本発明の上記した作用および利得は、以下に説明する発明を実施するための形態から明らかにされる。以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明する。ただし、本発明はこれらの形態に限定されるものではない。なお、図では、一部の符号を省略することがある。
図1は、本発明の一の実施形態に係るハンドレール殺菌装置40が適用される乗客コンベア100の概略構成図である。乗客コンベア100は、上層階と下層階との間で乗客を輸送するエスカレータである。乗客コンベア100は、乗客コンベア全体を下方から支持する、例えば金属板製の支持構造部11を備える。支持構造部11は、上層階の乗降口12aに配設される上部支持構造部11a、下層階の乗降口12bに配設される下部支持構造部11b、及び、上部支持構造部11aと下部支持構造部11bとの間を傾斜した状態で連結する傾斜支持構造部11cとを有している。
支持構造部11内には、連なった状態で上層階と下層階との間を移動する多数のステップ13、13、…(以下において単に「ステップ13」ということがある。)が配設されている。ステップ13は、乗客を載せて移動する部材であり、乗客がその上に乗る踏板面を有している。ステップ13が上方に露出する往路領域では、各ステップ13は階段状をなして移動する。他方、支持構造部11内に位置する下方の復路領域では、各ステップ13の踏板面がそれぞれ略同一面をなした状態で移動する。
上部支持構造部11a内には、モータ及び減速機等を含む駆動ユニット(不図示)が配設されている。駆動ユニットには、ステップ13の幅方向(図1の紙面垂直方向)両側に、一対の駆動スプロケット14、14が連結されており、一対の駆動スプロケット14、14は駆動ユニットに駆動されることにより回転する。また、上部支持構造部11a内には、駆動ユニットを含む乗客コンベア全体を制御する乗客コンベア制御盤20が配置されている。
他方、下部支持構造部11b内には、ステップ13の幅方向両側に一対の従動スプロケット15、15が配設されている。そして、上部支持構造部11a内の一対の駆動スプロケット14、14と、下部支持構造部11b内の一対の従動スプロケット15、15とに、一対の無端状のステップチェーン16、16が巻き掛けられている。これら一対のステップチェーン16、16に、各ステップ13の幅方向両側端部がそれぞれ連結されている。駆動ユニットが一対の駆動スプロケット14、14を駆動することにより、ステップ13、13、…は階段状をなしながら上層階と下層階との間を下り移動または上り移動する。なお、以下においては、乗客コンベア100が下り運転されている場合、すなわち階段状をなすステップ13、13、…が矢印Aの方向に移動している場合を想定して説明する。
支持構造部11の上には、ステップ13の両側に、一対の側壁17、17が立設されている。一対の側壁17、17は、金属板または樹脂板によって形成されている。一対の欄幹部17、17の該周縁部にはガイドレール(不図示)が設けられており、このガイドレールに沿って無端状のハンドレール30が、ステップ13、13、…の移動と同期して周回移動する。乗客はハンドレール30を手でつかんだ状態でステップ13に立って乗客コンベア100を利用することが、安全面から望ましい。
ハンドレール30は、上部支持構造部11aの上部に形成された上部ハンドレール入り込み口18aから支持構造部11外に出て、上層階の乗降口12aにおいてUターンして側壁17の上縁部に沿って矢印A方向に移動し、下層階の乗降口12bにおいて再びUターンして、下部支持構造部11bの上部に形成された下部ハンドレール入り込み口18bから支持構造部11内に進入し、支持構造部11内を通って上層階の乗降口12aの上部ハンドレール入り込み口18aへと移動する。
上部支持構造部11a内であって上部ハンドレール入り込み口18aの近傍には、ハンドレール殺菌装置40が配設されている。また、下部支持構造部11b内であって下部ハンドレール入り込み口18bの近傍にも、ハンドレール殺菌装置40が配設されている。
上層階の乗降口12aおよび下層階の乗降口12bには、乗客が乗降口に来たことを検知する人感センサ19a、19bが配設されている。人感センサ19a、19bはそれぞれ、乗降口12a、12bを挟んだ両側に配設された一対の支柱を有してなり、該一対の支柱の一方には発光器が、他方には受光器が、それぞれ配設されている。受光器は発光器から発せられる光信号を受信可能に配置されている。人感センサ19a、19bは、発光器から受光器に向けて発せられた光信号が遮られたときに、乗客が乗降口に来たことを検知する。
図2は、乗客コンベア100が備えるハンドレール30の、ハンドレール30の移動方向に対して垂直方向の断面の模式図である。図2に示すように、ハンドレール30は、側壁17の周縁部に配設されたガイドレール31に沿って移動する無端状のハンドレール基材32と、ハンドレール基材32の表面に形成されたバリアコート層33とを有する。ハンドレール基材32は、ハンドレール30の形状を維持する十分な強度と可撓性を有する樹脂によって形成されている。バリアコート層33は、ハンドレール30の防汚性を高めつつ、光触媒の酸化作用からハンドレール基材31を保護する層であり、例えば、ポリテトラフルオロエチレン、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリフッ化ビニル、4フッ化エチレン−6フッ化プロピレン共重合体、パーフルオロアルコキシフッ素樹脂等のフッ素樹脂により形成されている。
図3は、乗客コンベア100の下層階の乗降口12b近傍に配設されたハンドレール殺菌装置40を模式的に説明する図である。ハンドレール殺菌装置40は、殺菌ユニット41と、水切り手段43と、水受け器45と、水浄化装置46と、図3には表れていない制御手段50(後述)を有している。水浄化装置46は、水濾過装置47と、水殺菌手段48とを有している。水受け器45に受け容れられた水は配管49aを通じて水濾過装置47に導かれ、水濾過装置47を経た水は配管49bを通じて、水殺菌手段を兼ねる貯水槽48に導かれ、貯水槽(兼水殺菌手段)48から水が配管49cを通じて殺菌ユニット41に再供給される。下層階の乗降口12b近傍に配設されたハンドレール殺菌装置40においては、図1の矢印Aの方向に周回移動するハンドレール30が、殺菌ユニット41及び水切り手段43をこの順に通過するように、殺菌ユニット41及び水切り手段43が配置されている。
殺菌ユニット41は、光触媒の作用によりハンドレール30の表面を殺菌する。図4は、殺菌ユニット41を含むハンドレール殺菌装置40を模式的に説明する図である。なお図4には、殺菌ユニット41とともに、後述する水受け器45の底部45aおよび一対の側壁45d、45eも表れている。図4において、ハンドレール30の移動方向は矢印Aの方向である。図4に示すように、殺菌ユニット41は、光触媒接触手段60と、給水手段70と、光触媒励起手段80とを有している。
光触媒接触手段60は、無端状の光触媒シート61(以下において単に「光触媒シート61」ということがある。)と、駆動ローラ62aと、従動ローラ62bとを有する。光触媒シート61は、第1の表面61a、および、第1の表面61aとは反対側の第2の表面61bを有しており、第1の表面61aには光触媒が担持されている。そして第1の表面61aは無端状の光触媒シート61の外側を向き、第2の表面61bは無端状の光触媒シート61の内側を向いている。光触媒シート61の幅(図4紙面奥行き方向の長さ)は、ハンドレール30の主面の幅(図4紙面奥行き方向の長さ)以上とされている。駆動ローラ62aおよび従動ローラ62bは、光触媒シート61の第2の表面61bに接触して光触媒シート61を周回移動可能に保持している。駆動ローラ62aは電動モータ等の駆動手段(不図示)と接続されており、光触媒シート61の周回移動を駆動する。駆動ローラ62aおよび従動ローラ62bが光触媒シート61を矢印Bの方向に周回移動させながら光触媒シート61の第1の表面61aをハンドレール30の表面に接触させることにより、光触媒シート61の第1の表面61aに担持された光触媒がハンドレール30の表面に接触する。このときハンドレール30と光触媒シート61との接触部分における、ハンドレール30の矢印A方向の移動速度と、光触媒シート61の第1の表面61aの矢印B方向の移動速度とが同一になるように、光触媒シート61の周回移動が駆動される。
給水手段70は、不図示のモータによって駆動されるポンプ71と、ポンプ71に接続されたノズル72とを有する。貯水槽(兼水殺菌手段)48から殺菌ユニット41に供給される水は、ポンプ71によって加圧されて送り出され、配管74を通じてノズル72に導かれ、ノズル72の開口部から光触媒シート61の第1の表面61aに向けて吐出される。水がノズル72の開口部から扇形状(平面的放射状)に広がるように吐出されることにより、光触媒シート61の第1の表面61aに、光触媒シート61の幅方向(紙面奥行き方向)の全体にわたって水が付着する。なおポンプ71からノズル72に至る配管74の途中にはバルブ75が設けられており、ハンドレール殺菌装置40の動作が停止しているときには配管74を遮断する。給水手段70のポンプ71及びノズル72としては、光触媒シート61の幅方向の全体に水を付着させるのに十分な出力を有する限りにおいて、公知の構成のポンプ及びノズルを特に制限なく採用することができる。
図5は、図4のC−C断面図であって、光触媒シート61および光触媒励起手段80を模式的に説明する図である。ただし図5において、光触媒シート61及び光触媒励起手段80以外の要素は省略している。無端状の光触媒シート61は、基材層611と、基材層611の一方の表面に形成された光触媒コート層612とを有する、無端状に形成されたシート状部材である。基材層611は、駆動ロータ62aおよび従動ローラ62bによって駆動される周回移動に十分な強度および可撓性を有する材料によって形成されている。基材層611を形成する材料としては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリフッ化ビニル、4フッ化エチレン−6フッ化プロピレン共重合体、パーフルオロアルコキシフッ素樹脂等のフッ素樹脂、およびシリコーン樹脂等を例示できる。光触媒コート層612は、光触媒を含有する被膜層であって、光照射を受けることにより有機物を酸化分解する機能を有する。光触媒コート層612に含有させる光触媒としては、安全性の観点から酸化チタンを好ましく用いることができる。酸化チタンはルチル型およびアナターゼ型のいずれでもよいが、一般に光触媒活性が高いことからアナターゼ型を好ましく採用できる。基材層611の表面に光触媒コート層612を形成する方法は特に制限されるものではなく、例えば、光触媒酸化チタン及びバインダーを含むコーティング剤を基材層611の表面に塗布した後、該コーティング剤を硬化させることにより形成することができる。バインダーとしては、例えばケイ酸塩系バインダー、リン酸塩系バインダー、無機コロイド、金属アルコキシド、フッ素樹脂等の、基材層611を劣化させない温度での硬化が可能な公知のバインダーを特に制限なく用いることができる。ただし、耐水性、取扱い性、及び強度の観点からは、フッ素樹脂系バインダーを好ましく採用できる。光触媒シート61の2つの主表面のうち、光触媒コート層612が露出している面が第1の表面61aであり、基材層611が露出している面が第2の表面61bである。
光触媒励起手段80は、発光波長360〜400nmの紫外発光ダイオードを1つ以上備え、該紫外発光ダイオードから発せられた波長360〜400nmの紫外光を光触媒シート61の第1の表面61aに照射することにより、光触媒コート層612に含まれる光触媒を励起させる。図5において、紙面に垂直な方向が光触媒シート61の移動方向である。図5に示すように、光触媒励起手段80は、光触媒シート61の第1の表面61aに対向して、光軸を第1の表面61aに向けて並べて配置された、発光波長360〜400nmの紫外発光ダイオード81、81、…と、該紫外発光ダイオード81、81、…を支持する紫外LED支持部材82とを有する。なお図5には表れていないが、紫外LED支持部材82は、水受け器45の側壁45d、45e(後述)に固定されて保持されている。紫外発光ダイオード81、81、…は不図示の電源に接続されており、紫外発光ダイオード81、81、…から発せられた紫外光が光触媒シート61の第1の表面61bに照射されることにより、光触媒シート61の光触媒コート層612に含まれる光触媒が励起される。紫外発光ダイオード81、81、…としては、発光波長が360〜400nmである公知の紫外LEDを特に制限なく採用できる。光触媒励起手段80において、光触媒の励起光の光源として紫外発光ダイオード81、81、…を用いることにより、低圧水銀ランプ等の放電管光源を用いた場合と比較して消費電力を低減できるだけでなく、光源寿命が長いことにより運用コストも低減できる。さらに、低圧水銀ランプ等の放電管光源は電源投入から紫外光の強度が十分な値に安定するまで、或る時間のウォーミングアップ運転(光源によって長さは異なる)が必要であるのに対し、紫外発光ダイオードは電源投入から直ちに強度の安定した紫外光を照射できるので、後述する人感センサ19a、19bとの組み合わせによる乗客コンベアの運転および停止の制御に十分に追従することができる。
酸化チタン等の光触媒は、励起光の照射を受けることにより、水や酸素等からヒドロキシラジカル(・OH)やスーパーオキサイドアニオン(・O2 −)等の活性酸素種を生じる。これらの中でも水から生じるヒドロキシラジカルは酸化力が大であり、ハンドレール30に付着する汚れの主成分である有機化合物の分子中の結合を容易に切断するので、光触媒による分解機能および殺菌機能への寄与は大きいと考えられる。光触媒シート61の第1の表面61aが給水手段70を経た後、第1の表面61aすなわち光触媒コート層612の表面に水が付着している状態で光触媒励起手段80からの励起光の照射を受けることにより、分解機能および殺菌機能に大きく寄与するヒドロキシラジカルが効率的に生成するので、光触媒による分解機能および殺菌機能をより効果的に発揮させることが可能になる。給水手段70から水の供給を受けた後に光触媒励起手段80から励起光の照射を受けた光触媒シート61の第1の表面61aは、さらに周回移動して従動ローラ62bにおいて移動方向を反転してハンドレール30の表面に接触し、ハンドレール30と共に矢印B方向に移動しながらハンドレール30の表面に対して分解作用および殺菌作用を発揮する。従動ローラ62bから駆動ローラ62aまでの区間にわたってハンドレール30に接触し続けた光触媒シート61の第1の表面61aは、駆動ローラ62aにおいてハンドレール30の表面を離れ、移動方向を反転して再び給水手段70からの水の供給および引き続いての光触媒励起手段80からの励起光の照射を受け、従動ローラ62bにおいて移動方向を再度反転してハンドレール30の表面に接触する。
水切り手段43は、ハンドレール30が水で濡れた光触媒シート61と接触した後にハンドレール30の表面に付着している水を、ハンドレール30の表面から除去する。図4において、紙面左右方向がハンドレール30の移動方向であり、図1及び図3の矢印Aの向きにハンドレール30が移動しているとき、図4においてハンドレール30は紙面右側から紙面左側へ(すなわち矢印Aの向きに)移動している。
水受け器45は、給水手段70から供給された水を受け容れて回収する容器であり、底部45aと、給水手段70のノズル72から吐出された水の外部への飛散を防ぐように底部45aから立設された前方壁45bと、底部45の前方壁45bとは反対側の端部に立設された後方壁45cと、ガイドレール30の幅方向(図4の紙面奥行き方向)への水の漏出を防ぐように底部45aから立設された一対の側壁45d、45e(図4には表れていない)とを有してなる。図6は図4のD−D矢視図であり、水受け器45の前方壁45bの形状が表れている。図7は図4のE−E矢視図であり、水受け器45の後方壁45cの形状が表れている。水受け器45の底部45aには、底部45aの他の箇所より窪んだ集水部45fが設けられており、底部45aの内面は集水部45fに水を集めるため、集水部45fに向けて傾斜している。集水部45fの底部には配管49aの一方の端部が開口しており、集水部45fに集められた水は配管49aを通じて水濾過装置46に導かれる。
図8は図4のF−F矢視図であり、水受け器45の一対の側壁45d、45e、後方壁45c、底部45a、及び水切り手段43が表れている。水切り手段43は、先端がガイドレール30の表面に接触するように設けられたスクレイパーであり、水受け器45の一対の側壁45d、45eに固定されている。スクレイパーである水切り手段43の、ガイドレール30と接触する先端部は、ガイドレール30の表面を傷つけないように、例えばシリコーン樹脂等の軟質の樹脂によって構成されている。ハンドレール30が水で濡れた光触媒シート61と接触した後にハンドレール30の表面に付着している水は、スクレイパーである水切り手段43により掃き取られてハンドレール30の表面から除去され、スクレイパー表面を流れ落ちて水受け器45の集水部45fに集められる。
図3及び図4を再度参照する。水浄化装置46は、受け器45に回収された水を少なくとも濾過により浄化する装置である。水浄化装置46は、浄化された水を再度殺菌ユニット41に供給する。これにより、水浄化装置46を経た水が、再び給水手段70のノズル72から光触媒シート61の第1の表面61aに噴射される。水浄化装置46は、水濾過装置47と、水殺菌手段48とを有している。水受け器45に受け容れられた水は配管49aを通じて水濾過装置47に導かれ、水濾過装置47を経た水は配管49bを通じて、水殺菌手段を兼ねる貯水槽48に導かれ、貯水槽(兼水殺菌手段)48から水が配管49cを通じて高圧水洗浄手段41に再供給される。
水濾過装置47としては、モータ等により駆動されるポンプと、フィルタとを有する公知の濾過機構を特に制限なく採用できる。
貯水槽兼水殺菌手段48は、水濾過装置47において濾過された後の水を受け容れて貯めつつ、貯めた水に対して深紫外光による殺菌を行う装置である。貯水槽兼水殺菌手段48は、高圧水洗浄手段41に水を安定して供給できる程度に十分な体積の水を貯めることができる着脱可能な容器と、該着脱可能な容器内に貯められた水に波長260〜320nmの深紫外光を照射する深紫外光源とを有する。水を貯める容器が着脱可能であることにより、定期的に水を交換することができるので、光触媒の活性化に供される水を衛生的に維持することがより容易になる。貯水槽兼水殺菌手段48の深紫外光源は、ハンドレール殺菌装置40によるハンドレールの殺菌が行われているか否かに関わらず常時稼働させることが好ましいので、紫外線殺菌ランプ及び深紫外発光ダイオードのいずれでもよいが、消費電力および光源寿命の観点からは深紫外発光ダイオードであることが好ましい。
図9及び図10を参照して、ハンドレール殺菌装置40の運転制御について説明する。図9は、図4において、制御部50を省略せずに表した図である。制御部50は、乗客コンベア制御盤20の一部であり、例えば、制御プログラムを実行する中央演算装置(CPU)、制御プログラム等を記憶するメモリ等を含むマイクロコンピュータにより好ましく構成することができる。制御部50は、乗客コンベア制御盤20の一部として、乗客コンベア100の運転状態に関する情報や、人感センサ19a、19bによる検出結果等を取得することができ、かつ、乗客コンベア100の運転開始指令および運転停止指令を発信することができる。また制御部50はタイマの機能を備えている。また、制御部50は、光触媒適用手段60の駆動ローラ62aに接続されている駆動手段、給水手段70のポンプ71及びバルブ75、光触媒励起手段80、水濾過装置47、並びに貯水槽兼水殺菌手段48と電気的に接続されており、これらの動作を制御する指令を送信することができる。なお、制御部50は、乗客コンベア制御盤20とは別個の要素として構成されていてもよい。
図10は、ハンドレール殺菌装置40の運転を制御する処理ルーチンS10を説明するフローチャートである。処理ルーチンS10は、制御手段50において所定時間毎にメモリから読み出されてCPUにより実行される。図10に示すように、処理ルーチンS10はステップS11〜S16を有している。
まず、上層階の乗降口12a(図1参照。)に乗客が来たか否かが判断される(ステップS11)。この判定は、人感センサ19bの検出信号に基づいて行われる。ステップS11において否定判断がなされた場合、すなわち上層階の乗降口12aに乗客が来ていない場合には、そのまま処理を終了する。ステップS11において肯定判断がなされた場合、すなわち上層階の乗降口12aに乗客が来ている場合には、運転休止状態にあった乗客コンベア100の下り運転動作を開始させ(ステップS12)、次いでハンドレール殺菌装置40によるハンドレール30の殺菌を行う(ステップS13)。具体的には、光触媒接触手段60の駆動ローラ62aの駆動を開始して、光触媒シート61の周回移動を開始させ;給水手段70のバルブ75を開き、ポンプ71を作動させて水をノズル72から光触媒シート61の第1の表面61aへ向けて噴出させ;光触媒励起手段80の紫外発光ダイオード81、81、…を点灯させ;水浄化装置46の水濾過装置47のポンプを作動させて、水受け器45の集水部45fに集められた水の濾過を開始する。なお、貯水槽兼水殺菌手段48の深紫外光源は、乗客コンベア100が運転されているか否かに関わらず常に点灯されている。
続くステップS14において、最後の乗客検知から所定時間が経過したか否かが判断される。この判断は、制御部50に含まれるタイマのカウント値に基づいて行われる。制御部50に含まれるタイマは、上層階の乗降口12aにおいて人感センサ19aにより新たな乗客が検知される度にカウント値を初期化してカウントを開始する。これにより制御部50に含まれるタイマのカウント値は、最後の乗客検知から経過した時間を表している。ステップS14における所定時間とは、無端状のハンドレール30が少なくとも1周分周回移動するのに要する時間に設定されており、このような一周分の周回移動に要する時間は乗客コンベア100について既知の情報として制御部50のメモリにあらかじめ記憶されている。ただし、ステップS14における所定時間は、ハンドレール30が1周分以上周回移動する時間であってもよい。
上記ステップS14において最後の乗客検知から所定時間が経過するまでハンドレール殺菌装置40の動作を継続するので、無端状のハンドレール30の全周の表面がハンドレール殺菌装置40により殺菌される。そしてステップS16において最後の乗客検知から所定の時間が経過したという肯定判断がなされると、ハンドレール殺菌装置40によるハンドレール30の殺菌が停止される。具体的には、給水手段70のポンプ71を停止して、バルブ75を閉じ;光触媒励起手段80の紫外発光ダイオード81、81、…を消灯させ;光触媒接触手段60の駆動ローラ62aの駆動を停止し;水浄化装置46の水濾過装置47のポンプを停止させて、水受け器45の集水部45fに集められた水の濾過を停止する。なお、貯水槽兼水殺菌手段48の深紫外光源は点灯を継続される。そして乗客コンベア100の駆動ユニットの作動が停止されて運転休止状態に入る(ステップS16)。
上記説明した処理ルーチンS10においては、乗客コンベア100の運転が必要とされる時のみに乗客コンベア100を運転し、同時にハンドレール30の殺菌を行う。このとき、ハンドレール殺菌装置40は光触媒の励起光源として紫外発光ダイオードを用いているので、ステップS13におけるハンドレール殺菌開始の指令に直ちに追従して、安定した強度の励起光を光触媒シート61の第1の表面61aに照射し、光触媒の作用によって発生した活性酸素種によるハンドレール30の表面の殺菌を安定して行うことができる。
本発明に関する上記説明では、光触媒励起手段80が、光触媒シート61の第1の表面61aのうちハンドレール30に接触していない領域に対して第1の表面61aの側から紫外光を照射することにより、第1の表面61aに担持された光触媒を励起させる形態のハンドレール殺菌装置40を例示したが、本発明は当該形態に限定されない。例えば、光触媒シートが、光触媒励起手段から照射される紫外光を透過し、光触媒励起手段が、光触媒シートの第1の表面のうちハンドレールに接触している領域に対して第2の表面の側から紫外光を照射することにより、第1の表面に担持された光触媒を励起させる形態のハンドレール殺菌装置とすることも可能である。図11は、そのような他の一の実施形態に係るハンドレール殺菌装置40’を模式的に説明する図である。図11において、ハンドレール殺菌装置40に関連して既に説明した要素と同一の要素には図1〜10と同一の符号を付し、説明を省略する。
ハンドレール殺菌装置40’は、無端状の光触媒シート61に代えて無端状の光触媒シート61’を有し、光触媒励起手段80に代えて光触媒励起手段80’を有している点以外は、上記説明したハンドレール殺菌装置40と同一である。光触媒シート61’は、光触媒シート61と同様に、第1の表面61’a、および、第1の表面61’aとは反対側の第2の表面61’bを有しており、第1の表面61’aには光触媒が担持されている。そして第1の表面61’aは無端状の光触媒シート61’の外側を向き、第2の表面61’bは無端状の光触媒シート61’の内側を向いている。光触媒シート61’の幅(図11紙面奥行き方向の長さ)は、ハンドレール30の主面の幅(図11紙面奥行き方向の長さ)以上とされている。光触媒シート61が光触媒励起手段80から照射される紫外光を必ずしも透過しなくてもよいのに対して、光触媒シート61’は、光触媒励起手段80’から照射される紫外光を透過する点において、光触媒シート61’は光触媒シート61と異なっている。また、光触媒励起手段80が光触媒シート61の第1の表面61aのうちハンドレール30に接触していない領域に対して第1の表面61aの側から紫外光を照射することにより第1の表面61aに担持された光触媒を励起させるのに対し、光触媒励起手段80’は光触媒シート61’の第1の表面61’aのうちハンドレール30に接触している領域に対して第2の表面61’bの側から紫外光を照射することにより第1の表面61’aに担持された光触媒を励起させる点において、光触媒励起手段80’は光触媒励起手段80と異なっている。
図12は、図11のC−C断面図において、ハンドレール30、ガイドレール31、光触媒シート61’、および光触媒励起手段80’のみを表した図である。光触媒シート61’は、基材層611’と、基材層611’の一方の表面に形成された光触媒コート層612’とを有する、無端状に形成されたシート状部材である。基材層611’は、駆動ロータ62aおよび従動ローラ62bによって駆動される周回移動に十分な強度および可撓性を有し、且つ、光触媒励起手段80’から照射される紫外光を透過する材料によって形成されている。基材層611’を形成する材料としては、例えば、(メタ)アクリル樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE、例えばネオフロン(登録商標)PCTFE。)等のフッ素樹脂、シリコーン樹脂を例示できる。光触媒コート層612’は、光触媒を含有する被膜層であって、光照射を受けることにより有機物を酸化分解する機能を有する。光触媒コート層612’に含有させる光触媒としては、上述の光触媒コート層612と同様の光触媒を用いることができる。基材層611’の表面に光触媒コート層612’を形成する方法は特に制限されるものではなく、例えば、光触媒酸化チタン及び紫外透過性のバインダーを含むコーティング剤を基材層611’の表面に塗布した後、該コーティング剤を硬化させることにより形成することができる。紫外透過性のバインダーとしては、例えばケイ酸塩系バインダー、フッ素樹脂等の、基材層611’を劣化させない温度での硬化が可能であって、紫外光を透過する公知のバインダーを特に制限なく用いることができる。ただし、耐水性、取扱い性、及び強度の観点からは、フッ素樹脂系バインダーを好ましく採用できる。光触媒シート61’の2つの主表面のうち、光触媒コート層612’が露出している面が第1の表面61’aであり、基材層611’が露出している面が第2の表面61’bである。
光触媒励起手段80’は、光触媒励起手段80と同様に、発光波長360〜400nmの紫外発光ダイオードを1つ以上備える。そして該紫外発光ダイオードから発せられた波長360〜400nmの紫外光を光触媒シート61’の第2の表面61b’の側から照射することにより、基材層611’を透過した紫外光によって光触媒コート層612’に含まれる光触媒を励起させる。図12において、紙面奥行き方向が光触媒シート61’の移動方向である。図12に示すように、光触媒励起手段80’は、光触媒シート61’のうちハンドレール30と接触している領域の第2の表面61’bに対向して、光軸を第2の表面61’bに向けて並べて配置された、発光波長360〜400nmの紫外発光ダイオード81’、81’、…と、該紫外発光ダイオード81’、81’、…を支持する紫外LED支持部材82’とを有する。なお図12には表れていないが、紫外LED支持部材82’は、上述の紫外LED支持部材82と同様に、水受け器45の側壁45d、45e(後述)に固定されて保持されている。紫外発光ダイオード81’、81’、…は不図示の電源に接続されており、紫外発光ダイオード81’、81’、…から発せられた紫外光は光触媒シート61’のうちハンドレール30に接触している領域の第2の表面61’bの側から照射され、基材層611’を透過して、光触媒コート層612’に含まれる光触媒を励起させる。紫外発光ダイオード81’、81’、…としては、上述の紫外発光ダイオード81、81、…と同様に、発光波長が360〜400nmである公知の紫外LEDを特に制限なく採用できる。
再び図11を参照する。給水手段70のノズル72から吐出される水が、光触媒シート61’の第1の表面61’aに付着する。給水手段70から水の供給を受けた光触媒シート61’は周回移動して、第1の表面61’aに水が付着した状態でハンドレール30の表面に接触し、ハンドレール30と共に矢印Aの方向に移動しながら光触媒励起手段80’から励起光の照射を受け、ハンドレール30の表面に対して分解作用および殺菌作用を発揮する。従動ローラ62bから駆動ローラ62aまでの区間にわたってハンドレール30に接触し続けた光触媒シート61’の第1の表面61’aは、駆動ローラ62aにおいてハンドレール30の表面を離れ、移動方向を反転して再び給水手段70から水の供給を受け、従動ローラ62bにおいて移動方向を再度反転して、第1の表面61’aに水が付着した状態でハンドレール30の表面に接触する。このような形態によっても、光触媒シート61’の第1の表面61’aが給水手段70を経た後、第1の表面61’aすなわち光触媒コート層612’の表面に水が付着している状態で光触媒励起手段80’からの励起光の照射を受けることにより、分解機能および殺菌機能に大きく寄与するヒドロキシラジカルが効率的に生成するので、光触媒による分解機能および殺菌機能をより効果的に発揮させることが可能になる。
本発明に関する上記説明では、給水手段が、光触媒シートの第1の表面のうちハンドレールに接触していない領域に水を供給する形態のハンドレール殺菌装置40、40’を例示したが、本発明は当該形態に限定されない。例えば、光触媒シートと接触する前のハンドレール表面に水を付着させることにより、該ハンドレール表面と接触した光触媒シートの第1の表面に水が供給される形態のハンドレール殺菌装置とすることも可能である。図13は、そのような他の一の実施形態に係るハンドレール殺菌装置40''を模式的に説明する図である。図13において、ハンドレール殺菌装置40、40’に関連して既に説明した要素と同一の要素には図1〜図12と同一の符号を付し、説明を省略する。
ハンドレール殺菌装置40''は、給水手段70に代えて給水手段70''を有している点以外は、上記説明したハンドレール殺菌装置40’と同一である。給水手段70''は、光触媒シート61’と接触する前のハンドレール30の表面に向けて加圧された水(高圧水)を噴射することによりハンドレール30の表面を洗浄する高圧水洗浄手段である点において、給水手段70と異なっている。図14は、図13のC−C断面図であって、給水手段(兼高圧水洗浄手段)70''を模式的に説明する図である。なお図14には、水受け器45の底部45aおよび一対の側壁45d、45eも表れている。給水手段70''は、不図示のモータによって駆動されるポンプ71''と、ポンプ71''に接続されたノズル72''とを有する。貯水槽(兼水殺菌手段)48から給水手段(兼高圧水洗浄手段)70''に供給される水は、ポンプ71''によって加圧されて高圧水となり、その高圧水が配管74''を通じてノズル72''に導かれ、ノズル72''の開口部からハンドレール30の表面に向けて噴出される。高圧水がノズル72''の開口部から高圧水流73''として扇形状(平面的放射状)に広がるように吐出されることにより、ハンドレール30の表面のうち乗客の手に触れる露出部分が洗浄される。ポンプ71''からノズル72''に至る配管74''の途中にはバルブ75''が設けられており、ハンドレール殺菌装置40''の動作が停止しているときには配管74''を遮断する。給水手段(兼高圧水洗浄手段)70''のポンプ71''及びノズル72''としては、高圧水洗浄装置に用いられるものとして公知の構成のポンプ及びノズルを特に制限なく採用することができる。
ハンドレール殺菌装置40''においては、給水手段70''のノズル72''から噴出される水が、光触媒シート61’と接触する前のハンドレール30の表面に付着する。水が付着したハンドレール30の表面は矢印Aの方向に移動して、矢印Bの方向に周回移動する光触媒シート61’の第1の表面61’aに接触する。これにより、ハンドレール30の表面と接触した光触媒シート61’の第1の表面61’aに水が供給される。光触媒シート61’はハンドレール30と共に移動しながら光触媒励起手段80’から励起光の照射を受け、ハンドレール30の表面に対して分解作用および殺菌作用を発揮する。従動ローラ62bから駆動ローラ62aまでの区間にわたってハンドレール30に接触し続けた光触媒シート61’の第1の表面61’aは、駆動ローラ62aにおいてハンドレール30の表面を離れて移動方向を反転し、従動ローラ62bにおいて移動方向を再度反転して、給水手段70''からの水供給により水が付着したハンドレール30の表面に再度接触する。このような形態によっても、光触媒シート61’の第1の表面61’aが、第1の表面61’aすなわち光触媒コート層612’の表面に水が付着している状態で光触媒励起手段80’からの励起光の照射を受けることにより、分解機能および殺菌機能に大きく寄与するヒドロキシラジカルが効率的に生成するので、光触媒による分解機能および殺菌機能をより効果的に発揮させることが可能になる。
本発明に関する上記説明では、高圧水洗浄手段を兼ねる給水手段70''がハンドレール30の表面に水を供給する形態のハンドレール殺菌装置40''を例示したが、本発明は当該形態に限定されない。ハンドレール殺菌装置40''において、給水手段70''を、高圧水洗浄の機能を有しない形態の給水手段に置き換えることも可能である。ただし、給水手段によってハンドレール表面の高圧水洗浄が同時に行われる形態によれば、高圧水の機械的な力によってハンドレール表面の汚れが除去された後で、光触媒の分解作用および殺菌作用が適用されるので、より効果的にハンドレール表面の汚れの除去および殺菌を行うことが可能になり好ましい。
本発明に関する上記説明では、給水手段が1つのノズルを有する形態のハンドレール殺菌装置40、40’、40''を例示したが、本発明は当該形態に限定されない。給水手段が有するノズル(吐出口)の数および配置は、ハンドレールの形状や大きさに応じて適宜選択することが可能である。
本発明に関する上記説明では、給水手段が光触媒シートの第1の表面に直接に水を供給する形態のハンドレール殺菌装置40、40’、及び、給水手段が光触媒シートと接触する前のハンドレール表面に水を付着させることにより、ハンドレール表面と接触した光触媒シートの第1の表面に間接的に水を供給する形態のハンドレール殺菌装置40''を例示したが、本発明はこれらの形態に限定されるものではない。例えば、光触媒シートの第1の表面に直接に水を供給する第1の給水手段と、給水手段が光触媒シートと接触する前のハンドレール表面に水を付着させることにより、ハンドレール表面と接触した光触媒シートの第1の表面に間接的に水を供給する第2の給水手段との両方を有する形態のハンドレール殺菌装置とすることも可能である。
本発明に関する上記説明では、光触媒接触手段が光触媒シートの第2の表面に接触して光触媒シートを周回移動可能に保持する2つのローラ62a、62bを有する形態のハンドレール殺菌装置40、40’、40''を例示したが、本発明は当該形態に限定されない。ローラの数は1つであってもよく、3つ以上であってもよい。ただし、光触媒とハンドレール表面との接触時間をより長くする観点から、ローラの数は2つ以上であることが好ましい。ローラの数の上限は特に制限されるものではなく、設置スペースを考慮して適宜決めることができる。
本発明に関する上記説明では、光触媒接触手段が駆動ローラ62aおよび従動ローラ62bを有し、ローラが光触媒シートの周回移動を駆動する形態のハンドレール殺菌装置40、40’、40''を例示したが、本発明は当該形態に限定されない。光触媒接触手段が有するローラがいずれも駆動手段に接続されておらず、周回移動するハンドレールと光触媒シートとの接触により、ハンドレールが光触媒シートの周回移動を駆動する形態とすることも可能である。
本発明に関する上記説明では、表面にバリアコート層33が形成されたハンドレール30を備える乗客コンベア100にハンドレール殺菌装置40、40’、40''が適用される形態を例示して説明したが、本発明はこれらの形態に限定されない。例えば図2においてバリアコート層33を有しない形態のハンドレールを備える乗客コンベアに対して本発明のハンドレール殺菌装置を適用することも可能である。
本発明に関する上記説明では、スクレイパーである水切り手段43を備える形態のハンドレール殺菌装置40、40’、40''を例示して説明したが、本発明は当該形態に限定されない。例えば、スクレイパーに代えて、加圧された空気を吹き付けることによってハンドレール表面の水を吹き飛ばして除去する形態の水切り手段を採用することも可能である。また、加圧された空気の吹き付けとスクレイパーによる掃き取りを組み合わせて適用することも可能である。また、水の除去は下部ハンドレール入り込み口近傍に設けられたハンドレール殺菌装置を経た後、上部ハンドレール入り込み口から出てくるまでの時間を利用した自然乾燥に任せ、水切り手段は備えない形態のハンドレール殺菌装置とすることも可能である。
本発明に関する上記説明では、水受け器45によって回収された水を浄化して再び給水手段70に供給する水浄化装置46を有する形態のハンドレール殺菌装置40、40’、40''を例示して説明したが、本発明は当該形態に限定されない。当該形態のハンドレール殺菌装置40によれば、水道水の利用が難しい場所に設置された乗客コンベアのハンドレールに対しても光触媒の作用による殺菌を衛生的に行うことが可能であるが、乗客コンベアが水道水を利用できる場所に設置されている場合には、水浄化装置を省略して、上水道から給水手段に直接水を供給し、水受け器に回収された水はそのまま排水として下水道に排出する形態のハンドレール殺菌装置とすることも可能である。
本発明に関する上記説明では、乗降口を挟んで設けられた一対の支柱と、該一対の支柱の一方に設けられた発光器と、他方に設けられた受光器とを有する人感センサ19a、19bを備える実施形態を例示して説明したが、本発明は当該形態に限定されるものではない。本発明のハンドレール殺菌装置および乗客コンベアにおいては、人感センサとして、例えば天井等に設けられた赤外線センサを採用することも可能であり、また、撮像カメラを用いて画像解析により利用者を検知する装置を用いることも可能である。
本発明に関する上記説明では、上層階側と下層階側の両方にハンドレール殺菌装置40、40’、又は40''がそれぞれ設置された形態の乗客コンベア100を例示して説明したが、乗客コンベアの運転方向が一方向のみ、例えば下り運転に限定されている場合には、上層階側および下層階側のいずれか一方のみにハンドレール殺菌装置が設置されていてもよい。
本発明に関する上記説明では、上層階と下層階とを結ぶエスカレータである乗客コンベア100、及び該乗客コンベア100に設置されるハンドレール殺菌装置40を例示して説明したが、本発明は当該形態に限定されない。本発明のハンドレール殺菌装置は、エスカレータ以外の乗客コンベア(例えば、乗客を水平方向に移動させるいわゆる動く歩道等。)にも適用可能であり、本発明の乗客コンベアは、エスカレータ以外の乗客コンベアであってもよい。