JP2016132681A - ポリアミド樹脂組成物 - Google Patents
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Abstract
【課題】高温環境下においても、優れた機械的強度を有し、表面外観に優れたポリアミド樹脂組成物を提供することができる。
【解決手段】テレフタル酸と1,10−デカンジアミンを主成分とするポリアミド(A)と、テレフタル酸と1,10−デカンジアミンを主成分としポリアミド(A)より低粘度のポリアミド(B)を含有し、(A)と(B)の相対粘度の差が0.30以上であり、(A)/(B)=50/50〜90/10(質量比)であることを特徴とするポリアミド樹脂組成物。
【選択図】なし
【解決手段】テレフタル酸と1,10−デカンジアミンを主成分とするポリアミド(A)と、テレフタル酸と1,10−デカンジアミンを主成分としポリアミド(A)より低粘度のポリアミド(B)を含有し、(A)と(B)の相対粘度の差が0.30以上であり、(A)/(B)=50/50〜90/10(質量比)であることを特徴とするポリアミド樹脂組成物。
【選択図】なし
Description
本発明は、ポリアミド樹脂組成物に関するものである。
半芳香族ポリアミドは、耐熱性や機械的強度に優れていることから、自動車のエンジン周りや電気・電子部品等の成形材料として広く用いられている(特許文献1、2等)。
半芳香族ポリアミドは、機械的強度をさらに向上させる目的で、ガラス繊維等の繊維状強化材を含有させると、繊維状強化材が成形品表面に浮いたり、表面がざらついたりするなど表面外観が悪化する問題がある。
従来、これらの半芳香族ポリアミド成形品の表面外観の悪化の問題は、低粘度の樹脂を含有させたり、射出成形時の金型温度を上げることにより解決が図られていた。しかしながら、さらなる強度向上の要求にしたがい繊維状強化剤等の充填量を増やした場合、低粘度の樹脂の配合では表面外観の改良が不十分であったり、耐熱性が低下するという問題があった。また、金型温度を上昇させると、樹脂が着色しやすいほか、余計な熱エネルギーが必要となり経済的に不利である。
本発明は、上記問題を解決するものであって、高温環境下においても、優れた機械的強度を有し、表面外観に優れたポリアミド樹脂組成物を提供することを目的とする。
本発明者らは、前記課題を解決するため鋭意研究を重ねた結果、相対粘度の異なる2種以上のポリアミド10Tを混合して用いることにより、上記課題が解決できることを見出し、本発明に到達した。
すなわち、本発明の要旨は下記の通りである。
(1)テレフタル酸と1,10−デカンジアミンを主成分とするポリアミド(A)と、テレフタル酸と1,10−デカンジアミンを主成分としポリアミド(A)より低粘度のポリアミド(B)を含有し、(A)と(B)の相対粘度の差が0.30以上であり、(A)/(B)=50/50〜90/10(質量比)であることを特徴とするポリアミド樹脂組成物。
(2)ポリアミド(A)とポリアミド(B)の合計100質量部に対し、さらに繊維状強化材(C)を5〜200質量部含有することを特徴とする(1)記載のポリアミド樹脂組成物。
(3)(1)または(2)に記載のポリアミド樹脂組成物からなる成形体。
(1)テレフタル酸と1,10−デカンジアミンを主成分とするポリアミド(A)と、テレフタル酸と1,10−デカンジアミンを主成分としポリアミド(A)より低粘度のポリアミド(B)を含有し、(A)と(B)の相対粘度の差が0.30以上であり、(A)/(B)=50/50〜90/10(質量比)であることを特徴とするポリアミド樹脂組成物。
(2)ポリアミド(A)とポリアミド(B)の合計100質量部に対し、さらに繊維状強化材(C)を5〜200質量部含有することを特徴とする(1)記載のポリアミド樹脂組成物。
(3)(1)または(2)に記載のポリアミド樹脂組成物からなる成形体。
本発明によれば、高温環境下においても、優れた機械的強度を有し、表面外観に優れたポリアミド樹脂組成物を提供することができる。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明のポリアミド樹脂組成物は、テレフタル酸と1,10−デカンジアミンを主成分とするポリアミド(A)と、テレフタル酸と1,10−デカンジアミンを主成分としポリアミド(A)より低粘度のポリアミド(B)を含有する。
本発明において、「テレフタル酸と1,10−デカンジアミンを主成分とする」とは、芳香族ジカルボン酸成分、脂肪族ジアミン成分において、それぞれ、テレフタル酸、1,10−デカンジアミンを60モル%以上含有するものとする。
ポリアミド(A)や(B)において、テレフタル酸は、芳香族ジカルボン酸成分中、70モル%以上含有することが好ましく、耐熱性の点から、85モル%以上含有することがより好ましい。
芳香族ジカルボン酸成分には、テレフタル酸以外の他のジカルボン酸を含有していてもよい。他のジカルボン酸としては、例えば、フタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸や、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカン二酸、ドデカン二酸等の脂肪族ジカルボン酸や、シロヘキサンジカルボン酸等の脂環式ジカルボン酸が挙げられる。テレフタル酸以外のジカルボン酸を含有する場合、その含有量は、原料モノマーの総モル数に対し、5モル%以下であることが好ましく、実質的に含有しないことがより好ましい。
ポリアミド(A)や(B)において、1,10−デカンジアミンは、脂肪族ジアミン成分中、70モル%以上含有することが好ましく、耐熱性の点から、85モル%以上含有することがより好ましい。
脂肪族ジアミン成分には、1,10−ドデカンジアミン以外の他のジアミンを含有していてもよい。他のジアミンとしては、例えば、1,2−エタンジアミン、1,3−プロパンジアミン、1,4−ブタンジアミン、1,5−ペンタンジアミン、1,6−ヘキサンジアミン、1,7−ヘプタンジアミン、1,8−オクタンジアミン、1,9−ノナンジアミン、1,11−ウンデカンジアミン、1,12−ドデカンジアミン等の脂肪族ジカルボン酸や、シクロヘキサンジアミン等の脂環式ジアミンや、キシリレンジアミン、ベンゼンジアミン等の芳香族ジアミンが挙げられる。1,10−ドデカンジアミン以外の他のジアミンを含有する場合、その含有量は、原料モノマーの総モル数に対し、5モル%以下とすることが好ましく、実質的に含有しないことがより好ましい。
本発明において、ポリアミド(A)や(B)は、分子量が140以上のモノカルボン酸成分を、ポリアミド(A)や(B)を構成する全モノマー成分に対して0.3〜4.0モル%含有することが好ましい。モノカルボン酸成分の含有量は、0.3〜3.0モル%であることがより好ましく、0.3〜2.5モル%であることがさらに好ましく、0.8〜2.5モル%であることが特に好ましい。モノカルボン酸成分の分子量は、170以上であることがさらに好ましい。分子量が140以上のモノカルボン酸成分を0.3〜4.0モル%含有することにより、溶融加工時の流動性がより向上する。さらに、流動性がより向上することにより、溶融加工温度を下げることが可能となり、結果として溶融加工時の滞留安定性も向上する。
モノカルボン酸成分としては、脂肪族モノカルボン酸、脂環族モノカルボン酸、芳香族モノカルボン酸が挙げられ、溶融加工時の流動性の点から、脂肪族モノカルボン酸が好ましい。
分子量が140以上の脂肪族モノカルボン酸としては、例えば、カプリル酸、ノナン酸、デカン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸が挙げられる。中でも、汎用性が高いことから、ステアリン酸が好ましい。
分子量が140以上の脂環族モノカルボン酸としては、例えば、4−エチルシクロヘキサンカルボン酸、4−へキシルシクロヘキサンカルボン酸、4−ラウリルシクロヘキサンカルボン酸が挙げられる。
分子量が140以上の芳香族モノカルボン酸としては、例えば、4−エチル安息香酸、4−へキシル安息香酸、4−ラウリル安息香酸、アルキル安息香酸類、1−ナフトエ酸、2−ナフトエ酸およびそれらの誘導体が挙げられる。
モノカルボン酸成分は、単独で用いてもよいし、複数種を併用してもよい。また、分子量が140以上のモノカルボン酸と分子量が140未満のモノカルボン酸を併用してもよい。なお、本発明において、モノカルボン酸の分子量は、原料のモノカルボン酸の分子量を指す。
ポリアミド(A)や(B)には、必要に応じて、カプロラクタムやラウロラクタム等のラクタム類、アミノカプロン酸、11−アミノウンデカン酸等のω−アミノカルボン酸を含有してもよい。
本発明において、ポリアミド(A)や(B)の融点は、300〜350℃であることが好ましく、310〜350℃であることがより好ましく、315〜350℃であることがさらに好ましい。融点が300℃未満の場合、得られるポリアミド樹脂組成物の耐熱性が不十分となる場合がある。一方、融点が350℃を超える場合、ポリアミド結合の分解温度が約350℃であるため、溶融加工時に炭化や分解が進行するので好ましくない。なお、本発明において、融点は、示差走査熱量計(DSC)にて、昇温速度20℃/分で昇温した際の吸熱ピークのトップとする。
本発明において、ポリアミド(A)と(B)の相対粘度の差は、0.30以上であることが必要で、0.35以上であることが好ましい。単独のポリアミド10Tのみの使用や相対粘度の差が0.30未満の場合、成形体とした場合の表面外観が不良なものとなるので好ましくない。なお、本発明において、相対粘度は、96%硫酸中、25℃、濃度1g/dLの条件下で測定された値とする。
本発明において、ポリアミド(A)と(B)の混合物の相対粘度は、2.30以上であることが好ましく、2.40以上であることがより好ましい。混合物の相対粘度が2.30未満の場合、機械的強度や耐熱性が不十分なものとなる場合がある。
本発明において、ポリアミド(A)と(B)の含有割合[(A)/(B)]は、50/50〜90/10(質量%)であることが必要で、50/50〜80/20(質量%)であることが好ましい。(A)の含有割合が(A)と(B)の合計に対して20質量%未満である場合、ポリアミド(A)に(B)を混合した場合の機械的強度の低下を抑制することができないので好ましくなく、一方、90質量%を超える場合、溶融加工時の流動性が向上せず、成形体とした場合の表面外観が不良なものとなるので好ましくない。
ポリアミド(A)や(B)の製造方法は特に限定されないが、従来から知られている加熱重合法や溶液重合法の方法を用いることができる。中でも、工業的に有利であることから、加熱重合法が好ましく用いられる。加熱重合法としては、テレフタル酸と、1,10−デカンジアミンとから反応物を得る工程(i)と、得られた反応物を重合する工程(ii)とからなる方法が挙げられる。
工程(i)としては、例えば、テレフタル酸粉末とを混合し、予め1,10−デカンジアミンの融点以上、かつテレフタル酸の融点以下の温度に加熱し、この温度のテレフタル酸粉末とに、テレフタル酸の粉末の状態を保つように、実質的に水を含有させずに、1,10−デカンジアミンを添加する方法が挙げられる。あるいは、別の方法としては、溶融状態の1,10−デカンジアミンと固体のテレフタル酸とからなる懸濁液を攪拌混合し、混合液を得た後、最終的に生成するポリアミド10Tの融点未満の温度で、テレフタル酸と1,10−デカンジアミンの反応による塩の生成反応と、生成した塩の重合による低重合物の生成反応とをおこない、塩および低重合物の混合物を得る方法が挙げられる。この場合、反応をさせながら破砕をおこなってもよいし、反応後に一旦取り出してから破砕をおこなってもよい。工程(i)は、反応物の形状の制御が容易な前者の方が好ましい。
工程(ii)としては、例えば、工程(i)で得られた反応物を、最終的に生成するポリアミド10Tの融点未満の温度で固相重合し、所定の分子量まで高分子量化させ、ポリアミド10Tを得る方法が挙げられる。固相重合は、重合温度180〜270℃、反応時間0.5〜10時間で、窒素等の不活性ガス気流中でおこなうことが好ましい。
工程(i)および工程(ii)の反応装置としては、特に限定されず、公知の装置を用いればよい。工程(i)と工程(ii)を同じ装置で実施してもよいし、異なる装置で実施してもよい。
また、加熱重合法における加熱の方法として、特に限定されないが、水、蒸気、熱媒油等の媒体にて反応容器を加熱する方法、電気ヒーターで反応容器を加熱する方法、攪拌により発生する攪拌熱等内容物の運動に伴う摩擦熱を利用する方法が挙げられる。また、これらの方法を組み合わせてもよい。
ポリアミド(A)や(B)の製造において、重合の効率を高めるため重合触媒を用いてもよい。重合触媒としては、例えば、リン酸、亜リン酸、次亜リン酸またはそれらの塩が挙げられる。重合触媒の添加量は、通常、ポリアミド(A)や(B)を構成する全モノマー成分に対して、2モル%以下であることが好ましい。
本発明のポリアミド樹脂組成物は、さらに、繊維状強化材(C)を含有することが好ましい。繊維状強化材(C)としては、特に限定されないが、例えば、ガラス繊維、炭素繊維、ボロン繊維、アスベスト繊維、ポリビニルアルコール繊維、ポリエステル繊維、アクリル繊維、全芳香族ポリアミド繊維、ポリベンズオキサゾール繊維、ポリテトラフルオロエチレン繊維、ケナフ繊維、竹繊維、麻繊維、バガス繊維、高強度ポリエチレン繊維、アルミナ繊維、炭化ケイ素繊維、チタン酸カリウム繊維、黄銅繊維、ステンレス繊維、スチール繊維、セラミックス繊維、玄武岩繊維が挙げられる。中でも、機械的強度の向上効果が高く、ポリアミド10Tとの溶融混練時の加熱温度に耐え得る耐熱性を有し、入手しやすいことから、ガラス繊維や炭素繊維が好ましい。
ガラス繊維や炭素繊維を用いる場合、ガラス繊維、炭素繊維は、集束剤で表面処理されていることが好ましい。集束剤の主成分は、被膜形成剤やカップリング剤であることが好ましい。カップリング剤としては、例えば、ビニルシラン系、アクリルシラン系、エポキシシラン系、アミノシラン系、アミノチタン系が挙げられる。中でも、ポリアミドとガラス繊維や炭素繊維との密着効果が高く、耐熱性に優れることから、アミノシラン系カップリング剤が好ましい。被膜形成剤としては、例えば、ウレタン系、エポキシ系、アクリル系の樹脂が挙げられ、中でも、ガラス繊維や炭素繊維との密着効果が高く、耐熱性に優れることから、ウレタン系が好ましい。被膜形成剤には、ポリアミド樹脂組成物の耐加水分解性が向上することから、酸成分を含有することが好ましい。酸成分は、被膜形成剤の主成分である樹脂に共重合していることが好ましい。酸成分としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、ケイ皮酸等の不飽和モノカルボン酸や、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸等の不飽和ジカルボン酸や、無水マレイン酸が挙げられる。
繊維状強化材(C)の繊維長、繊維径は、特に限定されないが、繊維長は0.1〜7mmであることが好ましく、0.5〜6mmであることがより好ましい。繊維状強化材(C)の繊維長が0.1〜7mmであることにより、成形性に悪影響を及ぼすことなく、ポリアミド樹脂組成物を補強することができる。また、繊維径は3〜20μmであることが好ましく、5〜13μmであることがさらに好ましい。繊維径を3〜20μmとすることにより、溶融混練時に折損させることなく、ポリアミド樹脂組成物を補強することができる。繊維状強化材(C)の断面形状としては、例えば、円形、長方形、楕円、それ以外の異形断面が挙げられる。中でも、円形が好ましい。
繊維状強化材(C)を用いる場合、その含有量は、ポリアミド(A)と(B)の合計100質量部に対し、5〜200質量部であることが好ましく、50〜200質量部であることがより好ましく、100〜150質量部であることがさらに好ましい。繊維状強化材(C)の含有量が5質量部未満であると、機械的強度の向上効果が小さい場合がある。一方、含有量が200質量部を超えると、機械的強度の向上効果が飽和しそれ以上の向上効果が見込めないばかりでなく、溶融混練時の作業性が低下し、ポリアミド樹脂組成物のペレットを得ることが困難になる場合がある。また、溶融加工時の流動性が大幅に損なわれるために、せん断発熱により樹脂温度が高くなったり、流動性を向上させるために樹脂温度を高くせざるを得ない状況になるため、結果的に分子量低下や機械的強度の低下を招く場合がある。
本発明のポリアミド樹脂組成物は、酸化防止剤、光安定剤、熱安定剤等の各種安定剤を含有してもよい。酸化防止剤としては、例えば、ヒンダードフェノール系酸化防止剤、硫黄系酸化防止剤、リン系酸化防止剤が挙げられ、光安定剤としては、ヒンダードアミン系光安定剤が挙げられ、熱安定剤としては、銅化合物やハロゲン化アルカリ金属化合物の混合物が挙げられる。
ヒンダードフェノール系酸化防止剤としては、例えば、n−オクタデシル−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート、n−オクタデシル−3−(3’−メチル−5’−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート、n−テトラデシル−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート、1,6−ヘキサンジオール−ビス−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート]、1,4−ブタンジオール−ビス−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート]、2,2’−メチレンビス−(4−メチル−t−ブチルフェノール)、トリエチレングリコール−ビス−[3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート]、テトラキス[メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、3,9−ビス[2−{3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ}−1,1−ジメチルエチル]2,4,8,10−テトラオキサスピロ(5,5)ウンデカン、N,N’−ビス−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオニルヘキサメチレンジアミン、N,N’−テトラメチレン−ビス−3−(3’−メチル−5’−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェノール)プロピオニルジアミン、N,N’−ビス−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェノール)プロピオニル]ヒドラジン、N−サリチロイル−N’−サリチリデンヒドラジン、3−(N−サリチロイル)アミノ−1,2,4−トリアゾール、N,N’−ビス[2−{3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ}エチル]オキシアミド、ペンタエリスリチル−テトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、N,N’−ヘキサメチレンビス−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシンナマイドが挙げられる。中でも、トリエチレングリコール−ビス−[3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート]、テトラキス[メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、1,6−ヘキサンジオール−ビス−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート]、ペンタエリスリチル−テトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、N,N’−ヘキサメチレンビス−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシンナマイドが挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、複数種を併用してもよい。市販のヒンダードフェノール系酸化防止剤としては、例えば、アデカ社製“アデカスタブ”AO−20,AO−30,AO−40,AO−50,AO−60,AO−70,AO−80,AO−330、チバスペシャリティケミカル社製“イルガノックス”245,259,565,1010,1035,1076,1098,1222,1330,1425,1520,3114,5057、住友化学工業社製“スミライザー”BHT−R、MDP−S、BBM−S、WX−R、NW、BP−76、BP−101、GA−80、GM、GS、サイアナミド社製“サイアノックス”CY−1790が挙げられる。
硫黄系酸化防止剤としては、例えば、ジステアリル3,3’−チオジプロピオネート、ペンタエリスリチルテトラキス(3−ラウリルチオプロピオネート)、2−メルカプトベンズイミダゾール、ジドデシル3,3’−チオジプロピオネート、ジオクタデシル3,3’−チオジプロピオネート、ジトリデシル3,4’−チオジプロピオネート、2,2−ビス[[3−(ドデシルチオ)−1−オキソプロポキシ]メチル]−1,3−プロパンジイルエステル挙げられる。中でも、ジステアリル3,3’−チオジプロピオネート、ペンタエリスリチルテトラキス(3−ラウリルチオプロピオネート)が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、複数種を併用してもよい。市販の硫黄系酸化防止剤としては、例えば、住友化学工業社製“スミライザー”TP−D、MBが挙げられる。
リン系酸化防止剤は、無機化合物でも有機化合物いずれでもよい。リン系酸化防止剤としては、例えば、リン酸一ナトリウム、リン酸二ナトリウム、リン酸三ナトリウム、亜リン酸ナトリウム、亜リン酸カルシウム、亜リン酸マグネシウム、亜リン酸マンガン等の無機リン酸塩、トリフェニルホスファイト、トリオクタデシルホスファイト、トリデシルホスファイト、トリノニルフェニルホスファイト、ジフェニルイソデシルホスファイト、ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(ノニルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、1,1′−ビフェニル−4,4′−ジイルビス[亜ホスホン酸ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)]、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)4,4’−ビフェニレン−ジ−ホスホナイト、テトラ(トリデシル−4,4’−イソプロピリデンジフェニルジホスファイト、2,2−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)オクチルホスファイト等の有機リン化合物が挙げられる。これらは、単独で用いてもよいし、複数種を併用してもよい。市販のリン系酸化防止剤としては、例えば、アデカ社製“アデカスタブ”PEP−8、PEP−36、PEP−4C、PEP−24G、クラリアントジャパン社製“ホスタノックス”P−EPQが挙げられる。
ヒンダードアミン系光安定剤としては、テトラキス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)ブタン−1,2,3,4−テトラカルボキシレート、テトラキス(2,2,6,6−テトラメチル−1−4−ピペリジル)ブタン−1,2,3,4−テトラカルボキシレート、コハク酸ジメチル・1−(2ヒドロキシエチル)−4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジン重縮合物、セバシン酸ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)、ポリ[(6−モルフォリノ−S−トリアジン−2,4−ジイル)〔2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル〕イミノ]−ヘキサメチレン[(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ]が挙げられる。これらは、単独で用いてもよいし、複数種を併用してもよい。市販の安定剤としては、例えば、クラリアントジャパン社製“ナイロスタブ”S−EED、共同薬品社製“バイオソーブ”04、サイテック社製“サイアソーブ”UV−3346、アデカ社製“アデカスタブ”LA−57、LA−63P、LA−68、BASF社製“チマソーブ”119、944、“チヌビン”622、765が挙げられる。
銅化合物としては、例えば、塩化第一銅、塩化第二銅、臭化第一銅、臭化第二銅、ヨウ化第一銅、酢酸銅、プロピオン酸銅、安息香酸銅、アジピン酸銅、テレフタル酸銅、イソフタル酸銅、硫酸銅、リン酸銅、ホウ酸銅、硝酸銅、ステアリン酸銅、キレート剤に配位した銅錯塩が挙げられる。また、ハロゲン化アルカリ金属化合物としては、例えば、ヨウ化カリウム、臭化カリウム、塩化カリウム、ヨウ化ナトリウム、臭化ナトリウム、塩化ナトリウムが挙げられる。銅化合物やハロゲン化アルカリ金属化合物は、単独で用いてもよいし、複数種を併用してもよい。
安定剤を用いる場合、その含有量は、ポリアミド(A)と(B)の合計100質量部に対し、0.005〜3質量部であることが好ましく、0.1〜1質量部であることがより好ましい。
本発明のポリアミド樹脂組成物には、溶融加工時の流動性をさらに向上させるため、ポリアミド(A)や(B)以外のポリアミドを含有してもよい。
ポリアミド(A)や(B)以外のポリアミドとしては特に限定されないが、半芳香族ポリアミド、脂肪族ポリアミドが挙げられる。
ポリアミド(A)や(B)以外の半芳香族ポリアミドとしては、非晶性であるか、融点が300℃未満の半芳香族ポリアミドが挙げられ、具体的な例としては、テレフタル酸とイソフタル酸と1,10−デカンジアミンとの共重合体が挙げられる。
ポリアミド(A)や(B)以外の脂肪族ポリアミドとしては、例えば、ポリアミド6、ポリアミド11、ポリアミド12、ポリアミド46、ポリアミド410、ポリアミド412、ポリアミド510、ポリアミド512、ポリアミド66、ポリアミド610、ポリアミド612、ポリアミド1010、ポリアミド1012、ポリアミド6/66、ポリアミド66/1010、ポリアミド66/612、ポリアミド2Me5C、ポリアミド6C、ポリアミド8C、ポリアミド9C、ポリアミド10C、ポリアミド12Cが挙げられる。なお、Cは1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、Meは2−メチルペンタメチレンジアミンを意味する。
ポリアミド(A)や(B)以外のポリアミドを用いる場合、その含有量は、ポリアミド(A)と(B)の合計100質量部に対し、1〜100質量部であることが好ましく、3〜50質量部であることがより好ましく、3〜30質量部であることがさらに好ましい。ポリアミド(A)と(B)以外のポリアミドを、ポリアミド(A)と(B)の合計100質量部に対して1〜100質量部含有することにより、溶融加工時の流動性がさらに向上し、成形体とした場合の表面外観がより向上する。さらには、流動性が向上するため、溶融加工の温度を低下させることが可能となり、溶融加工時の滞留安定性が向上する。含有量が1質量部未満であると、前記効果が得られない場合がある。一方、含有量が100質量部を超えると、ポリアミド(A)や(B)が有する耐熱性、機械的強度を損なう場合がある。
本発明のポリアミド樹脂組成物には、必要に応じて、その他の充填材、着色剤、帯電防止剤等の添加剤をさらに含有してもよい。充填材としては、例えば、タルク、膨潤性粘土鉱物、シリカ、アルミナ、ガラスビーズ、グラファイトが挙げられる。着色剤としては、例えば、酸化チタン、カーボンブラック等の顔料、ニグロシン等の染料が挙げられる。特にニグロシンを含有することにより、ポリアミド樹脂組成物の溶融加工時の流動性がより向上し、成形体とした場合の表面外観がより向上する。
本発明において、ポリアミド(A)、(B)、必要に応じて、添加される繊維状強化材(C)や各種安定剤等を配合して、ポリアミド樹脂組成物を製造する方法は、特に限定されないが、溶融混練法が好ましい。溶融混練法としては、ブラベンダー等のバッチ式ニーダー、バンバリーミキサー、ヘンシェルミキサー、ヘリカルローター、ロール、一軸押出機、二軸押出機等を用いる方法が挙げられる。溶融混練温度は、ポリアミド(A)や(B)が溶融し分解しない温度であれば特に限定されないが、高すぎるとポリアミド(A)や(B)が分解することから、(ポリアミド10Tの融点−20℃)以上、(ポリアミド10Tの融点+40℃)以下とすることが好ましい。
本発明のポリアミド樹脂組成物を様々な形状に加工する方法としては、溶融混合物をストランド状に押出しペレット形状にする方法や、溶融混合物をホットカット、アンダーウォーターカットしてペレット形状にする方法や、シート状に押出しカッティングする方法、ブロック状に押出し粉砕してパウダー形状にする方法が挙げられる。
本発明のポリアミド樹脂組成物の成形方法としては、例えば、射出成形法、押出成形法、ブロー成形法、焼結成形法が挙げられる。中でも、機械的強度、成形性の向上効果が大きいことから、射出成形法が好ましい。
射出成形機としては、特に限定されず、例えば、スクリューインライン式射出成形機またはプランジャ式射出成形機が挙げられる。射出成形機のシリンダー内で加熱溶融されたポリアミド樹脂組成物は、ショットごとに計量され、金型内に溶融状態で射出され、所定の形状で冷却、固化された後、成形体として金型から取り出される。射出成形時の樹脂温度は、(ポリアミド10Tの融点−20℃)以上、(ポリアミド10Tの融点+40℃)未満とすることがより好ましい。
ポリアミド樹脂組成物の溶融加工時には、十分に乾燥されたポリアミド樹脂組成物ペレットを用いることが好ましい。含有する水分量が多いと、射出成形機のシリンダー内で樹脂が発泡し、最適な成形体を得ることが困難となることがある。射出成形に用いるポリアミド樹脂組成物ペレットの水分率は、ポリアミド樹脂組成物100質量部に対して、0.3質量部未満であることが好ましく、0.1質量部未満であることがより好ましい。
本発明のポリアミド樹脂組成物は、自動車部品、電気電子部品、雑貨、土木建築用品等広範な用途の成形体として好適に使用することができる。自動車部品としては、例えば、サーモスタットカバー、インバータのIGBTモジュール部材、インシュレーター部材、インタークーラー部材、エキゾーストフィニッシャー、パワーデバイス筐体、ECU筐体、ECUコネクタ、モーターやコイルの絶縁材、ケーブルの被覆材が挙げられる。電気電子部品としては、例えば、コネクタ、LEDリフレクタ、スイッチ、センサー、ソケット、コンデンサー、ジャック、ヒューズホルダー、リレー、コイルボビン、ブレーカー、電磁開閉器、ホルダー、プラグ、携帯用パソコンやワープロ等の電気機器の筐体部品、抵抗器、IC、LEDのハウジングが挙げられる。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
1.測定方法
ポリアミドおよびポリアミド樹脂組成物の物性測定は以下の方法によりおこなった。
ポリアミドおよびポリアミド樹脂組成物の物性測定は以下の方法によりおこなった。
(1)融点
示差走査熱量計DSC−7型(パーキンエルマー社製)用い、窒素雰囲気下にて昇温速
度20℃/分で370℃まで昇温した後、370℃で5分間保持し、降温速度20℃/分で25℃まで降温し、さらに25℃で5分間保持後、再び昇温速度20℃/分で昇温測定した際の吸熱ピークのトップを融点とした。
示差走査熱量計DSC−7型(パーキンエルマー社製)用い、窒素雰囲気下にて昇温速
度20℃/分で370℃まで昇温した後、370℃で5分間保持し、降温速度20℃/分で25℃まで降温し、さらに25℃で5分間保持後、再び昇温速度20℃/分で昇温測定した際の吸熱ピークのトップを融点とした。
(2)相対粘度
96質量%硫酸を溶媒とし、濃度1g/dL、25℃で測定した。
96質量%硫酸を溶媒とし、濃度1g/dL、25℃で測定した。
(3)引張強度
ポリアミド樹脂組成物を十分に乾燥した後、ファナック製射出成形機(α−100iA)を用いて、樹脂温度330℃、金型温度135℃、成形サイクル25秒の条件で、ISO準拠の成形片を作製した。
得られた成形片を2つ準備し、恒温恒湿槽を備えた島津製作所社製オートグラフを用いて、ISO527に従って、それぞれ、以下の条件で引張強度を測定した。
標準条件下での測定値に対する、高温条件下での測定値の比率を保持率(%)とした。
<標準条件>
常温(23℃)雰囲気下10分以上放置し、同雰囲気下、測定した。
<高温条件>
150℃雰囲気下10分以上放置し、同雰囲気下、測定した。
ポリアミド樹脂組成物を十分に乾燥した後、ファナック製射出成形機(α−100iA)を用いて、樹脂温度330℃、金型温度135℃、成形サイクル25秒の条件で、ISO準拠の成形片を作製した。
得られた成形片を2つ準備し、恒温恒湿槽を備えた島津製作所社製オートグラフを用いて、ISO527に従って、それぞれ、以下の条件で引張強度を測定した。
標準条件下での測定値に対する、高温条件下での測定値の比率を保持率(%)とした。
<標準条件>
常温(23℃)雰囲気下10分以上放置し、同雰囲気下、測定した。
<高温条件>
150℃雰囲気下10分以上放置し、同雰囲気下、測定した。
(4)流動長
ファナック社製射出成形機S2000i−100Bを用いて、得られたポリアミド樹脂組成物を、溶融し、流動させて、バーフロー流動長(mm)を測定した。測定条件は、シリンダー温度330℃、金型温度140℃、射出圧力100MPa、および設定射出速度200mm/秒とした。金型には、厚み2mm、幅20mm、最大流動長750mmの専用金型を用いた。
流動長は、250mm以上を「合格」とした。265mm以上であることがより好ましい。
ファナック社製射出成形機S2000i−100Bを用いて、得られたポリアミド樹脂組成物を、溶融し、流動させて、バーフロー流動長(mm)を測定した。測定条件は、シリンダー温度330℃、金型温度140℃、射出圧力100MPa、および設定射出速度200mm/秒とした。金型には、厚み2mm、幅20mm、最大流動長750mmの専用金型を用いた。
流動長は、250mm以上を「合格」とした。265mm以上であることがより好ましい。
(5)表面外観
(3)で得られた成形片の表面外観を、以下の基準により目視で評価した。
<評価基準>
◎:繊維状強化材の浮きがなく、表面にざらつきがない。
○:繊維状強化材の浮きがあるか、表面にざらつきがあるかのいずれかである。
×:繊維状強化材の浮きがあり、かつ、表面にざらつきがある。
(3)で得られた成形片の表面外観を、以下の基準により目視で評価した。
<評価基準>
◎:繊維状強化材の浮きがなく、表面にざらつきがない。
○:繊維状強化材の浮きがあるか、表面にざらつきがあるかのいずれかである。
×:繊維状強化材の浮きがあり、かつ、表面にざらつきがある。
2.原料
実施例および比較例で用いた原料を以下に示す。
(1)芳香族ジカルボン酸成分
・TPA:テレフタル酸
実施例および比較例で用いた原料を以下に示す。
(1)芳香族ジカルボン酸成分
・TPA:テレフタル酸
(2)脂肪族ジアミン成分
・DDA:1,10−デカンジアミン
・NDA:1,9−ノナンジアミン
・DDA:1,10−デカンジアミン
・NDA:1,9−ノナンジアミン
(3)モノカルボン酸
・STA:ステアリン酸(分子量:284)
・BA:安息香酸(分子量:122)
・STA:ステアリン酸(分子量:284)
・BA:安息香酸(分子量:122)
(4)半芳香族ポリアミド
・ポリアミド10T(P−1)
粉末状のテレフタル酸(TPA)4.80kgと、モノカルボン酸成分としてステアリン酸(STA)0.05kgと、重合触媒として次亜リン酸ナトリウム一水和物9.3gとを、リボンブレンダー式の反応装置に入れ、窒素密閉下、回転数30rpmで撹拌しながら170℃に加熱した。その後、温度を170℃に保ち、かつ回転数を30rpmに保ったまま、液注装置を用いて、1,10−デカンジアミン成分として100℃に加温した1,10−デカンジアミン(DDA)5.15kgを、2.5時間かけて連続的(連続液注方式)に添加し反応物を得た。なお、原料モノマーのモル比は、TPA:DDA:STA=49.3:50.4:0.3(原料モノマーの官能基の当量比率は、TPA:DDA:STA=49.4:50.5:0.1)であった。
続いて、得られた反応物を、同じ反応装置で、窒素気流下、250℃、回転数30rpmで8時間加熱して重合し、ポリアミド10T(P−1)粉末を作製した。
その後、得られた半芳香族ポリアミドの粉末を、二軸混練機を用いてストランド状とし、ストランドを水槽に通して冷却固化し、それをペレタイザーでカッティングしてポリアミド10T(P−1)ペレットを得た。
・ポリアミド10T(P−1)
粉末状のテレフタル酸(TPA)4.80kgと、モノカルボン酸成分としてステアリン酸(STA)0.05kgと、重合触媒として次亜リン酸ナトリウム一水和物9.3gとを、リボンブレンダー式の反応装置に入れ、窒素密閉下、回転数30rpmで撹拌しながら170℃に加熱した。その後、温度を170℃に保ち、かつ回転数を30rpmに保ったまま、液注装置を用いて、1,10−デカンジアミン成分として100℃に加温した1,10−デカンジアミン(DDA)5.15kgを、2.5時間かけて連続的(連続液注方式)に添加し反応物を得た。なお、原料モノマーのモル比は、TPA:DDA:STA=49.3:50.4:0.3(原料モノマーの官能基の当量比率は、TPA:DDA:STA=49.4:50.5:0.1)であった。
続いて、得られた反応物を、同じ反応装置で、窒素気流下、250℃、回転数30rpmで8時間加熱して重合し、ポリアミド10T(P−1)粉末を作製した。
その後、得られた半芳香族ポリアミドの粉末を、二軸混練機を用いてストランド状とし、ストランドを水槽に通して冷却固化し、それをペレタイザーでカッティングしてポリアミド10T(P−1)ペレットを得た。
・ポリアミド10T(P−2)〜(P−9)、ポリアミド9T(P−10)〜(P−11)
樹脂組成を表1に示すように変更した以外は、ポリアミド10T(P−1)と同様にして、ポリアミド10T(P−2)〜(P−9)、ポリアミド9T(P−10)〜(P−11)ペレットを得た。
樹脂組成を表1に示すように変更した以外は、ポリアミド10T(P−1)と同様にして、ポリアミド10T(P−2)〜(P−9)、ポリアミド9T(P−10)〜(P−11)ペレットを得た。
得られたポリアミドの樹脂組成と特性値を表1に示す。
(5)繊維状強化材(C)
・ガラス繊維(日本電気硝子社製、T−262H、平均繊維径10.5μm、平均繊維長3mm、酸共重合物を含んだ被膜形成剤を使用)
・ガラス繊維(日本電気硝子社製、T−262H、平均繊維径10.5μm、平均繊維長3mm、酸共重合物を含んだ被膜形成剤を使用)
実施例1
ポリアミド10T(P−1)80質量部とポリアミド10T(P−4)20質量部を、ロスインウェイト式連続定量供給装置CE−W−1型(クボタ社製)を用いて計量し、スクリュー径26mm、L/D50の同方向二軸押出機TEM26SS型(東芝機械社製)の主供給口に供給して、溶融混練をおこなった。ダイスからストランド状に引き取った後、水槽に通して冷却固化し、それをペレタイザーでカッティングしてポリアミド樹脂組成物ペレットを得た。押出機のバレル温度設定は、(ポリアミド10Tの融点+5℃)〜(ポリアミド10Tの融点+15℃)、スクリュー回転数250rpm、吐出量25kg/時間とした。
ポリアミド10T(P−1)80質量部とポリアミド10T(P−4)20質量部を、ロスインウェイト式連続定量供給装置CE−W−1型(クボタ社製)を用いて計量し、スクリュー径26mm、L/D50の同方向二軸押出機TEM26SS型(東芝機械社製)の主供給口に供給して、溶融混練をおこなった。ダイスからストランド状に引き取った後、水槽に通して冷却固化し、それをペレタイザーでカッティングしてポリアミド樹脂組成物ペレットを得た。押出機のバレル温度設定は、(ポリアミド10Tの融点+5℃)〜(ポリアミド10Tの融点+15℃)、スクリュー回転数250rpm、吐出量25kg/時間とした。
実施例2
ポリアミド10T(P−1)80質量部とポリアミド10T(P−4)20質量部を、ロスインウェイト式連続定量供給装置CE−W−1型(クボタ社製)を用いて計量し、スクリュー径26mm、L/D50の同方向二軸押出機TEM26SS型(東芝機械社製)の主供給口に供給して、溶融混練をおこなった。途中、サイドフィーダーより繊維状強化材(C)50質量部を供給し、さらに混練をおこなった。ダイスからストランド状に引き取った後、水槽に通して冷却固化し、それをペレタイザーでカッティングしてポリアミド樹脂組成物ペレットを得た。押出機のバレル温度設定は、(ポリアミド10Tの融点+5℃)〜(ポリアミド10Tの融点+15℃)、スクリュー回転数250rpm、吐出量25kg/時間とした。
ポリアミド10T(P−1)80質量部とポリアミド10T(P−4)20質量部を、ロスインウェイト式連続定量供給装置CE−W−1型(クボタ社製)を用いて計量し、スクリュー径26mm、L/D50の同方向二軸押出機TEM26SS型(東芝機械社製)の主供給口に供給して、溶融混練をおこなった。途中、サイドフィーダーより繊維状強化材(C)50質量部を供給し、さらに混練をおこなった。ダイスからストランド状に引き取った後、水槽に通して冷却固化し、それをペレタイザーでカッティングしてポリアミド樹脂組成物ペレットを得た。押出機のバレル温度設定は、(ポリアミド10Tの融点+5℃)〜(ポリアミド10Tの融点+15℃)、スクリュー回転数250rpm、吐出量25kg/時間とした。
実施例3〜13、比較例1〜3、参考例2〜8
ポリアミド樹脂組成物の組成を表2に示すように変更した以外は、実施例2と同様の操作をおこなってポリアミド樹脂組成物ペレットを得た。
ポリアミド樹脂組成物の組成を表2に示すように変更した以外は、実施例2と同様の操作をおこなってポリアミド樹脂組成物ペレットを得た。
参考例1
ポリアミド樹脂組成物の組成を表2に示すように変更した以外は、実施例1と同様の操作をおこなってポリアミド樹脂組成物ペレットを得た。
ポリアミド樹脂組成物の組成を表2に示すように変更した以外は、実施例1と同様の操作をおこなってポリアミド樹脂組成物ペレットを得た。
得られたポリアミド樹脂組成物ペレットを用い、各種評価試験をおこなった。その結果を表2に示す。
実施例1〜5、10の樹脂組成物は、本発明の要件を満足するため、高温環境下においても、参考例1〜6の引張強度が維持され、成形体とした場合の表面外観が良好なものであった。
実施例6〜9の樹脂組成物は、本発明の要件を満足するため、高温環境下においても、参考例3の引張強度が維持され、成形体とした場合の表面外観が良好なものであった。
実施例10〜12の樹脂組成物は、高温環境下においても、参考例6の引張強度が維持され、成形体とした場合の表面外観が良好なものであった。
実施例13の樹脂組成物は、高温環境下においても、参考例5の引張強度が維持され、成形体とした場合の表面外観が良好なものであった。
実施例6〜9の樹脂組成物は、本発明の要件を満足するため、高温環境下においても、参考例3の引張強度が維持され、成形体とした場合の表面外観が良好なものであった。
実施例10〜12の樹脂組成物は、高温環境下においても、参考例6の引張強度が維持され、成形体とした場合の表面外観が良好なものであった。
実施例13の樹脂組成物は、高温環境下においても、参考例5の引張強度が維持され、成形体とした場合の表面外観が良好なものであった。
ポリアミド10Tを用いた実施例3および比較例3と、ポリアミド9Tを用いた比較例7と8の対比から、ポリアミド9Tを用いた場合は、引張強度が低下しているにもかかわらず、ポリアミド10Tを用いた場合は、高温環境下においても、引張強度が維持されていることがわかる。
比較例1の樹脂組成物は、用いたポリアミド10Tの相対粘度の差が0.3未満であったため、成形体とした場合の表面外観が悪かった。
比較例2の樹脂組成物は、用いたポリアミド10Tの混合比率が本発明の規定外であったため、成形体とした場合の表面外観が不良であった。
比較例3の樹脂組成物は、用いたポリアミド10Tの混合比率が本発明の規定外であったため、引張強度や保持率が低かった。
比較例2の樹脂組成物は、用いたポリアミド10Tの混合比率が本発明の規定外であったため、成形体とした場合の表面外観が不良であった。
比較例3の樹脂組成物は、用いたポリアミド10Tの混合比率が本発明の規定外であったため、引張強度や保持率が低かった。
Claims (3)
- テレフタル酸と1,10−デカンジアミンを主成分とするポリアミド(A)と、テレフタル酸と1,10−デカンジアミンを主成分としポリアミド(A)より低粘度のポリアミド(B)を含有し、(A)と(B)の相対粘度の差が0.30以上であり、(A)/(B)=50/50〜90/10(質量比)であることを特徴とするポリアミド樹脂組成物。
- ポリアミド(A)とポリアミド(B)の合計100質量部に対し、さらに繊維状強化材(C)を5〜200質量部含有することを特徴とする請求項1に記載のポリアミド樹脂組成物。
- 請求項1または2に記載のポリアミド樹脂組成物からなる成形体。
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JP2015006087A JP2016132681A (ja) | 2015-01-15 | 2015-01-15 | ポリアミド樹脂組成物 |
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