以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物、あるいはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。
《発明の実施形態》
実施形態は、冷媒分流器(70)を空気調和装置(1)の熱交換ユニット(U)に適用したものである。
〈空気調和装置の基本構成〉
図1は、本発明に係る冷媒分流器(70)を有する空気調和装置(1)の概略構成図である。この空気調和装置(1)は本発明の冷凍装置(庫内の冷凍冷蔵や室内の空調を行う広義の冷凍装置)の一例である。
空気調和装置(1)は、蒸気圧縮式の冷凍サイクルを行うことによって、建物等の室内の冷房及び暖房を行うことが可能な装置である。空気調和装置(1)は、主として、室外ユニット(2)と、室内ユニット(4)とが接続されることによって構成されている。ここで、室外ユニット(2)と室内ユニット(4)とは、液冷媒連絡管(5)及びガス冷媒連絡管(6)を介して接続されている。すなわち、空気調和装置(1)の蒸気圧縮式の冷媒回路(10)は、室外ユニット(2)と、室内ユニット(4)とが冷媒連絡管(5,6)を介して接続されることによって構成されている。
〔室内ユニット〕
室内ユニット(4)は、室内に設置されており、冷媒回路(10)の一部を構成している。室内ユニット(4)は、主として、室内熱交換器(第2熱交換器)(41)を有している。
室内熱交換器(41)は、冷房運転時には冷媒の蒸発器として機能して室内空気を冷却し、暖房運転時には冷媒の放熱器として機能して室内空気を加熱する熱交換器である。室内熱交換器(41)の液側は液冷媒連絡管(5)に接続されており、室内熱交換器(41)のガス側はガス冷媒連絡管(6)に接続されている。
室内ユニット(4)は、室内ユニット(4)内に室内空気を吸入して、室内熱交換器(41)において冷媒と熱交換させた後に、供給空気として室内に供給するための室内ファン(42)を有している。すなわち、室内ユニット(4)は、室内熱交換器(41)を流れる冷媒の加熱源又は冷却源としての室内空気を室内熱交換器(41)に供給するファンとして、室内ファン(42)を有している。ここでは、室内ファン(42)として、室内ファン用モータ(42a)によって駆動される遠心ファンや多翼ファン等が使用されている。
〔室外ユニット〕
室外ユニット(2)は、室外に設置されており、冷媒回路(10)の一部を構成している。室外ユニット(2)は、主として、圧縮機(21)と、四路切換弁(22)と、室外熱交換器(第1熱交換器)(23)と、膨張弁(膨張機構)(24)と、液側閉鎖弁(25)と、ガス側閉鎖弁(26)とを有している。
圧縮機(21)は、冷凍サイクルの低圧の冷媒を高圧になるまで圧縮する機器である。圧縮機(21)は、ロータリ式やスクロール式等の容積式の圧縮要素(図示せず)を圧縮機用モータ(21a)によって回転駆動する密閉式構造となっている。圧縮機(21)は、吸入側に吸入管(31)が接続されており、吐出側に吐出管(32)が接続されている。吸入管(31)は、圧縮機(21)の吸入側と四路切換弁(22)とを接続する冷媒管である。吐出管(32)は、圧縮機(21)の吐出側と四路切換弁(22)とを接続する冷媒管である。
四路切換弁(22)は、冷媒回路(10)における冷媒の流れの方向を切り換えるための切換弁である。四路切換弁(22)は、冷房運転時には、室外熱交換器(23)を圧縮機(21)において圧縮された冷媒の放熱器として機能させ、かつ、室内熱交換器(41)を室外熱交換器(23)において放熱した冷媒の蒸発器として機能させる冷房サイクル状態への切り換えを行う。すなわち、四路切換弁(22)は、冷房運転時には、圧縮機(21)の吐出側(ここでは、吐出管(32))と室外熱交換器(23)のガス側(ここでは、第1ガス冷媒管(33))とが接続される(図1の四路切換弁(22)の実線を参照)。また、このとき、圧縮機(21)の吸入側(ここでは、吸入管(31))とガス冷媒連絡管(6)側(ここでは、第2ガス冷媒管(34))とが接続される(図1の四路切換弁(22)の実線を参照)。
四路切換弁(22)は、暖房運転時には、室外熱交換器(23)を室内熱交換器(41)において放熱した冷媒の蒸発器として機能させ、かつ、室内熱交換器(41)を圧縮機(21)において圧縮された冷媒の放熱器として機能させる暖房サイクル状態への切り換えを行う。すなわち、四路切換弁(22)は、暖房運転時には、圧縮機(21)の吐出側(ここでは、吐出管(32))とガス冷媒連絡管(6)側(ここでは、第2ガス冷媒管(34))とが接続される(図1の四路切換弁(22)の破線を参照)。また、このとき、圧縮機(21)の吸入側(ここでは、吸入管(31))と室外熱交換器(23)のガス側(ここでは、第1ガス冷媒管(33))とが接続される(図1の四路切換弁(22)の破線を参照)。ここで、第1ガス冷媒管(33)は、四路切換弁(22)と室外熱交換器(23)のガス側とを接続する冷媒管である。第2ガス冷媒管(34)は、四路切換弁(22)とガス側閉鎖弁(26)とを接続する冷媒管である。
室外熱交換器(23)は、冷房運転時には室外空気を冷却源とする冷媒の放熱器(冷媒放熱器)として機能し、暖房運転時には室外空気を加熱源とする冷媒の蒸発器(冷媒蒸発器)として機能する熱交換器である。室外熱交換器(23)は、液側が液冷媒管(35)に接続されており、ガス側が第1ガス冷媒管(33)に接続されている。液冷媒管(35)は、室外熱交換器(23)の液側と液冷媒連絡管(5)側とを接続する冷媒管である。
膨張弁(24)は、冷房運転時には、室外熱交換器(23)において放熱した冷凍サイクルの高圧の冷媒を冷凍サイクルの低圧まで減圧する弁である。また、膨張弁(24)は、暖房運転時には、室内熱交換器(41)において放熱した冷凍サイクルの高圧の冷媒を冷凍サイクルの低圧まで減圧する弁である。膨張弁(24)は、液冷媒管(35)の液側閉鎖弁(25)寄りの部分に設けられている。ここでは、膨張弁(24)として、電動膨張弁が使用されている。
液側閉鎖弁(25)及びガス側閉鎖弁(26)は、外部の機器・配管(具体的には、液冷媒連絡管(5)及びガス冷媒連絡管(6))との接続口に設けられた弁である。液側閉鎖弁(25)は、液冷媒管(35)の端部に設けられている。ガス側閉鎖弁(26)は、第2ガス冷媒管(34)の端部に設けられている。
室外ユニット(2)は、室外ユニット(2)内に室外空気を吸入して、室外熱交換器(23)において冷媒と熱交換させた後に、外部に排出するための室外ファン(36)を有している。すなわち、室外ユニット(2)は、室外熱交換器(23)を流れる冷媒の冷却源又は加熱源としての室外空気を室外熱交換器(23)に供給するファンとして、室外ファン(36)を有している。ここでは、室外ファン(36)として、室外ファン用モータ(36a)によって駆動されるプロペラファン等が使用されている。
〔冷媒連絡管〕
冷媒連絡管(5,6)は、空気調和装置(1)を建物等の設置場所に設置する際に、現地にて施工される冷媒管であり、設置場所や室外ユニット(2)と室内ユニット(4)との組み合わせ等の設置条件に応じて種々の長さや管径を有するものが使用される。
〈室外熱交換器の基本構成〉
次に、室外熱交換器(23)の構成について図1〜図5を参照しながら説明する。ここで、図2は、熱交換ユニット(U)(室外熱交換器(23))の概略斜視図、図3は、図2の熱交換部(60)の部分拡大図である。図4は、伝熱フィン(64)として波形フィンを採用した場合の図3に対応する図である。図5は、室外熱交換器(23)の概略構成図である。なお、以下の説明においては、方向や面を表す文言は、特にことわりのない限り、室外熱交換器(23)が室外ユニット(2)のケーシング(図示せず)に設置された状態を基準とした方向や面を意味する。
室外熱交換器(23)は、平面視略L字形状の熱交換器パネルである。室外熱交換器(23)は、主として、室外空気と冷媒との熱交換を行う熱交換部(60)と、熱交換部(60)の一端側に設けられた出入口ヘッダ(80)(第1ヘッダ集合管)と、熱交換部(60)の他端側に設けられた中間ヘッダ(90)(第2ヘッダ集合管)とを有している。室外熱交換器(23)は、出入口ヘッダ(80)、中間ヘッダ(90)、及び熱交換部(60)のすべてが、アルミニウムまたはアルミニウム合金で形成された熱交換器を構成する。
熱交換部(60)は、室外熱交換器(23)の上部を構成する複数(ここでは、12個)のメイン熱交換部(61A〜61L)と、室外熱交換器(23)の下部を構成する複数(ここでは、12個)のサブ熱交換部(62A〜62L)とを有している。メイン熱交換部(61A〜61L)においては、最上段にメイン熱交換部(61A)が配置されており、その下段側から上側に向かって順にメイン熱交換部(61B〜61L)が配置されている。サブ熱交換部(62A〜62L)においては、最下段にサブ熱交換部(62A)が配置されており、その上段側から下側に向かって順にサブ熱交換部(62B〜62L)が配置されている。
熱交換部(60)は、扁平管からなる多数の伝熱管(63)と、いわゆる差込フィンからなる多数の伝熱フィン(64)とにより構成された、いわゆる差込フィン式の熱交換器である。伝熱管(63)は、アルミニウムまたはアルミニウム合金で形成されており、伝熱面となる鉛直方向を向く平面部(63a)と、冷媒が流れる多数の小さな内部流路(63b)を有する扁平多穴管である。多数の伝熱管(63)は、鉛直方向に沿って間隔をあけて複数段配置されている。伝熱管(63)の一端が出入口ヘッダ(80)に接続され、伝熱管(63)の他端が中間ヘッダ(90)に接続されている。伝熱フィン(64)は、アルミニウムまたはアルミニウム合金で形成されている。伝熱フィン(64)の片方の側縁部には、出入口ヘッダ(80)と中間ヘッダ(90)との間に配置された多数の伝熱管(63)に差し込めるように、水平に細長く延びる多数の切り欠き(64a)が形成されている。伝熱フィン(64)の切り欠き(64a)の形状は、伝熱管(63)の断面の外形にほぼ一致している。
多数の伝熱管(63)は、メイン熱交換部(61A〜61L)及びサブ熱交換部(62A〜62L)に区分されている。多数の伝熱管(63)のうち、室外熱交換器(23)の最上段から下側に向かう所定数(3〜8本程度)毎の伝熱管(63)群が、メイン熱交換部(61A〜61L)をそれぞれ構成している。多数の伝熱管(63)のうち、室外熱交換器(23)の最下段から上側に向かう所定数(1〜3本程度)毎の伝熱管(63)群が、サブ熱交換部(62A〜62L)をそれぞれ構成している。
なお、室外熱交換器(23)は、上記のような伝熱フィン(64)として差込フィン(図3参照)を採用した差込フィン式の熱交換器に限定されるものではなく、伝熱フィン(64)として多数の波形フィン(図4参照)を採用した波形フィン式の熱交換器であってもよい。
〔中間ヘッダの構成〕
中間ヘッダ(90)の構成について図5を参照しながら説明する。なお、以下の説明においては、方向や面を表す文言は、特にことわりのない限り、中間ヘッダ(90)を含む室外熱交換器(23)が室外ユニット(2)に設置された状態を基準とした方向や面を意味する。
中間ヘッダ(90)は、アルミニウムまたはアルミニウム合金で形成された鉛直方向に延びる筒状の部材であり、縦長中空の中間ヘッダケース(91)を有している。
中間ヘッダケース(91)は、その内部空間が、複数(ここでは、11個)のメイン側中間バッフル(92)、複数(ここでは、11個)のサブ中間バッフル(93)、境界側中間バッフル(94)によって、鉛直方向に沿って仕切られている。複数のメイン側中間バッフル(92)は、中間ヘッダケース(91)の上部の内部空間をメイン熱交換部(61A〜61K)の他端に連通するメイン側中間空間(95A〜95K)に仕切るように、鉛直方向に沿って順に設けられている。サブ中間バッフル(93)は、中間ヘッダケース(91)の下部の内部空間をサブ熱交換部(62A〜62K)の他端に連通するサブ側中間空間(96A〜96K)に仕切るように、鉛直方向に沿って順に設けられている。境界側中間バッフル(94)は、中間ヘッダケース(91)の最下段側のメイン側中間バッフル(92)と最上段側のサブ中間バッフル(93)との鉛直方向間の内部空間をメイン熱交換部(61L)の他端に連通するメイン側中間空間(95L)とサブ熱交換部(62L)の他端に連通するサブ側中間空間(96L)に仕切るように設けられている。
中間ヘッダケース(91)には、複数(ここでは、11本)の中間連絡管(97A〜97K)が接続されている。中間連絡管(97A〜97K)は、メイン側中間空間(95A〜95K)とサブ側中間空間(96A〜96K)とを連通する冷媒管である。これにより、メイン熱交換部(61A〜61K)とサブ熱交換部(62A〜62K)とが中間ヘッダ(90)及び中間連絡管(97A〜97K)を介して連通することになり、室外熱交換器(23)の冷媒パス(65A〜65K)が形成されている。また、境界側中間バッフル(94)には、メイン側中間空間(95L)とサブ側中間空間(96L)とを連通させる中間バッフル連通孔(94a)が形成されている。これにより、メイン熱交換部(61L)とサブ熱交換部(62L)とが中間ヘッダ(90)及び中間バッフル連通孔(94a)を介して連通することになり、室外熱交換器(23)の冷媒パス(65L)が形成されている。このように、室外熱交換器(23)は、多パス(ここでは、12パス)の冷媒パス(65A〜65L)に区分された構成を有している。
〔出入口ヘッダの構成〕
出入口ヘッダ(80)の構成について図5及び図6を参照しながら説明する。なお、以下の説明においては、方向や面を表す文言は、特にことわりのない限り、出入口ヘッダ(80)を含む室外熱交換器(23)が室外ユニット(2)に設置された状態を基準とした方向や面を意味する。
出入口ヘッダ(80)は、アルミニウムまたはアルミニウム合金で形成された鉛直方向に延びる部材であり、縦長中空の出入口ヘッダケース(81)を有している。出入口ヘッダケース(81)は、上端及び下端が開口した円筒形状の出入口ヘッダ筒状体(82)を有しており、2つの閉塞バッフル(83)によって上端及び下端の開口が閉じられている。出入口ヘッダケース(81)は、その内部空間が、境界バッフル(84)によって、上部の出入口空間(85)と下部の供給空間(86A〜86L)とに鉛直方向に沿って仕切られている。境界バッフル(84)は、詳細は後述する本発明の仕切部を構成している。つまり、境界バッフル(84)は、ヘッダ集合管である出入口ヘッダ(80)に形成されるスリット(S)の内部に挿通される。スリット(S)は、出入口ヘッダ(80)の全周のうち外側寄りの略半分の領域に形成される、略円弧状の切り欠き部で構成される。境界バッフル(84)は、出入口ヘッダ(80)の内部を、供給空間(86A〜86L))と出入口空間(85)とに仕切っている。供給空間(86A〜86L)は、伝熱管(63)に流入する前の冷媒(流体)が流れる第1空間を構成する。出入口空間(85)は、伝熱管(63)を流れた後の冷媒(流体)が流れる第2空間を構成する。
出入口空間(85)は、メイン熱交換部(61A〜61L)の一端に連通する空間であり、冷媒パス(65A〜65L)を通過した冷媒を出口で合流させる空間として機能している。このように、出入口空間(85)を有する出入口ヘッダ(80)の上部が、冷媒パス(65A〜65L)を通過した冷媒を出口で合流させる冷媒出口部として機能している。
出入口ヘッダ(80)は、第1ガス冷媒管(33)に接続して出入口空間(85)に連通している。供給空間(86A〜86L)は、複数(ここでは、11個)の供給側出入口バッフル(87)によって仕切られたサブ熱交換部(62A〜62L)の一端に連通する複数(ここでは、12個)の空間であり、冷媒パス(65A〜65L)に冷媒を流出させる空間として機能している。このように、複数の供給空間(86A〜86L)を有する出入口ヘッダ(80)の下部が、複数の冷媒パス(65A〜65L)に区分して冷媒を流出させる冷媒供給部(86)として機能している。
〈冷媒分流器〉
冷媒分流器(70)の構成について、図5〜図7を参照しながら詳細に説明する。
冷媒分流器(70)は、液冷媒管(35)を通じて流入する冷媒を分流して下流側(ここでは、複数の伝熱管(63))に流出させる冷媒通過部品である。冷媒分流器(70)は、室外熱交換器(23)の一端側に設けられており、出入口ヘッダ(80)の冷媒供給部(86)を介して伝熱管(63)の一端が接続されている。冷媒分流器(70)は、アルミニウムまたはアルミニウム合金で形成されている。冷媒分流器(70)は、室外熱交換器(23)と一体化されることで、熱交換ユニット(U)を構成する。
冷媒分流器(70)は、縦長の中空状の分流器本体(71)を有している。分流器本体(71)は、上端及び下端が開口した円筒形状の胴部(72)を有している。胴部(72)には、該胴部(72)の軸方向(鉛直方向)に沿って複数の差込スリット(72a,72b,72c)が形成される。各差込スリット(72a,72b,72c)には、それぞれ複数のバッフル(73,77,77a)が挿通される。なお、分流器本体(71)は、円筒形状に限定されず、例えば、四角筒形状等の多角筒形状であってもよい。
複数の差込スリット(72a,72b,72c)は、2つの端部側スリット(72a,72a)と、1つのノズル側スリット(72c)と、多数の中間スリット(72b)とで構成される。端部側スリット(72a,72a)は、胴部(72)の上端及び下端にそれぞれ形成される。ノズル側スリット(72c)は、複数の差込スリット(72a,72b,72c)のうち下側の端部側スリット(72a)に最も近い差込スリット(72c)を構成する。多数の中間スリット(72b)は、上側の端部側スリット(72a)とノズル側スリット(72c)の間に形成される。
複数のバッフル(73,77,77a)は、2枚の端部側バッフル(73,73)と、多数の中間バッフル(77)とで構成される。各端部側バッフル(73,73)は、円形板状に形成され、各端部側スリット(72a,72a)にそれぞれ挿通される。各端部側バッフル(73,73)は、分流器本体(71)の胴部(72)の上下の開口をそれぞれ閉塞している。
中間バッフル(77)は、ノズル側スリット(72c)及び各中間スリット(72b)に1枚ずつ挿通される。ノズル側スリット(72c)には、中間バッフル(77)の下側にノズル部材(79)が挿通される。ノズル側バッフル(77a)及び中間スリット(72b)は、中央に略円形状の挿通穴(77b)が形成された円環板状の部材である。多数の中間スリット(72b)には、各々の挿通穴(77b)を貫通するように棒状の分流部材(74)が挿通される。
分流器本体(71)の内部には、1つの下部空間(78)と、多数の中継空間(76A〜76L)とが形成される。下部空間(78)は、下側の端部側バッフル(73)とノズル部材(79)の間に区画される。下部空間(78)には、液冷媒管(35)の開口端が連通している。多数の中継空間(76A〜76L)は、分流部材(74)と、上下に隣り合う各中間バッフル(77)との間にそれぞれ形成される。つまり、多数の中継空間(76A〜76L)は、分流部材(74)の周囲に形成される略円筒柱状の空間である。
分流部材(74)は、鉛直方向に延びる棒状の部材である。分流部材(74)は、アルミニウム又はアルミニウム合金で構成される。分流部材(74)には、該分流部材(74)の周方向に配列される複数(ここでは、12個)の分流路(74A〜74L)が形成される。これらの分流路(74A〜74L)は、例えば分流部材(74)を該分流部材(74)の長手方向に押出成形することで形成される。分流部材(74)では、複数の分流路(74A〜74L)に囲まれた部分が中実となっている。
分流部材(74)の上端は、上側の端部側バッフル(73)の下面と接触する。複数の分流路(74A〜74L)の上端の開口は、上側の端部側バッフル(73)により実質的に閉塞される。分流部材(74)の下端は、ノズル部材(79)の上面と接触する。複数の分流路(74A〜74L)の下端の開口は、ノズル部材(79)に形成される1つの分流空間(75)と連通する。
分流部材(74)の外周面には、多数(ここでは、12個)の側面孔(74a)が形成される。各側面孔(74a)は、分流部材(74)の下側から上側に向かうにつれて徐々に周方向にずれるように、螺旋状に配列されている。各側面孔(74a)は、該各側面孔(74a)に1つずつ対応する各中継空間(76A〜76L)と連通している。つまり、各側面孔(74a)は、それぞれ対応する中継空間(76A〜76L)のみと連通し、対応しない他の中継空間(76A〜76L)とは連通しない。
ノズル部材(79)は、最も下側の中間バッフル(77)とともに、ノズル側スリット(72c)に差し込まれる。つまり、ノズル部材(79)は、中間バッフル(77)の下側に積層された状態で分流器本体(71)に保持される。ノズル部材(79)は、アルミニウムまたはアルミニウム合金で構成される。ノズル部材(79)は、円板状の板部材であり、径方向の中央部分に円形のノズル孔(70c)が形成されている。ノズル部材(79)の上面には、凹部(70b)が形成されている。凹部(70b)の内部の内径は、ノズル孔(70c)の内径よりも大きい。凹部(70b)の内部には、円柱状の分流空間(75)が形成される。分流空間(75)の下端は、ノズル孔(70c)と連通している。分流空間(75)の上端は、各分流路(74A〜74L)と連通している。
冷媒分流器(70)は、分流器本体(71)の各中継空間(76A〜76L)と、出入口ヘッダ(80)の各供給空間(86A〜86L)とをそれぞれ1つずつ連通させる複数の分流管(88)を有している。図6の例では、分流器本体(71)と出入口ヘッダ(80)との間に12本の分流管(88A〜88L)が接続される。
〈仕切部の詳細な構成〉
仕切部である境界バッフル(84)の構成について、図8〜図14を参照しながら詳細に説明する。
境界バッフル(84)は、板状の第1板部(110)と、板状の第2板部(120)とにより構成される。第1板部(110)と第2板部(120)とは、アルミニウム又はアルミニウム合金製である。本実施形態の第1板部(110)と第2板部(120)とは、上下に逆方向に配置される点を除き、同じ構成である。従って、第1板部(110)と第2板部(120)とを同一の成型機により成形できる。第1板部(110)と第2板部(120)とは、各々の厚さ方向に積層された状態でスリット(S)に差し込まれる。第1板部(110)は、スリット(S)の厚さ方向(上下方向)の一端側(上側)に配置され、第2板部(120)は、スリット(S)の厚さ方向(上下方向)の他端側(下側)に配置される。
〔第1板部〕
第1板部(110)は、略円板状の第1円板部(111)と、第1円板部(111)の下面(111c)に形成される第1中央突起部(112)と、第1中央突起部(112)を挟んで両側に形成される一対の第1側方突起部(113)とを有している。
第1円板部(111)は、第1大径部(111a)と第1小径部(111b)とを有する。第1大径部(111a)は、第1円板部(111)の差込方向の手前側の略半分に形成される略半円形の板部である。第1大径部(111a)の半径は、出入口ヘッダ(80)の外周面の半径と概ね等しい。第1小径部(111b)は、第1円板部(111)の差込方向の奥側の略半分に形成される略半円形の板部である。第1小径部(111b)の半径は、出入口ヘッダ(80)の内周面の半径と概ね等しい。第1大径部(111a)は、その幅方向(扁平管(63)の幅方向)の両端部が第1小径部(111b)から突出している。この2つの突出部分は、第1板部(110)をスリット(S)の奥側まで差し込んだ状態において、スリット(S)の開口縁部と接触する接触部を構成する。
第1中央突起部(112)は、第1円板部(111)の下面(111c)において、第1板部(110)の幅方向(扁平管(63)の幅方向)の中間部に形成される。第1中央突起部(112)は、縦断面が下方に突出する略台形状に形成される。第1中央突起部(112)は、出入口ヘッダ(80)の軸方向(上下方向)に直角な方向に延びる細長状に形成される。第1中央突起部(112)は、第1円板部(111)の前後方向(第1円板部(111)における差込方向)の手前側の端部から、第1円板部(111)の略中間部に亘って形成される。つまり、第1中央突起部(112)は、第1円板部(111)の差込方向に延びている。
一対の第1側方突起部(113)は、第1円板部(111)の第1大径部(111a)の下面(111c)において、第1板部(110)の幅方向の両端部にそれぞれ形成される。第1側方突起部(113)は、幅方向外方に向かうにつれて徐々に突出高さが大きくなるような形状をしている。第1側方突起部(113)は、出入口ヘッダ(80)の軸方向(上下方向)に直角な方向に延びる細長状に形成される。第1側方突起部(113)は、第1円板部(111)の手前側寄りの端部から、第1円板部(111)の差込方向の略中間部に亘って延びている。第1側方突起部(113)の後端部(113a)は、第1板部(110)をスリット(S)の奥側まで差し込んだ状態において、スリット(S)の開口縁部と接触する接触部を構成する。
第1板部(110)では、第1円板部(111)の外周縁部、及び一対の第1側方突起部(113)の表面に出入口ヘッダ(80)に対する接合面(114)が形成される。
〔第2板部〕
第2板部(120)は、円板状の第2円板部(121)と、第2円板部(121)の上面(121c)に形成される第2中央突起部(122)と、第2中央突起部(122)を挟んで両側に形成される一対の第2側方突起部(123)とを有している。
第2円板部(121)は、第2大径部(121a)と第2小径部(121b)とを有する。第2大径部(121a)は、第2円板部(121)の差込方向の手前側の略半分に形成される略半円形の板部である。第2大径部(121a)の半径は、出入口ヘッダ(80)の外周面の半径と概ね等しい。第2小径部(121b)は、第2円板部(121)の差込方向の奥側の略半分に形成される略半円形の板部である。第2小径部(121b)の半径は、出入口ヘッダ(80)の内周面の半径と概ね等しい。第2大径部(121a)は、その幅方向(扁平管(63)の幅方向)の両端部が第2小径部(121b)から突出している。この2つの突出部分は、第2板部(120)をスリット(S)の奥側まで差し込んだ状態において、スリット(S)の開口縁部と接触する接触部を構成する。
第2中央突起部(122)は、第2円板部(121)の上面(121c)において、第2板部(120)の幅方向(扁平管(63)の幅方向)の中間部に形成される。第2中央突起部(122)は、縦断面が上方に突出する略台形状に形成される。第2中央突起部(122)は、出入口ヘッダ(80)の軸方向(上下方向)に直角な方向に延びる細長状に形成される。第2中央突起部(122)は、第2円板部(121)の前後方向(第2円板部(121)における差込方向)の手前側の端部から、第2円板部(121)の略中間部に亘って形成される。つまり、第2中央突起部(122)は、第2円板部(121)の差込方向に延びている。
一対の第2側方突起部(123)は、第2円板部(121)の第2大径部(121a)の上面(121c)において、第2板部(120)の幅方向の両端部にそれぞれ形成される。第2側方突起部(123)は、幅方向外方に向かうにつれて徐々に突出高さが大きくなるような形状をしている。第2側方突起部(123)は、出入口ヘッダ(80)の軸方向(上下方向)に直角な方向に延びる細長状に形成される。第2側方突起部(123)は、第2円板部(121)の手前側寄りの端部から、第2円板部(121)の差込方向の略中間部に亘って延びている。第2側方突起部(123)の後端部(123a)は、第2板部(120)をスリット(S)の奥側まで差し込んだ状態において、スリット(S)の開口縁部と接触する接触部を構成する。
第2板部(120)では、第2円板部(121)の外周縁部、及び一対の第2側方突起部(123)の表面に出入口ヘッダ(80)に対する接合面(124)が形成される。
図13及び図14に示すように、境界バッフル(84)は、第1板部(110)の各突起部(112,113)の先端(突端)と、第2板部(120)の各突起部(122,123)の先端(突端)とが互いに対向して接触するように構成される。この状態の境界バッフル(84)がスリット(S)に挿通され、出入口ヘッダ(80)の内周面(80a)に接合される。この境界バッフル(84)では、第1板部(110)と第2板部(120)との間に、流体の漏洩を検知するための漏洩検知用の空間(漏洩検知空間(130))が形成される。
〈運転動作〉
次に、空気調和装置(1)の基本動作について図1を参照しながら説明する。空気調和装置(1)は、基本動作として、冷房運転及び暖房運転を行うことが可能である。
〔冷房運転〕
冷房運転時には、四路切換弁(22)が冷房サイクル状態(図1の実線で示される状態)に切り換えられる。冷媒回路(10)において、冷凍サイクルの低圧のガス冷媒は、圧縮機(21)に吸入され、冷凍サイクルの高圧になるまで圧縮された後に吐出される。
圧縮機(21)から吐出された高圧のガス冷媒は、四路切換弁(22)を通じて、室外熱交換器(23)に送られる。室外熱交換器(23)に送られた高圧のガス冷媒は、冷媒放熱器として機能する室外熱交換器(23)において、室外ファン(36)によって冷却源として供給される室外空気と熱交換を行って放熱して、高圧の液冷媒になる。
室外熱交換器(23)において放熱した高圧の液冷媒は、膨張弁(24)に送られる。膨張弁(24)に送られた高圧の液冷媒は、膨張弁(24)によって冷凍サイクルの低圧まで減圧されて、低圧の気液二相状態の冷媒になる。膨張弁(24)で減圧された低圧の気液二相状態の冷媒は、液側閉鎖弁(25)及び液冷媒連絡管(5)を通じて、室内熱交換器(41)に送られる。
室内熱交換器(41)に送られた低圧の気液二相状態の冷媒は、室内熱交換器(41)において、室内ファン(42)によって加熱源として供給される室内空気と熱交換を行って蒸発する。これにより、室内空気は冷却され、その後に、室内に供給されることで室内の冷房が行われる。
室内熱交換器(41)において蒸発した低圧のガス冷媒は、ガス冷媒連絡管(6)、ガス側閉鎖弁(26)及び四路切換弁(22)を通じて、再び、圧縮機(21)に吸入される。
〔暖房運転〕
暖房運転時には、四路切換弁(22)が暖房サイクル状態(図1の破線で示される状態)に切り換えられる。冷媒回路(10)において、冷凍サイクルの低圧のガス冷媒は、圧縮機(21)に吸入され、冷凍サイクルの高圧になるまで圧縮された後に吐出される。
圧縮機(21)から吐出された高圧のガス冷媒は、四路切換弁(22)、ガス側閉鎖弁(26)及びガス冷媒連絡管(6)を通じて、室内熱交換器(41)に送られる。室内熱交換器(41)に送られた高圧のガス冷媒は、室内熱交換器(41)において、室内ファン(42)によって冷却源として供給される室内空気と熱交換を行って放熱して、高圧の液冷媒になる。これにより、室内空気は加熱され、その後に、室内に供給されることで室内の暖房が行われる。
室内熱交換器(41)で放熱した高圧の液冷媒は、液冷媒連絡管(5)及び液側閉鎖弁(25)を通じて、膨張弁(24)に送られる。膨張弁(24)に送られた高圧の液冷媒は、膨張弁(24)によって冷凍サイクルの低圧まで減圧されて、低圧の気液二相状態の冷媒になる。膨張弁(24)で減圧された低圧の気液二相状態の冷媒は、室外熱交換器(23)に送られる。
室外熱交換器(23)に送られた低圧の気液二相状態の冷媒は、冷媒蒸発器として機能する室外熱交換器(23)において、室外ファン(36)によって加熱源として供給される室外空気と熱交換を行って蒸発して、低圧のガス冷媒になる。
室外熱交換器(23)で蒸発した低圧の冷媒は、四路切換弁(22)を通じて、再び、圧縮機(21)に吸入される。
[暖房運転時の熱交換ユニットの冷媒の流れ]
上述した暖房運転時における熱交換ユニット(U)の冷媒の流れについて、図5、図6を参照しながら詳細に説明する。
気液二相状態の冷媒は、液冷媒管(35)を流れた後、冷媒分流器(70)の下部空間(78)に流入する。この冷媒は、ノズル孔(70c)、分流空間(75)、各分流路(74A〜74L)、及び各側面孔(74a)を通過して更に減圧された後、各中継空間(76A〜76L)に流出する。各中継空間(76A〜76L)の冷媒は、各分流管(88)を流れ、出入口ヘッダ(80)の各供給空間(86A〜86L)にそれぞれ流入する。
各供給空間(86A〜86L)の冷媒は、サブ熱交換部(62A〜62L)の各伝熱管(63)をそれぞれ流れて空気から吸熱した後、中間ヘッダ(90)の各サブ側中間空間(96A〜96K)に流入する。各サブ側中間空間(96A〜96K)の冷媒は、各中間連絡管(97A〜97K)を流れた後、各メイン側中間空間(95A〜95K)に流入する。
各メイン側中間空間(95A〜95K)の冷媒は、メイン熱交換部(61A〜61L)の各伝熱管(63)を流れて空気から吸熱した後、出入口ヘッダ(80)の出入口空間(85)に流入する。この冷媒は、第1ガス冷媒管(33)を流れ、圧縮機(21)の吸入側へ送られる。
〈仕切部の接合方法〉
次いで、熱交換ユニット(U)に仕切部である境界バッフル(84)を接合する接合方法について、図11〜図14を参照しながら説明する。
まず、第1板部(110)と第2板部(120)の対応する突起部(112,113,122,123)同士を重ね合わせる。具体的には、第1板部(110)の第1中央突起部(112)の先端と第2板部(120)の第2中央突起部(122)の先端とを付き合わせる。同時に、第1板部(110)の一対の第1側方突起部(113)の先端と第2板部(120)の一対の第2側方突起部(123)の先端とを付き合わせる。
この状態の境界バッフル(84)を出入口ヘッダ(80)のスリット(S)の内部へ差し込んでいく。境界バッフル(84)は、その大径部(111a,121a)の突出部分や、側方突起部(113,123)の後端部がスリット(S)の開口縁部に接触するまで奥側へ差し込むことができる。図12及び図13に示すように、この位置では、境界バッフル(84)の後縁部が出入口ヘッダ(80)の内周面(80a)に接触する。
次いで、他の部品が組み立てられた熱交換ユニット(U)を上述のように炉中ろう付けする。ここで、出入口ヘッダ(80)では、その内周面(80a)やスリット(S)の開口縁部にろう材が塗布されている。これにより、境界バッフル(84)では、出入口ヘッダ(80)に対する各接合面(114,124)が接合される。この結果、出入口ヘッダ(80)では、出入口空間(85)と供給空間(86)とが境界バッフル(84)を介して仕切られる。
〈冷媒の漏洩検知方法〉
次いで、境界バッフル(84)の接合面(114,124)での冷媒の漏洩の検知方法について説明する。上述のように境界バッフル(84)を出入口ヘッダ(80)の内部に接合したとしても、ろう材が境界バッフル(84)の接合面(114,124)にうまく行き渡らず、接合不良を招く可能性がある。この場合、接合面(114,124)に隙間が形成されてしまい、冷媒が漏れてしまう可能性がある。そこで、本実施形態では、例えば熱交換ユニット(U)の製造後において、以下のように冷媒の漏洩検知が行われる。
製造後の熱交換ユニット(U)に対し、所定のガスを流通させる。このガスは、例えば供給空間(86)、サブ熱交換部(62A〜62L)の各伝熱管(63)、中間ヘッダ(90)の内部、メイン熱交案部(61A〜61L)の各伝熱管(63)、出入口空間(85)を順に流れる。
図12及び図14に示すように、境界バッフル(84)の接合面(114,124)にいくつかの隙間(P)が形成されたとする。この場合、例えば供給空間(86)のガスは、第2板部(120)の接合面(124)の隙間(P)を通じて、漏洩検知空間(130)へ流出する。また、例えば出入口空間(85)のガスは、第1板部(110)の接合面(114)の隙間(P)を通じて、漏洩検知空間(130)へ流出する。このようにして漏洩検知空間(130)へ流出した流体は、各突起部(112,113,122,123)の間を通過し、出入口ヘッダ(80)の外部へ流出する。従って、例えば上記ガスの濃度を検知する濃度検知部や、その他のガスの漏洩検知部を用いることで、境界バッフル(84)の接合面(114,124)でのガスの漏れを簡便に検知できる。
−実施形態の効果―
上記実施形態によれば、以下の効果を奏する。
室外熱交換器(23)では、境界バッフル(84)の接合面(114,124)で流体の漏れがあるときに、この流体が漏洩検知用の空間(130)を通じてヘッダ集合管(80)の外部へ流出する。これにより、上述したように、ヘッダ集合管(80)の外部から流体の漏れを容易に検知することができ、仕切部(84)の漏洩対策を即座に施すことができる。
境界バッフル(84)では、第1板部(110)と第2板部(120)とを用いることで、これらの板部(110,120)の間に漏洩検知用の空間(130)を簡単に形成することができる。従って、仕切部(84)の簡素化を図ることができる。加えて、第1板部(110)と第2板部(120)とは全く同じ構造であるため、これらを同時に製造できる。
境界バッフル(84)では、各板部(110,120)の突起部(112,113,122,123)同士を突き当てることで、各板部(110,120)に作用する押し付け力をキャンセルできる。この結果、各板部(110,120)の接合強度を向上でき、ヘッダ集合管(80)の信頼性を向上できる。
境界バッフル(84)では、各突起部(112,113,122,133)を細長い形状とすることで、漏洩検知用の空間(130)の容積を拡大できる。これにより、例えば仕切部(84)の接合時に余ったろう材が、漏洩検知用の空間(130)を閉塞することを回避できる。この結果、漏れた流体(ガス)を確実にヘッダ集合管(80)の外部へ導くことができ、漏洩検知の精度を向上できる。
供給空間(86)と出入口空間(85)との間での流体の漏れを未然に回避できる。これにより、供給空間(86)のガスが、サブ熱交換部(65L)やメイン熱交換部(61L)の各扁平管(63)をバイパスして出入口空間(85)へ流出してしまうことを確実に回避できる。従って、室外熱交換器(23)の性能低下を防止できる。
《実施形態の変形例》
実施形態の変形例は、上記実施形態と境界バッフル(84)の構成が異なる。図15に示すように、変形例に係る境界バッフル(84)は、第1板部(110)と第2板部(120)とを有する。第1板部(110)は、実施形態と同様の第1円板部(111)を有し、第2板部(120)は、実施形態と同様の第2円板部(121)を有する。
変形例では、第1円板部(111)の下面(111c)の中央部には、台形円錐状の突起部(115)が形成される。第1円板部(111)の突起部(115)は、比較的大径に形成され、その上端部に円形の平面部(115a)が形成される。第2円板部(121)の上面(121c)の中央部には、台形円錐状の突起部(125)が形成される。第2円板部(121)の突起部(125)は、比較的大径に形成され、その下端部に円形の平面部(125a)が形成される。
変形例の境界バッフル(84)では、第1板部(110)の突起部(115)の平面部(115a)と、第2板部(120)の突起部(125)の平面部(125a)とが互いに接触した状態で、該境界バッフル(84)がスリット(S)の内部に差し込まれる。これにより、境界バッフル(84)では、第1突起部(115)と第2突起部(125)の周囲に漏洩検知用の空間(130)を形成することができる。変形例の境界バッフル(84)の作用効果は、上記実施形態と同様である。
《その他の実施形態》
上記実施形態については、以下のような構成としてもよい。
上記実施形態の境界バッフル(84)は、別部材(別体)の第1板部(110)と第2板部(120)とが組み合わされて構成される。しかし、境界バッフル(84)は、第1板部(110)と第2板部(120)とが同じ部材(一体成型品)で構成されてもよい。
また、例えば円柱状の境界バッフル(84)に対し、該境界バッフル(84)の軸直角方向(径方向)に、漏洩検知用の空間である貫通穴を形成するようにしてもよい。
上記実施形態では、境界バッフル(84)について、本発明の仕切部を採用している。しかし、出入口ヘッダ(80)や中間ヘッダ(90)を複数の空間に仕切る仕切部であれば、如何なる箇所の仕切部(バッフル)に本発明を採用してもよい。
例えば、上記実施形態において説明した室外熱交換器(23)の具体的な構成や、冷媒分流器(70)の具体的な構成は、いずれも一例であり、適宜変更してもよい。例えば室外熱交換器(23)は平面視L形でなくてもよいし、伝熱管の段数も適宜変更してもよい。また、室外熱交換器(23)は、複数(例えば2列)の熱交換部(60)が空気の通過方向に並んで配置されるものであってもよい。
本発明の冷媒分流器は、空気調和装置(1)に限らず、庫内を冷却する冷凍装置の庫内熱交換器に適用してもよい。
上記実施形態の伝熱管は、扁平管(63)に限られず、例えばクロスフィンタイプの熱交換器に適用される、円筒状の伝熱管であってもよい。