JP2016132821A - 低温靭性に優れた高強度ステンレス厚鋼板およびその製造方法 - Google Patents

低温靭性に優れた高強度ステンレス厚鋼板およびその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】低温靭性に優れた、高強度ステンレス厚鋼板およびその製造方法を提供する。
【解決手段】質量%で、C:0.050%以下、Cr:15.5〜18.0%、Ni:1.5〜5.0%、Mo:1.0〜3.5%、V:0.02〜0.20%を含む組成の鋼素材を加熱し、熱間圧延と加速冷却とを組み合わせて施す。加速冷却は、板厚中心温度で900℃以上の温度から冷却を開始し、冷却開始温度から少なくとも50℃以上で、かつ800℃以上となる冷却停止温度まで、板厚中心温度で2.0℃/s以上の平均冷却速度で冷却する処理とし、熱間圧延の途中、熱間圧延前、熱間圧延後のいずれかで施す。得られた厚鋼板には、さらに、550〜980℃の温度に加熱し冷却する熱処理を少なくとも1回施す。これにより、板厚中心部で面積率で50%以上のM相と、3〜15%のγ相と、残部がF相からなる組織を有し、かつγ相中のNi濃度とM相中のNi濃度との比(CNiγ/(CNiが1.15以上で、さらにフェライト相中に、粒径10μm以下の粒状マルテンサイトを、フェライト粒100μmあたり3.0個以上分散してなる組織を有し、低温靭性に優れた高強度ステンレス厚鋼板となる。
【選択図】なし

Description

本発明は、高強度ステンレス厚鋼板およびその製造方法に係り、とくに低温靱性の向上に関する。
近年、原油等のエネルギー価格の高騰や、石油資源の枯渇といった問題から、従来、省みられなかったような深い深度の油田や、硫化水素等を含む厳しい腐食環境(いわゆるサワー環境)下の油田やガス田、さらには極北のような厳しい気象環境下の油田やガス田等の開発が盛んに行われている。このような環境下で使用される鋼材には、高強度で、かつ優れた耐食性(耐サワー性)、さらには、優れた低温靭性を兼ね備えることが要求されている。
従来から、炭酸ガスCO、塩素イオンCl等を含む腐食環境下の油田、ガス田では、鋼材としては、13%Crマルテンサイト系ステンレス鋼が多く使用されている。しかし、サワー環境下では、13%Crマルテンサイト系ステンレス鋼では耐食性が不足するため、最近ではC量を低減し、Cr量とNi量を増加させた二相ステンレス鋼の使用も拡大している。
例えば、特許文献1には、耐食性、耐硫化物応力腐食割れ性に優れたマルテンサイト系ステンレス鋼の製造方法が記載されている。特許文献1に記載された技術では、重量%で、C:0.005〜0.05%、Si:0.05〜0.5%、Mn:0.1〜1.0%、Cr:10〜15%、Ni:4.0〜9.0%、Cu:0.5〜3%、Mo:1.0〜3%、Al:0.005〜0.2%、N:0.005〜0.1%を含有し、Nieqを−10以上に調整した組成を有する鋼を、熱間加工し室温まで自然放冷したのち、Ac点以上でかつオーステナイト分率が80%になる温度以下で熱処理を施し、さらにオーステナイト分率が60%になる温度以下で熱処理を行なう、としている。これにより、上記した組成と、焼戻しマルテンサイト相、マルテンサイト相、残留オーステナイト相からなり、焼戻しマルテンサイト相、マルテンサイト相の合計の分率が60〜90%で、残部が残留オーステナイト相である組織とを有し、湿潤炭酸ガス環境および湿潤硫化水素環境における耐食性と耐硫化物応力腐食割れ性に優れたマルテンサイト系ステンレス鋼(鋼板)が得られるとしている。
また、特許文献2には、耐食性に優れた油井用高強度ステンレス継目無鋼管の製造方法が記載されている。特許文献2に記載された技術では、mass%で、C:0.005〜0.05%、Si:0.05〜0.5%、Mn:0.2〜1.8%、Cr:15.5〜18%、Ni:1.5〜5%、Mo:1〜3.5%、V:0.02〜0.2%、N:0.01〜0.15%、O:0.006%以下を含有し、Cr+0.65Ni+0.6Mo+0.55Cu−20C≧19.5およびCr+Mo+0.3Si−43.5C−0.4Mn−Ni−0.3Cu−9N≧11.5を満足する組成を有する鋼管素材を加熱し、熱間加工により造管して、造管後、空冷以上の冷却速度で室温まで冷却して所定寸法の継目無鋼管とし、ついで該継目無鋼管を、850℃以上の温度に再加熱したのち、空冷以上の冷却速度で100℃以下まで冷却し、ついで700℃以下の温度に加熱する焼入れ−焼戻処理を施すとしている。これにより、体積率で10〜60%のフェライト相を含み残部がマルテンサイト相である組織を有し、降伏強さ:654MPa以上で、試験温度:−40℃でのシャルピー衝撃試験吸収エネルギーが50J以上の高靭性を有し、COやClを含む、230℃までの高温の厳しい腐食環境下においても充分な耐食性を有する、油井用高強度ステンレス鋼管が得られるとしている。
特開平10−1755号公報 特許第5109222号公報
油井用継目無鋼管以外にも、最近では、UOE鋼管、電縫溶接鋼管、スパイラル鋼管等用、あるいは鋼構造物用として、高強度でかつ優れた耐食性を有する鋼板が要求され、しかも輸送の効率化、耐圧壊性の向上等の観点から鋼管用素材として、また構造物の大型化等の観点から構造物用素材として、厚肉大径の材料が要求されるようになっている。
しかしながら、特許文献1、2に記載された技術は、高々肉厚12.7mmまでの鋼材を対象としており、肉厚15mmを超えるような厚肉鋼材についての言及はない。しかも、最近では、油井が高深度化して、油井用として用いられる鋼材には厚肉鋼材が多用されるようになっている。肉厚が厚くなるにしたがい、通常の熱間加工方法では、所望の加工歪を肉厚中心部まで付与することが難しく、肉厚中心部の組織が粗大化する傾向となる。そのため、厚肉鋼材では、薄肉鋼材に比べて、肉厚中央部の低温靭性が低下しやすいという問題がある。しかも、肉厚が厚くなると、肉厚あたりの表面の影響が低下し、靭性に対する肉厚中央部の組織の影響が大きくなる。さらに加えて、最近では、厳しい気象環境下の油井も増加しており、油井用として用いられる鋼材には優れた低温靭性を保持することが求められている。しかしながら、特許文献1、2には、厚肉鋼材における、とくに低温靭性の向上についてまでの言及はない。
本発明は、かかる従来技術の問題点を解決し、低温靭性に優れた高強度ステンレス厚鋼板およびその製造方法を提供することを目的とする。なお、ここでいう「高強度」とは、降伏強さYS:600MPa以上である場合をいい、「低温靭性に優れた」とは、試験温度:−40℃でシャルピー試験の吸収エネルギーvE−40が100J以上である場合をいうものとする。また、ここでいう「厚鋼板」とは、鋼板板厚が15mm以上好ましくは50mm以下である場合をいうものとする。
本発明者らは、上記した目的を達成するために、まず、マルテンサイト系ステンレス厚鋼板の低温靭性に及ぼす各種要因について鋭意研究した。その結果、ステンレス厚鋼板の低温靭性を向上させるためには、組織を、マルテンサイト相とフェライト相とに加えて、安定なオーステナイト相を適正量、含有させた組織とすることが有効であることに思い至った。
そして、本発明者らの更なる研究により、オーステナイト相中のNi濃度と周囲のマルテンサイト相中のNi濃度との比、(CNiγ/(CNiが、オーステナイト相の安定度を制御していることを見出した。そして、加工熱処理を組み合わせて、(CNiγ/(CNiを適正範囲(1.15以上)に調整することにより、安定なオーステナイト相を所定量確保することができることを知見した。さらにまた、本発明者らは、ステンレス厚鋼板の低温靭性をさらに向上させるためには、フェライト相を微細化した組織とすることも必要であることを知見した。
上記したような組織を得るためには、マルテンサイト系ステンレス鋼組成の素材を、フェライト相分率が高くなる高温(1100〜1350℃)に加熱したのち、熱間圧延を施し、厚鋼板とするにあたり、熱間圧延の前、あるいは熱間圧延の途中で、あるいは熱間圧延終了後に、加速冷却処理を施し、フェライト→オーステナイト変態を抑制した状態で組織を調整し、一旦、500℃以下に冷却したのち、さらに(フェライト+オーステナイト)の二相温度(550〜980℃の温度域の温度)に加熱し、冷却する熱処理を少なくとも1回施すことが、有効であることを見出した。
これにより、オーステナイト相にNiが濃化し、所定量のオーステナイト相を安定して確保でき、さらにまた、フェライト相中に粒状のマルテンサイト相が適正量、形成されてフェライト相が分断され細粒化された、組織を有する厚鋼板とすることができる、という知見を得た。
本発明は、かかる知見に基づき、さらに検討を加えて完成されたものである。すなわち、本発明の要旨はつぎの通りである。
(1)質量%で、C :0.050%以下、Si:0.50%以下、Mn:0.20〜1.80%、Cr:15.5〜18.0%、Ni:1.5〜5.0%、Mo:1.0〜3.5%、V:0.02〜0.20%、Al:0.05%以下、N:0.01〜0.15%、O:0.006%以下を含み、残部Feおよび不可避的不純物からなる組成と、体積率で、50%以上のマルテンサイト相と、3〜15%のオーステナイト相と、残部がフェライト相からなる組織を有し、かつ前記オーステナイト相中のNi濃度(CNiγ(質量%)と前記マルテンサイト相中のNi濃度(CNi(質量%)との比、(CNiγ/(CNiが、1.15以上であることを特徴とする低温靭性に優れた高強度ステンレス厚鋼板。
(2)(1)において、前記組織が、前記フェライト相中に、前記マルテンサイト相の一部を粒径10μm以下の粒状で、フェライト粒100μmあたり3.0個以上含む組織であることを特徴とする高強度ステンレス厚鋼板。
(3)(1)または(2)において、前記組成に加えてさらに、質量%で、Cu:3.5%以下を含む組成とすることを特徴とする高強度ステンレス厚鋼板。
(4)(1)ないし(3)のいずれかにおいて、前記組成に加えてさらに、質量%で、Nb:0.2%以下、Ti:0.3%以下、Zr:0.2%以下、W:3.0%以下のうちから選ばれた1種または2種以上を含む組成とすることを特徴とする高強度ステンレス厚鋼板。
(5)(1)ないし(4)のいずれかにおいて、前記組成に加えてさらに、質量%で、Ca:0.01%以下、REM:0.01%以下のうちから選ばれた1種または2種を含む組成とすることを特徴とする高強度ステンレス厚鋼板。
(6)鋼素材に、加熱工程と熱間圧延工程とを施し、所定板厚の厚鋼板とするにあたり、前記鋼素材を、質量%で、C:0.050%以下、Si:0.50%以下、Mn:0.20〜1.80%、Cr:15.5〜18.0%、Ni:1.5〜5.0%、Mo:1.0〜3.5%、V:0.02〜0.20%、Al:0.05%以下、N:0.01〜0.15%、O:0.006%以下を含み、残部Feおよび不可避的不純物からなる組成の鋼素材とし、前記加熱工程が、前記鋼素材を加熱温度:1100〜1350℃に加熱する工程とし、前記熱間圧延工程を、熱間圧延を途中で中断し、板厚中心温度で900℃以上の温度から冷却を開始し、該冷却を開始した温度から少なくとも50℃以上で、かつ800℃以上となる冷却停止温度まで、板厚中心温度で2.0℃/s以上の平均冷却速度で冷却する加速冷却工程を施したのち、前記熱間圧延を再開し、前記所定板厚の厚鋼板とする工程とし、該熱間圧延工程後に、板厚中心温度で500℃以下の温度まで冷却し、しかるのちに550〜980℃の範囲の温度に加熱し、冷却する熱処理を少なくとも1回行う熱処理工程を施すことを特徴とする低温靭性に優れた高強度ステンレス厚鋼板の製造方法。
(7)(6)において、前記熱間圧延を途中で中断し、前記加速冷却工程を施すに際し、熱間圧延の途中の鋼板温度が、板厚中心温度が900℃未満となる場合には、板厚中心温度で900℃以上の温度に加熱する熱延中加熱処理を施し、しかるのちに前記加速冷却工程を施すことを特徴とする高強度ステンレス厚鋼板の製造方法。
(8)鋼素材に、加熱工程と熱間圧延工程とを施し、所定板厚の厚鋼板とするにあたり、前記鋼素材を、質量%で、C:0.050%以下、Si:0.50%以下、Mn:0.20〜1.80%、Cr:15.5〜18.0%、Ni:1.5〜5.0%、Mo:1.0〜3.5%、V:0.02〜0.20%、Al:0.05%以下、N:0.01〜0.15%、O:0.006%以下を含み、残部Feおよび不可避的不純物からなる組成の鋼素材とし、前記加熱工程が、前記鋼素材を加熱温度:1100〜1350℃に加熱する工程とし、前記熱間圧延工程が、前記加熱工程を施された前記鋼素材に直ちに、冷却を開始し、該冷却を開始した温度を冷却開始温度とし、該冷却開始温度から少なくとも50℃以上で、かつ800℃以上となる冷却停止温度まで、板厚中心温度で2.0℃/s以上の平均冷却速度で冷却する加速冷却工程を施したのち、前記熱間圧延を施し、前記所定板厚の厚鋼板とする工程であり、該熱間圧延工程後に、板厚中心温度で500℃以下の温度まで冷却し、しかるのちに550〜980℃の範囲の温度に加熱し、冷却する熱処理を少なくとも1回行う熱処理工程を施すことを特徴とする高強度ステンレス厚鋼板の製造方法。
(9)鋼素材に、加熱工程と熱間圧延工程とを施し、所定板厚の厚鋼板とするにあたり、前記鋼素材を、質量%で、C:0.050%以下、Si:0.50%以下、Mn:0.20〜1.80%、Cr:15.5〜18.0%、Ni:1.5〜5.0%、Mo:1.0〜3.5%、V:0.02〜0.20%、Al:0.05%以下、N:0.01〜0.15%、O:0.006%以下を含み、残部Feおよび不可避的不純物からなる組成の鋼素材とし、前記加熱工程が、前記鋼素材を加熱温度:1100〜1350℃に加熱する工程であり、該加熱工程を施したのち、前記熱間圧延工程を、圧延終了温度が900℃以上となる熱間圧延を施す工程とし、該熱間圧延工程終了後、厚鋼板の板厚中心温度で900℃以上の温度から冷却を開始し、該冷却を開始した温度から少なくとも50℃以上で、かつ800℃以上となる冷却停止温度まで、板厚中心温度で2.0℃/s以上の平均冷却速度で冷却する加速冷却工程を施し、該加速冷却工程終了後、さらに板厚中心温度で500℃以下の温度まで冷却し、しかるのちに550〜980℃の範囲の温度に加熱し、冷却する熱処理を少なくとも1回行う熱処理工程を施すことを特徴とする低温靭性に優れた高強度ステンレス厚鋼板の製造方法。
(10)(6)ないし(9)のいずれかにおいて、前記組成に加えてさらに、質量%で、Cu:3.5%以下を含む組成とすることを特徴とする高強度ステンレス厚鋼板の製造方法。
(11)(6)ないし(10)のいずれかにおいて、前記組成に加えてさらに、質量%で、Nb:0.2%以下、Ti:0.3%以下、Zr:0.2%以下、W:3.0%以下のうちから選ばれた1種または2種以上を含む組成とすることを特徴とする高強度ステンレス厚鋼板の製造方法。
(12)(6)ないし(11)のいずれかにおいて、前記組成に加えてさらに、質量%で、Ca:0.01%以下、REM:0.01%以下のうちから選ばれた1種または2種を含む組成とすることを特徴とする高強度ステンレス厚鋼板の製造方法。
本発明によれば、低温靭性に優れた高強度ステンレス厚鋼板を、容易に製造でき、産業上格段の効果を奏する。また、本発明によれば、板厚中心部においても、容易に組織の微細化が図れるため、厚肉鋼板の低温靭性を容易に向上できるという効果もある。
本発明を実施するための製造設備列の一例を示す説明図である。
まず、本発明高強度厚鋼板の製造方法について説明する。
本発明では、鋼素材に、加熱工程と熱間圧延工程とを施し、所定板厚の厚鋼板とする。使用する鋼素材は、質量%で、C :0.050%以下、Si:0.50%以下、Mn:0.20〜1.80%、Cr:15.5〜18.0%、Ni:1.5〜5.0%、Mo:1.0〜3.5%、V:0.02〜0.20%、Al:0.05%以下、N:0.01〜0.15%、O:0.006%以下を含み、残部Feおよび不可避的不純物からなる組成の鋼素材とする。
まず、使用する鋼素材の組成限定理由について説明する。以下、とくに断らないかぎり、質量%は単に%で記す。
C:0.050%以下
Cは、マルテンサイト系ステンレス鋼の強度に関係する重要な元素であり、本発明では所望の強度を確保するために0.005%以上含有することが望ましい。一方、0.050%を超えて含有すると、Ni含有による焼戻時の鋭敏化が増大する。耐食性の観点からはCは少ないほうが望ましい。このようなことから、Cは0.050%以下に限定した。なお、好ましくは0.030〜0.050%である。
Si:0.50%以下
Siは、脱酸剤として作用する元素であり、このような効果を得るためには、0.05%以上含有することが望ましい。一方、0.50%を超える含有は、耐食性を低下させ、さらに熱間加工性をも低下させる。このため、Siは0.50%以下に限定した。なお、好ましくは0.10〜0.30%である。
Mn:0.20〜1.80%
Mnは、強度を増加させる作用を有する元素であり、このような効果を得るためには0.20%以上の含有を必要とする。一方、1.80%を超えて含有すると、靭性に悪影響を及ぼす。このため、Mnは0.20〜1.80%に限定した。なお、好ましくは0.20〜1.00%である。
Cr:15.5〜18.0%
Crは、保護皮膜を形成し耐食性を向上させ、さらに固溶して鋼の強度を増加させる作用を有する元素である。このような効果を得るためには、15.5%以上の含有を必要とする。一方、18.0%を超えて多量に含有すると、熱間加工性が低下し、さらに強度が低下する。このため、Crは15.5〜18.0%に限定した。なお、好ましくは16.6〜18.0%である。
Ni:1.5〜5.0%
Niは、保護膜を強固にし、耐食性を高める作用を有する元素であり、さらに固溶して鋼の強度を増加させ、さらに靭性を向上させる元素でもある。このような効果を得るためには、1.5%以上の含有を必要とする。一方、5.0%を超えて含有すると、マルテンサイト相の安定性が低下し、強度が低下する。このため、Niは1.5〜5.0%に限定した。なお、好ましくは2.5〜4.5%である。
Mo:1.0〜3.5%
Moは、Clによる孔食に対する抵抗性を増加させる元素である。このような効果を得るためには、1.0%以上含有する必要がある。一方、3.5%を超える多量の含有は、強度が低下するとともに、材料コストが高騰する。このため、Moは1.0〜3.5%に限定した。なお、好ましくは2.0〜3.5%である。
V:0.02〜0.20%
Vは、強度を増加させるとともに、耐食性を改善する元素である。このような効果を得るためには、0.02%以上の含有を必要とする。一方、0.20%を超えて含有すると、靭性が低下する。このため、Vは0.02〜0.20%に限定した。なお、好ましくは0.02〜0.08%である。
Al:0.05%以下
Alは、脱酸剤として作用する元素であり、このような効果を得るためには、0.002%以上含有することが望ましい。一方、0.05%を超えて含有すると、靭性に悪影響を及ぼす。このため、Alは0.05%以下に限定した。
N:0.01〜0.15%
Nは、耐孔食性を著しく向上される元素であり、このような効果を得るためには0.01%以上の含有を必要とする。一方、0.15%を超えて含有すると、種々の窒化物を形成し靭性を低下させる。このため、Nは0.01〜0.15の範囲に限定した。なお、好ましくは0.02〜0.08%である。
O:0.006%以下
O(酸素)は、鋼中では酸化物として存在し、各種特性に悪影響を及ぼす。このため、できるだけ低減することが望ましい。とくに、Oが0.006%を超えて多量に含有すると、熱間加工性、靭性、耐食性の低下が著しくなる。このため、Oは0.006%以下に限定した。
上記した成分が基本の成分である、本発明では、基本の組成に加えてさらに、必要に応じて、選択元素として、Cu:3.5%以下、および/または、Nb:0.2%以下、Ti:0.3%以下、Zr:0.2%以下、W:3.0%以下のうちから選ばれた1種または2種以上、および/または、Ca:0.01%以下、REM:0.01%以下のうちから選ばれた1種または2種、を含有してもよい。
Cu:3.5%以下
Cuは、保護皮膜を強固にし、鋼中への水素の侵入を抑制して、耐硫化物応力腐食割れ性を高める。このような効果は0.5%以上の含有で顕著となる。一方、3.5%を超える含有は、CuSの粒界析出を招き、熱間加工性が低下する。このため、含有する場合には、Cuは3.5%以下に限定することが好ましい。なお、より好ましくは0.8〜1.2%である。
Nb:0.2%以下、Ti:0.3%以下、Zr:0.2%以下、W:3.0%以下のうちから選ばれた1種または2種以上
Nb、Ti、Zr、Wはいずれも、強度を増加させる元素であり、必要に応じて、選択して1種または2種以上含有できる。このような効果を得るためには、Nb:0.03%以上、Ti:0.03%以上、Zr:0.03%以上、W:0.2%以上含有することが望ましい。一方、Nb:0.2%、Ti:0.3%、Zr:0.2%、W:3.0%をそれぞれ超える含有は、靭性を低下させる。このため、含有する場合は、Nb:0.2%以下、Ti:0.3%以下、Zr:0.2%以下、W:3.0%以下に、それぞれ限定することが好ましい。
Ca:0.01%以下、REM:0.01%以下のうちから選ばれた1種または2種
Ca、REMはいずれも、硫化物系介在物を球状化する作用を有し、介在物周囲のマトリッククスの格子歪を小さくして、介在物系の水素トラップ能を低下させる効果を有する元素であり、必要に応じて、1種または2種を含有できる。このような効果を得るためには、Ca:0.0005%以上、REM:0.001%以上、含有することが望ましい。一方、Ca:0.01%、REM:0.01%をそれぞれ超えて含有すると、靭性が低下する。このため、含有する場合には、Ca:0.01%以下、REM:0.01%以下、に限定することが好ましい。
上記した成分以外の残部は、Feおよび不可避的不純物からなる。なお、不可避的不純物としては、P:0.03%以下、S:0.005%以下が、許容できる。また、Bについても0.0010%以下であれば許容できる。
上記した組成を有する鋼素材の製造方法はとくに限定する必要はない。転炉、電気炉等、常用の溶製炉を使用して、上記した組成の溶鋼を溶製し、連続鋳造法等の常用の鋳造方法で、スラブ等の鋳片としたものを鋼素材とすることが好ましい。なお、鋳片を熱間圧延して所定寸法のスラブ等の鋼片として鋼素材としてもよい。また、造塊−分塊圧延法で鋼片とし、鋼素材としてもなんら問題はない。
本発明高強度ステンレス厚鋼板の製造方法で使用する設備として好適な、製造設備列の一例を図1に示す。厚鋼板の製造用設備としてしては、加熱装置1と、熱間圧延装置2と、冷却装置3と、熱処理装置4、加熱手段5が例示できる。なお、熱間圧延装置2は、図1(b)に示すように粗圧延装置2aと仕上圧延装置2bとに分けて配設してもよい。また、冷却装置3は、図1(a)に示すように加速冷却工程を施す時期に応じて、冷却装置3a、冷却装置3bと分けて配設してもよい。
本発明では、上記した組成を有する鋼素材(スラブ)Sを、加熱装置(加熱炉)1に装入し、加熱温度:1100〜1350℃に加熱する加熱工程を施す。
加熱温度:1100〜1350℃
加熱温度が1100℃未満では、フェライト相が少なく、フェライト→オーステナイト変態を利用した、顕著な組織の微細化を達成することができない。また、加熱温度が1100℃未満では、変形抵抗が高くなりすぎて、その後の熱間加工が困難となる。一方、1350℃以上では、自重による変形が生じたり、成形(加工)による歪の蓄積が困難となる。このため、鋼素材の加熱温度は1100〜1350℃の範囲の温度に限定した。なお、変形抵抗が小さく加工がしやすいことや、冷却時に温度差を大きくとれるという観点から、好ましくは1150〜1300℃である。
なお、上記した組成範囲の鋼素材では、1200℃以上の温度域でフェライト単相となる。1100℃以上1200℃未満の温度域では、フェライトとオーステナイトの二相組織を呈するが、この温度域ではフェライトが大部分であるため、その後の加工(熱間圧延)で十分に組織の微細化が達成できる。
加熱された鋼素材は、ついで、熱間圧延装置2で熱間圧延工程を施され、所定寸法の厚鋼板とされる。
本発明では、比較的低い圧下率でも所望の組織微細が可能であるため、熱間圧延の条件は、所定寸法の厚鋼板とすることができればよく、とくに限定する必要はないが、より組織の微細化のためには、累積で70%以上の圧下率とすることが好ましい。なお、本発明では、主として加速冷却と熱間圧延とを組み合わせて、組織の微細化を図るため、加速冷却工程の条件に対応して、熱間圧延の条件を調整する必要はある。
本発明では、熱間圧延工程は、熱間圧延を途中で中断し、冷却装置3(3a、3b)を用いて所定の加速冷却工程を施したのち、再び、熱間圧延装置2で熱間圧延を行い、所定板厚の厚鋼板とする工程とすることが好ましい。なお、加速冷却処理は、熱間圧延前に施しても、また熱間圧延終了後に施してもよいが、熱間圧延の途中で行うほうが、冷却効率、ひいては組織の微細化、さらには鋼板形状等の観点から好ましい。
ここで、加速冷却工程は、板厚中心温度で900℃以上の温度から冷却を開始し、該冷却を開始した温度(冷却開始温度)から少なくとも50℃以上で、かつ800℃以上となる冷却停止温度まで、板厚中心温度で2.0℃/s以上の平均冷却速度で冷却する工程とする。
加速冷却の冷却開始温度:板厚中心温度で900℃以上の温度
ここでいう「冷却開始温度」とは、加速冷却を開始する時の鋼素材(鋼板、あるいは圧延途中の鋼板を含む)の温度である。本発明では、フェライト相ができるだけ多い状態で、熱間圧延を施し、組織の微細化を図ることを意図している。そのため、熱間圧延前の組織が、できるだけ多くの過冷却状態のフェライト相を含む組織となるように、加速冷却を行う。したがって、加速冷却の開始温度はできるだけ高い温度とすることが好ましい。このようなことから、本発明では、加速冷却の冷却開始温度は、板厚中心温度で900℃以上の温度に限定した。なお、好ましくは950℃以上である。
加速冷却の温度範囲:50℃以上
加速冷却の温度範囲、すなわち、冷却開始温度と冷却停止温度の温度差は、少なくとも50℃以上とする。加速冷却の温度範囲が50℃未満では、非平衡状態の相分率を高くできず、その後の加工による組織微細化効果が期待できなくなり、また、その後の冷却で組織の粗大化が進行するなどの悪影響や、その後の熱処理で粒状のフェライト相を、変態により所定量形成することができなくなり、また、各相への元素の分配を適正範囲に調整することが難しくなるなどの問題がある。このため、加速冷却の温度範囲を50℃以上に限定した。加速冷却の温度範囲が大きいほど、非平衡状態の相分率を高い状態に維持できる。なお、好ましくは100℃以上である。
加速冷却の平均冷却速度:板厚中心温度で2.0℃/s以上
加速冷却の平均冷却速度は、板厚中心部で2.0℃/s以上とする。平均冷却速度が2.0℃/s未満では、非平衡状態の相分率を高く保持できなくなり、その後の加工による組織微細化効果が期待できなくなる。このため、加速冷却の平均冷却速度は2.0℃/s以上に限定した。平均冷却速度の上限は、冷却装置の能力により決定され、とくに限定する必要はないが、割れや曲り防止という観点から50℃/s以下とすることが好ましい。なお、好ましくは5〜20℃/sである。
なお、板厚中心部の温度は、放射温度計により測定した表面温度から、伝熱計算によって求めるものとする。また、板厚中心部に熱電対を挿入して測定してもよいことはいうまでもない。
加速冷却の冷却停止温度:800℃以上
加速冷却の冷却停止温度は800℃以上とする。冷却停止温度が800℃未満では、合金元素の拡散が遅くなり、その後の熱間圧延による相変態(α→γ変態)が遅れ、所望の組織微細化効果が期待できなくなる。このため、加速冷却の冷却停止温度は800℃以上に限定した。なお、好ましくは1000℃以下である。
なお、熱間圧延を途中で中断して、加速冷却工程を施す際には、熱間圧延を中断した際の鋼板温度は、加速冷却の好ましい冷却開始温度である、板厚中心温度で900℃以上の温度とすることが好ましい。板厚中心温度で900℃未満となる場合には、加熱手段5で、板厚中心温度で900℃以上の温度に加熱する熱延中加熱処理を施し、しかるのちに加速冷却工程を施すことが好ましい。加速冷却工程前の鋼板温度が、900℃未満では、加速冷却前のフェライト相の組織分率が低くなりすぎて、所望の加速冷却効果が期待できなくなる。また、加速冷却後に、引き続き熱間圧延を行うことも可能である。
鋼板温が板厚中心温度で900℃未満となる場合の急冷では、合金分配が少ないため、その後の熱処理により変態が進行せず、所望の組織を得ることが困難となる。
また、熱間圧延終了後に、加速冷却工程を施せば、熱間圧延時の組織を凍結でき、過冷却のフェライト相および一部のオーステナイトから変態したマルテンサイト相が形成され、その後の変態により組織の微細化が可能となるため、とくに熱間圧延の条件を限定する必要はないが、熱間圧延工程を、圧延終了温度が900℃以上となる熱間圧延を施す工程とすることが、組織のより微細化の観点から好ましい。圧延終了温度が900℃未満では、加速冷却前のフェライト相の組織分率が低く、所望の加速冷却効果が期待できなくなる。
また、熱間圧延工程を施す前に、すなわち加熱工程を施した後に、加速冷却工程を施すと、冷却開始温度が高く、大きな加速冷却効果が期待できる。しかし、被冷却材の肉厚が厚く、所望の冷却速度を確保するためには、大きな冷却能を有する冷却装置を必要とするという設備上の問題や、さらに、加速冷却工程後の熱間圧延の圧延効率が低下し、生産性が低下するという問題がある。
上記した熱間圧延工程、あるいは加速冷却工程、を施したのち、本発明ではさらに、板厚中心温度で500℃以下の温度まで冷却する。
上記した熱間圧延工程、あるいは加速冷却工程、を終了したのちの冷却速度は、とくに限定する必要はなく、板厚中心温度で500℃以下の温度(冷却停止温度)まで冷却できれば、放冷でも、あるいは急冷(水冷、ガス冷)でもよい。板厚中心温度で500℃以下の温度まで冷却することにより、一部のオーステナイト相がマルテンサイト相に変態し、その後の熱処理工程で、残留したオーステナイト相へのNiの拡散が促進され、オーステナイト相の安定化が図れる。なお、冷却停止温度が500℃を超える高温では、その後の加熱時にオーステナイト相の安定化が困難となる。このようなことから、熱間圧延工程、あるいは加速冷却工程を終了したのちの冷却における冷却停止温度は500℃以下に限定することが好ましい。
本発明では、上記した冷却を行ったのち、550〜980℃の範囲の温度に加熱し、冷却する熱処理を少なくとも1回行う熱処理工程を施す。
この熱処理は、オーステナイト相中への、Ni等の合金元素の濃化を促進し、オーステナイト相を安定化し、その組織分率を高める目的で行う。この熱処理では、加熱時に、マルテンサイト相から変態によりオーステナイト相が形成される。そして、その後の冷却で、形成されたオーステナイト相の一部が残留し、それ以外はマルテンサイト相に変態する。また、加熱時にフェライト相からもオーステナイト相(粒状)が形成され、その後の冷却時に、一部がマルテンサイト相(粒状)に変態し、フェライト相中に粒状に分散する。この熱処理における加熱温度は、550〜980℃の範囲の温度とする。
熱処理工程における加熱温度:550〜980℃の範囲の温度
加熱温度が550℃未満では、非平衡フェライト相がオーステナイト相に変態することが少なく、また、合金元素の拡散が遅く、所望のオーステナイト相中への合金元素の濃化を促進できないため、所望量の安定したオーステナイト相を確保できなくなる。一方、980℃を超えて高温に加熱すると、形成されるオーステナイト相が多くなり、安定性が低下して、所望量のオーステナイト相を残留させることができなくなる。また、粗大なオーステナイト粒となり、靭性の低下を招く。このため、熱処理の加熱温度は550〜980℃の範囲の温度に限定した。
なお、加熱の条件については、到達温度(加熱温度)が上記した温度範囲であれば、加熱速度は特に限定する必要はないが、作業性の観点から、2℃/min以上とすることが望ましい。また、保持時間については到達温度(加熱温度)で3min以上とすることが望ましい。なお、保持時間の上限は、工程に問題がない程度の時間内であればとくに問題はないが、好ましくは180min以下である。
なお、この熱処理では、加熱保持後の冷却速度は、とくに限定する必要はなく、放冷でも、徐冷でも、あるいは急冷(水冷)でもよい。加熱温度が、上記した加熱温度範囲の高温側である場合には急冷(焼入れ)が、低温側では放冷とすることが、所望の組織を安定性して確保するという観点から、好ましい。
この熱処理は、少なくとも1回、好ましくは複数回繰り返すことが好ましい。この熱処理を複数回繰り返すことにより、オーステナイト相の安定度が増し、変形時に安定なオーステナイト相量が増加し、低温靭性が向上する。例えば、第一段処理として、加熱温度:750〜950℃に加熱し保持した後に急冷(水冷)する処理と、第二段処理として、加熱温度:550〜680℃の範囲に加熱し放冷を行う処理としてもよい。これにより、オーステナイト相中へのNiの分配がより進み、安定したオーステナイト相を増加させることができる。なお、生産性の観点からは、4回程度までである。
なお、この熱処理は、鋼板製造ライン内で、誘導加熱炉等の熱処理装置4、加熱手段5を用いて行っても、また、オフラインでバッチ炉等の熱処理装置4を用いて行ってもよい。また、熱処理後に、再度、熱間圧延を実施してもよい。また、鋼材や鋼帯をパイプ等に成形後に行ってもよい。
本発明で使用する厚鋼板の製造用設備としてしては、図1に示すように、加熱装置1と、熱間圧延装置2と、冷却装置3と、熱処理装置4、さらには加熱手段5が例示できる。つぎに、それら装置が具備すべき機能について説明する。
加熱装置1は、通常のスラブ等の鋼素材を所定温度に加熱できる加熱炉であればよく、とくに限定する必要はなく、常用の加熱装置(加熱炉)がいずれも適用できる。
また、熱間圧延装置2は、厚鋼板が圧延できる熱間圧延装置であればよく、常用の熱間圧延装置がいずれも適用できる。熱間圧延装置としては、粗圧延装置2aと仕上圧延装置2bと、2基に分けて配設しても、あるいは仕上圧延装置2bのみを1基、配設して、粗圧延と仕上圧延とを共用しても、なんら問題はない。
また、冷却装置3は、流量制御が可能な水噴射、水スプレー、ガス噴射等の冷却手段を備え、熱間圧延中の厚鋼板、あるいは熱間圧延終了後の厚鋼板、あるいは熱間圧延前の鋼素材を、所定の冷却速度で冷却することができる装置とする。本発明で使用する冷却装置3は、ステンレス鋼組成の被冷却材(厚鋼板、鋼素材)を、板厚中心位置で、2.0℃/s以上の平均冷却速度を得ることができる冷却能を保持する冷却装置とすることが好ましい。なお、平均冷却速度の上限は、とくに限定する必要ないが、割れ、曲りを防止するという観点から、50℃/sとすることが好ましい。なお、冷却装置3は、板厚180mm以下の材料が冷却可能な装置であれば、とくに問題はない。
上記した冷却装置3は、熱間圧延途中、熱間圧延終了後、あるいは熱間圧延前に加速冷却工程を施すことが可能なように、熱間圧延装置2の上流側および/または下流側に配設することが好ましい。熱間圧延装置2を粗圧延装置2aと仕上圧延装置2bとの2基とした場合には、冷却効果を考慮して、図1(b)に示すように仕上圧延装置2bの上流側あるいは下流側に配設することがより好ましい。なお、冷却装置3の配設は、1基としてもよい。その場合は、所望の冷却条件に応じて、熱間圧延装置2と冷却装置3との間を繰り返し搬送することで対処可能である。
熱処理装置4は、板厚50mm以下程度の厚鋼板を所定の加熱温度に加熱できる能力のある炉(装置)であればよく、非酸化性雰囲気の加熱が可能であれば、その加熱形式はとくに限定されない。また、設置場所は、オンライン、オフラインのどちらでも問題はない。
加熱手段5は、熱間圧延を中断して加速冷却を施す場合に、鋼板温度が低くなりすぎた際に鋼板を所定温度以上に加熱するために、使用する。そのため、その後の熱間圧延を行えるように、オンラインで、熱間圧延装置2との間を搬送可能に配設することが好ましい。加熱方法は、とくに限定することはなく、誘導加熱装置や直接加熱ガス炉等が例示できるが、誘導加熱装置とすることが生産性の観点から好ましい。
上記した製造方法で得られる厚鋼板は、上記した組成と、体積率で、50%以上のマルテンサイト相と、3〜15%のオーステナイト相と、残部がフェライト相からなる組織を有し、かつオーステナイト相中のNi濃度(CNiγ(質量%)とマルテンサイト相中のNi濃度(CNi(質量%)との比、(CNiγ/(CNiが、1.15以上で、あるいはさらに、フェライト相中に、マルテンサイト相の一部を粒径10μm以下の粒状で、フェライト粒100μmあたり3.0個以上含む、低温靭性に優れた高強度ステンレス厚鋼板である。
次に、本発明高強度ステンレス厚鋼板の組織限定理由について説明する。
マルテンサイト相:体積率で50%以上
本発明厚鋼板では、体積率で50%以上のマルテンサイト相を主相とする。マルテンサイト相は、所望の高強度を確保するために重要な相で、体積率で50%未満では、強度が低下して、所望の高強度を確保できない。このため、マルテンサイト相は体積率で50%以上に限定した。なお、マルテンサイト相の一部は、フェライト粒内に粒状に分散し、組織の微細化に寄与する。
オーステナイト相:体積率で3〜15%
オーステナイト相は靭性に富み、優れた低温靭性を確保するために分散させる。このような効果を得るためには、体積率で3%以上のオーステナイト相の含有を必要とする。一方、15%を超えて含有すると、強度が低下し、所望の高強度を確保できなくなる。このため、オーステナイト相は体積率で3〜15%の範囲に限定した。
(CNiγ/(CNi:1.15以上
オーステナイト相へのNi濃化は、オーステナイト相の安定化のために重要である。とくにマルテンサイト相中に形成させるオーステナイト相では、周囲のマルテンサイト相に比べてNiが濃化することにより、安定度が増加し、低温靭性が向上する。そのため、オーステナイト相中のNi濃度(CNiγ(質量%)とマルテンサイト相中のNi濃度(CNi(質量%)との比、(CNiγ/(CNi、を1.15以上に限定した。
なお、オーステナイト相、マルテンサイト相のNi濃度は、走査電子顕微鏡(SEM)、透過電子顕微鏡(TEM)に付設されたエネルギー分散型X線分光分析装置(EDS)や波長分散型X線分光分析装置(WDS)を用いて測定することができる。なお、オーステナイト相(粒)が1μm以下の場合には、TEM-EDSにより測定することが、測定時間や空間分解能の観点から好適である。
粒径10μm以下の粒状マルテンサイト粒:フェライト粒100μmあたり3.0個以上
マルテンサイト相の一部は、フェライト相中に、粒状のマルテンサイト粒として分散させる。フェライト粒中に粒状のマルテンサイト粒を分散させることにより、フェライト粒が分断され、見掛けの微細化が達成されて、低温靭性が向上する。粒状のマルテンサイト粒のうち、フェライト粒を細粒化するという観点から、粒径が10μm以下の粒状マルテンサイト粒をフェライト粒100μmあたり3.0個以上、分散させる。本発明では、粒径が10μm超える粒状マルテンサイト粒では、大きすぎてフェライト粒の分断による細粒化には寄与しないとし、粒径が10μm以下の粒状マルテンサイト粒に限定し、フェライト粒100μmあたり3.0個以上、分散させるとした。粒径が10μm以下の粒状マルテンサイト粒の分散がフェライト粒100μmあたり3.0個未満では、所望のフェライト相の細分化に寄与しない。なお、粒状マルテンサイト粒は、ほぼ楕円形状を呈することが多く、ここでいう「粒径」は長軸を指す。
本発明では、粒状のマルテンサイト粒の適正量を、上記した熱処理により、フェライト相中に分散させることができるため、熱間加工による歪付加が難しい板厚中央部の低温靭性を顕著に向上させることができる。
以下、実施例に基づき、さらに本発明について説明する。
表1に示す組成の溶鋼を、高周波真空溶解炉にて溶製し、鋳造して小型鋼塊(150キロ鋼塊)とした。得られた小型鋼塊を熱間圧延によりスラブ(肉厚150mm)とし鋼素材とした。得られた鋼素材には、ついで、加熱装置に装入し、加熱温度:1250℃に加熱する加熱工程を施したのち、表2に示す条件の熱間圧延工程、加速冷却工程を、種々の組み合わせで施し、表2に示す板厚の厚鋼板とし、一旦、500℃以下の温度に冷却したのち、表3に示す熱処理を行う熱処理工程を施した。
なお、圧延冷却プロセスとして加速冷却工程を、熱間圧延工程の途中で、熱間圧延を中断して行う熱間圧延途中加速冷却、熱間圧延工程前に加速冷却を行う熱間圧延前加速冷却、熱間圧延工程後に行う熱間圧延後加速冷却の3種とした。また、一部の厚鋼板では、熱間圧延を途中中断し、加熱手段で加熱する熱延中加熱処理を施し、ついで加速冷却を施した。
なお、熱処理工程における熱処理は、保護雰囲気中で加熱炉を用いて少なくとも1回の熱処理を行った。一部の厚鋼板(No.7、No.8)では、熱処理を誘導加熱装置を用いて行った。なお、熱間圧延、加速冷却、熱処理における鋼板の板厚中心部温度は、板厚中心部に熱電対を挿入して測定した。
得られた厚鋼板(熱処理板)から、試験片を採取し、組織観察、引張試験、衝撃試験を実施した。試験方法はつぎのとおりとした。
(1)組織観察
得られた厚鋼板(熱処理板)から、圧延方向に直交する断面(C断面)が観察面となるように組織観察用試験片を採取し、機械研磨および電解研磨を行い、走査型電子顕微鏡(SEM)(倍率:500〜5000倍)を用いて組織を観察した。板厚中央部の組織について、撮像して、得られた組織写真を用いて画像解析(画像処理)により、組織の種類、および各相の組織分率(体積%)を求めた。また、SEM(倍率:500倍)による観察では、フェライト相の組織分率を測定し、また、SEM(倍率:2000倍、5000倍)による観察では、フェライト中の長軸が10μm以下の粒状マルテンサイトの個数を測定し、フェライト100μm中の個数に換算した。なお、粒状マルテンサイトの界面のうち、80%以上がフェライトとの界面である場合には、粒状マルテンサイトがフェライト粒の中に存在すると判断した。
また、得られた厚鋼板(熱処理板)の1/2t部から、透過型電子顕微鏡(TEM)用試験片(薄膜用)を採取し、機械研磨および電解研磨を行って、透過型電子顕微鏡(TEM)観察用試験片とし、TEMによる組織観察を行った。TEM観察では、電子線回折を行ってオーステナイト粒を特定し、TEMに付設されたエネルギー分散型X線分光分析装置(EDS)により、オーステナイト中のNi濃度(CNiγと、その周囲のマルテンサイトのNi濃度(CNiを測定し、(CNiγ/(CNiを算出した。
また、得られた厚鋼板(熱処理板)から、板厚中心部が測定面となるように、X線回折用試験片を採取し、機械研磨、電解研磨して、X線回折を行ない、オーステナイト相の体積分率Vγを算出した。なお、X線回折では、オーステナイト相(γ)の(220)面、フェライト相(α)の(211)面の回折X線積分強度を測定し、次式
γ=100/{1+(Iαγ/Iγα)}
(ここで、Iα:αの積分強度、
γ:γの積分強度、
α:αの結晶学的理論計算値、
γ:γの結晶学的理論計算値
を用いて換算した。なお、マルテンサイト相の分率はこれらの相以外の残部とした。
(2)引張試験
得られた厚鋼板(熱処理板)の板厚中心位置から、圧延方向に垂直な方向が引張方向となるように、丸棒引張試験片(平行部6mmφ×GL20mm)を採取し、JIS Z 2241の規定に準拠して引張試験を実施し、引張特性(降伏強さYS、引張強さTS)を求めた。なお、降伏強さYSは0.2%伸びでの強度とした。
(3)衝撃試験
得られた厚鋼板(熱処理板)の板厚中心位置から、圧延方向と直交する方向(C方向)が試験片長手方向となるように、Vノッチ試験片を採取し、JIS Z 2242の規定に準拠してシャルピー衝撃試験を実施した。試験温度は−40℃とし、吸収エネルギーvE−40(J)を求めた。なお、試験片は各3本とし、それらの平均値を当該厚鋼板の吸収エネルギーとした。
得られた結果を表4に示す。
Figure 2016132821
Figure 2016132821
Figure 2016132821
Figure 2016132821
本発明例はいずれも、肉厚:15mm超えの板厚中央部においても、YS:600MPa以上で、かつvE−40:100J以上と、高強度、高靭性を示す厚鋼板となっている。一方、本願の発明範囲を外れる比較例は、所望の高強度が得られていないか、所望の高靭性が得られていない。
1 加熱装置(加熱炉)
2 熱間圧延装置
3 冷却装置
4 熱処理装置
5 加熱手段

Claims (12)

  1. 質量%で、
    C :0.050%以下、 Si:0.50%以下、
    Mn:0.20〜1.80%、 Cr:15.5〜18.0%、
    Ni:1.5〜5.0%、 Mo:1.0〜3.5%、
    V :0.02〜0.20%、 Al:0.05%以下、
    N :0.01〜0.15%、 O :0.006%以下
    を含み、残部Feおよび不可避的不純物からなる組成と、
    体積率で、50%以上のマルテンサイト相と、3〜15%のオーステナイト相と、残部がフェライト相からなる組織を有し、かつ
    前記オーステナイト相中のNi濃度(CNiγ(質量%)と前記マルテンサイト相中のNi濃度(CNi(質量%)との比、(CNiγ/(CNiが、1.15以上である
    ことを特徴とする低温靭性に優れた高強度ステンレス厚鋼板。
  2. 前記組織が、前記フェライト相中に、前記マルテンサイト相の一部を粒径10μm以下の粒状で、フェライト粒100μmあたり3.0個以上含む組織であることを特徴とする請求項1に記載の高強度ステンレス厚鋼板。
  3. 前記組成に加えてさらに、質量%で、Cu:3.5%以下を含む組成とすることを特徴とする請求項1または2に記載の高強度ステンレス厚鋼板。
  4. 前記組成に加えてさらに、質量%で、Nb:0.2%以下、Ti:0.3%以下、Zr:0.2%以下、W:3.0%以下のうちから選ばれた1種または2種以上を含む組成とすることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の高強度ステンレス厚鋼板。
  5. 前記組成に加えてさらに、質量%で、Ca:0.01%以下、REM:0.01%以下のうちから選ばれた1種または2種を含む組成とすることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の高強度ステンレス厚鋼板。
  6. 鋼素材に、加熱工程と熱間圧延工程とを施し、所定板厚の厚鋼板とするにあたり、
    前記鋼素材を、質量%で、
    C :0.050%以下、 Si:0.50%以下、
    Mn:0.20〜1.80%、 Cr:15.5〜18.0%、
    Ni:1.5〜5.0%、 Mo:1.0〜3.5%、
    V :0.02〜0.20%、 Al:0.05%以下、
    N :0.01〜0.15%、 O :0.006%以下
    を含み、残部Feおよび不可避的不純物からなる組成の鋼素材とし、
    前記加熱工程が、前記鋼素材を加熱温度:1100〜1350℃に加熱する工程とし、
    前記熱間圧延工程を、熱間圧延を途中で中断し、板厚中心温度で900℃以上の温度から冷却を開始し、該冷却を開始した温度から少なくとも50℃以上で、かつ800℃以上となる冷却停止温度まで、板厚中心温度で2.0℃/s以上の平均冷却速度で冷却する加速冷却工程を施したのち、前記熱間圧延を再開し、前記所定板厚の厚鋼板とする工程とし、
    該熱間圧延工程後に、板厚中心温度で500℃以下の温度まで冷却し、しかるのちに550〜980℃の範囲の温度に加熱し、冷却する熱処理を少なくとも1回行う熱処理工程を施す
    ことを特徴とする低温靭性に優れた高強度ステンレス厚鋼板の製造方法。
  7. 前記熱間圧延を途中で中断し、前記加速冷却工程を施すに際し、熱間圧延の途中の鋼板温度が、板厚中心温度が900℃未満となる場合には、板厚中心温度で900℃以上の温度に加熱する熱延中加熱処理を施し、しかるのちに前記加速冷却工程を施すことを特徴とする請求項6に記載の高強度ステンレス厚鋼板の製造方法。
  8. 鋼素材に、加熱工程と熱間圧延工程とを施し、所定板厚の厚鋼板とするにあたり、
    前記鋼素材を、質量%で、
    C :0.050%以下、 Si:0.50%以下、
    Mn:0.20〜1.80%、 Cr:15.5〜18.0%、
    Ni:1.5〜5.0%、 Mo:1.0〜3.5%、
    V :0.02〜0.20%、 Al:0.05%以下、
    N :0.01〜0.15%、 O :0.006%以下
    を含み、残部Feおよび不可避的不純物からなる組成の鋼素材とし、
    前記加熱工程が、前記鋼素材を加熱温度:1100〜1350℃に加熱する工程とし、
    前記熱間圧延工程が、前記加熱工程を施された前記鋼素材に直ちに、冷却を開始し、該冷却を開始した温度を冷却開始温度とし、該冷却開始温度から少なくとも50℃以上で、かつ800℃以上となる冷却停止温度まで、板厚中心温度で2.0℃/s以上の平均冷却速度で冷却する加速冷却工程を施したのち、前記熱間圧延を施し、前記所定板厚の厚鋼板とする工程であり、
    該熱間圧延工程後に、板厚中心温度で500℃以下の温度まで冷却し、しかるのちに550〜980℃の範囲の温度に加熱し、冷却する熱処理を少なくとも1回行う熱処理工程を施す
    ことを特徴とする高強度ステンレス厚鋼板の製造方法。
  9. 鋼素材に、加熱工程と熱間圧延工程とを施し、所定板厚の厚鋼板とするにあたり、
    前記鋼素材を、質量%で、
    C :0.050%以下、 Si:0.50%以下、
    Mn:0.20〜1.80%、 Cr:15.5〜18.0%、
    Ni:1.5〜5.0%、 Mo:1.0〜3.5%、
    V :0.02〜0.20%、 Al:0.05%以下、
    N :0.01〜0.15%、 O :0.006%以下
    を含み、残部Feおよび不可避的不純物からなる組成の鋼素材とし、
    前記加熱工程が、前記鋼素材を加熱温度:1100〜1350℃に加熱する工程であり、
    該加熱工程を施したのち、前記熱間圧延工程を、圧延終了温度が900℃以上となる熱間圧延を施す工程とし、
    該熱間圧延工程終了後、厚鋼板の板厚中心温度で900℃以上の温度から冷却を開始し、該冷却を開始した温度から少なくとも50℃以上で、かつ800℃以上となる冷却停止温度まで、板厚中心温度で2.0℃/s以上の平均冷却速度で冷却する加速冷却工程を施し、
    該加速冷却工程終了後、さらに板厚中心温度で500℃以下の温度まで冷却し、しかるのちに550〜980℃の範囲の温度に加熱し、冷却する熱処理を少なくとも1回行う熱処理工程を施す
    ことを特徴とする低温靭性に優れた高強度ステンレス厚鋼板の製造方法。
  10. 前記組成に加えてさらに、質量%で、Cu:3.5%以下を含む組成とすることを特徴とする請求項6ないし9のいずれかに記載の高強度ステンレス厚鋼板の製造方法。
  11. 前記組成に加えてさらに、質量%で、Nb:0.2%以下、Ti:0.3%以下、Zr:0.2%以下、W:3.0%以下のうちから選ばれた1種または2種以上を含む組成とすることを特徴とする請求項6ないし10のいずれかに記載の高強度ステンレス厚鋼板の製造方法。
  12. 前記組成に加えてさらに、質量%で、Ca:0.01%以下、REM:0.01%以下のうちから選ばれた1種または2種を含む組成とすることを特徴とする請求項6ないし11のいずれかに記載の高強度ステンレス厚鋼板の製造方法。
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