の暖房が行われる。
室内熱交換器41で放熱した高圧の液冷媒は、液冷媒連絡管5及び液側閉鎖弁25を通じて、膨張弁24に送られる。
膨張弁24に送られた高圧の液冷媒は、膨張弁24によって冷凍サイクルの低圧まで減圧されて、低圧の気液二相状態の冷媒になる。膨張弁24で減圧された低圧の気液二相状態の冷媒は、室外熱交換器23に送られる。
室外熱交換器23に送られた低圧の気液二相状態の冷媒は、冷媒蒸発器として機能する室外熱交換器23において、室外ファン36によって加熱源として供給される室外空気と熱交換を行って蒸発して、低圧のガス冷媒になる。
室外熱交換器23で蒸発した低圧の冷媒は、四路切換弁22を通じて、再び、圧縮機21に吸入される。
(3)室外ユニットの基本構成
次に、図1〜図4を用いて、室外ユニット2の基本構成について説明する。ここで、図2は、室外ユニット2の外観を示す斜視図である。図3は、室外ユニット2の天板57を取り外した状態を示す平面図である。図4は、室外熱交換器23の概略斜視図である。尚、以下の説明においては、「上」、「下」、「左」、「右」、「鉛直」や「前面」、「側面」、「背面」、「天面」、「底面」等の文言は、特にことわりのない限り、ファン吹出グリル55b側の面を前面とした場合における方向や面を意味する。
室外ユニット2は、ユニットケーシング51の内部が鉛直方向に延びる仕切板58によって送風機室S1と機械室S2とに仕切られた構造(いわゆる、トランク型構造)を有するものである。室外ユニット2は、ユニットケーシング51の背面及び側面の一部から室外空気を内部へと吸い込んだ後に、ユニットケーシング51の前面から空気を排出するように構成されている。室外ユニット2は、主として、ユニットケーシング51と、圧縮機21、四路切換弁22、室外熱交換器23、膨張弁24、閉鎖弁25、26及びこれらの機器を接続する冷媒管31〜35を含む冷媒回路10を構成する機器・配管類と、室外ファン36及び室外ファン用モータ36aとを有している。尚、ここでは、送風機室S1がユニットケーシング51の左側面寄りに形成され、機械室S2がユニットケーシング51の右側面寄りに形成された例を説明するが、左右が逆であってもよい。
ユニットケーシング51は、略直方体状に形成されており、主として、圧縮機21、四路切換弁22、室外熱交換器23、膨張弁24、閉鎖弁25、26及びこれらの機器を接続する冷媒管31〜35を含む冷媒回路10を構成する機器・配管類と、室外ファン36及び室外ファン用モータ36aとを収容している。ユニットケーシング51は、冷媒回路10を構成する機器・配管類21〜26、31〜35や室外ファン36等が載置される底板52と、送風機室側側板53と、機械室側側板54と、送風機室側前板55と、機械室側前板56と、天板57と、2つの据付脚59とを有している。
底板52は、ユニットケーシング51の底面部分を構成する板状部材である。
送風機室側側板53は、ユニットケーシング51の送風機室S1寄りの側面部分(ここでは、左側面部分)を構成する板状部材である。送風機室側側板53は、その下部が底板52に固定されている。送風機室側側板53には、室外ファン36によってユニットケーシング51の側面側からユニットケーシング51内に室外空気を吸入するための側面ファン吸入口53aが形成されている。
機械室側側板54は、ユニットケーシング51の機械室S2寄りの側面部分(ここでは、右側面部分)の一部と、ユニットケーシング51の機械室S2寄りの背面部分とを構成する板状部材である。機械室側側板54は、その下部が底板52に固定されている。送風機室側側板53の背面側の端部と機械室側側板54の送風機室S1側の端部との間には、室外ファン36によってユニットケーシング51の背面側からユニットケーシング51内に室外空気を吸入するためのされる背面ファン吸入口53bが形成されている。
送風機室側前板55は、ユニットケーシング51の送風機室S1の前面部分を構成する板状部材である。送風機室側前板55は、その下部が底板52に固定され、その左側面側の端部が送風機室側側板53の前面側の端部に固定されている。送風機室側前板55には、室外ファン36によってユニットケーシング51内に吸入された室外空気を外部に吹き出すためのファン吹出口55aが設けられている。送風機室側前板55の前面側には、ファン吹出口55aを覆うファン吹出グリル55bが設けられている。
機械室側前板56は、ユニットケーシング51の機械室S2の前面部分の一部と、ユニットケーシング51の機械室S2の側面部分の一部とを構成する板状部材である。機械室側前板56は、その送風機室S1側の端部が送風機室側前板55の機械室S2側の端部に固定され、その背面側の端部が機械室側側板54の前面側の端部に固定されている。
天板57は、ユニットケーシング51の天面部分を構成する板状部材である。天板57は、送風機室側板53や機械室側側板54、送風機室側前板55に固定されている。
仕切板58は、底板52上に配置される鉛直方向に延びる板状部材である。仕切板58は、ここでは、ユニットケーシング51の内部を左右に分割することによって、左側面寄りの送風機室S1と、右側面寄りの機械室S2とを形成している。仕切板58は、その下部が底板52に固定され、その前面側の端部が送風機室側前板55に固定され、その背面側の端部が室外熱交換器23の機械室S2寄りの側端部まで延びている。
据付脚59は、ユニットケーシング51の前後方向に延びる板状部材である。据付脚59は、室外ユニット2の据付面に固定される部材である。ここでは、室外ユニット2は、2つの据付脚59を有しており、1つは、送風機室S1寄りに配置されており、もう1つは、機械室S2寄りに配置されている。
室外ファン36は、複数の翼を有するプロペラファンであり、送風機室S1内において、室外熱交換器23の前面側の位置に、ユニットケーシング51の前面(ここでは、ファン吹出口55a)に対向するように配置されている。室外ファン用モータ36aは、送風機室S1内において、室外ファン36と室外熱交換器23との前後方向間に配置されている。室外ファン用モータ36aは、底板52上に載置されたモータ支持台36bによって支持されている。そして、室外ファン36は、室外ファン用モータ36aに軸支されている。
室外熱交換器23は、平面視略L字形状の熱交換器パネルであり、送風機室S1内において、ユニットケーシング51の側面(ここでは、左側面)及び背面に対向するように底板52上に載置されている。
圧縮機21は、ここでは、縦型円筒形状の密閉式圧縮機であり、機械室S2内において、底板52上に載置されている。
(4)室外熱交換器の基本構成
次に、図1〜図7を用いて、室外熱交換器23の構成について説明する。ここで、図5は、図4の熱交換部60の部分拡大図である。図6は、伝熱フィン64として波形フィンを採用した場合の図5に対応する図である。図7は、室外熱交換器23の概略構成図である。尚、以下の説明においては、方向や面を表す文言は、特にことわりのない限り、室外熱交換器23が室外ユニット2に載置された状態を基準とした方向や面を意味する。
室外熱交換器23は、主として、室外空気と冷媒との熱交換を行う熱交換部60と、熱交換部60の一端側に設けられた冷媒分流器70及び出入口ヘッダ80と、熱交換部60の他端側に設けられた中間ヘッダ90とを有している。室外熱交換器23は、冷媒分流器70、出入口ヘッダ80、中間ヘッダ90及び熱交換部60のすべてが、アルミニウムまたはアルミニウム合金で形成されたオールアルミ熱交換器であり、各部の接合は、炉中ロウ付け等のロウ付けによって行われている。
熱交換器60は、室外熱交換器23の上部を構成する複数(ここでは、12個)のメイン熱交換部61A〜61Lと、室外熱交換器23の下部を構成する複数(ここでは、12個)のサブ熱交換部62A〜62Lとを有している。メイン熱交換部61A〜61Lにおいては、最上段にメイン熱交換部61Aが配置されており、その下段側から鉛直方向下向きに沿って順にメイン熱交換部61B〜61Lが配置されている。サブ熱交換部62A〜62Lにおいては、最下段にサブ熱交換部62Aが配置されており、その上段側から鉛直方向上向きに沿って順にサブ熱交換部62B〜62Lが配置されている。
熱交換部60は、扁平管からなる多数の伝熱管63と、差込フィンからなる多数の伝熱フィン64とにより構成された差込フィン式の熱交換器である。伝熱管63は、アルミニウムまたはアルミニウム合金で形成されており、伝熱面となる鉛直方向を向く平面部63aと、冷媒が流れる多数の小さな内部流路63bを有する扁平多穴管である。多数の伝熱管63は、鉛直方向に沿って間隔をあけて複数段配置されており、両端が出入口ヘッダ80及び中間ヘッダ90に接続されている。伝熱フィン64は、アルミニウムまたはアルミニウム合金で形成されており、出入口ヘッダ80と中間ヘッダ90との間に配置された多数の伝熱管63に差し込めるように、水平に細長く延びる多数の切り欠き64aが形成されている。伝熱フィン64の切り欠き64aの形状は、伝熱管63の断面の外形にほぼ一致している。多数の伝熱管63は、上記のメイン熱交換部61A〜61L及びサブ熱交換部62A〜62Lに区分されている。ここでは、多数の伝熱管63は、室外熱交換器23の最上段から鉛直方向下向きに沿って、所定数(3〜8本程度)の伝熱管63毎にメイン熱交換部61A〜61Lを構成する伝熱管群をなしている。また、室外熱交換器23の最下段から鉛直方向上向きに沿って、所定数(1〜3本程度)の伝熱管63毎にサブ熱交換部62A〜62Lを構成する伝熱管群をなしている。
尚、室外熱交換器23は、上記のような伝熱フィン64として差込フィン(図5参照)を採用した差込フィン式の熱交換器に限定されるものではなく、伝熱フィン64として多数の波形フィン(図6参照)を採用した波形フィン式の熱交換器であってもよい。
(5)中間ヘッダの構成
次に、図1〜図7を用いて、中間ヘッダ90の構成について説明する。尚、以下の説明においては、方向や面を表す文言は、特にことわりのない限り、中間ヘッダ90を含む室外熱交換器23が室外ユニット2に載置された状態を基準とした方向や面を意味する。
中間ヘッダ90は、上記のように、熱交換部60の他端側に設けられており、伝熱管63の他端が接続されている。中間ヘッダ90は、アルミニウムまたはアルミニウム合金で形成された鉛直方向に延びる筒状の部材であり、主として、縦長中空の中間ヘッダケース91を有している。
中間ヘッダケース91は、その内部空間が、複数(ここでは、11個)のメイン側中間バッフル92、複数(ここでは、11個)のサブ側中間バッフル93及び境界側中間バッフル94によって、鉛直方向に沿って仕切られている。メイン側中間バッフル92は、中間ヘッダケース91の上部の内部空間をメイン熱交換部61A〜61Kの他端に連通するメイン側中間空間95A〜95Kに仕切るように、鉛直方向に沿って順に設けられている。サブ側中間バッフル93は、中間ヘッダケース91の下部の内部空間をサブ熱交換部62A〜62Kの他端に連通するサブ側中間空間96A〜96Kに仕切るように、鉛直方向に沿って順に設けられている。境界側中間バッフル94は、中間ヘッダケース91の最下段側のメイン側中間バッフル92と最上段側のサブ側中間バッフル93との鉛直方向間の内部空間をメイン熱交換部61Lの他端に連通するメイン側中間空間95Lとサブ熱交換部62Lの他端に連通するサブ側中間空間96Lに仕切るように設けられている。
中間ヘッダケース91には、複数(ここでは、11本)の中間連絡管97A〜97Kが接続されている。中間連絡管97A〜97Kは、メイン側中間空間95A〜95Kとサブ側中間空間96A〜96Kとを連通する冷媒管である。これにより、メイン熱交換部61A〜61Kとサブ熱交換部62A〜62Kとが中間ヘッダ90及び中間連絡管97A〜97Kを介して連通することになり、室外熱交換器23の冷媒パス65A〜65Kが形成されている。また、境界側中間バッフル94には、メイン側中間空間95Lとサブ側中間空間96Lとを連通させる中間バッフル連通孔94aが形成されている。これにより、メイン熱交換部61Lとサブ熱交換部62Lとが中間ヘッダ90及び中間バッフル連通孔94aを介して連通することになり、室外熱交換器23の冷媒パス65Lが形成されている。このように、室外熱交換器23は、多パス(ここでは、12パス)の冷媒パス65A〜65Lに区分された構成を有している。
尚、中間ヘッダ90は、上記のような中間ヘッダケース91の内部空間が中間バッフル92、93によって鉛直方向に沿って仕切られただけの構成に限定されるものではなく、中間ヘッダ90内における冷媒の流れ状態を良好に維持するための工夫がなされた構成であってもよい。
(6)出入口ヘッダ及び冷媒分流器の構成
次に、図1〜図17を用いて、出入口ヘッダ80及び冷媒分流器70の構成について説明する。ここで、図8は、図4の出入口ヘッダ80及び冷媒分流器70の拡大図である。図9は、図7の出入口ヘッダ80及び冷媒分流器70の拡大断面図である。図10は、図9の出入口ヘッダ80及び冷媒分流器70の下部の拡大断面図である。図11は、棒部材74の斜視図である。図12は、棒部材74の下端の平面図である。図13は、冷媒分流器70の分解図である。図14は、棒貫通バッフル77を分流器ケース71に差し込む様子を示す斜視図である。図15は、ノズル部79及び上下端側分流バッフル73を分流器ケース71の下端に差し込む様子を示す斜視図である。図16は、棒位置決めバッフル74c及び上下端側分流バッフル73を分流器ケース71の上端に差し込む様子を示す斜視図である。図17は、棒位置決めバッフル74cが差し込まれた状態の棒部材74の上端の平面図である。尚、以下の説明においては、方向や面を表す文言は、特にことわりのない限り、冷媒分流器70及び出入口ヘッダ80を含む室外熱交換器23が室外ユニット2に載置された状態を基準とした方向や面を意味する。また、冷媒分流器70、出入口ヘッダ80及び中間ヘッダ90を含む室外熱交換器23における冷媒の流れについては、特にことわりのない限り、室外熱交換器23が冷媒の蒸発器として機能する場合を基準にした冷媒の流れを意味する。
<出入口ヘッダ>
出入口ヘッダ80は、上記のように、熱交換部60の一端側に設けられており、伝熱管63の一端が接続されている。出入口ヘッダ90は、アルミニウムまたはアルミニウム合金で形成された鉛直方向に延びる部材であり、主として、縦長中空の出入口ヘッダケース81を有している。
出入口ヘッダケース81は、主として、上端及び下端が開口した円筒形状の出入口ヘッダ筒状体82を有しており、2つの上下端側出入口バッフル83によって上端及び下端の開口が閉じられている。出入口ヘッダケース81は、その内部空間が、境界側出入口バッフル84によって、上部の出入口空間85と下部の供給空間86A〜86Lとに鉛直方向に沿って仕切られている。出入口空間85は、メイン熱交換部61A〜61Lの一端に連通する空間であり、冷媒パス65A〜65Lを通過した冷媒を出口で合流させる空間として機能している。このように、出入口空間85を有する出入口ヘッダ80の上部が、冷媒パス65A〜65Lを通過した冷媒を出口で合流させる冷媒出口部として機能している。
出入口ヘッダ80には、第1ガス冷媒管33が接続されており、出入口空間85に連通している。供給空間86A〜86Lは、複数(ここでは、11個)の供給側出入口バッフル87によって仕切られたサブ熱交換部62A〜62Lの一端に連通する複数(ここでは、12個)の空間であり、冷媒パス65A〜65Lに冷媒を流出させる空間として機能している。このように、複数の供給空間86A〜86Lを有する出入口ヘッダ80の下部が、複数の冷媒パス65A〜65Lに区分して冷媒を流出させる冷媒供給部として機能している。
<冷媒分流器>
冷媒分流器70は、上記のように、液冷媒管35を通じて流入する冷媒を分流して下流側(ここでは、複数の冷媒パス65A〜65L)に送るための機器であり、熱交換部60の一端側に設けられており、出入口ヘッダ80の冷媒供給部(すなわち、供給空間86A〜86L)を介して伝熱管63の一端が接続されている。冷媒分流器70は、アルミニウムまたはアルミニウム合金で形成された鉛直方向に延びる部材であり、主として、縦長中空の分流器ケース71を有している。
分流器ケース71は、主として、上端及び下端が開口した円筒形状の分流器ヘッダ筒状体72を有しており、2つの上下端側分流バッフル73によって上端及び下端の開口が閉じられている。ここで、上下端側分流バッフル73は、半円弧状の縁部73aが形成された円形状の板部材であり、分流器ヘッダ筒状体72の上端及び下端に形成された差込スリット72a、72bに分流器ケース71の側面から差し込まれた状態で、ロウ付け接合されている。
分流器ケース71内には、円周方向に沿って配置される複数(ここでは、12個)の分流路74A〜74Lと、複数の分流路74A〜74Lに冷媒を導く分流空間75と、複数の分流路74A〜74Lによって分流空間75と連通しており鉛直方向に沿って配置される複数(ここでは、12個)の排出空間76A〜76Lとが形成されている。
複数(ここでは、12個)の分流路74A〜74Lは、分流器ケース71内に配置された棒部材74によって形成されている。棒部材74は、円周方向に沿って配置される複数の分流路74A〜74Lが形成された鉛直方向に延びる棒状の部材である。棒部材74は、アルミニウムまたはアルミニウム合金の押出成形によって製造されており、複数の分流路74A〜74Lは、棒部材74の長手方向に延びており棒部材74に一体成形された複数(ここでは、12個)の孔によって構成されている。棒部材74の径方向の中央部分は、複数の分流路74A〜74Lによって囲まれている。棒部材74の長手方向の他端である上端は、分流器ケース71の上端に設けられた上下端側分流バッフル73の下面に当接しており、複数の分流路74A〜74Lの上端が閉じられている。すなわち、分流器ケース71の上端に設けられた上下端側分流バッフル73は、棒部材74の上端を覆う棒蓋部材として機能している。これに対して、棒部材74の長手方向の一端である下端は、分流器ケース71の下部まで延びているが、分流器ケース71の下端に設けられた上下端側分流バッフル73の上面までは達しておらず、複数の分流路74A〜74Lの下端は閉じられていない。これにより、分流器ケース71内には、分流空間75を含む棒部材74の下端に対向する空間が形成されている。
棒部材74の外径は、分流器ケース71の内径よりも小さく、棒部材74の側面と分流器ケース71との径方向間に空間が形成されており、この空間が複数の排出空間76A〜76Lを形成している。ここでは、分流器ケース71に、棒部材74が貫通する棒貫通孔77bが形成された複数(ここでは、11個)の棒貫通バッフル77が、分流器ケース71の側面から差し込まれており、複数の棒貫通バッフル77によって複数の排出空間76A〜76Lが形成されている。ここで、棒貫通バッフル77は、半円弧状の縁部77aが形成された円形状の板部材であり、分流器ヘッダ筒状体72の側面に鉛直方向に沿って形成された差込スリット72cに分流器ケース71の側面から差し込まれた状態で、ロウ付け接合されている。これにより、棒部材74は、棒貫通バッフル77の棒貫通孔77bを鉛直方向に沿って複数貫通した状態で分流器ケース71内に配置されている。尚、図13においては、棒部材74が分流器ケース71の下端から挿入されているが、分流器ケース71の上端から挿入されてもよい。このように、分流器ケース71は、棒部材74の側面と分流器ケース71との径方向間の空間が、複数の棒貫通バッフル77によって、鉛直方向に沿う複数の排出空間76A〜76Lに仕切られている。
棒部材74の側面には、複数(ここでは、12個)の棒側面孔74a(連通路)が形成されており、複数の棒側面孔74aによって複数の排出空間76A〜76Lと複数の分流路74A〜74Lとが連通している。ここでは、複数の分流路74A〜74Lと複数の排出空間76A〜76Lとが、互いに1対1で対応している。例えば、排出空間76Aに連通する棒側面孔74aが分流路74Aだけに対応するように形成され、排出空間76Bに連通する棒側面孔74aが分流路74Bだけに対応するように形成されるといったように、ある排出空間に連通する分流路が他の排出空間には連通しないように棒側面孔74aが形成されている。また、複数の棒側面孔74aは、棒部材74の長手方向(ここでは、鉛直方向)に沿って螺旋状に配置されている。
冷媒分流器70には、分流器ケース71に対する棒部材74の円周方向位置を位置決めするための棒位置決めバッフル74c(棒位置決め部材)が設けられている。棒位置決めバッフル74cは、棒貫通バッフル77と同様に、棒部材74が貫通する棒貫通孔74dと半円弧状の縁部74eとが形成された円形状の板部材であり、分流器ケース71の側面から差し込まれている。ここでは、棒位置決めバッフル74cは、分流器ヘッダ筒状体72の上端に形成された差込スリット72aに分流器ケース71の側面から差し込まれた状態で、上下端側分流バッフル73と重ねてロウ付け接合されている。これにより、棒部材74の上端は、棒位置決めバッフル74cの棒貫通孔74dを貫通するとともに、棒位置決めバッフル74cの上側に重なって配置される上下端側分流バッフル73によって、複数の分流路74A〜74Lの上端が閉じられた状態になっている。ここで、差込スリット72aは、上下端側分流バッフル73及び棒位置決めバッフル74cの両方を差し込むことが可能なサイズを有している。また、棒位置決めバッフル74cには、棒貫通孔74dの周縁から内周側に向かう凸形状からなる位置決め側係合部74fが形成されている。そして、棒部材74の上端側面には、位置決め側係合部74fに係合する凹形状からなる棒側係合部74gが形成されている。ここでは、位置決め側係合部74f及び棒側係合部74gが分流路74Lに対応する円周方向位置に形成されている。そして、棒部材74が分流器ケース71内に配置され、差込スリット72aに棒位置決めバッフル74cが差し込まれ、両係合部74f、74gが係合した状態になることによって、分流器ケース71に対する棒部材74の円周方向位置が位置決めされるようになっている。さらに、棒位置決めバッフル74cの下面には、下方に向かう凸形状からなる誤組防止部74hが形成されている。ここで、誤組防止部74hは、縁部74eから差込スリット72aへの差し込み方向手前側に向かって突出する平板状の舌部74iに形成されている。
分流器ケース71には、棒部材74の下端に対向する空間を、液冷媒管35を通じて流入する冷媒を導入する導入空間78と複数の分流路74A〜74Lに冷媒を導く分流空間75とに仕切るように、ノズル孔79aが形成されたノズル部79が設けられている。すなわち、ノズル部79は、分流器ケース71内の空間を下端側の導入空間78と導入空間78の上側の分流空間75とに仕切っており、導入空間78に流入する冷媒を分流空間75に送るためのノズル孔79aが形成されている。
ノズル部79は、アルミニウムまたはアルミニウム合金で形成されており、ここでは、ノズル本体79bとノズル支持バッフル79cとを有している。ノズル本体79bは、ノズル孔79aが形成された円形状の板部材である。ノズル本体79bは、その外径が分流器ケース71の内径以下であり、棒部材74とともに分流器ケース71に下方から挿入されるようになっている。ノズル本体79bには、棒部材74の長手方向の一端(ここでは、下端)側の端面である棒部材側端面79dにノズル孔79aよりも大径の凹み部分であるノズル凹部79eが形成されており、分流空間75が、棒部材74の下端とノズル凹部79eとで囲まれる空間によって構成されている。ここでは、分流空間75が棒部材74の下端を棒部材側端面79dに当接させることによって形成されている。ここで、棒部材74の下端には、複数の分流路74A〜74Lに囲まれるとともにノズル孔79aに対向する被入口部74bが形成されており、被入口部74bの面積が、ノズル孔79aの開口面積よりも大きくなっている。また、棒部材側端面79dには、棒部材74の長手方向の一端(ここでは、下端)を嵌め込むための凸形状からなる棒嵌め込み部79fが形成されている。これにより、棒部材74とノズル本体79bとの側方への位置ずれが抑えられている。また、ノズル本体79bの下面には、ノズル支持バッフル79cの段差嵌合孔79gに嵌合される凸形状からなる段差部79hが形成されている。一方、ノズル支持バッフル79cは、棒貫通バッフル77と同様に、段差嵌合孔79gと半円弧状の縁部79iとが形成された円形状の板部材であり、分流器ケース71の側面から差し込まれている。ここで、ノズル支持バッフル79cは、分流器ケース71の側面に形成された差込スリット72dを介して分流器ケース71に差し込まれるようになっている。そして、棒部材74及びノズル本体79bを分流器ケース71内の差込スリット72dよりも上側まで挿入した状態で、ノズル支持バッフル79cを分流器ケース71に差し込み、棒部材74及びノズル本体79bを下方に移動させることによって、ノズル本体79bの段差部79hがノズル支持バッフル79cの段差嵌合孔79gに嵌合され、棒部材74及びノズル本体79bとともにロウ付け接合されている。
分流器ケース71の下端側面(すなわち、ノズル部79よりも下方の側面)には、液冷媒管35が接続されており、導入空間78に冷媒が流入されるようになっている。ここでは、液冷媒管35が、ノズル部79及び液冷媒管35をノズル孔79aの開口方向(すなわち、鉛直方向)から見た際に、ノズル孔79aと重なるように導入空間78内に差し込まれている。具体的には、液冷媒管35は、分流器ケース71の下端側面に形成された液管接続孔72eを通じて横向きに導入空間78内に差し込まれている。ここで、液冷媒管35のうち導入空間78内に差し込まれた部分を差込管部35aとする。ここでは、ノズル孔79aが分流器ケース71の平面視中央に位置していることから、差込管部35aの先端は、少なくとも分流器ケース71の平面視中央を横切る位置まで差し込まれており、ここでは、分流器ケース71の内面(ここでは、液管接続孔72eに対向する内面)に当接するまで液冷媒管35を導入空間78内に差し込まれている。そして、ここでは、差込管部35aの先端の開口である管先端孔35bが、閉塞されており、差込管部35aの上部に、ノズル部79及び液冷媒管35をノズル孔79aの開口方向から見た際に、ノズル孔79aと重なるように冷媒導入孔35cが形成されている。ここで、管先端孔35b及び冷媒導入孔35cから管先端孔35bまでの空間は、柱状のリベット35d(管端閉塞部材)を取り付けることによって閉塞されている。尚、管先端孔35b及び冷媒導入孔35cから管先端孔35bまでの空間を閉塞する手法は、リベット35dによるものに限定されるものではなく、差込管部35aの先端にスパン加工やピンチ加工を施すことによって管先端孔35b及び冷媒導入孔35cから管先端孔35bまでの空間を閉塞するようにしてもよい。また、ここでは、冷媒導入孔35cの開口面積をノズル孔79aの開口面積よりも大きくしている。
そして、冷媒分流器70は、複数(ここでは、12個)の連絡路88A〜88Lを形成する複数(ここでは、12本)の連絡管88を介して、出入口ヘッダ80の下部に接続されている。すなわち、複数の連絡路88A〜88Lは、複数の排出空間76A〜76Lから複数の供給空間86A〜86Lに冷媒を導く部分になっている。こうして、液冷媒管35、冷媒供給部としての出入口ヘッダ80の下部、冷媒分流器70、及び、複数の連絡路88A〜88Lを形成する複数の連絡管88は、液冷媒管35を通じて流入する冷媒を下流側の複数の冷媒パス65A〜65L(すなわち、扁平管からなる複数の伝熱管63)に送るための冷媒分流構造として機能しているのである。
(7)冷媒分流器の特徴
本実施形態の冷媒分流器70には、以下のような特徴がある。
<A>
本実施形態の冷媒分流器70は、図9、図13、図16及び図17に示すように、冷媒を分流して下流側に送るための冷媒分流器であって、分流器ケース71と棒部材74とを有している。分流器ケース71は、鉛直方向に延びる中空のケースであり、内部に鉛直方向に沿って配置される複数の排出空間76A〜76Lが形成されており、複数の排出空間76A〜76Lの下方から冷媒が流入するようになっている。棒部材74は、分流器ケース71内に配置された鉛直方向に延びる棒状の部材であり、円周方向に沿って配置された複数の分流路74A〜74Lと、複数の分流路74A〜74Lと複数の排出空間76A〜76Lとを連通させる複数の棒側面孔74a(連通路)と、が形成されており、分流器ケース71に流入した冷媒を複数の分流路74A〜74L及び複数の棒側面孔74aを通じて複数の排出空間76A〜76Lに送るようになっている。そして、ここでは、分流器ケース71に対する棒部材74の円周方向位置を位置決めするための棒位置決めバッフル74c(棒位置決め部材)が設けられている。具体的には、ここでは、棒部材74に、棒側係合部74gが形成されており、棒位置決めバッフル74cに、棒側係合部74gに係合する位置決め側係合部74fが形成されている。
このため、ここでは、分流器ケース71に対する棒部材74の円周方向位置が位置決めされることで、分流器ケース71に流入した冷媒が棒部材74の複数の分流路74A〜74Lに流入する際の偏流の傾向を考慮した設計を行うことができる。
これにより、ここでは、複数の分流路74A〜74Lを設計通りの円周方向位置に配置できるようになり、室外熱交換器23において所望の熱交換性能を得ることができる。
<B>
また、本実施形態の冷媒分流器70では、図16及び図17に示すように、棒位置決めバッフル74c(棒位置決め部材)に、棒部材74が貫通する棒貫通孔74dが形成されており、位置決め側係合部74fが、棒貫通孔74dの周縁から内周側に向かう凸形状又は棒貫通孔74dの周縁から外周側に向かう凹形状であり、棒側係合部74gが、棒部材74の側面に形成された凹形状又は凸形状である。
これにより、ここでは、棒部材74を棒位置決めバッフル74cの棒貫通孔74dに貫通させる作業と同時に、位置決め側係合部74fと棒側係合部74gとを係合させることができる。
<C>
さらに、本実施形態の冷媒分流器70では、図13に示すように、棒部材74の上端を覆う上下端側分流バッフル73(棒蓋部材)をさらに有しており、棒位置決めバッフル74c(棒位置決め部材)の上面が、上下端側分流バッフル73の下面に当接しており、棒位置決めバッフル74cの下面に、下方に向かう凸形状からなる誤組防止部74hが形成されている。
ここで、棒位置決めバッフル74cの上面と下面とを間違った状態で、棒部材74を棒位置決めバッフル74cの棒貫通孔74dに貫通させて、上下端側分流バッフル73で棒部材74の上端を覆うことができる場合を想定する。この場合には、図18に示すように、位置決め側係合部74fが所定の円周方向位置とは異なる円周方向位置に配置されてしまう。具体的には、本来は、図16に示すように、紙面手前左側に位置するはずの位置決め側係合部74fが、紙面奥右側に位置してしまう(図18参照)。そうすると、これに対応して、棒部材74の分流路74Lに形成された棒側係合部74gに係合して、棒側係合部74gも所定の円周方向位置とは異なる円周方向位置に配置されてしまい、その結果、棒部材74の複数の分流路74A〜74Lが設計通りの円周方向位置に配置できなくなってしまう(図18参照)。
これに対して、ここでは、図13及び図18に示すように、棒位置決めバッフル74cの下面に誤組防止部74hを形成しておき、棒位置決めバッフル74cの上面と下面とを間違った状態で、棒部材74を棒位置決めバッフル74cの棒貫通孔74dに貫通させた場合に、誤組防止部74hが上方に向かう凸形状になり、上下端側分流バッフル73と干渉して、上下端側分流バッフル73を棒部材74の上端を覆うことができなくなるようにしている。具体的には、棒位置決めバッフル74cの誤組防止部74hが上方に向かう凸形状になった状態では、誤組防止部74hが邪魔になって、上下端側分流バッフル73を差込スリット72aに差し込むことができなくなるようにしている。
これにより、ここでは、棒位置決めバッフル74cの上面と下面とを間違った状態で取り付けられること、すなわち、棒位置決めバッフル74cの誤組みを防止することができる。
(8)変形例
<A>
上記実施形態にかかる冷媒分流器70では、図16に示すように、最も上側に配置された分流路74L用の棒側面孔74a及び凹形状からなる棒側係合部74gが別部分として棒部材74に形成されているが、これに限定されるものではない。
例えば、図19に示すように、棒側係合部74gを鉛直方向に長い凹形状にしておき、棒位置決めバッフル74c(棒位置決め部材)の位置決め側係合部74fを、棒側係合部74gの上部だけに係合させて、棒側係合部74gの下部を棒側面孔74aとして機能させるようにしてもよい。
これにより、ここでは、棒側係合部74gを、位置決め側係合部74fを係合する部分としてだけでなく、分流路74L用の棒側面孔74aとしても兼用することができる。
<B>
上記実施形態にかかる冷媒分流器70では、図17に示すように、棒位置決めバッフル74c(棒位置決め部材)の位置決め側係合部74fが、棒貫通孔74dの周縁から内周側に向かう凸形状であり、棒部材74の棒側係合部74gが、棒部材74の側面に形成された凹形状であるが、これに限定されるものではない。
例えば、図20に示すように、棒位置決めバッフル74c(棒位置決め部材)の位置決め側係合部74fが、棒貫通孔74dの周縁から外周側に向かう凹形状であり、棒部材74の棒側係合部74gが、棒部材74の側面に形成された凸形状であってもよい。
<C>
上記実施形態にかかる冷媒分流器70では、図16に示すように、棒位置決めバッフル74c(棒位置決め部材)が、分流器ケース71に対する棒部材74の円周方向位置を位置決めする機能だけを有しており、棒部材74の上端は上下端側分流バッフル73(棒蓋部材)が覆っている。
しかし、これに限定されるものではなく、例えば、図21に示すように、棒位置決めバッフル74c(棒位置決め部材)が、棒部材74の上端を覆っており、位置決め側係合部74fが、棒位置決めバッフル74cの下面から上方に向かう凹形状であり、棒側係合部74gが、棒部材74の上端に形成された凸形状であってもよい。尚、図21とは逆に、位置決め側係合部74fが棒位置決めバッフル74cの下面から下方に向かう凸形状であり、棒側係合部74gが棒部材74の上端に形成された凹形状であってもよい。
これにより、ここでは、棒位置決めバッフル74cが、分流器ケース71に対する棒部材74の円周方向位置を位置決めするだけでなく、棒部材74の上端を覆う棒蓋部材の機能も果たすことができる。
<D>
上記実施形態にかかる冷媒分流器70では、棒部材74が円周方向に沿って配置される複数の分流路74A〜74Lが一体成形された鉛直方向に延びる棒状の部材であるが、これに限定されるものではない。例えば、図22や図23に示すように、複数の分流路74A〜74Lを形成する複数(ここでは、12本)の細管部材741A〜741Lを円周方向に沿って束ねることによって棒部材74を構成してもよい。複数の細管部材741A〜741Lの側面には、ここでは図示しないが、上記実施形態と同様に、複数の棒側面孔74aが形成されており、複数の棒側面孔74aによって複数の排出空間76A〜76Lと複数の分流路74A〜74Lとが連通している。尚、複数の細管部材741A〜741Lに囲まれる部分には、図22に示すように、中心棒742を設けるようにして、この中心棒742の下端を被入口部74bにしてもよい。また、中心棒体742ではなく、図23に示すように、複数の細管部材741A〜741Lの下端に複数の細管部材741A〜741Lが貫通可能な仕切体743を設けるようにして、この仕切体743の中央部分を被入口部74bにしてもよい。
<E>
上記の実施形態にかかる冷媒分流器70では、棒部材74が円周方向に沿って配置される複数の分流路74A〜74Lが一体成形された鉛直方向に延びる棒状の部材であるが、これに限定されるものではない。例えば、図24や図25に示すように、筒状の外棒部材744と外棒部材744の内周側に配置される内棒部材745とによって棒部材74を構成してもよい。ここでは、外棒部材744の内周面又は内棒部材745の外周面の少なくとも一方に、棒部材74の長手方向に延びる複数(ここでは、12個)の溝744a、745aを形成して、複数の溝744a、745aと外棒部材744の内周面又は内棒部材745の外周面とで囲まれる空間によって複数の分流路74A〜74Lを形成するようにしている。外棒部材744の側面には、ここでは図示しないが、上記実施形態と同様に、複数の棒側面孔74aが形成されており、複数の棒側面孔74aによって複数の排出空間76A〜76Lと複数の分流路74A〜74Lとが連通している。尚、ここでは、内棒部材745の下端の中央部分が被入口部74bになる。
<F>
上記実施形態にかかる冷媒分流器70を採用した室外熱交換器23では、扁平管からなる伝熱管63が平面視1列だけ鉛直方向に沿って複数段配置された構成を例に挙げて説明しているが、これに限定されるものではない。例えば、図26に示すように、平面視2列の伝熱管63が鉛直方向に沿って複数段配置された構成であってもよい。この場合には、伝熱管63の長手方向の他端(左端)が長手方向の一端(右端)に向かって折り返すことになるため、冷媒分流器70及び出入口ヘッダ80だけでなく、中間ヘッダ90も伝熱管63の他端(右端)側に設けられることになる。
本発明は、複数の排出空間が形成された分流器ケース内に、円周方向に沿って配置された複数の分流路が形成された棒部材が配置されており、分流器ケースに流入した冷媒を複数の分流路を通じて複数の排出空間に送る冷媒分流器に対して、広く適用可能である。
70 冷媒分流器
71 分流器ケース
73 上下端側分流バッフル(棒蓋部材)
74 棒部材
74a 連通路(棒側面孔)
74c 棒位置決め部材
74d 棒貫通孔
74f 位置決め側係合部
74g 棒側係合部
74h 誤組防止部
74A〜74L 分流路
76A〜76L 排出空間
特開平4−316785号公報
本発明は、冷媒分流器、特に、複数の排出空間が形成された分流器ケース内に、円周方向に沿って配置された複数の分流路が形成された棒部材が配置されており、分流器ケースに流入した冷媒を複数の分流路を通じて複数の排出空間に送る冷媒分流器に関する。
従来より、冷媒の蒸発器として機能する熱交換器においては、液冷媒管を流れる気液二相状態の冷媒を分流して下流側の伝熱管に送るための冷媒分流器が設けられている。このような冷媒分流器として、特許文献1(特開平4−316785号公報)に示すようなものがある。具体的には、複数の液溜(排出空間)が形成された外管(分流器ケース)内に円周方向に沿って配置された複数の分配通路(分流路)が形成された内管(棒部材)が配置されており、分流器ケースに流入した冷媒を複数の分流路を通じて複数の排出空間に送る冷媒分流器となっている。
上記従来の冷媒分流器では、分流器ケースに接続される液冷媒管の接続方向等の設置条件に応じて、複数の分流路に流入する液冷媒の量に偏りが発生することがある。例えば、液冷媒管を分流器ケースの下端側面に接続する場合には、液冷媒管を通じて分流器ケースに流入する冷媒の流れ方向(ここでは、横方向)に沿って液冷媒に偏りが発生する。一方、複数の分流路は、円周方向に沿って配置されているため、分流器ケースに流入する冷媒の流れ方向の上流側に位置する分流路と分流器ケースに流入する冷媒の流れ方向の下流側に位置する分流路とでは、流入する液冷媒の量に偏りが発生するのである。
このため、熱交換器においては、このような複数の分流路に流入する液冷媒の量の偏りの傾向を考慮して、冷媒分流器の下流側に接続される複数の冷媒パスの配置や伝熱面積等を設計する場合がある。しかし、複数の分流路が設計通りの円周方向位置に配置されずに冷媒分流器が組み立てられてしまうと、熱交換器において、所望の熱交換性能が得られなくなるおそれがある。例えば、液冷媒の量が多い分流路に対して伝熱面積が大きい冷媒パスが接続されるように設計していたにもかかわらず、この分流路が誤って伝熱面積が小さい例バイパスに接続されるように冷媒分流器が組み立てられると、この伝熱面積が小さい冷媒パスに多量の液冷媒が流れることになり、冷媒の熱交換が不十分になるおそれがある。
本発明の課題は、複数の排出空間が形成された分流器ケース内に、円周方向に沿って配置された複数の分流路が形成された棒部材が配置されており、分流器ケースに流入した冷媒を複数の分流路を通じて複数の排出空間に送る冷媒分流器において、複数の分流路を設計通りの円周方向位置に配置できるようにして、熱交換器において所望の熱交換性能が得られるようにすることにある。
第1の観点にかかる冷媒分流器は、冷媒を分流して下流側に送るための冷媒分流器であって、分流器ケースと棒部材とを有している。分流器ケースは、鉛直方向に延びる中空のケースであり、内部に鉛直方向に沿って配置される複数の排出空間が形成されており、複数の排出空間の下方から冷媒が流入するようになっている。棒部材は、分流器ケース内に配置された鉛直方向に延びる棒状の部材であり、円周方向に沿って配置された複数の分流路と、複数の分流路と複数の排出空間とを連通させる複数の連通路と、が形成されており、分流器ケースに流入した冷媒を複数の分流路及び複数の連通路を通じて複数の排出空間に送るようになっている。そして、ここでは、分流器ケースに対する棒部材の円周方向位置を位置決めするための棒位置決め部材が設けられている。
ここでは、分流器ケースに対する棒部材の円周方向位置が位置決めされることで、分流器ケースに流入した冷媒が棒部材の複数の分流路に流入する際の偏流の傾向を考慮した設計を行うことができる。
これにより、ここでは、複数の分流路を設計通りの円周方向位置に配置できるようになり、熱交換器において所望の熱交換性能を得ることができる。
また、ここでは、棒部材の上端を覆う棒蓋部材をさらに有しており、棒位置決め部材の上面が、棒蓋部材の下面に当接しており、棒位置決め部材の下面に、下方に向かう凸形状からなる誤組防止部が形成されている。
ここで、棒位置決め部材の上面と下面とを間違った状態で、棒部材を棒位置決め部材の棒貫通孔に貫通させて、棒蓋部材で棒部材の上端を覆うことができる場合を想定する。この場合には、位置決め側係合部が所定の円周方向位置とは異なる円周方向位置に配置されてしまうため、棒側係合部も所定の円周方向位置とは異なる円周方向位置に配置されてしまい、その結果、棒部材の複数の分流路が設計通りの円周方向位置に配置できなくなってしまう。
これに対して、ここでは、上記のように、棒位置決め部材の下面に誤組防止部を形成しておき、棒位置決め部材の上面と下面とを間違った状態で、棒部材を棒位置決め部材の棒貫通孔に貫通させた場合に、誤組防止部が上方に向かう凸形状になり、棒蓋部材と干渉して、棒蓋部材を棒部材の上端を覆うことができなくなるようにしている。
これにより、ここでは、棒位置決め部材の上面と下面とを間違った状態で取り付けられること、すなわち、棒位置決め部材の誤組みを防止することができる。
第2の観点にかかる冷媒分流器は、第1の観点にかかる冷媒分流器において、棒部材に、棒側係合部が形成されており、棒位置決め部材に、棒側係合部に係合する位置決め側係合部が形成されている。
第3の観点にかかる冷媒分流器は、第2の観点にかかる冷媒分流器において、棒位置決め部材に、棒部材が貫通する棒貫通孔が形成されており、位置決め側係合部が、棒貫通孔の周縁から内周側に向かう凸形状又は棒貫通孔の周縁から外周側に向かう凹形状であり、棒側係合部が、棒部材の側面に形成された凹形状又は凸形状である。
ここでは、棒部材を棒位置決め部材の棒貫通孔に貫通させる作業と同時に、位置決め側係合部と棒側係合部とを係合させることができる。
以上の説明に述べたように、本発明によれば、以下の効果が得られる。
第1及び第2の観点にかかる冷媒分流器では、複数の分流路を設計通りの円周方向位置に配置できるようになり、熱交換器において所望の熱交換性能を得ることができる。また、棒位置決め部材の上面と下面とを間違った状態で取り付けられること、すなわち、棒位置決め部材の誤組みを防止することができる。
第3の観点にかかる冷媒分流器では、棒部材を棒位置決め部材の棒貫通孔に貫通させる作業と同時に、位置決め側係合部と棒側係合部とを係合させることができる。
本発明の一実施形態にかかる冷媒分流器を採用した空気調和装置の概略構成図である。 室外ユニットの外観を示す斜視図である。 室外ユニットの天板を取り外した状態を示す平面図である。 室外熱交換器の概略斜視図である。 図4の熱交換部の部分拡大図である。 伝熱フィンとして波形フィンを採用した場合の図5に対応する図である。 室外熱交換器の概略構成図である。 図4の出入口ヘッダ及び冷媒分流器の拡大図である。 図7の出入口ヘッダ及び冷媒分流器の拡大断面図である。 図9の出入口ヘッダ及び冷媒分流器の下部の拡大断面図である。 棒部材の斜視図である。 棒部材の下端の平面図である。 冷媒分流器の分解図である。 棒貫通バッフルを分流器ケースに差し込む様子を示す斜視図である。 ノズル部及び上下端側分流バッフルを分流器ケースの下端に差し込む様子を示す斜視図である。 棒位置決めバッフル及び上下端側分流バッフルを分流器ケースの上端に差し込む様子を示す斜視図である。 棒位置決めバッフルが差し込まれた状態の棒部材の上端の平面図である。 棒位置決めバッフル及び上下端側分流バッフルを分流器ケースの上端に差し込む様子を示す斜視図(棒位置決めバッフルの上面と下面とを間違った場合)である。 変形例にかかる冷媒分流器を示す図であって、図16に対応する図である。 変形例にかかる冷媒分流器を示す図であって、図17に対応する図である。 変形例にかかる冷媒分流器を示す図であって、図16に対応する図である。 変形例にかかる冷媒分流構造を示す図であって、図12に対応する図である。 変形例にかかる冷媒分流構造を示す図であって、図12に対応する図である。 変形例にかかる冷媒分流構造を示す図であって、図12に対応する図である。 変形例にかかる冷媒分流構造を示す図であって、図12に対応する図である。 変形例にかかる冷媒分流構造を採用した空気調和装置の室外ユニットの天板を取り外した状態を示す平面図である。
以下、本発明にかかる冷媒分流器の実施形態及びその変形例について、図面に基づいて説明する。尚、本発明にかかる冷媒分流器の具体的な構成は、下記の実施形態及びその変形例に限られるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で変更可能である。
(1)空気調和装置の全体構成
図1は、本発明の一実施形態にかかる冷媒分流器を採用した空気調和装置1の概略構成図である。
空気調和装置1は、蒸気圧縮式の冷凍サイクルを行うことによって、建物等の室内の冷房及び暖房を行うことが可能な装置である。空気調和装置1は、主として、室外ユニット2と、室内ユニット4とが接続されることによって構成されている。ここで、室外ユニット2と室内ユニット4とは、液冷媒連絡管5及びガス冷媒連絡管6を介して接続されている。すなわち、空気調和装置1の蒸気圧縮式の冷媒回路10は、室外ユニット2と、室内ユニット4とが冷媒連絡管5、6を介して接続されることによって構成されている。
<室内ユニット>
室内ユニット4は、室内に設置されており、冷媒回路10の一部を構成している。室内ユニット4は、主として、室内熱交換器41を有している。
室内熱交換器41は、冷房運転時には冷媒の蒸発器として機能して室内空気を冷却し、暖房運転時には冷媒の放熱器として機能して室内空気を加熱する熱交換器である。室内熱交換器41の液側は液冷媒連絡管5に接続されており、室内熱交換器41のガス側はガス冷媒連絡管6に接続されている。
室内ユニット4は、室内ユニット4内に室内空気を吸入して、室内熱交換器41において冷媒と熱交換させた後に、供給空気として室内に供給するための室内ファン42を有している。すなわち、室内ユニット4は、室内熱交換器41を流れる冷媒の加熱源又は冷却源としての室内空気を室内熱交換器41に供給するファンとして、室内ファン42を有している。ここでは、室内ファン42として、室内ファン用モータ42aによって駆動される遠心ファンや多翼ファン等が使用されている。
<室外ユニット>
室外ユニット2は、室外に設置されており、冷媒回路10の一部を構成している。室外ユニット2は、主として、圧縮機21と、四路切換弁22と、室外熱交換器23と、膨張弁24と、液側閉鎖弁25と、ガス側閉鎖弁26とを有している。
圧縮機21は、冷凍サイクルの低圧の冷媒を高圧になるまで圧縮する機器である。圧縮機21は、ロータリ式やスクロール式等の容積式の圧縮要素(図示せず)を圧縮機用モータ21aによって回転駆動する密閉式構造となっている。圧縮機21は、吸入側に吸入管31が接続されており、吐出側に吐出管32が接続されている。吸入管31は、圧縮機21の吸入側と四路切換弁22とを接続する冷媒管である。吐出管32は、圧縮機21の吐出側と四路切換弁22とを接続する冷媒管である。
四路切換弁22は、冷媒回路10における冷媒の流れの方向を切り換えるための切換弁である。四路切換弁22は、冷房運転時には、室外熱交換器23を圧縮機21において圧縮された冷媒の放熱器として機能させ、かつ、室内熱交換器41を室外熱交換器23において放熱した冷媒の蒸発器として機能させる冷房サイクル状態への切り換えを行う。すなわち、四路切換弁22は、冷房運転時には、圧縮機21の吐出側(ここでは、吐出管32)と室外熱交換器23のガス側(ここでは、第1ガス冷媒管33)とが接続される(図1の四路切換弁22の実線を参照)。しかも、圧縮機21の吸入側(ここでは、吸入管31)とガス冷媒連絡管6側(ここでは、第2ガス冷媒管34)とが接続される(図1の四路切換弁22の実線を参照)。また、四路切換弁22は、暖房運転時には、室外熱交換器23を室内熱交換器41において放熱した冷媒の蒸発器として機能させ、かつ、室内熱交換器41を圧縮機21において圧縮された冷媒の放熱器として機能させる暖房サイクル状態への切り換えを行う。すなわち、四路切換弁22は、暖房運転時には、圧縮機21の吐出側(ここでは、吐出管32)とガス冷媒連絡管6側(ここでは、第2ガス冷媒管34)とが接続される(図1の四路切換弁22の破線を参照)。しかも、圧縮機21の吸入側(ここでは、吸入管31)と室外熱交換器23のガス側(ここでは、第1ガス冷媒管33)とが接続される(図1の四路切換弁22の破線を参照)。ここで、第1ガス冷媒管33は、四路切換弁22と室外熱交換器23のガス側とを接続する冷媒管である。第2ガス冷媒管34は、四路切換弁22とガス側閉鎖弁26とを接続する冷媒管である。
室外熱交換器23は、冷房運転時には室外空気を冷却源とする冷媒の放熱器として機能し、暖房運転時には室外空気を加熱源とする冷媒の蒸発器として機能する熱交換器である。室外熱交換器23は、液側が液冷媒管35に接続されており、ガス側が第1ガス冷媒管33に接続されている。液冷媒管35は、室外熱交換器23の液側と液冷媒連絡管5側とを接続する冷媒管である。
膨張弁24は、冷房運転時には、室外熱交換器23において放熱した冷凍サイクルの高圧の冷媒を冷凍サイクルの低圧まで減圧する弁である。また、膨張弁24は、暖房運転時には、室内熱交換器41において放熱した冷凍サイクルの高圧の冷媒を冷凍サイクルの低圧まで減圧する弁である。膨張弁24は、液冷媒管35の液側閉鎖弁25寄りの部分に設けられている。ここでは、膨張弁24として、電動膨張弁が使用されている。
液側閉鎖弁25及びガス側閉鎖弁26は、外部の機器・配管(具体的には、液冷媒連絡管5及びガス冷媒連絡管6)との接続口に設けられた弁である。液側閉鎖弁25は、液冷媒管35の端部に設けられている。ガス側閉鎖弁26は、第2ガス冷媒管34の端部に設けられている。
室外ユニット2は、室外ユニット2内に室外空気を吸入して、室外熱交換器23において冷媒と熱交換させた後に、外部に排出するための室外ファン36を有している。すなわち、室外ユニット2は、室外熱交換器23を流れる冷媒の冷却源又は加熱源としての室外空気を室外熱交換器23に供給するファンとして、室外ファン36を有している。ここでは、室外ファン36として、室外ファン用モータ36aによって駆動されるプロペラファン等が使用されている。
<冷媒連絡管>
冷媒連絡管5、6は、空気調和装置1を建物等の設置場所に設置する際に、現地にて施工される冷媒管であり、設置場所や室外ユニット2と室内ユニット4との組み合わせ等の設置条件に応じて種々の長さや管径を有するものが使用される。
(2)空気調和装置の基本動作
次に、図1を用いて、空気調和装置1の基本動作について説明する。空気調和装置1は、基本動作として、冷房運転及び暖房運転を行うことが可能である。
<冷房運転>
冷房運転時には、四路切換弁22が冷房サイクル状態(図1の実線で示される状態)に切り換えられる。
冷媒回路10において、冷凍サイクルの低圧のガス冷媒は、圧縮機21に吸入され、冷凍サイクルの高圧になるまで圧縮された後に吐出される。
圧縮機21から吐出された高圧のガス冷媒は、四路切換弁22を通じて、室外熱交換器23に送られる。
室外熱交換器23に送られた高圧のガス冷媒は、冷媒放熱器として機能する室外熱交換器23において、室外ファン36によって冷却源として供給される室外空気と熱交換を行って放熱して、高圧の液冷媒になる。
室外熱交換器23において放熱した高圧の液冷媒は、膨張弁24に送られる。
膨張弁24に送られた高圧の液冷媒は、膨張弁24によって冷凍サイクルの低圧まで減圧されて、低圧の気液二相状態の冷媒になる。膨張弁24で減圧された低圧の気液二相状態の冷媒は、液側閉鎖弁25及び液冷媒連絡管5を通じて、室内熱交換器41に送られる。
室内熱交換器41に送られた低圧の気液二相状態の冷媒は、室内熱交換器41において、室内ファン42によって加熱源として供給される室内空気と熱交換を行って蒸発する。これにより、室内空気は冷却され、その後に、室内に供給されることで室内の冷房が行われる。
室内熱交換器41において蒸発した低圧のガス冷媒は、ガス冷媒連絡管6、ガス側閉鎖弁26及び四路切換弁22を通じて、再び、圧縮機21に吸入される。
<暖房運転>
暖房運転時には、四路切換弁22が暖房サイクル状態(図1の破線で示される状態)に切り換えられる。
冷媒回路10において、冷凍サイクルの低圧のガス冷媒は、圧縮機21に吸入され、冷凍サイクルの高圧になるまで圧縮された後に吐出される。
圧縮機21から吐出された高圧のガス冷媒は、四路切換弁22、ガス側閉鎖弁26及びガス冷媒連絡管6を通じて、室内熱交換器41に送られる。
室内熱交換器41に送られた高圧のガス冷媒は、室内熱交換器41において、室内ファン42によって冷却源として供給される室内空気と熱交換を行って放熱して、高圧の液冷媒になる。これにより、室内空気は加熱され、その後に、室内に供給されることで室内の暖房が行われる。
室内熱交換器41で放熱した高圧の液冷媒は、液冷媒連絡管5及び液側閉鎖弁25を通じて、膨張弁24に送られる。
膨張弁24に送られた高圧の液冷媒は、膨張弁24によって冷凍サイクルの低圧まで減圧されて、低圧の気液二相状態の冷媒になる。膨張弁24で減圧された低圧の気液二相状態の冷媒は、室外熱交換器23に送られる。
室外熱交換器23に送られた低圧の気液二相状態の冷媒は、冷媒蒸発器として機能する室外熱交換器23において、室外ファン36によって加熱源として供給される室外空気と熱交換を行って蒸発して、低圧のガス冷媒になる。
室外熱交換器23で蒸発した低圧の冷媒は、四路切換弁22を通じて、再び、圧縮機21に吸入される。
(3)室外ユニットの基本構成
次に、図1〜図4を用いて、室外ユニット2の基本構成について説明する。ここで、図2は、室外ユニット2の外観を示す斜視図である。図3は、室外ユニット2の天板57を取り外した状態を示す平面図である。図4は、室外熱交換器23の概略斜視図である。尚、以下の説明においては、「上」、「下」、「左」、「右」、「鉛直」や「前面」、「側面」、「背面」、「天面」、「底面」等の文言は、特にことわりのない限り、ファン吹出グリル55b側の面を前面とした場合における方向や面を意味する。
室外ユニット2は、ユニットケーシング51の内部が鉛直方向に延びる仕切板58によって送風機室S1と機械室S2とに仕切られた構造(いわゆる、トランク型構造)を有するものである。室外ユニット2は、ユニットケーシング51の背面及び側面の一部から室外空気を内部へと吸い込んだ後に、ユニットケーシング51の前面から空気を排出するように構成されている。室外ユニット2は、主として、ユニットケーシング51と、圧縮機21、四路切換弁22、室外熱交換器23、膨張弁24、閉鎖弁25、26及びこれらの機器を接続する冷媒管31〜35を含む冷媒回路10を構成する機器・配管類と、室外ファン36及び室外ファン用モータ36aとを有している。尚、ここでは、送風機室S1がユニットケーシング51の左側面寄りに形成され、機械室S2がユニットケーシング51の右側面寄りに形成された例を説明するが、左右が逆であってもよい。
ユニットケーシング51は、略直方体状に形成されており、主として、圧縮機21、四路切換弁22、室外熱交換器23、膨張弁24、閉鎖弁25、26及びこれらの機器を接続する冷媒管31〜35を含む冷媒回路10を構成する機器・配管類と、室外ファン36及び室外ファン用モータ36aとを収容している。ユニットケーシング51は、冷媒回路10を構成する機器・配管類21〜26、31〜35や室外ファン36等が載置される底板52と、送風機室側側板53と、機械室側側板54と、送風機室側前板55と、機械室側前板56と、天板57と、2つの据付脚59とを有している。
底板52は、ユニットケーシング51の底面部分を構成する板状部材である。
送風機室側側板53は、ユニットケーシング51の送風機室S1寄りの側面部分(ここでは、左側面部分)を構成する板状部材である。送風機室側側板53は、その下部が底板52に固定されている。送風機室側側板53には、室外ファン36によってユニットケーシング51の側面側からユニットケーシング51内に室外空気を吸入するための側面ファン吸入口53aが形成されている。
機械室側側板54は、ユニットケーシング51の機械室S2寄りの側面部分(ここでは、右側面部分)の一部と、ユニットケーシング51の機械室S2寄りの背面部分とを構成する板状部材である。機械室側側板54は、その下部が底板52に固定されている。送風機室側側板53の背面側の端部と機械室側側板54の送風機室S1側の端部との間には、室外ファン36によってユニットケーシング51の背面側からユニットケーシング51内に室外空気を吸入するためのされる背面ファン吸入口53bが形成されている。
送風機室側前板55は、ユニットケーシング51の送風機室S1の前面部分を構成する板状部材である。送風機室側前板55は、その下部が底板52に固定され、その左側面側の端部が送風機室側側板53の前面側の端部に固定されている。送風機室側前板55には、室外ファン36によってユニットケーシング51内に吸入された室外空気を外部に吹き出すためのファン吹出口55aが設けられている。送風機室側前板55の前面側には、ファン吹出口55aを覆うファン吹出グリル55bが設けられている。
機械室側前板56は、ユニットケーシング51の機械室S2の前面部分の一部と、ユニットケーシング51の機械室S2の側面部分の一部とを構成する板状部材である。機械室側前板56は、その送風機室S1側の端部が送風機室側前板55の機械室S2側の端部に固定され、その背面側の端部が機械室側側板54の前面側の端部に固定されている。
天板57は、ユニットケーシング51の天面部分を構成する板状部材である。天板57は、送風機室側板53や機械室側側板54、送風機室側前板55に固定されている。
仕切板58は、底板52上に配置される鉛直方向に延びる板状部材である。仕切板58は、ここでは、ユニットケーシング51の内部を左右に分割することによって、左側面寄りの送風機室S1と、右側面寄りの機械室S2とを形成している。仕切板58は、その下部が底板52に固定され、その前面側の端部が送風機室側前板55に固定され、その背面側の端部が室外熱交換器23の機械室S2寄りの側端部まで延びている。
据付脚59は、ユニットケーシング51の前後方向に延びる板状部材である。据付脚59は、室外ユニット2の据付面に固定される部材である。ここでは、室外ユニット2は、2つの据付脚59を有しており、1つは、送風機室S1寄りに配置されており、もう1つは、機械室S2寄りに配置されている。
室外ファン36は、複数の翼を有するプロペラファンであり、送風機室S1内において、室外熱交換器23の前面側の位置に、ユニットケーシング51の前面(ここでは、ファン吹出口55a)に対向するように配置されている。室外ファン用モータ36aは、送風機室S1内において、室外ファン36と室外熱交換器23との前後方向間に配置されている。室外ファン用モータ36aは、底板52上に載置されたモータ支持台36bによって支持されている。そして、室外ファン36は、室外ファン用モータ36aに軸支されている。
室外熱交換器23は、平面視略L字形状の熱交換器パネルであり、送風機室S1内において、ユニットケーシング51の側面(ここでは、左側面)及び背面に対向するように底板52上に載置されている。
圧縮機21は、ここでは、縦型円筒形状の密閉式圧縮機であり、機械室S2内において、底板52上に載置されている。
(4)室外熱交換器の基本構成
次に、図1〜図7を用いて、室外熱交換器23の構成について説明する。ここで、図5は、図4の熱交換部60の部分拡大図である。図6は、伝熱フィン64として波形フィンを採用した場合の図5に対応する図である。図7は、室外熱交換器23の概略構成図である。尚、以下の説明においては、方向や面を表す文言は、特にことわりのない限り、室外熱交換器23が室外ユニット2に載置された状態を基準とした方向や面を意味する。
室外熱交換器23は、主として、室外空気と冷媒との熱交換を行う熱交換部60と、熱交換部60の一端側に設けられた冷媒分流器70及び出入口ヘッダ80と、熱交換部60の他端側に設けられた中間ヘッダ90とを有している。室外熱交換器23は、冷媒分流器70、出入口ヘッダ80、中間ヘッダ90及び熱交換部60のすべてが、アルミニウムまたはアルミニウム合金で形成されたオールアルミ熱交換器であり、各部の接合は、炉中ロウ付け等のロウ付けによって行われている。
熱交換器60は、室外熱交換器23の上部を構成する複数(ここでは、12個)のメイン熱交換部61A〜61Lと、室外熱交換器23の下部を構成する複数(ここでは、12個)のサブ熱交換部62A〜62Lとを有している。メイン熱交換部61A〜61Lにおいては、最上段にメイン熱交換部61Aが配置されており、その下段側から鉛直方向下向きに沿って順にメイン熱交換部61B〜61Lが配置されている。サブ熱交換部62A〜62Lにおいては、最下段にサブ熱交換部62Aが配置されており、その上段側から鉛直方向上向きに沿って順にサブ熱交換部62B〜62Lが配置されている。
熱交換部60は、扁平管からなる多数の伝熱管63と、差込フィンからなる多数の伝熱フィン64とにより構成された差込フィン式の熱交換器である。伝熱管63は、アルミニウムまたはアルミニウム合金で形成されており、伝熱面となる鉛直方向を向く平面部63aと、冷媒が流れる多数の小さな内部流路63bを有する扁平多穴管である。多数の伝熱管63は、鉛直方向に沿って間隔をあけて複数段配置されており、両端が出入口ヘッダ80及び中間ヘッダ90に接続されている。伝熱フィン64は、アルミニウムまたはアルミニウム合金で形成されており、出入口ヘッダ80と中間ヘッダ90との間に配置された多数の伝熱管63に差し込めるように、水平に細長く延びる多数の切り欠き64aが形成されている。伝熱フィン64の切り欠き64aの形状は、伝熱管63の断面の外形にほぼ一致している。多数の伝熱管63は、上記のメイン熱交換部61A〜61L及びサブ熱交換部62A〜62Lに区分されている。ここでは、多数の伝熱管63は、室外熱交換器23の最上段から鉛直方向下向きに沿って、所定数(3〜8本程度)の伝熱管63毎にメイン熱交換部61A〜61Lを構成する伝熱管群をなしている。また、室外熱交換器23の最下段から鉛直方向上向きに沿って、所定数(1〜3本程度)の伝熱管63毎にサブ熱交換部62A〜62Lを構成する伝熱管群をなしている。
尚、室外熱交換器23は、上記のような伝熱フィン64として差込フィン(図5参照)を採用した差込フィン式の熱交換器に限定されるものではなく、伝熱フィン64として多数の波形フィン(図6参照)を採用した波形フィン式の熱交換器であってもよい。
(5)中間ヘッダの構成
次に、図1〜図7を用いて、中間ヘッダ90の構成について説明する。尚、以下の説明においては、方向や面を表す文言は、特にことわりのない限り、中間ヘッダ90を含む室外熱交換器23が室外ユニット2に載置された状態を基準とした方向や面を意味する。
中間ヘッダ90は、上記のように、熱交換部60の他端側に設けられており、伝熱管63の他端が接続されている。中間ヘッダ90は、アルミニウムまたはアルミニウム合金で形成された鉛直方向に延びる筒状の部材であり、主として、縦長中空の中間ヘッダケース91を有している。
中間ヘッダケース91は、その内部空間が、複数(ここでは、11個)のメイン側中間バッフル92、複数(ここでは、11個)のサブ側中間バッフル93及び境界側中間バッフル94によって、鉛直方向に沿って仕切られている。メイン側中間バッフル92は、中間ヘッダケース91の上部の内部空間をメイン熱交換部61A〜61Kの他端に連通するメイン側中間空間95A〜95Kに仕切るように、鉛直方向に沿って順に設けられている。サブ側中間バッフル93は、中間ヘッダケース91の下部の内部空間をサブ熱交換部62A〜62Kの他端に連通するサブ側中間空間96A〜96Kに仕切るように、鉛直方向に沿って順に設けられている。境界側中間バッフル94は、中間ヘッダケース91の最下段側のメイン側中間バッフル92と最上段側のサブ側中間バッフル93との鉛直方向間の内部空間をメイン熱交換部61Lの他端に連通するメイン側中間空間95Lとサブ熱交換部62Lの他端に連通するサブ側中間空間96Lに仕切るように設けられている。
中間ヘッダケース91には、複数(ここでは、11本)の中間連絡管97A〜97Kが接続されている。中間連絡管97A〜97Kは、メイン側中間空間95A〜95Kとサブ側中間空間96A〜96Kとを連通する冷媒管である。これにより、メイン熱交換部61A〜61Kとサブ熱交換部62A〜62Kとが中間ヘッダ90及び中間連絡管97A〜97Kを介して連通することになり、室外熱交換器23の冷媒パス65A〜65Kが形成されている。また、境界側中間バッフル94には、メイン側中間空間95Lとサブ側中間空間96Lとを連通させる中間バッフル連通孔94aが形成されている。これにより、メイン熱交換部61Lとサブ熱交換部62Lとが中間ヘッダ90及び中間バッフル連通孔94aを介して連通することになり、室外熱交換器23の冷媒パス65Lが形成されている。このように、室外熱交換器23は、多パス(ここでは、12パス)の冷媒パス65A〜65Lに区分された構成を有している。
尚、中間ヘッダ90は、上記のような中間ヘッダケース91の内部空間が中間バッフル92、93によって鉛直方向に沿って仕切られただけの構成に限定されるものではなく、中間ヘッダ90内における冷媒の流れ状態を良好に維持するための工夫がなされた構成であってもよい。
(6)出入口ヘッダ及び冷媒分流器の構成
次に、図1〜図17を用いて、出入口ヘッダ80及び冷媒分流器70の構成について説明する。ここで、図8は、図4の出入口ヘッダ80及び冷媒分流器70の拡大図である。図9は、図7の出入口ヘッダ80及び冷媒分流器70の拡大断面図である。図10は、図9の出入口ヘッダ80及び冷媒分流器70の下部の拡大断面図である。図11は、棒部材74の斜視図である。図12は、棒部材74の下端の平面図である。図13は、冷媒分流器70の分解図である。図14は、棒貫通バッフル77を分流器ケース71に差し込む様子を示す斜視図である。図15は、ノズル部79及び上下端側分流バッフル73を分流器ケース71の下端に差し込む様子を示す斜視図である。図16は、棒位置決めバッフル74c及び上下端側分流バッフル73を分流器ケース71の上端に差し込む様子を示す斜視図である。図17は、棒位置決めバッフル74cが差し込まれた状態の棒部材74の上端の平面図である。尚、以下の説明においては、方向や面を表す文言は、特にことわりのない限り、冷媒分流器70及び出入口ヘッダ80を含む室外熱交換器23が室外ユニット2に載置された状態を基準とした方向や面を意味する。また、冷媒分流器70、出入口ヘッダ80及び中間ヘッダ90を含む室外熱交換器23における冷媒の流れについては、特にことわりのない限り、室外熱交換器23が冷媒の蒸発器として機能する場合を基準にした冷媒の流れを意味する。
<出入口ヘッダ>
出入口ヘッダ80は、上記のように、熱交換部60の一端側に設けられており、伝熱管63の一端が接続されている。出入口ヘッダ90は、アルミニウムまたはアルミニウム合金で形成された鉛直方向に延びる部材であり、主として、縦長中空の出入口ヘッダケース81を有している。
出入口ヘッダケース81は、主として、上端及び下端が開口した円筒形状の出入口ヘッダ筒状体82を有しており、2つの上下端側出入口バッフル83によって上端及び下端の開口が閉じられている。出入口ヘッダケース81は、その内部空間が、境界側出入口バッフル84によって、上部の出入口空間85と下部の供給空間86A〜86Lとに鉛直方向に沿って仕切られている。出入口空間85は、メイン熱交換部61A〜61Lの一端に連通する空間であり、冷媒パス65A〜65Lを通過した冷媒を出口で合流させる空間として機能している。このように、出入口空間85を有する出入口ヘッダ80の上部が、冷媒パス65A〜65Lを通過した冷媒を出口で合流させる冷媒出口部として機能している。
出入口ヘッダ80には、第1ガス冷媒管33が接続されており、出入口空間85に連通している。供給空間86A〜86Lは、複数(ここでは、11個)の供給側出入口バッフル87によって仕切られたサブ熱交換部62A〜62Lの一端に連通する複数(ここでは、12個)の空間であり、冷媒パス65A〜65Lに冷媒を流出させる空間として機能している。このように、複数の供給空間86A〜86Lを有する出入口ヘッダ80の下部が、複数の冷媒パス65A〜65Lに区分して冷媒を流出させる冷媒供給部として機能している。
<冷媒分流器>
冷媒分流器70は、上記のように、液冷媒管35を通じて流入する冷媒を分流して下流側(ここでは、複数の冷媒パス65A〜65L)に送るための機器であり、熱交換部60の一端側に設けられており、出入口ヘッダ80の冷媒供給部(すなわち、供給空間86A〜86L)を介して伝熱管63の一端が接続されている。冷媒分流器70は、アルミニウムまたはアルミニウム合金で形成された鉛直方向に延びる部材であり、主として、縦長中空の分流器ケース71を有している。
分流器ケース71は、主として、上端及び下端が開口した円筒形状の分流器ヘッダ筒状体72を有しており、2つの上下端側分流バッフル73によって上端及び下端の開口が閉じられている。ここで、上下端側分流バッフル73は、半円弧状の縁部73aが形成された円形状の板部材であり、分流器ヘッダ筒状体72の上端及び下端に形成された差込スリット72a、72bに分流器ケース71の側面から差し込まれた状態で、ロウ付け接合されている。
分流器ケース71内には、円周方向に沿って配置される複数(ここでは、12個)の分流路74A〜74Lと、複数の分流路74A〜74Lに冷媒を導く分流空間75と、複数の分流路74A〜74Lによって分流空間75と連通しており鉛直方向に沿って配置される複数(ここでは、12個)の排出空間76A〜76Lとが形成されている。
複数(ここでは、12個)の分流路74A〜74Lは、分流器ケース71内に配置された棒部材74によって形成されている。棒部材74は、円周方向に沿って配置される複数の分流路74A〜74Lが形成された鉛直方向に延びる棒状の部材である。棒部材74は、アルミニウムまたはアルミニウム合金の押出成形によって製造されており、複数の分流路74A〜74Lは、棒部材74の長手方向に延びており棒部材74に一体成形された複数(ここでは、12個)の孔によって構成されている。棒部材74の径方向の中央部分は、複数の分流路74A〜74Lによって囲まれている。棒部材74の長手方向の他端である上端は、分流器ケース71の上端に設けられた上下端側分流バッフル73の下面に当接しており、複数の分流路74A〜74Lの上端が閉じられている。すなわち、分流器ケース71の上端に設けられた上下端側分流バッフル73は、棒部材74の上端を覆う棒蓋部材として機能している。これに対して、棒部材74の長手方向の一端である下端は、分流器ケース71の下部まで延びているが、分流器ケース71の下端に設けられた上下端側分流バッフル73の上面までは達しておらず、複数の分流路74A〜74Lの下端は閉じられていない。これにより、分流器ケース71内には、分流空間75を含む棒部材74の下端に対向する空間が形成されている。
棒部材74の外径は、分流器ケース71の内径よりも小さく、棒部材74の側面と分流器ケース71との径方向間に空間が形成されており、この空間が複数の排出空間76A〜76Lを形成している。ここでは、分流器ケース71に、棒部材74が貫通する棒貫通孔77bが形成された複数(ここでは、11個)の棒貫通バッフル77が、分流器ケース71の側面から差し込まれており、複数の棒貫通バッフル77によって複数の排出空間76A〜76Lが形成されている。ここで、棒貫通バッフル77は、半円弧状の縁部77aが形成された円形状の板部材であり、分流器ヘッダ筒状体72の側面に鉛直方向に沿って形成された差込スリット72cに分流器ケース71の側面から差し込まれた状態で、ロウ付け接合されている。これにより、棒部材74は、棒貫通バッフル77の棒貫通孔77bを鉛直方向に沿って複数貫通した状態で分流器ケース71内に配置されている。尚、図13においては、棒部材74が分流器ケース71の下端から挿入されているが、分流器ケース71の上端から挿入されてもよい。このように、分流器ケース71は、棒部材74の側面と分流器ケース71との径方向間の空間が、複数の棒貫通バッフル77によって、鉛直方向に沿う複数の排出空間76A〜76Lに仕切られている。
棒部材74の側面には、複数(ここでは、12個)の棒側面孔74a(連通路)が形成されており、複数の棒側面孔74aによって複数の排出空間76A〜76Lと複数の分流路74A〜74Lとが連通している。ここでは、複数の分流路74A〜74Lと複数の排出空間76A〜76Lとが、互いに1対1で対応している。例えば、排出空間76Aに連通する棒側面孔74aが分流路74Aだけに対応するように形成され、排出空間76Bに連通する棒側面孔74aが分流路74Bだけに対応するように形成されるといったように、ある排出空間に連通する分流路が他の排出空間には連通しないように棒側面孔74aが形成されている。また、複数の棒側面孔74aは、棒部材74の長手方向(ここでは、鉛直方向)に沿って螺旋状に配置されている。
冷媒分流器70には、分流器ケース71に対する棒部材74の円周方向位置を位置決めするための棒位置決めバッフル74c(棒位置決め部材)が設けられている。棒位置決めバッフル74cは、棒貫通バッフル77と同様に、棒部材74が貫通する棒貫通孔74dと半円弧状の縁部74eとが形成された円形状の板部材であり、分流器ケース71の側面から差し込まれている。ここでは、棒位置決めバッフル74cは、分流器ヘッダ筒状体72の上端に形成された差込スリット72aに分流器ケース71の側面から差し込まれた状態で、上下端側分流バッフル73と重ねてロウ付け接合されている。これにより、棒部材74の上端は、棒位置決めバッフル74cの棒貫通孔74dを貫通するとともに、棒位置決めバッフル74cの上側に重なって配置される上下端側分流バッフル73によって、複数の分流路74A〜74Lの上端が閉じられた状態になっている。ここで、差込スリット72aは、上下端側分流バッフル73及び棒位置決めバッフル74cの両方を差し込むことが可能なサイズを有している。また、棒位置決めバッフル74cには、棒貫通孔74dの周縁から内周側に向かう凸形状からなる位置決め側係合部74fが形成されている。そして、棒部材74の上端側面には、位置決め側係合部74fに係合する凹形状からなる棒側係合部74gが形成されている。ここでは、位置決め側係合部74f及び棒側係合部74gが分流路74Lに対応する円周方向位置に形成されている。そして、棒部材74が分流器ケース71内に配置され、差込スリット72aに棒位置決めバッフル74cが差し込まれ、両係合部74f、74gが係合した状態になることによって、分流器ケース71に対する棒部材74の円周方向位置が位置決めされるようになっている。さらに、棒位置決めバッフル74cの下面には、下方に向かう凸形状からなる誤組防止部74hが形成されている。ここで、誤組防止部74hは、縁部74eから差込スリット72aへの差し込み方向手前側に向かって突出する平板状の舌部74iに形成されている。
分流器ケース71には、棒部材74の下端に対向する空間を、液冷媒管35を通じて流入する冷媒を導入する導入空間78と複数の分流路74A〜74Lに冷媒を導く分流空間75とに仕切るように、ノズル孔79aが形成されたノズル部79が設けられている。すなわち、ノズル部79は、分流器ケース71内の空間を下端側の導入空間78と導入空間78の上側の分流空間75とに仕切っており、導入空間78に流入する冷媒を分流空間75に送るためのノズル孔79aが形成されている。
ノズル部79は、アルミニウムまたはアルミニウム合金で形成されており、ここでは、ノズル本体79bとノズル支持バッフル79cとを有している。ノズル本体79bは、ノズル孔79aが形成された円形状の板部材である。ノズル本体79bは、その外径が分流器ケース71の内径以下であり、棒部材74とともに分流器ケース71に下方から挿入されるようになっている。ノズル本体79bには、棒部材74の長手方向の一端(ここでは、下端)側の端面である棒部材側端面79dにノズル孔79aよりも大径の凹み部分であるノズル凹部79eが形成されており、分流空間75が、棒部材74の下端とノズル凹部79eとで囲まれる空間によって構成されている。ここでは、分流空間75が棒部材74の下端を棒部材側端面79dに当接させることによって形成されている。ここで、棒部材74の下端には、複数の分流路74A〜74Lに囲まれるとともにノズル孔79aに対向する被入口部74bが形成されており、被入口部74bの面積が、ノズル孔79aの開口面積よりも大きくなっている。また、棒部材側端面79dには、棒部材74の長手方向の一端(ここでは、下端)を嵌め込むための凸形状からなる棒嵌め込み部79fが形成されている。これにより、棒部材74とノズル本体79bとの側方への位置ずれが抑えられている。また、ノズル本体79bの下面には、ノズル支持バッフル79cの段差嵌合孔79gに嵌合される凸形状からなる段差部79hが形成されている。一方、ノズル支持バッフル79cは、棒貫通バッフル77と同様に、段差嵌合孔79gと半円弧状の縁部79iとが形成された円形状の板部材であり、分流器ケース71の側面から差し込まれている。ここで、ノズル支持バッフル79cは、分流器ケース71の側面に形成された差込スリット72dを介して分流器ケース71に差し込まれるようになっている。そして、棒部材74及びノズル本体79bを分流器ケース71内の差込スリット72dよりも上側まで挿入した状態で、ノズル支持バッフル79cを分流器ケース71に差し込み、棒部材74及びノズル本体79bを下方に移動させることによって、ノズル本体79bの段差部79hがノズル支持バッフル79cの段差嵌合孔79gに嵌合され、棒部材74及びノズル本体79bとともにロウ付け接合されている。
分流器ケース71の下端側面(すなわち、ノズル部79よりも下方の側面)には、液冷媒管35が接続されており、導入空間78に冷媒が流入されるようになっている。ここでは、液冷媒管35が、ノズル部79及び液冷媒管35をノズル孔79aの開口方向(すなわち、鉛直方向)から見た際に、ノズル孔79aと重なるように導入空間78内に差し込まれている。具体的には、液冷媒管35は、分流器ケース71の下端側面に形成された液管接続孔72eを通じて横向きに導入空間78内に差し込まれている。ここで、液冷媒管35のうち導入空間78内に差し込まれた部分を差込管部35aとする。ここでは、ノズル孔79aが分流器ケース71の平面視中央に位置していることから、差込管部35aの先端は、少なくとも分流器ケース71の平面視中央を横切る位置まで差し込まれており、ここでは、分流器ケース71の内面(ここでは、液管接続孔72eに対向する内面)に当接するまで液冷媒管35を導入空間78内に差し込まれている。そして、ここでは、差込管部35aの先端の開口である管先端孔35bが、閉塞されており、差込管部35aの上部に、ノズル部79及び液冷媒管35をノズル孔79aの開口方向から見た際に、ノズル孔79aと重なるように冷媒導入孔35cが形成されている。ここで、管先端孔35b及び冷媒導入孔35cから管先端孔35bまでの空間は、柱状のリベット35d(管端閉塞部材)を取り付けることによって閉塞されている。尚、管先端孔35b及び冷媒導入孔35cから管先端孔35bまでの空間を閉塞する手法は、リベット35dによるものに限定されるものではなく、差込管部35aの先端にスパン加工やピンチ加工を施すことによって管先端孔35b及び冷媒導入孔35cから管先端孔35bまでの空間を閉塞するようにしてもよい。また、ここでは、冷媒導入孔35cの開口面積をノズル孔79aの開口面積よりも大きくしている。
そして、冷媒分流器70は、複数(ここでは、12個)の連絡路88A〜88Lを形成する複数(ここでは、12本)の連絡管88を介して、出入口ヘッダ80の下部に接続されている。すなわち、複数の連絡路88A〜88Lは、複数の排出空間76A〜76Lから複数の供給空間86A〜86Lに冷媒を導く部分になっている。こうして、液冷媒管35、冷媒供給部としての出入口ヘッダ80の下部、冷媒分流器70、及び、複数の連絡路88A〜88Lを形成する複数の連絡管88は、液冷媒管35を通じて流入する冷媒を下流側の複数の冷媒パス65A〜65L(すなわち、扁平管からなる複数の伝熱管63)に送るための冷媒分流構造として機能しているのである。
(7)冷媒分流器の特徴
本実施形態の冷媒分流器70には、以下のような特徴がある。
<A>
本実施形態の冷媒分流器70は、図9、図13、図16及び図17に示すように、冷媒を分流して下流側に送るための冷媒分流器であって、分流器ケース71と棒部材74とを有している。分流器ケース71は、鉛直方向に延びる中空のケースであり、内部に鉛直方向に沿って配置される複数の排出空間76A〜76Lが形成されており、複数の排出空間76A〜76Lの下方から冷媒が流入するようになっている。棒部材74は、分流器ケース71内に配置された鉛直方向に延びる棒状の部材であり、円周方向に沿って配置された複数の分流路74A〜74Lと、複数の分流路74A〜74Lと複数の排出空間76A〜76Lとを連通させる複数の棒側面孔74a(連通路)と、が形成されており、分流器ケース71に流入した冷媒を複数の分流路74A〜74L及び複数の棒側面孔74aを通じて複数の排出空間76A〜76Lに送るようになっている。そして、ここでは、分流器ケース71に対する棒部材74の円周方向位置を位置決めするための棒位置決めバッフル74c(棒位置決め部材)が設けられている。具体的には、ここでは、棒部材74に、棒側係合部74gが形成されており、棒位置決めバッフル74cに、棒側係合部74gに係合する位置決め側係合部74fが形成されている。
このため、ここでは、分流器ケース71に対する棒部材74の円周方向位置が位置決めされることで、分流器ケース71に流入した冷媒が棒部材74の複数の分流路74A〜74Lに流入する際の偏流の傾向を考慮した設計を行うことができる。
これにより、ここでは、複数の分流路74A〜74Lを設計通りの円周方向位置に配置できるようになり、室外熱交換器23において所望の熱交換性能を得ることができる。
<B>
また、本実施形態の冷媒分流器70では、図16及び図17に示すように、棒位置決めバッフル74c(棒位置決め部材)に、棒部材74が貫通する棒貫通孔74dが形成されており、位置決め側係合部74fが、棒貫通孔74dの周縁から内周側に向かう凸形状又は棒貫通孔74dの周縁から外周側に向かう凹形状であり、棒側係合部74gが、棒部材74の側面に形成された凹形状又は凸形状である。
これにより、ここでは、棒部材74を棒位置決めバッフル74cの棒貫通孔74dに貫通させる作業と同時に、位置決め側係合部74fと棒側係合部74gとを係合させることができる。
<C>
さらに、本実施形態の冷媒分流器70では、図13に示すように、棒部材74の上端を覆う上下端側分流バッフル73(棒蓋部材)をさらに有しており、棒位置決めバッフル74c(棒位置決め部材)の上面が、上下端側分流バッフル73の下面に当接しており、棒位置決めバッフル74cの下面に、下方に向かう凸形状からなる誤組防止部74hが形成されている。
ここで、棒位置決めバッフル74cの上面と下面とを間違った状態で、棒部材74を棒位置決めバッフル74cの棒貫通孔74dに貫通させて、上下端側分流バッフル73で棒部材74の上端を覆うことができる場合を想定する。この場合には、図18に示すように、位置決め側係合部74fが所定の円周方向位置とは異なる円周方向位置に配置されてしまう。具体的には、本来は、図16に示すように、紙面手前左側に位置するはずの位置決め側係合部74fが、紙面奥右側に位置してしまう(図18参照)。そうすると、これに対応して、棒部材74の分流路74Lに形成された棒側係合部74gに係合して、棒側係合部74gも所定の円周方向位置とは異なる円周方向位置に配置されてしまい、その結果、棒部材74の複数の分流路74A〜74Lが設計通りの円周方向位置に配置できなくなってしまう(図18参照)。
これに対して、ここでは、図13及び図18に示すように、棒位置決めバッフル74cの下面に誤組防止部74hを形成しておき、棒位置決めバッフル74cの上面と下面とを間違った状態で、棒部材74を棒位置決めバッフル74cの棒貫通孔74dに貫通させた場合に、誤組防止部74hが上方に向かう凸形状になり、上下端側分流バッフル73と干渉して、上下端側分流バッフル73を棒部材74の上端を覆うことができなくなるようにしている。具体的には、棒位置決めバッフル74cの誤組防止部74hが上方に向かう凸形状になった状態では、誤組防止部74hが邪魔になって、上下端側分流バッフル73を差込スリット72aに差し込むことができなくなるようにしている。
これにより、ここでは、棒位置決めバッフル74cの上面と下面とを間違った状態で取り付けられること、すなわち、棒位置決めバッフル74cの誤組みを防止することができる。
(8)変形例
<A>
上記実施形態にかかる冷媒分流器70では、図16に示すように、最も上側に配置された分流路74L用の棒側面孔74a及び凹形状からなる棒側係合部74gが別部分として棒部材74に形成されているが、これに限定されるものではない。
例えば、図19に示すように、棒側係合部74gを鉛直方向に長い凹形状にしておき、棒位置決めバッフル74c(棒位置決め部材)の位置決め側係合部74fを、棒側係合部74gの上部だけに係合させて、棒側係合部74gの下部を棒側面孔74aとして機能させるようにしてもよい。
これにより、ここでは、棒側係合部74gを、位置決め側係合部74fを係合する部分としてだけでなく、分流路74L用の棒側面孔74aとしても兼用することができる。
<B>
上記実施形態にかかる冷媒分流器70では、図17に示すように、棒位置決めバッフル74c(棒位置決め部材)の位置決め側係合部74fが、棒貫通孔74dの周縁から内周側に向かう凸形状であり、棒部材74の棒側係合部74gが、棒部材74の側面に形成された凹形状であるが、これに限定されるものではない。
例えば、図20に示すように、棒位置決めバッフル74c(棒位置決め部材)の位置決め側係合部74fが、棒貫通孔74dの周縁から外周側に向かう凹形状であり、棒部材74の棒側係合部74gが、棒部材74の側面に形成された凸形状であってもよい。
<C>
上記実施形態にかかる冷媒分流器70では、図16に示すように、棒位置決めバッフル74c(棒位置決め部材)が、分流器ケース71に対する棒部材74の円周方向位置を位置決めする機能だけを有しており、棒部材74の上端は上下端側分流バッフル73(棒蓋部材)が覆っている。
しかし、これに限定されるものではなく、例えば、図21に示すように、棒位置決めバッフル74c(棒位置決め部材)が、棒部材74の上端を覆っており、位置決め側係合部74fが、棒位置決めバッフル74cの下面から上方に向かう凹形状であり、棒側係合部74gが、棒部材74の上端に形成された凸形状であってもよい。尚、図21とは逆に、位置決め側係合部74fが棒位置決めバッフル74cの下面から下方に向かう凸形状であり、棒側係合部74gが棒部材74の上端に形成された凹形状であってもよい。
これにより、ここでは、棒位置決めバッフル74cが、分流器ケース71に対する棒部材74の円周方向位置を位置決めするだけでなく、棒部材74の上端を覆う棒蓋部材の機能も果たすことができる。
<D>
上記実施形態にかかる冷媒分流器70では、棒部材74が円周方向に沿って配置される複数の分流路74A〜74Lが一体成形された鉛直方向に延びる棒状の部材であるが、これに限定されるものではない。例えば、図22や図23に示すように、複数の分流路74A〜74Lを形成する複数(ここでは、12本)の細管部材741A〜741Lを円周方向に沿って束ねることによって棒部材74を構成してもよい。複数の細管部材741A〜741Lの側面には、ここでは図示しないが、上記実施形態と同様に、複数の棒側面孔74aが形成されており、複数の棒側面孔74aによって複数の排出空間76A〜76Lと複数の分流路74A〜74Lとが連通している。尚、複数の細管部材741A〜741Lに囲まれる部分には、図22に示すように、中心棒742を設けるようにして、この中心棒742の下端を被入口部74bにしてもよい。また、中心棒体742ではなく、図23に示すように、複数の細管部材741A〜741Lの下端に複数の細管部材741A〜741Lが貫通可能な仕切体743を設けるようにして、この仕切体743の中央部分を被入口部74bにしてもよい。
<E>
上記の実施形態にかかる冷媒分流器70では、棒部材74が円周方向に沿って配置される複数の分流路74A〜74Lが一体成形された鉛直方向に延びる棒状の部材であるが、これに限定されるものではない。例えば、図24や図25に示すように、筒状の外棒部材744と外棒部材744の内周側に配置される内棒部材745とによって棒部材74を構成してもよい。ここでは、外棒部材744の内周面又は内棒部材745の外周面の少なくとも一方に、棒部材74の長手方向に延びる複数(ここでは、12個)の溝744a、745aを形成して、複数の溝744a、745aと外棒部材744の内周面又は内棒部材745の外周面とで囲まれる空間によって複数の分流路74A〜74Lを形成するようにしている。外棒部材744の側面には、ここでは図示しないが、上記実施形態と同様に、複数の棒側面孔74aが形成されており、複数の棒側面孔74aによって複数の排出空間76A〜76Lと複数の分流路74A〜74Lとが連通している。尚、ここでは、内棒部材745の下端の中央部分が被入口部74bになる。
<F>
上記実施形態にかかる冷媒分流器70を採用した室外熱交換器23では、扁平管からなる伝熱管63が平面視1列だけ鉛直方向に沿って複数段配置された構成を例に挙げて説明しているが、これに限定されるものではない。例えば、図26に示すように、平面視2列の伝熱管63が鉛直方向に沿って複数段配置された構成であってもよい。この場合には、伝熱管63の長手方向の他端(左端)が長手方向の一端(右端)に向かって折り返すことになるため、冷媒分流器70及び出入口ヘッダ80だけでなく、中間ヘッダ90も伝熱管63の他端(右端)側に設けられることになる。
本発明は、複数の排出空間が形成された分流器ケース内に、円周方向に沿って配置された複数の分流路が形成された棒部材が配置されており、分流器ケースに流入した冷媒を複数の分流路を通じて複数の排出空間に送る冷媒分流器に対して、広く適用可能である。
70 冷媒分流器
71 分流器ケース
73 上下端側分流バッフル(棒蓋部材)
74 棒部材
74a 連通路(棒側面孔)
74c 棒位置決め部材
74d 棒貫通孔
74f 位置決め側係合部
74g 棒側係合部
74h 誤組防止部
74A〜74L 分流路
76A〜76L 排出空間
特開平4−316785号公報

Claims (5)

  1. 冷媒を分流して下流側に送るための冷媒分流器であって、
    鉛直方向に延びる中空のケースであり、内部に鉛直方向に沿って配置される複数の排出空間(76A〜76L)が形成されており、前記複数の排出空間の下方から前記冷媒が流入する分流器ケース(71)と、
    前記分流器ケース内に配置された鉛直方向に延びる棒状の部材であり、円周方向に沿って配置された複数の分流路(74A〜74L)と、前記複数の分流路と前記複数の排出空間とを連通させる複数の連通路(74a)と、が形成されており、前記分流器ケースに流入した前記冷媒を前記複数の分流路及び前記複数の連通路を通じて前記複数の排出空間に送る棒部材(74)と、
    を備えており、
    前記分流器ケースに対する前記棒部材の円周方向位置を位置決めするための棒位置決め部材(74c)が設けられている、
    冷媒分流器(70)。
  2. 前記棒部材(74)には、棒側係合部(74g)が形成されており、
    前記棒位置決め部材(74c)には、前記棒側係合部に係合する位置決め側係合部(74f)が形成されている、
    請求項1に記載の冷媒分流器(70)。
  3. 前記棒位置決め部材(74c)には、前記棒部材(74)が貫通する棒貫通孔(74d)が形成されており、
    前記位置決め側係合部(74f)は、前記棒貫通孔の周縁から内周側に向かう凸形状又は前記棒貫通孔の周縁から外周側に向かう凹形状であり、
    前記棒側係合部(74g)は、前記棒部材の側面に形成された凹形状又は凸形状である、
    請求項2に記載の冷媒分流器(70)。
  4. 前記棒部材(74)の上端を覆う棒蓋部材(73)をさらに備えており、
    前記棒位置決め部材(74c)の上面は、前記棒蓋部材の下面に当接しており、
    前記棒位置決め部材の下面には、下方に向かう凸形状からなる誤組防止部(74h)が形成されている、
    請求項3に記載の冷媒分流器(70)。
  5. 前記棒位置決め部材(74c)は、前記棒部材(74)の上端を覆っており、
    前記位置決め側係合部(74f)は、前記棒位置決め部材の下面から下方に向かう凸形状又は前記棒位置決め部材の下面から上方に向かう凹形状であり、
    前記棒側係合部(74g)は、前記棒部材の上端に形成された凹形状又は凸形状である、
    請求項2に記載の冷媒分流器(70)。
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