JP2016132050A - 焼き嵌め構造 - Google Patents
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Abstract
【課題】焼き嵌め部分に接着剤を均一かつ十分に付着させて強固に固着することができる焼き嵌め構造を提供する。
【解決手段】円環状部材30の軸受穴31を加熱し膨張させ、軸受穴31に軸部材21を嵌め込み、冷却後の軸受穴31の収縮により固着する焼き嵌め構造100において、軸部材21の外周面22または/および円環状部材30の軸受穴31の内周面に、接着剤50を付着させるための複数の凹部40を形成している。
【選択図】図1
【解決手段】円環状部材30の軸受穴31を加熱し膨張させ、軸受穴31に軸部材21を嵌め込み、冷却後の軸受穴31の収縮により固着する焼き嵌め構造100において、軸部材21の外周面22または/および円環状部材30の軸受穴31の内周面に、接着剤50を付着させるための複数の凹部40を形成している。
【選択図】図1
Description
本発明は、円環状部材と軸部材との焼き嵌め構造に係り、詳しくは焼き嵌め部分に接着剤を塗布して固着する焼き嵌め構造に関する。
ギヤ等の円環状部材を軸部材に取り付ける場合、円環状部材の軸受穴を加熱し膨張させ、当該軸受穴に軸部材を嵌め込み、冷却後の軸受穴の収縮により固着する焼き嵌め構造が採用されている。また、焼き嵌め構造における荷重条件が厳しい場合には、焼き嵌め部分に接着剤を塗布して固着することも行われている。
このような接合構造に関連する技術として、例えば、特許文献1には、セラミックスと金属との接合構造において、金属製円柱体の長手方向に、応力集中を抑制するための長い楕円または長円形の溝を複数形成した接合構造が開示されている。
ところで、従来の接着剤を併用する焼き嵌め構造において、円環状部材と軸部材との微小な隙間に、十分な量の接着剤を塗布するのは難しい。特に、軸部材の外径が大きく、接着剤の塗布面積が大きい場合には、接着剤を軸部材の外周面に均一に塗布することが難しく、接着剤の塗布量が不十分な箇所が生じる。また、軸部材の外周面に塗布した接着剤が垂れ落ちて、接着剤の塗布量が不十分になることがある。
本発明の目的は、上記の事情に鑑みて創案されたものであり、焼き嵌め部分に接着剤を均一かつ十分に付着させて強固に固着することができる焼き嵌め構造を提供することにある。
上記目的を達成するために、本発明に係る焼き嵌め構造は、円環状部材の軸受穴を加熱し膨張させ、該軸受穴に軸部材を嵌め込み、冷却後の前記軸受穴の収縮により固着する焼き嵌め構造であって、上記軸部材の外周面または/および上記円環状部材の上記軸受穴の内周面に、接着剤を付着させるための複数の凹部を形成したことを特徴とする。
上記焼き嵌め構造において、上記軸部材の外周面または/および上記円環状部材の上記軸受穴の内周面に対する上記複数の凹部の面積率は、10%〜50%であることが好ましい。
上記複数の凹部は、複数のディンプルであることが好ましい。
上記ディンプルの直径は0.05〜0.1mm、上記ディンプルの深さは5μm〜20μmに形成されることが好ましい。
本発明に係る焼き嵌め構造によれば、軸部材の外周面または/および円環状部材の軸受穴の内周面に、接着剤を付着させるための複数の凹部が形成されているので、焼き嵌め部分に接着剤を均一かつ十分に付着させて強固に固着することができる。
以下、図面を参照して、本発明の一実施の形態に係る焼き嵌め構造について説明する。同一の部品には同一の符号を付してあり、それらの名称および機能も同じである。したがって、それらについての詳細な説明は繰返さない。
まず、図1から図3を参照して、本発明の一実施の形態に係る焼き嵌め構造の構成について説明する。図1は本発明の一実施の形態に係る焼き嵌め構造の斜視図である。図2は本実施の形態の軸部材の一部の径方向断面図である。図3は本実施の形態に係る焼き嵌め構造を採用する部位を示す模式図である。
図3に示すように、本実施の形態に係る焼き嵌め構造100は、例えば、車両10のエンジン20の往復運動を回転運動に変えるためのクランクシャフト(以下、「軸部材」という)21の前端部に、ギヤ等の円環状部材30を取り付けるために用いられる。円環状部材30のうち、特にギヤのように他の部品と噛合して回転する部品は、軸部材21に強固に固着することが好ましい。したがって、焼き嵌めに加えて、接着剤による固着が併用される。
図1に示すように、本実施の形態に係る焼き嵌め構造100は、円環状部材30の軸受穴31を加熱し膨張させ、当該軸受穴31に軸部材21を嵌め込む。ギヤ等の円環状部材30の加熱温度は、例えば、170℃〜200℃程度である。軸受穴31を加熱して膨張させた状態で軸部材21を嵌め込んだ後、冷却後の軸受穴31の収縮により軸部材21に円環状部材30を固着する。なお、軸部材21には、嵌め込み深さの規制部となるフランジ部23が形成されている。
軸部材21の端部の外周面22には、接着剤を付着させるための複数の凹部40が形成されている。軸部材21の外周面22に対する複数の凹部40の面積率は、例えば、10%〜50%に設定されることが好ましい。
本実施の形態における複数の凹部40は、例えば、複数のディンプルによって形成される(以下、「ディンプル40」と記載する)。複数のディンプル40は、例えば、軸部材21の外周面22をレーザ加工、ショットブラスト加工、もしくはショットピーニング加工することにより形成されるが、例示の加工法に限定されない。
図2に示すように、本実施の形態におけるディンプル40の直径Wは、例えば、0.05〜0.1mm程度に形成される。また、本実施の形態におけるディンプル40の深さDは、例えば、5μm〜20μm程度に形成される。
複数のディンプル40が形成された軸部材21の外周面22には、接着剤50が塗布される。接着剤50は、ディンプル40内に付着して、軸部材21の外周面22に均一かつ十分に保持される(図2参照)。本実施の形態の接着剤50としては、例えば、ヘンケル社製のロックタイト(LOCTITE(登録商標))等の金属用の嫌気性接着剤を採用するが、例示の接着剤に限定されない。
次に、図1および図2を参照して、本実施の形態に係る焼き嵌め構造100の作用について説明する。図1および図2に示すように、ギヤ等の円環状部材30の焼き嵌めに際して、軸部材21の端部の外周面22に接着剤50を塗布する。
しかし、円環状部材と軸部材との微小な隙間に、十分な量の接着剤50を塗布するのは難しい。特に、接着剤50の粘度が低い場合には、接着剤50が垂れ落ちて、接着剤50の塗布量が少なくなりやすい。
そこで、本実施の形態に係る焼き嵌め構造100では、軸部材21の端部の外周面22に、複数のディンプル40が形成されている。また、複数のディンプル40の軸部材21の外周面22に対する面積率は、10%〜50%に設定される。さらに、ディンプル40の直径Wは0.05〜0.1mm程度に形成され、ディンプル40の深さDは5μm〜20μm程度に形成される(図2参照)。したがって、当該ディンプル40内に接着剤50が付着することにより、軸部材21の端部の外周面22の全体に亘って接着剤50が均一かつ十分に保持される。
そして、ギヤ等の円環状部材30が170℃〜200℃程度に加熱され、軸受穴31を膨張させた状態で軸部材21に嵌め込まれる。軸部材21を嵌め込んだ後、冷却後の軸受穴31の収縮とともに、嵌め込み構造の空気遮断により嫌気性の接着剤50が固化して、軸部材21に円環状部材30が強固に固着される。
以上説明したように、本実施の形態に係る焼き嵌め構造100は、軸部材21の外周面22に接着剤50を付着させるための複数のディンプル40が形成されているので、焼き嵌め部分に接着剤50を均一かつ十分に付着させて、軸部材21に円環状部材30を強固に固着することができる。
以上、本発明の好適な実施形態を説明したが、これらは本発明の説明のための例示であり、本発明の範囲をこれらの実施形態にのみ限定する趣旨ではない。本発明は、その要旨を逸脱しない範囲で、上記実施形態とは異なる種々の態様で実施することができる。
すなわち、上記の実施の形態では、軸部材21の外周面22に接着剤50を付着させるための複数の凹部(ディンプル)40が形成されているが、これに限定されず、円環状部材30の軸受穴31の内周面に複数の凹部(ディンプル)40を形成してもよい。円環状部材30の軸受穴31の内周面に複数の凹部(ディンプル)40を形成する場合には、軸受穴31の内周面に接着剤50を塗布することが好ましい。
また、軸部材21の外周面22と円環状部材30の軸受穴31の内周面との双方に、複数の凹部(ディンプル)40を形成してもよい。軸部材21の外周面22と円環状部材30の軸受穴31の内周面との双方に複数の凹部(ディンプル)40を形成する場合には、焼き嵌め効果が低下しないように凹部(ディンプル)40の面積率を低く設定し、軸部材21の外周面22と円環状部材30の軸受穴31の内周面との双方に接着剤50を塗布することが好ましい。
21 軸部材
22 外周面
30 円環状部材
31 軸受穴
40 凹部(ディンプル)
50 接着剤
100 焼き嵌め構造
W ディンプルの直径
D ディンプルの深さ
22 外周面
30 円環状部材
31 軸受穴
40 凹部(ディンプル)
50 接着剤
100 焼き嵌め構造
W ディンプルの直径
D ディンプルの深さ
Claims (4)
- 円環状部材の軸受穴を加熱し膨張させ、該軸受穴に軸部材を嵌め込み、冷却後の前記軸受穴の収縮により固着する焼き嵌め構造であって、
前記軸部材の外周面または/および前記円環状部材の前記軸受穴の内周面に、接着剤を付着させるための複数の凹部を形成した
ことを特徴とする焼き嵌め構造。 - 前記軸部材の外周面または/および前記円環状部材の前記軸受穴の内周面に対する前記複数の凹部の面積率は、10%〜50%である
請求項1に記載の焼き嵌め構造。 - 前記複数の凹部は、複数のディンプルである
請求項1または請求項2に記載の焼き嵌め構造。 - 前記ディンプルの直径は0.05〜0.1mm、前記ディンプルの深さは5μm〜20μmに形成される
請求項3に記載の焼き嵌め構造。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2015006960A JP2016132050A (ja) | 2015-01-16 | 2015-01-16 | 焼き嵌め構造 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2015006960A JP2016132050A (ja) | 2015-01-16 | 2015-01-16 | 焼き嵌め構造 |
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Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2016132050A true JP2016132050A (ja) | 2016-07-25 |
Family
ID=56437329
Family Applications (1)
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JP2015006960A Pending JP2016132050A (ja) | 2015-01-16 | 2015-01-16 | 焼き嵌め構造 |
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JP (1) | JP2016132050A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2018059547A (ja) * | 2016-10-03 | 2018-04-12 | 株式会社モテギ | 伝達軸およびそれを用いた車両用衝撃緩和装置ならびに伝達軸の製造方法 |
JP2022001767A (ja) * | 2020-06-19 | 2022-01-06 | オリエンタルモーター株式会社 | 回転軸の軸受固定構造 |
CN118321737A (zh) * | 2024-06-17 | 2024-07-12 | 铼芯半导体科技(浙江)有限公司 | 一种半导体芯片生产设备及其生产工艺 |
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- 2015-01-16 JP JP2015006960A patent/JP2016132050A/ja active Pending
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP7464456B2 (ja) | 2020-06-19 | 2024-04-09 | オリエンタルモーター株式会社 | 回転軸の軸受固定構造 |
CN118321737A (zh) * | 2024-06-17 | 2024-07-12 | 铼芯半导体科技(浙江)有限公司 | 一种半导体芯片生产设备及其生产工艺 |
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